【シャニマス】ティモンディ・高岸「放課後クライマックスガールズ……?」

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70 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:05:11.42 ID:h6dCP4IfO

↓第5編です↓
71 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:06:33.48 ID:h6dCP4IfO

<高岸・絆のリベンジマッチ編>


〜283プロダクション・レッスンルーム〜


高岸「お疲れ様です」ガチャリ

夏葉「ハッ、ハッ、ハッ!」

高岸「夏葉さん、まだ残ってレッスンしていたんですね!」

夏葉「ええ! デビュー前から手を抜いてはいられないわ!」シュタタッ

夏葉「……あの二人が手を抜いている、という意味ではないわよ」タタターン!

高岸「分かっていますよ!」

夏葉「それならいいわ! ふっ!」エクセレント!

高岸「お見事!」

夏葉「ありがとう」
72 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:08:39.47 ID:h6dCP4IfO

高岸「……あなたはやはり、すごい人だ!」

高岸「タケノコのように毎日ノビて、ヒマワリのように光に向かっていく!」

高岸「そして、つきたてのお餅のように、粘り強い!」ネバーギブアップ!

高岸「……だからこそ! 心配になります!」

夏葉「……」

夏葉「アナタは、何が言いたいのかしら?」

高岸「僕はただ、応援したいだけですよ!」

高岸「でも今は……あなたのプロデューサーでもある!」
73 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:10:19.35 ID:h6dCP4IfO

高岸「あなたの夢は、僕の夢だ!」

高岸「だから、あなたが夢を見られなくなったら、僕は耐えられない!」

高岸「毎日快眠してもらう責任が、僕にはある!」ドンッ

夏葉「……私が怪我をするとでも言うの?」

夏葉「自分の身体は、自分がよく分かってるわ」

夏葉「言ったでしょう? 私はもう長い間、有栖川夏葉という人間をプロデュースしているの」
74 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:10:57.34 ID:h6dCP4IfO

高岸「──いいえ! 分かっていません!」

高岸「あなたの腕は、足は、もう悲鳴を上げている!」

高岸「まるで、千本ノックを受けた後に、ホラー映画を見たかのように!」ビシッ

夏葉「……!」ビクッ

夏葉「どうして、分かったの……?」

夏葉「私が、ホラーが苦手なこと……」

高岸「野球好きは、動体視力が良いんです!」パァァ
75 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:11:39.50 ID:h6dCP4IfO

夏葉「……ふふ。流石ね」

夏葉「それでこそ、私のプロデューサーだわ」

高岸「ありがとうございます!」ニコニコ

夏葉「……今気づいたのだけれど、腕は重いし、足の筋肉は少し張っているわ」

夏葉「ストレッチ、手伝いなさい」

高岸「はい! もちろんです!」
76 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:13:08.89 ID:h6dCP4IfO

夏葉「まさか、私が自分の体調を見誤るなんて、ね」グッグッ

夏葉「もう少し、強く押してちょうだい」

高岸「はい!」グッグッ

高岸「……きっと、プレッシャーを感じていたのでしょう」

高岸「仲間が増えることは、競争相手ができることでもありますから」

高岸「……僕の現役のときの、レギュラー争いも、かなり大変でした!」
77 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:14:02.79 ID:h6dCP4IfO

高岸「だからこそ、あなたを応援してくれる人が、そばにいることが、大切だと思うんです」

夏葉「あら。それはアナタのことかしら?」

高岸「いえ! チーム283プロのみんな、ですよ!」ニコニコ

夏葉「……そう」

夏葉(それは、アナタも含まれているんじゃないかしら?)
78 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:14:58.32 ID:h6dCP4IfO

夏葉「……」グッグッ

夏葉「ねえ、プロデューサー?」

高岸「はい!」

夏葉「私、銀河一のアイドルになるわよ」

高岸「はい! 見届けます!」

夏葉「……ふふ。出来っこない、とは言わないのね」

夏葉「普通なら、荒唐無稽だと笑うところでしょう」

高岸「そんなことありません!」

高岸「僕が言ったことですから!」

夏葉「そういえば、そうだったわね」

高岸「はい! それに……」
79 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:16:10.44 ID:h6dCP4IfO

高岸「出来ないから荒唐無稽なのではなく、挑戦しない理由づけに、バカバカしいと笑うのです!」パァァ

夏葉「……」

高岸「全力で挑戦し、ベストを尽くして、それでも出来なかったら、その時あなたはきっと……」

高岸「荒唐無稽だったな、と笑えるでしょう」

高岸「真夏の練習のあとに、シャワーで汗を流した時のような、清々しい笑顔でね!」ニコニコ

夏葉「……!」

夏葉(どうしてかしらね……)

夏葉(プロデューサーの言葉を聞くと、私の中の闘志にまた火がついたように感じられる)
80 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:17:55.90 ID:h6dCP4IfO

高岸「言わずもがな! 僕は本気で、宇宙で試合をしてみたいと、思っていますが!」ニコッ

夏葉「……そうね」

夏葉「私もよ、プロデューサー」

夏葉「宇宙の果てまで、しっかりついて来なさい!」ビシッ

高岸「もちろんです!」

高岸「やれば、できる!」パァァ


<絆のリベンジマッチ編・終わり>
81 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/25(金) 22:20:17.52 ID:h6dCP4IfO

次編はまた後日になります
よろしくお願いします!
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/25(金) 22:27:23.60 ID:le7c1y2Eo
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/25(金) 22:29:05.57 ID:Zodp5AGEo
おつおつ
あと二人はどうスカウトするんかなぁー楽しみ
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/09/26(土) 06:29:36.82 ID:o5XFooIl0
おつ
高岸しか知らないけど面白い
85 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/09/28(月) 20:53:12.59 ID:USaHMgWRO
いつも応援レス、ありがとうございます
励みになってます!
このスレがきっかけになって、高岸も放クラも(あと前田も)知ってもらえたら嬉しいです!

今日は幕間の5.5話と6話になります
86 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 20:54:38.31 ID:USaHMgWRO

<幕間・智代子と朝のランニング編>


〜283プロダクション・事務所そば〜


高岸(昨日の晩、智代子さんから「朝のランニングに付き合って欲しい」と、電話がありましたが……)

智代子「……プロデューサーさーん!」タッタッ

高岸「あ、智代子さん! おはようございます」

智代子「おはようございますっ!」

高岸「ジャージ姿も、似合っていますね!」

智代子「あはは、ありがとうございます。これって喜んでも良いのかなぁ……」

智代子「プロデューサーさんはいつもスポーツウェアだから、違和感がありませんね」

高岸「はい! いつでも野球ができる、この格好が、僕のユニフォームです!」オレンジ!

智代子「ふふっ」ニコニコ
87 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 20:55:27.72 ID:USaHMgWRO

智代子「それで、ランニングなんですけど……」

高岸「はい! 智代子さんの好きに走ってください! 追いかけますから」

智代子「あ、ありがとうございます。私、たぶんペース遅いので、助かります」

智代子「……」

高岸「どうしましたか?」
88 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 20:58:23.06 ID:USaHMgWRO

智代子「……あの、聞きたいことがありましてっ」

高岸「どうぞ!」

智代子「どうして急にランニング……って思いませんでしたか?」

高岸「思いません!」

高岸「誰でも、思い立った瞬間に、スタートを切っていいんですから!」

高岸「それに……なんとなく、智代子さんの気持ちが分かるんです!」

高岸「夏葉さんの姿を見て、自分も頑張りたいと、そう思ったんですよね?」

智代子「……やっぱり、分かっちゃうんですね。すごいなぁ」

高岸「監督ですから! ちゃんと見ているつもりですよ!」

智代子「ふふっ。それはそれで、照れちゃいますね」
89 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 20:59:18.65 ID:USaHMgWRO

智代子「……私、この間のレッスンで痛感しました」

智代子「夏葉ちゃんも、樹里ちゃんも、私より体力もセンスもある」

智代子「同じユニットでも、最初から大きな差をつけられちゃってる」

智代子「それで、私も負けたくない! って思ったんです」

高岸「そう思って実行に移せるのは、素晴らしいことだと思います!」

智代子「えへへ。ありがとうございます」

智代子「それで、その……」

智代子「プロデューサーさんは、大丈夫ですか?」

高岸「……?」

智代子「この前夏葉ちゃんを勧誘したとき、なんか変な感じだったなーって……」

智代子「あー、でも! 特に何もなければ良いんですけどっ!」
90 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:00:08.00 ID:USaHMgWRO

高岸「……智代子さんは、僕のことを、よく見てくれているんですね!」

智代子「いえ、そんなこと……」

高岸「あの時は、自分を見失いそうに、なってしまいましたが……」

高岸「僕はもう、大丈夫です! 応援の大切さ、しっかり思い出せましたから!」パァァ

智代子「ふふ、それなら良かったです」

智代子「えっと……今日は、ホントはこの話をしたかっただけで……」

智代子「ランニングはついでといいますか……」テレテレ

高岸「そうでしたか!」ニコッ
91 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:02:01.92 ID:USaHMgWRO

高岸「智代子さんの気持ち、しっかり、受け止めましたよ!」

高岸「大丈夫! 僕たちなら、やれば、できる!」パァァ

智代子「ふふっ! それじゃあとことん、やりますよー!」

智代子「プロデューサーさん! 一緒にランニング、お願いしますねっ!」タッタッ

高岸「はいっ!」

高岸「イッチッサッシィーッ!!」タッタッ

智代子「あははっ。もう、何ですかそれー!」


<智代子と朝のランニング編・終わり>
92 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:02:37.40 ID:USaHMgWRO

↓第6話です!↓
93 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:03:56.78 ID:USaHMgWRO

<高岸とめぐりあわせの糸・前編>


〜某日・283プロダクション・事務所〜


智代子・樹里・夏葉「買い出しジャンケン」

三人「じゃーん、けーん」

三人「ぽんっ!」チョキ! パー! チョキ!

樹里「だーっ! 負けた!」

夏葉「樹里、アナタ本当にジャンケンが弱いわね……」

智代子「あ、あはは。こっちが申し訳なくなっちゃうよね……」

樹里「くっ……!」

高岸「買い出しなら、僕が行きますよ?」

樹里「──いいんだよ、アタシが負けたんだから」
94 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:05:36.16 ID:USaHMgWRO

樹里「それに、プロデューサーはもっとやるべきことがあんだろ?」

高岸「……! そうでした!」

高岸「選手がいなければ、試合は出来ない!」

智代子「5人揃わないとデビューできない……私たちは永遠にレッスンし続けることに……」フルフル

樹里「こえー想像をするんじゃねーよ……」

夏葉「ふふ。デビューまで二人を完璧に鍛えてあげるわ!」

智代子「言わなきゃ良かった〜……」

高岸「あはは! 日々の練習も大事ですからね!」
95 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:06:29.14 ID:USaHMgWRO

高岸「では! 樹里さん、智代子さん、夏葉さん、レッスン頑張ってくださいね!」ニコッ

樹里「おう」

智代子「はいっ!」

夏葉「任せなさい」

高岸「では早速、スカウト行って来ます!」ガチャリ

四人「いってらっしゃーい!」フリフリ

樹里「じゃあ、アタシも」

はづき「領収書、忘れないでくださいねー!」

樹里「はーい」ガチャリ
96 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:07:16.40 ID:USaHMgWRO

〜都内・某所〜


樹里「んーと……スポーツドリンク、ゼリー……グミ……」

樹里「こんなもんでいっか。あんま余計なモン買うと(智代子が食べまくって)夏葉に怒られそうだし……」

樹里「……これ、お願いします。あと、領収書ももらえますか?」
97 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:07:57.39 ID:USaHMgWRO

ウィーン


店員「ありがとうございましたー」

樹里「よしっ。さっさと事務所に戻らない……と……」

犬「……」ジーッ

樹里(い、犬っ? さっきは居なかったのに)

樹里「な、なんだよ」

犬「わんっ!」

樹里「わっ! 急に吠えんじゃねー!」

犬「……」オスワリ

犬「ハッハッ……」シッポフリフリ

樹里「……なかなか賢いな、お前……」
98 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:08:39.71 ID:USaHMgWRO

樹里「よ、よし。そのまま、そのまま……」アトズサリー

犬「……」テクテク

樹里「なっ……! なんでついてくんだよ!」

犬「わんっ!」

樹里「ひゃっ……! ぅわあああぁぁぁぁ!」ダッ
99 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:10:17.48 ID:USaHMgWRO

・・・・・


凛世「……」テクテク

凛世「赤……赤……あっ……」

凛世「郵便ポストは……ここにございましたか」

凛世「……」トスッ

凛世「山藤は 根元を離れて 頼りなし」

凛世(「根元」は、ルーツ……「頼り」は、便り……)

凛世(……ふふ)クスッ

凛世(我ながら……凡庸な言葉遊び……)




凛世(……姉様)

凛世(凛世は、何故この街に参ったのか……それすら……)

100 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:11:02.61 ID:USaHMgWRO

<なっ なんでついてくんだよ!


凛世「……?」

犬「わんっ!」

樹里「……こっちにくんなぁーっ!」ダダダッ

犬「わんわんっ!」

樹里「ひっ!」バッ

凛世「……あ、あの……」

凛世「凛世の後ろに隠れられては……その……」オロオロ

樹里「──悪い! 誰か知らないけど、この犬、頼む!」ダッ

凛世「……!」

樹里「ごめんな!」
101 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:11:33.64 ID:USaHMgWRO

凛世(行ってしまわれました……)

凛世「……」

犬「……」ジーッ

凛世「……」ジーッ

凛世(湧き水のように……澄んだ目……)
102 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:12:37.31 ID:USaHMgWRO

犬「わんっ」

凛世「きゃっ……」ビクッ

犬「ハッハッ……」シッポフリフリ

凛世「……!」

凛世(撫でて、と……聞こえた気がいたしました……)

凛世「ふふ……」

凛世「初めてなのでございます……犬と触れ合うのは……」

凛世「……」ナデナデ

犬「……」ペロ

凛世「ふふっ」
103 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:13:33.72 ID:USaHMgWRO

凛世「そういえば……貴方の、お名前は……」

犬「ハッハッ……」キラッ

凛世(あ……首輪に、なにか……)


『マメ丸』


凛世「マメ丸さんというのですね……」

マメ丸「わんっ!」

凛世「互いに、親元を離れ一人旅……」

凛世「これもきっと……縁というもの……」

凛世「貴方の主……探しに参りましょうか」

マメ丸「わんっ!」ダッ

凛世「あっ……! マメ丸さん……!」
104 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:14:23.37 ID:USaHMgWRO

凛世「お待ちくだ──」


ブチッ


凛世「きゃっ……」バタッ

凛世(下駄の、鼻緒が……)

凛世(マメ丸さん……もう、あれほど遠くに……)

凛世(……また、独り……)ショボン

凛世(凛世は……)

凛世(枯れてしまいそうです……)ウルウル
105 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:15:46.36 ID:USaHMgWRO

高岸「ハッ、ハッ……」タッタッ

高岸「──おや? 大丈夫ですか?!」

凛世「……?」ビクッ

凛世「凛世の、ことで……ございましょうか……?」

高岸「はい! もしかして……」

高岸「観戦チケットをなくしてしまいましたか?」

高岸「すみません。今日は僕も、チケットは持ち合わせてなくて……」

凛世「いえ……その……」
106 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:16:46.57 ID:USaHMgWRO

高岸「……!」

高岸「これは、あまり見たことがない靴ですね!」

高岸「裏には、大きなスパイク……どんなスポーツで使うんですか?」

凛世「えっと……日本舞踊……で、ございましょうか?」

高岸「……? 何やらカッコいい響きですね! 魔球の名前みたいだ!」
107 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:18:23.48 ID:USaHMgWRO

高岸「とりあえず、このままでは歩けませんし……」

高岸「僕にはこの靴は直せませんが、直せるかもしれない人を、知っています!」

高岸「だから、任せてください!」ガバッ

凛世「ひゃっ……!」

高岸「行きますよ! しっかり掴まっていてください!」ダダダッ

凛世(この殿方は……)グッ

凛世(……)

凛世(凛世は、いずこへ……?)


<高岸とめぐりあわせの糸・前編・終わり>
108 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/28(月) 21:19:17.44 ID:USaHMgWRO

次回は明日です!
よろしくお願いします
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/28(月) 21:20:26.16 ID:uoGI6tKlo
おつおつ
本当に喋ってるの再生されるわ上手い
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/29(火) 00:03:01.62 ID:VSVxxYHTo
乙乙
111 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/29(火) 21:26:34.19 ID:hDQB5pcgO

乙ありです!
今日は7話になります
112 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/29(火) 21:31:02.89 ID:hDQB5pcgO

<高岸とめぐりあわせの糸・中編>


〜283プロダクション・事務所〜


樹里「はぁっ……はぁ……」ガチャリ

夏葉「おかえりなさい」

智代子「おかえり〜」

夏葉「って、あら? そんなに息を切らして、どうしたのかしら?」

樹里「ちょっと……走ってきた……」ハァハァ

夏葉「樹里、あなた……」

夏葉「レッスン前からそんなに気合い入ってるなんて、流石だわ!」

樹里「……そんなんじゃねーよ!」

智代子「樹里ちゃん。それで、後ろのお客さんはどうしたの……?」

樹里「後ろ? ……おわっ!」ビクッ

マメ丸「わんっ!」
113 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/29(火) 21:32:10.17 ID:hDQB5pcgO

樹里「なっ、なんでコイツがここにっ?!」バッ

夏葉(私を盾に……?)

智代子「樹里ちゃん、もしかして犬が苦手なの?」

樹里「ちっ、ちげーよ! 急に吠えてくるからビックリしただけだ!」

智代子「そうなんだ〜。ふふふ」クスクス

樹里「智代子っ!」

夏葉「とりあえず、顔見知りではあるみたいね」

樹里「……まぁ、な……」

智代子「階段も頑張って登ってきたんだね〜えらいえらい」ナデナデ

智代子「って、廊下がワンちゃんの足跡だらけだよ! 樹里ちゃん!」

はづき「あ〜……私が掃除しておきますね〜」

樹里「すみません……」

夏葉「脚、拭いてあげるわね」

マメ丸「わんっ」シッポフリフリ
114 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/29(火) 21:33:00.91 ID:hDQB5pcgO

・・・・・


高岸「ただいま戻りました!」ガチャリ

樹里「随分はえーな、って……」

樹里「アンタ、さっきの……」ボソリ

智代子「お、お姫様抱っこ?!」キャー

高岸「すみません、ずっと抱えたままで……よいしょっ、と」

凛世「いえ……」

夏葉「プロデューサー。その人は、どうしたのかしら?」
115 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/29(火) 21:33:46.39 ID:hDQB5pcgO

高岸「はい! 道端で倒れていましたので、連れてきました!」

智代子「プロデューサーさん……」

智代子「それは、拉致っていうんですよ……?」

高岸「えっ!」

凛世「あの……」ボソリ

樹里「……終わったな、アタシら」

智代子「あはは、本当にデビューできないまま終わるなんて……」ガックリ

夏葉「まだよ、二人とも。もう少し、被告人の供述を聞きましょう」

夏葉「プロデューサー! 洗いざらい、白状しなさい!」
116 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/29(火) 21:34:45.75 ID:hDQB5pcgO

智代子「──待った! その前に、ちょっと状況を説明しないと!」ババンッ

智代子「えーっと……私たちはこの283プロダクションのアイドルで、私は園田智代子といいます」

智代子「そしてこの背が高くてオレンジな人が、私たちのプロデューサーさん」

高岸「高岸、です!」

智代子「で、ここが私たちの事務所になりますっ。怪しい者ではありませんので……」
117 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/29(火) 21:35:46.98 ID:hDQB5pcgO

凛世「……貴方さまが、アイドルのプロデューサーさま……」

凛世「そしてこちらが……アイドルの皆さま……」

凛世「私は……杜野凛世と申します」

凛世「何卒、よしなに……」シトヤカ

智代子「すごい! 凛世さんって、大和撫子って感じですね!」

凛世「いえ、そのようなことは……」

凛世「凛世は高校生の身……どうぞ、凛世と……」

智代子「おんなじ! じゃあ、凛世ちゃんで!」ニコッ

樹里「スカウトされた訳じゃねーっぽいけど……樹里だ。一応、よろしくな」

夏葉「夏葉よ、よろしく。それで……プロデューサー?」
118 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/29(火) 21:36:36.65 ID:hDQB5pcgO

高岸「はい! 僕が、スカウトがてらランニングしていると、道端にこの方が倒れていました!」

樹里「……もうツッコんでいいか?」

智代子「樹里ちゃん、待て!」

樹里「アタシは犬じゃねー!」

マメ丸「わんっ!」

凛世(……あれは……マメ丸さん……?)

高岸「話をしたら、靴が壊れてしまったらしく、はづきさんに直してもらおうと……」

はづき「えぇ〜? 私ですか〜?」

はづき「これは、下駄ですね。私には直せませんよ」

高岸「そんな! 社長にお聞きしましたよ!」

高岸「はづきさんは、野球盤をバーベルで、直したことがあると!」

はづき「配電盤を、バールで、ですよ〜。あと、フタをこじ開けただけです〜」

智代子(それはそれでスゴイんじゃ……?)
119 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/29(火) 21:39:11.87 ID:hDQB5pcgO

高岸「そうですか……どうすれば……」

智代子「あ、あの。私、応急処置ならできるかも……」

高岸「智代子さん! あなたは僕の救急車だ!」

智代子「違いますよ?!」

智代子「とりあえずプロデューサーさん、ハンカチください」

智代子「あとは五円玉が必要だけど……」

樹里「ほら。買い出しのお釣りのやつ」

智代子「ありがとー、樹里ちゃん!」

智代子「あとは、ここをこうして……出来上がり!」

智代子「あっ……右が赤で、左がオレンジ……」アチャー

智代子「ちょっと変になっちゃったけど……どうでしょう?」

凛世「ありがとうございます、智代子さん……!」パァァ

凛世「皆さんも……凛世のために……」

高岸「僕からも、みんな、ありがとう!」ニコッ
120 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/29(火) 21:40:20.23 ID:hDQB5pcgO

高岸「それで、さっきから気になっていたんですが」

高岸「夏葉さんが抱えているワンちゃんは、誰かのご家族ですか?」

樹里「あぁ、それなんだけどさ……」

夏葉「さっき、樹里が連れてきちゃったのよ」ナデナデ

マメ丸「わんっ」

樹里「……悪ぃ。この話、実はもうちょっとあって」

樹里「買い出しの帰りに、凛世に押しつけて逃げてきたんだ」

夏葉「……それであんなに驚いていたのね」

樹里「凛世、本当にゴメン!」

凛世「いえ、お気になさらず……」

凛世「凛世はただ……マメ丸さんが……」

凛世「主に会えなくて……寂しい思いをしていないかと……」ナデナデ

マメ丸「くぅーん……」

夏葉「そうね……今頃、飼い主も必死になって探しているはずだわ」
121 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/29(火) 21:40:51.48 ID:hDQB5pcgO

樹里「──あ、あのさ」

智代子「どうしたの? 樹里ちゃん」

樹里「コイツの……マメ丸の飼い主、どうにか見つけてやれないかな?」

樹里「アタシ、凛世にも、マメ丸にも酷いことしちまったし……」

樹里「ちゃんと送り届けるとこまで、面倒見てやりたいんだ」

樹里「頼む! 手伝ってくれ!」
122 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/09/29(火) 21:42:24.70 ID:hDQB5pcgO

凛世「樹里さん……」

智代子「樹里ちゃん、もちろんだよ!」

夏葉「そうよね。寂しそうにしている子を放っておくなんて、アイドルの風上にもおけないもの!」

夏葉「ね、プロデューサー?」

高岸「はい! 人助けも、犬助けも、立派なアイドル活動です!」

高岸「飼い主さんと、マメ丸さんの笑顔のために、頑張りましょう!」

高岸「僕たちなら、やれば、できる!」パァァ

みんな「おー!」


<高岸とめぐりあわせの糸・中編・終わり>
123 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/09/29(火) 21:43:38.06 ID:hDQB5pcgO

次回は後日更新します!
どうぞ、よしなに…
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/29(火) 22:16:08.26 ID:CLsoSShBo
おつーまた明日
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/29(火) 22:23:11.96 ID:O23T+iVko
おつおつ
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/30(水) 02:41:08.56 ID:VNuNXpfSo
面白いの見つけれたわ!
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/30(水) 10:36:26.52 ID:wd33eY4Lo
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/30(水) 11:34:24.22 ID:a5uvL5nco
おつ
ちょこ先輩ははやくカホの前でえっちな服着てほしい
129 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/01(木) 18:29:59.55 ID:zKrEYBCKO

お待たせしました!
いつもレスありがとうございます
今日は8話になります
130 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/01(木) 18:31:27.40 ID:zKrEYBCKO

<高岸とめぐりあわせの糸・後編>


〜283プロダクション・事務所〜


夏葉「とはいえ、どうやって探したらいいのかしらね」

夏葉「普通、迷子犬は保健所などに届け出るのだけれど」

高岸「マメ丸さんに、おうちまで案内してもらうのは、どうでしょう?」

マメ丸「わんっ」

樹里「それは流石に厳しいんじゃねーか?」

智代子「ふっふっふ……」

凛世「智代子さん……?」

高岸「智代子さんが、9回表にスクイズで勝ち越しを狙う、監督のような顔をしていますね!」

樹里「どんな顔だよ」

夏葉「あら、本当ね」

樹里「……なんで夏葉は分かんだよ」

智代子「と、とりあえず、私の思いつきを聞いてもらってもいい?」

樹里「おう」

凛世「はい……」
131 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/01(木) 18:32:33.15 ID:zKrEYBCKO

智代子「……夏葉ちゃんが言った通り、飼い主さんは保健所とかに連絡してると思うんだけど」

智代子「最近はネットに写真をあげて、見つけた人に直接連絡してもらうっていうのも結構あるみたいなんだ」

智代子「そういう投稿、ツイスタに結構あるから私もよく目にしてて……」

凛世「なるほど……そうした投書から、マメ丸さんを探している方を……」

智代子「そう! こっちから見つけられるかも!」

高岸「智代子さん、あなたは和製シャーロック・ホームズだ!」

高岸「今すぐここを、283探偵事務所に変えましょう!」

はづき「ダメですよ〜、プロデューサーさん」

夏葉「智代子、ナイスアイディアだわ! 早速ネットで探してみましょう!」

みんな「おー!」
132 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/01(木) 18:33:33.39 ID:zKrEYBCKO

夏葉「私は関東地域の迷子犬掲示板をあたってみるわ」

凛世「では、凛世も……」

高岸「僕も、手伝いますよ!」

智代子「じゃあ、樹里ちゃんと私でツイスタだね」

樹里「お、おう!」

智代子「……? どうしたの?」

樹里「い、いや。アタシ、スマホ苦手だから……」

智代子「うん、知ってるよ」

樹里「……智代子と一緒でよかった、とか……」ボソリ

智代子「……ゴメン、よく聞こえなかったんだけど……」
133 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/01(木) 18:34:28.64 ID:zKrEYBCKO

樹里「だから……」

樹里「智代子が、みんなが手伝ってくれて、すげー嬉しかった、っつーか……」テレテレ

樹里「その……ありがとな」

智代子「うん。どういたしまして」

智代子「……あーもー! そんなに照れながら言われたら、こっちも恥ずかしくなっちゃうな〜」

樹里「てっ……照れてねー!」

智代子「えー? 樹里ちゃん、顔真っ赤だよ? ね、プロデューサーさん」

高岸「はい! 猿のお尻みたいに、真っ赤っ赤ですよ!」

樹里「もっとマシな例えはなかったのかよ! まったく……」
134 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/01(木) 18:36:10.77 ID:zKrEYBCKO

樹里「……チョコ、ツイスタの使い方教えてくれ」

智代子「チョコ、って私?」

樹里「他に誰がいんだよ」

智代子「た、たしかに……? ちよこ、でチョコってことだよね」

樹里「そうだよ。悪いか?」

智代子「……ふーん」

智代子「樹里ちゃんって急に人のことあだ名で呼んだりするんだ」

樹里「人をおちょくるようなのは、あだ名で十分だ」

智代子「……もう、しょうがないなー」ニヤニヤ

高岸(……あの二人、息ぴったりですね!)

高岸(まるで、長年バッテリーを組んでいたかのような……)

高岸(僕の見ていないところでも、二人は成長していたんですね!)ニコニコ
135 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/01(木) 18:37:17.26 ID:zKrEYBCKO

・・・・・


樹里「ん……これか……?」

智代子「樹里ちゃん、見つけたの?」

樹里「……たぶんな」

夏葉「私たちにも見せて頂戴」

樹里「ああ、ほら」スッ

凛世「この写真……マメ丸さんに、間違いありません……」

夏葉「そうね、首輪の色も一緒だわ」

智代子「ということは……!」

夏葉「飼い主発見よ! お手柄ね、樹里!」

高岸「樹里さん、あなたならできると、僕は信じていましたよ!」グッ

樹里「ありがとな、夏葉、プロデューサー」

樹里「……でも、まだやることが残ってる」

智代子「そうだね! このkomiyaさんって人に、ちゃんと送り届けてあげないと」

凛世「はい……それが、樹里さんの決意……」

高岸「そうでしたね!」
136 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/01(木) 18:38:06.39 ID:zKrEYBCKO

夏葉「komiyaさんには私が連絡しておくわ」

夏葉「それで、マメ丸を連れて行く人はどうするの? プロデューサー」

高岸「もちろん、みんなで、行きましょう!」グッ

夏葉「……ふふっ、その言葉を待っていたのよ」

高岸「僕も、言いたくてうずうずしてました!」

智代子「ど、どういうこと……?」

凛世「ふふ……マメ丸さん……もうすぐ、あなたの主に会えましょう……」

凛世「ですから……今しばらくは、共に……」ナデナデ

マメ丸「わんっ」
137 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/01(木) 18:39:44.76 ID:zKrEYBCKO

・・・・・


〜都内・某所・公園〜


高岸(ここは、いつもの公園ですね! いい空気だ!)スーハー

樹里「……ここが約束の場所か?」

夏葉「ええ。引き渡しはこの公園で合っているわ。komiyaさんを探してみましょう」

高岸「コミヤさああああああんっ!!」

樹里「ばっ──!? なに急に叫んでんだよっ!」

高岸「すみません! これが手っ取り早いと、思ったので!」

凛世「……?」

凛世「プロデューサーさま……」ツンツン

高岸「どうしましたか?」

凛世「あちらから……人が……」

マメ丸「わんっ!」ダッ
138 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/01(木) 18:41:38.28 ID:zKrEYBCKO

果穂「マメ丸っ!」ギュ

果穂「よかったぁ……! 家からいなくなった時は、どうしちゃったんだろうって」

果穂「いっぱい探して、心配したんだからね!」

マメ丸「わんわんっ」ペロペロ

果穂「……ふふっ! もう離さない!」ギュッ

果穂母「あの、連絡くださった──ジュリさんですか?」

樹里「え、あ、はい。樹里はアタシだけど……」

樹里「夏葉……じゃねーのか?」

夏葉「ほら、早く行きなさい」

果穂母「私たちが、マメ丸の飼い主の小宮です」

果穂母「本当に、ありがとうございました!」ペコリ

樹里「いや、そんな……」

果穂母「この子……果穂が朝からずっと泣きじゃくっていて」

果穂母「マメ丸が見つからなかったらと思うと、私も……」ウルウル
139 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/01(木) 18:42:21.72 ID:zKrEYBCKO

樹里「──あ、あのっ!」

樹里「アタシも、飼い主さんが見つかって、ホントに良かったって思います」

樹里「知らない犬がずっとついてきた時は戸惑いましたけど……」

樹里「だから、その……笑ってください。果穂さんの為にも」ニコッ

果穂母「……はい! 本当に、ありがとうございました!」ペコリ

夏葉「……樹里」

樹里「な、なんだよ。柄じゃねーのは自覚してるよ」

夏葉「頑張ったわね」

樹里「……うるせー」フイ
140 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/01(木) 18:43:28.99 ID:zKrEYBCKO

果穂(あれ? あの人って……)

果穂「あ、あの……」モジモジ

高岸「はい、何でしょう?」

果穂「この名刺をくれた、プロデューサーさん、ですよね?」

高岸「あっ! あなたは、あのときの!」

智代子「えっ。プロデューサーさん、スカウトしてたんですか?」

高岸「えっ?」

智代子「えっと、果穂さん……だよね?」

果穂「はい! 小宮果穂、12歳! 小学6年生です!」

智代子「え……えぇーーっ?!」
141 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/01(木) 18:44:17.25 ID:zKrEYBCKO

智代子「小学生なのに私より背が高い……じゃなくて!」

智代子「プロデューサーさん、どういうことなんですか!」

高岸「僕は、名刺をお渡ししただけです!」

智代子「あ、そうなんですか?」

果穂「はい! そうです」

果穂「それで、その……」モジモジ

果穂「プロデューサーさん、あたしも……」

果穂「──あたしも、アイドルになれますか?」

凛世「……!」ビクッ
142 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/01(木) 18:45:29.37 ID:zKrEYBCKO

果穂「あたし、ヒーローにあこがれてて……」

果穂「調べてみたら、アイドルもヒーローみたいにみんなを笑顔にするんだ、って」

果穂「あたし、みんなを笑顔にできる、アイドルになりたいですっ!」ニコッ

高岸「もちろん! なれますよ!」

高岸「あなたの笑顔、僕も癒されました! そんなあなたの笑顔を待っている人が、世界中にいます!」

高岸「そして今の、アイドルになりたいという、あなたの勇気! まさに、ヒーローにふさわしいものでした!」

高岸「プロデューサーとして、あなたに背中を押された気分です!」

果穂「それじゃ……!」

高岸「はい! これから、よろしくお願いします!」ニコッ

果穂「……わぁー! やったー! あたしが、アイドル……!」キラキラ

智代子「私も嬉しいよー! 良かったね!」ギュッ

果穂「はいっ! 本当に嬉しいです!」ギュッ

果穂「もうお母さんにもお父さんにも、アイドルになりたいって伝えてありますっ!」

樹里「は、はえーな……」

夏葉「準備万端なのは良いことよ!」ビシッ
143 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/01(木) 18:46:48.24 ID:zKrEYBCKO

凛世「ぷ、プロデューサーさま……」ソワソワ

高岸「はい!」

凛世「凛世も……」

凛世「凛世も、アイドルに……」

高岸「……!」

凛世「あの赤の鼻緒が切れて、また結ばれたとき……この橙が、縁の糸なのだと思いました……」

凛世「そして、心に決めたのでございます」

凛世「貴方さまに、一生、ついて参ろうと……」

智代子(もはや愛の告白だよ! 凛世ちゃん!)

凛世「プロデューサーさま……」

凛世「どうか、凛世を……」

高岸「もちろんですよ! 凛世さん!」

高岸「最初にあなたと話したとき、あなたの、カンガルーのような懐の深さに、感動しました!」

高岸「マメ丸さんに対する、あなたの優しさで、僕もみんなも、飼い主さん探しに前向きになれました!」

高岸「放クラには、あなたが必要です! これから一緒に、銀河一のチームを、目指していきましょう!」ニコッ

凛世「……はい……!」パァァ

凛世「……不束者ですが、どうぞ、よろしくお願いいたします」ペコリ
144 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/01(木) 18:48:53.10 ID:zKrEYBCKO

樹里「まさか一気に二人揃うなんてな……」

樹里「でも、最後の一人が凛世で、なんか安心した」

智代子「ふふっ! そうだね」

夏葉「これでついに、五人揃ったというわけね」

夏葉「やるじゃない。プロデューサー」

高岸「僕は何もしていませんよ! 皆さんが、力を合わせた結果です!」

凛世「皆さま、これからよろしくお願い申し上げます……」

果穂「よろしくお願いしますっ!」

智代子「こちらこそ! 二人とも、よろしくね!」

樹里「ああ、よろしくな!」

夏葉「よろしく。ふふっ、みんないい顔してるわね!」
145 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/01(木) 18:50:04.58 ID:zKrEYBCKO

樹里「……なあ、提案なんだけどさ」

夏葉「あら? 何かしら」

樹里「円陣、組まねーか? せっかくの結成だし、なんかやりてーなって思って……」

凛世「それは、名案でございます……」

果穂「エンジン! 楽しそうですーっ!」

高岸「良いですね! やりましょう!」

智代子「かけ声は、プロデューサーさん! お願いします!」

高岸「はい! かけ声は、そうですね……」

高岸「放クラァ! 絶対絶対優勝するぞォ! ウェイ! で!」

樹里「……」ジーッ

高岸「えっと……じゃあ……」

高岸「放課後クライマックスガールズ! 最強のアイドルに、変身! で、どうですか?」

果穂「わぁ……! カッコいいですっ!」キラキラ

夏葉「良いじゃない! それでいきましょう」
146 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/01(木) 18:50:45.60 ID:zKrEYBCKO

「……みなさん、準備は良いですか?」

「はい……」
「はーい」
「はいっ!」
「おう」
「いつでもいいわよ」

「では、いきますよ!」

「放課後クライマックスガールズ!」

「最強のアイドルに……」

「変身!!!!!」


<高岸とめぐりあわせの糸・後編・終わり>
147 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/01(木) 18:51:44.34 ID:zKrEYBCKO

次回更新は明日の予定です!
よろしくお願いします
148 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/10/01(木) 18:53:34.33 ID:zKrEYBCKO

age忘れたので再度レスを…
すみません
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 19:06:54.10 ID:h5Z/7IBYO
おつー
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/01(木) 19:19:12.80 ID:TmSSbESpo
おつおつ!
151 : ◆60viGNJ69k [saga]:2020/10/02(金) 19:53:25.63 ID:20AhvhR3O

おつありです!
今日は9話になります
それでこれからの展開なのですが…

前回までが結成編、ここからはWING編ということで、高岸と放クラがWING戦を戦い抜いて一区切りにしたいと思っています
もうしばらく、お付き合いください!
よろしくお願いします
152 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/02(金) 19:54:34.52 ID:20AhvhR3O

<高岸・幕開けの予兆編>


〜283プロダクション・事務所〜


・・・・・


凛世「なるほど……果穂さんは、特撮番組がお好きなのですね……」

果穂「はい! 『ジャスティスV』っていう、ヒーローが大好きです!」

果穂「こうやって……はっ! 変身! ジャスティスレッド! っていう感じで戦うんです!」

夏葉「あら、キレがあって良いアクションね!」

樹里「へー。ポーズも覚えてるなんて、本当にヒーローが好きなんだな」

果穂「はいっ!」ニコニコ

智代子「ふふっ、今日はそんな果穂のために、こんなものを用意してきたんだー」
153 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/02(金) 19:55:41.58 ID:20AhvhR3O

智代子「じゃーん!」

果穂「! これって……!」キラキラ

智代子「そう! ジャスティスVのコラボお菓子だよ!」

果穂「わぁー! ちょこ先輩、ありがとうございます!」

樹里「……? チョコ、なんで果穂が好きなヒーローまで知ってんだ?」

智代子「プロデューサーさんに聞いたんだ。スカウトする前に公園でヒーローごっこしてたんだって」

樹里「そうだったのか。アイツ、結構目ざといんだな」

夏葉(目ざとい……確かにそうかもしれないわね)
154 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/02(金) 19:57:28.13 ID:20AhvhR3O

智代子「あ、凛世ちゃんにもあるんだよ〜」

凛世「凛世に……?」

智代子「ほら、樹里ちゃん」

樹里「お、おう……とりあえず、凛世が好きそうなのを選んだつもりだけど……」スッ

凛世「……!」

凛世「これは、雀屋さまのどら焼き……!」キラキラ

樹里「気に入ってくれたみたいだな」

凛世「はい、ですが……」

夏葉「遠慮する必要はないわ。ちゃんと全員分あるから」
155 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/02(金) 19:58:36.36 ID:20AhvhR3O

智代子「はい! 果穂の分!」

果穂「わあ! ありがとうございますっ!」

凛世「ふふ……では、ありがたく……」ニコニコ

夏葉「三人で買いに行った甲斐があったわね」コソコソ

樹里「ああ。へへっ」コソコソ

智代子「それと、事務所からお菓子の詰め合わせでしょ〜」ガサゴソ

智代子「あと、これはプロデューサーさんからの差し入れで……」

夏葉「あら? 何かしら」

智代子「じゃん! 高級茶葉!」ドンッ
156 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/02(金) 19:59:25.47 ID:20AhvhR3O

樹里「おー……って、『長寿祈願』って書いてあんぞ……?」

果穂「チョウジュキガン、ってなんですか?」

夏葉「これを飲んで長生きしてね、ってことよ」

果穂「そうなんですか! スゴいお茶ですねっ」

凛世「初摘み……凛世は、お湯を沸かして参ります……」スタッ

樹里「お、おい!」

夏葉「樹里、止めてはいけないわ」

夏葉「凛世、すごく気合入ってたもの。お茶に対する矜持を感じたわ」

樹里「そう、なのか……? 確かにキリッとした顔だったけど」
157 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/02(金) 20:00:12.48 ID:20AhvhR3O

智代子「あはは。今日は二人の歓迎会のつもりだったけど……」

智代子「凛世ちゃんがいれてくれるなんて、楽しみだしね!」

果穂「はい!」

樹里「それもそうだな」

智代子「……それでね、プロデューサーさんからの差し入れのもう一つが〜」ガサゴソ

夏葉「そんなにあるの? プロデューサーも気合い入れたのね」
158 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/02(金) 20:01:32.35 ID:20AhvhR3O

智代子「じゃん! マンゴー・ラッシー!」ドドンッ

樹里「ラッシー……ってアレか?! インド料理の……」

智代子「そう! 美味しいんだよー」

果穂「飲んでみたいですっ!」

智代子「はい、どうぞ!」スッ

樹里「いや美味しいのは分かるけど、なんでって思うだろ」

夏葉「あら、不満なのかしら?」

夏葉「そんな樹里に教えてあげるわ。ラッシーってすごいのよ!」
159 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/02(金) 20:02:59.44 ID:20AhvhR3O

ガチャリ


凛世「……プロデューサーさま……と、社長さま」

果穂「おかえりなさい!」

高岸「ただいま戻りました! 盛り上がっていて、なによりです!」

高岸「今日は祭りですからね!」

社長「……おっと、パーティー中だったのだな」

社長「私は出直すとしよう」

高岸「社長も、参加しましょう!」ニコッ

社長「ふっ。遠慮しておく」

社長「この空気に水を差すほど、野暮ではないのでな」ガチャリ

智代子「……行っちゃいました」
160 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/02(金) 20:03:45.38 ID:20AhvhR3O

夏葉「プロデューサー」

高岸「はい! なんですか? 夏葉さん」

夏葉「社長が今、『出直す』と言っていたけれど、どういうことかしら……?」

高岸「ああ、それなんですが……」

高岸「後で、社長から直接お話してもらえると思います!」

高岸「今は、パーティーを楽しみましょう!」

夏葉「そう……分かったわ」

高岸「はい!」

果穂「プロデューサーさん! またジャスティス・オレンジやってください!」

高岸「もちろんです! ジャスティス! オレンジ!」シュピーン

果穂「わぁー!」キラキラ

樹里「おー……」
161 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/02(金) 20:05:03.44 ID:20AhvhR3O

樹里「って、それただのピッチングフォームだろ!」ビシッ

夏葉(何か、予感のようなものがあったのだけれど……気のせいかしらね)

凛世「皆さま、お茶が入りました……」

智代子「わー! 凛世ちゃんありがとー!」

凛世「夏葉さん……?」

夏葉「ありがとう、凛世。頂くわ」ニコッ

凛世「はい……」


・・・・・


<幕開けの予兆編・終わり>
162 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/02(金) 20:06:39.17 ID:20AhvhR3O

次回更新は後日です!
書き溜めがないので少し間が開くかもしれません
よろしくお願いします
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/02(金) 20:45:17.04 ID:vbg/Nqq1o
おつおつ
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/02(金) 21:57:36.81 ID:NKtbFF22o
乙乙
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/05(月) 04:24:21.76 ID:1SuNU+rco
ティモンディ2人の始球式感動したわ!前田の高岸をマウンドに立たせる夢が叶って
166 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/06(火) 22:16:38.45 ID:5Vzk1z8FO

始球式、めっちゃ良かったですね!
最初から号泣してる高岸と暖かい雰囲気の球場
高岸の投球がまっすぐ前田のミットに向かっていって、ふたりとも笑いながら泣いていて
いつの間にか、自分も目が潤んでいました
夢の形が変わっても叶えて、人に感動を与えられるティモンディが大好きです

167 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/06(火) 22:17:58.64 ID:5Vzk1z8FO

おつレスもありがとうございます!
10話更新します

それと前回なのですが
今まで天井だったのが社長表記になってました。すみません!
168 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/06(火) 22:19:01.13 ID:5Vzk1z8FO

<10話・ねえねえ、ちょっと話聞いて>


〜歓迎会翌日・283プロダクション・事務所〜


智代子「ふふふ〜」タムタム

樹里「スマホいじりながら何ニヤニヤしてんだ?」

智代子「ふふっ。樹里ちゃんも見る?」スッ

樹里「これって、昨日の写真か?」

智代子「そうだよ〜。この前公園で撮ったのもあるし、レッスンの時のもあるし……」

樹里「お、マメ丸の写真。なかなか上手く撮れてんな」

高岸「本当ですね! マメ丸さんが、生き生きとしています!」ニコニコ

智代子「でしょ〜!」ニコッ

果穂「マメ丸ですか? ちょこ先輩、あたしにも見せてください!」

智代子「どうぞどうぞ!」

樹里「それはそうと、こんなに撮ってどうするんだ? 記念とか?」

智代子「それもあるけど……ツイスタにあげて、放クラの広報と趣味を兼ねようと思って!」

凛世「ふふ……一石二鳥、にございますね」

智代子「そうそう! ふふっ」
169 : ◆60viGNJ69k [sage saga]:2020/10/06(火) 22:19:45.63 ID:5Vzk1z8FO

智代子「……あれ? ちょっと待って」ピコーン

凛世「どうしたのですか……智代子さん……?」

智代子「あのね、ちょっと思いついたっていうか……」

智代子「マメ丸が事務所に来たのって、もしかして……あっ!」

智代子「──樹里ちゃん!」

樹里「なんだ?」

智代子「プロデューサーさんからもらったもの、何か持ってる?」

樹里「え? あぁ……名刺なら、財布に」スッ

智代子「やっぱり!」
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