開拓者「安価で町などを作る」

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301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/07/24(金) 00:40:39.71 ID:9kL7GCzFo
B
302 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 19:10:39.92 ID:xP+SLu73o
開拓者「生産者、明日時間があったら高原の町に行かないか?」

生産者「ん〜? デートのお誘い?」

開拓者「積もる話もあるだろう」

生産者「いいよ。あの町のごはん美味しいしね」



翌日。

船と飛行機を乗り継いで、二人は高原の町へと移動した。

広大な水田と野菜畑、果樹園、牧場、薬草園を有するこの町は、食の都に次ぐ王国の穀倉地帯である。

また、エコロジーをテーマにした遊園地や、新鮮な食材を使ったレストランが観光客に人気で、

観光農園の町、高原の環境都市などとも称されている。


生産者「月並みだけど、空気がおいしい〜」

開拓者「環境の維持に全力を注いだからな」

生産者「あ、ここもお兄ちゃんが作った町なんだ」


病弱な姫が療養するための町を作るよう指示された開拓者は、ひたすら自然環境を守る開拓を行った。

王国トップクラスの環境学者を育て、山の民の意識改革を行い、ある程度の工業開発も可能にしたうえで、全く工業を育てなかった。

その過剰なまでの取り組みにより、王国で最もおいしい空気と水が維持されている。

※高原開拓の詳しい様子は http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1476533102/


開拓者「レストラン、予約しておいて正解だったな」

生産者「うーん、美味しい。これは一流シェフの腕だけじゃないね」

開拓者「農作物の量では食の都に劣るが、質はこちらが上だ」
303 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 19:18:33.02 ID:xP+SLu73o
開拓者「食の都で思い出したが、お前はあの開拓のあと開拓団に帰ったよな?」

生産者「うん」

開拓者「それからどのくらい開拓団にいたんだ?」

生産者「開拓団はすぐ無くなったよ」

開拓者「何?」

生産者「お兄ちゃんの活躍でわたしたち開拓民の社会的地位も認められたでしょ?」

生産者「王国に村を接収されることもなくなったし、各地を転々として暮らす理由が無いじゃない」

開拓者「それもそうか。じゃあ定住したんだな」

生産者「人それぞれだね〜」

生産者「わたしはオレンジの村に移り住んでから勉強して、学問の都のバイオ大学で勉強して、今の仕事をはじめてから5年かな〜」

開拓者「団長はどうしてるんだろうか?」

生産者「わたしも知らない」

開拓者「担当者の爺さんやお前みたいに、どこかでひょっこり会えればいいんだが」

開拓者(その後も俺たちは思い出話や、仕事の話などをたっぷりとした)


ウェイトレス「お皿をお下げいたします」

開拓者「ああ、頼む」

ウェイトレス「あ、あなたは! 開拓者のおじさま!」

生産者「知り合い〜?」

開拓者「いや」

ウェイトレス「あら、この姿では分からなくて当然でござったわ」ドロン

開拓者(胸の前で手を組むと、ウェイトレスの姿は一瞬だけ煙に包まれ……)
304 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 19:21:11.73 ID:xP+SLu73o
姫「おじさま! お久しぶりでござるわね」

開拓者「姫様……! なぜレストランに……」


【NAME:姫 JOB:忍者 AGE:16 HOMETOWN:高原の環境都市 HOBBY:逃走】


生産者「なんで!? 忍者なんで!?」

開拓者「ああ、混乱するよな……」

姫「わらわはこの高原の町で療養し、健康となり、そして修行を重ね、一人前の忍者になったでござるのよ!」

開拓者「姫様、そんな話し方でしたか……?」

姫「忍者には忍者にふさわしいマナーがあるでござるわ。ニンニン」

生産者「結局忍者なんで!?」

開拓者「いろいろあってな、この町にはニュー忍者の里という裏の顔がある」

開拓者「姫の護衛として忍者を鍛えたつもりだったんだ。まさか姫様が忍者になるとは思わなかった」

姫「父上には怒られてしまいましたわね、でござる」

開拓者「あの時は大変でした。姫様本人に弁解していただいていなければ、私は拷問を受けて死んでいたことでしょう」

生産者「お兄ちゃんも王女様も面白いね〜」

ザザッ

忍者教官「……見参!」

開拓者「うおっ、忍者!?」

忍者教官「……ご無沙汰でござる、開拓者殿」

忍者教官「……時に、姫様を見なかったでござるか?」

生産者「王女様なら今ここに、あれ?」

ウェイトレス「それでは失礼いたします」ペコリ

忍者教官「……お待ちを。拙者の目はごまかせませんぞ」

姫「っ、ここで捕まるわけにいきませんわ!」

姫「逃げるが三計、如かずにござる!」ダッ

忍者教官「……姫様の護衛は我らの職務! 決して逃がしはしません」ダッ

開拓者「……。よく分からないことを言って逃げていったな」

生産者「逃げるのが好きなのかな〜」
305 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 19:23:25.98 ID:xP+SLu73o
開拓者(姫と忍者の乱入こそあったものの、妹と久しぶりに水入らずの時間を過ごせた)

開拓者(20年の空きがあっても案外、関係は変わらないものなのだな)


船員「よし、ついたぜ」

生産者「楽しかった〜。ありがとうね、開拓者」

開拓者「ああ、また機会があったらよろしくな」

姫「素敵な島でござるわね」

船員「いつの間にか知らない女の子が乗ってた! 密航者か!?」

開拓者「姫様!?」

姫「共同生活、楽しそうね。わらわも混ぜていただけないでござるかしら!」

生産者「わたしはいいけど〜……」

開拓者「困ります。姫様、お戻りいただかないと、今頃高原では姫様が行方不明で大騒ぎになっていることでしょう」

開拓者(最悪、俺が誘拐したことにされる気がする!)

姫「問題ありませんでござるの。分身を残してきましたから」

姫「ではわらわはお先に家に入らせていただきますわね。ニン!」

船員「ひ、姫!? どういうことだよ開拓者さん!」

開拓者「あとで説明する……」
306 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 19:26:39.67 ID:xP+SLu73o
●住民
・姫(忍者V)……国王の娘。かつては病弱だったが療養を経て立派な忍者になってしまった。スピード型近接2・工作1.5(変化の術:特殊Lvが1増える)


大学生「この方は、王様の娘さんですよね……知ってますよ」

姫「否。わらわは姫の姿に化けているだけのしがないクノイチでござる……」

家政婦「なんて強い忍者……! ぜひチームに誘いたいです」

開拓者「貴族を守るために王女に戦わせるのか……」


開拓者(姫は色素の薄い金髪の美少女で、王族らしいノーブルな雰囲気を持つ)

開拓者(が、しかし、首から下は忍装束だ……)

開拓者(写真家の言っていた出会い、最後の一人が姫ということか)


画家「王女様もこちらに住まわれるのですか……?」

船員「姫が暮らせるように準備しましょう、みんなで!」

家政婦「急ぎ、調度品を揃えに行って参ります」

姫「みな、堅苦しゅうござる!」

姫「わらわのことは一人の居候の忍者として接しなさい、でござる」

開拓者「わ、分かった」

開拓者(普通に接しろと言われても失礼なことは言えないしな……面倒な客人であることに変わりはない)
307 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 19:34:13.79 ID:xP+SLu73o
1週目結果

画家 26歳 #カントリー 交流0(初期値)→★★
1.緑の町から来た気弱な女性。他の参加者の優秀さに気おくれしている。

生産者 30歳 #ノスタルジック 交流★★(初期値)→★★★
1.20年ぶりに再会した開拓者の妹分。村の農業などを支援する仕事をしている。

家政婦 25歳 #ナチュラル 交流★
1.湖畔の楽園から来たメイド。あまり自分のことを語りたがらない。

姫 16歳 #ノーブル 交流★
1.国王の娘。かつては病弱だったが療養を経て立派な忍者になってしまった。

大学生 22歳 #クール 交流★(初期値)→★★
1.学問の都から来た品のいい青年。旅行が趣味であり、町を作る開拓者に憧れを抱いている。

船員 29歳 #エネルギッシュ 交流★★★★★
1.癒しの花園で働く船乗りの男。開拓地を転々とする開拓者にとって数少ない友人である。


※目標について※
船員は前回の開拓でも交流しているため、最初から交流が★5個分溜まっています。
開拓者が恋人を作るには彼の★の数を超える必要があります。
複数人が超えていた場合、もっとも高い人物のエンディングになります。
★が同数の場合、どうにかします。


〜住民の声〜
画家「みなさん、気を使っていただきありがとうございます……」
大学生「あの開拓者さんと生産者さんから学べるなんて夢みたいですよ」
308 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 19:49:19.84 ID:xP+SLu73o
2週目

●住民
・船員……交流★★★★★
・大学生……交流★★
・画家……交流★★
・生産者……交流★★★
・家政婦……交流★
・姫……交流★


2週目前半。

船員「リフォーム大作戦だ!」

開拓者「何? 俺の作った家にケチをつけるのか?」

船員「いや、家自体は悪くないんだけど、内装はもっとオシャレになると思うんだよ」

家政婦「あたしの買ってきた家具に問題があるんですか?」

画家「もしかして私のセンスが悪い……?」

船員「だからそういう事じゃないんだって!」

大学生「今日はみんなで工作して、暮らしに彩りを与えようっていう企画です」

生産者「DIYってやつだね〜」

姫「材料にどこにあるのでござるかしら?」

船員「……やべぇ」

家政婦「仕方ありませんね……。材料調達から始めましょう」

開拓者「俺にとってはいつも通りだな」
309 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 19:56:35.69 ID:xP+SLu73o
開拓者(家政婦は林に木材の調達に向かった)

開拓者(画家はテーブル作りに挑戦している)

開拓者(生産者と大学生は庭先で石を積み上げている。窯作りか?)

開拓者(姫は……一体、何を作っているんだ?)

開拓者(船員は町へ釘などを買い足しに行ったため、島を留守にしている)


1.家政婦の手伝いをする
2.画家のサポートをする
3.生産者と大学生の作業に加わる
4.姫の様子を見る

安価↓2選択
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/25(土) 19:57:17.40 ID:u7602rex0
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/25(土) 19:57:34.92 ID:FMwIaEIe0
2
312 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 20:19:49.70 ID:xP+SLu73o
画家「……」トントン

開拓者(画家は集中して釘を打っている。だがその手つきは危なっかしい)

開拓者(生産者も家政婦もいない今、俺が見ていなければ)

画家「ふぅ……」

開拓者「がんばってるな」

画家「開拓者さん。ご自分のDIYの方はいいんですか?」

開拓者「俺は日ごろからいろいろ作っているからな」

画家「開拓者さんから見て、私の動き、合ってましたか?」

開拓者「初心者にしてはかなり上手いと思うぞ」

画家「そ、そうですか?」

開拓者「本当だ。だが少し、ケガのリスクが高い持ち方をしていたのが気になった」

画家「ええっ」

開拓者「画家は指が大事だろう? 正しい持ち方をした方がいい」

画家「で、でしたら教えてください」

開拓者は画家の後ろから手を握り、指を打ちにくい持ち方と姿勢を教えた。

開拓者「材料をしっかり固定することが大事だ。あとは力の加減も大事だぞ」

画家「は、はいぃ……」

開拓者「どうした?」

画家「ちょっと……暑いです」

開拓者「おっと、すまん。密着しすぎてしまったな……」

画家「い、いえ! 教えてくれてありがとうございました」

画家「さすが開拓者さんです。私、なんだか上手くなったような気がします!」

開拓者「そ、そうか。良かった」

画家「は、はい」

二人はそわそわしながらテーブルを作った。

開拓者(画家との仲が深まった、か? 嫌われてなければいいのだが……)
313 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 20:25:50.77 ID:xP+SLu73o
生産者「お皿を焼いたよ〜」

大学生「俺のは割れちゃいました……」

家政婦「木材、余りましたね」

船員「玄関先の丸太の山、あれ全部家政婦ちゃんが伐ったのか……?」

画家「このテーブル、少しガタガタしますね……」

開拓者「手作りの証拠だ。気になるならあとで調整しておくぞ」

姫「」

開拓者「ところで姫は何を作ったんだ?」

姫「残念でしたわね! それは今しがた作った身代わりでござる!」

画家「あれっ、本当だ!」

船員「やべぇ、どう見ても偽物なのに意識の外にあって気づかなかった……!」
314 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 20:38:32.83 ID:xP+SLu73o
2週目、後半。

開拓者「―――というわけで、大学の仕事と屋敷の警備の仕事は昨日で終わった」

船員「家政婦ちゃんは昨日の夜帰ってきたけど、開拓者さんは何してたんだ?」

開拓者「別の仕事だ」

船員「まだ仕事があったのか……!」

開拓者「まあ、あと一つか二つだ。大した負担じゃない」

船員「話を聞いてると、開拓者さんって結構頻繁に危ない目にあってるよな」

開拓者「ああ」

船員「開拓者さんの嫁になる女性は只者じゃないんだろうな……」

開拓者「どうしてそうなる?」

船員「単純に、開拓者さんが何の変哲もない人と結婚するとは思えないというのもあるけど、」

開拓者「心外だな」

船員「開拓についていける女性は心身ともにタフなんだろうなってさ」

開拓者「それは俺も考えていた。万が一の時、俺には妻を守り切れる自信が無いからな」

開拓者「無理そうなら町に残ってもらおうと思っている」

船員「まあ、それが現実的だよな」

開拓者「さびしい思いをさせてしまうがな……」
315 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 20:40:40.83 ID:xP+SLu73o
開拓者「ふう、すっかり帰りが遅くなってしまった」

開拓者「ん? リビングの灯りがついている」


開拓者の帰りを待っていたのは

1.画家
2.生産者
3.家政婦
4.姫と大学生

安価↓2選択
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/25(土) 20:42:47.70 ID:5nkrdN930

317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/25(土) 20:43:31.63 ID:fXbgZETDO
4
318 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 21:08:57.60 ID:xP+SLu73o
開拓者「ただいま。おや、珍しい組み合わせだな」

大学生「おかえりです」

姫「ニン」

大学生「あいさつをニンで済ませるんすか?」

姫「ニンニン」

大学生「ニンは一回!」

開拓者「ずいぶん打ち解けたんだな……」

大学生「姫さん面白いんですよ。王族とは思えないくらい」

大学生「本当は姫を自称しているだけの忍者じゃないんですか?」

開拓者「残念ながら忍者を自称している本物の姫なんだ」

大学生「とにかく楽しい人なので、ついこんな時間まで話し込んでしまいましたよ」

姫「夜は忍びの時間よ。まだ余裕ですわ。ふわぁ……」

開拓者「眠気で喋り方が戻ってるぞ」

大学生「忍者とか結構好きなんで、東洋にも旅行してみたいんですけどね」

姫「わたくしも一度は行きたい、忍びの総本山!」

開拓者「あっちは情勢が危ないからな……」

開拓者「もともと忍者が王国にやってきたのも、忍者の里が滅ぼされたからだと言っていたな」

姫「あっ、そうですわ! おじさまはフリーの開拓者でしたわね!」

姫「開拓者よ。東の地に忍びの里を作って参れ!(低音)」

開拓者「お断りします」

姫「危険は承知よ。立ちふさがる敵は皆わたくしが倒しますわ!」

大学生「おー、姫さんカッコいいっす!」

開拓者「無茶だと思うがな……」

三人は夜遅くまで忍者トークをして過ごした。
319 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 21:11:08.73 ID:xP+SLu73o
船員「よう、友人。聞いて驚け」

船員「実は俺……デートしたんだ!」

開拓者「何!? 誰とだ!?」

船員「……ダイくんと」

開拓者「……男か」

船員「それが案外楽しかったんだ。湾岸要塞に行ってな、二人で軍艦を見てきた」

開拓者「女ウケしない場所だな」

船員「つまり何が言いたいかというと、女の子とデートするなら女の子が喜びそうな町がいいぜ」

開拓者「何を当たり前のことを」
320 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 21:13:27.30 ID:xP+SLu73o
開拓者(俺は仕事柄、女性が楽しめそうな町にたくさんの心当たりがある)

開拓者(これは大きなアドバンテージなのではないか?)

開拓者(勇気を出してデートに誘ってみよう)

開拓者(……女性を誘うのにわざわざ勇気を出す年齢ではないな)


1.花畑島
2.湖畔の楽園
3.フォトジェニックな町

安価↓2 行き先選択


A.画家
B.生産者
C.家政婦
D.姫

安価↓4 誘う相手選択(デートは女性しか誘えません)
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/07/25(土) 21:15:10.07 ID:5nkrdN93o
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/25(土) 21:15:23.15 ID:m8C4MArM0
3
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/25(土) 21:16:48.42 ID:u7602rex0
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/25(土) 21:16:52.99 ID:fXbgZETDO
A
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/25(土) 21:16:55.65 ID:5nkrdN930
B
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/25(土) 21:17:05.64 ID:wJj66SRQ0
C
327 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 23:04:22.12 ID:xP+SLu73o
開拓者「なあ画家、ちょっと話があるんだが」

画家「な、なんですか? 私が何か……」

開拓者「いや、別に何かを注意するわけじゃない」

開拓者「俺は最近、『絵になる町』を作ったんだ」

開拓者「もし良かったら、その町に遊びに行かないか?」

画家「私と、ですか?」

開拓者「俺と二人じゃ嫌か?」

画家「いえ、そんなこと無いです。行きましょう!」


フォトジェニックな町は二週間と少し前に、城塞の都のはずれに作られた新しい人気観光地だ。

都会人の理想とする、動物とのふれあい、田舎のごちそう、田園風景などが楽しめる。

若い写真家が旗振り役になったことで、写真撮影をメインにした観光客が数多い。


画家「わぁ、素敵な町……! 町……?」

開拓者「町としてはまだ開発中だな」

画家「すごいです……これを一人で?」

開拓者「一人ではないが、たしか4人くらいだったか」

画家「早速スケッチしてもいいですか?」

開拓者「絵になるスポットは田園だけじゃないんだ。まずは見てまわ」

コック「いらっしゃいませー!!! 新商品、ナットーナンはいかがですかー!!??」

開拓者「声がでかい!」

コック「って、開拓者さんじゃないですか! 後ろの方は彼女さんですか?」

画家「い、いえ」

開拓者「彼女は俺の仕事仲間だ。お前と似たようなものだ」

開拓者「で、ナットーナンってなんだ?」

コック「ゆでタコの納豆詰めの中身をレッドナンの中に詰めてみたんです。味見どうぞ!」

画家「ん。変わったお味……」

開拓者「無理しなくていいぞ。こいつの作る料理のうち半分はハズレなんだ」
328 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 23:22:09.70 ID:xP+SLu73o
開拓者と画家は絵になる風景を見て回った。

画家「この教会の下描きに着色してみます」

開拓者「完成が楽しみだな」

写真家「あれ? 絵を描いてる人がいる。写真の方が早いのに」

画家「……」ピクッ

写真家「あっ、開拓者さん! 来るのが早かったですね」

開拓者「いや、今日は開拓に来たわけじゃないんだ」

写真家「ああ、デートですか」

写真家「ほら、アタシの予言した通り! カントリーでセンチメンタルな可愛いお姉さんと出会いましたね!」

開拓者「センチメンタルなのか?」

写真家「はい、雰囲気に出てます。そういえばセンチメンタルとノスタルジックはやっぱり別々ですね」

開拓者「ほらみろ」

写真家「はじめまして。アタシはインスタント・フォトグラファー。インスタントカメラでエモーショナルな写真を撮る写真家です!」

パシャッ ジー

写真家「お近づきのしるしに、どうぞ」

画家「いりません。ただの写真じゃないですか」

写真家「んっ?」ピクッ

画家「私は画家です。特に風景画と静物画、人物画をよく描きます」

写真家「画家さんでしたか。でもこの時代に風景画は流行らないと思いますよ」

画家「絵は芸術作品です……。そのまま切り取っただけの写真なんかと一緒にしないでください」

写真家「写真は芸術じゃないだなんて古臭いですねー。美しい風景はそのままで美しいんですよ」

コック「あわわ……バチバチだ」

開拓者「お前はなぜついてきたんだ?」
329 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 23:37:08.23 ID:xP+SLu73o
画家「写真家さんは属性を知ってますか?」

写真家「はい、知ってますけど? あなたこそ知ってるんですか?」

画家「この教会の属性は?」

写真家「エレガント。なんですか、このテスト?」

画家「時間さえあれば、写真よりもエレガントな絵を描けます」

写真家「それって捏造ですよね? 時間をかけていいならアタシもベストショットが出せますよ」

写真家「開拓者さんは写真と絵、どちらが好きですか?」

開拓者(俺に振るのか……)

開拓者「どちらにもいい所はある……が、俺は画家の方が好きだな」

画家「……!」パァッ

写真家「えー。納得できない」

開拓者「……そうだ、写真家。貯水池の写真を持っているか?」

写真家「ありますけど」スッ

開拓者「なあ、画家。この場所をホラーな雰囲気で描いてみてくれ」

画家「ホラーですか……。苦手ですけど、やってみます」


開拓者(俺の予想通りだった。写真では『言われてみれば…』程度だった、貯水池のダークな雰囲気を画家は見事に強調してみせた)

開拓者(半分まで描いたところで、画家は怖くなって筆を止めた)

画家「も、もう無理です……」

開拓者「この貯水池は俺も近づけない……」

写真家「ひいっ」

開拓者「時間をかけてもこの恐怖は撮れないんじゃないか?」

写真家「認めましょう……。絵には絵の良さがあります!」

画家「やったっ……」


開拓者(画家は帰りも機嫌が良かった。やはり写真をライバル視しているようだ)
330 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 23:44:00.32 ID:xP+SLu73o
2週目結果

画家 26歳 #カントリー 交流★★→★★★★
1.緑の町から来た気弱な女性。他の参加者の優秀さに気おくれしている。
2.写真家に対抗意識を燃やし、いつになく積極性を見せた。

生産者 30歳 #ノスタルジック 交流★★★
1.20年ぶりに再会した開拓者の妹分。村の農業などを支援する仕事をしている。

家政婦 25歳 #ナチュラル 交流★
1.湖畔の楽園から来たメイド。あまり自分のことを語りたがらない。

姫 16歳 #ノーブル 交流★→★★
1.国王の娘。かつては病弱だったが療養を経て立派な忍者になってしまった。
2.もともと体が弱かったためか、手に入れた自分の強さにやや酔っているようだ。

大学生 22歳 #クール 交流★★→★★★
1.学問の都から来た品のいい青年。旅行が趣味であり、町を作る開拓者に憧れを抱いている。

船員 29歳 #エネルギッシュ 交流★★★★★
1.癒しの花園で働く船乗りの男。開拓地を転々とする開拓者にとって数少ない友人である。
2.船員らしく船が好き。大学生と二人で軍艦を見に行きテンションが上がったという。


〜住民の声〜
画家「ごめんなさい、私、動物は触れないので描くだけにします……」
姫「ダイさんを忍者修行にお誘いしたら、やんわり断られましたでござるわ」
331 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 23:52:47.35 ID:xP+SLu73o
3週目

●住民
・船員……交流★★★★★
・大学生……交流★★★
・画家……交流★★★★
・生産者……交流★★★
・家政婦……交流★
・姫……交流★★


船員「釣り大会しようぜ!」

姫「セインさんが勝つための提案でござるじゃない!」

開拓者「恥ずかしくないのか?」

船員「何かみんなでレクリエーションしたいと思って考えたんだよ」

船員「この島で他にできることがあるか?」

生産者「それ、エソラちゃんが参加できないよ」

大学生「魚もダメですか?」

画家「生きてなければ……」

開拓者「ダメだな。では大会は中止ということで」

画家「だ、大丈夫です。私は調理を担当するので、みなさんで楽しんでください」

家政婦「ここはお言葉に甘えましょうか?」

大学生「そうですね」

家政婦「魚が多いときはあたしも手伝うので、遠慮なく呼んでください」
332 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/25(土) 23:58:58.99 ID:xP+SLu73o
開拓者(生産者と船員は船に乗って沖で大物を狙うようだ)

開拓者(仲のいい姫と大学生は二人並んで釣るようだ。歳が比較的近いというのもあるのだろうな)

開拓者(家政婦は、画家が手持ち無沙汰にならないよう、最初は釣れたらすぐに家に持っていくらしい)

開拓者(画家は家の中で魚を待っている)


1.生産者と船員の沖釣りに参加する
2.姫と大学生と一緒に行動する
3.家政婦と並んで釣る
4.あえて一人で釣る

安価↓2選択
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/07/26(日) 00:02:35.82 ID:c4MnYVvSo
1
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/26(日) 00:02:57.72 ID:rZ2OEdLP0
3
335 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/26(日) 21:33:25.96 ID:l2cq8O86o
開拓者「隣いいか?」

家政婦「いいですけど、ここ、釣れませんよ。場所を変えようと思ってました」

開拓者「そうか。ならば俺がいい場所を探してやろう」

家政婦「急ぎましょう。エソラさんを待たせてますし」


二人は島の沿岸を周り、釣る場所を探す。

開拓者「……お前と二人きりになるタイミングが意外と無かったな」

家政婦「あたしに聞きたいことがあるんですよね」

開拓者「気づいていたか」

家政婦「自分のことを話していない自覚はあります」

家政婦「質問いいですよ。一つだけなら何でも正直に答えますよ」

開拓者「一つか……」

開拓者「では、お前がこの開拓に参加した理由はなんだ?」

家政婦「え、動機?」

家政婦「そんなことでいいんですか? 一つですよ?」

開拓者「正直に言うと、いろいろ気になっていることは多いが、あまり話したくないことなんだろう」

開拓者「もうしばらく共同生活を続ける以上、無理に聞き出して空気を悪くしたくない」

家政婦「気が利きますね」

開拓者「まあな。最近は特に心掛けているぞ」

家政婦「……あたしが開拓に参加した理由は、仕えたい人を見つけられるかもしれないと思ったからです」

開拓者「なるほど、あの貴族は失格か」

家政婦「当たり前じゃないですか……」
336 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/26(日) 21:36:55.31 ID:l2cq8O86o
開拓者「しかし、湖畔の町のメイド派遣サービスにいるのなら、顧客は絶えないんじゃないか?」

家政婦「大抵、一泊二日の観光客向けの貸し出しなんです」

家政婦「特に、あたしはB級メイドなので、中長期の仕事はあまりないんですよ」

開拓者「A級メイドは、あの人間味の無いお世話ロボットみたいなメイドたちか……」

家政婦「C級以下はカフェで働くか、戦闘訓練をしていますね」

開拓者「お前は仕えるならどんな人がいいんだ?」

家政婦「長く仕えられる人がいいですね」

家政婦「過去に仕えた人と対立する羽目は、もうゴメンですから……」

開拓者「おっ、そこの岩礁がいいんじゃないか。魚から姿を隠せる」

家政婦「あの……槍はありませんか?」

開拓者「槍?」

家政婦「海に入って魚を突いてこようかと」

開拓者「危ないし、使うなら槍じゃなくモリだ……」

開拓者(家政婦は魚を何匹か手づかみで捕獲すると、急いで画家のもとへ持っていった)

開拓者(画家を待たせたくないと言っていたが、ずぶ濡れで帰ると気を遣わせるだろ……)


船員「大漁大漁っ!!」

生産者「マグロ釣ってきたよ〜」

大学生「さすが、プロはスケールが違います」

姫「わらわとダイさんのサバが小魚に見えるでござるものね」

画家「こんな大きな魚、どこから手を付ければ……」

家政婦「あたしがやりますよ」スッ

生産者「お〜、上手〜」

開拓者「刃物を使わせたら右に出る者はいないな」
337 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/26(日) 21:47:50.17 ID:l2cq8O86o
3週目後半。

開拓者「雨か……外で作業はできんな」

開拓者「大学生以外、私用で出払っているから家も静かだ……」

開拓者「ん? お前も残っていたのか」


リビングにいたのは

1.画家
2.家政婦と大学生
3.姫
4.生産者

安価↓2選択
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/26(日) 21:51:34.99 ID:uJfleNiI0
3
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/26(日) 21:55:25.46 ID:bgN09Zxa0
1
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/07/26(日) 21:57:51.16 ID:c4MnYVvSo
4
341 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/26(日) 23:26:17.99 ID:l2cq8O86o
開拓者「今日は花畑島にスケッチに行くんじゃなかったか?」

画家「この天気ですから……」

開拓者「やめておいて正解だな」

画家「開拓者さんは、雨は嫌いですか?」

開拓者「そうでもないな。どちらかというと日照りの方が困る」

画家「植物が枯れちゃうからですね」

開拓者「ああ。そういう地域の開拓はなかなか大変だ」

画家「やっぱり、いろんな環境の土地に行くんですね」

開拓者「そうだな。放っておいても町ができるような土地を開拓する機会はあまりない」

開拓者「砂漠、雪山、熱帯雨林、そうした極端な気候の土地に行かされることが多いな」

画家「きっと、素敵な景色が広がってるんでしょうね……楽しそう」

画家「あっ、ごめんなさい。楽しそうだなんて、大変な仕事なのに……」

開拓者「いや、楽しいぞ。俺も楽しくなければこんなキツくて割に合わない仕事はしていない」

画家「みなさん、自分の仕事に誇りを持っているんですね」

開拓者「お前は好きで絵を描いているんじゃないのか?」

画家「私は……プロじゃないんです。好きなだけなんです」

開拓者「何? そうだったのか、そんなに上手いのに意外だな」

画家「上手い人はいっぱいいますから、絵画の世界で活躍できるのは一握り……」

開拓者「聞いたことはあるな。美術展に作品を出し、画商に目をつけてもらい、初めてプロとしての仕事が生まれると」
342 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/26(日) 23:29:23.35 ID:l2cq8O86o
画家「私も、もう26歳です」

画家「そろそろ夢を諦めて……結婚するか、父と兄の仕事を助けるか……しないといけません」

画家「私、この開拓に参加すれば、畑仕事に慣れたり、動物を克服できたり……」

画家「あわよくば、素敵な男性に出会えるかもと思ってたんです……」

画家「何言ってるんだろう、私」

画家「……ふ、不純ですよね。開拓を汚して、ごめんなさい」

開拓者「不純なものか」

開拓者「俺だって似たような理由でここにいるんだからな」

画家「えっ……?」

開拓者「この島の開拓は俺には役不足だ。目的は開拓ではなく、コミュニケーションにある」

開拓者「結果、妹と再会できたし、俺を慕っているらしい若者にも会えた」

開拓者「せっかく縁ができたんだ」

開拓者「お前が今後どうしたいのかは分からないが、俺にできることなら協力するから、遠慮なく頼ってくれ」

画家「……ありがとうございます」

画家「で、でしたら……あの…………。…………」ソワソワ

開拓者「……」

画家「わ、私と…………」

開拓者「……」

ガチャッ

船員「ただいまー!」

画家「ひゃっ!?」ビクン

船員「いやー、やっと雨やんだな!」

開拓者「貴様ぁ!」

船員「ど、どうした友人! らしくない剣幕だぞ!?」

画家「ほっ……」
343 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/26(日) 23:31:36.33 ID:l2cq8O86o
ある日。

生産者「ただいま〜」

画家「楽しかったー」

大学生「ん? おかえりなさい」

家政婦「お土産です。どうぞ」

開拓者「トウモロコシ? どこに行っていたんだ」

家政婦「スイートコーンの村です」

画家「生産者さんのお誘いで、女子会をしたんですよ」

生産者「わたしが作った自慢の村を紹介できて良かったよ〜」

大学生「えー、いいっすね。俺も誘って欲しかったです」

開拓者「女子会だって言ってただろ」

開拓者「姫は誘わなかったのか?」

生産者「列車に忍者がいたって言って、途中で飛び降りちゃった」

開拓者「無事なのか……?」

スタッ

姫「この通り、無事ですわ!」

画家「よ、よかった……心配したんですよ!」

大学生「天井に穴が……」

開拓者「いつの間にか忍者屋敷に改造されている……」
344 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/26(日) 23:43:39.31 ID:l2cq8O86o
開拓者「自分で作った町を自慢する、か」

開拓者「したと言えばしたが、高原では姫の乱入で、先週は写真家と画家の口喧嘩で、それどころじゃなかったな」

開拓者「俺も自信のある町に誰かを連れて行ってみるか」


1.芸術と娯楽の町
2.妖怪と雪山レジャーの町
3.砂漠のカジノシティ

安価↓2 行き先選択


A.画家
B.生産者
C.家政婦
D.姫

安価↓4 誘う相手選択(デートは女性しか誘えません)
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/26(日) 23:44:44.53 ID:vvq22gSwO
3
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/26(日) 23:49:42.06 ID:bgN09Zxa0
3
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/26(日) 23:51:05.11 ID:BsQxUbRDO
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/26(日) 23:52:15.85 ID:ZRLf3EG4O
B
349 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/30(木) 23:15:56.66 ID:F0otELN7o
開拓者「明日、砂漠の町に行くんだが、お前も来ないか?」

生産者「いいよ〜」

開拓者「まさか二つ返事とは思わなかった」

生産者「暇だからね〜」


開拓者と生産者は、共同生活を営む牧場島から遠く離れた、国境に近い砂漠にやってきた。

二人は鉄道馬車に乗っていた。馬車を引いているのはラクダだ。

開拓者「砂漠の町は1、2年前に俺が作った町でな」

開拓者「それ以来、一度も訪れていなかった。久しぶりに様子を見に行くついでにお前にも感想を聞こうと思ったんだ」

生産者「別に言い訳しなくてもいいよ、デートでしょ?」

開拓者「俺はそういうつもりじゃないぞ」

生産者「ん〜?」チラッ

開拓者「どうした、窓の外に何かあったか?」

生産者「広ーい農園が見えるけど、ちょっと変じゃない?」

生産者「オアシスにしては広すぎるし、地下水路で水を引いたのでも無いよね?」

生産者「なんだか気候がおかしいよ」

開拓者「よく気づいたな」

生産者「どうやったの? お兄ちゃんでも気候は変えられないと思うけど」

開拓者「冒険者が、その……超常的な存在を発見したんだ。そいつに頼んで緑化してもらった」

生産者「へ〜。その人に会いたいな〜」

開拓者「今後接触しない約束と引き換えに引き受けてくれたんだ。もう会えない」

生産者「え〜、残念」

※砂漠開拓の詳しい様子は →http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1454661413/
350 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/30(木) 23:19:35.99 ID:F0otELN7o
砂漠を越え、大農園の先に見えてくるのは、ピラミッドの上に備え付けられた巨大な砲台。

このランドマークは、凄腕の武道家が集まり、王国軍の駐屯地も有している砂漠の町の防衛能力の高さを誇示している。

温暖で過ごしやすくいつでもカジノを楽しめる砂漠の町は、富裕層の別荘地としても人気だ。

ついたあだ名が、世界一安全なカジノシティ。


ヒーローA「諸君! 観光は楽しんでいるかな?」

ヒーローB「お金を使いすぎないよう、くれぐれも気を付けたまえよ!」

生産者「はーい。すごいねこの町、ヒーローが見回りしてるんだ」

開拓者「彼らはまだ弱い方だぞ。この町は一般人の強さのアベレージも高い」

開拓者「どこにでもいそうな中年女性ですら、鋭い突きや蹴りを放つこともある」

生産者「あっ、見て。学校。あの動き、なんていうんだっけ?」

開拓者「四股だな。道着を着た子供たちが四股を踏んでいる」

開拓者「女の子もいるな。相撲がスポーツ化しているのか……?」

生産者「お兄ちゃんがいた頃は違ったの?」

開拓者「学校で武道を教えてはいなかったはずだ。俺が呼んだ強者たちの影響が形を変えて広がっているようだ」


開拓者「町の風景もかなり変わっているな」

生産者「高級店がいっぱいだね〜」

開拓者「開拓直後はもっと粗削りな雰囲気の町だったが、洗練されている」

開拓者「そういえば経営学を教えて、銀行も作っていたな。需要に応じて新しい事業を立ち上げる土台が整っていたわけか」

生産者「お兄ちゃん、そういう町作りもできるようになったんだ」

生産者「成長したね〜」

開拓者「当たり前だろ」
351 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/30(木) 23:24:54.23 ID:F0otELN7o
開拓者「さて、ではカジノに」

生産者「はいストップ」ガシッ

開拓者「何をする」

生産者「お兄ちゃんは賭け事になると勝つまでやめないタイプだから、ダメ」

開拓者「……あれから何年経ったと思っているんだ? 俺は成長したんだ」

生産者「嘘をつくときの顔してる。成長してないね〜」

開拓者「だ、だが、カジノに行かなければこの町に来た意味がない!」

生産者「カジノの周りでパフォーマンスもやってるし、バーもあるから十分楽しめるよ」

生産者「お兄ちゃんが作ったのはカジノじゃなくって町でしょ?」

開拓者「ぐっ……」

生産者「わたし、高級ホテルに泊まりたいな〜」

開拓者「カジノで遊ぶより高くつくぞ」

生産者「一緒に泊まる?」

開拓者「それは駄目だろ」

生産者「二室借りると高いじゃない」

開拓者「駄目なものは駄目だ。倫理的に」

生産者「倫理観なさそうなのに〜」


開拓者(俺たちはパフォーマンスを見たり、高い酒を飲んだり、イルミネーションを見て和やかなひと時を過ごした)

開拓者(その結果……)

生産者「もーあるけない〜〜」

開拓者「30にもなって酔いつぶれて背負われて、みっともないな」

生産者「のみすぎた……ごめんなさい」

生産者「……お兄ちゃんの背中、なつかし〜……。いいにおい〜〜」

開拓者「加齢臭じゃないか?」

生産者「そんなことないよ〜〜」

生産者「……おもくない〜?」

開拓者「いや、全然軽いぞ」

生産者「そう〜……?」

開拓者(酒に酔ってへろへろになった妹を放っておけず、結局同室に泊まった)

開拓者(少しだけ、ドキドキしてしまった)

開拓者(しょうがないだろう……血のつながりは無いんだからな)
352 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/30(木) 23:31:15.28 ID:F0otELN7o
城塞の都のレストラン。

船員「男子会!!」

開拓者「なぜここなんだ」

船員「人がいないから貸し切りできるだろ」

大学生「コックさん、すいませんね」

コック「屋台よりは儲かるから大丈夫だよ!」

船員「オムビーフマウンテンと、ゆでダコの納豆詰め、それと地衣じゃがと……」

開拓者「馬鹿、頼みすぎだ! オムビーフマウンテンだけでちょうどいいぞ」

大学生「ドリンクはみんな魚介青汁でOKですか?」

開拓者「目に見えた地雷を踏むのか!?」


船員「さて……男子会を開いたのはお前らに質問があるからだ」

船員「ぶっちゃけ、みんなは誰狙いだ?」

大学生「合コンですか?」

開拓者「お前、船の上でも聞いてきただろ」

船員「気が変わってないかと思ってさ」

開拓者「俺は今のところ、変わらずに画家だな」

大学生「見てて思うんですけど、開拓者さんのそれは、恋心より親心って感じじゃないですか?」

開拓者「どういう意味だ?」

船員「俺も同感。悪いとは言わないけど、開拓者さんがエソラちゃんに一方的に与えてるだけに見えるぜ」

開拓者「俺は楽しい時間をもらっているぞ」
353 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/30(木) 23:36:41.63 ID:F0otELN7o
開拓者「俺は言ったからな。お前らの番だぞ」

船員「俺は生産者さんだな。一つ年上だけどおっとりして可愛いんだよなー。あとエロい」

開拓者「お前、兄の前でよくそんなことが言えたな」

大学生「保護者ですか?」

開拓者「保護者だ」


船員「最後、ダイくんは誰が好きだ?」

大学生「6人の中だと、開拓者さんですかね」

開拓者「う、うおおっ!?」ササッ

船員「だ、ダイくん。別に趣味は否定しないが、開拓者さんはゲイやオネエに強烈なトラウマがあるんだ。許してやってくれ」

大学生「ご、誤解ですって!」

大学生「そもそも俺、恋愛目当てで参加してないんですよ!」

船員「マジで?」

開拓者「そうだな……大学生くらいイケメンなら、ここで恋人を探す必要もないだろう」

船員「あー、納得。彼女いっぱいいそうだもんな」

大学生「いやいや、一人もいませんよ」

大学生「勉強に専念してるので」

船員「そういや聞いてなかったけど、ダイくんってどこ大学?」

大学生「学問の都のセントラル大学理学部、惑星環境科学科です」

開拓者「すごいことを研究しているんだな……」

大学生「まだ習ってるだけですよ。それに、勉強したいことと少し違いましたし」

船員「それ、どういうことを勉強するんだ?」

大学生「いろいろです。天文学に、気象学に、あとは岩石のことや植生のこととか」

開拓者「ほう。俺たちにも関係がある分野だな」

そして話が逸れたまま、男三人で2時間ほどお喋りを続けた。
354 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/30(木) 23:41:23.94 ID:F0otELN7o
3週目結果

画家 26歳 #カントリー 交流★★★★→★★★★★
1.緑の町から来た気弱な女性。他の参加者の優秀さに気おくれしている。
2.写真家に対抗意識を燃やし、いつになく積極性を見せた。
3.画家として生き続けるのを諦めかけている。開拓者に何かを頼もうとした。

生産者 30歳 #ノスタルジック 交流★★★→★★★★
1.20年ぶりに再会した開拓者の妹分。村の農業などを支援する仕事をしている。
2.今なお開拓者のことを誰よりもよく分かっている。

家政婦 25歳 #ナチュラル 交流★→★★
1.湖畔の楽園から来たメイド。あまり自分のことを語りたがらない。
2.仕えていた人と対立した過去があるらしい。

姫 16歳 #ノーブル 交流★★
1.国王の娘。かつては病弱だったが療養を経て立派な忍者になってしまった。
2.もともと体が弱かったためか、手に入れた自分の強さにやや酔っているようだ。

大学生 22歳 #クール 交流★★★
1.学問の都から来た品のいい青年。旅行が趣味であり、町を作る開拓者に憧れを抱いている。
2.現在恋人はおらず、学業に専念している。専門は惑星環境科学。

船員 29歳 #エネルギッシュ 交流★★★★★
1.癒しの花園で働く船乗りの男。開拓地を転々とする開拓者にとって数少ない友人である。
2.船員らしく船が好き。大学生と二人で軍艦を見に行きテンションが上がったという。


〜住民の声〜
家政婦「姫様とお近づきになりたいんですけど、何を話せばいいものか……」
生産者「迷惑かけてごめんね。わたし酔って変なこと言ってなかった?」
355 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/30(木) 23:52:16.96 ID:F0otELN7o
4週目

●住民
・船員……交流★★★★★
・大学生……交流★★★
・画家……交流★★★★★
・生産者……交流★★★★
・家政婦……交流★★
・姫……交流★★


生産者「そろそろ作物を収穫しないとね〜」

家政婦「もうですか? 早いですね」

開拓者「開拓用の特別な肥料を使っているからな。味は劣るから調理が大事だ」

船員「みんな、聞いてくれ」

画家「は、はい」

姫「ニン」

船員「明日、ダイくんの誕生日なんだ」

開拓者「ほう、知らなかったな」

船員「気を遣わせると思って黙ってたんじゃねーかな」

船員「せっかくだから俺たちでお祝いしないか?」

画家「いいですね!」

生産者「だったら、収穫したものでごちそうを作ろうか?」

家政婦「料理はあたしに任せてください!」

姫「皆、思い出に残る宴にするでござるわよ!」

開拓者「とんとん拍子で決まったな」

船員「ダイくんが帰ってくるのは明日だ。早速、準備に取り掛かろうぜ!」
356 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/30(木) 23:54:11.88 ID:F0otELN7o
開拓者(生産者はブドウの収穫に向かった。今日から何か作るのか?)

開拓者(家政婦はプレゼントを買いに出かけるらしい)

開拓者(画家は乳しぼりに挑戦するようだ。大丈夫か……?)

開拓者(姫と船員は室内を飾り付けている。忍者風にならないか不安だ)


1.生産者の収穫を手伝う
2.家政婦と一緒にプレゼントを選びに行く
3.画家の様子を見に行く
4.姫と船員の作業に加わる

安価↓2選択
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/30(木) 23:55:56.31 ID:XSW3o9t60
4
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/30(木) 23:56:02.35 ID:qbihHV9DO
3
359 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/31(金) 00:50:36.53 ID:FYEMmiQGo
牛「ブモォー」

画家「お、お邪魔しまーす……」ソローリ

開拓者「画家、大丈夫か? 生産者から聞いたぞ」

画家「あ、開拓者さん……」

開拓者「お前、動物が苦手と言っていなかったか?」

画家「はい……。恥ずかしながら、全然ダメで……」

画家「牛は私より大きいので、怖いんです」

開拓者「犬と猫はどうだ?」

画家「噛んだり引っかいたりしそうで怖いです」

開拓者「魚は噛まないぞ?」

画家「暴れるのでダメです……」

開拓者「イモムシは?」

画家「む、虫は気持ち悪いです!」

開拓者「鳥も暴れたりつついたりするから無理か」

開拓者「前から思っていたんだが、よく緑の町で生きていけたな」

画家「私もそう思います……」

開拓者「小さい頃はどうしていたんだ?」

画家「昔から、動物に触れる機会が少なかったので……」

開拓者「俺には想像ができない環境だ」

画家「開拓者さんは幼少期から開拓団にいたから慣れてるんですよね」

画家「私もそうだったら慣れたのかな……」
360 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/31(金) 01:09:13.08 ID:FYEMmiQGo
開拓者「そうだな。でも今からでも慣れることはできる」

開拓者「試しに牛に触ってみろ」

画家「えっ、でも……」

開拓者「何かあったら俺が、いや、何かあることはない」

開拓者は牛をポンポンと軽く叩いた。

開拓者「おとなしい牛だ。そっと触れてみろ」

画家「……はい」

ちょんっ

牛「……?」

開拓者「手のひらで」

開拓者は画家の手首を持ち、そっと牛の側面に押し付けた。

牛「……」

開拓者「そのまま撫でてみろ」

画家「ほ、本当に大丈夫ですか……?」

開拓者「牛は信じなくていい。俺を信じればいい」

画家「……はい」

牛「モー」ヌッ

牛が振り向いた。

画家「きゃあっ!」

牛「モー」サッ

怖がらせたことが分かると、牛はすぐに正面に向き直った。

開拓者「な。大丈夫だったろ」
361 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/31(金) 01:10:35.45 ID:FYEMmiQGo
家政婦「ただいま戻りました。……何してるんですか?」

開拓者「牛タッチだ」

家政婦「ああ、動物に慣れる訓練ですか」

開拓者「画家にとっては大きな一歩だ」

家政婦「あたしもその相談を受けたんですけどね」

開拓者「何かアドバイスしたのか?」

家政婦「魚を全然克服させてあげられなかったので、あたしの先生を紹介しようと思ったんですけど」

開拓者「メイド学校の先生か?」

家政婦「いえ、指導者と呼ばれている先生です」

開拓者「あいつか。だがあいつは今……」

家政婦「はい……。先生は今、ご都合が悪いですよね」

画家「よし、30秒。新記録……!」

生産者「乳しぼり終わった〜?」

画家「あっ」

開拓者「俺も忘れてたな……」


翌日。

船員「ハッピー、バースデー!!」

大学生「うわっ、えっ!? 俺、誕生日教えましたっけ!?」

船員「悪い。この間、レストランで手帳のカレンダーが見えてしまったんだ」

大学生「あー、仕方ないです。気を遣わせてしまいましたね」

生産者「ううん。ちょうど収穫祭をしようと思ってたところだったんだよ〜」

家政婦「誕生日パーティ用の料理に変わっただけです。お気になさらず」

開拓者「半分くらいはこの島の食材でできたケーキもあるぞ」

生産者「レーズンと牛乳とバターくらい?」

姫「わらわがクリームでダイさんを描いたでござるのよ!」

開拓者(これ、大学生を描いていたのか。驚くほど下手だ……)

画家「わ、私が搾った牛乳を使ってます」

大学生「エソラさん、牛に触れたんですか? すごい、おめでとうございます!」
362 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/31(金) 01:26:51.35 ID:FYEMmiQGo
家政婦「ダイさんへのプレゼントを用意しました」

大学生「開けてみていいですか?」

ガサゴソ

大学生「いいタオルのセット!」

家政婦「いくつあっても困らないと思いまして」

大学生「本当その通りです! 旅行先に持っていきますよ」

姫「わらわも用意したでござるよ。ニン!」

ガサゴソ

大学生「……忍装束?」

姫「ここに刺繍もしましたでござるわよ」

姫「ダイさんもこれを着て一緒に忍者になりなさいでござる!」

大学生「あはは、今度の旅行は高原の町でもいいかもしれませんね」

船員「あれ、ものすごいプレミアがつくんじゃ……」

生産者「急だったのによく用意できたね?」

姫「いつも人に配れるように荷物に入れてるでござるのよ」

開拓者「すまん。俺たちは用意できなかったんだ」

生産者「ごめんね〜」

船員「もっと早く言えばよかったな」

大学生「いいですよ。いつも色々してもらってますから」

画家「私、今何か描きましょうか?」

大学生「では、今度旅行に行くときについてきてもらって、俺の絵を……なんてね」

大学生「写真をもとに描いてもらうことってできます?」

画家「もちろん。では、いつか描きますね。約束です」

大学生「今日はみなさん、本当にありがとうございました」

大学生「このメンバーから祝ってもらったこと、俺、たぶん一生忘れないと思います」
363 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/07/31(金) 01:32:12.65 ID:FYEMmiQGo
早朝。

開拓者「よし、仕事の日だ」

船員「船を出す準備できたぜ。まだ仕事終わらないのか?」

開拓者「あと少しで終わる。今が正念場だ」


お弁当を片手に、開拓者を呼び止めたのは

1.画家
2.生産者
3.家政婦
4.姫

安価↓2選択
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/07/31(金) 01:34:01.03 ID:EYujv5yOo
2
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/31(金) 01:44:22.95 ID:SJqedtWjo
2
366 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/01(土) 20:21:03.70 ID:Swh41KkOo
生産者「おーい、開拓者〜」

船員「ん? 呼んでるぞ」

開拓者「どうした?」

生産者「今日もお仕事でしょ? はい、お弁当」

開拓者「おお。そういえば今朝からキッチンに灯りがついていたな」

開拓者「ありがとう」

生産者「苦手なものはなかったよね」

開拓者「ああ」

船員「うらやましいぜ。生産者さんってたしか名産品を使った料理のプロデュースもしてるんだろ?」

船員「絶対うまいぞ、それ」

生産者「あとで感想聞かせてね〜」


翌日。

開拓者「帰った。生産者はいるか?」

生産者「いるよー」

開拓者「弁当、すごく美味かったぞ」

生産者「腕を上げたでしょ〜」

開拓者「そりゃあな。お前、昔はなんでも丸焼きにしてただろ」

開拓者「しかし変だな。どこか懐かしい味がした」

生産者「覚えてる? 開拓団の保母のおばさん。あの人の味を研究して再現したの」

開拓者「そうか……これが俺にとっての『実家の味』だったか」

生産者「気に入ったなら、これから毎日作ってあげてもいいよ〜」

開拓者「そういう提案は俺じゃなく、将来の旦那にしてあげろよ」

生産者「ん〜。いい人いないんだよね〜」
367 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/01(土) 20:24:21.07 ID:Swh41KkOo
開拓者「お前も村を転々としているなら、やはり浮気されたりするのか?」

生産者「それはマシな方」

生産者「仕事の引退を迫られたこともあったし、」

生産者「わたしを村に定住させるために、誘拐して閉じ込めて、無理やり子供を作らせようとする村もあったよ〜。こわかったな〜」

開拓者「外道が。滅ぼしてやろうか……!」

生産者「お兄ちゃんこそもういい歳でしょ?」

開拓者「俺もな……王の直属の部下だから、財力があると誤解されて、金目当ての女ばかり寄ってきた」

開拓者「仕事であまり家に帰ってこないのも都合がいいんだろうな」

生産者「それで普通の恋愛ができなくなって、風俗にハマったんだね……」

開拓者「なんで知ってるんだ!!」

生産者「あれ? 当たった?」

開拓者「やられた……」


生産者「まともな人もいたけど、みんな、わたしから離れていくんだよね」

開拓者「おそらく、家庭的でおっとりした女性が好きな男は、お前の活動的で好奇心旺盛なところを快く思わないんだろうな」

生産者「でも、自分の性格を曲げてまで一緒にいられないよ」

生産者「一番波長が合う男性は、開拓者かも?」

開拓者「それは兄妹だからだろ」

生産者「血のつながった兄弟でも仲の悪い人たちはいるよ〜」

開拓者「では、俺たちは幸運だったな」

生産者「……そうかな〜」

生産者「お兄ちゃんじゃない開拓者と出会えたらよかったのにな」

開拓者「どういう意味だ……?」
368 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/01(土) 20:26:28.56 ID:Swh41KkOo
※現在の交流の★数

・画家……交流★×6
・生産者……交流★×5
・船員……交流★×5
・大学生……交流★★★
・家政婦……交流★★
・姫……交流★★
369 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/01(土) 20:28:31.35 ID:Swh41KkOo
共同生活の終わりもあと数日に迫った。

画家「1か月、あっという間でしたね……」

船員「まだ数日残ってるし、やり残したことは今のうちにやっておこうな」

大学生「一つ提案なんですけど、最後にみんなでどこかに旅行に行きませんか?」

大学生「大学だと、卒業前に仲間と卒業旅行に行くっていう文化があるんですよ」

画家「それは楽しそうですね」

姫「ちょうどいいものがあるでござるますわ! じゃん!」

開拓者「これ、開拓候補地カタログじゃないか!」

開拓者「どこから持ってきたんだ?」

姫「あら? 普通に王宮からでござるわよ」

家政婦「姫さんは顔パスですからね」

姫「いえ、窓からこっそり侵入しましたでござるけれど」

開拓者「なんてことを……」


船員「いろんな土地の情報が載ってる。面白いな」

画家「大丈夫ですか……? 見たら何かの罰を受けてしまいませんか……?」

姫「王国は開拓をやめましたから、こんなのは機密文書でもなんでもないでござるでしょう?」

生産者「むしろここにある方が自然だね〜」
370 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/01(土) 20:33:45.97 ID:Swh41KkOo
開拓者「気になる土地はあったか?」

画家「この、疎林と四季林で絵を描いてみたいです」

開拓者「どちらも開拓が難しい土地だな……」

家政婦「そうなんですか? 住みやすそうな風景に見えますが」

生産者「まあね〜。行ってみれば分かると思うよ〜」

生産者「あれ? 密林が残ってるのは意外だね?」

開拓者「そういえば熱帯を開拓したことは無かったな」

船員「へえ、この地峡と干拓地って土地はいい港町になりそうだな」

船員「ってこれ、運河建設も干拓もまだ計画段階なのか。やっぱり機密文書だったんじゃ……」

生産者「洞穴群だって。洞窟の中じゃ農業できないね〜」

姫「ふ、吹雪のやまない土地、北限!?」

姫「こんな場所を開拓させようとしていただなんてパパは鬼畜でござる!」

大学生「うーん、行くならこの日没浜ですね」

大学生「でも、ここってまだ町はないんですよね?」

開拓者「ああ。開拓候補地だからな」

大学生「それじゃ、旅行には向いてませんね」

姫「はっ、確かに!」
371 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/01(土) 20:37:50.06 ID:Swh41KkOo
開拓者(結局、安全性を考えて、旅行先は大きな都市になった)

開拓者(だが、遠くの町にも行ってみたいとは皆思っていたようだった)

開拓者(最後のデートには遠くの町を選んでみるか)


1.地衣の都
2.亜熱帯の町
3.孤島の町

安価↓2 行き先選択


A.画家
B.生産者
C.家政婦
D.姫

安価↓4 誘う相手を選択(デートは女性しか誘えません)
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/01(土) 20:38:46.83 ID:2FMVzmQ/0
3
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/01(土) 20:39:04.91 ID:z/xOhhVIO
kskst
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/01(土) 20:41:09.40 ID:YiNQ7DvsO
A
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/01(土) 20:41:19.65 ID:LjW8gUGDO
A
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/01(土) 20:43:47.80 ID:YO+H2uJI0
↓2がkskになってるみたいだから行き先安価は2で
377 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/02(日) 01:00:24.81 ID:vkDwoDkDo
画家「あ、あの……開拓者さん……」

開拓者「どうした、画家?」

画家「先日の件でお話が……」

開拓者「先日? 何かあったか?」

画家「私の将来について、開拓者さんはご自分を頼るようおっしゃってくださいましたよね……?」

開拓者「ん? ああ、確かに言ったぞ」

開拓者「もう日数も少ないが、何か頼みたいことがあるのか?」

画家「……はい」

画家「わ、私と……」

画家「ゴクリ…………で、デート、していただけませんか?」

開拓者「お安いご用だ」ニッ

開拓者「では、どこへ行こうか? 行き先は決まっているのか?」

画家「いいえ……」

開拓者「では、亜熱帯の町はどうだろうか?」

開拓者「俺が最近、仕事で訪れた町でな。町民の気風がよく、のんびりと観光できる町だ」

開拓者「今の季節ならそこまで暑くないはずだ」

画家「で、では、そ、そこにしましょう」

開拓者「そう緊張しなくていい」


家政婦「あんなに引っ込み思案だった彼女が自分から誘うようになるとは……」

大学生「恋は人を変えるんですね」

姫「でもなんでエソラさんがおじさまに惚れたのか分からないでござるわ」

家政婦「二人で過ごす時間が多かったのと、苦手を克服できたのが大きいのでは?」

大学生「人が誰かに恋するのに理由なんてないんじゃないですかね?」
378 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/02(日) 01:13:50.59 ID:vkDwoDkDo
亜熱帯の町は、サトウキビ栽培や国際的な競争のために、王国が植民地として支配していた地域の町だ。

現在は一応、本土にある町と同じ権利が与えられているものの、国の支援がほとんど無く様々な面で発展が遅れている。

交通の便の悪さもその一つだ。

亜熱帯の町への移動には、実際の距離以上に時間がかかる。


船内。

画家「思ったより遠いですね……」

開拓者「すまんな。ただ、遠いからこそ気候が違うし、珍しいものもみられる」

開拓者「野生の植物も、料理も、人の服装も違うぞ」

画家「楽しみです。画用紙は多めに持参しました」

開拓者「最後の旅行に間に合わせないといけないから、思う存分描く時間はないかもしれない」

画家「大丈夫。下描きだけちゃんと描いて、着色は記憶を頼りにします」


町に到着した開拓者たちはまず町長を訪ねた。

町長「またいらっしゃっていただき光栄です」

町長「お連れの女性は?」

開拓者「今、別の仕事で、6人で同じ家に住んでいるんだ」

開拓者「今日は二人で観光に来た」

画家「素敵な町ですね。活気があって、私みたいなよそ者にも親切で、温かい町です」

画家「特にあのサトウキビ畑、ぜひキャンバスに収めたいです」

開拓者「町長……悪気はないんだ」

町長「いえ、客人が喜ぶのならなんでも構いませんよ」

画家「えっ? 私、何かまずいことを……」

開拓者「ああ、この町は好きでサトウキビ栽培を始めたわけじゃないんだ」

町長「今でも町を支える産業の一つです。気を悪くしてはいませんよ」
379 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/02(日) 01:25:00.20 ID:vkDwoDkDo
町長に頼んで宿を確保した二人は、まっすぐ大学へと向かった。

開拓者「2週間前と様子は変わっていないな」

画家「亜熱帯総合大学? なぜ大学へ?」

開拓者「ここの学食が美味いんだ」


画家「あっ、この炒め物美味しい」

開拓者「だろう。このメニューには俺は関わっていないからな。純粋にこの町の食文化のレベルの高さがうかがえる」

画家「このメニューには、ですか?」

開拓者「そういえば言っていなかったか。この大学の建築には俺が関わっている」

画家「そ、そうだったんですか!? そっか、ここが……」

画家「絵になる町を作ったのもすごいですけど、この大学もすごい仕事です」

開拓者「いや、まあ、普段はもっと大きな町を作っているわけなんだが……」

画家「そうでした!」

開拓者「お前の住んでいる緑の町も、俺が作った町だしな」

画家「えっ、それは初耳です……!」

開拓者「言ってなかったか?」

画家「私は聞いてませんよ! と、ということは私はずっと前から開拓者さんのお世話になっていたんですね」

画家「不自由なく生活できるのも、絵を描いていられたのも開拓者さんのおかげ……」

開拓者「それは大げさだ」

開拓者「俺が世話するのは苗を植えるところまで。それを枯らすも大樹に育てるも、町民の働き次第だ」

開拓者「感謝するべきは、お前のご両親、そして身の回りの人々に対してだな」
380 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/02(日) 01:29:08.86 ID:vkDwoDkDo
開拓者「大学の事務局にも絵が飾られているんだな」

開拓者「画家に会ってから、絵を気に留めるようになった」

画家「興味を持ってくれて、私もうれしいで…す………あれ?」

開拓者「この絵がどうかしたのか?」

画家「うそ……。そんなわけ……」

画家「これ、私が描いた絵です……」

開拓者「な、何? よく似た絵ではないのか?」

画家「間違いないです。どうして知らない町に……?」

開拓者「心当たりはないのか?」

画家「……帰ったら父に聞いてみます。何か知っているかも」

開拓者「な、なんか妙な展開になってきたな……」


ほのぼのとするどころでは無くなってしまった開拓者たちだが、気を取り直して、町の各地で絵を描いたり、タピオカを飲んだりしながら、他愛もないおしゃべりをした。

開拓者「この町は夜景が明るくない分、星がきれいに見えるな」

開拓者「絵に描くのは、暗いから無理か」

画家「はい。でも、綺麗な景色は、見るだけでも楽しめます」

開拓者「それもそうか」

画家「……。開拓者さんは、本当にすごい人です」

開拓者「あらためてどうした?」

画家「素直にそう思っただけです。開拓者さんは、時代に名を残す傑物です。……私とは、比較できないほどに」

開拓者「そうだ。俺は客観的に見て、とても優れた仕事をしてきた男だ」

開拓者「だが、そんなに褒めちぎってくれるのはお前と町長くらいだ……」

画家「ええ? みなさん、見る目がないですね」

開拓者「そうだな。だから珍しくこうして褒められるととても嬉しい」
381 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/02(日) 01:35:37.76 ID:vkDwoDkDo
開拓者「しかし、一つだけ訂正させてもらおう」

開拓者「前にも言ったが、自分を卑下するな。お前にはお前の長所がある」

画家「……はい」

開拓者「……。少なくとも俺は、お前を下には見ていない」

開拓者「俺に気を遣う必要はないんだ。無理に褒めちぎらなくていいんだぞ」

画家「ち、違います! 私が、開拓者さんをすごいと思っているのは本当で……」

画家「でも、だからこそ、私は……」

開拓者「気を遣っているのか」

画家「だめですか……?」

開拓者「本当に俺のことを考えてくれるのなら、壁を作らないで欲しいがな」


画家(二人きりになれるのはこれが最後かもしれない)

画家「だ、だったら、今、はっきり言います」

画家「分不相応なのはわかっていますけれど……」

画家「わ、私は、開拓者さんの事が好きです」

画家「男女のお付き合いが、したい、です……」

画家「……」

開拓者「そうか……」

開拓者は画家をそっと抱き寄せた。

開拓者「俺もだ」

そして、口づけを交わした。
382 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/02(日) 01:39:31.94 ID:vkDwoDkDo
恋人ができました!

称号:10歳差の初々しい二人 〜 自信のない恋心

●恋人
・画家……交流★×7

●住民
・船員……交流★★★★★
・大学生……交流★★★
・生産者……交流★★★★★
・家政婦……交流★★
・姫……交流★★



開拓者「俺は、お前の世話を焼きすぎたかもしれないな」

開拓者「自分でも、これが恋心なのか、親心なのかわからなくなってしまった」

画家「恋心で、あって欲しいです」

開拓者「俺はそれを確かめたい」

画家「……それなら、私が、開拓者さんに、私を好きにさせてみせます」

開拓者「期待しているぞ」
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/02(日) 01:45:18.01 ID:XOsdjuI1O
えんだあああ
384 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/02(日) 01:45:57.26 ID:vkDwoDkDo
二人は牧場島へ帰った。

画家「間に合ったかな……?」

家政婦「はい。出発は明日ですね」

開拓者「結局、どこに行くことに決まったんだ?」

大学生「ここから一番近い大都市ということで、日光林州の州都です」

船員「そこってどんな町だったっけな」


王都から7時の方角にある日光林州は温暖な地方であり、開拓者が最後に作った町である癒しの花園と、今いる牧場島もこの州に位置している。

そんな日光林州の州都は……

『◎◇の都』と呼ばれている。


安価↓1 ◎に入る文字

安価↓2 ◇に入る文字
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/08/02(日) 01:46:48.18 ID:CB8vOthxo
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/02(日) 01:51:30.75 ID:fIqiFout0
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/02(日) 07:46:49.78 ID:ajpe/4hu0
乙乙
388 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/02(日) 23:40:31.80 ID:vkDwoDkDo
日光林州の州都は、かつてこの土地が王国では無かったころの、今は無き国の首都として栄えた歴史のある大都市だ。

しかし現在、州都の中では経済力、人口ともに下から数えた方が早い。

その主な理由は台地の上という町の立地の悪さである。

大昔は交通の要衝であったものの、今では海沿いの道もしくは海路の方が利便性が高くなってしまったのだ。


大学生「主産業は農業、鉄鋼、観光」

大学生「年中温暖で過ごしやすい気候から、『常春の都』と呼ばれています」

生産者「コーヒー豆やお茶の葉の生産量が多い州で、近くに喫茶の町もあるよ〜」

開拓者「この地域はあまり開拓に来たことが無いな」

大学生「州全体としてはそれなりに栄えているんですよ」

大学生「あまり競争を好まない気風も影響していると言われてますね」

姫「一年中、春だなんて、不思議でござるわね?」

大学生「この辺りは、冬は温暖で、夏は雨が多くて暑い気候なんですけど、」

大学生「常春の町は標高が高いので、夏も気温が上がりにくいんです」

船員「さすがは現役の惑星環境学科だな」

画家「どこかから音楽が聞こえる……」

大学生「常春の都といえば音楽と芸術。王国の支配下に入ってからは歌劇や宗教画の文化が根付きましたけど、」

大学生「気楽に楽しむのが元々の文化って感じがします。だって町の人が普通に演奏してるんですよ」

ギターおじさん「ヘイッ!」

画家「へ、へい」
389 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/02(日) 23:42:55.91 ID:vkDwoDkDo
その後、一行は自然と3つのグループに分かれて散策していた。

開拓者は船員と土産物屋を見て回っていた。

船員「にしても変だな。常春の都なのに花が全然咲いてない」

開拓者「年中暖かいとはいえ、花の咲く季節じゃないからな」

開拓者「だが、今夜は花火が上がるらしいぞ。特に何の記念日でもないらしいが……」

船員「いいな、花火! 恋愛といえば花火だよな!」

開拓者「……そうか?」

船員「俺が見た恋愛ものの小説や劇には、その半分以上に花火のシーンがあったんだよ」

開拓者「今までいくつ見たことがあるんだ?」

船員「えーと、1、2……両手の指で数えられるくらいだな」

開拓者「全然見ていないじゃないか」
390 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/02(日) 23:51:16.98 ID:vkDwoDkDo
大学生×姫……交流★★★★


ワァァァァ

大学生「闘技場か……」

姫「戦闘に興味があるでござるのですか?」

大学生「いや、正直、血生臭いのは苦手です」

姫「それは不健康でござるわね」

大学生「……ひょっとしてですけど、姫さんがよく言ってる『健康』って、『強さ』の事を言ってるんですか?」

姫「それ以外にないでござるでしょ?」

姫「……強くないと、パパにも隊長にも迷惑をかけてしまうわ」

大学生(家出して、勝手に動き回ってる方が迷惑をかけると思うけどなぁ……)

大学生「姫さん、ちょっと真面目な話をしてもいいですか?」

姫「説教は嫌でござるよ」

大学生「じゃあやめときます。一般人の俺が王族に偉そうな事は言えないんで」

姫「……分かってるわ。いつまでも逃げて隠れて忍んではいられないって」

姫「……わたくしには一国の王女として、パパに決められた家に嫁ぎ、役割を全うする責任があるから」

大学生「逃げることも時には必要だと、俺は思いますよ」

大学生「俺にとっての旅行も似たようなものですし」

大学生「社会に出たら、自由に旅に出るのは難しいですからね」

大学生「だからまあ……捕まるまでは自由でいてもいいんじゃないですか」

姫「だったら、捕まらなければいいでござるのね」


大学生「それにしてもちょっと意外だな。この町で人と人の戦いを見世物にしているなんて」

姫「普段はしていないでござると思うわ。大会があるからその予選じゃないかしら?」

大学生「大会?」

姫「王国最強の人を決める、戦闘大会でござるよ」
391 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/02(日) 23:55:05.72 ID:vkDwoDkDo
船員×家政婦…交流★★★★


家政婦は宿で荷物の番をしていた。

船員「よっ。疲れたから先に戻ってきた」

家政婦「開拓者さんは?」

船員「エソラちゃんたちと合流したそうだったぜ」

家政婦「セインさんは、結局恋人を作れませんでしたね」

船員「うっせ。……一番過ごした時間が長かったのは家政婦ちゃんだったかもな」

家政婦「いつも買い出しに付き合ってくださいましたからね」

船員「仕える人を探してるなら、俺に仕えてみないか?」

家政婦「悪くないですけれど、保留させてください」

船員「まあな、その強さを活かすなら俺よりもっといい男はいっぱいいるもんな」

船員「つーか、思ったよりいい返事をもらえてびっくりしたぜ」

家政婦「あなたは、あたしの過去を知っても受け入れてくれたので」

船員「傭兵やってたって話か。ただ者じゃないとは思ってたし、別に驚きもしなかったな」

家政婦「上手く隠せていると思っていたのですが……」

船員「みんな気づいてると思うぞ」

家政婦「いえ、流石にそんなことはありません」

家政婦「あたしが、人を殺したことがあると聞いて、何も思わないはずが……」

船員「平和な世の中で暮らしてきたエソラちゃんとダイくんには刺激が強いかもしれないか」

家政婦「……あたしは正体を明かした方がいいんでしょうか?」

家政婦「それとも、皆さんを騙したまま、明るくお別れした方がいいんでしょうか」

船員「みんなを裏切っているようで気分が悪いなら、言っちゃった方がいいと思うぜ」

船員「開拓者さんと生産者さんなら受け入れてくれるだろ」
392 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/02(日) 23:56:35.10 ID:vkDwoDkDo
家政婦「―――ということなんです。あたしの正体は人殺しでした。騙していてごめんなさい……」

生産者「やった〜。予想があたったよ〜」

開拓者「嘘だろ……? お前、その異常な戦闘力を隠せていると思っていたのか……?」

家政婦「あの、職業については、何も思わないんですか?」

開拓者「ああ。俺もお前と同じ無戸籍民だったからな」

生産者「拾われたのが開拓団じゃなく傭兵団だったら、わたしも家政婦ちゃんみたいになってたかもね〜」

生産者「別に、好きで傭兵になったわけじゃないんでしょ?」

開拓者「少なくともお前は傭兵団を離れて、生き方を変えようとしている。違うか?」

家政婦「はい」

画家「……」チラッ

家政婦「あっ」

画家「す、すいません……聞いてしまいました」

家政婦「……」

画家「私、安心しました。家政婦さん、包丁も鎌もすごく扱うのが上手かったじゃないですか」

画家「ほぼ同い年なのに、私と全然違ってすごいと思ってて……」

画家「同年代の女性がみんな、家政婦さんくらい刃物の扱いが上手いわけじゃないんですね……!」

開拓者「家政婦の腕が標準であってたまるか」

家政婦「包丁の扱いについては先生に教わったので、傭兵の技ではないのですが」

家政婦「家事のスキルに不安があるのなら、あたしが教えましょうか?」

画家「ぜ、ぜひお願いします!」

家政婦「しかし、もう共同生活は終わってしまいましたね」

画家「それなら、私の家に来ていただけませんか?」

開拓者(家政婦がやけに防衛に詳しいのも、傭兵団にいたのが理由だったか)

開拓者(結局、亜人種とのつながりについては分からなかったな)

開拓者(まあいい。開拓を続けていれば、いずれまた亜人と出会うこともあるだろう)
393 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/03(月) 00:05:51.57 ID:sN5U5TTfo
生産者×開拓者……交流★★★★★


生産者「……困ったな〜」

生産者(わたしも、もう若くないから当然わかるよ)

生産者(この『好き』は、家族への『好き』とは違うってこと)

生産者(こんな気持ちになるなら、再開しない方がよかったのかな……)

開拓者「……」


生産者の目の前で、開拓者が居眠りをしていた。

椅子に座って休憩しているうちに、ついまどろんでしまったのだ。

他の面々は宿の近くの売店に出かけている。


開拓者「……」

生産者(わたしと開拓者は、社会的にも、遺伝学的にも、他人で、ただの幼馴染……)


開拓者の隣に、生産者が腰を落とした。


開拓者「……」

生産者(兄妹であることを示す根拠はどこにもない……)


生産者の顔が、開拓者の顔に近づく。


開拓者「……」

生産者(王国には家族でもキスをする文化があるから、何も悪くない……)


それは王国のすでに古くなり廃れた文化であり、しかも開拓団にそんな文化は無かったという内心の声を聞き流し、生産者は目を閉じた。


開拓者「……」

生産者「……」
394 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/03(月) 00:07:24.67 ID:sN5U5TTfo
そして、触れる寸前で離れた。


生産者(だめだよ、わたし)

生産者(何も根拠はなくても、主観的には兄妹なんだから)

生産者(それに……もう若くないから、当然わかるよ)


画家「ジュース買ってきました」

生産者「ありがと〜」

画家「あれ? 開拓者さん、寝てる?」

開拓者「起きてるぞ!」ガバッ

画家「寝落ちしてた人の反応だ……!」

開拓者「起きたから火はつけるな……ん? 団長はどこだ? 妹は?」

画家「しかもしっかり昔の夢を見てます……!」

開拓者「懐かしいにおいがしたんだが……夢か」

画家「どんな夢を見てたんですか?」

開拓者「俺と妹が寝ているところに、開拓団の団長が『とっとと起きないと焼くぞ』と脅してくる夢だ」

画家「では、その悪夢をスケッチ」

開拓者「するなするな」


生産者(……開拓者とエソラちゃんが惹かれあってるってこと)
395 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/03(月) 00:09:54.99 ID:sN5U5TTfo
ヒュルルルルル... ドン!! ドドン!!


開拓者「花に例えられる、炎の芸術、花火……」

船員「一瞬しか見れないのが残念だよな」

大学生「花の咲かない時期は、週に二、三回、晴れた日に、こうして夜空に花を咲かせると聞きました」

生産者「いつでも春らしくしようと工夫するなんて、常春の都らしいね〜」

姫「あれを忍術に活かせないでしょうか……でござる」

家政婦「砲撃みたいで、鳥肌が立ちます」

開拓者「画家は楽しめているか?」

画家「大変です、開拓者さん……!」

画家「あっという間に消えるので、スケッチもできませんし記憶もできません……!」

大学生「今だけは描くことを忘れて楽しんだらどうですか?」

船員「花火師が空というキャンバスに描く刹那のアートを……」

生産者「うわー、キザだね〜」

開拓者「こんなこともあろうかと、インスタントカメラを持ってきておいたんだ」

開拓者「写真に収めて、それを絵に描けばいいだろう?」

画家「カメラにはこんなメリットがあったんですね……」
396 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/03(月) 00:11:50.01 ID:sN5U5TTfo
大学生「カメラがあるなら、記念写真を撮りましょうか?」

開拓者「そうだな。画家、カメラにはもう一つのメリットがある」

開拓者「それは、絵の素人でもスイッチ一つで風景を記録できることだ」

船員「姫さんは写って大丈夫なのか?」

姫「忍者にも、姿を残したい日もあるでござるのよ」

船員「そういうことじゃないんだけどな……」

生産者「誰がシャッターを切るの〜?」

家政婦「あたしがやります。ボタンを押したあと、素早くそちらに移動すればいいんですよね」

開拓者「無茶だろ……」

姫「分身に任せればいいでござるわ。分身の術!」

姫(分身)「みなさん、並んでくださいまし。口角をあげるおまじないでござるよ!」

姫(分身)「わらわに続けて……はい、ニンニン!」

開拓者「ニンニン!」

画家「ニンニン!」



おわり
397 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/03(月) 00:14:59.00 ID:sN5U5TTfo
最終結果

画家 26歳 #カントリー 交流★×7
1.緑の町から来た気弱な女性。他の参加者の優秀さに気おくれしている。
2.写真家に対抗意識を燃やし、いつになく積極性を見せた。
3.画家として生き続けるのを諦めかけている。開拓者に何かを頼もうとした。
4.農業・畜産の盛んな町の出身でありながら、生き物に触れる機会のない幼少期を過ごした。
5.引っ込み思案だった彼女だったが、自ら開拓者をデートに誘い、告白し、自分のことを好きにさせてみせると決意した。

生産者 30歳 #ノスタルジック 交流★★★★★
1.20年ぶりに再会した開拓者の妹分。村の農業などを支援する仕事をしている。
2.今なお開拓者のことを誰よりもよく分かっている。
3.波長の合う男性と出会いたい。今のところ開拓者が一番波長が合うようだ。
(4.王国には家族同士でもキスをする文化があると言い、開拓者とのキスを試みた。)

家政婦 25歳 #ナチュラル 交流★★
1.湖畔の楽園から来たメイド。あまり自分のことを語りたがらない。
2.仕えていた人と対立した過去があるらしい。
(3.その正体は傭兵団の一員。開拓者が所属していた開拓団と同じ、無戸籍民の集団であるようだ。)
(4.傭兵としての生き方を捨て、その戦闘能力で大事な人を守る存在として生きようとしている。)

姫 16歳 #ノーブル 交流★★
1.国王の娘。かつては病弱だったが療養を経て立派な忍者になってしまった。
2.もともと体が弱かったためか、手に入れた自分の強さにやや酔っているようだ。
(3.忍者をしているのは王女としての人生からの逃避行動でもある。)
(4.王や近衛兵を二度と心配させないために、何があってもケガも病気もしない究極の健康を求めている。)

大学生 22歳 #クール 交流★★★
1.学問の都から来た品のいい青年。旅行が趣味であり、町を作る開拓者に憧れを抱いている。
2.現在恋人はおらず、学業に専念している。専門は惑星環境科学。
(3.本当に興味があるのは開拓ではなく冒険かもしれない。しかし現実的に冒険をする自信はない。)
(4.学んだ知識を活かして、開拓や冒険をサポートできる職業に就けないかと考えている。)

船員 29歳 #エネルギッシュ 交流★★★★★
1.癒しの花園で働く船乗りの男。開拓地を転々とする開拓者にとって数少ない友人である。
2.船員らしく船が好き。大学生と二人で軍艦を見に行きテンションが上がったという。
(3.世界をまたにかける貿易船に乗るという夢を追いかけると、開拓者のように結婚が遠のくことを気にしている。)


〜住民の声〜
画家「開拓者さん……私の家に、来てくれませんか?」
姫「しばしのお別れでござるでしてよ! ドロン!」
大学生「どこか開拓するときはぜひ俺も呼んでくださいね」
398 : ◆CpUz7d.S3o [saga]:2020/08/03(月) 00:24:21.56 ID:sN5U5TTfo
今晩は投下だけ。明日から最後の依頼編です。

恋愛編について。

こちらは案だけあった「安価で農村と美味いメシを作る」の恋愛部分を抜き出したものです。
この編だけはシステムのお試しではなく、開拓者にそろそろいい思いをさせてあげたいというテーマでした。

ついでに過去作で作った町を登場させようとしました。これがマズかった。
町のどこを訪れるかとどんなイベントを起こすかを考えるのがすごく大変でした。もっと行動を安価にゆだねても良かったかもしれません。

安価を踏めなかったレスも含めると、生産者派の人も割といたのでしょうか?
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/08/03(月) 00:35:15.59 ID:Y+dxy8dOo

まぁ生産者の人となりに興味あったのと最終的に画家に決まるにしてもあまり早く決まってもなぁと
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/03(月) 00:36:09.29 ID:/tWEDqEDO
乙です
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