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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
	- 760 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/15(土) 22:17:41.36 ID:JSqAUlv+0
-  ふむ、と韓浩は暫し考え込む。……このような見え透いた挑発に乗る韓浩ではない。気になるのはその目的は何か、だ。一体何から目を逸らさせたいのか。 
 全盛期から程遠いとは言え匈奴の戦力は侮りがたい。
 いや、それ以前に、だ。匈奴を討つに足る兵を与えたことはなかった。だというのに。七度に渡り討ち破るなぞ、白馬義従を公孫賛が率いても至難の業であろう。
 更に腹立たしいのは、だ。今はまだそのような余裕がないのだが、対匈奴の戦略もぶちこわしにされたということである。基本、いくつもある部族。そこで対立する部族に援助を与えて相争わせるという絵図が崩れてしまったことになる。援助が漢朝から行ったと分からないように、母流龍九商会から黒山賊を経由するという手間暇かけた計画がぶちこわしである。
 とは言え、まずは目の前の雑務に集中せねばなるまい。
 
 「匈奴の長。それを討つほどの戦力を預けた記憶はない」
 
 韓浩の言に諸葛亮はくすり、と笑う。
 
 その笑みに韓浩は特に感慨もなく思考を巡らす。
 軍権を自分の知らぬところで行使した?それはない。派兵には糧食、資金、武具が必要。その物資の動きは確認していない。圧倒的な書類の奔流においてもそれだけは見逃さない。他の政務が滞ってもそこだけは逃さない。
 民間の協力者?母流龍九商会や黒山賊が見逃すわけがない。
 
 「匈奴。埒外の蛮族と言えど、桃香様の大徳に触れ、感じるところがあったようです」
 
 「成程」
 
 つるんだか。そう韓浩は結論づける。七擒七放、なんとも華々しく盛ったことだ。おそらくは匈奴の有力部族に乗り込み口説き落としたのであろう。わざわざ討ち破った後に下したというのは、民に納得感を与えるためであろうか。
 そして、だ。匈奴を従えた声望も厄介だがそれよりも厄介なのは、匈奴の騎馬軍が劉備の影響下におかれたということである。
 
 「最早看過できない」
 
 韓浩は結論づける。ここでけじめをつけねばなるまい、と。そしてここまでの暴走を許したのは自分の失策でもある。とは言え。
 ちら、と周りを窺い、内心ため息を。
 恐らくここで劉備を捕縛、処断するにしろ配下が従わない可能性は大いにある。そうなれば主の権威までが貶められてしまうであろう。
 
 「韓浩さんはちょっと頭が固いかな、って思う。白蓮ちゃんと一度お話させてよ。そしたらきっと分かってくれるから。
 お話したら、きっと分かってくれるもん。だって私と白蓮ちゃんは親友なんだもん」
 
 その言に韓浩は戦慄する。いや、恐怖を感じたと言ってもいいかもしれない。劉備は本気でそう言っているのだ。そしてそうなると思っているのだ。
 いや、なるほど。あの青年が言い含めてきた懸念はこうか。このことか。
 精神を落ち着かせるのに数秒、意識を切り替えるのに数瞬。そして刹那にて覚悟を決める。
 
 「親友と言うが、非常に疑問を抱く。親友とは互恵関係にあるもの」
 
 脳裏に描くのは共に笑い、泣き、互いに尊敬しあい、助け合っていた梨園の兄弟たち。彼等の在り様こそが正しく親友というものではないかと韓浩は思うのだ。
 
 「貴女は一方的に主に頼り、奪うだけ。人、それを寄生虫と言う」
 
 ちら、と後ろに付き従う関羽に視線をやる。気まずげに眼を逸らすその様子。なるほど、と。確か彼女は劉備に盲目的な忠誠を誓っていたはず。そこに楔を打ち込んだのはきっと彼だろう。
 なれば、やることは決まった。
 
 「違うよ!私だって白蓮ちゃんにいっぱい恩返ししてるもん!私はそんなに優秀じゃないけど、朱里ちゃんや雛里ちゃんはとってもすごいし、鈴々ちゃんや愛紗ちゃんだってすごいんだから!」
 
 この人は本気でそう思っているのだろうな、と韓浩は思う。
 
 「貴女は主の部下。忠誠を尽くすのは当然。勘違いも甚だしい」
 
 きっと自分の言葉は彼女に届かない。そして、彼女の大徳とやらは凄まじく場を支配している。兵に捕縛を命じても動かない公算は高い。いや、この場に伏流鳳雛がいるということはもはや流れは決まっているのだろう。
 だが、そうはさせない。させてなるものか。
 
 「劉備、貴女は生まれてくるべきではなかった。貴女は争いと災厄を撒き散らす。
 そのような貴方を親友と錯覚しているのが主の不幸。その幻想、この手で打ち砕かせてもらう」
 
 ちゃきり、と音を立てて韓浩は腰にあった剣を抜き放つ。この場で佩刀しているのは韓浩のみで。
 
 「貴様っ!やらせはしない!」
 
 徒手空拳であろうとも関羽の武威に疑いの余地はない。韓浩が武装していても届くわけもない。それは確定的に明らかなこと。
 劉備の前に立ちはだかる関羽に一瞥。そして韓浩の口元は僅かに緩んでいた。
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