照「京ちゃんなんて知らない」京太郎「2度も言った!」

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135 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/06/06(土) 01:16:21.76 ID:Ep6CSC5U0

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菫「よく眠れたか」

淡「…とーぜん」

誠子「ほんとかー?欠伸してたけど」

淡「大丈夫だから」

誠子「そう?」

尭深「昨日は根詰めて練習してたもんね」

淡「こんつめてってなに?」

照「集中してとか,そういうこと」

淡「…たしかに集中してた。じゃないと勝てないもん」

菫「…いい心がけだ」


京太郎「皆さんいってらっしゃい。俺は控え室で待ってますから」

照「頑張ってくるから。見ててね」

京太郎「…ちゃんと見ます。いつも通り、照さんらしく打ってください」

照「うん」

136 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/06/06(土) 01:17:42.66 ID:Ep6CSC5U0




淡「ねえ、…きょーたろーも来てよ」

京太郎「それは流石にダメだろ…選手じゃないんだからさ」

淡「きょーたろーだってうちのチームじゃん」

京太郎「それはそうだけど」

菫「…京太郎君をあまり困らせるんじゃないぞ、淡。もう時間も近い」

淡「…なんでダメなの、きょーたろーがうちにいるって…見せなきゃ。だって」

誠子「淡」

尭深「決まりは決まりだから、ね?…須賀君、お湯を沸かしててもらえるかな?」

京太郎「了解っす…な、淡…そういうことだし」

淡「……うん」



137 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/06/06(土) 01:19:02.38 ID:Ep6CSC5U0



トタトタ バタン
京太郎「…どうしたんすかね」

菫「ナーバスになってるんじゃないかな」

京太郎「淡が?」

菫「そんなこともあるさ。全国の決勝なんて場、そうそう経験するものじゃないしな」

京太郎「まあ…」

菫「ともかく、留守番よろしく。すぐに戻るがな」

京太郎「任されました」

バタン

京太郎「さて、ポットは…っと」



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138 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/06/06(土) 01:23:46.47 ID:Ep6CSC5U0






久「優希、準備はできた?調子は万全?」

優希「あとタコスの補給がまだだじぇ……」

まこ「タコス見つめてどうしたんじゃ、はよ食べんさい」

優希「…最後だから、よく味わっていただくじぇ」

久「なーに?もしかして緊張してる?」

優希「それもある。けど…」

まこ「けど?」
139 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/06/06(土) 01:24:15.52 ID:Ep6CSC5U0

優希「…風越のおねーさんが毎試合わざわざ手作りして届けてくれるんだ。とてもありがたいけど…申し訳なさが先に立つんだじょ」

久「そーんな、考えすぎないでいいのに。美穂子も喜んで作ってくれてるんだし」

優希「…部長は昔から知り合いだから遠慮がないんだじぇ」

久「え…なに、私ディスられてる?」

まこ「もうちっと遠慮せいとはわしも思うが」

久「ひどい、泣いちゃう」オイオイ

まこ「嘘泣きはやめい、みっともない」

久「てへ」

140 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/06/06(土) 01:27:08.37 ID:Ep6CSC5U0


優希「自分で作れるようになるか、身内に作ってもらうか…できればなんの気負いもなくかぶりつきたかった。それが今の優希ちゃんなんだじょ…おいひいじぇ」ムグムグ

久「あら、練習削ってタコス作りに回す時間あったかしら?」

優希「それは」

まこ「控えメンバーが一人でも居ればのう…学生議会のメンツに迷惑かけんで済んだかもしれんのに」

久「あんなの迷惑のうちに入らないわよ。議会長の手助けをするために人数揃えてるんだし」

まこ「いっそ清々しいのう」

久「私には褒め言葉よ、それ」

まこ「言うとれ。…久が部長じゃなきゃもっと苦労したろうし、これでも感謝はしとる。一応言うとくけど」

久「そこはお互い様よ」

まこ「はあ…食えんやつじゃ」

優希「…ごちそうさま。おいしかったじぇ、風越のおねーさん」ナムナム

久「マントも相まって修行僧みたいね」

まこ「どんな発想じゃあ…まったく」

久「優希、頑張れるかしら?」

優希「…やれることはやったんだじょ。この身燃やし尽くすじぇ」

久「熱いわねえ」
141 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/06/06(土) 01:27:40.37 ID:Ep6CSC5U0



和「今日は珍しく早起きでしたね、咲さん」

咲「珍しく、ってひどいなあ」

和「冗談です。緊張してますか?」フフッ

咲「少し、かな。出番が近づくとまた違うかも。和ちゃんはいつも通りだね」

和「ここまで来たら誰と打とうと同じですから」

咲「和ちゃんらしいや」
142 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/06/06(土) 01:28:19.53 ID:Ep6CSC5U0


和「ところで、昨日のお電話はどうでしたか?」

咲「…和ちゃんまでなに言い出すの?」

和「いや気になりますよ?部屋から出てまでお電話する相手なんてこう…ロマンチックな雰囲気が」

咲「今までもしてたじゃない…大した話じゃないよ。お互い頑張ろうねって」

和「ふーん、そうですか」

咲「…信じてない口ぶりだよねそれは」

和「いえいえそんな。疚しいことなんて何もないんですもんね」

咲「本当にないんだけどな…」

和「…どうですか?緊張は解れました?」

咲「…それなりにね。ありがとうって言いたくないけど」フフッ

和「いいんですよ」


>咲、和、行くわよ

「「はーい」」



143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/06(土) 04:39:34.03 ID:cN2I0zAb0
淡かわいい乙
そうか京ちゃんが清澄じゃない場合タコス力に影響が出るんだな
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/07(日) 04:59:04.31 ID:1jDfaF+p0
おつ!
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/07(日) 21:12:11.63 ID:GS5iXUjK0
乙、これで役満タコスの天和が無くなって後半戦のパワーダウンを加味すれば
48000点分以上無くなって、原作の状況からすると下手すれば清澄が先鋒、次鋒でトビ終了もあるレベル
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/10(水) 03:53:05.28 ID:3gI6iF5so

タコスの話いい話だったな
147 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/07/02(木) 02:25:48.86 ID:d/Ig+7L+0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



バターン
淡「帰ったよ!」

京太郎「うるさっ」

淡「ねえ見てた?会場ひっろいんだよ!」

京太郎「おう。…なに、情緒不安定なの?」

淡「じょーちょふあんてー?…なんかよくわかんないけどバカにしてるな!きょーたろーのバカ!」クワッ ガシッ

京太郎「あーうっさいうっさい」グワングワングワン

淡「かーまーえー」



尭深「湯飲みも出してくれたんだね、ありがとう」カチャカチャ コポコポ

京太郎「うっす。…ちょっとコイツ止めてほしいんですけど」グワングワングワン

尭深「淡ちゃん、めっ」

誠子「先鋒戦始まるぞー」
148 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/07/02(木) 02:28:29.13 ID:d/Ig+7L+0

優希『ダブルリーチ!』


淡「あっずるい!私の!」

菫「違うだろ」


誠子「決勝もマントか…濃いな」

京太郎「帯刀してた人もいたし…今更ですよ」

誠子「…それもそうか」ウン

尭深「髪型変えたのかな」

京太郎「そういえば…どっかで見たような」




?「へくちっ」

??「…寒いと?エアコン切っか?」

?「いえ、大丈夫ですよ。それにしても優希、私は今とても感動していますよ…その姿勢、まさにすばら!」

??「出たねぇ花田のすばら」チュー

?「出たばい」

??「出たね」

149 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/07/02(木) 02:30:07.61 ID:d/Ig+7L+0

菫「やはり聴牌速度は加速させてきたか…東一は動けないからな」

誠子「まっ、想定の範囲内ってことですね」

菫「そうだな。一番注意すべきなのは辻垣内だが」


>ツモ、一発!


京太郎「高ぁい!…やりますね」

淡「ぐぬぬ…ダブリー…」


150 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/07/02(木) 02:31:04.25 ID:d/Ig+7L+0


優希『もういっちょ、リーチ!』チャラッ


淡「……」ギリギリギリギリ

京太郎「落ち着け」チョップ

淡「あたっ!…うぐー」


智葉『ポン』


菫「一発は消えた…が」


優希『ツモ!』パララララ


誠子「やりたい放題じゃないですか!」

菫「…いつまで続くか、だな」

151 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/07/02(木) 02:39:55.90 ID:d/Ig+7L+0

恒子『片岡選手、二連続ダブリーから続けて鳴いて仕上げてきたー!これでなんと四連荘』

健夜『速度重視の手ですね。もう少し高くできたかもしれませんが』

恒子『おっとここですこやんからの厳しい一言だー!果たして彼女の耳には届いているのかー』

健夜『そんなつもりじゃないんだけど…届くわけないよね?なに言い出すの?』



淡「…安いなぁ」

京太郎「今ホッとしてるだろ」

淡「…しーらない」

尭深「どうどう」


誠子「…私が心配しすぎなんですかね。みんな余裕もって見てますけど」

菫「まだ東一だしな…直撃されたわけでもないし。どちらかと言えば自分の心配で手一杯だよ」

誠子「…すいません、一番心配しなきゃいけないのは自分でした」

菫「いや…何にしたって、照の真骨頂はここからさ」

淡「ギギギーってやつ、来る?」

菫「さあ…できるかな」

152 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/07/02(木) 02:42:04.17 ID:d/Ig+7L+0


京太郎「…前から気になってたんですが、その『ギギギー』って?」

淡「えっ、知らないのー?きょーたろーのくせにー?」ウリウリ

京太郎「うざっ」

菫「意外だな。…まあ隠し球ってやつだ。去年の秋頃にようやく出してきたんだが」

京太郎「俺はあくまでも教わる側だったので。……全力の照さんのことは、ほとんど知らない」

誠子「なるほど?まあ私もたいして変わらないけどな。話に聞いているだけで詳しくは知らないよ」

淡「渋谷先輩は一緒に見たもんねー?」

尭深「…一度だけ、同卓の時に。伏せておいてって言われたから、何も言わなかったけど」

誠子「えぇー、いいなー」チェッ


玄『ツモっ』

>ドラ爆だー!
153 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/07/02(木) 02:42:48.53 ID:d/Ig+7L+0





照『…ツモ』

誠子「…いつもの連荘ですねっ」

京太郎「いや…なんかおかしい」

誠子「マジ?」

京太郎「点数の上がり方が普段のと違うような…あとは雰囲気、ですけど」

菫「なかなか鋭いな。ま、そろそろ分かるんじゃないか」


154 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/07/02(木) 02:43:50.01 ID:d/Ig+7L+0


優希『……』コトン

淡「それ!ロン!」ガバッ

誠子「うわぁっ…ビックリするなぁもう」

恒子『おっと王者宮永照、当たり牌を見逃しだーっ!何を考えているんだー!』

淡「…なんで?」

菫「お前…知ってるんじゃないのか」ハァ


照『…ツモ』

恒子『おおっと、同順で引いてきたーっ!チャンピオンの連続和了はまだ終わらない!』

155 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/07/02(木) 02:45:55.27 ID:d/Ig+7L+0


淡「…どゆこと?」

京太郎「ツモ縛りなんですね。だから和了り方も不規則になる」

誠子「なるほど」

京太郎「でもそのメリットがわかんないな…」

淡「…そうだ、思い出した。灯りがつくんだよっ」

誠子「灯り?」

尭深「そう。一度和了るごとに扉が開いて、一つずつ灯っていく」

京太郎「いくつまでですか。八連荘?」

菫「…ある意味、そうだな」

京太郎「じゃあ…」

156 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/07/02(木) 02:47:17.14 ID:d/Ig+7L+0






恒子『終局だー!やはり王者は宮永照!二位臨海に10万点近いリードをつけてみせたー!』

健夜『こーこちゃん飛ばし過ぎじゃない…?まだ先鋒だよ?』

恒子『小鍛治プロはついてこれなーい!これも年齢ゆえの衰えなのかーっ!』

健夜『アラサーだよ!?』

恒子『いつものをやったところで…やはりハイライトは宮永照の九連宝燈でしょうか?』

健夜『いつものって…そうですね。八連荘からの九連、誰も止めることが出来ませんでした。この最後の決勝のために取っておいたかのような、まさしく切り札ですね』

恒子『なるほどー。すこやんは九連宝燈和了ったことあるの?』

健夜『まあ…何度かはね。純正は流石に一回だけだけど』

恒子『えっ、なんで生きてるの?』

健夜『純正和了ったら死ぬってそれはただの迷信で…ってこのくだりさっきもやったよね?!』

恒子『すこやんが吠えたところでCM入りまーす!チャンネル変えちゃ嫌なんだからね!』キャピッ

健夜『さすがにそれはどうかと思うよ』

恒子『すこやん真顔!怖いからやめて!」

157 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/07/02(木) 02:48:33.91 ID:d/Ig+7L+0


照「連荘は上手くいった。けど、他は予想以上に好きにされてしまったから決定的じゃない」モックモック

京太郎「心強い点数ですけどね」

誠子「…私みたいな大量失点があるから…ですよね…」

京太郎「あ…亦野先輩に深刻なダメージがっ!」

照「準決勝のことは気にしなくていい。ちゃんと反省も特訓もした。あとは本番頑張れば誰も何も言わない」

誠子「…頑張ります!」ビシッ

158 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/07/02(木) 02:49:49.37 ID:d/Ig+7L+0


淡「菫先輩出てきたよー!」

誠子「はいはい…元気でいいよなぁ淡は」ヨッコラセ

京太郎「食べ終わったら向こう行きます?」

照「そうする。……ねえ京ちゃん」

京太郎「どうしました?」

照「…秘密にしてたの、ごめんね」

京太郎「いや…こればかりは仕方ないですよ。びっくりはしましたけど。そんなこともできるんだって」

照「…やるならここしかないって思ってた。一度知られると対策もしやすくなるだろうし、個人戦だと使い道がない」
159 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/07/02(木) 02:50:52.38 ID:d/Ig+7L+0

京太郎「なるほど。…手強かったですか?」

照「…阿知賀の人。準決勝とは違う雰囲気だった。霧がかってたというか」

京太郎「霧?」

照「うん。智葉さんはいつものようにしぶとく追ってくるし」

京太郎「さとは…辻垣内さんですか、臨海の」

照「選抜チームで一緒だったから」

京太郎「へえ」

160 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/07/02(木) 02:51:37.40 ID:d/Ig+7L+0


照「あと、清澄の子。東場だけだったら到底追いつけなかった」

京太郎「なんなんですかね、あれ」

照「特化してるんだね。まだ伸び代はありそうだったけど」

京太郎「マジすか」

照「うん。なんだろう…何かピースが足りてない感じ」

京太郎「ピースが埋まってたら?」

照「天和かな」

京太郎「…こっわ。鳥肌立ちましたよ」

照「私は純正九連和了ってるんだけど」

京太郎「照さんは別に怖くないじゃないですか」

照「……そっか」



>きょーたろー!テルー!


京太郎「よしっ、行きますか」スッ

照「…うん」

161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/02(木) 11:59:27.24 ID:wVARzvXz0
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/02(木) 15:13:27.04 ID:2n6BVMgLo
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/02(木) 15:58:56.94 ID:p73zYWiw0
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/04(土) 03:48:47.50 ID:1YI4/IA3O
おつおつ誠子ちゃんかわいい
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/04(土) 21:43:13.14 ID:5/cgd3CNo
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/08/15(土) 23:01:04.56 ID:A9tf5hlkO
まだかなー
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/31(月) 08:18:37.17 ID:aBfcHz0UO
待っ照
168 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/05(土) 19:39:35.63 ID:Dn2NAAd4o
生存報告

空いてしまって申し訳ありません
某tuber団体の夏の企画が面白すぎるのがなんもかんも悪い()

書き溜めは進んでいるので
切りのいいところまで書けたら、できれば今週中に投稿したい
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/05(土) 20:48:24.78 ID:L9PqXEHzo
生きてて何より
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/06(日) 04:29:50.85 ID:wdU7GmUv0
おつおつ
楽しみにしてます
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/06(日) 19:30:17.91 ID:ThWqz64xo
おっ 生きてたか 楽しみにしてる
172 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 22:45:17.64 ID:l8tXnTcfo





恒子『次鋒戦決着ゥー!清澄高校、緑一色ツモもあり3校との差を大きく詰めましたー!』

健夜『弘世さんは決して悪くはなかったんですが、トップ目ゆえに狙われ、その対応が後手後手になってしまいましたね。役満親被りが響く結果となりました』

恒子『臨海、阿知賀は比較的小さな点数推移となりましたね小鍛治プロ?』

健夜『…松実さんは準決勝でも打ち方に工夫が見られましたが、さらに変化を加えて洗練されたものになっていました。結果役満での失点を十分にカバーできましたね。ハオさんも独特な打ち筋で他家を翻弄していましたが…染谷さんとの相性でしょうか。対応される場面もあり点数を伸ばせませんでした』

恒子『準決勝の反省を踏まえて各校対策を敷いてきたということかーっ!このあとすぐ、中堅戦っ!』


173 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 22:46:41.35 ID:l8tXnTcfo
ガチャ バタン
菫「…すまない」

照「…菫」

誠子「…役満はどうしようもなかったですよ」

京太郎「ツモでしたし」

菫「…役満は言葉に甘えて差し引くとしても、他の打ちまわしも良くなかった。…萎縮してしまった」




淡「もう…まだ勝ってるじゃん!ね?」

菫「淡…」

淡「ウルトラスーパーデラックスノヴァ淡ちゃんがぜんぶぶっ飛ばすんだから!そしたらぜんぶ打ち消し!」

菫「…帳消し、な」

淡「…もう!人がせっかく元気にしてあげようって思ったのに!」

菫「…わかってるよ。ありがとうな」ワッシワッシ

淡「わっ、わっ、髪の毛ぐちゃぐちゃになっちゃうじゃん!もー!」


174 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 22:47:36.53 ID:l8tXnTcfo
誠子「…やれやれ」

京太郎「どうしたんすか、腕組みして」

誠子「やー…言いたいことは全部言われちゃったからね。まっ、私が言える立場かどうかは別にしてさ」



京太郎「…きっと上手くいきますよ」

誠子「そうかな…ってそれ全員に言ってない?」

京太郎「…特訓してたじゃないですか、他校対策も人一倍やって、何時間も根詰めて打ち続けて。きっとやれますよ」

誠子「…みんなそれなりにはやってくるだろうからね。できることやっただけ」

誠子「でもまあ……ありがとうね。やってみる」

京太郎「俺も応援頑張りますね」

誠子「ほどほどでいいよ、ほどほどで」ハハッ
175 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 22:48:39.83 ID:l8tXnTcfo




憧(…白糸台対策は他校も把握しているみたいね、順調に場が流れていってる)コトン

明華「……ツモ」カチャ パタン

憧(困るのは打点が高いことね。さっすが風神、世界ランカーは伊達じゃないわね)

憧(『速さに打点を掛け合わせる』、付け焼き刃だけどあたしも準決よりは成長できてる。それでも…ついていくのがやっとだわ)


尭深「……ッ、ツモ!」パラララ

憧(あらら、連荘されちゃった。安いけど)

憧(でもね…)

憧「それロン!」

憧(二度目はない。そしてちゃんと点も稼ぐ…じゃないと勝てないんだから)



176 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 22:49:26.82 ID:l8tXnTcfo




憧(…ここは鳴いて加速っ!)

憧「ポン!」カチャン コトン

久「それ、ロン」パラララ

憧(しまった、やっちゃった!)



憧(しかも高いし…最悪…何してんのよ新子憧)ハァ

憧(…しかしやってくれたわね、清澄の部長さん)チラッ

久「…?」チラッ





ニタッ


177 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 22:50:20.57 ID:l8tXnTcfo
憧(なに今の邪悪な笑顔!こわっ)サァッ ヒキッ

憧(やだやだやだ、まだ半荘残ってるのに…ダメ。怖気付いちゃいけないのに…)ブルッ



久(…あー痛い。痛んできた。思わずしかめっ面しちゃうじゃない…最悪ね)

久(にしてもさっきの新子さん、悔しそうにこっち見てたから微笑んだのに、途端に目を逸らすなんて)

久(私に見惚れちゃった?……なんてね。上手くいってるからって調子乗りすぎよ私)イテテテ



178 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 22:51:38.27 ID:l8tXnTcfo




誠子「尭深…」

京太郎「配牌運も悪いですね…字牌が揃わない」

菫「…私が言えたことじゃないが、お前の頑張りにかかっている…亦野」

誠子「…はい」

淡「わたしもいるからだいじょーぶ!」

誠子「…お前に迷惑かけたくないからな」ワシャワシャ

淡「んん…もう!ぐしゃぐしゃになっちゃうよ!」ジタバタ

誠子「…うっし、いっちょやってきます!」スッ

照「…大丈夫?」

誠子「…やるしかないですから。先輩も特訓に付き合ってくださってありがとうございました。頑張ります」

照「うん…ファイト」

誠子「須賀もな…応援よろしく」

京太郎「もちろんっす」


179 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 22:52:19.69 ID:l8tXnTcfo




尭深「……」チョコン

誠子「尭深?」

尭深「…誠子ちゃん。そっか、そうだよね」

誠子「…尭深は頑張ったよ。運が良くなかったのと、相手が手強かったから」

尭深「……もっと頑張ってればよかった」

誠子「…そう言われると何も言えない、けど」

尭深「ごめん」

誠子「いや…こっちこそ、ごめん」

尭深「……」
180 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 22:52:54.67 ID:l8tXnTcfo
誠子「…じゃあ、いくわ」スタスタ

尭深「うん」

クルッ
誠子「…尭深の分まで頑張るよ」

尭深「え」

誠子「どんな顔してんの。そのままの意味」

尭深「……」

誠子「ね、任せといてよ」

スタスタ

尭深「…誠子ちゃん」

181 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 22:57:08.09 ID:l8tXnTcfo



恒子『追い上げられた白糸台!もはや風前の灯かぁ!?副将戦から目が離せないぃぃぃっ!』

健夜『亦野さんが準決勝の雪辱を晴らせるか、注目したいところですね。臨海の…』



ダヴァン「ヨロシク」

誠子「うっす」

灼「……」キュッ

和「よろしくお願いします」ペコッ




誠子(メガン・ダヴァンは白水とは遜色ない…いや上かもしれない。鷺森は当然手強いし、清澄の一年……原村はなんだ、マシーンか?落ち着きが一年とは思えない)

カタン カタン


誠子(…私の実力がなんなら一番下、なのかもしれないけど)

誠子(それならそれなりの戦い方がある…そのために準備してきた)
182 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 22:58:56.18 ID:l8tXnTcfo
誠子「ポン!」カチャッ

ダヴァン「……」コトン

誠子(メガン・ダヴァンは聴牌した時の和了率が異様に高い。言い換えると聴牌さえさせなければ、速度で勝てばやり合える。…照先輩の受け売りなんだけど)

灼「…チー」カチャッ

誠子(筒子が集まりやすい…得意な待ちはあるけど変えても和了できるのが厄介なんだよな…)

誠子(でも今日の私は彼女をみくびったりしてない。あの時とは違う)

和「……」コトン

誠子「それポン!」カチャッ

誠子(他家を意に介さず黙々と打っていくから強い…でもそれは弱さでもあるよ、私のドラ自風を簡単に鳴かせてもらえるなんてね)

誠子(そして鳴ければ…私だって強い!)

誠子「ポン!」

誠子(まずは…一発!)

誠子「…ツモ、6000オール!」

183 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:00:11.12 ID:l8tXnTcfo






照「…臨海の人の能力と誠子の打ち方は相性がいい」

京太郎「自分と他家が聴牌してると直撃が取れる…みたいなのでしたっけ」

照「だいたいは。もう少し何かあるみたいだけど…発動は任意。何巡後かに当たり牌を掴ませるとか、その辺りだと思う」

菫「なるほど。亦野はまずリーチしないから掴まされても抱え込めるということか」

照「うん。…それに」

照「何より誠子は“フィッシャー”だからね」



184 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:01:15.40 ID:l8tXnTcfo


ダヴァン(これでテンパイ、と…そして張ってマスね白糸台も)

ダヴァン(リーチすれば逆転も見える)

ダヴァン(なら…悪いデスけど追いつかせてもらいマス!決闘(デュエル)!)

ダヴァン「リーチ」チャラッ









誠子(…釣れた)

185 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:02:31.24 ID:l8tXnTcfo
誠子(私だって鳴かなきゃ和了れないわけじゃないんだ。前は普通に打ってたんだし)

誠子(だから『三鳴きしないと和了できない』っていうミスリードが効くと思った。だけど清澄はそんなの気にしてないみたいだし、どうやらこのメガン・ダヴァンは私が聴牌してると気づいてる)

誠子(…まあ照先輩からそういうことは聞いてたから想定内なんだけど)



誠子(そしてダヴァンは私の撒き餌に引っかかってリーチ。そりゃあ点数上げたいから誰だってそうする。私はしないけど)

誠子(ここで私がするべきは…そう、その牌!)

誠子「チー!」カチャッ






恒子『おおっとぉぉ!亦野選手無駄鳴きで聴牌を外したぁぁ!何を考えているぅぅぅぅ!』

186 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:03:58.57 ID:l8tXnTcfo

ダヴァン(ンナッ!)

ダヴァン(holy sh◯t!…って叫びかけマシタね。銃もWestern Americaも掻き消えて)

ダヴァン(ここは川…デスか)


誠子「ポン!」カチャッ

パシャ

ダヴァン(ナルホド、あのテンパイはdummyの餌だったわけデス)

ダヴァン(あのFisherが落とすはずだった私の和了り牌は他家に流れてしまいマシタ…ベタオリしているようデスし多分出てこナイ)

カチャッ

ダヴァン(…そして、こういう時に来る牌はたいてい“掴まされた”ヤツなんデスよ)

コトン

誠子「ロンッ!」
パシャン

ダヴァン(……ヤレヤレ、私もマダマダってところデスね、これはサトハから一喝もらっても仕方がナイ)



187 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:06:12.23 ID:l8tXnTcfo




ガチャ
誠子「…ただいま戻りました」

京太郎「先輩!やりましたねっ!」ガタッ

照「…よかったよ。本当によかった」パチパチ

菫「ああ、今までで一番いい打ちっぷりだった。点数どうこうではなくてね」

誠子「そ、そうっすか?」



尭深「…誠子ちゃん」

誠子「任せろって言ったでしょ?」

尭深「……」グスン

誠子「尭深、泣くなって」ポンポン

尭深「そんなこと…言ったって」ヒッグヒッグ

誠子「あーよしよし」

188 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:08:49.46 ID:l8tXnTcfo
堯深「重ね重ねご迷惑かけました」フカブカ

誠子「気にすんなって。落ち着いて良かった」

堯深「お茶、淹れるね」

誠子「ありがと。…淡はもう出たんですね」

菫「途中で会わなかったのか?」

照「お手洗い寄っていくって言ってたから」

誠子「ああ、それで…まあ淡は迷子にはならないでしょう」

菫「それはそう。淡はな」

照「……」


189 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:09:46.68 ID:l8tXnTcfo
京太郎「それはともかく、淡は大丈夫ですかね」

菫「…というと?」

京太郎「朝も様子が少しおかしかったじゃないですか。帰ってきたら持ち直してましたけど」

誠子「あの…そのことなんですけど」

菫「なんだ?」

誠子「あいつに訊ねても『大丈夫』としか返ってこなかったんですが…どうも一昨日のことを引きずってるようで」

尭深「一昨日…?」

照「私が話したこと。だよね?」

誠子「…はい」

照「…そうだと思った」








淡「……」テクテク
190 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:10:18.01 ID:l8tXnTcfo


淡「……」スタスタ

淡(…亦野先輩に会わなくてよかった)

淡(だって全然見てなかったし。…先輩が何点取られようが取ろうが関係ない。私が勝てばいいんだもん)

淡(そう…宮永咲に)






191 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:11:17.27 ID:l8tXnTcfo

菫「どういうことだ?」

照「昨日淡の最終調整に付き合ったんだけど…とても気合いが入ってて」

尭深「それは確かに…すごく熱心そうでしたけど」

照「うん。何かに急かされているような、誰かより何がなんでも強くなりたいっていう貪欲さ」

照「私の前だから口に出しては言わないけど、その相手は咲だった」

京太郎「あの話を聞いて?…なんで咲なんか」




192 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:12:05.24 ID:l8tXnTcfo






淡(…勝つ)

淡(私よりも先にきょーたろーと会ってて、きょーたろーのこと知ってて)

淡(そんなの許さない)

淡(きょーたろーは白糸台の子なんだから)

淡(だから…私の居場所を取らないで!)
カツカツカツ



193 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:13:01.38 ID:l8tXnTcfo


誠子「…まあ、あいつ須賀に結構懐いてただろ?宮永先輩にもさ…妹分みたいな感じ」

京太郎「んまあ…そっすね」

誠子「だから自分の立ち位置が危ういと思ったんじゃないかな。ライバル視、っていうか。それにあいつ、気に食わなかったら麻雀でぶっ飛ばすって思考パターンじゃん?」

菫「それはそうだな」






淡(だからぜったいぶっ飛ばす。どうにもならなくなるまでぶっ潰す)



194 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:13:41.04 ID:l8tXnTcfo


照「…対抗心を燃やすのは悪いことじゃない…勝負だから。強い気持ちに結果が伴うこともある」

照「でも麻雀って四人でするものだから。視野が狭くなってなければいいけど」





淡(そして優勝も私がもらう。私なら取れる!)
バァーン


ガチャ ギギギギギ


195 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:14:27.19 ID:l8tXnTcfo

ネリー「遅かったね。待ちくたびれちゃった」

穏乃「ぃよぉーっし!打つぞー!」

咲「……よろしくお願いします」


淡「…よろしく」ギロッ

咲「……」

ネリー「怖い顔して。緊張してるのかな」

淡「違うっ」ガルルル

穏乃「まあまあ、とにかく打ちましょー?この四人で打つなんて二度とないかもしれないし。一期一会!」

淡「…そうだね。早く打と」ガタッ

ネリー「フフッ」

咲「……」



196 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:15:52.48 ID:l8tXnTcfo

淡「…リーチ」チャラッ


恒子『まさしく電光石火、東一からダブルリーチだーっ!』


淡(まずは力を見せつける。…ゼツボウしちゃえ)

コトン コトン

淡「カンッ」カチャッ
コトン

恒子『おーっと、なんと槓ドラモロ乗りだー!』

健夜『準決勝では裏が乗ってましたが、もし乗るとすれば』

197 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:16:47.18 ID:l8tXnTcfo




パシッ
淡「…ツ、モ」パララッ

恒子『その裏が…乗っているー!大星淡いきなり三倍満ツモ!大幅に突き放したーっ!』






ネリー(…やるね。予想以上)

ネリー(想定内ではあるけどね…今は我慢)



穏乃(…準決勝の時とも雰囲気が違う)

穏乃(星空?…ううん、これは宇宙そのもの)

穏乃(…もっと高く登らなきゃ、手が届かない!)



咲(……なるほど)
198 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:18:13.67 ID:l8tXnTcfo

淡「……」コトン

恒子『おっとー?今度はダブリーせずに聴牌外し!』

健夜『なにかやろうとしてますね』


淡「ポン」カチャッ

ネリー(白ポン…丁度いい、捨てておこう)コトン

淡「カンッ」

ネリー「え」

淡「…ツモ」




恒子『これは驚いたー!決勝卓で嶺上開花を咲かせたのは、なんと大星淡!』

健夜『…なるほど』



199 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:19:24.45 ID:l8tXnTcfo



誠子「淡…お前嶺上開花もできるのか」

照「……」

菫「目先を変えるのは悪くはないが…しかし」

尭深「意識し過ぎ、ですか」

菫「まあ…わざわざ見せつけたんだからな。それに安くなってちゃあまり効果的とは」

京太郎(たまたま出来たっていう可能性を考えないところ、信頼されてるというかなんというか)



200 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:20:15.71 ID:l8tXnTcfo

穏乃(…すっご!宮永さんだけじゃなかったんだ)

穏乃(でもでも…私もこの場所でなら追いつける!そんな気がする)


ネリー(…やられた。さほど高くないから助かったけど)

ネリー(まったく、メグがもっとしっかりしてれば楽だったのにさ…追いかける方が楽しいけど)

ネリー(でもネリーだってできることとできないことがあるんだから、あんまり抵抗しないでほしいなぁ)

ネリー(…ここからはネリーのターンだからね)フフン



咲(……)

咲(…ふぅん)


201 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:21:43.25 ID:l8tXnTcfo


淡(よし、これで私の親番!)

淡(…あれ、テンパイ…じゃない)




ネリー(今日の波はこの最序盤、そして第二波だってある)

ネリー(…あんまりしょっちゅうは出したくないけどね、この感じ)

ネリー(とにかくここで白糸台を削る。邪魔したりしないよね…ミヤナガサキ)

ネリー「ツモ」




202 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:22:46.64 ID:l8tXnTcfo


淡(またテンパイじゃない…こっちのちっこいのが邪魔してるのか)

淡(困るんだよねそういうの。私は宮永咲を倒したいだけ)コトン



淡(これで…ポンしたらカン、リンシャンカイホー。これぞカンペキ、なんちゃって)テヘ

穏乃「……」コトン

淡「ポンッ」カチャッ コトン

ネリー「それ、ロンだよ。よそ見してた?」

淡「…は?」



203 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:23:35.43 ID:l8tXnTcfo

恒子『ネリー選手、二局続けて三倍満ンンンン!ラスから一気に白糸台に肉薄してきたぁぁぁっ!』

健夜『肉薄は言い過ぎかな…跳満直撃で逆転ですね』

恒子『そんな小さいこと気にするからすこやんモテないんだ』

健夜『小さくないからね!?実況だよ実況!自覚してるの!?』




尭深「…止められませんね」

照「…淡は。他家はあえて止めなかったのかも」

京太郎「絶対安全圏も臨海の人には突破されてますしね。気づいてればいいんですけど」

菫「親被りも痛いがロンされたのがな…」

誠子「淡…」


204 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:24:23.65 ID:l8tXnTcfo

照「でも、次は止まる。臨海を野放しにするわけにはいかないだろうから」

菫「だといいがな」

照「…止まるよ」

京太郎「…どういうこと、あっ…準決と同じですか」








咲「…ツモ、嶺上開花」

205 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:27:34.38 ID:l8tXnTcfo

恒子『やはり花を咲かせた宮永咲、ここで親満ツモ!』

健夜『動じていませんね。この後も楽しみです』




咲(ふぅっ、ちょっと安心しちゃった)

ネリー「……」ジトー

咲(ごめんねネリーさん、大星さんを削ってくれたことは感謝するけど、これ以上稼がれてもこちらにメリットがないから)

淡「……」

咲(…私だって負けないよ、大星さん)


206 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:29:43.52 ID:l8tXnTcfo




ガチャッ
誠子「戻りましたー」

京太郎「お疲れ様です」

尭深「淡ちゃん、どうだった?」

誠子「んんー…伝えることは伝えたよ。真面目な顔して聞いてはいたけど」

菫「けど?」

誠子「どこかこう、意識がどこか遠くにあるような…あいつが私相手に神妙な顔してる方がおかしいでしょう?」

尭深「確かに」

誠子「そこはフォローするとこでしょうが!」

尭深「ごめんなさい」

京太郎「落ち着いてください先輩」

誠子「いやそんなマジにならないで、わたしが悪かったから」

207 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:30:55.07 ID:l8tXnTcfo

照「…最善は尽くした。あとは待つしかない」

菫「そうだな」

誠子「先輩方みたいにどっしり構えられればいいんですけど」

菫「お前たちがいるからこうしていられるんだよ。上がしっかりしていないとな」

誠子「…そういうのさらっと言えるのがすごいんですよ」


京太郎(そんな先輩たちに応えるのが後輩の役目じゃないか)

京太郎(頼むぞ…淡)


208 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:32:01.50 ID:l8tXnTcfo




恒子『ここまで前半戦と似た展開になっています』

健夜『手が総じて安くなってますが…東一局、大星さんはダブリーしましたが跳満止まり。次いで連荘、その後ネリーさんが和了りましたがいずれも安手でした』

恒子『様子を伺っている感じ?』

健夜『いえ…やりたいことができていないというか、何かに縛られているというか』

恒子『?…ともかく大将戦も大詰めです!』

健夜『そこはもうちょっと突っ込んでくるとこだよこーこちゃん…』



209 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:32:59.87 ID:l8tXnTcfo


ネリー(…まずい)

ネリー(見失ったよタカカモシズノ!)

ネリー(…見間違った?…違う)

ネリー(見損なった…じゃなくて、そう、見誤った!)

ネリー(……そんなこと言ってる場合じゃなくて)


ネリー(基本ネリーは鈍感というか気にしないほうなんだけど、今はっきり感じ取れる)

ネリー(このままじゃ最後に貯めた波でもろくに和了れない)

ネリー(……はあ。せめてもう一つくらい見せ場を作らなきゃか。スポンサーのご機嫌取りの足しくらいにはね)

ネリー(…メグには悪いけど、ネリーは十分追い上げたし)

ネリー(…ハァ)


210 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:34:02.94 ID:l8tXnTcfo

ネリー「…リーチ」ゴッ

恒子『ネリー選手、早い巡目でのリーチ!しかも高いぞー!』




咲(…今までとはちょっと違うかな)コトン


穏乃(…すごい。すごいよネリーさん。構わず突っ込んでくるなんて)

穏乃(くぅー!ワクワクしちゃうな)コトン


淡「……」

淡(突破されてるって、そういえば亦野先輩が言ってたような。どうだっけ)

淡(…みんな私のジャマばっかりして!)コトン

211 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:35:54.00 ID:l8tXnTcfo

コトン コトン

ネリー「…ツモ!」パララッ

カチャン

恒子『裏は…乗らない!倍満止まり!しかし逆転には十分だっ!ついに白糸台が首位を明け渡したぁぁぁっ!』

健夜『気迫で和了りきりましたね。ネリーさんにしては珍しい光景かもしれません』




212 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:36:39.78 ID:l8tXnTcfo



ネリー(ハァ…ハァ……ちょっと無理しちゃった)

ネリー(…せめてもう一局)







淡(…させないよ)ゴゴゴ

淡(もうガマンできない。…始末する)ドドドドドド

213 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:38:35.48 ID:l8tXnTcfo




恒子『すこやんすこやん、大星さんの手ヤバイよ、ダブル狙えるんじゃない?!』

健夜『ダブル役満は採用されてないから』

恒子『…そうだっけ?』

健夜『どちらにせよ普通は鳴いていくんですが…もしかすると珍しいものが見れるかもしれませんね』


穏乃(…うわうわうわ!大星さんの手が)コトン

咲(…奥の手かな。連発されなければいいけどな)コトン


ネリー(…どうにか繋がった。かき集めてたぐりよせて、仕上げきった)

ネリー(ここも…曲げる!)

ネリー「リーチ」カチャッ


淡「…ロン」
214 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:41:00.94 ID:l8tXnTcfo
ネリー「えっ」

恒子『出てしまったー!しかしこれは読みようがない!』

健夜『暗刻になった字牌も捨てていましたから、カモフラージュになりましたね』



  ___________________________   __
 │  │  │  │  │  │  │  │  │  │  │  │  │  | |  |
 │東│東│南│南│西│西│北│北│  │  │發│發│中| |中|


恒子『字一色、いや大七星!白糸台再逆転!そして大きく突き放したぁぁぁっ!』

淡「……」ニヤッ

215 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:43:04.71 ID:l8tXnTcfo



ネリー(…うかつな…でもここしかなかった。けど)

ネリー(……)

ネリー(そっか…負けたくなかったんだ、ネリー)





216 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:44:47.93 ID:l8tXnTcfo




京太郎「よし!」ガッツポ

誠子「この和了りは大きいぞ!」パチパチ

菫「…やったな」

照「……」

尭深「…照先輩?」

照「…和了できたのは良かった。タイミングはもう少し後でも良かったけど」

照「ただ臨海から和了する必要はなかった。咲から直撃取るのがベスト、高鴨さんでもだいぶ楽になれたはず」

誠子「手厳しいですね」

照「淡はそれくらいできる子だから。それにここからが本当の勝負所」




217 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:49:30.82 ID:l8tXnTcfo

淡(これで一人黙らせた。あとは…)

淡「……」カチッ

淡(テンパイじゃないのはまあゆるすとして…霧?阿知賀の?)

淡(…イヤなカンジ)


咲(…なんだろう、空気が薄い…山の中?)

咲(そっか、これが高鴨さんの…)


穏乃(…よし)

穏乃(あったまってきたよ)
ズモモモモ




218 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:52:22.15 ID:l8tXnTcfo




穏乃「来た!ツモ!」パララッ


『止まりません!ここまでいいところがなかった阿知賀の快進撃!』

『前半ラス付近でそこそこの和了りはあったよこーこちゃん』

『…忘れてたぁ!とにかく快進撃です!』



菫「…高鴨には気を付けろと伝えたか」

誠子「はい、それはもう念入りに」

菫「そうか。…そうだよな」

京太郎「…多分淡なりに、なんとかしようとしてるはずなんです」

堯深「…うん」

照「……」
219 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:53:13.62 ID:l8tXnTcfo




淡「……」カチャッ

淡(…よし、これでリンシャンカイホー)

淡「カンッ!」カチャッ
スッ

淡「ツ……」

淡(違う!?)コトン


穏乃「ロンッ!」

220 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:53:52.12 ID:l8tXnTcfo
恒子『ただの喰いタンがカンのおかげで満貫直撃ィー!』

健夜『…不用意でしたね』



ネリー(…とか言ってるんだろうけど違うね。カンされたら乗ると知ってて手を作った)

ネリー(なんなら自分でカンすればいいんだから……嫌になっちゃうよね)

ネリー(ネリーがそんなこと言うかって感じだろうけど)

リーチ! チャラッ

ネリー「ポン」

ネリー(…一発消しくらいはさせてよ)


221 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/22(火) 23:55:35.38 ID:l8tXnTcfo


尭深「…さっきの役満の分の稼ぎがほぼ無くなりましたね」

京太郎「……もう一回、とはいかないですかね」

照「…0%じゃない、とは。もう狙ってはできないと思うけど」

誠子「そうっすか…」



菫「…あいつのふんばりに賭けるしかない。まだ辛うじてリードしてるわけだから」

京太郎「…そうっすよ、まだ負けてない」

誠子「…だな。がんばれ淡」

尭深「淡ちゃん…」


222 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/23(水) 00:02:42.89 ID:gWVTjMxbo
咲「カン」カチャッ
コトン

穏乃(リンシャン…じゃない、そうだよね。見えなくなってるはずなんだ)


淡(…なんだ、一緒じゃん)


ネリー(…何かある)




咲「ツモ」パララッ

淡「やっす」

穏乃(あ!思っても言わなかったことを!…連荘続かなかったか)


淡「すみません間違えました」

淡(思わず言っちゃったけどやっす!そんなんじゃ逆転は遠いよ?)フッ

223 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/23(水) 00:04:30.50 ID:gWVTjMxbo



咲(よし、調整完了)





224 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/23(水) 00:09:24.80 ID:gWVTjMxbo
恒子『泣いても笑ってもこのオーラス!一位の白糸台が親番、本当にこの局で優勝が決まります!』





穏乃(登る、登る、登るッ!)

穏乃(体が軽いし頭が冴えてる!今なら星だって掴める!もう目の前だ!)



淡(…なんでこんなにぐちゃぐちゃなの?)

淡(…わかんない)

淡(安い手で和了れば、…いやテンパイさえして流しちゃえばそれで解決なのに)

淡(…そのやりかたがわかんないよ)




ネリー(集中砲火にあって飛ばされないだけ有情だね。生温いとも言うけど)

ネリー(ネリーだって頑張って避けたからまあ…なんならむしろトップ目とは詰まってるくらいだし)

ネリー(…完全に無力化されてるみたいですごく腹立たしいけど)

ネリー(…あっ)

225 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/23(水) 00:09:59.64 ID:gWVTjMxbo
穏乃(これで引き込めばッ……)

穏乃(なに、これ……)

穏乃(いつの間に王牌が…)ゾワッ







咲「……」ゴゴゴゴゴゴ



226 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2020/09/23(水) 00:11:16.14 ID:gWVTjMxbo
咲「…カン」カチャッ

淡(やめて)

咲「カン」カチャッ

淡(やめてってば!)

咲「もう一個、カン!」カチャッ

淡(とまれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!)






咲「ツモ。嶺上開花、ホンイツトイトイ三暗刻三槓子ドラ4、数え役満」



227 : ◆oiHx77pVqQ [saga sage]:2020/09/23(水) 00:13:25.01 ID:gWVTjMxbo
※麻雀は雰囲気で書いてるのでミスは勘弁してください

今週中と言いながら週末2つ越えてんのどうかしてますね、見て気づいた
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/23(水) 11:18:49.70 ID:DcvAdL7e0
久しぶりの投稿乙です
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/23(水) 15:43:24.36 ID:ikekr1TD0
おつおつ
誠子ちゃんかっこいい
咲さん強い
淡ちゃんかわいい
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/23(水) 16:54:46.85 ID:kd0xi9SPo

めちゃおもしろい
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/23(水) 23:05:18.16 ID:oYPF+rTzO
染谷先輩がさらっと緑一色を上がっている…!
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/25(金) 00:32:43.28 ID:4hB2GQQu0
乙です
この次元のあわあわは咲さんに叩き潰されたのか
でもあわあわ叩き潰したら姉妹仲直り、って本編の咲さんはどう考えたらそういう発想になったんだろう
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/09/28(月) 15:56:50.72 ID:NtXNaaqi0
また読めて嬉しい
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 02:34:57.06 ID:rW/JTpCN0
乙です!
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