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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
	- 473 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/10(木) 21:36:18.80 ID:vY1pce2o0
-  「ご報告申し上げます!今上陛下劉弁様ご無事!並びに紀霊将軍は宦官誅滅したとのことです!」 
 
 伝令の声に張りつめていた室の空気が僅かに緩む。
 
 「ご苦労様です。下がってよろしい」
 
 そして平淡に響く郭嘉の声が、盛り上がりかけた場を引き締める。
 なんとなれば、まだことが終わったわけではない。この、本営にありて諸侯軍と対峙する彼らにとってはこれからが本番といってもいい。
 
 「ふむ、まずは陛下のご無事を確保できたようですな」
 
 口を開いたのは張魯である。彼が華佗と共にこの本陣にいる意味は極めて大きい。
 張魯と華佗以外に袁家以外の人物となると、孫尚香くらいのものである。袁紹と、彼女を補佐する郭嘉。その護衛に楽進。袁術と孫尚香。その二人を典韋が守護している。まあ、袁術と孫尚香については孫家守護獣たる白虎に埋もれて安らかな寝息を立てているのではあるが。
 ともかく、この場に五斗米道の二人がいるというのはこの上ない意味を持つ。漢中という要衝に根拠を置く五斗米道。南は劉焉、北は韓遂から有形無形の圧力を受けているその地、この勢力。それを袁家が後ろ盾になるということをわかりやすく表明している。
 まあ、袁家の重要人物が負傷した時の備えという意味もある。なにせ、即死でなければどのような傷病であっても治してみせるという神仙の如き奇跡をもたらす、まさに神医なのだ。張魯も華佗も。
 
 「当然ですわ。二郎さんが陣頭指揮されてるのですもの」
 
 くすり、と艶然と笑みを浮かべる袁紹。その背には光輝すら幻視されるほど。
 
 「なるほど。二郎君は随分と信用されているようだ」
 
 あら。これは心外な、と袁紹は異を唱える。
 
 「信頼ですわよ?張魯さん」
 
 「これは一本取られましたな」
 
 ひとしきり笑みを漏らした後に、問う。
 
 「ここからが難しいところですな。諸侯はいずれも洛陽の財貨を当てにしているのでしょう。
 果たして、退けと言って退くものですかな?」
 
 常に強大な勢力に脅かされてきた張魯としては疑問を呈さざるをえない。なんとなれば、利害、利益というものは道理や倫理を軽く踏みつぶすものだからして。
 
 「郭嘉さん?」
 
 袁紹はくすり、と笑って傍らの軍師に答えさせる。
 
 「は。確かに諸侯軍は収まらないでしょう。ですが、それでも袁家軍と正面切ってまでの覚悟がある諸侯なぞおりません。
 いえ、この戦力差で暴発するような愚物があるのならばこの場で潰してしまうのが最善。
 そう、判断しております」
 
 そう言いながらも郭嘉がその動きを読めないでいるのが曹家と馬家である。
 前者はその計り知れない智謀において。後者はその果断なる蛮勇において、だ。もっとも、どのように動いても、必要とあらば叩き潰すだけの準備はしている。
 郭嘉としてみれば、いっそ諸侯とまとめて始末してもいいのではないかとも思うのではあるのではある。あるのではあるが、抵抗勢力、反抗勢力は顕在化させておいた方がいい、という張勲の言。それを紀霊が容れたことによって、心ならずも。この上なく不本意ではあるのだが、大鉈を振るう機会を逸してしまっている。
 
 それはいい。決まったことである。決まったことだ。
 与えられた条件下で最善を尽くすのが軍師の役目、とばかりに郭嘉は思考を切り替える。
 これより先において彼女の出番があるとすれば、最悪の事態が起こった時のみであろう。
 だが、そうはならない。その確信がある。なんとなれば。
 
 「曹家軍に動きあり!陣頭には夏候惇将軍!後詰に夏侯淵将軍!兵力は五百強!」
 
 やはり。状況を動かすのは曹家軍かと郭嘉は深く頷く。
 
 「郭嘉さん?」
 
 袁紹の問いにも臆することなく応える。何を畏れることがあろうか。なんとなれば郭嘉は、考えうる最良の一手を既に打ってある。
 
 「は。ご心配なく。
 なにせ、我が軍には一騎当千たる趙子龍がおります故に」
 
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