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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
	- 468 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/06(日) 21:56:40.28 ID:PuubI+Mi0
-  「そんな……ひどい……」 
 
 劉備の悲しげな言葉にやはり言うべきではなかったか、と諸葛亮は僅かに後悔する。
 
 「でも、じゃあ、どうして袁家は……あれじゃまるで洛陽を守っているみたいじゃないか」
 
 北郷一刀の言は正しい。正しく袁家は洛陽を守護しようとしているのであろう。なぜならば。
 
 「袁術殿が入内されます。故に洛陽が荒れるのは看過できないということでしょう。そして、兵を蓄えた諸侯軍は実に目障り。あわよくばここで誅滅してしまう心づもりでさえあるかもしれません」
 
 「そんな……乱暴な!」
 
 もっとやり様があるだろうにと北郷一刀は憤慨する。
 下手をすれば洛陽は火の海になるだろう。彼の知っている歴史と同じく。
 その憤懣、或いは悲嘆。
 だが、と思い諸葛亮は傍らの親友に問う。
 
 「……雛里ちゃん、あれ、抜ける?」
 
 こと、千変万化たる戦場の機微に関して諸葛亮は鳳統に一歩も二歩も譲るのを自覚している。
 
 「無理だよ、朱里ちゃん。中央に陣取る顔家軍の重厚さ。左右を固める孫家軍と公孫。どっちも陣構えだけでその歴戦が分かるよ。そこに遊軍として紀家軍。決戦勢力として文家軍がいるんだよ?しかも本陣は更に分厚い袁家旗本。
 あれを抜くなら、倍は、欲しいな」
 
 実際、反董卓連合と言ってもその内実は袁家軍単独でも成り立つもの。
 そしてその威容があるからこそ大多数の諸侯を前にしても袁家軍は揺るがない。質、量ともに恐るべきものである。将帥も、兵卒も。
 
 「うん。私なら三倍は欲しい。雛里ちゃんの言う通りと思う。
 桃香様、ご主人様。恋さんでもいない限り目の前の陣を突破することはまず無理でしょう」
 
 「じゃあ、それが鈴々と愛紗ならどうだろう」
 
 ふと、好奇心で北郷一刀はそう尋ねてみる。
 
 「……何とも言えません。私からはなんとも。雛里ちゃん、どう?」
 
 急に話を振られた鳳統は慌てつつも所見を述べる。
 
 「あわわ……。駄目です。勝ち目はないです。
 まずもってお二人を前線に出したならば、敵はこちらの本陣を急襲してくるでしょう。
 と言って、どちらかお一人ならば星さんに足止めさせられます」
 
 それに、あの呂布に手傷を負わせた顔良もいる。改めて袁家の分厚い陣容を再認識する。個の武勇でどうこうできるものではない。
 いや、そもそも一騎打ちの優劣で戦場を語ってはいけない。そのような偶発的な状況を許すほど袁家は甘くないだろう。
 少なくとも、自分たちの手持ちの兵力では如何ともしがたい。そう諸葛亮は内心歯噛みする。質も量もまるで足りない。将帥の優秀さあある故にそれが残念でならない。未だ中華に影響を与える打ち手としてはその前提とする力がまるで足りないのだ。
 この場で、一石を投じるとすればせめて馬家軍か曹家軍くらいの武威がないことにはお話にならない。
 
 「あ……!」
 
 そしてその、状況を動かすに足る陣営が動く。
 
 「あれは……?」
 
 北郷一刀の呟き。
 
 そう。
 曹家軍きっての猛将夏候惇。それが少数の手勢を率いて、陣取る袁家軍に相対する。
 陣頭の夏候惇は高らかに口を開く。
 
 「曹家軍名代夏候惇である!洛陽への道を塞ぐ袁家に問いたいことがある!いざ尋常に応えられたし!」
 
 そして状況を動かすのは曹操。夏候惇の口上を満足げに、不敵に笑いながら見守る。
 その根底には怒りがある。
 
 よくも自分をのけものにしてくれたな、と。
 やられたままではいられない。それが曹操である。
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