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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
- 504 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/23(水) 22:11:24.41 ID:zQGkHpbR0
- 「……始まったようだね」
風に乗って、喧噪――というには実態はもっと物騒なものだが――が耳に入る。
皇甫嵩は歩みを速める。起こっているであろう惨劇に巻き込まれてはたまらない。
向かう先は宮中の一角。かつて大将軍として辣腕を振るっていた、何進の別宅である。そこに、目的の人物はいた。
「ふむ、来客とは珍しい」
毛ほども動揺せずに華雄は皇甫嵩を迎える。
思えば軟禁生活も長いはずだ。だがその顔には生気――或いは覇気と言っていいもの――が満ちていて、流石の皇甫嵩が気圧されるほどである。
いや、だからこそだ。
だからこそ、このような逆境においても不屈。実に結構。もとよりその武。そして将としての才は確かなものである。あの馬家軍と遣り合って一歩も引かなかったのは――数の有利があったにせよ――伊達ではない。
「朝早くから済まないね。まだ寝ているかとも思っていたけども」
なにせまだ日が昇って間もない。軟禁生活であれば惰眠を貪(むさぼ)っていてもおかしくはない。
「フン、くだらん。あまり眠ると身体が鈍るからな」
事実、華雄はかつて何進に従っていた時と生活習慣を変えていない。そして覚醒しているその時間全てを鍛錬に費やしているのだ。
「まあ、元気そうで何よりさ。あ、これは差し入れってやつさ」
そう言って持参した酒を器に注ぐ。
なみなみと注がれたそれを華雄は一息で飲み干す。
「ふむ、五臓六腑に染み渡るとはこのことよな」
流石に軟禁生活で、酒なぞ呑めようはずもない。甘露とばかりに華雄はたちまち三度、杯を干す。
なに、毒ならば毒で構うものかとばかりに。
「して、今を時めく清流派の首魁が私に何の用だ」
「なに、簡単な話さ。
僕に従え、ということさ。
そうしたならば、君のこの境遇は終わる。
君の武は腐らせるには惜しい。あの何進すら信頼してその背を預けたんだ。
君も栄耀栄華の中枢にいたんだ。このままで終わるつもりはないだろう?」
にこり、と笑いながら空になった酒器に酒を注ぐ。それをまた一息に乾してなお、華雄は揺るがない。
「フン、口説き文句としては二流以下だな、皇甫嵩よ。
そして、貴様と心中する義理も義務もない」
その言に気を悪くした様子もなく皇甫嵩は言葉を続ける。
「そうでもないよ。割とね、あるさ。あるとも。
何進のような卑賤の輩が大将軍なぞという地位にあったのは間違いなく漢朝の汚点さ。
だが、それでも彼奴(きゃつ)は大したものさ。
今この漢朝が乱れているのは彼奴に飼い馴らされた官僚どもが、政権運営に協力していないというのが大きい」
皇甫嵩は肩をすくめる。
実際、やりにくいといったらないのだ。
「だから、君を従えるのには意味がある。何進の威を借るようで、腹立たしいがね。
政治という奴さ」
フン、と華雄は一つ鼻を鳴らす。
「知ったことか、と言いたいところだがな。私としてもこの状況は不本意極まりない。
まあ、それはそれとして、だ。
貴様が何をどうできるというのだ」
清流派とはいえ、実際権力なぞ何もないに等しい。だから自分にすら声をかけたのだろう、と華雄は指摘する。
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