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真・恋姫無双【凡将伝Re】4

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745 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/06(木) 22:54:20.37 ID:zEkwrGa/0
その言葉に楽進も于禁も大きく頷く。

「確かにそうなのー。沙和がいくら色々と意匠をこらしてもお針子さんがいなければ、それを縫えなければ意味はないのー」

デザインの革新的なその発想で于禁は母流龍九商会の服飾部で優遇されている。阿蘇阿蘇への掲載も多い。
だが、実際に型紙から縫製するのは無論于禁ではないのだ。

「せやねん。金型一つ作るんでも、部品同士のすり合わせするんでもな。これがうち一人やったら……一生終わらんわ。全身覆う板金鎧とかどんだけの部品いるねん!頭おかしいんちゃうか!ってな。」

ここで某青年の布石が活きる。
似非産業革命を目指した彼がもたらしたものはフォード式流れ作業的なものであった。一つの製品の工程を分解し、それ専門の工員を育成するという未来の発想。
無論、当初は「安かろう、悪かろう」だった製品も、だ。数年も経てば工員の習熟度でそれなりの品質になる。そう、工程が10あって習熟に20年かかるならば10の専門工員に任せれば2年で熟練工員の出来上がりだ。極論ではあるが。
……無論それほど単純なものではないが、規模は力である。そんな感じで母流龍九商会はこの時代ではありでないほどの生産効率を実現している。そこいらへんについては帳簿と戦いながら人員のバランス、習熟度。そして荒っぽい工員をまとめ上げた人物の貢献が大きい。いや、その人物がいなければここまではならなかった。一言で言うならば。

「張紘、パねェ」

まあ、そういうことである。

無論、現場を叱咤激励し、二徹三徹当たり前で陣頭指揮に当たっていた李典の功績も大きい。身を削るそれは自分の探究心もあるだろう。だが。

「ほんなこと言ってもな、二郎はんのためやもん」

その言葉に于禁は驚愕する。

「そらな、好き勝手に研究できるのは嬉しいし、楽しいで?でもな。やっぱ嬉しいのんは、うちらの考えた製品を、な?皆が使ってくれてたら、な?
それってとっても素敵やん?」

使われてナンボ。かつては諦めていたその思い。
そして舞い戻るのは。

「まあ、それもこれも二郎はんのおかげやねんけどな」

楽進はこの上なく理解している。彼の援助がなければ、細々と一点ものの自己満足の品を作るしかなかったであろうことを。

「そうだな。真桜の言うことはすごく分かる。私も、自分が考えた食材の組み合わせ。それが軍の献立に採用された時は本当にうれしかった」

大人数……軍規模のレシピは典韋の独壇場である。彼女はその腕前もさることながら、紀家軍秘伝のレシピを会得しているというのも大きい。
だが、いや、だからこそ。そこに一つでも足跡を残すことが出来た時、楽進は感涙にむせび泣いたものだ。これで意外と楽進は負けず嫌いなのだ。いや、向上心があると言った方がいいかもしれない。ちなみに某青年にはないものである。

「何より、二郎様の為になると確信できたからな!」

ドヤ顔の楽進に于禁は内心苦笑する。だって彼女は今現在彼氏募集中なのだからして。

「凪はほんまがんばっとったもんなあ。料理屋借り切っての味覚調査とか普通自腹でやらへんで?いやあ、愛やね、愛!」

「そ、そこまでするの?!」

応えるのは顔を真っ赤に染め上げた楽進である。

「そ、その、だ。なんだ。そう。少しでも、二郎様の負担が減れば、と思って、だ。
 いやほら、戦陣での食事は不味いというのが相場だろう?そしたら、二郎様の軍。そこのご飯が美味しかったら、少しでも士気が上がるかな、って思って、だ。無論、典韋殿がいるから最低限の味は保障されているけれども、それでも私も、だ」

「真桜ちゃん、沙和げっぷがでそうなのー」
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