【まどマギ】小巻「見滝原中に転入したわ」【安価あり】

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477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/20(月) 22:31:55.59 ID:mVxpPc6Q0
あれ、小巻は杏子を知ってるのはGS強盗にあったからか?
名前を聞いてもピンとこなかったのは杏子がその時の魔法少女だと一致しなかったからか?
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/20(月) 22:36:30.99 ID:1yTThfPLO
昨日杏子たちに会ってたのはマミとキリカだから増えたのは1人じゃなくて2人じゃね?
479 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/20(月) 23:04:27.23 ID:RH/XRy7j0


小巻「佐倉杏子ってコイツ?」

杏子「そうだよ」

小巻「アンタ、この前ヘンなこと言ってきた強盗じゃない!」

マミ「佐倉さん……悪い噂は聞いてたけど、どうしてそうやって人に迷惑かけるようなことするの?」

杏子「うるせーよ! もうあたしと何の関係もないくせに、今更説教すんな!」

小巻「それに、一人じゃなくて少なくとも二人でしょ? 小糸が契約したのは夜なんだから」


 そう言ってやると、佐倉は不遜に腕を組んだまま小糸をジーッと見た。

 小糸は縮こまるようにしてる。


小糸「……は、はじめまして」

杏子「地味過ぎて目に入ってなかったわ。……契約した? なんでだよ」

小糸「お姉ちゃんの怪我を治すために。本当に死ぬかもしれないとこだったんです。冗談でもあんなこと言わないで」


 縮こまりながらもはっきりそう言うと、佐倉は少したじろいで、それから不機嫌そうな表情をした。


杏子「……揃いも揃って他人のために契約しやがって」

ゆま「キョーコ! いじわるなこと言っちゃダメだよ!」

ゆま「それに、ゆまはキョーコを助けたこと後悔してないよ?」


 小さな女の子っていうのはこの子のことだろう。

480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/20(月) 23:08:08.22 ID:1yTThfPLO
上手いカバーリングだな
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/20(月) 23:17:25.36 ID:mVxpPc6Q0
杏子、やっぱりGS強盗やってたのか。
ゆまの契約内容は原作通りみたいだけど、小糸は変わってますね。
2人とも治癒能力系か・・・
482 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/21(火) 00:20:18.65 ID:LV+shFI+0


小巻「人のためにナントカとか、そういえば前も聞いたわ。いちいち人の契約した理由まで探ってケチつけるなんて女々しいやつ!」

杏子「ああ?」

小巻「言っとっけど、あたしは他人のために契約したわけじゃないからね!」

小巻「あたしのやりたいことを、あたしの力でやろうとしただけ! アンタに文句言われる筋合いないから!」

小巻「ていうか、みんなそんなもんじゃないの。誰かを大事だと思うのも、助けたいって思うのも、結局は自分の気持ちなんだから」


 いつだか、キュゥべえにあたしの考え方は変わってるって言われたっけ。

 あれ正直いまだに納得できないけど。……それとも、他の人は違うっての?


杏子「……そうかよ。ずっとそう思ってられるといいな」

ゆま「ゆまはこれからもずっと後悔しないよ!」

杏子「これから先のことなんてわかんないだろ?」


 佐倉はぶっきらぼうに言う。一体何がそんなに気に食わないんだろう。



 それから、さっき話した優木のことを佐倉たちにも言ってやると、改めてみんなで『打倒優木』を目標に決めた。

 あたしたちにとってはこれまでと変わらない。でも、これで心から全員が一致団結できた。

 風見野でも堂々と探せるようになったというのは大きい。人数も増えたし、こっちが有利にはなったはずだ。



小巻「そうと決まったら優木を追うわよ!」

キリカ「これだけいれば手分けもできるね」

ゆま「ゆまはキョーコと一緒がいいな」

杏子「わかったわかった」

マミ「私は美国さんのところをまた訪ねてみるわ。優木さんがまた接触してくるかもしれないし、安全は確保したいもの」



1あたしもそうする
2風見野に探しにいく

 下2レス
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/21(火) 00:41:38.71 ID:7FrLN+Hv0
ゆまに自己紹介してから1

ひとまず今日は美国のとこにマミとキリカ、小糸も一緒に行きましょう。
洗脳を解くためにあのすまし顔にグーパン叩きこんでも良いわよね?
操られていたとはいえ胸に風穴開けられて死にかけたんだから、こっちも1回くらいやりかえしても文句を言われる筋合いはないわよね?

風見野のほうは佐倉とゆまちゃんの2人の地元組みに任せるわ。
ゆまちゃん、佐倉が『また』やられたら助けてあげてね?


484 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/21(火) 00:51:48.58 ID:ok6PFZ1NO

てっきり杏子は織莉子の家に突撃すると思ったけどしないのか?
485 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/21(火) 00:58:13.50 ID:LV+shFI+0
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今回更新はここまで
次回は23日(木)18時くらいからの予定です
486 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/23(木) 20:21:16.55 ID:dfLwgn6j0


小巻「あたしもそうする。アイツ、美国につきまとってるみたいだしね。知り合いのあたしたちがついててやるのが一番でしょ」

小巻「で、もしまた襲ってくんなら顔面にパンチ入れて目を覚まさせてやる!」

小巻「こっちは胸に風穴空けられて、小糸まであたしのために契約することになったんだから!」

マミ「そ…… そうね。まぁ出来るだけ穏便にいきましょう? 洗脳魔法の仕組みもわからないんだもの」

小巻「ま、当然優先すべきは優木をぶっ飛ばすことよ。アイツさえやっつければ全部解決するんだしね」

杏子「……そうだな。優木を見つけたらなんでゆまを契約させたのかも聞いといてくれ。くだらない理由だったらその場でシメとけ」



 その言葉にみんなが頷いて、それぞれ分かれていく。

 土地に慣れてる佐倉とゆまには風見野を、キリカと小糸には見滝原と風見野両方で怪しいとこを調べて探ってもらうようにしてる。



 そして、あたしとマミは美国の家へと向かった。もちろん事前に連絡なんかはしてない。



小巻「美国! いたら出てきなさい!」


 いつか以上に乱暴にインターホンを押しながら叫ぶと、ほどなくして扉が開く。



マミ「……いきなりでごめんなさいね。今お一人?」

小巻「てか単刀直入に言うわ! 優木はここにいない? あたしたちはアンタを守りにきてやったの。優木を懲らしめるついでにね」

織莉子「守る……?」

小巻「自覚もないわけ? そんなんだからあんなヤツに付け込まれるのよ。アンタどこまでわかってんの?」

小巻「話したいからあがっていい? ていうかあがるわよ。今は緊急事態なの」


 美国は今のところ襲ってくる様子はない。

 洗脳魔法といっても、術者が傍にいない状態でどこまで制御がきくものなのか。


 突然豹変する可能性もないわけじゃないから、一応警戒はしておく。

 でも契約してるってわかってればもうやられてあげるわけない。こっちにはマミだっているんだ。


織莉子「……ええ。入って」


487 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/23(木) 21:12:26.31 ID:dfLwgn6j0


 こんな時でものんきにお茶を淹れてるのを見ると、緊急事態って言葉が伝わってんのかわからなくなる。

 でも、その姿を眺めている分にはいつもの美国と変わらなくて、少しほっとした。


小巻「アンタさ、契約してるんでしょ?」


 紅茶も入って腰を落ち着けると、話の続きを再開した。


 今は指輪があることも隠していない。当たり前のように着いているそれに目がいった。

 あたしの前ではわざわざ取ったり見られないようにしてたんだろうか。


小巻「なんで隠してたのよ。わざわざ小細工までして」

織莉子「……小巻さん、すごく反対してたじゃない。魔法少女になること」

小巻「なっちゃってるものはしょうがないでしょ! そんなこと責めたりしないわよ!」

小巻「いたずらバレそうになって隠してる子供か!? アンタ意外と幼稚なとこあるわよね! あたしはアンタの親かっての!」


 本当になんで隠そうとなんてしたんだ。もっと早く気づけてればよかった。

 そしたら一緒に動けたし、一緒に戦えたかもしれない。


 美国は何か言いたそうにひくりと眉を動かした。……けど、一瞬見えた怒気は次には消え去って戻ってた。いつもの澄まし顔に。


小巻「一人でいるからああいうことになるのよ」

マミ「優木沙々について、知っていることがあったら教えてくれないかしら? 覚えていれば、出会った時のこととか」

小巻「あたしと優木が戦ってる時のこととかね」


 美国はしばらく考えるように沈黙を続ける。

 それから静かに口を開いた。


織莉子「……覚えていないわ」

小巻「何も?」

織莉子「優木沙々さんについて小巻さんから聞かせてもらったのは覚えているのだけど、それ以上は何も」

織莉子「でも最近、ボーっとしていた時があった気がするの」


 じゃあ、その時が操られてた時なんだろう。

 操られてる間やその前後についても、丸ごと記憶を消されてるなら聞いても意味がない。



1なんとか思い出せない?
2心を強く持て、と言う
3この街の魔法少女について話す
4自由安価

 下2レス
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/23(木) 21:19:57.19 ID:/fY8uTCsO
1
追加でゆまの契約についても問い詰める
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/23(木) 21:42:31.91 ID:mIIelpSK0


とにかく一発殴らせろと言う。
そのあと怒りか逆に冷静になって織莉子が本当に覚えていないというのが演技ではないかと疑念を持つ。

あー、もうイラつく!
あんたは覚えてないみたいだけど、こっちはあんたに後ろからなんかされて胸に風穴開けられたのよ!
おかげで小糸も契約するはめになっちゃったし、とにかく一発殴らせなさい!
壊れたテレビも叩けば直るんだから、あんたの記憶もショックで思い出すかもしれないしあたしも溜飲下がって一石二鳥よ!

こいつ記憶がないっていうの本当なのかしら?
仮に洗脳されてる間は記憶がないっていうの、あまりに都合よすぎるのよね・・・
あたしに契約したこと黙ってたのも何か変よね?
490 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/23(木) 22:43:48.20 ID:dfLwgn6j0


小巻「一風見野のほうに行ってたことも知らないのよね?」

織莉子「ええ…… 風見野に?」

小巻「優木と一緒に行ってたらしいのよ。聞いた話ではね。なんとか思い出せない?」

織莉子「そう言われても…………」


 再び考え込む美国。


 自覚がないのは良いことなんだろうか。知り合いを殺させて罪悪感煽るとか、もし出来るなら優木がいかにも好きそうだし。

 ともかく、やってたことを責めるなら優木本人だ。罪はアイツに償ってもらう。


 もしくは。


マミ『浅古さん、どう思う?』

小巻『……どうって』

マミ『今の状態は素かしらね? それとも、今も操られていてこの話も演技だった……ということも考えられなくはないけど』


 マミからテレパシーが飛んでくる。……紅茶を淹れるのんきな姿は素に見えたけど。

 洗脳魔法について詳しくわからないから、どのくらいのことが出来るのか疑ったらキリがなかった。

 ぶん殴って解決するならそれでもいいけど、あたしにぶん殴られた魔女や使い魔が正気に戻らないんだから、結局優木をなんとかしなきゃ解けなさそうだ。


マミ『さっきの話が本当なら、行動を操るだけじゃなくて記憶も操作したりできるみたいね。今のところはそう考えておきましょう』


 すると、ずっと沈黙してた美国がやっと口を開いた。


織莉子「……やっぱり、わからないわ」

小巻「ここまで収穫なしかー。あとは優木が来るかどうか待つしかしかないわね。優木はいつから接触していたのかしら?」

マミ「確実なのは一昨日よね。それ以前は……」

小巻「そうだわ、その前からぼーっとしてた日があったんじゃなかったっけ? そのことは覚えてんの?」

491 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/23(木) 23:27:35.38 ID:dfLwgn6j0


織莉子「あぁ…… マミさんを心配させてしまった時のこと?」

マミ「そうそう、それから美国さんが魔法少女だってことを聞いて…… あの時はこうなるとは思ってなかったわね」

織莉子「そうね。小巻さんにも私から話そうと思っていたのに、こんな形で知られてしまうなんて思ってなかったわ」


 これは操られてのことではない、だろう。

 せっかく美国のことは他の魔法少女に知られてなかったのに、マミに明かされちゃったら悪いこと企むにはメリットがない。はず。


織莉子「紅茶のおかわり淹れてきましょうか? まだ居るんでしょう?」

マミ「あら、ありがとう。気を使わせてしまって。頼むわね」

小巻「もう、ホント気が抜けるわね! まあ美味しいからいいけどさ」



 ……こっちは気を張ってんのに。疑ってんのがバカバカしく思えてきた。まさかこれもアイツの作戦だったりしない?


 美国が席を外してるうちに携帯を確認する。

 すると、ちょうど画面に電話の着信が現れた。どうやら有事の最中らしく、ほぼ一方的に伝えたいことを喋っていった。


マミ「浅古さん、今のは?」

小巻「マミ、やったわよ! 小糸たちが優木を見つけて、途中で佐倉たちとも合流して追ってるって!」

マミ「本当に良い報せね。随分と逃げるのが得意なようだけど、こうなったらもう逃げ続けられないでしょう」


 優木は結界ごと逃げてるらしい。大まかな現在地はわかった。

 今までみすみす逃走を許してきたけど、二つの縄張りを敵に回したのは大きい。

 あとはまた他の街に移られる前に懲らしめてやらないと。


織莉子「私達はどうするの?」



1ここで待機
2家を出る

 下2レス
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/23(木) 23:30:23.71 ID:mIIelpSK0
ここは2かな?
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/23(木) 23:37:14.27 ID:/fY8uTCsO
2
494 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/24(金) 00:12:27.01 ID:4rBbK3G+0


 もし優木と会ったら美国も戦う気なんだろうか。

 洗脳の影響が残ってるのかもよくわからないから警戒してたってのに。


小巻「アンタも戦えるの?」

織莉子「私も魔法少女よ。こんな時に何もしないのは……」

小巻「足手まといになったりしない? それが心配なのよ!」

マミ「でも、私達が行くなら置いていくわけにはいかないわよね。私達は美国さんを守りに来たんだから」


 マミがあたしのほうを見る。どっちに決めてもいいってことだろう。

 向こうも仲間が揃ってるけど、今度は絶対に逃したくない。


小巻「あいにく、こんな時に紅茶飲んでゆっくりしてる場合じゃないって考えはあたしも同じ!」

マミ「ええ、じゃあ行きましょう」



 あたしたちも追うことに決める。美国の家を後にした。


495 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/24(金) 00:16:59.71 ID:4rBbK3G+0
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今回更新はここまで
次回は25日(土)18時くらいからの予定
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/24(金) 00:20:17.49 ID:EICCYKRK0
乙です。

次回は沙々戦ですね。
6人+織莉子が味方?なので魔女がわんさか出てきても何とかなる、のか??
沙々はなんで小巻の身体の処理をずさんにやったのか理由が気になりますね。
497 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/24(金) 00:43:18.08 ID:4rBbK3G+0
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単純な答えになりますが、沙々が身体の真実を知らないからですね
事件になることはどうでもいいと思ってるので適当に目につかなさそうなところに捨てました
別編でもキリカを倒したと思ったまま放置でしたし…あんなかんじです
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/25(土) 17:51:11.05 ID:dxam8/qR0
>>497

なるほど、そういう事でしたか。
沙々は死んだはずの小巻が現れたらどんな顔するのやら。
499 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/25(土) 19:01:40.29 ID:BYuvvzXY0
――――――
――――――



 その頃、優木沙々は冷や汗を浮かべていた。



沙々(…………――どうしてこうなった)



 自身の操る魔女の結界の中で。



沙々(織莉子が味方についてから状況はよくなった! 何が目的かは知らないけど、アイツの力は役に立ったし望んだことは全部うまくいった!)

沙々(あのブルジョアみてーな屋敷も隠れ家としては気に入ってた。……用済みになったら適当に奪っちまおうかなって思ってたくらいには)


 ただし、その時はこないだろうとも思っていた。

 魔法少女の味方なんて考えたこともなかったけど、織莉子はそのくらい、沙々にとっては都合が良かった。

 この先立ちはだかるものがなくなろうとも、傍に置いといて損はない存在――くらいには信頼してた。洗脳魔法があるから、というのも理由にはあるのだが。


沙々(そうだ。風見野にはもう『敵』はいなかったはずだったんだ)


 嫌われることはどうでもいい。

 『憎まれっ子世にはばかる』なんて言葉もあるくらいだ。誰に嫌われようと憎まれようとやりたいようにやったもん勝ちなんだ。

 どうせ手出しできないんだから――。


沙々(なのに、なぜ……)



 結界の最奥にある扉が強引に破られる音が響く。



杏子「観念しろっ、テメー! 逃げ続けられると思うなよ!」

ゆま「おいつめたよ!」


 自分と同類だと思っていた風見野の魔法少女。そして、手出し出来ないはずの。


キリカ「ついに会えたね?」

小糸「この人が優木沙々……!」



沙々(なぜ、こうなった――――!!)



――――――
500 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/25(土) 19:43:30.68 ID:BYuvvzXY0
――――――



マミ「……!?」


 示された場所へ向かう途中、マミがどこかハッとしたように足を止める。


小巻「何っ? どうかしたの?」

織莉子「……マミさん、具合でも?」

マミ「い、いえ…… 私は何も…………」


 そんなマミを二人で覗きこむ。

 すると、マミはその視線を振り切るように再び強く否定してみせた。


マミ「な、なんでもないのよ! そんなことより、ほら、今は急がないと……!」



 戸惑ったけれど、みんなはもう戦ってるかもしれない。

 急いだほうがいいのはそのとおりだ。



 ――――……あたしたちが着いた頃には、すでに優木は追い詰められた後だった。


 結界は消え、ヌンチャクのように分かれた槍の柄でぐるぐる巻きに捕らえられ、みんなから囲まれるようにして武器を突きつけられている。

 ここまでされては反撃の機会もないだろう。しかし、優木は予想外とでもいったような顔をしていた。


沙々「……な、なんのつもりですかね? これは。これから拷問でもするつもりなんですか?」

杏子「望むならそうしてやってもいいけど?」

沙々「そそんなことはひとことも! ……冗談ですよう冗談! 謝れば許してくれるなら謝りますって! ね? ホント悪かったですからぁ〜もう魔女育てたりしません〜」

501 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/25(土) 20:10:23.64 ID:BYuvvzXY0


 なんか調子のいいことをほざいてた。

 謝れば許す気があってみんながこうしているとでも思ったらしい。


小巻「今更そんなことよく言うわね! 許されると思ってるの!? 大勢の命をうばっておいて!」

小巻「それにね、あたしだってアンタに二度も大迷惑かけられて死にかけたんだから!」

小巻「ああそうね、あたしからも一発は殴んないと気がすまないわ! このままみんなに倒されたからめでたしじゃあたしの気がおさまらないわよ!」

沙々「きゃああぁっ」


 拘束されたままの優木にずかずかと近寄ると、とりあえず二発ぶん殴っといた。

 気の抜けるような媚びた悲鳴があがったが、まったく心は痛まなかった。


杏子「あたしは魔女のことはどうでもいいんだよ。どんだけ犠牲が出ようが知らないし、責めるつもりもない。小巻のこともあたしには関係ない」

沙々「じゃあどうして……?」

杏子「なんでゆまを契約させようとした。“織莉子”を使って」


 佐倉が詰め寄る。しかし優木はそれに言葉を返す前に、あたしの後ろにいる存在を見た。……美国のほうを。


沙々「あ、あ……!? 織莉子さん! 助けてください! こいつらを殺せええええええええええ!!!」

杏子「!?」


 全員が身構えた。やっぱり連れてくるのは間違いだったのかもしれない。

 美国のほうにも警戒が移る。しかし、美国が動くことはなかった。


織莉子「……残念、もう魔法は解けているみたいね」


 みんなの隣で、美国も優木に向けて手をかざした。

502 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/25(土) 20:41:50.64 ID:dxam8/qR0
うーむ、ここでみんなを油断させておいて裏切るのか?
それとも沙々を口封じするかな?
503 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/25(土) 21:08:05.01 ID:BYuvvzXY0


沙々「テッ……――メェェェェェ! よくも! よくも!!」

沙々「お前のせいなんだろ! 織莉子おおおぉぉ! お前がしくじったから……!!」


 優木は美国に向けて呪詛を吐き出す。


織莉子「何を言っているの……?」

小巻「相手にしちゃダメよ。駒を上手く操れなかった責任を押し付けようとしてんでしょ」

沙々「違う! 私は最初から織莉子に洗脳なんてしてない!」

小巻「この前と言ってることが違うわよ」

沙々「それも織莉子の作戦だったんだ! そうすれば浅古小巻を簡単に殺せるって!」

小巻「……」

沙々「契約……、誰か契約したんだな? 知らないヤツが増えてる。願いで生き返らせたんだろ? あの時は確実に心臓を破って殺してた」

沙々「結局作戦は失敗だった……織莉子は約立たずだ」


 言ってることが支離滅裂で呆れ返った。こいつ、どうしても全部美国のせいにでもしたいってこと?

 優木が卑劣なヤツだということはみんなよく知ってる。耳を貸す人はいなかった。


 それに、小糸はキュゥべえからあたしが『大怪我』を負ったことを聞いて契約したと言っていた。

 ……やっぱり支離滅裂だ。路地裏でキリカが発見した時のことも覚えてる。死んでる人間が一瞬でも目を覚ますはずがないんだから。


杏子「もうどっちでもいいから答えろ! なんでゆまを契約させた!?」

沙々「知るか! 知ってたとしてもお前にゃ教えねえよ!」

杏子「そうかよ。……じゃあ死ね」



 佐倉は問い詰めても答えを得られないと判断したのか、優木に深々と槍を突き刺した。

 ――――……こうして思っていたよりあっさりと、すっきりとしない後味を残しつつ、見滝原と風見野を騒がせていた事件は幕を閉じたのだった。

504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/25(土) 21:17:25.23 ID:dxam8/qR0
織莉子は洗脳されてたフリをして沙々を口風じか。
あ、これ小巻と一緒でSG壊してないから死んでない?まぁ、沙々本人が『死んだ』と思ってたらそのままなんだけど・・・
さっきマミが何か気づいたのは織莉子以外で魔法少女の真実を知ってるから、下手したらここで魔女化の事実が暴露されると考えたからかな?
505 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/25(土) 22:05:41.23 ID:BYuvvzXY0


 向けていた武器を下ろし、優木に目を向ける人、そらす人。

 まだ周りを囲んだままそれぞれの反応を返していた。


 あたしは覚悟してた。多分、みんなもそうだと思う。もはや優木は魔法少女以外には裁けない存在だったから。

 でも、契約したばっかりの小糸とかゆまとかにまで、いきなりこんな光景を見せたくはなかったとも思う。


マミ「……この後どうするの?」

小巻「このままにしといてあげましょうよ。死んだ後くらい、誰かに気づいてもらえたっていいんじゃないの」

キリカ「優木にやられた人は行方不明だったのに。恵まれてるね」

小巻「魔女にだって食べるものくらい選ぶ権利あるでしょ。コイツと同じことはしたくもない」

杏子「あたしはなんでもいい」


 佐倉は機嫌が悪そうだった。優木から聞きたいことを聞けなかったからだろう。

 それから、美国をほうを見た。


小糸「美国さんを疑ってるの……? さっきの話を聞いたから?」

杏子「いや。でもあたしは信じてもいないからな」

織莉子「……それは仕方ありませんわ。初対面ですもの」

ゆま「キョーコ……」


 佐倉はまだ美国のことを睨めつけている。

 対して、美国は……優木のことを睨んでいるかのように見えた。 睨む? いつも何言われてもふわふわと澄ましてる美国が?


小巻「はい、やめやめ! もう帰りましょ! こんなとこにずっといたら気分悪くなるわ!」

マミ「……ええ」

織莉子「……」


506 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/25(土) 22:20:12.43 ID:dxam8/qR0
この織莉子がいつも通り(?)の織莉子なら、沙々の事を使えなかった駒として怒りを感じてるのかな?
あと小巻もいい加減織莉子を疑ったほうが良いと思うぞ。
507 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/25(土) 22:49:34.14 ID:BYuvvzXY0
――――――
――――――



 ――――みんなが日常へと帰っていった、かのように見えた後のことだった。

 人目にもつかず、誰もいなくなったその場所に再び一人の影が訪れていた。



織莉子「わかっていたの。貴女も小さい時から私とお父様の周りにいた人たちとよく似てるって」


 濁った宝石がかかとで踏み潰される。

 小さな破片が床に散らばった。


織莉子「上辺だけの好意に、手のひらを返したような悪意」

織莉子「だからこそ私も『私』でいられた。上辺でも悪くはない付き合いだったわよ。でもね」


 破片の上にもう一度強く踏み降ろした。


織莉子「…………貴女のほうが役立たずよ、優木沙々」

織莉子「願いで生き返らせたと言ってたけれど……違う。魂を残さなければ『万が一』の事態は起きなかったのに」


 ジリ、と音を立てて破片が更に小さくなっていく。


織莉子「本気で私を駒にした気でいたの? 私が【“操らなければ”指示を出さなければ】何もできなかった駒のくせに」


 結局のところ、『洗脳の魔法』すらもただの道具でしかない。

 使い手が真に操る側とは限らない。



 織莉子が優木との『別れ』を済ませた頃、もう一つの影がここに向かっていた。



マミ(あの時『見た』と思っていたもの…… あれは違う。あんなことはなかった。でも、だったらどうして……)

マミ(あの後キュゥべえと話した記憶は嘘じゃない。あのことは本当だっていうの)


マミ(偽の記憶を植え付ける魔法。あれは優木さんの魔法だわ。でも、優木さんはソウルジェムのことを知らないようだった)

508 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/25(土) 23:06:46.92 ID:dxam8/qR0
ああ、やっぱり織莉子は織莉子だったか。
万が一が起きたことで織莉子の予知はあすみ編の時みたいにガバガバだよなぁ・・・

マミもおそらく織莉子が魔女化のことを話した時、洗脳されてなかったと気づいたっぽいね。
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/25(土) 23:14:04.32 ID:HJoCQMrGO
織莉子ってやっぱり馬鹿だよなぁ
万が一が起こりうるなら自分で最後までやりゃあいいのに他人が失敗したらそいつのせいとか小物すぎる
世界を救うためとかいいながら予知に振り回されてるピエロじゃん
510 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/25(土) 23:34:30.76 ID:BYuvvzXY0


マミ「美国……さん」

織莉子「あら、ごきげんよう」


 その場に現れたマミを、織莉子は物腰柔らかく迎え入れた。

 しかし、そんな上品な挨拶も優雅とは思えないほどにその背景は生々しい。足元に散らばった破片も相まって、マミは何かを確信する。


マミ「やっぱり、美国さんは知っていたのね」

織莉子「少し後始末をしようと思って。……『万が一』のことがあっては困るものね」

マミ「じゃあ、優木さんの言ってたことは…………」

織莉子「本当よ」

マミ「……そうだったのね」


 マミは衝撃を受けたものの、そう静かに答えていた。

 心の中で処理できないことが多すぎて、怒ることにも悲しむことにももう疲れてしまっていた。


マミ「じゃあ、美国さんは私に何を伝えたかったの?」

マミ「優木さんに『ソウルジェムが魂で、そこから魔女が生まれるのをこの目で見た』という偽の記憶を植え付けさせる……なんて遠回しな方法を取ってまで」

織莉子「そこまでわかっているのね。それなら話が早いわ」

マミ「……やっぱり何かあるのね?」

織莉子「私の目的について、聞いてほしいの。ソウルジェムの真実はそれを理解するために必要だった」

織莉子「当然、グリーフシードなんかじゃないわよ。真実を知った貴女にはその重要性もわかるでしょうけど、それは手段であって目的ではない」

織莉子「マミさん、私の力になるって言ってくれたわよね」



 織莉子が精神的に追い詰められていた時のこと。

 織莉子がマミを『協力者にしたい』と思い始めたのはその時からだった。



織莉子「今度こそ……―――― 貴女とはきっと、今以上にいい関係になれると思うの」




―24日目終了―



小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:0個

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]
511 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/25(土) 23:39:03.58 ID:BYuvvzXY0
----------------
今回更新はここまで
織莉子さんはまあ、ストレスが溜まってるんですよ…八つ当たり出来る相手もいないし繕わなきゃいけない場面が多くって

次回は26日(日)18時くらいからの予定
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/25(土) 23:45:04.61 ID:dxam8/qR0
乙です。

結局織莉子は自分の考えに賛同してくれるイエスマンが側に居てほしいだけなんですよね。
ストレスが溜まってるとはいえ視野狭窄におちいってるだけなんだよなぁ・・・
小巻もめんどくさい性格とはいえ、ちゃんと織莉子に手を差し伸べたのにその手を取らなかったわけで。
あすみがこき下ろすのもわかるよ、ほんと。
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/25(土) 23:53:10.24 ID:HJoCQMrGO

またマミは織莉子の駒になるのか
2人とも寂しがりやの癖に虚勢を張るからある意味似た者同士か?
514 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/26(日) 21:25:33.54 ID:q8Fp/QRZ0
――――――
25日目



「浅古さん、退院おめでとう!」

「小巻! 色々大変だったって聞いたよ! でもなんともなくてよかったー」


 教室に入るとクラスメイトから次々に声をかけられた。

 行方不明とか入院とか、そこそこ話題にもなってたようだ。


 歓迎も落ちついてHRがはじまるのを待っていると、昨日のことを思い出す。


 ずっとみんなで追っていて、あたしにとっても因縁の相手だった優木をついに倒せたこと。

 でも、それよりも――あの時解散する間際に見た美国の表情がどこか胸に引っかかっていた。



 昼休みになると、久しぶりに丸々自由な時間になる。

 最近はマミたちと集まったり、放課後も優木への対策として固まってパトロールするようになっていた。

 風見野の魔法少女――佐倉たちと団結出来てたのも優木のことがあったからだ。解決した今、これからどうするのか。



小巻(そういえば、暁美にも昨日のことは一応メールとしいたほうがいいのかしら……)


 携帯を取り出して少し悩んだ。返信は一度も返ってきたことはないし、あの件のことでは関わりもしなかった。

 興味がないってのは言ってたし、わざわざ手間を掛けてやる必要なんてあるんだろうかと思ってしまう。


小巻(いいわ、一度は話してたんだから解決したってことくらいは送ってやる。でも向こうがあんな態度ならこっちも一言だけで済ませるわよ!)



 結局、『優木のことは解決した』とそれだけの文章を送った。これに対してもどうせ何も返ってこないんだろう。

515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/26(日) 22:26:14.75 ID:mEFmsa7x0
久しぶりにクーほむの出番あるかな?
516 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/26(日) 22:52:14.24 ID:q8Fp/QRZ0


 ヤケクソ気味にメールを送ってから、これからのことを考える。

 もう固まってパトロールする必要はない。とはいってもやっぱり小糸のことは気になった。

 あたしが契約して、特に学校が離れてからは放課後に一緒に何かをすることってほとんどなくなってた。


 パトロールなんかでも、誘ってあげたらよろこぶだろうか。


 ……でも同時に、ふいに『変身したところが見たい!』なんて言ってた姿も浮かんできた。

 昨日はみんないたから仕方なかったけど、パトロールするにも魔法少女の衣装で一緒に戦うと思うとちょっと気が重くなる。


小巻(本当、なんであんな格好しなくちゃいけないのかしらね。あれさえなければ迷うことなんてないのに!)

小巻(みんなは今日はどうするのかしら?)



1マミに声をかけにいく
2キリカに声をかけにいく
3小糸をパトロールに誘う
4美国に予定を聞いてみる
5キュゥべえに佐倉たちのことを聞く
6自由安価

 下2レス
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/26(日) 23:01:41.60 ID:mEFmsa7x0
6
小糸をパトロールに誘う前に昨日一緒だったキリカにも一緒に行かないかと誘う。
あとキュウベェにも小糸の戦い方について助言が欲しいので付いてきてと呼ぶ。
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/26(日) 23:11:03.97 ID:WQ/TuOBfO

追加でマミも魔女狩りに誘う
あと合同訓練を再提案する
519 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/26(日) 23:40:47.57 ID:q8Fp/QRZ0


 ここ最近ずっと一緒に行動してた仲間だ。

 気になって、マミのところに声をかけにいってみる。


 今日のことを聞いてみると、マミは少し曖昧な口調で答えた。


マミ「私は今日は……」

小巻「何? 用事?」

マミ「そうね。少し」

小巻「わかった。もう変なヤツもいないんだし、都合が合う時でいいわ」


 マミの態度はどこかよそよそしく感じる。何か違和感があるような。


小巻「それってさ、なんか嫌な用事なわけ?」

マミ「どうして?」

小巻「なんとなくよ! しいていうなら、元気がなさそうに見えたから」

マミ「そういうわけじゃないわよ。心配かけたならごめんなさいね」


 昨日まではどうだっただろう?

 その様子は『大丈夫』と言い続ける美国とも被る気がした。

520 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/26(日) 23:55:32.61 ID:WQ/TuOBfO
昨日何を聞いたかわからんがマミはまだ動揺中か
521 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/27(月) 00:27:24.34 ID:ZOWYk2gV0



 教室に戻ってから、キリカにも声をかけてみる。



キリカ「私はとくに予定ないよ。パトロール……いく?」


 こっちはこっちで曖昧な答え方だった。


小巻「なによ、言っておいて乗り気じゃないわけ?」

キリカ「いや、なんかついに優木も倒したし気が抜けたっていうの?」

小巻「そんなこと言ってると魔女にやられるかもしれないわよ。まだまだ魔女は沸いて出るんだから燃え尽きてらんないわよ」

キリカ「それはそうだけどさあ……」


 キリカのは単にやる気の問題のようだった。

 そんな漠然とした目的じゃ納得しきれないっていうのか。


小巻「じゃあ、小糸のこと一緒に見てよ。今日は小糸も誘うから。昨日は一緒にいたでしょ?」

小巻「……あたしも家族としてはこれでも心配なの。あたしのために契約させることになって。今までは小糸に心配させてたけど、その気持ちも少しわかったっていうか」

キリカ「なりたてだし家族だもんね」

小巻「後輩もいるなら少しはやる気出たりしない?」

キリカ「まあ、少しかな。私も前よりは魔女と戦うの嫌じゃないしさ」


 ……悩んだけど、小糸も誘うことにした。

 渋る理由が衣装のせいってのもよく考えたらバカバカしい。なんか負けた気がする。



――――
――――
522 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/27(月) 00:34:14.61 ID:ZOWYk2gV0
------------------------
ここまで
次回更新は27日(月)20時くらいからの予定
523 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/27(月) 00:37:24.57 ID:Aa/CoeIX0
乙です。

うーん、マミさんはこのまま織莉子の言われるまま協力者になってしまうのか・・・
小巻は織莉子に疑念を持っても核心に至らないとそのまま信じたままみたいですね。
面倒見の良いツンデレってなかなか厄介だなぁ・・・
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/27(月) 23:27:04.43 ID:Aa/CoeIX0
今日はもう来ないかな?
525 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/27(月) 23:27:44.82 ID:ZOWYk2gV0
-------------
今日は時間がとれなかった…
次回は29日(水)20時くらいからの予定
526 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/29(水) 20:36:22.95 ID:Q6sH27gI0


 放課後、キリカと学校を出て街を歩き始めた。

 小糸が白女からこっちに来るまでにはもう少し時間がかかる。その間にも少し回れそうだ。


 パトロールの途中に、こんな話を聞いた。


キリカ「マミ、この前からなんかおかしいんだよね。たまに考え込んで上の空になってるっていうか」

小巻「この前から?」

キリカ「ちょうど小巻がいなくなったあたりだったかなぁ。朝うちの教室きた時、泣いてたんじゃないかって目してたし」


 この話は今日の違和感とも関係があるはず。

 あたしが倒れてた間に何かあったのか。ただ、それが『何か』はキリカにも想像がつかないようだった。


小巻「個人的なこと?」

キリカ「私にはわかんないよ」

小巻「聞き出すしかないわね。余計なお世話かもしれないけど、泣くほどって相当よ」


 さっそく明日やることの一つが決まった。


キリカ「……小巻は頼もしいね」

小巻「そう?」

キリカ「普通人と向き合おうとするのは勇気がいるから」

小巻「なによ、人を普通じゃないみたいに」

キリカ「えーっ。そういう意味で言ったんじゃないけど…… いや、うん、そうかもしれない」

小巻「は?」

キリカ「小巻見てると、やっぱ私とは違うなって思うとこあるから。私はそんなに強くなれないし」



 下1レスコンマ判定 1/3
0~20 使い魔
21~40 魔女
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/29(水) 21:09:37.29 ID:lGKTDBB+0
ほいさ!
528 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/29(水) 21:50:31.27 ID:Q6sH27gI0


小巻(強い、ね……)


 そう言われるのがあたしからすればよくわかんない。

 あたしはあたしのやりたいようにやってきた。ただそれだけだった。


小巻「魔女がいるわよ」

キリカ「魔力は足りてる? 優木に襲われてあんなことになって……」

小巻「そういえば……」


 指輪を具現する。今まで特に気にかけてなかった。

 てのひらの上の宝石は曇りひとつなく、綺麗なままだった。――あれ? でも戦ってたはずなのに。

 ポケットに入れてたグリーフシードはくすねられたみたいだけど。


小巻「戦う分はある、わね」

キリカ「綺麗だね」


 誰かが浄化してくれた?


小巻「よくわかんないけど、汚いよりはマシね。行きましょう」

529 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/29(水) 22:00:35.24 ID:Q6sH27gI0

―落書きの魔女結界



小巻「この結界は……」



 小さくてすばしっこくて、ちょこまかと動く使い魔。

 コイツは見覚えがあった。どちらかというと嫌なほうの意味でだ。


 その奥には、子供の落書きみたいな使い魔を生み出している魔女本体がいた。


小巻「もーっ、こいつらうっとうしいのよ!」

キリカ「でもその盾のおかげで助かってるよ」

小巻「とっとと魔女をシメて終わりにしたいわね」


 道中は飛んできた攻撃を弾いたりとか、サポート役になりがちだった。

 でも魔女との戦いなら、あたしの重い攻撃だって活かせるはず。



小巻 魔力[97/100]  状態:正常
GS:0個

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
キリカ 状態:正常

敵:魔女Albertine <-攻撃対象A
  使い魔Anja×7 <-攻撃対象B
 

1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3〜5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
6自由安価

 下2レス
530 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/29(水) 22:07:01.45 ID:lGKTDBB+0
使い魔をキリカにまかせて魔女に5+1
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/29(水) 22:08:26.65 ID:B9gNg2IgO
魔女に1
532 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/29(水) 22:38:49.95 ID:Q6sH27gI0


 というわけで、あたしは最初から魔女狙いだ。


小巻「アンタさえ倒せば、終わりよっ!」


 力強く斧を握り振りかぶる。――すると、魔女は楽しそうに笑いながら走り出しどこかへ隠れてしまった。

 使い魔だけじゃなくて魔女もこうなのか。


小巻「もー!!」

キリカ「ありゃ……まー落ち着いて。牛になるよ?」



*魔女はどこだ。
1片っ端から隠れられそうなものを壊す
2出てくるまで使い魔の一掃に加わる
3キリカにも魔女を狙うのに協力してもらう

 下2レス
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/29(水) 22:44:09.96 ID:B9gNg2IgO
1
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/29(水) 22:45:20.59 ID:lGKTDBB+0
3で。
535 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/29(水) 23:26:13.16 ID:Q6sH27gI0


 どこかの地面から使い魔が増える。

 隠れながらも魔女が描いていたようで、その姿が見つかると魔女は『バレちゃった』とばかりにまた走り出した。


小巻「そこか!」


 咄嗟に斧を構えて追うが、すぐに隠れてしまう。残るのは地面の亀裂だけ。

 向かってくる使い魔はキリカが切り捨てた。


小巻「アンタもちょっと協力してよ。出てくるタイミングはあるんだから……」

キリカ「……なるほど、そうだね」


 速度を遅くする魔法。鬼ごっこには役立つんじゃないか。

 それは正解だった。


 キリカが集中して魔法をかけ、その隙を狙ってあたしが攻撃する。


小巻「――勝ってやったわね! 魔女にもかくれんぼにも」

キリカ「魔法使ったから正々堂々かはわかんないけどね」

小巻「そんなことはいいのよ! 相手は魔女なんだから」


 力を合わせれば相性の悪そうな魔女も思ったより簡単に倒すことができた。



小巻 魔力[97/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]
536 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/29(水) 23:43:36.81 ID:Q6sH27gI0


 そろそろ待ち合わせの時間も近い。あたしたちは駅へと向かって歩いていた。


キリカ「駅前ついたらちょっとエネルギー補給していい?」

小巻「別にいいけど、アンタのそれは本当に補給なの? エネルギーすでに溢れてない?」

キリカ「なんでそういうこと言うんだ! もうシェアしてあげないぞ!」

小巻「はいはい、悪かったわよ。……まあ一戦したんだしあたしも少しくらい良いわよね」


 そんなこんなで、駅前で買い食い。

 前だったらこんなふうに適当な場所で食べるってなかっただけど……行儀悪いかしら。


小糸「お姉ちゃん!」


 待っていると、小糸があたしを見つけて駆け寄ってきた。


小糸「何か食べてる」

キリカ「小糸もエネルギー補給する?」

小巻「小糸は動く前でしょ。大丈夫?」

小糸「これから動くから!」



 ――腹ごしらえが終わると、いよいよ三人で歩き始めた。



 下1レスコンマ判定 2/3
0~20 使い魔
21~40 魔女
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/30(木) 00:19:44.24 ID:mbykjm/jO
538 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/30(木) 00:36:30.73 ID:9+t9TvZf0
---------------------
今回更新はここまで
次回は2日(土)20時くらいからの予定
539 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/02(土) 19:00:47.34 ID:sHYRF9G10


―委員長の魔女結界



小巻「うわああっ、なにこの結界! もうヤダ! もう本当ヤダ!」

キリカ「同感!」

小糸「こんな結界もあるんだ……!」


 小さい路地の隅から気づけば青空の中へ放り出される。

 結界に足を踏み入れた途端、眼前には不安定な糸の足場とそこを器用に渡り歩く使い魔たちが広がっていた。


キリカ「むやみに斧振り回して足場切っちゃわないでよ? 落ちたらどうなるかわかんないんだから!」

小巻「それはこっちのセリフよ」


 こんな結界ではあたしも重く重心の崩れやすい斧は安易に持てない。

 いつもと同じ戦い方はできない。魔女の姿を遠くに捉えつつ、どう責めるか思案する。


小巻「魔女はアレ……か」

小糸「その前に使い魔きてるっ!」



小巻 魔力[97/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
キリカ 状態:正常
小糸 状態:正常

敵:魔女Patricia
  使い魔Mathieu ×5
  使い魔teacher ×3



1逆に足場切れば使い魔も倒せる?
2攻撃は他に任せてサポートに集中
3一か八か遠距離から武器を投げる
4指示を出す(自由安価)

 下2レス
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/02(土) 20:34:39.57 ID:r9q6wVYr0
4
小糸に何が出来るか聞いてまずは使い魔から小糸を守る。
大丈夫そうなら2人にガードを頼んで3
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 20:57:44.41 ID:y91JJv7AO

追加で戦いのあと小糸の能力について本人から詳しく聞いて戦いかたを考える
もしきゅうべぇがいたらきゅうべぇにも感想を聞く
542 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/02(土) 21:41:17.21 ID:sHYRF9G10


小巻「小糸、戦える?」

小糸「迫ってくる使い魔だけなら……!」

小巻「わかった、あたしもサポートはするから無理はすんな!」


 戦いづらいが、協力すれば防戦だけならなんとかなる。

 とはいえ追い詰められたままの状況は勘弁だ。


小巻「……どうにかこっから攻撃を届かせられないかしら」

キリカ「え? どうやって?」

小巻「そりゃもちろん、投げるのよ。外したらどっか変なとこが切れるかもしれないけど……そん時はそん時よっ!」

キリカ「ええええっ」



 武器を手にして足元を踏ん張ろうとすると、さらに足場がたわんだ。

 地面にいる時と違ってうまく力が入らず、狙いがつけづらい。


小巻「ええい、ままよッ!」



 下1レスコンマ1桁
0or1 成功
543 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/02(土) 21:47:38.85 ID:ZInXQHwt0
あたれ
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/02(土) 21:53:54.97 ID:r9q6wVYr0
さすがに5/1はキツいか・・・
545 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/02(土) 22:48:54.99 ID:sHYRF9G10


 投げた斧は魔女の近くに張られた足場までを使い魔ごとぶち破りながら飛んでいった。

 それと同時に、こっちも足元にぐらつきが伝わる。しかし魔女は蜘蛛のような腕を器用に動かし、まだ足場の上を渡っていた。


小糸「うわわっ」

小巻「くっ、ダメか!」

キリカ「もーどーすんのー!」


 今ので魔女に近づくための足場をいくつか失った。

 まともに伝っていくのがますます難しくなった……かも。


キリカ「普段勉強教えてもらってるんだけどなぁ。クラスの優等生とは思えない脳筋っぷりだよ」

小巻「じゃあ他に考えがあるわけ?」

キリカ「ないけど……」

小巻「下がどうなってるかなんて知らないけど、あたしのバリアがあるんだから、最悪落ちて地面に激突したって怪我はさせないわよ」

小巻「その時には魔女も引きずり落としてやるし」

小糸「ちょっ、本当にこの下に落ちるの? 魔女と一緒に?」

小巻「最終手段よ! この下がどうなってるかはわからないんだから!」



1逆に足場切れば使い魔も倒せる?
2攻撃は他に任せてサポートに集中
3届くまで投げてやる!
4指示を出す(自由安価)

※このスレにおける小糸の設定はあとで安価で決めますが、
使える魔法が回復なのでこの戦況に大きく優位に立てる力は持ち合わせてません

 下2レス
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/03(日) 00:25:14.48 ID:Rjqbyoah0
2+3
斧投げでサポートしながらキリカに前へ出てもらう
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/03(日) 05:52:26.60 ID:+q67oc3YO
1
548 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/05(火) 23:22:11.24 ID:EbvabYZl0
---------------------------
今週は忙しいので更新はお休みさせてください。
日曜は夜なら顔出せるかも。
549 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/16(土) 21:51:18.62 ID:nWDpmfLl0


 ……ただでさえ武器が扱いづらいのにここからってのは無謀だ。

 ひとまずは限られた足場を渡ってなんとか近づいていくしかない。最終手段とは言ったけど、できるだけ心臓に悪いことはしたくないし。


 しかし、青空の結界に残っているのはあたしたちを囲むかのように張り巡らされた足場ばかり。

 考えてるうちにも、糸の上をスケートを滑るようにして自由に走る使い魔たちが迫ってきていた。


小糸「わあああっ、また来てるよ」

キリカ「ちょっと伏せて!」


 キリカが袖から魔力の刃を出して軽く腕を振るうと、手元を離れて飛んでいき、使い魔のいる糸を切り落とした。

 あたしの武器は手斧のような投げやすい形状のものとは違う。そういう使い方ならキリカのほうが向いてるんだろう。


小糸「あ、こうやって敵の足場も落としていけば……!」

小巻「あたしたちが使える足場も限られるけど、魔女や使い魔の移動手段も限られるわね」


 周りを囲む糸を落とし、手分けして使い魔を倒しながら進んでいく。

 そうして少しずつ近づくと魔女は新しく足場の糸を吐いた。けど、それもその傍から落としてやった。

 魔女へとつながる糸はもう一本のみとなった。


キリカ「今だよ!」

小糸「はい!」


 小糸が魔女に向かって飛びつく。

 ……この戦いではあたしもサポートしてたけど、結局二人がよく頑張ってた。

550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/16(土) 22:13:23.76 ID:ckw3UxDH0
お、ほぼ2週間ぶりの更新来た!
お待ちしておりました!
551 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/16(土) 23:04:06.47 ID:nWDpmfLl0


 「わあああああああああっ!!」


 感心したのも束の間。絶叫マシンにでも乗った時みたいな声が響く。

 魔女が消えれば今度はなにもない場所へと投げ出されたわけだ。底の見えない場所に落ちるよりはマシか。

 すかさずバリアで包み込んだ。


小巻「言ったでしょ? 落ちても激突はさせないって」

小糸「倒したあとも気が抜けないんだね……」

キリカ「お疲れさま。ちょっと休む?」

小巻「それアンタが休みたいだけでしょ?」

キリカ「まあね。あんな変な結界いたら疲れるって」

小糸「私も疲れたなぁ」

小巻「あたしは休むよりとっとと終わらせたいけど……ちょっとだけね」


 近くの公園で少しだけ休んでからパトロールを再開した。


小巻(てかまた食べてるし……)


 キリカの鞄にはいつでもお菓子が入ってるらしい。



小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]



 下1レスコンマ判定 3/3
0~20 使い魔
21~40 魔女
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/16(土) 23:09:43.07 ID:ckw3UxDH0
ほいさ!
553 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/17(日) 00:01:55.22 ID:HOvXbFWi0


小巻「――――とりゃっ!」


 魔力を感じて立ち寄った駐車場の片隅、回転するマネキンのようなものを薙ぎ払う。

 ちらつくように中途半端に侵食する結界は使い魔のものだ。


小糸「これでおしまい?」

キリカ「もういないみたいだよ」

小巻「じゃあこれくらいにしときますか」



 逃げることも立ち向かうこともしなかったそれを三人で壊し尽くすと、元来た表通りに戻っていった。

 パトロールを終えてからも帰りはまだ少し一緒だ。

 帰り道を歩く途中、小糸がキリカに問いかける。



小糸「ところで、お姉ちゃんって優等生なんですか? さっき、空中の結界の時に言ってた……!」


 まるで信じられないみたいな顔だった。


キリカ「それはもう、転入初日から小巻は優等生で通ってるよ。何の教科やらせても完璧にこなすし」

小糸「ええぇー」

小巻「何よその反応は」

小糸「だってお姉ちゃんって見ての通り脳筋でしょ? そんなキャラじゃないし、今まで一度もそんな話聞いたことない……」

小巻「失礼な。まあでも、小糸が聞いたことないのは当然でしょうね。白女じゃたいして優れてたわけでもなかったから」

小巻「優等生といえば……白女だと美国がまさにそのイメージだったわ。何やらせても完璧にこなして、誰からも一目置かれて。ムカつくわよね!」

小糸「だからなんでそうなるのっ!?」


 別に僻んでるわけじゃない。ただ、何かが気に入らない。

 どんな時にもあの涼しい顔を崩さず、優等生で、絵に書いたような完璧であり続ける。そんな姿が。

554 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/17(日) 00:29:49.59 ID:HOvXbFWi0


 けど同時に、昨日見た美国の表情も脳裏に浮かんだ。怒ってた、ような気がした。何にかはわからない。


小巻「……今は周りの評価は変わってしまったけれど、それで美国のなにかが下がるわけじゃないわ」

小巻「今でもあいつには敵わないのよ。別にあたしは競う気もないけど」

小糸「競ったところでお姉ちゃんじゃ勝てないでしょ……」

小巻「一言余計よっ」

小糸「あいたっ」


 げんこつを落とすと、小糸はマンガじみた大げさなリアクションをとる。

 キリカは不思議そうな顔をしていた。


キリカ「……そうなんだ」

小巻「ようするに『優等生』なんて相対評価なのよ! アンタは幼稚園児の中に混じって一番になって嬉しいの!?」

キリカ「え、それ私たち幼稚園児扱い?」

小巻「あーもう、なんでこんなとこでまで美国の話してんだ! この話はおしまいよ!」

キリカ「話し始めたのはそっちじゃん。ふーん、あの人ってそんなにすごいんだね」


 そんな雑談を交わしながら三人で歩いていたが、キリカは急に何かが足を止めた。


キリカ「……あれ、転校初日? 初日って私、小巻となんか話したっけ?」

小巻「何、どうしたわけ?」

キリカ「いや、なんでもない」

小巻「……?」


 何を気にしたというんだろう。

 ――――そうしているうちに岐路が見えて、キリカとは別れる。小糸と二人の帰り道になった。


 そう思ったのだが、すぐにもう一人、いや、『もう一匹』の声がした。


QB「今日は仲間と一緒だったけど、小糸もよく戦えていたね」

小巻「キュゥべえ、着いてきてたの?」

QB「戦いを見させてもらっていたよ。僕のアドバイスなんていらなかったみたいだけど」

小糸「そうだったかな」

555 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/17(日) 00:45:46.97 ID:HOvXbFWi0
---------------------------
ここまで
次回は17日(日)20時くらいからの予定、多分安価からはじまります
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 14:35:48.36 ID:K7uUsKfTO
あ、復活してる
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 17:47:19.18 ID:w1QRIpnR0
なんかキリカが不穏なフラグ立ててるような……
558 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/17(日) 20:38:59.93 ID:HOvXbFWi0


小巻「ラクショーだったとは言わないけど、できるだけ自分たちのことは自分たちでなんとかするわよ」

小巻「……けどまあ、自分の力について小糸も気づいてないことがあるなら聞かせてあげてほしいわね」

QB「小糸の願いから考えれば、癒やしの魔法の効果は人一倍に発揮できるはずだよ。ゆまとも同系統だね」

小巻「ゆま……か。なるほどね」


 佐倉と一緒にいた女の子。

 たしか、『キョーコを助けた』とか言ってたっけ。



・小糸の魔法少女としての武器/ギミックみたいなものとか

 下4レス中多数決
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/17(日) 21:24:22.86 ID:n8ETmE8c0
ヴァイオリンのような弦楽器を模した攻守一体の武装。
渦巻きやベグの部位を引き抜くと、弓のような形の片刃の剣が現れ残りの部分はそのまま盾となる。
盾のまま突撃したり不意打ちにも使える、引き抜くのと逆の方(チェロで言うとエンドピンのある方)からパイルバンカーのごとく杭も出せる。
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 21:35:03.18 ID:Pm/OxGEzO
本当は銃とか弓みたいなのが良かったけど委員長の魔女戦でそういう描写なかったから安価↑
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 23:16:05.14 ID:Pm/OxGEzO
なんか安価来ないからもう一度↑↑
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 00:50:50.11 ID:GNANNwJHO
559で
563 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/22(金) 23:04:29.15 ID:GLHlngAW0


QB「とはいっても、小糸ならではの戦い方は武器の応用でいくらでも編み出せるだろう。思いついたことは色々試してみるといいよ」

小糸「うん……頑張ってみる!」

小巻「あれバイオリンでしょ? なんか使いづらそうだなって思ってたけど。憧れでもあったの?」

小糸「ま、まあ、少しね?」


 小糸はちょっと照れくさそうに言った。

 習い事は小さい頃から色々やってたけど、音楽にそんな思い入れがあったなんて知らなかった。


小巻「そっかそっか。いいんじゃない? 悪くないと思うわよ。将来は音楽家でも目指す?」

小糸「さすがにそこまで考えてないよ。もーいいでしょ? その話は」


 契約してなかった時は他人事のように言ってたけど、今はあたしの気持ちも少しはわかっただろうか。

 あの恥ずかしい衣装も武器も内面から出たものって言うんだから、自分を見透かされるような恥ずかしさがある。


小巻「とにかく、契約しちゃったものはしょうがないものね。これからはあたしもついてられるときは一緒に戦うわよ」


 不安はあるけど、やることは今までと変わらない。小糸のこともあたしが守る。……前は助けられたけど、今度こそ。

 こうして同じ目線でものが見えるようになったのは悪くない気分だった。


 その後も会話を交わしながら小糸との帰り道を歩いていった。



―25日目終了―


小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]
564 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/23(土) 00:05:49.09 ID:VdH6uQW10
――――――
――――――
美国邸



マミ「――――なるほどね。でも、暁美さんは学校でも厳重に見守ってるわ」

マミ「強力な魔法を持っているんでしょう? 不用意に近付こうものなら警戒されるし、それこそ殺されかねない勢いよ」

織莉子「標的に近づけないなら、守護者の魔法のことだけでも探れないかしら」

マミ「……」



――――


――――――
――――――
26日目



 登校して教室に向かおうとする途中、階段の途中で立ち尽くしているマミの姿が見えた。


小巻「おはよう、マミ。どうしたの? 遅刻するわよ」

マミ「……え、ええ。そうね」


 マミの態度はやっぱりおかしい。キリカにも同じことを思われてたんだから、相当に重症だ。

 今日はマミと話し合おうと思っていたしいい機会だ。


小巻「ねえ、最近なんかあったんでしょ? その前にさ、何に悩んでるのか聞かせてよ」

マミ「別になんでもないわよ。話し込んでたら遅刻してしまうわ。行きましょう」

小巻「時間がかかるなら後でもいいから。なんでもないって態度じゃないでしょ」

マミ「……本当になにもないわよ」

小巻「もう、くどい! いいから話しなさいよ! 話したら楽になるって言うでしょ!」


 逃げ腰なマミにイラッときて、人前だが大声を出した。すれ違う生徒の視線がこっちを向く。


マミ「ちょ、ちょっと、浅古さん」

小巻「キリカも気づいてあたしに話してたのよ。ぜんっぜん何もなかったようには見えてないから!」

マミ「……ごめんなさい。私にだって言いたくないことくらいあるの」


 それでもマミはあたしを拒んで逃げていった。

 ――――逃げるようにして、階段を早足で駆けていった。

565 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/23(土) 19:31:25.16 ID:VdH6uQW10


小巻(なんなのよまったく……)


 マミは意地でも話したくないようだった。

 ああなったのはあたしが怪我で倒れてた時かららしいけど、その間に何があったっていうの?

 ハッキリしないことがあるともやもやする。こうなればこっちも意地を張ってやろうか。


小巻(とはいっても、それなりに込み入った話になるなら朝はあんまり時間がないわね)


 放課後じゃまた逃げられるかもしれないから、昼になったらまた声をかけに行ってみよう。

 教室に行けばいつものようにクラスメイトが出迎えて、授業を受けて、午前が過ぎていく。



 それから、決めてた通り休み時間になると早速マミのクラスに直行した。



マミ「……浅古さん」


 マミはあたしを見るとぎょっとしたような顔をする。会いたくなかったみたいな態度。


小巻「マミ、ちょっと来てよ。いつもの場所で話しましょう」

マミ「朝のことなら本当に気にしないでいいから。それとも……他のこと?」


 適当に嘘でもつけば乗ってくれるのかもしれない。

 でも、小細工なんて性に合わない。変にごまかすようなことはしたくない。


小巻「ええ、朝のことよ」

マミ「……話したくないって言ったでしょう。どうしてわかってくれないの?」



 マミとの間には今までになかったようなギクシャクとした空気が漂っている。



1あたしたち友達よね?
2仲間として心配なのよ
3自由安価

 下2レス
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/23(土) 21:48:47.79 ID:iM2ikcIR0
2+3
マミの態度に怒りと苛立ちを持つが逆に冷静な口調になる。
最後にマミの態度が織莉子の態度と重なりカマをかける様な事を言う。

話したくない?
ならもう良いわ、仲間なのに話さないというならこっちも考えがあるから。

今のあんた、美国みたいね。会わせるんじゃなかったわ。
せいぜいそうやって自分を取り繕っていなさいよ。
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/23(土) 22:18:23.42 ID:Ne03xlF6O

追加で昼休みにほむらに会いに行く。
マミが変になったけど何か心辺りある?

568 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/24(日) 00:06:25.92 ID:hJia5anP0


小巻「仲間として心配なのよ。同じ街のね。マミだって立場とか大事にしてるんでしょ」

マミ「そう…… 縄張りのことね」

小巻「プライベートな悩みだとしても、そんな状態でもし何かあったらこっちだって関係大アリよ! だからほっとけないし、話を聞いてやろうって言ってるの!」

小巻「ねえ、あたしの言ってることなんか間違ってる? 間違ってるっていうなら教えてくれない?」


 相変わらずマミの態度には苛立ってる。けど、朝とは違って少しだけ冷静な口調で詰め寄った。

 今度こそ逃げるなんて許さないっていうように。

 こんな風に思うのはマミが嫌いだからってわけじゃない。そんなことくらいは、マミだってわかってくれてると思ってた。


マミ「浅古さんは間違ってはいないわよ」

マミ「だから嫌になるの。そうやって正しさを盾にして押し付けられると」

マミ「私が間違ってるって言いたいの? あなたは何も知らないくせに……!」


 でもマミから返ってきた言葉は、予想もしてなかったことだった。


小巻「は……? だ、だから何をよ!」

マミ「浅古さんは正しいけど、みんながそんなに強いわけじゃない」


 マミは少しの間、どこか言いづらそうに視線をそらして落とした。

 まるでここじゃない、今じゃないどこかを見つめたように。


マミ「……戦いのことならあなたに心配してもらうようなことじゃないわよ。たとえ万全じゃないとしても、あなたより慣れてるもの。悪いけど今はほっといて」

小巻「そ…… そう! どうしても話したくないってんなら、こっちも考えがあるから!」

小巻「今のアンタ、美国みたいね。マミまでそんなんじゃ、アイツもどう思うのかしら。会わせるんじゃなかったかもね」

マミ「……あなたは随分美国さんのこと信頼してるのね」

小巻「はあ? そんなんじゃないから!」


 結局喧嘩腰に吐き捨てて、自分の教室へと戻っていった。

 周りはざわめいてた。何か揉めてたってのは気にされてるみたい。

569 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/24(日) 00:35:40.91 ID:hJia5anP0


*「なんかあったの? 巴さんとなんか言い合ってたって聞いたよ?」

小巻「……少しね。わかんないわよ。あたしだって何があったか知らないもの」

*「??」


 様子を見てた生徒が駆け寄ってくる。こっちはこっちで、あたしも心配されてるってことなんだろう。

 ……けど、どうしてだろう。こうして詰め寄られる側になるといい気はしなかった。マミに言われたことは理解できないし受け止めきれてもいない。

 わかることといったら、あたしはこのくらいのことしか言えないし。


キリカ「いったいどうしたのさ? 過去最高の不機嫌記録更新してるよ?」

小巻「マミに何かあったのかって聞いてきた」

キリカ「聞けたの?」

小巻「いーえ。何が何でも言いたくないってさ」


 マミのことは、キリカもあたしも知らないところで何か起きたんだろう。

 マミには家族はいない。あとあたしの当たれる範囲でいくと、ダメ元ではあるけど一人が頭に浮かんで立ち上がった。なにより今はじっとしてたくない気分だった。


小巻「二年のほうにも聞きに行ってくる」

キリカ「え、それってあの暁美とかいう?」


 久しぶりに直接会いに行く。

 教室の外から目が合うと、暁美は変わらずの剣幕で鋭い視線を向けてきた。


ほむら「用件があるならメールでと言ったでしょう」

小巻「……アンタはマミに何があったかって、知らないのよね?」

ほむら「巴マミのこと? 私の知ったことじゃないわ。関わってもいない」

小巻「あっそう!」


 こいつと話すのはやっぱりイライラしてくる。相手も同じ気持ちみたいだし、今のところ長いこと話してても良いことはなさそうだ。

 ……そうしているうちにチャイムが鳴って、もう一度自分の教室へと戻っていった。

570 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/24(日) 00:38:44.16 ID:hJia5anP0
-----------------
ここまで
次回は24日(日)18時くらいからの予定
571 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/24(日) 19:58:03.46 ID:hJia5anP0



 午後の授業もこなせば学校での一日も終わり。放課後だ。

 マミとは拗れたままだし、こっちまで暗い気持ちになる。


小巻(元はと言えばマミの相談に乗ろうとしてたのに、どうしてあたしまでこんなこと考えてるのよ……)

小巻(いや。今日はまだプライベートのこともやらなきゃいけないことがあるんだから!)


 鞄の中身を整理して、嫌な気持ちを振り切るように立ち上がった。

 このあとは習い事だ。それに明日からは休日。

 せっかく優木のことも気にしなくてよくなったんだし、この土日は小糸とパトロールもかねて外出しに行こう。


 これからの予定に思考を巡らせる。

 美国のことも頭に浮かんだ。アイツもいつから契約してたのかは知らないけど、抱えてる問題はそのままだし、状態はいいとは言えない。

 アイツは一体、何のために願ったんだ。契約すれば何でも叶うってのにあんな状況で。


小巻(……アイツにも、声をかけてみようかしら)


 美国には後で連絡を入れよう。学校を出て、校舎から離れて目的地に歩いていく。


 ――でも、マミのことは本当にこのままにしといてもいいの?

 このままじゃ、仲間としても友達としても離れていってしまうかもしれない。



―26日目終了―


小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]
572 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/24(日) 23:06:02.49 ID:hJia5anP0
――――――
27日目



小糸「あっ、この映画もう公開してたんだ。今度見にいこうよ!」

小巻「そうね。今度はパトロールじゃなくてまた遊びに行ってもいいかもね」


 昼過ぎになって家を出て、まずは二人だけの道中。小糸は街に大きく貼られたポスターを見て言った。

 魔女が出てないときはただの散歩と変わらない。とくにずっと一緒にいた家族だからだろうか。

 今は魔法少女としての義務感よりも妹と出かけてるって感覚のが大きかった。


小糸「今日は美国さんも一緒なんでしょ? ついに仲直りしたの?」

小巻「仲直りもなにもアイツとは一度もケンカなんかしてないわよ。ケンカ売ったって勝ってもくれない腰抜けなんだから」

小糸「それって腰抜けじゃなくて、『大人』って言うんじゃない?」

小巻「何が『大人』よ! 痩せ我慢のことでしょ? そんな言葉だいっきらいだわ!」


 そう言って、昨日のマミとのことを思い出す。……マミとのことは、あれこそケンカだ。

 待ち合わせの場所につくと、美国はひと足早くそこに来て待っていた。


織莉子「ごきげんよう」

小巻「……ごきげんよー。なんだ、もう来てたの」

織莉子「ええ」


 白女にいる時にも飽きるほど聞いたお上品な挨拶を真似してみる。

 美国は気に留めた様子もなくいつもの調子だ。


小巻「さっそく行きましょ! グズグズしてたら置いてくからね」

小糸「もう、誘っておいてその態度はないでしょー? 美国さん、今日はよろしくおねがいしますねっ。私も契約したてなので心強いですっ!」



 下1レスコンマ判定 1/2
0~20 使い魔
21~40 魔女
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/24(日) 23:18:20.90 ID:4lLG/BiO0
ほい!
574 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/24(日) 23:41:51.75 ID:hJia5anP0


小巻「小糸はそりゃ契約したてだけど、そもそもアンタはどのくらいなのよ? 頼りにできるほど強いわけ?」


 美国を誘ったのは、パトロールが目的っていうよりも色々と話しておきたいことがあるからだった。

 どんな戦い方をするのかも、どれだけ強いのかも、魔法少女としてことはあたしはほとんど知らない。


織莉子「私もあまり長くはないわよ。小巻さんから聞くよりも少し前だったから……」

小巻「ふーん、あたしの忠告はちょっとだけ遅かったのか」

織莉子「ま、まあ、そう言うこともできるかしら……?」

小巻「ってことは、あの事件があった後なのね」


 そう言うと、美国は言いづらそうに黙ってしまった。それを見た小糸が慌て出す。

 心が不安定な方が付け入られやすいのは、魔女や使い魔だけじゃなくきっと契約を迫られる時も一緒。そのほうが願いがあるってことだから。

 でもそれを知ると、ますます美国が何を叶えたのか疑問だった。


小糸「もう、お姉ちゃんったらデリカシーなさすぎるよ……! なんか本当ごめんなさい!」

織莉子「いいの。でも、せっかくのご忠告なのだけど、私は契約して後悔はしてないわ。貴女たちも、そうなのでしょう?」

小巻「……まあ、あたしはそうね」

小糸「あ、はい。私も……」



 歩き始めて、どんどんと街の中心からは離れていく。

 休日で賑わう人混みから遠ざかり、周囲の空気が静かになるのを感じた。



 下1レスコンマ判定 2/2
0~20 使い魔
21~40 魔女
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/24(日) 23:47:27.84 ID:4lLG/BiO0
今度こそ!
576 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/25(月) 00:08:37.67 ID:xbqX96XQ0


小巻「魔力の反応、ないわね……」

小糸「この前はわりとすぐに見つけられたけど、なかなか会えない時もあるんだね」


 魔女にも使い魔にも会えないまま足を進める。

 小糸の言うとおり、狙った場所に魔女がいるかは運頼みだ。もう結構歩いた気がしていた。


「あっ、おねえちゃんたち!」


 人気がないと思っていた景色の中、あたしたちに声がかけられる。聞き覚えのある女の子の声だ。


小巻「アンタはたしか、ゆま。 ……と、佐倉」

ゆま「こんにちは!」

小糸「こんにちは」


 ゆまは可愛げがあるが、ゆまの隣にはもれなく嫌なものまでついてる。

 絶対小さい子の教育にはよくないヤツだけど、少しは絆されて改心してたりするのだろうか?


小巻「そういえばこのあたりはもう街外れね。一旦引き返すかー。言っとくけど、別に縄張り越えようとか思ったわけじゃないから」

杏子「……あっそ。それならいいけど」

ゆま「ねえ、ゆまたちはもう見滝原にはいかないの?」

杏子「行く必要がないだろ。優木ももうぶっ倒したんだし……あっちにはムカつくもんしかない」

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