【艦これ】龍驤「足りないもの、その後」その4【安価】

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200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/11(火) 19:55:21.54 ID:LzJgnvyvO
出発前に龍驤に会いに行く提督
しばらく出張に行くと伝えるとずっとお父さんと呼ばれていたのが行ってらっしゃい司令官、頑張ってなと言われて抱きしめて必ず迎えに来ると約束する
201 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/11(火) 19:58:13.52 ID:g7x+SbqL0
ーー


龍驤「ほらお父さんお仕事だって」


龍驤「もう行っちゃうの?」


提督「あぁ…仕事があるんだ」


龍驤「お母さんも寂しいけど仕方ないのよ。ちゃんと行ってらっしゃいって言ってあげて」


龍驤「うん…行ってらっしゃい…」


提督「行って…くる」


龍驤「気を付けて下さいね、お父さん」


提督「……」
202 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/11(火) 20:01:21.28 ID:g7x+SbqL0
提督「……もう行かないといけないんだ」


龍驤「……」


提督「絶対にまた、会いに来るからな」


龍驤「……」


提督「龍驤…」


龍驤「司令官」


提督「え…?」


龍驤「行ってらっしゃい、頑張ってな」


提督「……龍驤!!」ダキッ


龍驤「……」


提督「必ず…必ず迎えに来るからな!!」


龍驤「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/11(火) 20:13:46.87 ID:RygsihVZo
バリバリ仕事を片付ける提督
一方の幹部さんは>>199、補佐でも付けようか…
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/11(火) 20:28:01.66 ID:e6xB1ETRO
朝潮は龍驤の様子をすぐに提督へ伝えられるよう病院に残ことにする

提督は無理をしないようタスクの割り振りながら立場とプライベートの両方に責任をもって仕事を処理していく
前ならこの状況で体を壊すほど働いてたかもしれないが自分からセーブできるのは一皮剥けたようだねと幹部さん
205 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/11(火) 20:38:45.94 ID:g7x+SbqL0
ーー数日後


幹部「提督君はどこに居るんだい?」


漣「提督の本日の仕事は終わりましたので、午後からはお休みになっています」


幹部「ほう…」


漣「残りの仕事は私達で何とでもなりますので、ご安心下さい」


幹部「ちなみに午前はどんな仕事をしていたんだい?」


漣「横須賀鎮守府の提督として民間人への報告会、その質疑応答を行いました」


幹部「復帰してすぐにその仕事はハードだったんじゃないのかい?」


漣「ですから本日は午後からはお休みとなっています」


幹部「…うん、実に素晴らしいね」
206 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/11(火) 20:44:28.00 ID:g7x+SbqL0
漣「今日だけではありません。復帰してからというもの、積極的に体を休めプライベートでの時間を大切に過ごしています」


幹部「やっと自分から仕事をセーブできるようになったんだね。一皮剥けたということかな」


漣「一皮どころか、二皮も剥けたような気がしますよ」


幹部「ふむ?」


漣「提督が優しいのには変わりませんが、お人好しでは無くなりました。それを皆さんも感じ取ってるみたいですね」


幹部「ここの皆んながいい方向に向かっていると?」


漣「少なくとも意識は変わってますね。これまでと同じではいけないんだと」


幹部「素晴らしい変化じゃないか」


漣「漣からしてみれば遅いんですよ」


幹部「人も艦娘も急激には変われないんだ。きっかけがあって初めて変わるというのも不思議では無い」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/11(火) 20:48:43.93 ID:qs5qzkvDO
一方
またおままごとを始めた龍驤から少し離れて見ているS朝潮と八島
力を持った今の朝潮にはあり得ない程に巨大な龍驤の因果が視えている
これが…元凶…と息を呑む

あたしでもこれは下手に手出し出来ないのだと八島
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/11(火) 21:07:31.69 ID:TEu4lW3Lo
龍驤の調子は徐々にだけど良くなりつつある
おままごとは関西弁で内容も提督の帰りを待つ内容に変化
209 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/11(火) 21:18:38.76 ID:g7x+SbqL0
ーー


龍驤「司令官遅いなぁ」


龍驤「いつになったら帰ってきてくれるんやろ」


龍驤「出張って言うてたけど、どれくらいで帰ってきてくれるんか聞き忘れたなぁ」


龍驤「早く会いたいなぁ…」


龍驤「……」


S朝潮(少しずつですが良くはなってきてるみたいですね)


龍驤「司令官遅いなぁ」


龍驤「いつになったら帰ってきてくれるんやろ」


S朝潮「……」
210 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/11(火) 21:23:40.74 ID:g7x+SbqL0
S朝潮(私にできることはただ見守ること。無闇に龍驤さんの世界に入ってしまうと、壊してしまうかもしれない)


龍驤「……」ぶつぶつ


S朝潮(妄想の中の世界と現実の世界。龍驤さんは妄想の世界が偽物だと気付き始めている)


S朝潮(…いずれ世界を壊さなければいけないのなら、その役目は私が担います)


S朝潮(私の力は陰と陽で言えば陰。壊したり絶望させたりするのが得意)


S朝潮(司令官に龍驤さんを気付けて欲しくない。やるなら私が…)


龍驤「……司令官遅いなぁ」


S朝潮(私はそのためにここに残ったんだ)


下2 この後の展開やその他起こったことなど
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/11(火) 21:32:54.68 ID:RygsihVZo
八島:私も支えてあげる、きっと朝ちゃんなら出来る、大丈夫
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/11(火) 22:03:13.23 ID:4iQqf+Xqo
龍驤の闇は暗くて深い…
けど少しずつでも前に進めていかなくてはいけないと八島
213 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/11(火) 22:16:16.71 ID:g7x+SbqL0
八島「ダメだよ朝ちゃん」


S朝潮「大丈夫です、もう力に飲み込まれることは…」


八島「そうじゃない。龍驤の闇はとてつも無く暗くて、何よりも深い。朝ちゃんなんかじゃ太刀打ちできないよ」


S朝潮「……」


八島「龍驤の因果はあたしでもどうにもできない。一億人殺しは伊達じゃないよ」


S朝潮「このまま何もしてはいけないんですか」


八島「そうするのがベストだよ。けど少しずつ…ほんの少しでも前に進めていかなくてはいけないんだ」


八島「あたしだって運命に抗おうと必死なんだよ。断ち切れない因果なんて…無いと信じてる」


八島「だから朝ちゃんも手伝ってあげて」


S朝潮「…分かりました」
214 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [saga]:2020/08/11(火) 22:21:08.18 ID:g7x+SbqL0
龍驤「……」


八島「ここにはあたしと朝ちゃんが居る」


八島「因果が膨れ上がってどうにもならなくなったら、龍驤は…」


S朝潮「殺すというんですか?」


八島「無に還す」


S朝潮「無…?」


八島「地獄に落ちた魂は無限の苦しみを受けた後無に還る」


S朝潮「やっぱり龍驤さんを殺すんじゃ…」


八島「朝ちゃん」


八島「こんな魂が地獄に落ちたらどうなると思う?」


八島「龍驤一人で地獄が膨れ上がる。押し出された『悪』がこの世界に入ってきて厄災が振り注ぐよ」


S朝潮「悪…」


八島「朝ちゃん。力を持つ者は時に鬼にならなくちゃいけないんだよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/11(火) 22:46:25.77 ID:qs5qzkvDO
龍驤さんを無に…居なかった事になる?と朝潮
そう、最初から居なかった
龍驤から始まった全ての出来事も最初から無かった事になる
あたし達も多分…消えると八島
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/11(火) 22:49:03.52 ID:BmSMvFCqo
>>215
217 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/11(火) 22:58:32.31 ID:g7x+SbqL0
S朝潮「龍驤さんを無に…居なかった事になるんですか?」


八島「そう、最初から居なかったことになる。龍驤から始まった全ての出来事も最初から無かった事になるんだよ」


S朝潮「全て無かったことに…」


八島「あたし達も多分…消えるよ」


S朝潮「私は刑務所で首を吊って死んでしまうんですね」


八島「そこまでもいかないよ。朝ちゃんはあのクズに殺されて終わってた」


S朝潮「……」


八島「朝ちゃんがクズを殺せたのも龍驤の因果が関係してるんだよ」
218 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/11(火) 23:03:57.72 ID:g7x+SbqL0
八島「あたしと朝ちゃんならそれができる。それをやれるのかどうかは別として…」


S朝潮「……私はどうやっても幸せになれないんですか?」


八島「今を生きて。過去の苦しみに囚われないで」


八島「あたしが朝ちゃんを絶対に幸せにしてみせる。龍驤を無に還すことになっても、最後の刹那まで絶望なんか与えない」


S朝潮「…今は八島さんを信じます」


八島「例えこの世界に神様が居ても、龍驤だけはどうにもできない」


八島「本当はこんな因果…関わっちゃいけないんだよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/11(火) 23:17:18.39 ID:LkbLRmxeO
龍驤はこの調子が続いたあとお父さんまだ帰ってこないの?と子供の言葉が滑り出てくる
出張中なんやと龍驤が答えるとここで待ってていいの?と返される
他人との会話のようであり自問自答のようである会話が続いて
居心地はええけどここは違うと龍驤の眼差しに意思が戻る
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/11(火) 23:25:02.86 ID:TEu4lW3Lo
>>219
最後に一本道の後ろだけを見ないで前の道は決まってないよできることはたくさんあるよと聞こえる
221 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/11(火) 23:36:41.07 ID:g7x+SbqL0
ーー


龍驤「お父さんはまだ帰ってこないの?」


龍驤「出張中なんやで」


龍驤「ここで待ってていいの?」


龍驤「待つしかないんよ」


龍驤「本当にそうなの?」


龍驤「ウチが側におっても迷惑なんよ」


龍驤「お父さんはいいって言うよ」


龍驤「そんなんあかんのよ。いつまでも甘えられへんから」
222 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/11(火) 23:41:58.19 ID:g7x+SbqL0
龍驤「ずっとここに居るの?」


龍驤「居心地はええけどここは違うんや」


龍驤「…そうや、ここに居続けるのはあかん」


龍驤「お母さんどうしたの?」


龍驤「…ううん、なんでも無いよ。お母さんったらどうしちゃったんだろ」


龍驤「変なお母さん」


龍驤「あはは、本当に変だったわね」


「前の道は決まってないよ」


龍驤「あれ…どこからか声が聞こえてきたわね」


龍驤「お母さんだけ聞こえてるんだよ」
223 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/11(火) 23:44:19.78 ID:g7x+SbqL0
「諦めないで。できることは沢山あるよ」


龍驤「お母さん…ウチに…」


龍驤「……」


「一本道の後ろだけを見るんじゃないんだよ」


龍驤「……」


龍驤「……」


S朝潮「龍驤さんが黙っちゃいましたけど…」


八島「…これで良いんだよ、これで」


S朝潮「でも…」


八島「とりあえず今はこれ以上のことはできない。後は…あたしの問題じゃないよ」


下2. この後の展開やその他起こったことなど
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 00:11:52.75 ID:vJ2MsZRhO
kskst
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 00:13:11.63 ID:U7M5ALvQo
場面変えていいってことなのかな
他の提督に依存が激しい面子について考える八朝の二人
子離れ親離れ…と考えると朝霜は道筋が見えそうかも
226 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/12(水) 00:21:19.58 ID:12l1NmLC0
S朝潮「そういえば司令官への依存が激しい方は他に誰が居ますか?」


八島「一番気になるのは朝霜かな。体の関係だけで無理矢理心を繋ぎ止めてる」


S朝潮「子離れ親離れと考えると、朝霜さんは道筋が見えそうじゃないですか?」


八島「真逆だよ、朝霜は極端な二択しか無い。全快するか死ぬか」


S朝潮「そこまで…」


八島「そもそも早霜に心を壊されてるんだよ。よく今まで持ってると思うよ」


S朝潮「…八島さんは体を重ねる行為が嫌なんですか?」


八島「どうして」


S朝潮「私から見れば朝霜さんはそこまでの絶望はありません。司令官に抱かれた後の朝霜さんはそれはもう幸せそうでした」


S朝潮「八島さんは朝霜さんどうこうより、その行為自体に嫌悪感があるんじゃ…」


八島「あって当然でしょ。あのクズに朝ちゃんが好き勝手にされてるのをあたしは知ってるんだよ!!」
227 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/12(水) 00:26:04.36 ID:12l1NmLC0
八島「あたしの大切な朝ちゃんが……玩具みたいに好き勝手されて!」


S朝潮「八島さん、過去の…」


八島「分かってる!でも…あたしは見えちゃうんだよ!数百、数千回も大事な存在が犯され続ける場面を…ずっと!」


S朝潮「……八島さん」


八島「……」


S朝潮「私のこと……」


八島「…ごめん朝ちゃん。頭冷やしてくるから一人にさせて」


S朝潮「…はい」


八島「……」スッ


S朝潮「…過去のことで苦しんでるのは、私だけじゃないんです」



ーー
228 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/12(水) 00:26:35.46 ID:12l1NmLC0
今日はここまでです


コメントなどあればお願いします
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 00:40:59.44 ID:hzhBfP1IO
だよねー
軽く離れられるような関係じゃないもんねえ
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 00:41:02.69 ID:r8+KR+tDO
お疲れ様でした
難しい展開になってきた…
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 00:53:23.60 ID:U7M5ALvQo
おつ
八島さんの持つ人間味よ
過去と未来が並んでいると見える・決まってる方がどうしても大きく感じられちゃうのつらい…本当はそうでないとしても
232 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/12(水) 19:03:11.94 ID:12l1NmLC0
ーー


早霜「マインドコントロールを利用して、姉さんの幻肢痛を軽くすることはできるわよ」


S朝潮「じゃあ…」


早霜「そんな司令官を助けることをすると思う?あの男のことは嫌いだって言ってるじゃない」


S朝潮「司令官とあんなことをしていてもですか?」


早霜「あれは利害が一致してるだけの行為。愛どころか好意すら無いわ」


S朝潮「そこまで…」


早霜「言うわよ。あの男は朝霜姉さんを助けるどころか苦しめてばかりだもの」


早霜「お人好しに見えて結局は楽な道に逃げるだけの外道と何も変わらないのよ」
233 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [saga]:2020/08/12(水) 19:07:03.23 ID:12l1NmLC0
S朝潮「早霜さんは朝霜さんをどうしたいんですか?」


早霜「幸せにしてあげたいし、私にはその義務があるのよ」


S朝潮「そんなことは誰も決めてません」


早霜「私が姉さんを壊したのよ。壊したものは本人が治すべき」


S朝潮「それは司令官でもできます」


早霜「できないわよ。あの男は姉さんを助けているように見えるだけ」


早霜「本気で助けたいならあんな事はしない。将来のことを何も考えていないのよ」


早霜「この際だから言っておくわ。私は姉さんを殺す」


S朝潮「そんなことをさせると思いますか?」


早霜「貴女は何も分かっていない。姉さんがそれを望むようになるからよ」


S朝潮「…あり得ませんよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 19:11:59.35 ID:r8+KR+tDO
それにあの男はどうして整備士に脚を治してもらうよう朝霜姉さんを説得しないのかしら?
痛みに苦しんでいるのを知っていてそのままにしてる
龍驤とは事情が違うのだからそうしてもいいはずと早霜
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 19:28:48.34 ID:U7M5ALvQo
>>234
236 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/12(水) 19:39:02.38 ID:12l1NmLC0
早霜「それにあの男はどうして整備士に脚を治してもらうように朝霜姉さんを説得しないのかしら?」


早霜「痛みに苦しんでいるのを知っていてそのままにしてるなんてあり得ないのよ。龍驤とは事情が違うのだから、治すことに抵抗はないはず」


S朝潮「それは…」


朝霜「それはあたいが何度も断ったからだよ」ギッ


早霜「姉さん?」


朝霜「司令と龍驤さんに治したらどうだって何回も言われたよ。でも全部断った」


早霜「どうしてなの姉さん?」


朝霜「どうしても何もねぇよ。切った脚は戻らないのが普通なんだよ」
237 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/12(水) 19:45:19.28 ID:12l1NmLC0
朝霜「治療して治るのとはまた別だ。一度失ったもんは元に戻らねぇ」


S朝潮「そんな理由で…」


朝霜「お前ら勘違いしてんじゃねぇ。一人は首を吊ってるし、一人は殺されてる。普通ならそれで終わりなんだよ」


早霜「姉さん……」


朝霜「…司令とあたいの関係はいつか終わる。その時があたいの最後だ」


早霜「やめて!二度も姉さんを失いたくない!」


朝霜「あたいを壊した奴が偉そうに言ってんじゃねぇ」


早霜「姉さん……!」


朝霜「あたいの生き方は自分で決める。誰の指図も受けねぇ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 20:04:58.77 ID:cFOtjicho
凝り固まってる朝霜は過去の自分と同じだと感じるS朝潮
だからこそ助けてあげなくては、指図ではなく自身の意志で変われるようにと
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 20:05:46.00 ID:poWsVWrXO
>>238
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 20:09:24.46 ID:U7M5ALvQo
昔だったらS朝潮が反射で言い返す描写も入って安価に行きそうだったシーン
一皮剥けた感覚える
241 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/12(水) 20:25:31.09 ID:12l1NmLC0
ーー


S朝潮「今の朝霜は過去の私と同じです。他人の意見は聞き入れず、それしか無いと思い込んでしまうんです」


S朝潮「私は他人を信じられず、自分の因果に負けてしまいました。だからこそ助けてあげなくてはいけません」


S朝潮「こちらからの指図ではなく、朝霜さん自身の意志で変われるように…」


S朝潮「その為に必要…というより変わらなければいけない人が居ます」


S朝潮「司令官…」


S朝潮「朝霜さんを変えて、救えるのは司令官しか居ないんです」
242 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/12(水) 20:29:15.27 ID:12l1NmLC0
S朝潮「そう思って執務室に行ったんですが、生憎席を外しておられました」


S朝潮「今日の秘書艦代理である漣さんの話によると…司令官は早霜さんと居るはずだと」


S朝潮「先程あんな話をした直後に司令官と……」


S朝潮「…いえ、早霜さんも苦しんでいるんです。殺人衝動は薬物中毒よりも厄介だと聞きました」


S朝潮「司令官の出したモノを殺して気を紛らわせる…確かに理に叶っているかもしれません」


S朝潮「でも…それを朝霜さんが見ていたとしたら…」


S朝潮「とにかく司令官に会いに行きましょう」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 20:35:55.98 ID:r8+KR+tDO
断られた話を聞いた早霜が諦めずに何度でも説得してほしいと頼んで、懇願していた
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 20:43:48.17 ID:cFOtjicho
↑+提督も朝霜をなんとかして救いたいと考えている
今たどり着いているのは表面を救っても変わらない、ただ説得するだけでは駄目だということ
そして自分達が諦めては駄目だということ
245 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/12(水) 20:49:23.30 ID:12l1NmLC0
ーー


早霜「姉さんの治療の話、諦めずに何度でも説得して」


提督「もちろん何度も説得している。朝霜をなんとかして救いたいんだ」


提督「もちろん表面だけを救うんじゃない。ちゃんと朝霜という存在を助けたいんだ」


早霜「じゃあ何故姉さんは…」


提督「ただ説得するだけでは駄目だった。酷い時はその話を続けるなら窓から飛び降りると言われた」


早霜「姉さん…」


提督「良い方法があるならそれを教えて欲しいくらいだ。もちろん諦めるつもりは無いが…」


早霜「姉さんは貴方との関係が終われば死ぬと言ってたわよ」


提督「……そんなことはさせない」
246 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/12(水) 20:51:36.95 ID:12l1NmLC0
S朝潮「探しましたよ司令官」


提督「朝潮、今は…」


S朝潮「早霜さんも居てちょうど良かったです。朝霜さんの話をしようとしてたんです」


早霜「さっきもしたじゃない」


S朝潮「お二人と朝霜さんについて話したかったんです」


提督「朝霜について…?」


早霜「何かいい考えでもあるっていうの?」


S朝潮「安価」


下2 朝潮の台詞やその他起こったことなど
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 21:01:19.79 ID:r8+KR+tDO
慢性化する痛みは精神を蝕む
ああなった原因の一端にはそれがあると思います
今朝霜さんの服用している薬はどんなものなんですか?
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 21:19:11.88 ID:poWsVWrXO
249 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/12(水) 21:26:34.17 ID:12l1NmLC0
S朝潮「慢性化する痛みは精神を蝕みます。ああなった原因の一端にはそれがあると思います」


早霜「どういうこと?」


S朝潮「今朝霜さんの服用している薬はどんなものですか?」


提督「最初は病院の薬を飲んでいたが、全く効果が無かったから霞の薬に切り替えたんだ」


S朝潮「それでどう変わりましたか?」


提督「全く効かないというレベルから、多少はマシになるレベルになったそうだ」


早霜「霞の薬が原因だって言いたいの?」


S朝潮「そうは言ってません。私が言っているのは痛みが精神を蝕むということです」
250 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/12(水) 21:30:21.87 ID:12l1NmLC0
S朝潮「霞の薬は間違いなく効いています。でもそれを朝霜さん自身が拒否しているんです」


提督「拒否…?」


早霜「悪い方にプラシーボが働いていると言いたいの?」


S朝潮「朝霜さんは薬なんか効くはずがないと思い込んでしまっているんですよ」


提督「そうだとしてどうすればいい?」


早霜「姉さんの思い込みを無くす方法があるの?」


S朝潮「確証はありませんが、お二人に試してもらいたいことがあったんです。だから最初にお二人を探していたと言ったじゃないですか」


早霜「分かったわ、何か考えがあるなら教えて」
251 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/12(水) 21:33:13.58 ID:12l1NmLC0
ーー


朝霜「〜〜」


朝霜「なぁ司令、今日は…」


早霜「嫌だもう…フフフ…」


提督「……」


朝霜「早霜…パパ……?」


S朝潮『朝霜さんの思い込みの一つにお二人の関係があると思うんです。特に早霜さんは司令官の事を嫌っていますよね』


S朝潮『ですからお二人が仲良くしている所を見せれば、きっと精神的に安定するはずです』


提督(朝潮の言う通りにやってみてはいるが…朝霜に効果はあるのか?)


下2 この後の展開やその他起こったことなど
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 21:40:51.17 ID:+ULwWuu5o
朝霜「た、たちの悪いイタズラすんなよな」
早霜「あらイタズラなんかじゃないわ。ねー提督?」
さらに過度気味なスキンシップで朝霜の動揺が広がる
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 21:46:54.83 ID:e7q8dYysO
早霜にどういう風の吹き回しなんだと言いつつ言葉には棘がない朝霜
なんなら三人でお茶しようとまで
254 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/12(水) 21:56:51.13 ID:12l1NmLC0
朝霜「早霜、どういう風の吹き回しなんだよ」


早霜「どうもこうも無いわよ、ねぇ司令官?」


提督「そうだな…」


朝霜「なんだよ早霜も司令もよ…」


早霜(朝潮の言葉は信じられなかったけど、この反応を見てると嘘とは言えないわね)


提督(本気で嫌がっていない。言葉に棘が無いからな)


早霜(もう少し続ける価値はあるわね…)


早霜「…せっかくだから三人でお茶でもしない?」


朝霜「本気なのかよ…」


早霜「勿論よ、すぐに用意するわね」
255 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/12(水) 22:02:00.18 ID:12l1NmLC0
ーー


早霜「お茶菓子は司令官のお手製よ」


提督「口に合えばいいんだがな」


早霜「司令官の作るものは全部美味しいじゃない」


朝霜「……」


早霜(私を見てるけど、怒ったりもしてない)


提督(不安定な様子も見えないな)


早霜(こんなことで姉さんの心が安らぐなら、いくらでもやってあげるわよ)


下2 この後の展開やその他起こったことなど
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 22:13:24.09 ID:cFOtjicho
談笑がノッてきたところで提督が自信作を出してきてまず早霜が食べると本音で美味しいわと言葉が出てくる
朝霜も早霜がそこまで言うか〜と期待して食べて絶賛
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 22:36:08.72 ID:EUA5yBrVO
258 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/12(水) 22:44:46.70 ID:12l1NmLC0
提督「…そうだ、今日は新作を作ってきたんだ」スッ


早霜「これは?」


提督「サツマイモをぐしゃっとやって、ぐりんってやったやつだ」


朝霜「美味いのか?」


提督「そのはずなんだが…皆んなの口に合うかが分からないんだ」


早霜「なら私が食べてみるわね」パクッ


提督「どうだ?」


早霜「あら…美味しいわね」


朝霜「早霜が素直に褒めるのは珍しいな。そこまで美味いってことなのか?」


提督「朝霜も食べてみてくれ」


朝霜「勿論だ!いただきま〜すっと」パクッ
259 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [saga]:2020/08/12(水) 22:48:16.94 ID:12l1NmLC0
朝霜「…んまい!これは美味いぞ司令!」


提督「それは良かった」


朝霜「流石だよな司令〜!」パクパク


早霜「…あの朝霜姉さんの表情。あんなに明るいのは久しぶりに見たわ」


提督「朝潮の言う通りだったのかもしれないな」


早霜「この調子が続くなら朝霜姉さんの前では仲良くしてあげるわ」


提督「そうしてくれ。朝霜が良くなるのは俺も喜ばしいからな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 23:06:38.41 ID:pTI+j5Ado
初めは提督と仲良くするフリだったけど段々意識することなく普通に接するようになる早霜
朝霜とも軽い話題で会話できるようになってくる
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 23:07:23.15 ID:U7M5ALvQo
朝潮
感触は良さそうですね…お二人も朝霜さんから見た家族の括りなんです、それが仲が悪かったら心中穏やかであろうはずがありません(提督の新作もぐもぐ)
262 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/12(水) 23:14:33.25 ID:12l1NmLC0
ーー


S朝潮「どうですか?私の言う通りでしたよね」


早霜「まだ決めつけるのは早いけど、逆効果では無さそうね」


提督「そうだな…」


S朝潮「当たり前です、お二人も朝霜さんから見た家族の括りなんですよ」


提督「家族…」


S朝潮「家族の仲が悪かったら、心中穏やかであろうはずがありませんから」モグモグ


早霜「…貴女の言いたいことは分かったわ」


S朝潮「それは良かったです…あ、これ本当に美味しいですね。八島さんにお土産に持って帰りましょう」
263 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [saga]:2020/08/12(水) 23:18:45.89 ID:12l1NmLC0
提督「こうやって普通の関係を続けていけばいいのか?」


S朝潮「勿論です。でもそれだけじゃ足りません」


早霜「まだ何かをやらせようっていうの?」


S朝潮「ちょっと待っ……」モグモグ


提督「……」


S朝潮「…ふぅ。ええ、そうです。更に朝霜さんを安心させてあげればいいんですよ」


早霜「どうすれば…何をすればいいのかしら?」


S朝潮「安価」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 23:49:07.74 ID:EUA5yBrVO
それですよ、朝霜さんをどうしたいのかではなく何をしてあげたいか考えてください
変化を押し付けられると心は休まりません
穏やかでも激流でも身を任せられると心は落ち着くんです
家族ってそういうものだと思います(八島さんを思い浮かべながら)

考えを変えると穏やかに過ごす中で何気ない朝霜の引っ掛かりを見つけてフォローすることができる二人
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 23:49:58.82 ID:6kRQWezUo
早霜が執務も手伝う
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 23:51:47.02 ID:6kRQWezUo
やらかしたもうしわけねえ
267 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/12(水) 23:52:36.02 ID:12l1NmLC0
再安価

下2 お願いします
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 23:55:09.96 ID:EUA5yBrVO
>>264
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 23:58:48.21 ID:cFOtjicho
>>264
負い目からではなくて今の等身大の朝霜を見て何ができるか考えるようになった
270 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/13(木) 00:06:08.01 ID:1MwY+n0w0
S朝潮「それですよ」


提督「何がだ?」


S朝潮「朝霜さんをどうしたいのかではなく、何をしてあげたいか考えてください」


S朝潮「変化を押し付けられると心は休まりません。穏やかであっても激流でも、身を任せられると心は落ち着くんです」


早霜「私達にそうなれって言うの?」


S朝潮「家族ってそういうものだと思います。私は…そう教わりました」


提督「俺は今まで朝霜の為だと思って色々とやってきた。そうでは無く、何をしてあげたいのか…」


S朝潮「早霜さんは朝霜さんへの負い目は一旦忘れて下さい。今の朝霜さんに何が必要なのかをよく考えて下さいね」


早霜「分かったわ」
271 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/13(木) 00:09:38.93 ID:1MwY+n0w0
ーー


朝霜「〜〜でさぁ、本当にどうかしてると思うぜ」


提督「そうだな」


朝霜「……」グリグリ


提督「義足が気持ち悪いか?なら外して俺の膝に座ったらどうだ?」


朝霜「ん…じゃあちょっと」ガチャッ


提督「よし…じゃあ話の続きを聞かせてくれ」


朝霜「それでさ、あたいは……」


提督「そうかそうか…」
272 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [saga]:2020/08/13(木) 00:14:22.90 ID:1MwY+n0w0
ーー


朝霜「司令はまだ仕事中か…」


朝霜「幻肢痛が出そうだし、風呂はまた明日に…」


早霜「姉さん、一緒にお風呂にでも入らない?」


朝霜「……」


早霜「背中、流してあげるわよ」


朝霜「早霜が居るなら…入っとこうかな」


早霜「司令官と入るだけじゃなくて、私とも入って欲しいわ」


朝霜「分かったよ、これからは早霜にも頼むから」


早霜「…負い目を関係なく朝霜姉さんを見る。こんな簡単なことが今までできていなかったのね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/13(木) 00:24:42.05 ID:gv2BfcJDO
お風呂で早霜に手を貸してもらう朝霜
やっぱり…不便だよな…とぽつりと溢す
失ったものは戻らない
その拘りはかつての朝霜が救えなかった艦娘達への想いが根底にあった
あたしの脚が簡単に戻っちまったらあいつらは何だったんだって思うんだよと
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/13(木) 00:34:16.41 ID:JiZqSbJlo
>>273を受けて早霜
奪う事しかしてこなかった私は姉さんの覚悟を否定なんてできない
けど今の姉さんを見て、簡単に脚を治そうとしてるなんて誰にも言わせない
提督から聞いたわ、どんなに幻肢痛で苦しんでても自分から治そうと言わなかったって
275 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/13(木) 00:42:04.11 ID:1MwY+n0w0
ーー


早霜「姉さん滑るから気を付けて」


朝霜「……やっぱり…不便だよな…」


早霜「姉さん…?」


朝霜「失ったものは二度と戻らねぇんだよ。脚だって腕だって……命だって」


早霜「……」


朝霜「あたいの脚が簡単に戻っちまったら、あいつらの…救えなかった命は、一体何だったんだって思うんだよ」


早霜「奪う事しかしてこなかった私は、姉さんの覚悟を否定なんてできない。 けど今の姉さんを見て、簡単に脚を治そうだなんて言えないわ」


朝霜「……」
276 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/13(木) 00:49:22.98 ID:1MwY+n0w0
早霜「司令官から聞いたわ、どんなに幻肢痛で苦しんでても自分から脚を治したいって言ったことが無いって」


朝霜「何十人、何百人も救えなかった…あたいが強かったら全部救えてた命なんだよ…」


朝霜「そんなあたいが…簡単に治すだなんて…」


早霜「姉さん……」ギュッ


早霜「貴女を傷付けてしまったからじゃなく…一人の妹として姉さんを支えさせて」


朝霜「早霜ぉ…」


早霜「脚を治せだなんて言わない。でもこれだけは言わせて」


早霜「生きることを諦めずに……幸せになって」


朝霜「うぅぅ……」


早霜「姉さんの為なら死ぬ覚悟だった。それに比べたら家族ごっこなんてなんてこと無い」


早霜「司令官も利用して……朝霜姉さんは絶対に不幸になんかさせない」


ーー
277 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/13(木) 00:49:54.20 ID:1MwY+n0w0
今日はここまでです


コメントなどあればお願いします
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/13(木) 00:52:20.68 ID:PSTaGpm+O
負い目からではなくだから最後に前向きにしてあげたかった…が仕方ない
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/13(木) 00:55:50.06 ID:dSrAgfVLo
早霜も朝霜もまだスタートラインよ
利用だとかごっこと思ってるウチはまだダメダメ
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/13(木) 01:01:28.63 ID:gv2BfcJDO
お疲れ様でした
提督のキャパシティを考えるとこのままではやっぱり良くないのかな
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/13(木) 01:09:00.05 ID:8Q3By226O
乙でした
やっぱその後は全体的に過去との付き合い方を考えないと行けない感じかな
いつまでも足枷になって思考が停滞してると何も変われなくて、過去があるけどこれから何をやってその中で変わっていくのが重要?

最後も早霜の過去のせいで何も言えないとか朝霜が辛いのは知ってるで止まっちゃったから考があまり変わってない?
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/13(木) 01:13:23.85 ID:x83XbAhWo
今回って朝霜の解決フェーズのようで早霜も解決フェーズだよね
朝霜一辺倒の早霜を変えてやらないと
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/13(木) 01:37:46.96 ID:dSrAgfVLo
>>280
関係のあり方次第じゃないかな
常に寄りかかるんじゃなくて側に並んでいて躓いたときやよろけた時には助けるとかがいい関係だと思う
フォローは早霜にほとんど全部任せますじゃあ逆に変だと思う
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/13(木) 01:54:16.57 ID:JiZqSbJlo
おつです
>>281
未来を見ろとの忠告がここでも生きてた…良くなかったなあ許して八島さん…

本当の家族じゃないから幸せに出来ないというのはちゃんちゃらおかしいと思うんですよね血が繋がってても相手を不幸にしかしないのもおる
285 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/13(木) 19:03:46.47 ID:1MwY+n0w0
ーー


バキッ、ドガガッ


由良「……」


早霜「……」


ドゴッ


由良「…っ」


早霜「……」


名取「そこまで!」


由良「…負けた」


早霜「こんな所かしらね」


名取「今まで二人はほぼ互角くらいだったのに…今日は早霜の圧勝…」


由良「…」


名取「しかも早霜は今までと違って、忍びの技だけで組手をやった…」


早霜「悪いけどこれでまだ本気じゃないのよ」


由良「…」
286 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [saga]:2020/08/13(木) 19:08:12.49 ID:1MwY+n0w0
由良「どうして」


早霜「私のやるべきことが分かったから、かしら」


名取「それと強さは関係ないんじゃ…」


早霜「あるのよ。私は姉さんを傷付けてしまったという罪に怯えていた。でもその考えは間違いだった」


早霜「家族ごっこも司令官も、徹底的に利用して姉さんを幸せにするのが私の役目」


名取「力を使う目的ができた…?」


早霜「ただの快楽殺人鬼だった頃の私とは別人。貴女達二人と戦っても勝つわよ」


名取「私はともかく、由良が歯が立たないだなんて…」


由良「…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/13(木) 19:13:05.08 ID:gv2BfcJDO
由良さん最近集中力を欠いている
負けたのもそれが一因
原因は旦那と川内の事

前シリーズ最終回以降どうなっていたのか顛末を
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/13(木) 19:15:03.45 ID:dSrAgfVLo
ごっこや利用と言いつつ普段から意識せず当たりが柔らかくなったりしてる早霜
むしろごっこや利用だと言う時に意識してる感じ
289 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/13(木) 19:25:57.18 ID:1MwY+n0w0
ーー


由良「早霜」


早霜「あら、どうしたの?」


由良「貴女を見ていた」


由良「貴女は変わった」


早霜「……」


由良「棘が無くなった」


由良「まるで別人」


早霜「…それが言いたかっただけ?」


由良「違う」


由良「忠告よ」
290 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/13(木) 19:30:11.77 ID:1MwY+n0w0
由良「家族ごっこと」


由良「自分に言い聞かせてるつもりでも」


由良「うまくいっていない」


由良「溜まった感情が爆発すれば」


由良「何人も死ぬ」


早霜「そうでしょうね。私は貴女を捻り潰せるのよ」


由良「貴女」


由良「もう一度日陰に戻るの」


由良「せっかく日の当たる所を歩いているのに」


早霜「もしそうなっても後悔は無いわ。私には光が眩し過ぎただけの話よ」


由良「…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/13(木) 19:55:28.46 ID:JiZqSbJlo
由良さん 
朝霜はどうするの
先に貴女が駄目になったら意味がない
変われた意味をよく考えて
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/13(木) 20:05:56.35 ID:LWT72mfaO
由良がじゃあ今溜まってる思い私に吐き出して
家族には言えないこともあるでしょう?
言葉にすれば整理できることもある

なんで貴女に…と言おうとしてからやっぱりお願いするわと早霜
293 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/13(木) 20:11:54.15 ID:1MwY+n0w0
由良「今溜まってる思い」


由良「私に吐き出して」


早霜「なんで貴女に…」


由良「言葉にすれば整理できる」


由良「『家族』には言えないことも」


早霜「……」


早霜「…ちょうど貴女になら言えるかもしれないわね」


早霜「貴女…夫とはうまくいってるの?」


由良「どういう?」


早霜「男と女の関係よ。私が吐き出そうとしているのはそういう話よ?」


由良「…」


由良「分かった、答える」
294 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/13(木) 20:15:02.36 ID:1MwY+n0w0
由良「この体になってから」


由良「うまくいっていない」


早霜「そうよね、深海棲艦の体に欲情はしないわよね」


由良「違う」


由良「力が強過ぎて、あの人のを壊す」


早霜「…モノを?」


由良「…」コクリ


早霜「……そう」


由良「私は言った」


早霜「……家族で体を重ねるのはどう考えてもおかしいわよ」


早霜「なぜ司令官は朝霜姉さんを娘だと言いながら、あんな行為ができるのよ」
295 : ◆I4lwDj9Dk4S2 [sage saga]:2020/08/13(木) 20:18:31.09 ID:1MwY+n0w0
由良「普通ならおかしい」


由良「でもあの提督なら考えられる」


早霜「あの男が…」


由良「提督はファミリーコンプレックス」


由良「彼なりの愛情表現で、家族の絆を保とうとしてる」


早霜「そんなふしだらな絆は家族じゃない」


由良「早霜」


由良「艦娘に親は居ない」


由良「親が居ない提督と、引き合うものがある」


由良「提督も艦娘も、普通じゃない」


由良「大事なのは強制されていないこと」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/13(木) 20:27:35.16 ID:EHAGEv53o
自分が否定されない世界というのは心地よいもの
でもどうやったって提督も艦娘も人間の社会に組み込まれて生きていくしかない
常識から逸脱しているとその歪みは必ず何らかの形で正される時が来る
そうなる前に少しずつでも治していくか、社会から逃げるしかないわよと早霜
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/13(木) 20:27:59.25 ID:gv2BfcJDO
ただ問題なのは他の鎮守府の規範となるべき横須賀の内情がそうであるという事
端から見たら爛れているようにしか見えないだろうと由良は危惧する
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/13(木) 20:32:20.13 ID:dSrAgfVLo
でも確かに彼も変わる必要がある
貴女なら見せてあげられるはず、貴女が自分で見つけた家族の形
形だけや利用なんて建前で隠さないで彼の為に見せてあげて欲しい

それが朝霜や貴女の為になる
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/13(木) 20:34:41.59 ID:LWT72mfaO
早霜が不安定なところに変に常識で考えてとかぶっこむと無茶しそうで怖い…
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