【たぬき】小日向美穂「令和狸合戦ぽんぽこひなた 〜さらわれたPさんを追え〜」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/13(水) 12:22:50.55 ID:0XqiZpEKO
待ってますよ〜
155 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 01:13:17.00 ID:s6d7o79R0

   ◆◆◆◆


 それからまた、しばらく歩いた。
 相変わらず先行きの見えない道のりだが、さっきまでより気は楽だった。

「卯月、大丈夫か? きつくなったら言うんだぞ」
「は、はいっ」

 慣れない山歩き、それも胡散臭い化け山となれば何が起こるかわからない。
 何かあった時に身を挺してでも守れるよう、常に卯月の前を歩いていなくては。


 〜しばらくして〜


「ヴッ、卯月……ま、待って……ヴォエッ……も、き、キツい……」
「えぇっ!? も、もうですか!?」

 そりゃそうである。相手はピチピチのJK、しかも日々のレッスンと長時間のライブもこなす現役バリバリアイドル。
 対するこっちは運動不足気味のおっさんだ。体力の差は歴然というもの。
 にしてもペースめっちゃ早いこの子……。

156 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 01:16:54.16 ID:s6d7o79R0

 なんやかんやで卯月に待ってもらいながら、ほうほうのていで進む成人男性。情けないことこの上ない。
 卯月は月明かりの下をさくさく歩きながら、ふと、お腹を気にしていた。

「どうした? 腹が痛むのか?」
「あっ、いえ、そういうわけじゃないんですけど……」
「無理はするなよ。……って俺が言うのもなんだけど。何かあったらすぐに言ってくれ」
「ほんとに大丈夫ですっ。島村卯月、がんばりま」


 ぐぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜っ。


「…………」
「…………」
「…………腹減ってんの?」
「…………あ、あの、えと……えへへ……はい」

157 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 01:18:15.21 ID:s6d7o79R0

 聞けば朝からほとんど何も食っていないらしい。
 俺を探しに外へ出て、美穂や響子ともどもたぬきに拉致られ、それっきりだと。

 うーむ……なんとかしてやりたいが、こっちは手ぶらだ。
 ついさっき大きなおにぎりを腹いっぱい食べたのが申し訳なくなってくる。
 とにもかくにも、一刻も早くこの謎の偽山を脱するのが先決だとは思うが……。

「歩けそうか? 無理なら俺が背負っていくぞ」
「大丈夫ですっ。美穂ちゃんと響子ちゃんを見つけるまで、休んでなんて……


 ――?


 今、何か。
 これは……匂い……か?

「……おいしそうな匂いがしますね……?」
「あ、ああ……料理だな。どこかに食事できるところがあるのか?」
「で、でもっ、ここってたぬきさんのお山なんですよね?」
「そうだな。もしかしたら何かの罠ってこともあるかもしれない」
「そ、そふ、でふよね。なにがあるかわからな、ずびじゅる」
「ヨダレ出てるヨダレ」
「あぇっ!? ご、ごめんなひゃい私ったら!」

158 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 01:20:23.48 ID:s6d7o79R0

 ……う〜〜む。

「……一応、見るだけ見に行ってみるか?」
「! は、はいっ! そうですよねっ何かの手掛かりかもしれませんしっ!」

 ぱぁぁ、と輝く卯月の瞳。素直な子だなぁ。
 どのみち、このまま何も無いところを闇雲に歩くよりは、目標があった方がいいというもの。
 何より腹を空かせた卯月に我慢を強いるわけにもいかない。

 そして俺たちは、匂いを辿って木々の間を抜け……


「あ、あれ! あの建物じゃありませんか!?」
「そうっぽいな。あれは……妖怪たちが行列を作ってる……?」
「人気のお店なんでしょうか……?」
「こんなところで人気ってのもおかしい話だが……おっ看板が見えたぞ。なになに……」

159 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 01:21:28.03 ID:s6d7o79R0



 ――『お食事処いがらし』。



 ……………………。


「…………『お食事処いがらし』って何?」
「な、なんでしょう……???」

160 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 01:22:19.12 ID:s6d7o79R0


「――いらっしゃいませー!」


 !!


「こ、この声……響子ちゃん!?」
「店の中からだな! いがらしってことは、やっぱり響子の店なのか……!?」

 なんでこんなとこで店なんか開いてるんだ!?

 ともあれ行くしかない。俺と卯月は頷きあい、『お食事処いがらし』へと飛び込んでいくのだった。

161 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 01:23:49.59 ID:s6d7o79R0

   ○


 ガララッ!!


P「響子!」

卯月「響子ちゃん!?」


響子「いらっしゃ……あっ!!」


P「響子! 良かった、無事で……!」

卯月「怪我はありませんか!?」

響子「わぁ……卯月ちゃん……!!」パァァ

卯月「えっ」


響子「卯月ちゃん久しぶりっ! 来てくれて嬉しいです!!」ガシッ

162 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 01:24:27.46 ID:s6d7o79R0


卯月「え、ひさ? え?」

P「???」

響子「今日はどうしてここに? お仕事で近くに寄ったんですか? それとも、私たちに会いに?」

響子「あっ、ちょっと待っててねっ。子供を呼んできますから! おーいっ! 卯月ちゃんが遊びに来てくれたよーっ!!」

卯月「え、え、え? ちょっ、なんですか? こ、子供? 誰の?」

P「ちょ、ちょっと待ってくれ響子、どういうことか全然わからん。一体何を言って――」

響子「あっ、やっと帰ってきた! もう――」


響子「遅いですよっ。どこで寄り道してたんですか、あなたっ?」プンプン


P「」

卯月「」

P「」

卯月「」

163 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 01:25:11.35 ID:s6d7o79R0

P「…………ごめん、なんて?」

響子「なんて、も何もありますかっ。早くお仕事に戻ってください!」

響子「あ、まさか昔みたいに女の子をスカウトしようとしてたんですか? だめですよ、もうプロデューサーじゃないんですから!」

P「あのう、響子さん」

響子「はい? なんです、改まって?」

P「俺とあなたは、つまりどのような関係にあるとお考えで……?」

響子「どういうも、こういうも……。もう結婚して10年になるでしょ?」


卯月「そうだったんですか!!!!???」

P「違うからね!!!!???」

164 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 01:25:56.06 ID:s6d7o79R0

響子「あれ? え? でも私、ずっと前にPさんと結婚して……」グルグル

響子「それで、2人でこのお店を開いて……」グルグルグル

響子「5人の子供に恵まれて、みんなで助け合って幸せに暮らしていたりいなかったり……」グルグルグルグル


P「か、完全に化かされとる!!!」

卯月(子供産まれるペースが凄い……)

P「響子! 目を覚ましてくれ! お前はまだ15歳でアイドルで健全でみんなの寮母さんなんだ!!」(※寮母さんではありません)

響子「あぁあぁあぁ?? あれぇ……? およめさん? ごりょーしんにあいさつ? けっこんしき? しんこんりょこう……???」

P「響子ーっ!?」

響子「あははうふふ、えへへそんなぁ……ママドルだなんてぇ……♡」


卯月「――プロデューサーさん、下がっていてください。かくなる上は……」

P「えっ何?」

165 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 01:26:28.10 ID:s6d7o79R0


卯月「ピンクチェックちょっぷ!!」シュバッ

響子「あうっ」ペチコーンッ

P「何その技!!?」



響子「あたた……あれ? 卯月ちゃん? プロデューサーさん……?」

卯月「良かった! 目が覚めたんですねっ」

P「ねえさっきの技何……?」


響子「あっ……ぷ、プロデューサーさん! 無事だったんですね! あれ? 美穂ちゃんは?」

卯月「かくかくしかじかで、こういうことなんです。あとは美穂ちゃんを探さなきゃ!」

響子「なるほど……! じゃあ、急がなきゃ!」

P「さっきの……まあいいかこの際なんでも! 行こう!!」

166 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 01:27:46.02 ID:s6d7o79R0

   ○


 響子が正気に戻るやいなや、『お食事処いがらし』は客の妖怪ごとポンッと消えてなくなった。
 俺達は美穂を探して走る走る――

 途中、立ちはだかる妖怪たち。だが止まっていられるわけもなく、

「ああっと指が取れちゃったー!!」
『!?!?!?!?!?!?』

 ポポポポポポポポーンッ!!

 なんか出来の悪いなろう小説みたいになってきたな。
 指取れトリックで片っ端から蹴散らして、進んでいくうちに――


 ぐにゃんっ!!!

167 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 01:28:35.45 ID:s6d7o79R0


「おわ!?」
「きゃあっ!?」
「ひゃ……っ!?」
 
 いきなり、地面が大きく波打った。
 地震とかそういうのともまた違う。山全体がスライムにでもなったかのような、普通ありえない変化だ。

「2人とも、俺から離れるなよ!!」


 お互いに庇い合いながら、大きな地面のうねりに呑まれる。
 そのまま気が遠くなり、天地が逆さまになったような感覚があって――

168 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 01:29:45.29 ID:s6d7o79R0

   ○


 気が付けば、雲ひとつ無い真昼の原っぱ。もう月も森も無い、開けた空間に倒れていた。

「いてて……卯月、美穂、大丈夫か?」
「は、はい、なんとか……」
「ここは……?」

 お互い怪我が無いことを確かめて、辺りを見渡す。
 山は消えた。日常風景だ。
 これ以上、変わったことは何も無いようだが――


「ぽこっ!」
「ぽこーーーっ!!」


 !?

169 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 01:31:09.19 ID:s6d7o79R0

 青空の下、二つの小さな毛玉が、もふもふころころ揉み合っている。
 あの見覚えのある毛並みと、更にそれより一回り小さい毛玉は……!

「美穂! 薫ちゃん!!」

 2人が戦っているのだ。黙ってはいられない。
 止めなくては――その一心で駆け出して、ほとんど何も考えず間に入っていた。

「あっ!」
「プロデューサーさっ……!」

 卯月と響子の声ももはや遠い。
 当然、若きたぬきは急には止まれず――

「ぽこっ……!?」
「ぽこ!!?」


 ぷ に っ っ …………

170 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 01:31:47.78 ID:s6d7o79R0


 あっ……右の頬に肉球、左の頬にも肉球……っっ。


「あふぅん」

 ぱたり。


「せんせぇ!?」
「プロデューサーさんっ!!」

 ポンッ!!

 瞬時に肉球ぷにぷに天国へといざなわれ、崩れ落ちる俺。
 そこへ人間の姿になった美穂と薫ちゃんが駆け寄ってくるのが見える。

 ともあれ、良かった。二人が戦いを中断してくれて……。

 言い知れぬ安堵とぷにぷに余韻に包まれながら、俺の意識は闇に飲まれた。

171 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2020/06/02(火) 01:33:33.30 ID:s6d7o79R0
一旦切ります。
ようやく美穂がお話に戻ってきたわけですが……(白目)

次回は明日更新できると思います。すみませんが今しばらくお付き合いください。
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/02(火) 02:20:00.44 ID:dhXRvyzDO
168で響子が美穂になってるような
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/02(火) 03:32:53.07 ID:zrD0LFQT0
乙でした
ピンキーキュートで習った技だから響子は知らなかったのかw
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/02(火) 12:57:43.28 ID:AuDHTPc4O
ほぼ休みなしで10年間産み続けるとかやばくない?
175 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2020/06/02(火) 23:16:43.62 ID:s6d7o79R0
>>172
すみません誤字でした。こちら

「いてて……卯月、響子、大丈夫か?」

が正しいですね
176 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 23:24:02.70 ID:s6d7o79R0

  ◆◆◆◆

 〜久万山たぬき村 講堂〜


龍崎父「――なるほど。話は聞かせていただいた」

P「はい」

卯月(両方のほっぺに肉球の跡が……)

響子(かわいい……)

龍崎父「そちらは――熊本の、小日向一族のたぬきですな」

龍崎父「未熟であったとはいえ、薫の偽山を破るとは。並のたぬきではない。いやはや大したものです」

美穂「………………」ムーッ

P「……美穂、美穂。ちょっと苦しい」

P「大丈夫だ。相手は、すぐにこっちをどうこうしようって手合いじゃないから」

美穂「で、でも……」チラッ


薫「う〜……」ガルル

美穂「むむ〜……」


卯月(二人ともプロデューサーさんの両腕にくっついてる……)

響子(かわいい……)

177 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 23:28:22.32 ID:s6d7o79R0

龍崎父「しかしながら、こちらも既にご説明申し上げたように、婿殿を当村にお迎えする用意があります」

美穂「か、勝手に決めるなんて酷すぎますっ! こういうのって2人の気持ちが大事なんでしょう!?」

龍崎父「薫の気持ちでしたら、ご覧の通りです」

薫「せんせぇとケッコンするもん……」ムーッ

龍崎父「更に言えば、これはもう決定事項。村で決めたことゆえ、婿殿がどうお考えなのかも、極論すれば無関係なのですな」

美穂「そんなっ横暴ですっ! 人のやることとは思えません!!」

龍崎父「たぬきなので」

美穂「そうでした!!」ポコーッ


龍崎父「そういうわけで、お三方にはお引き取り願いたい」

龍崎父「今後我が娘の婚姻に手を出さないとお約束いただければ、危害は加えません。麓までも送りましょう」

龍崎父「なにも取って食おうというわけではないのです。……いかがですかな?」

美穂「そんなこと……!」


卯月「――いいえ。プロデューサーさんは、薫ちゃんとは結婚できません」ズイッ

178 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 23:30:07.99 ID:s6d7o79R0

美穂「う、卯月ちゃん?」

卯月「確かにお話はわかりました。けどプロデューサーさんには、そうできない理由があるんです……!」

龍崎父「ほう。その理由……とは?」

卯月「それは……」

響子「ごくっ……」

美穂「どきどき……」

薫「……?」

P「……??」



卯月「プロデューサーさんは……もう結婚してるからです!!!!!」ババァァーーーンッッ


179 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 23:30:50.41 ID:s6d7o79R0

美穂「え、えぇーーーーーーっ!!?」ガビーーン

薫「そうなのーーーーーーーっ!!?」ガガビーーーン

P「なんだってぇぇーーーーーーっ!!?」ガビガビガビーーーーン

龍崎父「ほう」

美穂「ちょっちょっちょ、ちょっと待ってください話し合いますからっ!!」


美穂「ちょ、うづ、卯月ちゃん……っ!?」ヒソヒソ

卯月「嘘ですっ!」ブイッ

美穂「あ、そうなんだ良かっ……じゃなくて! どうしてそんな嘘……!?」ヒソヒソ

卯月「聞いて美穂ちゃん。たぶんこのままだと、たぬきさん達はプロデューサーさんを返してくれないと思うんです」ヒソヒソ

響子「な……なるほど! それなら、もう既婚者ですってことにして、諦めさせるんですねっ」ヒソヒソ

卯月「うん! 響子ちゃんが教えてくれたんですよっ♪」

響子「私が? え、私何かしましたっけ……?」

卯月「えっと……とにかく教えてくれたからっ♪」ブイッ

響子「???」

180 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 23:31:50.03 ID:s6d7o79R0

美穂「じゃあとにかく、その設定で進めればいいんだね……!」

卯月「うん! そうすれば、きっと諦めてくれるはず……!」

響子「それしかありませんね……!」


卯月「P.C.S……!」ピシ

美穂「だ、団結……!」ガシ

響子「いぇーい……っ!」グッグッ



美穂「プロデューサーさんっ! 実は話が……!」ヒソヒソ

P「ああ、みんなで口裏を合わせて俺が既婚者だってことにすれば向こうさんも諦めてくれるってことだな?」ヒソヒソ

美穂「そうなんですけど察しがよすぎますね!?」ヒソヒソ

P「これでも何度となくスチャラカ事態に巻き込まれた身だぞ。それに、なんとなく俺もそれしかないような気はしてた」

P「すまない、合わせてくれ。行くぞ……!」

美穂「はい……!」

181 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 23:34:40.90 ID:s6d7o79R0

P「そう、実は俺はもう結婚していたのでしたーわははー!」

薫「せ、せんせぇがケッコン……おくさんいるんだ……」ガーン

龍崎父「ふむ」

美穂「も、もう奥さんいるんだから、不倫ってことになっちゃいますよねーそうなりますよねー!」

龍崎父「ほう」

龍崎父「して、奥方はいずこに?」

P・美穂「うっっ」


P「ま、まあそれはその、ここ出張先なので、すぐには、な?」

美穂「ね、ねぇ? だってほら、し、仕方ないっていうかっ」

龍崎父「……」ジー

P(どうする? 思いっきり証拠を見せろって顔してるぞ……!)

美穂(ででで、電話するとか、それでなんとか話を合わせてもらって……!)

182 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 23:36:50.92 ID:s6d7o79R0

P(けど打ち合わせする時間も無いし、だいいち誰に……!)


   テレレーレレーテッテッテレー テレレーレレーテッテッテレー


         楓さん

   ちひろさん     茄子さん


P(……誰を選んでもろくなことになる気がしねぇ!!)ババ-ンッ


(※建前上、「そういうことで通じそうな成人女性」のみが選択肢に上がります)


龍崎父「よもやとは思いますが、その場しのぎの嘘を――」

P「ま、まさか!!」

美穂「う、卯月ちゃん、響子ちゃん、どうし――」

183 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 23:40:25.87 ID:s6d7o79R0


卯月「ぱぱー♡ ばぶばぶーっ♡♡」ダァダァー


P「卯月が俺の娘に!!?」

美穂「しかもだいぶ幼い設定!!」

P「これは流石に……なあ、響子――」


響子「はいっ、なんですかお兄ちゃんっ♪♪」ジャジャーン


P「そっちは妹かい!!!」

美穂「しかもノリノリです!!!」

美穂「ま、待って!? それじゃその、えと、奥さんって……!!」


卯月(ジー)

響子(ジー)


美穂「わ、私ぃっ!?」

184 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 23:43:37.71 ID:s6d7o79R0

美穂「ちょちょちょちょっと待って、もう一回考えよう!? ちゃんと設定から――」

響子「お義姉ちゃーんっ♪」ダキッ

卯月「ままーっ♡」ムギュ

美穂「あうあーっ!?」


美穂「……い、イイかも……」ポワポワ


P「ああっ美穂がやられた!!」


龍崎父「」

薫「」

たぬき達「」

185 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 23:45:57.08 ID:s6d7o79R0

P「いや、これはですね、つまり……」


卯月「ぱぱーっ♡♡」スリスリー

響子「お兄ちゃーんっ♪♪」ダキー

美穂「あ、あ、あ、」

美穂「あ…………あなたーっ!」ムギュー

P「グワーーーーッッ♡♡♡♡」


P「そういうことなんですよ(即堕ち)」

卯月「ぱぱはわたさないばぶー」

響子「お兄ちゃんは私達と一緒に東京に帰るんですっ」

美穂「だ、だだ、だだゃだン旦那さまは、わたわたたわたひの、わたしとけっこんしてるのでーっ!?!?!?(ヤケクソ)」

P「おおよしよしマイドーターマイシスターそしてマイワイフ(ヤケクソ)」

186 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 23:50:21.00 ID:s6d7o79R0


龍崎父「ふ〜〜〜〜む…………」


龍崎父「そういうことなら仕方ありませんなぁ」


P(話早っ)


龍崎父「しかし……事をこのように運んだ以上、我々にも面子というものがありましてな」

龍崎父「そして、うちの薫が聞き分けよく諦めてくれるかどうか、という話でもあります」

薫「うぅ゛〜〜〜〜〜〜……!」ナミダメ

P(……!)

P(そ、そうか……この場を逃れるためとはいえ、薫ちゃんを傷付けることになってしまっていた……)

龍崎父「どうだ、薫? 婿殿を東京へ返すか?」

薫「やだっ! やーだーっ!!」ブンブン

龍崎父「しかしながら、幸せな家庭を壊すのはわしらとしても本意ではございませんでな」

187 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 23:56:02.50 ID:s6d7o79R0

龍崎父「そこで提案なのですが……いっそのこと、ご家族全員でここに住むのはいかがでしょう?」


P「ぜ?」

美穂「ん?」

卯月「い?」

響子「ん?」


龍崎父「なに簡単な話です。薫の婿となるに当たり、そちらの奥方を捨てよとは申しません。一緒に来ればよろしい」

龍崎父「婿殿はいずれ四国のたぬきを背負って立っていただく存在。英雄色を好むとも申します。愛妾の1人や2人、10人や20人を囲うのはむしろ当然の器量」

龍崎父「我らたぬき一同、皆様を歓迎いたしますぞ。いかがですかな?」


卯月(……あいしょうって、何?)

美穂(わかんない。ニックネームのことかなぁ……?)

響子(え、えぇえ……/// そんなことって……/////)

美穂(響子ちゃん、何か知ってるの?)

響子(はぇ゛!? いやいやいや、そんなのいけませんよ! いけませんからね!?)

188 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/02(火) 23:59:26.88 ID:s6d7o79R0

P「…………」

P「やはり、お断りします」

龍崎父「なにゆえ」

P「誰と結婚するとか、何を捨てるか連れてくかとか以前に、俺には東京でやらなきゃならないことがあります」

P「だから……何があっても。この四国に留まるわけには、いきません」

龍崎父「どうあっても、妻子とともにここを出てゆくと……」

P「ンッ妻子。はぁまあ。そういうことですハイ」

薫「……せんせぇ」

薫「せんせぇは……かおるのこと、キライなの……?」

P「嫌いなんかじゃない。むしろ、こんなに可愛くて良い子は他にいないよ」

P「でも、俺達は『結婚するかしないか』だけしかないわけじゃ無いはずだ。友達として、いつだって会うこともできると思うんだ」


薫「…………ぐずっ」

龍崎父「いかに、薫」

薫「…………おとうさん」

189 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/03(水) 00:01:06.14 ID:F+kFn3+40


薫「かおる、やる。おとうさんが最初に言ってた、あれ……」


美穂「え……」


薫「もし、だんなさまに好きなひとがいて。かおるとケッコンするの、やだって言ったら。……あれが、はじまるんだよね?」

龍崎父「しかり。よくぞ覚悟した薫。それでこそ我が娘じゃ」


P「……!!」

P「3人とも! 今すぐここから逃げ、」


龍崎父「囲めいっ!!」


  ポポポポポポポポポポポポポンッ!!!

190 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/03(水) 00:03:38.35 ID:F+kFn3+40

美穂「ぽこっ!?」

卯月「ひゃ!?」

響子「これって……!?」

P「たぬき達が、周囲を囲む壁に化けて……!?」


薫「…………」

龍崎父「ご安心めされ。先ほども申し上げた通り、何も取って食おうというわけではございません」

龍崎父「ただ、どうしても出ると仰るなら――ひとつ。我ら久万山のたぬきに伝わる『儀式』を乗り越えていただきたい」

P「儀式……?」

191 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/03(水) 00:04:27.28 ID:F+kFn3+40


龍崎父「いかにも。我が村における婚姻にて、ひと悶着ありと申さば!」バサッ!


美穂「あ、扇子」


龍崎父「誇り高きたぬきの名において、後世に決して遺恨を残さぬよう!」ヨイヨイ

薫「むんっ!」ポンポンッ!


卯月「腹鼓!」


龍崎父「ぁ正々堂々たる勝負にてェ、白黒はっきり着けんが為のォ!!」イヨォーッ

薫「むむーんっ!!」ポコポーンッ!!


響子「スポットライトと紙吹雪が!?」


龍崎父「『お嫁五番勝負』ゥゥーーーーーッ!!!」カカァーッ!!!

薫「しょうぶーーーーーーーーーっ!!!!」スッパァァーンッ!!!

192 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/03(水) 00:06:44.83 ID:F+kFn3+40

P「お嫁五番勝負」


P「………………って何?」


龍崎父「読んで字のごとく。どちらが婿殿の妻となるに相応しいか、いざ尋常に勝負――という儀式ですな」

龍崎父「審査は公正に行いまする。うちの薫と、そちらの奥方。どちらが貴殿の隣に立つべきか、五つの項目にて見極めるわけです」

薫「かおる負けないもんっ!」

美穂「……!!」


美穂「わかり……ました。やります! 私、お嫁五番勝負で、薫ちゃんと戦いますっ!」


卯月「美穂ちゃ……ままっ!」

響子「み……お義姉ちゃんっ!」

P「美穂……!」

193 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/03(水) 00:07:32.96 ID:F+kFn3+40

龍崎父「その意気や良し!!」

龍崎父「ちなみに勝負においては、お身内の助力も認められまする。なんとなれば、妻となることは家庭人となること。姑に義理の兄弟姉妹、息子や娘の助けも借りるものですからな」

龍崎父「つまりそちらからは、娘御と妹君の参加も許されるというわけです」

卯月「ばぶっ!」

響子「お兄ちゃんとお義姉ちゃんは渡しませんっ!」

P「二人ともノリノリなんだよな」

龍崎父「一方、薫はまだ幼い。勝負にあたり、こちらからも一人、味方を用意させていただきたい」


龍崎父「お願いいたします――柳先生!」

194 : ◆DAC.3Z2hLk [saga]:2020/06/03(水) 00:11:13.17 ID:F+kFn3+40

??「こちらの村で、大きな催しがあるといいますから来てみれば……」

??「大変なことが起こっていたんですね。――こんにちは、薫ちゃん。お元気でしたか? どこも悪いところは無いかしら?」


美穂「この人は……?」

P「び、美人だ……!」

薫「きよらおねーさんだーっ!!」


清良「はじめまして。柳清良と申します。お呼ばれしたのは、成り行きですが……」

清良「薫ちゃんは、私の大切なお友達。全力でサポートさせていただきます。――よろしくお願いしますね、皆さん♪」



P「ヌッッ」

美穂「名刺を取り出さないでくださいっ!」モファーッ

P「グワーッ尻尾ビンタ!」

195 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2020/06/03(水) 00:13:02.98 ID:F+kFn3+40
一旦切ります。
もうあと最終決戦(?)です。
すみませんが今しばらくお付き合いくださいませ。
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/03(水) 00:34:24.49 ID:ozHc8MBy0
お仕事五番勝負?(難聴)
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/03(水) 03:22:06.41 ID:q5+fSkbDO
床の間の儀式ですね←18禁

わかります
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/03(水) 04:26:36.50 ID:yZ5qv1W80
乙でした
ナース拳がPに炸裂?
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/03(金) 19:04:02.56 ID:Mbi1t1Mf0
楽しみです
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/15(土) 16:53:40.87 ID:WFCbsFfi0
待ってます
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/10/15(木) 21:22:37.09 ID:nzoam2nP0
さすがにもう終了か・・・
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/05(木) 13:48:35.06 ID:8JaRV8oo0
展開が思いつかないのか、自身に何かあったのか。
どちらにせよメッセージだけは欲しいです
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/05(木) 14:23:09.29 ID:lkNq+1bDO
たしか、Twitterやっていたから、フォロワーの人が聞いてみたら?



おいらは、ぷちかれんの人しかフォロワーがいないのよ…シクシク
109.71 KB Speed:0.1   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)