シンジ「流石にもう怒った」【エヴァ】

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2 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 15:52:35.01 ID:y/4HZL8g0
アスカ「さて………そこっ!あ、アイテムが!ぐぁっ、何でそこでサンダー!?」ガチャガチャ

シンジ「置いとくよ」コトッ

アスカ「よし!キラー引いたら巻き返せる!……って何で終わったところでスター待機してんの!?」ガチャガチャ

シンジ「…………」ガサゴソ

シンジ「次はミサトさんの部屋か…」スーッ

シンジ「うわ、酒瓶がそこらじゅうに転がってる。ビールに…これはウォッカ?そんな強い酒まで飲むのか、通りでダル絡みが最近多い訳だ」カチャカチャ

シンジ「うわっ!足下がっ!」グラッ

ガチャーーン!!

シンジ「………やってしまった」

シンジ「よりによって、中身入りの瓶を割ってしまった……」

シンジ「……雑巾が必要だな」

シンジ「アスカー、雑巾持ってきてくれなーい?」

アスカ「今忙しいー」ガチャガチャ

アスカ「っやったー!大逆転!正義は勝つ!」フー!

シンジ「………」
3 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 15:53:46.19 ID:y/4HZL8g0
シンジ「……ふぅ、部屋に酒の匂いは残ってるけど何とか片付けられた」

アスカ「バカシンジー、ミサトの部屋にいるの?入るわよーって酒臭っ!」

シンジ「さっき瓶を落として中身が出ちゃって…」

アスカ「何やってんのよー!部屋の外まで酒の匂い出てきてるわよ!私の部屋まで匂ってきたらどうしてくれんのよ!」

シンジ「アスカが早く雑巾持ってきてくれたらもう少しは匂わなかったよ!」

アスカ「何!?人のせいにするわけ!?元はといえばアンタが瓶を割らなかったら済む話じゃない!!」

シンジ「…………」
4 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 15:54:19.57 ID:y/4HZL8g0
アスカ「あーもう、さいっあく!バカシンジ、夕飯はアイスバインね」

シンジ「アイスバイン!?今からやってても完成しないよ!?」

アスカ「何言ってんのよ、それをどうにかすることがアンタの仕事でしょ」

アスカ「アンタはパイロットとしては三流以下なんだから、せめてこういうところでエースパイロットの世話をするのが常識ってものよ?」

シンジ「…………はい」

アスカ「わかったら材料買ってきて。夕飯時迄に出来なかったら許さないんだから」

シンジ「………………はい。行ってきます」ガチャッ

アスカ「……………」
5 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 15:54:47.91 ID:y/4HZL8g0
………夕飯時

ミサト「ふぃー、ごちそーさまぁー、シンちゃんビールちょーだい」

シンジ「ミサトさん、自分の部屋もう少し綺麗にしてください。中身の残ってる酒瓶とかもう嫌ですよ」コトッ

ミサト「ごみんごみん、ちょっちサボっちゃって」カシュッ

ミサト「んっ、んっ、んっ、プハーーーっ!!このために生きてるっ!」

シンジ「…………」

アスカ「バカシンジー、お風呂沸いてるー?」

シンジ「今から洗うよ。今日は洗う暇なかったの、知ってるだろ」

アスカ「何よー!奴隷の癖に使えないわねー!」

シンジ「…………悪かったよ、今から洗えば良いだろ」

アスカ「あーもー、今すぐ入りたいのにー!ホンっトバカシンジなんだから」

シンジ「…………………」
6 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 15:55:19.45 ID:y/4HZL8g0
シンジ「洗ったし沸いたよ」ガチャッ

アスカ「今ゲームいいところだから、待って」

シンジ「アスカが洗えっていうから洗ったし沸かしたんだよ?ガス代が無駄になるじゃないか」

アスカ「今オンラインなの!止めたらレートに響くの!そんなこともわかんないわけ!?」

シンジ「………僕先に入るよ」

アスカ「ダメに決まってるじゃない!アンタが入った後の風呂に私が入れって言うの!?なら今日は入らない方がマシよ!」

シンジ「」ブチッ
7 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 15:56:09.05 ID:y/4HZL8g0
シンジ「ミサトさん」ガサゴソ

ミサト「なぁーにぃー、シンちゃぁーん、お酒飲みたいのぉー?」ケラケラ

シンジ「僕、この家を出ていきます」ガサゴソ

ミサト「そっかぁー、この家を出て行く…の…ね…?」

シンジ「はい。お世話になりました」スッ

ミサト「ちょ、ちょ、ちょっち待って。今のは私のアルコールのせい?なーんか聞いちゃいけない言葉を聞いた気がするんだけど」

シンジ「それが想像できる最悪の言葉なら、それで合ってます」ガサゴソ

ミサト「え、ちょ、何で?シンちゃん何で?」

シンジ「分からないならいいです」
8 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 15:56:58.17 ID:y/4HZL8g0
シンジ「考えてみたら、アスカとの共同生活だって、分裂する使徒を倒すためにしていたんですし」

シンジ「ミサトさんが僕を監視するのだって、いなくなれば楽になるでしょう?アスカだけになるから」

シンジ「手荷物はもうまとめたし、部屋の荷物もそんなにないですから」スッ

ミサト「ど、どこ行くのよぉ?」

シンジ「本部で寝泊りしようかと。話せば部屋の一つくらい貸してくれるでしょう」
9 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 15:57:27.53 ID:y/4HZL8g0
ミサト「ま、待って、そしたら私監督不行届きで減俸食らっちゃう…お酒が…」

シンジ「………」ウィーン

ミサト「待って待って冗談だから、お酒なんていいから」

シンジ「………その手のストロングを置いていたら、多少は説得力あったかもしれないですね」

ミサト「あ、こ、これは……ちょ、アスカー!?来てー!?」

アスカ『何、買い物でも行くのー?あ、じゃあガルガル君のなし味とシャンプー買っといてー』

ミサト「ダメだあのエースパイロット聞いちゃいない!?」

シンジ「さようなら、次のテストで会いましょう」タッ

ミサト「し、シンちゃん…………」

ウィーン……
10 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 15:58:02.54 ID:y/4HZL8g0
………inネルフ 司令執務室

シンジ「………というわけなので、ネルフに泊めてください」

冬月「葛城一尉は三尉に降格後、2ヶ月は減俸だな」

ゲンドウ「………良いだろう。L-4区画の第一分析室の隣に仮眠室がある。そこを使え」

シンジ「ありがとうございます」スタスタ

冬月「……てっきり、そのまま家に帰すかと思ったがな」

ゲンドウ「初号機パイロットの精神に過剰な負荷をかけてはシンクロ率に影響する」

冬月「それが分かっているのなら、もう少し父子としての関係を築くべきだったと思うよ」

ゲンドウ「…帰す言葉もありません」

冬月「第三の少年に付けていた諜報部の監視はどうする?」

ゲンドウ「引き戻してかまわん」

冬月「……大事に至らないと良いが」
11 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 15:58:46.73 ID:y/4HZL8g0
………inL-4区画、第4仮眠室

シンジ「ここか……」ウィーン

シンジ「結構綺麗だ。誰かが今まで掃除してきてたんだな」ドサッ

シンジ「うーーーーん………っと」ノビー

シンジ「………自由になったんだな…僕」

シンジ(………アスカとミサトさん、二人で大丈夫かなぁ)

シンジ「………っと、風呂にまだ入ってなかったんだ。今から入りに行こう」ウィーン

シンジ「……本当、本部って広いよなぁ」スタスタ

シンジ「大浴場を作れるだけの敷地があるだけあるよ」スタスタ
12 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 15:59:14.02 ID:y/4HZL8g0
青葉「全く…ようやっと風呂に入れる…あれ、シンジ君じゃないか」スタスタ

日向「何でこんな時間にここにいるんだ?」スタスタ

シンジ「それがかくかくしかじかで」スタスタ

青葉「………マジか」スタスタ

日向「惣流は何となく分からなくはないけど、ミサトさんも家だとそんな風になってるんだ…」スタスタ

シンジ「僕も今まで頑張ってきたんですけど………もう、耐えられませんでした……」スタスタ

青葉「シンジ君は頑張った。何も悪くないぜ」スタスタ

日向「そうだよ。お疲れ様。風呂で背中流してやるよ」ポンポン

シンジ「ありがとうございます………」ウッウッ
13 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 15:59:49.90 ID:y/4HZL8g0
………同時刻、in葛城宅

ミサト「………というわけで、シンジ君はもう…ここには戻ってこないかもしれないわ……」

アスカ「…………」

ミサト「…………あの、やっぱりシンちゃんにあやm」

アスカ「あー!せいせいしたー!」

ミサト「え、ちょ、アスカ?」

アスカ「だって、バカシンジ喉が乾いても飲み物出そうとしてくれないし、夕飯作るの遅いし、部屋に時々入ってくるし、風呂を覗かれる心配もしなくて良いのよ?」

アスカ「こんなにハッピーなことはないわ!部屋ももう一つ使えるようになるし!」

ミサト(……アスカの言ったことの殆どがアスカ に原因があるとは…言ったら殺されるわね……)

ミサト(はぁ………減俸は免れられないし…保護者失格…か)

アスカ「ほら、ミサト風呂入るでしょ。私はもう寝るわよ」トコトコ

ミサト「あ、ちょ、アスカ………」

スーー、トン

ミサト「…明日本部行くの億劫ね……」
14 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 16:00:56.36 ID:y/4HZL8g0
とりあえずここまで。
夜に続き載せるかも。
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/26(火) 16:14:35.95 ID:ZFOJCxO+O
うん、これは怒っていい
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/26(火) 16:35:22.38 ID:c0o4qLHn0
こいつら見た目が良いからギリギリ許せるかもしれんがブスだったら殺意沸くぞ
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/26(火) 16:36:59.83 ID:c0o4qLHn0
シンジ「こうなったら、開き直ってやる・・・wwwwwwww」Part1
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi?bbs=news4ssnip&key=1376840950


このSSで二人のダメなところをシンジが突っ込みまくってたな
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/26(火) 16:46:00.55 ID:95vKCVvHO
やはり女なんて下らないと思わないかい、シンジ君
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/26(火) 16:48:45.82 ID:F2N2OGdDO
下手に出ればつけあがりやがっての典型だった
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/26(火) 17:00:54.84 ID:Z0Yy3sPSO
申し訳ないがホモはNG
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/26(火) 17:18:00.35 ID:YTZzkT+p0
アスカ「アンタは私の奴隷でしょー?つべこべ言わずに、持ってくるの!」

これはひどい
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/26(火) 17:53:30.97 ID:tObS+YVL0
そもそもミサト一人の時点で色々ひどかったのにそこにアスカがきちゃあねぇ……
そりゃあ、シンジくんも一人でいいって最初の頃言うわ
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/26(火) 18:05:34.12 ID:uM4VQ864O
カヲルが女だったら色々とひどいことになってただろうな
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/26(火) 18:09:37.66 ID:HzmO+Jor0
式波なら料理はできるから…
25 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 21:56:11.36 ID:y/4HZL8g0
おまたせ。
落としていく。

先に言っとくと、正直終わり方のいい構築ができなさそうだから最悪誰かに丸投げするかも。
26 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 21:57:05.96 ID:y/4HZL8g0
………inネルフ大浴場

カポーーーン…………

青葉「ゲームが好きって話は聞いてたけど、まさかそこまでだったとはなぁ」ザバァー

日向「飲み物は…自分で取りに行くべきだと思うよ?」

シンジ「やっぱりそうだったんですね……僕、感覚がおかしくなってきてて…」シクシク

シンジ「アスカの言う通り、僕がジュースを持っていくものだと考え始めてて……」シクシク

青葉「随分と溜め込んでたんだな……」

日向「よし、シンジ背中を流すよ、座って」

シンジ「はい…ありがとうございます……日向さん……青葉さん………」

日向「良いってことよ」

青葉(初めて名前呼ばれた……)
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/26(火) 21:57:23.21 ID:uM4VQ864O
ここは乗っ取り禁止だから最後まで書くんだよ!
28 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 21:57:54.89 ID:y/4HZL8g0
日向「よっと………シンジ君、服着てる時は気がつかなかったけど、結構身体しまってるんだね」ゴシゴシ

青葉「本当だ。線細いと思ってたけど、細マッチョだったか」

シンジ「そ、そうですか?お二人も結構筋肉ついてるじゃないですか」

日向「ま、仕事柄動かないから、人並み以上には意識して体動かしてるからね」ゴシゴシ

青葉「俺はギターもやってるからな。腕なら自信あるぜ」ムキッ

シンジ「おおーーー……」
29 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 21:58:21.50 ID:y/4HZL8g0
日向「元気、出てきたんじゃないか?」ゴシゴシ

シンジ「え?」

青葉「最近、シンジ君が笑わなくなったってスタッフの間で話上がってたんだよ」

シンジ「そ、そうだったんですか…?」

日向「やっぱり、裸の付き合いってのはある程度必要だよな」ザバァー

青葉「俺らの仕事的には、尚更な」

シンジ「……ありがとうございます、本当にありがとうございます……」

日向「何、俺らの方こそ人類を守ってもらってるんだ。感謝しないといけないのはこっちだよ」

青葉「君は大変な仕事をこなしている。自信持って、良いと思うぜ」

シンジ「ありがとうございます………!」グスッ
30 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [sage saga]:2020/05/26(火) 22:00:02.83 ID:y/4HZL8g0
>>27
そうだったのか、教えてくれてありがとう。

頑張って終わらせるけど、納得のいかない終わりでも何も言わないで...
31 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [sage saga]:2020/05/26(火) 22:00:56.49 ID:y/4HZL8g0
………翌日、第4仮眠室

ピピピッピピピッピピピッ

タン!

シンジ「…………知らない部屋……じゃないや、ここは……ネルフ本部の仮眠室か」

シンジ「そっか…昨日、こっちに引っ越してきたんだっけ」

シンジ「………ん?ひょっとして、朝食の準備も弁当も作らなくて良い…?」

シンジ「………いやダメだ、アスカとミサトさんはともかく、綾波には弁当を作らないと」

シンジ「カフェテリアの厨房、借りられないかなぁ……」ノソノソ

シンジ「…………よし、着替え完了。とりあえず朝食を食べに行こう。ネルフのカフェテリアの朝食って何があるんだろう」ウィーンスタスタ
32 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:01:48.37 ID:y/4HZL8g0
………inL-1区域、カフェテリア

リツコ「………あら、噂は本当だったのね」

シンジ「リツコさん、おはようございます」スタスタ

リツコ「おはよう。昨日の夜、ミサトから電話かかってきてね」

シンジ「そうですか…ミサトさんはなんて?」

リツコ「戻ってきて欲しいとは言ってたけど、彼女には少し灸を据える必要があると思うわ」

リツコ「数日はここで生活すると良いわ」
33 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:02:30.84 ID:y/4HZL8g0
シンジ「そうさせてもらいます。朝食のオススメ、何ですか?」

リツコ「そうねぇ……このBセットとかは結構人気よ」

シンジ「なるほど…やっぱり、日本人ですもんね。朝は米でないと」

リツコ「……家では、毎日パンかしら?」

シンジ「………朝から機嫌の悪いアスカの相手はしたくないですから」

リツコ「思ったより、ミサトの罪は重そうね」ハァ

日向「おはようございます」

青葉「おはようございます。シンジ君もおはよう」

シンジ「おはようございます!」
34 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:03:06.46 ID:y/4HZL8g0
リツコ「貴方達は残業で泊まり?」

日向「そんなところです」

青葉「シンジ君、よく眠れたか?」

シンジ「朝食を用意しないで良い朝がこんなに素晴らしいとは思ってませんでした」キラキラ

日向「これは………」

リツコ「いたたまれないわね………」

シンジ「あ、朝食で思い出した!ここの厨房、少し借りることってできないですかね?」

青葉「何をするんだ?」

シンジ「お弁当を作るんです」

日向「お弁当…?」
35 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:03:46.47 ID:y/4HZL8g0
冬月「おはよう諸君」ツカツカ

日向「副司令!おはようございます!」

青葉「おはようございます!」

リツコ「おはようございます」

冬月「第三の少年よ、今の話を聞いていたが、厨房を貸しても良いぞ」

シンジ「本当ですか!?」

冬月「私も副司令という権限があるからな。ただし、条件がある」

シンジ「…条件ですか?」
36 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:04:15.60 ID:y/4HZL8g0
………in学校

シンジ「おはよう、トウジ、ケンスケ」

トウジ「あれ、今日は惣流は一緒とちゃうんか」

ケンスケ「珍しいな、日直でもない日に二人が別々に来るなんて」

シンジ「それがかくかくしかじかで」

トウジ「惣流のやつはともかく、ミサトさんまでもがそこまでぐうたらしとるっては」

ケンスケ「だから、二人は今日は別々なんだ」

綾波「おはよう」

シンジ「おはよう綾波。今日の弁当だよ」

トウジ「カーーーーっ!見せ付けおってぇ!」

綾波「…いつも、ありがとう。……あれ、このお弁当箱、普段と違う」

シンジ「色々あって、ネルフで生活することになったんだ。だから、弁当箱も材料もネルフの厨房のやつだよ」

綾波「そう」
37 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:04:52.95 ID:y/4HZL8g0
キーンコーンカーンコーン

ケンスケ「あれ、チャイム鳴っちゃったよ」

トウジ「惣流のやつ来てへんけど」

シンジ「どうしたんだろ………」


………1限終了時刻付近、葛城宅

アスカ「………んーー……あれ……今何時………!?」ガタタッ

アスカ「ちょ、嘘でしょ!?大遅刻じゃん!!」ドタバタ

アスカ「ちょっとバカシンジ!!何で起こさないのよ!!」バン!

シーーーーン………

アスカ「…そうだったわ、バカシンジはもういないんだった」
38 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:05:28.49 ID:y/4HZL8g0
アスカ「………ならミサトは!?」バン!

ミサト「zzzzzzzzzzzzz」

アスカ「………転がってる酒瓶を見る限り、ヤケ酒か………」

アスカ「しょうがない、学校行きますか」

アスカ「バカシンジー、朝ごはんはー?」バン

シーーーーーーーン………………

アスカ「……………何回やるのよ」
39 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:05:55.56 ID:y/4HZL8g0
…………二限前半

アスカ「すみません!遅刻しました!」バン!

先生「来たか惣流。お前が遅刻とは珍しいな」

アスカ「すみません、色々ありまして」

先生「まあ、エヴァパイロットだからしょうがないところもあるだろ。帳簿にはワシが細工しとく。座れ」

アスカ「ありがとうございます」トコトコ

アスカ「……………」ガラッストッ

アスカ「……………………」ジィィィィィ

シンジ(めっちゃ見られてるめっちゃ見られてるめっちゃ見られてる!!)
40 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:07:19.43 ID:y/4HZL8g0
………お昼休み

アスカ「バカシンジ、ちょっと来なさい」

トウジ「待てぃ惣流!!」

アスカ「……邪魔よ、鈴原。アンタがヒカリのソレじゃなかったら殺してるくらいに今機嫌が悪いの」

トウジ「ソレとかアレとか何の話か知らんけど、知ったことか。ワイは、日々苦しむ友達を守るんや」

アスカ「あっそ。誰が苦しんでるって?まさか、バカシンジ?」

トウジ「それ以外に誰がおるっちゅうねん」

アスカ「私よ、わ・た・し!朝はシンジが起こさないから寝坊するし、朝食だって食べてないのよ!?」

アスカ「おまけに台所には昨日の食器が積まれてる!ゴミ屋敷よあんなの!!」
41 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:09:13.28 ID:y/4HZL8g0
シンジ「じゃあ、自分で片付けたらどうなんだよ」ガタッ

ケンスケ「碇……?」

トウジ「センセ下がっといてくれ、パイロット同士で争う必要はない」

シンジ「トウジは優しいね。でも、これは僕たちの問題なんだ、譲ってくれないかな」ピリッ

トウジ「…そ、そこまで言うなら譲ったるわい…」

ケンスケ(あんなに怒ってる碇は…二度目になる……)

ケンスケ(トウジと一緒に助けられた日…あの時と、同じ顔つきだ…)

ケンスケ(今の碇の目には、何が写ってるんだ…?)
42 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:09:47.17 ID:y/4HZL8g0
シンジ「………アスカ」

アスカ「何よ、今更戻ろうったって遅いんだからね。私も弍号機もアンタを許さない。でもそうね、アンタが二度と逆らわないって言うなら一考の予知あr」

シンジ「僕は、怒っているんだ」

アスカ「………で?」

シンジ「今、怒りの矛先はアスカに向いてる」

アスカ「だから何?私を殴ろうっていうの?」

シンジ「その通りだよ」ヒュッ

アスカ「っ!?」ガバッ
43 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:10:17.45 ID:y/4HZL8g0
シンジ「……………」

アスカ「……………?」チラッ

アスカ(目の前に拳が……もし引いていなかったら、鼻の頭に直撃……)

シンジ「…………弁当、ここに置いておくから。トウジ、ケンスケ、屋上に行こう」スタスタ

トウジ「お、おう」テクテク

ケンスケ「いやー、本当に殴るかと思ったよ…」テクテク

アスカ「………………何よ、もう、どうしたら良いのよ…………」

ヒカリ「………アスカ……」
44 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:10:59.43 ID:y/4HZL8g0
………同時刻、inネルフ L-1区域、カフェテリア

日向「さて、今日の昼食は楽しみだなぁ」

青葉「なんてったって、手作り弁当だからなぁ!」

マヤ「え、誰かに作ってもらったんですか?」

日向「それが今朝副司令がな?」

冬月『シンジ君、私たちも弁当作りを手伝おう。だから、私たちの分も作ってはくれないか』

日向「って言ったんだよ」

マヤ「へぇ〜、シンジ君の手作りですか!いいなぁ〜、私も一口食べたいなぁ〜」

青葉「全くしょうがないな、一口だけだぞ…っと」カポッ

弁当「やぁ」キラキラキラキラ

日向「………ま、」

青葉「………ま、」

マヤ「………ま、」

3人「「「眩しい…………」」」
45 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:11:44.68 ID:y/4HZL8g0
リツコ「……………♪」モグモグ

ミサト「ヨカッタ…ミステラレテナカッタ……」モグモグ

リツコ「あ、貴女昼食後司令執務室に呼び出しよ。監督不行届きの降格と減俸、今日の午前中無断欠勤についてですって」モギュモギュ

ミサト「モウ…ヤダ……」サラサラ…

リツコ「無様ね」パクパク


………in司令執務室

冬月「ふむ……人工肉をこうも美味しく仕上げて見せるとは、噂に違わぬ腕だな」モグモグ
46 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:12:11.10 ID:y/4HZL8g0
ゲンドウ「誰に作ってもらったのだ」モグモグ

冬月「第三の少年だよ。今朝頼んでな、これが美味い。食事にここまでの感情を抱いたのは久しぶりだな」パクパク

ゲンドウ「!?」ガタッ

冬月「お前も、『自分の口で』頼んでみてはどうかね」モグモグ

ゲンドウ「………それは…………」

冬月「お前、もし私がいなかったら司令官はおろか、まともに就職もできなかったのではないかね」モグモグ

ゲンドウ「……おっしゃる通りです」

冬月「全く………ほれ、カツを一つやろう」ヒョイ

ゲンドウ「………ありがとうございます」パク

冬月「……どうだね、息子の味は」

ゲンドウ「…ユイに……似ています………」モグ…モグ…

冬月「味覚の好みも、そっくり遺伝していたか……」
47 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:12:52.27 ID:y/4HZL8g0
………in学校、屋上

トウジ「さっきはヒヤヒヤしたわー!まさか本気でセンセが惣流どつくとは思われへんもんなぁ!」モグモグ

シンジ「僕は本気だったよ」モグモグ

ケンスケ「…マジ?」モギュモギュ

シンジ「もしアスカが少しでも身を引こうとしていなかったら、鼻の頭に直撃だったろうね」モグモグ

トウジ「そりゃあ、避けるやろ」ムギュムギュ

シンジ「もし、アスカに罪の意識ができて、あのパンチを躱そうとしなかった時は、僕はミサトさんの家に帰るよ」モグモグ

ケンスケ「罪の意識って……お前ら、大変だな」パクパク

シンジ「ここまで面倒な同級生も、中々いないと思うよ」モグモグ
48 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:13:20.38 ID:y/4HZL8g0
………in教室

アスカ「……………」ズーン

ヒカリ「………流石に、擁護できないよ」モグモグ

アスカ「ナンデ…ナニガイケナイッテイウノヨ……」ズーン

ヒカリ「……知りたい?」モグモグ

アスカ「…………」コクン

ヒカリ「怒らない?」モグモグ

アスカ「……ウン」コクン

ヒカリ「………」カタン
49 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:13:58.04 ID:y/4HZL8g0
ヒカリ「アスカ、あなたにとって、碇君って何?」

アスカ「へ…?バカシンジは…バカで…スケベで…」

アスカ「料理はまあまあで、なんだかんだ気がきいて、私の言うことなんでも聞いてくれて…」

ヒカリ「うん、最後のが不味いかな」

アスカ「へ?何が悪いのよ」

ヒカリ「アスカは、心のどこかで碇君を物として見てるのよ。言い方を変えれば、家政婦か召使」

ヒカリ「さっき、碇君を奴隷って呼んでたでしょ」

アスカ「だって…バカシンジ、最初に私が何言っても言うこと聞いてくれたから…」

アスカ「聞いてくれるものだと思って………」
50 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:16:18.08 ID:y/4HZL8g0
アスカ「それに、そういう風な呼び方をして喜ぶ人もいるって前にヒカリに借りた本にあったし…」

ヒカリ(それに関しては私が悪いのね…)

ヒカリ「アスカ、もしこのままだと羞恥心にも勝る、深い傷が心に残るよ」

アスカ「傷って何よ……」

ヒカリ「碇君がアスカに見向きもしなくなる」

アスカ「」ビクッ

ヒカリ「嫌われるんじゃないの。気にもかけてくれなくなるの」

アスカ「」ビクビクッ

ヒカリ「嫌われているうちには、碇君の心の中にアスカはいる。でも、気にかけてくれなくなったらアスカはもう心にいない」
51 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:16:47.65 ID:y/4HZL8g0
アスカ「」ダラダラ

ヒカリ「碇君にとって、アスカがその辺を行く街の人々と同列になるのよ」

アスカ「ヤダ…ソンナノヤダ…」

アスカ「ヒカリ……私、どうしたらいいの…?」

ヒカリ「そうね…まずは、謝るところからかしら」

アスカ「謝る…って、誰に?何を?」

ヒカリ「…………これは大変ね」
52 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:17:14.75 ID:y/4HZL8g0
………放課後

レイ「碇君。本部へいきましょう」

シンジ「あれ、今日ってテストあったっけ」

レイ「追加テストが決まったの。行きましょう」

シンジ「…テストってことは……」


………in第二実験場

シンジ(やっぱりいるよね……)スタスタ

アスカ「…………」トコトコ
53 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:17:46.65 ID:y/4HZL8g0
レイ「碇君」テクテク

シンジ「何、綾波」スタスタ

レイ「お弁当、いつもと違う中身だったけど、美味しかったわ」テクテク

シンジ「良かった。今日は、副司令とかスタッフの皆さんも手伝ってくれたんだ。だから時間かけれるからちょっと頑張ってみたんだけど」スタスタ

シンジ「うまくいって良かったよ」スタスタ

アスカ「…………」トコトコ

アスカ(だから…今日のお弁当はいつもより美味しかったんだ…)

アスカ(やっぱり…ミサトの家より、こっちの方がいいのかな…)
54 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:18:23.62 ID:y/4HZL8g0
青葉「お、来たなシンジ君」

日向「シンジ君、お弁当美味しかったよ!本当にありがとう!」

シンジ「い、いえ、皆さんが手伝ってくれたおかげですし」

マヤ「あれは本当に腕の良さですよねー」

リツコ「美味しかったわ、シンジ君」

リツコ「さ、実験を始めるわよ。着替えてプラグに乗って」
55 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:18:52.43 ID:y/4HZL8g0
………inエントリープラグ内

シンジ「………」

レイ「………」

アスカ「………………………」

リツコ「どう?」

マヤ「プラグ深度は現在70%で固定、シンクロ率は…レイは71.2%です」

リツコ「調子が良いようね」

マヤ「シンジ君は……79.5%」

リツコ「…最近の42.5%とかいう数値から考えると嘘みたいね」

青葉「こっちに来たおかげなんですかね…?」
56 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:19:50.43 ID:y/4HZL8g0
日向「そういえば、葛城…三尉は?」

リツコ「まだ司令執務室で絞られてるわ」


………in司令執務室

冬月「全く…社会人の、しかもここに集まる人材はどの分野においてもエリート集団だというのに…」

ミサト「」ダラダラ

冬月「第三の少年の監督も君から申し出てきたんだぞ…?」

ミサト「……カ、カエスコトバモアリマセン……」ダラダラ

冬月「おまけにヤケ酒からの午前いっぱい寝坊か……」
57 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:20:18.75 ID:y/4HZL8g0
ゲンドウ「……本来ならば、故郷へ帰ってもらうところだ」

ミサト「」ビクッ

ゲンドウ「しかし、葛城三尉がこれまでネルフ に与えてきた恩恵も少なくはない」

ミサト「……ハイ」

ゲンドウ「これは最後通告だ。励めよ」

ミサト「はい!!ありがとうございます!!!」

ゲンドウ「下がれ」

ミサト「はい!!!失礼しました!!!」スタスタ

ウィーン
58 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:25:50.86 ID:y/4HZL8g0
ゲンドウ「…時に冬月先生」

冬月「何かね」

ゲンドウ「グラタンは…美味しかったですか…」

冬月「あぁ」

ゲンドウ「くっ!!」ダン!!

………in第二実験場

リツコ「…それで、アスカのシンクロ率は?」

マヤ「……出ました、シンクロ率…6.7%…です…」

リツコ「……想定していた最悪の事態ね」
59 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:26:24.16 ID:y/4HZL8g0
青葉「…やっぱり、そうなりますか…」

日向「予想はできたとはいえ…戦力を一人身内で削ぐのはキツいですよ…」

リツコ「アスカ、シンクロ率が起動ラインに満たないわ。集中して」

アスカ「……………………」

マヤ「ダメです、一向に上がる気配を見せません」

リツコ「………アスカを下ろして」

マヤ「先輩?」

リツコ「これ以上は何も得られないし、税金の無駄遣いだわ」

マヤ「……分かりました、弍号機パイロット、惣流・アスカ・ラングレーの実験を終了します」カタカタ

アスカ「…………」
60 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:27:12.45 ID:y/4HZL8g0
………inリツコの研究室

リツコ「なぜ下されたかは、分かるわね」

アスカ「…何パーだったの」

リツコ「確認できたのは6.7%よ」

アスカ「そう……」

リツコ「命令よ、作戦に支障が出るから、シンジ君と仲直りしなさい」

アスカ「………何の?」

リツコ「シンジ君から聞いたわよ。貴女とミサトが理不尽な命令ばかりして、日頃ストレスが溜まっていたって」

アスカ「………もん」
61 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:27:43.33 ID:y/4HZL8g0
アスカ「だって…何も言ってくれなかったもん………」グスッ

アスカ「バカシンジは………いっつも……私を起こしてくれて……ご飯作ってくれて………時々嫌な顔してたかもしれないけど……何も言ってくれなかったんだもん………」グスッヒック

リツコ「………それが、日本人の信条なのよ」

リツコ「言葉にしなくても相手が自分のことを考えて行動できると思っている、日本人の長所であり、短所ね」

リツコ「分かったわ。数日休んでて良いわよ。シンジ君も、きっと彼のことだから貴女に何も反論せずに飛び出してきたんでしょう」

リツコ「数日後、二人が話し合う場を設けるわ」

アスカ「…なんでそこまでしてくれるの」

リツコ「あなたたちが戦力であるエヴァパイロットだから」

アスカ「……………」
62 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:28:12.32 ID:y/4HZL8g0
リツコ「……というのは建前で、本当は皆、あなたたちが心配なのよ」

リツコ「真っ当な人生を歩んでいない子供たちに、これ以上の負担はかけられないの」

アスカ「…………ありがと」

リツコ「さ、もう行きなさい。もうすぐ二人のテストも終わって、戻ってくるわよ」

アスカ「うん……じゃあ、またね。リツコ」

リツコ「お大事に」

ウィーン

リツコ「……本当に問題だったのは、シンジ君の方だったのね………」
63 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:29:08.87 ID:y/4HZL8g0
………10分後

シンジ「失礼します」ウィーン

レイ「失礼します」

リツコ「座って」

リツコ「早速結果だけど、シンジ君は平均80.4%。レイは75.1%よ。二人とも調子いいじゃない」

シンジ「なんだか、心のつっかえが取れた気がするんです」

シンジ「今までに比べて、プラグ内で伸び伸び出来るというか」

シンジ「当たり障りを気にしなくていいのは、楽ですね」
64 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:29:36.57 ID:y/4HZL8g0
リツコ「そう……レイは、どう?」

レイ「……今日のお昼ご飯が、美味しかったです」

リツコ「あれは本当に美味しかったわ。気が向いたら、またよろしくね」

シンジ「大丈夫です。4人分作るのも、9人分作るのも変わりませんから」

リツコ「次のテストは4日後、開発中の新型装備のヴァーチャルプレイのテストよ。イチナナマルマル時に第3実験場ね」

リツコ「戻っていいわよ」

レイ「失礼しました」ガタッ

シンジ「失礼しました」ガタッ
65 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:30:17.45 ID:y/4HZL8g0
リツコ「あぁ、シンジ君は残って」

シンジ「…?はい、わかりました。綾波、先に戻ってて」

レイ「分かった」テクテクウィーン

シンジ「………それで、何ですか?」

リツコ「私が何を言おうとしているか、分かる?」

シンジ「アスカのことですよね」

リツコ「そうよ。粗方のことはアスカに聞いたわ。次はシンジ君の言い分を聞く番ね」

シンジ「言い分って……まさか、アスカは被害者ヅラしてるんですか?」

リツコ「今回の件は、両方が加害者であり、被害者よ」

シンジ「………わかりました」
66 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:31:15.70 ID:y/4HZL8g0
シンジ「僕は、最初アスカと暮らし始めた時、もっと言えばミサトさんと生活することは反対だったんです」

シンジ「でも、作戦のため、あの分裂する使徒を倒すためだと思って暮らしてきました」

シンジ「でもいつしか、僕にとってあの家にアスカやミサトさんがいる事は当然のことなんだって、思わないところで思い始めました」

シンジ「それでも最近、ドラマなんかを見てると二人が互いに支え合って生きている描写が多いなって思ったんです」

シンジ「そこに僕とアスカやミサトさんを当てはめると……どうして僕は、全ての仕事を一人でやっているんだろうって考えるようになったんです」

シンジ「以来は、アスカやミサトさんが何か理不尽なことを言ってくる度にストレスが溜まっていく感覚がしました」

シンジ「それで、昨日の夜、僕の中で何かが切れて……」

リツコ「………ここにいるってわけね」

シンジ「そうです」
67 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:32:09.84 ID:y/4HZL8g0
リツコ「シンジ君は、アスカやミサトともう一度生活したいとは思わない?」

シンジ「思いません。きっと、また仕事を大量に押しつけられますから」

リツコ「…………そう、分かったわ。数日間、時間をあげる。その間に、今の言葉が本当に心からの言葉なのか、気持ちを整理してね」

リツコ「数日後、考えが変わらないようなら正式にネルフでの生活を許します」

リツコ「その代わり、ミサトは監督不行届きで今降格処分を受けたけど、今度はクビね。アスカと共に」

シンジ「!?な、なんでアスカまでクビになるんですか!?」

リツコ「司令は弍号機と初号機を天秤にかけた時、おそらく初号機を優先するわ。そうなったら、初号機を運用できるあなたの精神面を優先するのは自明よ」

シンジ「そんな………」

リツコ「まぁ時間はあるわけではないけどゆっくり考えなさい。夕飯はCセットがオススメよ」
68 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:32:49.58 ID:y/4HZL8g0
………in第4仮眠室

シンジ「………僕があの家に帰らないと、二人がクビになる……」

シンジ「でも……帰ったらまた二人の言うことを聞き続けなければいけない……」

シンジ「どうしたら………」

シンジ「………寝よう、明日の僕が考えてくれるよ」スゥ…

シンジ「………」スヤスヤ


………翌日、学校

シンジ「おはよう」

トウジ「おはよーセンセ」

ケンスケ「おはよう。今日も調子良さげだね」

シンジ「うん、夢見がいいんだよね」

シンジ(…寝つきは良かったけど、妙な時間に起きちゃったんだよね)
69 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:33:58.92 ID:y/4HZL8g0
トウジ「今日は課題はやってきたでー、ばっちこいや!」

ケンスケ「普段からそれくらい頑張れよ…」

シンジ「ははは…」

レイ「おはよう」

シンジ「おはよう綾波、はいお弁当」

レイ「毎日、ありがとう」

シンジ「好きでやってるんだから、気にしないでよ」

ヒカリ「おはよー」

アスカ「おはよー…」

トウジ「お、惣流、今日は寝坊せんかったかー!」

アスカ「私だって、やれば起きれるのよ!」

アスカ(ヒカリにモーニングコールしてもらったのは内緒にしないと…)
70 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:34:47.41 ID:y/4HZL8g0
アスカ「ば、バカシンジ……」

シンジ「…何、惣流」

アスカ「っ…!お、おはよう…」

シンジ「…おはよう」スタスタ

アスカ「あっ……」

ヒカリ「大丈夫。今日は満点よ。頑張った!」

アスカ「……ヤダヨゥ……ナンデ……」

シンジ「………何で、僕はアスカを避けてるんだろう……」

シンジ「別に家でうるさかっただけで、学校生活は関係ないのに……」

シンジ「………変なの」
71 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:35:14.88 ID:y/4HZL8g0
………昼休み

日向「今日は生姜焼きかぁ!」パカッ

青葉「ホント、美味い飯はやる気出るな!」モグモグ

マヤ「これで午後からも頑張れますね!」モグモグ

リツコ「そうね。カフェテリアでこれ、作ってもらえないかしらね」モグモグ

ミサト「美味しいよぉ…シンジ君…」モソモソ

……………

ゲンドウ「冬月先生………一口……」

冬月「ダメだ。自分で頼め」モグモグ

ゲンドウ「しかし…数日はテストがないので来れないのでは……」

冬月「ここに住んでいることを忘れたのか」モグモグ
72 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:36:00.07 ID:y/4HZL8g0
……………

シンジ「惣流、弁当置いとくから」コトッ

アスカ「あ、し、シンジ!」

シンジ「…」ピタッ

アスカ「その……お昼……いつも、ありがとう」

シンジ「………どういたしまして」スタスタ

ヒカリ「………オッケーよ!その調子!」

アスカ「…………初めて、バカシンジにお礼を言った気がするわ……」

ヒカリ「こら!戻ってる!」

アスカ「あ、し、シンジに…お礼を言った気が…するわ…」

ヒカリ「よし!」
73 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:36:27.66 ID:y/4HZL8g0
シンジ「…………」

シンジ(何だこれ何だこれ何だこれ何だこれ!?)バクバク

トウジ「センセ、どないしてん?」

ケンスケ「顔赤いぞ。熱か?」

シンジ「う、ううん、いやー今日は暑いね!」

トウジ「そ、そうか?」

ケンスケ「例年並み…だと思うけど」

シンジ「はははは…」
74 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:36:58.68 ID:y/4HZL8g0
………放課後

ヒカリ「アスカ、帰ろ!」

アスカ「う、うん、し、シンジ!!」

シンジ「………」

アスカ「ま、また明日ね!」トテトテ…

トウジ「珍しいな、って思ったけど、よぉ考えたら今まで一緒に帰ってたんやから聞かなんだのも当然か」

ケンスケ「だな。碇、俺らも帰ろうぜ。今日はゲーセン寄りたいんだ」

トウジ「付き合ったるわ」

シンジ「…………」

ケンスケ「…碇、大丈夫か?」

シンジ「え、あ、うん!大丈夫!早くゲームセンターに行こうよ!」スタスタ

トウジ「あ、ちょ、待てぇ!」
75 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:37:26.29 ID:y/4HZL8g0
………in洞木宅

ヒカリ「さて、じゃあ早速やるわよ!」

アスカ「でも…私、何も分からないわよ…?」

ヒカリ「大丈夫!やることは単純だから、繰り返して身につけよ!エヴァの操縦よりはきっと簡単だから!」

アスカ「………エヴァよりも、か……」


………数十分後

アスカ「できたわ……」

ヒカリ「どれどれ……?」パクッ

ヒカリ「…………」ダラダラ

アスカ「…やっぱり、不味かった…?」

ヒカリ「こ、これから頑張ればいいよ!」
76 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:37:56.22 ID:y/4HZL8g0
アスカ「…不味かったのね」

ヒカリ「…………ちょっとね」

アスカ「ご飯作るの……こんなに難しかったんだ……」

アスカ「これを…毎日、朝昼晩、シンジは一人で…」

ヒカリ「……大丈夫。まだ遅くないよ」

アスカ「…うん、頑張るわよ!」
77 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:38:29.37 ID:y/4HZL8g0
………inネルフ本部

シンジ「………」スタスタ

リツコ「あら、シンジ君ちょうど良かった。呼びに行こうとしてたのよ」

シンジ「リツコさん。何ですか?」

リツコ「ドイツでアスカが使っていた戦闘シミュレーションプログラムの輸入ができたの。シンジ君に使ってもらおうと思って」

シンジ「ドイツ製戦闘シミュレーションプログラム…ですか。いいですよ、やります」

リツコ「ゲーム感覚で楽しんでくれたらいいわよ」
78 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:39:07.92 ID:y/4HZL8g0
………第三実験場

マヤ「エントリー完了、いつでも始められますよ」

リツコ「シンジ君、目標は9体。全部一撃で行動不能にできるけど、5分以内に全て倒し切らないと全部が復活するし、こちらがやられてもやり直し。スピード勝負よ」

シンジ『分かりました』

リツコ「それじゃあ、シミュレート開始よ」

ミサト「了解、シミュレート開始します!」

シンジ「………」ヴォン

シンジ(……そっか、ミサトさん降格したから今オペレーターやってるんだ……)
79 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:39:55.33 ID:y/4HZL8g0
シンジ「ここは……海の上?」

敵個体A「………」

敵個体B「………」

敵個体C「………」

シンジ「……何だあの白いの、気持ち悪いなぁ。それにどことなくエヴァに似てる気が…」

敵個体A「キェァァァァァ!!!」バッ

シンジ「来た!」グッ

ッパァン!!!

敵個体A「ギェァァァ!?」ズズゥゥン

シンジ「一体!」バッ

ドンドン!!ババババン!!!

敵個体B〜F「「「「「「ギャァァァァァ!!!!」」」」」」ズズゥゥン……

シンジ「なんだ、リツコさんの言う通り弱いじゃないか」
80 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:40:23.41 ID:y/4HZL8g0
敵個体G「ギャアッ!!」バッ

シンジ「っ!?いつの間に後ろに!?」

敵個体G「ギェァァァ!!!」ヒュッ

ブスッッッッ!!!!

シンジ「ぐぁっ!!!…っ、シミュレートでなかったら、絶対死んでるよ…!」

敵個体A「………」グググッ

敵個体B「………」グググッ

敵個体C「………」ゴググガッ

敵個体D「………」ググ……

敵個体E「………」グググ

敵個体F「………」グガッ

シンジ「………これは厄介だ」
81 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:41:01.75 ID:y/4HZL8g0
………十数分後

シンジ「っはぁ、はぁ、はぁ、っはぁ」

リツコ「オーケー、データは取れたわ。戻っていいわよ」

ミサト「戦闘シミュレーションプログラム、終了します」カタカタ

ヴゥゥゥゥン………

シンジ「………やっと終わったのか……」

シンジ「これ、アスカがドイツで使ってたって………」

シンジ「………こんなのクリアできないよ」
82 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:41:53.74 ID:y/4HZL8g0
………数分後

リツコ「お疲れ様。早速スコアを言うわね」

シンジ「はい………」ハァハァ

リツコ「結果は5-。ドイツ表記で、18段階中の下から4番目ね」

シンジ「そうですか……あれ、難しすぎないですか…?」

リツコ「まあそうかもしれないけど、アスカはドイツでこれと全く同じテストで結果は1、上から2番目の成績を取ってるわ」

シンジ「!?」

リツコ「時間は57.82秒で全機殲滅、被弾もゼロだったそうよ」
83 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:42:31.71 ID:y/4HZL8g0
シンジ「………そうですか、流石アスカですね」

リツコ「そうね。良いデータが取れたわ。ありがとう」

シンジ「いえ………」スタスタ

リツコ「………やれることは、何でもやっとかないとね」

ミサト「マヤー……ここってどうなってるのー…?」

マヤ「それはこっちです。ああ、違います!それは隔壁を閉じるボタンです!」

リツコ「……早いところ、戻ってもらわないとこっちも辛いわね…」
84 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:43:20.79 ID:y/4HZL8g0
………inカフェテリア

日向「」ブツブツ

青葉「」ブツブツ

マヤ「」ブツブツ

シンジ「あれ、皆さんお疲れ様です。何してるんですか?」

日向「あぁシンジ君、お疲れ様。今、第三新東京への始末書書いてるんだよ…」カリカリ

青葉「この間の使徒戦は、結構ハデに壊しちゃっただろ?N2とかポンポン投げるもんだから……」カタカタ

マヤ「今までは葛城三尉がやってたけど…一応司令部第二線で現状一番偉いの私たちになっちゃったから…」カリカリ

シンジ「しわ寄せが…来てるって事ですか」
85 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:44:08.03 ID:y/4HZL8g0
日向「葛城三尉も、こんな量普通一人でこなせるわけないよ」カタカタ

青葉「言ってくれれば手伝うのにな」カリカリ

マヤ「根は良い人ですからね…他所の人に迷惑かけるの、結構嫌ってるじゃないですか」カタカタ

青葉「その心意気を少しは同居人にも向けてやれれば良かったのにな」カリカリ

シンジ「ははは…そうですね」

日向「シンジ君、ちょっと缶コーヒー買ってきてくれないかな」

青葉「俺にも頼む」

マヤ「私もお願いして良いかな?」

シンジ「はい、大丈夫ですよ」
86 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:44:41.09 ID:y/4HZL8g0
日向「はい、千円。お釣りはお駄賃で取っといてよ」

シンジ「え、でも…」

青葉「いいからいいから、俺はブラックね」

マヤ「私はカフェオレでー」

日向「僕は何でも、頼んだよー」ヒラヒラ

シンジ「分かりましたー」

シンジ「…………ミサトさんが使徒戦後に帰りが遅いのは、始末書に追われていたからなのか……」

シンジ「………ミサトさん、そんな辛そうな素振りは見せた事なかったな…」

シンジ「……それが大人、なのかな…」ガコン

シンジ「よし、戻って夕飯を食べよう」
87 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:45:29.37 ID:y/4HZL8g0
………同時刻、洞木宅

アスカ「……今度はどう?」

ヒカリ「……うん!美味しいよ!アスカも食べてみて!」

アスカ「…美味しい!良かった、出来るようになった…ってもうこんな時間!?」

ヒカリ「かなり熱中してたからね。今日はもう帰る?」

アスカ「そうするわ。ありがとヒカリ。明日もよろしくね」

ヒカリ「うん。明日は洗濯物のやり方と掃除だから、アスカの家に行けばいいのよね」

アスカ「そう。いつか何かお礼するから」

ヒカリ「いいのいいの!好きでやってるんだし」

アスカ「じゃ、また明日ねー」

ヒカリ「おやすみー」

アスカ「………チキンライス一つ作るのにここまで苦労するなんて……」テクテク

アスカ「……料理って、難しいのね」テクテク
88 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:46:00.76 ID:y/4HZL8g0
………翌日、学校

アスカ「おはよう、シンジ」

シンジ「…おはよう、アスカ」

ヒカリ「!」

トウジ「!」

ケンスケ「!」

レイ「…………」ペラペラ

シンジ「…はい、弁当。今日はちょっと失敗したかもしれないから…不味かったら残して」

アスカ「……ううん、全部、食べるわ。シンジが…作ってくれたんだもの」

シンジ「………」スタスタ

アスカ「シンジ………」
89 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:46:39.60 ID:y/4HZL8g0
ヒカリ「いいわよアスカ!そこまでできれば、あと少しよ!」

アスカ「だといいけど……」

シンジ「………」ギィッ

シンジ(何だよ何だよ何だよ何だよ何だよ!?)バクバク

シンジ(何で急にあんなに大人しくなったんだ!?何であんなに可愛く見えるんだ!?相手はアスカだぞ!?)バクバク

シンジ(ええい、静まってくれ僕の心臓!!)バクバク

トウジ「……なんか昨日今日、センセ笑わんくなったな」

ケンスケ「あれは………ずばり、恋だな」キラーン

トウジ「こ、こここここここ恋!?」

ケンスケ「いやーんな感じ!」
90 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:47:10.63 ID:y/4HZL8g0
………放課後

アスカ「シンジ!」

シンジ「…何、アスカ」

アスカ「はい、お弁当箱。今日も…美味しかったわ、ありがと」

シンジ「…言っただろ、失敗したって。お世辞はいいよ、迷惑だよ」

アスカ「お世辞なんかじゃない…本心よ……」

シンジ「………ありがと。僕、テストあるから」タタッ

アスカ「…………」
91 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:47:59.24 ID:y/4HZL8g0
レイ「私も、今日はいつも以上に美味しかったと思う」ヌッ

アスカ「!?!?!?!?」ガタタッ

レイ「何、お化けでも見たみたいな顔をして」

アスカ「≒お化けみたいなもんよ!!今の登場は!!」

レイ「お化け屋敷で…働けるわね」フフフ

レイ「…そんなことはいいの」

レイ「私も、今日のお弁当はいつも以上に美味しかったと思うの」

アスカ「………」

レイ「碇君がネルフ本部で生活し始めてから、お弁当は豪華になったし、味も美味しくなった」

レイ「でも、味の代わりに何かが欠けていた気が、今ではする」

アスカ「……アンタが私と同等の味覚を持っているとはね」

レイ「そして、今日は少し失敗したと言っていた」

レイ「でも結果的に、お弁当はさらに美味しくなった」

アスカ「だから何よ」
92 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:48:25.22 ID:y/4HZL8g0
レイ「碇君は、きっと今日のお弁当に何かをしようとしていた」

アスカ「……そうね、私もそれには同感よ」

レイ「でも…何かは分からない……」

アスカ「私たち気が合うわね。私も分からないわ」

アスカ「……っと、今日はヒカリが来るんだ。早めに帰って片付けられるものは片付けとかなきゃ」

アスカ「じゃあね、レイ」タタッ

レイ「………レイ」

レイ「……私の、名前」

レイ「初めて、あの人に名前で呼ばれた…」

レイ「……………」

レイ「……悪い気はしない」フフッ
93 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:51:06.59 ID:y/4HZL8g0
………inネルフ図書館

シンジ「も〜しも〜ねがい〜ひ〜と〜つだけ〜叶〜うな〜ら〜♪」ガサゴソ

リツコ「あら、こんなところで会うのは初めてかしらね」

シンジ「あ、リツコさん、お疲れ様です」

リツコ「お疲れ様。何を探していたの」

シンジ「料理本です。最近、海外の料理に興味を持ちまして」

リツコ「そう…。ところで、明後日のイチナナイチマル時、テスト前にここに来れる?」

シンジ「はい、来れますけど…アスカと、話し合いの日ですか」

リツコ「ええそうよ。具体的な場所は…私の実験室でいいわ」

シンジ「………わかりました」

リツコ「…あと、ドイツ料理の本は二つ右隣の本棚の奥から3番目の下から4段目にあるわ」

シンジ「………何でドイツ料理の本を探してるってわかったんですか」

リツコ「ミサトなりに言うなら、女の勘…かしらね」
94 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:51:54.94 ID:y/4HZL8g0
………in葛城宅

アスカ「いらっしゃい、ヒカリ」

ヒカリ「お邪魔しまーす…このマンション、他の人はほとんどいないのね…」

アスカ「このご時世だしね。しょっちゅうドンパチやるような場所には住みたくないでしょ」

ヒカリ「さて、じゃあ先に洗濯物をやろっか!」

アスカ「よろしくお願いします、ヒカリ先生」

ヒカリ「て、照れるよぉー」

アスカ「あーあ、学校の先生がヒカリなら良かったのになぁ」

ヒカリ「そぉ?そう思う?」

アスカ「うん。さて、確か…色物は分けるのよね」

ヒカリ「うん、あと形崩れしたらまずい下着とかはこういうネットに入れて…」ガサゴソ

アスカ「へぇ……このネット、そういう役割だったんだ……」ガサゴソ

ヒカリ(本当に何も知らなかったのね…)ガサゴソ
95 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:52:38.92 ID:y/4HZL8g0
………inカフェテリア厨房

シンジ「……さて、ちょっと作りますか」

シンジ「まず、肉の塊1キロにハーブ岩塩をすり込む…」スリスリ

シンジ「……で、これを30分ほど寝かせるのか」

シンジ「その間に、玉ねぎ、にんじん、セロリを1.5センチ程に切る…」トントン

シンジ「…うー、目に染みるのは慣れないなぁ…」ウルウルトントン

シンジ「ニンニクはひとかけら分潰しておいて…ジャガイモは茹でておくのか」カチッ

シンジ「……そしたらダッチオーブンに…ダッチオーブン?」

シンジ「キャンプ料理らしいなぁ。厨房にそんなのあったかなぁ…」キョロキョロ

シンジ「………あ、フライパンでもいいのか」
96 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:53:21.47 ID:y/4HZL8g0
シンジ「……香りが出てきたらニンニクを取り出す」スッ

シンジ「ここに肉を入れて…表面を焼く」ジュゥゥゥ

シンジ「……香りはいいんだけどなぁ…これ、豚肉じゃなくて9割人工肉だしなぁ」ジュゥゥゥ

シンジ「…焼けてきたら取り出して、このフライパンにさっき切った野菜を入れる…」ボトボトッ

シンジ「……野菜がしっとりしてきたら、もう一回肉を入れて、コンソメとビールを…ビール?」

シンジ「参ったな…ビールなんて扱ったらまずいし……」

ミサト「あ、シンジ君…」テクテク

シンジ「っ!ちょうど良かった!ミサトさん!」

ミサト「え、あ、はい!何でしょう?」
97 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:54:07.06 ID:y/4HZL8g0
シンジ「コンビニで、できれば黒ビール、なければ普通のでいいので、500ミリ一本買ってきてください!」

ミサト「は、はい!」タッタッ…


………数分後

ミサト「…買ってきました!」ガサッ

シンジ「ありがとうございます。で、ビールを入れて…」トポポ

シンジ「あとは煮るだけか。途中で肉をひっくり返さなきゃいけないけど」カパッ
98 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:55:16.70 ID:y/4HZL8g0
ミサト「…あの、シンジ君。何を作っているの?」

シンジ「シュバイネブラーテンですよ。ドイツ料理の」

ミサト「…何で、ドイツ料理を?」

シンジ「……まあ、何となく作りたくなったんですよ。ミサトさんも食べますか?」

ミサト「喜んで、いただきます」

日向「あれ、今日は厨房に立ってるのか」スタスタ

青葉「いいニンニクの香りがするな。何を作ってるんだ?」スタスタ

シンジ「ドイツ料理を…」

マヤ「へぇ!ドイツ料理ですか!」スタスタ

リツコ「一口いただきたいわね」

冬月「私ももらっていいかね」

ゲンドウ「………シンジ」

シンジ「は、はい!」

ゲンドウ「…私にも頼む」

ワイワイガヤガヤ

シンジ「…やっぱり、ここのカフェテリアはなんらかの改革をしないといけないよ…」

シンジ「ここまで食に飢えた人がいたなんて……」

シンジクンノリョウリダーヒトリヒトクチダカラナ!ワタシハコノマエタベラレテイナイ…ソレハオマエガワルイ
99 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:55:59.56 ID:y/4HZL8g0
………in葛城宅

アスカ「………出来た」

ヒカリ「お疲れ様!」

アスカ「掃除も…大変ね…」

アスカ「そりゃ、こんだけの仕事がなくなったんだから、シンクロ率も爆上がりするわよね…」

ヒカリ「……アスカ」

アスカ「ありがと、ヒカリ。お礼に夕飯、オムライス作るわ」

ヒカリ「本当に!?嬉しい!」

アスカ「まだ練習中だから、うまく出来るか分からないけど…」

ヒカリ「手伝おっか?」

アスカ「ううん、これは一人でやりたいの」

ヒカリ「アスカ……」

ヒカリ(……アスカ、変わったね)

アスカ「…………」トン…トン…
100 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [saga]:2020/05/26(火) 22:56:32.96 ID:y/4HZL8g0
………翌日、in学校

シンジ「おはよう、アスカ」

アスカ「っ!お、おはようシンジ!!」

シンジ「はい、お弁当」コトッ

アスカ「ありがと!」ニコッ

シンジ「…今日は、上手くできたと思うから」スタスタ

アスカ「………」

ヒカリ「良かったわね!やっと向こうからも話しかけられるようになったじゃない!」

アスカ「………シンジに話しかけてもらうことが、こんなに日常の一部になってたなんて思わなかった」

アスカ「…こんなに嬉しいと思ってるなんて、思わなかった……」

ヒカリ「………アスカ」
101 :おすしぴらふ ◆tr.t4dJfuU [sage saga]:2020/05/26(火) 22:58:17.30 ID:y/4HZL8g0
とりあえずここまで。
この後終盤まとめて、個人的に納得行ったら落としていきます。
頑張って寝るまでに終わらせます。
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