このスレッドは950レスを超えています。そろそろ次スレを建てないと書き込みができなくなりますよ。

【モバマス】凛・藍子「1・2・3で飛び込め!」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

500 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 00:46:12.31 ID:7lJjk3Gc0

テンテンテテテン♪

藍子「凛さんもサイコソーダでいいですか?」

凛「うん」

ガゴン

藍子「――ぷはーっ」

藍子「はあ……生き返りますね……!」

凛「……さて、ちょっと休んだらジムに行ってみようか」

藍子「そうですね。それにしてもこの町……」

ズゥン
501 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 00:46:38.29 ID:7lJjk3Gc0

藍子「まるで町全体がお城みたいですね……すごく雰囲気があります」

凛「そうだね。……へえ、中世の城壁を活かした歴史ある街、だって」

凛「ジムとスタジアムは街の中心辺りかな」

藍子「どんなタイプを使うジムなんでしょう……気になりますね」


ナックルジム

ガラッ

藍子「すみませーん……」
502 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 00:48:23.64 ID:7lJjk3Gc0

ジムトレーナー「おう! 嬢ちゃんたち、もしかしてジムチャレンジャーかい?」

藍子「そ、そうです」

ジムトレーナー「ハッハッハ! そりゃあタイミングが悪かったなぁ! うちのジムリーダーは今ちと忙しいんだ」

ジムトレーナー「なんでも道場破り気分でうちのジムリーダーを倒しにきた命知らずがいるらしくてな。あまりにも躾がなってねえもんだから、当人が直接お相手してやってるんだとよ」

凛「道場破り……?」

ジムトレーナー「どうだ。今から向こうのスタジアムでバトルが始まるんだ。嬢ちゃんらも見ていかねえかい?」

藍子「それじゃあ……!」

凛「私も。見せてもらおうかな」
503 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 00:48:54.71 ID:7lJjk3Gc0

ジムトレーナー「うっしゃ!」

ジムトレーナー「ところで嬢ちゃんたち、バッジはいくら持ってるんだ?」

凛「私も藍子も3つだよ」

ジムトレーナー「……ほう」

ジムトレーナー「3つ、か」

ジムトレーナー「……嬢ちゃん達、悪いことは言わねえ。まだアンタらにこのジムは早い」

藍子「えっ?」

ジムトレーナー「ま、べらべら語るより見てもらった方が早いわな。案内するよ」
504 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 00:49:36.80 ID:7lJjk3Gc0

ナックルスタジアム

凛(……広い。これまで見たどのスタジアムよりも)

ジムトレーナー「あっちにいるのがうちのジムリーダーだ」

藍子「へえ……」

藍子「ってあの小さい女の子がですか!?」

ジムトレーナー「身長なんざカンケーねえよ。実力は確かだ」

??「使用ポケモンはお互い1匹。交代なしの一発勝負です。それでいいですね?」

おぼっちゃま「フン。まあいいだろう」
505 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 00:50:21.04 ID:7lJjk3Gc0

おぼっちゃま「どうせ結果は同じだよ。アンタはこのボクの前に屈する運命なんだから……!」

藍子「……! 女の子になんて口を……」

凛「……」

ジムトレーナー「気持ちはわかるが、ま、見てな。あんな外道には負けやしねえさ」

??「……言いたいことはそれだけですか?」

おぼっちゃま「……ああ?」

おぼっちゃま「新参者のくせに舐めた口ききやがってよお……」

おぼっちゃま「ほんと気に食わないね。ジムリーダー珠美……アンタの栄光も今日限りだ!」
506 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 00:51:21.69 ID:7lJjk3Gc0

ドローンロトム『バトル・スタート!!』

おぼっちゃま「いくぜ、カジリガメ!」ポン

カジリガメ「カジ」

カジリガメ かみつきポケモン みず・いわタイプ
伸び縮みする首を駆使し、離れたところから鋭いキバで敵をしとめる
顎の力は鉄棒を噛み千切るほどだ

珠美「エルレイド、よろしくお願いします」ポン

エルレイド「エル」

エルレイド やいばポケモン エスパー・かくとうタイプ
伸び縮みする肘の刀で戦う居合の名手
なにかを守るためでなければ肘の刀は使わない
507 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 00:51:51.93 ID:7lJjk3Gc0

おぼっちゃま「カジリガメ!」

カジリガメ「カジ」グググ

珠美「エルレイド、構えてください」

エルレイド「エル」

おぼっちゃま「……」

おぼっちゃま「と見せかけて!」シュゥゥ

藍子「……ボールに戻した? ということは……」

藍子「!? あれはダイマックスバンド!?」
508 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 00:52:22.80 ID:7lJjk3Gc0

おぼっちゃま「へへっ……」シュゥゥ

おぼっちゃま「パパが大金はたいて買ってくれたんだ。しっかり仕事してもらうぜ」

おぼっちゃま「それっ! キョダイマックス!」ブゥン

カッ

ズドォォォォォン

カジリガメ「ガジィィィィ」ズドォン
509 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 00:53:12.45 ID:7lJjk3Gc0

凛「立ち上がった……!?」

ジムトレーナー「あれがカジリガメのキョダイマックスした姿だな」

藍子「キョダイマックスするポケモンにダイマックスバンドを持ってるなんて、あのトレーナー……かなり強いんですかね」

ジムトレーナー「いや、そうとも限らないぜ」

藍子「えっ?」

カジリガメ「ガジィィィィ」

おぼっちゃま「お、おおっ……これがキョダイマックス……! すごい迫力だ……!」
510 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 00:54:16.54 ID:7lJjk3Gc0

おぼっちゃま「これならあのエルレイドなんてペチャンコにできるはず……いくぜ、カジリガメ!」

おぼっちゃま「ダイストリームッ!」

カジリガメ「ガジィィィィ」ググッ

カジリガメ「ガジィィィィィィィ」

ズドォォォン

おぼっちゃま「……! これがキョダイマックスのパワー!」

おぼっちゃま「すげえ……エルレイドが一瞬で消し飛んだ! ……へ、へへっ、この力があれば、ボクは――」
511 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 00:55:01.41 ID:7lJjk3Gc0

シュゥゥゥゥ……

エルレイド「……」スタッ

おぼっちゃま「はっ?」

珠美「その程度でしょうか?」

おぼっちゃま「……んだと?」

おぼっちゃま「ならもう一回喰らえよ……ダイストリーム!」

カジリガメ「ガジィィィィ」

ズドォォォン
512 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 00:56:06.55 ID:7lJjk3Gc0

おぼっちゃま「は……ははっ。次は雨が降ってるし威力も増してるぜ……ひとたまりもねえだr」

エルレイド「……」スタッ

おぼっちゃま「……」

おぼっちゃま「……な、なんでだ? なんで効かねえんだ? ちゃんと命中してただろ……」

珠美「効きません。意志のない攻撃は、珠美のエルレイドには届きません」

おぼっちゃま「意志のない……攻撃……?」
513 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 00:57:15.26 ID:7lJjk3Gc0

珠美「あなたは……ダイマックスバンドは持っているはずなのに、実力が伴っていないようですね」

珠美「先程もパパがどうとか……さしずめ権力を駆使して、わざわざ自分の身の丈にそぐわない代物を手に入れたのでしょう」

おぼっちゃま「なっ……」

珠美「そして強大な力を手にしたと思い込んだあなたは、自分の力を見せびらかすためにこうしてわざわざ珠美に勝負をしかけてきたんですね」

珠美「だけどあなたは自分の力で珠美を倒したいんじゃなく、ダイマックスバンドの力で倒したいだけ。それを意志のない攻撃と呼ぶのです」

おぼっちゃま「……」

珠美「ダイマックスバンドはたしかに強力です。しかしその真の力は、トレーナーとポケモンの意志がシンクロすることで発揮されます。あなたはダイマックス自体を過信しすぎです」
514 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 00:58:01.18 ID:7lJjk3Gc0

おぼっちゃま「う、うるさい!! 黙ってりゃ調子よくベラベラ語りやがって……!」

おぼっちゃま「おいカジリガメ!! 次はフルパワーでダイストリームを出すんだ、いいな!? できるな!?」

カジリガメ「ガジィィィィ」

珠美「……これ以上の説得は無駄ですね。もう終わりにしましょうか」

チャキッ

凛「!? あれは……」

藍子「どうしたんですか、凛さん?」

凛「……あれは……!!」
515 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 00:58:31.91 ID:7lJjk3Gc0

珠美「メガシンカ!」

シュウウウウ……

カッ

ズドォン


メガエルレイド「エルッ」スタッ


おぼっちゃま「……なっ!?」

おぼっちゃま「エルレイドの姿が変わった……! ?」

藍子「……い、今のは……」
516 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 00:59:10.14 ID:7lJjk3Gc0

ジムトレーナー「メガシンカだ。ポケモンを一時的にパワーアップさせられる、進化を超えた進化」

藍子「進化を……超えた……」

ジムトレーナー「ガラル地方で唯一メガシンカを使えるトレーナー。それが珠美なんだよ」

珠美「エルレイド!」

メガエルレイド「エル」スッ

おぼっちゃま「……なっ、いつの間に懐に!?」

ジムトレーナー「……ちょっと前まで 、ガラル最強のジムはバウタウンだった」
517 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 00:59:37.55 ID:7lJjk3Gc0

珠美「リーフブレード!」

メガエルレイド「エル」

ズバッ

カジリガメ「ガジィッ……」

グラッ

ジムトレーナー「だがもう今となっては昔の話さ。珠美はガラルにやって来て間もなく、バウタウンのジムリーダーに完勝した。それも一度でなく、二度もな」
518 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 01:00:59.67 ID:7lJjk3Gc0

おぼっちゃま「……カ、カジリガメ!」

カジリガメ「ガジィィ」ズシィィィン

ジムトレーナー「別にメガシンカが使えたから、とかじゃねえ。単純に、あの子はあまりにも強かった」

フッ

カジリガメ「カジ……」バタンキュー

ジムトレーナー「どこから来たのか、どこでバトルの技術やメガシンカを会得したのかは知らねえが……」

ジムトレーナー「瞬く間にあの子は時の人になり、そしてこの町のジムリーダーに登り詰めた。ガラルの人間にとっては出自なんてカンケーねえ。強さが全てなのさ」

ジムトレーナー「たくさんのトレーナーがあの子の後を追うようになった。……ま、オレもその一人なんだがな」
519 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 01:01:47.79 ID:7lJjk3Gc0

ジムトレーナー「それがうちのジムリーダー、珠美さ」

凛「……!」

藍子「……」

おぼっちゃま「そんな……嘘だ……キョダイマックスまでしたのに、一撃で……」

おぼっちゃま「……こ、これは何かの間違いだ。そうだ、不正だ! 自分のホームグラウンドだから何かイカサマを施したんだろ!?」

おぼっちゃま「そうでもしなきゃ、いくらなんでも一撃なんて――」

珠美「もういいでしょう。潔く負けを認めてください」
520 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 01:02:39.87 ID:7lJjk3Gc0

おぼっちゃま「うるさい! ボクは認めないぞ!! イカサマしてないのならその証拠を出せ!!」

珠美「……」クルッ

おぼっちゃま「散々ボクを蹴落としやがって……そうだ、パパに言いつけてやる! パパがいればお前なんか――」

珠美「……」スタスタ

ジムトレーナー「さて、じゃオレはあの小僧をつまみ出してくるわ」

ジムトレーナー「……これでわかったろ? 嬢ちゃんらにナックルジムはまだ早い」

ジムトレーナー「そうだな……次に挑むなら、ラテラルタウンなんかどうだ? ここから西にある町だ」

ジムトレーナー「とにかく、アンタらにまた会えるのは当分先になりそうだな。んじゃ、オレはこれで」

スタスタ

凛「……」

藍子「……」
521 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 01:03:18.07 ID:7lJjk3Gc0

その夜 スボミーイン ナックルシティ支店

凛「ふう……さっぱりした」

ガラッ

藍子「凛さん、おかえりなさい」

凛「……藍子、元気ないね。疲れてる?」

藍子「あっ……やっぱりそう見えますか?」

藍子「まあ、ワイルドエリアを歩いてて疲れたっていうのもあるんですけど」
522 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 01:03:51.59 ID:7lJjk3Gc0

藍子「やっぱり今日の珠美さんのバトルが忘れられないんです」

藍子「私、強くなったと思ってました。涼さんに勝って、ダイマックスバンドをもらって。一人でポケモンをゲットできるようになって、ワイルドエリアを乗り越えて」

藍子「でもまだまだ上には上がいるんだなあって……」

凛「たしかに、珠美のバトルはすごかったね。もしかしたら私も勝てないかも……」

藍子「凛さんが……ですか?」

凛「うん。あんなに強いトレーナーを見たのは久しぶりだよ」

藍子「じゃあ私はもっと勝てないですね……ふふっ」
523 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 01:05:00.89 ID:7lJjk3Gc0

凛「……でも、いつかは倒さないといけない。越えなきゃいけない相手だ」

藍子「そうですね。私もいつかは……」

藍子「……うん、くよくよしていても仕方ないですね!」

藍子「まずはラテラルタウン、でしたっけ。一歩ずつ進んでいきましょう!」

凛「そうだね」

藍子「ありがとうございます。凛さんも不安を感じることはあるんだって考えたら、なんか気持ちが軽くなりました!」

凛「……それは褒められてるの?」

藍子「もちろんですよ。私にとって凛さんはスーパーヒーローなんですから」
524 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 01:05:46.74 ID:7lJjk3Gc0

凛「スーパーヒーローだなんて、そんな……」

凛「……私も、特別自分に自信があるわけではないよ。人並みに不安も感じるし、弱気になったりもする。でも」

凛「ここまで旅を続けられたのは、ポケモンがいたからだと思ってる。ううん、ポケモンに助けてもらってばかりの旅だった」

凛「だから思うんだ。ポケモンがいてくれたら、私は何でもできる。どこへでも行ける。って」

藍子「ポケモンがいてくれたら……」

藍子「……そうですね。私もポケモンがいなかったら、ずっとうじうじして、弱い時分を変えられずに生きていたんだと思います」

藍子「……私も、ポケモンに助けられてばかりですね」

藍子「凛さん。いつになるかはわかりませんが……絶対、珠美さんを越えましょうね!」

凛「……うん」
525 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/06/27(土) 01:09:25.95 ID:7lJjk3Gc0
今回はここまでです

ドラメシヤ…50レベルまであの少ない技の種類でどうやって戦っていけばええんや…
ってなってますがまあ頑張ります
そして珠美は最後のジムリーダーとして立ち塞がる予定です

ここまで読んでいただき、そして安価にご協力いただいて有難うございました
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/27(土) 01:14:55.37 ID:+ScrHakg0
乙 進化体の世話をするのが好きってところで藍子にぴったりと思ったが確かに技がきついね...
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/28(日) 14:42:18.99 ID:+ZcvXEJU0

珠ちゃんの手持ちネギガナイトとか入れた格闘専門かそれとも専門無しのダイケンキやギルガルドとか入れた剣士統一か楽しみだ
528 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:42:41.48 ID:5Lgl9Cnk0
>>527
もちろんネギガナイトは内定済みです

今回は短いですが投下していきます
529 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:44:05.64 ID:5Lgl9Cnk0


翌日 5番道路

ザッザッザッ……

藍子「……あっ! 凛さん! 町が見えてきました!」

凛「ほんとだ……あれがラテラルタウンだね」

藍子「いやー、この道路も足元が悪くて大変でしたね――」

??「うわわっ!」

ゴロッ

??「ちょ、ちょっと待って――待って――!!」

藍子「!!」
530 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:44:42.63 ID:5Lgl9Cnk0

ドンガラガッシャーン

凛「ず、頭上から女の子が……!?」

凛「だ、大丈夫……?」

藍子「う、うう……私はなんとか」

??「ああ、私も大丈夫ですっ……ヘルメットをしてたので」

??「ちょっと足はすりむいちゃいましたけど……」

凛「大丈夫……? 町まで送ろうか?」
531 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:45:20.01 ID:5Lgl9Cnk0

??「いえ、ご心配なく! 自分で救急セットを持ち歩いてるので。お気遣いありがとうございます」

??「実はこの上の崖で地面を掘っていたんですが、夢中になりすぎて足元が崩れちゃったみたいなんです。突然すみませんでした」ペコリ

凛「そうだったんだ……」

チラッ

凛(って、あんな不安定な場所を掘っていたの……?)
532 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:46:16.73 ID:5Lgl9Cnk0

藍子「と、とにかくお互い無事でよかったです」

??「あの、お詫びといってはなんですが、これを……」

藍子はトリのかせきを手に入れた!

藍子「これは……?」

??「さっき私が見つけた化石です。どうやら大昔にガラル地方に生きていたポケモンの一部らしいのですが」

藍子「え……そんなものをもらっていいんですか?」

??「ええ。この化石なんですが、何かしらの作用を施せば古代のポケモンを蘇らせることができるそうです。まあ、対になる化石がもう一つ必要なのですが……」
533 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:47:05.68 ID:5Lgl9Cnk0

??「そうでなくても、化石には古代のロマンが詰まっています。持っていればいいことがある……はず!」

むつみ「あ、私はむつみという者です。この地帯で化石の採掘を行っています」

むつみ「この度は本当にすみませんでした」ペコリ

藍子「いえいえ! 化石、たくさん見つかるといいですね!」

むつみ「あ……ありがとうございます!」
534 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:47:50.10 ID:5Lgl9Cnk0


ラテラルタウン

藍子「ここがラテラルタウンですね!」

男トレーナー「ようこそ! ここはラテラルタウン。古代の芸術を中心に栄えてきた山間の町だ」

凛(あ……聞いてもないのに町の説明をしてくれるタイプの人だ)

男トレーナー「あそこの高台にあるのがラテラルジム。そしてその向こうには古代の遺跡もあるんだ」

藍子「遺跡……!」
535 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:48:47.94 ID:5Lgl9Cnk0

男トレーナー「それと、この通りを抜けたらほりだしもの市と質屋があるよ! なにかいいものが見つかるかもしれないし、よければ行ってみてね」

凛「へえ、ほりだしもの……か」

藍子「せっかくだし、ポケモンセンターに行く前にいろいろと寄ってみましょう!」

凛「うん、わかった」



ほりだしもの市

店主「……ようこそ。ここはほりだしもの市」

店主「今日はこんな商品が並んでるぜ――」
536 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:49:48.82 ID:5Lgl9Cnk0

店主「……ん? ちょっと待て。アンタの持ってるそれって……」

藍子「??」

店主「……アンタ、これをどこで見つけたんだ……?」

藍子「え……いや、これは――」

質屋店主「ちょっとちょっと、お嬢ちゃん」

質屋店主「嬢ちゃんの持ってるそれ……もしかしたら高値で売れるかも。ちょっと見せてくれないかい!?」

藍子「???」
537 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:50:41.33 ID:5Lgl9Cnk0



翌日 ラテラルジム

藍子「うう、いい感じに緊張してきました……!」

凛「ずいぶんやる気だね、藍子」

藍子「はい! ワイルドエリアを抜けて……どれだけ自分が成長できたか、確かめたいんです」

凛「……そうだ、藍子。あの作戦のことだけど」

藍子「……はい。覚悟はできています」
538 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:51:22.08 ID:5Lgl9Cnk0

藍子「否定的な意見もあるかもしれません。でもこれが私たちなりに磨き上げてきた戦術なので!」

藍子「自信をもって戦いたいと思います」

凛「そっか……それなら大丈夫」

凛「じゃあ、頑張ってね」

藍子「はいっ!」

ガラッ
539 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:52:34.31 ID:5Lgl9Cnk0

ジムトレーナー「ようこそ、チャレンジャー」

ジムトレーナー「ラテラルジムはでんきタイプを専門とするジムです。マヒ対策はお忘れなく……」

ジムトレーナー「ところで、このジムでは近々、ジムリーダーによるライブが行われる予定となっております」

藍子「ライブ……?」

ジムトレーナー「ええ。うちのジムリーダーはトレーナーとして活躍する傍ら、ギターも嗜んでいるのですが」

ジムトレーナー「定期的に町の人を招いてライブを開催しているのです。もちろん今回は厳重な警備を施しての開催ですが」

藍子「は、はあ」

藍子(今回は……?)
540 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:53:34.35 ID:5Lgl9Cnk0

ジムトレーナー「ただ、ライブをするためには大量の電力が必要になります。そこでチャレンジャーには……」

バッ

ジムトレーナー「こちらの電気コードの配線をお手伝いしていただきたいのです」

藍子「これは……?」

ジムトレーナー「まあ、一種のスライドパズルですね。正しい配線にしていただければ通電し、先へ進むことができます」

ジムトレーナー「ただし、その前にジムトレーナーと対戦していただきます。一人に勝つ度に制限時間3分が設けられ、その間のみ電気コードに触れることができるようになります」

藍子「……つまり配線がうまくいかないと、ずっと戦い続けることになるんですね」
541 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:54:19.37 ID:5Lgl9Cnk0

ジムトレーナー「ええ、チャレンジャーが力尽きるまでエンドレスです。ロックには疾走感も不可欠なので、バトルにもギミックにもスピーディーにお臨みいただければと」

ジムトレーナー「それでは、健闘をお祈りします」ポンッ

デンヂムシ「デンヂ!」

デンヂムシ バッテリーポケモン むし・でんきタイプ
腐葉土や落ち葉を食べるたびに電気エネルギーが生まれる
生まれた電気は体内の電気袋に溜め込まれる

藍子「……! さっそくですか……!」

藍子「バチンキー!」ポン
542 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:54:49.19 ID:5Lgl9Cnk0

……………………………………………………


藍子「――これをこうすればっ……!」

ガチッ

ジジジ……

ギュイイイイイン

藍子「……繋がった!」
543 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:55:24.95 ID:5Lgl9Cnk0

ジムトレーナー「……お見事です。これでまた一歩、ライブの開催に近づけました。ありがとうございます」ペコリ

ジムトレーナー「少々スピードには難がありましたが、根気よく成し遂げましたね」

藍子「スピード……うう、やっぱり私、ちょっとのろまなのかも……」

ジムトレーナー「お気になさらず。それも個性というものです。……さあ、この先にジムリーダーが待っています」

ガラッ

ウィィィィン

藍子(……)
544 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:56:07.13 ID:5Lgl9Cnk0

藍子(思ったよりもバトルが多かったし……判断ミスでマホミルが倒されちゃった)

藍子(残りの3匹で頑張らないと……!)

バッ

??(あっ、チャレンジャーだ……いけない、気を引き締めないと)

ザッザッザッ

??「ようこそ、ジムチャレンジャー!」

李衣菜「ラテラルタウンのロックなジムリーダー、李衣菜です。よろしくッ!」ビシッ
545 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:56:57.02 ID:5Lgl9Cnk0

ワァァァァァ

『だりーなーっ! ファイトーッ!』

『今日もロックだぜーっ!』

凛(……なんでだりーなって呼ばれてるんだろ……?)

藍子「藍子です。よろしくお願いしますっ」ペコリ

李衣菜「藍子ちゃんだね。さっきは配線を手伝ってくれてありがとう!」

藍子「ああやってチャレンジャーの人に少し手伝ってもらったりして、定期的に町の人たちにロックを聴いてもらってるんだ」

李衣菜「やっぱり音楽を聴くと元気が出るからね! こんな時だからこそ……みんなに笑っていてほしいし」

藍子「……?」
546 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:57:48.05 ID:5Lgl9Cnk0

李衣菜「あ、気にしないで! こっちの話!」

李衣菜「……さて、藍子ちゃんは4匹の手持ちポケモンがいるみたいだけど」

李衣菜「どうやら道中で1匹倒れちゃったみたいだね。じゃあ今回は3対3のバトルでどうかな?」

藍子「はい、それでお願いします!」

李衣菜「よーし! それに藍子ちゃん、ダイマックスバンドも持ってるんだね」

李衣菜「最高に熱くて、ロックなバトル……期待してるよ!」

ドォン


ジムリーダーの李衣菜が勝負をしかけてきた!

547 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:58:31.14 ID:5Lgl9Cnk0

ドローンロトム『バトル……スタート!!』

藍子「ドラメシヤ……お願い!」

李衣菜「ゼブライカ、ロックによろしく!」

ポンッ

ドラメシヤ「ドラッ」

ゼブライカ「ゼブ!」

ゼブライカ らいでんポケモン でんきタイプ
気性が激しく怒らせるとかなり危険
全速力で走ると雷鳴が響きわたる
548 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 22:59:09.28 ID:5Lgl9Cnk0

藍子 手持ちポケモン

バチンキー ♂(しんりょく) Lv32
むじゃきな性格 血の気が多い
ダブルアタック/アクロバット/たたきつける/いやなおと

マホミル ♀(スイートベール) Lv30
おだやかな性格 のんびりするのが好き
ドレインキッス/てんしのキッス/メロメロ/あまいかおり

サニーゴ ♀(はりきり) Lv30 持ち物:??
わんぱくな性格 うたれづよい
アクアブレイク/げんしのちから/じたばた/こらえる

ドラメシヤ ♂(すりぬけ) Lv30 持ち物:??
さみしがりな性格 すこしおちょうしもの
おどろかす/でんこうせっか/かみつく/??
549 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/04(土) 23:04:10.90 ID:5Lgl9Cnk0
短いですが今回は以上です
雑なところいっぱいあるかも……ご了承ください

スライドパズルのやつはまんまマーマネの試練のやつですね、もしくは金銀のアルフの遺跡にあったアレです
でんきタイプジムリーダーは最後までなつきちかだりーなで悩みました

ここまで読んでいただきありがとうございました
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/04(土) 23:06:44.86 ID:8LmEi32D0
乙 大したことじゃないが「トリのかせき」じゃなくて「カセキのトリ」だね
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/05(日) 20:51:08.42 ID:W0LUD82m0

なつきちの場合ジムリーダーやらずにフリーランスでロックなことしてそう
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/07/06(月) 19:39:41.77 ID:uCcnh4akO
ソードシールドはバージョンでジムリーダー変わる街がある(つまり二人いる)けどどーするの?
因みに私サイトウさんに惹かれてソードにした(格闘↔ゴースト、いわ↔こおり)
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/11(土) 23:32:48.00 ID:6QQ4+vbW0
>>552
マイナーリーグのジムまで登場させたら大変そうだがバージョンで変化がある
ジムだけならちと千夜や久川姉妹が一緒のジムとか?
554 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:16:38.45 ID:xIyPPKpo0
バージョン違いとか考えたことなかったですけどラテラルのジムなんかはだりーな↔なつきちみたいな感じで分かれてたら面白そうだなと感じました
ちなみにジムリーダーは全員タイプも確定させてます。これから登場するうちの一人は最初の方にさらっと名前だけ出てきてたりして

では投下していきます
555 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:17:07.45 ID:xIyPPKpo0

李衣菜「いきなりだけど痺れさせちゃうよ! ゼブライカ、でんじは!」

ゼブライカ「ゼブ!」バリリ

ドラメシヤ「ドラッ!?」ビリリ

藍子「!」

李衣菜「よし、決まった!」

ドラメシヤ「ドラ……」ビリビリ

李衣菜「痺れて動けないみたいだね……ゼブライカ!」
556 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:18:04.35 ID:xIyPPKpo0

ゼブライカ「ゼブ……」ザッザッ

藍子(! あの動き……大技がくる!)

李衣菜「ワイルドボルトでぶっとばしちゃえ!!」

ゼブライカ「ゼブ!!」ドドドド

ドラメシヤ「!!」

凛(……すごいスピードだ。これは大ダメージだっただろうね……)

凛(……マヒしていれば、ね)
557 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:18:36.18 ID:xIyPPKpo0

藍子(……)フッ

ズドォォン

シュゥゥ……

李衣菜「へへ、まずは先制か――」

身代わり人形「」コロンッ

李衣菜「な!?」
558 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:19:09.38 ID:xIyPPKpo0

藍子「本物はこっちですよ! ドラメシヤ!」

ドラメシヤ「ドラ!」

藍子「おどろかす!」

ドラメシヤ「ドラ!」バァッ

ゼブライカ「ゼブ!?」

ドラメシヤ「ドララwww」ケケケ

李衣菜「い、いつの間に!? でんじはを受けたはずなのに……」
559 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:19:49.98 ID:xIyPPKpo0

李衣菜「……なるほど。クラボの実かラムの実を持っていたんだね。だからみがわりで攻撃を躱すことができた」

藍子「その通りです! まんまと引っかかってくれましたね!」

李衣菜「……へへ、もしかしてうまく嵌めたとでも思ってる?」

藍子「……!?」

ゼブライカ「ゼブ……」ズザァ

李衣菜「マヒ対策をされてるなんて想定済みだよ。みがわりはちょっと意外だったけど……そのおかげで反動ができた!」
560 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:20:40.85 ID:xIyPPKpo0

李衣菜「ゼブライカ、ニトロチャージ!!」

ゼブライカ「ゼブ!!」ゴォォ

ドゴォッ

ドラメシヤ「ドラッ……!」

藍子「ドラメシヤ!」

李衣菜「逆境をひっくり返すのもロックだよね!」

凛(……さすがジムリーダー。切り返しが早いな)

凛(マヒ対策やみがわりも、何度も通用する戦法じゃない……ここからが勝負だよ、藍子)
561 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:21:08.96 ID:xIyPPKpo0

李衣菜「ゼブライカ、でんじは!」

藍子「躱して、ドラメシヤ!」

ドラメシヤ「ドラ!」ササッ

李衣菜「もう一回!」

藍子「躱して!」

ドラメシヤ「ドラ!」
562 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:21:45.72 ID:xIyPPKpo0

藍子「……っ」

藍子(防戦一方だ……でも仕方ない……)

藍子(ドラメシヤはまだひ弱なポケモン……強い技も覚えていないし、守りが固いわけでもない)

ドラメシヤ「ドラ!」ササッ

藍子(だからこうやって逃げ続けるしかない。逃げ続けて、相手を疲れさせるのがドラメシヤの役割。観客のみんなもそう思っているはず)

藍子(本当はジムチャレンジの舞台で出すようなポケモンじゃないのかもしれない……)

ドラメシヤ「ドラ!」ササッ
563 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:22:37.19 ID:xIyPPKpo0

『どうした!? 攻撃する気がないなら交代しろー!』

『そもそもドラメシヤなんかでだりーなに勝とうだなんて舐めすぎだろー!』

ブーブー

凛(……予想通りの反応だ)

凛(みんなドラメシヤを相手に優越感に浸っている。攻撃もろくにできないポケモンだって薄々感づいているから)

凛(そしてそんな観客の思いは……確実に李衣菜の心理にも影響している……!)

ドラメシヤ「ドラ……」サッ
564 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:23:03.33 ID:xIyPPKpo0

カツン

ドラメシヤ「!」

藍子「……! スタジアムの壁……いつの間にあんな所まで……!」

李衣菜「追い詰めたよ、ドラメシヤ。もう逃げられないね」

李衣菜「いくよ、ゼブライカ。思いっきり助走をつけて!」

ゼブライカ「ゼブ!」パカラッパカラッ

李衣菜「一気に決めるよ! ワイルドボルト!!」

ゼブライカ「ゼブ!!」
565 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:23:37.60 ID:xIyPPKpo0

ドドドドドド

藍子「……!」

ドドドドド

藍子「ドラメシヤ……ギリギリまで引き付けて……!」

ドラメシヤ「ドラ……!」

ドドドド

藍子「今だっ!」
566 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:24:33.36 ID:xIyPPKpo0

ドラメシヤ「ドラッ!」

スッ

ゼブライカ「!?」

李衣菜「なっ!?」

ススゥゥ……

『なにいっ!?』

『ゼブライカの身体を……すり抜けたァ!?』
567 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:25:05.93 ID:xIyPPKpo0

ゼブライカ「!!」

李衣菜「しまった……止まれない!!」

ズドォォォォォン

李衣菜「ゼ……ゼブライカッ!」

ゼブライカ「ゼブ……」フラフラ

バタンキュー

ドローンロトム『ゼブライカ戦闘不能! ゼブライカ戦闘不能!』
568 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:26:16.83 ID:xIyPPKpo0

凛(よし……うまくいった!)

藍子「やりましたね、ドラメシヤ!」

ドラメシヤ「ドララー」ケケケ

李衣菜「……そうか、そうだった……なんで気づかなかったんだろう、私……」

李衣菜「ドラメシヤはゴーストポケモンだし、そりゃ壁やポケモンをすり抜けたりするよね……」

凛(……そう。李衣菜もたぶん気づこうと思えば気づけた)

凛(だけど観客の熱に呑まれて気づけなかった。スタジアムのみんなが、李衣菜が優勢だと決めてかかっていたから)

凛(ドラメシヤのこと、舐めていたね)
569 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:27:19.30 ID:xIyPPKpo0

ブーブー

『お……おい、ジムチャレンジャー! マジメに戦いやがれー!!』

『こんなの勝負といえるかー!』

『そうだそうだ!これはジムチャレンジなんだぞ! 正々堂々と戦えよ!!』

藍子「……正々堂々……ですか」

藍子「これが私とドラメシヤの戦い方です! 正々堂々とした……私たちなりの戦い方です!」

『うるせー!! 俺達はそんなバトルを見に来たんじゃねえ!!』

『何が熱くてロックなバトルよ……呆れたわ』

『ドラメシヤを引っ込めろー!』
570 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:30:01.20 ID:xIyPPKpo0

藍子「……!」

李衣菜「ちょっと、みんな……!」

ブーブーブーブー

凛(……まあ、こうなるだろうとは思っていたよ)

凛(ダイマックスバトルっていう文化もあるぐらいだし、それだけガラルのみんなは派手なジムバトルを期待しているっていうことだ)

凛(でも藍子は覚悟してこの戦法を使ったんだ。この反応はちゃんと受け止めないといけないし……批判に負けちゃいけない)

凛(……藍子はきっと大丈夫だろう。それより心配なのは……)
571 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:30:41.34 ID:xIyPPKpo0

ドラメシヤ「ド……ドラ……」

藍子「……ドラメシヤ、大丈夫だよ。私が全部受け止めるから……気にしないで」

ドラメシヤ「……!」


『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』


『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』


『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』
572 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:31:21.67 ID:xIyPPKpo0

ドラメシヤ「……!!」


『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』


『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』


『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』


李衣菜「みんな! 落ち着いて! いくらなんでも言いすぎじゃないの!?」

李衣菜「たしかに私は負けたけど……ズルをされて負けたわけじゃない! これも立派な作戦だよ!」
573 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:31:48.70 ID:xIyPPKpo0

李衣菜「それにまだ勝負はついてないし――」

ドラメシヤ「ド……ドラ……」

藍子「……ドラメシヤ?」

ドラメシヤ「ドラッ……!」ピューッ

藍子「えっ……ドラメシヤ!?」

藍子「待って、ドラメシヤ……どこに行くの!?」
574 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:32:31.82 ID:xIyPPKpo0

凛(!!)ダッ

李衣菜「あ……あ……」

李衣菜「ちゅ……中止! 今回のジムバトルは中止、ノーコンテストってことで! えっと、こういう時どうすれば……」

李衣菜「と、とにかく! 藍子ちゃん、ドラメシヤを追いかけよう!」タタタ

藍子「は、はいっ!」タタタ

『え……ちょっと、だりーな!?』

『中止ってなんだよ中止って! 初めて聞いたぞおい!』

ワーワーワーワー
575 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:33:05.78 ID:xIyPPKpo0


ラテラルタウン ジム前

タッタッタッタ……

藍子「はあ……はあ……みなさん、見つかりましたか……!?」

凛「ううん……遺跡の方には何もなかった……」

李衣菜「私もほりだしもの市の辺りで聞き込みをしたんだけど……」

藍子「うう……ドラメシヤ……どこに行っちゃったの……?」
576 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:33:42.33 ID:xIyPPKpo0

李衣菜「藍子ちゃん……ごめんなさい! 私がちゃんとみんなを説得させていれば……」

藍子「……李衣菜ちゃん」

凛「李衣菜は悪くないよ。謝るべきなのは……心ない言葉を投げかけた人たちだ」

李衣菜「それはそうだけど……」

李衣菜「……あっ。あれ……」

凛「……?」


藍子「……! ドラメシヤ!」
577 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:34:29.12 ID:xIyPPKpo0

藍子「……と、あれは……むつみさん?」

タタタタ

むつみ「……あっ! 凛さんに藍子さん! お久しぶりですね!」

凛「むつみ、そのドラメシヤは……」

むつみ「ああ。さっきジムの方から急に飛び出してきて……誰かのポケモンかと思って預かっていたら、私のポケモン達と仲良くなっちゃったみたいで……」

ドラメシヤ「ドララー♪」

パッチラゴン「パッチチー♪」
578 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:35:45.91 ID:xIyPPKpo0

むつみ「ふふ、ドラゴンポケモン同士、気が合うのかな」

凛(!? これは……ポケモン!?)

*パッチラゴン かせきポケモン でんき・ドラゴンタイプ
古代ではたくましい下半身で無敵だったが、餌の植物を食べつくしてしまい絶滅した
この姿が本来の姿であったかどうかは未だ疑わしい

藍子「ドラメシヤ! よかった……もう、心配したんだよ……!」

藍子「……無理をさせちゃってごめんね……ごめんね……!」ギュッ

ドラメシヤ「ドラ……」

むつみ「この子、藍子さんのポケモンだったんですね。見つかってよかったです」
579 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:36:50.52 ID:xIyPPKpo0

むつみ「……ところでこのドラメシヤ、とても怯えた様子だったのですが……何かあったのでしょうか?」

凛「うん、実は――」

カクカクシカジカ

むつみ「……なるほど。そうだったんですか……」

むつみ「私もガラル地方の人たちは派手なバトルを好みがちだと感じます。たしかに藍子さんのやり方は気に入らなかったのかもしれませんが……いくらなんでもやりすぎです」

むつみ「ドラメシヤが負担を感じるのも、無理もないでしょう……」
580 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:37:48.65 ID:xIyPPKpo0

凛「……ともかく、むつみが預かっていてくれて助かったよ。ありがとう」

むつみ「いえいえ、私はただ出くわしただけですので」

李衣菜「ドラメシヤ……本当にごめんなさい。大した慰めにならないかもしれないけど……」

李衣菜「ドラメシヤと藍子ちゃんとのコンビネーション、すごくロックだったよ」

ドラメシヤ「ドラー」

李衣菜「……藍子ちゃん。もしよかったらまた明日、もう一回ジムに挑戦してくれないかな。今日ひどいことを言っていた人たちは、私が何とかしておくから」

李衣菜「あんな仕打ちを受けて、怖いかもしれないけど……どうか、ジムチャレンジはやめないでほしいんだ」
581 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:38:39.87 ID:xIyPPKpo0

藍子「……わかりました。ありがとうございます」ペコリ

藍子「私も……せっかくダイマックスバンドがあるんです。明日はみんなが大好きな、派手なバトルをしたいと思います!」

李衣菜「藍子ちゃん……!」

李衣菜「……わかった。明日、待ってるね……!」

凛(……)

凛(やっぱり、スタジアムでのデビュー戦があんな感じだったら、誰でもいい気はしないよね)

凛(これが藍子にとってもドラメシヤにとっても、トラウマにならなかったらいいんだけど……)
582 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/12(日) 21:43:22.14 ID:xIyPPKpo0
今回は以上です。普通にジムバトルする予定だったのに気づいたらこんなことになってました
ポリゴン2に害悪戦法でボコボコにされたからってことにしておきます

ドラメシヤの戦い方は試行錯誤した結果、「すりぬけ」の応用でポケモンや技をすり抜けられるって特徴を持たせました
当分はこんな感じで頑張ってもらいます

ここまで読んでいただきありがとうございました
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/12(日) 22:34:29.74 ID:kHAkqR280
乙 初見のカセキメラはそりゃ驚くよ...しかし化石復元のウカッツ博士枠は一体誰なんだろうか?
584 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/20(月) 00:09:48.64 ID:s10PoP7/0
ウカッツ博士枠は未定オブ未定です
では投下します
585 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/20(月) 00:11:05.92 ID:s10PoP7/0

翌日 ラテラルジム

藍子「……」ザッ

李衣菜「藍子ちゃん! 待っていたよ!」

藍子「李衣菜さん……お待たせしました」

藍子「今日こそ……よろしくお願いします!」

ザワザワザワザワ

『あのチャレンジャー……まだズルい手を隠してるんじゃないか?』ブツクサブツクサ

『あんな奴にジムバッジ渡していいのかよ……』ブツクサブツクサ
586 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/20(月) 00:11:50.07 ID:s10PoP7/0

凛(……まだああ言ってる人たちもいるけど……)

凛(昨日よりは、みんな落ち着いているように見えるな)

李衣菜「バトルは昨日の続きから……私はゼブライカが倒されてるから、まずは藍子ちゃんが一歩リードしているって状況かな。あと2匹を倒せたら藍子ちゃんの勝ち、ってことで」

藍子「はい、わかりました」

李衣菜「それじゃあ改めて……」

李衣菜「エレキでロックなバトル、見せちゃうよ!」

ドォン

ジムリーダーの李衣菜が勝負をしかけてきた!
587 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/20(月) 00:12:22.82 ID:s10PoP7/0

李衣菜「いくよ、ゴローニャ!」ポン

ゴローニャ「ゴロー!」

藍子「ゴローニャ……だったらこっちはバチンキーで!」ポン

バチンキー「バチ!」

ゴローニャ「ゴロ……」バチバチ

凛(……? あのゴローニャ……見たことない姿をしている)

凛(あれもリージョンフォームなのかな……)

*ゴローニャ メガトンポケモン いわ・でんきタイプ
アローラのすがた
帯電した大岩を発射して攻撃する
機嫌を損ねると全身から放電し、雷鳴のような声でほえる
588 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/20(月) 00:12:52.32 ID:s10PoP7/0

凛(アローラのすがた……)

凛(アローラ地方にもリージョンフォームのポケモンがいるってことか……へえ……)

李衣菜「ゴローニャ、かみなりパンチ!」

ゴローニャ「ゴロ!!」ダッ

藍子「ダブルアタックです!」

バチンキー「バチ!」ブゥン

ダァンッ!!
589 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/20(月) 00:13:22.33 ID:s10PoP7/0

『おお……今日は真っ向勝負でいくみたいだな』

『……い、いや、騙されるな! あのバチンキーだって何をしてくるかわからない……!』

ザワザワザワ

藍子(……まだ昨日のことを引きずっている人もいる)

藍子(またドラメシヤで戦うのは……ドラメシヤにとってもよくないかもしれない)

藍子(ドラメシヤ……今はゆっくり休んでいて。私なら、大丈夫)

藍子「バチンキー!」

バチンキー「バチ!」グググ
590 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/20(月) 00:13:48.29 ID:s10PoP7/0

ダァンッ

藍子(すごいパワーだ……長期戦になる前に倒さないと!)

藍子「いやなおと!」

バチンキー「バチ!」ォォォン

ゴローニャ「ゴロッ……!」

李衣菜「いいね! ロックな音、響いてるよ!」

藍子「ダブルアタック!」
591 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/20(月) 00:14:16.69 ID:s10PoP7/0

李衣菜「じゃあこっちは……ハードローラー!!」

ゴローニャ「ゴロ!!」ギュン

ゴロゴロゴロゴロ

バチンキー「バチッ……!」グググ

ドッ

バチンキー「!!」ドドドド

ズドォン
592 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/20(月) 00:14:48.04 ID:s10PoP7/0

藍子「! バチンキー!」

凛(押し負けたか……!)

李衣菜「追撃だよ! ロックブラスト!」

ゴローニャ「ゴロ!」

ドン ドン ドン

藍子「3発……バチンキー、打ち返して!」

バチンキー「バチ!」

ガキンッ ガキンッ ガキンッ
593 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/20(月) 00:15:28.96 ID:s10PoP7/0

李衣菜「おおっ、ハードローラーを受けた直後なのに……やるじゃん!」

李衣菜「……でも、ちょっと惜しかったなあ」

藍子「……えっ? 惜しかった……?」

ヒュン

藍子「!」

ドゴオッ

バチンキー「!!」ズザァ

李衣菜「もう攻撃は終わったと思ったでしょ? でも音楽ってね、休符の時間も演奏の一部なんだよ!」

藍子「……! 時間差での攻撃……!」
594 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/20(月) 00:16:01.15 ID:s10PoP7/0

李衣菜「そういうこと! ゴローニャ、トドメのハードローラー!!」

ゴローニャ「ゴロ!!」

ゴロゴロゴロゴロ

藍子「……!」

藍子「バチンキー、受け止めて!」

バチンキー「バチッ……!」

グググググ
595 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/20(月) 00:16:31.55 ID:s10PoP7/0

『おお……バチンキー、今度は耐えてるぜ!』

『『しんりょく』のおかげですかねー。しかしそれはつまりバチンキーの体力が残りわずかだということ……』

『いいぞーだりーなー! そのまま押し切れー!』

バチンキー「バチ……!」

ダァンッ

ゴローニャ「ゴロッ」ズザァ

バチンキー「バチッ……」ズザァ
596 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/20(月) 00:17:26.17 ID:s10PoP7/0

李衣菜「次で決着が着きそうだね」

李衣菜「バチンキー、もう限界が近いけど……どうする? ダイマックス、使っちゃう?」

藍子「……いえ、このままいきます!」

李衣菜「そうこなくっちゃ! ゴローニャ、かみなりパンチ!」

ゴローニャ「ゴロ!」ダッ

藍子「ダブルアタック!」

バチンキー「バチ!!」

ドゴオッ
597 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/20(月) 00:18:30.89 ID:s10PoP7/0

ゴローニャ「ゴロッ……」

藍子「よし……特性のおかげで力では勝っている!」

李衣菜「ならこれはどう!? ロックブラスト!」

藍子「跳ね返します!」

バチンキー「バチ!」

ドン ドン ドン

バチンキー「バチ」

藍子(まだだ……油断するな、私)
598 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/20(月) 00:18:59.79 ID:s10PoP7/0

ヒュン

藍子「4発目!」

バチンキー「バチ!」ドンッ

ゴローニャ「……」

藍子「……」

李衣菜「……」

ゴローニャ「――」グッ

藍子「5発目――」
599 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/07/20(月) 00:19:32.01 ID:s10PoP7/0

李衣菜「ハードローラー!!」

ゴローニャ「ゴロッ!!」

ゴロゴロゴロゴロ

『ほう、5回目が来ると見せかけて……か』

『こりゃ決まったな』

ゴロゴロゴロゴロ

藍子「……裏をかいたつもりだったんでしょうが」

藍子「私は予想済みです! バチンキー!」
408.81 KB Speed:0.6   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)