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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
	- 44 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/11(水) 21:56:40.96 ID:YdM4ueeZ0
-  それからの報せは、ことごとく凶報であった。皮肉にも賈駆の想定通りに。 
 曰く、曹操、行方分からず。皇甫嵩、行方分からず。
 
 曹操はまだいい。宦官を手駒とした時からある程度こちらの動きを察されていたはず。あわよくば巻き込もうとしたが果たせず。
 まあ、それはいい。
 だが、皇甫嵩の不在は痛い。朱儁亡き今、禁軍に号令をかけられるのは彼くらい。せめて誅滅したかったと思う。
 取り逃がした魚の大きさに歯噛みする。
 
 「ほ、北面の大門に於いて袁家の一行を捕捉しました!」
 
 だから、賈駆はそれにすがる。
 なんとか、袁紹の身さえ確保すれば。あの、あの男に窮状を訴えればなんとかなるのではないかと。
 だから今度こそはしくじるわけにはいかない。
 
 「て、丁重に扱いなさい!ボクが行く!」
 
 目の前に垂らされた蜘蛛の糸に飛びつく。
 
 「二郎さえ……袁家さえ抱き込めば大丈夫、なんとでもなる。二郎ならばなんとでもしてくれる。
 雷薄の討死についてはどうしようもないから、素直に謝ろう。そこで謀ったら取り返しがつかない。
 もう、ボクはどうなってもいいからどうにかして二郎を懐柔しないと……」
 
 馬を急がせながら賈駆はそれでも思考を放棄しない。
 
 そして、彼女を待ち構えるのは、蜂蜜色の髪の、眠たげな少女であった。
 紀霊が全幅の信頼を寄せる程立その人である。
 
 「いやあ、これは参ったのですよ〜。風はこの荷物を南皮に届けるべし。可及的速やかに、と指示を受けたのですね」
 
 ですから、夜半に北面の門扉を突破しようとしたのかと賈駆は程立を睨む。
 
 「おおこわいこわい。いや、いささか誉められない手段であったのは自覚してますよ〜。
 ですが、この北面についてはそれが常習化していたようだったので、風は風で最善を尽くしたまでなのです〜。
 いや、これは命乞いをした方がよろしいのですかねえ」
 
 くふふ、とほくそ笑む程立。わざとらしいその笑みはこちらの神経を逆なでるためのものであろう。そんな安い挑発に賈駆は乗らないしそんな暇もない。
 
 「いいから袁紹殿と二郎を出しなさい。貴女じゃ話にならない」
 
 その声に程立はにんまりとほほ笑む。それは微かであるも、わざとらしく、狩人が獲物を罠に嵌めた笑み。
 
 「いやいや、ここにはそんなお偉方はおりませんので、お引き取り願えればと思うのですよ〜。
 無論、洛外に出るのは明日以降にしますので〜。
 こんなところで時間を使ってはいけないのではないですか?
 老婆心ながら風は心配するのですよ。
 ええ、二郎さんと浅からぬ縁のある貴女を風は心配するのですよ」
 
 くふふ、と笑う程立になんと言ってやろうか。いや、そんなことに関わっている余裕すら自分にはない。
 この一行の荷物は大きな匣であったり壺であったり。ややもすれば人が隠れるに相応しいもの。
 
 ここで袁家当主たる袁紹。入内を控える袁術。そして彼女らに大きな影響力を持つ紀霊。いずれかを捉えるだけで状況は変わる。変わるのだ。
 
 ◆◆◆
 
 ――そして程立が率いる一行の、思わせぶりな荷からは誰一人発見できなかったのである。
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