【シャニマス】ティモンディ・高岸「放課後クライマックスガールズ……?」

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402 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:03:34.75 ID:EzsohnAQO

八百屋「……いやぁ、プロデューサーさんにこんな話をするのもなんだが」

八百屋「うちの商店街も、再開発の話を持ちかけられて久しいからね」

八百屋「周りが次々に看板を下ろしていく中で」

八百屋「俺も、もうここいらで……なんて思う日もなかった訳じゃないが……」

高岸「……!」

八百屋「プロデューサーさん達のおかげでまた頑張れそうだ! なんて、うちの年寄り連中も色めき立っててな」

八百屋「はっはっはっ!」ガハハ!

高岸「嬉しいです……!」

高岸「放クラの頑張りで皆さんを元気づけられたなら、これ以上のことはありませんよ!」

八百屋「そういうあんたは、ちょっと見ないうちにだいぶやつれたんじゃねぇか?」

高岸「……そうですか?」

高岸(夏葉さんに、はづきさん……)

高岸(色んな人に似たようなことを言われてる気がするなぁ、あはは……)

高岸(夜市のライブが終わったら、心配されないようにいっぱい食べよう!)
403 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:04:54.07 ID:EzsohnAQO

高岸「……トレーニングで、顔が引き締まったんですかね! あはは!」

八百屋「へっ、強がっちゃいけねぇよ」

八百屋「毎日遅くまで、この事務局でライブの準備してんだろ?」

八百屋「色々手作りしてるとか、なんとか……」

高岸「そこまでご存知でしたか。さすがですね!」

八百屋「あと、うちのカミさんが教習所のそばであんたを見たって」

八百屋「組合の若いもんと一緒だったらしいが」

高岸「!」

高岸「……実は、一緒に夜間講習を受けている方がいまして! 僕よりとても、上手なんですよ!」

高岸「免許も、もう少しで取れるところなんです!」

八百屋「……」

八百屋「それも、樹里ちゃんたちの為かい?」

高岸「そうかもしれませんね! あはは!」

高岸「これが僕の、やりたいことなので!」

八百屋「……そうか」

八百屋「……」

八百屋「プロデューサーさん……俺の話、ちょっと聞いてくれるか?」

高岸「はい! 何でしょう?」

八百屋「樹里ちゃんのことなんだけどな」

高岸「樹里さんの……?」

八百屋「樹里ちゃん……ここに越してきた頃な、あんな風じゃなかったんだ」

高岸「あんな風……」

八百屋「ちょっと陰があるっつうか、なぁ……」

高岸「!」

高岸(あの樹里さんが……!)
404 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:06:42.00 ID:EzsohnAQO

・・・・・


〜八百屋のおっちゃんの昔話〜


八百屋「おう! そこの嬢ちゃん!」

樹里「……」キョロキョロ

樹里「……アタシ?」

八百屋「そうそう。見ない顔だなぁ、と思ってよ」

八百屋「最近、ここいらに引っ越して来たのかい?」

樹里「うん、まぁ……」

八百屋「なんだ、元気ねぇなぁ」

八百屋の奥さん「あらアンタ……この子、あれよ。アイドルの!」

八百屋「アイドルぅ?」

奥さん「すぐそこの283プロダクション……でしょう? 私、入ってくのを見かけたのよ」

樹里「ああ……今、そこの寮に入ってる」

八百屋「本当なのか。こりゃすごい子に声かけちまったなぁ。未来の大スターだ!」

樹里「そんなんじゃ……まだ、デビューもしてねーし」
405 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:07:32.32 ID:EzsohnAQO

奥さん「そういえば、あの時一緒にいたお団子の子……あの子もアイドルなの?」

樹里「え?」

樹里「お団子……」

樹里「ああ……智代子っていって……」

樹里「同じユニットになる予定なんだ」

八百屋「ユニ……?」

八百屋「まあいいか。今度はその子も連れておいで! 野菜、安くしとくよ!」

奥さん「またアンタはそうやって……ゴメンね〜、お節介好きの若い子好きだから」

八百屋「おい……!」

樹里「いや、大丈夫……ていうか」

樹里「智代子は……友達じゃないし……」

八百屋「……ほ?」

樹里「同じユニットなだけだから」

八百屋「……そうか。そりゃ……すまなかったなぁ」

樹里「いや……あ、アタシ用事あるから」

樹里「じゃ、じゃあまたな」タッタッ…

八百屋「おう! また来てくれよー」


・・・・・
406 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:09:14.02 ID:EzsohnAQO

高岸(まだ智代子さんと樹里さんしか居なかった頃、でしょうか)

高岸(放クラを結成する前の……)

高岸(樹里さん……何か理由が……)

高岸(……)

高岸(それに……『友達じゃない』、か)

高岸(そんな二人が、今では……)

高岸「……そんなことが」

八百屋「でもな、プロデューサーさん」

八百屋「この前、樹里ちゃんが凛世ちゃんを連れてきた時……」


樹里『アタシの友達で、同じアイドルの凛世だ』


八百屋「って言ってな」

高岸「!」

八百屋「……樹里ちゃんは、この商店街のみんなの娘みたいなもんでさ」

八百屋「まあ……今となっちゃ、5人全員大好きなんだけどよ」

八百屋「樹里ちゃんが今みたいに明るい子になったのは、あんたのおかげだって、みんな思ってる」

高岸「そんな……僕は……」
407 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:10:55.54 ID:EzsohnAQO

高岸「僕じゃないです。きっと、放クラのみんなのおかげですよ!」

高岸「それに、樹里さんは元から明るい人でした!」

高岸「眩しいくらい明るく輝いていたから、スカウトしたんです!」パァァ

八百屋「へっ。上手いこと言うねぇ」

八百屋「そんだけ言うなら……プロデューサーさん」

八百屋「実の親でもないのに勝手極まりないとは思うが……」

八百屋「樹里ちゃんのこと、頼んでもいいか?」

高岸「……!」

高岸「──はい!」

高岸「樹里さんの笑顔、守ってみせます!」パァァ

高岸(約束、しましたから!)

八百屋「……おう」

八百屋「任せたぜ。俺たちはテレビ見ながら応援するからよ」

八百屋「ちゃんと、ウイング? っつーのも勉強したんだぜ? すごい大会に出てるんだろ?」

高岸「……はい! そうなんです! ありがとうございます!」

八百屋「なに、大したことじゃねぇよ」

八百屋「──そうだ。この後、飯に付き合ってくれねぇか? 凛世ちゃんたちの話も聞かせておくれよ」

高岸「あ、打ち合わせの後は、樹里さんと待ち合わせをしてまして……」

八百屋「おっと。そっちのが大事だな!」

八百屋「振られちまった! はっはっは!」

高岸「すみません! 次は僕から、お誘いさせてください!」

八百屋「おうよ!」ニッ


・・・・・
408 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:11:50.16 ID:EzsohnAQO

〜商店街そばの神社〜


樹里・高岸「……おー!」

高岸「夕日が綺麗ですね!」

樹里「ああ……ここ、アタシのお気に入りの場所なんだ」

高岸「よく来るんですか?」

樹里「うん……」

樹里「境内まで長い階段を登るから、その間に色々考えたり……」

高岸「……大切な時間ですね」

樹里「……」コクリ

樹里「ここからだとさ。建物に隠れてた太陽が、はっきり見えて」

樹里「この街を……好きなものを一度に全部見られて……好きなんだ、アタシ」

樹里「……って、何言ってんだろな。夕日見たら、無駄にセンチメンタルになっちまった」

樹里「へへっ」

高岸「とても素敵な景色ですね」ニコッ
409 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:12:39.53 ID:EzsohnAQO

『……はぁ、はぁ……』

『残り15分!』

『……ふぅ……うっ……』

『ずるずるっ……』

『──ごふっっ!!』

『あ゛ーっ! ちょこ先輩のお腹がパンッパンにな゛ってますーっ!』


樹里「……ふふ」

樹里(果穂がカメラの前に出て、上手い具合にチョコを隠したな……)

高岸「面白かったですか?」

樹里「ああ。このシーン、何回見ても笑っちゃうよな」

樹里「……スマホ、返すよ。ありがとな」スッ

高岸「どういたしまして!」
410 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:14:15.25 ID:EzsohnAQO

高岸「……智代子さん、すごく頑張ってました!」グッ

樹里「……チョコはさ……」

樹里「いつも……誰かの為に、って頑張ってくれるよな」

樹里「ジャスティスVの公演のときも……いや、最初からか……」

高岸「智代子さんだけじゃないですよ」

樹里「……そうだな。みんな優しくて、すごくて……」

高岸「──樹里さんもですよ!」

樹里「アタシは、別に」

高岸「聞いてください!」

高岸「樹里さんと凛世さんのお料理チャレンジも、大食いに負けないくらい、すごい再生数なんですよ!」

高岸「八百屋のおじさんも、お二人の考えたメニューを作って食べてるんだって、言ってました!」

高岸「……それに、樹里さん達がオススメした野菜、売れ行きが良いそうです!」

樹里「……」

高岸「夏葉さんと果穂さんの、トレーニング・フードチャレンジも……」

樹里「見たよ。夏葉の『ここのコロッケは完全食よ!』ってセリフが、頭から離れないんだよな」

樹里「ツイスタでも『完全食』が流行ったらしいし……」

高岸「あはは! やっぱりすごいですね! 放クラのみなさんは!」ニコニコ

樹里「……」シュン…

高岸「……?」
411 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:15:49.41 ID:EzsohnAQO

高岸「樹里さん?」

樹里「……実はさ」

樹里「料理動画は、凛世が考えたんだ。自分の練習してる分野なら、皆さんにお見せできるかもしれません、って」

樹里「アタシも料理はそこそこ出来るつもりだし、それに乗っかっただけで……」

樹里「アタシ、何もしてねーんだよな……」

樹里「……みんなと違って、アタシは、何にも……」ボソリ

高岸(樹里さん……あんなに張り切っていたのに、あのときの元気は……)

高岸「そんな悲しい顔をしないでください!」

高岸「それに、樹里さんは何もしてないなんて、ありえません!」

高岸「凛世さんだって、僕と同じように言うと思います!」

樹里「それは、そうだと思う。けど……」

樹里「アタシが自分に納得できないんだ」

樹里「……悔しいんだ。言い出しっぺの自分が、みんなの役に立ててないのが」

高岸「……」

樹里「夜市のことだけじゃない。アタシだけ、みんなと違う」

樹里「アタシだけ、ぼんやりしてる。アイドルになった意味も、目標も……」ウルウル

高岸「……!」
412 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:18:11.39 ID:EzsohnAQO

高岸(……樹里さん……今までに見たことがないくらい、切なそうな顔を……)

高岸(それほど……)

高岸(……たぶん、自信がないんだ……今の樹里さんは……)

高岸(……)

高岸(……僕は、約束したんだ)



樹里『……約束だ。アイドルになるよ』

高岸『良いんですか? えーと……』

樹里『西城樹里だ。樹里って呼べよ』

高岸『分かりました! 樹里さん!』

樹里『ちゃんとアタシを、アイドルらしくしてみせろよ』

樹里『……プロデューサー』

高岸『はい! 任せてください!』

高岸『やれば、できる!』パァァ

樹里『……へへ、何だよそれ』



高岸(僕が……樹里さんを前向きにする!)

高岸(商店街のアイドルを、笑顔にするんだ……!)
413 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:19:03.23 ID:EzsohnAQO

高岸「……」

高岸「樹里さんの目標、僕にも教えてください」

高岸「樹里さんは、どんなアイドルになりたいですか?」

樹里「どんな、アイドル……」

樹里「……」

樹里「アタシは……」

樹里「……自分の周りの人を笑顔にしたい……アタシの好きな人たちに、笑っていてほしい」

樹里「……かな」

高岸「それは、ファンの皆さんですか?」

樹里「うん……あと放クラも、商店街のおっちゃんたちも、プロ……──とにかく、みんなだ」

樹里「な? ぼんやりしてるだろ」

高岸「……そんなことありません!」

高岸「自分の力で、人を笑顔にしたい! 樹里さんはもう、立派な夢を持っていますよ!」

樹里「夢……」
414 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:20:06.48 ID:EzsohnAQO

樹里「でもアタシは……自分の力じゃ、人を笑顔にできなかった」

高岸「そんなことないですよ!」

高岸「それに……」

高岸「樹里さんなら、みんなを笑顔にできます! 樹里さんの、大好きな気持ちさえあれば!」

樹里「……そんな簡単な話じゃねーって」

高岸「いえ! 簡単ですよ!」

高岸「樹里さんが、この商店街の大好きなところを、紹介すれば良いんです!」

樹里「大好きなところを紹介、っつったって……」

高岸「試しに、好きなところを挙げてみてください!」

樹里「……ん……」

樹里「全部、かな……」

高岸「全部ぅ!?」

樹里「ほら、無理だろ?」

高岸「──無理じゃない! できます!」

高岸「全部好きだなんて、素晴らしいじゃないですか! やりましょう、樹里さん!」ニコッ

高岸「樹里さんが好きなところ! 商店街の全部、紹介しましょう!」グッ
415 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:21:00.85 ID:EzsohnAQO

樹里「そんなこと……」

高岸「できますよ!」

高岸「だって……ここからなら、商店街も全部見えますから!」

樹里「!」

樹里「……」

樹里(確かに、プロデューサーの言う通りだけど……)

高岸「この絶景と、商店街と、樹里さんのお気に入りの場所……」

高岸「全部、ファンの皆さんに紹介しましょう!」

高岸「タイトルは……そうですね……」

樹里「おい、勝手に話進めんなって!」

高岸「……すみません。嫌でしたか?」

樹里「そうじゃねーけど……」

樹里(……違う……)

樹里(あーもう……何でアタシは、いつもこうなんだよ!)

樹里(くそっ……)

樹里(恥ずかしいけど……チョコや果穂みたいに、素直に……)

樹里「……その……」ソワソワ

高岸「……?」

樹里「……ありがとう、プロデューサー」

高岸「!」
416 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/11/07(土) 21:25:16.64 ID:EzsohnAQO

樹里「アンタの案に乗る……じゃなくて……やるよ、アタシ」

樹里「プロデューサーと一緒に……」

樹里「好きなとこ全部、紹介する」ニコッ

高岸「……はい!」パァァ

高岸「──あっ!」ピコーン

樹里「こ、今度は何だよ……?」

高岸「タイトル、思いつきました!」

高岸「『樹里さんぽ』、はどうですか?」

高岸「樹里さんと、散歩を、かけてるんですが!」チェケラ

樹里「それは分かるけど……どうなんだ?」

高岸「あはは……微妙でしたね」

高岸「『挑戦』、『チャレンジ』の方をかけたほうが良かったかな……」

樹里「あ、いや。まあ、アタシは悪くないと思うけど……」ボソリ

高岸「樹里さんなら、良いタイトルもきっと、思いつきますよ!」ニコッ

高岸「すぅー……」

高岸「……樹里さんならっ!」

高岸「やれば、できるううううあああぁっ!」

夕日「……」ピカー

樹里「夕日に向かって叫ぶとか……!」

樹里「は、恥ずかしいからやめろ……ばかっ!」カァッ


*・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉11,367人 

二回目の審査まで あと0人
W.I.N.G.本戦まで あと22→20週

・・・・・・・・・・・・・・・・*


<20話・終わり>

417 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/11/07(土) 21:26:34.46 ID:EzsohnAQO

次は夜市回です!
また後日更新します!よろしくお願いします
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/07(土) 21:38:17.35 ID:WJSOZJBR0
乙!
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/12/23(水) 14:54:51.95 ID:DW3TjQlKO
復活してくれー!
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