【安価】真実の瞳

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/07/12(日) 11:27:00.60 ID:eoly8KZC0
女神「男よ」

男「……なんですかあなた」

女神「私は女神です。あなたには実験に付き合ってもらいます」

男「はぁ」

女神「あなたには私の治める世界の人々が如何に正直者であるか」

女神「それを見てきてもらいます」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1594520820
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/07/12(日) 11:33:41.35 ID:eoly8KZC0
男「とは言われても、僕にはどうすることもできない」

女神「ええ、ですからあなたには『真実の瞳』を授けます」

男「なんですかそれは」


彼がそれを聞くが早いか、女神は右手を振りかぶった
そして、それを男に向かって勢いよく振り下ろした


女神「せやっ!」

男「……なんですか」

女神(男よ……私の声が聞こえますか)

男(こいつ直接脳内に……!)

女神「えーこのように、心の声を聞く能力です」

男「へぇ、でもこれって『瞳』ってより『耳』では?」

女神「そうとも言うかもしれませんね」

女神(細けぇことばっか言ってると裁くぞ)

男「能力の使い方はよく分かりました」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/07/12(日) 11:36:33.04 ID:eoly8KZC0
女神「ともかく、あなたには頑張って貰います」

男「分かりましたが」

女神「それでは!」


女神が手拍子をすると、男の姿は彼女の領域から消えた
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/07/12(日) 11:43:18.60 ID:eoly8KZC0
川の、水のせせらぎ
その清涼なる響きがゆっくりと彼の意識を覚醒させた


男「ここは……」


明らかに見たことのない植物が自生している
それは彼の無知ではなく、
ここが異世界であることを示していた


男「……いやいや、絶対ここ地球じゃないじゃないか」

男「はぁ、困ったぞ。ここは森のようだが」

男「ともかく、川に沿って進んでいこう」

男「そうすれば、人里に出れるかもしれない」


川沿いを歩いてゆく
彼は安全か分からない淡水を飲む気にはならなかった


>>6……どこに着いた?
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/12(日) 11:44:23.23 ID:BVRIKZhzO
人里
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/12(日) 11:44:35.22 ID:vYpVv1wWO
エルフの農村
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/07/12(日) 12:13:21.34 ID:eoly8KZC0
かぐわしい土の香り
芳醇な大地の恵みを感じさせる匂いに導かれる
彼は、エルフの農村に辿り着いた


男「農村か……おや?」


今は昼間だ。そして、太陽も顔を出している
しかし、農作業をするものの姿が見受けられない
視界の端の窓の隅、家の中には人影が映った

まさか異世界につれてこられるとは思わなかったので、
さっさとこの世界から出る方法を聞きたい彼は
一縷の望みを賭け、期待の面持ちでドアを叩く


男「ごめんください」

エルフ「……な、何ですか?」


おそるおそるといった様子で家からエルフが顔を出す
彼はエルフの尖った耳に驚いたが、
それを表に出さないように続ける


男「どうして農作業をしてる方がいないんです?」


とりあえずよくありそうな話題から入ることにした


エルフ「>>9
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/12(日) 12:23:36.64 ID:vYpVv1wWO
もう農閑期ですし…
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/12(日) 12:23:53.40 ID:73UBr1lHO
それは人間様のお仕事ですので…
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/12(日) 12:24:09.51 ID:w0ZCDBHWO
私達はやってはならないことになってます
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/07/12(日) 12:40:43.86 ID:eoly8KZC0
エルフ「それは人間様のお仕事ですので…」

男「……はぁ、そうなんですか」

エルフ「はい。あなたはどうやら人間様のようですが」

男(いや僕農作業とかできないし……適当に誤魔化すか)

男「はい、僕は人間です……!?」


彼は自分の耳を疑った
自分が言うはずのないことを言った。
彼は考えを改め、自分の口を疑った


エルフ「どうか、なさいましたか?」

男「ああすみませんちょっと動揺しただけです!」


これもまた、誤魔化そうとしていたことだ
誤魔化しがきかない。というより、嘘がつけない。
原因は思い当たる。あの女神の変な力だ
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/07/12(日) 12:47:20.06 ID:eoly8KZC0
男「……じゃあ、そうだね。君たちは農業したいかい?」

エルフ「はい、我々の命の為に」

男「だったら君たちでやればいい」

エルフ「それは……」

男「見たところ、この村の畑の土壌はいい」

男「適切な耕作を繰り返さなければこうはなれない」

男「君たちは人間の耕作を見てきたはずだ」

男「よって、君たちにもできることだと僕は思う」

エルフ「しかし……」


エルフのその頑なな様子は、
しきたりの類に縛り付けられているように見えた


男「それとも別に、何か理由でも?」

エルフ「いえ、それは……」

エルフ(>>14)
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/12(日) 12:50:35.79 ID:3L++Ao7cO
呪いのせいで…
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/12(日) 12:51:10.39 ID:lbjbjgGxO
この国では種族によってつける仕事が限られていて逆らうと…
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/12(日) 12:51:32.25 ID:+1xjAYROO
人間に行って良いのでしょうか
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/12(日) 12:51:53.25 ID:Afl4775oO
どうせ誰が農作業をやっても魔物に荒らされるから
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/07/12(日) 21:53:09.82 ID:eoly8KZC0
エルフ(この国では種族によってつける仕事が限られていて逆らうと…)

男(完全には聞こえないな。もしかして、思い出したくもないようなものなのか?)

エルフ「……すみません」

男「ああ、いいんです。ところで僕はこの世界から出たいのですが」


そこまで言って、
彼は普通に考えて『世界から出る』なんて言うヤツはいない
ということに気づいた

男「おおっとすみません。変なことを言ってしまいました」

男「でもなにか知っていたりしませんか?」

エルフ「>>18
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/12(日) 21:56:39.86 ID:XQPnV5cno
3つ目の角を左に曲がって突き当たりから出られる
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/07/12(日) 22:10:16.65 ID:eoly8KZC0
エルフ「3つ目の角を左に曲がって突き当たりから出られる」

男「へぇ……?」

エルフ(3つ目の角を左に曲がって突き当たりから出られる)

男(嘘はついていない、冗談でもないようだ)

男「ありがとうございます」


彼は手短に別れを告げ、道を進む
道なりに3つ目の角を左に曲がった突き当たりに進んだ


男「村の入り口があるが……」


彼は村から出た
しかし、彼の周りの風景が変化することはなかった
振り返ってもエルフの村がある
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/07/12(日) 22:15:48.98 ID:eoly8KZC0
彼の思考はストップした
しかし、彼はしばらくした後に理解した

ここが『あのエルフの世界』なのだと。
おそらくあのエルフは、この村の外に出たことがない
出る必要もない。そう思っているのだろう
つまりここは、村の外は、彼女にとって『異世界』なのだろう

こちらの世界ではありえない感覚だが、
どちらにせよこの調子ではこの村で情報は手に入らないだろう
彼は釈然としない不快感のようなものを感じながら川沿いを
下流へ下流へと下っていった


>>21……どこに辿り着いた?
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/12(日) 22:17:38.48 ID:tGzjv6X7O
獣人の炭鉱
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/07/12(日) 22:36:37.07 ID:eoly8KZC0
彼はふと左手をズボンのポケットに入れた
干し肉が入っていた。
どうやら元々持っていた物はまだあるようだ

干し肉を食べながら歩いていると、
炭鉱に辿り着いた。やけに埃っぽい。
これは彼の勝手な思い込みだが______
炭鉱夫には気前の良い奴が多い。


男「食糧も分けてくれると良いんだけどね」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/07/12(日) 22:57:06.88 ID:eoly8KZC0
大口を開けて奥に続く炭鉱があり、
その手前で休憩をしている獣人がいた
恐らく、採掘は獣人の仕事なのだろう


男「やぁ、獣人さん」

獣人「ん?お前さんは人間か」

男「ああそうだよ。警戒しなくてもいい」

獣人「だったら俺のことはディリと呼べ」

男「ああ、ディリ。獣人と呼ぶのは不躾だったね」

ディリ「それで、何の用だ?」

男「ここで一番偉い方はどこに?」

ディリ「それならこの奥、事務作業をしている」

男「ありがとう。なぁ、もう一つ聞きたい」

ディリ「なんだ?」

男「割り振られた仕事を破ったらどうなるんだ?」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/07/12(日) 23:40:10.51 ID:eoly8KZC0
ディリ「そんなことは考えないほうがいい」

ディリ(……………………………)

男「そうか、すまないね」

男(やはり、思い出したくもないことのようだ)

男(だが、ここの現場監督クラスやそれ以上なら)


彼は炭鉱の奥へと進んでいった
すると、小綺麗な服を纏った獣人がいた


男「あなたがここで一番偉い人ですか?」

獣人「……ああ、そうだ」

男「種族で割り振られた仕事をしなかったらどうなりますか?」

獣人「………」

獣人(>>25)
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/12(日) 23:59:07.69 ID:yu2jtVU00
ひとつ下の種族になる
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