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真・恋姫無双【凡将伝Re】4

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421 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/08/05(水) 06:00:01.30 ID:o17giggl0
「愛紗。お疲れ様」

北郷一刀は帰ってきた関羽をねぎらう。彼女は先ほどまで近隣の村落を巡り治安活動に励んできたのである。

「いえ、どうということはありません」

関羽の言は誇張でもなんでもない。あちこちと転戦しているのではあるが疲労の影すらなく平然としている。
いや、むしろ兵卒の群れに関羽という豪傑を宛てるというのが贅沢な話であろう。

「しかし、大忙し、だなあ」

彼の言に偽りはない。ここ最近――虎牢関が陥落し、洛陽まであと数日というところまできての足止め。それから劉備率いる義勇軍は東奔西走している。それまでの閑(ひま)さが嘘のように。

「略奪、暴行。ひどいものです」

関羽は吐き捨てる。彼女の言は嘘ではない。後方にいた諸侯軍が合流してこの方、治安や軍規は乱れる一方なのだ。
そんな彼女に気遣うような視線を送られているのを感じて慌てて取り繕う。

「ご安心ください。彼奴等の性根を叩きなおしてやりましたが……それだけです。命までは奪っておりませんし、致命的な怪我も負わせてはおりません」

数日悶絶する打撲くらいのものだ。骨を折ったりまでは及んでいない。言って聞かない相手にその鉄拳を振るうことに関羽は躊躇しなかった。切り捨ててしまいたいところではあったのだが、主たる劉備や、その軍師たる諸葛亮からも人死には避けるように言明されている。
関羽とて諸侯軍との関係を決定的に悪いようにしたい訳ではない。
例え正義がこちらにあろうとも、人死にが出てしまえばそれを口実に自分たちは不味い立場になるかもしれない。後ろ盾なぞない自分たちなのだ。
故に激発する可能性のある張飛は劉備や北郷一刀という安全弁から離すことは出来ない。
故に関羽のみが劉備一行と離れて行動しているのだが、それが自らに対する信頼の証であると関羽は理解している。
故に、だからこそ軽率なことはできない。例え目の前でどれだけの非道が行われていても、鉄の意志で関羽は激発をすることなく。だが、それでもその憤りは消えることはないのだ。

「どうして、このようなことに……」

関羽には理解できない。どうして同じ漢朝の民にあのようなことができるのか、と。

「――諸侯軍は常備軍ではありません。それが全てです」

静かに諸葛亮は応える。

「――っ。どういうことだ、朱里」

北郷一刀はだから、問いを発する。関羽があのように苦しんでいるのだ。その理由を彼は知らずにはいられない。

「諸侯軍の多くは徴兵された兵です。故に給与は支払われません」

反董卓連合。しかして完全に常備軍なのは袁家くらいのもの。いや、輜重に至るまでにそうである袁家がおかしいのだ。
つまり、袁家軍は真に戦うための集団。戦うが生業。よくもそのような集団を限界せしめたものだと諸葛亮は改めて戦慄を禁じ得ない。

「だったら!さっさと洛陽に入るべきだろう!」

諸葛亮の言葉を受けて北郷一刀は苛立ちを覚える。どうしてこのようなところで足踏みをするのかと。

「おそらく、ですがそのための交渉をしているのではないかと」

未だ洛陽には禁軍がある。そして禁軍との交戦は袁家軍としては何としても避けたいはず。

「此度の反董卓連合。袁家は極めて慎重にその歩を進めています。ええ。持っている影響力からすれば臆病と言っていいほどに……。
あくまで漢朝の臣として。けしてその矩を越えぬよう。越えてはいないと示しながら手を打っています」

いっそ迂遠なほどである。迂闊と言ってもいいかもしれない。
極端な話ではあるが、袁家単独でも洛陽に迫ることは可能であったろうと諸葛亮は思うし、鳳統も同意している。極めて高度に鍛えられた常備軍と、何より攻城兵器群だ。かつて思った通り、事あらば洛陽、とは言わずとも攻城戦を想定していたとしか思えない。
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