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真・恋姫無双【凡将伝Re】4

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970 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/17(月) 21:12:23.28 ID:4lqDpJYF0
「更に行方不明だった恋さんも此方に向かっているそうです」

万夫不当。単騎で三万の軍を撃退したという呂布の武、そして騎兵を手足のように操る将才――実際に指揮を執っているのは陳宮なのだが――。
飛将軍の武名は中華最大なのである。

「恋か!いや、久しぶりだなあ。ねねやセキトも元気だといいなあ」

なにせ呂布だ。北郷一刀は満足げな笑みを深める。そう、呂布なのだからして。

「……黒山賊とは相互不可侵、限定的な戦力の貸与、情報交換で合意できそうです」

兵力的には最大の勢力が黒山賊である。五万とも、十万とも言うその兵力。
そして、そもそも黒山賊と紀霊は不倶戴天の仇敵である。漢朝で紀霊の影響力が大きくなる一方の現状が好ましくないのは分かっていた。まあ、妥当な線であろうと諸葛亮は思う。
ここまでの情勢、非常に順調である。そう、順調なのだ。
だが、一手足りない。あと一手足りないのだ。
諸葛亮からしたら、あと僅か一手足りない。
例えば、孫家の当主が孫策であればこれを好機として大いに盤上をかき乱すことができただろう。
例えば、曹操が州牧や太守として地方に在ったならばこの状況を利用してのし上がることを使嗾すらできただろう。
そして、例えば劉焉が益州の州牧であれば、荊州や漢中を分捕りに出たであろう。その、一手さえあれば、と内心歯噛みする。

「そか、結構順調だな。これも朱里や雛里が頑張ってくれたからだな。ありがとうな」

「はわわ……」

きゅ、と抱きしめられて諸葛亮は恍惚とする。このまま耽溺したいが、報告はまだ終わってはいない。

「ご、ご主人様、いけません……。まだご報告がおわってましぇん……」

「朱里はかわいいなあ。そんなに肩肘はらなくてもいいんだぞ?」

「わ、わたしたち蜀は朝敵として討伐されるとのことでしゅ……」

うっとりとその温かさに身を委ねながらも諸葛亮は義務を果たそうとする。

「朝敵?今更って感じだけどなあ……」

それがどうしたと言わんばかりの北郷一刀の剛毅な声。
それに再び諸葛亮はうっとりとしそうな自ら。それに喝を入れながら続けて報告する。

「と、討伐軍が組織されます。総大将は紀霊」

その名前にぴくり、と北郷一刀は反応する。

「あいつ、か」

厳しい表情もご主人さまは素敵だなあ、などと思いながら諸葛亮は報告を続ける。

「はわわ……。はい。大きく五つの軍団にて編成され、その将を五虎将と称しています。
紀霊本人は征夷大将軍として討伐軍の全権を握っているとのことです。
北伐として陳琳が出師の表なんてもので上奏したそうです……が?」

どうされました?との言葉すら吐けない。
どんな時も悠然としていた自らの主が、その顔色を蒼白にしているのだ。
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