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【モバマス】凛・藍子「1・2・3で飛び込め!」

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734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 13:59:05.07 ID:vUB1A+gK0

レナさんが一気に怪しくなってきたな...
当てつけに真面目に取り合ってもしょうがないが運営等が続行と決めた事をチャレンジャーがぐだぐだ言っても
しょうがないよなと思ったが剣盾ってその運営が問題だったな...
735 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:36:08.37 ID:iR3S4rVw0
>>733
ありがとうございますその通りです

投下します
736 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:36:47.41 ID:iR3S4rVw0

翌朝

都(……)

都(う、うーん……)ゴロリ

都「はっ!」

都「……もう朝ですか。町全体が薄暗いからわからなかったです……」

都「うーん……あれ? 凛さんと藍子さんは?」

都「もう起きているのでしょうか……二人とも早起きだなあ」

ガラッ
737 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:37:17.52 ID:iR3S4rVw0

都(!)

都(凛さんと藍子さんだ。いつの間に起きていたんだ)

都(ポケモンバトルをしてる……?)

藍子「ドラムアタックです!」

ゴリランダー「ゴリ!」ドドドン

グワッ

凛「ゲッコウガ、躱して!」

ゲッコウガ「ゲコ」ヒョイッヒョイッ
738 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:37:54.74 ID:iR3S4rVw0

凛「左からいくよ! みずしゅりけん!」

ゲッコウガ「ゲコ!」バシュゥ

藍子「わ、わ……!」

藍子「ええっと――」

ズバッ

ゴリランダー「ゴリ……」ガクッ

藍子「ゴ、ゴリランダー!?」
739 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:38:36.78 ID:iR3S4rVw0

凛「遅い。トレーナーが焦ってちゃ元も子もないよ、藍子」

藍子「す、すみません……」

藍子「防御しようかとも思ったんですけど、ギリギリで躱せるかな……とも思っちゃって、迷ってしまいました」

凛「……進化して図体が大きくなったから、バチンキーの時みたいに素早く攻撃を躱すのは厳しくなる局面もあるかもしれない。少なくとも今の攻撃は、回避はムリだっただろうね」

凛「たった一手のミスが勝敗を分けるかもしれない……だからこそトレーナーは常に冷静でいないとね」

藍子「は、はい」
740 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:39:28.90 ID:iR3S4rVw0

凛「でもさっきのドラムアタックはすごくよかった。地面から攻撃する技だから相手も読みにくいだろうし、使い勝手は抜群だと思うな」

凛「……どうする? そろそろ休憩する?」

藍子「いえ、まだやります!」

凛「そうは言っても……朝から一度も休んでないじゃない。本当に大丈夫なの?」

藍子「はい。私、まだまだ頑張れます!」

藍子「昨日、かな子ちゃんに会って、なんだかただ者じゃないオーラを感じたんです。こう、なんというか……うまく説明できないですけど」

藍子「このままじゃ勝てない気がしていて……だからもっと努力しないといけないなって、一晩中考えていたんです」
741 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:40:22.87 ID:iR3S4rVw0

藍子「だから……もう少しだけお願いします」

凛「……わかった。じゃあ続けようか」

都(……)

都(二人とも頑張ってるなあ……何だかすごくキラキラして見えます)

都(ジムチャレンジはすごく華のあるイベントだけど、その裏ではみんなこうして努力しているんだなあ……)

都(……ふふ、お二人の新しい一面が見れてよかったです! 早起きは三文の徳、ですね!)

都(……あれ? でもさっき、凛さんが「朝から一度も休んでない」って言ってたような……)

都(……)

都「も、もうお昼だぁ!?」
742 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:41:09.61 ID:iR3S4rVw0


アラベスクジム


凛「それじゃ藍子、頑張ってきてね」

藍子「はい! 行ってきます!」

都「今日は私も応援させてもらいます! 的確なアドバイスを届けられるように頑張りますよ!」

凛「まあ、チャレンジャーへの助言は禁止だけどね」

都「な、なんですって……!? 私の推理力を披露するチャンスが……」
743 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:41:49.63 ID:iR3S4rVw0

凛「……言葉は届けられないけど、きっと気持ちは伝えられるよ」

都「り、凛さん……! カッコいいです……!」

都「わかりました。私も全力でエールを送りますね! もし口を開きそうになったら……その時は止めてください」

凛「……善処するよ」

藍子「あ、あはは……それじゃ行ってきます!」

ガラッ
744 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:42:48.22 ID:iR3S4rVw0

志保「いらっしゃ……じゃなかった。こんにちは、チャレンジャー!」

志保「私はこのジムの案内役、志保です。よろしくお願いします!」

藍子「よ、よろしくお願いします」

藍子「あの、案内役って……? それにこの部屋、何もないですけど……」

志保「ふふ、驚いたでしょ? このジムのシステムはちょっと変わっていて……今から説明しますね♪」

志保「まず、チャレンジャー……藍子ちゃんには、左の扉の先に入ってもらいます。そこで今から挙げる3つのアイテムを集めてきてください」

志保「一つはブリーの実。もう一つは赤いミント。 最後にあまいミツです。制限時間は特にないので、頑張って見つけてきて下さい!」
745 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:43:33.90 ID:iR3S4rVw0

志保「3つ集めたらこの部屋に戻ってきてください。これで課題はクリアです!」

藍子「これで……? あの、バトルとかはしないんですか?」

志保「はい。このジムではジムトレーナーとのバトルはありません! 私もトレーナーではないので」

藍子(バトルがない……ガラルにそんなジムがあったなんて、意外だなあ)

志保「ちょっと変わってるジムだけど……以上がチャレンジの説明になります」

藍子「な、なるほど……!」

志保「ではさっそく、アイテム集めに向かってください! 頑張ってね♪」
746 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:44:24.41 ID:iR3S4rVw0

藍子「は、はい!」

藍子「あの扉の向こう……何があるんだろう」

ガラッ

藍子「!?」


藍子「ここは……ルミナスメイズの森!?」
747 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:45:03.30 ID:iR3S4rVw0

藍子「す、すごい……森をジムの仕掛けに使うなんて……!」

藍子「えっと、まず最初に……ブリーの実、ですね」

藍子「木の実がなってる木は……あった、あそこですね」

ザッザッ

藍子(相変わらず暗い……けど)

ポウッ

藍子(キノコを触れば、少しは明るく……)
748 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:45:47.73 ID:iR3S4rVw0

??「……」ノソノソ

ネマシュ「ネマーーーシュッ!!」

藍子「うわっ!?」

ネマシュ はっこうポケモン くさ・フェアリータイプ
薄暗く湿った場所を好むポケモン
夜になるとキノコのカサに詰まった胞子が発光する

ネマシュ「ネマシュ! ネマシュ!」

藍子「や、野生のポケモン……!」

藍子「そうか……ジムトレーナーとのバトルがないってこういうことだったんですね、志保さん!」
749 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:46:35.99 ID:iR3S4rVw0

……………………………


ユッサユッサ

ボトッ

藍子「よし……これがブリーの実ですね――」

ヒョイッ

藍子「えっ」

??「……」タッタッタッ

クルッ

ホシガリス「ホスィ?」

ホシガリス ほおばりポケモン ノーマルタイプ
ガラルのいたるところに生息する
常に左右のほっぺに木の実を蓄えていないと不安らしい

藍子「ああっ、ちょっと……木の実を返してください〜!」
750 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:47:30.86 ID:iR3S4rVw0

………………………………


藍子「あった……これがミントですね……!」

藍子「それにしても、こんな草むらの真ん中にあったなんて」

藍子「……あれ? 草むらの真ん中……?」

ザザッ

藍子「!」

バッ

ウツドン「ウツドーン!」

ウツドン ハエとりポケモン くさ・どくタイプ
葉っぱの部分はカッターになって相手を切り裂く
口からはなんでも溶かす液体を吐く

藍子「や、やっぱり!?」
751 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:48:14.57 ID:iR3S4rVw0

……………………………………


藍子「最後はあまいミツ……ですけど」

ドドン

ビークイン「ビーク」

ビークイン はちのすポケモン むし・ひこうタイプ
胴体が子供たちの巣穴になっている
ミツハニーの集めたミツで子供たちを育て、時には自在に操る

藍子「うう、やっぱり倒さないと……ですよね……」
752 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:50:33.22 ID:iR3S4rVw0

……………………………


ガラッ

志保「あら、お帰りなさい! それじゃさっそくアイテムを確認しますね」

志保「……うん、バッチリ! これでジムの課題はクリアですね♪」

藍子「は、はい! 想像以上に大変でした……」

志保「ふふっ。ここは森の中にあるジムだから、なかなかジムのスタッフが集まらなくて。だからこういう仕掛けになっているんです」

志保「……それは置いておいて、では藍子ちゃん。右の扉に入ったらその先にスタジアムがありますよ! 頑張って下さいね!」

志保「……そうそう。かな子ちゃんはフェアリータイプの使い手です。くれぐれもドラゴンポケモンは使わないようにね♪」
753 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:51:19.35 ID:iR3S4rVw0

ガラガラ

ウィーン

藍子(……)ザッザッザッザッ

かな子「こんにちは、チャレンジャーさん♪」

かな子「……あら、昨日町で会ったトレーナーさん! たしか……藍子ちゃん、だっけ?」

藍子「はい! 昨日はお菓子、ありがとうございました。すごく美味しかったです!」

かな子「うふふ、それはよかった♪ 美味しいお菓子を食べたときの、皆の幸せな笑顔が昔から大好きなんです」
754 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:52:21.92 ID:iR3S4rVw0

藍子「……そういえば、かな子さん」

かな子「そんなにかしこまらないでいいよ♪」

藍子「あっ、じゃあかな子ちゃん。私、昨日からずっと気になっていたことがあったんです」

藍子「昨日、喧嘩の仲裁をしてくれた時……もしかして、私たちが男の人と話していた内容、聞いていました?」

かな子「……」

かな子「うん。聞いていた、というよりは聞こえてきたって感じかな。それで気になって、家を訪ねてみたの」
755 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:53:29.16 ID:iR3S4rVw0

藍子「この状況でジムチャレンジを続けるのは場違いかもしれない……私はたしかにそう言いました。あれには色んな意味があったんですけど……」

藍子「でもかな子ちゃんは、そう思うならジムに来てみてほしいって言われましたよね」

かな子「うん、たしかにそう言ったよ」

かな子「もちろんその理由はちゃんと話すね。……今からのバトルの最中に」チャキッ

藍子「!」チャキッ

かな子「使用ポケモンは3匹。そのうちどちらか2匹が戦闘不能になれば終了です。3匹全てではないので、気をつけてくださいね」

かな子「みんな大好きなあ甘いお菓子のように、あなたも私と私のポケモン達の虜になってもらいますね♪」


ジムリーダーのかな子が勝負をしかけてきた!
756 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:54:05.95 ID:iR3S4rVw0

藍子 手持ちポケモン

ゴリランダー ♂(しんりょく) Lv35
むじゃきな性格 血の気が多い
ドラムアタック/アクロバット/たたきつける/いやなおと

マホミル ♀(スイートベール) Lv33
おだやかな性格 のんびりするのが好き
ドレインキッス/てんしのキッス/メロメロ/あまいかおり

サニーゴ ♀(はりきり) Lv33
わんぱくな性格 うたれづよい
アクアブレイク/げんしのちから/じたばた/こらえる

ドラメシヤ ♂(すりぬけ) Lv31
さみしがりな性格 すこしおちょうしもの
おどろかす/でんこうせっか/かみつく/みがわり
757 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:54:36.40 ID:iR3S4rVw0

かな子「まずはこの子で相手するね♪ ピクシー!」ポンッ

藍子「サニーゴ、お願い!」ポンッ

ピクシー「ピクシー♪」

サニーゴ「サニ!」

ピクシー ようせいポケモン フェアリータイプ
1キロ先で落ちた針の音も聞き分ける優れた耳を持つ
用心深いので滅多に人前に現われない
758 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:55:08.92 ID:iR3S4rVw0

ワーワー

都「おおっ、ここがスタジアムですか……初めて来ましたが、たくさんの人がいますね!」

凛「そうだね。……」

凛(それでも少し空席が目立つ感じはする。森の中のスタジアムだから、っていうのもあるんだろうけど……)

凛(やっぱり、ポケモン暴走事件が影響しているのかもしれない――)

凛(……って、今は考えなくていいか。とにかく藍子を応援しよう)
759 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:55:43.91 ID:iR3S4rVw0


一方その頃 そらとぶタクシー発着所


バサッバサッバサッ

男性「……ん? 誰か来たみたいだな」

男性「こんな辺鄙な場所にわざわざそらとぶタクシーで来るなんて……いったい誰だ?」

男性「よーこそ、アラベスクタウンへ――」

ガラッ

男性「……!?」

男性「アンタ……まさか!?」
760 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:56:39.42 ID:iR3S4rVw0

ワーワー

??「……」スタスタ

??「……」スッ

女性「……?」

ジーッ

女性「!? あなた……もしかして、チャンピ――」
761 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:57:25.02 ID:iR3S4rVw0

??(しーっ)

女性「……!?」モゴッ

??(……知っていても、今はしーっ、ですよ。目の前のバトルに集中していて下さい)
762 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:58:05.92 ID:iR3S4rVw0

藍子(相手はピクシー……どんな攻撃をしてくるんだろう)

藍子(まずは……攻める!)

藍子「サニーゴ、アクアブレイク!」

サニーゴ「サニ!」バシュゥ

ギュン

かな子「コスモパワー!」

ピクシー「ピクシー!」コァァァ
763 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:58:36.73 ID:iR3S4rVw0

藍子「!」

ドンッ

サニーゴ「サニ……!」グググ

藍子「サ、サニーゴが止められている……!?」

バチィ

サニーゴ「サニ!」スタッ

ピクシー「ピクシー」
764 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:59:04.82 ID:iR3S4rVw0

都「コスモパワー……自分の守りを固める技ですか」

都「かな子さんは手堅く攻めてくるタイプのトレーナーなんでしょうかね?」

凛「……」

凛「なんか、変だ」

都「ん? 変とは?」
765 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:00:40.38 ID:iR3S4rVw0

凛「ピクシーはサニーゴよりも素早いはず……なのにサニーゴの方が先に行動した。相手はサニーゴが動くのを待っていたんだ」

都「ほほう。例えるなら、犯人を逮捕できる状況だったのにあえて逮捕しなかった……みたいなことでしょうか」

凛「……まあそう、なのかな」

都「なるほど。あえて泳がせた……つまり、かな子さんはまず藍子さんやサニーゴに関する情報を集めたいようですね」

藍子「……まだまだ! もう一度アクアブレイクです!」

サニーゴ「サニ!」

かな子「わあ、すごいパワー……でも」
766 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:01:12.33 ID:iR3S4rVw0

かな子「狙いが外れているよ!」

サニーゴ「サニ!?」スカッ

藍子「外れた……そうか、『はりきり』……!」

かな子「空回りしちゃったみたいだね。ピクシー、もう一度コスモパワー!」

ピクシー「ピクシー!」コァァァ

都「ま、また能力を上げてきました!」

藍子「っ……どんどん防御力が増していく……」
767 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:02:04.36 ID:iR3S4rVw0

かな子「……なるほど。そのサニーゴ」

かな子「スピードが遅い分、相手の攻撃を受けてから反撃するっていうバトルスタイルなんだろうね」

藍子「!?」

かな子「まず相手の攻撃を受けて、それから攻撃する……そういうカウンターが得意なんだろうけど、だとしたら私のピクシーは苦手だろうな」

かな子「最初から攻撃するつもりのない相手には」
768 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:02:39.90 ID:iR3S4rVw0

藍子「っ……! 全部見透かされている……!?」

かな子「もちろんお見通しですよ♪ これだけコスモパワーで様子を見ているのに、ひたすらに攻撃してくるんだから」

かな子「……藍子ちゃんの戦い方、今のでだいたいわかりました。それじゃあ私はこうさせてもらうね!」

かな子「ピクシー、コスモパワー!」

ピクシー「ピクシー!」

藍子「ううっ……このままだと埒が明かない……!」

藍子(どうする……どうしたらいいの!?)
769 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:04:05.74 ID:iR3S4rVw0

凛(……まずいな。藍子はああいう戦法のトレーナーと戦うのは初めてだ)

凛(対策をしようにも、私のポケモンもアタッカーばかりだったし……ずっと特訓しているうちに、藍子にも攻めて攻めて攻めまくるってスタンスが根付きすぎちゃったのかもしれない)

凛(……もっと色んな戦法への対処法を教えていれば……)

藍子(……)

藍子「アクアブレイクがだめなら……サニーゴ、げんしのちから!」

サニーゴ「サニ」ゴゴゴゴ

サニーゴ「サニッ!」ビュン
770 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:04:47.63 ID:iR3S4rVw0

かな子「ピクシー、バトンタッチ!」

ピクシー「ピクシー!」シュゥゥ

スカッ

ドゴッ

藍子「な……」

凛「バトンタッチ……!?」

凛「……まさか、さっきのコスモパワーはただの様子見じゃなかった……!?」

かな子「……これで準備は整ったね」

かな子「藍子ちゃん、ここからが本番だよ!」
771 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:07:28.88 ID:iR3S4rVw0
脳筋戦法がバレた藍子に積みバトン型ピクシーが容赦なく牙を剥く!
藍子、早くも絶体絶命…!?

今回の課題はまんまマオの試練ですね
そろそろアニポケにもSM勢来ないかなあ

読んでいただきありがとうございました
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/15(土) 21:21:12.58 ID:ABB3bQHY0
乙 凛に影響受けなかったら藍子の性格だと受けルやトリパやってそうな気がするね...
てかこのSSだとかな子の戦い方が珍しく感じた
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/08/15(土) 23:17:02.61 ID:P3BP856hO
もしかしてこのピクシーそもそも攻撃技がないのか!!
774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/16(日) 13:32:31.91 ID:6dSIte/g0

積みバトンは愛梨のフワライドがしてたな甘いもの好きは積んでくんのかね
775 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:05:37.40 ID:ziI4odqi0
投下します
776 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:06:43.77 ID:ziI4odqi0

凛(しまった……バトンタッチは能力変化を交代先のポケモンに受け継ぐ技……)

凛(コスモパワーを引き継がれたら、次に出てくるポケモンに生半可なダメージは通用しない……!)

かな子「いくよ、ペロリーム!」ポン

ペロリーム「ペロ!」

ペロリーム ホイップポケモン フェアリータイプ
人の1億倍以上の嗅覚を持つ
その能力を活かしてパティシエやカフェの手伝いをしたりもする

藍子「っ……苦しい状況ですけど……」

藍子「私は攻めます! サニーゴ!」
777 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:07:12.21 ID:ziI4odqi0

かな子「ペロリーム、マジカルシャイン!」

ペロリーム「ペロ!」ピカーッ

サニーゴ「!!」

ドゴオッ

藍子「!! サニーゴっ!」

サニーゴ「サニ……」

藍子「頑張って、サニーゴ! アクアブレイク!」

サニーゴ「サ……サニ!」
778 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:07:42.49 ID:ziI4odqi0

ドンッ

ペロリーム「……」ズザァ

ペロリーム「ペロッ」

藍子「……全然効いていない……」

藍子(ダメだ、このままじゃ何もできない……!)

藍子(どうする……どうする……!?)

藍子(とにかくこのまま無闇に攻撃しちゃダメだ。まずは……)
779 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:08:33.14 ID:ziI4odqi0

藍子「サニーゴ、戻って!」シュゥゥ

藍子「お願い、ゴリランダー!」ポン

ゴリランダー「ゴリ!」

かな子「ゴリランダー……いいポケモンを持ってるね♪」

かな子「さあ、どんなバトルをしてくるか見せて!」

藍子「ゴリランダー、いやなおと!」

ゴリランダー「ゴリ!」ォォォン
780 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:08:59.50 ID:ziI4odqi0

ペロリーム「ペロッ……」

藍子「よし、怯んだ……その隙に!」

藍子「ゴリランダー、ドラムアタック!」

ゴリランダー「ゴリ!!」ドンドコドンッ

グワッ

ペロリーム「!!」

ドドドドド
781 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:09:42.11 ID:ziI4odqi0

かな子「っ……」

藍子「これでどう――」

ボッ

藍子「!?」

藍子「根っこが……燃えてる!?」

かな子「かえんほうしゃ!」

ペロリーム「ペロ!」

ボォォォォ
782 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:10:31.72 ID:ziI4odqi0

ゴリランダー「ゴリ……!」

藍子「そんな……ほのお技があるなんて……」

かな子「ふふっ。どうやら上げた防御力を地道に下げていく戦法を取ったみたいだけど……」

かな子「このままだとゴリランダーが倒れるか、ペロリームが倒されるか……どっちが先になるかな?」

藍子「くっ……」

都「わわわ……藍子さん、大ピンチですね……!」

凛「……そうだね」
783 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:12:08.77 ID:ziI4odqi0

凛(かな子の言う通りだ。この調子じゃ、藍子はまともにダメージを与えられない……)

凛(それにペロリームを倒せたところで、このままじゃまたピクシーに同じ手を使われる)

藍子(だからいやなおとが使えるゴリランダーは温存したい。けどこのままじゃペロリームの攻撃に耐えられない……)

藍子(ゴリランダーが倒されてしまったら、もう成す術がない……でもゴリランダーがいないとペロリームは倒せない……)

藍子(……どうすればいいの……?)
784 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:12:49.04 ID:ziI4odqi0

ボッ

藍子「!!」

ゴリランダー「ゴリッ……」ズザァ

藍子「ゴリランダー!」

藍子「……もう体力も限界だ。これ以上は……」

藍子(……どうしよう……どうしよう……)

かな子「……」
785 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:13:20.72 ID:ziI4odqi0

かな子「藍子ちゃん」

藍子「は、はいっ」

かな子「ごめんね。私がジムに来てみてほしいって言った意味、教えるって言っていたけど」

かな子「やっぱり、今の藍子ちゃんには教えられないよ」

藍子「……!」
786 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:14:12.32 ID:ziI4odqi0

かな子「もう終わりにするね。かえんほうしゃ!」

ペロリーム「ペロ!」

ボォォォォ

ゴリランダー「ゴリッ……!!」

藍子「……」

ゴリランダー「ゴリ……」ドサッ

ドローンロトム『ゴリランダー戦闘不能! ゴリランダー戦闘不能!』

都「ああっ、ゴリランダーが……!」

凛「藍子……」
787 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:14:55.07 ID:ziI4odqi0

『おいおいどうした、戦意喪失か?』

『まあ仕方ないですよ。あの戦法は知識がなきゃ攻略するのは難しいし』

『かな子ちゃんも意地悪だなあ』

??「……」

藍子「……戻って、ゴリランダー」

藍子「っ……」キッ

藍子「まだ……まだ諦めません! サニーゴ!」ポン

サニーゴ「サニ!」
788 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:15:35.70 ID:ziI4odqi0

藍子「アクアブレ――」

かな子「エナジーボール!」

ペロリーム「ペロ!」ボッ

サニーゴ「……!」

ドゴオッ

藍子「えっ……」

サニーゴ「サニ……」ドサッ
789 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:16:47.24 ID:ziI4odqi0

ドローンロトム『サニーゴ戦闘不能! サニーゴ戦闘不能!』

ドローンロトム『勝者、ジムリーダー・かな子!』

ワァァァァァ

??「……」スッ

スタスタ

都「ああっ……そんなっ……」

凛「……!」
790 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:17:49.41 ID:ziI4odqi0

藍子「……」

藍子「……負けた……」

かな子「ペロリーム、お疲れ様」

かな子「ねえ、藍子ちゃん。今のままじゃ私には勝てないよ。だって」

かな子「藍子ちゃんは大事なことを忘れているから」

藍子「大事な……こと……?」

かな子「ごめんね、勝手に期待させちゃって。でもどうしても教えるわけにはいかないんだ。今の藍子ちゃんには、きっと教えても意味がないから」
791 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:18:32.31 ID:ziI4odqi0

藍子「……!」

かな子「もう一度考えてみて。藍子ちゃんがどうしてポケモンと一緒に過ごしているのかを。なんだか今の藍子ちゃん、らしくないよ」

藍子「……らしくないなんて、昨日会ったばかりのかな子ちゃんに何がわかるんですか?」

かな子「……うん、そっか。そうだよね」

藍子「そうだよねって……」

かな子「うん、この話はもう終わり。またいつでもチャレンジしに来て下さいね♪」
792 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:19:09.68 ID:ziI4odqi0



藍子「……」スタスタ

都「あ、あの、藍子さん……」

藍子「あ…都ちゃん。凛さん」

都「あの、あまり落ち込まないで下さいね……? その、やっぱり時には負けることもあるでしょうし……」

都「次にリベンジできたらいいんですよ! ね、凛さん!」
793 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:19:42.15 ID:ziI4odqi0

凛「……うん。そう、だね」

藍子「……凛さん」

凛「……」

都「あ、次は凛さんのチャレンジでしたね! 時間、大丈夫ですか!?」

凛「あ……そうだったね」

凛「じゃあ、行ってくるよ」

都「はい! 私も引き続き藍子さんと一緒に応援しますね!」

藍子「……」
794 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:20:12.15 ID:ziI4odqi0

藍子(その後、凛さんはすぐにスタジアムまでたどり着いて……)

藍子(気づいたら、かな子さんに勝っていました)

藍子(スタジアムは大盛り上がりで、都ちゃんもずっとテンションが高かったけど)

藍子(私は凛さんのバトルを、何も覚えていませんでした)
795 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:20:53.81 ID:ziI4odqi0

かな子「――――」

凛「――――」

藍子(いつも凛さんがバトルしている時は瞬きもせずにその様子を見守っていたんですけど……)

藍子(かな子ちゃんに言われた言葉が頭から離れなくて、バトルの内容はいっさい頭に入りませんでした)

藍子(……凛さんのチャレンジ中、私はずっと考えていました)

藍子(凛さん、なんだか元気がなかった。それってもしかして、私のバトルを見て失望したからなのかもしれない、と。期待に応えられなかったのかもしれない、と)


藍子(私が、もっとしっかりしていれば……)
796 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:21:42.70 ID:ziI4odqi0

ペロリーム「ペロ……」バタンキュー

ワァァァァァァ

凛(かな子には勝った。難なく勝つことができた)

凛(……だけど、素直に勝利を喜ぶことはできなかった)

凛(チャレンジの間もずっと、藍子のことが頭から離れなかった)
797 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:22:18.28 ID:ziI4odqi0

凛(そもそも藍子は夏美さんとのバトル以来、負けを経験していなかった。失敗や敗北を知らないんだ)

凛(私は彼女を、知らない間に甘やかしていたのかもしれない。もっと厳しく接すればよかったのだろうか。いや、でもそうしたら――)

凛(そんな考えを巡らせるうちに、こう思い始めてしまった。こんな私が藍子のコーチになってよかったのだろうか。私はいったい、何をしてあげられたのだろうか)


凛(私が、もっとしっかりしていれば……)
798 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:23:00.15 ID:ziI4odqi0


その夜

都「すぴー……すぴー……」zzz

凛「……」スヤァ

藍子「……」

藍子(結局、あれから凛さんとは一言も交わさなかったな……)

藍子(なんで話せかったのか……理由はだいたいわかる)

藍子(言ってしまったら、今の関係が壊れてしまうかもしれない。今まで保たれていた関係が……崩れてしまうのが怖いから)
799 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:23:27.80 ID:ziI4odqi0

都「すぴー……すぴー……」スヤァ

藍子(……本当に都ちゃんがいてくれてよかった。都ちゃんがいなかったら、もっと気まずくなっていたかも)

藍子(……)

藍子(……やっぱり眠れないな)

ムクッ
800 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:27:30.25 ID:ziI4odqi0
たった一つの敗北。それを引きずるあまり、二人はすれ違ってしまう
眠れなくなった藍子は一人、夜の森へ消えていくのだった

サニーゴがエナボ一発で沈んだのは急所に当たったから
あとかな子のペロリームのモデルはショータのペロリームです
サトシVSショータ戦はどれも名勝負なので全人類見るべき

pixivにもまとめ&加筆版を挙げました、こちらもよろしくお願いします

ワイルドエリア〜ナックルシティ編
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13549448

ラテラルタウン編
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13549847

ここまでありがとうございました
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/21(金) 23:33:40.30 ID:9H+Vkbv90
乙 URL張るときは「https://」の「s」抜いた方がいいよ

ワイルドエリア〜ナックルシティ編
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13549448

ラテラルタウン編
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13549847
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/23(日) 12:53:03.82 ID:TFZM+ZRC0

凛の敗北って
・シンデレラ団の初戦(幹部&ボス)
・真奈美さん(稽古)
・楓さん(ガラルチャンピオン?)
と全部野良試合てかイベント戦みたいなので負けてるが実は公式戦では負けたことってないんだよな...
803 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:17:46.75 ID:aBbC9o4U0
>>801 わざわざありがとうごぜーます
>>802 しぶりんは初バトルの頃からセンス全開でしたからね〜

投下します
804 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:18:23.03 ID:aBbC9o4U0


ルミナスメイズの森


藍子(なんとなく森の入り口まで歩いてきちゃったけど……)

藍子(……うう、暗いなあ。でもキノコを頼りに進めば迷うことはない……はず)

ザッザッ

ボクレー「ボクー」フヨフヨ

バケッチャ「バケ?」ヒョコッ

藍子「……あ、あそこにキノコがある」

藍子「ちょっと座ってみよう」ポスッ
805 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:18:54.79 ID:aBbC9o4U0

藍子「……」

藍子「この森……好きだなあ。キノコの光が幻想的で落ち着くし、なんだかずっとここにいたくなっちゃう」

藍子「それにあの浮かんでいる光って……昼間に戦ったネマシュだよね」

ネマシュ「ネマ?」フヨフヨ

藍子「……キレイ……」

藍子「……そうだ」

パシャリ
806 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:19:41.91 ID:aBbC9o4U0

藍子「……そういえば写真を撮ったのも久しぶりな気がするなあ」

藍子「ふふっ。明日、都ちゃんや凛さんに見せてあげよっ」

藍子「……」

藍子「凛さん……そういえばもともとガラルにはポケモンの調査をしに来ていたんだっけ」

藍子「それなのに私の目的にばかり付き合わせて……ジムバトルも負けちゃって。私、本当は凛さんに迷惑ばかりかけているんじゃないかな」

藍子「……私は……」
807 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:20:19.29 ID:aBbC9o4U0

藍子「……ん?」クンクン

藍子「いい匂い。これは……カレー?」

藍子「……誰かがキャンプしてる?」

ザッザッ

パチパチパチ……

藍子(焚き火の音も聞こえてきた。キャンプはすぐそこだ……)

ザッザッザッザッ
808 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:21:04.65 ID:aBbC9o4U0

藍子「……あっ」

??「……んんっ?」

??「もしかして、トレーナー……?」

藍子「は、はい、そうです」

??「しかも女の子……? 女の子がこんな夜遅くに一人で出歩いてて大丈夫か? 危なくね?」

心「あ、はぁとも女の子だったわ。てへっ☆」

藍子「……? はぁと……?」
809 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:21:58.01 ID:aBbC9o4U0

心「そーだよ、はぁとはシュガシュガはぁとだぞ☆ 以後お見知り置きを☆」

心「おいそこ、心って表記やめろ☆ シュガシュガはぁとだっつってんだろ☆」

藍子「……?」

はぁと「あ、ごめんごめんこっちの話。で、こんな夜更けにどうしたのー?」

藍子「い、いえ……森を歩いていたら、カレーの匂いがしてきて、その匂いをたどっていたらここに着いたんです」
810 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:22:42.53 ID:aBbC9o4U0

はぁと「へー。まぁ今日は色々あってご飯遅くなっちゃったからなー」

はぁと「って匂いにつられてきたって……たまにそういうポケモンもいるけどさー。もしかしてお腹ペコペコ?」

藍子「い、いや――」

はぁと「なら一緒にカレー食べよ☆ ちょうど作りすぎたと思ってたんだよねー。ほらほら、遠慮せず味わえって☆」

藍子「あ、は、はい……」
811 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:23:29.87 ID:aBbC9o4U0

……………………………………


はぁと「ぷはー、満腹だわー。あー、ビール飲みてー」

はぁと「ってビール切らしてたんだった……まぁいっか、オレンジジュースで乾杯しようぜ☆」

藍子「は、はい」

カキーン

藍子「あの、ごちそうさまでした。すごくおいしかったです」

はぁと「んー? いいっていいってー! むしろ食べるの強制した側だし☆」

ピカチュウ「ピッカァ☆」
812 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:24:48.75 ID:aBbC9o4U0

藍子「そのピカチュウ、かわいいですね。リボンとスカートを着てるなんて」

はぁと「お、わかるー? はぁとのセンスが爆発してるっしょ☆ もっと褒めて褒めて☆」

はぁと「そーいえば藍子ちゃんだっけ、こんな時間まで一人で何してたの?」

藍子「いえ、今はアラベスクタウンで泊まっていたんですけど……眠れなくて 、森を散歩していたんです」

はぁと「あ、そうなんだー。てかそこに住んでるの? それともジムチャレンジ?」

藍子「ジムチャレンジです。今日もジムに挑んだんですけど、負けちゃって……」

はぁと「お、はぁとと同類じゃん☆ じゃあそこそこ強いトレーナーなんだ! うっし、じゃあ勝負しようぜ☆」ザッ
813 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:25:45.38 ID:aBbC9o4U0

藍子「え、ええっ?」

はぁと「ちょうど食後の運動したいと思ってたんだよねー。ねー、ピカチュウ☆」

ピカチュウ「ピッカァ☆」

藍子「い、いいですけど……」

はぁと「よっしゃ☆ じゃあ行ってこいピカチュウ! ぶちのめしてこーい☆」

ピカチュウ「ピッカァ☆」ダッ

藍子「えっと……」
814 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:26:18.61 ID:aBbC9o4U0

藍子「じゃあ……ドラメシヤ、お願い!」ポンッ

ドラメシヤ「ドラッ――」

ドラメシヤ「……!!」ビクッ

はぁと「ピカチュウ、エレキボールッ☆」

ピカチュウ「ピィッカ☆」ギュン

藍子「躱して!」

ドラメシヤ「ドラ……」


『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』


『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』
815 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:26:51.88 ID:aBbC9o4U0

ドラメシヤ「!!」

ドンッ

藍子「!!」

ドラメシヤ「ドラッ……」

はぁと「よっし命中ー☆ ピカチュウやるぅー☆」

藍子「ドラメシヤ、相手の動きをよく見て!」

ドラメシヤ「ド……ドラ……」
816 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:27:20.32 ID:aBbC9o4U0

はぁと「可愛さ見せつけたれー! ドレインキッス!」

ピカチュウ「ピッカァ!」バッ

藍子(ピ、ピカチュウなのにドレインキッス……!?)

藍子「ドラメシヤ!」

ドラメシヤ「ドラ……!」

はぁと「……」

はぁと「ちょい待ったピカチュウ! ストーーップ!!」
817 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:28:05.25 ID:aBbC9o4U0

ピカチュウ「ピカ?」キキーッ

藍子「……えっ?」

はぁと「いや待て待て。何があったそのドラメシヤ? めちゃくちゃ怯えてますけど?」

ドラメシヤ「ドラ……」ブルブル

藍子「……!」

藍子(まさか……ドラメシヤ、前のジムバトルがトラウマになっていて……!?)
818 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:28:33.99 ID:aBbC9o4U0

はぁと「どうやって育てたらそんなことになる? あれか? もしかして藍子ちゃんの教育方針スパルタか?」

はぁと「……はあ。これじゃ勝負になんねーわ。中止中止っ」

藍子「……」

藍子(……私、ドラメシヤに何てことを……)

はぁと「……藍子ちゃん、これどういうこと――」

はぁと「……!」
819 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:29:18.72 ID:aBbC9o4U0

藍子「……うっ」

藍子「うっ……ううっ……!」

はぁと「あ……ごめん。泣かせるつもりじゃなかった。いやほんとごめん……」

はぁと「……藍子ちゃん、もしかしてはぁとの想像以上に壮絶な人生歩んできてるカンジ?」

藍子「……」グスン

はぁと「……ツライなら話さなくていいけど。はぁとおねーさんでよかったら話、聞いてやるぞ」

藍子「……はい……」
820 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:30:30.37 ID:aBbC9o4U0

……………………………………………………

藍子「私、内気な自分を変えたくて……今回のジムチャレンジに参加することにしたんです。でも最初は何となく自信がなくて……」

藍子「そんな時に、凛さんというトレーナーと出会ったんです。凛さん、すごくバトルが強くて。カッコいいなって思った私は、凛さんにコーチをしてほしいってお願いしたんです」

はぁと「ふんふん」

藍子「凛さんはもともとガラル地方のトレーナーではなくて、別の地方からポケモンの調査をしに来ていたんです。それでも私のお願いを受けてくれて、一緒に旅をすることになりました」

藍子「……凛さんはすごいトレーナーですし、私なんかのコーチをしてくれてることは奇跡みたいなことで。だから私、なんとか凛さんに見損なわれないように、今まで必死でジムチャレンジをクリアしてきました」

はぁと「ふんふん」
821 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:31:30.83 ID:aBbC9o4U0

藍子「……でも、今回のジムチャレンジは負けちゃったんです。それも手も足も出せずに」

藍子「負けて帰ってきた私を見て、凛さんはすごく落ち込んでいました。それで私……」

はぁと「ガッカリさせちゃったって思ったんだね」

藍子「……はい」

藍子「それで凛さんとは気まずくなってしまって、もう夕方からずっと話せていないんです。私に失望したかって聞くのも怖くて……」

藍子「……こんなことで悩んでいる自分も嫌いなんです。ポケモンを持って旅に出たら、もっと自分を変えられると思っていました」

藍子「でも結局、怖くて閉じこもって逃げてばかり……これじゃ昔の私と同じですよね」
822 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:32:26.95 ID:aBbC9o4U0

藍子「……ドラメシヤは、前のジム戦で色々あって……もしかしたら、トラウマを作っちゃったのかもしれません」

藍子「……いちばん近くにいる人とも向き合えない。手持ちのポケモンのケアもできない……。私、本当にダメダメですよね」

はぁと「……」

はぁと「はい、じゃあはぁとからしつもーん☆ どうしてポケモンを持って旅に出たら変われると思ったんですかー?」

藍子「……」

藍子「……どうして。考えたこともなかったです」
823 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:33:46.20 ID:aBbC9o4U0

藍子「ただぼんやりと、私もいつかポケモンと一緒に旅をすることになる、とは思っていたんですけど……」

藍子「……言われてみればそうですね。どうして変われると思ったんだろう……」

はぁと「まーでもさ、旅に出るのを決めた頃の藍子ちゃんは変われると思ってたわけでしょ?」

はぁと「じゃあ何かしら結びつけるものがあったんだよきっと。ポケモンを持つことと変われること――その二つを繋ぐ何かが。知らんけど☆」

藍子「……」

はぁと「……ま、それを今から考えようよ。そこが曖昧だとさ、そりゃ旅する目的も見失っちゃうよ」
824 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:34:23.43 ID:aBbC9o4U0

藍子「……はぁとさんは、どうしてピカチュウと一緒に旅をしているんですか?」

はぁと「はぁと? はぁとはね……楽しいから、かな!」

藍子「……!」

はぁと「バトルも楽しい。キャンプもカレーも楽しい。ピカチュウと一緒にオシャレするのも楽しい。そう、はぁとの人生は楽しいことだらけ!」

はぁと「どうだ、聞いてるだけで楽しそうだろ☆ まぁカレシとかいないけどな☆ ずっと独り身だわこのヤロウ☆」

藍子「……」
825 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:35:16.45 ID:aBbC9o4U0

はぁと「……でも、ピカチュウがいてくれたら辛いことなんかどっか行っちゃうの。負ける悔しさとか、野宿のツラさとか、旅してたら色々あるけどさ……それ以上に楽しいんだよね」

はぁと「……うん、それに尽きるわ。はぁとの人生はピカチュウのおかげでバラ色なの☆」

ピカチュウ「ピッカァ☆」

はぁと「藍子ちゃんにも、そんな瞬間はあったんじゃない? あ、今めちゃくちゃ楽しいわ☆ 人生バラ色☆ みたいな☆」

藍子「……」

藍子「わからないです。あったかもしれないですけど……今はちょっと思い出せない……」
826 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:35:59.81 ID:aBbC9o4U0

藍子「……はぁとさん。どうやったら、ポケモンと過ごす時間が楽しくなりますか?」

はぁと「え、それ聞いちゃう? んー、そうだなぁ……」

はぁと「……知らねーよ☆」

藍子「……!」

はぁと「まあでも、どうやったら、とか考えてるうちは楽しくないだろーな。だって楽しいって理屈じゃないんだもん。わかる? わかれ☆」

藍子「……」
827 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:36:49.12 ID:aBbC9o4U0

はぁと「うん、とりあえず笑顔な、藍子ちゃん。さっきからずっとしかめっ面じゃんか。笑顔は女の武器だぞ☆ なんてなっ☆」

はぁと「というわけで……今夜は寝かさないぞっ☆」

藍子「……えっ? それってどういう――」

はぁと「よーし! はぁと、藍子ちゃんを笑顔にするまで徹夜するぞー! マジだからなー☆」
828 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:37:16.44 ID:aBbC9o4U0



翌朝

凛「……うーん……」

ムクッ

凛「……もう朝か」

都「すぴー……すぴー……」zzz

凛「都は……まだ熟睡してるみたいだね」

凛「そうだ、そろそろ藍子と朝練の時間だな」

凛「……」
829 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:37:46.35 ID:aBbC9o4U0

凛「藍子は……私をどう思っているのかな」

凛「昨日、何も言えなかった私に……失望してるのかな」

凛「……ん?」チラッ

凛「藍子、もう起きてるんだ……」

ガチャッ

凛「ロビーにいなかったってことは、もう外で待ってるのかな……」

ザッザッ
830 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:38:27.13 ID:aBbC9o4U0

藍子「……」

凛「……藍子、おはよう」

藍子「あ……おはようございます、凛さん」

凛「……」

藍子「……」

凛「……あの」

藍子「凛さんっ」

凛・藍子「あっ……」
831 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:38:55.34 ID:aBbC9o4U0

凛「……」

藍子「……」

凛「……藍子。昨日は本当にごめん」ペコッ

藍子「……!」

藍子「……どうして、凛さんが謝るんですか?」

凛「昨日、藍子が負けたのは藍子が弱かったからじゃない。私がもっとしっかりコーチの役割を果たしていれば……」
832 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:39:47.02 ID:aBbC9o4U0

凛「……それだけじゃない。今までコーチとして付き添ってきた時間が、藍子にとって正しかったのかどうか……ずっと引きずっていたんだ」

藍子「……」

凛「私は藍子のコーチにふさわしくなかったんじゃないか……って考えたりもした。だからあの時、何も言葉をかけてあげられなかった」

凛「……藍子、きっとガッカリしただろうね。情けないコーチで、ごめんね」

藍子「ガッカリしたなんて、そんなっ……」

藍子「……」グッ
833 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:41:22.48 ID:aBbC9o4U0

藍子「……凛さんは悪くないです。悪いのは……ひどい負け方をした私なんです」

凛「……!」

藍子「私も、昨日は凛さんをガッカリさせてしまったと思いました。ひょっとしたら、凛さんに愛想を尽かされてしまうんじゃないか――そう思って、昨日はよく眠れませんでした」

藍子「……それに、私は凛さんにとってお荷物なんじゃないか、とも思いはじめました」

藍子「もともとはポケモンの調査に来られたのに、勝手にコーチにして……凛さんの足を引っ張っているんじゃないかって」
834 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:41:51.49 ID:aBbC9o4U0

凛「……」

藍子「私なんか、凛さんの弟子としてふさわしくないんじゃないか……。そう考えたら、凛さんにどう接すればいいかわからなくなって…… 」

藍子「……こんなに情けないトレーナーで、ごめんなさい!」ペコッ

凛「……」

凛「……そっか。そうだったんだね」
835 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:43:09.65 ID:aBbC9o4U0

藍子「……!」

凛「……でもさ。お荷物なんて、弟子としてふさわしくないなんて……一回負けたぐらいでそんなこと思うわけないじゃんっ……!」ポロッ

藍子「り、凛さん……」

グスッ

藍子「わ、私だって……凛さんのこと、悪く言うわけないじゃないですかっ……! だって、だって、ここまで来れたのは、凛さんのおかげなのに……!」

藍子「うわあああんっっ」ガバッ

凛(……そうか。私たち、ずっとすれ違っていたんだな)

藍子(凛さんは私を、私は凛さんを想いすぎて……)
836 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:43:51.02 ID:aBbC9o4U0

凛・藍子(……私ったら、何を心配してたんだろ。馬鹿みたい)


はぁと「……」

はぁと「……友情って、いいなー。マリナルも、向こうで元気してっかな……」

はぁと(あ、やべ……泣いたらメイク落ちちゃう)

グッ

はぁと「藍子ちゃん……次はちゃんとスウィーティーなバトルしような☆ はぁとは相手が女の子だろうが容赦しねぇぞ☆」
837 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:49:41.78 ID:aBbC9o4U0
お互いの気持ちを再確認し合い、蟠りを解消した藍子
心機一転、次回はかな子へリベンジだ

シュガシュガはぁと初登場。今後もどこかで出てきます
連れているのはORASで登場したおきがえピカチュウの一種、アイドルピカチュウです
あとマリナルはアローラでマンタインサーフ頑張ってるみたいですね

ドラメシヤのトラウマ疑惑はそのうちちゃんと補足します

今回は以上です。次回いよいよかな子リベンジ!
その前に大事な安価もあります
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/28(金) 23:51:17.12 ID:YPoupqqk0
乙 アイドルピカチュウか懐かしいそして流石心さん勝手にクララ枠と思っててすいませんでした
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/30(日) 11:47:52.55 ID:wm2pHc2R0

アローラに居るキャラも増えてきたらそのうち番外編あるかな?
あとしゅがまりはおきがえピカチュウからホウエン出身?
840 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 21:26:20.69 ID:c80CQWaw0
>>839 アローラすっ飛ばしちゃったんでね…番外編作れたらいいですね(願望)
マリナルはたしかにホウエンにいそうです

安価あるところまで投下します
841 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 21:27:05.57 ID:c80CQWaw0

藍子「……あの、凛さん」

凛「ん?」

藍子「私、今までポケモンバトルを楽しいと思ったこと、あまりなかったんです。いつも勝たなきゃ、勝たなきゃって必死になっていて……きっと、負けることで凛さんに見放されるのが怖かったんだって、気づきました」

藍子「私、いつの間にかバトルを楽しむことを忘れていたのかもしれません。……でも今なら、思い出すことができるかもしれないです」

凛(……そっか。私にもそんな時期があったな)

藍子「バトルだけじゃない。私、ポケモンと過ごす時間が好きなんです。ポケモンと一緒に泣いたり、笑ったり、驚いたり――そんな時間が、とても楽しくて愛しいんです。だからこうして旅に出たんだと思います」
842 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 21:28:00.63 ID:c80CQWaw0

藍子「でも、そうやってポケモンと過ごす時間を脅かそうとしている人がガラル地方にいる。そんな事実をルミナスメイズの森で目の当たりにしました」

藍子「……だから私、もっと強くなりたい。強くなって、みんながポケモンと過ごす時間を守りたい」

藍子「かな子ちゃんには教えてもらえなかったけど、自分で答えを出せました。きっと今のジムチャレンジは、私達がガラルの危機に立ち向かうためにあるんだと」

凛「……」

藍子「……だから凛さん。私、今日からまた心機一転、頑張ります。これからもコーチ、よろしくお願いしますっ」ペコッ

凛「……わかった。その覚悟、ちゃんと受け止めたよ」

凛「私こそ、たくさん迷惑をかけるかもしれないけど……これからも、よろしくね」
843 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 21:29:27.34 ID:c80CQWaw0

藍子「はいっ!」

凛「……そうだ、藍子。これを藍子にあげようと思っていたんだ」

藍子「?」

凛「昨日、かな子に勝ったときにもらったんだけど……この道具、マホミルを進化させるために必要な道具らしいんだ」

藍子「! マホミルを……ですか!?」

凛「うん。私には必要ないから……マホミルに渡してあげて」

藍子は>>844を手にいれた!


安価
いちごアメざいく、ハートアメざいく、ベリーアメざいく、よつばアメざいく、おはなアメざいく、スターアメざいく、リボンアメざいくのいずれか
844 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/04(金) 21:55:40.73 ID:QpG719b70
おはなアメざいく
845 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 22:20:39.17 ID:c80CQWaw0

マホミルにおはなアメざいくをもたせた

マホミル「マホーッ♪」クルクル

藍子「……でも、どうやって進化させるんでしょう?」

凛「うーん……ポケモンによっては道具を与えたらすぐに進化するポケモンもいるけど」

マホミル「〜〜〜♪」クルクル

藍子「……変化なしですね。なにか条件があるのでしょうか」

凛「かもしれないね……」

マホミル「〜〜〜♪」クルクル
846 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 22:21:27.47 ID:c80CQWaw0

藍子「マホミル、さっきからずっとアメざいくを持ってくるくる回っていますね……」

藍子「……ふふっ、なんだか私も楽しくなってきちゃった♪」

藍子「〜〜♪」クルクル

マホミル「!」

マホミル「マホーッ♪」クルクル

凛(……マホミルと藍子がひたすら回っている)

凛(二人ともよく目を回さないな……それにしても)

凛(……平和だなあ……)フッ
847 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 22:22:12.71 ID:c80CQWaw0

マホミル「マホーッ」クルクル

マホミル「マホッ」クルクルクルクル

藍子「……?」ピタッ

マホミル「」ギュルルルル

藍子「マ、マホミル……?」

カッ
848 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 22:23:16.96 ID:c80CQWaw0

凛・藍子「!!」

ゴゴゴゴゴゴ

マホイップ「マホ〜」

藍子「……! 進化、した……!」

>>849
コンマ
0-10 ミルキィバニラ
11-21 ミルキィまっちゃ
22-32 ミルキィソルト
33-43 ミルキィレモン
44-54 ミルキィミント
55-65 ミルキィルビー
66-76 キャラメルミックス
77-87 ルビーミックス
88-99 トリプルミックス
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/04(金) 23:32:07.00 ID:QpG719b70
てい
850 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:35:38.95 ID:c80CQWaw0

マホイップ クリームポケモン フェアリータイプ
ミルキィバニラ おはなデコレーション
クリームを作る細胞が進化のときに揺らぎを受け、フレーバーが変化するポケモン
ホイップされたクリームの味はマホイップの幸せとともに美味しくなっていく

藍子「わあ……!」

藍子「マホイップ……これからよろしくね!」

マホイップ「マホ〜♪」

凛(……びっくりした。こんな形で進化するなんて)

凛(もしかして……回転することがカギだったの?)

藍子「……よし! マホミルも進化したことだし……」

藍子「凛さん、改めて朝練、よろしくお願いします!」

凛「……うん、わかった」
851 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:36:36.78 ID:c80CQWaw0

アラベスクジム

かな子「……」ザッザッ

かな子「ようこそ、ジムチャレンジへ♪」

藍子「……かな子ちゃん」

かな子「藍子ちゃん。正直、こんなに早く再挑戦しに来てくれるとは思わなかったよ」

かな子「そんなに知りたかったんだね。私の言っていた言葉の意味を」

藍子「……いえ、それはもう教えてもらわなくて結構です」

かな子「?」
852 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:37:21.78 ID:c80CQWaw0

藍子「かな子ちゃんが言っていた言葉の意味も、私に足りなかったものも。私なりに、答えを出すことができました」

藍子「……こんなに早く気づけたのは、きっと私のすぐ近くに、私を支えてくれる人がいたから……」

藍子「だから私は、もっと強くなります。かな子ちゃんも倒して、もっと強くなります!」グッ

かな子「……!」

かな子「……いい笑顔だね、藍子ちゃん」チャキッ

かな子「ルールは昨日と同じ。3匹のうち2匹が倒れたらおしまいだよ。それと、ダイマックスバンドも使って大丈夫だからね」

かな子「それじゃあ……いくよ!」


ジムリーダーのかな子が勝負をしかけてきた!
853 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:37:51.55 ID:c80CQWaw0

都「藍子さん、ファイトー! です!」

凛「……」

凛(都ったら、今日も聞き込みするぞって意気込んでたのに、藍子の応援を優先してくれるなんて)

凛(……大丈夫、藍子。絶対、勝てるよ。自分を信じて)

ドローンロトム『バトル・スタート!!』

藍子「……いくよ、ゴリランダー!」ポンッ

かな子「ピクシー、よろしくお願いします♪」ポンッ
854 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:38:21.41 ID:c80CQWaw0

凛(まずはピクシー……ということは昨日と同じ戦法を使ってくるはず)

藍子(でも、対策はできている!)

藍子「ゴリランダー、ちょうはつ!」

ゴリランダー「ゴリィ〜??」クイックイッ

ピクシー「ピ、ピクーッ!」キーッ

かな子「あらら……」

かな子「これじゃまともに戦えないね……ピクシー、戻って!」
855 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:38:53.77 ID:c80CQWaw0

かな子「ペロリーム!」ポンッ

ペロリーム「ペロッ」

ゴゴゴ……

ペロリーム「!」

藍子「ドラムアタック!」

ゴリランダー「ゴリ!!」ドンドコドンッ

ペロリーム「ペロッ……!」バババ
856 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:39:21.52 ID:c80CQWaw0

藍子「よしっ……!」

藍子(……けどペロリームはほのお技を持っている。ゴリランダーじゃ危険だ)

かな子「ペロリーム、かえんほうしゃ!」

藍子「ゴリランダー、交代!」シュゥゥ

藍子「いくよ……マホイップ!」ポンッ

マホイップ「マホ〜」
857 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:40:05.64 ID:c80CQWaw0

ペロリーム「ペロッ!」ボォォ

マホイップ「!」ボォォ

マホイップ「……マホ〜」ケロッ

かな子「なるほど、かえんほうしゃを読んでの交代……いい立ち回りだね、藍子ちゃん!」

都「いい感じですね! 流れが藍子さんに傾いてます!」

凛「そうだね」

凛「でもここからが正念場……勝負のカギは、マホイップにかかってる」

都「……マホイップが、ですか?」
858 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:40:44.81 ID:c80CQWaw0

藍子「よし……マホイップ、いくよ!」

藍子「デコレーション!」

マホイップ「マホ〜」サッ

シュシュシュシュシュ

かな子「……!」

都「デ、デコレーション……? どういう技なんですか?」

凛「相手の攻撃力を上げる技だよ」

都「あ、相手の!? そんなの犯人をわざと逃がしちゃうようなものじゃないですか!?」
859 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:41:26.55 ID:c80CQWaw0

凛「……そう、本来はね」

都「本来は……?」

マホイップ「マホ」シャキーン

かな子「……なるほど。自分自身をデコレーションするとは……」

藍子「そうです。……これで準備は整いました」
860 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:41:59.62 ID:c80CQWaw0

藍子「マホイップ、マジカルシャイン!」

マホイップ「マホ〜」ピッカァ

かな子「! ペロリーム!」

ペロリーム「ペロ――」

ズバァン

かな子「……!」

ペロリーム「ペロッ……」ドサァ
861 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:42:28.34 ID:c80CQWaw0

『す、すげぇ……』

『なんちゅう威力や……!』

ワァァァァァ

かな子「……っ」

かな子「ペロリーム、サイコキネシス!」

ペロリーム「ペロッ!」ミョミョミョミョ

マホイップ「!」グワッ
862 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:42:57.19 ID:c80CQWaw0

かな子「マジカルシャインを叩き込んでください!」

ペロリーム「ペロッ!!」ピッカァ

ズバァン

マホイップ「マホッ……」ドサッ

かな子「まだまだ……エナジーボール!」

ペロリーム「ペロ!」ボッ
863 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:43:26.51 ID:c80CQWaw0

藍子「マホイップ!」

マホイップ「マホ」サッ

バシュゥ

都「ク、クリームで受け止めた!?」

凛「……いや、受け止めたっていうより、吸収した、って感じかな」

都「そ、そんなこともできるんですか!?」

藍子「トドメです! マジカルシャイン!」

マホイップ「マホ〜」ピッカァ

ズバァン
864 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:43:56.97 ID:c80CQWaw0

ペロリーム「ペロッ……!」

ドサッ

ドローンロトム『ペロリーム戦闘不能! ペロリーム戦闘不能!』

藍子「……! す、すごい……」

藍子「すごいよ、マホイップっ!」

マホイップ「マホ〜♪」
865 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:44:26.75 ID:c80CQWaw0

かな子「……お疲れ様、ペロリーム」シュゥゥ

かな子「ふふっ。藍子ちゃん、楽しそうだね♪ 私もどんどん楽しくなってきたよ!」

藍子「はい……私、バトルがすごく楽しいです!」

かな子「ふふっ……そう、その気持ち。藍子ちゃん、前の試合ではずうっと眉をしかめていたでしょ?」

藍子「……はい。今までの私は、勝つことに集中しすぎて、バトルを楽しむことを忘れていました」

かな子「でも思い出せたんだよね? よかった!」
866 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:45:11.53 ID:c80CQWaw0

かな子「ねえ、藍子ちゃん。李衣菜ちゃんから聞いたよ。ガラルに怪しい集団がいるって話」

藍子「!」

かな子「しかも、その集団が各地のジムを狙っているかもしれないってことを。その話を聞いて、ジムリーダーの中でもチャレンジを中止にすべきじゃないかって意見が出た」

かな子「でも私は、続行するべきだって考えたんだ。チャレンジを通して強くなったトレーナーが、いつかガラルを守るために立ち上がって、戦ってくれるって信じているから」

かな子「……もちろん、藍子ちゃんもね」

藍子「やっぱり……そうだったんですね」
867 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:47:28.55 ID:c80CQWaw0

かな子「藍子ちゃんは変わってくれた。私はもう心配していないよ。……だから」

かな子「今はただ、私を越えて、もっと強くなってみせて!」ポンッ

かな子のマホイップ「マホ!」

マホイップ ミルキィルビー ハートアメざいく
手から生みだすクリームは、マホイップが幸せなほど甘酸っぱく、コクが深まる

藍子「! かな子ちゃんもマホイップを……!」

かな子「いくよ、藍子ちゃん!」シュゥゥ

都「! これは……ダイマックスが来ます!」
868 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:48:01.38 ID:c80CQWaw0

グンッ

かな子「マホイップ、キョダイマックス!」

ブウンッ

カッ

ズドォォォォォン


かな子のマホイップ「マァァァァーーーホッ」
869 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:48:33.29 ID:c80CQWaw0

ワァァァァァ

都「キョダイマックス……昨日も見ましたがものすごい迫力ですね……!」

凛「そうだね。私はドリュウズがいたから何とかなったけど、藍子にはフェアリータイプに弱点を突ける技がない」

都「……ええ。藍子さんの真の実力が試される場面ですね」

藍子「……あれが、キョダイマックスしたマホイップ……」

藍子「……」
870 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:49:03.43 ID:c80CQWaw0

藍子「いや、このまま戦います! マホイップ、マジカルシャイン!」

マホイップ「マホ!」ピッカァ

かな子のマホイップ「!」

バシィ

かな子「いい攻撃だね……でも!」

かな子「マホイップ、キョダイダンエン!」

かな子のマホイップ「マァァーーホ!」

グワッ
871 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:49:36.48 ID:c80CQWaw0

かな子のマホイップ「マァァァァーーーホッ!!」

ギュン

藍子(!? あれは……クリームの弾丸!?)

ドドドドドドドドドド

藍子「っ……マホイップ!」

マホイップ「マホ……」グラッ

藍子「マホイップ、大丈夫!?」

藍子「これは……ただダメージを受けただけじゃない……!」
872 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:50:15.96 ID:c80CQWaw0

かな子「そう。いくら甘くて美味しい食べ物でも、食べすぎたら頭が痛くなっちゃうよね? 藍子ちゃんのマホイップは今そういう状態、かな」

かな子「キョダイダンエンは高カロリーのクリームで相手を行動不能にする技だよ。そして同時に……」

ズズズ……

藍子(飛び散ったクリームが……マホイップの所に還っていく……?)

シュゥゥゥ

パァァ

藍子(……!)

かな子「エネルギーを還元して、体力を回復させる技でもあるんだ♪」
873 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:50:49.99 ID:c80CQWaw0

藍子(そんな……能力を上げたマホイップの攻撃が通じなかった……!)

マホイップ「マホ……」フラフラ

藍子「……っ」

藍子「マホイップ、交代!」シュゥゥ

藍子(あの技に対抗するには、どうしたらいい……? 身体がクリームでできたマホイップすらも耐えられないなら……)

藍子(……でもダイマックスは温存したい。ならどうすれば――)
874 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:51:33.03 ID:c80CQWaw0

かな子「藍子ちゃん、また顔が硬くなってるよ?」

藍子「……はっ」

かな子「ふふっ。……藍子ちゃんにはもうわかるはずだよ。どうしたら、キョダイマックスしたマホイップともっと楽しいバトルができるのか」

藍子「……!」

藍子「そう……ですね」

藍子(そうだ……ここで出し惜しみしているようじゃ、この先には進めない)

藍子(私は……かな子ちゃんを倒すんだ!)
875 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:52:02.72 ID:c80CQWaw0

藍子「ゴリランダー!」ポンッ

ゴリランダー「ゴリ!」

藍子「ゴリランダー……力を貸して!」シュゥゥ

グンッ

藍子「ダイ……マックス!!」

カッ

ズドォォォォォン
876 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:52:37.16 ID:c80CQWaw0

藍子「……!?」

藍子「……ゴ、ゴリランダー……なの……!?」


ゴリランダー「ゴォォォォォォォォン!!」


ドワァァァァァァ

都「あ、あれは……凛さん、もしかしてあの姿は……!?」

凛「……!」

凛「まさか、キョダイマックス……!?」
877 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:53:03.74 ID:c80CQWaw0

かな子「……やっぱり」

藍子「……!」

藍子(お、大きい……大きすぎて、ここからじゃドラムしか見えないけど)

ゴリランダー「……」キッ

藍子(……)コクッ

藍子(技の名前はわからないけど……やるしかない)

藍子(ゴリランダーなら……きっと大丈夫!)
878 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:53:34.20 ID:c80CQWaw0

藍子「ゴリランダー!」

ゴリランダー「ゴォォォォォン!!」

ドンドコドンッ

ゴゴゴゴゴゴ

都「うわっ!? ス、スタジアムが揺れてますっ! じ、地震!?」

凛「……落ち着いて、都。これは……」

凛「ドラムアタックを繰り出したときの地響きによく似ている。ということは……」

グワッ
879 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:54:05.87 ID:c80CQWaw0

かな子のマホイップ「!?」

ズドォォォォン

藍子「……! 木の根が、マホイップを貫いた……」

藍子(これがゴリランダーの……キョダイマックス技……!)

かな子「……マホイップ!」

かな子のマホイップ「マホォォォォ」

グググ……

バチィッ!!
880 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:54:37.50 ID:c80CQWaw0

かな子「……なかなか効いたよ、今の技」

かな子「でもね、マホイップの身体は衝撃を受けるほど固くなっていくの! もう次は通用しないよ!」

かな子「反撃だよ、マホイップ! キョダイダンエン!」

かな子のマホイップ「マァァァァーーーホッ!!」

ギュン
881 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:55:04.27 ID:c80CQWaw0

藍子「ゴリランダー!」

ゴリランダー「ゴォォォォォン!!」

ドンドンドコドンッ

グワッ

藍子「攻撃を防いで!」

かな子「!!」

ズドォォォン
882 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:55:33.82 ID:c80CQWaw0

かな子「キョダイダンエンが防がれた……!」

かな子「木の根をダイウォールの要領で使われるなんて……」

ググッ

藍子「このまま攻撃するよ、ゴリランダー!」

藍子「これで……終わりです!!」

ゴリランダー「ゴォォォォォン!!」

ドンドコドンッ
883 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:56:03.83 ID:c80CQWaw0

かな子「……マホイップっ!」

かな子のマホイップ「マァァァァーーーホッ」

ズドンッ ズドンッ ズドンッ

かな子のマホイップ「マァホ……ッ」ズザァ

かな子「うっ……! 踏ん張って、マホイップ!」

かな子のマホイップ「……!!」

ズドンッ
884 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:56:46.25 ID:c80CQWaw0

藍子「……!!」


かな子のマホイップ「マァホォォォォォォ……!!」


ズドォォォォォン


ガクッ

かな子のマホイップ「マホ……」

ドローンロトム『マホイップ戦闘不能! マホイップ戦闘不能!』

ドローンロトム『勝者、チャレンジャー・藍子!!』

ワァァァァァァァ
885 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:57:18.50 ID:c80CQWaw0

藍子「……!」

藍子「やった……勝てた……勝てたよ、ゴリランダー!」

バシュゥッ

ゴリランダー「ゴリ」

かな子「……マホイップ、ゆっくり休んでね」

かな子「いい勝負だったよ、藍子ちゃん!」
886 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:57:55.47 ID:c80CQWaw0

藍子「かな子ちゃん……ありがとうございました」ペコリ

藍子「かな子ちゃんのおかげで……ジムチャレンジを続けようと思えました」

藍子「そして、かな子ちゃんに負けたからこそ……自分に足りなかったものを自覚することができました」

かな子「ううん、そんなに気にしないで。きっと藍子ちゃんなら、乗り越えてくれるって信じてたから♪」

藍子「そうだ……あの、さっき『やっぱり』って言ってたのは?」

かな子「ああ、あれはね……ゴリランダーのこと」
887 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:58:40.06 ID:c80CQWaw0

かな子「最初のバトルで、薄々気づいてたんだ。このゴリランダー、キョダイマックスの素質があるポケモンだって」

藍子「そ、そうなんですか? 私、全然そんなこと気づかなかったです……」

かな子「そうだったんだ。だから最初のバトルではダイマックス、使わなかったんだね」

かな子「私もあんまり詳しくないんだけど、特別な環境で育ったポケモンはキョダイマックスの素質を秘めているんだって。藍子ちゃんのゴリランダーも、もしかしたら特別なポケモンなのかも」

藍子「……私のポケモンが。そんなこと、考えたこともなかったな……」

かな子「ちなみにさっきの技はキョダイコランダ。ゴリランダーのキョダイマックス技だよ」
888 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:59:22.27 ID:c80CQWaw0

かな子「……藍子ちゃん。さっきのジムチャレンジを続行すべきか――って話の続きなんだけどね」

かな子「ジムチャレンジを中止すべきって意見を唱えていた人は、いつかチャレンジャーが変な情報を吹き込まれて、怪しい集団に取り込まれるしれないって危惧していた。でもね、私はこう思う」

かな子「バトルを楽しめたり、バトルを通して自分や相手の価値を高められるトレーナーなら、きっと悪い心には染まらないだろう……って」

藍子「……!」

かな子「……うん、藍子ちゃんなら大丈夫だよね♪ じゃあ……はい、これ!」

藍子はドルチェバッジを手に入れた!

藍子は技マシン「じゃれつく」を手に入れた!
889 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/04(金) 23:59:49.68 ID:c80CQWaw0

かな子「それと、これも」

藍子はしんせんクリームを手に入れた!

かな子「……藍子ちゃん。また必ず、バトルしようね!」

藍子「……はい! こちらこそ!」

グッ
890 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/05(土) 00:00:23.34 ID:dY7cDLqO0

凛「藍子、お疲れ様」

都「いいバトルでしたね! バッジゲット、おめでとうございます!」

藍子「二人ともありがとうございます! でもまさか、ゴリランダーがキョダイマックスするなんて……」

凛「私も驚いたよ。マホイップのように本体が大きくなった、というよりはドラムが大きくなったような感じだったけど」

都「ということは……藍子さんのマホイップもキョダイマックス、するんですかね!?」

藍子「うーん、それはどうなんでしょうか……」

藍子「かな子ちゃんは特別な環境で育ったポケモンがキョダイマックスできるって言っていたんです。特別な環境ってどういうことなのか……」
891 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/05(土) 00:00:56.13 ID:dY7cDLqO0

凛「特別な環境……」

凛「ということは、同じ種族のポケモンでも、キョダイマックスする個体としない個体がいるってこと、なのかな」

凛「うーん、キョダイマックス……まだまだ謎が多いね」

藍子「そうですね。……ところで、次はどの町に向かいましょうか?」

都「あ、そのことなんですけど」
892 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/05(土) 00:02:14.33 ID:dY7cDLqO0

都「実は先ほど、さくらさん――あ、私の助手を務めてくれているんですけど――から連絡がありまして」

都「さくらさんはキルクスタウンのジムリーダー、泉さんと親しいんですが、泉さんが事件の情報を提供してくれるみたいなんです」

都「それで、よければ都さんも来て話を聞かないか、と連絡を受けました」

都「泉さんは一番最初の暴走事件の時も現場にいました。もしかしたら重要な情報を知っているかも……」
893 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/05(土) 00:02:43.58 ID:dY7cDLqO0

凛「なるほど、キルクスタウンか。えっと……」

凛「いったんナックルシティに戻って、東へ進むんだね」

凛「それに今、ジムリーダーって言ったよね。じゃあ次に挑むジムもそこでいいんじゃないかな、藍子」

藍子「私も賛成です!」

都「わかりました! では今日はゆっくり休んで――明朝、キルクスタウンへ向けて出発しましょう!」
894 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/05(土) 00:09:37.54 ID:dY7cDLqO0
アラベスクタウン編 終幕
次回>>>キルクスタウン編

長かったアラベスクタウン編が終わりました。いやあ長かった…
そして遂にマホミルが進化しました。チート級のバフ技も獲得しました

さて、そろそろレスも残り少なくなってきたので、次回は本編の補足となる小話を挟んでキルクスタウン編は次のスレから始めることにします
まだバッジは5つ、先は果てしなく長いですがのんびり頑張っていきます
お疲れさまでした
895 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/05(土) 00:14:43.27 ID:RFTM9XRc0
乙 デコレーションで自己強化可能っていいな...まあゲーム以外だとできそうだよね
896 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/06(日) 11:55:12.81 ID:NxmgMlPk0

キョダイマックスゴリランダーキタ━(゚∀゚)━!手持ちになる前ダイキノコ食ったりしたんかね?
てか藍子にサルノリ譲った親戚って誰だろう?
897 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/06(日) 16:33:31.87 ID:YQy1shPyO
というかまさかの伝説以外の出禁が出来るとはな
どんだけ暴れたんだか…
898 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:02:56.33 ID:O+c1N9Zr0
投下します。今回は本編の補足回です
899 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:04:45.06 ID:O+c1N9Zr0


『小レポート@ -ドラメシヤの精神状態と現状についての考察および対策-』


藍子「そうだ、凛さん。少し相談したいことが……」

凛「ん、どうしたの?」

藍子「あの、ドラメシヤのことなんですけど」

藍子「実は先日、夜に森を散歩していたらトレーナーとバトルになって、私はドラメシヤをくり出したんですが……」

藍子「ドラメシヤはずっと怯えた様子で……私の指示も聞こえていなかったみたいで、何もできなかったんです」

凛「……」

藍子「……やっぱり、前のジム戦のこと、まだ引きずっているんでしょうか」
900 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:05:52.47 ID:O+c1N9Zr0

凛「……そうかもね」

凛「スタジアムでのバトルはただでさえプレッシャーが大きいから、もともと臆病なドラメシヤはさらに負担を感じただろうね」

凛「でも私と特訓している時は普通に動けていたよね?」

藍子「そうなんです。だから余計に驚いちゃって……」

藍子「凛さんや私のポケモン相手なら、きっといつも通りに振る舞えるんです。でもいざ実戦になると、そうもいかないみたいで」

藍子「こんな状態で他のトレーナーとバトルをさせるのは、やっぱり厳しいでしょうか」
901 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:06:57.20 ID:O+c1N9Zr0

凛「そうだね。……荒療治って手段もあるけど、やっぱり少しずつ慣れさせていくのが一番いいと思う」

凛「まあ、特訓を通じて少しずつ様子を見ていくしかないね。その分他の手持ちよりレベルアップは遅れるだろうけど」

藍子「……」

凛「藍子、不安なのはわかるよ。バトルに出せないポケモンを連れていくのって、私もすごくモヤモヤするだろうし」

凛「でもせっかく仲間になったポケモンだもん。簡単には手放したくないよね」

藍子「……はい」

藍子「私、信じてみます。この子が、いつかラテラルジムの時みたいに 、笑ってバトルできる日が来ることを」
902 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:08:28.53 ID:O+c1N9Zr0

藍子「それに、ドラメシヤがこうなったのは私の責任です。だからちゃんとドラメシヤと向き合っていかないといけないですよね!」

凛「……」

藍子「……あれ、凛さん? どうかしました?」

凛「……あ、いや。藍子、頼もしくなったなあ、って思っただけ」

藍子「へ、へっ!? ど、どういうことですか……!?」

凛「ふふっ。責任とか、ちゃんと向き合うとか、前の藍子は言わなかった台詞だなって思って」
903 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:10:11.66 ID:O+c1N9Zr0

藍子「ま、まあ……確かにそうかもしれないです。……そうでしょうか?」

凛「……たしかにトレーナーとしてそういう責任感は持つべきだと思う。でもね」

凛「今はそんなに深く考えなくてもいいんじゃないかな。ドラメシヤはいずれ戦えるようになるよ」

藍子「!」

藍子「……そうですね、私もそう信じています!」


※これ以降、ドラメシヤはトラウマを克服するまで対人戦には顔出ししません。
904 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:11:07.67 ID:O+c1N9Zr0


『小レポートA 或る計画』


ナックルシティ マクロコスモス本社

『ID認証をお願いします』

??「……」

【ID:196S#】

ピッ

ウィィン
905 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:11:48.76 ID:O+c1N9Zr0

??「……社長」

つかさ「お、その声は時子サンか」カタカタカタカタ

時子「……明日のスケジュールについて再確認しに来たわ。ちょっといいかしら――」

つかさ「……」カタカタカタカタ

時子「……」

つかさ「……」カタカタカタカタ

つかさ「あ、悪ィ。耳は傾けてるから、話してくれていいぜ」カタカタカタカタ
906 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:12:36.68 ID:O+c1N9Zr0

時子「……そう。じゃあ午前の会議での議題の件だけど――」

つかさ「……」カタカタカタカタ

時子「以上よ。なにか意見はある?」

つかさ「いいんじゃないか?」

時子「……」ハァ

時子「やけに適当な返事ね……いったい何の作業をしているの?」

つかさ「適当じゃないさ。で、今やってるのは作業というより調べもの、かな」
907 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:13:47.55 ID:O+c1N9Zr0

時子「……?」

クルッ

つかさ「時子サン」

時子「あん?」

つかさ「……この地方には、ガラル粒子のエネルギーが至るところに満ちている。そのエネルギーがあるからこそ、ダイマックスバトルという独自の文化も隆盛してきた」

時子「……」

つかさ「でもさ、考えたことはないか? ガラル粒子はポケモンを巨大化させたり、時に姿形を変化させたりするけど、でもあくまでも短時間の、限定的な力としてのみ働く」

つかさ「そんなエネルギーが何時、何処から湧き出てきたのか……」
908 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:16:06.11 ID:O+c1N9Zr0

時子「……うちの社長はいつから考古学者気取りになったのかしら」

時子「ま、でも、少し興味はあるかもね」

つかさ「だろ?」

つかさ「このガラル粒子の出所については、ガラルの地下にそうしたエネルギーが充満していて、少しずつこの大地に漏れてきているって説が有力だ。歴史ある文献にもそう書いてる」

つかさ「けれど、アタシはそれとは違う一つの仮説を立てた」
909 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:19:11.60 ID:O+c1N9Zr0

時子「仮説……?」

つかさ「もしガラル粒子が自然の産物ではなく、第三者から与えられたものだったとしたら?」

つかさ「……この場合の第三者はニンゲンとも言えるし、ポケモンとも言えるし、あるいは別の生命体とも取れる」

時子「……」

つかさ「ま、ニンゲンじゃないだろうな。こんな未知数のエネルギーが故意に生まれたとは考えにくい。何かの弾みって線もナシだ」
910 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:20:37.25 ID:O+c1N9Zr0

つかさ「別の生命体、というのも曖昧だし、裏付けなんて何もないから信用に値しない」

つかさ「じゃあポケモンはどうか。他のポケモンにも影響を与えるほどの莫大なエネルギーを持っているポケモンが存在するのか……」

時子「……それこそ裏付けはないんじゃない?」

つかさ「そうとも限らないぜ? 世界には大地や海を広げたポケモン、感情や時空を司るポケモン、世界を生み出したとされるポケモンまでいるんだから」

つかさ「……もしも、圧倒的な力をもつポケモンの力で、今のガラルが形成されているとしたら。そのポケモンが、今も生きているとしたら」
911 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:21:29.75 ID:O+c1N9Zr0

時子「……それを考えてどうするの? まさか手なずける気?」

つかさ「やろうと思えばできるはずだぜ。時子サンのいた会社で作られていた、アレがあるならな」

時子「……質問が悪かったわ。手なずけて、どうする気?」

つかさ「……へえ。それはまだ考えたことなかったな。よし、何か絞り出してみるか」

時子「……」ハァ

つかさ「おっと、世間話に付き合わせて悪かったな。明日も早いし、今日はもうゆっくり休んでくれ」
912 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:22:08.38 ID:O+c1N9Zr0

時子「……社長は?」

つかさ「アタシはもう少し起きてるよ」

時子「……そう」

ガラッ

つかさ「……」

つかさ「……さて」

rrrrr……

ガチャッ
913 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:23:02.92 ID:O+c1N9Zr0

つかさ「……突然すまないな。アタシはガラル地方に籍を置くマクロコスモスのつかさだ」

つかさ「……ああ。アンタがそこそこ権威のある考古学者だということはネットで調べさせてもらった」

つかさ「折り入って頼みがある。あるポケモンについて調べてほしいんだ。そのポケモンの生態的特徴、活動記録、潜在能力――どんな些細な情報でも構わない」



つかさ「ポケモンの名は――ムゲンダイナ」

914 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:24:57.15 ID:O+c1N9Zr0


『世界が変わった日』



ガチャッ

??「ふう……ただいま」

マーイーカ「マーイーカッ!」ピョンピョン

??「ああ、マーイーカ。ただいま。お腹は空いてるか?」

マーイーカ「マーイーカッ」

??「そうか。なら先にシャワーを浴びさせてもらうよ。夕食はそれからにしよう」
915 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:26:25.51 ID:O+c1N9Zr0

??(……私はこの小さな町に唯一ある図書館で司書として働いている)

??(女手一つで育った私に、母は理知的な人物になってほしいという望みを託した。それを図書館司書という形で叶えた私は、昨年からこの町に移り住み、新しい暮らしを始めた)

??(……正直、生活に余裕はないし、将来の見通しもない。それでも本に囲まれ、優しい町の人に囲まれる暮らしは、質素だが充実したものだった)

??(常に何かに追われていた感覚の中で生きてきた私にとって、この町が与えてくれる安らぎは他の何にも代え難かった。私はこの町が好きだ)

??(いや……今となっては、そんな言葉も遠い過去に置いてきてしまったか)

??(あの日を境に、私の心は壊れてしまった)
916 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:26:58.92 ID:O+c1N9Zr0

八百屋

??「どうも」ガラッ

オヤジ「おー、今日は仕事は休みなのかい?」

??「ああ。今日は第3木曜日だからな」

オヤジ「あらら、じゃあ今月ももう後半なんだ。早いなあ」

オヤジ「っとと、はいよ。今日はちょっとオマケ付きだよ」サッ

??「ありがとう。いつも悪いな」
917 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:27:32.77 ID:O+c1N9Zr0

オヤジ「いいって。アンタが毎日話し相手になってくれてるおかげで、うちの親父のボケが進むのも遅れてるんだぜ」

??「どうだか」フフッ

??「……ん?」

オヤジ「……? どうした――」

オヤジ「……どうにも焦げ臭いな」

??「外で何かあったのか……?」

ガラッ

??「!!」
918 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:28:21.89 ID:O+c1N9Zr0

ゴォォォォォォォォ

??「か、火事……だと!?」

ワァァァァァァ

キャァァァァァァ

??「おい、どうした! 何があったんだ!」

年配の女性「そ、そこの家から急に火が……! きっと家主が火の元の確認をしていなかったんだわ!」

年配の女性「あなたも早く逃げなさい! この辺は家が密集しているから、すぐに火が燃え広がっちゃうわ!」
919 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:29:05.38 ID:O+c1N9Zr0

町長「そ、そうじゃ! ――くんも早く逃げなさい!」

??「町長! 消防隊は!?」

町長「あいにくこの町には消防署がないのじゃ。隣町から来てもらわないと……」

??「隣町だって……!?」

??「そんなの遅すぎる! この町は森に囲まれているんだろう。このまま指を咥えて待っていたら山火事になるぞ!」

町長「じゃ、じゃが……」
920 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:29:41.71 ID:O+c1N9Zr0

??「くっ……」

??(なんとか……この町を守れないのか? 私を受け入れ、愛してくれたこの町が消えるのをただ見ているだけなんて……)

ポンッ

??「!」

ウパー「ウパー!」

町長「ウ、ウパーちゃん! こら、危ないからボールに入っていなさい!」

??「ウパー……」
921 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:30:43.50 ID:O+c1N9Zr0

??「……町長、このウパー、少し借りてもいいか?」

町長「なっ、何を言っておる!? ダメに決まっているじゃろがっ!!」

??「……ウパーはやる気みたいだが?」

町長「なっ……」

ウパー「ウパー! ウパー!」

??「……よし、ウパー! 少しでも火が燃え広がるのを抑えてくれ!」

??「みずでっぽう!」
922 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:31:20.13 ID:O+c1N9Zr0

ウパー「ウパー!」ボッ

ドバアッ

ジュゥゥ……

??「よし……いい調子だ、ウパー!」

ウパー「ウパッ!」

町長「……おおっ……」

町長「……い、いいぞウパーちゃんっ! ナイスファイトじゃっ! さすが私の自慢のウパーちゃんじゃな!」
923 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:32:37.53 ID:O+c1N9Zr0

??「皆は早く高台に避難してくれ! 私とウパーはなるべく火の勢いを抑えておく!」

町長「お、お前さん……なんて健気な若者なんじゃっ」

年配の女性「わかったわ! さ、早く避難しましょ!」

オヤジ「ほら行くぞ爺さん! ……ありがとよ!」

………………………………………………

ゴォォォォォォォォ

??(さすがにウパーだけでは厳しいが……)

??(先ほどより火が落ち着いてきている。効果はあったみたいだな)
924 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:33:13.35 ID:O+c1N9Zr0

??「さて、町の人は避難を終えたのかな」

ウワァァァァァン

??「! 女の子が……母親に引きずられている?」

女の子「嫌だぁぁぁぁ!! ママのいじわるぅぅぅ!!」

ママ「もう、ワガママ言わないで!! 仕方ないでしょう!!」

??「おい、どうしたんだ?」

ママ「あっ、――さん。実は……」
925 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:33:49.35 ID:O+c1N9Zr0

女の子「ブルーが……ブルーがまだお家の中にいるのぉ!!」

??「何っ……あの家の中にか!?」

ママ「は、はい。この子、ブルーとかくれんぼをしていたみたいなんですけど、火事に気づいた私が何とか連れ出して……でもブルーだけはどうしても見つからなかったんです」

ママ「きっとどこかに隠れていて、出られなくなったのかもしれません。私も助けてあげたいのですが……」

ゴォォォォォォォォ

??「……これはたしかに厳しいな」

女の子「うわぁぁぁぁん!!」
926 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:34:22.87 ID:O+c1N9Zr0

??「……」

??「わかった。私が助けに行こう」

女の子「えっ?」

ママ「ちょ、ちょっと、本気なんですか!? あの状態じゃ、ブルーはもう……!」

??「……母にこう教わったんだ。『我が身を顧みず人を助けよ。さすれば人も己も救われる』、と。……だから、もう泣くな」

??「ウパー。さすがにあの中は危険だ。すぐに戻るから、ここで大人しくしていてくれ」スッ

ウパー「ウパー」

??「……!」ダッ

ママ「ああっ……!」
927 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:34:50.37 ID:O+c1N9Zr0

ゴォォォォォォォォ

??「ぐっ……目の前がほとんど見えない……」

??「それに意識が朦朧としてきた……早くしないと」

??「……おい、ブルー! いるなら返事をしてくれ! ブルー!」

??「……」

??「……!」

ヒョコッ
928 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:35:17.01 ID:O+c1N9Zr0

ブルー「ブル……?」

??「ブルー……ここにいたんだな! 無事でよかった――」

ブルー「ブル――」

ガダンッ

??「!!」ハッ

??(しまった、上から瓦礫が……!)

??(……手遅れ、か――)
929 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:35:53.36 ID:O+c1N9Zr0

ブシャァァァァ

??「!?」

ドガンッ

ウパー「ウパーッ!」

??「ウパー!? 助けてくれたのか……!」

??「……いや、なぜ来たんだ! 危険だから待っていろと言ったはずだ!!」

ウパー「ウパー!!」

??「! お前……出会ったばかりの私に、どうしてそこまで……」
930 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:36:24.50 ID:O+c1N9Zr0

??「……いや、まずはこの家から脱出しないと――」

??「!!」

??(そんな……さっき辛うじて通ってきた道が塞がれている……)

ゴォォォォォォォォ

ゴォォォォォォォォ

??「……くそっ……」

ギュッ

??「ブルー、ウパー……せめてお前たちだけでも……」
931 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:36:50.97 ID:O+c1N9Zr0

ウパー「……」

ゴオッ

??「……!」

ウパー「ウパッ――」

ウパー「ウパーーーーーー!!!」

カッ

ズドォォォォン
932 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:37:36.16 ID:O+c1N9Zr0

若い男性「な、なんだ!? なんの爆発だ!?」

ママ「! あれは……!」

ガタッ

ズザァァァァ

??「ぐはっ……」

ブルー「ブル……」

女の子「!! ブルー!!」ダッ

ママ「そんな……本当に助けてくれるなんて……!」

女の子「ブルー! ブルー!!」
933 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:38:12.75 ID:O+c1N9Zr0

??「……うっ……」

ママ「あ、あなた、大丈夫!?」

??「あ、ああ……一体何が……?」

ママ「何がって、あなたとブルーがあの家から飛び出してきたのよ!」

??「あの家から……? いったいどうやって――」

??「……! そうだ、ウパーは!?」ガバッ
934 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:38:45.92 ID:O+c1N9Zr0

??「……!!」

ガラッ

ドガンッ ドガンッ

ゴォォォォォォォォッッ

??「……!! そんな……ウパー!!」


??「ウパァァーーッ!!」
935 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:39:20.65 ID:O+c1N9Zr0


町外れの病院


ガラッ

看護師「……こんにちは」

町長「看護師さん……ウパーちゃんは無事なんですか!?」

看護師「……はい、こちらに」

サッ

町長「……!!」

看護師「全身がひどく火傷していますが、命に別状はありません。意識も戻っています」

看護師「ですが――」
936 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:40:06.14 ID:O+c1N9Zr0

町長「ああ……よかった……ありがとう……ありがとう……!」

町長「ウパー……私だよ、わかるかい……?」

ウパー「……?」

町長「ウパーちゃ――」

ウパー「……ウパ……?」

ウパー「……ウパ……」

町長「……どうしたんだ、ウパーちゃん……疲れてるのかい?」

看護師「……」
937 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:41:19.31 ID:O+c1N9Zr0

看護師「町長さん。解離性健忘というのをご存知ですか」

町長「かいり……何だって?」

看護師「解離性健忘です。強いトラウマや心的外傷によって引き起こされる記憶障害です。自分にとって大事な記憶を忘れたり、記憶に空白期間が生まれることもあります」

看護師「……おそらく、そのウパーは、火事の恐怖とショックで記憶を失って……今は、自分がなぜベッドに横たわっているのかもわかっていないのでしょう」

看護師「そしておそらく……あなたのことも」

町長「……!」

町長「……そんな。そんなの……」

町長「あ……あんまりじゃないか……」ポロッ

町長「あ、ああ……私のかわいいウパーちゃんが……!!」
938 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:42:14.66 ID:O+c1N9Zr0

………………………………………………

??「……それじゃあ、ウパーは……」

町長「……まだあの病院じゃ。退院しても、記憶が戻ることはないだろう」

??「……そんな……」

町長「……」

町長「君は……あの親子のブルーがどうなったのかも知っているかね?」

??「いえ……」

町長「あの時……ブルーは見てしまったんじゃ。私のウパーちゃんが瓦礫に押し潰されてしまう所を」

町長「それ以来、ブルーも火事のショックが脳裏に焼き付いて、家族にさえ塞ぎ込んでしまうようになったらしい」
939 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:43:58.37 ID:O+c1N9Zr0

??「……!!」

町長「……お前のせいじゃ」

町長「私が……どれだけウパーちゃんを大切にしていたか、知ってただろう?」

町長「あの時お前がしゃしゃり出てこなければ、こんなことには……」

町長「全部……全部……お前のせいだ!! 私のウパーちゃんを……返してくれ!!」

??「……!!」

………………………………………………
940 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:44:55.97 ID:O+c1N9Zr0

??「……ええ。そうさせていただきます」

??「……はい。では」

??(……仕事は一時的に休むことになった。職場の人からは、いつも通り優しく接された)

??(でも私にはわかってしまった。彼らも心のどこかで、私のことを厄介者扱いしているということを……)

??「……母にも、事情を伝えておかなければ」

prrrrr

ピッ

??「――もしもし」

母『……』

??「母さん、実は――」
941 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:46:45.13 ID:O+c1N9Zr0

母『あんた、やってくれたわね』

??「……え?」

母『聞いたわよ。町長さんのポケモンを手酷く扱ったそうね。町長さん、あんなに自分のポケモンのことを愛していたのに……』

??「……い、いや、違うんだ、母さん! そもそもあの時私は――」

母『言い訳をするような子に育てた覚えはありません!』

??「……! なぜだ、母さん……話を聞いてくれ!」

母『あんたが調子に乗ったせいで、あたしの職場にも悪い噂が広がったわ。母さん、どれだけ肩身が狭い思いをしたかわかってるの!? あんたはあたしの面汚しなのよ!』
942 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:47:49.49 ID:O+c1N9Zr0

??「……! か、母さ――」

母『……もう口も聞きたくないわね』

母『あんたなんかいらないわ……この町から出ていきなさい!!』

??「……!!」

ブツッ

??「……そんな、どうして……」

??「私はただ……町を守ろうと……皆を助けようと……しただけなのに……」
943 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:48:23.14 ID:O+c1N9Zr0

??「『我が身を顧みず人を助けよ。さすれば人も己も救われる』……そう教えたのは母さんじゃないか」

??「なぜ……なぜなんだ……」

??「――ッ!!」

??「うああああっっっ……!!」
944 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:49:36.46 ID:O+c1N9Zr0

??(その日を境に、私は世界を敵に回した)

??(もう私の味方などいなくなってしまった。何もかもに見放された気分だった。私は周りの全てを憎んだ)

??(それから夜は眠れなくなった。様々な思いが錯綜して、心をさらに深く沈ませた)

??(……だが。私を絶望させた一連の事件は、ある日の夜、幸か不幸か私の幼い頃の思い出の一つを掘り起こした)

??(たまたま図書館で見かけた本――『ガラル史実』、タイトルはたしかそうだった。その話に出てきた1匹のポケモン……)

??(太古の昔、ガラルを統べていたというポケモン、バドレックスの記憶が、私の脳裏にフラッシュバックした)
945 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/11(金) 21:50:23.58 ID:O+c1N9Zr0

世界が変わった日 終幕

次回>>>キルクスタウン編
To Be Continued…

これで1スレ目終了です。次回は新しいスレでお会いしましょう
946 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/11(金) 21:58:19.20 ID:GpS5ElFIO
なんていうかポケスペカロス並みの絶望感(まじで)
947 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/11(金) 22:22:00.46 ID:NDjcuJBF0
乙 まさかの時子登場か...しかし??が誰か予想つかないなあと権威のある考古学者も
948 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/12(土) 02:46:29.60 ID:u0hnpB630
ちょっとオーベムさん連れてきてもらって記憶操作してもらおう(錯乱)
949 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/13(日) 13:34:16.16 ID:RCfEz/oj0

考古学者だとふみふみが再登場かな?>>17で言われてる全てのポケモン(伝説・幻除いた?)のデータを
収集しきった凄腕のトレーナーが気になる楓さんもしくは楓さんの同期なのかな
950 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/09/19(土) 00:45:14.55 ID:Nxbdv+tR0
【モバマス×ポケモン】藍子「めざせポケモンマスター! …ポケモン、マスター?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1600443760/

新スレ立てました。今後の書き込みはそちらにお願いします
951 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/19(土) 02:19:49.93 ID:dTEjuXCG0
【モバマス×ポケモン】藍子「めざせポケモンマスター! …ポケモン、マスター?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1600443760/
952 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/19(土) 02:22:42.13 ID:dTEjuXCG0
>>950
なんかちゃんと更新されてなくて誘導無いと思って貼っちゃったごめんね
408.81 KB Speed:0.6   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
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256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
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