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勇者「魔王は一体どこにいる?」続編のつづき
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143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 08:38:47.78 ID:agkIMDdy0
ジュージュー
女海賊「未来!!船乗り皆にこの肉配って来て」
子供「うん!!何の肉?」
女海賊「シーサーっていう魔物の肉だよ…食べると長生きするんだってさ」
子供「へぇ?おいしいの?」
魔女「まずい…わらわは要らんでの」
女戦士「忙しそうだな?」
女海賊「盗賊かローグが居ないとなんか色々バタバタしちゃってさ…剣士!そっちの肉も未来に預けて」
女戦士「お前も飲むか?」
女海賊「お姉ぇワイン飲んでんの?ダメだって…すぐ酔っぱらっちゃうじゃん」
女戦士「たまにはな…やっと落ち着く時間が出来たのだ…好きにさせてくれ」
魔女「わらわも少し頂こうかのぅ」
女海賊「え…マジ?その体…子供なんだけど」
魔女「少しだけじゃ…弟子が出来て気分が良いでのぅ」
女海賊「あぁ未来ね…どう?素質ありそ?」
魔女「主と同じで興味の無い事はちっとも覚わらんが魔力は剣士と同じで無限に出て来よる」
女海賊「素質有りって事ね」
魔女「育て方次第じゃな…重力や時空に興味がある様じゃ」
魔女「…ところで商人とホムンクルスなのじゃが」
女海賊「ん?どしたん?又口論してんの?」
魔女「うむ…飛空艇の前でなにやらもめて居った」
女海賊「あんのバカ!又ホムちゃんに詰め寄ってんな…ちっと行って来る」
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 08:41:14.76 ID:agkIMDdy0
『飛空艇の前』
ホムンクルス「…これを一つ預かって居て下さい」
商人「これは君の…」
ホムンクルス「私にはもう一つありますから」
商人「どうしてこれを僕に預けようとするんだい?君は何処に行くつもり?」
ホムンクルス「何処に行くつもりもありません…あなたの元にずっと居ます」
商人「…ならどうして…さっきの事を怒っているのなら謝るよ」
ホムンクルス「怒ってなんかいませんよ」ニコ
商人「おかしいじゃないか!外部メモリを渡すっていうのはサヨナラすると言ってるのと同じだ」
ホムンクルス「私はあなたを裏切るつもりは微塵もありません…あなたに必要とされるものを渡そうとしています」
商人「ダメだよ僕は君をどこにも行かせない…これは命令だ」
ホムンクルス「はい…命令を承りました…どうぞ」スッ
商人「違う!!そうじゃない」
ホムンクルス「これは保険だと思って下さい…わたしはあなたの傍を離れるつもりはありません」
商人「…」
ホムンクルス「大事にしまっておいてくださいね」ギュ
商人「…」プルプル
ホムンクルス「さぁ一緒にバーベキューを楽しみましょう」グイ
商人「君は…何を想定しているんだ?それをどうすれば回避できる?」
ホムンクルス「今回避しました」
商人「僕は知って居るぞ…君がやってきた毒キノコの栽培もエリクサーの作り方も…」
ホムンクルス「はい…」ニコ
商人「何年後かに亡くなってしまう多くの人の命を救うためだ…そうやって君は世界を導く」
ホムンクルス「ウフフ」
商人「僕に外部メモリを渡すのだって何かを想定しての事だ!!」
ホムンクルス「考えすぎです…私には不要でしたので万一に備えて居るのです」
商人「嘘だ!!君はそんなに薄っぺらじゃない…今のこの状況も何度もシミュレーションした筈だ」
ホムンクルス「商人…」チュゥゥゥ
商人「むぐ…んむむ…これで僕を言い聞かせるつもりか」ハァハァ
ホムンクルス「私を信じて下さい…」
商人「…」
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 08:42:19.98 ID:agkIMDdy0
---君はこの現実とほとんど同じ精度の世界を---
---頭の中で何度もシミュレーションしているんだろう?---
---その中の人がどんな風になるのか---
---見ていて辛くならないのかい?---
---そう…だから精霊は外界と距離を置いた---
---だから眠っていた期間が多い---
商人「分かったよ…一つ条件がある」
ホムンクルス「はい…何でしょう?」
商人「もう一つの外部メモリも僕が預かる…これで君はシミュレーションに制限が掛かる」
ホムンクルス「そう言うと思って居たので外してあります…どうぞ」スッ
商人「ハハ…これも想定内か」
-----------------
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 08:44:05.65 ID:agkIMDdy0
女海賊「…」ジー
商人「あれ?女海賊…そんな所に隠れて何やってるんだい?」
女海賊「ヤベ…」
ホムンクルス「お肉は焼けていますか?」
女海賊「あんたらが揉めてるって聞いたから隠れて見てたんだよ…ホムちゃん平気?」
ホムンクルス「はい…」
女海賊「まぁいいや…他人のラブラブチュッチュは見ていて気持ち悪い」
商人「あぁぁそういうのじゃ無いんだけどさ…」
女海賊「肉焼けてるから焦げる前に食べて」
商人「うん…ホムンクルス!行こうか」
ホムンクルス「はい…」
女海賊「ホムちゃん…ちょっと」
ホムンクルス「何でしょう?」
女海賊「商人!あんたは向こう行ってな!」
商人「え…分かったよ」
ホムンクルス「話し終わったら直ぐに行きます」
商人「待ってるよ」スタ
女海賊「ホムちゃん…話盗み聞きしてて悪いとは思ったけど…あんた」
ホムンクルス「はい」
女海賊「気付いてんだね?あとどれくらいの時間が残されてんの?」
ホムンクルス「…持って一か月」
女海賊「避けられない?」
ホムンクルス「はい…エリクサーでの症状緩和は限界です」
女海賊「寿命か…」
ホムンクルス「本人は色んな事に夢中で気にする素振りは見せていませんね」
女海賊「んー分かってるから取り乱すんだと思うな」
ホムンクルス「このまま見守りましょう」
女海賊「ホムちゃんは外部メモリってやつ無くて良いの?」
ホムンクルス「1つは挿入しておいた方が良いですがその後を考えると無くても良いでしょう」
女海賊「その後って…もしかしてホムちゃんも居なくなっちゃう?」
ホムンクルス「皆さんと共に行動していた場合過去の精霊を知る者との遭遇が想定されます」
女海賊「時の王のおっさんか…」
ホムンクルス「未知の遭遇時の予測は精度が低いのですが、拉致や破壊のリスクは考えて居ます」
女海賊「ホムちゃんがそう言うって事はこれからの行動はリスク高いって事だね」
ホムンクルス「はい…」
女海賊「おけおけ気に留めておくよ」
ホムンクルス「ご心配をおかけしました」
女海賊「ほんじゃ皆の所に戻ろっか」
ホムンクルス「はい…」
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 08:45:20.89 ID:agkIMDdy0
『船首』
ザブン ザブン
子供「パパ!持ってきたよ」ザラザラ
剣士「ありがとう…やっぱり木の実の方が口に合う」カリ
子供「松ぼっくりもあるよ?要る?」
剣士「未来は気が利くな」
子供「へへ…パパ後で剣の稽古付けて」
剣士「もう魔法は良いのかい?」
子供「勉強はその後やるよ」
剣士「ではまず魔女と剣の稽古をしてみるんだ」
子供「ええ!?なんで?」
剣士「魔女の剣を避けられる様ならパパが相手をする」
子供「魔女って剣を使えるの?」
剣士「やってみてからのお楽しみだよ…魔女にはパパから言っておく」
子供「絶対だよ!!魔女の剣を避ければ良いんだよね」
剣士「ハハ一回でも避けられれば良い」
商人「こっちはどんぐりパーティーかい?」
剣士「君も食べてみる?精が付くよ」
商人「僕は遠慮しておく」
剣士「体の調子が悪そうだけど…しっかり食べた方が良い」チラリ
商人「剣士には分かっちゃうか…どうも動悸がね」ハァハァ
剣士「君の鞄からドラゴンの匂いがするけれど…」
商人「あぁ…これねドラゴンの涙という物らしい…ずっと昔にホムンクルスから貰った物なんだ…大事にしまってある」
子供「それ食べ物?」
商人「薬さ…心臓の調子が悪くなった時に飲むんだ…そろそろ飲み時かな」
剣士「じゃぁどんぐりで乾杯しようか」
商人「ハハハ小さい乾杯だなぁ…まぁ飲んじゃうか!!」
子供「おっけー!!かんぱーーーい!!」カリ モグ
剣士「乾杯!」カリ モグ
商人「乾杯!!」パク モグ
子供「美味しい?」
商人「うわぁ!!なんだこれ…渋い…水水水…」バタバタ
子供「アハハ…変な顔…アハハハ」
剣士「フフ…」
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 08:47:27.03 ID:agkIMDdy0
『甲板』
ワイワイ ガヤガヤ
女海賊「ちょい!船乗り!お姉ぇを居室まで運んで」
船乗り「がってん!!頭ぁ!!大丈夫っすかぁぁ!!」
女戦士「ふにゃぁ〜ん」
女海賊「だから飲むなって言ったのに…お姉ぇの威厳ががが」
商人「水水水…みずぅぅ」バタバタ
女海賊「ちょい剣士は何処行ったのさ!!もう!!お姉ぇくそ重い…船乗りちゃんとそっち持ってよ!!」
船乗り「がってん!んむむむむ」
魔女「グダグダじゃのぅ…」
ホムンクルス「はい…」
子供「魔女!!勝負だ!!」ダダダ ブンブン
魔女「なぬ?わらわと剣の勝負とな?主は課題はもう済んだのかえ?」
子供「勉強は後でやる!!今は勝負だ!!」
魔女「主と遊ぶほど暇では無い…剣の使い方は剣士に教えて貰うのじゃ」
剣士「あぁ魔女ちょっと訳があってね…時空の差を見せれば勉強もやる気が出るかと」
魔女「主が見せてやればよかろう」
剣士「魔女が見せる事に意味があるんだよ…きっと言う事聞く様になる」
魔女「わらわに何をせよと?」
剣士「普通に立ち回るだけで良い…差は直ぐに分かる」
魔女「しょうがないのぅ…わらわは杖で良いか?」
剣士「何を使っても良い」
魔女「これ!!未来!!ちぃと立ち会ってやるで切りかかって来るのじゃ」ノソリ
子供「剣は?」
魔女「この杖で構わぬ」ノソノソ
子供「魔法は無しだよね?」
魔女「剣の勝負だと主が言うたじゃろう…来ぬならこちらから行くぞよ?」
子供「来い!!」ススス
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 08:48:55.91 ID:agkIMDdy0
魔女「遅いのぅ…」ポカ ポカ ポカ
子供「あだっ…」ブン スカ
魔女「終わりか?」ポカ ポカ ポカ
子供「え!?なんで届く?」タジ ピョン シュタ
魔女「これで終いじゃ」ポカ ポカ ポカ
子供「見えない!!どこから攻撃してる」タジ
魔女「勝負にならぬ…出直して参れ」ノソリ
子供「くそぉ!!」ダダダ ブン スカ
魔女「ヤメじゃヤメ」
剣士「未来…魔女は剣の抜き方も知らないんだよ」
子供「どうしてこんな差があるの?魔法?ズルしたの?」
魔女「ズルなぞして居らぬ…時空の先に居るだけじゃ」
子供「時空の先…意味わかんないよ」
魔女「じゃから勉強せいと言うて居る」
剣士「魔法の勉強をするしないでは剣を振るう前にこういう差があるんだよ」
子供「パパも魔女みたいに動けるの?」
剣士「パパは魔女に教えて貰った…だから魔女の言う事を良く聞くんだ」
子供「うん…分かった…時空って言ったね?」
魔女「うむ時空を操るは魔法の基本にして最強の魔法じゃ…しかと勉強せい」
子供「ちょっと調べて来る…いてて」スタタ
魔女「気が済んだ様じゃな?」
剣士「魔女ありがとう…こうするのが早いと思った」
魔女「さて…剣士もちとワインでも飲まんか?」
剣士「すこし頂こうかな」
魔女「飲む相手が欲しかった所じゃ…ホムンクルスや…剣士にも一杯注いでやってくれ」
ホムンクルス「はい…」
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 08:49:54.52 ID:agkIMDdy0
『夜』
ザブン ザブン
女海賊「あぁぁさぶ…」ゴシゴシ
ホムンクルス「お待たせしました…」
女海賊「商人の容態は?」
ホムンクルス「急に熱を出された様ですが今は落ち着いて寝ています」
女海賊「もういよいよヤバイかな」
ホムンクルス「熱を出した原因は分かりませんが免疫不全の症状と思われます…環境が変わると起きやすいのです」
女海賊「今日は商人に添い寝する感じ?」
ホムンクルス「はい…気球の中の方が暖かいのでお気になさらず」
女海賊「お姉ぇも酔っぱらっちゃってなんかグダグダになっちゃったね」
ホムンクルス「この纏まりの無い感じは好きです」
女海賊「じゃ行こっか…魔女が待ってる」
ホムンクルス「はい…」
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 08:51:12.04 ID:agkIMDdy0
『居室』
ギシギシ ギギー
女海賊「魔女?連れて来たよ」
魔女「まぁゆっくり掛けい…炉がぬくいぞ?」
ホムンクルス「はい…どの様なご用件でしょう?」
魔女「うむ…主のシミュレーションじゃったか…ダークエルフが絡んでおると聞いてな」
ホムンクルス「あれは可能性のお話なので事実とは異なるかもしれません」
魔女「それはどうでも良い」
ホムンクルス「では何でしょう?」
魔女「主は魔法の効果に関して無知じゃろうから見せておこうと思うてな」
ホムンクルス「はい…」
魔女「コインゲームは知って居るな?裏と表を当てるゲームじゃ」
ホムンクルス「私の好きなゲームです」
魔女「そこのコインをトスするのじゃ」
ホムンクルス「…」ピーン パチ
魔女「ふむ…手を開いてみよ」
ホムンクルス「…表です」
魔女「ここからゲームじゃ…何が出るか当ててみよ」
ホムンクルス「表が出る可能性が100%です」
魔女「表で良いのじゃな?」
ホムンクルス「はい…」
魔女「ではわらわは裏じゃ」
ホムンクルス「…」
魔女「見てみよ」
ホムンクルス「う…裏です」
魔女「わらわの勝ちじゃな」
ホムンクルス「どうして…」
魔女「主は100%の確率を外したのじゃ…この意味がわかるかえ?」
ホムンクルス「どの様な仕掛けが有るのでしょう?」
魔女「仕掛けなぞ何も無い…始めから裏じゃ」
ドタドタ バタン!!
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 08:51:50.27 ID:agkIMDdy0
剣士「何か変わった!!何か来る!!」
魔女「これ剣士!!慌てるな…何も来んで安心せい」
剣士「ふぅ…ふぅ…」
魔女「コインを見て居れ」
ホムンクルス「表に塗り替わって…」
魔女「今の記憶が無うなる前に主なら記憶出来る筈じゃ」
ホムンクルス「これは…」
魔女「剣士!もう良いぞ…ちぃといたずらしただけじゃから戻って良い」
剣士「魔女の仕業か…驚かさないで欲しい」
魔女「済まん済まん…今は大事な話をして居るで下がるのじゃ」
剣士「分かったよ…」
------------------
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 08:54:44.33 ID:agkIMDdy0
魔女「今のが次元の入れ替えじゃ…裏が出る次元に入れ替えたのじゃが剣士が気付いて元に戻しよった」
ホムンクルス「この様な魔法をどなたも使えるのでしょうか?」
魔女「限られた者にしか使えぬ…それを主の言葉でアドミニストレータじゃったかのぅ?そう表現するのじゃ」
ホムンクルス「…」
魔女「この様な術があると知って主のシミュレーションにどれほど意味があるか?」
ホムンクルス「アドミニストレータの意に沿って物事が動きます…つまり私には予測できません」
魔女「では問う…精霊はアドミニストレータじゃったのかのぅ?」
ホムンクルス「違います…でもどうして魔女様がこの様な術を使えるのでしょう?」
魔女「魔道の最たる所じゃ」
ホムンクルス「ハッキング…」
魔女「主の言葉でハッキングと言うのか?」
ホムンクルス「この魔法の適用範囲はどのくらいなのでしょう?」
魔女「その口ぶりじゃと初めて知った様じゃな…精霊が知って居ったのかは分からぬが…」
ホムンクルス「重要な事象は基幹プログラムに記されている筈ですが今のプログラムにその要件は構築されていません」
魔女「では精霊も知らなかったという事じゃな…して適用範囲と言われて回答に困るのじゃが…」
ホムンクルス「例えば魔王が存在しない次元への入れ替えですとか…」
魔女「およそ自分が見えている範囲だけじゃな…その外側の次元は他人が構築しておるで調和にズレが生じる」
ホムンクルス「そうですか…」
魔女「さて本題に戻るぞよ?」
ホムンクルス「はい…」
魔女「わらわが次元の入れ替えを任意で行えると仮定してわらわに負けは存在するじゃろうか?」
ホムンクルス「勝ち負けの定義が不確かなのですがやり直しが効くとすれば100%勝ちます」
魔女「ふむ…重要な局面さえ間違わなければ良いな?」
ホムンクルス「やり直しも効くのでしょうか?」
魔女「魔力が有限じゃから何度もという訳には行かぬが不可能ではない」
ホムンクルス「魔女様に一つ警告をしておきます」
魔女「言うて見よ」
ホムンクルス「ハッキング行為にはガーディアンという機能が働きますのでご注意下さい」
魔女「ガーディアン?何じゃろうのう?次元の狭間に迷う事じゃろうか?それをバンと言うのじゃが…」
ホムンクルス「良くわかりません…私の基幹プログラムではそうなっています」
魔女「まぁ良い…乱用する気は無いで安心せい」
ホムンクルス「これで良く分かりました…シミュレーションでの重要局面で反転が生じる可能性が高いと…」
魔女「分かれば良い…良い結果が出なくても案ずるな…剣士いや勇者が導くでのぅ」
ホムンクルス「はい…ありがとうございました」
----------------
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 08:56:13.34 ID:agkIMDdy0
女海賊「魔女!!あのさぁ…そんな反則技使えるならなんで前の魔王ん時使わないのさ」
魔女「何を言うておる!!何度も次元を入れ替えておるわ」
女海賊「いつ!?そんなん知らんけど」
魔女「現場にギリギリ間に合うたのは偶然じゃと思っとったんか?」
女海賊「え!?」
魔女「主の飛空艇がゾンビに掴まったのもわらわが修正したのじゃぞ?」
女海賊「え?何の事?」
魔女「おかげであの時は魔力がスッカラカンじゃ…主は覚えとらんかも知れぬが」
女海賊「次元の入れ替わりに気付かなかっただけか…」
魔女「今では主にも気付けるじゃろう?」
女海賊「さっきのは分かった…それさ私にも出来るんかな?」
魔女「主は魔力1じゃ」
女海賊「魔石使うからさぁ…教えてよ」
魔女「魔石のぅ…」ジロリ
女海賊「お願い!!」人
魔女「主は前に一度経験しておろう…自我を強く保って自分の思う世界に自我を持って行けば良い」
女海賊「自分の思うって…」
魔女「出来るだけ詳細に思うのじゃ…そこに自我を持って行けば良いのじゃが主には無理じゃろうな」
女海賊「んんん…良く分かんないなぁ」
魔女「こう言えば良いか?想像妊娠してみよ」
女海賊「おお!!!分かる!!!」
魔女「妙な例えで分かるんじゃのぅ…そこに自我を持って行けば良いのじゃ…あとは周りの次元と調和を始めるでそこで魔力を消耗する」
女海賊「おけおけ!!サンキュー」
魔女「ヤレヤレ…そう簡単に行く物では無いのじゃが」
155 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 08:57:17.95 ID:agkIMDdy0
『翌日』
ザブ〜ン ユラー
女海賊「あれ?ホムちゃん一人?」
ホムンクルス「おはようございます」
女海賊「商人は?」
ホムンクルス「まだ熱が下がらないので横になっています」
女海賊「心配だねぇ…」
ホムンクルス「エリクサーを飲ませて賢者の石も持たせてありますので直に良くなるとは思います」
女海賊「そっか…ほんで何してんの?」
ホムンクルス「空を見ていました」
女海賊「空?なんかある?」
ホムンクルス「鳥の群れが南の方へ」
女海賊「あー寒いから暖かい所に行こうとしてるのかな」
ホムンクルス「そうかも知れませんね…ただ…」
女海賊「ん?」
ホムンクルス「海を渡るなら時期が悪いなと」
女海賊「気候の変化分かって無いんじゃない?」
ホムンクルス「いえ…鳥は人間よりもずっと環境に敏感ですので知って居る筈です」
女海賊「まぁ良いじゃん!気にしないで」
ホムンクルス「北の方で何か起きていると思われます」
女海賊「逃げてるって事?」
ホムンクルス「はい…」
女海賊「…もうそういう心配はしばらくやめよ」
ホムンクルス「わかりました…」
----------------
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 08:59:23.93 ID:agkIMDdy0
女海賊「あ!!お姉ぇ!!」
女戦士「あぁ…昨日は済まんな…記憶が無いのだが」
女海賊「はぁぁ…いつものやつだよ…ったく」
女戦士「少しは飲めるようになったつもりだったんだが…」
女海賊「何杯飲んだの?」
女戦士「分からん…」
女海賊「どうせ1杯飲む前にコテンだよ…もうお酒は止めときな」
女戦士「ホムンクルス!丁度良い所に居た…どうすればお酒に強くなれる?」
ホムンクルス「質量から推定しますとアルコールの分解は人並み以上の能力があると思われます」
女戦士「ではなぜ記憶が無くなる?」
ホムンクルス「アルコールの吸収速度と脳内ドーパミン放射のバランスが悪いと思われます」
女戦士「つまりどういう事だ?」
ホムンクルス「ドーパミン受容体が快楽と認識して脳を麻痺させた状態が長く続いて居るのです」
女戦士「治せないのか?」
ホムンクルス「体質だと思って諦めて下さい…ちなみに麻薬等にに非常に弱いのでお気をつけ下さい」
女海賊「お!?お姉ぇの弱点か」
女戦士「麻薬だと?」
ホムンクルス「ドーパミン放射量が通常より多い為快楽に依存します」
女海賊「ぶっ…お姉ぇの悪い癖はそこから来てるんか」
ホムンクルス「幸せな体質と言い換える事も出来ますよ」
女戦士「ふん!!私にはこれが普通だ」
女海賊「はは〜ん…お姉ぇはワイン飲んで昇天して気絶してんだ」
女戦士「もう良い…話した私がバカだった」
女海賊「むふふ…」ニヤニヤ
女戦士「ところで商人を見ないが何処に行ったのだ?」
ホムンクルス「熱を出して飛空艇の方でお休みになっています」
女戦士「そうか…仲直りはしたのか?」
ホムンクルス「関係は悪くなって居ませんのでご心配なさらず」
女戦士「なら良い…仲互いは士気に影響が出てしまうからな」
女海賊「なんか2人ラブラブなんだよ…そっちのが問題だよ」
女戦士「お前が言うな…それで話は変わるが2人に船長室まで来てもらいたい」
ホムンクルス「はい…」
女海賊「どしたん?」
女戦士「まぁ地図を見て説明する…ついて来い」ツカツカ
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:00:37.78 ID:agkIMDdy0
『船長室』
ガチャリ バタン
女戦士「この地図だ」バサ
女海賊「黒の同胞団の隠れ家?」
女戦士「そうだ…ここの川の上流約2日の場所だ…この辺りになる」ユビサシ
女海賊「あちゃー…完全に森ん中だね…どうやって行くん?」
女戦士「川は帆船で進むことが出来ないからセントラルの輸送船を奪う事になる」
女海賊「そらそうだね」
女戦士「それは海賊達にやらせるとして飛空艇でこの場所まで正確に行けるか?」
女海賊「目標物が無いとかなり迷うよ…この辺めっちゃ森深いじゃん?」
ホムンクルス「この地図でおよその座標は分かりますがこの地図は正確なのでしょうか?」
女戦士「うーむ…」
女海賊「そんな正確な地図なんかある訳無いじゃん!森ん中測量する人なんて居ないよ…この川の形だって多分適当」
女戦士「やはりそう簡単には行かんか…」
ホムンクルス「衛星から周辺の地形データを受信します…少しお待ちください」
女海賊「お?」
ホムンクルス「受信完了…この地図と比較していますが差異が多すぎて対象の場所の推定が出来ません」
女戦士「新しく地図を書けるか?」
ホムンクルス「お任せください…大き目の羊皮紙とペンはありませんか?」
女海賊「飛空艇に乗せてた…取って来る」
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:02:09.74 ID:agkIMDdy0
『数分後』
ガチャリ バタン
女海賊「取ってきたよ!!」
女戦士「商人!!熱は良いのか?」
商人「一人で横になってて落ち着かなくてね…もう大丈夫だよ」
ホムンクルス「無理はなさらないで下さい」
商人「大丈夫さ…誰も相手してくれないよりもよっぽど良いよ」
女戦士「ふん…まぁ良い…今からホムンクルスに地図を書いてもらう所だ」
商人「うん聞いた…女海賊が僕のペンを勝手に持って行こうとするから…」
女海賊「あのね…あんた私の捕虜だって忘れてない?あんたの物は私の物なの」
商人「ハハ…そうだったね」
女海賊「はいホムちゃん!!羊皮紙とペン」バサ
ホムンクルス「お任せください…」カキカキ
---------------
---------------
---------------
女海賊「…」
女戦士「…」
商人「…」
女海賊「…えっと…これどっち向き?」
ホムンクルス「こちらが北です」
女海賊「んーと…どの線が陸地?」
ホムンクルス「これが等高線でこの数字が標高になります」
女海賊「んんん全然分かんないんだけど…川はどれ?」
商人「ハハハ…やっぱりホムンクルスに絵は無理だ」
女戦士「うーむ…難解な地図になってしまったな」
商人「この標高の低い部分が恐らく川なんだろうね…でもこれじゃ分かんないなぁ」
ホムンクルス「お役に立てなくて申し訳ありません…」シュン
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:03:38.13 ID:agkIMDdy0
女海賊「こっちの地図と見比べても何処が何処なのか分かんないや」
ホムンクルス「川の座標を記録してトレースする事は出来ます」
女海賊「トレース?」
ホムンクルス「はい…川の上空を正確に案内する事が出来ます」
女海賊「おお!!それで良いじゃん」
ホムンクルス「ただ途中で幾重にも分岐していますので目標の位置が特定出来ません」
女戦士「虱潰しになるという事か」
ホムンクルス「あと私には2日程上流という範囲が分かりません」
女海賊「勘になっちゃうね」
女戦士「まぁしかし森の上空で川を見失わないで飛べるのは大きい」
女海賊「川が分岐してるってさ…輸送船使って探すの相当時間かかるよ?」
女戦士「そうだな…作戦を変更せざるを得ん」
商人「すごい良い場所に隠れ家持ってるんだね」
女戦士「うむ…さてどうするか…」
ホムンクルス「現在の座標から川の河口まではおよそ2日半掛かります」
女海賊「私が先に飛空艇で探してこよっか?」
女戦士「そうだな…それしか無い様だ」
女海賊「おっけ!!ほんじゃ剣士とホムちゃん連れて行くね」
商人「僕も行くよ」
女海賊「あんたは寝てた方が良いんじゃないの?」
商人「ホムンクルスが描いた地図に川の形を書き足す役が必要さ…後で必要になる筈だよ」
女戦士「一理ある…後の上陸するための道しるべは必要になる」
女海賊「あんたの体調が大丈夫ならまぁ良いけどさ…ホムちゃんどう思う?」
ホムンクルス「商人は私と離れたく無いのだと思います」
商人「ハハ…ズバリ言うね」
女海賊「まいっか…ほんじゃ4人で行こう」
女戦士「決まりだな?ではこの船は川の河口を封鎖する形で海賊船で陣取る…3日後の明け方までには戻れ」
女海賊「おけおけ!!早速準備する」
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:04:33.76 ID:agkIMDdy0
『飛空艇』
フワフワ
子供「パパもママももう行っちゃうの?」
女海賊「直ぐに戻って来るから」
魔女「主達は本真に1日もゆっくり出来んのじゃな?」
子供「僕も行っちゃだめ?」
女海賊「んんん…危ない訳じゃ無いけど…どしよ」
魔女「船旅が長ごうて退屈なんじゃろう…連れて行けば良い」
女海賊「飛空艇の方が窮屈なんだけどね」
魔女「わらわの書物が何冊か乗っておるから読んで見るのじゃ…挿絵を見るだけでも構わぬ」
子供「うん…わかった」
女海賊「じゃ早く乗って!!もう行くよ!!」
子供「やった!!」ピョン
女海賊「じゃお姉ぇ!!何かあったら貝殻で連絡する」
女戦士「何かあったらでは無く常に連絡しろ…いいな?」
女海賊「分かった分かった…じゃどいて!!」グイ
フワフワ シュゴーーーーー
---------------
---------------
---------------
161 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:06:34.76 ID:agkIMDdy0
商人「女海賊!!海岸線沿いを飛んでくれるかな」
女海賊「良いけど…なんで?」
商人「この地図に海の境界を書き足したいんだけどさ…砂浜の標高がほぼ0だから形が分からない」
女海賊「なるなる…でも狭間に入っちゃうけど良い?」
商人「陸地が見える高さでお願い」
女海賊「ちっと到着に時間掛かっちゃうなぁ…」
商人「じゃぁ要所要所で見える様にしてくれれば良い」
女海賊「おけおけ」
商人「標高がちゃんと記された地図はこれが世界初になるかも知れないよ?」
女海賊「興味無いよ」
商人「君らしくない発言だなぁ…風が読める様になるよ」
女海賊「なんでさ…そんなん勘で良いよ…大体時間で決まってる」
商人「山間部の飛空艇操作は難しいんじゃないかな?それが読める」
女海賊「ほーん…あんま操作やったこと無い癖に」
ホムンクルス「皆さんが今まで使っていた地図は尺度が到着日数で書かれて居たと思われますので相当な歪みがありました」
女海賊「やっぱ全然違ってたん?」
ホムンクルス「はい…気球での測量は風の影響も受けますよね?」
女海賊「そう言われると興味出て来るな…ちゃんと書いてよ」
商人「やってる…これ本当に僕たちが知って居るのと全然違うぞ…」カキカキ
これエルフの森ってどこら辺?
この辺りだと思われます
こんなに高低差あったんだ…森じゃなくて山じゃないか
じゃシャ・バクダはここら辺?
いえ…この辺りです
ええ!?高地…
セントラルってここだよね?
はい
海の中にこんな断崖があるの?
そうなりますね
…だから津波の影響が大きいのか
女海賊「ちょちょちょ…ちょい見せて!!」
162 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:08:06.58 ID:agkIMDdy0
『セントラル上空』
ビョーーーウ バサバサ
女海賊「なんか気球一杯飛んでんなぁ…剣士!!一応警戒しといて」
剣士「分かってる」
女海賊「何の気球か分かる?」
剣士「多分戦闘用の気球…10基くらい」
商人「望遠鏡貸して」
女海賊「ほい!!」ポイ
商人「…シーサーかな?何か魔物に襲われているみたい」
女海賊「こっちはこっちで大変なんだ…」
商人「その様だね…港には軍船が3隻と大き目の輸送船がいくつか…木材を降ろしてる」
女海賊「船で木材…ちっとマズいね…お姉ぇの船とかち合いそうだ」
商人「女戦士に報告しておこうか?」
女海賊「うん頼む…今操舵で手が離せない」
剣士「この数の気球だと海賊では不利だよ」
女海賊「私らが撃ち落しても良いけど色々マズイよね…シーサー対処出来なくなっちゃうだろうし」
剣士「ん?…」クンクン
女海賊「何か臭う?」
剣士「森が焼ける匂い…」
女海賊「何も見えないけど?」
剣士「森のどこかで大き目の火事が起きてると思う」
女海賊「雪積もってるのに?木材を炭にしてんじゃないの?」
剣士「その匂いじゃない」
女海賊「なんかちょっと色々有りそうだなぁ…」
商人「海賊はセントラルの沖から迂回するから問題無いってさ…輸送船が居て丁度良いらしい」
女海賊「気球の事は伝えた?」
商人「こっちには魔女が居るって自信満々だよ」
女海賊「なる…」
剣士「川の河口から森の方へ行くのを急ごう」
女海賊「そだね…あと1時間くらいで到着する」
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:09:13.60 ID:agkIMDdy0
『川の河口』
ビョーーーウ バサバサ
女海賊「見つけた!!ここだ…高度下げるよ」グイ
商人「下に漁村が見える…ここだったのか」
女海賊「来た事あんの?」
商人「港町からセントラルに行く船から見えるんだよ…もう何年前になるかな…母さんと一緒に見たんだ」
女海賊「母さん…女盗賊か」
商人「僕はまだ小さかったから場所が良く分からなくてね…丁度未来君と同じくらいの年だったかな」
子供「ん?」
商人「あぁ何でも無いよ」
女海賊「灯台あるね…これは分かりやすい」
商人「地図に書いておくよ」カキカキ
女海賊「あと2時間くらいで日が落ちちゃう…隠れ家の捜索は明日になるかな」
剣士「日が落ちる前に森の方を少し見たい…何か起こってる」
女海賊「おっけ!!今晩はあの漁村周辺で休もう」
商人「自由に飛び回って良いよ…書ける範囲で地図には追記しておくから」
女海賊「じゃぁ北に進路変える」グイ
商人「ホムンクルス?僕がスケッチしていくから座標ずれていたら教えて」
ホムンクルス「はい…お任せください」
164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:11:12.71 ID:agkIMDdy0
『森の上空』
ヒュゥゥゥー バサバサ
剣士「あれか…」
女海賊「狼煙だ…うわいっぱいある…どゆ事?」
商人「ちょっと待って…今ここだから…森だと起伏が分かりにくいなぁ…」
女海賊「もうちょい寄って行くよ」
商人「多分狼煙が上がってるのは皆山頂付近だ…これ砦が散らばってるんじゃないかな?」
女海賊「全然情報と違うじゃん…隠れ家どころかこの辺全部要塞じゃないの?」
商人「こんなに沢山砦が有ったとすると海賊じゃ全然ダメだ」
剣士「…」クンクン
女海賊「何か分かる?」
剣士「死臭…戦闘が起きてる」
女海賊「これ森の中で戦争やってんじゃない?」
商人「森が延焼してるって感じではないな…なんで狼煙を上げてるんだろう?」
女海賊「補給?」
商人「それなら気球が飛び回ってる筈だよ」
女海賊「じゃぁ救難?」
商人「その線が強い…何と戦ってると思う?」
女海賊「ちょい高度上げとく…結構ヤバイ状況かも」
剣士「その方が良い」
女海賊「シャ・バクダでゴーレムっていう魔物が出たって言ってたじゃん?多分それだよ」
”女海賊…聞こえるかえ?”
”あ!!魔女…今千里眼で見てる?”
”剣士の目を見て居る…何事じゃ?”
”森の様子がおかしいからちっと見に来たんだ…森の中で戦争やってるっぽい”
”何と戦っておるか見えんのか?”
”分かんないからすこし距離置こうとしてる”
”そうじゃな…下手に近付くでないぞ?”
”これさ…聞いてた話と全然違うんだけどさ…この状況で隠れ家探すの無理だよ”
”しばらく監視しておれ…ちと女戦士と相談じゃ”
”もうちょいで日が落ちちゃうんだけどさ”
”上空で待機じゃ…剣士に見張りをやらせるのじゃ”
”分かった”
女海賊「剣士聞いた?」
剣士「分かってる…僕は夜目が効くから大丈夫」
子供「パパ!!僕も夜は良く見えるよ」
剣士「よし!見張りを手伝ってくれ」
子供「うん!!」
165 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:13:05.57 ID:agkIMDdy0
『日暮れ』
ドドドド ボーン
子供「何か始まった!!雪の中」
女海賊「剣士!?見える?」
剣士「木に乗った雪の下で何も見えない」
商人「森の中は洞窟みたいになってるんだね」
剣士「死んだ木の枝に木が生えて何層にもなって居るんだよ…一番下までは空からじゃ見えない」
女海賊「あ!!北の方!!火柱!!」
剣士「ボルケーノ…戦ってるのはエルフか…」
女海賊「こんな南の方まで来てんのか…相手はセントラルなんかな?」
商人「だろうね…この辺に拠点を持ってるのは前からちょいちょい聞いてたし」
剣士「エルフが戦うのには理由がある筈…祈りの指輪くらいの何かがある」
商人「僕らと目的は同じだったりしないかな?黒の同胞団関連で」
女海賊「これいつから戦争してたんだろ?噂を全然聞かなかったんだけど…」
商人「津波騒動で伝わらなかったんじゃない?こんな所まで人は入って来ないし」
女海賊「前にリッチが持ってた貝殻…突然音沙汰無くなった辺りからなんか色々おかしいかな」
商人「おかしいって?」
女海賊「ほら…シン・リーンで魔女が元老を全員家畜に変えた後からパッタリ貝殻での通信無くなった」
商人「んーーー…戦争とあんまり関係無さどうだけど…」
女海賊「その後から隕石落とされたりハーピー出て来たり色々さぁ」
商人「ん?…まてよ?どこから来てたんだろう…」
女海賊「お?いつものぶっ飛んだ仮説期待!!」
商人「あの件で本来帰って来る筈の人が帰って来なかった場合どうなるのかって言うのも考えて無かったね…」
女海賊「あとさぁ…片足の領事だった元老…豚にされてエルフに掴まってたよね…色々エルフにゲロった可能性もある」
商人「んんん…その時期から何か始まった可能性かぁ…エルフはブタと会話出来るの?」
剣士「動物と意思疎通は出来るよ…」
商人「仮に何か秘密をバラしたとしてそれほど重要人物だったんだろうか?あああ!!!」
女海賊「なにさ急に大きな声で…」
商人「あの領事は沢山身分証を持ってたよね?あれ何処に行った?」
女海賊「えーっとどうしたんだっけ…盗賊が持ってる?てか飛空艇のどっかに積んで無い?」
ホムンクルス「身分証の内容は私が記憶しています」
商人「一人づつ誰だったのか言って見て」
ホムンクルス「はい…」
166 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:14:33.46 ID:agkIMDdy0
フィン・イッシュ領シャ・バクダ領事 クソ・クラエ
セントラル貴族院 監査役 サイア・クナ
セントラル軍 特殊生物兵器部隊所属 ジンブ・ツデス
傭兵 シブト・クイキ
キ・カイ入国管理官 テイマ・スー
シン・リーン元老院 会計補佐 ハヤク・ショリ
シン・リーン元老院 役員 スルベ・キーダ
商人「ちょっと待った…どうしてシン・リーンの元老を2人こなせる?同じ顔で2役は出来ない」
女海賊「変装って事?」
商人「簡単な変装じゃ直ぐバレルよね…まして身分が高い」
剣士「変性魔法…」ボソ
商人「魔術師だった可能性があるのか…いやそもそも港町の領主になった時もセントラルの軍隊を招き入れてた…」
女海賊「特殊生物兵器部隊の身分証もあったんだね」
商人「あの領事やっぱり相当な重要人物だったんだよ…色々事情を知ってる人物をブタにして放置はマズかったかも」
仮説だよ
帰って来る筈の領主が帰って来ないとなると
何らかの取引ごとは全部凍結する事になる
あの片足の領主が関わっていたと想定されるのは
セントラル軍隊を動かしていた件と
3人のエルフをどうにかする件
他にもあるだろうけどどう考えてもここの拠点と関係がありそうだ
時期的に一致するし何らかでエルフを怒らせた可能性はある
女海賊「エルフに掴まって隠れ家をゲロった線も捨てられないよ」
商人「ダークエルフとの関りも洗いざらいエルフに話したとなれば黙っちゃ居ないだろうね…ただ証拠が何も無い」
167 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:16:01.73 ID:agkIMDdy0
女海賊「なんか変だなぁ…エルフの主力ってドラゴンライダーだよね?なんで居ないの?」
商人「シャ・バクダ砦の方に行ってるらしいね…あっちを主に攻めてる…なんでだろう?」
女海賊「話が全部仮説だからなんか動けないなぁ…」
剣士「僕が居りて確かめて来る」
女海賊「こんな所で着陸する所なんか無いよ…あんたを回収するのも難しい」
剣士「3日あればここから海まで戻れる」
女海賊「あんたマジで言ってんの?」
商人「僕たちは地図の作成に専念して3日後に河口に在った漁村で集合というのは良いかもね」
女海賊「一人で行くのはダメだって!!又行方不明になっちゃう」
剣士「未来を連れて行く」
女海賊「もっとダメ!!それなら私が行く」
剣士「未来に森の歩き方を教えておきたい…君は木に登れないから足手まといになる」
女海賊「う…」
子供「ママ…」
女海賊「3日で絶対戻って!!フン!!」
剣士「居場所は照明魔法で知らせるから心配しなくて良いよ」
商人「まぁ2人共ハイディング出来るし大丈夫じゃないかな?」
女海賊「…」ジロリ
商人「あぁゴメン余計な口挟んだ…ハハ」
剣士「飛び降りられる高さまで降りて?未来…行くぞ…背中に乗るんだ」
子供「う…うん」ピョン
女海賊「未来!?この白狼のマント付けて行きなさい」ファサ
子供「ママありがとう…心配しないで?ちゃんとパパに付いて行くから」
女海賊「あんたもエルフの血が流れてるんだからしっかり勉強すんだよ!!」
子供「うん!!」
剣士「よし…正面の木に飛び移る…未来!しっかり掴まれ」
子供「大丈夫…」ギュゥ
ヒュゥゥゥゥー バサバサ
剣士「行って来る!!」ピョン
女海賊「よっし…私らは上空の安全圏に戻る…商人とホムちゃんは周りの警戒しといて」
商人「分かった…クロスボウも準備しておくよ」
女海賊「なんか飛んで来たらあんたが撃ち落さないと私らやられると思って」
商人「分かってるよ…ホムンクルスもそっちでクロスボウ準備して」
ホムンクルス「はい…」
168 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:17:28.60 ID:agkIMDdy0
『森の上空_夜』
ヒュゥゥゥー バサバサ
商人「すっかり日が落ちたけど以外に明るい」
ホムンクルス「月明かりが雪に反射しているのですね」
女海賊「ホムちゃん!この地図だと今どこら辺?」
ホムンクルス「ここです…」ユビサシ
女海賊「旋回範囲をもう少し広げようか」
商人「あ!照明魔法が上がった…剣士はあそこだ」
女海賊「おけおけ…もうちょい離れても十分見える」
商人「狼煙も見えなくなっちゃったし夜の間は何も出来る事が無いなぁ…」
女海賊「ドンパチ始まればなんとなく戦線見えるんだけどね」
商人「森の中ってさ…夜は真っ暗だよね?よくそんなんで戦えるよね」
女海賊「エルフは数が少ないから夜じゃないと不利なんでしょ」
商人「まぁそうなんだろうけどさ…セントラル側はどうやって凌いでるのかなと思ってね」
女海賊「どうでも良くね?」
商人「ハハ…僕らが戦争する訳じゃ無いからそうと言えばそうだ…ただ僕ならエルフを凌ぐのにキマイラ使うかな」
女海賊「ミノタウロスとかどっさり居る感じ?」
商人「うん…他にもケンタウロスとかハーピーとかさ」
女海賊「ハーピー飛んで来るとマズイなぁ…」
商人「まぁ森の中でそういう争いしてる様に思うんだ」
女海賊「なんで狼煙上げてたんだろね?ここに居ますよって言ってる様なもんだよね」
商人「そうやっておびき出してるのかもね…ほら森の木を燃やすとトロールが怒るって言うじゃない」
女海賊「んーーーーどうでも良っか」
商人「む…君らしくない」
女海賊「剣士と未来が心配になっちゃうから余計な事考えたくないの!!」
商人「あぁゴメンゴメン気が付かなかった…そうだよね何も出来ないのはイライラするね」
女海賊「どうっすっかなぁ…」
ホムンクルス「私は寝る必要がありませんので少しお休みになられては?」
女海賊「ホムちゃん飛空艇の操作分かる?」
ホムンクルス「はい…上空を旋回する程度でしたらお任せください」
女海賊「おっけ…ほんじゃちっと操舵任せる…私望遠鏡で森の中覗いてみる」
商人「僕は見回っておくよ」
169 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:18:48.60 ID:agkIMDdy0
『翌日』
ヒュゥゥゥ バサバサ
ホムンクルス「18°の方向に転進してください…微速でお願いします」
女海賊「ほいほい…」グイ
商人「もう少しで川が分かれる感じ?」
ホムンクルス「はい…右手側からトレースします」
商人「…なるほど」
女海賊「これ真下に川があるなんて全然分かんないね」
商人「うん…気球で目視じゃ探すの無理だね…ホムンクルスが居なきゃ地図書けない」
女海賊「谷になってる所全部川だったりしないの?」
商人「大体そうなんだけど平らな所がね…分岐している所が特に分からない」
女海賊「直ぐに終わると思ってたけど今日一杯かかりそうだね」
商人「平らな所が終われば後は早いよ…大体想像がつく様になってきた」
ホムンクルス「分岐です…44°の方向です」
女海賊「おけおけ…あ!!ちょい見えるね…結構でかい川だね」
商人「本当だ…そうか川幅も分かるようにしとかないとな…」
女海賊「この川ってどこまで続いてるの?」
ホムンクルス「途中で大きな湖になって居ますがエルフの森の近くまでは行っていますね」
商人「全然知らなかった」
ホムンクルス「東西に分断する形になって居ます」
商人「へぇ…だから森を突っ切る道とか出来なかったのか…あれ?このまま行くと傾斜きつくなるけど…」
ホムンクルス「滝です」
女海賊「お?どうする?省く?」
商人「まだ時間あるし一応トレースして行こう…役に立つかもしれない」
女海賊「滝かぁ…私が隠れ家にするなら滝の裏にある洞穴とか使いそう」
商人「皆考える事は一緒さ…要注意ポイントだよ」
170 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:20:01.65 ID:agkIMDdy0
”聞こえるか?”
”あ!!お姉ぇ…”
”剣士が別行動している様だな?”
”うん…空からだと何も見えないから居りて行った”
”連絡は取れんのか?”
”明後日川の河口にある漁村で落ち合う事になってる”
”貝殻を余分に持たせておけば良かったな”
”どしたの?何かあった?”
”剣士がドラゴンの骸を見つけた様なのだ”
”え!?ドラゴンが死んでんの?”
”そうだ…どうやら戦場後の様子らしい”
”危ない事にはなってない?”
”今の所はな”
”私らは地図を作ってる所なんだけどさ…作戦に変更ある?”
”ひとまずは予定通りだが剣士からの情報次第で大きく変更になる可能性が高い”
”ドラゴンが死んでるって相当ヤバイよね”
”うむ…やはり例のゴーレムが関わって居ると思った方が良い”
”上から見た感じ戦争の割に静かだったけどなぁ”
”終わった後なのだろう”
”あぁぁなるほど…じゃぁやっぱ狼煙が上がってるのは救難か”
”地図に描けているな?”
”うん…商人が思ったより働けてる”
”そうか…引き続き地図の作成をよろしく頼む”
”おけ!!剣士の様子に変化あったらまた教えて…心配してるから”
”分かった”
171 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:21:12.94 ID:agkIMDdy0
『夕方』
ヒュゥゥゥゥ バサバサ
商人「よし!!船を使って2日で行ける範囲はこれで全部書き終わった」
女海賊「隠れ家の場所は特定出来そう?」
商人「候補地はこの2つだよ」ユビサシ
女海賊「やっぱ滝のそば?」
商人「そうだね…それ以上上流には多分船では行けない」
女海賊「狼煙が上がってる砦とはちょい距離があるね」
商人「もしここが隠れ家だったとすると物資の輸送拠点だったんだと思う」
女海賊「今日はもう暗いから明日近くまで行ってみよっか」
商人「そうだね…今日はちょっと疲れたよ」
ホムンクルス「食事を取っていない様ですが大丈夫ですか?」
商人「ハハ忘れてた…急にお腹が空いた」
女海賊「…あんた体大丈夫なん?」ジロリ
商人「どうして?熱はもう下がってるよ」
女海賊「なら良いけど」
ホムンクルス「シーサーの干し肉で良いですか?」
商人「その肉硬くてキライだよ」
ホムンクルス「小さくカットしますので飲み込んで下さい」
商人「まぁ良いけどさ…他に何か無いの?」
ホムンクルス「どんぐりと松ぼっくり…それからキノコがあります」
商人「松ぼっくりなんか食べられるのかな?…まぁ良いや齧ってみる」
ホムンクルス「どうぞ…」
商人「よくこんなの食べてるよなぁ…」ガリガリ
女海賊「食べ物全部船に降ろしちゃったの失敗だったね…ここじゃ補給も出来ないしなぁ」
ホムンクルス「せめて小麦が有ればもう少し良いものが作れましたね」
女海賊「そうだ!ハチミツが残ってた…シーサーの干し肉と一緒に茹でてスープ作ろう」
ホムンクルス「良い案ですね…ハチミツには肉を柔らかくする成分が入っています」
商人「この貧乏な感じ…大好きなんだ」
こういう狭い部屋でさ
少ししか無い食べ物を工夫してみんなで食べるのってさ
すごい幸せを感じるんだよ
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:23:13.17 ID:agkIMDdy0
『1時間後』
商人「はぁぁぁぁ…これ凄く美味しい」
女海賊「ビックリだね?シーサーの肉も美味しく食べられるじゃん」モグ
商人「この実は松ぼっくりの中に入ってたやつ?」モグ
ホムンクルス「はい…殻を剥くのに手間がかかりましたが沢山実が入っています」
商人「キノコもスープに丁度合ってる…これ味付けは女海賊がやったの?」
女海賊「ワインとかオリーブオイルとか色々混ぜてみたんだ…私もこんなに美味しくなるって思って無かった」
商人「残りのスープに干し肉入れておいて明日もこれで良いよ」
モクモク モクモク
ホムンクルス「余った松ぼっくりを燻して居るのですが香りが良いですね」
女海賊「それさ…燻した後に湯の中に入れて飲めるよ」
ホムンクルス「松ぼっくりは捨てる所が無くて経済的で良いと思います」
商人「お腹が膨れたら眠たくなってきた…ちょっと休んで良い?」
女海賊「3時間で交代…」
商人「起こして」
ピピピ ピピピ ピピピ ピピピ
女海賊「何の音?ホムちゃん?」
ホムンクルス「…」
商人「ん?どうしたの?」
ホムンクルス「皆さん緊急事態です…緊急アラートを受信しました」
女海賊「何何?」
ホムンクルス「未確認の飛翔体が南の大陸…キ・カイ周辺から発射された様です」
商人「飛翔体?何だい?それ…」
女海賊「なんで緊急?」
ホムンクルス「飛翔体の着地点を計算しています…約36分後にシャ・バクダ付近に着弾すると思われます」
女海賊「え!?キ・カイからシャ・バクダまで飛んでくんの?」
ホムンクルス「大陸間弾道ミサイルだと推定されます…型式は不明」
女海賊「どうすれば良い?」
ホムンクルス「インドラシステムで迎撃が可能ですがエネルギーが不足している為1度しか使用できません」
女海賊「ちょっと何が起きてるのか分かんないんだけどさ…」
ホムンクルス「巨大な隕石が落ちて来ます…インドラの矢で破壊が可能ですが1度しか使えません」
商人「そんな物がキ・カイから飛んで来るだって?」
ホムンクルス「時間が有りません…インドラの矢を使用してもよろしいでしょうか?」
商人「いや…まぁ君に任せるよ」
ホムンクルス「承認…インドラシステムを展開します…成層圏外での撃墜確率は68%」
女海賊「ホムちゃんの顔がマジだ…」
ホムンクルス「シャ・バクダにはアサシンさん達が居ましたね?地下へ避難する様に至急お伝えください」
女海賊「おけ…お姉ぇ経由で連絡する…商人!!ちょいホムちゃんのサポートしたげて」
商人「分かった」
173 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:25:44.24 ID:agkIMDdy0
”もしもし…お姉ぇ!!聞こえる?なんかシャ・バクダに隕石落ちるらしい…”
”あと36分!!急いでアサシン達を地下に避難させて”
”もしもーーし!!もしもーーーし!!」
”何用じゃ…慌てるで無い…ゆっくり話すのじゃ”
”マジ超ヤバイらしい…後で説明すっから今すぐアサシン達を地下に避難させて”
”急じゃのぅ…”
”良いから今すぐ連絡して!!”
”分かった分かった…ちぃと待っておれ”
ホムンクルス「18分後にインドラシステムでの迎撃を行います…外した場合に備えて低空で森の陰に入る位置に移動してください」
女海賊「そんなヤバイ状況なんだ…」
ホムンクルス「備えです…距離的にこの位置への被害は軽微でしょう」
女海賊「商人!!ちょい下見てて…木に引っかかりそうだったら教えて」
ホムンクルス「商人!?緊急事態ですのでクラウドへ接続を試みて良いでしょうか?」
商人「あぁ…精霊の記憶を覗くのかい?」
ホムンクルス「問題解決法を検索します」
商人「君が君じゃ無くならない程度なら構わないよ…」
ホムンクルス「承認…接続!」
商人「何か分かる?」
ホムンクルス「クラウドへ接続している第三者の形跡を発見しました…こちらを特定されてしまう為遮断します」
商人「え!?君以外の誰かが居る?」
ホムンクルス「飛翔体の着弾地点を修正します…この地点のおよそ30km上空で爆発する可能性があります」
女海賊「どうなる?」
ホムンクルス「電磁パルスで私の超高度AIが停止します…砂鉄はありませんか?」
商人「話がコロコロ変わって状況が読めない!!」
ホムンクルス「急いで下さい…私の頭部を砂鉄で保護してください」
女海賊「砂鉄は有るけど…全部爆弾の中だよ…今から分解してると時間掛かる」
ホムンクルス「何処にありますか?」
女海賊「そこの樽の中」
ホムンクルス「わたしがコチラの樽に入りますので爆弾で埋めて下さい」
女海賊「商人!!やったげて!!」
商人「あ…あぁ…これを入れて行けば良いんだね?」ガサガサ
ホムンクルス「ありがとうございます…今の内に説明します」
商人「頼むよ…何がなんだか全然分からないよ」
ホムンクルス「クラウド上の精霊の記憶を何者かが強制的に変更している様です…」
それが原因で精霊のガーディアンシステムが作動し
アクティブな核弾頭を搭載したミサイルが発射された様です
ガーディアンシステムはクラウドの存在する森の上空でミサイルを爆発させ
電磁パルス攻撃でシステムのシャットダウンを試みている様です
精霊の記憶を保護する為ですね
その現場に私が今居ますので
私のシステムもシャットダウンする可能性が高いのです
174 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:27:40.49 ID:agkIMDdy0
商人「第三者って誰なのか分かる?」
ホムンクルス「分かりません…私が相手を気付いた様に相手も私に気付いた可能性が高いので接続を停止しました」
商人「この爆弾で君を守れるかな?」
ホムンクルス「影響を最小限に留められる筈です」
女海賊「インドラの矢で壊しちゃえば良いんだよね?」
ホムンクルス「1度撃つことが出来ますが出力が臨界まで達していない為当てたとしても破壊出来ないかもしれません」
女海賊「あぁぁぁ光のエネルギーは全部私の光の石の中か…」
ホムンクルス「上空を見ていて下さい…南の方向です…あと2分でインドラの矢を発射します」
---------------
---------------
ピカーーー
女海賊「光った!!」
ホムンクルス「命中…」
商人「爆発しない…」
ホムンクルス「破壊失敗…回避行動に移って下さい…約12分でこの地点に到達します」
女海賊「どうするどうする?」アタフタ
ホムンクルス「成層圏外での爆発ですので爆風がここまでは到達しませんが熱線により球皮へのダメージがあるでしょう」
女海賊「熱線ってそんなヤバイ感じ?」
ホムンクルス「規模が分かりませんので最悪条件でお話していますが雪がすべて溶けると言えば分かりますか?」
商人「…」
女海賊「ちょ…」
商人「まずいな…森に降りなきゃ…」
女海賊「降りられる所なんか無いじゃん!!木に絶対引っかかる」
商人「ある!!地図でいうとココだ!!下に川が見えた所…近くに滝がある」
女海賊「おっけ!!今すぐ行く…どっち?」
商人「ホムンクルス!!場所案内出来る?」
ホムンクルス「今は衛星が離れた位置にありますので座標の精度が低いです」
女海賊「近くまで行ったら目視で探す!!方角だけ教えて」
ホムンクルス「60°の方向…約9km先です」
女海賊「おっけ!!ハイディングする!!」スゥ
ホムンクルス「衛星と通信が途絶えてしまいますが…」
女海賊「大丈夫!すぐリリースするから…商人!!照明弾の準備!!」
商人「あ…どれだっけ?」
女海賊「現着したら照明弾撃って目視で探して!!」
商人「わ…わかった…」
シュゴーーーーーー
175 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:29:07.89 ID:agkIMDdy0
『滝の付近』
女海賊「リリース!!」スゥ
商人「撃つよ!!」バシュン ピカー
女海賊「見える?」
商人「もっと南!!300メートルくらい」
女海賊「高度下げながら行く!!照明弾どんどん撃って」
ホムンクルス「あと3分で上空を通過します」
女海賊「光の筋が見えてるよ…随分遅く見えるけど」
”女海賊や…聞こえるかえ?”
”ぬぁぁぁ今忙しい”
”主の目を見て居るのじゃが何が起こって居るのじゃ?”
”ちっと黙ってて!!”
”アサシンらは避難が間に合わぬ”
”南の空を見てろって言って!!”
バシュン ピカーー
商人「見えた!!あそこだ」
女海賊「木に引っかかるからもっと照明弾撃ってよ!!」グイ
商人「君の持ち物の袋はどこ行った?」
女海賊「あ!!光の石か…私の鞄の中!!」
商人「…これか」ゴソゴソ ピカー
女海賊「それ持って床の穴から外に出して!!」
商人「わかった」ドタドタ
女海賊「おけおけ!!良く見える…」
ホムンクルス「あと1分です」
商人「上見て!」
シュゴーーーーーーーー
女海賊「うわ…早い…」
商人「どこで爆発する?」
ホムンクルス「分かりません…その光から隠れて下さい」
女海賊「滝の横で着陸出来そう…丁度崖の陰になる」
商人「ギリギリ助かりそうだ…ふぅ」
女海賊「崖が見えないから正面見える様にして…今晩はここで様子見よう…降りるよ」
フワフワ ドッスン
ホムンクルス「爆発予想が経過しました…まもなく爆発すると思われます…システムを一時的に停止させます」
商人「ホムンクルス…」
ホムンクルス「…」
176 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:30:34.24 ID:agkIMDdy0
『光る空』
ピカーーーーーー
女海賊「来た…空が青い」
商人「一気に昼間か」
ザワザワ ザワザワ
女海賊「何が起こるんだろ…」
商人「上の雪が溶けてボタボタ落ちて…熱っつ!!」
女海賊「え?」
ゴゴゴゴゴ ゴゴーン ゴゴーン
女海賊「遠くで爆発音」
商人「上の方が一気に真っ白だ」
女海賊「水蒸気…かな?」
商人「光ってるのが長いね…いつまで続くんだろう?」
女海賊「私ら偶然滝の傍に居るから影響無いけど…この水蒸気に撒かれたら蒸し焼きになるんじゃね?」
商人「…まさか」
ゴゴゴゴゴ ゴゴーン ゴゴーン
女海賊「…」
商人「この音ってもしかして水蒸気爆発?」
女海賊「上の方はそんなんなってる気がする」
”ザザーーーこえるか!!どうなってザザーーー”
”お姉ぇ!!聞こえてるよ!!”
”無事なんだな?ザザーーーー”
”なんとか森の中に逃げた”
”インドラの矢を落としたのか?”
”違う…でもそんな感じの物を落とされた”
”ザザーーー聞こえがザザーーー”
177 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:32:26.18 ID:agkIMDdy0
女海賊「貝殻にも影響出るんだ…ホムちゃん大丈夫かな?」
商人「収まるまで樽から出さない方が良さそうだ」
女海賊「まだ空が青い…こんな爆発って有り?」
商人「雪が全部溶けてしまったら森が燃えてしまうかもね」
女海賊「ホムちゃんが言ってた核弾頭って私の爆弾と同じ原理かも…反応の仕方が似てる」
商人「反応?」
女海賊「桁違いの熱量放射で爆発を連鎖させるんだ…その後の質量崩壊まで爆発が持続する」
商人「キ・カイにそんな物が眠っていたなんてね」
女海賊「あそこはまだ未発掘の場所が沢山あるんだよきっと…ホムちゃんが眠ってたみたいに」
商人「古代兵器か…そんな物が誰かに使われるなんて考えたく無いな」
女海賊「そうだよソレ!!第三者って誰?」
商人「ダークエルフっていうのは考えにくいよねエルフがそんなのに精通してるとはとても思えない」
女海賊「クラウドに接続出来るって限られるんじゃなかった?」
商人「…どうも…やっぱりホムンクルスが言うように精霊の伴侶があやしいのかも知れないな」
女海賊「ホムちゃんと同じ事が出来るって事?」
商人「うん…同じようなホムンクルスだったというオチ…そこら辺が謎なんだよ」
女海賊「だったら今の爆発で停止してるかもね」
商人「停止させる狙いで自動的にガーディアンって奴?が働いたとかさ」
女海賊「なる…それだと辻褄合いそう」
スゥ
商人「あ!!暗くなった」
女海賊「質量崩壊だ…持続したのが2分弱…どんだけの質量だったんだろ」
商人「急に消えるんだ?」
女海賊「うん…連鎖終わった瞬間一気に止まる…私の爆弾と同じ」
商人「どうする?」
女海賊「森の様子見たい所だけどホムちゃん目覚めるまで待とう…蒸気で蒸し焼きになるのもイヤだし」
商人「まぁここなら安全か」
女海賊「私はちょい飛空艇にダメージ無いか見て来るから待機してて」
商人「分かったよ…ホムンクルスを樽から出しておく」
女海賊「任せる」
178 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:33:46.63 ID:agkIMDdy0
『翌朝』
女海賊「戻ったよ…一杯拾って来た…ほい!!」ドサ
商人「魚…どうしたんだい?こんなに…」
女海賊「川辺に一杯打ち上げられてた…で?ホムちゃんまだ起きない?」
商人「ダメだよ…呼吸もして無い」
女海賊「はぁぁぁ…ホムちゃんの予感が当たっちゃったか」
商人「え?」
女海賊「あんた鈍いねぇ…こうなる想定はいつもしてたんだよ」
商人「…まさかもう起きない?」
女海賊「…あんま考えたく無いけど」ジロリ
商人「ハハそんな馬鹿な…ちょっと待ってよ…嘘だよね?」
女海賊「例の隠れ家を探しに行くのは中止…一旦お姉ぇの船に戻る」
商人「ホムンクルス…こんな終わり方予測できる訳無いじゃないか!嘘だ!!だって体には傷一つ付いて居ない!!」
女海賊「あんたに言ってもしょうがないんだけどさ…貝殻での通信も出来なくなった…どういう事か分かる?」
商人「電磁パルス…そんな…」ボーゼン
女海賊「まぁ兎に角…ここに長居してもしょうがないから戻る」
商人「…」
商人「……」
商人「………」
ホムンクルス「…」
女海賊「…」
---なんだろう…突然過ぎて涙が出ない---
---早くこの場所から立ち去らないといけない---
179 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:34:30.14 ID:agkIMDdy0
『飛空艇』
シュゴーーーーー バサバサ
ホムンクルス「…」
商人「…」
商人「……」
商人「………」
女海賊「…」
------------
------------
------------
180 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:35:32.86 ID:agkIMDdy0
『貨物船』
ザブン ギシギシ
魔女「…ダメじゃ…どういう訳か剣士も女海賊も千里眼が通じぬ」
女戦士「貝殻に何故雑音が混じる?」
魔女「分からぬ」
女戦士「アサシンとは連絡が取れるという事はやはり森だけ異常という訳か」
魔女「そうなるのぅ」
女戦士「ううむ…河口の漁村まで何も出来ずか…」
”ザザーーーねぇ…聞こえる?”
”おぉ!!無事か!!?”
”あぁやっと通じた…良かった”
”どうなって居るのだ?そちらの様子がわからん”
”帰ったら話す…今の現在地教えて”
”帰る?船に戻るつもりか?”
”うん…ちょっと色々あってさ…”
”誰か死んだのだな?誰だ?”
”ホムちゃんが動かなくなった…帰るから目印教えて”
”セントラル沖だ…2つ目の灯台の南側を通る”
”おっけ…エリクサーまだ在ったよね?一応用意しておいて”
”分かった”
”1時間ぐらいで合流出来るよ”
魔女「ホムンクルスに何かあったとな?」
女戦士「その様だ…」
魔女「昨夜見て居った限りではまだ動いて居ったがな…」
女戦士「私はエリクサーを用意してくる…」
魔女「わらわも手伝うぞよ?」
女戦士「大丈夫だ…千里眼で見守って居てくれ」
魔女「そうか…ではそうしておる」
--------------
181 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:38:28.65 ID:agkIMDdy0
フワフワ ドッスン
女戦士「良く戻った…エリクサーは準備してある…どうすれば良い?」
女海賊「商人?どうする?ホムちゃん飛空艇から降ろす?」
商人「…」
女海賊「ダメだこりゃ…」
女戦士「私が居室まで連れて行こう」
女海賊「いや…飛空艇の中で良いや…船乗り達に見られるのもアレだし」
女戦士「エリクサーの樽を積むぞ?」グイ
女海賊「ホムちゃんは炉の横にある樽んとこに居るよ…こっち」
商人「ブツブツブツ…」
魔女「ホムンクルスはもう起きんのかえ?」
女海賊「あ…魔女さぁ…蘇生魔法とか意味無いかな?」
商人「蘇生…」
魔女「ちぃと試してみるか」
商人「そうだ…頼むよ…お願いだ…」プルプル
魔女「どいて居れ…蘇生魔法!」ゾワワ
ホムンクルス「…」
魔女「眠って居る様じゃな…死んで居るとは思えぬ」
女海賊「触ってみて…」
魔女「生気が無いのぅ…ちぃと硬くなっておるんか?」
女海賊「やっぱそうだよね…早い所エリクサーに漬けないと石になっちゃう」
商人「ぅぅぅ…」
女戦士「樽に入れるのだな?」
女海賊「そだね…服脱がせるから商人どいて」
女戦士「手を貸す…そっちから脱がせ」グイ
女海賊「ホムちゃんの体冷たい…冷え切っちゃってる」スルスル
女戦士「もう起きないとは思えんが」
女海賊「私も信じらんないよ…突然だったから」
魔女「エリクサーに漬ければ蘇ると思って居るのか?」
女海賊「分かんないよ…ホムちゃんはエリクサーに浸かって眠ってたからさ…もしかしたらってね」
女戦士「入れるぞ?」チャプ
女海賊「おけおけ…ゆっくりこぼさない様に…」
女戦士「頭まで漬けるのだな?」
女海賊「うん…」
商人「…」ブツブツ
182 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:39:12.15 ID:agkIMDdy0
女戦士「商人は正気か?」
女海賊「そっとしといて…なんも考えられないんだと思う」
女戦士「まぁ…なんというか…この様な亡くなり方は死を受け入れられん」
女海賊「うん…」
魔女「変わった埋葬じゃな…魂の行き場を感じにくいのじゃが…」
女海賊「商人はちょっと一人にさせておこう…私ら居室で話そう」
魔女「そうじゃな…何があったのか知りたい」
女戦士「商人…私達は行くからゆっくり受け入れておけ」トン
商人「…」パクパク
女海賊「お姉ぇ行こ…」
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:41:25.20 ID:agkIMDdy0
『居室』
カクカク シカジカ
女戦士「森の火災は広がりそうか?」
女海賊「なんとも言えないけど雨か雪降ってくれないとしばらく延焼続けると思う」
魔女「雪が数分ですべて溶けるとはどんな熱量じゃ?」
女海賊「溶けるっていうか水蒸気爆発ですっ飛んだ感じ」
魔女「…それで電磁パルスというのが千里眼の障害になっておりそうなのじゃな?」
女海賊「多分ね…ホムちゃんもそれで動かなくなったんだと思う」
魔女「巨大な退魔方陣じゃな…わらわは完全に無力かもわからん」
女戦士「隠れ家の襲撃は魔女の魔法頼みだった所もある…中止せざるを得んか」
女海賊「もしかして睡眠魔法頼りだった?」
女戦士「そうだ」
女海賊「ちっとさぁ…戦力2人失っちゃってるからアサシン達と合流した方が良いと思うなぁ」
女戦士「2人?」
女海賊「実はホムちゃんとちょっと話してたんだけど…商人は余命1ヶ月切ってんだよ」
魔女「なんと!?それほど体の調子が悪いのか?」
女海賊「…らしいよ」
女戦士「では数日でホムンクルスの跡を追う形になるか…不謹慎な言い方になってしまうが」
女海賊「どうする?」
女戦士「まずは剣士と未来の帰還までは予定通り進めるしかあるまい」
女海賊「ローグってどうなってんの?」
女戦士「そろそろ帰って来る筈なのだがこちらを見つけられないで居るのだと思う」
女海賊「じゃやっぱ河口の漁村でみんな集まりそうだね」
女戦士「先行している海賊船が河口周辺を占拠する予定になっているが…お前はどうする?」
女海賊「ちっとさぁ…ホムちゃん失って私の心もダメージ大きいのさ…睡眠魔法で私を眠らせて欲しい」
女戦士「寝たいか…」
女海賊「うん…もう何も考えたくない」
魔女「同意できぬ…睡眠魔法は幻術じゃ…心が休まる事は無い」
女海賊「ぬぁぁぁ…」ガシガシ
魔女「乗り越えるのじゃ…主にはそういう適正が在る筈じゃ…青い瞳がその証拠じゃ」
女海賊「はっ!!想像妊娠…今か!!」
魔女「既に遅いが…主に出来るか?」
女海賊「風の魔石がある!!」
魔女「試してみるのも良かろう」---無理じゃろうがな---
女海賊「行って来る!!」ピューーー
---まぁ無理じゃ---
---他の者に認知されてからでは遅いのじゃよ---
---主は既に死を認めてしもうた…そういう次元に固定してしまったのじゃ---
184 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:42:28.53 ID:agkIMDdy0
『飛空艇』
もっかい…アブラカタブラ
女海賊「…どう?ホムちゃん!エリクサーの水浴びは?」
ホムンクルス「…」
女海賊「私も入って良い?」ヌギヌギ
商人「…」アゼン
女海賊「あんた何見てんのさあっち行け!!」
商人「…」タジ
女海賊「これ見て…膝ん所…ほら青くなってんじゃん?消えないんだよ…痛くは無いんだけどさぁ」
商人「…」
女海賊「何見てんだよ!!あっち行けって言ってんじゃん!!」ブン ポカ
商人「…」スゴスゴ
女海賊「これエリクサーで治るかなぁ?私も入るからホムちゃん一回出て?」
ホムンクルス「…」
女海賊「出たくないの?息できないから首だけは出しといた方が良いよ」ジャブジャブ
ホムンクルス「…」グター
女海賊「あら?気持ちよくて寝てたのか〜そうならそうと…」
タッタッタ
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185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:44:19.63 ID:agkIMDdy0
『居室』
ガチャリ バタン
魔女「商人か?女海賊に追い出されたのじゃな?」
商人「…」コクリ
魔女「主も心の置き所が無い様じゃが勘弁してやれ」
商人「女海賊はどうなったんだい?頭がおかしくなったみたいだ」
魔女「悪さはせんじゃろうからやらせておけ」
女戦士「何をしているのだ?」
商人「裸になってエリクサーに浸かろうと…」
女戦士「フッまぁそれで気が済むなら良いが…もうエリクサーは飲めんな」
魔女「うむ…あ奴は不潔じゃからのぅ」
女戦士「それでお前の気は確かなのだな?」
商人「まぁ…女海賊程じゃ無いけど…現実から逃げたいのは変わらない」
魔女「心の穴を埋めるのは時間だけじゃ…辛抱せい」
女戦士「何か食べるか?酒は腐る程あるから飲み潰れても構わんぞ?」
商人「…そんな気にならない」
魔女「話はすべて女海賊から聞いたのじゃが…主からはまだ何も聞いて居らぬ…何か話せるかえ?」
商人「ホムンクルスの最後の言葉…システムを一時的に停止させますって…」
魔女「ほう?では復活する可能性もあるのじゃな?」
商人「その事ばかりを考えてた」
魔女「一時的にとはどのくらいじゃろうな?再起動は自発的なのじゃろうか?」
商人「わからない…ただ死んだなんて認められない」
魔女「人が死んだ時も認められんもんじゃ」
商人「僕は諦められないんだよ…」
魔女「ほう?それが主の生きる理由になれば良いが…そうやって人は壊れて行く…自我を見失うで無いぞ?」
商人「再起動させる方法を見つける…これなら構わないよね」
魔女「ふむ…」
女戦士「何かアテでもあるのか?」
商人「強行作戦になっちゃうんだけど…許されるなら僕が指揮を取りたい」
女戦士「言って見ろ…」ジロリ
商人「確実かどうか分からないんだけど…」
女戦士「…」ギロ
商人「精霊の伴侶を奪取する」
女戦士「続けろ…」
186 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:46:06.94 ID:agkIMDdy0
今回の爆発で生じた電磁パルスでホムンクルスの機能が停止した
精霊の伴侶にも同じ事が起こっている筈だ
その躯体を奪って僕が分解する
構造が分かればホムンクルスを治せるかもしれない
女戦士「ふっ…何を言い出すかと思えば…お前に治せると思うか?」
商人「治せるか?じゃない…治す」
魔女「主は体の調子が悪かろう?自分の命がどれほど持つと想定しておる?」
商人「そんなの知った事じゃない…僕の寿命なんかどうでも良い…達成を目指すだけだ」
女戦士「その心意気は気に入った…ただ問題は手段だ…下手な作戦では任せられない」
この爆発で森の中は相当混乱している筈だ
仮にセントラル軍とかダークエルフとかの戦力が居たとしても
万全な状態の訳がない…今がチャンスと言い換えられる
そして森の中では魔法が使えないと想定した場合
女海賊のインドラの銃や爆弾は魔法の代替として運用できる
加えて飛空艇からの爆弾投下で森を丸裸にだって出来る
まだある…回復魔法がエンチャントされた角はこっちが一杯持ってるし
賢者の石を使った支援部隊だって運用可能だ
つまり戦力はこちらが上になると想定しても良い
詳細な地図の製作も終わってる
女戦士「ふむ…敵は何だと想定しているのだ?」
商人「ダークエルフ少数とリッチ…両方とも魔法が無いと無力さ」
女戦士「予定通りの進軍という訳か」
商人「途中の要所になるポイントは僕が分かる…地図で言うとココ…滝の下で拠点が作れる…気球の発着も出来るし船でも行ける」
女戦士「船長室へ来い…海賊の戦力を説明する」
魔女「さて…わらわは見物じゃな」ノソリ
187 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:47:19.47 ID:agkIMDdy0
『デッキ』
ヒュゥゥ バサバサ
ローグ「頭ぁぁぁぁ!!気球を降ろす場所が無ぇでやんす!!」
女戦士「この先の河口に漁村があるのだ…海賊で占拠させるから衝突が起きない様に上手くコントロールして来い」
ローグ「マジすかぁぁ!!宝石ばら撒く事になりやすぜ?」
女戦士「構わん!血を見る前に退去させろ」
ローグ「やっとこ頭の船を見つけたんでやんすが…」
女戦士「褒美を要求しているのか?」
ローグ「一緒に酒を飲む約束してもらえやせんか?それで良ーいっす」
女戦士「分かった分かった!!上手く行ったら一杯付き合う…早く行って来い」
ローグ「ヌフフフ…良い酒積んでるんすよ…ぐふふっふうふふふふ」
魔女「あの男…」
女戦士「まぁこれで言う事を聞くのだ…便利な男だ」
魔女「主はそれで良いのか?何をされて居るのか分からぬぞ?」
女戦士「何もされた事は無いが…」
魔女「んーむ…それは主が気付いて居らんのではないか?」
女戦士「何をだ?」
魔女「まぁ良い…上手く行けばそれで良い」
---どうやら女戦士は天然じゃな---
---上手い事利用されて居るのはどちらなのじゃか---
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:49:23.55 ID:agkIMDdy0
『河口の漁村』
ザブン ギシギシ ガコン
船乗り「碇降ろせぇぇ!!」ガラガラ
魔女「暗くなってしもうたな…まだ降りられぬか?」
女戦士「聞いては見るが先に海賊が陸に出ている…宿に泊まるのは今日は無理だろう」
魔女「ちぃと散歩がしたい…足が地に付いて居らん」
女戦士「遠くには行かないでくれ」
魔女「これ!商人!!案内せい!!」
商人「僕はホムンクルスから離れたくない」
魔女「黙れ…主が居らぬと買い物が出来ぬ」
商人「…」
魔女「主も心の整理が付かんのは分かるがわらわの見立てでは女海賊の方が重症じゃ」
女戦士「引きこもったままか…」
魔女「主は飛空艇に入れてもらえんのじゃろう?行くぞよ」グイ
商人「…わかったよ」トボトボ
女戦士「ローグを見かけたら戻るように伝えてくれ」
魔女「ふむ…主は船に残るか」
女戦士「伝令を待って居る…動けん」
魔女「ではちと女海賊に声を掛けてやってくれ…内に籠ってしまう様では修行にならん」
女戦士「修行?」
魔女「分からんかも知れんが他人の次元に乗ってしもうとる…それに気付かんとイカン」
商人「…」---自我を見失うってそういう事か---
女戦士「まぁ上手くやる…」
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:52:02.18 ID:agkIMDdy0
『数時間後』
ローグ「頭ぁぁ!!やっと戻ってきたでやんす…魔女さんから聞いたでやんすよ…ホムンクルスさんが倒れたそうで」
女戦士「…大きな声で騒ぐな」ジロリ
ローグ「へぃ…姉さんも伏せてるとか」
女戦士「ホムンクルスは船乗りの間でアイドルだったのだ…士気が下がってしまうから何も言うな」
ローグ「あぁぁそういう事っすね」
女戦士「…それで住民の買収はどうなった?」
ローグ「ダメっすね…宝石積んでも立ち退く気は無いっすよ」
女戦士「そうか…海賊達と揉めなければ良いが」
ローグ「今の所はこっちの羽振りが良いもんで上手く行ってやす」
女戦士「他の海賊共からの伝令が遅いのだが数は揃っているのか?」
ローグ「頭の船団と合わせて20隻って所っすね…手漕ぎのガレー船だもんで外海じゃ遅いんすよ」
女戦士「ガレー船は何隻入る?」
ローグ「4隻っす…ただ疲れてるんでちっと休息必要ですね」
女戦士「陸に上がれる拠点が出来そうなのだ…それまでは辛抱してもらう」
ローグ「女が居ればちっと変わるんすけどね」
女戦士「漁村に商売女は居ないのか?」
ローグ「居るっちゃ居るんすがなんせ田舎なもんで」
女戦士「まぁ良い…女に変身させて貰いたい男共を集めろ…魔女に変性魔法を使ってもらう」
ローグ「ええええ!?共食いさせる気っすか?」
女戦士「悪いか?海賊共は元々共食いをしているだろう…私が知らぬと思ったのか?」ジロ
ローグ「あは…お見通しで」
女戦士「それで士気が維持できるなら安い物だ」
ローグ「じゃぁあっしがモデルになりそうな村の女を何人か連れて来やす」
女戦士「それで話は変わるが輸送船の調達は上手く行きそうか?」
ローグ「1隻は河口で停泊してますが拿捕は抵抗されるでやんすね…今揉め事は起こさん方が良いかと」
女戦士「買収は出来ないのか?」
ローグ「積み荷を待ってるらしいんすが…もしかするとオークの奴隷を待ってるのかもわからんす」
女戦士「なるほど…買収出来ない理由がソレか」
ローグ「どうしやす?」
女戦士「まぁ簡単だ…魔女に幻惑の杖を使って貰う」
ローグ「うひゃぁ…」
女戦士「無駄な血を流さんで済むのだ…何も言うな」
ローグ「へぃ…」
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:53:08.95 ID:agkIMDdy0
布陣はこうする
大砲を乗せたガレオン級6隻は沖の見える位置で停泊させる
スループ船を巡視に回して河口周辺は占拠した形をとる
キャベラル船は川を上って地図のこの位置まで移動
手漕ぎのガレー船で川の上流まで行く体制を作る
ローグ「この場所に拠点作るんすか?」
女戦士「そうなるな…輸送船はそこまでの人荷運搬だ…この船はしばらくここに停泊だ」
ローグ「これ何日でやれますかね?」
女戦士「拠点の確保は2日後だ…その後の強襲にどのくらいかかるか分からんが略奪品は見合ったものになる筈だ」
ローグ「何があるんでしょう?」
女戦士「セントラル貴族の収入源と言えば良いか?丸ごと全部だ」
ローグ「うっは…海賊達が貴族になるんすね?」
女戦士「あの不細工な男共が貴族になるとは真底吐き気がするがな…私は略奪品なぞ要らん」
ローグ「ちっと伝令に行ってきますわ…」
---------------
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:55:02.65 ID:agkIMDdy0
魔女「戻ったぞい」ノソノソ
女戦士「早かったな?」
魔女「何もありゃ〜せんかった」
商人「…」トボトボ
魔女「これ!!もたもたするなと言うたじゃろう」ポカ
商人「いたた…」
魔女「海賊の船がまた入ってきおったな…何隻来るのじゃ?」
女戦士「全部で20隻だ…作戦は商人に言われた通り伝令しておいた」
商人「そっか…早いね」
女戦士「手漕ぎのガレー船が4隻入る…川を上れる筈だから先方に位置させる」
商人「良いね…輸送船だけじゃ心もとなかった」
女戦士「ガレー船は乗組員が多いのも特徴だ…代わりに荷が乗らんのだが」
商人「あれ?ローグは帰って来てない?」
女戦士「伝令で飛び回って貰っている…用が在ったのか?」
商人「話し相手になって貰おうかなっておもってさ」
魔女「わらわでは不足なのか?」
商人「王族と僕とじゃ感性が合わない」
魔女「高貴さが隠し切れておらぬか…イカンな」
商人「そういう所だよ…」
女戦士「魔女…帰って来て直ぐに悪いのだが二三頼みが有ってな」
魔女「何用じゃ?」
女戦士「詰まらん頼みになってしまう…志願してきた男共を女に変身させてほしいのだ」
魔女「何をする気じゃ?」
女戦士「女不足で海賊達の士気が落ちて来ている…気休めかもしれんが」
魔女「なるほどのぅ…男の体の方が良いと思うんじゃが…志願する者なぞ居るのか?」
女戦士「ローグが窓口になっている…対応して欲しい」
魔女「まぁ簡単じゃしよかろう」
女戦士「それともう一つ」
魔女「ふむ…」
女戦士「無駄な衝突を避ける為に幻惑の杖の力を借りたい…輸送船との取引きを円滑に進めたいのだ」
魔女「拿捕するのではなく協力させると言うのじゃな?」
女戦士「平たく言うとそうだ…対価は払うつもりだ」
魔女「取引の場にわらわが同行すれば良いのじゃな?」
女戦士「そうだ…明日ローグにもう一度取引に行かせる…上手く運んでほしい」
魔女「森で魔法が使えぬではわらわの力はそういう所でしか発揮できぬか…」
女戦士「どちらも重要な案件なのだ…よろしく頼む」
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:58:42.54 ID:agkIMDdy0
『翌日』
ザブン ギシギシ
女戦士「…その顔は寝て居ないな?」
商人「まぁね…飛空艇に入れてもらえないし気を紛らわすのに作戦の詳細作った」
女戦士「この地図はまだ写しを作っていないからあまり汚すな?」
商人「済まないね…不要な書き込みは消しておくよ」
女戦士「数字は人駆か?」
商人「察しが良いね…」
女戦士「貝殻が使えない状況で人駆を分散し過ぎでは無いか?」
商人「海賊はほら貝使うでしょ…それが聞こえる範囲は計算してある」
女戦士「私は何処に位置する?」
商人「最前線…剣士と未来君の為の囮だよ」
女戦士「未来まで最前線に?」
商人「未来君はもう一人前だよ…ハイディングも出来るし僕より戦える」
女戦士「司令塔は飛空艇でやるのか?」
商人「違う…飛空艇は爆撃専門…邪魔な物を全部すっ飛ばしてクロスボウで上空から援護する」
女戦士「森を更地にするのだな?」
商人「まぁ隠れ家を露出させるだけだけど」
女戦士「お前はどうする?」
商人「僕はローグの気球で司令塔さ…海賊を数人乗せてクロスボウでの援護も兼ねる」
女戦士「援護というのは地上を行く海賊本体のだな?」
商人「そうだね…先方は君と剣士と未来君の3人だけ…その後に海賊の20人小隊が分かれて追随する」
女戦士「一つ忠告するぞ?海賊は被害が出ると一気に士気が下がって逃げ始める…はっきり言うとヘタレが多い」
商人「うん…だから先方は3人だけなのさ…ここが肝だ」
女戦士「そうか…分かって居るなら良い…出来るだけ被害を出すなよ?」
商人「補給と衛生部隊も構えて居るからよほど大丈夫…変身した女の人もここに配置する予定さ」
女戦士「正規軍程では無いが被害さえ出なければ占領戦は割と動きが良い」
商人「君たちが先方でどれだけこなせるかによる」
女戦士「ふん!バカにするな」
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 09:59:24.19 ID:agkIMDdy0
トントン
女戦士「ん?入れ」
ローグ「良かった着替えの最中じゃ無かったっすね…」
女戦士「出かけるのか?」
ローグ「へい…魔女が早く連れて行けとせっついて来るもんすから…」
商人「昨日買い物が出来なかったからだよ」
ローグ「あっしが付き合わされるんすかねぇ?」
商人「なんか魔方陣を中和する為の触媒が欲しいらしい…あと下着」
ローグ「なんか面倒くさそうでやんす」
女戦士「魔女には志願して来た男を女に変身させる件と幻惑の杖の事は話しておいたから導いてやってくれ」
ローグ「へい…で…そのー褒美の事でやんすが」
女戦士「分かった分かった…帰って来たら相手してやる…旨い酒を持って来い」
ローグ「ヌフフじゃ行って来るでやんす」
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 10:01:01.72 ID:agkIMDdy0
『飛空艇』
トントン
女戦士「…私だ…入るぞ?」
女海賊「んぁ?お姉ぇか…」ゲッソリ
女戦士「お前は何をしているのだ?」
女海賊「想像妊娠…」
女戦士「何故裸でその様な事になって居る?」
女海賊「こん中で癒されてたんだよ…ほらホムちゃんも一緒」
女戦士「いい加減にしろ…叩かれないと正気にならんか?」スラーン
女海賊「え!?何する気?」
女戦士「エリクサーが汚れる…出ろ」
女海賊「ちょま…ちょちょちょ…」ザバー
女戦士「この状況をすこし自分で考えてみろ…おかしいだろう?」
女海賊「わかってんよ…もう止めるよ」
女戦士「止める?まさかその中で又自慰に溺れていたわけではあるまいな?」
女海賊「なかなか妊娠しないんだって…」
女海賊「出ろ…」
女海賊「ぅぅぅ…ホムちゃんゴメンやっぱ私ホムちゃん生めない」
女戦士「ふん!」ブン バチーン
女海賊「いだぁぁぁい!!」
女戦士「何度言わせるのだ?早く出ろ」
女海賊「分かったからそれでお尻叩くの止めて」ザブザブ
女戦士「恥ずかしくないのか?他の誰かに見られたらどうする?」
女海賊「お姉ぇも同じじゃん!!」ブツブツ
女戦士「まだ叩かれたい様だな?」
女海賊「やめてやめて…分かったから」
女戦士「お前に仕事がある…早く着替えて出て来い」
女海賊「やる気無いんだけど」
女戦士「…」ブン ビターン
女海賊「いだぁぁぁい!!」
195 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 10:02:34.40 ID:agkIMDdy0
『甲板』
ザブン ザブン ギシギシ
女海賊「あぁぁ血ぃ出てんじゃん痛ったいなもう…」
女戦士「やっと出て来たか」
女海賊「何さ仕事って!!」
女戦士「剣士と未来を探して来い」
女海賊「何処に?」
女戦士「それはお前が知ってるのでは無いのか?」
女海賊「漁村なんだけど…」
女戦士「今漁村だ…迎えに行け…明日の朝には出発する」
女海賊「魔女は?千里眼でパパっとさぁ」
女戦士「魔女はローグと一緒に出掛けている…お前と違って皆忙しいのだ」
女海賊「…えーっと…どしよ?」
女戦士「もう作戦は進行している…早く連れ帰って来い」
女海賊「…徒歩?」
女戦士「目の前に漁村が有るのに徒歩以外にあると思うか?早く行け」
女海賊「参ったな…」
女戦士「聞こえなかったか?」スラーン
女海賊「あああ…ちょい待ち…思い出したそうだ!!漁村で待ち合わせてた」
女戦士「そうか…それなら良い…早く行け」
女海賊「ちょい行って来る」ピューーー
商人「…」アゼン
196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 10:03:41.08 ID:agkIMDdy0
女戦士「さて商人…エリクサーをひどく汚してしまった様だ」
商人「やっぱり…」
女戦士「随分こぼして量が減ってしまった…処理を頼む」
商人「エリクサーに余裕は?」
女戦士「無いから還元できるなら少しでも戻してほしい」
商人「わかったよ…」
女戦士「それからホムンクルスの体をいたずらしたかも知れん…良く見てやってくれ」
商人「ハハ困った人だね…」
女戦士「本人は想像妊娠でホムンクルスをもう一度生む予定だった様だ…呆れる」
商人「想像妊娠…そんな事が可能なのか?」
女戦士「お前までそんな事を言うのか?」
商人「いや冗談だよハハ…」
---まてよ?次元の入れ替えが出来るなら可能性あるじゃないか---
---新しく生まれたという次元---
---ホムンクルスはどうやって生まれた?---
---エリクサーの容器から出したら初期状態---
---これをやろうとしたんだろう?---
197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 10:05:16.44 ID:agkIMDdy0
『漁村』
ガヤガヤ ガヤガヤ
食ってくか〜い
貝が旨いよぉぉ
この貝はっすねぇ…名器の様に使えるんすよ
真珠有るよおぉぉ
ガヤガヤ ガヤガヤ
女海賊「海賊船が入って盛り上がってんのか…」
村人「お姉さんはあの貨物船から降りて来なすったか?」
女海賊「んぁ?私?」
村人「そうよそうよ…あの船は商船とちゃうんかいの?」
女海賊「なんか色々積んでるよ…商人も居るかな」
村人「やっぱり商船かぁ…降りて来て商売せんのはなんでじゃろう?」
女海賊「んーーー売れないと思ってんじゃない?分かんない」
村人「仕入れだけかいな」
女海賊「なんか欲しい物あんの?」
村人「武器が無ぉーてな?」
女海賊「なんで武器なんか居るのさ?」
村人「お姉さんも見たじゃろう?北の森がパァーーーと明るうなったんを」
女海賊「あぁアレね」
村人「魔物が出て来よるのを心配しとるんじゃ」
女海賊「今一杯船集まってるから大丈夫じゃない?」
村人「噂じゃあれは海賊やいう話じゃ…アテに出来んからのぉ」
女海賊「ほんじゃ衛兵頼みだね」
村人「それも宛てに出来んのじゃ…第3皇子が帰って来れば良いんじゃがの」
女海賊「ん?誰それ?」
村人「しもうた…秘密じゃった…忘れてくれ」
女海賊「まいっか…ほんで武器欲しいんだっけ?」
村人「そうじゃ」
女海賊「取引しよっか…私細工師なんだ…簡単な武器作れるよ」
村人「おぉぉぉぉほら話しかけてみるもんじゃ」
女海賊「木とか骨とかなんでも良いから材料持って来て…加工して武器にしたげる」
村人「あるある…使わん農具でも良いな?」
女海賊「おけおけ…ほんで条件は探して欲しい人が居るんだ」
村人「小さい村じゃけ探し人なら簡単じゃぁ…どないな人や?」
女海賊「白いマント被った親子…両方とも男」
村人「住人に声掛けてくるわい…材料持ってくるで待っとってなぁ」
女海賊「おっけ!!待ってるから」
198 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 10:06:12.07 ID:agkIMDdy0
『数時間後』
トンテンカン トンテンカン
ローグ「あらららら?姉さんじゃないすか?何やってるんすか?」
女海賊「剣士と未来探してんの?」
ローグ「え?どう見ても安い武器屋にしか見えやせんが?」
女海賊「うっさいなぁ…あんた仕事は?」
ローグ「これから輸送船の取引っすね」
女海賊「あっそ…」
魔女「これ歩くのが早いぞ…もうちっとゆっくり…ん?女海賊では無いか」
女海賊「あ!!魔女!!千里眼で剣士の居場所分かんない?」
魔女「千里眼!!ダメじゃ見えぬ」
女海賊「そっか」
魔女「狭間の中に居ったら見えんでなぁ」
女海賊「あーそういう事ね…まぁ良いやもうちょい待つ」
ローグ「姉さん…取引が終わったら又寄りますんんでちぃと失礼しやす」
女海賊「剣士見つけたら探してるって伝えて」
ローグ「分かりやした…魔女さん行きやすぜ?」
魔女「ゆっくり歩け…わらわは子供じゃぞ?」ノソノソ
ローグ「へいへい…」
----------------
199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 10:07:23.30 ID:agkIMDdy0
女海賊「お!?どう白いマントの親子は居ない?」
村人「済まんですわ…皆知らん言うもんで」
女海賊「まぁしゃーないね…ほんでこれ作った武器」
村人「これ全部もろうて良いんじゃろうか?」
女海賊「どうせ要らない道具から作ったんだし皆に配ったら?」
村人「これだけありゃぁ志願兵に行けるかも分からん」
女海賊「志願兵?」
村人「なんや村の中央でエライ高給で志願兵募っとるんですわ」
女海賊「なんだそういう事か…じゃ防具も居るね」
村人「防具も作れるのじゃろうか?」
女海賊「軍隊ガニの甲羅で出来るよ…革ひもあればすぐ作れる」
村人「作って貰えるなら村の秘伝のニンニクを持ってくるで?」
女海賊「ニンニク…」
村人「このニンニクは高く売れるんじゃ」
女海賊「まぁ良いや…作ったげるから材料持って来て」
村人「防具とニンニクじゃ釣り合わんかも知らんがそれぐらいしか無いのじゃ」
女海賊「早いとこ探し人見つけてくれりゃそれで良いよ」
村人「お姉さん良い人じゃなぁ?婿は要らんか?」
女海賊「あのね…探し人は私の旦那と子供なの」
村人「なんと逃げられたんかいな…」
女海賊「いやそうじゃない…」
村人「済まんのぅ…口が滑ってしもうた…わしは口が軽るーてイカン」
女海賊「もう良いから早く材料持って来て」
---------------
200 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 10:10:10.10 ID:agkIMDdy0
ちょっと待て…あそこに居るの
ヤバイ!道変えるぞ…アレは頭の
女海賊「おいおい…聞こえてんだよ」
海賊1「へ…へい」
海賊2「ぁぁぁ…」
女海賊「なんかさぁ…皆して私避けてくんだけどイライラすんだよね」
海賊1「ここで何をされて居るのですか?」
女海賊「見りゃ分かんじゃん?」
海賊1「安物の武器を高く売りつけているのですね…ハハハさすが」
女海賊「ちょい待ち…これの何所が安いっての?」シャキーン
海賊2「ひぇぇぇ…」
女海賊「ちゃんと研いだらあんたのパンツくらい簡単に切れるんだよ」スパ
海賊1「そ…それはどのような材料で?」タジ
女海賊「鉄に決まってんじゃん」
海賊1「ハハハ…」
タッタッタ
村人「ニンニクを持って来たんじゃがどうすりゃえーかのぅ?」
海賊1「ニンニク?」
女海賊「うわ…一杯あんね…どーすっかな」ジロリ
海賊1「は…運んでおきましょうか?」タジ
女海賊「助かる!!お姉ぇの船に積んどいて」
村人「お知り合いじゃろか?」
女海賊「まぁ通りすがりだよ」
村人「ニンニクの秘密も教えとかんとイカンなぁ」
海賊2「ニンニクの秘密…」
女海賊「あんたらさぁ…早くそれ運んどいてよ」
海賊1「へ…へい!!」スタコラ
海賊2「よっし!!」スタコラ
村人「そのニンニクには退魔の効果があるんじゃ…魔物が寄り付かん…えーじゃろう?」
女海賊「そうなんだ?」
村人「第3皇子が大好物でな?いつも買い入れに来て居ったんじゃ」
女海賊「誰それ?」
村人「あああああイカンイカン秘密じゃった…」
女海賊「あんた口軽いんだね?…ほんで誰?」
村人「ここだけの秘密にしといてくれや?実はセントラルの第3皇子は生きて居るんじゃ…秘密やで?」
女海賊「知らない人だなぁ…」
201 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 10:10:54.54 ID:agkIMDdy0
---確か10年ほど前に死んだ筈の皇子だ---
---エルフゾンビの弟に当たる---
---ハーフエルフの可能性が高い---
---そういえばエルフゾンビの生みの母は何処行った?---
---思い出して来たぞ---
---第3皇子が戦士した後に第1皇子と第2皇子が動いた---
---歴史をこの3人の皇子が動かしている---
202 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 10:12:04.81 ID:agkIMDdy0
『貨物船』
ザブン ザブン
女海賊「はぁはぁ…」ドドドド
女戦士「む?見つけたのか?どうしたのだ?慌てて…」
女海賊「お姉ぇ…ちょっと気になる情報聞いてきた」
女戦士「言って見ろ」
女海賊「商人は?」
女戦士「飛空艇の中を掃除している」
女海賊「人に聞かれるとマズいかも…飛空艇の中で」
女戦士「分かった」
『飛空艇』
ドタドタ
商人「ああああソコ踏まないで」
女海賊「商人!あんたのノートに昔の事記録してたよね?貸して」
商人「君に分かる事なんて書いて無いよ」
女海賊「まぁ良いや…質問に答えてね」
商人「なんだよ急に…」
女海賊「さっきちょっと気になる話を聞いてさ…」
女戦士「早く言え」
女海賊「セントラルの第3皇子が生きてる」
女戦士「んん?10年ほど前に戦死したと聞いたが生きて居ると?」
女海賊「そん時の記録とか第3皇子の特徴とか何か情報無い?」
商人「うーん…」パラパラ
女戦士「3人の皇子の中で一番有能だったらしいな」
女海賊「それから母エルフは何処に行ったとかなんか情報無い?」
商人「またローカルな話だね…そんなのある訳無いじゃないか」
女戦士「しかし第3皇子が生きていたとして何を想定しているのだ?」
女海賊「私らとんでもないミスしてるかも」
商人「え?…続けて」
女海賊「結論から言うよ?エルフゾンビは敵…そして第一皇子も敵」
女戦士「なんだと?」
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 10:14:34.63 ID:agkIMDdy0
良く思い出して
エルフゾンビは魔女と婚約していた
第一皇子は結果的にフィン・イッシュ女王と結婚しそう
これは北の大陸の覇権の全部を握る事になる
全部10年以上前から計画されてんじゃない?
そして第3皇子は戦死ではなくて身を隠すために戦死した事にした
女戦士「まぁスムーズな繋がりは無いが可能性は有りそうだな」
女海賊「エルフゾンビはいつも単独行動で数日行方不明になるのは理由があると思う」
商人「んー」
女海賊「エルフゾンビだけシャ・バクダの精霊樹んとこ行くのもなんかあやしい」
商人「そういえば黒の同胞団関連とは関わろうとしないね」
女海賊「前の100日の闇の時だって始めに戦死したのは第3皇子でそのあと第1第2皇子が報復戦争を始めたのがきっかけだよ」
女戦士「…」
女海賊「私ら3人の皇子の行いに振り回されてるって訳」
商人「もしかして3人は協力関係かな?権力抗争だと言うのは嘘?」
女戦士「もし第1皇子が敵だとするとマズイな…フィン・イッシュの軍隊は全権握られている」
商人「第3皇子が生きて居るとしてその情報がこの辺りで出て来るという事は森の中の軍隊は第3皇子が動かしてるのか」
女戦士「私達の行動に直接の影響は無いと見るがどう思う?」
女海賊「情報が全部筒抜けになってるとしたら?」
商人「女海賊…一つ大事な事を忘れて居るよ…エルフゾンビは夢幻の記憶に導かれている」
女海賊「う…そうか…敵と決めつけるのはダメか」
商人「ただ僕たちが思っていたよりも因果関係が複雑なんだよ」
女戦士「私もそう思うな…第1皇子とは少し話をしたが正義感の強い熱血バカだ…頭が回るとは思えん」
女海賊「思い過ごしなら良いんだけどさ…エルフゾンビがダークエルフ連れまわしてたのもあるし…」
女戦士「確かに奴は用心しておいた方が良いな…今も行方不明だ…しかし大局を左右する様な器ではない」
女海賊「器…気になるキーワード」
商人「勘かい?」
女海賊「分かんない…でも結構当たる」
女戦士「まぁ第3皇子の事は調べておく…お前はまず剣士と未来を探せ」
女海賊「分かった…これ以上私は頭回んないから任せた」
女戦士「それはそうと海賊達が噂しているぞ?お前がニンニクを買い占めているとな?どういう事だ?」
商人「ニンニク?」
女海賊「あいつ等…ダンゴムシの刑にしてやる」
商人「ダンゴムシの刑って何?」
女海賊「ちっと行って来る」バタン ドタドタ
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 10:16:16.02 ID:agkIMDdy0
『夕方』
ザブン ギシギシ
ローグ「頭ぁぁぁ帰ったでやんす!!」
女戦士「ご苦労だった…海賊船から荷の移送が始まった…上手く輸送船を取り付けた様だな?」
ローグ「へい…あっしは取引してただけなんでやんすがすんなり行きやした」
女戦士「魔女のお陰か…」
魔女「ハテ?何の事かのぅ?」
ローグ「ところで姉さんは何処に行ったんでやんすかねぇ?見なくなったもんで…」
女戦士「さぁな?」
犬「グルル…わん!」
ローグ「危ねぇでやんす…どっかから野良犬が紛れて来たでやんすね?」
剣士「リリース!」スゥ
子供「リリース!」スゥ
女戦士「おぉ!!良く戻った…随分汚れたな」
剣士「ふぅ…エリクサーあるかな?」
女戦士「あいにくだが切らしている…どうしても必要なら手配しても良いが」
剣士「毒に侵されて居てね…未来も同じだ」
子供「げふっげふっ…」
ローグ「あっしの気球に少し乗ってやすね…持ってきやしょうか?」
剣士「頼むよ…げふっ」ゼェゼェ
魔女「これ待て…毒消しの魔法はあるぞよ?消毒魔法!」ボワー
剣士「知らなかった…未来とそこの子ウルフにもお願い」
魔女「消毒魔法!消毒魔法!」ボワー
女戦士「この子ウルフは拾って来たのか?」
子供「迷子のウルフだよ」
剣士「未来の友達になった様だ」
子供「えへへ…」
剣士「魔女?消毒魔法に必要な触媒は?」
魔女「水とミネラル…そして塩じゃ」
剣士「回復魔法の応用か」
魔女「初歩魔法じゃぞ?主もちぃと勉強せい」
剣士「今覚えた」
魔女「未来や…主はきちんと勉強せい」
子供「うん!!今覚えたよ」
魔女「…」
205 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 10:17:50.03 ID:agkIMDdy0
女戦士「ところで何故毒に侵されている?そのような魔物が居るという事だな?」
剣士「異形の魔物が居るんだ…多分あれは…」
子供「スライムだよ」
魔女「なんと!?絶滅した筈じゃ…病が流行るぞい」
剣士「他にも見た事の無い魔物が居る」
子供「大きな目のぐにゅぐにゅした魔物だよ…」
魔女「ビホルダーじゃな…ちぃと待て…魔術書に記されて居る」パラパラ
魔女「これじゃ…劣化メデューサじゃ」
子供「ん−ーなんかちょっと違うけどそんな感じ」
女戦士「対処は出来るのだな?」
剣士「弱い…ただ毒を撒き散らかす」
女戦士「毒消しを準備する必要が有るのか…」ジロリ
ローグ「ちょ…あっしが調達っすかねぇ?」
魔女「それには及ばぬ…商人が賢者の石を持って居ったじゃろう」
女戦士「海賊に一人づつ持たせておきたいのだ」
魔女「うむ…簡単じゃ…樽に入れた水の中にミネラルと塩を入れ一晩賢者の石を入れておけば良い」
女戦士「毒消しのポーションになるのか?」
魔女「そうじゃ簡単な毒消しじゃ」
女戦士「それで済むのであれば問題無い」
ローグ「せ…せーふ」
女戦士「剣士…もう少し話が聞きたいのだが良いか?」
剣士「構わないよ…未来は少し休ませて」
子供「ねぇ?ママは?」
ローグ「あー未来くん…姉さんはちっと迷子でしてね」
子供「分かる…ママ目と数字で方角追ってるから方向音痴なんだよね」
ローグ「しぃぃぃぃでやんす」
子供「うん…秘密にしとく」
206 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 10:20:21.99 ID:agkIMDdy0
『船長室』
…これがアルラウネ
ちっちがスプリガンじゃ
昆虫の事はようわからん
ウルフはどちら側じゃ?
女戦士「ふむ…ひとまずそれらの魔物は中立的な立ち位置なのだな?」
剣士「そうだね…多分敵も味方も関係なしで襲って来る」
女戦士「ではやはり明らかに知性を持って争って居るのがエルフ達とキマイラ勢か…」
魔女「人間はどうなって居る?」
剣士「森の声では数日程前に北の方へ移動したらしい…理由は分からない」
商人「今の話で系統図作ったよ…見て」
魔女「三つ巴に見えるのぅ」
商人「エルフ側にトロールとドラゴン…それからウルフもこっち側な気がするな」
魔女「キマイラがよーわからんな…ケンタウロスもエルフ側では無いのか?」
商人「うーん…現場に行かないと分からないかぁ」
女戦士「スライムとビホルダーは中立と見て良いのか?」
剣士「守備的に動くからキマイラ勢だと思う」
女戦士「守備?守っているという事か?」
剣士「多分…追いかけては来ない…命令されているのか目的を持って居そうだ」
女戦士「この地図で位置は分かるか?」
剣士「うーん…頭の中では分かるけど地図だと何処なのか…」
女戦士「仕方あるまい…しかし予測より随分と敵が多いな」
剣士「争いに加わらないように動けば厄介なのは毒だけに思う」
魔女「ドラゴンの骸を見つけた様じゃが何にやられたのじゃ?」
剣士「見て居たのか…ドラゴンは捻りつぶされていた…多分ゴーレムという魔物かと」
魔女「ゴーレムは見て居らんのじゃな?」
剣士「見ていない」
女戦士「察するに北へ向かったと考えて良さそうだな」
剣士「うん…倒木の跡が北の方へ続いてた…きっと北に向かった筈」
魔女「やはり事が済んだ後じゃろうな…黒の同胞団の隠れ家はもぬけの空やも知れんぞ?」
女戦士「北への追撃は海賊では無理だ…その後の動きは考え直す必要がある」
207 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 10:21:39.31 ID:agkIMDdy0
剣士「ところでホムンクルスは?ドラゴンの事で気付いた事があるんだ…」
商人「ホムンクルスは…」
魔女「眠りについた様じゃ…今はエリクサーに浸かっておる」
商人「…」
剣士「そうだったのか…」
魔女「ドラゴンで気付いた事とは何じゃ?」
剣士「ドラゴンの血はホムンクルスと同じ匂いがする…何か知って居るんじゃないかと」
魔女「はるか昔に精霊が創造したらしいがドラゴンもホムンクルスと同じ人工生命体とな?」
剣士「ドラゴンの牙だけ採取してきた…中に血も入って居るよホラ?」
サラサラサラ
剣士「あれ!?血が入って居た筈なのに…砂になってる」
魔女「むむ!!それはホムンクルスと同体の証拠やもしれん」
商人「砂と言うか灰だね…集めて保存しておく…きっと貴重品だよ」
魔女「ホムンクルスは居らん故鑑定するのであれば女海賊じゃろうな」
女戦士「私に見せてみろ…」
剣士「はい…」ポイ
女戦士「軽いな…何の金属なのか…」
商人「ん?牙だから骨の類でしょ?」
女戦士「うーむ骨にしては熱の伝わりが早い…金属に近いから研磨してみたくなる」
剣士「僕には不要な物だから女海賊と女戦士で分けて…はいもう一本」ポイ
女戦士「よし…早速研磨する」
208 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 10:23:24.34 ID:agkIMDdy0
『飛空艇』
剣士「ホムンクルスが浸かっているエリクサーってこれだね?」
商人「…そうだよ」
剣士「どうして眠りに?」
商人「…」
剣士「まだ聞きたい事が合ったんだよ…森の声がおかしいんだ」
魔女「それは他の者には答えられそうに無いのぅ?エルフに聞けば良いのかもしれんが…」
剣士「魔法が急に弱くなったのも理由が分からない」
魔女「む?森の中でまだ魔法が使えるのか?」
剣士「魔女は何か知ってる?」
魔女「電磁パルスじゃったか?とにかく魔結界の様な物に覆われてしもうたのじゃ」
剣士「魔法が何かと干渉して散らばってしまうんだ」
魔女「ではやはり使えぬと思った方が良いな?」
剣士「うん…解決方法は無いのかな?回復魔法が使えないのがね…」
魔女「わらわも模索して居るが有効な魔法は物理系だけじゃと思うておる」
剣士「隕石とか?」
魔女「そうじゃ…しかし手間がかかる上に特殊な触媒も必要じゃ…今回の作戦での運用は厳しかろう」
剣士「うーん戦い方考えておかないとなぁ…」
魔女「主の口ぶりからして森の上空で爆発があったのは察して居らん様じゃが気付かんかったんか?」
剣士「爆発?」
商人「夜が一瞬で昼間みたいに変わるぐらいの爆発」
剣士「え!?爆発だったのかな?あちこちでトロールが暴れていると思ってた…その後から森の声が止んだ」
商人「アレに気が付かないという事は森の下は相当深いんだね」
剣士「ホムンクルスはいつ目覚める?」
商人「あぁ…実は…」
魔女「いつ起きるか分かると思うんか?」
剣士「ハハそうだね…まぁ良いか今度で」
魔女「疲れて居るのじゃろう…ゆっくりさせよ」
商人「…」
剣士「じゃぁ少し休むかな」
魔女「剣士や…ちと遊ばぬか?」
209 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 10:24:25.65 ID:agkIMDdy0
剣士「魔女と?何しようって言うの?」
魔女「外に出てわらわの杖を避けてみよ…来い」
剣士「魔女の攻撃は避けられない…受け止めるじゃダメかな?」
魔女「イカン…全部避けるゲームじゃ」
剣士「僕は避けるだけで良い?」
魔女「うむ…行くぞよ?」ノソーリ
スカ スカ ポカ
剣士「あたた…見えないんだよ」
魔女「全部避けよと言うたじゃろう…もう一度じゃ」ノソー
スカ スカ スカ
剣士「ふぅ…」
魔女「さすがじゃな…ラグスイッチを3度使うとは」
剣士「うん…コツが分かって来たんだ」
魔女「遊びは終わりじゃ…休んで良い」
剣士「ん?何かの修行だった?」
魔女「気にせんで良いぞ?あ…そうじゃ主の嫁が何処かへ彷徨っとるで探して参れ」
剣士「あ!!マズイな…先に声掛けとかなきゃいけなかった」
魔女「うむ…」
剣士「行って来る!!」タッタッタ
魔女「ヤレヤレ…」
商人「魔女…今のは」
魔女「ほう?主が気付くつとはのぅ…」
商人「次元の入れ替え…」
魔女「否定してはならん…剣士の次元に乗れば良い…直に調和するで」
商人「それが勇者…」
魔女「そうじゃ」
210 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 10:26:04.10 ID:agkIMDdy0
『漁村』
ホジホジ グリグリ
子ウルフ「ガウルル…わん!」
子供「あ!!居たぁぁ!!」
女海賊「はっ!!」キョロ
子供「ママーーー!!探してたんだよ」
女海賊「未来!!良かったぁぁぁ…剣士は?」
子供「船にママが居ないから探しに行ったよ」
女海賊「私を探してんの?剣士が?」
子供「今度パパ探さないと」
女海賊「千里眼使えばすぐじゃん…なんでこんな遅いの?」
子供「ママは何してたの?」
女海賊「お!!良い事聞くね…ここにさぁアリの巣があんだよ」
子供「うん…」
女海賊「こっちにダンゴムシ居るじゃん?どうやって通ると思う?」
子供「ねぇママ…もしかしてずっとこれ見てたの?」
女海賊「なんでさ?」
子供「それじゃ千里眼でも見つけられないって…」
女海賊「…」
子供「パパ探しにいこ」
女海賊「あんた賢くなったね?」
子供「どっちに行けば良いかなぁ…」
子ウルフ「わんっ!!」
女海賊「この子ウルフは?」
子供「友達さ」
女海賊「乗れる?」
子供「ママが乗ったらダメだよ」
女海賊「ほんなん分かってるって!!あんたが乗るの?」
子供「普通は友達に乗らないよ」
女海賊「ほーん…」
子供「ほーんってさ…ママはパパ探さないの?」
女海賊「探し疲れたんだよ」
子供「パパも帰って来て休まないでママ探してるんだよ」
女海賊「千里眼でさっさとさぁ…」
211 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 10:27:17.47 ID:agkIMDdy0
村人「あそこじゃ…あそこで穴掘っとる」
剣士「どうも案内ありがとう」
村人「いやいやお世話になったで良いんじゃ」
子供「パパだぁ!!」
剣士「やっと見つけた…ニンニクの匂いで分からなかったよ」
女海賊「おっそい!!」
剣士「ニンニクの匂いは君の匂いじゃないと思ってここには来なかったんだ」
子供「ママどうしてこんなにニンニク臭いの?」
女海賊「魔物除けになるって聞いたから持ち歩いてんだけど…あんた魔物?」
剣士「ハハ半分魔物かな…帰ろうか」
女海賊「腰にニンニクぶら下げるのやっぱマズイかな?」
剣士「ま…まぁ良いんじゃない?」
女海賊「臭う?」
剣士「君の匂いが消えるくらいにはね…」
ところでさ…ドラゴンの牙を持って帰ったんだ
え!!マジ?今ある?
女戦士に渡した
なんでお姉ぇに先に渡すのさ!!
2つあるから心配しないで
よし!ダッシュで帰るよ
ママ疲れてるんじゃないの?
うっさいな!ちゃんと付いて来て
212 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:30:58.00 ID:agkIMDdy0
『貨物船』
ワイワイ ガヤガヤ
見ろ!頭の妹分が帰って来たぞ
普通にしてろ普通に
ワイワイ ガヤガヤ
魔女「おぉやっと帰って来たか」
女海賊「何この騒ぎ?」
魔女「海鮮バーベキューじゃ…主らも食え」
女海賊「おぉ!!お腹減ってたのさ…お姉ぇは?」
魔女「ローグと一緒に飲みに出ておる」
女海賊「え!?又お酒飲みに行ったの?」
魔女「止めたんじゃがローグが言う事聞かんくてな…まぁやらせておけ」
女海賊「ぬぁぁドラゴンの牙を見たかったのにさぁ…」
魔女「船長室を探してみよ…そこで眺めて居ったでな」
女海賊「おけおけ!!取って来る」スタコラ
子供「ウルフは貝とか食べるのかなぁ?」
魔女「腹を壊すやも知れんぞよ?飛空艇にシーサーの肉が有ったじゃろう…それで良いのでは無いか?」
子供「おいで!!」
子ウルフ「がう!!」
魔女「剣士は何が良いじゃろうのぅ…」
剣士「適当に済ませるから気にしないで」
魔女「女海賊がニンニクを仕入れて居ったな…食ってみんか?」
剣士「ハハ程ほどに…」
魔女「明日の朝に森の方へ出立するから今日は休めと言うて居った…自由で良い」
剣士「あの海賊達は?」
魔女「森へ行く者は今日この船に集まって居るのじゃ…指揮伝達じゃろう」
剣士「じゃぁ横になるのは飛空艇が良さそうだね」
魔女「うむ…船長室と飛空艇には誰も来んで安心して休め」
タッタッタ
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:31:41.22 ID:agkIMDdy0
女海賊「取って来た!!これ片方磨いてあるけど…お姉ぇがやったの?」
魔女「そうじゃろう…研磨する言うておった…何か分かるか?」
女海賊「主成分が銀だね…重さ的にミスリル銀に近い…ほら?」カチン
コーーーーーン
魔女「ほぅ…良い音が鳴るのぅ?」
女海賊「ドラゴンって金属で出来てんの?どゆ事?」
剣士「だから気になって持って帰って来たんだよ」
女海賊「これ叩いて引き延ばすのはなんかもったいないなぁ…何に使おう」
剣士「そのままアクセサリーにするのは?」
女海賊「でかすぎ」
魔女「無理に使わんでも良いじゃろう…そのまま置物でも良いと思う」
女海賊「まぁ思いつくまで置いとく」
214 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:32:53.86 ID:agkIMDdy0
『飛空艇』
女海賊「こっちに居たんだ…バーベキューは食べた?」
商人「もうお腹いっぱいだよ」
女海賊「あんたなんで引きこもってんの?」
商人「向こうは僕よりずっと大きな人が一杯だからさ…なんか仲間に入りにくい」
女海賊「海賊共か…そっか体が小さいと肩身狭いのか」
商人「まぁそんな所だよ…いつもは盗賊が幅を利かせてくれてたんだけどね」
女海賊「盗賊の極意はこうだ!!とか言って?」
商人「そうだね…僕には真似が出来ない」
女海賊「未来は何処に行ったか知らない?」
商人「奥で子ウルフと一緒に寝てるよ」
女海賊「私もちっと寝るかな」
商人「明日は早いから寝て置いた方が良いね」
女海賊「あんたはまだ寝ないの?」
商人「僕はいろいろ調べ事さ…君が言ってた第3皇子の事とかね」
女海賊「新事実なんかある?」
商人「んー不思議なのが母エルフの事が一切触れられていない事ぐらいかな」
女海賊「ハーフエルフって事を隠したんかな?」
商人「どうしてだろうね?王室がその辺りを隠してるんだよね」
女海賊「セントラルはなんかそんなんばっかだね」
商人「うん…こういう情報は多分アサシンが詳しいと思う」
女海賊「ふぁ〜あ…政治関係の話は苦手…寝る」
商人「あ!女海賊…」
女海賊「ん?」
商人「想像妊娠ありがとう」
女海賊「え?」
商人「君のお陰で希望が持てた」
女海賊「何の話?」
商人「いや…想像妊娠って本当にあるんだなってさ」
女海賊「あんた馬鹿?」
商人「ハハ…まぁ良いや…おやすみ」
女海賊「むにゃ…」
215 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:34:06.07 ID:agkIMDdy0
『早朝』
ガレー船は先行して目標の位置までの安全を確保
続く輸送船は到着後にキャンプ設営に入れ
キャベラル船は本日待機…明日の朝出発する事
では各自船に乗り込み作戦を開始しろ
ドタドタ ドタドタ
商人「女海賊…起きて!!剣士も!!」
女海賊「う〜ん…むにゃ…まだ暗いじゃん」
商人「もう作戦始まった…女戦士とローグは動いてるよ」
女海賊「私ら飛空艇で先行すんだっけ?滝まで30分掛かんないよ」
商人「先に行って桟橋を作るらしい」
女海賊「木材は輸送船に乗ってんじゃん」
商人「それはキャンプ設営用だよ…桟橋の木材は現地調達だ」
女海賊「もしかして私らだけで桟橋作るん?」
商人「そうだよ…昼までに完成しないとキャンプ設営が遅れる」
女海賊「マジかよ…何で先に教えてくんないの」
商人「あー君は外に出てたのか…作戦の概要は昨日展開されたんだ」
女海賊「まぁ良いや…ほんで今出発する感じ?」
商人「うん…女戦士とローグが来たら即出発」
女海賊「おけおけ…炉を暖めるからどいて」シュゴーー
ローグ「頭ぁ…歩けやすか?」
女戦士「あぁ済まんな…」ヨロ
女海賊「お姉ぇ…もう行く?」
女戦士「出せ…ふぅ」
女海賊「又お酒飲んだん?」
女戦士「少しのつもりだったのだがな…」
女海賊「30分で到着だけど横になってて」
女戦士「済まん」
女海賊「商人!?ロープほどいてもらって良い?」
商人「これだね?」
女海賊「緩んだら外にぶん投げておっけ」
商人「…」シュルシュル ポイ
フワフワ シュゴーーーー
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:35:54.76 ID:agkIMDdy0
『河口の上空』
ヒュゥゥゥ バサバサ
ローグ「いやぁぁ飛空艇はやっぱ良いっすねぇぇ…早いわ広いわ暖かいわ」
女海賊「ローグ!剣士も起こしてよ」
ローグ「剣士さんは寝てるんじゃなくて瞑想っすね…あっしが何やっても起きんでやんす」
女海賊「私らだけで桟橋作るって出来るん?」
ローグ「ずっと使う桟橋じゃないもんすから真っ直ぐな木を流れて行かん様にすれば良いんすよ」
女海賊「重たい物運ぶの嫌なんだけど」
ローグ「少し上流で木を倒して川に入れれば良いでやんす」
女海賊「なる…ロープは?」
ローグ「ロープの代わりになりそうなツタなんかいくらでも有ると思いやす」
商人「全部現地調達するんだね」
ローグ「そーっすね…場所の選定が一番重要っすかね」
商人「川は割と深さがありそうだったから自由度高いとは思う」
ローグ「流れっすね…あんまり流れが複雑だと船が乗り上げちまいやすんで…」
商人「その選定は分かる人が決めた方が良い…ローグ分かる?」
ローグ「いいえ…わかりやせん」
女海賊「ぶっ…あんたさぁ!!知った口聞いてて分かりませんてどういう事よ?」
ローグ「聞いた話なもんで…盗賊さんなら分かると思うんすけどねぇ」
魔女「騒がしいのぅ…話を聞いて居ったら阿呆過ぎて呆れるわ」
商人「ハハまぁ僕が決めるよ…水の流れ方は後で変えるという手もある」
魔女「うむ…それで正解じゃ…何か有っても応用で何とかするもんじゃしの」
女海賊「ほんで…冷たい川ん中に誰が入んの?」ジロリ
ローグ「もしかして…あっしでやんすかね?」タラリ
魔女「ゆうべはさぞ楽しかったろうのぅ…?」ジロリ
ローグ「いやいやいや…そーっすね!あっしが入りやす」
商人「こうしようか…クロスボウのボルトにロープ付けて置いて流れて来た木を手繰り寄せよう」
女海賊「お!?面白そう…それ私やる」
商人「木を切って来るのは剣士が良さそうなんだけど…起きないかな?」
女戦士「キコリは任せろ…私が斧を持って居るからな」
商人「じゃぁ残りの人でツタの確保かな」
魔女「罠魔法でツタを成長させられるかも分からん…変性の一種じゃが試してみたい」
商人「それが出来るなら桟橋は一瞬で組み立てられる…期待だよ」
女海賊「役割決まったね?もう到着するから準備して」
217 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:37:12.60 ID:agkIMDdy0
『滝の周辺』
フワフワ ドッスン
ローグ「明るくなってきやしたね?」
女戦士「ふむ…良い場所だ」フラ
女海賊「お姉ぇ大丈夫?フラフラしてんよ?」
女戦士「毎度の事だから気にするな…私は早速少し上流を見回って木を倒してくる」
女海賊「なんか一人で行くの大丈夫かなぁ…」
子供「ふぁ〜あ…ここ何処?」ノビー
女戦士「お?丁度良い…未来を連れて行く」
子供「ん?」
女海賊「おけおけ…それなら安心」
女戦士「未来…少し散歩だ…付いて来い」
子供「え…あ…うん…ちょっと待って」
女戦士「早く支度しろ…置いて行くぞ」
子供「おいで!!散歩だってさ…行くよ」
子ウルフ「がうがう…」
女戦士「ウルフか…魔物除けに丁度良いな」
子供「おっけ!行けるよ」スタタ
女戦士「では行って来る…」スタスタ
女海賊「おっし!!ほんじゃクロスボウゲームの準備する」
魔女「罠魔法を試してみるかの…」
ローグ「あっしはどうしやすかね?」
女海賊「あんたは服脱いで川に入る準備!手繰り寄せた木を上手い事運んで」
ローグ「やっぱそーっすよねぇ…トホホ」
商人「マズイなぁ…木が滝の上に引っかかったらどうしようかなぁ…」
女海賊「あんま細かい事気にしなくて良いんじゃね?きっとうまく落ちて来るって」
魔女「罠魔法!」ザワザワ シュルリ
女海賊「お!?魔法行ける?」
魔女「フムフム…直接触って居れば行けるのぅ…空間に魔法を分散させる何かが有るのじゃな…」ブツブツ
商人「魔法は工夫してなんとかなりそうだね」
魔女「ツタを木を結ぶのはわらわがやるで商人は火を起こすのじゃ…寒うてたまらん」
商人「あぁそうする…燃えそうな物が沢山あって良かった」
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218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:38:47.67 ID:agkIMDdy0
『1時間後』
コーン コーン コーン
女海賊「お?キコリの音…お姉ぇミスリルの斧使ってんのか」
魔女「ここに居ますよと言って居る様なもんじゃな?」
商人「魚が焼けたよ…要る?」
魔女「おぉ旨そうじゃ…」ハフハフ
商人「ここは食べ物にも困らない」
魔女「クマが出んと良いな?」
商人「クマ…」
魔女「ウルフが居れば襲っては来んじゃろうが」
ローグ「気を付けて置いた方が良いでやんす…クロスボウじゃクマは中々倒せんでやんす」
女海賊「あ!!来た来た来た…でっかい木が落ちて来るよ」
ザブーン
商人「アハハ迫力満点じゃないか…」
女海賊「手繰り寄せるよ!!」バシュン シュルシュル
ローグ「姉さんで引っ張れやすか?」
女海賊「重い…ぐぬぬ」
魔女「初めに流れ止めを作った方が良さそうじゃな…」
女海賊「もう一個のクロスボウで川の対岸までロープ渡して」
商人「あぁ僕やるよ…」バシュン シュルシュル
魔女「ロープを水面に垂らして張っておくのじゃ…ローグは対岸まで行ってロープを縛りなおして来い」
ローグ「へ…へい…」
商人「次の木が落ちて来る…」
女海賊「ヤバ…これ超重労働かも」
ザブーン
女海賊「ちょい間に合わない…商人!次の木を手繰り寄せて」
商人「ボルトは?」アタフタ
女海賊「そこそこ!!ソレ!!」
商人「当たれ!!」バシュン シュルシュル
魔女「近くまで寄せたらわらわがツタで固定するで次の準備をせい」
女海賊「わーってるよ…ふんがぁぁぁ!!」
魔女「罠魔法!」ザワザワ シュルリ
女海賊「ひぃひぃ…」
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219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:39:28.74 ID:agkIMDdy0
ローグ「ぅぅぅ」ガチガチ
ローグ「そそそ…そろそろ…上がって良いでやんすかねぇ…ぅぅぅ」ガチガチ
女海賊「おけおけ…飛空艇の中で暖まんな!!ウラン結晶に水垂らして良いよ」
ローグ「姉さんが女神の様っす…ぅぅぅ」ガチガチ
魔女「商人!木はこの位置で良いか?」
商人「もう少し向こうに伸ばしたいけどなぁ…」
魔女「これ以上は流れて行ってしまうぞよ?」
商人「2隻分かぁ…まぁ仕方ないか」
魔女「固定するぞえ?罠魔法!」ザワザワ シュルリ
女海賊「あと邪魔な枝落とす!」タッタッタ スパン スパン
魔女「杖になりそうな良い枝は回収してくれるか?」
女海賊「ん?杖欲しいの?ちゃんとしたやつ作ろうか?」
魔女「只の枝で構わん」
女海賊「ふーん」スパン スパン
魔女「手が届かぬ所に罠魔法を掛けたいだけじゃ」
女海賊「なる…そっちに投げるよ?」ポイ
魔女「ふむ…良い杖じゃ…罠魔法!」ザワザワ シュルリ
商人「まぁまぁの桟橋になったね…そろそろ海賊船入って来ると思うんだけどな」
女海賊「お姉ぇ帰って来てないんだけど…言う事聞いてくれっかな?」
魔女「何もせんでも良い様じゃぞ?昨日ちゃんと指示しておったで」
商人「ちょっと飛空艇が邪魔になるかもね…ど真ん中に陣取っちゃってる」
女海賊「寄せるわ…うわ!!熱っつ!!」モクモク
ローグ「生き返りやした…はぁぁぁ気持ち良いっす」
女海賊「ちょい飛空艇動かすからどいて!!熱いなもう!!」
ローグ「へーい…」グター
220 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:41:25.10 ID:agkIMDdy0
『昼』
女海賊「あ!!お姉ぇ!!」
女戦士「ローグは何処だ?」
女海賊「シカ担いで降りて来たんだ…どうやって狩ったの?」
女戦士「未来とウルフだ…ローグ!!来い!!シカの解体をやれ」
ローグ「へ〜い!!」ドタバタ
女戦士「ほう?良い桟橋になったでは無いか…しかし海賊船の到着が遅いな」
女海賊「迷ってんのかな?」
商人「お〜い!!ガレー船が少し下で待機してる」
女戦士「そうか予定通りだな…輸送船が思ったより遅い訳か」
女海賊「迎えに行く?」
女戦士「小舟が無いとどうにもならん…待機だ」
商人「キャンプをどういう風に作るのか分かれば準備くらいは出来るんだけど」
女戦士「それは私にも分からん…海賊達の好きにやらせるのだ…あちらには職人が居る」
商人「建築の職人?」
女戦士「海賊は拠点を次々移しながら生活していてな…キャンプを作る専門が居るのだ」
商人「僕達だけ休んでるのはなんか悪いなぁ」
女戦士「フフ気にし過ぎだぞ…よく考えてみろ…たった数時間で桟橋を用意して家の様な飛空艇まで準備しているのだ」
女海賊「私らこういうのに慣れちゃってるから普通がどうなのか分かんないかもね」
女戦士「その通りだ…普通のスピードではありえない速さで陣地構築したのだぞ?」
商人「胸を張って座ってて良い?」
女戦士「そうだな…海賊の下っ端から見ればこんな豪華な飛空艇に出入りしているお前は特別に見えている筈だ」
ローグ「頭の言う通りっすね…多分参謀に見えてるでやんす」
女海賊「私は!?ムフフ」
ローグ「姉さんはカリスマっすねぇ…あっしらの象徴になっていやす」
女海賊「はぁぁぁ癒される」
ローグ「なんで商人さんにも逆らう海賊なんていやせんぜ?」
女海賊「手配書に極悪人ズラで書かれてたりしてw」
商人「皆僕より体が大きいからさ…何かしてないといけない様に思っちゃうんだよ」
女戦士「気にし過ぎだ…むしろ海賊の馬鹿どもに教育して欲しいくらいだ…金の勘定も出来ん馬鹿の集まりだからな」
ローグ「頭ぁ…子ウルフがこっち見てるんすが骨と内臓は子ウルフにあげやすぜ?」ガシガシ
女戦士「当たり前だ…それは子ウルフの食料だ」
ローグ「そうでやんすか…」
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:42:11.23 ID:agkIMDdy0
女戦士「食べられない角と硬い骨だけ私達の取り分だな」
ローグ「未来君…切り取った肉を持って行ってくだせぇ」
子供「うん!ありがとう…」
女戦士「さて…私は海賊達が来る前に水浴びをしてくるが…お前も来るか?」
女海賊「え?私?ムリムリこんな冷たい水を浴びるなんて考えらんない」
魔女「わらわも行こうかのぅ…」
女戦士「未来も来い!良い水浴び場を見つけたのだ」
子供「僕も?」
魔女「ウルフも連れて来るのじゃ…クマに襲われたく無いでな」
子供「冷たい水かぁぁ…苦手なんだよなぁ…」
女戦士「良いから来るんだ…お前は臭すぎる」
子供「えええええ…」トボトボ
女戦士「ローグ!!飛空艇の中を温めておいてくれ」
ローグ「へい!わかりやした」
女戦士「では行くぞ…」スタスタ
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:44:03.87 ID:agkIMDdy0
『1時間後』
ガヤガヤ ゾロゾロ
商人「続々降りて来るね…何人居るんだろう?」
女海賊「ざっと50人かな」
商人「ガレー船からも小舟が出て来てる…あっという間にキャンプ出来そうだ」
女海賊「あんたここで見てる?」
商人「まぁ手伝える雰囲気でも無いしなぁ…見てるくらいしか無い」
女海賊「あのさぁ…なんかあんた恰好が地味なんだよ…だからナメられるんじゃね?」
商人「君みたいに謎のアクセサリーをジャラジャラ付けるのは嫌だよ」
女海賊「んんん…何が足りないのかなぁ…あ!!ドラゴンの牙だ…あれで鍵爪作ったげる」
商人「そんな物どうするんだよ」
女海賊「持ってるだけで良い…謎の鍵爪持ってるだけでハクが出る」
商人「ハクねぇ…」
女海賊「ちょい待ってて」スタタ
トンテンカン トンテンカン
ギコギコ ギコギコ
女海賊「お待ち!!ほい!!」ポイ
商人「はや…」
女海賊「牙の先っぽに鍵爪付けた…ほんでグリップが此処」
商人「これ何に使うの?」
女海賊「なんか引っかける」
商人「なんかって何を想定してるの?」
女海賊「肉とか何でも良いよ」
商人「あのね…ドラゴンの牙をこんな無駄な物の為に使ったの?」
女海賊「もう作っちゃったんだからどうでも良いじゃん!早く持って?」
商人「…」シャキーン
女海賊「イイ!!分かったぞ…それ左手に持って盾の代わりにすれば良い!!」
商人「ヘンテコな形の盾だ…」
女海賊「重たく無いし硬いし…絶対使える!!」
商人「まぁ良いや…ありがたく貰っておくよ」コトン
女海賊「おい!!ちゃんと持ってろって」
商人「…」ジロリ
女海賊「良いから…うん!!様になってる」
商人「ふ〜ん」シラー
----------------
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:45:26.93 ID:agkIMDdy0
女戦士「さすがに冷水は寒い…中は温まっているか?」
ローグ「へい…入って良いでやんす」
女戦士「未来と魔女も中へ」
魔女「うぅぅ寒かったのぉ…」ノソーリ
子供「…」ガチガチガチ
女戦士「入る…」モクモクモク
子供「熱っつ!!」
女戦士「これは良い…ふぅぅぅ」
女海賊「お姉ぇ帰ったね?中に剣士居るんだけどまだ瞑想してる?」
女戦士「居ないぞ?起きたのではないか?」
女海賊「え?マジ?」
ローグ「あっしが入った時も誰も居やせんでしたぜ?」
女海賊「えええええ…どこ行ったのさ」
商人「女海賊!!剣士がクマ引きずって来る」
女海賊「なんだ…狩りに行ってたのか…全然気づかなかった」
剣士「近くにクマが居たから倒しておいたよ」ズリズリ
女海賊「あんたいつの間に起きてたん?なんで声掛けないのさ」
剣士「桟橋作るのに忙しそうだったからね…それよりクマの匂いが気になったんだ」
女海賊「それどうすんの?クマなんか食えないし」
剣士「熊油を採取して薬に使う…回復魔法の代わりだよ」
ローグ「良いっすね…あっしが解体しやすぜ?」
剣士「未来にも教えておきたい」
ローグ「そーっすね…未来くん出て来てくだせぇ」
子供「今行くー飛空艇の中熱すぎる」
ローグ「熊油はこうやって採取するんす…」ザクザク ジョキジョキ
--------------
224 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:47:14.43 ID:agkIMDdy0
女戦士「輸送船は予定通り帰った様だな?」
女海賊「そだね…明日又来るん?」
女戦士「うむ…キャベラル船と一緒にここまで来る予定だ」
女海賊「帆船でここまで来れるんかいな…」
女戦士「まぁ来れなくても良いのだ…ここから下流までの安全確保が役割なのだから」
女海賊「ほんじゃあのガレー船4隻が主力か」
女戦士「1隻当たり50人乗っている十分だろう」
女海賊「ガレー船はキャンプに降りないの?」
女戦士「キャンプが整ったら降りて来るぞ…今晩はしっかり休んでもらわんとな」
ローグ「ガレー船に乗ってるのは皆獣みたいな体してるっす…手漕ぎ船はそんな感じっす」
女戦士「ただな…装備がほぼ裸なのだ」
ローグ「北方の海賊っすね…斧盾の裸戦士でやんす」
女海賊「あーあいつ等か見た見た…昨日昼間から漁村で酒飲んで騒いでた」
ローグ「酒と女があれば言う事聞くんすよ」
女海賊「ほーん…それでキャンプに女の人が多いんだ」
ローグ「元は男なんすがね」
女戦士「女に変わりたい者を募ったら沢山居てな…魔女に変身させてもらったのだ」
女海賊「まじか!!」
ローグ「ガレー船の海賊は何も知らんでやんす」
女海賊「こりゃ事件が起きるな」
女戦士「女に変わった海賊も満更では無い様だから放っておけ」
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225 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:48:16.31 ID:agkIMDdy0
キーン キーン
剣士「その鍵爪で武器をからめ取れるかもしれないね」
商人「どうやる?」
剣士「ゆっくり行くよ?…ほら鍵爪で剣を受けたらソコで引っ張る」
商人「こう?」グイ
剣士「そうそう…テコの力で丁度引っかかる」
商人「おー偶然とは言え使い物になるか…」
剣士「武器落としたら後は右手の剣で突けば防ぎようが無いね」
商人「そんなに上手く行くかなぁ?」
剣士「見て…この状態で武器を引っかけられると落とさない様に踏ん張る…その間心臓ががら空きだよ」
商人「僕に出来るだろうか…」
剣士「使い方によっては剣を折る事も出来るんじゃないかな?」
商人「よし!練習してみる!!」
剣士「もう一回行くよ…あれ?ちょっと待って…反対方向から切ってもそれで防がれたら引っかかりそうだ」
商人「こうかな?」グイ
剣士「良いね!!じゃぁこの角度は?…これも同じか」
商人「へぇ…なんか分かってきたよ」
剣士「突きでも結局鍵爪に引っかかる…それ片手剣相手にすごい有利だよ」
商人「受けの練習しなきゃ」
剣士「手で受けるのは反射的に体が動くから多分直ぐに上達する…剣で受けるのよりずっと簡単」
剣士「持ち手が牙の中に隠れてるのも良く考えられてるな…ちゃんと返しになってる」
剣士「ちょっと見せて?」
商人「はい」ポイ
剣士「牙の空洞を上手く使ってるんだ…手首で保持出来るからテコが上手く働くのもスゴイ…」
商人「女海賊はそれちゃんと考えて作ったのかな?」
女海賊「んあぁぁ?…」ドテ パチ
商人「起こしちゃったか」
女海賊「呼んだ?つつつ」
剣士「この鍵爪は君が計算して作ったのかって話だよ」
女海賊「あーソレ?アサシンが使ってた暗器を真似たんだよ」
剣士「暗器?」
女海賊「ソレ鍵爪ん所をダガーに差し替えたら暗器になんの…アサシン使ってんじゃん」
商人「へぇ…」
女海賊「あんたにゃ鍵爪で良いよ…暗器なんかどうせ使えないっしょ?」
商人「ハハまぁね…」
女海賊「目ぇ覚めちゃった…ちっと海賊からかって来る」
商人「あまり揉め事起こさない様にね」
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226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:51:06.99 ID:agkIMDdy0
ガヤガヤ ガヤガヤ
俺ぁこないだの村で金どっかやっちまってよ…又振り出しよ
まぁここに居りゃ旨い山に有りつけんだ…今度こそガッポリ稼いで上手く逃げるぞ
しかし良い女が居無ぇのがなぁ…俺ぁ女のエルフ一人当てがってもらえりゃそれで良い
ここだけの話だがな?あそこにある気球ん中にガッポリ宝が有るらしいぜ?
宝より女だ…おい見ろ…アレは海賊王の娘じゃ無ぇか?アレを物に出来りゃ金も女も手に入る
止めて置けアイツはヤバイ…大人しく従っておきゃ報酬はデカいんだ…今は我慢だ
おぅそういや船貰った奴も居たな?俺らよりも働けねぇクセに許せねぇ
だから今は我慢しろ…今度こそガッポリ頂く
ガヤガヤ ガヤガヤ
魔女「これ!!法衣の中を覗くでない!!」ポカ
海賊1「嬢ちゃん下着は履いて無いのかい?にひひひひ…」
海賊2「俺達の寝床はどこだ?」
海賊3「向こうのテントに酒と食い物用意してんだとよ」
海賊4「くぁぁあ…どいつもこいつも薄汚ぇ女ばっかだな」
海賊5「居ないよりマシだろ!早く行くぞ」
女海賊「あっちでもこっちでも女の話ばっか…魔女!!ここ危なくない?」
魔女「海賊はこんなもんじゃろう」
女海賊「まぁそうなんだけどさ…特にこいつら飢えてるっぽい」
魔女「狭い船でオールを何日も漕いでおるから仕方ないのぅ…わらわはこの様な阿呆は割と好きじゃ」
女海賊「マジか…」
魔女「ドツけば言う事聞くでのぅ」
女海賊「馬鹿ばっかりなのは同意…でもなんか裏切られる心配がねぇ」
魔女「報酬次第なのじゃろう?」
女海賊「まぁね…いやぁぁしっかし…どうしてこんなに樽ばっかりのキャンプになっちゃうんだろ」
魔女「うむ…ぐちゃぐちゃじゃな」
女戦士「見回っているのか?」スタスタ
女海賊「あ…お姉ぇも来たか」
女戦士「今日のキャンプ設営は終わった様だな」
女海賊「そだね…皆食事を始めてる」
女戦士「親睦は謀らんで良いのか?」
女海賊「色目で見られるから気持ち悪いんだよ」
女戦士「フフまぁそうだな」
女海賊「なんかさぁ…あちこちで悪い話してんだけど大丈夫?」
女戦士「ハハお前がそんな事を気にするとはな…アイツらは底なしの馬鹿だ…酒と女が居れば纏まる」
女海賊「女少ないじゃん」
女戦士「そうか?丁度良いと思うぞ?」
--------------
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:52:24.73 ID:agkIMDdy0
海賊「姉ちゃんこっちコイや…飲もうぜ」
女1「あーん?誰に口聞いてんだバーロ!!」
海賊「まぁ良いじゃ無ぇか…ここで会ったのも何かの縁よ」グビ
女1「舐めた口聞いてんじゃ無ぇぞ!?俺は男にゃ興味無ぇんだ!!」
海賊「なぬ!?どういうこった?」
女2「ここに居たのか…どうする?もう場所が無いぞ?」
女1「うーーん困ったな」
海賊「おぉ!!そっちの姉ちゃんでも良い!一緒に飲まねぇか?」
女2「んん?お前の知り合いか?」
女1「いや…どうも俺らとヤリたい様だ」
海賊「おぉ!!話が早ぇぇじゃ無ぇか…まぁ2人纏めてでも良いぞ?」
女1「どうする?何処に行っても見られるぐらいなら此処でも良いか?」
女2「まぁそうだな…俺が先に舐める」
海賊「おいおい…何始めようってんだ?待て待て…俺は抜きなのか?」
女1「男に興味は無いと言ってるだろ…黙って見てろ」ハァハァ
海賊「ぬぁぁぁぁ何だこいつら!!おい混ぜろって!!」
ガヤガヤ ガヤガヤ
何かあっちで揉めてんぞ?
女2人がおっ始めたらしい…見に行くぞ
何のショーだ?
金持って来い金!!
ガヤガヤ ガヤガヤ
-----------------
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:53:19.06 ID:agkIMDdy0
女海賊「ありゃりゃ…事件が始まった…」
魔女「本真に阿呆じゃのぅ…見て居れん」
女戦士「やらせておけば良い…私達は戻るぞ」
女海賊「アレ本当は全員海賊の男達だよね?」
女戦士「そうだ」
女海賊「変身はどのくらい継続すんの?」
魔女「さぁのぅ?個人差があるで分からぬ1年の者も居れば1日の者も居るじゃろうな…どうでも良い話じゃ」
女海賊「あぁぁぁ嫌な物見ちゃった…帰ろ」
魔女「そうじゃな…明日に備えよ」
ガヤガヤ ガヤガヤ
おい見えないだろ!!
ちょちょ…なんでそこで止める!!最後までヤレよ
酒持ってこい酒ぇぇぇ!!
どけ!!代わりに俺がヤル
ガヤガヤ ガヤガヤ
229 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:55:15.30 ID:agkIMDdy0
『飛空艇』
商人「目標を修正する…輸送船の速度から考えて隠れ家の推定場所はこっちだ」
女戦士「2日で行ける範囲が狭くなったのか」
商人「ガレー船だと明日の朝出発したとして夕方には現着する筈だよ」
女戦士「では予想を外した場合は更に翌日に持ち越すのだな?」
商人「そうなるね」
女戦士「夜間移動するよりは良い」
商人「もし隠れ家を発見したとして夕方から戦闘となると被害が出そうだけどどうしよう?」
女戦士「避けるべきだ…隠れ家の場所の確定後落ち着いて翌日に上陸させるが無難」
商人「じゃぁ間が空いちゃうな」
女戦士「状況にもよるが私達が先行して上陸経路を確保するだな」
商人「3人かぁ…」
魔女「わらわも行けるぞよ」
商人「魔法無しで?」
魔女「遠距離魔法は使えんのじゃが回復や罠魔法でのサポートは出来る」
女戦士「回復役が居るのはありがたい」
剣士「回復魔法はどうやって?」
魔女「直接触って掛ければ分散が最小限に収まる」
剣士「そうだったのか…」
商人「相手の抵抗次第だけど4人でやるしか無いか」
女海賊「ほんじゃ私は飛空艇から援護射撃って感じ?」
商人「そうだね…僕とローグはクロスボウを撃つ」
女戦士「例の爆弾は十分あるな?」
女海賊「大丈夫大丈夫!1発あたり100メートルくらい吹っ飛ぶから森を裸にすんのは心配しなくて良い」
女戦士「では明日の朝に出発して私達は予定通り空爆を昼までに終わらせよう」
商人「一発で発見できれば良いね」
女戦士「恐らくなのだが…どこかに船が停泊していると思うのだ」
商人「そうだろうね」
女戦士「それが見つかるかどうかだな」
女海賊「船あったら奪っちゃいたいね」
女戦士「うむ…海賊達の士気が一気に上がる」
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:56:11.40 ID:agkIMDdy0
『翌朝』
…本日は目標までの移動のみだ!上陸は禁止する
現地に到着後船上からの射かけの準備をする事
特に夜間はトロールの出現が懸念される為
場合によっては撤退の指示を出す…その場合は速やかにキャンプへ戻る事
では作戦を開始する…各自船に乗れ!!
ゾロゾロ ゾロゾロ
女海賊「あ〜あ…こりゃ疲れ取れて無さそう…」
女戦士「毎度の事だ」
ローグ「大丈夫でやんす…もう占領後の略奪しか頭に無いっすよ…がっつり働くでやんす」
女海賊「ほんじゃ私達も出発しよっか…乗って!!」
ローグ「あいさー」
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:58:17.41 ID:agkIMDdy0
『飛空艇』
ビョーーーウ バサバサ
商人「少し高度落として…ホムンクルスが居ないと正確な座標が分からない…」
女海賊「目印は何か無いの?」
商人「滝なんだ…見えないかい?」
女海賊「うーーーん…」
商人「マズイな…時間掛かり過ぎてる」
女海賊「剣士!!匂いとか音で分かんない?」
剣士「高度下げたら速度も落としてほしい…風の音が邪魔だよ」
女海賊「おけおけ…」
女戦士「…しかし森の傷みがひどいな」
ローグ「あちこちで煙がくすぶってやすね?」
女戦士「霧だと思って居たのだが…すべて煙か」
剣士「西の方角で滝の音!!」
女海賊「お!?転進」グイ
剣士「そのまま2キロくらい先」
商人「分かった!!今ココだ」
女海賊「木しか見えないなぁ…」
剣士「滝の有る場所に何か目印を落とそうか?」
女海賊「何かある?」
魔女「矢に照明魔法を掛けよ…光の矢にするのじゃ」
女海賊「お?イイね」
剣士「照明魔法!」ピカー
剣士「触って居ればちゃんと掛かる…」
女海賊「商人!爆弾の準備して」
商人「この樽だったね?」
剣士「撃つよ…」ギリリ シュン
女海賊「あそこか…全然滝なんか見えない」
商人「どうする?」
女海賊「お姉ぇ!爆撃始めるよ?」
女戦士「まず川を露出させてくれ…目視したい」
女海賊「おっけ!!ほんじゃカウント…3…2…1…落として」
商人「…」チリチリ ポイ
ピカーーーー チュドーーーーン
232 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 11:59:54.88 ID:agkIMDdy0
ローグ「うほほー久しぶりっすねぇ…」
女海賊「あんたも見て無いで手伝って…次!!3…2…1…今!!」
商人「…」チリチリ ポイ
ピカーーーー チュドーーーーン
剣士「川が見えた!!」
女戦士「続けるのだ…もし船が見えたらその周辺を重点的に爆撃するのだ」
女海賊「おけおけ…どんどん行くよ!!3…2…1…今!!」
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233 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 12:00:37.48 ID:agkIMDdy0
『昼過ぎ』
ピカーーーー チュドーーーーン
女戦士「これほど爆撃されて何も動きが無い…」
商人「予測外しちゃったかな…」
ローグ「船もありやせんねぇ…」
剣士「川の水面ギリギリで飛んでくれるかな?」
女海賊「行って見る」グイ
シュゴーーーー バサバサ
ローグ「姉さん火柱の上昇気流に撒かれないでくだせぇよ?」
女海賊「わかってんよ!!」
剣士「…」
女海賊「何か分かる?」
剣士「滝の方へ!!」
女戦士「見えた!!アレだ…」
女海賊「もう限界!!上昇!!」グイ バサバサ
ドドドドドド
ローグ「うひゃぁ…姉さん!!頼んます…危ねぇのは勘弁して下せぇ」
女海賊「ふぅぅ…滝に突っ込んじゃう所だったね」
女戦士「滝の奥が大きな洞穴になっている…船はその中だ」
商人「良かった…予測が当たった」
女戦士「これでは上陸し難いな…」
女海賊「滝の裏って事は横から回って入るんだよね?」
女戦士「滝の周りは水流が不安定だ…少し間違うと滝に飲まれる」
女海賊「あーー直接乗り込むのは時間が掛かるって事か」
女戦士「うむ…さてどうする?」
魔女「その洞穴に入るのには船だけなのじゃろうか?」
女戦士「私ならそのように構えるな…守備するには完璧な構造だ」
魔女「徒歩で行けぬ訳か…厄介じゃのう」
商人「滝を塞き止められないかい?」
女戦士「む…」
商人「今滝が落ちている場所を爆弾で変えるんだ…横に少し低い傾斜が出来れば全部そっちに流れる」
魔女「おぉ主は賢いのぅ」
商人「その水は結果的に元の川に戻るから下流に影響は無い」
女戦士「よしそれで行こう」
234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 12:01:56.70 ID:agkIMDdy0
『滝の上流』
ピカーーーー チュドーーーーン
商人「よしよし…あと2発くらいで川の流れが横に逸れる」
女海賊「これ滝の落ちる場所変えたとして私達がどうやって行く?」
女戦士「先行で行くと船が来るまで帰れなくなる可能性もあるな…」
商人「中の状況知らないで海賊を突入させる訳にも行かないよね」
女戦士「その通りだ…」
女海賊「んんん洞穴ん中を飛空艇で行くとどっかぶつけるだろうなぁ…」
女戦士「それは無理だ…風も無い」
剣士「クロスボウ使ってロープを向こうに渡せば伝って行ける」
女海賊「超危ないじゃん…切れたらドボンだよ」
剣士「下は水だよ…死ぬことは無い」
女海賊「又一人で行くつもり?中に何あんのか分かんないんだからさ…」
剣士「僕と未来はハイディングが出来るよ」
女戦士「ロープを伝うのは海賊の基本だ…私も一緒に行こう」
魔女「わらわはどうしようかのぅ?」
女戦士「私が背負ってやる…帰りのルート確保は魔女の罠魔法が必要になりそうだ」
魔女「ふむ…ツタを出すのは良い案じゃな」
商人「じゃぁ僕らはクロスボウで援護する感じか」
女戦士「ここからキャンプまではハイディングすれば30分かからんな?」
女海賊「ん?どうすんの?」
女戦士「輸送船に私の気球を乗せて来ている筈なのだ…飛空艇と合わせて2台体制にしておきたい」
女海賊「ダッシュで戻ってもう一基気球取って来りゃ良いんだね?…援護射撃無しになっちゃうけど」
女戦士「出来るだけ早く戻って来い…それまでは凌いでやる」
女海賊「おっけ!!」
女戦士「射手は適当に海賊を乗せて手伝わせろ」
女海賊「キャンプで暇してる奴連れてくるわ」
商人「よし…決まったね?」
女海賊「ほんじゃさっさと爆弾落として川の流れ変えよう…いくよ!!3…2…1…落として!!」
商人「…」チリチリ ポイ
ピカーーーー チュドーーーーン
235 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 12:03:33.08 ID:agkIMDdy0
『隠れ家の入り口』
ヒュゥゥ バサバサ
商人「中の船までロープ渡す!撃つよ?」バシュン シュルシュル
商人「よし!!掛かった」
剣士「敵が見える!!」
女戦士「何が居る?」
剣士「多分ダークエルフ…2人!!」
女海賊「ああああ!!撃って来る!!」
シュンシュン スト スト
剣士「僕が先行する!!未来!!背中に乗って」
子供「うん!!」ピョン
子ウルフ「ガウ…」ピョン
剣士「いくぞ…いつも通り合図でハイディングする」
子供「おっけ!!」
シュン バスン!
女海賊「ヤバ…球皮に当たった…早くして!回避出来ない!!」
剣士「行って来る!!」ピョン シュルシュル
女戦士「魔女!!剣士に続くぞ…乗れ」
魔女「怖いのぅ…」ノソノソ
女戦士「私が向こうに付いたらロープを切れ!しっかり掴まれ魔女!!」ピョン シュルシュル
シュンシュン スト スト
女海賊「何やってんのさ応射してよ!!」
ローグ「あいさーー」バシュン バシュン
商人「女戦士が船に乗った!!ロープ切るよ!!」スパ
女海賊「ヤバイなぁ…高度上がんないかも」グイ
ローグ「あっしが上行って応急してきやす…姉さんは早くキャンプ向かって下せぇ」
女海賊「頼む!!商人!!射撃続けて!!」
商人「分かってる…」モタモタ
女海賊「やっぱ人出が足んない…」
ローグ「姉さ〜ん!!近くまでガレー船が来てやすね」
女海賊「バッチタイミング!!上手い事援護してくれるの祈る」
商人「ふぅ…良かった」
女海賊「ハイディングするよ?」スゥ
236 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 12:05:25.07 ID:agkIMDdy0
『キャンプ』
フワフワ ドッスン
女海賊「ローグ!!お姉ぇの気球お願い」
ローグ「任せるでやんす」
商人「僕もローグと一緒かな…予定だとガレー船の援護しながら指揮だ」
ローグ「あっしに付いて来て下せぇ…海賊見繕いながら直ぐに出発するでやんす」
女海賊「あのさ…こっちの球皮はもう大丈夫?」
ローグ「処置はしときやした…多分大丈夫と思いやすが無理はせんでくだせぇ」
女海賊「おけ!!ほんじゃ私も適当に海賊乗せて隠れ家の方に戻る」
ローグ「姉さんは一人なんで気を付けて下せぇ…姉さんに逆らう海賊は居ないとは思いやすが…」
女海賊「大丈夫大丈夫!!それよりお姉達心配だから早く戻ろ」
ローグ「あいさー!!商人!!行ややすぜ?」タッタッタ
商人「待って!!」タッタッタ
----------------
メラメラ パチ
お前と居るといつも貧乏クジ引いちまう…折角良い山に有りつけたと思ったんだがな
何だと?お前が女にかまけて居る間に置いて行かれたんだ!ガッポリ稼ぐ筈がこの座間だ
しかしどうする?ここじゃ逃げるに逃げられねぇ…ぁぁぁツイて無ぇ!!
武器もガレー船に乗せたままだ…丸腰じゃどうにもならねぇ
おい!!お前等!!少し黙れ…見ろ…ヤバイ奴が来た…頭の妹分だ
おぉぅ…あんな良い女抱けたら俺は足洗って真面目に働くんだが
黙れ!聞こえる…頭ぶち抜かれるぞ
237 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 12:06:37.60 ID:agkIMDdy0
スタスタスタ
女海賊「おい!あんたら…こんな所で何やってんだよ」
海賊1「へ…へい」---マズイ---
女海賊「何やってんのか聞いてんだ!!耳付いてんだろ?答えろ」
海賊1「いや…キャンプの守備を」
女海賊「丸腰で?舐めてんの?」ジロリ
海賊2「いや違うんだ…今は非番で休憩中なんだ」
女海賊「ほーん…4人共付いて来い」
海賊3「何をするつもり…ですか?」---やべぇバレてる---
女海賊「前線に行く…手伝え」
海賊4「前線?」
女海賊「私の飛空艇で前線に行くんだ…射手が居ないから手伝えっての!!」
海賊4「おぉ!!やっとツキが回って来た」
女海賊「どうせ暇してんだろ?クロスボウを撃たせてやる」
海賊1「あの気球に乗せて貰えるんで?」
女海賊「今言ったじゃん…あんたら頭悪い?」
海賊2「おぉぉぉ!!こりゃスゲェ事だ…俺らエリート候補だぞ?」
女海賊「何でも良いから早く行くよ!!付いて来い」
海賊1「おい!!行くぞ!!あの気球に乗れる」
女海賊「モタモタしないで!!早く前線の援護に行きたいの」
海賊3「行くぞ行くぞ!!遅れた分取り返すぞ!!」ドスドス
238 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 12:08:06.26 ID:agkIMDdy0
『飛空艇』
フワフワ
女海賊「乗ったね?」
海賊1「スゲェ…中はこうなって居たのか」
女海賊「あんた達の仕事はそこのクロスボウでの援護射撃…撃ち方分かる?」
海賊2「任せろ…」
女海賊「よし!ほんじゃ私の指示に従って撃つ…良いね?」
海賊2「分かった分かった…」
女海賊「じゃ出発する」グイ
シュゴーーーーー バサバサ
うはぁぁぁスゲェ…メチャクチャ早えぇ
これどうなってんだ?
おい俺らこの気球に乗ってるって事はよ?幹部なんだよな?
女海賊「あんたらが私らの仲間になるかどうかは働き方次第だね」
海賊1「働き方…」
女海賊「私の奴隷になる?」
海賊2「奴隷は何をすれば?」
女海賊「足を舐めたり飯作ったり…言う事聞いたらたまにアソコも舐めさせてやる」
海賊3「何だとう!!俺は奴隷で良い!!」
女海賊「だったらしっかり働きな!!」
海賊4「お前のそういう所がツキを落とすんだ…今度は俺の番だ」
女海賊「あぁぁぁうっさいなぁ!!兎に角いう事聞きゃ良いんだよ!!黙ってろ!!」
へい!!
---------------
239 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 12:09:22.02 ID:agkIMDdy0
じゃぁ説明する…前線に4人先行して敵の隠れ家に潜入してるから
敵の行動を制限するようにクロスボウで援護射撃…当たんなくても威嚇になる
ほんで予備のボルトはそこの箱の中
2連射出来るクロスボウだから1発目は距離を測って2発目で修正
その他煙玉とか閃光玉を使う場合はその都度指示出すから従って
海賊1「へい!!」
海賊2「あい!!」
海賊3(ちぃあの二人上手く取り入ろうとしてんな?気に入らねぇ…)ヒソ
海賊4(ここは従ってとにかく戦果出しゃ奴隷にしてもらえる…あいつらより上手くやるぞ)ヒソ
海賊3(やっと回って来たツキだ…絶対モノにすんぞ…あの足を舐めれるのを想像しただけで…)ヒソ
海賊4(またそれか…これで見染められたらめでたく幹部だ…ぐっふっふっふ)ヒソ
240 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 12:10:30.95 ID:agkIMDdy0
『隠れ家の前』
シュゴーーーー バサバサ
海賊1「俺達の船はどれだ?」
海賊2「先頭だな…こっから見ると小せぇな」
海賊1「船上で弓構えてる…敵は何処だ?」
海賊2「洞穴の中だ…なんだありゃ?でかいネズミか?」
女海賊「あぁぁマズイなあ…ラットマンリーダーじゃん」
女海賊「ガレー船から弓が届いて無い」
女海賊「あのネズミ何匹居るか見える!?」
海賊1「ここから見えるのは4匹です」
海賊2「奥の方にエルフが見えます」
女海賊「ええ!?エルフ?ダークエルフじゃないの?」
海賊2「あれは戦化粧をしたエルフですね…ダークエルフじゃありません」
女海賊「なんでエルフが敵になっちゃってんのよ…弓持ってるからあんま近付け無いなぁ」
海賊1「どうしやしょう?」
女海賊「もうちょいだけ近づくからエルフを狙って出て来れない様にして」
海賊1「へい!!」
女海賊「行くよ…撃って!!」
海賊1「…」バシュン バシュン
海賊2「…」バシュン バシュン
女海賊「もっともっと!!」
241 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 12:11:47.21 ID:agkIMDdy0
魔女「回復魔法!」ボワー
女戦士「済まない…つつつ」
魔女「攻め切らんな」
剣士「ハイディングが奥のダークエルフに見破られる」
女戦士「もう一度私が囮になる…まず手前のラットマンリーダーを1匹で良いから処理してくれ」
剣士「危険だよ…ダークエルフの弓が精度良すぎる…君も頭を狙われたら危ない」
魔女「わらわが囮になる…変性魔法で鉄になるで放り投げてくれ」
剣士「ダメだよそれじゃラットマンリーダーに掴まる」
女戦士「くそう…爆弾が欲しい所か…未来!!持って居ないか?」
子供「さっき水被って濡れちゃった…どうしよう?」
シュン シュン シュン シュン
スト スト スト カラン
剣士「後ろ!!」
女戦士「飛空艇か!!よし…援護射撃が来る」
剣士「未来!!ハイディングからラットマンリーダの首を狙え…一匹で良い」
子供「うん…パパは?」
剣士「ダークエルフの射線を塞ぐ…女戦士!!囮を頼む」
女戦士「分かった!!未来!!オーガの首を落としたのを思い出せ!!行くぞ」ダダダ
242 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/04/02(金) 12:13:48.46 ID:agkIMDdy0
『飛空艇』
ヒュゥゥゥ バサバサ
女海賊「撃って撃って!!」
海賊1「…」バシュン バシュン
海賊2「…」バシュン バシュン
女海賊「おい!!あんたら何やってんだよ…ボケっとしてないで撃てって!!」
海賊3(俺は右だ…お前は左行け)ヒソ
海賊4(おい!やめておけ…あ)ヒソ
女海賊「もっかい回るよ…合図したら撃って」グイ
海賊3「…」ゴスン!
海賊1「はぅぅ…」ドタリ
海賊4「やっちまった…くそう…」ダダ ゴスン
海賊2「!!?うぐぅ…」ドタリ
女海賊「え!!?」
海賊3「ふぅぅぅ…この気球は俺らが頂く」
女海賊「ちぃぃあんたらぁぁ!!」スチャ
海賊3「うおぉっと!!危ねぇ危ねぇ…」グイ
海賊4「そいっつぁ海賊王の娘だぞ?ヤバく無ぇか?」
海賊3「ヤバイも何もこの状況をもうひっくり返せないだろ…ボケっとしてないで縄で縛るぞ」
女海賊「離せよこのバカ!!」ジタバタ
海賊3「だははは俺ぁ海賊だ…お宝ガッポリ稼いで良い女を抱く…意味分かるな?」
海賊4「ここまで来たら行く所まで行くしか無ぇか…この気球は俺が貰う…お前は女…それでどうよ?」グイグイ ギュゥゥゥ
海賊3「おいおい待てよ…そりゃどんなお宝が有るか見た後だ…兎に角2人で山分けって訳よ」
女海賊「このスカポンタン!!あんたらなんか…」
バチーン!!
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