【ミリマス】育「ドラマ こんじき雛」

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58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/03/29(日) 17:11:07.27 ID:O0jAO63X0
まつり「しかし子どもの骨がこんなにも……これから皆を供養してやらねばならんのう」

育「ええ。……あれ? この仏さんが首に提げているのって、ひなた殿のお守りだ」

まつり「そういえば山へ登る前、エミリーが村娘からお守りを受け取っているのを見たのじゃ」

育「他の仏さんよりも骨が新しい……きっとこの方がひなた殿の兄上に違いない。そっか。エミリー殿が見つけてくれていたんだ」

まつり「これで皆ようやく村に帰れるのじゃな。さあ、育吾郎も早く戻って皆に元気な顔を見せるのじゃ」

育「ええ。そうさせていただきます」

まつり「おや、もう日の出なのじゃ。ほ――」

育「わぁ……」

まつり「驚いたのじゃ。辺り一面、満開の桃の花でいっぱいなのじゃ。これも鬼を封じた効果か」

育「とってもきれいです。そうか。鬼の城は、桃の木が折り重なってできていたんですね」

育(エミリー殿とは、これからもこの太陽の光の下で繋がっていられる……だからどうか見ていてね。君が叶えてほしいと言ってくれた世界を、きっと作ってみせるから)

育「桃の花――そうだ。殿、もう一つお願いを申してもよろしいですか」
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/03/29(日) 17:11:42.94 ID:O0jAO63X0
――その頃


紬「本当にこれで良かったのですか?」

エミリー「はい。私が選んだ道です。後悔はありません」

紬「こうなってしまっては、もう手紙を送ることもできませんよ」

エミリー「手紙のやり取りを続ければ呪術の効力が薄まりやがて解けてしまう、という話でしたね……なら最初からしない方がいいはずです」

紬「しかし……」

朋花「あら〜茉州殿から聞いていた以上に強情な娘さんのようですね〜」

紬「お殿様」

朋花「ようこそ、我が天空藩の船へ。あなたがエミリーさんですね〜」

エミリー「天空藩のお殿様ですね。よろしくお願いいたします」

朋花「いかにもです。さて、茉州殿からお話は伺っています。結論から言いましょう。あなたのご両親は無事です。つい先日より我が藩で医師として働いてもらっていますよ〜」

エミリー「ほ、本当ですか!? ありがとうございます!」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/03/29(日) 17:12:19.90 ID:O0jAO63X0
紬「良かったですね、エミリーさん。……しかし茉莉藩でもあの藩との交渉には難儀していたそうですが、よく身柄の引き渡しに応じてくれましたね」

朋花「そこに関しては我々の方が畑だということです。我が天空武士団を舐めてもらっては困りますよ〜」

紬「……エミリーさん、これからはこれからで何かと大変でしょうけど、どうか達者で暮らしてくださいね」

エミリー「は、はい。もちろんです。育吾郎さまに負けないよう、私も信念を持って生きて参ります」

紬「ええ。以前よりも成長なされたあなたとの再会を、ご両親も待ちわびておられることでしょう」


こうしてエミリーは天空藩で両親と再会し、また共に暮らせるようになった。

やがてエミリー一家はその時代の日本の医学発展に多大な功績を残し讃えられ、その後惜しまれながらも故郷イギリスへと帰って行った。
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/03/29(日) 17:12:50.79 ID:O0jAO63X0
――それから50年後


エミリーの孫「おばあさま、ただいま!」

エミリー「おかえりなさい。日本への旅は楽しかったかしら?」

エミリーの孫「はい! おばあさまから聞いていたとおり、とっても素敵な国でした! ねぇおばあさま、私ジャパンでとても面白いものを見つけてきたんです」

エミリー「面白いもの?」

エミリーの孫「おばあさまが私に話して聞かせてくださっていた、雛人形というものなのですが――ほら!」

エミリー「!! これは――」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/03/29(日) 17:13:59.16 ID:O0jAO63X0
エミリーの孫「とっても可愛らしいですよね。この女性のほうの人形は、『こんじき雛』と呼ばれているそうです。なんでも、ある地方で縁起物とされているそうで」

エミリーの孫「伝承によると、とある村でのちに村の英雄となられた方の命を救った少女がいたそうです。曰く、その少女は金色の髪をした異国の人であったと……」

エミリー「……」

エミリーの孫「村ではその少女の勇気を讃え、村の女の子たちが強く凜々しく美しい女性に育つよう願いを込めて、こんじき雛を飾るようになったそうですよ」

エミリーの孫「それに聞いてください♪ 私、このお雛様にそっくりだって褒められてしまったんです。まったく、ジャパンのみなさんはお世辞がお上手なんだから――」

エミリーの孫「――おばあさま? どうされたのです。どうして泣いているのですか?」

エミリー「いいえ。なんでもないわ。ふいに、遠い日の出来事を思い出してしまって……そうですか。ちゃんと実っていたのですね。私のあのときの気持ち……」

エミリーの孫「思い出話ですか? ぜひ聞きたいです! おばあさまは今の私くらいの歳の頃、ジャパンで過ごしていたんですよね」

エミリー「ええ。そうね……では話してみようかしら。太陽の昇る国で出逢った勇ましいお侍さんの話……私の初恋の話をね」


おわり
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/29(日) 17:14:26.89 ID:O0jAO63X0
ありがとうございました。
64 : ◆NdBxVzEDf6 [sage]:2020/03/29(日) 17:26:59.47 ID:I97PAPAs0
ここの先輩劇中劇のヒール役板についてきたな
乙です

>>1
エミリー役 エミリー(13) Da/Pr
http://i.imgur.com/nCfM0Zo.jpg
http://i.imgur.com/ILZiQFy.jpg

>>3
中谷育吾郎役 中谷育(10) Vi/Pr
http://i.imgur.com/URuX0bd.png
http://i.imgur.com/DbdHIxE.png

>>6
ひなた役 木下ひなた(14) Vo/An
http://i.imgur.com/tusAMxG.jpg
http://i.imgur.com/Wn8buxu.jpg

>>11
徳川松利役 徳川まつり(19) Vi/Pr
http://i.imgur.com/s3X9XYA.png
http://i.imgur.com/nC8gxdQ.jpg

>>23
蘇芳童子役 周防桃子(11) Vi/Fa
http://i.imgur.com/Q2JWB2C.jpg
http://i.imgur.com/3lWdMKy.png

>>35
祈祷師役 白石紬(17) Fa
http://i.imgur.com/ZekW9X1.png
http://i.imgur.com/6M8RxhB.png

>>59
天州役 天空橋朋花(15) Vo/Fa
http://i.imgur.com/6eFMDSP.jpg
http://i.imgur.com/E3hYPoe.jpg

>>57
「グッデイ・サンシャイン!」
http://youtu.be/XGCS8UBJe8I?t=79
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/29(日) 17:45:26.78 ID:bGGdBUnDO


貧乏旗本w
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