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真・恋姫無双【凡将伝Re】4

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885 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/18(月) 21:38:29.85 ID:IXgTn2v80
◆◆◆

 さて、使者として全権委任を受けた鳳統は、袁家特有の盥回しの上で目的とされる人物との面会を果たしていた。

「おやおや。残念ですねえ。韓浩さんの立案した演習案。その前半は果たされました。
ですが後半がその要件を満たしていません。なんせ、守護すべき要人の到着が遅れていましてね」

激しく計画の実施を求めた鳳統。それににこやかに応えたのは沮授である。
所詮田豊の尻尾である。公孫の軍権の引き渡しを求めたのだが。

「いやですねえ。貴女、公孫の軍権、関わりないでしょう?
ここは公孫賛殿からの正式な命令書を待たないと色々不味いですよねえ」

にこやかに応えるその表情が憎らしい。
一万もの騎兵。滞在費用についても申し訳ないと言っても。

「ああ、そんなことですか。いや、正直彼らには我が軍の演習にご協力いただいてましてね。いやあ、流石は匈奴と渡り合った騎兵とばかりに勉強させてもらってますよ。
 え?摩擦?いやですねえ。二郎君が発案、実施した統合整備計画の折に、随分公孫軍とは連携しましたからね。
それに、中級指揮官は公孫にお世話になった者が結構いますから」

最前線で漢朝を守護する防人。勉強させてもらっていますよと爽やかに笑い沮授はその場を後にする。
彼にとっては鳳統の相手なぞ児戯に等しい。何となれば沮授は伏魔殿たる袁家中枢で長年過ごしてきたのだ。それも、あの「不敗の」田豊の愛弟子として。そして紀霊の義兄弟として、だ。いずれか一つでさえ受ける逆風がどれだけのものか。
にこやかにそれを。一度の弱音も吐かずに。そして比較にならぬほどに逆風を受ける彼を守るために、どれだけの研鑽を重ねたろうか。
正しく沮授は田豊の一番弟子であり、紀霊の義兄弟であった。
そして田豊と麹義。偉大なる先達が隠居したままに沈黙を続けるのも沮授の差配。

「これは大したことではないのです。反董卓連合に於いて現役復帰されたお二方が隠居なさる。つまりそれだけ此度のことは些事。
そしてなにかあればお二方がいる。民心安らかになるこれ以上のことありましょうか」

幼くして田豊にその才を見いだされたその才。単身で劉備の動きを把握し備える。やがて来るであろう戦乱を見据えて。
そして、沮授はこれ以前も以降も、衆人の前で涼やかな笑みを絶やすことはなかったのだ。

――そして白馬義従。公孫の騎兵は正しき主に率いられることになるのであるが、それはまた別の話である。
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