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真・恋姫無双【凡将伝Re】4

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969 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/17(月) 21:11:57.10 ID:4lqDpJYF0
「凄いな……」

積み上げられた食糧の山に北郷一刀は感嘆の息を漏らす。見渡す限り物資の山、である。しかもこれは多数ある物資貯蔵庫の一つでしかないのだ。

「はい。百万の兵を百年養うだけの食糧があります」

襄平だけで、である。

「あるところにはある、か……」

嘆息する。一体、義勇軍当時の切迫した食糧事情とはなんだったのだろうか、と思う。

「食糧だけではありません。武器、防具、それに金銭……。
膨大な量が確認されています」

ぺらり、と資料をめくりながら諸葛亮は応える。

「袁家の財、恐るべしというか、もうなにがなんだか分からないな」

たはは、と言った風に北郷一刀は苦笑する。規模が膨大過ぎて実感がわかないというのが実際のところである。
そんな北郷一刀に諸葛亮は苦笑する。

「ええ、ですが。幽州のみでこれなのです。積み上げた袁家の財貨。敵に回すとなると……」

内心で諸葛亮は舌打ちする。まさかこれほどの蓄財があるとは思っていなかった。
流石常備軍を数万単位で運用できるはずだ。
いや、にしてもこれは想定外にもほどがある。
これほどの蓄財を、戦乱を経て可能にした袁家。その脅威に諸葛亮は内心舌打ちを重ねる。

「そっか、そうだな。ちょっと浮かれてた。ごめんな、朱里。引き締めてくれてありがとな」

「はわわ……」

先ほどまでの懊悩もどこへやら。諸葛亮は頬が上気するのを自覚する。
そして撫でられたところからじわり、と幸せな熱が広がっていくのも。恍惚感で思考が麻痺していくのをぷるぷる、と頭を振って防ぐ。

「お昼からの会議ですが、事前にご主人様にはご報告いたします」

劉備はともかく、実質的な組織のトップである北郷一刀が色々な報告に一喜一憂するのは好ましくない。
泰然と、悠然と、どっしりと構えていてくれないと困るのである。

「お、なんかあったのか?」

「はい。まずはよい報せからです。ご主人様の呼びかけに翠さんが応じてくれました。
州牧の地位を投げ打って此方に合流してくれるとのことです」

「翠が、か!いや、持つべきものは、だな!」

北郷一刀の声に諸葛亮は深く頷く。馬超が出奔したというのは実に大きい。
州僕という漢朝で十三席しかないその席を蹴ってまで動いたのだ。これにより蜀はその影響力を内外に示すことができた。馬超の動きなくしては多方面への呼びかけも所詮は絵空事であったのだ。
それが、だ。涼州の韓遂、益州の劉焉と劉表。荊州の孫家に洛陽の曹家。
さらには黒山賊や東方の諸侯。それらの動きに備えなければならなくなるのだ。
いかに諸葛亮と鳳統の神算鬼謀あろうとも圧倒的な大軍を前にしては勝機も薄くなるというものである。
贅沢を言えば、涼州まるまる手にしたかったものだが。
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