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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
- 942 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/27(月) 21:10:17.64 ID:+NPOZYks0
- 「それだと俺がこう、だな。
地位を利用して馬家の姫たる蒲公英を手籠めにした糞野郎になりませんかねえ」
にこりとほほえみ、数秒沈黙。
「まあ、悪名の一つや二つ、今更じゃないですか?ほら二郎さんが女性にだらしないってのは、ほんとだしー。
よっ!この好色一代男!もげたらいいよと思われてしまえー!」
フォローないんかい!
「もげてしまったら困る方が続出してしまうのですが、それもやむなしですね〜」
ふ、風よお前もか。
「ま、世間的な体面とかはおいといて、です。中々に妙手ではないかと思うのですよ〜。
実際馬岱さんや馬家軍の皆さんが参軍するとしてですよ。
当然風当りはかなーり強いでしょう。
疑念の目を向けられることもあるでしょうし、むしろ何らかの害が与えられる可能性も大いにあります」
ふむ、と考え込む。蒲公英を守るためにも意味があるということか。
「つまり、だ。俺の庇護下にあるいうこと。これを示す。
それには最上、ということか」
「そですよ〜。
例え馬岱さんの首級で馬家軍の皆さんを許したとしてです。
当の馬岱さんはともかくとしてですが、馬家軍の将兵の皆さんから感謝されるかというと……。
そうではないでしょね〜」
けらけら、と明るく七乃が笑って。
「そんな馬家軍の将兵をあの韓遂さんが掌握するとか。
長安陥落くらいまでは覚悟しとかないといけないでしょう
いや、もっと迫られるかな?」
ふむ、と考え込む七乃である。
数瞬の真剣な表情に背筋が寒くなる。その仮定がむしろ来たるべき運命(ミゼラブルフェイト)のような。
「しかしなあ、弱みに付け込んでどうこうするってのはちょっと……」
七乃は俺の言葉に失笑。そして後ろから抱きついたままで今度は俺の耳をがじり、と齧って。
ああ、と思いついたように笑う。
「ご自分からは言い出しにくいということですね?ご安心くださいな。
既にお姫様はご納得してますから。今は湯で身を清めているころですかねえ。
――無理を通すのが二郎さんのお仕事。そして道理を整えるのが私たちのお仕事でしょう?
いったい何を躊躇ってるんですか?」
真正面に回り込んだ七乃の笑みが、俺を刺す。
産まれたその時から袁家の闇に染まり、その闇を手繰ってきた彼女の言。
伝わる蒲公英の覚悟。
そして風が俺の背を押す。軽やかに、それでいてどこか真摯に。
「馬岱さんを助けたい。馬家軍も助けたい。更に涼州の安定も失いたくない。
その利があって尚、躊躇う。
そうすると、です。どれだけ自分に魅力がないかと思う人が出てくると思うのですよ」
蒲公英のこと、か……。
まあ、確かに蒲公英には失礼な話だよな……。
「まあまあ、後は当事者同士にお任せするとしましょう」
ぱん、と七乃が一つ手を打ち鳴らすとどこからか女官が出てきてあれよあれよと言う間に俺を誘導していく。お気張りくださいな、なんて声を受けながら通された室。
薄明りくらいの照明が入ったそこには、どこか不安げな目をした蒲公英がいた。
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