輿水幸子「ボクの両親は、ボクのアイドル活動に無関心なんですよ(自称)」

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64 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 15:50:43.28 ID:gz7AxpqS0
ファン2「あの」

幸子父「ん? なんですかな?」

幸子母「どちら様でしたかしら」

ファン2「いえ、初対面なんですけど、お2人ともずいぶんと濃いライブ感想を交わしておられると思いまして」

ファン3「よければこれから、カワイイボクと142'sP同士集まっての打ち上げで語り合いやるんですけど、一緒にどうです?」

幸子父「おお! 私も誰かと語り合いたいと思っておったのですよ!! 今日のこの高まりを!!!」

幸子母「ええ! ぜひに、ご一緒させていただけますこと!?」

ファン4「もちろんですとも。お2人ともなかなか年配だとお見受けしましたが、普段はなにしてる人なんですか?」

幸子父「副業でコンツェルンの総帥を少々」

幸子母「わたくしは、副業で一族の取り纏めをほんの嗜み程度に」

ファン5「? それにしても色々と演出について詳しいんですね」
65 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 15:51:35.64 ID:gz7AxpqS0
幸子父「いえいえ、本業であるプロデューサーとしてはまだまだ駆け出しですが、まあそれまでの人生経験がそこそこありますからな」

幸子母「ですけれどライブに来るたび、こんな世界があったのかと目の覚める思いですのよ」

ファン6「わかりみ〜♪ 特にカワイイボクと142'sのライブは、カワイさと楽しさとホラーとパンクが最高のリミックスを遂げているアートでアミューズメントなライブなんですよね〜♪」

ファン2「個性と個性がコンフリクトしつつも、それを活かしたイカした関係性が3人をひとつにしつつ、でも個性もより際立ってるっていうか」

ファン3「身長が揃っているのに不揃いな3人が調和をなした時のコントラストが描く光景の輝きでしょ!?」

ファン4「もうこれ以上はないでしょ、って数秒前まで思ってた自分を叱りつけたくなること多すぎない? カワイイボクと142's!」

幸子父「小梅ちゃんの進化が凄まじかった。光の速さを超える感じで史上最高アイドルを更新してる感じですよな。楽曲の緩急が上手さ! 曲調の暗さの中の瞳の光の良さ、気弱さ、優しさ、輝子ちゃんへの思慕、ファンへの愛情。全ての感情が見える歌唱!!!」

幸子母「まだこのライブを見ていない人がこの世に存在しているという事実の恐ろしさに、わたくし身震いがいたしますわ! ああ、一刻も早く法整備して義務教育にカワイイボクと142'sを授業として加えなければ!! このままでは人類にとっての損失ですわ!!!」

※7人ともメチャクチャ早口です
66 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 15:52:20.62 ID:gz7AxpqS0
ファン2「お2人は、誰Pなんですか?」

幸子父「小梅Pです!」

幸子母「輝子Pですわ!」
67 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 15:53:08.37 ID:gz7AxpqS0
幸子父「焼肉屋からカラオケ店をはしごして、徹夜でプロデューサー同士語り合ってしまったな」

幸子母「お値段もお肉の質もリーズナブルなお店でしたけど、人生最高の味がいたしましたわね」

幸子父「JOJO苑など足下にも及ばない味だったな。それに、人生で初めてカラオケボックスというものに入った。

幸子母「疲れましたけど、なんて心地よい疲労感ですことね」

幸子父「しかしこのまま寝てしまう訳にはいかんぞ。今日は移動日だが、明日の日曜日は仙台でのライブだ!」

幸子母「まだ楽しませてくれるなんて……」

幸子父「うむ、急がねばならん。いざ、仙台へ!!」
68 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 15:55:28.48 ID:gz7AxpqS0
〜翌日宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ前〜


輝子「こ、ここも大きな会場だな。ウェンブリーにも負けてない……かも。広いぞ……」

小梅「ここも、私たちでいっぱいにするんだよ……ね……」

幸子「全席完売と聞いてはいても、いつもファンのお客さんがまだいない会場に来ると、驚きを禁じ得ませんよね……」

P「3人とも。その気持ちは、いつまでも忘れないでいてくれ」

輝子「え?」
69 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 15:57:08.63 ID:gz7AxpqS0
P「この光景とそれを見た時の気持ちを、いくら3人が成功していっても当たり前にはしないでいてくれ。いつも驚こう。いつも少し不安になろう。そして、いつも……」

幸子「今回もがんばろう、そう思うんですね?」

P「ふっ……わかりがいいな。そういうことだ」

小梅「うん。これからも、ずっと……今の気持ちのまま……」

輝子「ヒャッハー……しような!」

幸子「そしていつか……お父様やお母様もライブに来ていただき、ボクがお2人を熱狂させてみせますよ……」ポツリ

小梅「?」

輝子「?」
70 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 15:58:23.06 ID:gz7AxpqS0
〜セキスイハイムスーパーアリーナライブ中〜

幸子父「うおおおーーー!!! こ、小梅えええーーー!!! 小梅えええーーー!!!」

幸子母「輝子ちゃあああーーーんんん!!! 輝子ちゃあああーーーんんん!!!」
71 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 15:59:44.24 ID:gz7AxpqS0
〜翌金曜日名古屋 日本ガイシホール〜


幸子「それでは最初の曲です。イベント・ホライゾン」

幸子父「……」

幸子母「……」

幸子「あなたと会えなかった7年間〜♪ どこに行っていたの……もしかして海王星?〜♪」

幸子父「……」

幸子母「……」

小梅「星の海漂う、幽霊船〜♪ 私たち以外、誰もいない〜♪」

幸子父「小梅ちゃーん! ゆうっれいせーん! おれもー!」

輝子「ワープ装置は幾何学模様〜♪ それはパズルボックス〜♪」

幸子母「輝子ちゃーん! きかがくー! ぼっくすー!」
72 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:00:50.58 ID:gz7AxpqS0
〜日本ガイシホール ライブ後〜

幸子父「優勝!!! 小梅ちゃん優勝!!!」

幸子母「輝子ちゃん……優勝……エモい……尊い……」

ファン2「プロデューサー同士、多くは語らないけど……」

ファン3「小梅ちゃん……いいよね……」

幸子父「いい……」

ファン4「輝子ちゃん……いいよね……」

幸子母「いい……」
73 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:01:41.99 ID:gz7AxpqS0
〜翌々日兵庫県 ワールド記念ホール〜

幸子「少しハネてる寝癖のあとも〜♪ チャームポイントなの♪」

幸子父「こ、小梅えええぇぇぇーーーっっっ!!! 小梅ちゃあああぁぁぁあああーーーんんん!!!」

幸子「カワイイですよね?♪」

幸子母「輝子おおおぉぉぉーーーっっっ!!! キノコの輝子おおおぉぉぉおおおーーーっっっ!!!」
74 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:02:43.39 ID:gz7AxpqS0
〜ワールド記念ホール ライブ後〜


幸子父「今日だけで2時間も小梅ちゃんと同じ空間の空気を吸ってしまった。この歳の身体にはちょっとした致死量ではなかったかな? ふははははは」

幸子母「ですが、私はもう輝子ちゃんなしではいられない身体ですわ。輝子ちゃんと同じ空間の空気を吸わないで生きていくことは、もはやできませんのよ」

幸子父「うむ。小梅ちゃんを知らなかった、あの頃には戻れない」

幸子母「吸うしかありませんことよ。ライブの空気を!」

ファン3「相変わらず濃いですよねー、お2人の感想w」

ファン6「それな〜w ホント2人の感想を聞くのもライブ後の楽しみ〜♪」
75 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:03:50.69 ID:gz7AxpqS0
〜翌土曜日福岡県 マリンメッセ福岡A館〜


輝子「ふ、2人ともはやく……フヒッ」

幸子「だ、大丈夫でしょうか。ライブ前に演者のボクたちが、会場前をウロついたりして」

小梅「大丈夫……ちゃんと変装してるし、あの子も周りを見ていてくれてる……から」

幸子「その見ていてくれてる、あの子っていうのが恐いんですけど……あれ?」

輝子「ど、どうした? リーダー」

幸子「今……」

幸子(お父様とお母様がいらしたような……)

小梅「どうしたの?」

幸子「い、いえ。あ、フラスタが並んでますよ。見に行ってみましょうか!」

輝子「お、そ、そうだな」

小梅「うわ……きれい……」

幸子(まさか、気のせいですよね……)
76 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:05:02.77 ID:gz7AxpqS0
幸子父「で、ありますからな! ワールド記念ホールでの『ゴア・ゴア・ガールズ』のコール、会場の声が小さすぎだと思いましてな!!」

ファン2「あー、確かに。演者が必死なんだから、俺らももっと必死にならないとですよねー」

ファン3「でもゴア・ゴア・ガールズ、ちょっと曲調がムズくないです?」

ファン4「間違ったコールするぐらいなら、地蔵もやむなしっていうか」

幸子母「確かにそれもわかりますわ。ですけれど、3人がそろって歌う曲ですし、コールが少なかった時の輝子ちゃん、ちょっと残念そうだったのが私は 気になりますの」

ファン3「……俺らの為に歌ってくれてる3人をガッカリさすわけにはいかねーですよね」

ファン4「うん。今からでもコールの練習しようか」

幸子父「おお、それはよい考え!」

幸子母「ゴアゴアゴーゴー! ゴアゴアゴーゴー! ゴゴゴゴーア! ゴアゴアゴー!」
77 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:06:00.05 ID:gz7AxpqS0
〜マリンメッセ福岡A館ライブ後〜


輝子「今日は、ゴア・ゴア・ガールズの時のお客さんのコール……き、キマってたな!」

幸子「ちょっとびっくりですよね。1週間足らずの間に、ファンのみなさんが覚えてきてくれたんでしょうね」

小梅「こういうの……うれしいね。年配のお客さんもいたんだけど、すごくもりあがってくれてた……よ」

幸子「年配のお客さんもいるのかあ……それならお父様やお母様がいらしても……」

小梅「え?」

幸子「あ! な、なんでもありませんよ!?」

輝子「隠さず、話せよ……リーダー」

幸子「え?」
78 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:06:34.21 ID:gz7AxpqS0
小梅「気づいてる……よ。なにかずっと、心に秘めてる……って」

輝子「吐き出しちゃうといいぞ……ホコリタケみたいにな」

幸子「そ、そんな別にたいしたことじゃないんですよ? た、ただ……」

小梅「?」

幸子「ボクの両親は、ボクのアイドル活動に無関心なんですよ。最初にやりたい、って言った時も『そうか』と言われただけだったし、活動のことを話しても『学業はどうなっている』とか『輿水の人間はエレガントたれ』とか、そんな返事ばかりで……」

輝子「……」

幸子「まあ反対されないだけいいんですけど、やっぱり……この成功というか、がんばりを認めてもらえたらなあ……って」

小梅「……」

輝子「……」
79 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:07:30.28 ID:gz7AxpqS0
幸子「そんなことありえないんでしょうけどね……」

小梅「そんなことないよ」

幸子「え?」

輝子「やってみようぜ。リーダーの両親も、認めざるを得ないような成功を……」

幸子「2人とも……」

小梅「うん。3人で」

輝子「リーダーの両親を熱狂させてやろうぜ」

幸子「……そうですね。ええ、やりましょう!」
80 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:08:30.29 ID:gz7AxpqS0
ファン3「え? 来週のライブチケ、取れたんですか!?」

ファン4「次はハコが小さいからウチら全滅だったのに!!」

幸子父「いやあ、ははは。CDを積みまくってなんとか」

幸子母「しかも発券ガチャの結果、アリーナ最前でしたのよ。おほほほほ」

ファン6「すご〜い! じゃあ来週のライブはお2人にまかせた〜」

ファン5「自分らのぶんまで、コールよろ! です」

幸子父「わかりましたとも」

幸子母「燃え尽きてみせますわよ」
81 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:12:08.06 ID:gz7AxpqS0
〜翌木曜日 山梨県南アルプス市〜


輝子「し、親友……明日のライブは、ここ……でやるのか?」

小梅「なんか……今までで一番小さいハコだ……ね」

P「……まあな。収容人数は8000人だが今回は機材とか入るから7000人しか入らない。幸子、どうだ?」

幸子「ここ……覚えていますよ」

小梅「え?」
82 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:13:02.05 ID:gz7AxpqS0
幸子「子供の頃までボクは、山梨に住んでいましたからね。ここにも来たことがあります」

輝子「そうだったのか。じゃあ明日は……リーダーの凱旋ライブだな?」

小梅「そうか……東北や兵庫でもライブしたから、明日は……」

P「千秋楽前の、今回は幸子メインのライブだな」

幸子「ボクが……わかりました! やりますよ!!」
83 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:14:10.02 ID:gz7AxpqS0
幸子父「この屋敷も久しぶりだな。ここにいた頃はまだ、幸子も幼かったな……」

幸子母「そうでしたわね。今も可愛いですけれど、昔からずっと愛くるしい私たちの天使ですわよね……」

幸子父「……」

幸子母「……」

幸子父「さて、では今日もコールの練習をするか」

幸子母「そうですわね。そういたしましょう」

幸子父「フランケンフッカーからいくぞ」

幸子母「ハイハイ、ドッカーン! ハイハイ、ドッカーン! フッカーフッカーフッカーフッカー、フランケン! ハイ!」
84 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:15:09.82 ID:gz7AxpqS0
〜翌金曜日 南アルプスジットスタジアム〜


幸子「みなさーん! カワイイボクが、山梨に帰ってきましたよーー!!」

観客「おーーー!!!」

幸子「ではここで、カワイイボクのホラーな仲間とパンクな仲間を紹介しますね。小梅ちゃん、輝子ちゃんどうぞ!」

幸子父「L・O・V・E! LOVELY小梅!!!」

幸子母「オイ! オイ! オイ! 輝子ーーーヒ"ャ"ッ"ハ"ーーーッ"ッ"ッ"!!!」

幸子「……え?」

幸子父「LOVELY小梅……ん? し、しまった、高まりすぎて……」

幸子母「輝子ーーーヒ"ャ"ッ"ハ"ーーー……さ、幸子さん!? あ、ま、マスクを忘れ……」

幸子「お、おとう……おかあ……」

幸子父「……」

幸子母「……」
85 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:16:03.74 ID:gz7AxpqS0
輝子「き、きてたのか!? リーダーの、ご両親……」

小梅「え、で、でも、どうして落ち込んでる……の?」

幸子「……すみません。ボクは帰ります」

輝子「え? か、帰るって……東京へ、か?」

小梅「ま、待って……」
86 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:17:12.51 ID:gz7AxpqS0
智香「え? 3人がこっちへ向かってるって、今ですかっ?」

P「ああ。確かに2時間半もあればそっちに着くし、輝子と小梅も一緒だが、なにやら幸子の様子がおかしいらしい。俺もすぐに追いかけるが、迎えてやってくれないか?」

智香「わかりましたっ!」
87 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:19:07.75 ID:gz7AxpqS0
〜4時間後 シンデレラガールズ寮〜


P「で、なにがあったんだ?」

智香「それがですね……幸子ちゃんのご両親、山梨のライブに来ておられたそうなんです」

P「ほう、そうだったのか」

智香「それはいいんですけどご両親、小梅ちゃんPと輝子ちゃんPだったみたいで……」

P「え?」

智香「それはもう、堂に入った応援ぶりだったそうでして……」

P「それは……」
88 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:20:23.38 ID:gz7AxpqS0
智香「合流してから幸子ちゃんの家に行ったんですけど、建て増ししている部分に大量の小梅ちゃんグッズと輝子ちゃんグッズが……幸子ちゃんグッズは少しで……」

P「で、あの状態なわけか……」

幸子「……どうせボクなんか……」

輝子「り、リーダー……」

小梅「げ、元気出して……」

智香「幸子ちゃん、いつかはご両親に認めてもらえるようなアイドルになって喜んでもらいたいって思ってたから、そのご両親が同じユニットの他の娘のPさんだってのが、そうとうショックだったみたいで……」

P「なるほどな。しかしまあ、それなら大丈夫だろう」

智香「えっ!?」

P「ちょっと呼んできて欲しい娘がいるんだが、いいか? 智香」

智香「?」
89 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:21:51.10 ID:gz7AxpqS0
五十嵐響子「幸子ちゃん!」

幸子「?」

本田未央「元気出しなよ、さっちー」

新田美波「ね」

幸子「あれ? 響子さんに未央さんに美波さん。それに……」

藤原肇「気持ち、わかりますから」

幸子「え?」

響子「私の弟も、最初は『お姉ちゃんがいちばん』とか言ってたのに、最近は『卯月ちゃん最高』とか『美穂ちゃんみたいなお姉ちゃんが欲しい』とか言うんですよ!」

幸子「そ、そうなんですか!?」
90 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:23:30.33 ID:gz7AxpqS0
未央「私のお兄ちゃんもさ、しぶりんとかしまむーみたいな妹の方が可愛くていいとか、言うんだよ!?。アタシにむかって!!」

幸子「えー。直にですか?」

美波「せっかく私がライブ中に投げキッスとかしてあげても、ああいうのはファンにしろよって言われたりね……」

幸子「なんか贅沢というか……」

肇「私のおじいちゃんもですね。この間、一緒にテレビにでておったあの娘、可愛いのう……なんといったかな? 陶芸に興味はないのかな? なんならわしが手取り足取り……とか言ってきて」

幸子「そ、そういうものなんですか?」
91 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:24:21.10 ID:gz7AxpqS0
https://i.imgur.com/8drz5cw.jpg
※ちなみに肇ちゃんのお爺さんが聞いてきたアイドルとは財前時子様です
92 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:26:35.05 ID:gz7AxpqS0
響子「まあでも。いくら身内だからって、私だけを応援されたりファンであったりされても困ることもあると思うんですよ」

幸子「え?」

未央「家族だから、いいトコも悪いトコもわかってくれてるのは当然じゃない? そういうのを認めてもらえてたら、後は他のアイドルも応援してあげて欲しいかなーとか思ったりね」

幸子「はあ……」

美波「みんな魅力的だしね。それに」

幸子「なんですか?」
93 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:27:42.46 ID:gz7AxpqS0
美波「私の父なんか、アイドルのお仕事に批判的で水着のお仕事とか『けしからん』とか言う割には、そのポスターが玄関に家に飾ってあったり」

幸子「それはちょっと、恥ずかしいですね……」

美波「そういうのされないの、むしろいいことよ」

幸子「確かに……反対されないっということは、活動を認めてもらえてるわけですし……しかもライブに来ているってことは、アイドルのことを理解してもらったうえで、ですもんね」

肇「おじいちゃんも『清楚じゃのう……可憐じゃのう……可愛らしいのう』って、床の間にポスターを飾ってずっと言ってて、それがもし自分のことだったら嬉しいけれどそれ以上に恥ずかしいですよ?」

幸子「そうですね、それはちょっと引きますよね……」
94 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:29:36.47 ID:gz7AxpqS0
https://i.imgur.com/AoZxThs.jpg
※念のため繰り返しますが肇ちゃんのお爺さんが推してるアイドルは財前時子様です
95 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:31:21.82 ID:gz7AxpqS0
響子「それにね」

幸子「え?」

未央「いくら他の娘の担当Pでも」

幸子「え、ええ」

美波「自分の家族は、一番の理解者なんだから」

幸子「そういう……ものでしょうか」

肇「うん。まあ……たぶんね」

幸子「ふふっ。そうですか」
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/12(日) 16:32:50.95 ID:Rqv8G2aMO
肇ちゃんのおじいちゃん…W
97 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:32:52.06 ID:gz7AxpqS0
幸子父「一番、見られてはならぬところを幸子に見られてしまった……」

幸子母「高まりすぎと、気の緩みがありましたわね……」

幸子父「自分以外の、しかも同じユニットのアイドルを親が推していると知った幸子は……さぞやショックを受けておるだろうな……」

幸子母「どういたしましょう、あなた……」

ファン1「ん? ありゃりゃ、いつぞやのオジサンとオバサンじゃん。どうしたの?」

幸子父「おお、あなたは……」

幸子は「実は……」
98 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:33:57.07 ID:gz7AxpqS0
ファン1「へ? じゃあオジサンとオバサン、輿水幸子の本当のお父さんとお母さんなワケっすか?」

幸子父「うむ、左様」

幸子母「最初は幸子さんにわからないよう、陰ながら応援していたのですが……」

ファン1「そりゃオドロキだけど……ははあ。大方、別に推したいアイドルができた、ってトコっしょ?」

幸子父「うむ……左様」

幸子母「なんともお恥ずかしい話でして……」

ファン1「いやー……別に恥ずかしい話じゃないっしょ?」

幸子父「? それは、如何なる意味ですかな?」
99 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:35:23.67 ID:gz7AxpqS0
ファン1「家族を想う気持ちと、推しを応援したい気持ちはまた別モンしょ?」

幸子母「それは……そうなのでしょうか?」

ファン1「ジッサイ、幸子ちゃんにアイドルとして成功して欲しい、トップアイドルになって欲しいって気持ちは変わんないっしょ?」

幸子父「無論ですな! まあできれば小梅ちゃんと一緒に頂点獲って欲しいですが」

ファン1「そんなもんっすよ」

幸子母「ですが、その……幸子さんはきっと、ショックを……」

ファン1「……しゃーないっすね」
100 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:37:15.93 ID:gz7AxpqS0
幸子「え? 未央さんのお兄さん、ボクの担当Pなんですか? でも凛さんや卯月さんを妹にしたいって話じゃありませんでしたっけ?」

未央「んー……というかね、アイドルが好きなんだよね。だから私応援して後押ししてくれるし、でもしぶりんやしまむーを身近に感じたいし、好きなアイドルは別にいて」

幸子「なるほど……ええ、今ならボクもなんとなくわかりますよ。きっとボクのおとうさ……父や母と同じなんでしょうね」

未央「それでね。えっと……良かったらだけど、ちょっと会ってみてあげてくんない?」

幸子「え?」

未央「な、なんかさ、今までは私が冗談でも『皿洗い手伝ってくれたら、さっちーに会わせてあげよっか?』とか言っても『妹のコネで推しに会いたくなんかないね』って言ってたのに、急にその……」

幸子「あ、いいですよ。というかちょっとお話聞きたいですね」

未央「え?」

幸子「家族を応援するのと、担当を推すのとはどう違うのか……とかですかね」

未央「うんうん! 聞いてみるといいよ。明後日はドームで千秋楽だから、明日!」
101 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:40:16.39 ID:gz7AxpqS0
未央「あ、来た来た。おーい……あれ?」

幸子「はじめまし……えっ!? お父様!? お母様!?」

幸子父「幸子……なんと言っていいか……」

幸子母「今まで黙って、輝子ちゃんや小梅ちゃんを応援していましたこと、ゆるしてくださいまし……」

ファン1「ま、とはいえさ、2人とも元々は幸子ちゃんを応援していて、小梅ちゃんや輝子ちゃんを知ったんだとさ」

未央「お兄ちゃん、この2人ってもしかして……」

ファン1→未央兄「幸子ちゃんのお父さんとお母さんだってさ」

未央「ええーーっ!? なんでお2人がお兄ちゃんと?」
102 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:41:12.15 ID:gz7AxpqS0
未央兄「まあちょっとした知り合いで。でさ、出会った時は2人とも幸子Pだったんだぜ? まあそこから、別推しになったわけだけど、2人とも。それでさ」

幸子「わかってますよ」

未央兄「へ?」

幸子「もうわかりました。それよりも……というかボクの担当じゃなくてちょっと安心もしてますし……」

未央「あはは。そうだね」

未央兄「?」

幸子「お父様もお母様も、いまや立派なプロデューサーだっていうのが、嬉しいです」

幸子父「なんと……では、ゆるしてくれるのか?」

幸子「ずっとライブにも来てくださってたんでしょう?」
103 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:42:53.24 ID:gz7AxpqS0
幸子母「ええ、ずっと……」

幸子「ボクはそれで十分です。いいえ、報われました……」

幸子父「おお、幸子よ……」

幸子母「さすがは幸子さんですことよ……」

幸子「お父様……お母様……」

小梅「幸子ちゃん……」

輝子「良かったな……」
104 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:43:46.42 ID:gz7AxpqS0
未央「急に『会わせろ』って言うからなにかと思ったけど、こういうことか」

未央兄「ま、な。あ、それはそれとしてせっかくなんで自分、サインいっすか?」

幸子「え? あ、はい。いつも応援ありがとうございますね」

未央兄「明日の千秋楽東京ドームライブ、楽しみにしてますから」

幸子父「おお、それそれ」

幸子母「私たちも現地ですのよ。がんばつてくださいましね、幸子さん」

幸子「はい!!!」
105 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:44:34.66 ID:gz7AxpqS0
〜翌日 カワイイボクと142'sツアーライブ千秋楽 東京ドーム〜


幸子「ダンボールで作ったツームストーン〜♪ ああ、プラン9♪」

未央兄・幸子父・幸子母「さちこー!」

小梅「UFOはまるでホイールキャップ〜♪ ああ、フロム♪」

未央兄・幸子父・幸子母「こうめー!」

輝子「ドラキュラの背後をいつも通る白い車〜♪ ああ、アウタースペース♪」

未央兄・幸子父・幸子母「しょうこー!」
106 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:47:07.46 ID:gz7AxpqS0
智香「良かったですね、幸子ちゃん元気になってっ☆」

P「ほんとにな。いや、むしろ今までで一番の笑顔かも知れんぞ。ご両親に認めてもらえ、ライブで盛り上がってもらえたのが、嬉しかったみたいだな」

智香「ご両親、関係者席にご招待したのに、お断りになりましたね」

未央「ウチの兄貴もね」

P「担当の推しとしての信念……かもな。俺も負けてられないな」

智香「えっ?」

P「担当プロデューサーとして、な」

智香「あはははっ☆ そうですねっ!」

未央「これからも私たちを、よろしくお願いしますね」
107 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:48:05.35 ID:gz7AxpqS0
幸子小梅輝子「プラン9・フロム・アウタースペース〜〜〜♪♪♪」

未央兄・幸子父・幸子母「FuFu!FuwaFuwa! FuFu!FuwaFuwa! FuFu!FuwaFuwa!」
108 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:51:58.23 ID:gz7AxpqS0
〜東京ドームライブ後〜


肇祖父「の、のう肇や。聞くところによると、シンデレラガールズのライブには関係者席というのがあると聞いたのじゃがのう……」

肇「……知りません」

肇祖父「この時子ちゃんカラーペンラを、ろくろで鍛えたこの腕でバルログしたいんじゃがのう……」

肇「知りません!」
109 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:53:10.46 ID:gz7AxpqS0
https://i.imgur.com/T6NaMrU.jpg
※ちなみに肇ちゃんのおじいちゃんは次期人間国宝筆頭の現代の名陶工です(向かって右)
110 : ◆hhWakiPNok [saga]:2020/07/12(日) 16:54:07.72 ID:gz7AxpqS0
以上で終わりです。おつきあいいただきまして、ありがとうございます。
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/12(日) 17:06:40.71 ID:9/qUhiUxO
乙です!
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/12(日) 17:16:29.47 ID:kfLH1pFK0
おつ

>>109
なお、その備前焼はコロナの影響で日本最大の窯元ですら存続の危機の模様
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/18(土) 13:16:21.83 ID:TBnGnkFSO
途中で雲行きが怪しくなってめっちゃ笑った
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