高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「人から離れたカフェで」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/25(日) 18:45:20.67 ID:rUepDosI0
――おしゃれで、今日は静かなカフェ――

北条加蓮「そっか。また藍子ちゃんのゆるふわ空間が発動しちゃったかー」

高森藍子「そんな言い方しなくっても〜。それに、私がいるといつもよりゆっくり休める、って言ってもらえたんですよ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1603619120
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/25(日) 18:45:55.80 ID:rUepDosI0
レンアイカフェテラスシリーズ第139話です。

<過去作一覧>
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「膝の上で」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「最初にカフェで会った時のこと」

〜中略〜

・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「のんびりうたたねのカフェで」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「思い出のあふれるカフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「朝を過ぎてのカフェテラスで」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「緑色と紅色のカフェテラスで」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/25(日) 18:46:24.28 ID:rUepDosI0
加蓮「藍子のいる休憩時間、か。なんだかそれって、温泉みたいだね」

藍子「……温泉?」

加蓮「うん。藍子のいる休憩時間って言葉が、まず思い浮かぶでしょ?」

藍子「ふんふん」

加蓮「ゲームのキャラクターみたいに一瞬で回復するんじゃなくて、じわじわ回復していくような……そういう感じだと思うんだよね」

藍子「そういう魔法も、ゲームにあるみたいですよ」

加蓮「あ、そうなんだ。あーなんか紗南ちゃんがやってるの見たことあるー。いろいろ自分達を強化してって、それから攻撃してくんだっけ」

藍子「あんまり詳しいことはわかりませんけれど……前に、反撃開始〜! って楽しそうに言っていたのは、覚えてますっ」

加蓮「そういうゲームに藍子がいたら、魔法とか使わなくてもちょっとずつ回復してくれそうだね」

藍子「じゃあ、加蓮ちゃんがいたら……う〜ん。なんだか、こう……相手を、じわじわと苦しめたりしそう……?」

加蓮「それだと敵キャラじゃん! でもそれっぽいけどね」

藍子「でも、ときどき凄く強い魔法を撃つんですっ。相手のスキを見計らったりして……そういうのが得意そうですよねっ」

加蓮「それは否定しない。今もこうして、藍子の隙を窺ってる訳だし?」

藍子「ここはゲームの世界じゃありません……」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/25(日) 18:47:54.53 ID:rUepDosI0
加蓮「で、じわじわ回復するって言ったら温泉かなって」

藍子「それで、温泉を思い出したんですね」

加蓮「そーそー」

藍子「温泉かぁ……。冬になっちゃう前に、1回くらいは行きたいな」

加蓮「昔みたいにまた一緒に行く?」

藍子「ふふ。行きましょうか♪ 加蓮ちゃんと2人もいいけれど、事務所のみんなと行くのもいいですね」

加蓮「それもいいねっ」

藍子「スケジュールを合わせるのは、難しいかもしれませんけれど。それでお風呂上がりにはみんなで卓球大会をやって!」

加蓮「藍子ちゃんプレゼンツ? 景品は何にしよっか」

藍子「そうですね。温泉でのLIVE権とかっ」

加蓮「規模大きすぎない??」

藍子「やっぱり? じゃあ、みんなの前で歌えるってことにしましょう」

加蓮「罰ゲームになってるじゃんっ」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/25(日) 18:48:53.79 ID:rUepDosI0
藍子「温泉もいいですけれど、お風呂の後にお散歩するのもいいですよね。温泉施設でも、色んな場所に面白いものがあって……」

加蓮「ちょっと開放的になっちゃうんだよねー」

藍子「うんうんっ」

加蓮「でもたまには、大人を気取って温泉にじっくり浸かって……こう……そうそう、疲れを取って明日への! みたいなのもいいかもねっ」

藍子「温泉にじっくり浸かると、大人になるんですか?」

加蓮「さぁ?」

藍子「もう。なんですか、それ〜」

加蓮「もしそうなら藍子はじゅうぶん大人だね。のぼせるまで浸かってそう。のぼせたことにも気付いてなさそうだし」

藍子「あはは……。寒くなってくると、つい、家のお風呂にも長く浸かってしまいます。露天風呂になんて行ったら、ずっと出られなくなっちゃうかも」

加蓮「倒れたら運んであげるねー」

藍子「その時は、お願いします」フカブカ

加蓮「しょうがない。お願いされてあげる」フカブカ
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/25(日) 18:49:24.47 ID:rUepDosI0
藍子「〜〜〜♪」

加蓮「……、」チラ

藍子「……今日は、誰もいませんね。他のお客さん」

加蓮「うん……」

藍子「普段から、あんまりにぎわう場所ではないとはいえ……1人もいないっていうのは、ちょっぴり珍しいかも?」

加蓮「なんだかんだ、大抵は1組くらいはいるもんね。……あ、でも、今日だって店員さんがいるよ」

藍子「そうでしたね♪」

加蓮「……で、その店員さんなんだけどさ。さっきから、お客さんがいる時以上に忙しそうにしてない?」

藍子「お店の奥に入ったり、出てきたりですよね。持っているのは……雪の結晶の飾り付け?」

加蓮「冬支度かなぁ。さすがにちょっと早くない?」

藍子「そう、なのかな……?」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/25(日) 18:49:54.35 ID:rUepDosI0
加蓮「……、」

藍子「〜〜〜♪」

加蓮「……」

藍子「〜〜♪」

加蓮「……ふわ……」

藍子「〜〜〜♪」

加蓮「……あ」

藍子「?」

加蓮「ううん。店員さん、また奥に入ってったなーって」

藍子「そうみたいですね。あれっ? さっきの結晶の飾り付け、どこに置いたんだろう……?」

加蓮「さすがに冬支度には早すぎるって気付いて引っ込めたとか?」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/25(日) 18:50:26.97 ID:rUepDosI0
藍子「でも、ほら。カフェの出入り口のところ。小さなモミの木が飾ってありますよ♪」

加蓮「え? あれ、ホントだ……。あんなのあったっけ?」

藍子「私たちが来た時には、置いていませんでしたね。確か……2時間くらい前だったかな? ほら、加蓮ちゃんが、モバP(以下「P」)さんのぐちを言っていた時に――」

加蓮「あれは愚痴じゃないでーす。正当な要求でーす」

藍子「そうでしたね♪ では、加蓮ちゃんが"せいとうな要求"をお話していた時に、店員さん、入り口の辺りで何かされていて」

藍子「その後にはもう、モミの木が置かれてあったから、たぶんその時じゃないかな?」

加蓮「そうなんだ。こっちからじゃ振り返らないと入り口なんて見えないし、全然気付かなかった」

加蓮「カフェにいるのに、そのカフェの風景が切り替わるのって……。ふふっ。なんだかちょっと面白いね」

藍子「時間や季節の変わり目が、少しだけ見えたような……そんな不思議さと、面白さとっ。あと、ちょっぴりだけ寂しさも……。まだ、秋は終わっていないのに」

加蓮「ね」

藍子「ねっ」

加蓮「……私の話をテキトーに聞いてたね?」

藍子「そ、そんなことないですよ〜?」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/25(日) 18:50:54.83 ID:rUepDosI0
加蓮「お、店員さんが出てきた。持ってるのは……レンガ?」

藍子「ということは、暖炉ストーブを設置されているのかも」

加蓮「レンガっぽいインテリアを並べて、その奥にストーブを隠して暖炉っぽくしてるヤツだよね」

藍子「これで加蓮ちゃんも、暖かい思いができますねっ」

加蓮「藍子もでしょー……って、それだけもこもこのセーターならあったかいか」

藍子「少し暑いくらいで……。実は、さっきから脱ごうかどうしようか、ずっと迷っていたり……」

加蓮「そんなことに悩む……?」

藍子「脱いじゃおっと。よい、しょっ……ふうっ」

加蓮「うわ、もわっとしたっ」

藍子「ずいぶん、すっきりしました♪ でもちょっぴり肌寒い気もするから、セーターはお布団みたいにかけて……んっ。あったかい……♪」

加蓮「……なんかずるーい。私も温かくなりたーい」

藍子「加蓮ちゃんも、もうちょっと厚着をすればいいのに……」

加蓮「やだよ。気温が下がる今だからこそ、最後まで肌を見せるコーデを!」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/25(日) 18:51:24.37 ID:rUepDosI0
藍子「そんなところで我慢比べをしていたら、また風邪を引いちゃいますよ?」

加蓮「大丈夫大丈夫。心は熱いから」

藍子「……もうっ。茜ちゃんみたいなこと言ってる」

加蓮「確かに。茜の言いそうなことだ」

藍子「この前、実際に言っていましたよ。ランニングに付き合ってあげた時に、半袖のランニングシャツで寒くないの? って聞いたら、そう答えられました」

加蓮「言ってたんだ」

藍子「茜ちゃんは、たぶん風邪なんて引かないと思うからいいけれど……加蓮ちゃんは、駄目ですっ」

加蓮「えー」

藍子「心配をかけちゃ、駄目ですからね」

加蓮「ちぇ。ま、肌を見せるだけがオシャレじゃないもんね。明日から冬コーデを探してみよっと」

藍子「うんっ。そうしてみましょう」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/25(日) 18:51:54.18 ID:rUepDosI0
加蓮「……」

藍子「〜〜〜♪」

加蓮「……」

藍子「……? ……〜〜♪」

加蓮「……あははっ」

藍子「くすっ♪」

加蓮「えーと。なんか……ちょっと落ち着かないなぁ」

藍子「加蓮ちゃん、さっきからほんのちょっとだけそわそわしていますよね」

加蓮「やっぱりバレる?」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/25(日) 18:52:24.17 ID:rUepDosI0
藍子「たぶん、じ〜っと見て、初めて気がつくくらいだと思いますよ。そうですね〜……。Pさんなら、きっと気がつかないかもしれません」

加蓮「お、さり気なくディスっていく」

藍子「そんなつもりはないですけれど、さっきの加蓮ちゃんのぐちを聞いていたら……なんてっ」

加蓮「しかも人のせいにしていくー」

藍子「うぅ。なんだか、言えば言うほど、私が悪くなっちゃっている気がします……!」

加蓮「藍子ちゃん、悪いんだー」

藍子「ごめんなさいっ」

加蓮「うん、許す」

藍子「ほっ」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/25(日) 18:52:56.21 ID:rUepDosI0
加蓮「もともとそんなにお客さんでひしめきあってる場所でもないし、こうして他に誰もいないなんて珍しくもないハズなのにさ。なんか、そわそわしちゃうんだよね」

藍子「ふんふん……」

加蓮「他にもっと誰かいればいいのに、って。あ、もちろん藍子じゃ物足りないとか言う訳じゃないよ」

藍子「よかった。私では、加蓮ちゃんの寂しさは埋められないのかな? なんて、思ってしまいました」

加蓮「……一応聞くけど、半分くらい違うって分かった上での?」

藍子「ううん、そんなことありませんよ」

加蓮「そう――」

藍子「100%違うと、ちゃんと思えてますからっ」

加蓮「……」

藍子「ねっ♪」

加蓮「……まぁ、膝のセーターに脳を吸い取られてる子の話はほっとくとして」

藍子「膝のセーターに!?」

加蓮「え、違うの?」

藍子「どうしてきょとんとしてるんですかっ。膝にかけているなら、吸い取られるとしたら膝から何かだと思いますっ」

加蓮「いやそういう問題じゃなくない??」

藍子「あれ……?」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/25(日) 18:53:54.59 ID:rUepDosI0
加蓮「……いいや。とにかく……慣れてる筈なのに、いざこうなるとちょっと寂しいね」

藍子「……、」

加蓮「ふふっ。今日は藍子の隣に座っちゃおうかな? あ、でも他に誰も――店員さん以外誰も見てない場所でって、ちょっと特別感が過ぎちゃうか。重いね」

藍子「ううん。加蓮ちゃんが来たいなら、いつでも来ていいですよ」

加蓮「はいはい、そーいうのいいから」

藍子「本当ですからね〜」

加蓮「分かった分かった。ハァ……」

藍子「……、」ミワタス

藍子「……最初は、加蓮ちゃんが落ち着かなくて、そわそわしていたのって……加蓮ちゃんってやっぱり、静かなところが苦手だからかな? って、思ったんですけれど――」

加蓮「んー?」

藍子「こうして見渡してみると、私も、なんだかその気持ち分かります。少し……寂しいですよね」

藍子「ううん。寂しいって言うより、なんだか慣れないような……。変な気持ちです」

加蓮「そうそう、そんな感じ! そう、何故か慣れてない感じになるの。さっきは寂しいって言ったけど、ホントは寂しいんじゃないからね?」

藍子「だから、寂しいのではなくて、慣れてない感じだって言ってますよ〜」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/25(日) 18:54:24.59 ID:rUepDosI0
加蓮「それならいいんだけど。誰かさんがすーぐ私のことを寂しがり屋だって言ってくるから」

藍子「……?」

加蓮「きょとんとすんなっ」

藍子「でも、不思議。学校の放課後や、夜遅くに鍵をかける直前の事務所の部屋みたい。いつもは他に誰かがいるのに、その時だけ誰もいなくて……寂しくて、それからちょっぴりの特別感」

加蓮「……藍子が言うなら相当かもね」

藍子「私が?」

加蓮「やっぱり私よりはカフェによく来るでしょ。他にお客さんがいないって状況も、よくあるんじゃないの?」

藍子「そういえば……。本当、不思議ですね」

加蓮「ね」

藍子「……あっ。店員さん、こっち向いてる」

加蓮「手でも振ってあげたら?」

藍子「〜〜〜♪」フリフリ

加蓮「どんな顔してるー?」

藍子「手を振り返してくれましたっ」

加蓮「そっか」
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