勇者「魔王は一体どこにいる?」続編のつづき

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243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 12:15:05.92 ID:agkIMDdy0
女海賊「痛った!!」ギロ

海賊3「ぐははは…さて海賊王の娘のアソコはどうなってるんだ?うひひひひ」モゾモゾ

海賊4「待て待て…まずはここから逃げるが先だ…掴まっちまったら又振り出しに戻るぞ」

海賊3「お楽しみには後でゆっくりか…しゃー無ぇ逃げるぞ…お前気球の動かし方分かるか?」

海賊4「分かる訳無いだろう…兎に角触ってみろ…俺はどんなお宝積んでるか見て来る」

海賊3「おい!!持ち逃げなんざすんなよ?ここまで来たからには最後まで2人だ」

女海賊「ぐぬぬぬ…」ジタバタ

海賊3「暴れても無駄よ…たぁぁっぷり俺の奴隷になってもらうからな?」

女海賊「ぺっ」

海賊3「さぁて…どう動かすんだ?このロープか?」グイ

海賊4「うお!!樽ん中に女が入ってる…裸だ」

海賊3「何ぃ!!」ドタドタ

海賊4「出すぞ?」ザバァァァ

海賊3「こりゃメチャクチャ上玉じゃ無ぇか…」

海賊4「この女は俺が頂く…これで平等だな?」

海賊3「何かおかしいな…死んでんじゃ無ぇか?」

海賊4「死んでたらこんなにぐにゃぐにゃな訳無ぇだろ…ん?息して無ぇ」

海賊3「ははーん…硬直しない様に液体に漬けていたのか…確かに勿体無ぇよな?こんな上玉を埋めるのはよぅ」

海賊4「後で回すか?」

海賊3「そうだな?捨てる前に使い切るのは名案だ…他の樽にも入って無いか?」

海賊4「おう!!見てみる…お前は気球を何とか動かしてくれぃ」

女海賊「…」---くっそヤバいなコレ---


---どうする?---

---どうする?---



-----------------
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 12:20:15.67 ID:agkIMDdy0
海賊4「まだ動かし方分かん無ぇのか?」

海賊3「しょうが無ぇだろ…どれが何なのかさっぱりだ」

海賊3「おい!!海賊王の娘さんよぅ…どうやって動かすんだ?」

女海賊「…」ギロリ

海賊3「しょうが無ぇちぃぃっと悪戯するか」

海賊4「お前そんな事してる場合じゃ無いのは分かってるだろ」

海賊3「指入れるぐらいは良いだろ」グニュグニュ

女海賊「ぐぬぬ…」ジタバタ

海賊3「暴れると痛いぜぇ?ぐはは…どうやって動かすかしゃべったら止めてやる」

女海賊「くっそ!あんたら…」ハァハァ

海賊4「下で俺らの船が止まってるんだけどよ…アホだなあいつら…なんで上陸しないんだ?」

女海賊「…」---ピーンと来た!!---

海賊3「おい!いい加減喋ろよ…こっちも必死なんだ」

女海賊「そこのほら貝で突撃させてみな?上陸すっから」

海賊3「うほほそりゃ面白れぇ…だが知りたいのはそれじゃ無い…気球の動かし方だ」グニュグニュ

女海賊「痛いんだって!!くそがぁぁ!!」


バチーーーーン


海賊3「舐めた口利くんじゃ無ぇ…お前は俺の奴隷だ…な?」

女海賊「くぅぅぅぅ…」

海賊4「兎に角逃げるぞ…いつバレるか分かったもんじゃ無ぇ…適当に動かせ」

海賊3「分かったよ…んあぁぁ…これか?」グイ

海賊4「おぉ旋回し始めた…そこら辺の奴だ」

海賊3「どっちに行きゃ良いんだ?」

海賊4「とりあえずセントラルなら西だな」

海賊3「あっちはダメだ…逆だな…シン・リーンの港町に向かうぞ」

海賊4「方角分かるか?」

海賊3「ここじゃ分からん…まず海に出るか…どっちの方角だ?」

海賊4「もう良い!!俺がやる」

海賊3「最初からそうしておけば良いんだ…さて俺は」

海賊4「おい!女は後だ…下でも見張ってろ」

海賊3「続きは後でたぁぁっぷりしてやるからな?ぐふふふふ…このほら貝を吹きゃ良いのか?」

女海賊「…」---吹け吹け---

海賊4「突撃させるんだな?面白れぇ」


ボエーーーーー ボエーーーーー
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:21:46.02 ID:agkIMDdy0
『隠れ家の入り江』


ドン ズザザ


女戦士「未来!!引け!!」

子供「いたたた…」ヨロ

女戦士「後は私が首を落とす!!」


ラットマンリーダー「ガオォォォォ」ドスドス


女戦士「このデカブツめ!!」ブン ザクリ

剣士「女戦士!!引いて!!」


シュン シュン カキン カキーン


剣士「だめだ…ダークエルフの射線に入ってる」

女戦士「そのラットマンリーダーに止めを!!」

剣士「くぅ…」スパ スパ

女戦士「盾の中に…」バッ


カン カン カン カン


女戦士「そのまま下がれ…」ズリズリ

剣士「やっと1匹…」

女戦士「矢を抜いてやる」グイ ズボォ

剣士「うぐ…回復魔法!」ボワー

女戦士「たった2人の弓がこれほど脅威になるか…」

剣士「あっちは僕より射程が長くて正確だ」

女戦士「接近せん事には勝てんか」

剣士「うん…」


ボエーーーーー ボエーーーーー
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:22:52.76 ID:agkIMDdy0
女戦士「何ぃ!!突撃だと?」

剣士「後方で何か有ったな?」

女戦士「しまった…ほら貝を置いて来てしまった…」

剣士「海賊達が入って来るとタゲが分散する…一気に行こう」

女戦士「くそう…被害が出てバラバラになってしまうと言うのに」

剣士「仕方ないよ…後ろで何かに攻め立てられているのかもしれない」

女戦士「…魔女!!千里眼で見えんか!!」

魔女「無理じゃ…ここでは千里眼が通じぬ」

女戦士「まぁ良い…この船の船尾で負傷者が出た場合の一時避難ベースを構えよう」

魔女「ふむ…」

女戦士「海賊達が乗り込んで来たら私が誘導する…剣士と未来は兎に角敵の殲滅を優先してくれ」

剣士「分かった」

女戦士「なんとかダークエルフの弓を凌ぎたいが…」

魔女「この船には使えそうな物は何か積んで居らんのかのぅ?」

女戦士「見た所大砲は積んで居ない様だ…輸送専用のガレー船だな」

女戦士「いやまてよ…油があれば火責めが出来る…そうだ火矢だ!!それならある筈だ」

剣士「未来!下に行って探して来れるか?」

子供「うん!頑張る!!」

女戦士「海賊が突入してくる前に目煙で弓の射線を封じたい…出来るだけ早く探してくるのだ」

子供「行って来る!!付いて来て子ウルフ!!」シュタタ

子ウルフ「がう!!」シュタタ
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:23:43.49 ID:agkIMDdy0
『貨物用気球』


ビョーーーウ バサバサ


ローグ「やっと追い付いたでやんすね」

商人「アレ?何か様子が変だな…ガレー船が動いてる」

ローグ「そーっすね?今日は待機の筈っすよね?」

商人「状況が変わったのかな?」

ローグ「姉さんの飛空艇もなーんか変な所を飛んでるでやんす…あんな低空で何処に行くんすかね?」

商人「何か追ってるのかな?」

ローグ「あっしは操舵で忙しいんで望遠鏡で見てもらえやせんか?」

商人「どこにある?」

ローグ「荷室のどっかに置いといたんすがねぇ…」

船乗り「ここにあるでがんす」

商人「あぁありがとう」

ローグ「船乗りさんと航海士さんはクロスボウの準備しといてくだせぇ」

船乗り「がってん!!」

航海士「あいよー!!」

商人「んんん…何を追ってるのかなぁ…何も居ないけどなぁ」

ローグ「あっしらはガレー船の援護っすよね?ガレー船の方に向かいますぜ?」

商人「うん…飛空艇の高度がどんどん下がってる…どうしたんだろう?あのままじゃ木に引っかかる」

ローグ「あ!!球皮の穴が広がったかもしれやせん…こりゃ姉さんに怒られるパターンっす」

商人「でもさ?速度上げたら羽の力で上昇するよね…あ!!!何か落とした」

ローグ「落とす?…そんな事姉さんは今まで一度もやった事無いっす」

商人「やっぱりおかしい…飛空艇で何か起きてる…まさかハーピーか?」

ローグ「そらヤバイでやんす…ちっと飛空艇を追いかけやしょう」

商人「東側に回って!!何を落としてるのか確認する」

ローグ「あいさー」グイ


ビョーーーーウ バサバサ
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:28:36.16 ID:agkIMDdy0
『飛空艇』


ドス ドス ガス


海賊3「くそう…喋らねぇ」

女海賊「ぐふ…くぅぅぅ」

海賊4「ようし!!高度上がり始めた…ふぅ」

海賊3「こっちの伸びてる奴も捨てるぞ…そっち持て」グイ

海賊4「こいつ重いな」グイ

海賊3「これでもう少し高度上がるだろ…このままトンズラよ!だはははは」

海賊4「せーの!!」ポイ

海賊3「海賊王の娘はいくらで売れると思う?売らずにずっと俺の奴隷にするか…いや売ってもっと良い女を買う手もある」

海賊4「この気球がどれぐらいの価値があるのかも分からない…謎の道具も全部売ればいくらになる?どう山分けする?」

海賊3「ぐふふ笑いが収まらねぇ…」

海賊4「なんつーか…今までの苦労がやっと報われたな」

海賊3「さぁて!!お楽しみにの時間だ…まずはじっくりと舐めてだな」ヌフフ

海賊4「今日はツイてる…俺は腐る前にこいつを楽しむぞ?」ジュルリ

海賊3「おうよ…その後交代だ」

女海賊「ぅぅぅぅ」グター

海賊3「縛ったままじゃ脱がしにくいな…足だけ緩めてやる…暴れんな?」グイ グイ

女海賊「このぉ!!」バタバタ

海賊3「だはははは…大事な所が丸見えだ…あんまり動くな」ベロベロ

女海賊「やめっ!!ろ!!」ドン

海賊3「やっぱり生きが良いのはうめぇ!!このねっとりとした汁が最高にうめぇ…うはは暴れろ暴れろ…」

女海賊「ぁ…くぅぅぅ」ビクビク

海賊4「こっちゃ無反応…まぁ楽しむだけ楽しむか…」ベロベロ

ホムンクルス「…」クター
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:29:52.71 ID:agkIMDdy0
『貨物用気球』


ビョーーーーウ バサバサ


ローグ「今落ちて行ったのは海賊の誰かっすね…商人さん!操舵変わってくだせぇ…あっしが向こうに飛び乗りやす」

商人「見えた!!女海賊が縛られて2人に襲われてる!!」

ローグ「マズイっす…かなりマズイっす」

商人「行かなきゃ…僕がやらなきゃ…僕が…そうだ僕の命が一番安い」グイ グイ ギュゥ

ローグ「あっしが行きやす…商人さんには無理っす!!」

商人「ダメだ…あの中にはホムンクルスが居る!!奪われる訳に行かない」

ローグ「こっから飛び移るのは商人さんじゃ無理でやんす…操舵変わって下せぇ」

商人「僕が失敗したら次ローグお願い」バシュン シュルシュル ストン

ローグ「何をする気でやんすか?ロープ伝って行くんすか?」

商人「この鍵爪に引っかけて向こうに行く!援護頼む!」ピョン

ローグ「そら無茶ってもんす…商人さんじゃ海賊を相手にできやせ…ああああっ!!」


シュルシュル スタッ


ローグ「あわわわ…えーい!!船乗りさんと航海士さんはクロスボウで援護したって下せぇ」

船乗り「がってん!!」

航海士「あいよー!!」
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:32:15.79 ID:agkIMDdy0
『飛空艇』


ヒュゥゥゥ バサバサ


商人「…」---煙玉一発---

商人「…」---行けるか?---


チリチリ ポイ


海賊3「ぐへへへ…入れちまうぞ?」

女海賊「汚ねぇ物…押しつけんな!!」ググググ


コロコロ コロコロ


海賊3「なんだ?」

海賊4「え?爆弾?」


モクモクモク モクモクモク


海賊3「どわぁぁ!!畜生!!誰か来やがったな!!上だ!!げふっげふっ」

海賊4「何処だ?何処から上に上がる?」

海賊3「そこのタラップだ!!上がれ!!」

海賊4「これだな?この野郎!!」ダダ


商人「これでも食らえ!!」ダダダ ピョン ドシ!!


海賊4「ぐぁ‥‥」ヨロ

商人「落ちろ!!」ドン

海賊4「あぁぁぁぁぁぁぁ…」ヒュゥゥゥゥ

海賊3「げほっ…げほっ…ちぃぃぃこのチビ!ゆるさねぇからな」

商人「来い!」タジ

海賊3「あの気球から飛び乗って来たのか…その手には引っかから無ぇぞ?クロスボウで狙ってるのはお見通しだ」

商人「抵抗しても無駄だよ…降参しろ」

海賊3「チビが生意気言ってんじゃ無ぇ…中で勝負つけようじゃ無ぇか…来いよ」

商人「僕には武器がある…君は丸腰だ」スラーン

海賊3「笑わすなよ…そんな細腕で振った剣なんざ俺の筋肉で跳ね返してやる…そしてなんだその鍵爪は」

商人「チビチビ言うなぁ!!」ダダダ ブン

海賊3「見え見えなんだよ!」ブン ドカ

商人「うぁぁ…」ズザザ

海賊3「かかってこいや弱虫!!げほっ…ぬぁぁぁ煙がうっとおしい!!」

商人「むぅ…」---危なかった落ちる所だった---


シュンシュンシュン ストストスト
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:33:42.89 ID:agkIMDdy0
海賊3「ぐぁーっはっは…その位置じゃ狙え無ぇ…こっちまで来てみろ」

商人「…」---まずいな飛空艇に籠られたら倒せない…どうする?---

海賊3「こっちに来ねぇならこっちもクロスボウを撃つまでだ…この距離で回避できっか?」ガチャリ

商人「ええい!!」スパ


グラリ


海賊3「どわぁぁ…」ゴロゴロ

商人「もう一本!!」スパ


グラリ


海賊3「んの野郎!!お前も落ちっぞ!!」ガシ ブラーン

商人「さて?このロープを切ったらどうなると思う?」

海賊3「切ってみろよ…お前も落ちる」

商人「この鍵爪はこうやって使うのさ」ブラーン

海賊3「何ぃぃ!!」

商人「僕の勝ちだ…さよなら」スパ


海賊3「だぁぁぁぁぁ…」ヒュゥゥゥゥ
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:35:18.89 ID:agkIMDdy0
『貨物用気球』


ビョーーーウ バサバサ


ローグ「あわわわ…危ねぇでやんす!あわわわ…」

船乗り「よっしゃぁぁ!!もう一人が落ちて行ったでがんす」

航海士「商人さん上手くぶら下がりましたね」

ローグ「まだ向こうにロープ掛かってるっすね?船乗りさんこっちのロープ外れない様に上手く引っかけてくだせえ」

船乗り「がってん!!」グイグイ ギュゥ

ローグ「この気球で持ち上げて飛空艇の姿勢を安定させるでやんす」グイ

航海士「商人さん一人で処置出来ますかね?」

ローグ「船乗りさん操舵を変わって下せぇ…あっしが飛び乗って処置して来やす」

船乗り「操舵は船の一緒でがんすか?」

ローグ「ほとんど同じでやんす…飛空艇の船体を出来るだけ平行に保つ様にお願いしやす」

船乗り「任せるでがんす…」

ローグ「あっしは飛空艇のロープ結んだらこっちに戻って来るんで後でロープ引き上げて下せぇ」

航海士「ロープの扱いに慣れている人が乗ってて良かったですね」

ローグ「頼りにしてるっす…ほんじゃ行って来るんで頼んます」ピョン シュルシュル

航海士「あいさー!!」
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:37:20.78 ID:agkIMDdy0
『飛空艇』


ヒュゥゥゥゥ バサバサ


ローグ「商人さん立てやすか?」

商人「ありがとうローグ…ぶら下がりっ放しになる所だったよ」

ローグ「切ったロープの処置はあっしがやりやすんで姉さんをお願いしやす」

商人「分かった!!」タッタッタ


女海賊「あたたたた…」グダー

商人「女海賊!!平気?」

女海賊「ギリギリ平気…縄ほどいて」モゾモゾ

商人「ズボンは?」スパ シュルシュル

女海賊「そんなん後で良い!!あんたが見なけりゃ済む」

商人「アザだらけじゃないか…」

女海賊「それよりホムちゃんの樽ひっくり返されて悪戯されてた」

商人「ええ!!?」

女海賊「ローグの声してたけど切ったロープの処置やってんの?」

商人「うん…切ったの3本だけだから直ぐに治せると思う…あああああああ!!!エリクサーがもう無い!!」

女海賊「そうなんだよ…あの馬鹿共水か何かだと思って全部ひっくり返した」

商人「ちょっとしか残って無いじゃ無いか…どうしよう」


ローグ「姉さん!!無事でやんすね?ロープは応急で繋いで置いたでやんす」


女海賊「おけおけ!!ちょいお姉ぇ達ヤバイ状況だから直ぐに移動する」

ローグ「姉さんズボン履いて下せぇ…目のやりどころが無いっす」

女海賊「分かったから早くあんたもお姉ぇの気球で援護やって」

ローグ「分かったでやんす」ダダダ

女海賊「商人!あんた飛空艇の操作わかってんね?」

商人「僕が操舵する?」

女海賊「もう射手が居ないから私がインドラの銃で狙撃する」

商人「ちょっと待って…ホムンクルスを樽に…」ヨッコラ

女海賊「傷つけられてない?」

商人「大丈夫…無事だった」

女海賊「早くして…今やんないとあの馬鹿海賊達はバラバラになる」

商人「君…おしりに青あざあるんだね…」

女海賊「んあ?これお姉にぶっ叩かれた跡!!見てんじゃ無ぇ!!」

商人「早くズボン履いてよ」

女海賊「あんたが飛空艇の操舵しないから履く暇無いんだけど!!早くしてって!!」

商人「代わる!!」
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:39:10.68 ID:agkIMDdy0
『隠れ家の入り口_上空』


フワフワ 


女海賊「おけおけ…そのまま高度下げて」シュン

女海賊「よし!ラットマンリーダー破裂」

女海賊「もう一匹…」シュン


商人「日が落ちてる…」

女海賊「なんかガレー船がバラバラに動いてんな…」

商人「これトロールが出てきたらマズくないかい?」

女海賊「マズいよ…森が燃えてるから絶対怒り狂うと思う」

商人「あの入り江にガレー船4隻は入りきらない…」

女海賊「だからゴタ付いてんだね?」

商人「君の望遠鏡で奥に居るダークエルフ見える?」

女海賊「あー…どうもダークエルフじゃないらしいよ」

商人「どういう事?」

女海賊「戦化粧したエルフだって海賊の一人が言ってた」

商人「エルフを敵にしちゃってる?」

女海賊「そうなる」

商人「どういう事だ?もしかして女戦士達は気付いて居ない?」

女海賊「分かんないけどかなりマズイよね?トロールと挟まれる格好になっちゃう…ドラゴンが来る可能性もある」

商人「…そうか…分かったぞ…この隠れ家は何日か前に既にエルフに占拠されてるんだ」

商人「その後戦線は北に移動している…僕らは何も知らずにエルフを攻めちゃってるんだよ」

女海賊「こっちはもう突撃しちゃってるからもう海賊は収まんないと思うな」

商人「解けてきた…北の方に在った砦から出てた狼煙…あれはトロールを引き付けて退路を確保する為だ」

女海賊「ここはもう派手に燃やしちゃってるからヤバイね」


ドドドド ドーン


商人「!!?」

女海賊「どっち?」

商人「暗い…これじゃ何処から来るか分からない」

女海賊「やっぱ一回お姉達と話した方が良いね…あの入り江で守り切らないと全滅するかも…」

商人「こうしよう…僕がロープ伝って状況を伝えに行く…戻るときは小舟で戻るから拾って」

女海賊「おけおけ…あと一匹ラットマンリーダー倒したら行って」

商人「分かった…準備する」
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:41:14.38 ID:agkIMDdy0
『入り江の船上』


シュン パーン!!


女戦士「よし!!これでダークエルフに接近できる」


シュン ストン!!


剣士「待って…飛空艇からロープが降りた…誰か降りて来るよ」

女戦士「緊急事態か…誰が来る?」

魔女「商人じゃ…あやつは体の具合が悪いのでは無かったか?」

女戦士「良くやる…まぁ丁度突撃の件も問いたかった所だ」


シュタ ゴロンゴロン


商人「あたたた…」

女戦士「無茶をする…状況の連絡に来たのだな?どうなって居るのだ?」

商人「今戦っている相手がダークエルフじゃない事を伝えに来た」

女戦士「何だと?どういう事だ?」

商人「あれは戦化粧をしたエルフらしい…僕達は今エルフと戦ってる!だから後方からトロールが来る可能性があるんだ」

女戦士「それで突撃命令を出したのか?」

商人「え!?僕たちはそんな事して居ない」

女戦士「隊全体が混乱しているという事か…」

商人「もう地響きが何処からか聞こえてる…エルフとトロールに挟まれる格好になるかもしれない」

女戦士「剣士!お前は気付かなかったのか?」

剣士「ダークエルフの…いやエルフか…弓の精度が良すぎて周りに注意出来なかった」

商人「今エルフは何処に?」

剣士「奥の方に気配はあったけど下がった様だよ」

女戦士「そちらに注意しつつ川から上がって来るトロールにも気を配らねばならんのだな?」

魔女「トロールが相手では海賊では何も出来んじゃろう」

女戦士「散り散りになる可能性が高い…ううむ撤退は機を逸している…ここで耐え抜くしか無いと言う事か」

魔女「相手がエルフならわらわが話しても良いが?」

女戦士「ダメだ…捕らえられるぞ?」

商人「この入り江にガレー船4隻は入りきらないよね?上から見てゴタゴタしているんだ」

女戦士「オールを畳めばなんとか入るだろう…しかし整列に少し時間が居る」

商人「対トロール用に大砲は無い?」

女戦士「ガレー船は強襲揚陸用で大砲は艦載していないのだ…火薬も砲弾もなにもかもが無い」

商人「兎に角…今エルフと戦うのはマズイよ…ドラゴンが来てしまったらもうアウトだ…全滅する」

剣士「トロールは川を潜ってここまで来れるのかな?」

女戦士「分からん」
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:42:44.71 ID:agkIMDdy0
魔女「袋のネズミになってしもうたな…トロールも下手に刺激せん方がよかろう」

女戦士「うむ…一先ず奥に攻め入るのは一旦止めて見張るだけに止める…後方は…」

商人「もしトロールが襲い掛かって来るならどうにかして足止めする方法は無いのかな?」

剣士「魔女の罠魔法は?」

魔女「無駄じゃ…トロールはツタなぞで足が止まる程弱い魔物では無い」

剣士「氷結魔法は?水は触れるから凍らせる事も出来るよね?」

魔女「少しは足止め出来るやもしれんが簡単に割られるじゃろうのぅ」

女戦士「手が無い…」

魔女「トロールを止めるには照明魔法なのじゃが今はかき消されてしまうでなぁ…」

商人「あああああああ!!!それだ!!光の石だ!!僕は飛空艇に戻って光の石の準備をする」ダダ

女戦士「慌てるな…どうやって戻る?」

商人「小舟で戻ってロープをよじ登る!!この小舟に乗って帰るよ」バチャーン ザブザブ

女戦士「私なら元来たロープを走って戻るがな?…まぁ良い…こちらは一旦海賊を集めて体制を整えておく」

商人「何かあったら又ロープ伝って来る!!上手くやって!!」



----------------
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:43:59.19 ID:agkIMDdy0
魔女「あやつは心臓が悪いのじゃろう?走り回らせて良いのか?」

女戦士「覚悟が違うのだ…やらせておけ」

魔女「覚悟のぅ…体のしんどさはそういう問題では無いと思うのじゃが…」

子供「ママ?船の中に油と硫黄があったよ…僕じゃ運べない…どうしよう?」

女戦士「剣士!場所を確認しておいてくれ…運搬で海賊数人を回すから案内してやってほしい」

剣士「分かったよ…未来…その場所へ案内して」

子供「こっちだよ」スタタ

女戦士「ようし…油が有るなら奥に通じる通路を遮断出来る」

魔女「ふむ…燃やして魔物が来ん様にするのか」

女戦士「暖を取る意味もある…今晩は戦闘を避けたい」

魔女「洞穴になっとるで寒さはマシと言えばマシじゃな?」

女戦士「うむ…厳しい環境が続いて居るから海賊達が逃げ出すリスクも高いのだ…兎に角ヘタレが多い」

魔女「士気の維持も大変じゃな?」

女戦士「ここまで連れまわしてお宝が無かった場合…想像つくか?」

魔女「想像しとうない」

女戦士「そういう輩の集まりなのだよ…海賊と言うのはな」
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:45:01.96 ID:agkIMDdy0
『2時間後』


メラメラ ゴゥ


ほらよ!配給だとよ

又練った芋と干し肉か

今日はこの洞穴で待機らしい

隊長は慎重すぎなんだよサッサと占領すりゃ良いのによ

この通路の奥だよな?

何か見えるか?

真っ暗だ

本当にこの奥に貴族のお宝があんのか?

おい聞けよ…あの船ん中にどっさり宝石積んでたらしいぜ?

マジか!!どっさりってどんくらいよ?

てことはこの通路の奥も期待出来るって事だな?

しかし何で警備がこんなに手薄なんだ?


ヒソヒソ ヒソヒソ
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:46:57.81 ID:agkIMDdy0
子供「とう!!」ピョン クルクル ドテ

魔女「おおぅ…身軽じゃのぅ?ロープを伝うのは平気か?」

子供「あたたた…なんで着地失敗したんだろう」

魔女「怪我はしとらんか?」

子供「全然大丈夫!!ママからの伝言だよ」

女戦士「状況に変化があったのだな?」

子供「トロールが10体…それからケンタウロスが6体うろついてるってさ」

魔女「ケンタウロスにまで包囲されておるんか」

子供「トロールは焼けた森をうろついてるだけだって…川に近付かないみたい」

女戦士「それは朗報だ」

子供「ケンタウロスは川辺からこの洞窟を観察してるんだってさ」

魔女「ふむ…どちらも川に入るのを嫌がっておる様に聞こえるな」

女戦士「それは…気になるな…川に入れない何かがあると?」

剣士「未来…こっちへ…体を見せるんだ」

子供「え?どこもおかしくないよ?」

剣士「…」グイ

魔女「これはイカンのぅ…黒死病の斑点が出とる」

剣士「未来…もう一度飛空艇に戻って商人から賢者の石を借りて来るんだ」

子供「うん…」

剣士「ロープから落ちない様にベルトを掛けてあげる…おいで」ギュゥ

子供「大丈夫だよ…行って来る」ピョン シュタタ

女戦士「毒に加えて黒死病もか…水が汚れているのだな?」

魔女「その様じゃが…」チラリ

剣士「…」コクリ

女戦士「まさか…」

魔女「はぁ…溜息が出るのぅ」

女戦士「リリスの子宮か…」

魔女「黒の同胞団が持って行った可能性が最も高い…そして黒死病…壺の封を開けたと考えるな」

剣士「エルフ達が戦い始めた動機にもなる」

魔女「北に戦線を移した…つまりそれが移動しておる…溜息しか出ん」

女戦士「…」---いつまで続くんだこの戦いは---



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260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:48:14.75 ID:agkIMDdy0
ツカツカツカ


女戦士「今の所黒死病の症状が出ている者は居ないな?」

魔女「そうじゃな…一応全員にこの賢者の石をかざして置く」

女戦士「海賊達から不満が出始めている…このままでは進軍と同時にバラけてしまうな」

剣士「通路の向こうの具合が分からないと危険だよ…見てこようか?」

女戦士「相手を刺激するのは止して欲しいが…気付かれないように行けるか?」

剣士「僕一人なら行ける」

女戦士「よし…様子を見るのだけ頼む」

剣士「行って来る…」タッタッタ

魔女「士気の維持のぅ…」

女戦士「あいつらには金か女なのだが…」

魔女「積み荷の宝石を見せてはどうじゃ?」

女戦士「今見せると逆効果になりかねん…女が居ないのがな…」

魔女「わらわが変身して賢者の石をかざしてくるのはどうじゃ?」

女戦士「大人の姿に?それは良い案だが魔女は良いのか?」

魔女「ちぃと法衣の丈が短いのじゃが少しの間であればよかろう」

女戦士「よし…それで頼む」

魔女「変性魔法!」グングン

女戦士「気を付けるのだぞ?奴らは飢えて居るからな」

魔女「たまにはわらわの美貌を見せつけておきたいと思って居った」

女戦士「フフ…そうか」

魔女「では行くぞよ?」ノソノソ



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261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:50:10.18 ID:agkIMDdy0
おい!見ろ!…誰だあの女…三角帽子の女だ

うひょぉぉ生足だぞ生足!!

え!?何だって?アレで娼婦なのか?赤目だって?

合図は何なのか知ってるか?

今金持って無ぇぞ!!おいお前金持ってるか?

俺も持って無ぇ…くっそこんな事なら…

一人づつハグしに来るらしい

パフパフすんだな!?

何!?触れるのか!!

ちゃんと並んでろ!!

クンクン…クンクン!よし鼻の調子は良い…


女戦士「…」---呆れるな---

---たった一人女が居るだけでこれほど気が逸れるか---

---魔女にはしばらくあの恰好で居て貰った方が良さそうだ---

---あのような真似を私にも出来るか?---



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262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:52:13.81 ID:agkIMDdy0
タッタッタ


女戦士「早かったな?奥はどうだ?」

剣士「激しい戦闘跡があった…そこら中に魔物の死体があるよ…この入り江は多分裏口だ」

女戦士「エルフが占拠していそうか?」

剣士「エルフは何処に行ったか分からない」

女戦士「その他の魔物は?」

剣士「スライムとビホルダーが沢山死体を漁ってる…後はスプリガンの様な木の根っこだ」

女戦士「それだけなら海賊達で殲滅できそうだな」

剣士「行ける…ただそのもっと奥までは分からないよ」

女戦士「やはり事が済んでしまった後なのか…」

剣士「あと沢山の器具が破壊されている」

女戦士「破壊?」

剣士「宝石も放置されてるよ」

女戦士「剣士…お前はその状況を見てどう思う?」

剣士「エルフは何処かで見ているかもしれないけど…この場所は放棄したと思う」

女戦士「分かった…夜明けと同時に海賊で占拠に動く」

剣士「一つ…スプリガンの様な根っこが気になる」

女戦士「それは私達で処理しよう…やれそうか?」

剣士「いやそう言うのじゃない…木と融合した何かだよ…意思がありそうだ」

女戦士「話せるかも知れないと?」

剣士「そう感じる」

女戦士「では海賊達にはその根っこに近付けさせない方が良いな」

剣士「あ!!それから奥は毒霧がひどい…マスクがあれば着用した方が良い」

女戦士「布しか用意出来んな」

剣士「それでも無いよりはマシだよ」

女戦士「明け方までに用意させて作戦を開始する…これで良いな?」

剣士「うん」
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:53:45.21 ID:agkIMDdy0
『早朝』


日の出と同時にこの先にある黒の同胞団の隠れ家を占拠する

それぞれ隊に分かれて各自行動だ

略奪品は各自分配!しっかり稼げ

但し!!逃走が発覚した場合はその隊長含めて全員処刑だ!分かったな?



ヒソヒソ

うへへへやっと俺達の出番だ

各自分配たぁ気前が良い

これが前線に出た甲斐ってもんよ

見ろよこの北方の海賊の出で立ちを…俺らに勝てる敵なんざ居無ぇってもんよ



魔女「斧盾の裸戦士か…野蛮な輩じゃのぅ」

女戦士「こういう占領戦はめっぽう強い…雑魚魔物は奴らに任せて良い」

魔女「さて…わらわ達も準備するかのぅ?」

女戦士「魔女…布のマントを用意させた…足が出て居ては寒かろう?」ファサ

魔女「おぉ気が利くのぅ…寒うてたまらん」

剣士「熊油を塗っておくと寒さが緩和するよ…塗ってあげようか?」

魔女「他人に足を触られるのは気持ちが悪いのじゃが…」

剣士「すこし我慢して…」ヌリヌリ

魔女「これ!!気持ちが悪い!!自分でやるで貸せい!!」


シュタタ クルクル スタ


女戦士「未来…戻ったか…夜明けに出発するから準備しろ」

子供「いつでも良いよ」

女戦士「飛空艇の方は異常なしだな?」

子供「うん!!ケンタウロスと撃ち合いやってるけど任せろだってさ」

女戦士「撃ちあい?」

子供「射程で勝ってるから余裕らしいよ」

女戦士「高さの利か…まぁ女海賊が良いと言うなら良いのだろう」

子供「貨物用気球も居るからね」

剣士「そろそろ夜が明ける…行こうか」

女戦士「うむ…剣士が先頭で案内しろ」

剣士「こっちだ」スタ
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:55:50.10 ID:agkIMDdy0
『黒の同胞団基地』


ワーワー


女戦士「雑魚の殲滅は海賊に任せておけ…私達は剣士が言う木の根っことやらに向かう」

魔女「なんちゅー広い洞窟じゃ」

子供「上の方から光が少し漏れてる」

女戦士「こでは洞窟ではなく渓谷だな…森が覆いかぶさってこの様になっている

剣士「そうだよ…だから上の方も注意する必要がある」

女戦士「あそこだな?破壊された器具というのは…」

魔女「天秤じゃ…アレは錬金術の為の天秤じゃ…どこかにわらわの父上は居らぬか?」

剣士「椅子に掛けた死体があった…こっちだ」


タッタッタ


魔女「おぉぉ…何と痛ましい姿じゃ…父上に間違いない」

女戦士「…時すでに遅しか」

子供「貝殻がいっぱい落ちてる」

魔女「話をしてみたかったのじゃが…ぅぅぅ」

剣士「死因は弓矢だ…頭を貫いてる」

魔女「しかし黒の同胞団に身を置いて居たのじゃから仕方ないのぅ…目を覚ましてやりたかった」

女戦士「こっちの器具も破壊されているな…何の容器なのだ?」

魔女「宝石が散らばって居るからそれが魔石を作る器具なのじゃろう」

女戦士「魔石が見当たらんのだが…」

剣士「向こうの方にも謎の器具があるよ…木の根っこはそこにある」

魔女「ちと待て…アレは転移門じゃな」

女戦士「転移門?」

魔女「まだ入り口が開いて居るという事は術者が生きて居るという事じゃ」

女戦士「過去に戻ると言う例の門か?」

魔女「行先は行って見んと分からん…危険じゃで近付くでない」

女戦士「これですべての辻褄が合ったな…これで過去の書き換えはもう起きんという事だ」

魔女「リッチが隠れておるかもしれんで気を付けい」

子供「パパ?エリクサーの匂いがする」クンクン

剣士「分かってる」

女戦士「エリクサー…そこに精霊の伴侶が居たという事か?」

剣士「行こうか…木の根っこの所だよ」
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 13:59:03.13 ID:agkIMDdy0
『巨木の根』


女戦士「…これは一体」

魔女「根に同化しかけて居るのか?」

剣士「…」クンクン

子供「パパ…ホム姉ちゃんと同じ匂い」クンクン

女戦士「これが精霊の伴侶だと?頭部は何処にある?」

魔女「いや…この部分じゃ…脳が無かったんじゃな」

女戦士「異形のホムンクルスの訳か…しかしどうして木と同化してる?」


巨木の声「又来たか…」


女戦士「誰だ!!」ズザザ

巨木の声「それは役目を終え…直に尽きる…」

魔女「又来たとはどういう事じゃ?」

巨木の声「我らは宿命を終えたと何度言わせる…犬神よ…何故舞い戻った?」

剣士「犬神?」

魔女「どういう事じゃ?」

剣士「僕を犬神と呼ぶという事は…ダークエルフ…」

巨木の声「ハッハッハ…意識を失う前に最後の戯れが犬神との会話か…ハッハッハ」

子供「パパ?良く見て?あそこの幹に何か埋もれてる」

魔女「黒いエルフじゃ…主らはドリアード化しておるのじゃな?」

巨木の声「いかにも…だがそれも終わりだ」

女戦士「話が良く分からない…どういう事なのだ」

巨木の声「最後ににすべてを語るのも一興か…教えてやろうエルフと我が同胞達の争いの歴史を」
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 14:02:02.85 ID:agkIMDdy0
そこに同化しているのは精霊の片割れ

それは精霊のオーブを唯一すべて覗ける道具なのだ

我らは魔王の手からオーブを守る為

精霊の片割れを今まで守り通して来た…ハイエルフからもな

そしてもう一つ

魔王復活の温床となる人間を減らし

我ら同胞となるハーフエルフを増やす為に与えられた古代の技術

これらを駆使し精霊の計画通りに人間達の補完計画を数百年も続けて来たのだ

だがそれも終わった

精霊の計画は遥か3000年昔にドリアード化された神…アダムの復活だ

その復活に必要なエネルギーに魔王の魂を使う

我らは偶然にもそれを手に入れたのだ…まもなくアダムは復活し次なる精霊に置き換わり世界は再生する

魔王がエネルギーとして利用され新たな時代が始まるのだ

我らの役目はこれで終わり…ドリアード化して次なる神に従う


魔女「主らは忠実な精霊の使途じゃと言うのじゃな?」

巨木の声「笑止…他に何と例えよう?」

魔女「これが黒の同胞団の正体か…」

巨木の声「さて犬神よ…もう一度言う…お前たちは我らに従うか?それとも抗するか?」

剣士「…黒の同胞達がが魔王に侵されて居ないと言い切れるのか?」

巨木の声「それはもうどうでも良い…我らが正義か悪かは小さい話だ」

剣士「もしもそのアダムという神が…魔王に支配されてしまったらこの世界はどうなる?」

巨木の声「精霊の計画に異を唱えるのか?」

魔女「まて…それは真実なのか?どこかですり替わって居らぬか?」

巨木の声「ハッハッハ…ハイエルフと同じ事を言うか…だがもう遅い…精霊の片割れもお前たちのせいで息絶えた」

魔女「わらわ達は何もして居らぬのじゃが…」

巨木の声「お前たちの予言通り天の光の後に精霊の片割れも息絶えた…お前たち以外に誰がおろう」

魔女「予言?わらわは主に予言なぞして居らぬ」

巨木の声「たわけた事を…」


シュン グサ
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 14:05:31.01 ID:agkIMDdy0
女戦士「はぅ…」グラ

剣士「マズイ!!頭を射抜かれた…」

女戦士「ぁぅぁぅ…」ブシュー ドクドク ドタリ

子供「ママ!!ぁぁ血が…血がぁ!!」

魔女「蘇生魔法!」ボワワ

剣士「未来!!回復魔法を続けて掛けるんだ!!」

子供「ママ!!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

剣士「魔女!!女戦士を頼む!!あのエルフは僕が食い止める」

魔女「分かって居る!!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

女戦士「…」グッタリ


ピョン クルクル シュタ


剣士「待て!!」シュタタ シュタタ


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268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 14:06:43.13 ID:agkIMDdy0
『入り江の船』


シュルシュル ズダダ


女海賊「お姉ぇが頭撃たれたってマジ?」ハァハァ

魔女「治療はしたが脳にどのくらい損傷が残って居るか分からぬ」

女海賊「あぁぁだから兜被れって言ってたのに…これヤバイ感じ?」

魔女「死ぬ事は無いじゃろうが…いつ目を覚ますか分からんな」

女海賊「剣士は?」

魔女「エルフを追ってどこぞ行きおった」

女海賊「指揮とるの私がやんないとダメっぽいね」

魔女「うむ…他の言う事はなかなか聞くまい」

女海賊「未来!!飛空艇に行って商人も呼んできて…あとローグも」

子供「わかった!!行って来る」シュタタ

魔女「奥にエリクサーがあるのじゃ…誰かに取りに行かせられんか?」

女海賊「どんくらいあんの?」

魔女「そうじゃな…樽で2杯くらいかのぅ」

女海賊「未来!!ローグの気球をこっちによこして!!」

子供「はーーーーい」シュタタ


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269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 14:08:21.74 ID:agkIMDdy0
フワフワ ドッスン


ローグ「頭の一大事って聞いて来やした…」

女海賊「お姉ぇの為にエリクサー取りに行って来て…場所は未来が知ってる」

ローグ「こっから樽を担いで行くでやんすか?」

女海賊「他に方法あんの?早く行って来て!!」

ローグ「わかりやした…頭の為ならあっしは何でもやりやす」

子供「こっちだよ」

ローグ「ちっと待って下せぇ…樽を…よっこら」

船乗り「俺も付いて行くでがんす!!よっこら」

航海士「俺がクロスボウで護衛する…」

ローグ「助かるでやんす…未来君行きやしょう」

子供「こっちこっち!!」



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カクカク シカジカ


商人「…分かった…奥の占拠は順調なんだね」

魔女「うむ…だが今晩もここで過ごすのはどうかと思うのぅ」

商人「日が落ちる前に1隻略奪品を乗せてキャンプへ返した方が良いね」

魔女「人駆が減ってしまうが良いんか?」

商人「この入り江にガレー船4隻は多すぎる…1隻戻してスペース開けて船の配置を考えれば後方の警戒にもなれる」


ローテーションはこういう風に組もう

帰るガレー船1隻

戻って来るガレー船1隻

入り江の中に1隻

入り江の外に1隻

これを順番に回せば物資の移送と海賊の休憩も兼ねる


女海賊「人員の配置具合とローテーションの件をガレー船の海賊長に伝えて来れば良いね?」

商人「ちょっと待って…要件は紙に書いて渡そう…その方が確実だ」カキカキ

女海賊「あとこの船もどうする?」

商人「この船はオールの漕ぎ手が居ないと動かないよね…後で船乗りに相談して人の調達をお願いしようか」

女海賊「おけおけ」

商人「この船は宝石が沢山乗ってるから信頼できる人に任せたいよね…キャンプを守備している人にも配らないと」

女海賊「そんなこんなで私等奥の方に行ってる暇出来そうに無いな」

商人「うん…指揮系は切らすとマズイ…女戦士居ないのはかなり痛いよ」

女海賊「もうちょいでエリクサー来るからお姉ぇを樽に漬ける」

商人「ホムンクルス用のエリクサーも無かったから丁度良かった」

女海賊「ほんじゃ指示書を海賊長に届けてくるわ…それ頂戴!」

商人「はい…」パサ
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 14:10:30.44 ID:agkIMDdy0
『1時間後』


シュタタ


女海賊「剣士!!良かった無事だったね」

剣士「女戦士の具合は?」

女海賊「今エリクサーの樽に漬けた所…これで良くなってくれれば良いけど」

剣士「魔女は?」

女海賊「船尾で怪我した海賊の治療してる…どうしたの深刻な顔して」

剣士「一緒に来てくれ…」

商人「…なにかあった様だね」

剣士「うん…これを見つけた」

女海賊「黒い壺…それってもしかして」

剣士「魔女に見せないと…」
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 14:11:06.92 ID:agkIMDdy0
『船尾』


海賊「あぁ痛え痛ぇ…こっちも痛ぇ…ここも痛ぇ」

魔女「治療は終わりじゃ!!痛いわけが無かろうタワケ!!早う行け!」

海賊「連れない事言うなよ…ここは癒しの場だろう?」

魔女「主に治療の必要は無い!!」ポカ

海賊「あだっ…宝石やるからよぅ…」


剣士「魔女!!壺を見つけた…これで間違いないかい?」


魔女「むむ!!蓋は無かったか?」

剣士「見当たらない…」

魔女「やはり封を空けおったな…それは無くした壺に間違いない…最悪じゃのぅ」

剣士「血痕が北の方に続いて居たよ…随分前に移動したみたいだ」

魔女「追うしかあるまい…」

女海賊「ええ!?この状況で?お姉ぇどうすんのさ」

魔女「女海賊や…良く聞くのじゃぞ?」

女海賊「うん…」

魔女「主はしばらくここに留まり海賊の指揮を継続するのじゃ…わらわはちと行かねばならぬ用事が出来た様じゃ」

女海賊「魔女一人って訳無いよね?やっぱ剣士も行く感じになるの?」

魔女「そうじゃな…主はこの場の安定を見た後にシャ・バクダを目指してアサシンと合流せよ」

女海賊「魔女と剣士は何処に行くのさ?」

魔女「過去じゃ…わらわは死んだ父上に会わねばならぬ…会って真相を聞くのじゃ」

女海賊「もしかして北に移動してるのって剣士と魔女?」

魔女「おそらくそうじゃ…次元が交差しとる」

剣士「もう過去に戻らないと取り返しが付かない…もしも次元の塗り替えが起きたとしてもシャ・バクダで会おう」

女海賊「ちょ…私も連れて行ってよ」

剣士「女戦士が居ればそうしたよ…でも離れても大丈夫だって確信してる」

女海賊「なんでさ?超不安なんだけど」

剣士「次元が少しズレるだけだよ…心配しなくても良い…直ぐに繋がる」

女海賊「あのさ…もう行方不明にならないでくれる?私を置いて行かないで」


”私を置いて行かないで…”
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 14:12:27.81 ID:agkIMDdy0
剣士「…」

女海賊「おい!!聞いてんの?」

剣士「あぁゴメン…記憶のずっと奥にあるその言葉が引っかかった」

女海賊「ダメだよ!私も行くから!!」

剣士「必ず戻るから…絶対に…約束する」

女海賊「…」ウットリ

魔女「今指揮官を失うのがマズいのは主にも分かるな?ちぃと辛抱せい」

女海賊「シャ・バクダで合流ね?そこなら貝殻使えるね?」

魔女「そうじゃな…すぐに連絡するでシャ・バクダで待っておれ」

剣士「よし…じゃ魔女…行こうか」

子供「パパ!!僕も行く」

剣士「未来…」

魔女「ふむ…修行の一環と思えば良いが…」

女海賊「未来?遊びに行くんじゃ無いんだよ?あんたはダメ」

子供「ママ…お願い!!パパと空気の会話がしたいんだ」

女海賊「空気の会話…」

子供「空気の会話で沢山お話出来るんだ…パパと沢山話せる」

女海賊「エルフの血か…」

魔女「修行は厳しいぞよ?」

子供「頑張る…」

剣士「準備しろ…行くぞ」シュタタ

子供「…」シュタタ


---ママごめんね---


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ローグ「あぁぁ行っちまいやしたね…」

女海賊「…」

ローグ「未来君は大人になりやしたね」

女海賊「フン!!ローグ!!エリクサーを貨物用気球で飛空艇まで荷上げして」

ローグ「ええ!!?空中で載せ替えっすか?そら厳しいっすよ…落としたらドボンすよ?」

女海賊「言う事聞けないの?」カチャリ

ローグ「ちょちょちょ…デリンジャーは止めて下せぇ…やりやすやりやす…」

女海賊「商人も気球に乗せて飛空艇に連れて行って…ホムちゃんの面倒見させて」

商人「ごめんね…気を使って貰って」


---はぁぁ私が踏ん張らないと---

---ここで歯車狂わす訳に行かない---
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 14:13:34.82 ID:agkIMDdy0
『転移門』


魔女「恐らくこの門は5日程過去に戻る為の門じゃ」

剣士「そうだろうね」

魔女「主は最初からそう思って居ったな?」

剣士「まぁね」

魔女「5日程過去に戻って壺がどうなって居るのかは分からんが…わらわの父上と話せる可能性は高い」


そこで事の真相を聞くのじゃ

黒の同胞団の言い分が正しいのか

粛清する必要があるのかはそれを聞いて判断すべきじゃ

転移門をくぐった先ではまだ魔法が使える筈じゃから

戦闘に巻き込まれるような場合は魔法を駆使する事を考えるのじゃ

未来は剣士の傍から離れるで無いぞ?

では潜るぞえ?手を繋いで行くぞ


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274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 14:15:22.01 ID:agkIMDdy0
『5日前』


ゴーレムの転移を急げ!!

魔道炉の臨界が上限を超えています

かまわん!!魔石を投入しろ

キマイラ生成の方は間に合わんのか

もう材料が枯渇しています

錬金で材料を生成すれば良かろうサッサとやれ!!

部隊Aがエルフと交戦中

部隊B西に展開して皇子の進路を確保

キマイラ部隊ドラゴン撃破

基地に2名のエルフ侵入

山道区画から南進との事

トラップに掛かりました確保します

3体目ゴーレム転移完了!

よし!!皇子の部隊に投入させろ

魔道砲臨界!!撃てます!!

皇子の前方に撃て!!

ピカーーー チュドーーーーン



ダークエルフ「エルフが進入してくるという事は秘密をバラした者が居るな」

指揮官「魔王の所在か…知って居るのはわずかじゃな」

ダークエルフ「まぁ良い…ハイエルフは指輪の扱い方も魔王の扱い方も何もかも分かって居ない」

指揮官「主はこれで魔王を封じたつもりなのか?」

ダークエルフ「アダムさえ復活させれば魔王なぞどうでも良いのだ…アダムが解決する」

指揮官「それは本当に精霊の計画なのじゃな?」

ダークエルフ「何度も言わせるな…これで世界は再生する」

指揮官「さて…わしはどうするかのぅ?」

ダークエルフ「これで任を解いても良いが…国へ還るか?」

指揮官「ううむ…そうじゃな…しかしわしが黒の同胞に汲みしておるのは知ってしまった様じゃ…会わせる顔が無いのぅ」

ダークエルフ「大局を動かす仕事がそれほど体が悪いか?補完計画から省いてやった恩は感じてほしい物だ」

指揮官「新世界ではどの道人間は滅ぶ定め…認めたくは無いのじゃが…」

ダークエルフ「今すぐに滅ぶわけでは無い…最後まで生き延びた…そういう風になるだけの事」

指揮官「じゃがわしに感謝する者なぞ居らんじゃろうのぅ…じゃからわしはここで骨を埋めた方が良かろう」

ダークエルフ「フッ勝手にしろ」

指揮官「主はドリアードとなって新世界を監視する役につくのじゃな?」

ダークエルフ「そうなるだろう…お前もドリアードになりたいか?」

指揮官「いや…もう良い…娘と風呂に入って寝たいわい」
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 14:17:50.73 ID:agkIMDdy0
魔女「聞いてしもうたぞよ?父上…」

ダークエルフ「何ぃ!!どこから入って来た!!」ズザザ

剣士「動くな…」スチャ

ダークエルフ「誰かと思えば…犬神か!!」タラリ

指揮官「とうとうここまで来てしもうたか…白狼の一党…そして魔女や」

魔女「父上は記憶を害して居らんのじゃな?幻惑されて居らんな?」

ダークエルフ「フッフッフあのモウロクが持って居た杖の事か…確かに杖で黒の同胞に従う任に付いたな」

指揮官「まぁ待て…わしも娘に会いたかった所じゃ…大きゅうなったのぅ」

魔女「感動の再会では無い様じゃ…今は敵じゃ」

指揮官「のぅダークエルフ?わしは娘と共に行く選択もある様じゃ…どうじゃ?任を解くと言うたな?」

魔女「父上…それはどういう事じゃ?」

ダークエルフ「面白い…白狼の一味に加わるか…ハッハッハ」

指揮官「魔女や…話は聞いて居ったのじゃな?」

魔女「うむ…わらわは心が痛い」

指揮官「察しの通り人類の補完は精霊が計画したのじゃ…人間は精霊の記憶の中で永遠に生きる…意味が分かるな?」

魔女「つまり絶滅じゃ…魔王のもくろみ道理じゃな」

ダークエルフ「少し違う…魔王の温床となっている人間を物理的に排除し…魂はオーブの中で永遠に生きる」

魔女「物理的なこの世界は新しい生き物が担う…そういう事なのじゃろう?」

ダークエルフ「理解が早いな…遅かれ早かれ人間はすべて新人種に置き換わるのだ…そして魔王は滅ぶ」

魔女「悲しいのぅ…抗ってはいけないのかえ?」

ダークエルフ「否定はしない…だからお前の父上を解放しよう…自由に抗って構わん」

指揮官「魔女や…わしを理解してくれるか?」

魔女「ぅぅぅぅ…何の為の戦いじゃったのか…何の為に多くの命を犠牲にしたのか…ぅぅぅ」ポロポロ

指揮官「最後まで抗う道をわしはそなたらに残したぞよ?最後まで抗って良い…」

魔女「それでは抗った我らが魔王であるという事になるでは無いかぁぁぁ…ぅぅぅ」ポロポロ

指揮官「…」

ダークエルフ「それが魔王だ…だからすべてを終わらせる必要がある…受け入れろ」

魔女「うわぁぁぁぁん‥‥ぁぅぁぅ…」ポロポロ

指揮官「…」

ダークエルフ「…」
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 14:19:41.20 ID:agkIMDdy0
剣士「…」

---今理解した---

---機械が---

---精霊が---

---どうしてすべてを記録するのかを---

---それは人類の魂の保存だ---

---そういう風にしか魔王と戦えなかった---

---そして精霊が導く勇者は---

---それに抗う最後の希望だという事をやっと理解した---

---僕は任意の次元を選択する事が出来る---

---最後まで抗う次元を選択する事だって出来る---

---魔王と共に共生する未来だってある---

---その場合世界から争いは無くせない---

---そういう選択をしなければならない---


指揮官「魔女や…泣くでない…信じた道を行って良いのじゃ…行こうぞ」


シュン ストン!


魔女「はっ!!父上!!父上ーーー!!」

ダークエルフ「放せ!!」ババッ

指揮官「魔女…行け…わしはそなたと…共に…居る…」ドタリ

魔女「あわわ…父上…ぅぅぅ父上ーーー!!…そうじゃ蘇生魔法じゃ…蘇生…」


シュン グサ


魔女「はぅぅ…」ヨロ

剣士「魔女!!ここはダメだ…物陰に」グイ

子供「回復魔法!」ボワー

剣士「良かった…急所は外れてる…抜く」ズボォ

魔女「げほっ…げふげふ」ボタボタ

剣士「未来も物陰へ!!」

子供「パパ!!一杯来る匂い…」

剣士「これはドラゴンの匂いだ…未来!!こっちだ!!来い!!」シュタタ

子供「魔女が血を吐いて…」

剣士「今は余裕が無い…耐えて魔女!」シュタタ



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277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 14:21:36.77 ID:agkIMDdy0
ゴーン パラパラ ゴゴゴゴゴ


剣士「未来…付いて来ているな?」

子供「平気…」

魔女「っぅぅ…」

剣士「回復魔法!」ボワー

魔女「済まんのぅ…げほっ…げふ」

剣士「良かった声は出るね?」

魔女「頭では無く喉に矢が逸れて助かったわい」

子供「死んじゃうかと思ったよ…口の中から矢が貫通したよね…」

剣士「エルフの矢は信じられないくらい精度が良いんだ…未来も急所に金属を当てておくんだ」

子供「うん…骨で良い?」

剣士「急所から反れればとりあえず良い…白狼のフードを深く被って」

子供「…」ファサ

剣士「子ウルフもちゃんと付いて来ているな?」

子供「うん…」

剣士「よし…森を北に抜けて魔王を探す…これから今までより厳しい戦いになる…覚悟は良いな?」

子供「うん」

剣士「魔女は小さく変身して欲しい…背負う邪魔にならない様に」

魔女「変性魔法!」シュゥゥゥ

剣士「魔女は僕が背中に乗せる…未来と子ウルフはしっかり付いて来い」

魔女「主は迷わんのじゃな?精霊に抗う事になってしもうても良いのか?」

剣士「その為に生まれたんだ…抗って未来を導く事を託されたのが勇者さ…」

魔女「考えがあるのじゃな?」

剣士「勿論…僕にしかできない選択で魔王を葬ってあげるよ」

魔女「選択?信じて良いのじゃな?」

剣士「魔女ももう僕の次元に居るんだ…僕の選択に従うしかない」

魔女「ふむ…信じるではなく従うしかないという事か…付き合うてやろう」

剣士「乗って!!」

魔女「ほい」ピョン

剣士「魔法は任せた!行くぞ未来!!」シュタタ シュタタ
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/02(金) 14:23:31.41 ID:agkIMDdy0
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 黒の同胞団編

   完

279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 18:53:11.02 ID:qOmQVu6P0
『飛空艇』


フワフワ


商人「…もう少し」

ローグ「樽を背負ってロープを伝うって…前代未聞っすね…はぁはぁ」

商人「よし!!受け取った…おっとっと…」

ローグ「落とさんで下せぇよ?」

商人「休憩したら?」

ローグ「そーっすね…もう腕がパンパンでやんす」

商人「女戦士が入った樽が重すぎたね」

ローグ「頭は体重が100キロぐらいありやすからねぇ…言うと怒るんで秘密にしてやしたが」

商人「そんなに重いんだ」

ローグ「あっしら人間とは筋肉の重さが違うんすよ…もしかすると骨が重いのかもしれやせんが」

商人「女海賊も重かった気がした…だから戦士向きなのかもね」

ローグ「触ると柔らかいのに何で重いんすかね?」

商人「ねぇローグはエリクサー取りに行ったときに精霊の伴侶って見て来た?」

ローグ「頭の無い奇妙な体が木の根っこに混ざり合わさっていやした」

商人「魔女の話ではもう死んだみたいな話になってたんだけど」

ローグ「どうかしたでやんすか?」

商人「頭部に機械が埋まって無いかなと思ってさ」

ローグ「あっしが解体してきやしょうか?」

商人「機械の様な物があるなら取って来て欲しい」

ローグ「直ぐに取ってこれやすぜ?あの辺りはもう占拠しちゃってるもんで」

商人「お願い…ホムンクルスを起こす手掛かりが無いか調べたい」

ローグ「待ってて下せぇ…すぐ戻って来やす」ピョン シュルシュル



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280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/04/14(水) 18:56:58.58 ID:qOmQVu6P0
タッタッタ スタ


女海賊「あれ?商人一人?」

商人「うん?」

女海賊「ローグは何処行ったの?」

商人「あぁ…ちょっと戦利品を取りに行ってもらってる…すぐ帰って来るよ」

女海賊「はぁぁやっぱこっちのが落ち着くわ」

商人「下は忙しいんだ」

女海賊「忙しいってかいちいち海賊の相手すんのがメンドクサイんだよ…直ぐに色目出すし」

商人「なるほどね…美人は面倒くさいね」

女海賊「ん?もっかい言って」

商人「美人は面倒くさいね」

女海賊「はぁぁぁぁ…そう…美人は罪…そして私のアソコを舐めたあいつはぶっ[ピーーー]」

商人「ハハ…あの海賊…飛空艇から落ちてまだ無事だと思う?」

女海賊「どうせ木に引っかかってしぶとく生きてんよ…あんにゃろう…思い出しただけで腹立つ」

商人「森の中で素っ裸だろうけど…」

女海賊「下に居る海賊はあんな感じの奴らばっかりなんだよ…本当話すのメンドクサイ」
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 18:57:39.48 ID:qOmQVu6P0
タッタッタ スタ


ローグ「戻ってきやしたぜ?」

商人「どう?あった?」

ローグ「首の付け根にありやした…なんすかねコレ?」

商人「見せて!!これが超高度AIなのか?」

女海賊「うわ…めちゃ細かい機械だね」

商人「君…顕微鏡とか持って無い?」

女海賊「お姉ぇが持ってる」

ローグ「頭の荷物はあっしが預かってるでやんす…持ってきやしょうか?」

商人「うん…」

ローグ「ちっと向こうの気球に取りに行って来るっす」タッタ

商人「ふーむ…これは外部メモリを挿すスロットかぁ…という事はこういう向きで頭部に入ってる訳か」

女海賊「なんか超高度AIって思ってたより小さいんだね」

商人「そうだね…こんな小さい機械で色々考えてるんだね」

女海賊「これ頭が無かったって事は脳ミソ無いよね?どうやって記憶するん?」

商人「さぁね?…でもだから自活出来なかったんだと思うけど」

女海賊「あのさ…木って脳ミソの代わりになるんじゃね?だから木に融合してたとかいうオチ」

商人「それはありえるかもね」

女海賊「剣士が聞こえるっていう森の声の正体は実はソレでしょ」

商人「ふむ…」

女海賊「森の動物とか魔物は森の声に従ってたりするじゃん?実はそいつが操ってるって事」

商人「それが魔女が言うドリアード化なのかもね…ドリアード伝説といえば情報屋が調べてたね」

女海賊「んんん私もうこの森に興味無くなっちゃったんだよなぁ…早い所シャ・バクダ行きたいなぁ」

商人「ハハ海賊は放置かい?」

女海賊「あいつら適当に上手くやるんじゃね?」

商人「まぁまぁ…せめて今晩くらい見守ろうよ」

女海賊「この飛空艇1基無くなった所で戦局大した変わらんじゃん?お宝なんかくれてやるからさぁ…」
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 18:58:33.24 ID:qOmQVu6P0
タッタッタ


ローグ「取ってきやしたぜ?頭が良くこの顕微鏡で金属の表面を覗いていやした」

女海賊「貸して!ちょい見る…ドレドレ」ジー

商人「何か分かる?」

女海賊「うわ…メチャクチャ細かい…え!?この顕微鏡じゃ全然倍率足りない…こんな細かい物を覆ってるこの表面はなんだろ…」

商人「君が分からないという事は僕が見ても分からないんだろうなぁ…」

女海賊「技術力が全然違うのは良く分かった」

商人「僕も見て良いかな?」

女海賊「ほい…」

商人「本当だ…すごい細かいね…アレ今どの辺り見えてるんだろ?あーーここか」

女海賊「あんたが見てもやっぱ分かんないよね」

商人「でも文字が見える」

女海賊「なんかあったね…それスロットの穴の上にある物理ボタンに書いてる奴だよ」

商人「物理ボタン?ボタンって何?」

女海賊「外部メモリは外す為の仕掛けとかそんな感じじゃないの?」

商人「外部メモリを外すのにそんな仕掛けは無かった筈…押し込んだら取れる」

女海賊「ふ〜ん…じゃ他の何かの仕掛けかな」

商人「仕掛け…この文字CMOS…古代文字だ…意味分かったりする?」

女海賊「そんなん私が知ってる訳無いじゃん…ほらやっぱ情報屋に聞きたくなるっしょ?」

商人「書物は全部情報屋が持ってるなぁ…」

女海賊「海賊なんか放っておいて行こ行こ!!」

ローグ「姉さん…そら無いっすよ…ここまで連れて来たんすから責任てやつがですね…」

女海賊「ほんじゃローグ置いて行こ」

ローグ「ちょちょちょちょ…そらもっと無ぇ〜っすよ!!」

女海賊「あんたが残って責任持ちゃ良いじゃん!!私はあの海賊共に裸にされてヤラれかけたの!分かる?」

ローグ「う…そらまぁ海賊にも落ち度はありやすがね」

女海賊「私からすっと爆弾落として皆殺しでも良い訳よ…ハッキリ言うと怒ってんの」

商人「まぁまぁ落ち着いて」

ローグ「実は姉さんには隠していたんでやんすが…」

女海賊「なによ!!」

ローグ「黒の同胞団の隠れ家にウラン結晶がたんまり在るんすよ…あと謎の器具もありやす」

女海賊「ちょ!!何で早く言わないのさ!!」

ローグ「言うと勝手に取りに行っちまうもんすから…」

女海賊「おっし!!それ回収したら出発…キマリね!!」

ローグ「じゃぁ明日の早朝に取りに行く感じで良いっすかね?」

女海賊「何言ってんの今行くに決まってんじゃん!!あの海賊共に先越される…」

商人「ハハハ…やっぱりそうなるか」

女海賊「商人は留守番してお姉とホムちゃん見てて…私とローグでちゃっちゃと取って来る」

ローグ「トホホ…商人さん後はお願いしやす」

女海賊「行くよ!!」ピョン シュルシュル

ローグ「ああああ…姉さん早いっすよ!待って下せぇ!!」
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 18:59:13.19 ID:qOmQVu6P0
『貨物用気球』


フワフワ


船乗り「気を付けるでがんす」

商人「ふぅ…やっぱりこの鍵爪はロープ伝うのに何かと便利だ」

船乗り「どうしたでがんす?」

商人「指示書を持って来たんだ」

船乗り「へぇ?」

商人「女戦士が倒れてしまったからね…この後どうするか指示書でまとめて来た」

航海士「指示書という事は何処かに行かれるので?」

商人「早い話そうなる…その後は2人がこの指示書に沿って海賊をまとめて欲しいんだ」


そんなに難しい話じゃないよ

今あるキャンプをベースにして各自自由にして良いという流れさ

女戦士の貨物船はしばらく漁村で停泊

それで貨物船の乗組員がこの入り江に有ったガレー船を使って

この界隈で活動していて欲しい


船乗り「この隠れ家はどうするでがんす?」

商人「危険じゃないなら自由にして良いとは思うけど…ここは黒死病や毒が蔓延すると思うよ」

船乗り「良い隠れ家なんですがねぇ…」

商人「今のキャンプも十分良いと思うよ…あそこは特に食べ物に困らない」

航海士「どれくらいで戻って来ますかね?」

商人「女戦士が早く目覚めれば良いけど…」

船乗り「頭の容態はあまり良くないでがんすか?」

商人「うーん…何とも言えない…ただ頭を弓で撃ち抜かれて昏睡しているんだ」

船乗り「ええ!!?頭を…」

商人「他の海賊達には秘密にしておいた方が良いね」

船乗り「緊急事態だったんすね…」

商人「まぁね…それで船に乗っていた宝石があれば数年は遊んで暮らせる…それを元手にしばらくこの辺りで様子見さ」

船乗り「頭の貨物船はその…ハイディングというやつを俺達が使って良いでがんすか?」

商人「有る物は上手く使って良いよ…兎に角…女戦士が帰って来た時に万全になっていれば良い」

船乗り「承知でがんす」

商人「じゃぁ戻るね?見張りの継続もよろしく」ピョン シュルシュル
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:00:14.52 ID:qOmQVu6P0
『飛空艇』


フワフワ


商人「さて…ガレー船の配置は指示通り…よし!1隻キャンプに戻ったな?予定通りだ」

商人「女戦士の様子でも見ておくか…」

商人「額に矢が貫通してまぁ良く生きている…それにしても」

商人「寝て居ると可愛らしい顔をしているなぁ…女海賊にそっくりか」

商人「キツイ目をしているのが損してるんだ」

商人「フフ…ホムンクルスと2人並んで樽から首を出しているのは奇妙だ」

商人「しかし…エリクサーに漬けて回復するのだろうか?使い方間違って無いかな?」

商人「そうだ!ホムンクルスの耳の後ろにも物理ボタンがあるのかな?」クイ

ホムンクルス「…」

商人「ある…同じなのか」カチ

商人「あ!!押してしまった…」

ホムンクルス「…」

商人「ふぅ…起きている時じゃ無いと意味が無さそうだ」

商人「こうして見るとやっぱり女戦士と違って微動だにしないのは不思議だ…置物の様だ」

商人「女戦士は呼吸で常に動いてる」

商人「ホムンクルスには生を感じない…変な感じ」

商人「あぁ…すこしお腹が減ったなぁ」

商人「あ…また独り言しゃべってた…悪い癖だよまったく」ブツブツ


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285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:00:57.23 ID:qOmQVu6P0
『黒の同胞団基地』


ゲホッ ゲホッ


女海賊「なんで毒霧がひどいって言ってくんないのさ!!ゲフゲフ」

ローグ「それは姉さんが話を聞いて無かったんすよ…あっしは何回も言いやしたぜ?」

女海賊「はぁ〜ん?あんたぁ!!私が悪いっての?」チャキリ

ローグ「あいやいやいやいや…あっしが言ったつもりになって居ただけでやんす」

女海賊「もう!!重いなぁ…ちゃんと押してんの?」

ローグ「こんなに沢山謎の器具どうするんすか?これ全部壊れてるんじゃ無いですかね?」

女海賊「うっさいな!!ちゃんと押せよ!!」

ローグ「あのですね…荷車に山盛りじゃなくてですね…何回かに分けて運べばもっとラクなんすよ」

女海賊「それじゃ何回も往復する事になんじゃん」

ローグ「こう言えば分かりやすかね?どっちも仕事量は変わらんす」

女海賊「ん?まぁそだね…でも往復する分歩く歩数増えるじゃん」

ローグ「だからその分力必要じゃないっすか…歩数増やせばラクに運べるんすよ」

女海賊「まてよ何で重たくなんだ?重さは全部車輪に乗っかってる…ほんで抵抗になるのは軸と設置面か…」

ローグ「あのですね…運ぶ気あるんすかね?」

女海賊「うっさいな!!…だから抵抗は全部摩擦だな…軸の摩擦と設置面の摩擦は」ブツブツ

女海賊「アダマンタイトと磁石は反発する面があるからそれ利用したら摩擦抵抗が無くなるな…」

女海賊「待て待てでも狭間に干渉しそうだ…あ!!!時間が関係する…だからゆっくりなのか」

女海賊「エネルギーは同じだったとして何でそうなる?どこに行っちゃうんだ?」ブツブツ

ローグ「そろそろ休憩は良いっすか?押しやすぜ?」

女海賊「あのさ…ちょいこれ運んどいて…ちょい実験してくる」

ローグ「えええええええええ?姉さん…頼んますよ」

女海賊「船ん中に突っ込んどいて!!」ピューーー

ローグ「あぁぁぁぁ…マジっすか…トホホ」
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/04/14(水) 19:01:50.57 ID:qOmQVu6P0
『飛空艇』


ピョン シュタ


商人「あ!!お帰り…どうしたの慌てて?」

女海賊「魔石を作る原理を発見したかも…ちょいペンとノート貸して」

商人「え?…はい」ポイ

女海賊「えっと…この式から解いて…」カキカキ


そうだやっぱりエネルギーの解釈が違う…

エネルギーの蓄積使って圧縮すればこれが無限大

こうやって縮退させた結果出来上がるのが魔石だ…余った物質が宝石…

あーでもコレどうやって作る?


商人「なんか難しい式だね?全然分かんないや」

女海賊「時間を止めたら質量がエネルギーに変わる式だよ…その逆でエネルギーを魔石に転換出来そう」

商人「それを君が作るつもり?」

女海賊「んー作るのは無理っぽいなぁ…最悪大爆発が起きそう」

商人「新しい爆弾かww」

女海賊「この理論が正しかったら魔王の欠片集めて魔石みたいに物質化出来ると思うんだ…魔王を一個の石にすんの」

商人「おお!!」

女海賊「ほんでどっかにポイ!!なんてね」

商人「どっかって?」

女海賊「飛空艇で宇宙まで飛んでって捨てて来るとかどう?」

商人「ハハ良いね…宇宙てどのくらい向こうなんだろうね?」

女海賊「ホムちゃん起きないかなぁ…ホムちゃんだったら知ってると思うんだよなぁ…」


ピッ
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:03:57.94 ID:qOmQVu6P0
女海賊「ん?」

ホムンクルス(ショキカ カンリョウ システム ヲ サイキドウ シマス)

商人「あああああ!!」ガバ

ホムンクルス(…)ピッ


ハロー ワールド

クラウド ヘノ セツゾク ガ カンリョウ シマセン

ローカル モード ヘ キリカエマス

カンリシャ ヲ トウロク シテクダサイ


商人「起きた!!ホムンクルス!!良かった…やっぱり生きてた」

ホムンクルス(カンリシャ ヲ トウロク シテクダサイ)

商人「僕だよ!!分かるかい?」


シモン ニンショウ チェック

アイコード ニンショウ チェック

オンセイ シキベツ チェック

セイタイ シキベツ チェック


商人「そうだ!!外部メモリだ…それで思い出す筈だ」スッ
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:04:33.38 ID:qOmQVu6P0
ホムンクルス(ガイブ メモリ ガ ソウニュウ サレマシタ)

ホムンクルス(キカン プログラム ヲ ヨミコミマス)

商人「ホムンルクス!!僕が分かるかい?」

ホムンルクス「私は眠っていたようです…」

商人「良かった!!そうだよ君は眠っていただけだ」ギュゥ

ホムンルクス「はい…衛星から現在の標準時刻と座標を取得しました…私を起こして下さったのですね」

商人「今服を着替えさせてあげる…ちょっと待って」ダダ

ホムンクルス「体温が低下している為動くことが出来ない様です…樽から出して頂けませんか?」

女海賊「ホムちゃんおいで」グイ

ホムンクルス「ありがとうございます」

女海賊「動かなくなって心配したんだよ」ポロリ

ホムンクルス「ご心配をお掛けしました…現在の状況が掴めないのですが…」

女海賊「良いの良いの!!ホムちゃんは何も心配しなくて良いの…居てくれるだけで良い」

ホムンクルス「生体機能が回復するまで1時間ほど時間を要します」

商人「これが君の着替えだ」

ホムンクルス「はい…恥ずかしいので早く着せてもらってよろしいでしょうか?」

商人「分かってるよ…出来るだけ見ない様にするから」

女海賊「手伝う…そっち持って」グイ

ホムンクルス「脳内に不整合な記憶が存在します…一部しか読み込めません」

商人「忘れても良いよ」

ホムンクルス「夢とはこのような状態を指すのかもしれません…夢として保存します」

女海賊「夢か…ホムちゃん寝ている間は夢見た?」

ホムンクルス「分かりません…恐怖の感覚が脳に残って居ますので悪い夢を見て居たのかもしれません」

商人「恐怖か…もう大丈夫さ」

ホムンクルス「はい…現在の脳波はリラックス状態です」

女海賊「ちょっと飛空艇の中温かくしよっか?」ジュゥ モクモク

ホムンクルス「ありがとうございます…」

商人「だっこしてあげるよ」ギュゥ


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289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:05:07.54 ID:qOmQVu6P0
『1時間後』


女海賊「もう歩いて大丈夫?」

ホムンクルス「はい…」ニコ

女海賊「お姉ぇも目ぇ覚ましてくんないかなぁ…」

ホムンクルス「女戦士さんはどうなされたのですか?」

女海賊「弓矢で頭撃ち抜かれちゃったんだ…魔女が治療してくれたんだけど目ぇ覚まさないんだよ」

ホムンクルス「傷は見当たりませんね」

女海賊「脳の損傷がどんだけあるか分かんないって…」

ホムンクルス「理解しました…物理的損傷の修復は出来てもシナプス連携まで修復は出来ないという事なのですね」

女海賊「シナプスって何?」

ホムンクルス「記憶の繋がりと言えば良いでしょうか…記憶の連携が意識として認識されます」

女海賊「連携出来てないから意識が無いって事?」

ホムンクルス「私で言う不整合な記憶として連携しているのでしょう」

女海賊「意味わかんないんだけどさ…」

ホムンクルス「商人さんは記憶の中に心があると言いましたが…記憶のどの部分がご自身の心なのか分からない状況です」

ホムンクルス「私の記憶の中にも女戦士さんの心の部分が記憶されていますのでリンクさせる事が出来れば修復できるかもしれません」

女海賊「リンク?どうやってやるん?」

ホムンクルス「皆さんの記憶をリンクさせる方法は私には分かりません」

商人「分かった!!夢だ!!僕たちはみんな夢で繋がってる」

ホムンクルス「私が皆さんの夢と繋がるにはどうすれば良いのでしょう?」

商人「夢幻…そうだ夢幻はクラウドにある」

ホムンクルス「現在クラウドは消失していますね…この区域はクラウドが構築されて居た筈ですがどうなって居るのでしょう?」

商人「あ…電磁パルスで消失してしまったのか…そうだな…それしか考えられない」

女海賊「ちょい私行って来る…」ヌギヌギ

商人「ちょま…うわ…急に裸になられると困る」

女海賊「あんたが目ぇ閉じときゃ良いだろ!!」

ホムンクルス「どうされるのですか?」

女海賊「お姉ぇと背中合わせで寝る」チャプ

商人「そんな方法で?」

女海賊「剣士とはこれで繋がれるんだよ…お姉ぇとも繋がれるかも」

ホムンクルス「クラウドを介さずローカル接続をお試しになるのですね」

女海賊「ちょい寝るからアッチ行ってよ」

商人「ハハまぁ良いか…ホムンクルスもおいで…邪魔しないでおこう」

ホムンクルス「はい…」



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290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:05:48.10 ID:qOmQVu6P0
タッタッタ スタッ



ローグ「あらららら?ホムンクルスさん…目を覚ましたんでやんすね?」

商人「あ…うん」

ローグ「姉さんは何処に行きやしたかね?」

商人「今寝てるからそっとしといた方が良いよ」

ローグ「はぁぁぁそら良かったっす…姉さんは人使いが荒いもんすから」

商人「下の様子はどう?」

ローグ「略奪品で盛り上がってやすね…食料が調達出来た様なんで分配してる所っすよ」

商人「それは良かったね…飛空艇にも少し積んでおきたいな」

ローグ「見繕ってあっしが少し持って来やす…」

商人「あぁ済まないね」

ローグ「姉さんのお使いに比べれば安いもんすよ…ちっと待ってて下せぇ」ピョン シュルシュル

ホムンクルス「皆さんお忙しいのですね…」

商人「君はゆっくりしていて良いんだよ」

ホムンクルス「はい…」

商人「そうだ!!君に見て欲しい物が有ったんだ…」

ホムンクルス「何でしょう?」

商人「これさ…これって超高度AIなんだよね?」

ホムンクルス「どこでこれを手に入れたのですか?」

商人「停止した精霊の伴侶から取り出した物だよ」

ホムンクルス「察するにやはり黒の同胞団に匿われて生存していたのですね?」

商人「うん…君が予測した通りだった」

ホムンクルス「そのユニット内部の賢者の石がどのくらい持つのか分かりませんが大切に保管していた方が良いでしょう」

商人「まだ使えるっていう事?」

ホムンクルス「記憶領域を接続する事が出来れば私と同様の思考を持たせる事が可能です」

商人「あ…それとこのボタンって何?」

ホムンクルス「それは初期化のボタンです…ロジックの不具合で停止してしまった場合などに初期化させるのです」

商人「なるほどね…」

ホムンクルス「超高度AIユニットはインターフェース部が酸化に弱いので酸化防止の為にエリクサーに浸しておいた方が良いです」

商人「瓶の中でエリクサーと一緒に入れれば良さそうかな」

ホムンクルス「十分ですね」



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291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:06:36.94 ID:qOmQVu6P0
タッタッタ スタッ


ローグ「持ってきやしたぜ?…よっこらせっと」ドサリ

商人「肉に小麦…あ!胡椒まである」

ローグ「野菜も袋の中に積めてあるっすよ…いやぁぁしかし飛空艇にホムンクルスさん居ると安心しやすね」

ホムンクルス「ありがとうございます」ニコ

ローグ「姉さんも商人さんも…なんつーか…野菜なら生で食っちゃうタイプなもんで」

商人「ちゃんと焼くよ」

ローグ「興味の無い事に面倒くさがりなんすよ…なんで料理とかやらんのですわ」

商人「ハハ…まぁ当たってるかな」

ホムンクルス「この材料で何か作りましょうか?」

ローグ「楽しみっすねぇ…ちぃとあっしは酒も持って来るでやんすよ…良いワインがあるんす」

商人「何回も済まないね…」

ローグ「いやいや…下に居るよりはマシなんで」ピョン シュルシュル

ホムンクルス「トマトが有るのでこれをベースに煮込みを作ります…少々お待ちください」

商人「楽しみだ…やっぱり君が居るのと居ないのとでは全然違う」

ホムンクルス「そう言われると私も嬉しいです」ニコ

商人「何か手伝おうか?」

ホムンクルス「肉を一口大にカットして頂けますか?」

商人「うん!」



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292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:07:40.26 ID:qOmQVu6P0
ぐぅ すぴーー


女海賊「むにゃ…ふご」ブクブク

女海賊「げほっ…げふげふ」パチ

女海賊「お姉ぇ!!」キョロ

女戦士「すぅ…すぅ…」

女海賊「…これじゃダメだ…ホムちゃーーーーん!!」バチャバチャ


ホムンクルス「お目覚めになりましたね?」


女海賊「ちょっと商人にロープ用意させて」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「あとお姉ぇの着替えも持って来て!!」ゴソゴソ

ホムンクルス「樽から出されるのですね?」

女海賊「うん!!これじゃお姉ぇは目ぇ覚まさない」ゴソゴソ

ホムンクルス「少しお待ちください…」イソイソ



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293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:08:27.39 ID:qOmQVu6P0
商人「ロープなんか何に使うんだい?」

女海賊「お姉ぇを縛る」

商人「ええ!?」

女海賊「あんたはアッチ行ってて…ホムちゃん手伝って!」

ホムンクルス「はい…どうすれば…」

女海賊「お姉ぇを抑えてて…私がロープで縛って行くから」グイグイ

ホムンクルス「…どうしてこのような事をされるのですか?」

女海賊「お姉ぇは昔からロープで縛られるのが大好きなんだよ…動けないのを脱出する謎の趣味があんの」グイグイ ギュゥゥ

ホムンクルス「そうだったのですね」

女海賊「あと重たい物を体に乗っけると落ち着くらしい…だからロープで縛って樽乗せとく」

ホムンクルス「そのような療法は誰にも思いつきませんね」

女海賊「商人!!お姉ぇのオリハルコン原石何処行ったか知らない?」

商人「持ち歩いて居たよね?」

女海賊「だからお姉ぇの荷物どこにあんのって言ってのさ!!」

商人「貨物用気球に乗ってる筈だよ」

女海賊「取って来て」

商人「向こうは周囲の警戒で飛び回ってる…ちょっと時間かかるよ」

女海賊「んぁぁぁ…出来るだけ早く」

商人「うん…分かったよ」



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294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:12:07.61 ID:qOmQVu6P0
タッタッタ スタ


ローグ「こ…こりゃ何事っすかね?」

商人「ハハ見ての通りさ…変態姉妹だよ…訳が分からない」

ローグ「姉さん…乗せるのは樽じゃなくて砂鉄か鉄板の方が良いっすね」

商人「え?」

女海賊「砂鉄も鉄板も無いじゃん!!」

ローグ「参りやしたねぇ…樽じゃ部分的にしか重さ伝わらんのですよ」

女海賊「じゃぁしょうがないじゃん」

ローグ「吊るしやしょう!体重で均等に負荷掛かりやす」

女海賊「あんた出来んの?」

ローグ「あっしは慣れてるんで代わりにやりやす…吊り方にコツがあるんす」

女海賊「じゃやって」

ローグ「頭はこんな縛り方じゃ簡単に抜けてくるんで特殊な縛り方があるんす…見てて下せぇ」グイグイ ギュゥ

女海賊「ほーん…」

ローグ「これだけやっても抜けて来るんすがね?本当は鎖の方が良いっすね」ミシミシ グイ

女海賊「これで目を覚ましてくんないかな?」

ローグ「どーっすかね?でも樽に入れてるよしか大分良い状態っす」

女海賊「ほんであんた何持ってんの?」

ローグ「あぁ…ワイン持って来たんすよ…飲みやすか?」

女海賊「お姉ぇに飲ませてみる?」

ローグ「あっしは責任取れやせんぜ?この状態で飲ませた事無ぇーもんすから」

女海賊「一口だけ飲ませてみる…頂戴」

ローグ「へい…」

女海賊「お姉ぇこれ飲んでみて?」

女戦士「…」ムグムグ

女海賊「よし…これでやることやった」

商人「…」アゼン

女海賊「何か良い匂いすんだけど何?」

ローグ「ホムンクルスさんが食事を作ってくれているでやんす」

女海賊「おぉ!!腹減って来た…ホムちゃんお腹空いたぁぁ!!」

ホムンクルス「はい…もう少しお待ちください」



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295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:12:44.25 ID:qOmQVu6P0
女海賊「うんま!!」モシャ モグ

ローグ「ワイン飲みやすか?」グビ

商人「僕も少し」モグモグ

ホムンクルス「…」ニコニコ

商人「さて…お腹も膨れたし…外見張っておくよ」

女海賊「どんな感じ?」モグモグ

商人「相変わらずさ…トロールはどうやら火を消しているんだね」

女海賊「ケンタウロスは?」

商人「居なくなったかな」

ローグ「海賊の方は夜通し略奪に行くみたいっす…あまりにも収穫が良いもんで」

女海賊「何か良い物あんのかね?」

ローグ「エルフの死体探してるんすよ…止めておけば良いんすがねぇ」

女海賊「あぁぁ馬鹿海賊が考えそうなこった…死体で遊ぶつもりね」

商人「僕らはどうする?もう行く?」

女海賊「行こ…馬鹿に付き合ってらんない」

商人「女戦士の荷物があっちの気球に乗ったままだ…」

ローグ「え?こっちに持って来やしたぜ?」

商人「え?そうだったの?」

ローグ「ボルト入ってる箱が空いてたんでそん中っすね」

商人「一応船乗りにはこれからの指示書は渡しておいたよ」

ローグ「おぉ!!商人さんありがとうでやんす…これであっしが置いてきぼりにはならんすね?」

女海賊「ウラン結晶はどうなった?」

ローグ「1個だけこっちに持って来ていやす…残りは下の船にありやすね」

女海賊「おけおけ…ほんじゃ行こ」スパ

ローグ「あああああああ!!」

商人「ハハ決断早いね…」

女海賊「とりあえず北のエルフの森目指す…その後シャ・バクダ行く」グイ

ローグ「縦帆出しやすぜ?」

女海賊「横帆も張って!!高度上げる」


シュゴーーーーー バサバサ
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:13:14.24 ID:qOmQVu6P0
『エルフの森南部』


ローグ「こらエライ事になってやすね…雪が全部吹っ飛んだってどういう状況なんでしょう」

商人「そこらじゅうで煙が上がってる…これじゃどこで戦ってるか分からない」

女海賊「まいったなぁ…一回森の外出るかぁ」

商人「5日前に森の中を北に移動したとしてどのくらいの距離進めるんだろう…」

ローグ「エルフは寝る必要無いんで行動範囲広いって聞きやす」

女海賊「どっちにしてもこんな状況じゃ見つけらんないよね…ドラゴンでも飛んでれば分かりやすいんだけどさぁ」

商人「もう少し高度下げて貰って良いかな?何か…影見たいなものが動いてる様に見える」

女海賊「おっけ!!進路変えながら下げる」グイ


シュゴーーーー バサバサ


女海賊「見える?」

商人「虫の大群だ…バッタなのか?トンボ?…でかいな」

女海賊「冬なのに虫?」

ホムンクルス「昆虫は寒さに強い種も居ますよ?」

ローグ「ありゃドラゴンフライとキラービーっすねぇ…森以外じゃほとんど見ねぇ魔物っす」

商人「あんなに沢山…」

ローグ「近づかない方が良いっすよ…でかいのだと1メートルくらいのが居るらしいっす」

女海賊「行先はやっぱ北だな…虫の進行方向に合わせる」

ローグ「北北西っすね」

女海賊「おっけ!」グイ

ホムンクルス「昆虫は外敵から住処を守る為に毒をまき散らす性質があります…この森の性質も大きく変わりそうですね」

ローグ「見た感じ死の森っすね」

女海賊「そういやクモも身を守るのに毒使うんだっけか」

ホムンクルス「ここからでは見えませんが森の下の方では地生昆虫も動いていそうですね」

女海賊「おっし!スピード上げる!!」ハイディング!」スゥ



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297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:13:50.07 ID:qOmQVu6P0
『数日前_オアシス砦』


タッタッタ


アサシン「案内人!!今すぐに気球を準備しろ…5分でやれ」

案内人「何かあったのか?」

アサシン「説明は後だ!!盗賊と情報屋は何処だ?」

案内人「表で商隊の荷下ろしを手伝ってる」

アサシン「直ぐに戻るから気球の準備を頼む」


タッタッタ


『砦前』


ガヤガヤ ガヤガヤ

今日はとりあえずここに荷を下ろして搬送は明日だ

私達は中に入って良いのでしょうか?

大丈夫だ!中の方が温けぇから入れ

ガヤガヤ ガヤガヤ


アサシン「盗賊!!情報屋!!緊急事態だ…来い!!」

盗賊「んあ?荷下ろしまだ残ってんだけどよ…」

情報屋「どうしたの?慌てて…」

アサシン「シャ・バクダに隕石が降って来るらしい…魔女からの指示だ」

盗賊「何だと!?そりゃ何時来るんだ?」

アサシン「30分後だ…それまでに地下に避難する」

盗賊「砂漠に地下なんかある訳無ぇだろ…どうすんだよ」

アサシン「遺跡だ…」

盗賊「間に合わねぇ!!気球で飛んでも30分じゃギリギリ過ぎる…それに避難民はどうする?」

アサシン「ひとまず砦の中に入れておくしかあるまい…ツベコベ言わず直ぐに行動しろ…5分で気球まで来い」

盗賊「どぁぁぁマジか!!情報屋!!そっちの避難民誘導してくれぇ!!」

情報屋「分かったわ…」

盗賊「5分後に気球で集合な?」ダダ


ガヤガヤ ガヤガヤ

おい!お前等!今すぐに砦ん中に入ってくれ

まだ荷が…

そら後でやるから入ってくれ!!

ガヤガヤ ガヤガヤ
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:14:29.74 ID:qOmQVu6P0
『気球』


フワフワ


案内人「準備できたぜ?乗ってくれ」

盗賊「情報屋!先に乗れ!!」

アサシン「飛ばせろ…真っ直ぐ遺跡の方に向かうのだ」

盗賊「おっとぉ!!」ピョン ガシ

情報屋「急過ぎるわね…はぁはぁ」

盗賊「魔女は何て言ってんだよ」

アサシン「魔女も詳しい事は分かって居ないらしい…兎に角緊急事態で避難しろと言うだけだ」

情報屋「それだけ切羽詰まっているのね」

盗賊「しかしもう間に合わんぞ?この気球じゃ最速で行っても30分だろ」

アサシン「出来るだけの事をやるまでだ…空の状況を良く見ておくのだ」


”魔女…聞こえるか?どうやら地下に避難するのは間に合わん様だ”

”そりゃイカンな…千里眼で見通しておるがわらわにも詳細が分からんのじゃ”

”隕石が落ちて来るのだな?”

”女海賊がそう言うて居る”

”木の陰に身を隠すでも良いか?”

”何もせんよりはマシじゃな”

”状況に変化があるなら直ぐに連絡してくれ”


情報屋「どのくらいの隕石なのかも分からない様ね…」

盗賊「空に異常は無ぇぞ?」

情報屋「シャ・バクダに突然隕石が落ちるなんて…」

アサシン「あのシャ・バクダ砦を守って居るゴーレムの破壊と考えるか…」

盗賊「んん?なんだあの星…見ろ!シリウスの左下だ…あんな星有ったか?」

情報屋「随分低いわね…もしかしてあれが此処まで飛んで来る?」

アサシン「暗い星だな…」

盗賊「チラチラ光る…やっぱ見た事無ぇ星だ」

アサシン「ううむ…どうやら魔女の言う事が正しいか…案内人!急いでくれ」

案内人「これで精一杯だ…祈ってくれい」


ピカーー


情報屋「彗星!!」
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:15:01.31 ID:qOmQVu6P0
盗賊「ヌハハなかなかの天体ショーじゃ無ぇか」

情報屋「笑いごとじゃ無いわ?あの星に彗星が吸い込まれた…何か起こってる」


”アサシン聞こえるか?”

”状況は?”

”インドラの矢で隕石の破壊を試みた様じゃ”

”今の光がそれだな?”

”主らも見て居るか…失敗じゃ”

”失敗…”

”兎に角避難せい…直撃せぬ様に何かで身を守れ”

”わかった…こっちで何とかする”


アサシン「聞いたな?インドラの矢でも破壊出来ない規模だという事だ」

情報屋「見て…あの星…ゆっくり動いてる」

盗賊「そら真っ直ぐここに向かってるからゆっくり見えてんだな?」

情報屋「多分…」

アサシン「高度を下げながら向かえ…間に合わない様なら飛び降りて雪の中に身を隠せ」

盗賊「手詰まりか…ちぃぃぃそれしか無ぇな」

案内人「遺跡はあそこの森だな?」

アサシン「そうだ…」

案内人「…むむむ間に合うか‥‥」
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:15:33.88 ID:qOmQVu6P0
『シャ・バクダ遺跡上空』


フワフワ


案内人「飛び降りる準備をしてくれい!!」グイ

情報屋「あれ?…あの星すこしずれて飛んでる…行先はどこ?」


ピカーーーーーーーーーーーーー


盗賊「うお!!眩しい…」

情報屋「ぅぅぅ…南東の方角…森だわ」

アサシン「森に落ちたのか?」

盗賊「眩しくて見えんな」

アサシン「逸れたか…」

盗賊「隕石ってこんなに長く光るもんなんか?」

アサシン「いや…これから降って来るのかもしれん」

情報屋「空が…オーロラで覆われてる…どうなって居るの?」

盗賊「こりゃ森が吹き飛んじまってんな」

アサシン「光が長すぎる…隕石なぞでは無い…インドラの矢を超える何かだ」

情報屋「まさか…失われた古代兵器」

アサシン「ゴーレムの件と言い…ありえない話では無い」

盗賊「その古代兵器はヤバイ物なんだな?」

情報屋「キ・カイでいくつか発掘されて展示されているわ…動かし方も何も分かって居ないけれど…まさか」

アサシン「目の当たりにして明らかにインドラの矢を超えている…それしか考えられそうにない」

情報屋「定説がひっくり返る…古代兵器は砲弾の類じゃなさそうね」

アサシン「定説とは?」


古代文明が滅びた原因はインドラの矢というのが定説

古代兵器にインドラの矢を超える破壊力があるとするなら

滅びた理由が変わる

キ・カイで発掘された古代兵器は今まで長距離砲弾の類と言われて居たの

ただ一部の学者はそれに異を唱えていたけれど古代兵器の解明までは出来なかった


盗賊「しかしこれ…爆発が長く無ぇか?いつまで続くんだ?」


ゴゴゴゴゴゴ ゴーン


盗賊「うぉ!!上か!!」

情報屋「空が一瞬で曇った…衝撃波ね」

盗賊「音が上から来るたぁどうなってんのよ」

アサシン「何が起こるか分からんな…やはり地下に避難した方が良い」

案内人「もうちょいだ…降りる準備してくれ」


フワフワ ドッスン
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:16:10.39 ID:qOmQVu6P0
『シャ・バクダ遺跡』


ゴゴゴゴゴゴ ゴゴーン


盗賊「お!?暗くなった…収まったか!!」

情報屋「2分弱ね…」

盗賊「一気に暗くなっちまった…ちっと明かり用意するわ」カチ ピカー

アサシン「フフさすが盗賊…何でも持って居るな」

盗賊「案内人!松明乗せてたよな?持って行け」

案内人「へいへい…」

盗賊「雪積もって入り口何処だったか分かんねぇぞ?」

アサシン「こっちだ…私が目印を立てている」

盗賊「おい!!待て…足跡だ」

アサシン「何の足跡か分かるか?」

盗賊「この辺に居るっちゃぁシカだと思うんだが…どえらいでかいシカだなこりゃ」

アサシン「まぁ良い…落ち着いたら後で捕獲しよう…行くぞ」


ギュ ギュ ギュ


アサシン「ふむ…どうやらここに時の王が来ていた様だな」

盗賊「この足跡はアンデッドホースか…どうする?中に入るか?」

アサシン「私は時の王に勝てる自信が無い…争いは避けたいのだが…」

情報屋「ゴーレムの件とか色々事情を知って居ると思うわ」

アサシン「敵か味方か分からんのだ…話すのは危険が伴う」

盗賊「ここまで来て外で待機は無いだろ凍えちまう…一先ず中に入ろうぜ」

アサシン「ううむ…」

情報屋「中に居るかどうかも分からないわ?行って見ましょ」

アサシン「気は進まんが…行って見るか」

情報屋「今まで聞いた話からするともう時の王は敵では無いわ…分別が付く相手に思う」

盗賊「案内人!松明をよこせ…俺が先頭を行く」
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:17:45.67 ID:qOmQVu6P0
『勇者の像』


メラメラ パチ


アサシン「と…時の王…ここで何を」ズザザ

時の王「…」パチ

アサシン「争う気は無い…」

時の王「ふっふっふ…聞いた事のある声だ…誰だったか」

盗賊「おいおいどんな展開だ?」

時の王「私は疲れている…去れ」

情報屋「勇者の像に花を…あなたね?」

時の王「これは我が子だ…いや正確には養子だ」

アサシン「なん…だと?」

時の王「思い出したぞ小僧…お前は白狼の一味だな?又私の道を遮る気か?」

アサシン「まだ人間の滅亡を企てて居るのか?」

時の王「精霊シルフが生きて居ると聞くまではな…今はただシルフを探している」

アサシン「ホムンクルスの事だな?」

時の王「そう名乗っているのか…彼女はどこだ?…なぜ私の下へ戻らない?」

アサシン「ホムンクルスは精霊シルフとは違う道を選んだ…そういえば理解出来るか?」

時の王「会わせてくれ…シルフには私が必要なのだ」

アサシン「精霊シルフはもう…居ない…200年前に亡くなった」

時の王「話すだけ無駄だったようだ…去れ」

アサシン「精霊シルフでは無いが…ホムンクルスに会わせてやると言ったら?」

時の王「私と取引をしようと言うのか…」

アサシン「…」
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:18:22.14 ID:qOmQVu6P0
時の王「何が望みだ?」

アサシン「温まらせてもらって良いか?」

時の王「ふっふっふ…無礼を許せと言うか…はっはっは…」

盗賊「まぁなんだ…キャンプを一人で独占すんのはもったいないよな?」

時の王「王の御前の振る舞いか?まぁ良い…これで取引は成立だ」

盗賊「ふぅぅぅ…話しの分かる王で良かった…ぅぅぅ寒ぶ」

時の王「我が末裔はどうした?屋敷から共に逃げたのでは無かったか?」

アサシン「魔女の事か…彼女は別の者と行動をしている」

時の王「ほぅ…察するに蒼眼の者と見た」

情報屋「蒼眼…剣士の事ね」

アサシン「そうだ」

時の王「やはり蒼眼と紅眼は引き合う定めか…」

アサシン「引き合う?」

時の王「済まんが理由は忘れてしまった…ただいつの時代でも共に行動し共感する」

情報屋「女海賊は時の王を理解しようとしていたわ…きっとそれね」

時の王「さて…何処に行けばシルフに会える?」

アサシン「その蒼眼の者と紅眼の者達と共に行動しているのだ」

時の王「くっくっく…またもや同じか…次はシルフを失う訳に行かない…私が連れて行く」

盗賊「あのよぅ?ホムンクルスは精霊シルフじゃ無ぇぞ?」

時の王「インドラの光を見た…あれはシルフにしか使えない物だ」

アサシン「まぁ会わせて本人に問うだな」

盗賊「商人が黙っちゃいないと思うんだがよ…」

アサシン「いや…ホムンクルスの判断を商人は尊重する筈だ…ホムンクルス次第だな」

盗賊「まぁ良いか…だがホムンクルスがこっちに来るのはしばらく待ちになっちまうぜ?」

時の王「行く当てが無くなった所だ…ここで何時までも待つ」

アサシン「では退屈しのぎにもう少し話を…」


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304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:19:06.05 ID:qOmQVu6P0
『数時間後』


…かの者名は暁の使途

奴は定命の者にして覇道を歩みそして我が右腕となった

だが黄昏の賢者はこれを由としなかった

それから第2期の始まりだ…


盗賊「んぁぁ…俺には全然理解出来無ぇ…何の話なんだよ」

情報屋「私にもさっぱりよ…話が支離滅裂でいつの時代なのかも書物無しだと追いきれない」

盗賊「話聞くのはアサシンに任せるだな」

情報屋「そうね…でも少しだけ読み取れた話があるわ?」

盗賊「昔話でか?」

情報屋「多分なんだけど精霊シルフの言葉の殆どはホムンクルスが言ってる事と同じの様ね」

盗賊「あぁ…交配とかウンタラカンタラな?」

情報屋「そう…」


やっぱり精霊シルフも人間を絶滅させる命なんか出して居なくて

命を受けた人の過大解釈でそうなってしまった様に思うわ

シャ・バクダでの抗体獲得だって

周りの人の過大解釈で大きな殺戮に繋がった

そうやって精霊シルフの思惑を過大解釈でゆがめてしまう人達は

精霊の目には裏切りに見えたのだと思うわ

きっと時の王もそうやって精霊と距離を置かれたんだと思う



盗賊「ふむ…ありえそうだな…ホムンクルスの言葉を真に受けて商人が過激な手段を行使する…そんな感じな?」

情報屋「そうよ…そうやって破綻した歴史なの」

盗賊「ただ本人達は精霊の命に従ってるだけと思ってるのがな…」

情報屋「事実として種の交配が進んでいるからどっちに転んでも精霊の思惑に収まるのね」

盗賊「こりゃ誰も間違って無い…噛み合ってないだけか…」

情報屋「うん…」

盗賊「しかし黒の同胞団の話が全然出てこない…やっぱ関係無いのか?」

情報屋「時の王にとって関係が薄い証拠と言い換えれるわね…利用されていただけの線が強そうね」

盗賊「じゃぁここに来たのは単純に精霊シルフを探しに来ただけか?」

情報屋「うーん…でもさっきから話に出て来る隠匿の皇子って誰の事を挿すのかしら」

盗賊「前後関係が俺には分からん」

情報屋「その皇子が黒の同胞団の一人だったとすると辻褄が合いそう」

盗賊「まぁ俺はもう聞きたく無ぇ…昔話は苦手なんだ」

情報屋「フフ私が耳を立てておくから寝てて良いわ」

盗賊「あぁぁやっぱ焚火があると温かくていいな…寝る」
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:19:37.69 ID:qOmQVu6P0
『翌朝』


メラメラ パチ


アサシン「起きろ!行くぞ!」ユサユサ

盗賊「んあ?」パチ

アサシン「朝だ…案内人と情報屋は気球に乗ったぞ」

盗賊「あぁぁ悪い悪い…すっかり寝ちまった…時の王はどうした?」

アサシン「森の様子を見に行くと言って出て行った」

盗賊「何か聞けたのか?」

アサシン「まぁ色々とな…話は後だ…気球に乗れ」

盗賊「おう!!アレ?…ここにぶっ刺さってたクソでかい剣は何処行った?」

アサシン「あれは時の王の剣らしい」

盗賊「なるほどな…ここに置いてた剣を取りに来たって訳か」

アサシン「お前は気付かんのか?」

盗賊「んあ?何を?」

アサシン「夢幻を覚えて居ないのか?」

盗賊「俺は夢を見ないもんだからよ…どうもぐっすり寝ちまう」

アサシン「私はな…探していた人物をようやく見つけた気がする」

盗賊「時の王なのか?」

アサシン「時の王はな…リリスの生き血を飲んで以来一度も寝て居ない…つまり夢を見ない」

盗賊「だから何だ?」

アサシン「夢幻に行って精霊に会えないのだよ」

盗賊「ふむ…」

アサシン「精霊の望みが何だったのかお前には分からんか?」

盗賊「騎士…俺がスリを教えた…精霊は…」

アサシン「思い出したな?」

盗賊「まて…この記憶は夢の記憶なのか?」

アサシン「時の王に掛けられている呪いを解く必要がある様だ…精霊の望みはそれだ」

盗賊「だめだ…しっかり思い出せ無ぇ…」

アサシン「まぁ後で良い…行くぞ」タッタッタ

盗賊「おおぅ待てよ!」タッタッタ
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:20:16.79 ID:qOmQVu6P0
『気球』


ヒュゥゥゥ


盗賊「シャ・バクダ砦のゴーレム何処行っちまったんだ?」

情報屋「ドラゴンも居なくなったわね」

アサシン「次から次へと私達の知らない所で色々起きるものだな…」

情報屋「魔女から連絡は?」

アサシン「女海賊達と貝殻の通信が出来なくなってバタ付いて居るらしい」

盗賊「なんだとぉ!?まさか隕石に巻き込まれたのは俺らじゃなくてあいつらだってか?」

アサシン「分からん」

盗賊「あいつらは何やってたんだよ」

アサシン「森に向かって居た様だ…それしかわからん」

盗賊「案内人!!もうちょい高度上げろ!!」

案内人「あぁ分かった」

情報屋「アサシン…私達はどうするの?」

アサシン「今考えて居る所だ…」

盗賊「ちっと森の様子が分かる所まで飛んでくれ」
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:21:32.95 ID:qOmQVu6P0
『森の外れ』


ヒュゥゥゥ


情報屋「見える?」

盗賊「南の方は一面真っ黒だ…穴が空いてるのかも知れん」

アサシン「望遠鏡を貸すのだ…私にも見せろ」

盗賊「ほらよ」ポイ

アサシン「むぅぅ…遠すぎる…赤く見えて居るのは恐らく火災か」

盗賊「行って見るか?」

アサシン「何が起きて居るのか分からない中この気球で行く気にはなれんな」


”アサシン聞こえるか?ザーーーー”

”魔女か…聞こえが悪いのだが”

”ザーーーー…じゃのうザーーーー”

”女海賊はまだ連絡付かないのか?”

”今連絡ザザザザー…無事じゃザーーーー”

”無事なんだな?”

”心配せんでも良いザザザーーー”


情報屋「良かった!無事なのね?」
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:22:02.74 ID:qOmQVu6P0
盗賊「ふぅぅぅ心配させやがって」

アサシン「雑音がひどいな…何なんだこれは」

盗賊「おい!!南東の空!!」

アサシン「んん??あれは…」

盗賊「ありゃ隕石だ…2つ!!」


シュゥゥゥゥゥゥ  ゴゴーーーン


盗賊「落ちた…」

アサシン「フフ隕石は所詮その程度という感じだな…昨晩の爆発の比では無いな」

盗賊「でもスゲェぞ…火柱なのか?爆発がえらくゆっくりだ」

情報屋「まだ落ちて来るわ…又2つ」

盗賊「あそこで何か起きてるのは間違いない様だ」

アサシン「遠すぎて望遠鏡ではよく見えん」


シュゥゥゥゥゥゥ  ゴゴーーーーン


盗賊「ありゃ魔女の魔法じゃ無ぇのか?」

アサシン「メテオスウォームか?魔女は今船に乗って居る筈だ…ありえんな」

情報屋「じゃぁハイエルフ?」

アサシン「それしか考えられん…ドラゴンも何処に行ったか分からんのだから戦地があそこに移ったのだろう」

盗賊「あんなんが落ちてくるんじゃ俺ら何も出来ん」

アサシン「うむ…指をくわえて見るしかない」

情報屋「又2つ落ちて来る…」


シュゥゥゥゥゥゥ  ゴゴーーーーン


アサシン「戻るぞ…備える必要がある」

盗賊「どうする気だ?」

アサシン「エルフの戦いに巻き込まれる訳に行かない…民をオアシスに誘導して見過ごす」

盗賊「それしか無いか」
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:22:40.57 ID:qOmQVu6P0
『ゴーレム襲来の日』


エルフゾンビ「では行って来る」ピョン


ヒュゥゥゥ ボスン!


エルフゾンビ「思ったより雪が浅かったか…」ズリ

エルフゾンビ「…」---まぁ直にエリクサーが効いて来るだろう---


敗残兵1「うあぁぁ…人が…降りて来た」

敗残兵2「ど…どうする?」

敗残兵1「化け物だ…逃げる」ダダ

敗残兵2「お…おい!!」


エルフゾンビ「私に構うな…」

敗残兵2「お前は何者だ?」

エルフゾンビ「フフ愚門…どけ」ドン


ゴゴゴゴゴゴ ボゥ


エルフゾンビ「む…始まったか」

敗残兵2「くぅ…ドラゴンか!!」

エルフゾンビ「隠れて居た方が良いぞ…ドラゴンは目が良い」

敗残兵2「お前は良いのか?」

エルフゾンビ「私は砦に用があってな…気にするな」スタ

敗残兵2「…」


タッタッタ


エルフゾンビ「…」---ドラゴンライダー4とハーピー8か---

エルフゾンビ「…」---今の内にさっさと使役を終わらせよう---

310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:23:14.56 ID:qOmQVu6P0
『シャ・バクダ砦裏』


??「だめだもうエルフを解放した方が良い」

??「何言ってるんだ…僕達の同胞になれるかもしれない」

??「もうキマイラの増援は見込めない…持たないぞ?」

??「大丈夫…もうすぐ来るよ…これでアダムの所までたどり着ける」

??「エルフも連れて行くのか?」

??「しょうがないだろう?事情を知ればきっと仲間になる」


エルフゾンビ「はっ…」---この声はまさか---


??「ん?…どこだ?なにか匂う」


エルフゾンビ「…」---マズイ気付かれたか---

エルフゾンビ「…」---今やるしかない---

エルフゾンビ「私に従え…門を開けて私に付いて来い」フリフリ


??「誰かの声がする…裏だ…この匂いはエリクサー…誰か居るな!!」

??「探してくる」ダダ


エルフゾンビ「…」---さすが勘が鋭い…ここは一先ず逃げだ---


??「こっちだよ!!」

??「うぐ…」

??「ん?何処行くんだよ?」

??「いや…分からない…体が勝手に」

??「君も敵になってしまうのかい?困ったなぁ…」

??「頼む…殺さないでくれ」

??「僕は同胞を殺めるつもりは無いよ…まいったなぁ君まで居なくなると寂しいじゃないか」

??「どうしたんだ?自分の意思で動かしてる訳じゃ無い」

??「ダメだよ…そこ開けるとミノタウロスが入って来ちゃう」

??「俺を止めてくれ」ブンブン

??「武器振り回されたら近づけないじゃないか…誰か居ないかぁぁ!?」

??「あわわわ…なんで体が勝手に」ガチャリ

??「精鋭!!突入に備えて!!」

精鋭達「ハッ!!」


射手!!構え!!

重機!!壁!!


ギギギギギ ガコン


??「爆発魔法!!」バーン

ミノタウロス「肉…肉ぅう」ガブ

??「ぎゃぁぁぁ…」



----------------
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:24:19.14 ID:qOmQVu6P0
タッタッタ


??「見つけた…足跡…シャ・バクダの方角か」

エルフゾンビ「動くな…」スチャ

??「うっ…後ろか」ギクリ

エルフゾンビ「何故お前が此処にいる?」

第3皇子「その声は兄者!!」

エルフゾンビ「動くなと言った」ズブ

第3皇子「この反乱は兄者が扇動したの?すごいじゃない…どうやって?」

エルフゾンビ「質問をしているのは私の方だ」

第3皇子「そうか分かったぞ…大兄をフィン・イッシュに逃したのも兄者が引導したんだね?」

エルフゾンビ「答えろ」

第3皇子「ハハ変わって無いなぁ…兄者のそういう所キライだよ」

エルフゾンビ「質問を変える…母上と姉上達はどうした?助けるのでは無かったか?」

第3皇子「勿論助けたさ」

エルフゾンビ「何処にいる?」

第3皇子「質問ばっかりだね…なんか分かって来たよ…兄者は白狼の一味だったんだね?」

エルフゾンビ「そうやっていつも話をはぐらかす」

第3皇子「兄者は僕が黒の同胞に隠れた事は知って居たよね?なら僕がここに居る理由くらい分かるよね」

エルフゾンビ「アダムの復活か…ダークエルフの夢話だと思って居たが達成するんだな?」

第3皇子「結果的に祈りの指輪は必要無かったさ」

エルフゾンビ「お前は黒の同胞に加わったのか?」

第3皇子「違うかな…目標は同じでも僕は彼らの手段には加担していない」

エルフゾンビ「貴族に紛れて高みの見物だな?」

第3皇子「まぁね…僕は一切手を汚して居ないんだ…時の王と貴族達に便宜を謀っただけだよ」

エルフゾンビ「フン!それで結果的に多くの人間の命を犠牲にしたのだ…同罪だ」

第3皇子「救った命も多い…母上や姉上達の様にね」

エルフゾンビ「何処にいる?解放が条件だっただろう」

第3皇子「兄者は甘いよ…そんなに上手く物事は運ばないんだよ」

エルフゾンビ「答えろ」

第3皇子「ハハこんな所で立ち話は止めて砦でゆっくり話さないかい?」


ドドドドド ドゴーン!!


エルフゾンビ「何ぃ!!な…なんだアレは…」タジ
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:24:50.36 ID:qOmQVu6P0
第3皇子「やっと来たか…これでアダムの所まで行ける」

エルフゾンビ「でかい…あの魔物もキマイラの一種か?」

第3皇子「古代神獣ゴーレムさ…あれが僕を守る」

エルフゾンビ「2体も居る…だと?」

第3皇子「さぁ…その手を放してよ…いい加減ウザイよ」ブン

エルフゾンビ「…」タジ

第3皇子「兄者…その顔色はもしかして不死者かい?ハハ…これはなんと痛ましい姿になったか」

エルフゾンビ「黙れ」

第3皇子「死んだとは聞いて居たんだ…不死者でまだしぶとく生きて居たのかハハハ」

エルフゾンビ「…」ギロリ

第3皇子「この感じだと大兄もみすぼらしい事になって居そうだ…セントラルはもう終わりだね」

エルフゾンビ「お前が引導した結果だとは思わんのか?」

第3皇子「僕は何もしちゃ居ないさ…やったのは黒の同胞団だ」

エルフゾンビ「くぅ…」ギリリ

第3皇子「まぁここじゃ何だからさ…中に入ろうよ…裏口があるんだ」
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:25:27.56 ID:qOmQVu6P0
『砦の中』


正門閉じろぉぉ!!

ミノタウロス撃破確認!!城壁での警戒に移れ

外はゴーレムに任せて良い!!ドラゴンに備えろ!!


ツカツカツカ


エルフゾンビ「何故エルフを捕らえている?」

第3皇子「今解放すると敵になちゃうじゃないか…エルフはみんな僕の仲間になれるんだよ」

エルフゾンビ「すべてのエルフが黒の同胞の意に従うとでも思って居るのか?」

第3皇子「さぁね?でも精霊の計画通り種の入れ替えは進んでる…新しい時代の主役は僕達ハーフエルフなのさ」

エルフゾンビ「…」

第3皇子「いや言い方が悪かった…ドリアード化出来る僕達ハーフエルフの方が正しいかな」

エルフゾンビ「母上と姉上達もここに居るのだな?」

第3皇子「フフ…居るよ…さっきからずっと僕たちの話を聞いて居るよ」

エルフゾンビ「何?どういう事だ?」

第3皇子「まぁ慌てないで…まず見せたいものがあるんだよ…こっちさ」
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:26:10.22 ID:qOmQVu6P0
『個室』


ガチャリ バタン


エルフゾンビ「何だこの部屋は?何も無いではないか」

第3皇子「…」コトン

エルフゾンビ「黒い魔石…それがどうした?」

第3皇子「アハハハハ…この石…これが皆が恐れてる魔王だよ」

エルフゾンビ「なんだ…と!?」

第3皇子「ほぼ無限大の魔石になったんだ…黒の同胞達がチマチマ作ってた魔石なんかもうどうでも良い」

エルフゾンビ「それはもしかして…リリスの子宮の中に居た魔王…石に変えたと言うのか?」

第3皇子「さすが白狼の一味…知って居たんだ」


そうさ…誰か知らないけれど魔王を集めて一つの生命に封じ込めてあったんだよ

本当なら祈りの指輪を使って魔王を集めなきゃいけなかった所なんだけど

何の抵抗も出来ない胎児の中に魔王が封じてあったんだよ

それを重力炉で圧縮して魔石に変えたんだ…ハイ!魔王退治完了!てね

だから何十年も前からやってたチマチマ魔石を作るのは全部無駄だったって訳

僕は犠牲にされてしまうエルフやオーク…それに拷問される人間達も全部救ったんだよ

もうエネルギーの小さな魔石は必要ない


エルフゾンビ「それを使ってアダムを復活させる…」

第3皇子「精霊がやろうとした事だよね?もうすぐ実現する」

エルフゾンビ「…」ボーゼン
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:27:48.69 ID:qOmQVu6P0
第3皇子「もう争いは終わりさ…精霊の時代は終わってアダムの時代が来る…アダムに従えば良いんだ」

エルフゾンビ「お前がアダムを復活させる役なんだな?」

第3皇子「そうだよ…森の中に残ってる黒の同胞達はみんな僕の為に囮になってくれているんだ」

エルフゾンビ「まぁ良い…それは認めよう…そして母上と姉上達はどうした?」

第3皇子「…」

エルフゾンビ「まさかお前…」

第3皇子「これが母上」コトリ

第3皇子「そしてこれが姉上達…」パラパラ

エルフゾンビ「…」

第3皇子「子を産むだけの奴隷から解放してあげたんだ…救ったんだよ」

エルフゾンビ「…」ダダダ ボカッ

第3皇子「こうするしか無かった…もっと早く魔王を見つけて居ればこうはならなかった」

エルフゾンビ「ふざけるな!!」ゴス ゴス ボカッ

第3皇子「兄者にも責任がある!!白狼の一党は同胞達の邪魔建てばかりをするんだ…上手く事が運ばないのはそのせいだ」

エルフゾンビ「だまれ!!」バキ ボカ ゴン

第3皇子「今だってそうでしょ…キマイラが反乱するのも…黒の同胞達を攻め立てているのも全部!!兄者たちのせいだ」

エルフゾンビ「ふーーふーーー」

第3皇子「次は僕の邪魔をするのかい?」

エルフゾンビ「…」ギリリ

第3皇子「その魔石はまだ一度も使っていない…兄者にあげるよ」

エルフゾンビ「母上…」ギュゥ

第3皇子「もうこれで終わりさ…アダムを復活させて僕は眠りにつく…僕にその魔石はもう必要ない」

エルフゾンビ「…」

第3皇子「…」

エルフゾンビ「問う…何故ハイエルフはお前や黒の同胞と争いを始めた?」

第3皇子「森の声…」

エルフゾンビ「…」---精霊樹が?…いやまさか---

第3皇子「兄者も僕の敵になるのかい?」

エルフゾンビ「…」スック

第3皇子「何処に行くの?」

エルフゾンビ「この魔石は頂く…そしてお前はお前の信じた道を行け」

第3皇子「ハハ理解してくれたのか…それでこれからどうするんだい?」

エルフゾンビ「さぁな?…只…お前とは2度と会うまい」

第3皇子「そうか残念だよ…大兄にもよろしく言っておいて欲しい」

エルフゾンビ「じゃぁな…」ノシ


---戦う理由を見失ってしまった---

---疲れたな---
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:28:22.52 ID:qOmQVu6P0
『雪原』


ヒュゥゥ サラサラ



エルフゾンビ「…」ズリズリ


---何の為に多くが犠牲になった---

---何の為に血を流す---

---何の為に戦って居るのだ---

---仲間たちは今も何処かで戦っている---

---まったく意味の無い戦い---

---わたしはどうすれば良い---

---精霊樹よ導いてくれ---



ヒュゥゥ サラサラ
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:29:13.36 ID:qOmQVu6P0
『森の最奥』


シュタタ シュタタ


魔女「…やはり虫たちはわらわ達に見向きもせんな」

剣士「もう戦う敵はハッキリしてる…キマイラとゴーレム」

魔女「黒の同胞達はどうするんじゃ?」

剣士「エルフに任せる…僕達はキマイラとゴーレムだけやればいい」

子供「パパ!右!!キマイラ2体」

剣士「魔女!!頼む」シュタタ

魔女「火炎地獄!!」ゴゴゴゴ ゴーン

剣士「はぁ!!」スパ スパ


キマイラ「ガオォォォ…」ドタリ


魔女「このままでは硫黄が足らんくなるぞい」

剣士「未来!!爆弾用の硫黄を持っていたな?魔女に渡すんだ」

子供「うん…」シュタタ シュタタ

魔女「魔力も無限では無いのじゃが…ちぃと休めんか」ブツブツ

剣士「拾った魔石で補って」

魔女「仕方ないのぅ…空が見えぬがそろそろ爆発するのでは無いか?」

剣士「森の深部に入って置く…未来!!下だ」ピョン シュタ

魔女「魔法が使えん様になるがどうするかのぅ…」

剣士「物理系の魔法でお願い」

魔女「主も只では済まんぞよ?」

剣士「何を使う?」

魔女「隕石魔法しか期待出来んな…落とすと巻き込まれるのじゃが」

剣士「上手くやって…ふぅ」

魔女「おぉ…やっと休憩じゃな?」

剣士「少し休んで良いよ…僕は森の声を聞く」

魔女「ふぅぅぅやっと地に足が付いたわい…」

子供「魔女?この硫黄をあげる」

魔女「主の分は少し残して置くのじゃぞ?」

子供「分かってるよ…はい」ポイ


ワオーーーーン  ワオーーーーーン


魔女「しかし随分ウルフの仲間が増えたのぅ?」
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:29:48.93 ID:qOmQVu6P0
子供「僕たちに付いて来てるよ…見える?」

魔女「何処に居るのかは分からん…何匹ぐらい居るのじゃ?」

子供「うーーん…100匹?200匹?」

魔女「そんなに居るんか…」

子供「守ってくれてる…ここは安全だよ」

魔女「わらわの魔法でウルフを巻き込まん様に気を付けんとな」

子供「うん…」

魔女「主は寒うないか?」

子供「ちょっと」

魔女「わらわは寒いのじゃちぃとこっちに来い」

子供「なんか恥ずかしいなぁ」

魔女「肌をくっつけよ…」ピト

子供「子ウルフもおいで」

子ウルフ「バウバウ…ハッハッハッ」

魔女「うむ…温い…わらわもその毛皮が欲しいわ」


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319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:31:33.43 ID:qOmQVu6P0
『森の声』


---北へ---

---殺せ---

---遺物---

---殺せ---

---殺せ---

---殺せ---


ゴゴゴゴゴ ゴゴーン ゴゴーン


剣士「…」キョロ

子供「パパ…森が焼かれてる」


ザワザワ ザワザワ


子供「熱っ!!」

剣士「光に当たらない様に木の洞に入れ」

魔女「腕を見せてみよ…」

子供「痛たたた…」

魔女「火傷じゃな…光でこれほど焼くとはのぅ…回復魔法!」ボワー


ザワザワ ザワザワ


子供「足元…虫たちが一斉に出て来た…うわぁ!!」

剣士「一斉に孵化したんだ」

子供「足を登って来る…どどど…どうしよう」

剣士「虫は敵じゃない…大人しくして」

魔女「剣士…主も洞に入れ…焼かれるぞよ?」

剣士「あぁ…そうする」ノソ

魔女「こりゃ収まるまで出ん方が良さそうじゃ…あの光は一瞬で重度の火傷になってしまうぞよ」

子供「枯れ葉が燃えだした」

剣士「収まったら移動しよう…火に撒かれる」


ゴゴゴゴゴ ゴゴーン ゴゴーン
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:32:32.49 ID:qOmQVu6P0
『数分後』


メラメラ ゴゥ


剣士「…」

魔女「お…収まった様じゃな?」

剣士「魔女…乗って」

魔女「もう行くんかいな…」ヨッコラ

剣士「未来…行くぞ…撒かれるな?」

子供「うん…」

剣士「虫の行く方向だ…そこにゴーレムが居る」

子供「パパ?森の声を聞いた?」

剣士「聞いた…」

子供「今の声は…誰?」

魔女「むむ…何と言うて居るのじゃ?」

子供「遺物を殺せ‥って」

剣士「…」

魔女「どういう事じゃ?剣士?」

剣士「…」フリフリ


---森の声がおかしい---

---どうして北に導く?---


剣士「わからない…」

魔女「ううむ…謎じゃな」

剣士「森の生き物はその声に導かれている…そこに何かある」

魔女「行く先は変わらんのじゃな?」

剣士「急ごう…未来!走るぞ」シュタタ シュタタ


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----------------


フッフッフ

贄が足りぬ…贄が…
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:33:11.76 ID:qOmQVu6P0
『戦場』


ギャオオオオオオス ゴゴゴゴゴ


剣士「ハイディング!」スゥ

未来「ハイディング!」スゥ


シュタタ シュタタ


魔女「ゴーレムは全部で6体じゃ…あれに隕石を当てれば良いな?」

剣士「出来るかい?」シュタタ

魔女「詠唱に1時間掛かる故それまで堪えよ」

剣士「未来!!右回りで旋回する…エルフの射線には入るな!!」

子供「分かってる!!」

剣士「行くぞ!!狙いはキマイラ!!」

子供「おっけ!!」

剣士「リリース!」スゥ

子供「リリース!」スゥ


シュタタ シュタタ


キマイラ「ガオォォォ」ボボボボ


剣士「はぁ!!」シュタタ スパ

子供「パパ!!虫がゴーレムに取り付いてる…」

剣士「構うな…ドラゴンライダーが来るぞ!!射線開けろ!!」


シュン シュン シュン シュン


ドラゴン「ギャオオオオス!!」ゴゥ ボボボボボ


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322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:33:44.18 ID:qOmQVu6P0
魔女「ブツブツ…」アブラカタブラ ブラブラチンコ メテオスウォーム トンデミーナ ヤッテミーナ

剣士「ふぅふぅ…ここなら見下ろせる」

子供「虫がどんどん増えて行く…」

剣士「未来…今の内に回復魔法を掛けて置け」

子供「回復魔法!」ボワー

剣士「目を使って戦うのは限界がある…目よりも匂いと音で感じるんだ…できるな?」

子供「うん…」

剣士「エルフの呼吸は分かるか?」

子供「分かる…僕達にも会わせてくれてる」

剣士「それなら良い」

子供「パパ?あのゴーレムが守ってるのはさっきの鉄の馬車みたいな奴?」

剣士「多分…もう虫が取り付いて近づけない」


ピカーーーー チュドーーーーン


剣士「な…」

子供「あのキマイラ…光るブレスを吐く!!」

剣士「くそぅ!!ドラゴンが一匹落ちた…」

子供「あのキマイラを先に…」

魔女「ふぅ…詠唱が済んだぞよ…あと10分程で落ちてきよる」

剣士「ゴーレムに近付けば良いか?」

魔女「見える位置ならどこでも構わぬ…わらわが修正する故見える位置に居れ」

剣士「10分か…よし!!未来…あのキマイラだけ倒す…付いて来い!!」シュタタ

子供「…」シュタタ



-----------------
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:34:18.64 ID:qOmQVu6P0
シュタタ シュタタ


剣士「未来は注意を引くだけで良い…ブレスに当たるな?」

子供「分かった…」

剣士「行くぞ!ハイディング」スゥ

子供「ハイディング!」スゥ


剣士「右へ!!」

子供「先にリリースするね」

剣士「行け!!」

子供「リリース!」スゥ


シュタタ シュタタ


キマイラー「ガオォォ」ゴゥ ボボボボボ

子供「今!!」シュタタ

剣士「リリース!」スゥ

魔女「寝んねんね〜♪」ラララー

キマイラ「ガオ?」

剣士「…その手が有ったか」

魔女「キマイラや…わらわ達を守るのじゃ」

キマイラ「ガオォォ」ドスドス

剣士「未来!!このままゴーレムが見える所まで移動するぞ!来い!!」シュタタ シュタタ

子供「待ってぇ!!」シュタタ シュタタ



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324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:34:50.72 ID:qOmQVu6P0
シュタタ シュタタ


剣士「見えた!!」

魔女「キマイラに囮をやらせる故主はわらわを守れ」

子供「パパ!!上!!なんか飛んでる」

剣士「ハーピー…」

魔女「魔法の使えぬハーピーなぞどうという事なかろう?」

子供「急降下してくる!!いっぱい!!」

剣士「くそぅ…今は弓が使えない…」

魔女「走れ!!」

剣士「未来!行くぞ!!」シュタタ シュタタ

魔女「あと3分で落ちて来るぞよ?巻き込まれるなや?」

剣士「隕石が当たるのを見て森の下まで飛び降りる…」

子供「わかった」

剣士「今は木を伝って走る…付いて来い」


ハーピー「キャアアアアア」バサ バサ


子供「うわぁ…」

剣士「構うな…来い!!」シュタタ シュタタ



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325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:35:50.10 ID:qOmQVu6P0
剣士「…ドラゴンライダーが離れた…気付いたか」

子供「隕石見えた!!」

魔女「そのまま走って居れ…まず2発じゃ」


シュゴーーーーー パパパパパン!! チュドーーーーン


剣士「当たった!!飛べ!!」ピョン

子供「…」ピョン


ドガーーーーーーン!! パラパラ


魔女「あわわわ…」

剣士「魔女…しっかり掴まって」シュタ シュタ

魔女「こりゃ命が縮むわい…次は2分後じゃ」

剣士「次のゴーレムまで走る」シュタタ シュタタ

魔女「見えるだけで良いぞ?」

子供「パパ!この木が登れる」

剣士「よし!!」ピョン ピョン

子供「見える!!ゴーレム2匹はどっか行った」

剣士「砕け散った…のか?」

魔女「無駄口は良いから次のゴーレムまで早う行け」

剣士「こっちだ…枝を飛び移る」ピョン シュタ

子供「居た!!うずくまってる!!」

魔女「あれじゃな?もう一体はどこじゃ?」

剣士「向こうだ…遠い」

魔女「ええい…一発無駄になってしまうのぅ」

剣士「未来!!向こうのゴーレムに向かって先に距離を詰める…背中に乗れ!!」

子供「え?」

剣士「回避はパパに任せろ…乗れ」

子供「うん…」ピョン

剣士「しっかり掴まれ」シュタタ シュタタ

子供「どうやって回避するの…下に降りないの?」

剣士「それじゃ次に間に合わない」

魔女「仕方無いのう…あのゴーレムに2発じゃ…上手く回避せいよ?」


シュゴーーーーー パパパパパン!! チュドーーーーン


子供「あぁぁぁ欠片が飛んで…」


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326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:36:31.10 ID:qOmQVu6P0
『異空間』


子供「あれ?…ここは…」

子供「パパ?…ここどこ?」

子供「魔女?…何処に居るの?」

子供「あれ?記憶が…」

子供「僕何してたんだっけ…」

子供「誰も居ないの?」


---こっち---


子供「誰?」


---目を覚まして---


子供「ホム姉ちゃん?」


---僕だよ---


子供「僕?」


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327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/04/14(水) 19:37:23.12 ID:qOmQVu6P0
『戦場』


ドガーーーーン パラパラ


剣士「うぐぅ…」シュタタ シュタタ

魔女「主はなんちゅう危険な事をするんじゃ…」

剣士「回復魔法を…」

魔女「わらわは今メテオスウォームを使っている最中じゃ…」

剣士「未来…」

魔女「まだ調和しとらぬ…何回次元を入れ替えたのじゃ?」

剣士「一番良い次元を選択した…何回かは覚えて居ない」

魔女「いかんのう…傷が深い」

子供「ぅぅん…どうなったの?」

魔女「おぉ目覚めたか…剣士に回復魔法を掛けよ」

子供「え!?あ…回復魔法!」ボワー

剣士「ふぅ…」シュタタ シュタタ

魔女「続けて掛けよ」

子供「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

剣士「あそこにゴーレム3体居る…まとめて倒して」

魔女「ええい…わらわの時間も狂って居るでは無いか…あと何分じゃ?」

剣士「それは魔女にしか分からない…なんとかして」

魔女「目視で測るしか無いのぅ…空を見せよ」

剣士「未来!自分で走れ」

子供「うん…」ピョン

魔女「しかしまぁ量子転移をこうも軽々使うとはのぅ…乱用は次元崩壊するでイカンぞ?」

剣士「分かってる」

魔女「ううむ…どれぐらいズレてしもうたのか…」

子供「星が見える!!尾を引いてる」

魔女「あれじゃな?よし捕らえた…目視じゃで精度が悪い…着弾に備えるのじゃ」

剣士「次は下まで飛び降りる…さっきは危険過ぎた」

魔女「うむ…それで良い…外してももう一度初めから詠唱すれば良いだけの話」

子供「星が近づいて来る!!」

魔女「剣士!!準備せい!!」

剣士「未来!!飛べ!!」ピョン


シュゴーーーーー パパパパパン!! チュドーーーーン

ドガーーーーーーン!! パラパラ


魔女「イカン…1体だけしか倒せて居らぬ…やり直しじゃ」

剣士「あと2体か…距離を取る」シュタタ シュタタ


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328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/05/06(木) 19:39:46.78 ID:KUnWzGg/0
保守
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/07(金) 18:33:51.18 ID:kwIi/Pq/0
『オアシス砦』


フワフワ ドッスン


アサシン「荷物運搬ご苦労…エルフゾンビはまだ帰って居ないか?」

盗賊「あぁ帰って無ぇ…それより妙な噂聞いて来たぜ?」

アサシン「何だ?」

盗賊「どうやらシャ・バクダ砦はすでにもぬけの空の様だ」

アサシン「全滅したという事か?」

盗賊「ゴーレムが居て俺らが近づけ無かった間に移動したんだろ」

アサシン「ふむ…例の未発見の遺跡か」

盗賊「だろうな…ほんで北の方に向かってがっつり足跡が残ってんだとよ」

アサシン「シャ・バクダ街はどうなって居るのだ?」

盗賊「あの辺で戦闘が無くなったもんだからちょいちょい人が戻ってる様だ」

アサシン「ではフィン・イッシュで治安維持に出た方が良いか…」

盗賊「いや…またあの辺は戦闘に成りかね無ぇからこのままが良さそうだな」

アサシン「それでは私達は気球で足跡を追ってみるか…」

盗賊「そうだな…それが良さそうだ…情報屋もそっちのが喜ぶ」

アサシン「情報屋は観測所に残って居るんだな?」

盗賊「うむ…なにやら本を漁ってる」

アサシン「避難も落ち着いて来たし行って見るか」

盗賊「案内人!!荷を下ろしたら例の足跡消える前に行ってみるぞ」

案内人「分かった…10分待ってくれ」
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/07(金) 18:34:44.93 ID:kwIi/Pq/0
『気球』


フワフワ ヒュゥゥ


盗賊「魔女達と連絡は付かないのか?」

アサシン「すっかり途絶えた…」

盗賊「上手い事黒の同胞団のアジトを殲滅してくれりゃ良いけどな」

アサシン「向こうはこちらと違ってエース揃いだ…上手くやると思って居る」

盗賊「まぁそうだな…ありえん火力が揃ってるしな」

アサシン「問題はこちらが何も動けない事だ…エルフゾンビ無しではさすがに情報収集しか出来ん」

盗賊「んんん…何処に行っちまったのか」

アサシン「時の王と話していて気付いたのだが…」

盗賊「まだ何かあんのか?」

アサシン「隠匿の皇子…」

盗賊「あぁ情報屋も誰の事を指すのか勘繰ってたな…具体的に誰なのか聞けてないのか?」

アサシン「初めはエルフゾンビの事を指すと思って居たのだ…ダークエルフとの繋がりも一致していた」

盗賊「そこらへんはエルフゾンビに聞くのが一番なんだよなぁ」

アサシン「ただ辻褄が合わん事も多くてな…もしかすると戦死した第3皇子がそうだったとすると話が通るのだ」

盗賊「生きていたとしてあんまり俺らには関係無いだろ?」

アサシン「いや…黒の同胞団と時の王のパイプ役…貴族の中に居た可能性が高い」

盗賊「…てことはシャ・バクダ砦で鉢合わせた可能性があるってか?」

アサシン「まぁ鉢合わせたからどうなのか?というのも有るのだが…少し気になって居てな」

盗賊「戻って来ないのは何か事情が有るんだろう」

アサシン「うむ…もう少し寄り添ってやれば良かったと反省している」

盗賊「ヌハハあいつももう少しおしゃべりなら良かったんだがな…プライドが高いのがイカン」

案内人「もう少しで星の観測所だ…降りて行くな?」

アサシン「あぁ…情報屋を呼んでくるから待っていてくれ」


フワフワ ドッスン



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331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/07(金) 18:35:48.87 ID:kwIi/Pq/0
『星の観測所』


情報屋「あら?私を呼びに来たのね?今日は何処へ?」

アサシン「例の遺跡をもう一度探しに行く」

情報屋「本当!?直ぐに準備するわ…」スック

アサシン「噂はすでに聞いて居たのだろう?」

情報屋「そうよ…だから古文書の翻訳急いでいたの」

アサシン「ドリアード伝説だったか…」

情報屋「ホムンクルスが文字の解読をしてくれたおかげで随分翻訳が早いわ」

アサシン「何か新しく分かった事はあるのか?」

情報屋「地底で繁栄した文明よ…ドワーフの前進…ノームが栄えた時代らしいわ」

アサシン「ふむ…何故黒の同胞団が関わるか…」

情報屋「ドリアードは木の精霊を指すの…エルフが関わりそうじゃない?」

アサシン「ダークエルフか…しかし3000年も昔の遺跡に何の用があるのか…」

情報屋「行って見てからのお楽しみにね」

アサシン「一応戦闘の準備はしておいてくれ」

情報屋「わかった…着替えたら行くから気球で待ってて」

アサシン「早くな?日が落ちる前には帰って来たいのでな」


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332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/07(金) 18:36:30.86 ID:kwIi/Pq/0
『気球』


フワフワ ヒュゥゥ


情報屋「見て!!あそこ…」

盗賊「おうおう!!ゴーレムこっちに居るんじゃ無ぇか…」

アサシン「ううむ…これでは降りられんか」

情報屋「ソリもあそこに置いてある…何か運び入れたのね」

盗賊「…なんだよやっぱりあの小屋の所じゃ無ぇか」

情報屋「足跡が突然無くなって居るわ…入り口はあそこね」

盗賊「どうする?ゴーレムが居るんじゃ近付け無ぇ…」

アサシン「待て…ゴーレムはピクリとも動かないな」

盗賊「様子見っか?」

アサシン「うむ…」

情報屋「下に転がってる石ってもしかして…」

アサシン「トロールだな…夜になったら動き出すだろう」

盗賊「シカが近くにうろついてる…ありゃソリ引っ張って来たシカか?」

アサシン「状況的にその様だな…しかし…静かすぎるな」

盗賊「降りてみっか?」

アサシン「気球は壊されたくない…案内人…私達3人を降ろしたら上空で待機しているのだ」

案内人「分かった…」

アサシン「虎穴に入らずんば何とやらか…」

盗賊「やっぱりゴーレムは動かねぇな…どうなってんだ?」

情報屋「小屋も誰も居なさそう…そっちには足跡が無い」

案内人「高度下げる…飛び降りてくれ!!」


フワフワ


アサシン「行くぞ!」ピョン

盗賊「情報屋!クロスボウ忘れんな?」ピョン

情報屋「あなたに言われなくても…」ピョン
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/07(金) 18:37:11.96 ID:kwIi/Pq/0
『山小屋』


盗賊「やっぱ誰も居無ぇ…ここは前に来た時のままだ」

アサシン「ゴーレムは動く気配は無いな…しかし見上げるとデカイ」

盗賊「見とれて無ぇで行くぞ!!こっちだ」サク サク


サクッ サクッ サクッ


盗賊「付いて来てるな?」

アサシン「あれだな?足跡がそこで切れてる」

情報屋「ソリは見て行かないの?」

盗賊「ちっと見て行くか…積み荷はなんだ?」

アサシン「何も残って居ないが…足跡が多すぎるな」

盗賊「人が移動しただけってか?」

アサシン「ざっと50人程か…」

盗賊「なんでシカ繋いで無いんだろうな?」

情報屋「帰る気は無いって感じね」

盗賊「まぁ良い…入り口探そう」

アサシン「待て…狭間の境界は1歩づつ行け…私達がはぐれるぞ」

盗賊「分かった分かった…ここの先だな?…行くぞ」サク
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/07(金) 18:37:51.54 ID:kwIi/Pq/0
『ドリアード遺跡』


盗賊「どわぁぁ!!なんだこりゃ…」

情報屋「驚いた…これが入り口?」

アサシン「まるでサンドワームの口だな…何で出来ているんだ?」

情報屋「金属ではなさそう」

盗賊「これに入れってか?なんか食われそうだ…」タジ

情報屋「もしかするとドリアード遺跡は生き物の体内なのかも知れない…」

盗賊「くそデカイサンドワームか?」

情報屋「壁面を触った感じ木の様な触感だけど…なにかしらこのゴツゴツした壁は…」

盗賊「まぁここまで来たんだ…行って見るか」

アサシン「私が後ろを見る…先に入れ」

盗賊「ヌハハ最初に食われるのは俺か」

アサシン「そういう意味では無い…洞窟探索はお前の方が能力が上なだけだ」

盗賊「俺はイザってなったらハイディングすっから援護頼むな」

アサシン「待て…ここは既に狭間だ…そして地下深くに潜るならハイディングは宛てに出来ないと思え」

盗賊「おぅ…そうか…隠密で歩く」

アサシン「うむ…それで良い」

盗賊「行くぞ」ソローリ
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/07(金) 18:39:06.03 ID:kwIi/Pq/0
『ドリアード遺跡_喉部』


盗賊「えらい下ってるぞ?そして何で微妙に明るいんだ?」

アサシン「扉も何も無いのだな…不思議な遺跡だ」

盗賊「情報屋!ランタンで壁面照らして何か見えるのか?」

情報屋「透けて向こう側が少し見えるわ」

アサシン「何?」

情報屋「ほら?細胞がくっ付いて居るみたいな…」

アサシン「本当だな…では向こう側にもここと同じ様な通路があるのか?」

情報屋「そんな感じね…下の方にも…まるでアリの巣」

アサシン「想像していた遺跡とは全く異なる…何なんだここは」

盗賊「おい!!この先で広がってる…注意しろ」

情報屋「待って…ここ扉よ?開いて居るけど」

盗賊「んん?…これどうやって閉めるんだ?」

情報屋「いつ閉まるか分からないから進むのが怖いわ」

アサシン「私にはこれが扉だと思えんのだが…」

情報屋「喉の奥を想像して?このひだみたいな壁が塞がる」

アサシン「なるほど…やはり生き物だという事か」

情報屋「動物性ではなくて植物性の生き物ね…きっとそれがドリアードだわ」

盗賊「そういや虫を食ってるクソでかい花とか見た事あるわ…あんな感じか」

情報屋「多分…私達はその中に居るの」

アサシン「文明とは程遠い気がするが…」

情報屋「その体内に生活拠点を作ったのがノームだわ…どこかにノームの化石とかあるかもしれない」

盗賊「どうする?進むしか無いよな?」

情報屋「待って…このひだが勝手に閉じない様にクロスボウで釘を刺しておく」バシュン ザク

盗賊「そら名案だ」

情報屋「予備のボルトあと20本しか無い…」

アサシン「20本使う前に一旦戻るとしよう」

盗賊「じゃぁ進むぞ」
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/07(金) 18:39:54.98 ID:kwIi/Pq/0
『ドリアード遺跡_胃部』


盗賊「こりゃまたでっけぇ空間だ…誰も居る様には見えんな」

アサシン「広すぎるな…手分けしないと効率が悪い」

情報屋「これだけ大きな物が地面に埋まって居ただなんて…大発見よ」

アサシン「しかし造形物のすべてが何なのか分からん」

情報屋「でも明らかに知能を持った何かが作ってる…調べましょう」スタ

盗賊「おい!!勝手に行動すると危ないぞ?」

アサシン「まぁ向こうまで見通せる…見える範囲で手分けするか」

盗賊「おい!情報屋!!俺が見えない所には行くな!!分かったな!?」

情報屋「あら?私を心配しているの?ウフフ」

盗賊「俺はこっちな?」

アサシン「では私は向こうだ」


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337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/07(金) 18:40:59.76 ID:kwIi/Pq/0
『1時間後』


アサシン「やっと帰って来たな…何か見つけたか?」

盗賊「あっちこっちに通路があって訳分からん…見つけた物っちゃぁ虫ぐらいのもんだ」

アサシン「虫か…私は衣類を発見したぞ」

盗賊「おぉ!?持って来なかったのか?」

アサシン「まぁゴミの様な物だ…多分貴族が身に付けて居たであろう衣服だな」

盗賊「肝心の貴族がどこにも居ないな…どうなってんのよ」

アサシン「後な…ここにはケシが生える様だ」

盗賊「光が入って来ないのにか?」

アサシン「正確にはケシの実だけ壁面から露出している」

盗賊「じゃぁ俺らはクソでかいケシの中に居る感じか」

アサシン「ドリアード自体がそうなのかもしれん…ところで情報屋はどうした?」

盗賊「あぁあそこで壁の中をほじくろうとしてる」

アサシン「行って見るか…」タッタ


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アサシン「何か見つけたのか?」

情報屋「壁の奥に何か入って居るの」ザク ザク

盗賊「どこよ?」

情報屋「あ!!あなた明るいライト持ってたわね?貸して」

盗賊「ほらよ」ポイ

情報屋「なにかしら…」ピカー

アサシン「むむ…人だ…何故壁の中に人が…」

情報屋「やっぱりそうか…見て足元」

アサシン「衣服…これは痛んで居ない」

盗賊「て事はどっか行った貴族達はみんな壁ん中ってか?」

情報屋「多分そうよ…そして傷つけた壁…ほとんど木と同じ」


ツカツカツカ
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/07(金) 18:41:52.61 ID:kwIi/Pq/0
アサシン「敵!!」ズザザ

情報屋「はっ…」シュタ

盗賊「おっとぉ!!」スラーン


第3皇子「誰か居ると思ったらお客さんかぁ…君たちは誰?迷子?」

アサシン「…」ジロリ

第3皇子「武器なんか構えて怖いじゃ無いか…降ろしてよ…僕は丸腰だよ」

盗賊「耳…エルフだな?」

第3皇子「ハハハあぁこの耳ね…この耳キライなんだよ…直ぐにエルフってバレちゃうからさ」

アサシン「エルフがこんな所で何をしている?」

第3皇子「それは先に僕が質問したんだよ…君たち誰?」

アサシン「フフどういう答えを期待しているのかな坊や…只の冒険者に思うか?」

第3皇子「アハハハそうだよね…普通の人は入って来ないよね?白狼の皆さん」

アサシン「お前は誰だ?」

第3皇子「さぁね?誰だと思う?」

アサシン「黒の同胞の者だな?」スチャ

第3皇子「残念!ハズレーーー!!ウフフフ」

アサシン「では何なのだ?お前は」

第3皇子「僕はここの住人さ…知らない誰かが入って来たから見に来たんだよ」

アサシン「何?」

情報屋「住人?」

第3皇子「アレレレ?君も顔色が悪いなぁ…そしてエリクサーの香り」

アサシン「…」ギロリ

第3皇子「僕の兄者と同じ不死者なんだぁ…残念だけど不死者はドリアード化出来ないんだよ」

アサシン「兄者?…まさかお前は第3皇子か?」

第3皇子「ピンポーーン!!でもズルいなぁ…兄者から話を聞いてるんでしょ?」

アサシン「何の事だ?」

第3皇子「おっかしいなぁ…まぁ良っか!兄者とは縁を切ったんだし」

アサシン「第3皇子がここで何をしている?」

第3皇子「アダム復活が無事終わって暇してる所さ…まぁ戦う気は無いから武器降ろしてよ」

アサシン「アダム復活だ…と?何の話だ?」

情報屋「その話…聞きたいわ」

第3皇子「武器降ろしてったら…僕そういうのキライなんだ」

情報屋「アサシン?言う事聞きましょう…相手は一人だから」

アサシン「…」スッ

第3皇子「おいでよ…アダム復活のお祝いをしようよ」

盗賊「良いんかぁ?信用して…」

第3皇子「僕は白狼の一党と違って乱暴な事はしないよ…一緒にしないで欲しいなぁ」

盗賊「なぬ!!」

情報屋「盗賊!!止めて」

第3皇子「アハハハ冗談だよ冗談…付いておいでよ」
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/07(金) 18:42:41.96 ID:kwIi/Pq/0
『ドリアード遺跡_核部』


カクカク シカジカ

カクカク シカジカ

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情報屋「…それでドリアード化とは同化する事をいうのね?」フムフム

第3皇子「君は知りたがりなんだね…」

情報屋「私は考古学者なのよ?」

第3皇子「へぇ?なんか君とは話が合いそうだよ」

情報屋「ちょっと待って…古文書と比較しながらもう一度」ペラペラ

第3皇子「アハハハ丁度暇だったんだよ…誰かの役に立つのは気持ちが良いなぁ…」


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盗賊「ぬぁぁぁ長げぇな話が…良いのか?放って置いて」

アサシン「仕方あるまい…私も話を一通り聞いてこれからどうするか考えていた所だ」

盗賊「黒の同胞団と戦う意味がもう無いしな…しかしどうすんだ?」

アサシン「アダムとやらがどう行動を起こすかもいま今分からん…兎も角早く魔女達と連絡したい所だ」

盗賊「まぁこれでエルフゾンビが居なくなった件も謎が解けた訳だ…やる気無くしてどっか行ったんだよ」

アサシン「しかしどうも引っかかる…何故エルフは抵抗を続けて居るかだ」

盗賊「精霊の代わりにアダムってのが世界を導くのってのを理解すんのは時間が掛かるかもな」

アサシン「いや…エルフは私達よりずっと賢い筈なのだ…理解していない訳が無い」

盗賊「うーむ…まぁどうでも良くなって来ちまった…俺ぁ眠くなってきたんだが…」

アサシン「むぅ…」

盗賊「ふぁ〜あ…あそこに溜まってんのはエリクサーだよな?」

アサシン「恐らくな…持って帰るつもりか?」

盗賊「いやそうじゃ無ぇ…その下に沈んでる機械みたいなやつがアダムってやつなんか?」

アサシン「だろうな」

盗賊「あれが話しかけてくる訳でもないのにどうして物事がコロっと変わるんだ?」

アサシン「私達にはよく分からんが…ドリアード化で同化すれば分かるのでは無いか?」

盗賊「ドリアード化しろと言われてなる気にならんだろ」

アサシン「うむ…」

盗賊「それに何だエリクサーの中で宙ぶらりんの脳みそは」

アサシン「謎だ…」

盗賊「なんだかなぁ…なーんか違う気がすんだよなぁ…」


ドクン グググググ
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/07(金) 18:43:39.64 ID:kwIi/Pq/0
盗賊「うお!!壁が動いた!!」

アサシン「む…」スック

第3皇子「あ!!動き始めた…そろそろ終わりにしようか」

情報屋「え?あぁ…分かったわ…もう少し聞きたい事もあったんだけど」

第3皇子「ドリアード化したら何でも教えてあげるさ」

アサシン「これは何事だ?」

第3皇子「君たちはそろそろここを出て行った方が良いかな…ドリアードが目覚めたんだよ」

アサシン「どういう事だ?」

第3皇子「老廃物と思われて排出されてしまう…僕もそろそろドリアード化しなきゃいけない」


ドクン グググググ


情報屋「入り口が小さくなってるわ」

盗賊「こりゃ閉じ込められるかも知れん」

第3皇子「そうだね…出て行った方が良いよ」

アサシン「お前はどうする?」

第3皇子「僕はここでドリアード化するよ…もうこの世界に未練は無い」

アサシン「未練だと?」

盗賊「やべぇ!!おい!!行くぞ」グイ

第3皇子「途中で鎖に繋がれてるエルフはもう好きにして良いよ…ドリアード化するも由し帰るも由し」


ドクン グググググ


盗賊「おい!!話してる暇無ぇぞ!!走れ」グイ

アサシン「ぐぅ…仕方あるまい」ダダ

盗賊「情報屋!!飛び込め!!」

情報屋「分かってる!!」ピョン シュタ

アサシン「来た道分かるか?」

盗賊「任せろ…目印置いて来てる!!こっちだ!!」ダダ



タッタッタ タッタッタ
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/07(金) 18:44:21.44 ID:kwIi/Pq/0
『ドリアード遺跡_胃部』


盗賊「ふぅ…ここは無事だ」

情報屋「なるほど…中枢部は通常閉じているのね」

盗賊「じゃぁドリアードの中心に入れたのは幸運だったな」

情報屋「あの子のお陰ね」

盗賊「ちっとイカれた奴だったな?」

情報屋「心に闇を持ってる」

アサシン「待て…闇と言ったな?あの小僧…もしかして魔王の欠片を抱えて居ないか?」

情報屋「え…」

アサシン「ハイエルフはそれを見抜いて居ないか?…しまった!!ミスリルの音を聴かせるべきだった」

盗賊「まぁ済んだ事は考えるの止そうぜ」

アサシン「もう日暮れの時間だ…一旦戻るぞ」

盗賊「おうよ!!」

情報屋「捕らえられてるエルフは?」

アサシン「あぁ…そうだったな…盗賊!鍵開けは出来るな?」

盗賊「任せろ」

アサシン「私と情報屋は先に出口が閉じて居ないか見て来る…鍵開けを頼む」

盗賊「分かった直ぐに合流する」ダダ
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/07(金) 18:45:20.46 ID:kwIi/Pq/0
『開閉弁』


情報屋「良かった!!ボルトが刺さってるお陰でまだ閉じて居ない」

アサシン「動こうとしているな…もっとボルトを打ち付けて固定しろ」

情報屋「分かったわ…」ガチャリ バシュン バシュン


ボタボタ バシャーーー


アサシン「むむ!!…何か降って来た」

情報屋「排泄しようとしてる…それとも消化?…」

アサシン「マズイな…」

情報屋「盗賊ーーー!!急いでーーーー!!」


盗賊「ちっと待てぇーーー!!そっちにエルフ走って言った!!出してやってくれぇぇ!!」


情報屋「こっちよ!!」

エルフ1「t」シュタタ

エルフ2「h」シュタタ

エルフ3「a」シュタタ

エルフ4「n」シュタタ

エルフ5「k」シュタタ

エルフ6「y」シュタタ

エルフ7「o」シュタタ

エルフ8「u」シュタタ

アサシン「何か言って居るな」

情報屋「分からないわ…盗賊!!早く!!」


盗賊「げふっ…ごほごほ…なんだこりゃ毒霧か?げふげふ」ダダダ

アサシン「入り口まで走れ!!」

盗賊「やべぇぞ!!後ろから毒霧が迫ってる」ダダ

情報屋「ギリギリね…行くわよ」タッタッタ
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