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真・恋姫無双【凡将伝Re】4

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901 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/22(金) 22:15:22.79 ID:58OUfgWf0
 呆れ気味に問う張勲に程立は笑みを深める。

「それはもちろん、ご相談ですよ〜」

「へえ?」

 仕切り直し、とばかりに表情を改める張勲に程立は笑みを深める。

「そですね。ざっくりと中華の行く末についてのご相談というか。と言いますか。
つまり、わるだくみのご相談です〜」

「へえ……」

 まさかの言に張勲の目が細まる。程立の言が何を指しているか、こちらに何を求めるのか。
 常のお気楽な表情そのままに、絡新婦はその糸を張り巡らす。

「おお、こわいこわい。そのように警戒されるのも無理なきことですけどね〜。
 むしろそれくらいでないとご一緒する気にもなりませんし〜」

 茫洋とした表情はそのままに笑みを深める程立。

「まあ、ぶっちゃけた話をしますと。色々とお手を借りたいのですね。
 なにせあちらには伝手がないに等しいもので」

「あちら、というと……。
 ああ、やらかした彼奴らのことですか。
 こちらもそこまで入り込んではいませんよ?」

 やんわりと拒絶の意を出そうとした張勲だが、程立はそれを無視する。

「いいえ、これから無駄になるのですよ。下手に触れたら焼け落ちる。そういう相手です〜。
 洛陽でご経験になった逆風。それがより激しくなって既存の網すら役立たずになる。
 いえ、裏返る可能性すらありますし〜」

 ぴくり、と張勲の眉がひそめられる。
 洛陽にて、何進の支配にくさびを打つこともできずあったのは苦く、近しい記憶である。それが更に深まるとは。

「へえ、色々とお詳しいようで……」

 その言はある意味白旗に等しい。だが、意地や誇りを張る場面ではないという張勲の判断であり、それは極めて実務家のものであった。
 そしてその判断は程立と相性がいいものである。これは純然に偶然でしかないのであるが、幸運なことであった。或いは不幸なことであった。
 その心根はまだ歩み寄りのきっかけを得ただけでしかない。だが、彼女らの陰謀、悪意、執念は捻れ、絡み合い、鮮やかな紋様を描くことになる。

「ですから、燃やしちゃえばいいと思うのですよ〜」
「おやおや、強引なことで。ですが無駄になるよりはいいかもしれませんね」

 くすくすと、くふふと、不穏な笑みは重なり深まる。そして絵図を描く。描いていく。
 馴れ合うのではなく、利用し合う。その理解は相互に共通しており、共犯を誓う。
 そして、彼女らの連携を知る者はいない。
 あえて政敵として対立することもなく、友として交流することもなく。
 無関係を貫く両者の思惑はこれ以後少なくない影響を与えることになる。
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