【とある】ノウリョクロンパ〜異能の学園と別条の相補性〜

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260 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/15(土) 23:36:15.60 ID:dSpIrRN80

 エリア3〜4を繋ぐ通路に来ると、そこには上条と海原がいた。

 こいつら二人も疲れているような気がした。

「何やってるんだ?」

上条「ちょっと仕事終わりで休んでたところだ」

「お前らは何やってたんだよ」

海原「自分達は今の今まで、雲川さんの頼みで色々材料運んでました」

 どうやらこいつらも仕事に駆られたらしい。上条がぜぇぜぇ言ってるところを見ると大分こき使われたであろうことが分かる。海原も表情こそ変わってないが、汗が頬を伝っていることが分かる。

上条「そういえば、各エリアにエアコンあるらしいぜ。あたりに行こうぜ、海原」

海原「ですね…」

「エアコン…?」

上条「あぁ……。部屋広いから皆気づいてないらしいが、エリアの隅にエアコンの電源あるらしいぞ。…御坂が言ってた」

「へぇ、そりゃ快適だな……俺は知らなかったぜ」

 そんな話をしながら、エリア4に三人で向かった。
261 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/15(土) 23:50:04.24 ID:dSpIrRN80

 エリア4に来ると、そこには一方通行と心理定規がいた。

 二人は無言で座り、何かをテーブルでやっている。

「何やってるんだ…?」

一方通行「ジェンガだ…」

 ジェンガ…?

 しかも、なぜこの二人が?

一方通行「そんなに不思議かァ?……オレはこういうゲームの類が好きだからやってるだけだっての。裏も表もねぇぞ」

心理定規「そうそう……。一方通行がゲームに自信あるって言ったから、興味があって勝負してるのよ。そしたら、ほんとうに強くて困っているとこだわ」

 一方通行が無言でジェンガに興じているのは不思議な光景のように見えた。

 そんな風に話していると、上条達はエアコンの電源を探していた。

上条「あれ? どこの端なんだっけ」

 電源を探すのに苦労しているようだ。

一方通行「オイ、そこのウニ頭ァ…」

 大きめの声で一方通行が声を荒げる。

上条「え……ウニ頭って、上条さんのことですかね?…何でしょう?」

一方通行「涼しさにあたりたいなら先に行け。……俺は寒いのも暑いのも苦手だ。ここではエアコンつけんな」

上条「あ、はい…」

 そう説教されると、上条と海原は顔を合わす、とぼとぼとエリア5に向かっていった。

 話を終え、俺もそれを追うように進む。

262 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/16(日) 00:29:04.14 ID:dYaQtEKi0

 エリア5につくと、そこには誉望と麦野が居た。

 二人とも休憩スペースに座って、アイスを食べていた。

 だが、それよりも──

「──冷えすぎだろ」

 どうやらここはエアコンがガンガンついてるらしい。

 何でも仕事で疲れたもの達のエリアだそうだ。さきほどまで削板と雲川も居たらしい。

 上条や海原は「生き返るなぁ」などと言っていたが、俺からしたら寒いくらいだ。

「寒くないのかよ、お前らは」

 そう麦野達に尋ねる。

誉望「まぁ、俺らさっきまで働いてたっすからね」

麦野「そうね…」

 どうやら、こいつらも雲川の作業に付き合わされていたらしい。

麦野「アンタも食べる…?」

 そう言って、麦野はアイスを差し出してきた。

 これは……

「Doleか。良いセンスだ……」

 ありがたくちょうだいした。だが、アイスを口にいれると美味かったが余計に寒くなった。

麦野「暇だし、アンタ達も遊ばない?」

「遊び?」

「色々使えそうなもの売店で買ってきたのよ」

 そう言って、麦野は色々床下の袋から取り出した。──計り、ストップウォッチ、割り箸。

「これで何ができるんだ?」

麦野「ちょうど100グラム乗せるゲーム、ちょうど5秒で止めるゲーム、女王様ゲーム…とかよ」

 しれっと、最後恐ろしいものがあったような。

 遊んでみたい気持ちはあったが、寒さに勝てず、別の部屋に行くことにした。

 麦野が残念そうにしていたが、仕方あるまい。

 そこで上条達とも別れ、一人でエリア6の方に向かう。
263 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/16(日) 00:38:44.12 ID:dYaQtEKi0

 エリア5から6の通路には、青髪と土御門が居た。

 二人はこちらに気づいておらず、何かをボソボソと話している。

 何を話しているのか気になり、近づくと、さすがに気付いたようで、こちらに顔を向けた。

土御門「きょ、今日は良い天気だにゃー」

青髪「お、垣根くん。おはようやねぇ」

 なんかよそよそしいし、怪しかった。しかも、今は朝じゃない、夕方だ。

「何か話してたろ…」

土御門「な…全然何も話してないぜよ!」

 珍しく、というか初めて土御門が声を荒げた。

青髪「土御門くん、別の場所に行かん? 僕、散歩したいんよ」

土御門「そ、そうだにゃー。散歩するぜい」

 そう言って、二人はエリア1の方に向かって行った。

(一体何なんだ…?)

 俺も後に続くようにエリア6に向かう。
264 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/16(日) 00:46:39.44 ID:dYaQtEKi0

 エリア6につくと、ようやく雲川と削板に出会えた。別に探していたわけではないが、他の生徒には会ったため、そんな感じだ。

 削板はせっせと机を組み立てていた。釘を素手で殴っている。

 だが上手く刺さらないのか、今度は力強く殴るが、すると板が凹む。

雲川「またスランプか……。さっきまで上手くいっていたじゃないか」

削板「む、すまん……」

 どうやら力の制御に苦戦しているらしい。

「何でトンカチとか使わないんだよ?」

雲川「売ってないんだよ……。恐らくだけど、凶器の類になりそうなものは除外されてる。売っていても、せいぜい、その釘くらいだ」

「なるほどな…」

 二人は作業に勤しんでいたため邪魔だろう、と思い、自分の部屋に戻ることにした。

──色々整理して、早めに寝るのもありだ。

 俺は、通路に向かった。
265 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/16(日) 00:52:58.72 ID:dYaQtEKi0

 その後はわりとすぐに布団に入ったと思う。

 色々と考えが錯綜したが、やはり望む答えは見つからない。

 ゲコクマが秘密を暴露するのは明日の二十四時。

 後一日秘密を言われることに耐えれば、また一歩平和に近づく。

 そんな風に希望を抱き、目をつぶった。
266 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/16(日) 00:55:05.62 ID:dYaQtEKi0
4日目終了

〈アイテムリスト〉
正露丸×1
空間製図×1
関西弁図鑑×1
初心者マーク×1
道路標識シール×1
漆黒の学ラン×1
脳筋プロテイン×1
267 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/16(日) 02:12:35.99 ID:MJEp0WDF0

 ──目を覚ます。

 昨日と変わらない朝だ。

 とはいうが、朝なのか今一実感がない。それを知ることができるのは時計だけだ。

 俺は顔を洗い、身支度を整えて、中央エリアに向かった。
268 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/16(日) 03:38:06.05 ID:MJEp0WDF0

吹寄「みんな揃ったわね? これから話し合いを始めるわ。何か議題あるかしら?」

 やはり、というか何というか一方通行の姿はなかった。

浜面「あ、俺から良いか?」

吹寄「ええ」

浜面「昨日言った機械についてなんだが、苦闘の末、何とか使えるレベルになった」

絹旗「おお! それは超浜面です。でかしましたね!」

削板「浜面は漢だな!」

浜面「御坂も頑張ったから、褒めてやってくれ」

御坂「わ、私はいいわよ…」

削板「御坂も漢だったか!」

御坂「お、漢ではないわよ…」

結標「…で、あの液晶は何に使えるの?」

浜面「ふふふ……それはだな、なんと…電話ができます!」

「……」

雲川「……そうか」

浜面「いや、反応うすっ!」

食蜂「まぁ、何となく分かってたしねぇ…」

誉望「受話器ついてるっすからねぇ。まぁ、予測できるっすよ」

浜面「だが聞いて驚け、ビデオ通話も出来るんだぞ!」

上条「おお、それは凄いな!」

雲川「確かに」

浜面「ふふ…見直したみたいだな」
269 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/16(日) 03:53:44.60 ID:MJEp0WDF0
今日はこのへんで。どろん
270 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/16(日) 23:27:26.91 ID:/KmFpFGy0
「使い方は…?」

浜面「あぁ、それなら俺か御坂に聞いてくれ……俺は、今日一日、自室か電話機械の前に居ると思うからよ」

御坂「私も適当にぶらぶらしてると思うわ」

吹寄「それは助かるわ。じゃあ、次、食蜂さんの能力について話しましょうか……。昨日は結局能力使えるようになった?」

食蜂「いいえ、使えなかったわぁ……。そして、さっき一方さんにすれ違ったんだけど、その時も無理だったわぁ」

「マジかよ……」

麦野「だとしたら、二日くらい封じられてるってことよね?」

海原「自分の記憶が正しければ、一定時間封じる、と書かれていましたが……。だとしたら一定期間の方が正しいのでは?」

心理定規「わざとそう書いてるのかもね。私達の予想を裏切ってくるように…」

麦野「悪趣味なヤツね…」

ゲコクマ「むむ…誰が悪趣味なのさ! ボクは聖人クマだよ!」ヒョコ

「うおっ」

 急にゲコクマがどこからか現れた。

浜面「カエルなのかクマなのか人なのかはっきりしろよ。……それで、そうムキになるってことは事実ってことか?」

ゲコクマ「そ、そんなわけないよー!」

御坂「下手くそね、コイツ」

ゲコクマ「むむ……まぁ、能力無効化装置は一日以上持つとだけは言っておくよ。……ていうか、そんなことはどうでもいいんだった」

 そう言ってゲコクマはどこからか封筒を取り出した。

 “あの封筒は…”

 見覚えはもちろんある。一昨日、部屋に戻った時にあった秘密の入った封筒。

 ああ、思い出すだけでも忌まわしい。
271 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/16(日) 23:42:55.83 ID:/KmFpFGy0

ゲコクマ「うぷぷ……。そんな身構えないでよ。ボクはねぇ、もう一度、警告しに来ただけなんだ」

 ゲコクマは不敵に笑う。

ゲコクマ「平和なんてありえないよ。秘密がバレたら周りから幻滅されるよ? 絶望されるよ? だったら…、遅かれ早かれそれが訪れてしまうなら……、コロシテ一人だけ抜け出そうよ!」

吹寄「貴様ッ!…余計なことを言うな!」

 吹寄が叫ぶ。

 だがゲコクマはニタニタと不敵な笑みを浮かべた、それは、こちらを嘲るかのような顔だ。

ゲコクマ「うぷぷ……。ま、これだけは言ったから、じゃあねー」

 そう言って、また何処かに消えた。

滝壺「気にするのはやめよう、ふきよせ……」

吹寄「ええ、分かってるわ。……みんな、他に何かある? なければ今日は朝食作ってないから、作り始めたいんだけど」

「特にないな…」

 俺以外の人間も話し合うことはないようだった。謎の姫神秋沙についても進捗はないから、話してもあまり意味がない。

 そうして会議は終わり、吹寄達が厨房に行った。

 やっと落ち着いて食事が出来るか、と肩の力を抜くと、厨房から驚嘆の声が聞こえた。

結標「包丁がない…!」
272 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/16(日) 23:58:29.98 ID:/KmFpFGy0
まだ(非)日常編なのに300レス付近
273 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/18(火) 00:16:49.81 ID:9wAQH/dK0

「どうゆうことだ…?」

 思わず、そう言わずにはいられなかった。

結標「昨日はあった包丁がなくなってるのよ」

海原「待ってください。自分の記憶が正しければ、削板さんが使っていたと思いますよ」

吹寄「それは本当?…削板くん」

削板「おう! ちょいと作業するのに借りたぞ!」

吹寄「借りたぞ、じゃないわ。……その後どうしたの?」

削板「あー…どうしたんだっけか」

結標「ダメね……。何処かに置き忘れた、とかなら良いんだけど。…削板、包丁を最後に使ったのは何処?」

削板「えっと…確か……」

雲川「…エリア4だろう」

結標「え?」

雲川「知ってると思うが、私は削板と一緒に居た。……だからそれくらいは覚えてる。もっともナイフを置き忘れてしまったことには気付かなかった。……うっかりしていたよ、すまない」

 雲川はわざとらしく、そう言った。

削板「そうだ! エリア4で使っておきっぱなしだ!」

吹寄「分かったわ…。探してくる」

削板「忘れるとは漢じゃなかった! すまない!」

吹寄「もうやってしまったことは仕方ないわ……。次からは気を付ければ良いわよ」

 そう言って、吹寄は中央エリアの外へと向かった。

吹寄「……結標さん、滝壺さん。料理は頼むわ」

滝壺「ふきよせは?」

吹寄「私は少し包丁探してくる……。料理は適当に食べててちょうだい」

滝壺「分かった…」

麦野「じゃ、代わりに私が手伝うわ」

浜面「お前料理出来るのか」

麦野「そりゃできるわよ。それとも何…? そんな出来なそうな見た目してるかしら?」ゴゴゴ

浜面「イヤソンナコトナイッス」

 こうして波乱の朝は終わった。
274 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/18(火) 13:59:30.88 ID:3UerGCxz0

 その後は部屋に戻った。

 最近、早起きしていたから疲労がたまっていた。

 五日しか経っていないのに、ここから出る進展は見られない。

 ゲコクマが用意しているコロシという選択を使うのは、論外だ。

 俺は殺人鬼じゃない、普通の人間だ。

 そして、気がかりなのは未だに分からない自分の能力。

 これはゲコクマの仕業なのか、はたまた別の理由なのか……。

 そんなことを考えながら、この五日間に手に入れた情報を手当たり次第メモする。

 記憶はないが、記憶力には自信がある。

(こんなもんか……。)

 情報を記す作業が終わった時には、正午から三時間が過ぎていた。

 達成感は全くない。

 それよりも外の様子が気になる思いが勝った。

──吹寄や消えた包丁の行方はどうなったのだろうか?

 自室から通路に出る。

 
275 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/18(火) 15:15:33.49 ID:3UerGCxz0
何となく歩いてると、部屋の中を落ち着きな気なく、うろうろしている吹寄と絹旗に出会った。

 その顔からは焦りのようなものが伺える。

「何してんだお前ら…?」

吹寄「不審な人物が居たのよ…」

 不審な人物?

 そのワードに胸がドキりとする。それはまさか姫神秋沙か?

絹旗「多分、あの超不審者が包丁盗んだ犯人ですよ! さっきは逃してしまいましたが、次こそは……」

「姫神なのか…?」

吹寄「真っ黒なローブ被ってたから分からない……。ただ言えるのは、よからぬことを考えているのは間違いない、ということね」

 また探さないと。そう言って、絹旗と共に吹寄は次のエリアに向かおうとした。だが、その時、予想外の音に動きは止められた。

「この音は……」

 電子音。

 心地よいとも、不快とも言えない音が広大な部屋に響く。

 それの発生源は液晶パネルからだ。

──これが浜面が言ってた電話か?
276 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/18(火) 15:44:59.09 ID:3UerGCxz0
undefined
277 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/18(火) 15:46:02.03 ID:3UerGCxz0

吹寄「……でてみましょう」

「そうだな…」

 吹寄に言われるまま、俺は画面の前に立った。

 操作はまだ教わっていないが、何となく分かる。何せ応答するだけだ。

 それらしきボタンを押すと、ようやく着信音が収まる。

 受話器を手に取ると、代わりに空気が擦れるようなノイズが聞こえた。

誉望『吹寄さんっすか…?』

「垣根だ……まぁ、吹寄もいるが」

誉望『なら良かったっす! 今すぐエリア5前の扉前に来てくれないっすか?』

『あ? どうしたんだよ?』

誉望『エリア5に入れないんですよ! 扉が開かなくて!』

「麦野が能力なにがしかの理由で使ったってことだろ? そんな焦ることか?」

誉望『いや、確かにそれだけなら焦ることじゃないっすよ! でも……血がたれてるんですよ! 扉の前に!』
278 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/18(火) 15:46:50.46 ID:3UerGCxz0
「何…だと…?」

 唖然とした。

 血から連想することなんて一つしかなかった。

 “だが今はそれよりも……!”

「……クソッ! すぐ行くから待ってろ!!」

 受話器を放り投げ、エリア5の方へ飛び出す。

 吹寄も何となく状況を理解したらしく、俺の後ろに続く。

 5日間の中で、最も早くエリアを走り抜けた。

 幸い、そこまで離れてなかったのもあって、二分程で着いた。

誉望「垣根さん…!」

 エリア4〜5の通路に着くと、そこには誉望、御坂、食蜂が居た。

 後ろから、吹寄、絹旗、そして別の場所から駆けつけた上条、御坂の姿があった。

上条「悪い! 遅れた!」

誉望「俺が上条さんと御坂さんも電話で呼びました!」

「上条の能力を使えば、麦野の能力は無効化できるのか?」

上条「分からねぇけど、やってみるしかねぇよ!」

 そう言って、上条は扉を殴りつけた。

 その瞬間、奇妙な音が鳴る。

御坂「これは…能力が発動したの…?」

「多分な…」

 すると吹寄は前に出て、皆に注意を促す。

吹寄「みんな身構えて…! 中に入るわよ! もしかしたら襲われるかもしれないから、絹旗さん戦闘態勢に移って!」

絹旗「超了解です!」

 吹寄、絹旗に続くように俺も前に出る。

吹寄「じゃあ、ボタンを押すわよ…!」

 心なしか吹寄の手が震えていた気がした。

 それもそうか。

 気が付けば、俺も心臓の鼓動が止まらなかった。

 この時には、もうこの先の世界になにがあるのか分かった気がした。

 そうして、俺達は地獄のエリア5への扉を開ける。 
279 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/18(火) 16:03:26.78 ID:3UerGCxz0

そこには誉望、御坂、食蜂が居た。

→そこには誉望、食蜂がいた
280 : ◆GN1D/gFl9g [!red_res saga]:2020/02/19(水) 16:12:00.87 ID:h+OWgFQe0

 血を辿ると、その先には二人の人間が倒れていた。

 傷口から垂れたであろう血は、時間が経ったためか固まりつつあったように見える。

 手前の扉近くに結標淡希。

 奥の扉近くに浜面仕上。

 二人は向かい合うようにうつ伏せに倒れており、加えて、浜面仕上の脇腹からは、吹寄達が血眼になって探していた品──






──厨房の包丁が顔を覗かせていた。
281 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/19(水) 16:14:27.83 ID:h+OWgFQe0
Chapter1 機械仕掛けの研究施設 非日常編
282 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/19(水) 16:54:17.16 ID:h+OWgFQe0

「は……」

 俺は言葉すら、口から出てこなかった。

 恐怖しているのか、悲しんでいるのかすら分からない。

 ただ目の前の光景が、俺には目を背けたい現実だったがために、俺はなんとも言えない感覚に襲われた。

 放心のような状態だったが、非常なまでの悪魔の声が、皮肉にも俺を現実に引き戻した。

「死体が発見されました。一定時間後に学級裁判を行います」

御坂「う、嘘よ……」

 なんとか一歩踏み出す。現実から目を背けるわけにはいかない。

 俺は手前の結標の様子を見るため、片膝をついた。

 吹寄は奥の浜面の方に無言で近付いた。

吹寄「……浜面くんはナイフで一刺し、みたい」

 吹寄は浜面に近付き、淡々と述べた。誰よりもコロシアイに反対してきた女だから、俺には何となくお前の気持ちが分かる。

 何か不平を言いたいのを、抑えてるんだろう、ということが。
283 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/19(水) 18:16:23.07 ID:h+OWgFQe0

 結標の額を触ると、暖かさがあった。首には何かで締められたような傷があるが、もしかしたら……

「結標は生きてるかもしれない…」

誉望「そ、それは本当っすか!?」

 慌てて誉望が駆け寄ってくる。

吹寄「待ってちょうだい!……それも大事だけど、血の跡が…このエリアの外の方にまで続いてるわ!」

「なに……」

 そこで俺は立ち上がった。

「お前ら結標のこと頼む…! ただ、誰にもこの現場をいじらせるなよ」

 “もしかしたら、まだ犠牲者がいるかもしれない”

 悪い予想しか今の俺の頭にはなかった。

吹寄「絹旗さんも付いていってあげて!」

絹旗「あ……ちょ、超分かりました…!」

 そこで五人と別れ、次のエリアの扉を開けた。
284 : ◆GN1D/gFl9g [!red_res saga]:2020/02/19(水) 18:39:47.57 ID:h+OWgFQe0

 エリア5〜6の通路に入ると、血の垂れた跡は一人の生徒の目の前で止まっていた。

 また、人が倒れている。

 同じようにうつ伏せになっている彼女は左肩の後ろ側から血を出していた。

 何かで刺されたような跡があり、恐らくだが鋭利な刃物で刺されたのか服もその部分だけ大きく穴が空いている。

 顔は見えなかったが、服装で分かった。




 倒れている彼女は麦野沈利だ。
285 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/19(水) 19:13:50.05 ID:h+OWgFQe0
操作パートはわりと早めに進むかも
286 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/19(水) 19:32:30.93 ID:h+OWgFQe0

絹旗「…麦野さん!」

 絹旗が勢い良く近づく、俺もそれに続いた。

 麦野の額を触る……。

 こいつも暖かい。

 死後そこまで経ってないか、それとも……。

 傷口は見たところ一箇所だけ。ただ左肩からは中々血が出ており、恐らくだがエリア5前通路から、ここまでの血の跡は麦野のものではないだろうか?

 絹旗が息があるか確認する。

絹旗「息は……あります!」

 どうやら幸いにも、まだ生きているようだ。

「よし!……だが、これ以上出血させるわけにはいかねぇ」

 俺は自分の服をかなり強引に破き、麦野の左肩部分に巻きつけた。

絹旗「これで止まれば良いんですが……」

 そこで、俺はある考えが浮かんだ。

「オイ、ゲコクマ! 見てるなら出てこい!」

 案の定、すぐにゲコクマが出てきた。

ゲコクマ「もっー! 何かなー!」

「オイ、麦野はまだ生きてる……。こういう場合はお前が治すべきじゃねぇか? こんだけデカいんだ。別室に治療室くらいあるだろ?」

ゲコクマ「えー? でも、ボク昼ドラの録画見ないといけないからなあ」

「…室長なら、それくらいやるべきじゃねぇか? それとも仕事さぼってんのかテメェ」

ゲコクマ「ぐぐぐ……痛いとこつくなぁ……しょうがない……。垣根くんのために応急治療してあげます!」

 そう言うと、どこからかゲコクマが大量に現れた。

 “こいつらは量産品なのか?”

 すぐに麦野を担架らしきものに抱え、また何処かへと消えていった。

 そして、いつの間にか、さきほど話していたゲコクマも消えていた。

 変な風にされなきゃいいが……。
287 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/19(水) 19:51:14.73 ID:h+OWgFQe0

 俺と絹旗はエリア5に戻った。

 そこに戻ると、俺達と負傷者以外の全員の姿があった。

吹寄「どうだった…?」

「……麦野が左肩から血を流して倒れていた。まだ息はあったからゲコクマに頼んで応急処置してもらってるが……。結標はどうなった?」

 すると、人混みから彼女が現れた。

結標「…何とか生きてるわ」

吹寄「結標さんは首の傷以外、目立つ傷はなかったわ……。だから生きてたんだと思う。不幸中の幸いね」

「そりゃ良かったぜ……」

 不覚にも安堵した。

 浜面は死んでるというのに、まだマシだな、と思うしかなかった。

 でも、悲観的に立ち止まるよりは、そうやって思った方がマシだよな、浜面。

 正直言えば、この中に浜面を殺した人間が居るなんて信じられない。

吹寄「みんな! これから各々浜面くんを殺した相手について調べてちょうだい! ただ一人での行動は禁止……。いいわね?…一方くんもよ」

一方通行「しゃあねェなァ……」

 そう言って、各々がそれぞれ動き出した。


↓2でコンマの高いほう、捜査のパートナー(結標、麦野怪我のため不可、会話上削板、一方通行不可)

 
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/19(水) 19:58:57.14 ID:zopWUek/0
みさきち
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/19(水) 20:00:41.57 ID:PkvuF8u00
みさきち
290 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/19(水) 20:20:36.76 ID:h+OWgFQe0

〜エリア5〜


(ここから捜査を始めよう……適当に誰か連れてこう)

「食蜂、ちょい付き合え」

食蜂「捜査ねぇ……いいわよぉ」

 このエリアには他に誉望、吹寄、結標がいる。

 話しかける前に今までメモしたことを振替ってみよう。

291 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/19(水) 20:53:50.55 ID:h+OWgFQe0
『校則』
 内容は>>15に書かれている。

『クロマク』
 全生徒の中に、一人いる存在。なんらかの権利を持っているようだ。

『研究室のマップ』
 時計回りにしか進めない。また中央エリアには、各生徒一箇所からしか行き来できない。

『中央エリア前の通路』
 学生証がないと、入れない(?)。

『空き部屋』
 エリア6の最後、雲川の部屋の隣にある部屋。

『各エリアの窓』
 窓部分から、エリアの外面と窓の前に立っている人程度なら見ることができる。窓の下は見えないくらい高さがある。開けることもできない。

『エリアを繋ぐ扉』
 ボタン式の自動ドア。

『小部屋の扉』
 完全自動ドア

『自室の扉』
 普通のドア。手動。

『封鎖された研究施設』
 外の景色も空も見ることができない。唯一の時間を把握する手段は各エリアや自室にある時計だけだ。

『トレーニングルーム』
 エリア1にある部屋。筋トレ道具がたくさんある。ここにはやたら凶器になりそうなものがたくさんある。

『結標の能力開発室』
 空間転移についての本がある。

『懐中電灯』
 警棒のような懐中電灯。6本ある。

『エリア1のパンドラの箱』
 「この仕掛けは、二者の能力者の証により開くパンドラの箱。この箱の中には特殊な凶器が入っている」と書かれている
292 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/19(水) 21:01:20.35 ID:h+OWgFQe0

『エリア2のパンドラの箱』
 「この仕掛けは、二者の能力者の証により開くパンドラの箱。この箱の中には一度のみ能力を一定時間無効化する装置が入っている。」と書かれている。

『エリア2のパンドラの箱@』
 何者かにより箱が開けられた。中には姫神の写真。

『電気室』
 エリア2にある部屋。各エリアの主電源なのか?

『エリア3のパンドラの箱』
 「この仕掛けは、二者の能力者の証により開く、パンドラの箱。この箱の中には何かがつまっている。ただし二人以上の死者がいない限り、開くことはできない。仮に開けることができても爆発する」と書かれている。

『化学室』
 エリア3にある部屋。目についた危険物は、硫酸、青酸カリ、クラーレ、ムッシモール。

『売店』
 色々なものが売っている。ゲコゲコマシーンとかいう機械がある。

『麦野の能力開発室』
 エリア2にある能力開発室。電子や電磁、量子について書かれた本が大量にある。

『よく分からない部品や材料』
 麦野の能力開発室にあった品々。知識ある人なら使えるかもしれない。

『エリア4のパンドラの箱』
 「この仕掛けは、二者の能力者の証により開くパンドラの箱。この箱の中には極上のアイテムがはいっている。」と書かれている。
293 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/19(水) 21:27:56.90 ID:h+OWgFQe0
『削板の能力開発室』
 エリア5にある部屋。プロテインや筋肉増量のサプリがある。

『削板についての紙』
 「削板軍覇
  パンチ力1t
  100m走5秒
  力の制御に苦労している様子」と書かれている。

『エリア5のパンドラの箱』
 「この仕掛けは、二者の能力者の証により開くパンドラの箱。この箱の中には全ての扉を一時停止させるボタンがはいっている。」と書かれている。

『図書室』
 エリア5にある部屋。かなり広いらしい。

『エリア6』
 唯一、空いてる部屋がない。液晶パネルはある。

『エリア6のパンドラの箱』
 あるが蓋部分に何も書かれていない。

『中央エリア』
 主に厨房とディナー会場に分かれている。

『厨房』
 大量の食材の入った冷蔵庫と冷凍庫。そして、料理道具がある。

『エレベーター』
 厨房の陰にあるエレベーター。ボタンを押しても反応はない。

『パソコン』
 自室にあるパソコン。G(ゲコクマ)メールが使える。 

『G(ゲコクマ)メール』
 掲示板型の集団チャットがメインにある。名前表示ではなく、pc番号表示で、垣根はpc03だった。集団チャットで発言してる人物に対して、個人チャットも送れるようだ。
294 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/19(水) 21:43:09.89 ID:h+OWgFQe0

『エリア1のパンドラの箱の中身』
 弾が六発入ったリボルバー型の拳銃と「ゲコクマ特製二十倍手榴弾」と書かれた手榴弾が入っていた。いずれも空き部屋に封印。

『空き部屋@』
 拳銃と手榴弾を詰め込んで浜面の力で外からロックをかけて、絹旗が障害物を置いて塞いだ。障害物は絹旗か削板しか恐らく動かすことができない。

『食蜂の能力無効化』
 一方通行の能力を見ようとして使えなくなった。現在も無効化中。

『姫神秋沙の写真』
 表に巫女服姿の女性。裏に赤インクで姫神秋沙、「超高校級の空気」と書かれている。

『姫神秋沙の正体』
 19人目以上の存在?

『エリア2のパンドラの箱@』
 現状、一方通行の能力か、二人分の学生証でしか開かない。雲川曰く『超高校級の空気』という能力が使われた可能性がある、とのこと。

『超高校級の空気』
 空気のような能力と予想される。誉望と同じ能力?

『○○の能力(垣根と雲川の以外)』
 各生徒の能力について

『上条の能力@』
 彼の能力は本人の自己申告。滝壺の能力、御坂の能力、心理定規の能力は効かなかった。

『絹旗の能力@』
 常に能力が発動している。周りを窒素が覆っている。

『二日目の食蜂の能力の結果』
 心理定規はクロマクじゃない。
295 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/19(水) 21:43:51.51 ID:h+OWgFQe0

『液晶パネルの修理』
 浜面と御坂は液晶パネルの修理をしていた。

『液晶パネル』
 通話やビデオ通話ができる。

『吹寄と絹旗』
 二人は連日見回りをしていた。

『結標と滝壺』
 他の生徒のために能力を使用していた。

『雲川と削板』
 休憩スペース作りのため、各エリアで作業をしている。材料は売店で調達。

『海原と上条』
 雲川と削板の手伝いをした。

『エアコン』
 御坂曰く、各エリアにはエアコンがあるらしい。事実、エリア5にはあった。

『一方通行と心理定規』
 二人で、ジェンガで遊んでいた。

『ジェンガ』
 ポピュラーかどうか分からないラインの遊び。

『一方通行について』
 本人曰く、「暑いのも寒いのも苦手らしい」

『麦野と誉望』
 削板と雲川の仕事終わりにエリア5で休んでいた。

『青髪と土御門』
 なにやら怪しい話をしていた。こちらに気付くと動揺していた。

『雲川の証言』
 「売ってないんだよ……。恐らくだけど、凶器の類になりそうなものは除外されてる。売っていても、せいぜい、その釘くらいだ」とのこと。
 そのため削板が不器用ながら休憩スペース作りを頑張っていた。

『消えた包丁』
 厨房の包丁。数本あるようで料理上の支障はない。削板が作業のため持っていったようだが……

『包丁の行方』
 雲川曰く、エリア4で最後に使ったとのこと。
296 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/19(水) 21:50:50.09 ID:h+OWgFQe0

 “こんなもんか……”

ゲコクマ「おっと、待ったー!」

「あ…?」

ゲコクマ「これをあげるよ…!」

『モノクマファイル』を手に入れた。

「なんだこりゃ……」

ゲコクマ「被害者の死因や状態について乗ってるよ!」

「そうか……」

ゲコクマ「もっー! もっと感謝するべきだよ!」

「帰れ…」

ゲコクマ「ショボーン……」

 ゲコクマはやっと消えた。

 あいつと話してるとイライラする。

297 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/19(水) 22:01:26.10 ID:h+OWgFQe0
『モノクマファイル』

→『ゲコクマファイル』
298 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/19(水) 23:16:46.29 ID:h+OWgFQe0
今日はここまでで
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/19(水) 23:31:08.13 ID:XLaphKpd0
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/20(木) 00:50:48.94 ID:4eljQqP40
301 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/20(木) 17:10:40.76 ID:u08FuBmY0

食蜂「この部屋は念入りに調べる必要がありそうねぇ」

「そうだな…」

 まずは浜面の死体から見てみよう。

 あまり見たくないが、目をそむけてはいられない。

 最初見たとおり、脇腹に包丁が突き刺さっている。

 ……ゲコクマファイルを見るに、死因はこれで間違いないみたいだ。

 麦野の血が垂れてる経路上に浜面の死体はある。

 “しかし、この死体の状況、何か変じゃないか?”

食蜂「垣根さん、これ何かしらぁ?」

 そう言って、食蜂は紐のようなものを見せてきた。

「これは……」

食蜂「近くに落ちてたわぁ」

「そうか……」


コトダマ
『包丁』

『浜面の死体の状況』

『近くに落ちていた紐』

『死体の下』

を手に入れた!
302 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/20(木) 17:18:31.39 ID:u08FuBmY0

「結標……体調は大丈夫か?」

結標「ええ、私は軽症だったからね」

「それなら、詳しい話を聞かせてくれないか? 倒れる前の状況とか…」

結標「いいわよ。…えっと、まず何から話そうかしら……。そうねぇ、私と麦野で食後に散歩してたんだけど……エリア5の前で、急に麦野が唸り声出してね。何が起きたのか振替ってみると、腕から血を垂らしてて……正面から見た分には何も異変なかったけどね。で、麦野は誰かにやられたって言うから、私達怖くなってエリア5に逃げたのよ」

「なるほどな。…で、その後、麦野が能力使って扉を塞いだってわけか」

結標「そうね。姫神秋沙のこともあるし、流石に扉を塞いどけば入ってこれないだろうって。……で、その後、すぐに私は気を失ったと思う」

「もう少し詳しく頼む」

結標「えっと、その後に武器になりそうなものを探したのよ。確か麦野の能力は10分だったわよね? だから、その間に武器を集めて、戦う準備をね。麦野と私は削板の能力開発室に入ったわ、図書室には何もなさそうだしね」

「ふむ…」

結標「で、私達はそこであるものを見つけたのよ」

「あるもの?」

結標「ええ。それは黒い服よ……。しかも脱いですぐっぽい奴。……多分だけど麦野は驚いてたと思うわ。私も驚いたし、怖かったわよ。……もしかしたらこの部屋に誰かいるのかもってね。そしたら気のせいかロッカーが動いた気がしたのよ。で、それを調べようとしたら気を失ったわ」

「どうやって気を失った?」

結標「何かで殴られたのかしら?……強い衝撃を受けたのは覚えているわ……。その後、すぐに麦野の悲鳴が聞こえて……意識を失ったわ」

「首を締められたんじゃないのか?……」

結標「この首の傷?……それなら知らないわね」

「どういうことだ……」

結標「首締めて止めを刺そうとしたのかしら?……多分だけど」

「そうか……。分かった、お陰で色々知れたぜ」

結標「いえいえ、お安いご用よ」
303 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/20(木) 17:19:20.18 ID:u08FuBmY0

コトダマ

『気絶の理由』

『麦野の唸り声』

『結標の証言』

『結標の証言(1)』

『黒い服』

『動いたロッカー』

を手に入れた!
304 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/20(木) 17:20:32.26 ID:u08FuBmY0

「食蜂、俺と絹旗が他の部屋に行ってるときはどうだったんだ?」

食蜂「どうだったって?」

「不思議なことや、怪しいこととかだ」

食蜂「あ!……そういえば怪しい人がいたわぁ」

「怪しい人…?」

食蜂「ええ。だいたいの人がエリア4の方から来たんだけど、二人だけ別の場所から来たわぁ」

「二人?……誰と誰だ?」

食蜂「土御門さんと雲川さんよぉ……。土御門さんは削板さんの能力開発室から。雲川さんは図書室から出てきたわ」

「そうか……分かった」


コトダマ

『食蜂の証言』

を手に入れた!
305 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/23(日) 13:22:57.17 ID:v67AdGYa0

「吹寄、少し聞きたいことがある」

吹寄「何かしら…?」

「お前の今日の行動を教えてくれないか?」

吹寄「私は昨日と同じく見回りをしたわ。…ただ包丁を探すのに色々部屋回ってたけど……何周もしたけど結局見つからなかったわね」

「朝の会議の後、ずっとやってたのか?」

吹寄「そうね。途中から絹旗さんが着いて着てくれたわ」

「そうか。…そういや、黒服がどうとか言ってたが、あれは何なんだ?」

吹寄「私と絹旗さんで見回りしてる最中に変な黒服がこっちを見てるのに気付いてね。思いの外、すばしっこくて逃しちゃったけど…」

「黒服って……この施設の中でそんな格好したらバレそうだが…。そいつの大きさはどれくらいだった?」

吹寄「うーん、一瞬だったから分からないけど、少なくとも絹旗さんや御坂さんよりは間違いなく大きいわ」

「なるほど。ちなみにそいつを見たのはどこだ?」

吹寄「エリア1よ。…あなたとエリア3で会う少し前ね」

「そうか…」


コトダマ

『黒服について』

『吹寄の行動』

『黒服発見場所』

を入手した!
306 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/23(日) 13:34:01.90 ID:v67AdGYa0

誉望「はぁ…、なんか暑くないっすか」

「なに…?」

 言われてみれば確かに暑い。汗もかなりかいてる気がする。

 こんな暑いってことは…

「……なるほどな」

 エリアの端を見ると、暖房がついていることが分かった。

「オイ、誉望。…お前はここに居たわけだが、浜面の死体を発見した後に、エアコンつけたやつはいるか?」

誉望「え、エアコンついてるんすか?……うーん、目立った行動してる人はいなかったんで、多分いないっすよ」

「そうか…」


コトダマ

『暖房』を手に入れた!
307 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/26(水) 01:52:06.07 ID:7a7d/Sg+0

「…削板の能力開発室を見るか」

食蜂「結標さんの言ってた通り、麦野さんのものらしき血が続いてるわねぇ」

 足元にはまばらに血が続いている。血の量はあまり多くない。

 削板の能力開発室に入ると、そこには一方通行と御坂が居た。

 目立つものは机の上にある黒いローブ、床の血、開けっ放しのロッカーだ。

「オイ、お前ら…。最初から、この部屋はこの状態か?」

御坂「ええ」

一方通行「そうだ…」
308 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/26(水) 01:52:49.28 ID:7a7d/Sg+0

「そうか…」

 まずは黒ローブを見る。だが調べても手がかりはない。

 床の血は先程と同じようにまばらに散っている。

 そして、ロッカーの中には、何かが落ちていた。

「これは……」

御坂「それは…恐らくカメラよ」

 御坂が後ろから覗き込みながら、そう言った。

食蜂「カメラ…?」

 そんなものがあるとは思わなかった。いや、これが手に入るとすれば…。

「売店か…?」

御坂「そうかもしれない…。あそこはわりと何でもあるから…」

 だとしても、このカメラの中身は何だ?

 まさか風景を撮ってる能天気がいるってわけじゃないだろう。

 カメラを拾い上げ、調べる。

「……電源つかねぇな。こりゃ、ぶっ壊れてやがる。それも強い衝撃か何かで…」

食蜂「地に接していた部分に傷や凹みがあるから、これは多分落下による故障じゃないかしらぁ?」

「中を見る方法はねぇのか?」

一方通行「SDカードぐらいささってんだろォ? そいつがあれば部屋のパソコンで見れるだろ」

「部屋に戻ってる時間はあるのか?」

一方通行「だったら、売店でカメラをまた買えば良い。……そうだなァ、オレが買っとくからテメェがSDカードは管理しておけ」

「は…?」

 一方通行がそんなことを言うとは思わず、素で驚く。

一方通行「そんな驚くことはねェだろォ…。オレは慣れ合うつもりはねェし、オマエらの味方じゃねェが、今回の事件は色々分からないことが多い。……ただ、それが知りたいだけだ」

「そうか…。そういうやつだよな、お前は…」

 逆に安心した。

 改心したなんて言われた日には、どう反応して良いか分からなかったから。
309 : ◆GN1D/gFl9g [saga]:2020/02/26(水) 02:23:36.90 ID:7a7d/Sg+0

 一方通行と御坂は部屋を出ていった。一方通行は売店に向かったみたいで、御坂はその付き添いにいったらしい。

「まだ調べるところがあるな…」

食蜂「床に怪しいものが落ちてるわね…」

 先程から、その存在に気付いてはいたが、カメラに気を取られ、後回しにしていた。

 そこにあったのは、見覚えのある品。

 黒く長い武器のようで、それでいて電灯のような物品。

 ──これは結標の能力開発室にあった警棒懐中電灯だ。

食蜂「先にほんの少し血が付いてるわぁ…」

「結標はこれで殴られたんだろう…」

食蜂「そうねぇ…」
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