【血界戦線】レオ「ヘルサレズム・ロットで」穂乃果「ライブぅ!?」【ラブライブ!】

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1 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/02/24(月) 19:11:34.51 ID:gk0XzWjp0
※血界戦線とラブライブ!の謎クロスオーバーSS

※ラブライブ!は何準拠なのかふわふわした設定、血界戦線は原作準拠です。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1582539094
2 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/02/24(月) 19:12:52.97 ID:gk0XzWjp0
クラウス「――スクールアイドルフェスティバル?」

レオ「そうっす。今流行ってるソシャゲなんすよ」

レオ「古今東西のスクールアイドルを集めて、夢のグループを組むことができるってゲームで……」

ザップ「レオー、金かしてくれよぉー。URのんたんが出ないんだよぉー」シクシク

レオ「今あのクズ先輩が金欠に陥ってる原因すね」

クラウス「ふむ」

ザップ「十連、十連分だけで良いから。あと一回まわせば出る気がするんだよぉー」

ザップ「このままじゃピックアップが終わっちまうよー」シクシク

ツェッド「仮にも斗流血術の担い手が、ゲームで身を滅ぼすなんていうのだけは止めて下さいね」

ザップ「半魚人にゃあ高等過ぎるもんなぁ。水かきが邪魔で指が動かねぇってか」ケラケラ

ツェッド「………」ギラリ

レオ「ツェッドさん抑えて! 無言でシナトベ流はヤバイっす!」

皇「アホらし。クズでザコでノロマの上にロリコンだったとはね。目も当てられないわ」

ザップ「あぁん、雌犬? てめぇ話に入れないからって僻んでんのか?」

ザップ「それにこの陰毛様だって立派な廃プレイヤーだぜぇ?」

皇「うわ……」

レオ「素で引かないでくださいよ! 僕もやってますけど課金はちょっとしかしてませんし!」

ザップ「おーおー、妹に仕送りもしねぇで課金たぁ、良いご身分だなぁ、おい!」

レオ「課金分はシフト追加して、生活費削ってるんですぅ! 仕送り分はびた一文削っていませんんん!」

ザップ「俺だって生活費削って課金してますぅー!」

レオ「あんたは生活そのものを削ってるんでしょうが! 飯代も、原チャのガソリン代も払えないとかどーなってるんすか!」

皇「五十歩百歩だわ……キモ」

クラウス「ふむふむ」

3 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/02/24(月) 19:14:59.44 ID:gk0XzWjp0

クラウス「レオ、スクールアイドルとは?」

レオ「日本発祥のカルチャーすね。女子高校生が同じ学校の友人たちでグループを組んで、アイドル活動をするっていう」

レオ「最初は日本国内でしか知られてなかったんですけど、今や飛ぶ鳥を落とす勢いで世界に広がってるんスよ」

クラウス「ふむ」

ザップ「その火付け役になったのがμ'sってグループでこれがまた可愛いんスよねー」

ザップ「You●ubeでもとんでもない再生数叩きだしてて、世界中にファンが出来始めてるらしいっスね」

ザップ「ほらこんな感じっス」ヨウツベナガシー

クラウス「それは凄いな」

ザップ「おっほ、のんたん可愛いー」

皇「うわっ……」

レオ「彼女達の人気はヘルサレズム・ロットすらも浸食してますからねえ。世界の課金比率とか、日本抑えてトップになるかもって噂スよ」

ツェッド「そう言えばエレンもハマってましたね。楽しそうにスクフェスやってますよ」

皇「スクールアイドルショップってのも、至る所に立ち始めてるわね。世も末だわ」

ザップ「バケモン共が女子高校生に現を抜かすのは、平和っちゃ平和だけどな」

ザップ「中には妄執的に固執してる奴もいるみてぇだ。ヘルサレズム・ロットのオタクなんっつーのは、一線越えたらどうなるか分かんねえぞ」

レオ「確かにそうスよね……」


4 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/02/24(月) 19:16:11.78 ID:gk0XzWjp0

ザップ「で、」

ザップ「何で旦那がいきなりスクールアイドルの事なんて聞いてきたんですか? そういう趣味から程遠いイメージすけど」

レオ「あ、スクフェス始めたいとかですか? 招待しますよ」

ザップ「アホ。招待すんのは俺だ。てめぇは招待報酬が欲しいだけだろうが。陰毛」

レオ「あんたもそうだろ、クズ先輩」

クラウス「いや、その話なんだが―――」

スティーブン「―――ある人物から、依頼があったんだ」

レオ「スティーブンさん」

ザップ「誰スか、ある人物って?」

スティーブン「差出人は、音ノ木坂学園理事長・Mrsミナミから」

ザップ「音ノ木坂学園って、」

レオ「μ'sの出身校すよ、ザップさん!」

ザップ「うおお、どんな依頼なんすか!」

スティーブン「喚くな、喚くな」

スティーブン「内容は単純明快だ。一定期間の間、スクールアイドルグループ『μ's』を護衛して欲しいとのこと」

ザップ「それって―――」

レオ「μ'sがヘルサレズム・ロットに来るって事っすか?」

ザップ「まてまてまて、μ’sが来るって事はもしかしてだが―――」

レオ「いやいやいや、有り得ないでしょ。スクールアイドルって存在とは最も縁の遠い都市っすよ。まさかそんなこと―――」



スティーブン「そう―――彼女達が、ヘルサレズム・ロットでライブをするらしい」



レオ・ザップ「「うえええええええええええ!!?」」



5 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/02/24(月) 19:20:04.01 ID:gk0XzWjp0





9人「「「「「「「「「うえええええええええええ!!?」」」」」」」」」

穂乃果「ヘルサレズム・ロットでライブぅ!?」

海未「そ、それって大丈夫なんですか? 危なくないですか?」

ことり「確かに軍隊だって近付かない都市だって聞くけど……。その話、本当なの? お母さん」

親鳥「ええ。今日、正式にスクールアイドル協会から依頼があったわ」

花陽「や、止めといた方が……」

凛「そ、そうだよ。凛も怖いよ……」

真姫「私も反対よ。いくらなんでも危険すぎるわ」

にこ「にこは皆のアイドルだけどー、さすがに安全の守られている所じゃないと活動できないっていうかー……」

希「うちも皆と同意見や。危うきには近づかずってね」

絵里「……それ、本当にスクールアイドル協会からの依頼だったんですか?」

親鳥「ええ。私も不審に思って問い直したけど、協会からの正式な依頼ですって」

親鳥「既にヘルサレズム・ロットとの話は付いているって。勿論、身の安全も確保した上でという話だけど……」

絵里「話が付いてるって、私達の意見も聞かずにですか!?」

親鳥「その通りよ。……正直、私もおかしな話だとは思うわ」

親鳥「今までライブの話は貴方達の了承を得てから進められていたし、勿論拒否権もあった」

親鳥「今回に限っては、企画の進行は勝手に進められ、拒否をしたら違約金が発生するとまで言われたわ」

真姫「違約金って、私達は営利目的で活動をしてる訳じゃ……!」
6 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/02/24(月) 19:22:59.36 ID:gk0XzWjp0

親鳥「……確かに違約金は、飽くまでスクールアイドル協会がスポンサーへ支払うものよ」

親鳥「……ラブライブにはスポンサーも付くけど、それは営利目的が主ではない」

親鳥「スクールアイドルという文化を広げるため、飽くまで学生たちの活動を支えるための寄付みたいなものよ

親鳥「ただ今回のライブに関しては、話が違うわ。異常なまでのスポンサーが殺到し、協会もそれを全て受け入れたわ」

親鳥「だから企画が中止すれば違約金も発生するし、それこそ途方もない額を協会は支払わなければいけなくなる」

親鳥「それこそ、スクールアイドル協会そのものが傾く程の、ね」

親鳥「……正直、ここでの協会の判断にも疑問が残るわ。教会はスポンサーを拒否する事もできるわ……企画を縮小すれば、全てのスポンサーと契約を結ぶ必要はない」

親鳥「普通のライブをするくらいの費用は十分に賄えた筈よ」

親鳥「なのに、協会は名乗り出たスポンサー全てと契約を結んだ……。まるで自ら破滅を受け入れるようにね」

穂乃果「えーと、つまり……どういうこと?」

海未「おかしな事だらけって事です……」

希「これだけのスポンサーがつく事も、協会そのものが潰れるリスクもあるのにそれを受け入れた事も……」

真姫「それだけリスキーな選択をしておいて、私達に一切知らせず企画を進行していた事も……」

絵里「何もかもおかしい……正直、異常よ」


シーン

7 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/02/24(月) 19:24:48.24 ID:gk0XzWjp0
花陽「な、何か、怖いよ……」

ことり「何がどうなってるの……?」

にこ「と、とにかくにこは反対よ! こんなの何か裏があるに決まってるじゃない!」

凛「で、でも、私達がライブに出なかったら……」

海未「スクールアイドル協会は潰れてしまうかもしれません」

穂乃果「って事は、スクールアイドルがなくなっちゃうって事!?」

希「なくなりはしないよ。言ってみれば、スクールアイドルは部活動みたいなもんやし」

絵里「ただ大規模なイベントは出来なくなるでしょうね。少なくとも……ラブライブは開催できなくなる」

穂乃果「それじゃあ―――」

絵里「ええ、スクールアイドルの活動規模は確実に衰退するでしょうね」

希「うちらだってラブライブがあったから皆に知って貰う事ができた。だから有名になれたし、廃校を免れる事ができた」

希「A-RISEだって、Aquorsだってラブライブを通して、人々に知られていった……」

真姫「そのラブライブが無くなれば……」

穂乃果「そ、そんなぁ……」


8 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/02/24(月) 19:25:21.79 ID:gk0XzWjp0

親鳥「……とにかく、何かが起こっているのは間違いないわ」

親鳥「ヘルサレズム・ロットには異界の存在が多数いると言われている……もしかしたら、その中の何かが超常の力で働きかけをしたのかもしれない」

親鳥「正直に私の意見を言うわ」

親鳥「―――断るべきよ」

親鳥「スクールアイドルそのものに影響を与えるのだとしても、まずは自分の身の安全を考えなさい」

親鳥「貴方達は本物のアイドルじゃない。飽くまでスクールアイドル……責任がある訳じゃない。ただの学生でしかないんだから」

親鳥「そんな危険を背負う必要は、これっぽっちも存在しないわ」

ことり「お母さん……」

穂乃果「………」


ピコーン♪


にこ「ん? 何かしら」

花陽「μ’sのツ●ッターにコメントがついたみたい。何だろ……」


ピコーン♪

ピコーン♪

ピコーン♪

ピコーン♪

ピコーン♪

ピコーン♪


花陽「!? な、なんだか凄い勢いでコメントがついていきます……!!」

真姫「どういうこと!? 中身は……」



『ヘルサレズム・ロットでライブをするかもと聞きました! もし本当なら楽しみにしてます!』

『まさかヘルサレズム・ロットにμ’sが来てくれるかもしれないなんて! 夢のようです!』

『だjんmふぁfmんghてんhgqんphなえんh!!』(←見た事ない言語・何となく喜んでいるのは通じる)

『あjgrぱhjbぴいphぱえthんjぱphんじゃpんは!!』(←見た事ない言語・何となく喜んでいるのは通じる)



ことり「す、すごい、色んな国の言葉でコメントが…」

希「これ多分、異界の言葉も混じってるよ……」

絵里「どこかから情報が漏れたみたいね。ヘルサレズム・ロット住人がSNSで大盛り上がりしてるみたい」

海未「コメントも様々な言語が入り乱れてますね……人間も異人も関係なく、喜んでくれているみたいです」

凛「すごいにゃー……」

にこ「ま、まぁ、宇宙銀河ナンバー1アイドルがいるんだし、当然って言えば当然かしら」
9 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/02/24(月) 19:26:24.90 ID:gk0XzWjp0

花陽「わ、動画でのコメントもあるよ」ポチット

凛「にゃっ!?」

絵里「きゃぁ!?」

海未「ひぃっ!?」

希「映画にでてくるエイリアンみたいな見た目や……これモノホンなん?」

真姫「……そうみたいね。こういうのが向こうじゃ普通ってことでしょ」




キシャーキシャーキ、キーキーキシャーキシュ!!キーキーキッシャキシャッキー! キーキッキーキー!(←昆虫の鳴き声的な声)

字幕:『μ’sの皆さん! 大ファンです! 言葉じゃ伝わらないと思いましたので、字幕つけてみました! 頑張って日本語学びました!』


キシャキーシャキシャキシャッキー!キーキーキシャ!

字幕:『ヘルサレズム・ロットが危険な都市であることは理解してます! でも、できれば……可能であれば一目μ’sの皆さんを見てみたいです!』


キッシャーキシャッキーキシャキシャッキキー、キシャキシャッキキーキッキキー!

字幕:『私達はヘルサレズム・ロットから出る事ができません……。μ’sの皆さんを生で観れる機会も、多分これが最初で最後だと思います!』


キシャキシャッキキーキシャキシャッキキーッキキー!

字幕:『だからどうか! ヘルサレズム・ロットでのライブを、お願いします!』


穂乃果「……!」

希「見た目に反してピュアなメッセージやね……」

花陽「似たような動画メッセージが、次々に来てます」

凛「皆、私達のライブを観たいって言ってるにゃ……」

ことり「確かに、この見た目で日本に来るのは不可能だと思うけど……」

海未「私達のライブを見る、最初で最後の機会、ですか……」

真姫「そんなこと言ったってヘルサレズム・ロットよ……渡航警告都市なのよ……!?」

真姫「ライブへの経緯だって普通じゃ……!」

にこ「でも、ファンのメッセージは本物よ」

にこ「これだけ沢山のコメントや動画が全てフェイクなんて有り得ないわ」

希「だとしても、ヘルサレズム・ロットはヘルサレズムロット。危険な都市なのに違いはないよ」

にこ「なら、あんたはこんだけのファンの気持ちを無視するっていうの!? 人間でも、人間じゃなくても関係ない。こんなにも沢山の人が楽しみにしてるのよ!」

希「それは……そうだけど」

凛「怖いのも、ライブをしてあげたいのも、どっちもだよ……」

花陽「……どうすれば、良いんだろうね」

絵里「ねぇ、穂乃果は、どう考えてるの……?」

穂乃果「………私は、」


10 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/02/24(月) 19:29:56.47 ID:gk0XzWjp0

言葉は、それ以上続かなかった。
穂乃果もまた、凛が言った通りの気持ちだからだ。
最初は怖かった。得体のしれない何かが、私達のあずかり知らないところで進んでいる感覚。
でも、ファンのコメントを見て、気持ちが揺らぐ。
ヘルサレズム・ロットという常識外れの都市ですら、私達を応援してくれる人がいて。
異界の住人ですら、私達のファンとなってくれる人がいて。
その想いに、応えたいと思う。
最高のパフォーマンスを、最高のライブを届け、皆を最高の笑顔にさせてあげたい。
でも。
でも、万が一があったら?
メンバーの誰かに、もし何かがあったのなら、自分は一生後悔するだろう。
その可能性がある限り、簡単に答えを出すことなんて……できない。



穂乃果「……私、は……」

海未「穂乃果……」

ことり「穂乃果ちゃん……」



穂乃果は、口の動かし方を忘れてしまったように、固まってしまった。
ただ重い沈黙だけが、場を支配する。
そんな中で、9人を静かに見つめる者がいた。
理事長であることりの母。
彼女は、9人の表情を見て、険しい顔で口を開く。



親鳥「………」

親鳥「……話は、分かりました」

親鳥「一つだけ、聞かせて」

親鳥「―――皆、ライブをしたいの?」

親鳥「実際にやるやらないじゃないわ。やりたいか、やりたくないか、ただそれだけを教えてちょうだい」

穂乃果「………」

穂乃果「……私は、やりたいです」

穂乃果「正直、最初は困惑したけど……でも、ヘルサレズム・ロットでも私達を応援してくれる人がいて、人ですら無い人達だって私達のファンになってくれて……」

穂乃果「だから、例え短くたっていい、少しだっていい……皆の気持ちに応えたい―――」

穂乃果「―――ライブを、したいです」



穂乃果の言葉に、残る8人もまた首を縦に振る。
9人の答えに、9人の真っ直ぐな瞳に、ことり母は思わず溜め息を吐いた。
そして、眉間に皴を寄せ、額に手を置いて、続ける。

11 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/02/24(月) 19:30:36.58 ID:gk0XzWjp0

親鳥「……皆さんの気持ちは分かりました」

親鳥「私の出来得る限りの権限を使って、皆さんの安全を守りましょう」

親鳥「ヘルサレズム・ロットで、誰よりも信頼でき、誰よりも心強い組織に、貴方達の護衛を依頼します」

親鳥「彼等はヘルサレズム・ロットに拠点を置いて活動している……人間の組織の中なら、誰よりもあの都市に精通している筈です」

親鳥「彼等であれば、安全度も格段にあがるでしょう」

穂乃果「理事長……!」

親鳥「生徒たちの願いを聞くのもまた、理事長の仕事ですからね」

親鳥「それに、貴方達は学園に多大な貢献をしてくれました。少しでも恩返しをさせてもらわなくちゃ」

穂乃果「や、やったーーーー!! さすがおばさん!」

ことり「お母さん……! ありがとう!」

親鳥「で・す・が! 気を抜いてはいけません!」

親鳥「例え強力な護衛がついたとしても、ヘルサレズム・ロットはヘルサレズム・ロット。何が起きるかは未知数です」

親鳥「彼等ですら対処しきれない事態だってあるかもしれない……だから、行程は最短で。個人行動も観光もなし。それと私も同行させて貰います」

花陽「う、うう、そうだよね……気を抜かない様にしないと……」

希「何よりもうち達の身の安全を第一に考えないとね」

真姫「周りの危険に気を付けて……」

海未「尚且つ、ライブを成功させる……中々の難題ですね」

穂乃果「でも―――できるんだよ! あんなにも待ち望んでくれる人たちの前でライブが!!」

穂乃果「例えどんな行程になったって、最高のライブにしよう!!」

穂乃果「―――私達の想いを、伝えるんだ!」

海未「そう、ですね。ええ、頑張りましょう、最善を尽くすのです!」

ことり「うん、がんばろう!」

花陽「き、緊張してきました……!」

真姫「ええ、いくらなんでも早過ぎよ……」

凛「うーん、頑張るにゃー!!」

にこ「やってやりましょう!」

絵里「俄然盛り上がってきたわね」ニコッ

希「これでこそ、やね」



穂乃果「よーし、やっるぞーーー!!!」

8人「「「「「「「「おおーーーーー!!!」」」」」」」」


12 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/02/24(月) 19:32:43.22 ID:gk0XzWjp0
以上で一旦投下終了です。
取り敢えず導入まで。また書き溜めができたら投下していきます。
ちなみにスクールアイドル協会云々は適当に考えた設定なので、原作には(多分)ないです。
13 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga]:2020/03/06(金) 22:01:03.58 ID:Wmk5CJ9B0
続き投下します。
14 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/06(金) 22:01:42.39 ID:Wmk5CJ9B0




スティーブン「―――という訳で、ライブラに『μ’s』の護衛依頼が届いた」

スティーブン「とはいえ、我々も多忙の身だ。女子高生のライブなどに人員を回す余裕はないのだが……」

ザップ「俺俺俺! 俺やります!! ばっちし任せて下さいよ!!」

レオ「俺も行きます! ザップさん一人じゃ何するか分からないでしょ!!」

ザップ「お前はμ’sに会いたいだけだろうが、陰毛!」

レオ「あんただってそうでしょうが!」

スティーブン「そう焦るな。話の途中だ」

スティーブン「……このライブに参加したいと名乗りをあげている面々が問題でな」エイシャキポチー

クラウス「……!」

ザップ「うお……」

ツェッド「これは……」

皇「マジ……?」

スティーブン「とまぁ、このように、山ほどの大物やら高位の異界存在達が参加を表明している訳だ」

スティーブン「もしライブに参加する面々がその気になれば、世界を優に5回は滅ぼせるだろう」

スティーブン「更に今回のライブ開催に辺り、主催者側にも不自然な動きがある。こちら側からの働きかけと言ってほぼ間違いないだろう」

クラウス「彼等が純粋にライブを楽しもうとしている可能性は?」

スティーブン「どうだろうな。これだけの異界存在を魅了する力が彼女達にあるかどうかだが」

スティーブン「僕としては『ない』方に一票だな」

レオ「大物達が会合の為に、μ’sにライブを開かせたってことスか?」

ザップ「そんなまどろっこしい事、こんな奴等がしますかねえ」

スティーブン「こいつらの考えている事など分からんよ。だが、これだけの大物が一堂に会する……それは紛れもない事実だ」

スティーブン「これ程の規模のものは、ヘルサレズム・ロットにおいても滅多にない」

スティーブン「世界の均衡が崩れる可能性がある以上、指をくわえて見ている訳にもいかないだろう」

スティーブン「この厄介極まる友人達に裏が無いか、ライブが開催されるまでの二ヵ月間徹底的に洗うぞ」

ザップ「……この量をスか?」

スティーブン「当然だろう。時間は限られている今日から動くぞ」

ザップ「うぇぇ……」ゲッソリ
15 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/06(金) 22:02:56.16 ID:Wmk5CJ9B0

レオ「……あのー」

スティーブン「ん? どうした、レオ」

レオ「それで、結局『μ’s』の護衛の件は……」

スティーブン「ああ、それか」

スティーブン(本命は飽くまでライブに集まる大物達の方だからな。正直、そっちについては深く考えてはいなかったが……)

スティーブン「……まぁ、乱心したファンが何かしでかす可能性は十分にあるだろう」

スティーブン「ザップ、ツェッド、レオ。三人で護衛についてくれ」

レオ「いよっしゃあああああああああ!!」

ザップ「ちょちょちょ、この陰毛はまだしも何で魚人までついてくんスか! 人類の崇高な文化たるスクールアイドルの価値を、何一つ理解してない奴っすよ!」

ツェッド「スクールアイドルをいやらしい眼でしか見てない貴方よりは理解しているつもりですが」

ザップ「おおおい、そりゃ挑発か? やるか? 遂にやる時がきたのか?」

ツェッド「少なくとも護衛対象の前で、そんな短絡的な行動はしないで下さいね。彼女達を怯えさせるだけですので」

スティーブン「まぁ、護衛対象に手を出したなんて事になったら、目も当てられんからな。お目付け役だ」

ザップ「おれへの信頼は!?」

スティーブン「勿論信頼はしているさ。良い意味でも、悪い意味でもな」ニッコリ

ザップ「……爽やかな笑みが怖いっすよ……」

クラウス「―――Mrs.ミナミによると、彼女達はヘルサレズム・ロットでのライブを心の底から成功させたいと思っているとの事だ」

クラウス「安全を守り、彼女達が最高のパフォーマンスを行えるようサポートする……これもまた重要かつ不可欠な任務だ」

クラウス「油断も慢心もなく、全身全霊を賭け―――任務に当たって欲しい」

ツェッド(おお……)

ザップ(別に政府高官の護衛って訳でも、護衛に関して言やぁ世界の命運を分ける任務って訳でもねーのに……)

レオ(眼が本気(マジ)だ……!)

ザップ(大物達の邂逅についても、μ’sの護衛についても、)

レオ(マジで同等に大切だって考えてるんでしょーね……)

ツェッド(こっちはこっちで真剣にやった方が良さそうですよ)

ザップ(……そうだな)

レオ(頑張りましょう……!)


16 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/06(金) 22:03:23.58 ID:Wmk5CJ9B0


―――二か月後



スティーブン「―――さて、明日遂に、彼女達がヘルサレズム・ロットにやってくる訳だが」

ザップ「」ゲッソリ

レオ「」ゲッソリ

ツェッド「」ゲッソリ

スティーブン「どうした、お前達? 念願のμ’sとの対面だぞ?」

レオ「いや、それは嬉しいんですけど……」

ツェッド「この二月の激務が……」

ザップ「死ぬ……マジで死ぬ……」

スティーブン「仕方ないだろう。人員が限定されているのに対して、調査すべき対象は山程だ」

ザップ「いや、それで何か出てきたんなら良いんスけど……」

スティーブン「ああ、まるで何も出てこなかったな」

ザップ「それっすよ! 俺らの苦労は!?」

スティーブン「何だ、何か起きて欲しかったのか?」

レオ「そういう訳じゃないっすけど……」

スティーブン「兎も角、現段階でライブを隠れ蓑にした陰謀その他は見受けられない]

スティーブン「良かったじゃないか、このままいけば平穏無事にμ’sのライブが観られるぞ」

レオ「それはぁぁぁ……」

ザップ「確かにそうっすけどぉぉぉ……」

スティーブン「それにしても意外だったな。彼女達の楽曲がここまで異界存在の心を掴んでいるとは」

スティーブン「そんなに凄いパフォーマンスをするのか、彼女達は」

ザップ「どうなんスかね? 歌唱力やダンスとかの技術で言やぁプロには全然及ばないスけど」

レオ「でも、何か『良い』んですよね。勢いと言いますか、聞いてるだけで心の底から込み上げてくるものがあるというか」

レオ「それが人間以上に響くんじゃないんですかね?」

スティーブン「そんなものか……」

17 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/06(金) 22:04:15.45 ID:Wmk5CJ9B0


スティーブン「なぁ、クラウス?」ヒソヒソ

クラウス「何だ、スティーブン?」

スティーブン「確かに、この一月の調査では事件性のある情報は何も上がらなかった」

スティーブン「驚いた事に、名だたる異界存在の大物達は心底から彼女のライブを楽しみしているらしい」

クラウス「ふむ」

スティーブン「だが一方で、主催者側のスクールアイドル協会に働きかけた人物も挙げる事ができなかった」

スティーブン「痕跡を辿っても、ある地点からぶつりと情報が途切れてしまう」

スティーブン「ライブラの情報網すら掻い潜る『何か』が、今回の騒動の根底にはいるんだ。だが―――現状ライブでの事件性は見受けられない」

スティーブン「……この事実をどう考える、クラウス?」

クラウス「………」

クラウス「……分からない」

クラウス「だが、一つだけ確固たる事実がある」

クラウス「ヘルサレズム・ロットの住人は彼女達のライブを楽しみにし、彼女達もまたヘルサレズム・ロットでのライブを成功させたいと思っている事だ」

クラウス「住民がそう願い、彼女達もまたそう願うのならば、私はその一助となりたい」

クラウス「例え、今回の任務が世界の均衡を守護する戦いで無いのだとしても、我々は―――そうあるべきだ」

スティーブン「クラウス……」

スティーブン「ああ、そうだな。ヘルサレズム・ロットでティーンエイジャーの学生がライブを行う……それは、ある意味でビッグイベントになるだろう」

スティーブン「二つの世界の架け橋となるやもしれない……そんな盛大な祭りにな」

スティーブン「守るぞ、クラウス。このライブを」

クラウス「ああ、必ずや守り切ろう」








絵里「よーし、練習終わり! 後は現地で最終調整して本番ね」

花陽「つ、つかれたぁ……」

凛「こ、今回は一段とハードだったにゃぁ……」

希「単独ライブやからねぇ。自然と唄う曲数も増えるし、練習し直さなければいけない曲もあるしね」

絵里「でも、皆ばっちりよ。かなり形になっているわ」

にこ「当然よ。どこで、誰を相手にするのだとしても手は抜かないわ。最高のライブを届けるの」

真姫「……練習の間、泣き言ばかり言ってたくせに」

にこ「そうだっけぇ〜、にこ忘れちゃった〜♪」

真姫「……キモチワルイ」

にこ「ぬぅわによ!」
18 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/06(金) 22:04:42.01 ID:Wmk5CJ9B0

絵里「後は……無事にライブが終わるのを願うばかりね」

希「理事長が言っていた『ライブラ』って人達は護衛を受けてくれたみたいやけど……」

真姫「それでもヘルサレズム・ロット……」

にこ「……何が起きるかは分からない」

花陽「うぅ……」

凛「にゃぁ………」

海未「……正直、怖くないと言ったらウソになります」

ことり「そう、だよね……」

穂乃果「………」

穂乃果「でもさ……でも、だよ?」

穂乃果「こんな機会、滅多にないんじゃないかな?」

海未「穂乃果……?」

ことり「穂乃果ちゃん……?」

穂乃果「だって、本当なら渡航だって制限されてる危ない街で……漫画の中の話でしかなかったような人達や物が沢山ある中で……」

穂乃果「それでも私達の歌を好きでいてくれる人たちがいて……沢山の人達がライブを望んでくれいて……」

穂乃果「でも、多分普通に望んだくらいじゃライブなんて出来ない……誰も認めてくれない、そんな所で……」

穂乃果「私達は、ライブをするチャンスを貰えた」

穂乃果「私は、このチャンスを無駄になんてしたくないよ」

穂乃果「絶対に……絶対に、成功させたい」



8人は、静かに穂乃果の言葉を聞いていた。
ヘルサレズム・ロットへの恐怖より先に、ライブへの成功を祈る彼女の姿に、8人はこれまで何度も感じて来た想いを再び胸に宿す。
迷った時、立ち止ってしまった時、あと一歩を押してくれるリーダーの言葉。
これまで何度も助けられ、力付けられ、ここまで歩んできた。
8人は、胸中に熱い感情が湧き上がるのを感じていた。

19 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/06(金) 22:05:24.97 ID:Wmk5CJ9B0

海未「ふふっ」

穂乃果「あー、何で海未ちゃん笑うのぉ!? 穂乃果、真剣に言ったのにぃ!」

海未「いえ、穂乃果はどんな時でも変わらないなと思いまして」

穂乃果「ぶー、それどーいう意味ぃー!?」

ことり「穂乃果ちゃんはすごいなってことだよ」

穂乃果「むむむ、それ褒めてるの?」

ことり「うん! ほんとに、ほんとーーーに凄いと思うよ! ね、海未ちゃん?」

海未「はい、本当に尊敬してます」

穂乃果「本当ぅ?」

海未「ええ、本当です」

真姫「……穂乃果の言う通りよね。怖がるのも良いけど、まずは」

花陽「ライブ、成功させなくっちゃね。ファンの人達のためにも」

凛「そうだよ! ヘルサレズム・ロットの人達にもたくさん楽しんで貰わなくちゃ!」

絵里「……さすが穂乃果ね」

希「うん。やっぱり穂乃果ちゃんが、私達のリーダーだよ」

にこ「そうね。そこは認めてあげても良いわ。まぁ、部長は私だけどぉ?」

絵里「何で、そこで張り合うのよ……」


兎にも角にも、9人の心が1つに固まった。
これまで何度もそうあったように、一つの物語を叶える為に。
そうして―――、


20 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/06(金) 22:06:18.03 ID:Wmk5CJ9B0


穂乃果「ついに!」

凛「来たよ!」

にこ「ヘルサレズム・ロット!」

真姫「何でそんなにテンション高いのよ……」

絵里「ちょっと前まであんなに怖がってたのに……」

希「まぁまぁ、楽しめるなら楽しんどいた方がええよ」

花陽「ド、ドキドキします……」

海未「だ、大丈夫ですか? 誰かに狙われていませんか?」

ことり「ま、まだ関門すぎたばかりだから大丈夫だよー」

親鳥「さぁ、離れないで。まずはライブラの人達と合流しましょう」

???「おっと、彼女達かな」

???「うむ、そのようだ」

???「おおお、本物! 本物の『μ’s』っすよ、ザップさん!」

???「ははは、はしゃぐんじゃねえよ、陰毛! おおお、大人の余裕を見せ付けとけけけけ」

???「ザップさん、声めっちゃ震えてますよ! ていうか彼女達の前でそのあだ名言ったら殺しますよ?」

???「おおん? 喧嘩うってんのかなあ、この糸目は? 憧れの『μ’s』の眼の前で死にたいのかなぁ?」


ドタバタギャーギャー!!


穂乃果「……何か喧嘩始まってない?」

絵里「……始まってるわね」

希「っていうかか、パーマの子が一方的に痛めつけられてる感じだけど……」

海未「だ、大丈夫でしょうか?」
21 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/06(金) 22:07:07.12 ID:Wmk5CJ9B0

スタスタスタ


花陽「……あ、近付いてきたよ」

真姫「先頭の人がリーダーかしら?」

にこ「段々近付てくるけど……デカっ」

凛「すごい体格にゃー……」

ことり「おっきいねぇー……」

???「お待ちしてました。『μ’s』の方々」

親鳥「この度は急な申し出を受け入れて頂き、ありがとうございます。私は音ノ木坂学園の理事長しております南と―――」

穂乃果「『μ’s』のリーダー・高坂穂乃果です!」

クラウス「私はライブラが統括責任者……クラウス・V・ラインヘルツと申します」


言いながら差し出されるクラウスの右手。

穂乃果もまた自然と、その手を握る。

手を介して伝わる力強さに驚きながらも、穂乃果は聞く。



クラウス「―――ようこそ、ヘルサレズム・ロットへ」



ライブラがリーダーからの歓迎の言葉。

それを受け、穂乃果もまた真っ直ぐにクラウスの瞳を見詰め返し、口を開く。



穂乃果「―――はい! よろしくお願いします、クラウスさん」



μ’sのリーダーもまた、言葉を返す。

二人の間で交わされる握手。

ヘルサレズム・ロットを包む霧の中で広げられるその光景は、まるで二つの世界が交錯したかのようだった。








ここにライブラとμ’s……本来なら交わり得ない二つのチームが揃った。

彼等は、彼女等は、まだ知らない。

この先に待ち受ける一つの【ゲーム】を。

それはヘルサレズム・ロット全体を巻き込んでの大騒動となり、果てに一つの伝説となっていく。

中心に立つのは、9人のスクールアイドル。

その最中で世界を守るため奮闘するは、秘密結社の面々。


全員で叶える物語が、ここに動き出す―――。



22 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/06(金) 22:07:47.09 ID:Wmk5CJ9B0
以上で投下終了です。
また書き溜めができたら更新していきます。
23 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga]:2020/03/19(木) 19:57:54.96 ID:H9pN8Q/k0
更新します。
24 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/19(木) 19:58:45.62 ID:H9pN8Q/k0




絵里「1,2、3、4―――穂乃果、タイミングが早いわ」

穂乃果「はい!」

絵里「花陽は少し遅い。周りをしっかり見て」

花陽「了解です!」

絵里「はい、ラスト―――」

レオ「いやぁ、良いっすねえ」

ザップ「いやぁ、良いなぁ」

ツェッド「……二人とも、だらけ過ぎでは?」

ザップ「アホか。しっかり護衛してるじゃねぇか」

ツェッド「おかしいですね。僕からすると見物してるようにしか見えないのですが」

ザップ「うるせぇなぁ。『隔離居住区の貴族(ゲットー・ヘイツ)』でそう簡単に事件なんて起こる訳ねぇじゃねぇか」

ツェッド「そりゃそうですけど」

レオ「すみません。まさかμ’sの生練習を見れるとは思わなくて……うへへ」

ツェッド「頬が緩み切ってますね……」

ザップ「うお、今度は『SUNNY DAY SONG』だぞ!」

レオ「マジっすか!? あの伝説のアキバライブの!?」

ツェッド「……はあ」

ツェッド(レオ君までこの様子じゃ、僕が気を引き締めないと駄目みたいですね)


25 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/19(木) 20:02:17.56 ID:H9pN8Q/k0
―――μ’s+レオ達から少し離れた所で


スティーブン「あの馬鹿達は大丈夫なのか?」

クラウス「心配ないだろう。いざという時程、頼りになる者達だ」

スティーブン「……そりゃそうだがな」


サニデーソング、サニデーソング、カガーヤキニナロウー♪


スティーブン「……それにしても、やはり分からないな」

スティーブン「何故、彼女達の唄は異界存在を惹きつけるのだろうか」

クラウス「ふむ……。スティーブン、君は彼女達の唄が好みではないのか?」

スティーブン「そういう訳じゃないが……」

K.K.『それはアンタが腹黒だからよ。Mr.スターフェイズ』

スティーブン「K.K、聞いてたのか?」

K.K『聞いてたってより、視てるわ。スコープ越しにね』

スティーブン「君からは死角だと思うが」

K.K.『目の前に大きなルームミラーがあるでしょうが』

スティーブン「……驚いた。鏡を通してか」

K.K.『貴方に驚かれてもねぇ』

スティーブン「―――で、僕の腹黒と彼女達の唄と何が関係あるんだ? というか君は彼女達の事を知っているのか?」

K.K.『うちの子たちがハマっててねー。踊りだって踊れるのよ?」

スティーブン「子どもにまで人気なのか?」

K.K.『あぁら、今時の子達なんてスクールアイドル大好きよー。ロースクールではお遊戯でスクールアイドルをしよう!なんて意見もあるみたいだし』

K.K.『A-RISEやAquorsなんかも人気だけど、やっぱり一番はμ’sねぇ』

K.K.『我が家じゃ、プリーマンに次いで鉄板ネタなんだから』

スティーブン「ほー、そんなにか」

K.K.『彼女達の魅力は何て言ったって『フレッシュさ』よ!』

K.K.『青春をこの一瞬に賭けてるっていうの?』

K.K.『売れたいとか人気になりたいとかいう利己的な気持ちは一切ない。純粋に楽しんで、純粋にファンの人達も楽しませようとする姿が感動するのよねえ』

K.K.『損得勘定が染みついちゃった貴方には、遠い感情過ぎて共感できないんじゃないの?』

スティーブン「あー、それはそうかもしれないな……」

スティーブン(純粋に楽しむため、か……確かにもはや忘れた感情だな)

スティーブン(僕に合わないのも頷ける。だが……)

スティーブン「……彼女達が異界存在を惹きつける理由は分からないままだな」

K.K.『……それは私も不思議に思ってたのよね。いくらなんでも食いつきが良すぎる気はするけど』


―――アシータヘノ、キタイガフクランデイイキモチー♪


クラウス「ふむ……」

26 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/19(木) 20:03:47.42 ID:H9pN8Q/k0


ハーイ、レンシュウオワリ!
ヤッタニャー!
ヘトヘトダヨー!



スティーブン「おっと、どうやら練習も終わりのようだ」

K.K.『ぶっ続けで数時間、若いわねー』

クラウス「しっかりと鍛錬を積んでいるようだ」

スティーブン「唄って踊るというのも、見た目以上に過酷なんだろうな」

スティーブン「……後はライブ会場の視察か。まぁ、それはアイツ等に任せるとしよう」

クラウス「そうしよう。私達は最後まで情報を洗うぞ」

スティーブン「そうだな。K.K.、引き続き監視を頼む」

K.K.『はぁい。怪しい奴がいたら、頭ふきとばしてやるわ』

クラウス(……彼女達が本格的に『外』へ出るのは、これが初回)

クラウス(異界存在が犇めく外を見て、彼女達がどう思うかだが……)

クラウス(……任せたぞ、レオ、ザップ、ツェッド)







穂乃果「おおー、これがヘルサレズムロット……」

凛「すごいにゃー……」

真姫「甲殻類や両生類をミックスして巨大化させたようなのが、フツーに歩いてて……」

絵里「口と目の生えたゲル状のヘドロ的な何かが普通に集団でお喋りしながら歩……這っていて……」

花陽「その後ろでは全身から触手を生やした人?が、その這った痕を凄い勢いで舐めとって興奮してて……」

海未「身体中から謎の煙を撒き散らしながら、『No Smoke!』のプラカードを掲げている人?がいて……」

ことり「本当に、こんな世界があるんだねー……あ、触手の人がゲル状の人達に怒られてる……」

花陽「痕を舐めてたのがバレたみたいだね……」

希「……うーん、これはスピリチュアル」

にこ「その言葉都合よすぎない……?」
27 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/19(木) 20:04:35.16 ID:H9pN8Q/k0
レオ「あはは、やっぱ最初は戸惑うよね。僕も最初の一週間は夢でうなされたよ」

ザップ「そうかぁ? 俺は入国して5分で異界生物と喧嘩(バト)ったけどなぁ。肩がぶつかっただの因縁つけてきてよぉ」

ツェッド「異界生物との初コンタクトがチンピラ同然の喧嘩って人は珍しいと思いますよ。本当に。極めて」

ザップ「よせよ。照れるだろうが」

ツェッド「褒めてはいませんけど……」

穂乃果「……でも、すごいですね。街の至る所に私達のポスターが飾ってあります」

絵里「私達のグッズを身に着けてる人も沢山いるわ……」

レオ「μ’sのライブが正式に決定してからこっち、ずっとこんな感じだよ。大騒ぎも大騒ぎ」

ザップ「ここ二カ月で更にファンが増えたみてぇだからな。もはやヘルサレズム・ロットにいる異界存在でお前達を知らない奴はいないぜ、割とマジで」

絵里「そ、そうなんですか?」

花陽「プ、プレッシャーですぅ……」

真姫「だから、こんな変装(帽子+サングラス+マスク)させられてるのね」

海未「でも、安心感はありますね」

ことり「逆に怪しい気するけど……」

希「まるで『?←HERTBEAT』のPV撮影の時みたいやねぇ」

にこ「あの時も大変だったけどね。まさかヘルサレズムロッドでもこんな感じなんて」

凛「ビックリだよー」



28 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/19(木) 20:10:10.41 ID:H9pN8Q/k0


花陽「ああ、スクールアイドルショップです!」

にこ「うそ、ヘルサレズム・ロットに!?」

レオ「最近増えて来たんだよ。結構色々なグッズがあるよ」

花陽「うわぁ、写真から映像が浮き上がってきました!」

にこ「3Ⅾ映像? どういう原理よこれ……でも、これは買いね!」

花陽「μ’sだけじゃなくてAquorsやA-RISEもあります! わぁ、こんなマニアックなグループまで!」

にこ「渋いチョイスね。この店やってる奴は中々センスがあるわ。おこづかいは、厳しいけど……限界まで、買っていきましょう!」

花陽「はいいい!」

レオ「も、盛り上がってるところ悪いけど」

ツェッド「基本的にヘルサレズム・ロット独自の技術は関門で止められますので、気を付けた方がいいですよ」

にこ・花陽「「」」ガーン!!

花陽「な、何とか持ちだす方法は……?」

にこ「密輸よ密輸!」

ツェッド「いやぁ、異界でもかなりの高位存在らしいので、無理かと……」

にこ・花陽「「そんなぁー……」」

穂乃果「あはは残念だったね、にこちゃん、花陽ちゃん」


29 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/19(木) 20:11:56.88 ID:H9pN8Q/k0


凛「あ、ペットショップにゃ。ネコさんもいるよ〜」

海未「普通の品種もいるんですね。中には良く分からない生命体もいますが」

絵里「猫っぽい頭に昆虫みたいな足が生えたのとかね……」

ザップ「あー、そいつはネゴっつうんだ。気を付けろ、ちょっかい出すと食われるぞ。ていうか食われた」

海未「食わっ……!?」

希「うーん、スピリチュアル」

絵里「……そうなの?」

ことり「うーん、ネゴさんかわいい〜💛」

穂乃果「ことりちゃん、話きいてた?」

レオ「そう言えば、星空さんは猫が好きなんだよね」

凛「うん! でも、アレルギーがあるから触れないんだぁ」

ザップ「ふっふっふ……一つ良い事を教えてやろう、猫好き娘よ」

ザップ「なぁんと、ヘルサレズム・ロットの猫はアレルギー持ちでも触れるのだ!」

凛「へ……?」

レオ「なんでアンタが自慢げなんですか……まぁ、ザップさんの言ってる事は本当だよ」

レオ「科学的な魔導的な何か良く分からない何かで、アレルギー反応がでないよう管理されてるらしいよ」

ツェッド「しっかりとしたペットショップで売ってるような、正式に品種改良されてるものに限りますけどね」

レオ「……抱いてみる?」

凛「うん! うんうんうん、抱いてみたい! 抱いてみたいにゃ!!」

レオ「はい、どうぞ」

猫「ニャーニャー」

凛「うわぁぁ、ふわふわでふかふかだよぉ」

凛「可愛いにゃぁぁぁ。うわぁ、こんな日が来るなんて考えてもみなかったよぉ〜〜〜」

凛「ありがとう! レオさん、ザップさん、ツェッドさん!」

レオ「ちょうど通り道だったからね。これくらいの寄り道なら理事長さんも許してくれるでしょ」

ツェッド(とか言いながら、レオ君が必死にこのルートを考えたんですけどね)

ツェッド(彼女達のプロフィールを見直して、安全な場所で、尚且つ彼女達が楽しめそうな場所をピックアップして、ライブ会場までルーティングして……)

ザップ「感謝しろよぉ。お前等ぁ」

ツェッド(この人もそのこと知ってる筈なのに、何でこんな偉そうなんだろうか……?)


30 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/19(木) 20:12:29.78 ID:H9pN8Q/k0

希「おおお、ヘルサレズム・ロットのスピリチュアルグッズ……何というスピリチュアルレベル……!」

真姫「へえ、ヘルサレズム・ロットではこんな音楽が流行ってるのね」カミノケクルクルー

絵里「このチョコ、美味しいわ!」パァァ

ことり「このチーズケーキも、おいしぃ〜!」ホワァァ

海未「これは異界でいう舞踊……的な? 動きが複雑怪奇過ぎて良く分かりません……というか、踊ってる人も人型じゃないですし……」

穂乃果「あはは、皆たのしそうだねぇ〜」

穂乃果「やっぱり凄いですね、ヘルサレズム・ロット。私達の世界とは大違いですよー」

レオ「だろう? 大通りなら比較的安全だし、普通に楽しめるよ。観光客だって結構来てる訳だし」

穂乃果「街の人達も、異界存在?って人達も、思ってたよりも優しくてビックリしました」

レオ「基本的には普通な人達ばかりだよ。……中には(本当は結構)とんでもないのがいるけど」

レオ(というか、ヤバそうな奴等は事前にザップさん達が排除してくれてるんだろうなぁ)

レオ「と、ここが会場かな」

穂乃果「わあーーー!! 広ーーーーい!!」

ことり「ふわあ、大きいねぇ……」

海未「す、すごい会場ですね……ここが埋まるくらい人が来るんですか?」

絵里「もし満員になればラブライブ本選にも匹敵する人数ね……」

にこ「ま、まぁ、私達に相応しい舞台なんじゃないかしら?」

希「声ふるえてるよ、にこっち」

花陽「緊張します……!」

凛「でも、決めたもんね!」

真姫「全力でやりきる、でしょう?」


ワーワー!
ヤルヨー!ガンバルニャー!
タノシミダヨー!


ザップ「さすがじゃねぇか」

ツェッド「え?」

ザップ「こんだけの会場見ても、誰もビビらねえでやんの」

ザップ「普通のガキなら足がすくんで尻込みするところだぜ」

ツェッド「確かに……相応の経験を積んできたって事でしょうか」
31 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/19(木) 20:15:05.87 ID:H9pN8Q/k0

レオ「………」

レオ「……あの、一つ聞いても良いかな?」

穂乃果「? 何ですか、レオナルドさん?」

レオ「……あー、うん。……でも、やっぱりやめとこうかな。こんなタイミングで聞くもんじゃないと思うし……」

穂乃果「何ですかぁ。そんな気にしないで、何でも聞いて下さいよ」

ザップ「テメーがうじうじしてんじゃねぇよ、陰毛様よぉ。気持ち悪ーだろうがよぉ」ググググ

海未「陰っ……!?///」

レオ「いたたたたた! 関節はそっちには曲がらないっつの!! っていうかアンタ、そのクソあだ名言いやがったな!!」

ザップ「うるせーな。ここまで我慢してやっただろうがよー。許容範囲越えてキモい反応したテメーが悪いんだろーがよー」ググググググ

レオ「いたたた!!! ギブギブギブっす、ザップさん!!」

穂乃果「あははは、楽しそうですねぇ」

レオ「この惨状見て、その感想!?」

ツェッド「はいはい、辞めて下さいって。彼女達、若干ひいてますよ」

ザップ「しゃーねーなー。ほれ、リリースだ」

レオ「いててて、ヒビくらい入ってんじゃないか、これ……」

穂乃果「それで、質問って何ですか?」

レオ「あー、そのさ。ネットニュースで知ったんだけどさ……」

レオ「その……μ’sが、解散するって。これって本当なのか気になってさ」

ザップ「お、それ俺も知りてーな。フェイクニュースだろ? こんな人気があるのに辞める必要なんざ―――」

穂乃果「―――解散しますよ」

レオ「……!」

32 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/19(木) 20:15:49.00 ID:H9pN8Q/k0

迷いなく告げられた穂乃果の言葉に、レオは目を見開く。
薄々答えに気付いてはいたものの、ここまできっぱりとすっぱりと答えられるとは思わなかったのだ。


ザップ「ううう嘘だろ? こここんな人気があるのに、な、なんで辞める必要があるのよ?」

ザップ「スクールアイドルじゃなくてもそのままアイドルになっちゃえば良いじゃねぇか。現にA-RISEとかはそうするんだろ?」

ザップ「そんなん全然珍しい事じゃねえしよー。辞めるこたないってー。っていうか辞めないでくれよぉー(泣)」

ツェッド「己の欲望丸出しですね。ていうか、大の大人がガチ泣きなんてしないで下さいよ」

ザップ「うるせー! この悲しみは魚類にはわかんねえだろうよぉ!」


泣き出すザップに、困ったように微笑みながら9人は言葉を紡いでいく。


絵里「……そう思ってくれてるだけでも嬉しいです」

希「私達の活動を支持してくれて、私達の唄を楽しみにしてくれる……そんな人達がいたから、私達はここまで来れた」

にこ「……でも、皆で決めた事だから」

花陽「三年生が卒業したらμ’sは解散……」

凛「私達も悲しいし、淋しいけど……」

真姫「それでも、この9人が揃ってこその『μ’s』だから……」

ことり「どれだけファンの皆さんが望んでくれていても、」

海未「どれだけヘルサレズム・ロットの方々が望んでくれていても、」

穂乃果「―――私達は、解散します」

レオ「そう、なんだ……」


リーダーである穂乃果だけではない。

9人全員が、同じく迷いのない瞳をしていた。

そこにある決意の固さを、レオは目の当たりにした。

33 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/19(木) 20:16:15.00 ID:H9pN8Q/k0

穂乃果「……ごめんなさい、レオさん。こんなにも良くしてくれているのに、こんな答えしか言えなくて」

レオ「いやいや、良いんだよ。そりゃショックじゃないって言えば嘘だけどさ。何て言うか、君達の本心が聞けたから」

レオ「僕も―――心の底から明日のライブを楽しめると思う」

レオ「こういうライブをするのも、あと何回もないんだろ? 悔いの残らないようにしなくちゃね」

穂乃果「レオさん……」

穂乃果「……うん、がんばるよ! 皆、最高のライブにしようね!」

8人「「「「「「「「おおー!!」」」」」」」」

レオ「ふふ、応援してるよ」


明日のライブに対する意気込みを、より強いものにしながら、彼女等は一斉に右手を振り翳した。

9人の声が、無人の会場に響き渡る。

そんな彼女等を、レオは優しく見守っていた。



ザップ「うぇぇええ、マジで解散しちゃうのかよー。考え直してくれよぉぉぉー(泣)」

ツェッド「……彼女達の決意、聞いてました?」



……そして、その後方では未だ現実を受け止めきれない男が一人、慟哭していた。




34 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/19(木) 20:18:01.47 ID:H9pN8Q/k0




―――宿泊ホテルにて


穂乃果(………うーん)

穂乃果(何だか興奮しちゃって寝付けないなぁ……)

穂乃果(海未ちゃんとことりちゃんは……)

海未「ZZZ……」

ことり「うへへ、穂乃果ちゃ〜〜ん、海未ちゃ〜〜〜ん……」

穂乃果(寝てるよねぇ)

穂乃果(うーん、ちょっと気晴らしにロビーにでも行こうかな)



―――数分後

穂乃果(まぁ、誰もいないよね……ロビーの人がいるくらいだ)

穂乃果(そこら辺で座って、少し時間つぶそ)

穂乃果(……ついに明日かぁ)

穂乃果(何だかすごかったなぁ。街中にポスターが貼られてて、私達のグッズを身に着けた異界の人達もいて……)

穂乃果(会場だってあんなにすごいところを準備してくれていて……)

穂乃果(皆が、楽しみにしてくれている。人間や異界存在も関係なく、皆が―――)

穂乃果「―――がんばら、なくちゃ」


小さく呟いた言葉は、静寂の中に消えていく。

だが、唯一その言葉を耳にした者がいた。



クラウス「―――君は……」

穂乃果「クラウスさん……?」

クラウス「コウサカ嬢でしたか。こんな夜遅くにどうされました?」

穂乃果「あはは、穂乃果で良いですよ。それにもっと気軽に話して下さいよ。何だか私も畏まっちゃいます」

クラウス「む、失礼した。ホノカ―――これで良いかな」

穂乃果「はい」ニッコリ
35 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/19(木) 20:19:17.13 ID:H9pN8Q/k0

穂乃果「ええと何の話でしたっけ……ああ、そうだ。こんな夜中に何してるかでしたっけ」

クラウス「ああ」

穂乃果「いやぁ、明日が本番だと思うと何だか寝付けなくて……皆は寝てるし、ここで時間を潰してようかなぁと」

穂乃果「クラウスさんはどうしたんですか?」

クラウス「調査自体は完了したので、明日まではここにいようと思い立ったのだ」

穂乃果「それって私達を守るためにって事ですか」

クラウス「む、いや、それは……」

穂乃果「何でそこを隠すんですかー。あ、もしかして、私に気を使わせないようにしてくれてます?」

クラウス「むむ、そういう訳では……」

穂乃果「あはは、クラウスさんて真面目なんですね。海未ちゃんをもっともっと堅物にしたみたい」

クラウス「むむむ……」

穂乃果「でも―――ありがとうございます」

穂乃果「クラウスさんや、レオナルドさん達……ライブラの皆さんが力を貸してくれるから、私達は安心してライブができます」

穂乃果「感謝してもしきれないです」

クラウス「……我々は当然の義務を成しているだけだ。一度守ると約束をしたならば、それは必ず遂行されなけばならない」

穂乃果「あはは、やっぱり真面目だ。でも、だからこそ、安心できます」


その言葉を最後に、二人の間に沈黙が流れる。
とはいえ、余り気まずくはない、どこか心地のいい沈黙であった。

36 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/19(木) 20:20:13.19 ID:H9pN8Q/k0


クラウス「……一つ、聞いてもいいかな」

穂乃果「何でしょう?」

クラウス「その……怖くはないのか? このヘルサレズム・ロットでライブをする事に対して」

クラウス「私達の調査で観客たちに裏がない事は判明した。だが、主催者側の動きなど、不可解な点があるのは事実だ」

クラウス「この街は私達であってしても、全てを見通せている訳ではない。その深淵の表層を垣間見ているだけだ」

クラウス「予想だにできない形で、何者かが君達のライブに介入してくる可能性は十二分にある。……それでも、君達はライブを遂行しようとするのか?」


クラウスは事実をあるがままに伝えた。
ライブラを持ってして十全の安全など有り得ない。それが、このヘルサレズム・ロットという街である。
一介の女子高生がライブをするような所ではない。
卑怯な物言いであるのは承知の上。
だが、今しかない。
今ならまだ、引き返す猶予は存在するのだ。
『μ’s』がリーダーの反応を、その心の内を、クラウスはその慧眼でもって見極めんとする。


穂乃果「………」


『ライブラ』がリーダーの問い掛けに、高坂穂乃果は押し黙る。
改めて突き付けられた事実に、目を逸らそうとしていた事実に、再び彼女は直面する。
沈黙は、何時の間にか重く、苦しいものとなっていた。
痛いような静寂の中、だがしかし、高坂穂乃果は口を開いた。


穂乃果「……怖くないって言ったら、嘘になります」


高坂穂乃果の答えを、クラウスは無言で聞き進める。


穂乃果「本当だったらスクールアイドル協会も許可をしない場所でのライブで、どこか開催者側の動きもおかしくって……」

穂乃果「それに異界と繋がっているという都市で……治安もすごく悪いって聞いていて……」

穂乃果「おかしなな事ばかりの状況で……正直、何がなんだか分からないような状況で―――」

穂乃果「―――でも、ファンの人達の想いは本当でした」

穂乃果「実際に街を見て、知る事ができました。本当に私達が好きで、本当に私達のライブを待ち望んでくれてる人達がいるんだって」

穂乃果「異界存在とか、そういう事も関係なく、純粋に私達の唄を好きでいてくれてる人達がいる」

穂乃果「だから、怖い気持ちもあるけど……それでもライブを―――やりたいです」

穂乃果「ファンの人達の前で唄って踊って、もし皆を笑顔にさせる事ができたなら、それは本当に嬉しい事なんだって思います」

穂乃果「私は、このライブを成功させたい。もし何かが起こるのだとしても―――絶対に」


真っ直ぐにクラウスの瞳を見詰め返し、穂乃果は語った。
己が想いを、ただ一片の偽りもなく。


クラウス「……そうか」


だからこそ、その言葉は、その想いは、クラウスにも届く。
恐怖を受け止め、それでも尚、異界存在と人類の隔たりもなくファンの為に唄おうする少女。
その想いの強さを―――高坂穂乃果という人間の強さの一端を―――見た。
恐怖はあれど、迷いの無い想い。
ならばこそ、クラウス・V・ラインヘルツの成す事は決定していた。

37 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/19(木) 20:21:26.49 ID:H9pN8Q/k0

クラウス「君の想いは聞き遂げた。ならばこそ、ここに誓おう」

クラウス「我が身命に賭けて、君達を守り抜こう―――例え、何が起ころうと、だ」

穂乃果「クラウスさん……」

穂乃果「はい―――よろしくお願いします」


二人の間で、誓いが成される。
ライブを成功させるため力を振るう、と。
少女の強い想いに対して、鉄の如く決意でもって、応えた。


穂乃果「明日はクラウスさんもライブに来れるんですか?」

クラウス「ああ。ライブが終わり、君達が無事に帰国するまで私も警護にあたる」

穂乃果「クラウスさんもライブ楽しんでってくださいね。護衛しながらじゃ、そんな暇はないのかもしれないですけど」

クラウス「そのつもりだ。心の底から楽しみにさせて貰おう」

穂乃果「はい、クラウスさんにも聞こえるよう全力で歌いますね!」

クラウス「ハハ、無理はしないでくれたまえ」

穂乃果「えへへ、でも頑張ります!」

穂乃果「……っと、何だか眠くなってきちゃったかな」

クラウス「そろそろ良い時間だ。休むといい」

穂乃果「そうですね。お暇させてもらいます」

穂乃果「クラウスさんも、警備ムリしないで下さいね!」

クラウス「ああ、了解した」


笑顔で手を振り、立ち上がる穂乃果。
エレベーターへと向かっていく彼女の見守りながら、クラウスは無人となったロビーにて静かに鎮座する。
熱い意志を心中に滾らせながら、時が過ぎるのを待ち続ける。



そして―――、





38 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/19(木) 20:23:46.58 ID:H9pN8Q/k0
―――本番当日・ライブ会場



穂乃果「ついに本番だねぇ」

ことり「すごい歓声だねー。ここまで聞こえてくるよ」

絵里「あの会場が満員になるなんてね」

希「ホンマに人気があるんやねえ、うちら」

にこ「8割方が異界存在って話よ」

凛「ちらって見てみたけど、凄い格好の人達ばっかりだったよ」

花陽「ううう、緊張するよぅ……」

海未「分かります。この瞬間は、何度経験しても慣れません……」

真姫「大丈夫よ。あれだけ練習したんだもの」

穂乃果「よーし、そろそろ時間だね。皆、準備は良い?」

海未「はい、覚悟は決めました」

ことり「ばっちりだよ〜♪」

花陽「深呼吸、深呼吸……うん、大丈夫だよ!」

凛「凛は準備万端だよー!」

真姫「私も。問題ないわ」

絵里「皆、練習では完璧だったわ。後は力を出し切りましょう」

希「うちらも全力で楽しんで!」

にこ「ヘルサレズム・ロットの住人に最高のライブを届けるわよ!」


39 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/19(木) 20:24:46.71 ID:H9pN8Q/k0


穂乃果「よーし! 行くよ―――」




穂乃果「―――1!」


ことり「―――2!」


海未「―――3!」



真姫「―――4!」



凛「―――5!」



花陽「―――6!」



にこ「―――7!」


希「―――8!」



絵里「―――9!」







9人「「「「「「「「「μ’s―――ミュージック……スタート!!!!!!!!」」」」」」」」」








掛け声と共に、ライブ会場へと駆け出していくμ’s。

視界を埋め尽くすは、多種多様な異界存在達の姿。

怒号にも絶叫にも似た歓声が、彼女達の身体を叩く。


40 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/19(木) 20:25:58.84 ID:H9pN8Q/k0


穂乃果「皆さん、こんにちはー!! μ’sの高坂穂乃果です!!」


穂乃果「今日は私達のライブに来てくれてありがとーーー!!」


穂乃果「ライブが始まる前に、皆さまに一つ朗報です!」


穂乃果「何と! 今回のライブは私達スクールアイドルのソーシャルゲーム『スクールアイドル・フェスティバル』とも連携をしているんです!」




ライブの前説。

示された段取り通りに、穂乃果がライブを進行していく



穂乃果「今この瞬間、スクフェスにログインすると豪華景品がもらえるとの事でーーす! ライブが始まる前に皆チェックしてねー!!」



促されるように、皆スクフェスを起動する。

その瞬間―――、









「――――ごきげんよう、ヘルサレズム・ロットの諸君! 皆の堕落王・フェムトだよ!!」






ライブ会場の大スクリーンに……いや、ヘルサレズム・ロット上での全ての液晶画面に、一人の男が映し出された。

それは、ヘルサレズム・ロットの住人ならば、誰もが知っている存在。

遊びと称して世界を滅亡の危機に陥れる、狂気なる堕落の王。


―――堕落王・フェムトの姿が、そこにあった。








かくして、【ゲーム】が始まる。

ヘルサレズム・ロットの命運を賭けた、過酷で悪趣味な遊戯。

だがしかし、今はまだ誰も知らない。

この【ゲーム】の果てに、一つの伝説が生まれる事を。

それはライブラの面々も、μ’s達も、かの堕落王ですらも、知る由はない。

誰も知らぬ結末に向けて、歯車が進み始める―――。




41 : ◆LkcNa0PVZN6J [saga sage]:2020/03/19(木) 20:26:39.18 ID:H9pN8Q/k0
以上で投下終了です。
また書き溜めができたら投下していきます。一応次で完結予定です
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