このスレッドは950レスを超えています。そろそろ次スレを建てないと書き込みができなくなりますよ。

【モバマス】凛・藍子「1・2・3で飛び込め!」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

700 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 22:50:37.62 ID:T0Q77NHb0
>>698 >>699
設定上では
時子様→行方不明
まゆ→資産家の娘だったのでシンデレラ団に関わっていたことは揉み消されている。モバPがアローラに行ったのを知っているかは不明
ヘレン→ちゃんみおのストーカー…だったが今現在もその行為を続けているのかは不明
って感じですね
でもヘレンって襲名制らしいしヘレン(ガラルのすがた)みたいな感じで出てくるのも面白そう

投下します。アラベスク編も長くなりそうです

701 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 22:51:04.62 ID:T0Q77NHb0

翌日

ザッザッザッ…

凛(……!)

凛「あの光は……ポケモンセンターだ」

藍子「本当ですか!? ということはあの先が……!」

都「はい、アラベスクタウンですね!」


アラベスクタウン
巨木の内側をくりぬいた形の居住区がある町
702 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 22:51:48.34 ID:T0Q77NHb0

凛(……なんだか不思議な町だ。あちこちに家よりも大きな光るキノコが連なっている)

凛(それにキノコの色も様々だ。まるでファンタジーの世界だな)

凛(……あと、あそこにいるチョンチーはどうやって浮いてるんだろう……?)

チョンチー「チョンチー」フヨフヨ

都「えーっと、今は何時なんでしょうか……」

都「って、もうお昼みたいですよ!」

藍子「そ、そうなんですか? そっか、だから私、なんだかお腹空いてきたなあって思っていたんですね」
703 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 22:52:40.92 ID:T0Q77NHb0

凛「森の中はずっと薄暗かったからね。時間の経過がわからなかったけど……そんなに経ってたんだ」

都「ということは、この森を抜けるのにかなり時間がかかったみたいですね」

藍子「そうですよね、朝に出発したはずですし――」

男トレーナー「ん? アンタ達、もしかしてこの森を抜けて来たのかい?」

凛「うん、そうだよ」

男トレーナー「こりゃ驚いた……森ではベロバー達が暴れ回ってたんじゃなかったのか?」

凛「いや、もう暴れてないはずだよ。……きっと」
704 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 22:53:09.64 ID:T0Q77NHb0

都「ええ! 何せ凛さんと藍子さんがベロバーを操ってる張本人を――」

ハッ

都「い、いえ、何でもないです! とにかくもう森は安全ですよ!」

男トレーナー「……? お、おう、そうか」

都(ふー、危なかった……迂闊に情報を漏らしても善良な市民が混乱するだけでした)

凛「この町の人たちは大丈夫だったの?」
705 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 22:53:54.32 ID:T0Q77NHb0

男トレーナー「いや。昨日から森でケガをしたトレーナーが立て続けにポケモンセンターに駆け込んでる。何人かは被害に遭ったみたいだな」

男トレーナー「そのせいでポケモンセンターはけっこう混雑してると思うぜ」

凛(……なるほど。ベロバーの群れに出くわしてしまった人たちはポケモンセンターにいるみたいだ)

藍子「都ちゃん、ポケモンセンターに行ってみたら何か情報が得られるんじゃないですか?」

都「そうですね。聞き込みをすれば何か知っている人もいるかもしれません」

都「私たちもポケモンを回復させたいですし、さっそく向かいましょう」
706 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 22:54:29.67 ID:T0Q77NHb0

テンテンテテテン♪

藍子「ふう、やっと一息つけますね」

凛「そうだね。……それにしても」

トレーナーA「イテテテテ……」

トレーナーB「くっそー、俺のモルペコはいつになったら回復すんだよ……」

トレーナーC「おーおー、ごめんよポカブ。痛かったろう?」
707 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 22:55:05.83 ID:T0Q77NHb0

凛(まだ傷が癒えてない人やポケモンがたくさんいる……)

凛(……罪のない人をこんなに傷つけるなんて。許せない……)

都「あの、すみません」

??「あら、何かしら?」

都「足を挫かれてるみたいですけど、そのケガってもしかして……」

??「ええ、そうよ。森でベロバー達に追い回されてね」

藍子(……ん? この声、どこかで……)
708 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 22:55:41.07 ID:T0Q77NHb0

藍子「凛さん、聞き覚えのある声がしませんか?」

凛「えっ?」

凛「……」

都「そうでしたか……あ、申し遅れました。私は都です。探偵をしています」ピラッ

??「あら、まだ若いのに探偵なんて……面白そうな子ね。フフッ」

凛「……! この声……レナさん?」
709 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 22:56:18.90 ID:T0Q77NHb0

レナ「……?」

レナ「あら……凛ちゃん! それに藍子ちゃん!」

藍子「やっぱり……どこかで聞いたことがあると思ったら!」

レナ「久しぶりねえ。エンジンシティ以来かしら。どう、元気してた?」

藍子「は、はい!」

都「あ、あれ? もしかしてお知り合いですか?」

レナ「ええ。前に一度会ったことがあったのよ」
710 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 22:57:01.23 ID:T0Q77NHb0

レナ「……ここにいるってことは、二人もあの森を抜けてきたの?」

凛「うん。もしかしてレナさんも?」

レナ「そうよ。アラベスクジムの工事の立ち会いに向かおうとしたんだけど、その途中でね」

レナ「はあ、災難だったわ。私、いつもはそらとぶタクシーで各町を行き来してるんだけどね、今回は久しぶりに歩いて向かってみようと思っていたの。そしたら森でポケモン達に追い回されちゃってね」

レナ「その時に思わず転んじゃって、しばらくは杖と一緒の生活。ついてないわ、ほんと」

凛「そうだったんだ……」
711 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 22:57:45.70 ID:T0Q77NHb0

藍子「大変でしたね……。お大事になさってください」

レナ「ふふ、ありがとう。藍子ちゃんは優しいわね」

レナ「それにしても、二人とも無事で本当によかった。あ、もちろん小さな探偵さんもね」

都(むむっ……小さいとは……!)ムキッ

レナ「二人ともジムチャレンジのためにここに来たのかしら?」

藍子「はい、そうです。……そうです、けど……」

レナ「けど?」

藍子「……あ、いえ、何でもないです」
712 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 22:58:23.98 ID:T0Q77NHb0

都「そ、そうだ。レナさんに聞きたいことがあったんです。今お時間よろしいでしょうか?」

レナ「ええ、いいわよ」

都「ありがとうございます。ではまず……」

都「最近、各地でポケモン達が暴走している事件はご存知ですよね? 今回のこともそうですし、最近は5番道路でも同じような事件が発生しています」

レナ「ええ」

都「……まだはっきりと確証は持っていないのですが、私、都はこの一件の裏に暗躍している集団があると読んでいます」

レナ「暗躍している集団……」
713 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 22:59:07.52 ID:T0Q77NHb0

都「率直に聞きます。最近、街で怪しい動きを見せている人を見たことはありませんか? もしくは、森でそのような人は見かけませんでしたか?」

レナ「……」

都「……」

レナ「……ごめんなさい。私は身に覚えがないわ。実際にポケモンが暴れている現場を見たのも今回が初めてだったし」

レナ「私が知っていることといえば、ようやくジムリーダー達や警察や動き出してくれそうってニュースだけね。治療してくれた人が教えてくれたの」

都「そうですか……」

レナ「力になれなくてごめんなさい」ペコリ

都「あ、いえいえ、いいんです! こちらこそ突拍子もないこと聞いてすみませんでした!」
714 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 23:00:03.20 ID:T0Q77NHb0

レナ「それにしても、暗躍している集団がいる、か。つまり都ちゃんは、この一連の事件は人為的なものと考えているのよね?」

都「そうですね、悪意ある何者かの仕業によるものだと推理しています」

レナ「そう考えるきっかけって何だったのかしら?」

都「それは……」

凛「森で見たんだ。ベロバーを操っている人を」

レナ「森で……?」

藍子「はい。少し小柄な女の子でした」

都「なので、そういう怪しい人と遭遇した覚えはないか、聞き込み調査をしているんです」
715 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 23:00:43.45 ID:T0Q77NHb0

レナ「……そうだったの。でもごめんなさいね。私は何も知らないわ」

都「……わかりました。ご協力、ありがとうございます」

都「あ、凛さん、藍子さん、手持ちポケモンの回復は終わりましたか? それでは手分けして他のトレーナー達にも話を聞いて回ってみましょう!」バッ

凛「わ、わかったから袖を引っ張らないで……」

藍子「レ、レナさん、また今度〜……」

レナ「……」

レナ「フフッ、賑やかな子たちね」
716 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 23:01:32.05 ID:T0Q77NHb0

………………………………

民家

強面男「……コイツはガキの頃からずっと一緒にいるグラエナでな。昨日もコイツを連れて森を散歩していたのさ」

強面男「そしたら何処からともなくあのピンクのポケモンが襲ってきてよ……オレもグラエナも立ち向かったが、数の暴力には敵わなかった」

強面男「結局、隙を見て逃げるしか手立てがなくてよ。命からがらアラベスクまで帰ってきたら、コイツはもうボロボロで……」

グラエナ「グラ……」
717 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 23:02:04.95 ID:T0Q77NHb0

凛(グラエナ……今も傷が痛むのかな。鳴き声も辛そうだ)

藍子「……そうだったんですか……」

都「グラエナ……ボロボロになりながらも、主人を全力で庇ったんですね」

都「……私、そのベロバー達が暴れていた件について今、独自に調査を行っているんです」

強面男「ああ、そういや探偵って名乗ってたな」

都「はい。最近、各地でポケモン達が暴走している事件はご存知ですよね?」

強面男「まあそりゃな。ニュースでもよく聞くよ」
718 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 23:02:43.17 ID:T0Q77NHb0

都「……まだ確証があるわけではないんですが、私はこの一件の裏に暗躍している集団があると睨んでいるんです」

都「率直に聞きます。最近、街で怪しい動きをしている人を見たことはありませんか? もしくは、森でそのような人は見かけませんでしたか?」

強面男「ああ、見かけたぜ」

都「!! 詳しく……聞かせて下さい!」

強面男「見かけたというか、声を聞いたって感じだがな。薄暗くてよく見えなかったが、森の奥の方でケタケタ笑ってる奴がいたぜ」

凛(! きっと……麗奈のことだ)
719 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 23:03:24.78 ID:T0Q77NHb0

強面男「ソイツがポケモンを操ってたのかは知らねえが、とにかく不快な声だった。人をコケにしたような、ポケモンをコケにしたような笑い方さ。……今思い出しても、腹が立つ」

都「その声は他に何か言っていませんでしたか!? どんな些細なことでもいいんです、覚えておられたら、教えて下さい」

強面男「別に何も。ただ笑ってただけだったぜ。オレはソイツのことを何も知っちゃいねえ」

強面男「というか、アンタら誰だ? この探偵の嬢ちゃんの仲間か? それともジムチャレンジャーか?」

藍子「!」ビクッ

凛「私と藍子のこと? まあ、仲間でもあるけど、もともとこの町にはジムチャレンジのために来たからジムチャレンジャーでもあるかな」
720 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 23:03:54.76 ID:T0Q77NHb0

強面男「はンッ! ならおおかたあのポケモンの群れも蹴散らしてきたんだろうな」

強面男「全く、こんな時にのこのことジムチャレンジとは、お気楽なもんだぜ」

凛「……どういうこと?」キッ

強面男「アンタらは知らねえだろうな! 力を持たねえ奴の気持ちがよ!」

強面男「もしあの声の主がポケモンを操ってたんなら、弱い者イジメも大概だ。オレのグラエナはドイツのエサにされたんだよ」

強面男「どうしてオレ達がこんな目に遭わなきゃいけないんだよ……なあ!!」ガンッ
721 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 23:04:32.32 ID:T0Q77NHb0

藍子「っ……!」

強面男「アンタらはいいよなあ! 強いポケモンがいるんだ、多少の厄介事があっても気にならないだろ」

強面男「どうせアンタらもこの探偵ごっこに意味もなく付き合ってるだけで、今回の事件なんか興味ねえんだろうな」

都「た、探偵ごっこ……!?」

凛「……ちょっと待ってよ。どうして私達がアンタに説教されなきゃいけないわけ?」

凛「無関心だなんて一言も――」

強面男「うるっせえな!! そんな体裁取り繕うだけならとっとと出てってくれ!!」
722 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 23:05:14.16 ID:T0Q77NHb0

都「ちょ、ちょっと……落ち着いてください!」

藍子「……!」

藍子(この人……すごく悲しんでる。自分達が不幸な目に遭った理由を、誰かに当てつけないと気が済まないんだ……)

藍子(目の前で、こんなに悲しんでいる人がいる。傷つけられた人がいる。そんな人がいることを知ってても――)

藍子(私は、ジムチャレンジを続けていていいんだろうか……?)
723 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 23:06:03.01 ID:T0Q77NHb0

藍子「……」

藍子「……そうかもしれません」

強面男「うん? なんだって?」

藍子「……たしかに、こんな状況でジムチャレンジを続けているのは、場違い、なのかもしれません……」

凛「藍子……?」

コンコンッ
724 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 23:06:36.45 ID:T0Q77NHb0

強面男「……ああ、こんな時に次から次へと……誰だ!?」

ガラッ

強面男「! アンタ……」

??「こんにちは。グラエナの調子はいかがですか? お菓子を持ってきたので、よければ食べてみてください」

??「このポフィン、ダイミツっていう特別な蜜を使って作ってみたんです。きっと今よりも元気になってくれると思いますよ♪」

強面男「……お、おう……」

凛(……? 急に男がしおらしくなった……)
725 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 23:07:03.71 ID:T0Q77NHb0

藍子「あの人は……」

??「あら、お客さんがいらしていたんですね!」

??「お菓子はまだまだたくさんあるので、よければ皆さんも、はい。食べてみてください♪」

都「あ、ど、どうも……」

藍子「あ、ありがとうございます」

凛(これは……クッキー? 真ん中に水色の……チョコかな? が埋め込まれていて、とても綺麗だ)

凛(……)パクッ
726 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 23:07:29.97 ID:T0Q77NHb0

凛「……!」

藍子「……わあ、おいしい!」

都「本当ですね! なんだか……ほっこりする味です!」

??「ふふ、ありがとうございます」

強面男「……すまねえな」

強面男「ほら、グラエナ。かな子がお菓子を持ってきてくれたぞ。食ってみな」
727 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 23:08:20.15 ID:T0Q77NHb0

グラエナ「グラ」パクッ

グラエナ「!!」

グラエナ「グラッ! グラッ!」

強面男「へへ、そうかそうか。……ありがとよ、かな子」

強面男「それと……嬢ちゃんたち、さっきは取り乱しちまって悪かったな。すまねえ」

凛「いや……私こそ。ついカッとなっちゃった。ごめんね」

強面男「いや、カッとさせちまったのはオレのせいさ。気にしないでくれ」
728 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 23:08:57.74 ID:T0Q77NHb0

かな子「あら、喧嘩でもしていたのかしら? でもまあ、丸く収まったみたいでよかった♪」

凛(……すごい。さっきまであんなに気が立っていたのに、この人が来ただけで何事もなかったみたいに……)

藍子「あの、あなたは……」

強面男「そうか、嬢ちゃんたちはジムチャレンジャーだったか。なら紹介してやるよ」

強面男「この子がアラベスクタウンのジムリーダー、かな子さ」

藍子「! ジムリーダー……!?」

かな子「はい。私がこの町のジムリーダーです♪」
729 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 23:10:10.04 ID:T0Q77NHb0

かな子「今日はちょうどチャレンジャーがいなかったので、町の皆さんにお菓子を配って歩いていた所だったんです。あ、もしかして、この後ジムに来られたりしますか?」

藍子「あ……」

かな子「すみませんが、もし来られるのであれば、明日にしてくれないでしょうか。よろしくお願いします」ペコリ

凛「うん、わかった。じゃあ明日、ジムに挑戦させてもらうよ」

かな子「それと……」

藍子「……?」

かな子「さっき、窓の外から聞こえてきたのはあなたの声でしょうか。『この状況でジムチャレンジを続けるのは場違いかもしれない』、とか言っておられた気がしたのですが」
730 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 23:10:57.35 ID:T0Q77NHb0

藍子「えっ……!?」

かな子「もしその気持ちが本当なのであれば……いえ、本当であったならなおさら、是非ジムにお越しいただきたいんです」

かな子「どういう意味かは、来られてからお話ししたいと思います。待っていますね♪」

かな子「それでは、私はこれにて。お邪魔しました」

タッタッタッ

藍子「……」

藍子(……さっき、あの人……かな子さんは『喧嘩でもしていたのか』って言っていた。まるで知らなかったみたいに)

藍子(あの言葉は本当だったの……? それとも……)
731 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/07(金) 23:15:46.34 ID:T0Q77NHb0
次回、藍子がアラベスクジムに挑む!
しかしこのジムには驚きの仕掛けが用意されていた……!?

かな子は普段はおっとりしてるけど要所要所で切れ者になる感じのキャラです
あと配ってたクッキーはクールクッキーですね
もちろん専門タイプは…おっと誰か来たようだ

ここまで読んでいただきありがとうございました
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/07(金) 23:31:20.85 ID:MylxIWb20
乙 そりゃカビゴ...まあ冗談は置いといて>>720のドイツのエサってのが気になった
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/08(土) 06:56:31.74 ID:z43/rqLV0
ドイツのエサわろた
ソイツ(麗奈のことかな?)のエサって書きたかったのかな?
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 13:59:05.07 ID:vUB1A+gK0

レナさんが一気に怪しくなってきたな...
当てつけに真面目に取り合ってもしょうがないが運営等が続行と決めた事をチャレンジャーがぐだぐだ言っても
しょうがないよなと思ったが剣盾ってその運営が問題だったな...
735 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:36:08.37 ID:iR3S4rVw0
>>733
ありがとうございますその通りです

投下します
736 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:36:47.41 ID:iR3S4rVw0

翌朝

都(……)

都(う、うーん……)ゴロリ

都「はっ!」

都「……もう朝ですか。町全体が薄暗いからわからなかったです……」

都「うーん……あれ? 凛さんと藍子さんは?」

都「もう起きているのでしょうか……二人とも早起きだなあ」

ガラッ
737 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:37:17.52 ID:iR3S4rVw0

都(!)

都(凛さんと藍子さんだ。いつの間に起きていたんだ)

都(ポケモンバトルをしてる……?)

藍子「ドラムアタックです!」

ゴリランダー「ゴリ!」ドドドン

グワッ

凛「ゲッコウガ、躱して!」

ゲッコウガ「ゲコ」ヒョイッヒョイッ
738 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:37:54.74 ID:iR3S4rVw0

凛「左からいくよ! みずしゅりけん!」

ゲッコウガ「ゲコ!」バシュゥ

藍子「わ、わ……!」

藍子「ええっと――」

ズバッ

ゴリランダー「ゴリ……」ガクッ

藍子「ゴ、ゴリランダー!?」
739 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:38:36.78 ID:iR3S4rVw0

凛「遅い。トレーナーが焦ってちゃ元も子もないよ、藍子」

藍子「す、すみません……」

藍子「防御しようかとも思ったんですけど、ギリギリで躱せるかな……とも思っちゃって、迷ってしまいました」

凛「……進化して図体が大きくなったから、バチンキーの時みたいに素早く攻撃を躱すのは厳しくなる局面もあるかもしれない。少なくとも今の攻撃は、回避はムリだっただろうね」

凛「たった一手のミスが勝敗を分けるかもしれない……だからこそトレーナーは常に冷静でいないとね」

藍子「は、はい」
740 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:39:28.90 ID:iR3S4rVw0

凛「でもさっきのドラムアタックはすごくよかった。地面から攻撃する技だから相手も読みにくいだろうし、使い勝手は抜群だと思うな」

凛「……どうする? そろそろ休憩する?」

藍子「いえ、まだやります!」

凛「そうは言っても……朝から一度も休んでないじゃない。本当に大丈夫なの?」

藍子「はい。私、まだまだ頑張れます!」

藍子「昨日、かな子ちゃんに会って、なんだかただ者じゃないオーラを感じたんです。こう、なんというか……うまく説明できないですけど」

藍子「このままじゃ勝てない気がしていて……だからもっと努力しないといけないなって、一晩中考えていたんです」
741 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:40:22.87 ID:iR3S4rVw0

藍子「だから……もう少しだけお願いします」

凛「……わかった。じゃあ続けようか」

都(……)

都(二人とも頑張ってるなあ……何だかすごくキラキラして見えます)

都(ジムチャレンジはすごく華のあるイベントだけど、その裏ではみんなこうして努力しているんだなあ……)

都(……ふふ、お二人の新しい一面が見れてよかったです! 早起きは三文の徳、ですね!)

都(……あれ? でもさっき、凛さんが「朝から一度も休んでない」って言ってたような……)

都(……)

都「も、もうお昼だぁ!?」
742 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:41:09.61 ID:iR3S4rVw0


アラベスクジム


凛「それじゃ藍子、頑張ってきてね」

藍子「はい! 行ってきます!」

都「今日は私も応援させてもらいます! 的確なアドバイスを届けられるように頑張りますよ!」

凛「まあ、チャレンジャーへの助言は禁止だけどね」

都「な、なんですって……!? 私の推理力を披露するチャンスが……」
743 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:41:49.63 ID:iR3S4rVw0

凛「……言葉は届けられないけど、きっと気持ちは伝えられるよ」

都「り、凛さん……! カッコいいです……!」

都「わかりました。私も全力でエールを送りますね! もし口を開きそうになったら……その時は止めてください」

凛「……善処するよ」

藍子「あ、あはは……それじゃ行ってきます!」

ガラッ
744 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:42:48.22 ID:iR3S4rVw0

志保「いらっしゃ……じゃなかった。こんにちは、チャレンジャー!」

志保「私はこのジムの案内役、志保です。よろしくお願いします!」

藍子「よ、よろしくお願いします」

藍子「あの、案内役って……? それにこの部屋、何もないですけど……」

志保「ふふ、驚いたでしょ? このジムのシステムはちょっと変わっていて……今から説明しますね♪」

志保「まず、チャレンジャー……藍子ちゃんには、左の扉の先に入ってもらいます。そこで今から挙げる3つのアイテムを集めてきてください」

志保「一つはブリーの実。もう一つは赤いミント。 最後にあまいミツです。制限時間は特にないので、頑張って見つけてきて下さい!」
745 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:43:33.90 ID:iR3S4rVw0

志保「3つ集めたらこの部屋に戻ってきてください。これで課題はクリアです!」

藍子「これで……? あの、バトルとかはしないんですか?」

志保「はい。このジムではジムトレーナーとのバトルはありません! 私もトレーナーではないので」

藍子(バトルがない……ガラルにそんなジムがあったなんて、意外だなあ)

志保「ちょっと変わってるジムだけど……以上がチャレンジの説明になります」

藍子「な、なるほど……!」

志保「ではさっそく、アイテム集めに向かってください! 頑張ってね♪」
746 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:44:24.41 ID:iR3S4rVw0

藍子「は、はい!」

藍子「あの扉の向こう……何があるんだろう」

ガラッ

藍子「!?」


藍子「ここは……ルミナスメイズの森!?」
747 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:45:03.30 ID:iR3S4rVw0

藍子「す、すごい……森をジムの仕掛けに使うなんて……!」

藍子「えっと、まず最初に……ブリーの実、ですね」

藍子「木の実がなってる木は……あった、あそこですね」

ザッザッ

藍子(相変わらず暗い……けど)

ポウッ

藍子(キノコを触れば、少しは明るく……)
748 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:45:47.73 ID:iR3S4rVw0

??「……」ノソノソ

ネマシュ「ネマーーーシュッ!!」

藍子「うわっ!?」

ネマシュ はっこうポケモン くさ・フェアリータイプ
薄暗く湿った場所を好むポケモン
夜になるとキノコのカサに詰まった胞子が発光する

ネマシュ「ネマシュ! ネマシュ!」

藍子「や、野生のポケモン……!」

藍子「そうか……ジムトレーナーとのバトルがないってこういうことだったんですね、志保さん!」
749 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:46:35.99 ID:iR3S4rVw0

……………………………


ユッサユッサ

ボトッ

藍子「よし……これがブリーの実ですね――」

ヒョイッ

藍子「えっ」

??「……」タッタッタッ

クルッ

ホシガリス「ホスィ?」

ホシガリス ほおばりポケモン ノーマルタイプ
ガラルのいたるところに生息する
常に左右のほっぺに木の実を蓄えていないと不安らしい

藍子「ああっ、ちょっと……木の実を返してください〜!」
750 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:47:30.86 ID:iR3S4rVw0

………………………………


藍子「あった……これがミントですね……!」

藍子「それにしても、こんな草むらの真ん中にあったなんて」

藍子「……あれ? 草むらの真ん中……?」

ザザッ

藍子「!」

バッ

ウツドン「ウツドーン!」

ウツドン ハエとりポケモン くさ・どくタイプ
葉っぱの部分はカッターになって相手を切り裂く
口からはなんでも溶かす液体を吐く

藍子「や、やっぱり!?」
751 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:48:14.57 ID:iR3S4rVw0

……………………………………


藍子「最後はあまいミツ……ですけど」

ドドン

ビークイン「ビーク」

ビークイン はちのすポケモン むし・ひこうタイプ
胴体が子供たちの巣穴になっている
ミツハニーの集めたミツで子供たちを育て、時には自在に操る

藍子「うう、やっぱり倒さないと……ですよね……」
752 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:50:33.22 ID:iR3S4rVw0

……………………………


ガラッ

志保「あら、お帰りなさい! それじゃさっそくアイテムを確認しますね」

志保「……うん、バッチリ! これでジムの課題はクリアですね♪」

藍子「は、はい! 想像以上に大変でした……」

志保「ふふっ。ここは森の中にあるジムだから、なかなかジムのスタッフが集まらなくて。だからこういう仕掛けになっているんです」

志保「……それは置いておいて、では藍子ちゃん。右の扉に入ったらその先にスタジアムがありますよ! 頑張って下さいね!」

志保「……そうそう。かな子ちゃんはフェアリータイプの使い手です。くれぐれもドラゴンポケモンは使わないようにね♪」
753 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:51:19.35 ID:iR3S4rVw0

ガラガラ

ウィーン

藍子(……)ザッザッザッザッ

かな子「こんにちは、チャレンジャーさん♪」

かな子「……あら、昨日町で会ったトレーナーさん! たしか……藍子ちゃん、だっけ?」

藍子「はい! 昨日はお菓子、ありがとうございました。すごく美味しかったです!」

かな子「うふふ、それはよかった♪ 美味しいお菓子を食べたときの、皆の幸せな笑顔が昔から大好きなんです」
754 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:52:21.92 ID:iR3S4rVw0

藍子「……そういえば、かな子さん」

かな子「そんなにかしこまらないでいいよ♪」

藍子「あっ、じゃあかな子ちゃん。私、昨日からずっと気になっていたことがあったんです」

藍子「昨日、喧嘩の仲裁をしてくれた時……もしかして、私たちが男の人と話していた内容、聞いていました?」

かな子「……」

かな子「うん。聞いていた、というよりは聞こえてきたって感じかな。それで気になって、家を訪ねてみたの」
755 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:53:29.16 ID:iR3S4rVw0

藍子「この状況でジムチャレンジを続けるのは場違いかもしれない……私はたしかにそう言いました。あれには色んな意味があったんですけど……」

藍子「でもかな子ちゃんは、そう思うならジムに来てみてほしいって言われましたよね」

かな子「うん、たしかにそう言ったよ」

かな子「もちろんその理由はちゃんと話すね。……今からのバトルの最中に」チャキッ

藍子「!」チャキッ

かな子「使用ポケモンは3匹。そのうちどちらか2匹が戦闘不能になれば終了です。3匹全てではないので、気をつけてくださいね」

かな子「みんな大好きなあ甘いお菓子のように、あなたも私と私のポケモン達の虜になってもらいますね♪」


ジムリーダーのかな子が勝負をしかけてきた!
756 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:54:05.95 ID:iR3S4rVw0

藍子 手持ちポケモン

ゴリランダー ♂(しんりょく) Lv35
むじゃきな性格 血の気が多い
ドラムアタック/アクロバット/たたきつける/いやなおと

マホミル ♀(スイートベール) Lv33
おだやかな性格 のんびりするのが好き
ドレインキッス/てんしのキッス/メロメロ/あまいかおり

サニーゴ ♀(はりきり) Lv33
わんぱくな性格 うたれづよい
アクアブレイク/げんしのちから/じたばた/こらえる

ドラメシヤ ♂(すりぬけ) Lv31
さみしがりな性格 すこしおちょうしもの
おどろかす/でんこうせっか/かみつく/みがわり
757 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:54:36.40 ID:iR3S4rVw0

かな子「まずはこの子で相手するね♪ ピクシー!」ポンッ

藍子「サニーゴ、お願い!」ポンッ

ピクシー「ピクシー♪」

サニーゴ「サニ!」

ピクシー ようせいポケモン フェアリータイプ
1キロ先で落ちた針の音も聞き分ける優れた耳を持つ
用心深いので滅多に人前に現われない
758 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:55:08.92 ID:iR3S4rVw0

ワーワー

都「おおっ、ここがスタジアムですか……初めて来ましたが、たくさんの人がいますね!」

凛「そうだね。……」

凛(それでも少し空席が目立つ感じはする。森の中のスタジアムだから、っていうのもあるんだろうけど……)

凛(やっぱり、ポケモン暴走事件が影響しているのかもしれない――)

凛(……って、今は考えなくていいか。とにかく藍子を応援しよう)
759 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:55:43.91 ID:iR3S4rVw0


一方その頃 そらとぶタクシー発着所


バサッバサッバサッ

男性「……ん? 誰か来たみたいだな」

男性「こんな辺鄙な場所にわざわざそらとぶタクシーで来るなんて……いったい誰だ?」

男性「よーこそ、アラベスクタウンへ――」

ガラッ

男性「……!?」

男性「アンタ……まさか!?」
760 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:56:39.42 ID:iR3S4rVw0

ワーワー

??「……」スタスタ

??「……」スッ

女性「……?」

ジーッ

女性「!? あなた……もしかして、チャンピ――」
761 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:57:25.02 ID:iR3S4rVw0

??(しーっ)

女性「……!?」モゴッ

??(……知っていても、今はしーっ、ですよ。目の前のバトルに集中していて下さい)
762 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:58:05.92 ID:iR3S4rVw0

藍子(相手はピクシー……どんな攻撃をしてくるんだろう)

藍子(まずは……攻める!)

藍子「サニーゴ、アクアブレイク!」

サニーゴ「サニ!」バシュゥ

ギュン

かな子「コスモパワー!」

ピクシー「ピクシー!」コァァァ
763 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:58:36.73 ID:iR3S4rVw0

藍子「!」

ドンッ

サニーゴ「サニ……!」グググ

藍子「サ、サニーゴが止められている……!?」

バチィ

サニーゴ「サニ!」スタッ

ピクシー「ピクシー」
764 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:59:04.82 ID:iR3S4rVw0

都「コスモパワー……自分の守りを固める技ですか」

都「かな子さんは手堅く攻めてくるタイプのトレーナーなんでしょうかね?」

凛「……」

凛「なんか、変だ」

都「ん? 変とは?」
765 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:00:40.38 ID:iR3S4rVw0

凛「ピクシーはサニーゴよりも素早いはず……なのにサニーゴの方が先に行動した。相手はサニーゴが動くのを待っていたんだ」

都「ほほう。例えるなら、犯人を逮捕できる状況だったのにあえて逮捕しなかった……みたいなことでしょうか」

凛「……まあそう、なのかな」

都「なるほど。あえて泳がせた……つまり、かな子さんはまず藍子さんやサニーゴに関する情報を集めたいようですね」

藍子「……まだまだ! もう一度アクアブレイクです!」

サニーゴ「サニ!」

かな子「わあ、すごいパワー……でも」
766 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:01:12.33 ID:iR3S4rVw0

かな子「狙いが外れているよ!」

サニーゴ「サニ!?」スカッ

藍子「外れた……そうか、『はりきり』……!」

かな子「空回りしちゃったみたいだね。ピクシー、もう一度コスモパワー!」

ピクシー「ピクシー!」コァァァ

都「ま、また能力を上げてきました!」

藍子「っ……どんどん防御力が増していく……」
767 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:02:04.36 ID:iR3S4rVw0

かな子「……なるほど。そのサニーゴ」

かな子「スピードが遅い分、相手の攻撃を受けてから反撃するっていうバトルスタイルなんだろうね」

藍子「!?」

かな子「まず相手の攻撃を受けて、それから攻撃する……そういうカウンターが得意なんだろうけど、だとしたら私のピクシーは苦手だろうな」

かな子「最初から攻撃するつもりのない相手には」
768 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:02:39.90 ID:iR3S4rVw0

藍子「っ……! 全部見透かされている……!?」

かな子「もちろんお見通しですよ♪ これだけコスモパワーで様子を見ているのに、ひたすらに攻撃してくるんだから」

かな子「……藍子ちゃんの戦い方、今のでだいたいわかりました。それじゃあ私はこうさせてもらうね!」

かな子「ピクシー、コスモパワー!」

ピクシー「ピクシー!」

藍子「ううっ……このままだと埒が明かない……!」

藍子(どうする……どうしたらいいの!?)
769 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:04:05.74 ID:iR3S4rVw0

凛(……まずいな。藍子はああいう戦法のトレーナーと戦うのは初めてだ)

凛(対策をしようにも、私のポケモンもアタッカーばかりだったし……ずっと特訓しているうちに、藍子にも攻めて攻めて攻めまくるってスタンスが根付きすぎちゃったのかもしれない)

凛(……もっと色んな戦法への対処法を教えていれば……)

藍子(……)

藍子「アクアブレイクがだめなら……サニーゴ、げんしのちから!」

サニーゴ「サニ」ゴゴゴゴ

サニーゴ「サニッ!」ビュン
770 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:04:47.63 ID:iR3S4rVw0

かな子「ピクシー、バトンタッチ!」

ピクシー「ピクシー!」シュゥゥ

スカッ

ドゴッ

藍子「な……」

凛「バトンタッチ……!?」

凛「……まさか、さっきのコスモパワーはただの様子見じゃなかった……!?」

かな子「……これで準備は整ったね」

かな子「藍子ちゃん、ここからが本番だよ!」
771 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:07:28.88 ID:iR3S4rVw0
脳筋戦法がバレた藍子に積みバトン型ピクシーが容赦なく牙を剥く!
藍子、早くも絶体絶命…!?

今回の課題はまんまマオの試練ですね
そろそろアニポケにもSM勢来ないかなあ

読んでいただきありがとうございました
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/15(土) 21:21:12.58 ID:ABB3bQHY0
乙 凛に影響受けなかったら藍子の性格だと受けルやトリパやってそうな気がするね...
てかこのSSだとかな子の戦い方が珍しく感じた
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/08/15(土) 23:17:02.61 ID:P3BP856hO
もしかしてこのピクシーそもそも攻撃技がないのか!!
774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/16(日) 13:32:31.91 ID:6dSIte/g0

積みバトンは愛梨のフワライドがしてたな甘いもの好きは積んでくんのかね
775 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:05:37.40 ID:ziI4odqi0
投下します
776 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:06:43.77 ID:ziI4odqi0

凛(しまった……バトンタッチは能力変化を交代先のポケモンに受け継ぐ技……)

凛(コスモパワーを引き継がれたら、次に出てくるポケモンに生半可なダメージは通用しない……!)

かな子「いくよ、ペロリーム!」ポン

ペロリーム「ペロ!」

ペロリーム ホイップポケモン フェアリータイプ
人の1億倍以上の嗅覚を持つ
その能力を活かしてパティシエやカフェの手伝いをしたりもする

藍子「っ……苦しい状況ですけど……」

藍子「私は攻めます! サニーゴ!」
777 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:07:12.21 ID:ziI4odqi0

かな子「ペロリーム、マジカルシャイン!」

ペロリーム「ペロ!」ピカーッ

サニーゴ「!!」

ドゴオッ

藍子「!! サニーゴっ!」

サニーゴ「サニ……」

藍子「頑張って、サニーゴ! アクアブレイク!」

サニーゴ「サ……サニ!」
778 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:07:42.49 ID:ziI4odqi0

ドンッ

ペロリーム「……」ズザァ

ペロリーム「ペロッ」

藍子「……全然効いていない……」

藍子(ダメだ、このままじゃ何もできない……!)

藍子(どうする……どうする……!?)

藍子(とにかくこのまま無闇に攻撃しちゃダメだ。まずは……)
779 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:08:33.14 ID:ziI4odqi0

藍子「サニーゴ、戻って!」シュゥゥ

藍子「お願い、ゴリランダー!」ポン

ゴリランダー「ゴリ!」

かな子「ゴリランダー……いいポケモンを持ってるね♪」

かな子「さあ、どんなバトルをしてくるか見せて!」

藍子「ゴリランダー、いやなおと!」

ゴリランダー「ゴリ!」ォォォン
780 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:08:59.50 ID:ziI4odqi0

ペロリーム「ペロッ……」

藍子「よし、怯んだ……その隙に!」

藍子「ゴリランダー、ドラムアタック!」

ゴリランダー「ゴリ!!」ドンドコドンッ

グワッ

ペロリーム「!!」

ドドドドド
781 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:09:42.11 ID:ziI4odqi0

かな子「っ……」

藍子「これでどう――」

ボッ

藍子「!?」

藍子「根っこが……燃えてる!?」

かな子「かえんほうしゃ!」

ペロリーム「ペロ!」

ボォォォォ
782 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:10:31.72 ID:ziI4odqi0

ゴリランダー「ゴリ……!」

藍子「そんな……ほのお技があるなんて……」

かな子「ふふっ。どうやら上げた防御力を地道に下げていく戦法を取ったみたいだけど……」

かな子「このままだとゴリランダーが倒れるか、ペロリームが倒されるか……どっちが先になるかな?」

藍子「くっ……」

都「わわわ……藍子さん、大ピンチですね……!」

凛「……そうだね」
783 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:12:08.77 ID:ziI4odqi0

凛(かな子の言う通りだ。この調子じゃ、藍子はまともにダメージを与えられない……)

凛(それにペロリームを倒せたところで、このままじゃまたピクシーに同じ手を使われる)

藍子(だからいやなおとが使えるゴリランダーは温存したい。けどこのままじゃペロリームの攻撃に耐えられない……)

藍子(ゴリランダーが倒されてしまったら、もう成す術がない……でもゴリランダーがいないとペロリームは倒せない……)

藍子(……どうすればいいの……?)
784 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:12:49.04 ID:ziI4odqi0

ボッ

藍子「!!」

ゴリランダー「ゴリッ……」ズザァ

藍子「ゴリランダー!」

藍子「……もう体力も限界だ。これ以上は……」

藍子(……どうしよう……どうしよう……)

かな子「……」
785 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:13:20.72 ID:ziI4odqi0

かな子「藍子ちゃん」

藍子「は、はいっ」

かな子「ごめんね。私がジムに来てみてほしいって言った意味、教えるって言っていたけど」

かな子「やっぱり、今の藍子ちゃんには教えられないよ」

藍子「……!」
786 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:14:12.32 ID:ziI4odqi0

かな子「もう終わりにするね。かえんほうしゃ!」

ペロリーム「ペロ!」

ボォォォォ

ゴリランダー「ゴリッ……!!」

藍子「……」

ゴリランダー「ゴリ……」ドサッ

ドローンロトム『ゴリランダー戦闘不能! ゴリランダー戦闘不能!』

都「ああっ、ゴリランダーが……!」

凛「藍子……」
787 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:14:55.07 ID:ziI4odqi0

『おいおいどうした、戦意喪失か?』

『まあ仕方ないですよ。あの戦法は知識がなきゃ攻略するのは難しいし』

『かな子ちゃんも意地悪だなあ』

??「……」

藍子「……戻って、ゴリランダー」

藍子「っ……」キッ

藍子「まだ……まだ諦めません! サニーゴ!」ポン

サニーゴ「サニ!」
788 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:15:35.70 ID:ziI4odqi0

藍子「アクアブレ――」

かな子「エナジーボール!」

ペロリーム「ペロ!」ボッ

サニーゴ「……!」

ドゴオッ

藍子「えっ……」

サニーゴ「サニ……」ドサッ
789 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:16:47.24 ID:ziI4odqi0

ドローンロトム『サニーゴ戦闘不能! サニーゴ戦闘不能!』

ドローンロトム『勝者、ジムリーダー・かな子!』

ワァァァァァ

??「……」スッ

スタスタ

都「ああっ……そんなっ……」

凛「……!」
790 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:17:49.41 ID:ziI4odqi0

藍子「……」

藍子「……負けた……」

かな子「ペロリーム、お疲れ様」

かな子「ねえ、藍子ちゃん。今のままじゃ私には勝てないよ。だって」

かな子「藍子ちゃんは大事なことを忘れているから」

藍子「大事な……こと……?」

かな子「ごめんね、勝手に期待させちゃって。でもどうしても教えるわけにはいかないんだ。今の藍子ちゃんには、きっと教えても意味がないから」
791 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:18:32.31 ID:ziI4odqi0

藍子「……!」

かな子「もう一度考えてみて。藍子ちゃんがどうしてポケモンと一緒に過ごしているのかを。なんだか今の藍子ちゃん、らしくないよ」

藍子「……らしくないなんて、昨日会ったばかりのかな子ちゃんに何がわかるんですか?」

かな子「……うん、そっか。そうだよね」

藍子「そうだよねって……」

かな子「うん、この話はもう終わり。またいつでもチャレンジしに来て下さいね♪」
792 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:19:09.68 ID:ziI4odqi0



藍子「……」スタスタ

都「あ、あの、藍子さん……」

藍子「あ…都ちゃん。凛さん」

都「あの、あまり落ち込まないで下さいね……? その、やっぱり時には負けることもあるでしょうし……」

都「次にリベンジできたらいいんですよ! ね、凛さん!」
793 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:19:42.15 ID:ziI4odqi0

凛「……うん。そう、だね」

藍子「……凛さん」

凛「……」

都「あ、次は凛さんのチャレンジでしたね! 時間、大丈夫ですか!?」

凛「あ……そうだったね」

凛「じゃあ、行ってくるよ」

都「はい! 私も引き続き藍子さんと一緒に応援しますね!」

藍子「……」
794 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:20:12.15 ID:ziI4odqi0

藍子(その後、凛さんはすぐにスタジアムまでたどり着いて……)

藍子(気づいたら、かな子さんに勝っていました)

藍子(スタジアムは大盛り上がりで、都ちゃんもずっとテンションが高かったけど)

藍子(私は凛さんのバトルを、何も覚えていませんでした)
795 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:20:53.81 ID:ziI4odqi0

かな子「――――」

凛「――――」

藍子(いつも凛さんがバトルしている時は瞬きもせずにその様子を見守っていたんですけど……)

藍子(かな子ちゃんに言われた言葉が頭から離れなくて、バトルの内容はいっさい頭に入りませんでした)

藍子(……凛さんのチャレンジ中、私はずっと考えていました)

藍子(凛さん、なんだか元気がなかった。それってもしかして、私のバトルを見て失望したからなのかもしれない、と。期待に応えられなかったのかもしれない、と)


藍子(私が、もっとしっかりしていれば……)
796 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:21:42.70 ID:ziI4odqi0

ペロリーム「ペロ……」バタンキュー

ワァァァァァァ

凛(かな子には勝った。難なく勝つことができた)

凛(……だけど、素直に勝利を喜ぶことはできなかった)

凛(チャレンジの間もずっと、藍子のことが頭から離れなかった)
797 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:22:18.28 ID:ziI4odqi0

凛(そもそも藍子は夏美さんとのバトル以来、負けを経験していなかった。失敗や敗北を知らないんだ)

凛(私は彼女を、知らない間に甘やかしていたのかもしれない。もっと厳しく接すればよかったのだろうか。いや、でもそうしたら――)

凛(そんな考えを巡らせるうちに、こう思い始めてしまった。こんな私が藍子のコーチになってよかったのだろうか。私はいったい、何をしてあげられたのだろうか)


凛(私が、もっとしっかりしていれば……)
798 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:23:00.15 ID:ziI4odqi0


その夜

都「すぴー……すぴー……」zzz

凛「……」スヤァ

藍子「……」

藍子(結局、あれから凛さんとは一言も交わさなかったな……)

藍子(なんで話せかったのか……理由はだいたいわかる)

藍子(言ってしまったら、今の関係が壊れてしまうかもしれない。今まで保たれていた関係が……崩れてしまうのが怖いから)
799 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:23:27.80 ID:ziI4odqi0

都「すぴー……すぴー……」スヤァ

藍子(……本当に都ちゃんがいてくれてよかった。都ちゃんがいなかったら、もっと気まずくなっていたかも)

藍子(……)

藍子(……やっぱり眠れないな)

ムクッ
408.81 KB Speed:0.6   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)