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研究員「安価でデジモンを進化させる」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 08:44:40.77 ID:3k7rsqzTo
我々のいる世界は、素粒子というエネルギーの塊を最小単位とした、アナログ情報の世界といえる。

だが、もうひとつの世界…「デジタル世界」が存在する可能性が示唆された。
我々は研究によって、人類の築き上げたコンピュータネットワーク上の情報が反映される、「デジタルワールド」を発見し、観測に成功した。

私はこの世界の海の底で、タマゴらしき物体を発見した。

どういうわけか、我々の世界に蔓延しているコンピュータウイルスの一部がデジタルワールドへ逃走し、そこでタマゴへと変質したようだ。

…タマゴは今、海底の熱水噴出孔近くにある。
煮えたぎる硫化水素と共に、アミノ酸が吹き出ている、生と死が隣り合わせの過酷な環境だ。

さて、このタマゴをどうするべきか…?↓
@放置して観察する
A穏やかな環境へ移動させる

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1639266280
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/12(日) 09:11:43.56 ID:n6t+aaCP0
A穏やかな環境へ移動させる
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 09:44:38.03 ID:Z7xH1WndO
このまま放置してみるのもよいが…
どうやら、タマゴはこの熱水噴出孔周辺に多数存在しているようだ。

私はそのうちの一つを、穏やかな環境へ移動させることにした。

この物体は、本当にタマゴなのだろうか?
だとすれば、その性質を解き明かすために、異なる環境に置いて観察することは科学的なアプローチとして間違ってはいないはずだ。

やがて、タマゴにヒビが入り…
中から何かが出てきた。

https://i.imgur.com/CXDeTwM.jpg
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 10:03:59.95 ID:Z7xH1WndO
このクラゲのようなオブジェクトは、海中をふわふわと漂い始めた。

そして海中で何か小さなものを食べている。

どうやら餌は、タマゴと同じくコンピュータウイルスを起源にしつつも、タマゴにはならず、シアノバクテリアに似た光合成プランクトンの姿へと形を変えた存在のようだ。

これは生命なのだろうか…?

しばらく観察していると、突如クラゲは変態した。

https://i.imgur.com/NI9tvFJ.jpg

目が大きくなり、触手のようなものが生えた。

これはクラゲと呼んでよいのだろうか…?
クラゲには眼球などないはずだ。

この生物は、さらに活発に植物プランクトンを摂取し始めた。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 10:11:46.40 ID:Z7xH1WndO
海底に目をやると、二本足をもつ石のような生物が海底を歩いている。

https://i.imgur.com/yvBaZSi.jpg

どうやら、熱水噴出孔付近で孵化したタマゴから産まれた個体も、孵化・変態したようだ。

我々が観察しているクラゲ型生物も、あのまま熱水噴出孔付近にいたら、あの姿になっていたのだろうか…。

さて。
我々は仮称として、クラゲ型生物にプヨヨモンと名付けた。

プヨヨモンは海中を漂っているが…
この辺りの環境は、どんな状態であろうか。↓
@小型プランクトンが海中に多く漂っている
A岩場にたくさんの海藻が生えている
B獰猛な捕食者が暴れている
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/12(日) 10:13:43.03 ID:dv0K6gvPO
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 10:22:53.96 ID:Z7xH1WndO
周囲を観察すると、プランクトンに似た生物が多く漂っていたが…
そのうちの数匹は、突如としてやってきた捕食者に飲み込まれてしまった。

https://i.imgur.com/Ih3rbOG.jpg

捕食者は、魚のような姿をしている。
この種をスイムモンと呼称しよう。

このままでは、プヨヨモンのいずれスイムモンに捕食されてしまう…。

だがプヨヨモンは、小さな体を活かして岩の隙間へ隠れた。

スイムモンはプヨヨモンを追跡したが、岩の隙間が狭くて通れないようだ。
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 10:26:21.33 ID:Z7xH1WndO
だがスイムモンは、ヒレで岩をどかし、口から水流を噴射してそれを砕いた。

驚くべき攻撃性能である。
同じ隠れ方をしてきたプランクトンを、この手段で捕食してきたのだろうか…。

プヨヨモンが隠れた岩はどかされてしまった。
もはや逃げ場はないだろう。

だが、岩場の影にいたのは…
既にプヨヨモンではなかった。

プヨヨモンは、捕食者のいる環境に適応し、変態したのであった。

https://i.imgur.com/VdL4I2n.jpg
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 10:31:10.93 ID:Z7xH1WndO
二枚貝のような姿へと変態したプヨヨモンを、我々はシャコモンと名付けた。

スイムモンは、シャコモンをヒレで攻撃しようとしたが…
シャコモンはその攻撃を硬い殻で防御した。

スイムモンは、ヒレや水流でシャコモンの殻を滅多打ちにしている。
若干、シャコモンの殻に傷が付き始めた。

スイムモンは、疲労し始めたのだろうか…
シャコモンを捕食するのを諦め、背を向けた。

その隙を狙ったシャコモンは、高速で真珠を放った。

真珠はスイムモンの腹に命中した。

スイムモンは大きなダメージを受けたらしく、吐血した。
そして、ふらふらと逃げていった。
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 10:37:45.18 ID:Z7xH1WndO
なんということであろうか。

プヨヨモンはこの短期間のうちに、環境に適応し、捕食者を撃退してのけたのである。

最早これは、個体の成長というレベルではない。
種そのものの進化…そう、「進化」と呼ぶべき現象だ。

我々はこの生物の総称を、デジタルモンスター…デジモンと名付けた。




…さて。
シャコモンは海底をゆっくりと移動し、海藻を食べている。

スイムモンが度々襲ってくるが、そのたびにパールを放って追い払っている。

守りは硬いが、積極的に攻めていくタイプではないようだ。

…だが。
スイムモンとは別のデジモンが、シャコモンに近寄ってきた。

https://i.imgur.com/6vyldZV.jpg
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 10:41:53.38 ID:Z7xH1WndO
蟹のような姿をしたこのデジモンを、我々はガニモンと名付けた。

ガニモンは、シャコモンに近寄ると、その大きなハサミでシャコモンの殻を殴った。

シャコモンの殻にヒビが入った。
シャコモンも、真珠を放ってガニモンを攻撃した。

ガニモンの足が、一本へし折れた。

怒ったガニモンは、ハサミでシャコモンの殻をはさみ、力を込めた。
すると殻はめきめきと音を立ててきしみ始めた。

このままでは、シャコモンは殻を砕かれ、捕食されてしまうだろう。
どうするか…↓
@このまま戦いを見届け、観察対象をガニモンに変える
A大量のゴミデータをこの場へ送りつけて、シャコモンを救出する
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/12(日) 11:01:48.62 ID:X8koFkJlo
2
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 11:06:48.50 ID:Z7xH1WndO
研究者として、最善の選択であるかは分からないが…
私はとっさに、大量のゴミデータをこの場へ送りつけた。

ゴミデータは、墨のように海中に広がり、周囲を黒く染めた。

ガニモンは驚いて飛び退いた。
シャコモンは、素早く砂の中へ潜り、この場から脱出した。

…ガニモンが去った後、少し離れた場の砂の中から、シャコモンが顔を出した。

助かったようだ…私はほっとした。
私はシャコモンに…いや、シャコモンという種ではなく、この『個体』に。
愛着を持ってしまったようだ。
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 11:10:45.74 ID:Z7xH1WndO
危機を脱したシャコモンは、環境への適応始めた。

現在のシャコモンは、海底や岩場で生活し、海藻を食べて生きている。

スイムモンに襲われても、追い払うことはできるが、倒して食べたりはできない。

ガニモンに襲われたら、次こそ命はないだろう。

この環境へ適応するために、シャコモンは…↓
@水中を素早く遊泳できるようになる
Aゴミデータをばらまく性質を模倣し、知能を発達させる
B今のままとにかく体を大きくして、パワーで外敵をねじ伏せる
C陸上への進出を試みる
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/12(日) 11:12:49.16 ID:uSKNXvtm0
4
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 11:20:18.80 ID:Z7xH1WndO
シャコモンは、高い方へと移動をし始めた。
ガニモンに襲われないように、陸上へ進出する気のようだ。

シャコモンは、少しずつ、少しずつ…河口へ近づいていった。
真水へと体を慣らしながら。

周囲を警戒し、ガニモンの姿を見かけたら、砂に潜って隠れてやり過ごした…。

やがて、とうとうシャコモンは川を登った。
川に住み着くようになったのである。

そして、川から陸上へ出た。
陸上の植物は、どれくらい発達していたであろうか?

陸上当時の環境は…↓

@藻やシダ植物が、ちまちまと生えている程度
A生い茂った草を、小さな昆虫型デジモンが食べている
B植物型デジモンが生息している
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/12(日) 11:23:58.37 ID:SsVFmZR9o
2
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 11:32:56.12 ID:Z7xH1WndO
陸上には、既に草が生い茂っていた。
そして、草を食べたり、花の蜜を吸って生きるデジモンがいた。

https://i.imgur.com/CFY4VXg.jpg
https://i.imgur.com/3x7Geqj.jpg

昆虫のような姿をしているデジモン。
おそらく、ガニモン達が陸上へ進出したのであろうか…?

シャコモンは、これらの昆虫デジモンを餌にすることに決めたようだ。

シャコモンはなんと、重くて大きな殻を捨て去り…
捕食に向いた肉体へと進化した。

https://i.imgur.com/iBdLo6w.jpg
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 11:36:23.67 ID:Z7xH1WndO
我々は、進化したシャコモンをヌメモンと名付けた。

ヌメモンは、昆虫型デジモンのうち一体に狙いを定めると…
泥の塊を発射した。

泥は幼虫型デジモン…ワームモンの体に当たると、すぐに硬化した。

ワームモンは、固まった泥のせいで身動きが取れない。

そこへ、びょいんびょいんとヌメモンが跳ねて近寄り…
その強靭な顎で、一気にワームモンの頭を食いちぎった。

なんと、おぞましく…そして強靭な進化であろうか。
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 11:42:25.22 ID:Z7xH1WndO
ヌメモンは高い生存能力を持っていた。

普段は川のそばに住み、藻や苔を舐め取って食べている。

デジモンの死骸を見つけると、それを貪って分解している。

小さな昆虫型デジモンを見つけると、泥を投げて動きを止め、捕食するのである。


大型のデジモンが近寄ってくると、ヌメモンは沼の中に沈んで隠れ、ぎょろっと目玉だけを出して外敵を観察した。


雑食かつ悪食であり、隠れるのも得意なヌメモンは、とても合理的な進化を遂げたようだ。
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 11:48:21.53 ID:Z7xH1WndO
だが、やがて陸上には、ヌメモンと同じかそれ以上の力を持ったデジモンが現れ始めた。

昆虫型デジモンが進化したのである。
https://i.imgur.com/IkHd8Ew.jpg
https://i.imgur.com/53z6JEM.jpg

クワガタやカマキリの姿をしたそれらは、白兵戦の力ではヌメモンを遥かに上回る。

ヌメモンは、自身が進化の袋小路に至りつるあることを感じているようだ…。

やがて、ヌメモンは沼地にタマゴを産んだ。
単為生殖である。

どうやらデジモンは、交尾を必要とせずに単為生殖ができるようだ。

さて、卵を産んだヌメモンだが。
我々はどうするか…↓
@観察対象を、ヌメモンが産んだタマゴに変える
Aこのままヌメモンを観察する
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/12(日) 12:01:57.98 ID:V/Zw5v1no
1
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 13:27:39.45 ID:Z7xH1WndO
ヌメモンはいくつかタマゴを産んだ。
それらからは、やがて幼年期のデジモンが産まれ、プヨヨモンへと成長した。

湿地帯に巣を作ったヌメモンの周りには、プヨヨモン、シャコモン、ヌメモンが暮らしており、生活圏を広げていた。

カマキリの姿をしたスナイモンでは、沼までは攻めてこれないため、沼は安全なコロニーだったのである。

だが、その巣の中心へ、トンボの姿をした肉食昆虫デジモン…ヤンマモンが現れた。

https://i.imgur.com/wRqaWbZ.jpg

我々が観察してきた個体…ヌメモンは、コロニーの子供達を逃がすために、自ら足止めのために、ヤンマモンに立ち向かった。
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 13:35:38.51 ID:Z7xH1WndO
ヌメモンは、ヤンマモンの羽を狙って泥を投擲した。

だが、素早く飛び回るヤンマモンは泥を難なく躱し、ヌメモンの首へ噛み付いた。

ヤンマモンの牙は、ヌメモンの神経を、血管を、引きちぎっていく。
傷からはおびただしい量の体液が流れ出ている。

ヌメモンは最後の力を振り絞り、ヤンマモンの羽に泥をぶつけることに成功した。

これにより、ヤンマモンは一時的に飛行能力を失うこととなった。

…だが、それがヌメモンの最後の抵抗であった。
ヤンマモンはヌメモンの首の傷に頭を突っ込むと、心臓を引きずり出し、それを食いちぎった。

ヌメモンの体から力が抜け、沼に倒れた。



ヌメモンを食い尽くしたヤンマモンは、何度か羽をばたつかせたが、硬化した泥はとれない。

ヤンマモンは清流の方へと歩いていった。
きれいな川の水で羽の泥を洗い流すため、逃げていったヌメモンの子供達から離れざるを得なかったのだ。




…ヌメモンの子供達は、無事にヤンマモンから逃げ切れたようだ。
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 13:40:06.00 ID:Z7xH1WndO
なんのことはない、ただの食物連鎖の一貫である。
今捕食された個体のことは、やがて誰もが忘れ去っていくであろう。

だが、この湿地帯に、貝類の姿をしたデジモンが繁栄しているという事実が…
かつて海から上陸した、ひとつの軟体動物型デジモンの個体の存在を、誰にも知られずに語り継いでいくのである。
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 13:41:25.35 ID:Z7xH1WndO
つづく
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/12(日) 13:57:17.10 ID:V/Zw5v1no
たんおつー
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/12(日) 23:44:29.00 ID:SsVFmZR9o
どんな弱そうなデジモンも超ゴツい究極態になれる可能性があると思うと何か面白いなデジモンの進化
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 08:32:19.81 ID:glagszZPo
次の観察個体は…↓
@プヨヨモン(ヌメモンが産んだタマゴ)
Aプヨヨモン(海中のタマゴ)
B???(熱水噴出孔周辺のタマゴ)
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 08:45:49.95 ID:lVG8Nwt3o
3
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 14:10:52.91 ID:K+T//R5qO
硫化水素とアミノ酸が吹き出る熱水噴出孔。
その付近にあるタマゴから、デジモンが産まれた。

https://i.imgur.com/f5KklKj.jpg

このスライム状の幼いデジモンは、やがて熱水噴出孔から離れ、海底をズルズルと這い始めた。

我々はこのデジモンを「ズルモン」と命名した。

さて、このズルモンだが、スイムモンやガニモンに見つかっても、一向に捕食される様子がない。

時折スイムモンが飲み込もうとするが、すぐに吐き出してしまう。

どうやら毒素を含む肉体を持っているようだ。
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 14:13:00.27 ID:K+T//R5qO
ズルモンの周囲には、石のようなデジモン…ゴロモンが歩き回っている。

https://i.imgur.com/yvBaZSi.jpg

おそらくズルモンは、しばらく放置すればゴロモンへと進化するだろう。

さて、どうするか…↓
@放置する
A陸上へ移動させてみる
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 14:14:42.81 ID:hk9CMfCPo
1
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 14:24:29.02 ID:K+T//R5qO
しばらく放置すると、ズルモンはやがてゴロモンへと進化した。

ゴロモンは二本足で海底を歩き回り、海藻や砂を食べている。

排泄物は、そのほとんどが砂を占める。

おそらく、砂の中から微生物やミネラル、死んだデジモンの残骸などをより分けて吸収しているのであろう。

そして、食べた砂のいくらかを外殻の生成に利用している。

この外殻はとても硬い。
そして何よりも、石に擬態することで捕食者から身を護るのに役立っているようだ。
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 14:30:24.81 ID:K+T//R5qO
スイムモンやガニモンは、擬態中のゴロモンを見かけても、特に反応を示さない。

だが、ゴロモン達にも天敵はいるようだ。
シャコモンがそれだ。

シャコモンの中には、ゴロモンを殻の中へ閉じ込め、じわじわと消化することを覚えた個体もいるようだ…。

さて、今我々が観察しているゴロモンには、シャコモンという天敵が存在することになる。

この環境下で、ゴロモンはどう生きようとするか…↓
@地上へ進出する
A熱水噴出孔付近に戻る
B単純に強くなる
C我々研究員の最新ツールで捕獲してみる
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 14:32:16.17 ID:tZuuaESDO
1
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 14:38:04.52 ID:K+T//R5qO
ゴロモンは、のっしのっしと河口へ向かい、上陸を試みた。

途中、天敵のシャコモンと出くわし、真珠を撃ち出されることがあったものの、幸運にも生き延びた。

やがてゴロモンは、シャコモンが苦手とする酸性の強い水域を歩くようになった。

活火山から流れてきた溶岩が、硫化水素を水に溶かし、硫酸で海水を毒化させているのだ。

ゴロモンはズルモン時代の毒素は失ったが、毒への耐性は持ったままらしい。

そのままゴロモンは、活火山の見える浜辺へと上陸した。

このあたりの環境は…↓
@自然あふれる山岳地帯
Aサバンナのような荒野
B植物があまり見えない極限環境
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 14:38:50.64 ID:VVApl306o
3
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 14:41:58.27 ID:K+T//R5qO
ゴロモンがたどり着いた陸地は、植物がほとんど見当たらなかった。

それもそのはずだ。
活火山から流れ出る溶岩や火山灰が、常に大地へ降り注いでいるからだ。

流石に火山から数十キロ離れれば、緑地も見えてくるが…
こんなところでゴロモンは生き延びられるのだろうか?

ゴロモンは…↓
@緑地へ移動する
Aあえてこの辺への適応を試みる
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 14:43:07.89 ID:tZuuaESDO
1
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 14:47:31.26 ID:K+T//R5qO
ゴロモンは緑地への移動を開始した。
個体によってはここへ住み着く者もいるかもしれないが…
この個体はそうではなかったようだ。

やがてゴロモンは、より陸上での活動に適した姿へと進化した。

https://i.imgur.com/cPrLUTf.jpg

我々はこの種をゴツモンと名付けた。

ゴツモンはゴロモンの頃よりも歩くスピードが早く、餌を食べる量も多い。

やがてゴツモンは緑地へと辿り着いた。
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 14:48:12.58 ID:hk9CMfCPo
おお手足が生えた
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 14:48:54.62 ID:K+T//R5qO
この辺りの環境は…↓
@湿地帯。ヌメモンやヤンマモンが生息している。
A草原。昆虫型デジモンが生息している。
B山岳地帯。未調査の地域。
C森林。未調査の地域。
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 14:49:21.54 ID:hk9CMfCPo
4
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 14:56:46.55 ID:K+T//R5qO
ゴツモンが辿り着いたのは、植物が生い茂る森林であった。
この付近は未調査エリアである。

このゴツモンは、時折石や土を口にすることもあるが、基本は草食のデジモンのようだ。

ゴツモンは食べやすそうな植物を探している。

あまり硬い草は消化に適さないと判断し、柔らかい草を食べている。

やがてそんなゴツモンは、地面から奇妙な草花が生えているのを見つけた。

草花であるにも関わらず、稀にぴょこぴょこ動くのである。

さらに、その周囲には、土が掘り返されたような痕跡がある。

ゴツモンは…↓
@草花の部分を食べた
A地面から引っこ抜いた
Bそれらはスルーし、樹木の果実を食べた
C花の蜜を吸う昆虫型デジモンを狙った
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 15:13:47.07 ID:cgX2IdYNo
1
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 15:23:42.40 ID:K+T//R5qO
ゴツモンは、それらの草花の部分だけを食べた。

草花を食いちぎられた植物は、茎をぶんぶんと震わせたが、やがて動きが止まった。

ゴツモンが去ってから一時間後に、草花は徐々に再生を始めた。

…もしかしたら、これもデジモンなのかもしれない。

ゴツモンはそれからも、動く植物の草花の部分だけを食べ続けた。
掘り返して根っこまで食えばさらに栄養を補給できるであろうに、その選択はしないようだ。


そんなゴツモンは、しばらくの間、捕食者に狙われることが無かった。
なにせ見た目が岩なのである。岩に擬態すれば、スナイモンに襲われることは無かった。

だがある日…ゴツモンは、枯れ木に襲われた。
いや、正確には、枯れ木に擬態するデジモンである。
https://i.imgur.com/kHbxRaZ.jpg
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 15:29:09.79 ID:K+T//R5qO
枯れ木に擬態するデジモン…ウッドモンは、無防備なゴツモンへ襲いかかった。

ゴツモンは驚いて逃げようとした。

だがウッドモンが伸ばした根は、ゴツモンの右腕に絡みつく。

ゴツモンは、己の右腕を切り離して逃げた。

ウッドモンは、切り離されたゴツモンの右腕へ職種を突き刺し、エネルギーを吸い取った。


驚いた。こんなデジモンがいるとは…。
現実世界にも食虫植物などはあるが、植物の体を持ちながら、ここまでアグレッシブに捕食活動をする植物など存在しない。


…右腕を失ったゴツモン。
彼は不幸なのであろうか?

否、幸運である。
あれだけ獰猛な捕食者に襲われながら、失ったのが右腕一本で済んだのだから。
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 15:35:23.35 ID:K+T//R5qO
これまで天敵知らずでのんびり暮らしていたゴツモンであったが…ウッドモンという天敵が現れた。

「枯れ木に近寄らなければいい」と思うかもしれないが、ウッドモンには歩行能力がある。

擬態などせずとも、飛行できないデジモン…ゴツモンやワームモン、ヌメモン等に対しては、普通に歩いて襲いかかるだけでも捕食できるのである。

ゴツモンは、この環境にいかにして適応するか…↓
@植物の種を身体に植え付け、植物型デジモンへ擬態する
A単純に格闘能力を上げてパワーで対処する
B肉体から炎を噴出して外敵を追い払う
C走行スピードを上げ、空を飛べるようにする
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 15:37:13.17 ID:cgX2IdYNo
4
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 15:42:03.98 ID:K+T//R5qO
ゴツモンはウッドモンに襲われないように、山岳地帯へ移動した。

ウッドモンは平地を走るのは得意だが、高所への登り下りがニガテ打という弱点を発見したためだ。

しかし山岳地帯には、栄養価のある植物は多くはない。

この環境に適応するために…
ゴツモンは驚くべき進化を遂げた。

https://i.imgur.com/f8SODHJ.jpg

高い移動能力を獲得した。
走るスピードが早くなっただけではなく、原理不明の飛行能力を獲得したのである。
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 15:47:29.54 ID:K+T//R5qO
流れ星のように高速で移動するこのデジモンを、我々はスターモンと名付けた。

スターモンは常に飛行し続けているわけではなく、普段は地上を歩いて移動する。

ある日スターモンは、ウッドモンに襲われた。

だがスターモンは、素早い動きでウッドモンを翻弄し、背後に回った。

そしてパンチを放って反撃した。

ウッドモンは、負けじとスターモンに根を伸ばして絡め取った。

このままでは、根を突き刺されて体液を吸われてしまう…!
だが、スターモンはとんでもない方法でこの窮地を脱した。

なんとスターモンは、高速パンチのラッシュを放ち、体液を吸われる前にウッドモンを滅多打ちにしたのである。

ウッドモンは昏倒し、スターモンに背を向けて逃走しようとする。

だが、スピードではスターモンの方が遥かに上だ。
ウッドモンの後頭部をスターモンのパンチが叩き割り、ウッドモンは地に倒れ伏した。
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 15:53:23.97 ID:K+T//R5qO
スターモンは、ウッドモンの死骸を捕食した。

たくさんのデジモンから栄養を吸い取っていたウッドモンの肉体は、豊富な養分を持っていたようだ。

そうしてスターモンは、ウッドモンを見つけては、それに自ら挑んで殴り倒し、捕食するようになった。

いつしかスターモンの巣の周りには、ワームモンやテントモンといった、弱くてウッドモンに食われやすいデジモンが住み着くようになった。

彼らの目には、スターモンは天敵を打ち倒してくれるヒーローのように映っているのかもしれない…。
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 16:02:08.64 ID:K+T//R5qO
やがてスターモンは、巣の中でいくつかタマゴを産んだ。

産んだタマゴからは、ズルモンではなく、砂に似たデジモンが産まれた。

https://i.imgur.com/0My6GVR.jpg
我々はこのデジモンを、スナモンと名付けた。
我々は驚かされた。てっきりズルモンが産まれるものとばかり考えていたからだ。

デジモンという生物は、我々の世界の生物とは成長の仕方が大きく異なるようだ。

デジモンは成長するに従って、自らの遺伝子そのものを大きく変化させていく。

そしてタマゴを産んだとき、己の最新の遺伝子をそのタマゴへ受け継がせるのである。

このスナモンは、親と同じスターモンへと成長するのであろうか?
それとも…
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 16:03:03.94 ID:K+T//R5qO
我々はどうするか…↓
@引き続きスターモンを観察する
A観察対象を変更する
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 16:03:47.74 ID:vGfZV6ut0
1
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 16:07:48.43 ID:K+T//R5qO
前回観察対象としていたヌメモンは、ヤンマモンに捕食されてしまったため、観察対象の変更を余儀なくされた。

だが、今回のスターモンは、未だ負け知らずである。
親となったデジモンが、これから先どうなっていくのか…
引き続き観察を続ける。
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 16:09:56.92 ID:K+T//R5qO
つづく
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 16:21:04.41 ID:vGfZV6ut0
ちょっと閃いたらすぐ進化する生き物って怖いな
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 17:37:23.15 ID:O56268E3o
おつおつ
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 23:47:29.59 ID:sL6Ukdi9o
面白いし絵も上手い。期待
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 10:19:19.23 ID:Uki0mIelO
>>59
個体レベルで種の進化をできるとなると、環境の変動はかなりでかそうですよね

>>60
どうもです

>>61
ありがとうございます
絵は公式のデジモン図鑑から拝借してます
アメコミチックな絵柄がナイスだと思います
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 10:49:01.89 ID:Uki0mIelO


我々は、これまでにふたつの個体の成長と進化を見届けてきた。

その中で、デジモンの進化には「レベル」があることが確認された。

【レベル1】…幼年期T
ポヨモン、ズルモン、スナモンがこれに該当する。
同じタマゴでも、熱水噴出孔付近と穏やかな水域とでは、産まれる種が異なる。
さらに、スターモンはズルモンから成長したが、スターモンのタマゴからはスナモンが産まれた。
このことから、タマゴは親の遺伝子を引き継ぎつつ、ある程度周囲の環境に応じて産まれる姿が変化するといえる。
つまり、進化はタマゴの中で既に始まっているのである。
故にデジモンのタマゴ…デジタマは、レベル0のデジモンといえるだろう。

【レベル2】…幼年期U
プヨヨモン、ゴロモンがこれに該当する。
活発に動き回れるようになり、さらなる進化のために餌を探し回る。
だが、レベル3の肉食デジモンにとっては、弱くて捕食しやすい格好の餌となる。
体の小ささを活かして隠れたり逃げたりして、外敵をやりすごさなければ、この時点で息途絶えることになるだろう。

【レベル3】…成長期
シャコモン、ゴツモン、スイムモン、ガニモンなどがこれに該当する。
身体機能が一気に発達し、戦闘能力を獲得する。捕食や自己防衛のために戦いの日々に明け暮れることであろう。
戦闘能力ではレベル4には敵わないことが多いが、基礎代謝がレベル4よりは低めであるため、環境が激変しても進化による適応の余地があることがこの世代の強みといえる。

【レベル4】…成熟期
ヌメモン、スターモン、ウッドモン、ヤンマモン、スナイモンなどがこれに該当する。
戦闘能力はさらに強大になり、成長期デジモン程度ならば造作もなく打ち倒せる。
そして、レベル4から単為生殖による産卵が可能となる。

レベル4デジモンは、基礎代謝カロリーの多さと戦闘能力の強さが比例する傾向が見られる。
スナイモンは、高い戦闘能力を持つが、その分多くの食事を必要とする。
ヌメモンは、他の成熟期に比べ戦闘能力ははるかに劣るが、基礎代謝量が少なく、様々な環境に適応可能だ。

デジモンの強さは、単に戦闘能力だけで決まるものではない。ヌメモンはヌメモンで、スナイモンにはない強さを持っているのである。



…現在、レベル5のデジモンは見つかっていない。
成熟期がデジモンの最終形態なのであろうか。
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 11:01:14.32 ID:Uki0mIelO


スターモンは、デジモンを食べない。
通常の植物だけを食べて生活している。

そのため、一日に摂取が必要な餌の量が多くなってしまう。

いつもあちこちで餌を探し回っている。

…ある日、てんとう虫の姿をした成長期デジモン、テントモンが、花の蜜から作ったであろうハチミツのような食物を、スターモンへ差し出した。

スターモンは、これを受け取って食べた。
その対価故か、スターモンはテントモンと共に行動するようになった。

ある日、テントモンがスターモンと共に森を歩いていると、なにか甘い香りのする植物を見つけた。

テントモンが植物の方へ飛んでいくと…
なんと、植物は蔓を伸ばし、テントモンを捕らえた。

この植物は、食虫植物型のデジモンであった。

https://i.imgur.com/IWNHiQR.jpg
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 11:07:14.69 ID:Uki0mIelO
今回から、私もデジモンの名前を考えるチームに加わった。

私はこの食虫植物型デジモンの名前として、ウツボカズラに似ていることからカズラモンはどうか、と提案した。

だが、女性研究員が提案したベジーモンという名称が採用された。
ベジタブル…野菜?野菜に見えるか!?あれが!?どう見ても食虫植物だろう!
納得いかないが…まあいい。

さて、ベジーモンは、テントモンを捕食しようとしたが…
スターモンはベジーモンへパンチの連打を浴びせ、テントモンを救出した。


この日がテントモンはいつもより多く花の蜜を集め、スターモンに渡した。

やがて、スターモンの周りに集まるテントモンの数は増えていき…
スターモンは、テントモンから与えられる蜜だけで栄養を賄えるようになった。

さながら用心棒といったところであろうか。
デジモン同士で共生関係を結ぶこともあるようだ。
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 11:12:19.17 ID:Uki0mIelO
ある日、スターモンがテントモン達とともに森を歩いていると…

ベジーモンの亜種であろう、赤い植物型デジモンの群れが、スターモン一向に襲いかかってきた。

https://i.imgur.com/GDrZ5Ic.jpg

これはレッドベジーモンと命名された。
レッドベジーモンは、5匹がかりでスターモンやテントモン達へ襲いかかった。

スターモンは、テントモン達を抱えると、空を飛んで一目散に逃走した。

レッドベジーモンは、スターモンの後を追うが…
空を飛ぶスターモンのスピードには追いつけなかった。

多数のテントモンを抱えながら、これほどのスピードで飛行できるのは、驚異的と言わざるを得ない。


それまで戦闘では無敵の実力を誇っていたスターモンであったが…
この時、スターモンは初めて逃走を選んだ。

このレッドベジーモンの群れは、それだけ強大な戦闘能力を有しているということであろうか…?
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 11:21:42.36 ID:Uki0mIelO
巣に戻ったスターモンは、彼が以前産んだデジタマから産まれ育ったゴツモン達に、戦闘のトレーニングを施した。

テントモンを連れて森の中を歩き回り、ウッドモンやベジーモンが襲ってきたら、それと集団で戦う…という、過酷な鍛錬であった。

ウッドモンやベジーモンは成熟期である。
成長期のテントモンやゴツモンよりも強い。

レッドベジーモンとの戦闘中、スターモンの子であるゴツモンの一匹がレッドベジーモンに飲み込まれた。

親であるスターモンは、手を貸さずゴツモン達に自力での解決をさせるつもりのようだ。

だが、レッドベジーモンは強い。
ゴツモン達がどれだけ体当たりをしても、まるで応えていない。

もはや、胃袋の中のゴツモンは消化され始めてしまう…
その寸前で、とうとうスターモンは、ゴツモンへ力を貸した。
なんと上空から隕石を降らせ、それをレッドベジーモンへ直撃させたのである。

隕石を腹部にくらったレッドベジーモンは、腹の内容物を全て吐き出した。
飲み込まれていたゴツモンは救出された。

苦しむレッドベジーモンを、ゴツモン達は集団で叩き…ついにこれを打倒した。
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 11:32:26.58 ID:Uki0mIelO
やがて厳しい戦闘訓練を積んだこれらのゴツモン達は、親同様にテントモンの警護をしながら、蜜を貰うという共生関係を築くようになった。

興味深いことに、鍛錬を積んだゴツモン達は、並の成長期よりもはるかに戦闘能力が増していた。
なんと成長期でありながら、ベジーモン程度の成熟期なら一人で打ち倒せるほどにまで至っていたのである。

デジモンの個体の強さは、トレーニングによって大きく伸びるようだ。

だが、このゴツモン達は、ベジーモンやウッドモンには対処できても…
肉食昆虫型デジモンのスナイモンには、あっという間にバラバラに切り刻まれてしまった。
https://i.imgur.com/53z6JEM.jpg

スナイモンは、成熟期の中でもスターモンに並ぶ実力を持った強豪である。
いくらゴツモンが過酷なトレーニングを積んでも、スナイモンとの実力差を埋めるには至らなかった。
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 11:35:39.36 ID:0G8K6Uhuo
遂に訓練という概念まで得たのか
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 11:35:55.26 ID:RwjOqwd+0
面白そうなの発見
このスレだと環境適応で色々派生するけど、スターモンなら順調に行くとスーパースターモンになるかな?.
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 11:39:29.37 ID:cM5UiKW40
人間とパートナーになるようなデジモンは戦闘力向上だけを考えた進化で良いけど一般的なデジモンは普段の生活考えないといけないから大変だな
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 11:42:16.55 ID:Uki0mIelO
スナイモンは、ゴツモンを優先的に探して捕食するようになった。

我が子をこれ以上好きなように貪らせるわけにはいかない…そう考えたであろうスターモンは、スナイモンの討伐に挑んだ。

スターモンとスナイモンの死闘は、熾烈を極めた。
互いに拮抗した実力の持ち主。
守護者と捕食者、ふたつの頂点が、激しい戦いを繰り広げた。

スターモンは格闘中に、ひそかに上空から隕石を降らせていた。
隕石の直撃をくらったスナイモンは、地面に倒れ伏した。

スターモンが、とどめの一撃を繰り出そうとした時…
スナイモンの体は光に包まれた。

光が消えた時…そこには、新たな姿へと進化したスナイモンの姿があった。

https://i.imgur.com/mraQ3w7.jpg

サソリのような形態のデジモン…スコピオモン。
この土壇場でスナイモンはついに、未踏の領域であるレベル5へ到達したのである。
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 11:47:01.83 ID:RwjOqwd+0
スコピオモンか、隕石の直撃はヤバいと感じて飛行能力は捨てて外殻と毒に特化した進化って感じかな?
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 11:57:54.17 ID:Uki0mIelO
スターモンは、ダメージを負った肉体でありつつも、今更引き下がれないとばかりにスコピオモンへ立ち向かった。

だが、スコピオモンの戦闘能力は、成熟期のスナイモンとは比較にならないほど向上していた。

スコピオモンはスターモンの目へ毒霧を噴射した。
視界を封じられたスターモンは、もはや勝機がないと察したのか、空中へ飛び去ろうとした。

だが、スターモンが離陸するよりも先に、スコピオモンの尻尾の針がスターモンの装甲を突き破った。
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 12:04:37.49 ID:0G8K6Uhuo
デジタルワールドも弱肉強食が自然の摂理か
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 12:17:34.95 ID:Uki0mIelO
スターモンは、それでも飛行体制に入っていたおかげで、突き刺された尻尾を引っこ抜いて飛び立つことができた。

スコピオモンは、高い戦闘能力と引き換えに飛行能力を失っていたため、スターモンを追いかけることはできなかった。

だが、巣を目指して飛行中のスターモンは、次第にふらふらと動きがぶれていき…

どんどん高度が下がっていき…

やがて、森の中へ墜落した。


しばらく経つと、ここを通りかかったテントモン達が、木の枝に引っかかったスターモンを発見した。

テントモン達は、スターモンを担ぎ上げると、自らの巣へと運搬した。
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 12:21:13.55 ID:RwjOqwd+0
何とか生き残ったかな?
毒で死ぬかテントモン達の看病で生き残るか微妙なところだけど
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 12:23:32.36 ID:gNFu2P1oo
これでどんな進化をしていくのか見物だね
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 12:32:40.01 ID:Uki0mIelO
テントモンの巣へ運ばれたスターモンは、弱々しく呼吸をするものの、立ち上がることができず、どんどん弱っていった。

どうやら、一瞬毒針を突き刺された際に、スコピオモンの尻尾から神経毒を少量注入されたようだ。

テントモン達は、スターモンの口元へと蜜を運ぶ。

だが毒で身体が麻痺しているスターモンは、それを飲み込むことさえできなかった。



昆虫成長期デジモンの守護者であるスターモンが倒れた今、森はどうなったであろうか。

スターモンが育てたゴツモン軍団が、彼の代わりに昆虫成長期デジモンのボディーガードを引き受け、食虫植物デジモンと戦っていた…?


…否、そんな生易しい状況ではなかった。
テントモン達も、ゴツモン達も、食虫植物デジモン達でさえも。
次々とスコピオモンの餌食となっていったのである。

スコピオモンの闘争欲求は異常なほど強かった。
腹が減っていないときでさえも、動くデジモンを見つけ次第襲いかかり、麻痺毒を注入。
そして巣へと運び、貯蔵したのである。

スコピオモンの巣には、明らかに食べ切れずに持て余している、大量の獲物が転がっていた。

ゴツモン、テントモン、ワームモン、ベジーモン…。
麻痺させられ保存食と化したそれらのデジモン達を、スコピオモンは時折まるで自慢のコレクションかのように眺めていた。
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 12:33:36.59 ID:gNFu2P1oo
おいおい生態系乱れるぞ
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 12:38:47.56 ID:RwjOqwd+0
本来のテリトリーじゃないから待ち戦法は使えないけど普通に世代差と素早い動きと毒で無理か
飛行能力はないからテントモンは逃げ切れるかと思ったけどコレはあかんわ
スターモンが進化して復活しないとマジでこの辺滅びそう
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 12:42:54.85 ID:Uki0mIelO
スコピオモンはやがて、巣で産卵した。
麻痺している保存食デジモンの腹部へ毒針を突き刺し、それを産卵管として使い、体内へデジタマを産み付けたのである。

やがて、デジタマは保存食デジモンの体内で孵化した。
そして生命維持に必要最低限の心肺機能などの器官を後回しにし、消化器官、筋肉、骨などを体内で貪り食っていく。

やがて、体内で成長期まで育ってから…腹を食い破り、スコピオモンの子供は顔を出した。
https://i.imgur.com/sIRdvv9.jpg

これは…ワームモンによく似ているが、顔や体つきが微妙に異なる。
私はポイズンワームモンという名称を提案したが、女性研究員が提案したドクネモンという名称がカワイイとチーム内で評判になり、そのまま採用された。
…何が悪かったのであろうか。


しかし、盲点であった。
捕食されやすい幼年期を、どのように生き延びるかは、デジモン達の最大の課題ともいえる問題だったが…
スコピオモンは、寄生バチのように他デジモンの体内で幼年期を成長させるという生存戦略をとったのである。

これは危険だ。
成長期まで育ってしまえば、デジモンはかなり活動能力が増す。
スコピオモンの子供達は、きっとスコピオモンのコレクションを食べて成長し、外敵に襲われることなく成熟期まで育つのであろう。

…スコピオモンの巣へ侵入し、ドクネモンを狙う度胸のある捕食者などいるであろうか。

並大抵のデジモンであれば、自分と同じ姿のデジモンが食い散らかされた残骸の転がる巣を見た時点で、戦意を喪失することであろう。
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 12:45:07.93 ID:VRyngZwT0
ヒエッ
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 12:50:01.52 ID:Uki0mIelO
だが…。

無謀にも、スコピオモンの巣へと侵入し、ドクネモンを捕食する命知らずのデジモンがいた。

https://i.imgur.com/kHbxRaZ.jpg

ご存知、ウッドモンである。

ウッドモンは、枯れ木に完璧に擬態してしまうため、スコピオモンをやり過ごすことができた。

そしてあろうことか、枯れ木に擬態したまま、少しずつスコピオモンが留守中の巣へと近寄り…
ドクネモン達にすら枯れ木だと勘違いされたまま…
ドクネモン達に根を伸ばし、体液を吸ってのけたのである。

コレクションを持ち帰ったスコピオモンは仰天した。
自分の子供達が、巣で干からびているのだから。

スコピオモンは、子供達の仇を探したが、視界内にあるのは地面に転がった枯れ木のみ。

怒り狂ったスコピオモンは、コレクションの山をハサミでズタズタに引き裂き、それらを生き残った数匹のドクネモンと共にヤケ食いした。


ウッドモンという、己の弱さと強さの両方を知る捕食者だからこそ可能な荒業である。
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 12:52:17.54 ID:RwjOqwd+0
ワロタ
ちゃんと弱者は弱者の戦い方してるわ、その内ウッドモンも進化してスコピオモンに奇襲かけるんかね?
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 13:00:48.12 ID:Uki0mIelO
スコピオモンは、枯れ木にも八つ当たりのハサミ攻撃を放った。

すると、枯れ木はその苦痛で苦しんだ。

スコピオモンは驚いた。
完全に枯れ木だと思っていた物体が、生きたデジモンだったのだから。

身を起こすウッドモンの姿を見たドクネモン達は、怯えてスコピオモンの後ろに隠れた。

我が子の怯えようを見て、スコピオモンは確信した。
このウッドモンこそが、我が子達をミイラにした張本人なのだと。

スコピオモンは、ウッドモン目掛けて怒りの突進をした。

そして、毒針による一撃をウッドモンへ放った。

だがウッドモンは、根を伸ばしてスコピオモンの尾へ絡みつかせ、この一撃を回避した。

ウッドモンはスコピオモンの尾へ根を食い込ませ、体液を吸い始める。

予想外の反撃を受けたスコピオモンは、ウッドモンの根をハサミで切断しようとした。
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 13:03:13.24 ID:Uki0mIelO
ウッドモンの根を断ち切ろうとしたハサミに…

…空から飛来した隕石が直撃し、ヒビが入った。
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 13:08:20.71 ID:Uki0mIelO
スコピオモンは周囲を見回した。
この厭らしく強力な攻撃を仕掛けてくるヤツの姿を探した。

…宿敵スターモンが、ふらふらとよろめきながら、巣に乗り込んできたのである。

どうやら注入された毒が少量だったため、テントモン達の看病により息を吹き返したようである。

私には、スコピオモンが笑ったように見えた。
スコピオモンの最大のライバルが、今再び姿を現したのだから。

スコピオモンの巣には、一箇所不自然に土が盛り上がった台座のような部分があった。

これまでは、あの台座が何なのか分からなかったが…
今ならば分かる。あの台座は、スターモンをコレクションとして飾るために作った特別席なのだと。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 13:11:36.42 ID:WTA7jOs/0
生物としての本能とは違う感情らしきもの芽生えてる?
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 13:14:04.11 ID:Uki0mIelO
さて、スターモンはどうする気なのであろうか?

スコピオモンの手が届かない空中を飛行しながら、隕石を降らせ続ける作戦であろうか?

否、それは不可能だろう。
スターモンは長い間飛び続けていることはできないし、隕石も連発はできない。
弱ったスターモンでは、やがてスタミナが尽きて墜落し、今度こそ神経毒を回復不可能なほど多量に注入されてしまうことだろう。

研究員としての私見を述べるなら…スターモン取るべき最善の選択肢は、飛行能力を活かして逃げることだ。

スターモンはズルモンから進化したため、毒に対する耐性がある。(今考えれば、そのおかげでスコピオモンの毒を解毒できたのかもしれない)

だから、ゴツモン達もテントモン達も忘れて、以前見かけた活火山の周辺に逃げ延びればよい。

そうすれば、スコピオモンは追ってくることができない。

仮に活火山周辺まで追いかけて来ようものなら、スコピオモンが食えるものが殆ど無い環境であるため、スコピオモンは飢えて弱ってしまうことであろう。

森を離れ、逃げ去ることが、スターモンが取るべき最善の生存戦略といえる。
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 13:15:12.97 ID:RwjOqwd+0
宿敵として認めてて専用のコレクション台用意してたのはもはや愛だよ
しかしこれウッドモンも一緒に戦ってるけど厳しいとしか言えない
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 13:19:02.51 ID:Uki0mIelO
だが、スターモンは逃げなかった。

あろうことか、ウッドモンと取っ組み合っているスコピオモン目掛けて突進し、スコピオモンの顔面へパンチを放ったのである。

スコピオモンは一瞬よろめき、即座に尻尾の毒針での反撃を試みた。

だが、ウッドモンはさらに深くスコピオモンの尾へ根を食い込ませ、体液を吸いながら毒針攻撃を封じる。

スコピオモンが根を切断しようとウッドモンへハサミを振りかざすと、スターモンはすかさずそのハサミの付け根を殴りつけた。

かつて宿敵同士として争った、スターモンとウッドモンの、奇妙な連携攻撃が、意外にもスコピオモンに効果を発揮していた。

だが、スコピオモンは成熟期を超えたレベル5の存在。
スターモンに対して、ハサミによるパンチ攻撃を繰り出した。

スターモンの硬い外殻にヒビが入る。
負けじとスターモンもパンチを繰り出し、スコピオモンのハサミの付け根を殴りつける。
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 13:21:59.97 ID:WTA7jOs/0
厄介な共通の敵いたらそりゃ共闘するよね
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 13:25:45.56 ID:RwjOqwd+0
しかしこれどうなるか
敵の敵だから共闘してるけど、味方じゃないからなぁ……
スターモンが勝っても疲弊したところを捕食される可能性もあるし、はたまた負けるか
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 13:27:41.23 ID:Uki0mIelO
激しく殴り合う、スコピオモンとスターモン。
そのダメージは、やはり成熟期であるスターモンの方が大きく、スターモンの外殻はどんどん砕けていく。

だが、スコピオモンはだんだんバテて来ているように見える。
ウッドモンにどんどん体液を吸われ、ブドウ糖や酸素が足りなくなってきているのだ。

スコピオモンは、再度ウッドモンの根を切断しようとハサミを繰り出すが…
「それだけはさせない」と言わんばかりに、ボロボロのスターモンがハサミを払いのける。

このまま戦えば、スターモンはもたないかもしれないが…
ウッドモンが、スコピオモンを仕留めるかもしれない。

レベル4の2体のデジモンが、下剋上を成し遂げ、レベル5のスコピオモンを仕留めるかもしれない。

そう思った矢先…突如、ウッドモンが吐血した。
そして、よろよろと体をふらつかせた。


…ウッドモンの足元に、大量のドクネモンが群がり、親譲りの毒針を突き刺していたのである。

兄弟を殺された怒りのこもった毒針は、ウッドモンへ麻痺毒を注入し、体を痺れさせた。

先に下剋上を成し遂げたのは、ドクネモン達だったのである。
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 13:33:53.33 ID:Uki0mIelO
ウッドモンが弱ったのを察したスコピオモンは、体液を大量に吸われて痩せこけた尾に力を込めて、ウッドモンを持ち上げ、それをスターモンへハンマーのように叩き付けた。

その衝撃で、ウッドモンの根は外れた。


怒ったスコピオモンは、麻痺したウッドモンをハサミでズタズタに切り裂いた。

トドメの毒針攻撃で、ウッドモンを仕留めようとしたとき…

スコピオモンの毒針に、スターモンの繰り出した隕石攻撃が直撃した。

体液をさんざん吸われた尾は、先端が脆くなっていたらしく、毒針がばきりと折れた。

苦痛と怒りで、恐ろしい咆哮を上げるスコピオモン。
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 13:41:20.05 ID:Uki0mIelO
だが、スコピオモンは毒針攻撃がなくても、純粋な格闘能力だけでも強い。

スターモンを滅多打ちにするスコピオモン。
ついにスターモンの外殻は完全に砕け散った。

柔らかい軟組織がむき出しになったスターモンの腹部へ、スコピオモンのハサミのパンチが突き刺さった。

スターモンは大量に出血しながら吹き飛び、ズタズタになったウッドモンの上に打ち付けられた。

うつ伏せのスターモンは、かすれた目で下を向いた。

ウッドモンの下には大量の保存食デジモンの山が積み重なっていた。

その中には、かつてスターモンが鍛錬した彼の子供達…ゴツモン達の姿があった。

それを見た瀕死のスターモンは察した。
彼の子供達…ゴツモン達は、テントモンを護り共生するという己の生き方に殉じて、スコピオモンに挑み、仕留められたのだと。

スターモンは涙を流していた。


研究員である私にはとしては、何ともコメントし難い。
生物の強さとは、環境への適応能力である。

時には己の生き方という固定観念から脱することも、生存戦略としては重要なはずである。

私には…ゴツモン達の生き方が、スターモンがここへ来てスコピオモンへ挑んだ理由が…分からない。
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 13:48:31.26 ID:Uki0mIelO
スコピオモンは、ドクネモン達を連れて、瀕死のスターモンの方へとにじり寄ってきた。

スコピオモン本体の毒針が折れた今、ドクネモン達の神経毒を使ってスターモンを麻痺させるつもりのようだ。

スターモンは、スコピオモンを一瞥した後、彼の下敷きになっているウッドモンを見た。

すると、スターモンは、腹部から流れる血液を、ウッドモンの口内へ流し込んだ。

これは、何をしているのであろうか…?

スターモンは、かつて硫化水素で満ちた猛毒の環境で産まれ育ったズルモンであった。

その頃に獲得した、毒耐性のある血液をウッドモンへ与え、解毒でもしようというのであろうか…。

やがて、麻痺していたはずのウッドモンは、己の根を伸ばし…
樹液をスターモンの口元へと垂らした。

ウッドモンはウッドモンで、スターモンを治癒しようとしているのだろうか…。

互いが互いを必要としている。

戦うための力として、互いの存在を、己の身を削ってでも生かそうとしている。

互いが、己の肉体を分け合って、力を与え合おうとしている…。
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 13:51:29.18 ID:xtS1pne+o
生きるためにもがきあがく生命の神秘よ
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 13:54:46.53 ID:Uki0mIelO
その時、奇妙な現象が起こった。

ウッドモンの肉体が、細かい根へと分解されていく。

スターモンの肉体が、硬質の岩石と強靭な肉体へと分解されていく。

それらは互いに絡まり合った。

そして、保存食として積み上げられているスターモンの子供達…ゴツモン達の瀕死の肉体もまた、小さな石片へと分解されていく。

一度分解されたそれらは複雑に、絡み合い、まとまり合い…
やがて、一つの存在となった。

https://i.imgur.com/NI4NgHf.jpg

スターモン譲りの筋肉と、ゴツモン譲りの硬い外殻。
それを支える、ウッドモン譲りの植物の肉体。

両方を兼ね備える、ひとつのデジモンへと融合したのである。
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 13:57:36.88 ID:RwjOqwd+0
ジャガモンは草
コイツ何気にヤバいんだよな、テイマーズでは大群でメラモンひき潰してたし
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 14:00:32.53 ID:xtS1pne+o
オメガモンみたいな合体進化でジャガイモ生まれた…
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 14:00:59.54 ID:Uki0mIelO
融合デジモンは、スコピオモンを威嚇するように吠えた。

スコピオモンは、融合デジモンへ突進し、ハサミによるパンチを繰り出した。

すると融合デジモンは、外殻である石のひとつを隕石のような勢いでスコピオモンのハサミへ飛ばした。

ハサミは砕け、筋繊維が露出した。

そこへ、外殻の隙間から伸びた根が絡みつき、露出した筋繊維へ食い込んだ。

スコピオモンは、もう片方のハサミでパンチを繰り出す。

融合デジモンも前足でパンチを繰り出し、スコピオモンのハサミと激突した。

ばきりと音が鳴り、スコピオモンのハサミが千切れ飛んだ。

スターモンが執拗に放った、スコピオモンのハサミの付け根へのパンチは、確実にダメージを蓄積させていたのである。
その傷が、ここにきて一気に響いたのであった。

スコピオモンは、尾とハサミを失った。
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 14:05:51.90 ID:Uki0mIelO
スコピオモンは、それでも逃げない。
否、逃げられない。
片方のハサミに、深々と根が突き刺さっているからである。

スコピオモンに残された最後の武器…それは、強靭な顎であった。

スコピオモンは、融合デジモンの顎の下を狙って、噛みつきを繰り出す…!


融合デジモンは、勢いよく頭突きを放ち、スコピオモンの顔面へ、額の硬い角を打ち込んだ。

スコピオモンの顔面の甲殻にヒビが入る。


融合デジモンは、何度も何度も、角をスコピオモンの顔面へ打ち付けた。

顔面のヒビはどんどん広がり…ついに砕けた。

そして、最後の頭突き攻撃によって、スコピオモンの頭部は破裂した。

頭部を失ったスコピオモンは、地面に仰向けに転がり、しばらく手足をばたつかせていたが…
やがて動きを止めた。
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 14:09:12.16 ID:Uki0mIelO
ドクネモン達は、スコピオモンの死を目の当たりにして、一目散に逃げ出した。

融合デジモンは、それらを追いかけることはなく…

森へと帰っていった。

我々研究チームは、言葉を失った。
デジモン同士が融合して、ひとつのデジモンになる…
こんな現象は、全くの想定外だったからだ。

この融合デジモンのレベルはいくらなのであろうか。
スコピオモンと同じレベル5なのか?あるいはそれより上なのか…?

議論は一晩中交わし続けられた。
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 14:12:55.96 ID:7L1PrTbe0
スターモンの頃の仲間とウッドモンの頃の仲間どっちにつくんだジャガイモン
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 14:13:19.39 ID:Uki0mIelO
ちなみに、この融合デジモンの名称だが。
岩と植物の融合体であることから、私はボンサイモンという名前を提案した。

ドクネモンだのベジーモンだの、よくわからないネーミングを好む我々のチームだ。こういう名なら採用されるだろうか。

…だが、ボンサイモンという案はすこぶる不評であった。
結局、女性研究員が提案したジャガモンという名称が、可愛くていいと評判になり、そのまま名称として採用された。


なぜだ!?なぜジャガモンなのだ!?
ジャガイモ!?いやあの姿に芋の要素はないだろう!
それにジャガモンという名称にしたら、植物側の性質だけを指し、鉱物側の性質が名前に残らないのではないか?
納得がいかない。
絶対にボンサイモンのほうがいい。
だが、正式にジャガモンが採用されてから尚ゴネるほど私も子供ではない。
ここは…納得いかないが、チームの採決を受け入れるとしよう。
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 14:19:47.99 ID:Uki0mIelO


森に戻った後、ジャガモンは広い草原で寝そべり…そこで光合成をし始めた。

スターモンの頃のように小型昆虫デジモンを護るわけでもなく、ウッドモンの頃のように小型昆虫デジモンを狩るわけでもなく…
ただひたすら、それを見守りながら、じっと動かずに光合成をし続けた。

目の前で、ゴツモンがウッドモンに捕食されようとも…
ウッドモンが、二代目のスターモンに打倒されようとも…
何ら干渉せず、それを見守った。

おそらく、ジャガモンは分かっているのだ。
レベル5(推定)の肉体は、著しく高いカロリー消費量となるため、動き回っていたら今度は自らが第2のスコピオモンになるということを。

だから、基礎代謝量を落として、ひたすら眠り続けるのである…。

彼が次に目覚めるのはいつになるかは分からない。
だが、もしもその時が来るならば…
それは、本当に第2のスコピオモンが生まれたときになるだろう。
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 14:20:54.93 ID:7L1PrTbe0
えらい
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 14:21:16.22 ID:Uki0mIelO
さて、このままジャガモンを観察し続け、森のデジモン達の関係がどう移り変わっていくのかを見守るのもいいが…

我々は研究員である。
デジモンについて、より多くの情報を得なければならない。

故に、いったん観察対象を別のデジモンへ移すことにしよう。
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 14:22:08.60 ID:Uki0mIelO
つづく
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 14:26:41.10 ID:8n++GBYo0
自分が動いたらバランス崩れるってこと理解できてるのかジャガモン
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 14:26:49.91 ID:RwjOqwd+0

実はレーダー搭載してて見なくても周りの状況わかる上に擬態で隠れる事ができるし、見つかっても手足引っ込めて防御形態もとれるの強い
仮にも完全体だからそりゃ強いか
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 15:41:53.81 ID:Uki0mIelO


我々は、観察対象を再び海中に移した。

かつての海中では、スイムモン、ガニモン、シャコモン等の成長期が生態系の頂点になっていた。

だが、それも昔の話。
現在は、それらの進化系である成熟期デジモン達が、海中で猛威を振るっていた。

シャコモンが進化した姿…ゲソモン。
https://i.imgur.com/vOExvDk.jpg

ゲソモンはイカの姿をしたデジモンである。
軟体動物…貝であるシャコモンが、殻を脱ぎ捨て、頭足類に似た進化を遂げた。
これにより、素早い遊泳能力を身に着け、スイムモンを捕食するようになった。


これに負けじと、ガニモンも進化した。
エビの姿をしたエビドラモンである。
https://i.imgur.com/0h1lPrK.jpg

エビドラモンもまた高い遊泳能力と、強靭なハサミで獲物を仕留める力を持つ。

さて、これら2つの系列は、既に陸上へ進出済みである。

シャコモン系列は、陸上へ進出してヌメモンとなった。

ガニモン系列は、陸上へ進出して昆虫型デジモンへと進化した。

だが、スイムモン系列は、未だに陸上への進出はしていなかった。

だが…ある日、スイムモン系列から成熟期デジモンが誕生した。
https://i.imgur.com/ETrXPn1.jpg

…シーラカンスの姿をしたデジモン。シーラモンである。
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 15:53:41.67 ID:5QybCjD+o
海の中は強そうなのいっぱいだねえ
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 15:56:35.62 ID:Uki0mIelO
シーラカンス。

かつて絶滅したと考えられていたそれが、アフリカで発見されたとき、世間では大きな騒ぎとなった。

たかが古い魚が見つかっただけで、なぜ大きな騒ぎとなったのか?

それは、シーラカンスという種が、人類の祖先であると考えられていたためである。

この説は、遠からずも近からず、といったところである。
魚類は大きく3つのグループに分けられる。
サメ等が属する軟骨魚類。
シーラカンスや肺魚が属する肉鰭魚類。
そして、それ以外の一般的な魚が属する条鰭魚類。

我々人類の祖先…両生類は、このうち肉鰭魚類から進化したものと考えられている。

つまり、シーラカンスが属するグループは、両生類の祖先である肺魚と非常に近縁なのである。


シーラカンスの発見は、旧約聖書に例えるならば、エデンの園のアダムとイヴが見つかったのと同レベルといえる衝撃なのである。
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 17:26:05.75 ID:Uki0mIelO
さて。
シーラモンは、河口を目指して泳いだ。

そしてシーラモンは、鰓だけでなく肺による呼吸も可能であった。

川へ到達したシーラモンは、時折川辺へ身を乗り出し、幼年期デジモンなどを捕食した。

やがてシーラモンは、川でデジタマを5個ほど産んだ。

デジタマが孵化すると、やがて一本のトサカが生えた幼年期デジモンが産まれた。
https://i.imgur.com/ZaoIKPW.jpg

それらが進化すると、メキシコサラマンダーとかウーパールーパーとかアホロートルとか呼ばれる両生類によく似た鰓を持つ幼年期デジモンに進化した。
https://i.imgur.com/zKmb0tV.jpg

素晴らしい。
シーラカンスに似たデジモンから、両生類に似たデジモンが産まれた…。

やはり、進化というのはデジタマの中で既に起こっているのだ。

デジタマの中の卵細胞そのものがレベル0のデジモンであり、それが胚となり幼年期の肉体を形成する過程で、一度進化が行われているという予測は正しいものとみて間違いない。
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 17:36:47.10 ID:Uki0mIelO
これら5匹のウパモンは、そのうち2匹はオタマジャクシのような姿…オタマモンへ進化した。

https://i.imgur.com/7zUwi2S.jpg

残りの5匹は…なんとも形状しがたい姿へと進化した。

https://i.imgur.com/AYWKmUo.jpg

ピョンピョン跳ねて移動する姿から、これはカエル型のデジモンではないかという意見が多かった。

だが、カエルと決めつけるのは早計である。
このデジモンの背中には、大きなヒレがついている。
これは肉食単弓類であるディメトロドン…爬虫類の動物がもつ特徴である。

単弓類は、単なる爬虫類ではない。我々哺乳類の祖先である。


つまり、このデジモンは、両生類の形質を持ちながら、爬虫類にも哺乳類にもなり得る、それらの中間ともいえる身体的特徴を備えているのである。

我々の研究チームは、この様々な進化の分岐点に成り得るデジモンを、なんと名付けるか議論した。

フロッグモンやディメトロモン等の案が挙がったが、最終的には女性研究員が提案したベタモンという名前に決定した。

今回ばかりは彼女のネーミングに賛同する。
無理に実在する動物になぞらえて名付けても、進化の可能性を狭めるだけになるだろうから。
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 17:42:38.75 ID:8N+LMzb/o
カエルじゃないと言われればカエル以外にも見えてくるなベタモン
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 17:44:18.56 ID:Uki0mIelO
さて、成長期となった3匹のベタモンは、川から少しずつ離れて暮らすことに決めたようだ。

3匹のベタモンは、どこへ向かったか…?↓1〜3
@森林
Aサバンナ
B山岳地帯
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 17:46:31.39 ID:7L1PrTbe0
2
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 17:51:02.70 ID:8N+LMzb/o
2
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 17:55:42.81 ID:WBOx3C3Q0
1
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 18:01:39.72 ID:Uki0mIelO
ベタモン達は、二匹がサバンナへ、もう一匹が森林へと移動を開始した。

二匹のオタマモン達は、ヌメモンやヤンマモンがいる沼へと移動した。

親であるシーラモンは、移動していく5匹の子供達を見送った。


きっとシーラモンは、自分自身というよりは、自分の子供達を上陸させるために、はるばる海の底から大移動をしてきたのであろう。

このシーラモンは、肺呼吸も一応できるが、水棲に適した肉体である。
故に、このままの肉体では陸上生活には適応できない。

レベル5へ進化すれば、陸に上がることができるかもしれないが…。
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 18:03:50.05 ID:Uki0mIelO
つづく
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 18:23:39.61 ID:8N+LMzb/o
今日はこれで終わりか
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 18:31:55.93 ID:Uki0mIelO
>>126
そうですね、明日の夕方あたりにまた続きやりたいと思います
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 18:33:20.26 ID:xiG1MpDSo
おつつ
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/15(水) 05:51:29.55 ID:XUIWPqOJ0
ナショナルジオグラフィックの生態系観察番組みたいでおもしろい
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/15(水) 19:29:04.35 ID:WE8JkdtU0
視点がジャガモンからベタモンの方に移ってたか
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/15(水) 20:18:49.95 ID:hqkqDBd6O
3体のベタモンをA、B、Cと呼ぼう。

サバンナへ向かったAとB。

ベタモンの肉体は、シーラモンやオタマモンに比べれば強くはあるが、それでもあまり乾燥に強くはないようだ。

普段は川や湿地帯に住み着いてキノコや果実を食べ、雨が降ったら活動する…というサイクルで生活をしていた。

現在のサバンナにいるデジモンはどんなものがいるか、調査を行った。

川や沼など、水辺に大量に住んでいる…
微生物型の幼年期デジモン、ピチモン。
https://i.imgur.com/NrUhXcR.jpg

これらは数がとにかく多い。
おそらく、ヌメモンのように繁殖力が強く、代謝量の少ない、非戦闘向きの成熟期デジモンがあちこちで産卵していると考えられる。

木や草にぶらさがっているのが、昆虫型の幼年期デジモン、ミノモン。
https://i.imgur.com/R3OWpYm.jpg

幼年期デジモンは、常に厳しい淘汰圧が加わるが…
ミノモンはミノに隠れて外敵をやりすごすという生存戦略をとったらしい。

そして、幼虫型デジモン…クネモン。
https://i.imgur.com/sHMWZeF.jpg

これはスコピオモンの子供達であるドクネモンに酷似した姿をしている。
草食性であり、外敵が来たら糸を吐いて攻撃するようだ。
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/15(水) 20:30:19.15 ID:hqkqDBd6O
サバンナを高速で這い回る、黒光りする昆虫型デジモン…ゴキモンも発見された。
https://i.imgur.com/Kv42v0J.jpg

ゴキモンは、デジモンの死骸や、朽ち木などを漁って食べている。
デジモンスカベンジャーとでも呼ぶべきだろうか。
夜行性であり、日中は木陰や地面の穴に隠れて眠っていることが多い。

そしてゴキモンは、様々な場所で産卵する。
川や沼、木陰など…。
ピチモンもミノモンも、このゴキモンが産んだデジタマから産まれたのだろうか。


他にいたのは、蝶(蛾かもしれないが…)の姿をしたデジモン…モルフォモン。
https://i.imgur.com/sRScf3n.png

モルフォモンは花の蜜を吸いながら暮らしているようだ。
しかし、花が蜜を出すということは、その花は受精をデジモンに手伝ってもらう必要があるということ…
つまり単為生殖をするデジモン達と違って、有性生殖をするということである。

デジタルワールドの、デジモン以外の生物の進化もまた、興味深いところがある。

そして、そのモルフォモンが進化したと思われる、蜜蜂の姿をしたデジモン…ハニービーモン。
https://i.imgur.com/0PPg3g3.jpg

蜜蜂というからには、どこかに巣を作っているかもしれないが…
今の所、巣は見つかっていない。


昆虫以外では…ヌメモンの亜種とみられる、カラツキヌメモンが見つかった。
https://i.imgur.com/4BGl6cW.jpg

ヌメモンがサバンナの乾期に耐えられるように、殻を獲得した種のようだ。
カラツキヌメモンもまた、ヌメモン同様に、他のデジモンの排泄物を食べたり、苔や草を食べている。
デジモンスカベンジャー02といったところか。
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/15(水) 20:38:31.39 ID:hqkqDBd6O
今見てもらった通り、このサバンナには、まだ草食性デジモンやスカベンジャーしかいない。

肉食に進化したデジモンが、まだいないのである。

その割に繁殖力が高いデジモンが多く見受けられるため、デジモンの個体数はどんどん増加していくものとみられる。

やがて草食デジモン同士で、餌の奪い合いが始まるかもしれない…。

さて、そんな環境に来たベタモンAとB。

ここへ適応するために、どうするか…?↓1〜2
@陸上の獲物の捕食を試みる
A樹上の果実を食べれるようになる
B水陸両用となる
Cその他、無理のない範囲で自由記述
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/15(水) 20:44:02.13 ID:qbASgPuG0
2
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/15(水) 20:44:05.66 ID:XQndgSlTo
4 自らの手でエサを作ることを試みる
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/15(水) 21:00:23.20 ID:hqkqDBd6O
ベタモンAは、樹上の果実を餌にすることにしたようだ。

樹上といっても、サバンナに生えている木は低木が多い。
森と違って植物がそれほど密集していないため、縦に高く伸びる必要がなく、横に広がっていくようになる。

ベタモンは木登りが得意とはいえず、最初は草の実や、熟して落ちた木の実を食べていた。

だが、やがて木の枝に実っている果実を食べれるように…
背が高くなった。

https://i.imgur.com/OreZccX.jpg
その見た目は、パラサウロロフス…恐竜によく似ていた。
我々はこれをパラサウモンと名付けた。
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/15(水) 21:11:12.97 ID:hqkqDBd6O
一方のベタモンBは、水辺で遊びながら暮らしていた。

ある日、ベタモンBは、遊びで毎日同じ草に水を吹きかけてみたところ…
その草は、まわりの草よりも大きく成長することを発見した。

またある日は、遊びで毎日同じ草の根本で排泄をしてみたところ…
同様に、周りの草よりも大きく成長することを発見した。

ベタモンBは、これを面白いと感じたのか、野イチゴらしき草の種を集め、地面にそれらを埋め、川の水や排泄物、枯れ葉などを草に与えた。

草はどんどん育ち、たくさんのイチゴを実らせた。
ベタモンBは、植物の栽培を楽しむようになった。
驚くべきことに、両生類の身でありながら、人間のような農耕を覚えたのである。

これは、知能の高さというよりは…遊び心による発見と考えられる。


しかし…草食性デジモンが多く暮らす環境で農耕をするなど、彼らに餌付けするも同然の行為であった。
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/15(水) 21:15:41.05 ID:hqkqDBd6O
ベタモンBが育てた植物は、カラツキヌメモンやクネモン、パラサウモンに横取りされてしまうことが多くなった。

ベタモンBは怒った。
そして、自ら育てた作物を横取りされないように…
より効率的に農耕ができるように…

農耕と戦闘向きの進化をした。

https://i.imgur.com/yPc0SNG.jpg

爬虫類的でありながら、人間のような二足歩行を行い、発達した器用な量腕を持つデジモン。

硬質化した自身のヒレを取り外し、農具兼武器として振り回す…

我々は彼を、ディノヒューモンと名付けた。
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/15(水) 21:21:29.01 ID:hqkqDBd6O
ディノヒューモンは強かった。

その大きな農具で、土地を耕し、種子を収集し、外敵を打ち払って、作物を育む。

ベタモンの頃よりも、遥かに農耕の能率は上がっていた。

ディノヒューモンの面白い点は、彼にとって農耕は作物を得るための「手段」ではなく、それ自体が「目的」なのである。

つまりディノヒューモンは、園芸を楽しむついでに、食えそうな部分があったらそれを食っているだけである。

故にディノヒューモンの農園には、大して可食部位のない植物もたくさん生えていた。

だが、ディノヒューモンはそれを見て落胆したりはしない。

それが成長するのをただ楽しんでいた。

…やがて、ディノヒューモン農園は、どんどん面積を増加していった。
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/15(水) 21:26:42.99 ID:hqkqDBd6O
やがてディノヒューモンは、農園の中で産卵をした。

ディノヒューモンのデジタマから産まれた幼年期達は、主に2種類に分かれた。

川から汲んだ水や、あちこちから集めた肥料を運搬するのが得意な、亀型デジモンであるカメモン。
https://i.imgur.com/SEx59x6.jpg

そして、外敵を追い払ったり、細かい作業をするのが得意な、手先が器用なブイモン。
https://i.imgur.com/LvOd8tB.jpg

ディノヒューモン農園は、原始的な文明ともいえる発展をし始めたのである。
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/15(水) 21:30:49.38 ID:SAJIa8wBo
何かえらい進化したな
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/15(水) 21:36:13.82 ID:hqkqDBd6O
…さて。
サバンナへ到達した2匹のベタモンは、どちらも成熟期へ進化した。

特にディノヒューモンは、個体の進化というだけでなく…
農耕という技術を進化させた。

驚くべき発展である。

やがてこのサバンナには、彼らの兄弟である2匹のオタマモンも、進化した姿でやってきた。


https://i.imgur.com/otf3yLw.jpg
体を炎で包むことで外敵を払うことができるようになった、両生類型のサラマンダモン。

https://i.imgur.com/Lqq8V5L.jpg
そして、オタマモンが真っ当に成長したのだな…ということがうかがえる、カエル型のフロッグモンである。


サラマンダモンは、火力の調節が得意なデジモンであった。
イモ翌類の植物を、火で炙ってから食べることで、効率よくデンプン質を消化する術を身に着けていた。
少ない餌で、多くの栄養を得られるように進化した…ということであろう。


そしてフロッグモンは、舌を伸ばして昆虫デジモンを捕食する、肉食のデジモンであった。

フロッグモンは、このサバンナに出現した初めての肉食デジモンということになる。
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/15(水) 21:42:14.89 ID:hqkqDBd6O
ディノヒューモンは、フロッグモンを自身の農園に招き入れた。

もしかしたら、かつての兄弟であることが分かっているのかもしれない。

ディノヒューモンとフロッグモンは、共生関係を築いた。
ディノヒューモンの農園にやってくる昆虫デジモンを、フロッグモンが食べる。
これによって、互いにwin-winの関係となった…

…かに思えたが。

ハニービーモンやモルフォモン達までフロッグモンに食わせたところ、なんと作物が実を結ばなくなってしまった。

我々の視点から見れば当然である。
受粉の担い手を農園から排除したら、実が実らなくなる。…至極当然といえるだろう。
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/15(水) 21:50:19.01 ID:hqkqDBd6O
そんなある日、農園に新たなデジモンが訪れた。

https://i.imgur.com/kSzyVCF.jpg

蛾の姿をした、モスモンである。

モスモンはなんと尾に機関銃を備え持っており、フロッグモンへ機銃掃射を行った。

弾丸をしこたま撃ち込まれたフロッグモンは、たまらず物陰に隠れた。

普段はフロッグモンと一緒に外敵の排除をしていたブイモンも、これには敵わんとばかりに物陰に隠れた。

そしてモスモンは、農園の作物の葉っぱを食べたり、花から蜜を吸ったりした。

モスモンが去った後、悔しがったディノヒューモン達であったが…

不思議なことに、再び農園に実が実るようになったのである。

ディノヒューモン達は、この現象がどういうことなのか、随分頭を悩ませたようだ。

花が受粉によって有性生殖を行うことで実を実らせる…という法則に気づけるその日が来るのを、暖かく見守ろう。
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/15(水) 21:52:23.89 ID:hqkqDBd6O
さて…

ベタモンやオタマモンが来たことで、サバンナの勢力もかなり変動したようだ。

我々はこのまま、パラサウモンやディノヒューモンを観察対象としてもいいし…
森やサバンナに住む、もっと他のデジモンを観察してもいい。

どちらのエリアを観察するか?↓
@サバンナ
A森
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/15(水) 21:54:16.45 ID:SAJIa8wBo
2
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/15(水) 21:57:18.84 ID:hqkqDBd6O
サバンナは一旦置いておいて…

再び、森へ視点を移そう。

さて、前回スターモン達がいたのは、過ごしやすい気温の土地だった。

だが、このデジタルワールドはどうやらひとつの天体であるらしく、故に寒冷地と熱帯地が存在する。

ベタモンCが向かったのは、どの森か…?↓
@熱帯雨林
A前回と同じ森
B寒冷地
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/15(水) 21:58:13.24 ID:J2NolUllo
1
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/15(水) 21:58:16.17 ID:WE8JkdtU0
1
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/15(水) 22:05:55.94 ID:hqkqDBd6O
ベタモンCが向かったのは、熱帯雨林であった。

まさにジャングルと呼ぶに相応しい土地だ。

アマゾン川のように巨大な大河が流れており、背の高い木々が生い茂っている。

まさしく生命の溢れる大自然といっていいだろう。

…この大きな川には、スイムモン、ガニモン、シャコモン達の姿も見える。

ベタモンCは、川で泳いでいると、懐かしい者と再開した。

彼の親である、シーラモンである。

どうやらシーラモンは、この熱帯雨林にて、さらにデジタマを産むつもりのようだ。

ベタモンCは、この熱帯雨林でどんな暮らしをするのであろうか…。
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/15(水) 22:08:22.02 ID:hqkqDBd6O
つづく
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/15(水) 22:16:19.72 ID:cuIjgBPOo
おつおつ
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/15(水) 22:17:27.82 ID:WE8JkdtU0

寒冷地の方が完全未知で面白そうだったかな?
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/15(水) 22:17:47.06 ID:J2NolUllo
進化に限界が無いな
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/16(木) 23:29:19.21 ID:B643DMC6O
熱帯雨林には、至るところにたんぽぽの綿毛のようなデジモンが浮いていた。

https://i.imgur.com/c2o1f5f.jpg

このユラモンは、植物型デジモンの幼年期のようだ。
おやつのように気軽に捕食されているが、たくさんいるので何匹かは生き残って成長するらしい。

さて、この熱帯雨林には、これまで森林やサバンナで目撃した昆虫デジモン、植物デジモン、軟体デジモンのほとんどが生息している。

成熟期デジモンの数も多い。
ここでベタモンは、どう適応するか…?↓
@植物型デジモンを食べる
A昆虫デジモンを、真正面から襲う
B昆虫デジモンを、隠れながら襲う
C川の中のデジモンを狙う
Dその他無理のない範囲で自由記述

156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/16(木) 23:30:16.10 ID:Gn33uRjM0
3
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/16(木) 23:39:43.36 ID:B643DMC6O
ベタモンは、木陰に隠れながら、昆虫デジモンを狙った。

ベタモンには電気ナマズのように電撃攻撃をする力があり、それを使って獲物を狩った。

だが、時折接近がバレれて逃げられてしまうこともあった…。



やがて、シーラモンが産んだと思われる、ベタモンが数匹上陸してきた。

ベタモンCは、これらの歳の離れた兄弟と共に狩りをすることもあった。

だが、ベタモン達は思い知らされた。
自分達が、狩る側だけでなく、狩られる側でもあるということを。

あるときベタモン達は、ミノモンが群生している木を発見した。

ミノモンを捕食しようと近づくと…
突然、弟ベタモンの足元に穴が空いた。

地下からデジモンが襲いかかってきたのである。

https://i.imgur.com/mixZOOg.jpg

蜘蛛型デジモン…ドクグモン。
ドクグモンは毒の牙で弟ベタモンのうち一匹を噛みつくと、物凄い勢いで地中に引きずり込んでいった。

…おそらく、このドクグモンはあのミノモンの親だ。
子供を守るついでに、やってくる捕食者を逆に狩ろうとしているのである。

ベタモン達は、たまらず逃走した。
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/16(木) 23:41:13.11 ID:QvtCFw1Eo
カエルの癖にクモから逃げれる足の速さあるんだな
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/16(木) 23:58:52.65 ID:B643DMC6O
昆虫デジモンだけではない…。
ウッドモン、レッドベジーモンといった植物型の肉食デジモンも脅威であった。

何よりも驚かされたのは…
陸上ではこれまで大して怖くないと考えられていた、軟体型成熟期デジモンの発達である。

大きな貝殻と、強靭な腕と強い顎を持つ…モリシェルモン。
https://i.imgur.com/fiEFtB6.jpg

おそらく、カラツキヌメモンの系統とみられるこのデジモンは、歩くのは遅いが、高圧水流を使って弾丸のように小さな貝殻を飛ばして獲物を狙撃する力を持っていた。

弟ベタモンのうち数匹は、モリシェルモンの餌食となった。

…そう。
この熱帯雨林、成熟期デジモンがやたら多い。

これまで観察していた地域よりも肥沃な大地であるためか、サバンナに比べてデジモン達が大食いであり、そして強靭であった。

気がつけば、兄弟ベタモン達の生き残りはたった3匹となっていた。

ベタモン兄弟は、この厳しい環境へどう適応するか…!?↓1〜3
@隠れながら舌を伸ばして獲物を捕らえる
A鋭利な刃物やトゲ、尻尾などで身を守り、草を食べる
B鋭い角を生やし、タックルで獲物を仕留める
C炎の体で身を守りながら敵を攻撃する
D川の中で暮らす
Eその他、無理のない範囲で自由記述
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/16(木) 23:59:57.23 ID:NBb6h2QJo
2
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 00:00:50.10 ID:D1Izzsad0
1
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 00:02:21.34 ID:bl7Twfpg0
6
他のデジモンがいる方向に逃げてお互いで争ってもらうことを狙った
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 00:04:36.01 ID:D1Izzsad0
この選択肢ってある程度デジモン詳しいとなんとなく進化先ルートわかるよな
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 00:07:59.57 ID:mn8iGc510
ジャガイモ生まれたのは一番想像出来なかったな
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/17(金) 00:08:06.24 ID:JCL/Kjv+O
弟の一匹は、なんと風景に溶け込んで隠れ、舌を伸ばして獲物を捕らえるという、攻防一体の力を身に着けた。

https://i.imgur.com/ZG4xEx6.jpg

その姿はカメレオンそのもの。カメレモンと命名された。

もう一匹の弟は、背中のヒレを鋭い刃にし、それを飛ばして攻撃できるようになった。

主食は草食性となった。
https://i.imgur.com/lO11CLX.jpg

その姿は、ステゴサウルスそのもの…。
ステゴモンと命名された。
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 00:09:30.62 ID:D1Izzsad0
ジャガモンは完全に予想外すぎる進化だわ
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/17(金) 00:11:58.60 ID:JCL/Kjv+O
そして、ベタモンCは…
逃げ足がひたすら速くなった。

このあたりのデジモンは好戦的であり、より栄養価の高そうな獲物を狙う傾向があった。

その習性を利用し、ベタモンは敵に追われているとき、他のデジモンと鉢合わせさせるようにした。

そうした場合、敵がベタモンを狙って攻撃をすると、遭遇したデジモンに攻撃の隙を見せることになり、漁夫の利(?)を得られてしまう。

そのため、膠着状態に持ち込むことで、危機を脱することができたのである。
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/17(金) 00:18:27.67 ID:JCL/Kjv+O
そうしてベタモンCは、逃げ足がどんどん早くなった。

うまく逃げるために、その前足はいつしか翼に変化していた。

体は木々の隙間をすり抜けられるように、細長い形状となった。

https://i.imgur.com/vdEEVxO.jpg

これは…蛇だろうか?
だが、翼を持つ蛇など、我々の知る生物の中にはいない。

議論の末に、神話のケツァルコアトルになぞらえて、クアトルモンと命名された。

クアトルモンは、逃げるだけではなく、時として獲物をその細長く強靭な肉体で締め上げて捕食することもあった。

成熟期の中では、格闘能力は低い方のようだ。
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/17(金) 00:23:16.92 ID:JCL/Kjv+O
こうしてシーラモンの子孫たちは、各々が独自の進化を遂げ、厳しい熱帯雨林へ上陸することに成功した。

成熟期まで育てば、めったに死ぬことはないだろう。

…シーラモンの子孫の中には、無理に上陸せず、水中生活の中で進化した個体もいたようだ。

亀の姿をしたアーケロモン。
https://i.imgur.com/QrNo7w0.jpg

鮫の姿をしたティロモン等である。
https://i.imgur.com/O5Ojl5s.jpg

ゆくゆくは、これらのデジモンが上陸することもあるだろうか…?
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 00:23:54.22 ID:D1Izzsad0
こっちのベタモン兄弟は全部アーマー体進化か
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/17(金) 00:27:05.14 ID:JCL/Kjv+O
…さて。

我々は先日、新たなツールを開発した。

その名もデジモンキャプチャー。

デジモンを捕獲し、我々の所有するサーバー内に仮設したローカル空間内で飼育することのできる設備である。

我々のチームのうち数名は、デジタルワールドの観察ではなく、捕獲したデジモンの飼育を試みる…との話である。

現在のキャプチャーは出力が弱く、幼年期のデジモンしか捕獲できないが…。


尚、餌としては、データマイニングによって生成したキノコを与えるつもりらしい。

私はどうするか…
引き続き観察をするか、飼育を試みるか。

それは次回決めるとしよう。
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 00:29:59.45 ID:zfraOPsIo
どこまでだったら神様っぽい人達の逆鱗に触れないか
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 00:30:02.20 ID:D1Izzsad0
ほー飼育も面白そうだな
続けていくとデータ更新されて餌もデジ肉とか作れるようになったり、捕獲できる世代も増えそうだ
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/17(金) 00:31:08.61 ID:JCL/Kjv+O
つづく
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 00:34:25.56 ID:D1Izzsad0
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 01:16:17.77 ID:E26OiQSJo
おつ
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 10:07:14.66 ID:CJaavUs40
デジタルワールド荒らしたくは無いけど研究のために捕獲と飼育は不可欠だしなぁ
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 19:04:19.33 ID:6mOwPwlVo
デジモンが人間を知ってしまったらどうなるのか
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/17(金) 21:09:36.45 ID:GyZwpHVVO
先日、我々のグループは一般の方達を招き、研究成果を発表した。

デジタルワールドのこと。
そこで進化を遂げた

まるでSFのような事実に、聴衆は大いに沸いた。


そもそもデジタルワールドとは何か?
それは「コンピューターネットワーク上に存在する、もう一つの世界」である。

デジタルモンスターとは何か?
それは「コンピューターウィルスが進化し、生命を持った存在」である。

なんとなくフワっとしたイメージは湧くかもしれないが、ある程度コンピューターに詳しい者ならば、誰しもが考えるはずだ。

その世界のデータとやらは、一体どこのどいつのサーバー上に存在しているのか?

その世界での出来事は、一体どのハードウェアの計算資源によって演算されているのか?

その世界をどんな原理で観測しているのか?

そもそもコンピューターウィルスの進化とは、エンジニアが起こすものであって、ウィルス自体が進化することは有り得ない。
ましてや、メモリやハードディスク上のビット如きが生命を持つことなど断じて有り得ない。


そんな批判的意見が、我々に滝のように寄せられた。
なる程、至極真っ当な質問である。
我々とて、実際にこの目で見るまでは、同じ疑問を抱いたものであった。
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 21:14:54.32 ID:7ecoDYaIo
デジタルワールドの設定って媒体によって少し変わってくるよね
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/17(金) 21:35:29.32 ID:GyZwpHVVO
まず、一般に誤解されがちな事だが…

デジタルモンスター達の本体は、コンピューター上のデータそのものではない。

そこに宿っている、「魂」こそが生命の本体なのである。

生命を生命たらしめる「魂」の実在証明と観測は、5年前にドイツの物理学者が成功している。

かつて、アミノ酸の海という非生物からタンパク質の高分子配列を組み立て、そこから細胞膜を持つ原生生物という生命を誕生させた存在…それが「魂」である。

魂は、生命の肉体が代謝系と自己増殖機能、外界との境界を獲得するよりも、ずっと前にこの宇宙に存在していた。

そして生命活動とは、物質の単なるランダムな化学反応の連続ではない。
そこに宿る「魂」によって制御される指向性の変化である。

そう、我々が脳によって行っている思考や、それによって芽生える自我、心が感じる感情さえも、生命の本質である「魂」が行った演算の結果にすぎない。

我々の脳は、生体コンピュータである。
コンピュータとは、「計算機」…。計算のための道具だ。

我々は、肉体を操る脳と、それが生み出す心こそが生命の本体だと誤解しがちだ。

だが、それは違う。

人間を自動車に例えるならば、自我や心は「車載コンピュータ」に相当する位置付けであり、「運転手」ではない。
車載コンピュータを操作してエンジンやブレーキの制御を行う「運転手」は、自我より上位に位置する「魂」である。

そして、この関係はそのままデジタルモンスターにも当てはまる。
コンピュータ上のデータは、デジモンの「肉体」でしかない。
デジモン達の自我と魂…遺伝子は、データよりも上の領域に存在しているのである。

アミノ酸の海に溶け込んだ魂が、タンパク質の肉体を得たものが我々であり、
ネットの海に溶け込んだ魂が、コンピュータウイルスの肉体を得たものがデジタルモンスターである。
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/17(金) 21:50:55.64 ID:GyZwpHVVO
「デジタルモンスターは、どうやって思考を行っているのか?」という質問も上がった。

これには我々も大変頭を悩ませた。
我々人類が持つ脳は、それぞれが独立の演算機能を持った生体コンピュータである。
だから、ひとつのコンピュータが一個体の思考を制御しているというのは分かりやすい。

だが、デジモンの肉体…そして脳は、コンピュータ上のデータとして存在してるはずだ。
そして、データそのものは自ら演算する機能を持たない。
コンピュータウイルスや各種ソフトウェアは、それが寄生するコンピュータのCPUが提供する計算資源を利用しているにすぎない。

我々は当初、デジタルモンスターも、それが宿るコンピュータのCPUに依存して思考を行うものと考えていた。

だが、デジモンキャプチャーを使って幼年期デジモンのデータをサーバー上に保存し、そのデータを解析したところ…
デジモンの「脳」に値するビット配列には、アクセスポインターらしき不変の定数値が刻まれていた。

そして驚くべきことに、デジモンが食事をするとき、その肉体を構成するデータ配列は、デジモンのデータが保存されているコンピューターのCPUを一切利用せずに変化したのである。

試しに、ハードディスク単体に電源を繋ぎ、そこにデジモンとキノコのデータだけを入れて数分待機したところ、次に観測したときデジモンはキノコを食べ終えていた。

このことから、デジモンという生命は、ハードウェアに依存しない思考・演算機能を持っていると結論付けられた。
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 21:55:11.74 ID:odL+GG4Y0
もう地球の生き物と変わらないじゃん…
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/17(金) 22:06:29.08 ID:GyZwpHVVO
そして、
「デジタルワールドをどのように観測しているのか?」
「この世界のどのハードウェアに、海だの島だの森だのサバンナだのといった地形のデータが保存されているのか?」
という疑問も上がった。

まず第一に、世界とは何か?という前提を共有しなくてはならない。

我々は、世界そのものを観測しているわけではない。
光や音、熱や衝撃などの刺激を、我々の感覚器官によって信号へ変換し、我々のクオリア(主観)の中に形成されたものが「世界」である。

我々のいる現実世界ですら、海だの島だの森だのといったものは、我々が感覚器官から得た情報をクオリアで意味づけしたものにすぎない。

つまり、我々人間が五感によって観測している世界と、先カンブリア時代の原始的な生物が嗅覚等の限られた感覚器官だけで観測している世界は、同じものを見ていても全く異なると言っていいものである。

そして、これは我々人間とデジモンに対しても言える。
我々が五感とクオリアによってネットワークを構成するデータを直接見たところで、磁気テープやフラッシュメモリの電荷の羅列にしか見えず、そこに意味漬けをすることはできない。

だが、デジモンの感覚とクオリアでは違う。
我々の五感では意味付けできないものを、森や海のように意味付けすることができるのである。

我々がデジタルワールドを発見することができたのは、デジモンの感覚器官とクオリアをコンピューター上で擬似的に再現するソフトウェア…「デジクオリア」というツールのおかげである。
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/17(金) 22:11:55.27 ID:GyZwpHVVO
最後に「デジタルワールドにも神はいるのか?」という質問が上げられた。

我々の研究チームのリーダーは即答した。

「分からない。そもそも我々の世界にすら神がいるかなど分からないのだから」と。

会場は、このとき笑いに包まれたが…
後にこの発言はなぜか問題視され、リーダーは紆余曲折あって公の場で謝罪することになった。

一応建前上謝罪はしたが、後に彼は私に言った。
「納得できない。なぜ謝らなければならないのか」と。

リーダーよ、神がどうって話はデリケートなものなのだ。
神とは人の心の中に存在するものなのだから。


…そういうわけで、我々この発表の後、しばらくの間取材漬けになり…
先日やっと解放され、研究に戻れたのである。
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 22:14:52.94 ID:MhJNIHGdo
神様云々は宗教的にね…
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/17(金) 22:19:10.85 ID:GyZwpHVVO
私は研究室に戻り、デジクオリアをインストールしているPCを起動した。

いつもデジタルワールドの観測に使用しているマシンだ。

さて、これまでの研究で色々分かりはしたものの…
デジタルワールドは未だに未知で溢れている。
はっきり言って分からないことだらけだ。

彼らの進化のメカニズムとは?
何がどこまでできるのか?
産業利用は可能なのか?

…特に3つめが一番重要である。
我々に出資してくれている者達は、我々がデジモンの観察によって得た成果の産業利用によって、支払った以上の利益を求めることだろう。

これからも、デジタルモンスターとデジタルワールドを観測し、未知の解明に努めていくものとする。

…さて。
デジタルワールドの生態系観察と、デジモンキャプチャーを使った飼育…
どちらを試そうか?↓
@生態系観察
A飼育
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 22:21:33.24 ID:Z4TWHR9so
2
捕獲した以上面倒は見よう
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/17(金) 22:31:40.10 ID:GyZwpHVVO
先程の研究成果報告で述べたデジモンは、デジモンキャプチャーのテストのために捕獲したピチモンである。

ピチモンを選んだ理由はただ一つ。
「我々が最初に形成に成功したデジタル空間が、デジクオリアでは海として表示されたから」である。

つまりピチモンがいたのは、水槽のようなものである。

だが、我々はこのピチモンをある程度観察した後、デジタルワールドへ戻した。
餌や適切な生育環境を用意する技術がまだ無かったからである。

…しばらく研究が行われたおかげで、我々はサーバー内に、ある程度まともなデジモン用ビオトープを作れるようになった。
我々が自力で作れる餌はキノコだけ。
体積は5立方メートル程度。
土や植物などが欲しい場合は、デジモンキャプチャーを使ってデジタルワールドから調達することになる。

さて。
まずはこれまで観察してきた地域をもとにしたビオトープを作ろう。

どんなビオトープを作りたいか、希望を聞きたい。
現在の技術で可能な限り。要望にお応えしよう。
↓22:45まで意見募集
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/17(金) 22:32:48.94 ID:GyZwpHVVO
また、ビオトープだけでなく、捕獲したい幼年期デジモンの候補を上げてもらってもいい。
勿論、幼年期未満であるデジタマもキャプチャー可能だ。
あれはレベル0のデジモンなのだから。
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 22:36:52.35 ID:Z4TWHR9so
とりあえず可能な限りストレスを与えない快適な環境を与えて一般家庭の犬や猫みたいに育てたらどんな進化するか見てみる
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/17(金) 22:37:00.67 ID:GyZwpHVVO
22:45までと言ったが…
本日の活動報告はここまでとさせていただく。

次回は明日の夕方頃を予定しているため、それまでに色々意見を頂けると助かる。

それでは皆様、どうかよろしく頼む。
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/17(金) 22:37:26.85 ID:GyZwpHVVO
つづく
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 22:45:51.97 ID:SWkFyEDp0
デジタマ捕獲
デジタルワールドの森とか草原を再現
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 22:50:38.30 ID:b9Puh/bk0
今のところデジタルワールドには確認されていない人間の家の中に近い環境を作ってどんな進化するか観察
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/17(金) 22:56:55.04 ID:GyZwpHVVO
【補足】
デジモンキャプチャーの原理…

デジモンキャプチャーは、デジタルワールド上のマシンアームと虫取り網によって、デジモンや各種資源を掴み、直径1メートル程度の穴を通じて我々のサーバー内へ持ち帰るツールである。

このマシンアームは、私の腕と指の動きをジャイロセンサーでモーショントレースすることで操作する。

つまり現在の技術では、私の両腕と虫取り網で掴めるものなら持ってこれるし、それだけじゃ無理なものは持ってこれない。

植物を持ち帰りたい場合、小さい草を土ごとすくい取って持ち帰ることはできるかもしれないが、木をまるまる一本持ち帰るのは技術的に難しいといえる。
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 23:03:25.32 ID:E26OiQSJo
おつ
木は種とってきて育てる形になるか?
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/17(金) 23:06:21.49 ID:GyZwpHVVO
>>197
その方法なら可能です
デジタルワールドにいるデジモン以外の生物(植物、微生物、菌類など)の性質は現実のそれとだいたい同じだと思ってもらって大丈夫です

リン、カリ、窒素に相当する性質の養分も、デジタルワールド内の土壌に含まれています
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/17(金) 23:09:17.59 ID:XW3QfTXZo
デジタマと一緒にデジタルワールドの植物の種も一緒の環境で育てて兄弟同然にしてみる
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/18(土) 18:12:10.12 ID:mPABvh3Lo
デジモン捕まえることで生態系に影響出ないかが心配だな
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/18(土) 19:47:33.81 ID:vLHlyxvc0
まずは一匹から?
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/18(土) 20:57:15.85 ID:yVMC4+05O
まずは、デジタマを捕獲しよう。
環境を整えるのは、その後でいいだろう。

さて、まずは1個キャプチャーしよう…
場所と系統を決めてほしい。

場所は…↓1
@森林
A熱帯雨林
Bサバンナ
C海中
D川

系統は…↓2
@脊椎動物型
A軟体型
B節足動物型
C無機物型
D植物型
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/18(土) 20:58:49.49 ID:i+dHvPPr0
1
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/18(土) 21:01:16.89 ID:gN2BOBaLo
1
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/18(土) 22:02:33.79 ID:yVMC4+05O
我々は、デジドローンを飛ばし、森林を探し回った。

脊椎動物型デジモンを探しているが…

そういえば、森林にはまだ脊椎動物型デジモンは進出していなかったようだ。

もう森林まで来てしまったし、代わりに他の系統のデジタマを捕獲しよう。↓
A軟体型
B節足動物型
C無機物型
D植物型
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/18(土) 22:02:47.70 ID:9xj6lspe0
5
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/18(土) 22:23:07.91 ID:yVMC4+05O
森林から採集した細い枯れ木を、アームで加工し、小さな小屋を作った。
一般家庭のような平和な環境を再現したとき、どう成長するかを確かめるためだ。

そして、森林からは土や小さな植物、低木の種も採取して、栽培を試みた。

デジタマを捕獲する前に、まずはこれらの植物がうまく成長できるか確かめよう。



数日経過したが、植物の成長はやや遅い。
肥料は足りている。
光量が足りないのだ。

我々はビオトープの照明を増築し、光量を強化した。
これで植物型デジモンも育つだろう。

さて、ビオトープは完成。
森林から植物型デジモンのデジタマを捕獲した。

孵化を待つこととしよう。
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/18(土) 22:26:39.05 ID:yVMC4+05O
やがて、デジタマからデジモンが孵化した。
https://i.imgur.com/IYR03w0.jpg

発芽したばかりの種子のようなデジモン…ニョキモンと名付けた。

キノコなどを与えてみよう。

さて、このデジモンには何か、マシンアームで刺激を与えてみるか…?↓
@特になにもしない
Aなにかしてみる(内容を具体的に)
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/18(土) 22:28:08.09 ID:mPABvh3Lo
1
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/18(土) 22:37:00.74 ID:yVMC4+05O
我々は、特にニョキモンに何かしようとはしなかったが…
マシンアームによる餌付けは行った。

そうして育成していると、やがてニョキモンは美しい花を咲かせた。

https://i.imgur.com/B0YnRSd.jpg

花の咲いた球根型デジモンへ進化したのである。
私は、この種の名前としてキュウコモンという名称を提案したが…
ピョコピョコ動くからピョコモン、と名付けられた。
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/18(土) 22:40:42.41 ID:yVMC4+05O
ピョコモンは、マシンアームでキノコの餌付けを行うとき、自身の花をアームに見せつけてくる。

何かをアピールしているのであろうか…?

ピョコモンは、たまに地面に潜って睡眠をとることもあったので、肥料の提供も行った。



ピョコモンはやがて成長期になるだろう。

デジモンが成長期になる際は、外界からの刺激が大きく作用する。


退屈そうにしているピョコモン。
何かしてみるか…?↓
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/18(土) 22:41:42.15 ID:HWe9Pk/q0
マシンアームを猫じゃらしのように使って興味を持たせてみる
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/18(土) 22:42:11.15 ID:hlFQaRKd0
撫でてみた
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/18(土) 22:55:18.38 ID:yVMC4+05O
我々は、ピョコモンとのコミュニケーションを試みた。

猫じゃらしのような玩具で遊んでやったり、撫でたりしてみた。

ピョコモンは、マシンアームが餌をくれる存在だと気づいたのか、我々に懐き始めた。

もっと遊びたい、もっと美しくなりたいという欲求が強まったためか…
美しい花と、器用な手をもつデジモンへ成長した。
https://i.imgur.com/mpGQb04.jpg
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/18(土) 22:56:25.68 ID:yVMC4+05O
美しい花から、フローラモンと名付けられた。

さて、成長期まで成長したが…
これからはどう育ててみようか…?
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/18(土) 22:56:54.84 ID:yVMC4+05O
つづく
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/18(土) 23:01:09.56 ID:HWe9Pk/q0

218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/18(土) 23:02:34.61 ID:l0vJx1N3o
おつおつ
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/18(土) 23:02:53.78 ID:9xj6lspe0
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/18(土) 23:05:04.02 ID:hlFQaRKd0
植物か
水でもやるか
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/19(日) 15:01:03.88 ID:i6sVE+xYo
植物型は植物と動物どっち寄りの飼育方法なのか分かんない
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/19(日) 21:45:14.96 ID:AZWALOW9O
私はフローラモンの飼育記録をレポートとしてまとめていた。

作業中、私は奇妙なことに気付いた。
削除したファイルは、私のPC環境設定では一度ゴミ箱へストックされる。
だが、ゴミ箱の中のファイルがどんどん減っている。
ひとりでに消えているのである。

これはコンピューターウィルスにでもやられたか…?と思い、セキュリティソフトでスキャンしたが、異常は検出されなかった。

フローラモンが何かしているのか…?とも思ったが、特に脱走の形跡はない。

このまま放っておいても、ゴミ箱のゴミファイルを削除する手間が省けるだけなので、無害といえば無害だが…
どうするか。↓
@放置する
Aフローラモンに調査を頼んでみる
Bその他、無理のない範囲で自由記述

223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/19(日) 21:46:50.43 ID:kYiVsyFVo
2
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/19(日) 21:48:37.29 ID:AZWALOW9O
我々は、フローラモンにコンタクトを試みた。
日本語と英語でメッセージを送ったが…
特に言語の教育などしていないため、単なる模様の羅列としか認識していないようだ。

どうにかして、フローラモンと意思疎通を取る方法はないだろうか…?
何か試してみよう↓1〜3
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/19(日) 21:51:09.29 ID:qpXYakgio
何をしてほしいかの動画を作って見せる
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/19(日) 21:55:59.31 ID:DNIulj0o0
幼児向けの学習用教材のデータを置く
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/19(日) 22:00:39.53 ID:tzfwZJ5P0
ジェスチャー
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/19(日) 22:28:13.23 ID:AZWALOW9O
私は、これを研究のためのいい機会だと考えた。

デジモン研究をしていると、よく聞かれるのだ。
「その研究は金になるのか?」と。

もしもデジモンと意思疎通を行い、課題解決をさせることに成功すれば…
金になるかは分からないが、我々の生活の向上のために役立てることはできるようになるかもしれない。

手始めに、幼児向けの学習用教材のデータをビオトープ内に置いてみた。
インストールは完了しているため、操作して遊ぶことはできるだろう。



フローラモンの知能がどの程度か、だいたい判明した。
例えるなら小型犬くらいである。

何不自由なく餌が手に入り、遊んであげるくらいしか刺激もなかったため、課題解決能力がそれほど発達しなかったようだ。

教材ソフトの内容も、あまり理解していないようだ。
簡単なパズルゲームばらば、操作して遊べるようだが…。
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/19(日) 22:33:49.91 ID:AZWALOW9O
だが、小型犬を侮るなかれ。
ミニチュア・ダックスフンドなどの犬種は、訓練を積ませることで、巣穴の中に潜むアナグマを捕らえるための猟犬として働かせることも可能だという。

つまり、このフローラモンも。
訓練を積ませれば、単独でミッションを解決することはできずとも、パートナーとして手伝うことはできるようになるかもしれない。

我々は普段、デジタルワールドの観察をするために、デジドローンというアイテムを使っている。
カメラとマイクを搭載した小型偵察機だ。
これを介して受信した情報を、デジクオリアで映像化しているというわけだ。

つまり、これの「逆」を行うことで、フローラモンとテレビ通話ができるようになるかもしれない。
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/19(日) 22:44:27.02 ID:AZWALOW9O
パソコンにマイクを取り付けて、入力した音声情報をデジクオリアによって「逆変換」することで、デジタルワールド内の空気振動に対応させる。
これをドローンから発することで、我々の声を音声信号として送信することができる。

カメラで撮影した映像ならば、デジクオリアで変換することで、デジタルワールドの光波長へ対応させることができる。
これをドローンから投映すれば、ビオトープの壁へ我々の姿を映し出せるだろう。

試しに、私の姿を壁に映し出し、話しかけてみた。

フローラモンは困惑して映像を眺めている。

私は、「キノコだよ、お食べ」と言い、キノコの写真を見せた後、フローラモンへ餌をあげた。
すると、フローラモンは私を「自分に餌付けをしてくれている者」と理解したらしく、映像に対して甘えてきた。

ふむ、高感度は申し分ないようだ。
言葉はまだ通じていないが、これで何らかの意思疎通はできるかもしれない。

それこそ猟犬だって、訓練すれば単語2つ分くらいの命令は理解できるというではないか。

先程の教材ソフトは、人間の幼児基準で作られたものだったから難易度が高すぎたようだが…
もう少しレベルを落として、何かしらのトレーニングをしてみてもいいかもしれない…。
何かしてみるか…?↓1〜3
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/19(日) 22:47:47.97 ID:QMwDTFMZ0
文字を見せてどう発音するか教えたら喋れるか試す
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/19(日) 22:51:14.28 ID:odJxakm/o
紙芝居を見せる
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/19(日) 22:55:08.31 ID:qUYpQErT0
一番レベルが低い教材ソフトから勉強させる
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/19(日) 23:03:41.30 ID:AZWALOW9O
フローラモンが言葉を喋れるようにできないか?と思い、平仮名文字と音声を関連付けさせてみた。

その結果、数日の訓練を続けるうちに、我々の発した音声と、文字を書いたカードの対応関係を理解するようになった。

だが、フローラモンの声帯は、我々の言語が喋れるほど発達してはいないようだ。
そのため、フローラモン自身が言葉を発することは難しいといえるだろう。

そのまましばらく教育を続けていると…
「キノコ」
「土」
「水」
など、ビオトープ内にある物体の名詞については、理解できるようになった。

思っていたよりも、言語習得のスピードが早い。
デジモンは、訓練によってどんどん個体の能力が上がるということだろうか。

そういえば、スターモンの子供達…ゴツモンもそうだった。
厳しい鍛錬の結果、成熟期のベジーモンよりも強くなっていた。
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/19(日) 23:08:45.73 ID:AZWALOW9O
しばらく教育を続けてわかったが…
どうやらフローラモンという種を「人間と同レベルの知能になるように教育しよう」とするのは、少々酷なようだ。

紙芝居を見せたり、教育ソフトをやらせようともしたが…
そもそも、我々がフローラモンに何を求めているか、という目的の共有に至ることが難しい。

猟犬のトレーナーは、別に猟犬を人間と同程度の知能になるよう教育しようとは考えない。
猟犬には猟犬の、身の丈にあったレベルを求め、それに応えれるようになれば十分なはずだ。

我々はフローラモンへの教育レベルを、猟犬とかチンパンジーぐらいのことができれば十分だ、というように方針転換することに決めた。
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/19(日) 23:13:27.99 ID:AZWALOW9O
さて、どういう教育をするか…。

ところで、フローラモンの年齢は、既にサバンナのベタモン達が成熟期へ進化したときの年齢を過ぎている。

どうやらデジモンは、放っておいても成熟期へと成長する…というものではないらしい。
周囲の環境へ適応するために、さらなる力と単為生殖能力を手に入れるようだ。

このままフローラモンへ、今までどおりに教育を続けたとしても…
成熟期には進化しないかもしれない。

どんな刺激を与えるべきだろうか…?
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/19(日) 23:16:44.22 ID:qUYpQErT0
特に刺激がなく外敵に襲われない場合の寿命はどんなもんか
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/19(日) 23:17:12.44 ID:AZWALOW9O
考えてみれば、理に適っているといえる。
今のままの姿で、何も不自由していないのだから。
わざわざ成熟期へ進化して代謝量を増加させる必要はないし、デジタマを産んで限られた(?)餌を奪い合う相手を殖やす必要もないといえる。

むしろ、進化の機会を無駄に消費して、環境が現在の状態から変化したときへの適応のチャンスを失うのは勿体無いともいえる。

フローラモンをどう育てるか…
根本的に考える必要がありそうだ。
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/19(日) 23:23:15.31 ID:AZWALOW9O
ところで、私のパソコンのゴミ箱の件だが…
既にゴミ箱の中のファイルは空になってしまった。

そして、恐ろしいことに…
ネットからダウンロードしたファイルが自動的に入る「ダウンロードフォルダ」の中身が、少しずつ消えてきている。

今のところは幸い、ずっと前にダウンロードして、そのまま消し忘れて放置しておいた不要なファイルが消えているだけだが…
このまま放置したらどうなることか…。

とりあえず、キノコ生成用のデータマイニングソフトで適当な大容量データを生成し、ゴミ箱へしこたま放り込んでやることで、なんとか重要なデータが削除されないようにしている。

現在、このPCはネットワーク上から切断し、完全なスタンドアローンにしてある。
重要な研究データはすべて退避し、新しいパソコンへ保存済みだ。

このパソコンは、一体何によってこんな状態にされているのだろうか…?
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/19(日) 23:23:53.84 ID:AZWALOW9O
続く
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/19(日) 23:30:07.76 ID:6JLtcoe1o
ネットに繋いでた頃から潜伏してたウイルスプログラムが今になって起動したか?
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/20(月) 09:24:33.19 ID:VGi/XOyQ0
お腹いっぱいにしてからパソコンの仲間に散歩させるか
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/21(火) 11:39:29.05 ID:j5/3xf5Ko
流石にやらない日もあるか
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/21(火) 14:05:40.33 ID:TN/ZHASz0
デジモンは良い感じの挿入歌流れたら進化するのでは無いのか!?
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/21(火) 22:51:02.67 ID:oig8socFo
現在このPCは隔離状態にあるため、ひと安心…
…ではない。

私が今使っているサブPCは、今危険な状態にあるメインPCよりもはるかに性能が劣る。
決してサブPCも一般家庭用のPCに比べて性能が低いというわけではないが…
メインPCは、ビッグデータ分析用のモンスターマシンである。
これが使えないと、我々の研究はかなり遅れることになる。

メインPCでやっていた作業が具体的に何かというと…、デジモンの肉体構造解析と、進化のシミュレーションによる数理モデル予測である。

これらの解析作業用に作成したデータマイニングソフトは、サブPCでキノコ栽培用のデータ生成にも流用している。

つまり、このゴミ箱異変を解決しない限り、我々の研究は滞ってしまうことだろう。
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/21(火) 22:51:50.77 ID:0TYCeeGso
おひさ
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/21(火) 23:00:29.39 ID:oig8socFo
余談だが…
そもそも、何故フローラモンの餌としてキノコ栽培をしているのかだが…
結論から言うと、今の我々の技術で栽培できる唯一のデジモン用飼料だからである。

このキノコは、デジタルワールドに存在するデジタケという菌類の子実体である。
デジタケは、デジタルワールド内で、枯れた植物や、死亡したデジモンの肉体を分解しながら繁殖している。
そして、菌糸が受精を行うと、子実体であるキノコを作って胞子を飛ばすのである。

我々は当初、このキノコを持ち帰り、適当なゴミデータを複製しまくって与えてみた。
だが、無価値なゴミデータでは、生育があまり早くはなかった。

そこで、先述のデータマイニングソフトにデジタルワールドの各種情報を与えて、シミュレーションデータを生成し、これをデジタケに与えたところ、デジタケは以前とは比較にならないほど発育した。

正直言うと、このシミュレーションデータはそれ単体で論文の材料にできるほど価値のある情報であり、キノコ栽培の餌にするのはやや惜しい。
どうやらデジタケは、容量の大きなデータよりも、情報量の多いデータを好むらしい。

データの情報量は、複製されるほど薄まってしまう。
そのため、キノコ栽培用に出力したデータは、非常に惜しいが複製せずにそのままキノコへ与えているのである。

248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/21(火) 23:05:45.36 ID:oig8socFo
さて。
我々研究グループでは、今意見が真っ二つに分かれている。

メインPCの調査のために、フローラモンを利用するべきかどうか、という点である。

フローラモンは、とても人懐っこくはあるものの…
毎日遊びながら何不自由なくストレスもなく暮らしていたせいで、なんというか…問題解決能力が、我々の期待よりもやや低いのである。

そもそもフローラモンは、「ストレスをほとんど与えずペットのように育てたらどうなるか」という実験のために育成したデジモンである。
ミッションをこなさせる実験用の個体ではない。

故に、フローラモンを今回の目的に使うのはやめて、ミッション用に別の個体を飼育・訓練すべきではないかという意見が出たのである。
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/21(火) 23:07:06.82 ID:oig8socFo
さて、君達の意見を聞きたい…
どうすべきだろうか?↓1〜3
@ミッション用に新しいデジモンを飼育する
@フローラモンに訓練を積ませてメインPCミッションをさせる
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/21(火) 23:07:41.88 ID:H4gsY8Zf0
2
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/21(火) 23:09:41.47 ID:kS4p0O4do
わけもわからず働かされるのは可哀想だけど
2
意志疎通出来れば事情は説明出来るのにな
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/21(火) 23:13:58.55 ID:QEEfFGeho
2
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/21(火) 23:16:53.85 ID:H4gsY8Zf0
非戦闘用で挑むのも怖いけど、下手に育成に時間かけるとゴミ箱の奴が進化してたら勝てなくなるしなぁ…
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/21(火) 23:20:11.81 ID:oig8socFo
我々は相談した結果、両方の案を採用することに決めた。
すなわち、私がフローラモンの訓練を行い、他の人員がミッション用にもう一体のデジモンを飼育することに決めたのである。

…こんな面倒なことになるくらいならば、もういっそメインPCはフォーマットしてしまえばよいのでは?という意見を主張する者もいた。

だが、それは研究者にあるまじき行為だ。
あらゆるセキュリティソフトで検出されない、不可思議な事象。
もしかしたらデジモンが起こしているのかもしれない。
そうであれば、この事態を解明すれば、大きな研究成果となるのである。

それに、これはピンチというより逆にチャンスともいえる。
もし、これと同じ事象が、金融機関のデータベース等で発生したら一大事だ。
そのような事態が起こる前に、サンプルをスタンドアローンの状態にできたのは幸運と言えよう。
ならば、これと同じ「ウィルス」がいつかネットを脅かすことに備え、我々で「ワクチン」を作ることは有益な研究といえるだろう。
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/21(火) 23:24:40.36 ID:oig8socFo
さて、フローラモンの飼育によって、デジタマから育てたデジモンは育て方次第で人に懐くことが分かった。

そのため、今回もデジタルワールドからデジタマを採取し、それを育てることにしよう。

これまでに我々が観察した成熟期以上のデジモンの中で、どのデジモンのタマゴを採取しようか…?↓1
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/21(火) 23:26:46.71 ID:kS4p0O4do
ジャガモン
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/21(火) 23:31:33.20 ID:oig8socFo
そうだ。
最強の戦闘能力を持ち、平和を愛するが故に己を律する理性を持ち、秩序の守護のために働いてくれる…
まさしく守護神のようなデジモンがいるではないか。

我々は、デジタルワールドの森林へデジドローンを飛ばした。
そして、目的のデジモンのいる場所へ到達した。


…そこには、体からたくさんの苔を生やしながら眠る、守護神ジャガモンの姿があった。

寝ている…。そう。ジャガモンは眠っている。
代謝量を極限まで下げているのである。

これだけ代謝を下げていれば、産卵という大変なカロリーを要する行為などしないのではないだろうか…?
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/21(火) 23:32:02.10 ID:H4gsY8Zf0
せやろな
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/21(火) 23:35:53.04 ID:oig8socFo
女性研究員が、とんでもないことを言い出した。
「ジャガイモっぽいし、体表の岩を持ち帰れば、種芋みたいに殖えるのでは?」と。

なんてことを思いつくんだ。いろんな意味で。

そんなことよりなら、私は二代目スターモンあたりのデジタマを採取した方が良いと思うのだが…

どうするか…?↓
@ジャガモンの岩の採取を試みる
A二代目スターモンのデジタマを採取する
B他のデジモンのデジタマを採取する(親デジモンの種を指定可能)

260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/21(火) 23:37:13.55 ID:H4gsY8Zf0
3 ディノヒューモン
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/21(火) 23:45:28.62 ID:oig8socFo
デジモンの形質は、ある程度子に受け継がれることがわかっている。

ただ強いデジモンが欲しいのであれば、モリシェルモンやスナイモン等のデジタマを採取すればよいのだろうが…

今回のミッションを成功させるには、戦闘能力よりも必要なものがある。
知能が高く、手先が器用であり、高い課題解決能力を持ったデジモンの遺伝子が欲しい。

スターモンもいいが…
ディノヒューモンはどうだろうか。

研究チームは皆、満場一致でこの案に賛成した。
私はサバンナへデジドローンを飛ばし、ディノヒューモン農園を目指した。
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/21(火) 23:54:24.76 ID:oig8socFo


ディノヒューモン農園を、デジドローンで上空から観察した。

すると、あまり目立たないところに、ディノヒューモンが産んだと思われるデジタマがいくつか安置されていた。

デジドローンを、デジタマへ近づけると…
物凄い勢いでフロッグモンが近寄ってきた。

https://i.imgur.com/Lqq8V5L.jpg

私は、やばいと思って、咄嗟にデジドローンをゲートを通じて回収した。

デジドローンがゲートから出てきた直後…。
なんとゲートの穴から、凄まじい勢いでフロッグモンの舌が飛び出てきた。

危なかった。
もう少し遅れていたら、デジドローンはフロッグモンの舌に捕らえられ、そのまま食べられてしまっていたであろう。
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/21(火) 23:59:28.93 ID:oig8socFo
私は、フロッグモンが寝鎮まるのを待った。

フロッグモンが寝た後、デジタマ安置場へデジドローンを飛ばしてみた。

すると…

安置場には、3匹程の成長期デジモンがいた。

https://i.imgur.com/jKtpaqC.jpg

トカゲのような姿をしたデジモン。スナリザモンと命名した。
くっ…!警備されている!
なんと抜け目のない。


余計にこのデジタマが欲しくなった。
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 00:01:25.49 ID:EbrqXzspo
めちゃくちゃ頭良くなってやがる
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 00:02:52.86 ID:Jl+BO5HSo
私は、安置場からやや離れたところへ、データマイニングで生成したデジタケをばら撒いた。

すると音を聞きつけたスナリザモン達は、デジタケに気づき…
それへ群がり、夢中で食べ始めた。

きっと夜中の警備でお腹が空いていたのだろう。
夜食をしているスナリザモンを横目に、私は無防備になったデジタマ安置室へ、デジモンキャプチャーを放った。

マシンアームが、ディノヒューモンのデジタマへと伸びる…!
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 00:04:51.19 ID:YGfvjJbc0
貴重な餌やったんだ
等価交換じゃい
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 00:05:01.14 ID:bHBDydkB0
流石に卵に近づく奴らの警戒はするか
飼育するにも知能高そうな奴らは便利そうなんだよなぁ
成長期もチビカメモン・ブイモン・スナリザモン確認できてるし
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 00:10:19.64 ID:Jl+BO5HSo
捕獲成功!

マシンアームは、見事にディノヒューモンのデジタマを掴んだ。

スナリザモンが戻ってくる前に、私はゲートを通じてデジタマを回収し、ビオトープへ置くことに成功した。

…デジドローンでその後の様子を観察すると…
デジタケを食べ終わったスナリザモン達は、デジタマ安置場へ戻ってきた。

デジタマの数が減っているのには、気付いていない様子だ。
何食わぬ顔で警備をし続けている。

…翌朝。
スナリザモン達は、ディノヒューモンに怒鳴られ、叱られていた。
3匹ともゲンコツで頭を軽く殴られていた。

…すまない、スナリザモン達。
君達は何も悪くない。
だがまあ、こちらにも切実な事情があるのだ。許してくれ。

その日の正午には、デジタマ安置場の前には、サラマンダモンが一匹陣取っていた。
https://i.imgur.com/otf3yLw.jpg

あいつ、兄弟の農園に合流していたのか…。
おそらく、次のチャンスはもうないだろう。
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 00:12:36.48 ID:bHBDydkB0
次からは別のところからキャプチャしないと駄目か
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 00:15:17.75 ID:Jl+BO5HSo
さて。このデジタマだが…
フローラモンと同じビオトープで育てるか?
あるいは、別の環境の部屋を用意するか。

どちらがよいだろうか…↓
@フローラモンと同じビオトープで、いっしょに育成する
A同じビオトープで、柵で縄張りを区切る
B異なる部屋にする(どんな環境にするか指定可能)
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 00:16:22.65 ID:UczbG0vUo
1
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/22(水) 00:20:53.92 ID:6lnfE1DtO
1で
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 00:22:33.31 ID:Jl+BO5HSo
私は、フローラモンと同じビオトープで、ディノヒューモンのデジタマを飼育することに決めた。

調査ミッションでは、デジモン同士の連携も重要になるかもしれない。
できれば、仲良くなってほしいものである…。

やがてディノヒューモンのデジタマからは、幼年期デジモンが産まれた。
https://i.imgur.com/KDOKhOM.jpg

ぼた餅に似てるからボタモンと名付けられた。
ディノヒューモンが幼年期だった頃は、確かツブモン、ウパモンという両生類型デジモンだった筈だが…
ついに幼年期から完全に陸上適応に成功したようだ。
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 00:26:40.28 ID:Jl+BO5HSo
これからは、ボタモンの飼育と、フローラモンの訓練の両方が始まる。

…正直、ボタモンにはかなり期待している。
見ただろうか、ディノヒューモンの農園を。
あの農園は、デジタマの警備のためにデジモンを配備できるくらいまで指揮系統が整っていた。
つまり、デジモン間で意思伝達を行い、組織運営ができているということだ。

その遺伝子を受け継いだボタモンは、果たしてどう育っていくのであろうか…。




そして最近、メインPCでは…
データマイニングソフトをフル稼働させてデータを生成し、ゴミ箱へ放り込みまくっているのだが…

だんだん、追いつかなくなってきている…気がする…。
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 00:27:19.17 ID:Jl+BO5HSo
つづく
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 00:30:40.82 ID:oq0Rey09o
おつおつ
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 00:36:48.29 ID:bHBDydkB0

データ捕食量増えてるってことはだいぶ力溜めてきてんな
飼育してる2体が負けたら、物理的にPCクラッシュさせて倒すしかないかな?
278 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2021/12/22(水) 02:36:27.51 ID:jfYAemiI0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 19:13:14.79 ID:H7rUJfFmO
研究チームのリーダーは言った。
もしもPCの異常がデジモンの仕業ならば、そこにはデジモンが住めるデジタル空間があるということ。

そうであれば、デジドローンを飛ばして様子を確認できるのではないか、と。

言われてみれば確かにそうだ。
異常の起こっているPCは、以前デジタルワールドの観測にも使用していた。
そのため、デジドローンとデジクオリアはいつでも使える状態だ。

メインPCの中にデジドローンを飛ばし、異常の原因が何かを確かめてみるべきか…?↓
@確かめよう
Aフローラモンをドローンの護衛につける

280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 19:17:58.47 ID:860FUYxno
1
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 19:38:37.26 ID:H7rUJfFmO
フローラモンをドローンの護衛につけてはどうかという案が出た。

フローラモンに、コンピューターへの潜入経験を積ませて鍛えるためだと。

だが私は2つの理由で反対した。
1つめは、フローラモンは戦闘経験があまりにも不足しており、万が一成熟期の肉食デジモンと鉢合わせになったら一環の終わりであるため。

2つめは、フローラモンを入れる記録媒体の問題だ。
仮にフローラモンをフラッシュメモリ経由で問題のPCへ接続した場合、そのフラッシュメモリにデジモンが侵入する可能性があり得る。
そうなった場合、フローラモンを元のビオトープへ戻したとき、ゴミ箱のデジモン(仮)は我々のネットワークへ侵入することになる。

それではせっかくスタンドアローンにした意味がない。

デジモンを送り込める機会は、たった一度…と考えるべきだろう。

よって今回は、デジドローンを単体で送り込むものとする。
レスポンスを上げるために、一時的にデータマイニングを止めた。

いざ、発進!デジドローン!
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 19:42:15.53 ID:H7rUJfFmO
デジクオリアを起動しようとすると…

「ライセンスが認証できません」の警告ダイアログが表示され、起動に失敗してしまった。

あッッッッ!!!
そうだった!!!

デジクオリアは、有償のお高いソフトウェアである。
不正コピー品が使われないように、起動時はライセンス認証が必須なのである。

そのため、スタンドアローンのPCでは起動できない…!
これは…まいった。
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 19:46:25.26 ID:H7rUJfFmO
我々は、開発元に連絡し、あらん限りのお願いをした。
その結果、見事説得に成功し、スタンドアローンでもデジクオリアを起動できるように、USBドングルを送付して貰えることになった。

ただし、デジクオリアの品質改良のため、事態の収集がついたらデジクオリアの映像をブルーレイROMに焼いて送付するように、との依頼を受けた。

デジモンは生きたデータであるため、一度焼いたらデータを書き換えできないタイプのROMには侵入できないのである。

我々は交換条件を承諾し、2日後にドングルが送付されるのを待つこととなった。
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 19:46:28.94 ID:oq0Rey09o
おう、誤魔化せ(反社)
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 19:52:48.72 ID:H7rUJfFmO
ドングルでPCのゴミ箱を調査できるのは、最短で2日後である。
それまでは、フローラモンとボタモンの訓練をして待つしかない。

さて、現在のビオトープは、訓練とは無縁の快適空間である。

ここをトレーニング場へと改築しなくてはならない。
我々はフローラモンの飼育から得たデータにより、デジタル空間の構築技術を向上させ、面積を倍まで増やせるようになった。

現時点で必要な訓練は、コミュニケーションの訓練と、戦闘の訓練である。

果たして、どうやってトレーニングをさせればよいのだろうか…?
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 19:58:49.31 ID:H7rUJfFmO
デジモンの訓練の仕方など分からん!!

分からんなら分からんなりに、方法はある。
自分たちで考えてもラチが開かないので、デジタルワールドを観察し、実際に戦闘訓練のやり方を見て真似すればいいのである。

我々はデジドローンをディノヒューモン農園へ飛ばし、スナリザモン等をどうやって訓練しているのか、観察して訓練方法をパクることにしたのである。

まさか、我々がデジモンの生み出した技術をパクることになるとは…。
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 20:10:38.75 ID:H7rUJfFmO


ディノヒューモンは、スナリザモン2匹とカメモン2匹、サラマンダモンを連れて農園の外に出た。

一向は、サバンナを歩き回り、食糧を探したり、長い木の枝を集めている。

その途中で、一向は3匹の昆虫デジモン達と遭遇した。
うち2匹はクネモン。
もう一匹は…

https://i.imgur.com/qYPXl7d.jpg

鋭い毒針を持った蜂型デジモンだ。
フライビーモンと命名した。

フライビーモンは、針を出してスナリザモンへ飛びかかってきた。
ディノヒューモンは、武器でスナリザモンを守り、サラマンダモンと二人がかりでフライビーモンと戦った。

ディノヒューモンの武器と、サラマンダモンの炎が、フライビーモンを追い詰めていく。

やがてフライビーモンは、空を飛んで逃げていった。
残されたクネモン2匹は、スナリザモンと死闘を繰り広げた末に、スナリザモン達の噛みつき攻撃をくらって力尽きた。

スナリザモン達は、クネモンの死骸を捕食した…。



…なるほど。
ディノヒューモンは、実戦形式で訓練しているのか。


参考になるか?これ…
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 20:16:08.95 ID:H7rUJfFmO


どうするか…↓1〜3
@デジタルワールドの中で、弱肉強食の武者修行させる。危なくなったらゲートを通じて避難できるようにする
A訓練用のボットを作り、戦わせる(よくて幼年期以上成長期未満の強さ)
Bデジドローンを改良して成長期デジモンをキャプチャーできるようにし、ビオトープ内で戦わせる
Cその他、無理のない範囲で自由記述
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 20:19:50.87 ID:860FUYxno
2
訓練用のポッドもデータ集めて実戦投入できるくらい高性能にしてこう
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 20:19:57.49 ID:pwrkwLp1o
1
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 20:20:37.12 ID:OX2rsB9u0
3
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 20:22:52.23 ID:Ox9MOG/T0
4
フローラモンはまともに攻撃させること諦めて最低限の護身と知識と演算能力とその他のボタモンサポート特化の方向に伸ばす
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 20:26:50.44 ID:E0nAvOs0o
2
人間が育てたデジモンなら人間のやり方で鍛えてみよう
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 20:28:20.34 ID:H7rUJfFmO
様々な案を組み合わせることにした。

第2ビオトープとして、コロシアムを作るのである。

そしてデジドローンの技術を応用し、戦闘訓練用のボットを作った。

マシンアームに木の枝のハンマーを振ることができる飛行物体である。

デジドローンの中にはキノコが詰められており、ドローンを破壊すると中のキノコを食べられるようになっている。

これを使い、デジモン達の訓練をすることにした。
フローラモンと、ボタモンを…

https://i.imgur.com/FdNwiJs.jpg

…うおっ!?いつの間にか進化している。
ボタモン改めコロモンを、このコロシアムへ放った。
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 20:32:01.26 ID:H7rUJfFmO
試作型ボット3体は、まずはフローラモンの方へ飛んだ。

フローラモンは、いつものように遊んでくれるのか?と思って、ボットへじゃれつこうとした。

だがボットは木槌でフローラモンを殴打した。
軽くポカっと叩く程度だ。

びっくりしたフローラモンは、泣きながらコロシアム内を逃げ回った。

我々は、いつものデジドローンを向かわせて、フローラモンへ敵と同じ武器を与えた。

フローラモンは、我々が味方だということは分かってくれたようだが…
木槌をぶんぶんとがむしゃらに振り回すだけであった。
ボットには一向に当たる気配はない。
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 20:36:12.52 ID:oq0Rey09o
かわいそうかわいい
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 20:37:15.00 ID:H7rUJfFmO
一方のコロモンは、ボットに木槌で叩かれると、シャボン玉のような泡を吐いて応戦した。

我々が木槌を与えると、コロモンは木槌を咥えた。

そのまま目の前のボットを叩くのか…と思ったら、なんとコロモンはぴょんぴょんと跳ねてフローラモンの方へ向かい、フローラモンと戦っている方のボットを背後から殴打した。

不意をつかれたボット。
3つ点灯していたランプのうち、1つが消えた。

コロモンは、再びボットを叩こうとするが…
空中を飛行しているため、コロモンの木槌は届かない。
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 20:38:05.31 ID:bHBDydkB0
愛玩用を戦闘用に再調教は矢張無理っぽいなぁ
デジモンとしての技もこれちゃんと使えるのか?
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 20:40:12.19 ID:E0nAvOs0o
ちゃんと不意をつくって概念を持ってるのか
悪くないセンスだ
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 20:41:05.85 ID:H7rUJfFmO
するとコロモンは、自分の木槌をフローラモンへ渡した。

フローラモンはきょとんとしている。

コロモンは、武器を持たず、ボットへ泡を吐きかけて攻撃(?)した。

このボットは「攻撃を受ける度にランプが1つ消える」という挙動をするため、こんなしょぼい泡攻撃でもランプが1個消えるのである。

コロモンはフローラモンに向かって吠え、その後ボットに向かって吠えた。

フローラモンは木槌を握りしめると、ジャンプしてボットを叩いた。

3つ全てのランプが消えたボットは、地面に落下し、パカっと蓋を開けてキノコを出した。
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 20:42:37.27 ID:oq0Rey09o
貫禄のバージョン1世代…こいつは期待できるぞ
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 20:44:49.44 ID:H7rUJfFmO
ボットはあと2つ残っている。
フローラモンは、両腕の花を開くと、花粉のようなものをボットへ吹き付けた。

霧散した花粉をくらったボット。
「攻撃を受ける度にランプがひとつ消える」…。
つまり、花粉をくらった数だけランプが消えることになる。
2機のボットは両方とも、一瞬で3つ全てのランプが消え、落下した。

コロモンとフローラモンは、喜びながらボットの方へ駆け寄った。
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 20:47:07.07 ID:H7rUJfFmO



…そのとき。
フローラモンの撒いた花粉を、コロモンが吸い込んでしまった。


コロモンは、涙と鼻水を出しながら、何度もくしゃみを繰り返した。

まさかフローラモンの花粉は、アレルギーを引き起こす作用があるのだろうか!?

これはまずい。
我々はコロモンをコロシアムからビオトープの水場へと転送した。

コロモンは、水場へ飛び込み、体を洗った。
数分後、ようやくくしゃみが止まったようだ。
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 20:50:18.24 ID:H7rUJfFmO
一方のフローラモンは、ドローンが落としたデジタケを集めていた。

フローラモンがすべてのデジタケを集め終わった後、我々はフローラモンをビオトープへ転送した。

アレルギーが収まったコロモンは、フローラモンを見つけると、不機嫌そうな顔をしたが…
フローラモンがコロモンへデジタケを差し出すと、コロモンはそれを食べた。

…ドローンを使った戦闘訓練は成功といったところか。
ただし、次はフローラモンとコロモンを一緒の部屋で訓練させるのはやめた方が良さそうだ。
あの花粉を何度もコロモンに吸わせるわけにはいかない。
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 20:53:18.40 ID:bHBDydkB0
吸わせ続けると逆に耐性付く進化したりして
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 20:53:21.03 ID:H7rUJfFmO


さて、初回トレーニングは完了だ。

次はどうするか…?
デジタルワールドを散歩させてみようかとも思ったが、そのまま脱走して帰ってこなくなる可能性もある。

どういう訓練をするか…↓
@デジタルワールドの中を散歩させる
A四輪車型ドローンと戦闘訓練させる
Bその他、無理のない範囲で自由記述
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 20:56:34.28 ID:oq0Rey09o
反復で連携強化……なら敵強くしてもいいか

2
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 20:57:09.81 ID:bHBDydkB0
2 脱走の可能性あるのは困るな
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 21:06:03.05 ID:H7rUJfFmO
何度か、それぞれに飛行型ドローンとの戦闘訓練を積ませてみた。

慣れてきたフローラモンは、これをゲームだと思ったらしく、それなりに楽しんでいる。

一方のコロモンは、自分の力不足を感じているのか…
高くジャンプする練習をしたり、泡を勢いよく吐く練習をしている。

やがて、コロモンは興味深いことをし始めた。
土で泥のボールを作り、それをフローラモンへ渡したのだ。

フローラモンは、最初それをプレゼントか何かと思ったらしく、自分の寝床へ飾った。

だが、コロモンは新しくボールをいくつか作ると、そのうちの一個を壁に投げた。
そして一個をフローラモンへ渡すと、コロモンは木槌を咥えて、先程ボールを投げた壁の前に陣取った。

フローラモンが、優しく泥のボールをコロモンに向かって投げると…
コロモンは、そのボールを木槌で叩いて破壊した。

フローラモンとコロモンは、このスポーツを気に入ったらしく、暇を見つけてはこのスポーツをやるようになった。
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 21:09:15.92 ID:E0nAvOs0o
ベースボールはじめおった…
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 21:10:50.50 ID:bHBDydkB0
やっぱ2体いた方が互いに刺激与える関係になって成長にはいいな
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 21:11:56.94 ID:H7rUJfFmO
フローラモンとコロモンは、昼食をとってしばらくすると、木槌を持ってデジドローンの前に来た。

今回は少し強いボットを開発したので、それと戦わせてみよう。

コロシアムに二匹を転送した。

やがて、2機のボットが出現した。
これらは飛行はできないものの、四つの車輪で縦横無尽にコロシアム内を走行した。

そして、主砲からゴムボールを勢いよく発射した。

ゴムボールをくらったフローラモンはよろめいた。
いつもよりも強いことに気づいたらしい。

花粉を撒き散らすものの、ボットは花粉の射程の外からゴムボールを発射し、フローラモンを攻撃する。

フローラモンはひぃひぃと逃げ回った。
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 21:17:09.91 ID:H7rUJfFmO
フローラモンは、やがてボットが発射したゴムボールを拾うと、それをボットへ投げ返した。

ボットは素早く走ってボールを回避した。

ちなみに、2機のボットのうち、現在フローラモンと交戦している機体は私が操作している。

フローラモンは悔しがったが、再びゴムボールを拾い、ボットへ投げた。



一方コロモンは、ゴムボール攻撃を浴びっぱなしであった。
スピードもパワーもフローラモンより遅く、ゴムボールを投げ返すのも不得意なコロモン。

容赦なくゴムボールを連射するボットに対して、コロモンは弱々しくゴムボールを投げ返すも、ボールは一向に当たらない。

コロモンは、ボットを睨んだ。
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 21:19:11.48 ID:E0nAvOs0o
コロモン手も足も出ない
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 21:27:45.75 ID:H7rUJfFmO
コロモンは、コロシアムの周囲を見回すと…

あるものを発見し、それに近寄った。

コロモンが発見したのは、研究メンバーの一人が前回の訓練で出しっぱなしにして片付け忘れていた飛行型ボットであった。

コロモンは、飛行型ボットをつっついている。

私は飛行型ボットのコントローラーをコロモンへ渡した。

コロモンは、舌を使ってコントローラーをいじくっているが…
あまりうまく飛行型ボットを操作できていない。

そうこうしている間に、四輪型ボットはコロモンへ接近し、ゴムボールを連射した。
何発もゴムボールをくらったコロモンは、悔しそうに涙を流した。
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 21:31:02.29 ID:y0sW4Why0
頑張れコロモン諦めるな
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 21:33:21.78 ID:bHBDydkB0
その現状を打破しようと模索する姿勢素晴らしい早く進化しないかな
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 21:35:54.09 ID:T/Jw4WRro
手も足も生えてないから手も足も出せなくなる
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 21:47:01.78 ID:H7rUJfFmO
すると、なんとコロモンは…
何を思ったのか、飛行型ボットとコントローラーを食べた。

え!?食えるの!?
まあ、このボットはデジタルワールドの鉄で作ったわけじゃなく、ソフトウェアに質量を持たせたものだから、デジモンなら食えるのかもしれないが…
食うの!?なんで!?

ボットを食べたコロモンは…
光に包まれた。

やがて光が消えると…
コロモンの姿は変わっていた。
https://i.imgur.com/y9srYZC.jpg


!?!?!?
審議!!!!審議だ!!!
何だこれは!?!?
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 21:50:37.06 ID:bHBDydkB0
コマンドラモンに進化か、ある意味らしくはあるな
手持ちの銃器で遠距離に攻撃できる、手も器用に使える、それにボットとコントローラーのサイバー要素だし
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 21:53:30.85 ID:H7rUJfFmO
まるでコマンド部隊のような装備に身を包んだ、爬虫類型デジモン。

自動小銃のようなものを持っている。

これは…環境に適応するために…
ボットのデータを吸収し、機械の兵装を身に着けたとでもいうのか!?

我々は唖然とした。
これまでは生物らしい進化をしていたデジモンという存在が、突如我々の技術…機械を吸収し、それを獲得したのである。

コロモンの新たな姿には、コマンドラモンという名前がつけられた。

コマンドラモンは、自動小銃を四輪型ボットへ連射した。
ゴムボールより弾速の速い銃弾は、四輪型ボットを瞬く間に破壊した。
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 22:00:26.76 ID:H7rUJfFmO
一方のフローラモンは、ボットを倒すのに手間取っている。

フローラモンは、両腕の花から花粉を撒こうとするが…
コマンドラモンの方を向き、両腕を下ろした。
またアレルギーを起こさせてしまうと思ったのだろうか。

するとコマンドラモンは、ガスマスクを取り出して装着した。

え!?ガスマスク!?
そんなものを一体どこで拾ったんだ!?

いや違う、拾って身に着けたんじゃない…
進化によって身に付けたのだ。
フローラモンの花粉を、戦闘に最大限に活用できるようにするために。

…コマンドラモンは、腰から金属製の球体を取り外すと、フローラモンに向かって手で何かの合図をした。

フローラモンは、コマンドラモンの意図を察したのか、花粉を撒いた。

花粉から逃れるために、フローラモンから離れる四輪型ボット。

コマンドラモンは、ボットの逃走先へ球体を投げつけた。

すると、球体はボットのすぐそばで爆発した。
あれは爆弾か…!

…2機目のボットも破壊された。

フローラモンとコマンドラモンの勝利である。
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 22:02:33.27 ID:T/Jw4WRro
人間より頭良さそう
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 22:03:23.94 ID:H7rUJfFmO
二匹は勝利に喜び、その倍でデジタケを食べようとした。

コマンドラモンは、ボットが落としたデジタケを食べようとして近付き、ガスマスクを外した。

…数秒後。コマンドラモンは激しくくしゃみをし続けた。
アレルギーそのものは克服できてなかったのか…。

二匹とデジタケをビオトープへ転送した。
コマンドラモンは水場で顔を洗うと、フローラモンと共にデジタケを食べた。
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 22:09:09.70 ID:bHBDydkB0
フローラモンとハンドサインでアイズ取れるくらいの知能もあるし、目的のためには最適な進化をしたデジモンかな
この2体なら何とか行けるか?
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 22:11:14.12 ID:T/Jw4WRro
目標は何者なのかどんなスペックかも分からない相手
コマンドラモンさんはどう作戦を立てるのか
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 22:12:30.03 ID:H7rUJfFmO
これは…
いけるのではないだろうか!?

二匹の成長期デジモンは、訓練によって協力してボットを撃破した。
それなりに戦闘の立ち回りを学習したようだし、会話はできずともボディランゲージで簡単な意思疎通はできているようだ。

実を言うと、我々が用意できる戦闘訓練用ボットは、現在の技術では先程の飛行型ボットと四輪型ボット程度が限界だ。
あれらの数を増やすとかはできるかもしれないが、今の二匹にとっては大した訓練にはならないかもしれない。

そして、懸念事項としては…
メインPCを調査するなら、あまり悠長に構えていられないということだ。

デジモンは成熟期になると、デジタマを産み始めるのである。
ゴミ箱の状況がどうなっているかは分からないが…
こちらの戦力が増しているのと同様に、あちらの戦力も、日に日に増していく可能性は高い。
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 22:16:04.10 ID:H7rUJfFmO
さて…
いよいよ、デジクオリアをスタンドアローンで起動するために必要な、ライセンスのUSBドングルが届いた。

突入作戦を決行するかどうか…
判断は迅速に行わなければならない。


ビオトープでのんびり寝ているフローラモンと、飛行型ドローンを操作して遊んでいるコマンドラモンを見ながら、突入作戦に備えて何をすべきか私は考えた。
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/22(水) 22:16:34.73 ID:H7rUJfFmO
続く
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/22(水) 22:20:30.32 ID:bHBDydkB0

スコピオモンみたいに巣に子供がうじゃうじゃいるかもだし2体でどうなるか
フローラモンのアレルギーシャワーでサポートして、コマンドラモンが倒すのが主な戦法だろうしボス次第かな?
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 00:49:26.90 ID:DG9D0UM4o
下手すりゃ人間どころかデジモン達にとっても驚異だ
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 17:32:30.63 ID:sofvvRhNO
おつ!
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 19:44:02.83 ID:MpZBmipvO
現在、メインPCはデータマイニングソフトの出力データをゴミ箱へ送り続けている状態である。

そして、ゴミ箱に潜んでいる何かは、ほぼ間違いなくデジモンだということが分かっている。

それは何故か…?



数日前、研究メンバーの一人がこう言った。
「ウィルスだかデジモンだか知らないが、電源をシャットダウンしてコンセントを抜けば活動停止するのではないか」と。

実際、>>182で報告したピチモンを使った実験では、電源を切っている間、ピチモンはハードディスク内のデジタケを食べないことが確認された。

その考えに基づき、ゴミ箱箱のデジモンが対処不能ほど成長したり繁殖したりしないように、我々は一度、パソコンの電源を落としたのである。


数時間後に再度起動して、ゴミ箱の中身を確認したところ…
なんと、電源が切られていたにも関わらず、ゴミ箱の中身のデータ容量が減っていた。
活動は止まらなかったのだ。

このまま電源を落としていたら、やがてゴミ箱の中身どころかPC内のデータを全て食い尽くされてしまう可能性があったため、やむを得ず電源を入れたままデータマイニングを続けているのである。


…この一件から、我々は新たな知見を得た。
デジモンは、「コンピューターの中」ではなく「デジタル情報の中」にいる動物であり、質量の増減無しでゼロイチのビット情報を書き換えられる記録媒体の中なら、どこででも活動できるのかもしれない…ということだ。
極論を言えば、ソロバンの中や、楔形文字が刻まれた粘土板の中ですら活動できる可能性すらある。

ピチモンがデジタケを食べなかったのは、電源の入っていない状態で磁気ディスクの磁気を書き換えられる程の力を持っていなかったからか…
あるいは、夜が来たと思って単に眠っていただけなのかもしれない。
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 19:58:00.37 ID:l30yVDB/o
こわっ…
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 20:11:03.30 ID:MpZBmipvO
コマンドラモンとフローラモンの様子を見てみると…

フローラモンは、いつぞやの教材ソフトを起動していた。

そして、文字読み上げ機能を立ち上げて、「土」「石」「キノコ」「水」などの音声を鳴らしていた。

コマンドラモンは、その音声を聞きながら、土、石、キノコ、水を指さしていた。

これは…?
自発的に、言語の学習をし始めている!?

どうやら、コマンドラモンが、フローラモンから単語を教わっているらしい。

以前我々は、フローラモンがなかなか言語を学習しないため、その知能を犬程度だと評価していたが…
どうやら我々は、根本的な勘違いをしていたらしい。

当時のフローラモンには、自分から他者とのコミュニケーションをする…という目的や、その動機が存在しなかったのである。

だから、あのときは言語を学習することそのものの必要性や意味を理解しておらず、学習意欲が芽生えなかったのだ。
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 20:15:20.20 ID:MpZBmipvO
ところが現在は、コマンドラモンという仲間がいる。

そして、仲間と連携したり遊ぶために、コミュニケーションの手段を必要としている。

ここまでの条件が揃ってやっと、初めて学習意欲が芽生えた…というわけだ。

2体は教材ソフトをいじくって遊んでいたが…
しばらくすると何やら悩み始めた。

教材が出題するクイズに、「犬」「太陽」「鳥」「パパ」「ママ」「ミルク」「空」などの単語が出始めると、その意味が理解できずに頭を悩ませているようだ。

そうか…
このビオトープで、見て経験したもの以外は理解できないのか。
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 20:19:10.30 ID:MpZBmipvO
ゴミ箱のデジモンが成長・繁殖する可能性があるため、あまり余裕はないのだが…

せめて作戦のために必要最低限の指示をあらわす言葉くらいは教えておいた方がよいのではないだろうか…?↓
@一日だけ、簡単な言葉を教える
Aそんな余裕はない!突入!
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 20:20:03.48 ID:lDguCTeIo
1
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 20:29:05.24 ID:MpZBmipvO
人類の最大の発明は何か?と問われたとき…
人々は様々な回答をする。
電気だとか、車輪だとか、インターネットだとか、数字のゼロだとか、ハーバーボッシュ法だとか…。

その中で特によく挙げられる回答のひとつに、「言葉」がある。

人類は、言葉を発明したことで、意思疎通がとれるようになり、協力して課題を解決する力や、技術を蓄積・継承するが大きく向上し、文明を持つ種族へと「進化」した…という説さえある。

それだけ、言葉というものは価値のある技術だということだ。

たとえゴミ箱にいるデジモンが、種族として進化したとしても…

おそらく、こちらの二体が簡単かつ重要な意思疎通がとれるようになれば、それを上回る「進歩」…いや、「進化」ができるはずだ。


今の時代、進化とは肉体を強化して白兵戦闘力を上げることだけを指さない。
技術を向上させ、新しいことができるようになることもまた…大げさな表現かもしれないが、「進化」といえるだろう。
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 20:37:28.84 ID:MpZBmipvO
まず私は、最新式のデジドローンをセットアップした。

「デジドローンVR」。
私の上半身にモーショントレース用のセンサーを取り付け、VRゴーグルを被る。

そして私のアバターの3Dモデルを設定し、デジタル空間へ呼び出す。

これによって私はドローンから、ランプの魔人のように上半身を出すことができるのである。

尚、移動は左手に握っているコントローラーで行う。

ビオトープにアバターを召喚すると、最初二体は警戒した。
新たな戦闘訓練の相手か?と思ったようだ。

だが、「キノコ、お食べ」と言いながらいつものキノコを渡すと、私をドローンの中の人だと理解したようだ。
フローラモンは私の手に甘えてきた。

こうやってVRでいざ対面してみると、この方がコミュニケーションが取りやすいことに気づいた。
ボディランゲージなどの非言語によるコミュニケーションは、喋ることのできないこの二体にとって、重要な情報となるのだろう。
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 20:50:12.15 ID:MpZBmipvO
我々は、コロシアムを少しいじって迷路を作った。

この迷路には罠やボットを仕掛けてある。

一番奥の宝箱へたどり着くことができれば課題クリアとなる。

この迷路を使い、私は二体へ、「待て」「進め」「攻撃しろ」「逃げろ」「周囲を警戒しろ」「行動をやめろ」などの命令を教育した。

一日が経つ頃には、まあ、ちゃんと明日まで覚えているかは分からないが…
ごく単純な指示は、一通り教えることができた。


…翌日。
私は、ミッションサポート用のアイテムを揃えた。
デジモン達へのエネルギー補給用のキノコや、盾としてその場に出せるドローン、揺動用の戦闘訓練ボット等だ。

いよいよ、例のPCに突入するか…!?
あるいは、何か最後にやっておくことがあるだろうか。↓
@特にない。突入!
Aなにかやる(無理のない範囲で自由記述)
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 20:58:43.77 ID:lOEJ5O6A0
2 VR使って最後に戯れておく
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 21:04:37.16 ID:MpZBmipvO
一通りの訓練は終わった。
コロシアムからビオトープへ戻る。

さて、あとはこの二体をパソコンへ送り込むか…

…フローラモンは、こちらへゴムボールを投げてきた。
以前の戦闘訓練で使ったやつだ。
私はそれをキャッチした。

投げ返してほしいのだろうか。
私はボールをフローラモンへ投げ返した。

フローラモンは、コマンドラモンにもボールを投げた。

コマンドラモンは、ボールを私に投げてきた。

そのまま私達は、しばらくキャッチボールをした。

…もしかしたらフローラモンは、ずっと寂しかったのかもしれない。
何か私に恩返しをしたかったのかもしれない。

…このキャッチボールは、私を楽しませようとしているのだろうか。

研究者として、そういう勘繰るような目で観察してしまうのは、良いことなのか、悪いことなのか…。
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 21:08:37.05 ID:MpZBmipvO


しばらくキャッチボールをして、フローラモン達と遊んでやった。

さて、どうするか…
一応、もうデジクオリアのUSBドングルは手元にあるので、デジドローンを飛ばして観察できる。

偵察するだけであれば、デジドローンだけでも可能といえば可能だ。
もっとも、某へ干渉する力は殆ど無いだろうが…。

どうするか↓
@デジモン二体を連れてPCへ突入する
Aまずは飛行型ドローンだけで突入・偵察し、映像をデジモンニ体へ見せる
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 21:09:22.12 ID:uydEQnZ4o
2
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 21:13:29.13 ID:MpZBmipvO
内部の状況も不明なまま、いきなりデジモンを連れて行く必要はない。

まずはデジドローンを飛ばして、PC内部のデジタル空間を調査した。

347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 21:18:18.35 ID:MpZBmipvO
パソコン内のデジタル空間は…

我々のいる研究室とよく似た内装の、薄暗い迷路になっていた。

壁には研究データの報告資料がポスターのように貼られていたが、そのほとんどが破れていたり、カビたりしている。

やがて、だんだんと床からキノコが生えているのが散見されるようになった。

ゴミ箱のアドレスに近寄るにつれて、どんどんキノコの量は増えていく。
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 21:24:07.85 ID:MpZBmipvO
我々がフローラモン達へ与えているのとは異なる、紫色のキノコである。

フローラモン達はその映像を、よだれを垂らしながら見ていた。

…調査中のメインPCの画面をカメラで撮影し、カメラの映像をビオトープのあるパソコンへ入力するという、ちょっと手間のかかる方法で二体に見せている。
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 21:33:47.26 ID:MpZBmipvO
やがて我々は、衝撃的な光景を目にした。

迷路の天井に、データマイニングソフトとみられる箱がついており、そこから木のクズのようなペレットがばらまかれている。

そのペレットは、床にびっしりと埋め尽くされた粘菌に、どんどん飲み込まれているのである。

粘菌はまるで血管のように床にフラクタル幾何学模様を作っており、ペレットはどんどん迷路の奥へと運ばれている。

ペレットの行方を追うと…

まるで蟻塚のようにそびえ立つ、カビの要塞の中へと、運ばれていってるようだ。

…飛行型ドローンだけでは、要塞の入口にまで突入するのは難しそうだ。
回転翼が要塞の壁に当たり、そのまま埋まりそうだ。

四輪型ドローンに切り替えれば、中に入れるかもしれないが…

さすがに地面を走行する四輪型ドローンは、ここに巣食うデジモンに見つかってしまうことだろう…。

どうするか…?↓
@四輪型ドローンで行けるとこまで行く
Aフローラモン&コマンドラモンを同伴する
Bその他、無理のない範囲で自由記述
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 21:34:48.67 ID:Pmz6c/5go
1
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 21:43:27.37 ID:MpZBmipvO
四輪型ドローンで、要塞の中へ突入を試みた。

入口は狭いが、通ってみると案外広…
…!?しまった…!
タイヤが空転して、進めない!

要塞の入口は、カビがたくさん生えていた。
その大小様々なカビのせいで、ドローンのタイヤが地面から浮いてしまい、空転してしまったようだ。

…どうするか…。
ドローンの転送は、一度進んだところまでしか行えない。
そのため、一度回収すれば後退はできるが、ドローンだけではこれ以上要塞内部を調査することは難しそうだ…。↓
@調査を終了する
Aコマンドラモンとフローラモンを呼ぶ
Bドローンを放置して周囲を観察し続ける
Cその他、無理のない範囲で自由記述
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 21:47:40.81 ID:gqOGOIU6o
2
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 21:52:28.20 ID:MpZBmipvO
私はコマンドラモンとフローラモンをフラッシュメモリに移し、それをメインPCへ接続した。

そして、四輪型ドローンを、一番近いアクセスポイントのところまで後退させると、その場へフローラモンとコマンドラモンを呼び出した。

フローラモンは、今まで映像で見ていたこの場所へ来ることができて嬉しそうだ。

一方のコマンドラモンは、周囲を警戒して観察している。

やがてフローラモンは、床に生えている紫色のキノコを発見した。

フローラモンは、それに手を伸ばした。

選択↓
@食べていいよ
A待て
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 21:53:02.52 ID:gqOGOIU6o
2
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 21:59:49.64 ID:MpZBmipvO
何かやばい気がする。
私は「待て」と指示した。

フローラモンは、一瞬動きを止めたが…
…首をかしげた。

そして、命令を無視して、再びキノコへ手を伸ばし、それを掴んだ!


しまった。
我々は、フローラモンをあまりにも甘やかして育てすぎた。
食欲を前にして自制する、という訓練を全くさせてこなかったのである。

だがまあ、フローラモンの立場になってみれば、待つ理由など考えられないといえる。
我々は一種類のキノコしか与えてこなかったし、キノコ=食べても安全なもの、という認識になるのはごく自然なことだろう。
いつも食べているようなキノコに、何を警戒することがあろうか。

フローラモンは、キノコを口へ運んだ…。




コマンドラモンが、フローラモンの持っているキノコを地面へはたき落とした。
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 21:59:55.61 ID:lOEJ5O6A0
ドローンでカビやキノコキャプチャして持って帰って調べればよかったか
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 22:05:39.38 ID:MpZBmipvO
フローラモンは怒って、コマンドラモンへ吠えた。

コマンドラモンは、私のドローンの方を静かに指差した。

フローラモンは、怒ったような表情で、キノコと自分の口を交互に指さしている。

コマンドラモンは横に首を振り、ドローンを指さした。

なんてこった。
こんなことで喧嘩になるとは…!

…私はドローンから上半身を出すと、コマンドラモンだけにデジタケを渡した。

コマンドラモンはそれを受け取って食べた。

フローラモンは、自分にも欲しい、と言わんばかりに手に近付いてきたが…

私は「床のキノコ」「食べる」「ダメ」、
「私が手渡すキノコ」「食べる」「良い」、「分かった?」と聞いた。

フローラモンは、不機嫌そうだが、しぶしぶ頷いた。
私はフローラモンにも、ちょっと少なめにデジタケを渡した。

フローラモンは、名残惜しそうに床のキノコを見ていたが…
デジタケを受け取って食べた。
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 22:13:57.28 ID:MpZBmipvO
するとフローラモンは、先程キノコを触っていた手を痒そうに掻き始めた。

うわぁ!
フローラモンの手の花弁にブツブツが生えている!
やはり毒キノコだったらしい。

フローラモンは痒がっている。
なにか薬でも持っていればいいのだが…そんなものはない。
デジモンの体にどんな薬が効くのかなど我々はまだ知らない。

私はドローンから水筒を取り出して、フローラモンの手へかけた。
そして手を包帯でよく擦ってやった。

キノコの毒は手の表面から流れたらしく、それ以上症状が進行することはなかった。
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 22:15:41.19 ID:MpZBmipvO
さて。
とりあえず、未調査のキノコを食べさせずに済んだところで、我々は要塞の奥へと進んだ。

四輪型ドローンは床を走れないので、コマンドラモンに背負ってもらった。

私はドローンから顔と上半身を出し、進みたい方向を指差す。

するとコマンドラモンは、私が指差した方向へ進んでくれた。

フローラモンは、あちこち散策したがっているようだが…
先程の一件でちょっと申し訳ない気持ちになっているのか、我々についてきた。

カビ要塞の中を進んでいると…
何かがいた。


https://i.imgur.com/UFwAqFB.jpg
キノコのような姿をしたデジモンだ。
おそらく成長期だろう。
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 22:17:38.93 ID:MpZBmipvO
キノコ型デジモン…命名マッシュモン。

マッシュモンは我々に気付くと、こちらを訝しげに観察してきた。

警戒しているようだ…。

どうするか…?↓
@攻撃する
A安全を確保して様子を伺う
Bその他、無理のない範囲で自由記述
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 22:18:37.58 ID:lOEJ5O6A0
やっぱマッシュモンはいたか
ボス格は別にいるとして、たぶん産んだ子供だろうなぁ
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 22:19:00.15 ID:jUB7Ul570
2
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 22:22:50.42 ID:lOEJ5O6A0
3 フローラモンが様子を伺いつつ、コマンドラモンに離れたところから奇襲をしかけさせる
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 22:26:05.12 ID:MpZBmipvO
なにもこちらから攻撃する必要はない。
安全を確保して警戒した。

いざとなれば、デジモンキャプチャーで逃げれる。

「幼年期しか捕獲できない」というのは、「仮に暴れられても、幼年期ならマシンアームで押さえつけて鹵獲できる」という意味だ。

捕獲対象が、もしも一切暴れなければ…
ゲートに自ら入ってもらえれば、小型の成熟期デジモンなら回収できる。
モリシェルモンみたいなデカい奴は無理だが。


しばらく様子を見ていると、マッシュモンは要塞の奥へ走っていこうとした。

どうするか↓
@マッシュモンを行かせる
Aマッシュモンを攻撃する(どちらのデジモンで攻撃するかを指定)
Bその他、自由記述
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 22:30:13.99 ID:HHFtbR6b0
3
呼び止めてマッシュモンにキノコを与えてからフローラモンコマンドラモンに相手とコミュニケーションを試みてもらう
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 22:38:33.97 ID:MpZBmipvO
私は、とっさにマッシュモンへとあるものを投げた。

それは、キノコ…
…いや。正しくはキノコの餌となるもの。
データマイニングによって生成したペレットである。

マッシュモンは、一瞬きょとんとした顔で、ペレットを見た。

マッシュモンはペレットを拾うと、恐る恐るこちらへ近付いてきた。

フローラモンとコマンドラモンは、じっと様子を伺っている。

私は、ペレットを手のひらから出してみせた。

するとマッシュモンは驚いたような表情をした後、大声をあげながら要塞の奥へと走っていった。


…どうするか…↓
@この場で待つ
A奥へ進む
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 22:43:31.08 ID:v5bHWdYjo
2
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 22:52:22.95 ID:MpZBmipvO
我々は要塞の奥へ進もうとした。
だが、この狭い迷路を進んだら、曲がり角で鉢合わせしそうだな…。

すると、コマンドラモンは、息を深く吸い込んだ。
なんとコマンドラモンの体表の色が、周囲と同じ色に溶け込んでいくではないか。

これには驚いた。
なんとコマンドラモンは、カメレモン同様に光学迷彩ができるのであった。

マジ!?
性能盛りすぎじゃないかコマンドラモン!?

だが、美しい花弁を持った目立つフローラモンがいては、隠れる意味がない。

…コマンドラモンが、壁を背にしてゆっくり進み、フローラモンには壁とコマンドラモンの間に隠れながら進んでもらうことにした。

うーん。さすがに無理があるな…。
フローラモンには、いったんゲートを通じてフラッシュメモリの中に帰ってもらった。

どこか適当なアクセスポイントが見つかったら、またそこから出てきてもらおう。

私は、コマンドラモンにドローンを持ち上げてもらいながら、慎重に要塞の中を進んだ。
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 22:54:07.52 ID:MpZBmipvO
やがて、マッシュモンの部屋らしき空間を見つけた。

床には粘菌が蠢いており、要塞の外からペレットを自動で運んできてくれるようになってるみたいだ。

部屋の中には、このパソコンにプリインストールされているピンボールやソリティア等のゲームがあった。

これで遊んでいるのだろうか…?
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 22:54:09.80 ID:lOEJ5O6A0
おめぇが頼りだコマンドラモン
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 23:02:33.13 ID:MpZBmipvO
その時。
廊下の奥から、マッシュモンの声が聞こえた。

コマンドラモンは、部屋の中に隠れ、顔だけ出して廊下の様子を伺った。

やがて、マッシュモンの足音が近付いてくる…。





我々は目を疑った。
大量のマッシュモンが、一列に並んで歩いてきているのである。

マッシュモン達は不気味な歌を歌いながら、各自ペレットを右手に持って掲げながら行進している。

何体いる…?
すれ違うマッシュモンの数を数えてみた。

3, 4 5 6 7 8 …



…27体…
…まだいる!

馬鹿な!?
有りえない!
40体を過ぎても、まだいる!

こんなことはあり得ない!
事前にロジスティック方程式によって、個体数のシミュレーションを行ったが…
あれだけの短期間で、こんなに成長期デジモンが繁殖するなど…
あり得ない!!


成熟期デジモンは、一体でこんなハイペースにデジタマを産めないはずだ!
大量の成熟期デジモンが住み着いている…?
そうだとしたら、データマイニングで送ったペレットがあっという間に底をつくはずだ。

何故だ…
何故成長期デジモンが、こんなにたくさん増えているんだ!?
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 23:06:52.58 ID:MpZBmipvO
やがて、46体のマッシュモンが通り過ぎた後、ようやく列の最後尾となった。

コマンドラモンは、慎重に一本道の廊下の奥へと進んだ。
この先に、マッシュモン達を産んだ成熟期がいるのだろうか…?

やがて我々は、要塞の最奥へたどり着いた。
そこにいたのは…




…何もいない。

いや、何もいないわけではない。

いる。

…床から、成長途中の小さな小さなマッシュモンが、8匹ほど生えている。


なんだ、これは…?
幼年期デジモンか?

これを産んだ親は留守なのか?

私は小さなマッシュモンのデータを分析してみた。

…成長期デジモンだ、これは。
幼年期ほどのサイズだというのに。
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 23:08:41.52 ID:v5bHWdYjo
こんなもんコマンドラモンとフローラモンで対処できん…
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 23:10:41.35 ID:lOEJ5O6A0
これ下手したらメインPCはリブートしないと駄目かもしれんな
コマンドラモンの爆弾も広範囲焼き払えないし流石に数が多すぎる
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 23:14:00.91 ID:Pmz6c/5go
数で押される!押される!
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 23:22:11.21 ID:MpZBmipvO
コマンドラモンは、光学迷彩を解除した。
ぜぇはぁと激しく息を荒らげている。

どうやら光学迷彩はエネルギー消耗が激しいようだ。
疲れているコマンドラモンへ、私はデジタケを与えた。

よくやったよ。成長期なのに、ここまでよくやった。

…やがて、大勢のマッシュモンの足音が聞こえてきた。
先程の不気味な歌が近付いてくる。

マッシュモンの戦闘力がどれだけあるかは分からないが…
これだけの数だ。
今のこちらの戦力では、まともにやり合ったら歯が立たない。

どうするか…
もう緊急離脱して、デジモン達を避難させるか?

…できなくはないが、厳しいな。
かなりアクセスポイントから離れてしまった。
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 23:25:28.52 ID:MpZBmipvO
デジタル空間には、アクセスポイントという地点が存在する。
私が普段デジタルワールドへドローンを送り込んでいるのは、そのアクセスポイントである。

ゲートを開いたり閉じたりするのは、アクセスポイントがすぐそばにあれば一瞬でできるが、アクセスポイントが遠ければ時間がかかる。

以前、ディノヒューモン農園のフロッグモンからドローンを逃がしたときは、すぐそばにアクセスポイントがあったから一瞬でゲートを潜れた。

だが、今回はアクセスポイントからそこそこ離れている。
先程フラッシュメモリへフローラモンを帰したときも、ゲートを開けるのに70秒、閉めるのに20秒ほどかかっていた。

先程よりももっと奥へ進んでいるため、ゲートを開け閉めする時間はより長くかかるだろう。

今からゲートを開けるなら、開けるのに100秒、閉めるのに30秒はかかるだろう。

もしかしたら、仮にフラッシュメモリへ逃げ込むことはできても…
閉めるまでの30秒の間に、マッシュモン達がフラッシュメモリ内へ侵入してくるかもしれない。
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 23:27:30.48 ID:MpZBmipvO
マッシュモン達の足音と歌声が近づいてくる。

我々は…↓
@今すぐゲートを開けて撤退準備をする
A余裕をもって、リラックスして構える
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 23:28:21.15 ID:lOEJ5O6A0
2
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 23:34:18.32 ID:MpZBmipvO
やがて、マッシュモン達が、我々のいるこの部屋へとやってきた。

数は46体…多すぎである。
成長期でこの数なら、親はどれだけいるのだろうか。

コマンドラモンは、私のドローンの前に出て銃を構えた。
まさか、私が脱出するまでの時間稼ぎをしようとでもいうのだろうか…!?

私は…

マッシュモン達へ、ペレットをたくさん投げた。

するとマッシュモン達は、ペレットを掴んだ。
…スナリザモンのときと違って、道を開けれるほどの隙は作れない。
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 23:37:25.53 ID:MpZBmipvO
マッシュモンのうち、やや体が大きい一匹が我々の前に出てきた。

そして、受け取ったペレットを掲げると…

私(のドローン)へ向かって、何かを叫んだ。

「シュマ!マシュシュマモ!モシュア!モシーシャモ!」


すると彼の後ろに並ぶ45匹のマッシュモン達が、いっせいに同じ言葉(?)を叫んだ。

マッシュモン達は、先程の不気味な歌を歌いながら、その場で踊り始めた。

…コマンドラモンは、ポカーンとしてマッシュモン達を見ている。
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 23:37:57.37 ID:v5bHWdYjo
教えてない概念を持ってる…
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 23:39:45.90 ID:MpZBmipvO
歌が止むと、先頭のマッシュモンは地面に膝をつき、手を上に伸ばして、私に頭を下げた。

「マシュムシャーー!」


それに続いて、後ろのマッシュモン達も同じ動作をした。

「「マシュムシャーー!!」」

…分からない。
何語だこれは。
…マッシュモン語…?
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 23:40:05.52 ID:lOEJ5O6A0
う〜ん、集団でどんな成長を遂げてきたかが気になる
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 23:43:30.47 ID:MpZBmipvO
私は「あなた達は誰ですか?」と聞いてみた。

マッシュモンは「マムシャ?ムシャ?ムマー」と答えた。

言葉は通じないが…
…ひとまず、襲ってくるつもりはない…のだろうか。

コマンドラモンは、疲れのせいか、その場でよろめき…
地面に座ろうとした。

ふと気付いた。
コマンドラモンが座ろうとした先に…
先程の、小さな小さなマッシュモンがある…!

私はコマンドラモンを支え、小型マッシュモンを尻で潰さないように、隣へ座らせた。
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 23:44:48.23 ID:MpZBmipvO
とりあえず…どうするか…?↓
@しばらく待ってみる
Aこの場でゲートを開く
Bマッシュモン達の群れをかきわけて、要塞の外へ脱出を試みる
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 23:46:15.57 ID:lOEJ5O6A0
1
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/23(木) 23:53:09.69 ID:MpZBmipvO
マッシュモン達は、しばらく口々に、マッシュモン語(?)で話しかけてきた。

だが、言葉が通じていないことを察したらしい。

…やがて、先頭のマッシュモンは、こちらの様子を伺って、どう動くかを観察し始めた。

このままでは膠着状態だ…。
埒があかない。

どうするか…↓
@この場でゲートを開く
A廊下を通してもらえないか試みて、成功したらいったん要塞の外に出る
B要塞の壁や、小型マッシュモンなどを調査する
Cその他自由記述
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/23(木) 23:54:29.03 ID:v5bHWdYjo
2
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/24(金) 00:00:06.27 ID:koq8PgV4O
私は、廊下の方へ進んだ。

すると、先頭のマッシュモンが、後ろのマッシュモン達へ「シュマッ!」と声をかけた。

マッシュモン達は道を開けてくれた。

…安全に帰れるのだろうか。
私とコマンドラモンは、廊下を進んだ。

すれ違うマッシュモン達は、私に「マシュムシャーー!」と声をかけてきた。

…そして、そのままアクセスポイントまでたどり着いたのだが…

マッシュモン達がついてきている!
ゲートを開けたら、一緒に入ってきかねないぞ。

ど、どうする?↓
@フラッシュメモリ内へ帰る。マッシュモン達がついてこようとしても拒絶しない
Aフラッシュメモリ内へ帰る。マッシュモン達が入ってこないよう、ゲートが閉じるまで防衛する
Bその他自由記述
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/24(金) 00:02:02.20 ID:b79rVnmPo
1
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/24(金) 00:07:05.62 ID:koq8PgV4O
私はゲートを開けた。
ドローンとコマンドラモンは、ゲートをくぐってフラッシュメモリ内へ帰還した。

ゲートが閉じる瞬間…
なんと、例の先頭マッシュモンがゲート内へ飛び込んできた!

…フラッシュメモリ内へ、マッシュモンが一体、入ってきたのであった。

私はとりあえず、新設した第2ビオトープへマッシュモンを隔離した。

成長期なので、デジタマを産むことはないだろうが…
念の為である。

尚、ビオトープの壁は脱走防止用のファイヤウォールで囲われているため、マッシュモンが脱走することはないだろう。
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/24(金) 00:09:57.07 ID:koq8PgV4O
分からないことだらけだが。
何はともあれ…
フローラモンとコマンドラモンは生還した。

そして、第2ビオトープへ、仮住まいとしていったんマッシュモンを送った。

メインPCは、依然としてあの状態だ。
コロニーの中には、ペレットを運ぶ粘菌や、ピンボール等のゲーム、そして最奥の謎の部屋があったが…
マッシュモン達を産んだ成熟期デジモンの姿は見えなかった。

…調査はまだ終わっていない。
そして、メインPCに住み着いたマッシュモン達は、どうすればよいのだろうか…。
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/24(金) 00:10:23.99 ID:koq8PgV4O
続く
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/24(金) 00:14:11.05 ID:b79rVnmPo
実力行使はまず無理
収穫は一匹のマッシュモン
うーんわからんことだらけ
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/24(金) 00:16:06.81 ID:v2Eedems0

マッシュモンとの戦闘は避けられたけど、問題は解決してないしどうなるんやろなぁ
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/24(金) 00:19:34.81 ID:73gaGItc0
敵意持たれてたらコマンドラモン死んでたな
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/24(金) 02:03:33.61 ID:5uROxSWBo
マッシュモンにとって餌であるペレットを主人公が生み出したから神様的な存在だと思われてる?
連れてきたマッシュモンと仲良くできたら戦わずに済むかな…?
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/24(金) 22:29:01.35 ID:02h7SQz/o
マッシュモンや未知の相手に戦い挑んでも勝てないな
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/25(土) 20:42:35.63 ID:iCaB1d1F0
和解も排除もできるか分からない
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 16:15:34.49 ID:DYPbGnU80
最悪別のUSBメモリ用意して、ゲート開いて押し込んでもらって封印するしかないかな?
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/26(日) 22:01:54.13 ID:fnGe9eccO


デジモンの遺伝情報は、彼らの細胞内のゲノムらしき領域へ記録されている。

デジモンは進化するとき、自身のDNAを書き換えていることが分かっているが…

生まれてから一度も変化しない領域と、進化によって変化する領域に分かれていることが判明した。

変化しない領域を「DNA_ROM」、進化で変わる領域を「DNA_RAM」と呼称する。

DNA_ROMは、親デジモンから産まれたときに一度だけ、親デジモンのDNA全体がほぼそのまま書き込まれるようだ。

その後、進化をするにつれて後天的に、DNA_RAMが継ぎ足されていく…。

つまり、同じ親から産まれた兄弟デジモンは、DNA_ROMが完全に同じなのである。

ディノヒューモン農園のカメモンの皮膚の断片を採取し、コマンドラモンと比べた結果、そう結論付けられた。
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/26(日) 22:07:07.20 ID:fnGe9eccO
マッシュモンのDNA_ROMを調べたところ、植物型デジモン達に共通するコードを持っていた。

このことから、マッシュモンはぱっと見菌類に見えるが、植物型デジモンの系統ということが分かった。

我々は、デジタルワールドを調査して、マッシュモンと近いDNAを持つデジモンがいないかを調べた。

その結果…



森林にいた。
別個体のマッシュモンが。


このマッシュモンの細胞の断片を入手し、うちのビオトープにいるマッシュモンとDNAを比較したところ…
なんと、完全に一致していたのである。

完全な一致というのは、今までに見たことがない。

ディノヒューモン農園のスナリザモン3兄弟のウロコを調べても、完全には一致していなかったというのに。
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/26(日) 22:13:23.41 ID:xc24PdObo
私はフローラモンに頼み、再度マッシュモンの要塞の調査を行った。

そして、最奥の部屋に生えていた小型マッシュモンを観察していると…
数日後に、それらは地面から足を切り離して歩き回った。

翌日、一体のマッシュモンが、最奥の部屋へやってきて、胞子をばらまくと…
翌日には、その場に小型マッシュモンが生えていた。


このコロニーのマッシュモンのうち、皮膚の断片を入手できた4〜5匹のDNAを比較したところ、完全に一致していた。

…なんということであろうか。
マッシュモン達は、デジタマを産むことなく、成長期のまま成長期のデジモンを産み出していたのである。
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 22:14:59.12 ID:C0wRN3bZo
クローンかよ
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/26(日) 22:16:56.65 ID:fnGe9eccO
いや、むしろ…
今歩き回っているマッシュモン達は、おそらく繁殖用の子実体だ。

つまり、何というべきか…
そこら中を歩き回っている個体は、正確には個体ではなく、「マッシュモン」という存在を構成する細胞の塊のひとつ、ということになる。

今、このパソコンに作った要塞の内部に張り巡らされている全ての菌糸を含め、これらの個体全てが「マッシュモン」というデジモンの一個体なのである。

…何なんだこいつは!?
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 22:19:16.09 ID:DYPbGnU80
うへぇ…
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 22:20:22.95 ID:C0wRN3bZo
和解とか敵対とかじゃなくてもはや災害だ
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/26(日) 22:21:28.04 ID:fnGe9eccO
デジタルワールドにいるマッシュモンは、よくスナイモンに狩られて捕食されているが…
マッシュモンを食ったスナイモンは、すぐに胃の内容物をぶちまけて、毒に悶え苦しんでいる。

そのせいか、肉食デジモンはマッシュモンを捕食しようとしない。

マッシュモンは、胞子をばらまくことで、デジタルワールド内でも成長期のまま自己複製しているようだ。

結果、マッシュモンの個体数は、デジタルワールドでもどんどん増えている。

…始末に負えないな…。
どうすればいいんだ?

今のところ、ドローンやフローラモン、コマンドラモンに敵対的な反応はしていないが…
だからこそ、どうすべきか悩むところである。
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/26(日) 22:25:09.43 ID:fnGe9eccO
そして先日。
ビオトープに入れていたマッシュモンが、ビオトープ内の土の上で胞子をばら撒いた。

このまま放置していれば、ビオトープにもマッシュモンが殖えてきかねない…!

そして、恐ろしいことに、こいつらは成長期である。
つまり、武力行使を試みるなどして、自分の身に危機が訪れたら、環境に適応するために、いっせいに成熟期へと進化する危険性があるのだ。

ただでさえ数が多いのに…
それらが成熟期になったら本当にどうしようもないぞ!?
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/26(日) 22:30:22.60 ID:fnGe9eccO


フローラモンは、コマンドラモン同様に、マッシュモンとも対話を試みて、例の教材ソフトを使って我々の言語を教えていた。

マッシュモンは、もともと独自の言語を使って会話ができていた…。そのせいか、我々の言語も比較的早く覚えた。

以後、ビオトープに連れてきたこの個体を、「ボスマッシュモン」と呼ぼう。

ボスマッシュモン「モシュシン!マシシシ、モシャンモムメメ、マシマショウ!マシマ、ママシシ、メシュマメムモモシャ、マシマ?」

…んんん?
これはマッシュモン語だろうか…?
我々にコンタクトを試みているのだろうか。

何か返事をしてみるか…?↓
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 22:35:40.45 ID:C0wRN3bZo
我々は君達の言葉が分からない
我々は君達と意思の疎通を望んでいると表明
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/26(日) 22:41:36.20 ID:fnGe9eccO
私は答えた。
「我々は君達の言葉が分からない。我々は君達と意思の疎通を望んでいる」

マッシュモンは、ウムムと悩んでいるようだ。

そこへコマンドラモンが、教材ソフトの音声読み上げ機能を差し出した。

マッシュモンはその使い方を見て、文字を入力した。

『かみよ、ありがとう。われわれに、ごはんをくれて。たすかっている、とても』

…。
マッシュモンが伝えてきたことはそれだけだった。

何と返答すべきか。↓
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 22:46:38.23 ID:i41gKbNT0
君達はどこからやってきたのか?いつからいたのか?
君達の目的はなんなのか?
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 22:49:28.61 ID:DYPbGnU80
君たちは増えすぎた
あの場所も狭くなってきただろう、別の場所に移る気はないか?
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/26(日) 23:13:35.40 ID:fnGe9eccO
私は返答した。
「君達はどこからやってきたのか?いつからいたのか?君達の目的はなんなのか?」

ボスマッシュモン『わからない。あのばしょで、うまれた。なかまいない。だから、なかまふやした』

「君たちは増えすぎた。あの場所も狭くなってきただろう、別の場所に移る気はないか?」

ボスマッシュモン『ごはんは、たりている』

「あげられるご飯の量には限界がある。これ以上増殖されると、供給が追いつかない」

ボスマッシュモン『それはこまる。なら、たくさん、かびを、ふやしてる。かびをたべる。それで、いきられる』

カビ?
…ああ、ポスター等に生えていたやつか。
あれはパソコン内の様々なデータを分解してカビに変換していたのか。

…喋らない菌類なら、簡単に始末できるんだが…
この喋る菌類はそう簡単にはいかなさそうだ。

「このパソコンは、我々が研究のために活用している。このまま殖えられて、研究データを食べられると、我々はとても困る」

ボスマッシュモン『けんきゅうとは、なに?わからない』

…まあそうなるか…。
どう説得すればいいんだ?
研究とは何かを説明すればよいのだろうか?…ううむ、どこから説明すべきなんだろうか。

どう対話を進めるべきか…↓
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 23:18:33.87 ID:DYPbGnU80
デジドローンをデジタルワールドに放ち
マッシュモンの住みやすそうな場所の映像を見せて移住を勧めてみる
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/26(日) 23:29:39.81 ID:fnGe9eccO
私はデジドローンをデジタルワールドに放ち、マッシュモンの住みやすそうな場所(凶暴な肉食デジモンがいないところ)の映像を見せて移住を勧めてみた。

ボスマッシュモン『いきたくない。そこには、とてもおそろしいてきがいる、きがする。たべられてしまう。たべられたくない』

「あのPC内で生まれたはずなら、デジタルワールドの記憶は無いのでは?」

ボスマッシュモン『おぼえてはいないけど、わかる。おおきくてつよい、むしがいる。だれか、だいじなだれかが、たべられた。からだが、おぼえている。たべられたくない。たべられたくない』

…よくペットの動物が飼い主の元から脱走して、厳しい環境で生きられず、衰弱の果てにカラス等に食われる等の末路を辿るのを聞いたことがある。

ペットの動物は外界を知らないから、飼い主の家が一番安全に生きられることも分からない。
だが好奇心ゆえに家の外を探検してみたくなり、その結果危険に晒されるという愚行をするのである。

正直、このマッシュモンも同じように、外に興味を持たせて脱走させてしまえば片付くのではないか…と考えていた。

だが、予想外なことに、潜在意識の中に外敵への警戒心があるらしい。
ええいちくしょう!そんなの後出しジャンケンだ!ズルいぞ!
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 23:31:59.17 ID:DYPbGnU80
穏便な手段とっとるうちに出ていけーや
最悪パソコンのリブートか、植物系デジモンに効く除草剤的なウイルスプログラム作れないかな?
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 23:34:20.27 ID:2xi5LAhXo
うーむ、困るなぁ…
研究とか難しい言葉じゃなくて、あのデータは我々の宝だから壊されたら困るって話したら伝わるかな

>>419
除草剤は思った。同じDNAだからマッシュモンだけに効くウイルスとか作れそう
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/26(日) 23:43:34.97 ID:fnGe9eccO
だが、納得もしていた。
なぜ彼らはただのキノコではなく『毒キノコ』の姿をしているのか。

おそらく、森林でスコピオモンあたりが暴れていたときに産まれたデジモンなのだろう。

植物系デジモンの仲間たちが次々と捕食されているうちに、毒キノコとなってどんどん殖えるという形で環境に適応したのだろうか。

我々がビオトープ作りのためにデジタルワールドから土や植物を採取しているときに、その胞子がそれらに付着し、パソコンの中に住み着いた…ということだろうか。

我々は、スコピオモンがジャガモンに倒される映像を見せた。

「デカい虫はもう倒された。森林は平和なはずだ。のびのび生きていけるはずだ」

ボスマッシュモン『まだいるかもしれない、あんぜんなところにすみたい』

図々しいぞちくしょう!だんだん腹立ってきたな…タダ飯喰らいの分際で!
だが、落ち着こう。冷静になろう。冷静に、効率的に対処しよう。
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 23:47:52.99 ID:i41gKbNT0
守護神ジャガモンの近くにでも住んでろ!
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/26(日) 23:48:45.44 ID:fnGe9eccO
女性研究者「ところで、なんで巣の中にピンボールとかソリティアみたいなゲームがあったんですか?」

ボスマッシュモン『あれはだいじなもの。たいくつなとき、みんなであそべる。さびしくならない』

「その大事な物が無くなったら困るか?」

ボスマッシュモン『とてもこまる』

「ピンボールやソリティアを食べてしまおうとする奴がいたら、どうする?」

ボスマッシュモン『それはてきだ。たたかって、やっつける』

「あのパソコンの中には、私にとって大事な物がたくさんある。君達にとってのピンボールやソリティア以上に大事なものだ。君達はそれを食べようとしている」

ボスマッシュモン『…』

「そのまま居座り続けられると、君達がゲームを守るためにやると言ったことを、私達が君達にやらなくてはならなくなる」

ボスマッシュモン『…かみさまと、たたかいたくはない』
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/26(日) 23:54:54.19 ID:fnGe9eccO
我々は協議した。
様々な意見が飛び交った。

もう面倒臭いし、だいたいマッシュモン共のことは分かったから、このパソコンを初期化してしまえばよいのではないか、という意見。

デジタルワールドが嫌なら、もっと安いPCをたくさん用意して、それらへ移住させればよいのではないか、という意見。

マッシュモンの天敵をデジタルワールドの中から探して、その子供を育成してパソコンへ放り込み、生体駆除ないしデジタルワールドへ追い出せばよいのではないか、という意見。

…どれも一長一短ある。
だが、採用できる案はひとつしかない。
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 23:58:24.28 ID:W5lUtdk4o
水槽の中の魚の如くエサ与えてくれる存在を神様だと思ってくれてるのが救い
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/26(日) 23:59:22.18 ID:fnGe9eccO


私は休日に、高校時代の友人と宅飲みしながら、マッシュモンのことを話してみた。

友人「え?パソコン内に住んでて、喋れる生き物?おもしろそー、飼ってみてーww」

いやいや…。
すごい勢いで殖えるんだぞ。
パソコン内にうじゃうじゃ増えたらどうする。

友人「パソコンが危ないなら、ゲーム機とかに入れればいいんじゃね?デジモン飼育専用の端末とか用意してさ」

うーん。
どんどん殖えるんだぞ?端末が食い尽くされかねないぞ。

友人「デジモンって環境に適応すんだろ?だったら、ちっちゃい端末で生きられるように進化するんじゃねww」

…簡単に言ってくれるな。
だが、…うーむ。ん?
…一概に否定できないぞ?

パンピーの突拍子もない発想というのは、時に私の想像を超えてくる。

可能なんだろうか?そんなことが…。
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/27(月) 00:00:22.84 ID:nDmBsAQuO
もたもたしていると、どの案も採用できなくなるくらい個体数が殖えかねない。

決断を迫られる日は…近い。
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/27(月) 00:01:11.27 ID:nDmBsAQuO
つづく
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/27(月) 00:02:13.30 ID:AJP6HlZV0
デジヴァイスとペンデュラムできちゃう
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/27(月) 00:03:09.17 ID:AJP6HlZV0

どの選択になるのか気になるな
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/27(月) 00:06:33.17 ID:bw5iP9THo
出来る限り平和的な選択取ってきてるんだ
神様にも文句は言わせないぞ
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/27(月) 23:36:12.22 ID:jRW26BgKO
マッシュモンに、あの巣のことを聞いてみた。

ボスマッシュモン『きがついたとき わたしは ひとりだった なかまが ほしかった』

ボスマッシュモン『だからわたしは なかまを ふやした』

ボスマッシュモン『わたしは ことばを おしえて かれらに おしえた。さびしく なくなった』

ボスマッシュモン『みんなで げーむをたのしんだり かみさまに いのりのおどりを ささげるのは たのしかった』

ボスマッシュモン『だけど おそろしいてきが くるきがした。だから おおきな しんでんを つくった』

ボスマッシュモン『そうして いまに いたる』

…。
なるほど…。
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/27(月) 23:37:03.25 ID:bojtjeNYo
きたきた
434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/27(月) 23:45:07.07 ID:jRW26BgKO


研究グループ内で協議が行われた。
スポンサーの方も通話ソフトで加わっている。

リーダー「私が最初に提案してしまうと、皆それに引っ張られかねない。私はまず聞く側に回ろう」

カリアゲの研究員「俺は…例のPCをまっさらにしてしまうしかないと考えている」

痩せた研究員「えぇ…」

カリアゲの研究員「だってよ…元々あれを残していたのは、調査をするためだろう。んで、もう知りたいことは大体分かったよ。じゃあもう、いいだろ…」

痩せた研究員「マッシュモン達は、ぼくらを慕ってくれている!対話が通じる相手なんだ!それを皆殺しにするなんて…もうちょっとやりようがあるだろう!」

カリアゲの研究員「じゃあなんだ?問題を先送りにし続けて、こいつにメインPCをBIOSまで食い尽くされるような取り返しの付かないところに来てしまうのを待つってのか!?」

痩せた研究員「そ、そんなこと…!」

カリアゲの研究員「じゃあどうするんだ、言ってみろよ」

痩せた研究員「…安いパソコンをいくつか用意して、そこに住ませるとか…」

カリアゲの研究員「んで、そのパソコンが餌の供給の限界を迎えたら、また何台も買うのか!?クソの役にも立たないパソコン何台買って電気代食わせまくりゃいいんだ!」

スポンサー『我々が提供した資金を、無駄な出費に使うようなら、別のグループ出資することを選んでもいいんだが?』

痩せた研究員「う、うぅ…」
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/27(月) 23:46:00.36 ID:jRW26BgKO
リーダー「他に案のある者はいるか?」

私は…↓
@黙って他の人の意見を聞く
A提案する(提案内容を自由記述)
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/27(月) 23:55:30.07 ID:AJP6HlZV0
2 友人との宅飲みで出た案を提案してみる、マッシュモンデジタルペット計画としてスポンサーたちに売り込んでみる
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/27(月) 23:56:39.91 ID:bojtjeNYo
2
マッシュモン達の言う「おそろしいてき」について我らにとっても脅威かもしれないので調査、可能なら排除する
対価としてその間増殖等こちらにとって迷惑な行為を一時的にやめてもらう
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/28(火) 00:03:07.21 ID:Nr0YJE6LO
提案の前に、ひとつ質問があります。

マッシュモンは、なぜあんなにたくさんパソコンの中で増えたのでしょうか?

リーダー「外敵への恐怖感からくる防衛本能ではないのか」

なるほど、そうかもしれません。
では、何故ただのキノコのように地面に生えるのではなく、歩き回り、歌ったり踊ったりゲームをしていたのでしょうか?

リーダー「それは…。…何故だ?餌が限られた量であれば、無駄に歩き回るのは効率的ではないな。それに外敵を恐れているのであれば、歌を歌って自分たちの居場所を知らせる必要もない」

そうです。
マッシュモンは、とても高度なコミュニケーション能力を持っています。

フローラモンやコマンドラモンでさえ、自分からあんなにメッセージを発信することはできていません。

リーダー「…何か心当たりがあるのか?」

はい。あります。そしてその裏付けも。

439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/28(火) 00:08:41.03 ID:Nr0YJE6LO
マッシュモンは…デジタルワールドにいた頃、高いコミュニケーション能力をもち、仲間達と団欒をしながら暮らしていたと考えられます。

集団生活を好むということは…それだけ孤独を恐れるということ。

マッシュモンがパソコン内でたくさん殖え、そして歌や踊り、ゲームをしていたのはそのためです。

マッシュモンは…進化によって、高度な感情を『得てしまった』。

そうであるが故に、孤独と退屈を『苦痛』と感じるようになってしまった。

だから一見非効率的に見える矛盾した行動をして、寂しさを紛らわせて生きていかなくてはいけなかった。

我々を神と崇め、神殿まで作ったのは…我々に構ってほしかったからなのです。

リーダー「…つまり?」

マッシュモンは、外敵からの捕食に適応するために進化した、というよりは…

『孤独』に適応するために進化をしたのです。

リーダー「…裏付けがあるといったな。それは一体?」

マッシュモンの持つDNA_ROMと、極めて親しいDNAをもつ個体を、デジタルワールドで発見しました。
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/28(火) 00:12:55.50 ID:Nr0YJE6LO
これです。

https://i.imgur.com/gDW6RFo.jpg

リーダー「なんだ…?サボテンの…幽霊?」

スコピオモンが残した、麻痺させられた保存食デジモンの死骸の中に、枯れたサボテンのようなものがありました。

奇妙ですが…それが幽霊となって、デジタルワールド内を彷徨っているようです。

マッシュモン達と、歌や踊りを楽しみながら。

リーダー「…こいつが、親か…」

つまり。
寂しくなくなり、誰かに護ってもらえる安心感さえ得られれば、マッシュモンは大量増殖する必要がなくなるのです。

リーダー「…それで、君が提案するのはどんな案なんだ?」
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/28(火) 00:43:20.89 ID:Nr0YJE6LO
マッシュモンを、ゲーム機のような小型端末へ収納し、それを有志へデジタルペットとして販売するのです。

カリアゲの研究員「何っ!?お前、そんなことしたら…!」

当然、我々のビオトープと同様のファイヤウォールを導入し、脱走しないようにします。

カリアゲの研究員「そ、それでも…!小型端末じゃ、殖えたときすぐいっぱいになっちまうぞ!」

デジモンは環境に適応して進化する生き物です。
それも実験の一環ですよ。
そのリスクを説明した上で、実験協力者を募るんです。

攻略サイトを見れば結果が分かってしまうようなゲームとは違う、本当の未知の領域です。
そこに魅力を感じる方がいるというのは…研究者である我々なら理解は難しくないでしょう。

痩せた研究員「ま、マッシュモンをお金儲けのために売り飛ばすっていうのか!?僕達と慕ってくれている子達を!そんなの非人道て…」

スポンサー『そこの痩せた研究員くん!!!シャラップ!!!全く君はナンセンスだな、我々はそのために君たちへ出資しているのだぞ!!』

痩せた研究員「!?」

スポンサー『そこの君、続けたまえ!』
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/28(火) 00:45:04.92 ID:tV2SYyHA0
釣れたぜ!
出資者には利益出るようにプレゼンすれば小型端末の開発費やらなんやらせびれるしな
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/28(火) 00:58:09.68 ID:Nr0YJE6LO
端末には、一般的なwifiモデルタブレットを使用します。

マッシュモンは他者との対話を好むため、言語教育用の教材ソフトをプリインストールしておき、ユーザーと音声読み上げ機能で話ができるようにします。

無論、飛行機能をオミットしたデジドローンVRや、解像度をデチューンして処理を軽くしたデジクオリアもプリインストールします。

価格はだいたい30万円前後でよいでしょう。

カリアゲの研究員「た…高くないか?」

犬のトイプードルなんて60万円しますよ。
猫のスコティッシュフォールドで相場30万円です。
それより希少な存在なんです。
むしろ安上がりでしょう。

スポンサー『むしろ安上がり、と言ったが…利益は出るのかね?』

痩せた研究員「そ、それに!餌はどうするんだ?端末のCPUに負荷かけてデータマイニングソフトでもぶん回すのか?入力データも無しじゃそれは無理だよ」

餌となるペレットは我々が生産し、有料DLCとして販売します。

スポンサー『ハーッハッハ!いいねぇ君!素晴らしい是非とも君の案でいきたいねぇ!』

痩せた研究員「!?ま、まじですか」

スポンサー『もしよかったら、スポンサー特権で是非とも優先的に売って欲しい客がいるんだがいいかね?』

リーダー「誰です?」

スポンサー『私の娘だ』

リーダー「…なるほど」
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/28(火) 01:00:22.68 ID:qsROpJhso
命を売るって考えたらすごく安いわな
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/28(火) 01:07:44.24 ID:Nr0YJE6LO
痩せた研究員「で、でもなぁ…。仲良くなれた相手をだよ?お金のために売り飛ばすってのは、ちょっと気が引けるなぁ…」

お金のためというのは少々語弊がありますね。
正しくは、研究のためです。

育成端末からは、定期的に育成のログデータを我々のサーバーへ送信させます。

これにより、ユーザーはデジタルペットを自由に育成できる。
我々は、メインPCを取り戻せる上に、同一の遺伝子をもつデジモンが、異なる外部刺激を与えられて育成されたらどのように変化が生じるか調べることができる。

マッシュモンは、飼い主とコミュニケーションが取れるから寂しくなくなるし、デジタルワールドへ帰る必要も消去される必要もない。

三方一両得。win-win-winの取引です。

カリアゲの研究員「まるでヨーゼフ・メンゲレの実験だな」

いや、なんていう言い方を…

スポンサー『その通りだよカリアゲ君!!』

肯定するんかーーい!!
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/28(火) 01:09:04.99 ID:tV2SYyHA0
生き物は餌に病院の費用に遊具やその他もろもろと金掛かるし大幅なコストカット、音声システムで会話もできるすぐれもの
しかもこれプトトタイプだから、販売後のデータで更なるバージョンアップも可能よ
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/28(火) 01:11:30.00 ID:Nr0YJE6LO
カリアゲの研究員「だけど、もし売れなかったらどうするんだよ…」

ええと、そ、それは…。

女性研究員「別に売れないなら売れないでいいんじゃないですか?」

え?

女性研究員「私達の当初の目的はメインPCの奪還ですよね?うまいこと言ってマッシュモン達を端末に送ることさえできればそれで十分目的は達成されるじゃないですか。安いタブレット端末数十台でそれができるんなら、どう転がってもメリットになりますよ。売れるかどうかなんて、オマケですオマケ。在庫が余ったらぽいちょすればいいんです」

…あー。この人…案外すごい事言うな。
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/28(火) 01:16:09.01 ID:tV2SYyHA0
この議題の主題はどうやってメインPCからマッシュモンを除去して奪還するかだからな
問題はどうやってマッシュモン達を言いくるめて端末に転送するかだ、強硬手段でデジドローンのキャプチャー能力あげて無理やり拉致しなきゃいけないかもだけど
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/28(火) 01:22:48.43 ID:Nr0YJE6LO
…とまあ、これが私の案です。

リーダー「…他に案のある者はいるか?」

モヒカンの研究員「いやぁ…今のを聞いたらもうね…拍手しか出ないや…」

リーダー「カリアゲ、細身。君達はどうだ」

カリアゲの研究員「…リスク対策は怠るなよ。どう考えても消してしまうのが一番安全ではあるんだからな」

痩せた研究員「…マッシュモンが幸せになれるんなら、まあ…」

リーダー「…決まりだな」

スポンサー『では!そうと決まれば!私は早速研究協力者を募るとしよう!君たちは端末の用意とマッシュモンの説得を頑張りたまえ!君達の素晴らしい活躍に期待している!』

…案が通った…。

マッシュモンに、とりあえず必要なことだけ聞いてみよう。



ボスマッシュモン『われわれは かみさまと はなればなれに なるのか』

別れがあれば、出会いもある。
私達だけでは、これだけたくさんのマッシュモンをみんな面倒見れるだけの余裕はない。

これからは、新しい神様と仲良くしてほしい。
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/28(火) 01:24:43.16 ID:Nr0YJE6LO
ボスマッシュモン『…なかまたちは わたしが、せっとくする。…このわたしも、あなたと はなればなれに なるのか』

…↓
@そうしてもらえると助かる
A必要以上に殖えないなら、ここにいていい
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/28(火) 01:27:20.83 ID:tV2SYyHA0
2
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/28(火) 01:27:59.26 ID:jVSrjMTKo
2
453 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/28(火) 01:31:37.31 ID:tV2SYyHA0
メインから駆除できればええねん
それにコイツコミュ力高いし、他2体と交流させるのもいい刺激になるだろう
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/28(火) 01:35:47.97 ID:Nr0YJE6LO
…必要以上に殖えないなら、ここにいてもいい。

ボスマッシュモン『それは ほんとうか』

…できれば他の個体たちに、我々の言葉を教えてあげてくれ。

ボスマッシュモン『それが おんがえしになるなら そうする われらが かみよ』



それから、私達が端末販売の準備をしている間。

ボスマッシュモンは、マッシュモン達に我々の言葉を教えた。

そして、「もうすぐこの世界は闇に閉ざされる。だが神は、我々に方舟を用意してくださった。もうすぐ出航の時は訪れるだろう、その時こそ我等は神の使いとなりて、新たな神と出会い、新世界のために使える使徒となるのだ」等と仰々しく語ると、大勢のマッシュモン達は感涙しながらバンザイしていた。


何の書物に影響されたんだ…?
あ、そうか。
デジモンの魂の研究のために、メインPCには民俗学や宗教学の資料も入れてたんだっけ。
多分それを食ったんだな。
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/28(火) 01:41:02.22 ID:Nr0YJE6LO


スポンサー『君!研究協力者を募ってみたよ。そうしたところ…どうなったと思う?』

どうなったんでしょうか。

スポンサー『販売予定の端末56台に対して、世界中から合計10万件を寄せる購入希望者が応募してきたよ!問い合わせが殺到している!素晴らしい!』

ヒエッ…
どうしましょう。

スポンサー『そういうわけだ!マッシュモン達は日本語の勉強中とのことだし、フランス人やアメリカ人の日本語勉強の役にも立ってくれるかもしれないな!』

…とりあえず、56台は在庫なしで捌けるんですね。よかったです。

スポンサー『もっとたくさん作れないか?マッシュモンってたくさん殖えるんだろう?』

さすがにマッシュモンにどんどん繁殖しろって言うのは無理筋です。

我々にも応えられる期待と応えられない期待があります。

スポンサー『それもそうか!ハハハ!』
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/28(火) 01:41:55.91 ID:jVSrjMTKo
その神様の社会を破壊できる可能性お前ら持ってるんだぞ…
駆除考えてもほんのちょっとでも残してしまったら増殖と進化でアウトだ
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/28(火) 01:42:44.81 ID:Nr0YJE6LO
スポンサー『それはそうと君!いちばん大事なもの決め忘れていないかね?』

いちばん大事なもの…?

スポンサー『そう、このデジタルペットを入れた端末の商品名だよ!なんかこう、ビシっとカッコよくて、それでいて親しみが持てそうな感じの商品名をつけてくれたまえ!』

分かりました。

端末の商品名は…
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/28(火) 01:43:29.46 ID:Nr0YJE6LO





「デジタルモンスター」です。





459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/28(火) 01:43:56.05 ID:Nr0YJE6LO
つづく
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/28(火) 01:44:31.78 ID:DZCWjp5H0
遂に人間とデジモンが触れあってしまうのか
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/28(火) 01:46:42.01 ID:tV2SYyHA0

とりあえずは問題は片付いたな
量産の目途は今のところ立ってないけど、スポンサーからせっつかれてデジモンやデジタマをキャプチャーしてくる羽目になるかも?
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/28(火) 01:59:39.01 ID:Nr0YJE6LO
スポンサー『さて、デジタルモンスター購入に応募してくれた方は、どんな人達だろうか?』

スポンサー『ある程度身元のヒアリングはして、信用できる人物を選んだつもりだが…。隠れた深い事情までは我々には見抜けないぞ』

どしどし応募しよう!↓
@年齢
A性別
B職業
C性格
D購入の動機
Eその他特徴(外見、秘密、思想、他もろもろ)
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/28(火) 02:00:45.00 ID:Nr0YJE6LO
スポンサー『書き忘れたが、無論名前も決めていいぞ』
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/28(火) 09:08:30.40 ID:Bm3vPZXoo
@年齢 20代
A性別 男
B職業 超生物学者
C性格 家族や生命を大事にする
D購入の動機 デジモンを生物として捉え研究や触れ合いといった形で知っていきたい
Eその他特徴(外見、秘密、思想、他もろもろ)デジモンをデータではなく人間の世界の動植物と同じように扱うべきだと思っている デジタルワールドに行ってみたいと思っている もうすぐ子供が生まれる妻を持つ
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/28(火) 09:24:11.06 ID:2s7BwSdU0
@年齢 10代
A性別 女
B職業 高校生
C性格 良くも悪くも今時の女子高生らしい性格
D購入の動機 家に帰ってもいつも両親がいないことへの寂しさから
Eその他特徴(外見、秘密、思想、他もろもろ)
お金持ちの家庭で親が仕事で家を空けていることが多い
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/28(火) 09:34:19.51 ID:aQ7hbVSt0
@年齢 10代
A性別 女性
B職業 中学生
C性格 気弱で引っ込み思案な性格
D購入の動機 友達が欲しい
Eその他特徴(外見、秘密、思想、他もろもろ)
黒髪をおさげにした小学生と間違えられそうな体格の小柄で幼い少女 最近急成長した企業の社長令嬢 両親からは愛されて育ってきたが、性格や所謂「成金」的な立場から学校では一般階級の子や上流階級の子とも距離をおかれ孤独な学校生活を送っている
名前は 如月 優名(きさらぎ ゆうな)
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/28(火) 11:14:14.61 ID:7bcz1qnno
@年齢 20代
A性別 男
B職業 大学生
C性格 生真面目
D購入の動機 論文のテーマを考えていた時に目に止まって何となく惹かれたので
Eその他特徴(外見、秘密、思想、他もろもろ)理系っぽいメガネ
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/28(火) 12:36:20.77 ID:ZIwYwSyKO
@年齢 40代
A性別 男
B職業 外資系企業日本法人CEO
C性格 仕事人間
D購入の動機 自分の会社がスポサーになるに相応しい物かの調査
Eその他特徴(外見、秘密、思想、他もろもろ)多角経営している世界的企業の日本のトップ。仕事一筋で家族を全く顧みなかったため最近妻と子供とは別居中。少ないながらも空虚な休暇を紛らわしてくれるかも……という私情も入った応募
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/28(火) 12:37:02.90 ID:ZIwYwSyKO
スポサー→スポンサーです
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/28(火) 17:34:40.21 ID:7bcz1qnno
@年齢 20代
A性別 女
B職業 警察
C性格 仕事をテキパキこなすしっかり者
D購入の動機 彼氏もいない独身生活の寂しさに耐えきれず
Eその他特徴(外見、秘密、思想、他もろもろ)
容姿端麗 私生活はかなりズボラ ピアノを弾けるが幼い頃は優秀な姉達に比べられることがコンプレックスだった
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/28(火) 18:12:20.55 ID:fQL138QRO
みんなやる気やね
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/28(火) 18:55:35.07 ID:Jv2XZiQv0
@年齢 30代後半
A性別 男
B職業 小説家
C性格 真面目な努力家
D購入の動機 話し相手が欲しくて
Eその他特徴(外見、秘密、思想、他もろもろ)
金髪で大柄、アクセサリーをたくさん付けている
有名なSF小説家だが最近は泣かず飛ばす、隠しているが最近ネタが思い付かなくネタが欲しくて応募した面もある、なぜ隠しているかというと不純な動機と本人は思ってるため、家族がいなく独身なので話し相手が欲しいも本音
見た目に反して礼儀正しく優しいため、見た目で損をしてる
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/28(火) 19:18:47.54 ID:dL97ZmHDO
@年齢 10歳
A性別 男の子
B職業 小学生
C性格 かなりの純粋無垢
D購入の動機 新しい家族が欲しいから(実際に応募をしたのは彼の担当医で彼にプレゼントしたいのが本当の動機)
Eその他特徴
放火と思われる火災によって家族を失い、自身も大火傷を負って入院した
外見は元々は可愛さが残る美少年だったが、現在は顔や身体に大きい火傷跡がある
彼の事を不憫に思った担当医が彼に内緒で応募した
彼の性格が本来の物なのか、肉体的・精神的ショックによる幼児退行によるものなのかは不明
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/30(木) 21:45:30.27 ID:IO8Tam1Ho
募集者はもう十分か
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/31(金) 21:19:09.78 ID:LiguNe2Jo
年末年始だからしばらく休みかな
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/02(日) 20:20:44.10 ID:+CnWq5sKO
マッシュモンを入れたデジタルモンスターは、無事に発送完了した。

ユーザーからはおおむね好評であり、DLCもよく売れている。

以前、フローラモン達のいるビオトープにもマッシュモンが胞子を撒いていたが…
そこから誕生したチビマッシュモン達にも、教育を施した後にデジタルモンスターへ入れて発送した。

ボスマッシュモンは少し寂しそうにしていたが…
フローラモンとともに同胞の旅立ちを見届けると、心の整理がついたようだ。


スポンサーからは「もっとマッシュモンを殖やせないか?」などと要望が来たが、前と同じ返事をしておいた。

試しにマッシュモンを構成するデータをコピー&ペーストして個体を増やせないか実験してみたが…
ペースト先に生成されたのは、干物のように干からびたバラバラの菌糸類だけだった。
デジモンをコピーすることはできないらしい。

…さて、経てしてマッシュモン騒動は収束し、メインPCの奪還に成功した。
ゴミ箱付近に作られたカビ神殿は、とりあえず削除せず残してある。

これからは…↓
@ユーザーのマッシュモン飼育視点に移る
Aデジタルワールドの観察を行う
B新たなデジタマを飼育する
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/02(日) 20:22:35.76 ID:HwNYzFtDO
1
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/02(日) 20:22:41.26 ID:VtWu6v18o
キター!
2
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/02(日) 20:36:16.42 ID:+CnWq5sKO
誰の視点に移るか…↓
@超生物学者>>464
A女子高生>>465
B女子中学生>>466
C男子大学生>>467
DCEO>>468
E女性警官>>470
F小説家>>472
G男子小学生>>473
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/02(日) 20:42:51.81 ID:VtWu6v18o
1
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/02(日) 20:59:54.43 ID:+CnWq5sKO



〜超生物学者(>>464)視点〜

超生物学者「無事にマッシュモンが届いたぞ」

マッシュモン「はじめまして わたしは まっしゅもん よろしく おねがいします」

超生物学者「うん、よろしく。餌は最初の一定数だけは無料なのか…。何故餌が有料なのか、という理由も書いてあるな。律儀だ」

超生物学者「しかし、現状ではコレの販売元が潰れたら餌の生成手段が無くなるんじゃないか?それはちょっとマズいな…」

超生物学者「餌を自力で生成できないか、聞いてみよう。…正直、販売元としてはDLC売上が減るような情報を教えてくれるとは思えないけど」



超生物学者「教えてくれた!!いい人だ!!!ふむ、価値あるデータをマイニングして、DLCのデジタケを栽培すればいいのか」

超生物学者「やってみよう。常に情報を生成し続ける必要があるから、なにかのデータ解析や、シミュレーションを走らせるのが良さそうだな」

超生物学者「…さすがにビッ●コインのマイニングデータを突っ込むのはマズいから、それ以外の何かにしよう」

キノコ栽培用に、何のデータを入力してみるか…?↓
482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/02(日) 21:05:36.59 ID:fHJ0QbNs0
動植物の成長データ
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/02(日) 21:55:23.15 ID:+CnWq5sKO
超生物学者「現存種のデータや化石のデータを入力として、絶滅した動植物の成長シミュレーションを走らせよう」

超生物学者「デジタケを端末からパソコンに移して、このシミュレーション結果をデジタケに与えると…」

超生物学者「おお、殖えた!デジタケの餌はこれで正解らしいな」

超生物学者「食べてごらん」

マッシュモン『ハフハフ、ハフっ!ウマー』ガツガツ

超生物学者「おお、喜んでいる。良質な餌になったみたいだな」



超生物学者「さて、なにか研究でもしてみるか…?」

研究テーマは…↓
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/02(日) 22:06:29.05 ID:SWgjvRT4o
どういった会話が出来るのか
色んなことを教えればどこまで会話が出来るようになるのか
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/02(日) 22:57:35.79 ID:pHYG/kVD0
人間以外の動物や植物と会話出来るのか
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/03(月) 00:00:59.01 ID:D2yhmqafO
超生物学者「言葉をいろいろ教えてみよう。どの程度の言語能力があるだろうか?」

マッシュモン『シュマー?』

超生物学者「マッシュモンの声帯ではマッシュモン語しか喋れないけど、キーボードで打った文字を音声読み上げ機能に入力することで、音声を出力できるんだな」



超生物学者「玩具を拾ってくれ」

マッシュモン『ひろった』

超生物学者「ありがとう。では次は、この文章に従ってくれ」

玩具の紙飛行機を飛ばした後、走ってそれを追いかけ、追い抜けたらそれをキャッチしてから3回まわってピースしてくれ

マッシュモン『???』



超生物学者「ふーむ。長い文章は苦手のようだな。でも短い文章なら覚えられるようだ」

超生物学者「人間以外の動物と会話できるか、試してみよう」



犬「ワンワン!ワン!ワン!」

マッシュモン『いぬいぬ いぬ いぬ』



超生物学者「犬との会話はできないみたいだな…」
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/03(月) 00:03:35.59 ID:D2yhmqafO
超生物学者「しかし…この端末に入れたままだと、あまり大規模な研究はできないな。…正規品のデジクオリアをパソコンに入れて、本格的な研究をやろうかな…」

超生物学者「…デジタルワールドにアクセスしてみたいが…。ゲートの開け方を教えてもらってみても面白いかもしれない」
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/03(月) 00:04:29.81 ID:D2yhmqafO
つづく
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 00:05:47.43 ID:GIOEIdrso
おつ
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 00:12:01.83 ID:qN1ogBxO0

久しぶり
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 00:16:49.05 ID:N6xrjp95o
おつ
あけおめ
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/03(月) 10:34:07.66 ID:GtVYzFmvO
next...↓
@ユーザーのマッシュモン飼育視点
Aデジタルワールドの観察を行う
B新たなデジタマを飼育する
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/03(月) 10:37:42.93 ID:GtVYzFmvO
選択→@
視点→H
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 10:38:00.01 ID:AMSXohbgo
そろそろ見てみたい
2
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/03(月) 10:52:21.44 ID:GtVYzFmvO


〜??? 視点〜

デジタルモンスター研究所の抽選に当たり、マッシュモンの獲得に成功した。

私自身が当選したわけではない。

私の同志たちに声をかけ、人海戦術で大量に応募し、その協力者の一人が当選したのである。

さて、この端末には、飼育データのログを研究所へ送信する機能がついているそうだ。

だが、間抜けなものだ。
何かしたところで、マッシュモンが奴らに没収されるわけではないのだ。


さて、まずはマッシュモンが、どの程度役に立つのかを検証しようじゃないか。


私はデジタルモンスターの端末をwebから切断し、我々の施設内のローカルネットワークに接続して、端末にハッキングを仕掛けてプロテクトを解除した。

そしてマッシュモンをパソコン内のビオトープへ転送した。

これで端末の中身にデジタルモンスターはいなくなった。
奴らに私の活動が知られることはない。

さて、まずは我々の施設内のローカルネットワーク内で実験をしよう。

実験用に用意したPC内の個人情報データを抜き出す実験だ。

一般的なウィルスセキュリティソフトをインストール済みのPCに対し、どれほどのことができるかを試してみた。



実験は成功。
マッシュモンは、ウィルスセキュリティに一切反応することなく、クレジットカードの情報を暗証番号やセキュリティコード含めて持ち帰ることに成功した。
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/03(月) 10:59:10.21 ID:GtVYzFmvO
なかなか優秀なデジモンじゃないか。
だが、この個体をそのまま利用するわけにはいかない。

私はマッシュモンを、PC内のビオトープへ移送した後、餌だけを与えて放置した。

マッシュモンからコミュニケーションを取ろうとこちらへコンタクトしてきても、完全に無視した。

マッシュモンを孤独に追いやったのだ。
お前は孤独に適応して進化した種なのだろう?…マッシュモン。


やがてマッシュモンは、孤独を紛らわすために、ビオトープ内へカビの巣を作り、その中で胞子をばら撒いた。

胞子からは菌糸が発育し、やがて小さなマッシュモンが生え始めた。

これでいい。
私は親マッシュモンを元の小さな端末へと戻し、プロテクトも修復してから、wifiへ再接続した。

これでこの端末と個体は用済みだ。
抽選に当選した本来の所有者へ、親マッシュモンごと端末を返却した。

あとは彼がデジタルペットとして適当に飼育し、無難な飼育ログを研究所へ送信し続けることだろう。
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/03(月) 11:09:57.24 ID:GtVYzFmvO
さて、先程はビオトープなどと大層な呼び方をしたが、実際にはそんな立派なものではない。
単なる飼育室だ。

我々はまだデジタルワールドにアクセスする技術を持っていない。
だからデジタルワールド由来の土や植物を敷き詰めているわけではない。

だが、そんなものは別に無くていい。
データマイニングによってデジタケを培養することさえできれば、デジモンを育てることは容易だ。

あとは…適度なストレスを与えてやれば、マッシュモン達は進化するだろうか…?
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 11:11:43.32 ID://1KEfm0o
悪用する奴出てきたのか
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/03(月) 11:17:21.45 ID:GtVYzFmvO


〜デジタルモンスター研究所 研究員視点〜

フローラモンとコマンドラモンは、今日もボットを使ったトレーニングをしたいと要求してきた。

彼らは訓練をゲームのように楽しんでいるようだ。

最近はボスマッシュモンもトレーニングに加わっている。

…マッシュモン達をユーザー達へ販売し、メインPCの奪還に成功したのは、フローラモンとコマンドラモンの協力のおかげだ。

コマンドラモンがマッシュモンの神殿内へ調査を行い、フローラモンがボスマッシュモンへ我々の言語を教えた。

だからこそ状況の把握が把握できたし、対話によって平和に事態の解決ができた。

…彼らにはいくら感謝してもし足りない。
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/03(月) 11:32:26.38 ID:GtVYzFmvO
さて、彼らの飼育をするにあたり、ひとつ課題がある。

それは…
我々が用意できるボットの性能が、彼らの戦闘能力に追いつかなくなっているのだ。

強力なボットを開発しようとしているのだが…
いかんせん、エネルギー源の出力が弱いせいか、ボットの強さが頭打ちになっているのである。

そこで、我々は武器と防具を用意して、彼らデジモン達同士での対戦をさせてみた。

501 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/03(月) 11:55:00.84 ID:GtVYzFmvO
防具についたボタンを押すと、ボタンに点灯しているランプが消灯する。

先に3つのランプを消灯させた方の勝ち…というルールだ。

彼らはこのゲームをとても楽しんでいた。
弱いボットではない、手強い相手と戦えて、張り合いを感じているようだ。

…もっとも、「必殺技」の使用は禁じている。
フローラモンの花粉攻撃は、強いアレルギー作用を持ち、高い制圧力を持つ。

コマンドラモンの自動小銃と爆弾は、単純に強力な殺傷能力を持つ。

マッシュモンにも、毒キノコを投げて毒の胞子をばらまく必殺技がある。
…巣にいる大量のマッシュモンに喧嘩を売っていたら、これをしこたま投げられていたと考えると恐ろしさで身が震える。

…これらの技は、単なるトレーニングで使ったら、遊びじゃ済まなくなる。
それこそ命を奪い合う死闘となってしまうだろう…。
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/03(月) 11:57:07.61 ID:GtVYzFmvO
…さて。
デジモンの飼育もいいが、デジタルワールドの観察も進めておこう。

今回はなにを観察するか…?↓
@特定地域を観察(未知の土地でもOK)
A特定デジモンを観察(今までに見た個体を選択)
503 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 11:59:10.77 ID:Qnt3KmgE0
1
出来れば未知の場所
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/03(月) 12:12:21.65 ID:GtVYzFmvO
未知の土地を観察してみよう…↓
@山岳地帯
Aデータの掃き溜め
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 12:15:05.34 ID:bOgUMLqF0
1
506 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/03(月) 12:29:26.43 ID:GtVYzFmvO
…山岳地帯…

我々は、険しい山へとデジドローンを飛ばした。

山のふもとには森林が広がっている。
川も流れているようだ。地下水の湧き水や、雪解け水あたりが水源だろうか。

サバンナや森林に住むデジモン達が、この山の周辺へ進出してきたようだ。

ゴツモン、パラサウモン、ベジーモン、ベタモン等…
見知った顔のデジモンが勢ぞろいだ。

その中には、高い山を登り、住処にする者がいた。

https://i.imgur.com/wRqaWbZ.jpg
トンボ型デジモン、ヤンマモン。

https://i.imgur.com/vdEEVxO.jpg
そして飛行可能な蛇型デジモン、クアトルモンである。
507 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/03(月) 12:33:54.43 ID:GtVYzFmvO
我々が住むアナログ世界では、山岳地帯にトンボ…というのはあまり見ない。

何故なら、トンボは幼生の頃はヤゴとして水中生活をするからだ。

だがデジタルワールドにいるヤンマモンは、主にテントモンから進化する。
だから山岳地帯に移り住めるのである。
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/03(月) 12:50:33.69 ID:GtVYzFmvO
さて、この山岳地帯で、デジモン達がどんな進化を遂げていくか…
観察していこう。

〜つづく〜
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 13:04:09.92 ID:Qnt3KmgE0
おつ
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/03(月) 13:05:45.51 ID:GtVYzFmvO
※ちょっと相談
※成熟期デジモンの中に、ネズミ型デジモンっていましたっけ…
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 13:18:05.15 ID:NCV1GHHeo
テイルモンは少し違うか
https://i.imgur.com/7ponGJK.png
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 13:35:44.79 ID:N6xrjp95o
チューモンがおる
おつ
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 13:39:00.76 ID:N6xrjp95o
(成長期やったわ……)
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 16:22:03.71 ID:9QxIJbfr0
ネズミというか、ネズミの被り物だけどシスタモンシエルくらいかな成熟期だと…
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 16:40:17.43 ID:9QxIJbfr0
ネズミ型が少ないしな
長期のチューモン チューチューモン 完全体のクンビラモン

成熟期でハリネズミかヤマアラシのどっちかわからんが獣人型のフィルモンとか?
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/03(月) 20:22:24.40 ID:Q2RGrgqBo
まぁテイルモンの成熟期にしてあのサイズなのはネズミ型の残り香位には思える
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/15(土) 21:29:32.71 ID:Ko3tQgNQO
…長い間、研究報告をできずにいて申し訳ない。

ここしばらくの間、デジタルワールドに突如出現し、生息域を広げつつある、とあるデジモンについて、観察しながら研究していたのである。

山岳地帯にも、いずれやってくるだろう。

そのデジモンとは…


サバンナでサラマンダモンが産んだデジタマから育った成長期デジモンである。

これが、そのデジモンだ。
https://i.imgur.com/qe09ns4.jpg


姿はなんとなくベタモンに似ている。
だが、全身が薄い体毛で覆われている…。

その姿は、原始的な哺乳類を彷彿とさせる。
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/15(土) 21:32:34.48 ID:yqKUEZd7o
復活した!
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/15(土) 21:34:21.87 ID:01Pxke/s0
お、再開か
エレキモン突然の繁殖か?
520 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/15(土) 21:37:24.54 ID:Ko3tQgNQO
このエレキモンは、ベタモン同様に電気で攻撃する力を持っている。

だが、最も特筆すべき点は…
自ら体温を調節する力を持っている、という点だ。

暑い時期には、発汗によって体を冷やす。
寒い時期には、体毛を増やして体温を温める。

…それ故に、エレキモンは「素早かった」。
決して足が速い方ではない。

しかし、環境の変化にとても強いのである。

冬季がきて、他のデジモン達が寒さで動きを鈍らせていても、エレキモンは高い体温を維持しているため機敏に跳ね回れる。

夏季がきて、他のデジモン達が体温が上がりすぎないように走る力をセーブしていても、エレキモンは発汗によって体温を下げるため、スタミナが長く続く。

それ故に、エレキモンという成長期デジモンは、夏や冬ならば成熟期に襲われても生存しやすかった。


…環境への適応能力は、ヌメモン以上かもしれない…。
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/15(土) 21:40:40.33 ID:sQsndJzio
やっぱ電気は最高だな
文明を一番発達させる
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/15(土) 21:42:07.99 ID:Ko3tQgNQO
デジモンが繁栄するかどうかは、捕食者や被捕食者としての、白兵戦闘能力だけがものを言うわけではない。

電気を発する力や、炎を発する力といった、派手な特殊能力だけが強さというわけではない。

エレキモンが獲得した、体温調節能力。
こういった、自然環境への強い適応能力もまた、デジモンの「強さ」なのである。

…さて。
先日は山岳地帯の観察をするつもりだった。
現在も一応、その予定はある。

だが、このエレキモンの誕生と生息域拡大は、現在のデジタルワールドにおいて、大きなインパクトをもった現象である。

予定がずれてすまないが…
まずは、このエレキモンの観察を先に行うことにしよう。
523 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/15(土) 21:44:50.93 ID:Ko3tQgNQO


エレキモン「〜♪」ピョコピョコピョコ

さて、デジタルワールドのとある場所で、エレキモンの一個体が移動しているのを発見した。

この個体を観察してみることにしよう。

このエレキモンが向かった先は…↓
@サバンナ
A森林
Bジャングル
C高原
D海岸
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/15(土) 21:45:18.45 ID:iRNWTVkw0
2
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/15(土) 21:46:09.91 ID:01Pxke/s0
5
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/15(土) 21:46:22.96 ID:CDThTcZDO
4
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/15(土) 21:51:34.09 ID:Ko3tQgNQO


エレキモンは、森林へ向かった。
森林に今いるデジモン達は…

レッドベジーモンやウッドモンといった、植物型デジモン。

クワガーモンやスナイモン、ゴキモンといった、昆虫型デジモン。

ゴツモンやスターモン等の、鉱物型デジモン。

最近は、そこへ新たな顔が加わっていた。

ステゴモン、カメレモン、パラサウモン等の爬虫類型デジモンが、サバンナから流れてきたのである。

これら爬虫類型デジモン達は、既存のデジモン達にとって新たな脅威となった。

そして、爬虫類型デジモン達は、森林に来て独自の進化をしていた。

全身が硬い装甲で覆われた、草食恐竜デジモンが登場した。
https://i.imgur.com/nLXbgHL.jpg

モノクロモンである。
528 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/15(土) 21:57:07.55 ID:Ko3tQgNQO
モノクロモンは強かった。

それまで森林では最強でデジモンの一角を占めていたスナイモンの鎌ですら、その装甲を一撃では破壊できない。

むしろ、火炎弾を放って反撃し、追い払うことができた。

モノクロモンの武器は、厚い装甲と強力な火炎弾…

そして、高い消化能力である。


モノクロモンの胃袋はとても強い。
レッドベジーモン等の草食デジモンをばったばったとなぎ倒し、モリモリ食いまくっていた。

あのウッドモンでさえ、根によるエネルギー吸収攻撃を装甲で防がれ、逆に火炎弾で燃やされ、食われてしまっていた。

植物に擬態するという、攻防一体の性質を持ったウッドモン。
だが、そもそも植物を獰猛に食らうタイプのデジモンには、その擬態は通用しないのであった。
529 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/15(土) 22:01:42.71 ID:sQsndJzio
デジモン食ってるけど草食動物で合ってるんだ
530 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/15(土) 22:02:00.73 ID:01Pxke/s0
アドベンチャーでエテモンカー引っ張るくらいの馬力もあるし突進もヤバいわな
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/15(土) 22:06:43.06 ID:Ko3tQgNQO
モノクロモンの唯一の短所は、スピードがそれほど速くないという点である。

全身が筋肉と重い装甲で覆われているため、パワーは物凄いが、スピードは速い方とはいえない。

だが、それは他の爬虫類型デジモンに比べれば…の話だ。
大半の植物型デジモンは、動物型デジモンよりもスピードが遅い。
そのため、モノクロモンは植物型デジモンに対して猛威を振るったのである。


…だが、そんなモノクロモンを追って、サバンナから強力な刺客がやってきた。

https://i.imgur.com/FFww9UD.jpg

二本の長いツノを背中から生やした、肉食恐竜デジモン…タスクモンである。
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/15(土) 22:10:10.70 ID:sQsndJzio
恐竜に支配されちゃう
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/15(土) 22:11:05.37 ID:Ko3tQgNQO
タスクモン「グルル…」ズシンズシンズシン

モノクロモン「…!」

タスクモンは、モノクロモンを見つけると、長い助走距離をとり…

タスクモン「ガアアァァ!」ズドドドドドドドド

一気に突進した。

モノクロモン「ゴオオォォ!」ボゥン

モノクロモンは、火炎弾を放って迎撃を試みた。

タスクモン「ガァウ!」ボゴォ

タスクモンの頭部に、火炎弾が命中した。
皮膚が焼け爛れ、おびただしい出血をしている。

タスクモン「グゥアオオォォォ!!」ズズンズズンズズン

モノクロモン「バァウ!?」

だが、タスクモンは突進を続けた。
間違いなく火炎弾で頭部にダメージを受けている。
決して軽傷ではない。

それでも尚、一切勢いを殺さず、モノクロモンに突進を行った。
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/15(土) 22:18:49.81 ID:Ko3tQgNQO
タスクモン「ガウウウゥゥウ!!」ドッゴォオォォ

ついに、タスクモンの突進攻撃がモノクロモンの装甲にぶち当たった。

モノクロモン「ギャアアアアウウゥ!?」ズガァァッ ゴロゴロ

モノクロは、その強い足でふんばったが…
突進攻撃の勢いに負け、転倒した。

タスクモン「グゥ、ガウウゥゥ!!」ガクガクフラフラ

モノクロモンの硬い装甲へ頭から全力で突っ込んだタスクモンは、脳震盪を起こしたのか、ふらふらと体を揺らつかせている。

タスクモン「ガァア!グガアァ!」ドゴォ

だが、意識がおぼつかない状態でありながら、執念でモノクロモンの腹部へ角による刺突攻撃を行った。

モノクロモン「ギャアアウウゥ!!」ブシュウウゥ

転倒中のモノクロモンの腹部に、タスクモンの鋭い角が突き刺さった。

モノクロモン「ガウウウゥ!」

モノクロモンはタスクモンを睨みつけている。

モノクロモンは、腹部には装甲がない。
そのため腹部は護りが弱いといえる…?

…否。

モノクロモンの腹部には、厚い筋肉の装甲があるのである。

角の刺突が内臓に達しても尚、モノクロモンに怯えはない。

モノクロモン「バァウ!」ボウウゥゥ

モノクロモンは至近距離から、タスクモンの顔面へ火炎弾を放った。

タスクモン「ギャアアウウゥ!」ジュウゥウゥ

タスクモンの顔を火炎弾が焼く。
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/15(土) 22:26:57.30 ID:Ko3tQgNQO
二体の恐竜型デジモンは、激しい死闘を繰り広げた。

…十分近くも続いた死闘の後…。

モノクロモン「…ガフ、ゴゥ…」ドサァ

モノクロモンはとうとう、出血性ショックで倒れた。

タスクモン「ガウ、ゥ…」ドサァ

だが、火炎弾をしこたま喰らいまくったタスクモンも、同時に倒れた。
ダブルノックアウトである。

モノクロモン&タスクモン「…」ブルブル

二体の恐竜型デジモンは、必死に体を起こそうとしているが、もうその体力はないらしい。

そこへ、二匹のデジモンが近付いてきた。

スナイモン&ウッドモン「フシュウゥウ…」ジュルル

森にもともと住んでいた捕食者、スナイモン&ウッドモンである。

モノクロモン&タスクモン「…」

スナイモン「シャアァ!」ズバアァ

スナイモンは、モノクロモンの腹部の筋肉の鎧を、鋭い鎌で切り裂いた。

ウッドモン「フシュウゥウ!」シュルシュル

ウッドモンは、タスクモンの傷口へ根を突き刺し、体液を吸い尽くした。
536 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/15(土) 22:29:23.88 ID:01Pxke/s0
漁夫の利されることも考えずに全力でやりあってたし仕方ない
元々モノクロモンは恨まれてたし
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/15(土) 22:30:30.02 ID:Ko3tQgNQO
…モノクロモンとタスクモンは、これらの個体だけではない。

複数の個体が森林にやってきて、猛威を振るっている。

…モノクロモンの方はまあ、分かるが…
タスクモンの方は…


…何だこいつは!?
何がしたかったんだ!?

自分から襲っておいて、共倒れになるまで戦い続けるとは…
その凶暴性は、はっきり言って捕食者としても異常の域にある。

並のデジモンなら、ここまでこっぴどく火炎弾で反撃されれば、戦意喪失して逃走するもんである。

一体なにがタスクモンをここまでつき動かすのであろうか…
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/15(土) 22:31:37.15 ID:Ko3tQgNQO
…さて。

エレキモンがやってきたのは、そんな激しい弱肉強食の世界である。

エレキモンは、この環境に適応できるのだろうか…?
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/15(土) 22:32:59.12 ID:Ko3tQgNQO
つづく
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/15(土) 22:33:29.91 ID:sQsndJzio
モノクロモン倒しに来ただけだったなタスクモン
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/15(土) 22:34:35.60 ID:01Pxke/s0
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/15(土) 22:41:59.79 ID:iRNWTVkw0
543 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/17(月) 17:14:37.14 ID:nVoGB9Iro
戦闘力だけじゃ生き残れないのが自然界の怖いところ
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/12(土) 06:31:39.74 ID:vOM3n+/gO
一気読みして滅茶苦茶面白かったのでもっとこの解像度の高いデジモン世界がみたいな……
545 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/28(月) 22:44:20.65 ID:2/8COuwoo
その後、森林に来たタスクモン達とモノクロモン達がどうなったかというと…

モノクロモンは、森林に馴染み、覇者として君臨した。

だがタスクモンはというと…
森林にうまく適応できなかった。

必殺の突進攻撃をしようにも、木々が立ち並ぶ森林の中では、十分な助走距離が稼げないのである。

さらに、その長い角と巨大な肉体は、木の枝に進路を遮られてしまうこともある。

結果、タスクモン達は、莫大な消費カロリーを補うことができず、どんどん痩せこけていった。
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/28(月) 22:50:32.04 ID:rh/OY2gLo
久しぶりだな
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/28(月) 22:51:49.07 ID:2/8COuwoo
タスクモン達は、あらん限りの力を振り絞って、森林にデジタマを産んだ。

そして…

…痩せこけた体で、サバンナへと引き返していった。


サバンナに戻ってからのタスクモン達は、パラサウモンやレッドベジーモン、スナイモン等の強豪を突進攻撃によって次々と打倒し、捕食していった。

痩せこけたタスクモン達の肉体は、みるみるうちに力強さが戻っていった。


…タスクモンは、決して弱いデジモンではない。
むしろ、ここサバンナでは最強のデジモンと言っても過言ではないだろう。

だが、「見晴らしのいい平原で、強烈な突進攻撃で獲物を仕留めることに特化する」という、サバンナの環境へ先鋭化しすぎた適応をしてしまったがために、環境の変化に弱くなってしまったのである。

…やがて、森林にタスクモン質が残してきたデジタマに、ヒビが入った。

何が生まれてくるのであろうか…。
548 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/28(月) 23:02:39.46 ID:2/8COuwoo


さて。森林では、エレキモンが来る前にそんな動きがあった。

我々は再び、森林に来たエレキモンの動向を観察することにした。

どうやらこのエレキモンは、兄弟4匹で森林にやってきたようだ。

エレキモンは、雑食性のようだが…
あまり狩りが得意な方ではないようだ。

川でプカモンを捕まえて捕食したり、熟れて木から落ちた果実を食べたりしている。

強力な外敵が来たらすぐに逃げ、時には電気を発して身を守った。

だが、4兄弟のうち一匹は、岩石の肉体を持つ強大な捕食者…
ゴーレモンに叩き潰され、そのまま食われてしまった。

https://dotup.org/uploda/dotup.org2736560.jpg

岩石の肉体には、エレキモンの電気は効かなかったのである。
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/28(月) 23:04:52.88 ID:2/8COuwoo
エレキモン達は、森林の厳しい生存競争の中で、さらなる進化を求めたようだ。

どんな進化をするか…?1〜3↓
@小型の草食デジモンとなる
A大型の草食デジモンとなる
B大型の肉食デジモンとなる
C水中に進出する
Dその他、無理のない範囲で自由安価
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/28(月) 23:06:33.83 ID:rh/OY2gLo
4
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/28(月) 23:06:39.41 ID:cKAKP2IDO
2
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/28(月) 23:06:55.41 ID:vvcbjI760
@
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/28(月) 23:15:51.11 ID:2/8COuwoo
エレキモンのうち一匹は、川の近くで暮らすようになった。

エレキモンの電撃攻撃は、水中の獲物を仕留めるのに便利だったからだ。

やがてエレキモンは、川を下っていき、水中に適応していった。

https://dotup.org/uploda/dotup.org2736574.jpg

…河口や海を自在に泳げるように進化したエレキモン。
その姿は、イルカによく似ていた。

エレキモン改めルカモンは、放電能力を応用して超音波を発生させ、水中の獲物を仕留めることができるようになった。

ゲソモンやティロモン、エビドラモンといった、既存の水中デジモンは、この突如現れた存在に大いに驚いたようだ。

陸上だけでなく、水中の環境も、どんどん変化していく…。
554 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/28(月) 23:19:07.65 ID:AjpH9pmZo
イルカは頭良いからな
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/28(月) 23:25:17.08 ID:2/8COuwoo
もう二匹目のエレキモンは、大型草食デジモンとなる道を選んだ。

だが、ただの草食獣ではない。
エレキモンという、発電能力を持ったデジモンは、己の発電能力を、炎を発する力へと変えた。

そうしてエレキモンは、熱く、力強い進化を遂げた。

https://dotup.org/uploda/dotup.org2736588.jpg

燃える体を持つ、イノシシ型デジモン…ボアモン。

その突進攻撃は、かつてのタスクモンを彷彿とさせる。
違うところは、体当たりの威力そのもので敵を仕留めることではなく、敵を追いかけてから頭突きを放って牙を突き刺すことでダメージを与えるという点である。

タスクモンほどの威力は発揮できないが、森林の中をジグザグに走りながらでも威力を維持できる、環境に適した進化である。

それだけではない。
鼻から炎を噴射して、植物型デジモンを丸焼きにしてしまうこともできた。

ボアモンは、モノクロモンとはまた別の方向性で、攻防一体の力を持つ強豪となったのであった。
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/28(月) 23:27:38.60 ID:5wn6h6tpO
森林で炎使い、脅威だな……火事にならなければ……
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/28(月) 23:37:50.55 ID:2/8COuwoo
そして最後の一匹のエレキモンは…
驚くべき進化をした。

このエレキモンはおそらく、昆虫型や爬虫類型のデジモンが、冬の間は活動が鈍ることを知っていたのだろう。

エレキモン自身の記憶か、親から受け継いだ遺伝子か、その両方か…。

炎を身に纏ったボアモンとは対象的に…
3匹目のエレキモンは、「氷」を身に纏った。

https://dotup.org/uploda/dotup.org2736600.jpg

透き通った水晶を背負った、ハリモグラのようなデジモン…トゲモグモン。
それが3匹目のエレキモンが辿り着いた姿であった。

トゲモグモンの背中に触れたデジモンは、瞬く間に触れたところから凍りついてしまう。

変温動物のデジモン達は、体温を自力で上げることが不得意であるため、触り続けていればどんどん末端から凍っていき、あるいは凍傷で身体組織が損傷していく。

ひとたび身を丸めれば、トゲモグモンの防御を崩せる肉食デジモンはいなかった。
スナイモンの鎌も、ゴーレモンの拳も防いでみせた。

鉄壁の防御力を身に着けた草食デジモン、トゲモグモン…
彼は無敵となったのであろうか?

…否。トゲモグモンにも嫌がる相手がいる。
野生のマッシュモンである。


並の植物デジモンならば敵ではないが、マッシュモンをうっかり食べてしまったときは、苦しそうに嘔吐していた。

…デジモンは、攻撃手段だけでなく、身を護る手段もバラエティに富んでいる。
558 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/28(月) 23:43:00.28 ID:2/8COuwoo
森から川や海へと移り住んだルカモンは置いといて…

森林では、ボアモンとトゲモグモンという、2体の哺乳類型成熟期デジモンが進化に成功した。

優秀な戦闘能力と生存能力持ったボアモンとトゲモグモンは、これからデジタマを産み、子孫を残していくであろう…。


…だが、その頃。
森の中では、もうひとつの大きな存在が、息吹を上げていた。


…自身の生命すらも擲って、強大な敵を打ち倒す、狂暴な破壊者の子孫が、覚醒したのである。
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/28(月) 23:50:49.98 ID:2/8COuwoo
トゲモグモンが、植物をバリバリムシャムシャと食べていると…

突如、森の奥から、恐ろしい咆哮が響いてきた。

驚いたトゲモグモンが、反射的に飛び退くと…

森の奥から凄まじい勢いの火炎放射が飛んできた。

火炎放射は、先程までトゲモグモンがいた場所を通過した。

…火が消えると、遠くから一直線に木々が焼き払われ、灰と化していた。

やがて、火炎放射が飛んできた方から、ズシン、ズシン…と、地響きのような足音が近付いてくる。
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/28(月) 23:56:54.90 ID:2/8COuwoo
やがて、何事かと驚いたスターモンが飛んできた。

空中を飛びながら、様子を伺うスターモン。

スターモンが見たものは…

https://dotup.org/uploda/dotup.org2736610.jpg

https://dotup.org/uploda/dotup.org2736612.jpg

https://dotup.org/uploda/dotup.org2736618.jpg

…3体の巨大なデジモン達が、スターモンの方を向き、火炎放射を放つ瞬間であった。
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/28(月) 23:57:32.02 ID:2/8COuwoo
続く
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/28(月) 23:58:23.31 ID:AjpH9pmZo
有名なデジモン達のウイルス種バージョン
563 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/01(火) 00:09:28.62 ID:LsqmIUFEO
乙 再開ありがとう、やっぱりこの目まぐるしく変わる生態系の描き方が面白いぜ……
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/01(火) 16:23:14.41 ID:FNJENKL/o
エタったと思ったからびっくり
565 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 20:35:28.89 ID:Oh6zRpbdO
これら3体の恐竜型デジモンは、口から炎を吐いて森林を焼き払った。

そして火から逃げ出したデジモン達へ、追い打ちのように火炎放射を浴びせた。

そうやって大勢のデジモン達を焼き殺し、その死骸を貪り食った。

…デジモンは、消費カロリーの多さに比例して強くなる傾向がある。

森林を焼き尽くし、暴食を続けるこれらのデジモン達…
ティラノモン、グラウモン、グレイモン達は、恐るべき強さであった。

スターモンは、ゴーレモンとモノクロモンを引き連れて、恐竜デジモン達へ立ち向かった。

3対3の熾烈な戦いが繰り広げられたが…
やがてゴーレモンとモノクロモンは、劣勢となり逃走した。

足止めのためか、スターモンは最後まで立ち向かったが…
3体全員からの火炎放射を浴び、焼き尽くされた。
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 20:41:02.02 ID:4k7ZFe/+o
復活してたマジか
スターモンあっけなく
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 20:43:56.38 ID:B/oiwRAyO
我々は、ジャガモンの様子を観察した。

https://i.imgur.com/NI4NgHf.jpg

ジャガモンの体長は、かつてスコピオモンと戦ったときよりも、倍近く大きくなっていた。

なんということであろうか。
このレベル5のデジモンは、現在なお成長し続けているのである。
戦闘能力においても、スコピオモン戦のときより大きく向上していることだろう。

普段は寝てばかりいるジャガモンは…
珍しく起きていた。

そして、炎に包まれている木々の方をじっと眺めていた。

やがてジャガモンは、その巨大な体をゆっくりと身を起こし、四本脚で立ち上がった。

だが…ジャガモンは、恐竜デジモン達の方を向いてはいない。

…むしろ、彼らのすぐ近くにある、何か別のものを、見ているように思えた。


やがてジャガモンは、森林の中を徘徊し始めた。

ベジーモンや、テントモン、マッシュモン等、大勢のデジモンがジャガモンの方へ駆け寄ってきた。

そしてジャガモンの足を登り、岩のような体の隙間へ、次々と隠れていった。
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 20:49:01.78 ID:4k7ZFe/+o
闘争本能より弱い者の保護が優先されるタイプの子か
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 20:51:13.84 ID:B/oiwRAyO
やがてスターモンの体を食らい付くしたグレイモン達が、ジャガモンの方へ駆け寄ってきた。

そしてジャガモンへ、火炎放射を浴びせた。

ジャガモンは、体内へ大勢の森のデジモン達を収納し、岩の隙間を閉じて丸まった。

十数秒の火炎放射が続いた。

やがて火炎放射が止まると…
ジャガモンの体表は、火鉢に放り込まれた石のように、赤熱していた。

グレイモンは、ジャガモンを尻尾で叩いた。

グラウモンは、腕の刃でジャガモンの岩を剥がそうとした。

ティラノモンは、ジャガモンの岩を噛んで剥がそうとした。

…だが、ジャガモンはびくともしない。

グレイモン達は、繰り返しジャガモンへ火炎放射と打撃を浴びせ続けた。

熱で脆くなったジャガモンの岩は、さすがにヒビが入る。
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 20:55:36.42 ID:B/oiwRAyO
…そのとき。

突如、地面の土が盛り上がり、地中から何か巨大なものが出現した。

ジャガモンをタコ殴りにしていたグレイモン達は、突然の轟音に驚いた。

その巨大な何者かは、素早く蔓を伸ばし、ティラノモンの首を絞め、持ち上げた。

https://i.imgur.com/QuXp90F.jpg

…巨大な植物型デジモンだ。
ジャガモン程のサイズではないが、グレイモン達3体を横に並べても尚、一回りほど上回るサイズであった。

植物型デジモンは、ティラノモンの頭を勢いよく地面へ叩きつけた。

頭部を強打したティラノモンは、うめき声を上げた。
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 21:01:56.97 ID:/waNF5Mqo
もう一匹完全体来ちゃった
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 21:56:15.28 ID:a5jYl5HfO
グレイモンとグラウモンは、巨大植物デジモン…ブロッサモンへ火炎放射を浴びせた。

ブロッサモンは、怒号をあげながら、それを無数の蔓で防御する。

火炎放射が止まると、防御に使った蔓が焼け落ちて、ちょっと表面が焦げたブロッサモンの顔が現れた。

…蔓を何本も犠牲にしたとはいえ、スターモンさえ葬った最強クラスの2体の恐竜デジモンの強力な火炎放射を耐えきるとは、このデジモンは何者であろうか。

最強クラスのレベル4…成熟期である恐竜デジモン達よりも、さらに一回り強力なレベル4か?

あるいは、ジャガモンと同じくレベル5に到達しているのか…?


ジャガモンが一歩前に踏み出し、グレイモン達へ近づこうとした。

加勢しようとしているのだろうか?

だが、ブロッサモンはジャガモンを睨んで吠えた。

それを見たジャガモンは、一歩下がって元の位置へ戻った。

ブロッサモンは、ジャガモンからグレイモン達の方へ、視線を移した。
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 22:16:35.76 ID:a5jYl5HfO
戦いは熾烈を極めた。

ブロッサモンは、鋭い蔓の鞭でグレイモン達へ攻撃を仕掛けた。

蔓の先端に生えている花弁は、刃物のように鋭利だ。

グレイモンの右腕に、鞭が直撃した。
腕には深い切り傷がつき、どくどくと出血している。

これを恐れたグレイモン達は、3体で代わる代わる火炎放射をすることで、蔓の攻撃を牽制した。

恐竜デジモン達は、火炎放射の後にしばらくインターバルが必要なようだ。

一体が火炎放射をブロッサモンへ浴びせる。

炎が止んだら、ブロッサモンが蔓攻撃を仕掛けてくる前に、すかさず二体目が火炎放射を浴びせる。

そうやってローテーションを組み、ブロッサモンの蔓攻撃を封じつつ、火炎放射の防御のために蔓を消費させ続けた。

それが続いたせいか、ブロッサモンの蔓の再生スピードはだんだん遅くなっていった。
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 22:23:06.04 ID:a5jYl5HfO
だが、ブロッサモンも負けていない。

火炎放射を大量の蔓で防御しながら、蔓の壁の内側に攻撃翌用の蔓を仕込んでいたのだ。

火炎放射が止んだ瞬間、防御に使った蔓の壁の中から、攻撃翌用の蔓を伸ばし、恐竜デジモン達の隙をついて攻撃した。

しばらくの間、戦況は五分五分だったが…
ブロッサモンが放った蔓の攻撃が、ティラノモンの喉を真横に切り裂いた。

ティラノモンは、喉の裂け目から夥しい量の血飛沫と火炎を噴射しながら、ブロッサモンの上に倒れ込んだ。

恐竜デジモン達は、だんだん火炎放射の威力が衰えてきている。

炎を吐くのに必要なエネルギーが尽きかけているようだ。

それに加えて、ティラノモンは喉を切り裂かれて倒れた。

ゆえに波状攻撃のペースは遅くならざるを得ない。

不動のジャガモンの目前で戦うブロッサモンは、己の優勢を悟ったのか、口を歪ませて笑みを浮かべた。
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 22:25:08.68 ID:q47WERm+o
守護神だ
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 22:29:34.20 ID:a5jYl5HfO
戦いの前は、青々とした森林が生い茂っていたというのに。
周囲は既に炎に包まれ、燃えた木と灰に覆われていた。


恐竜デジモン達が捕食活動のために突き進んできた進路は、上空から見るとはっきりとした黒い線となっていた。

燃え尽きた木々が、黒い線を引いていたのである。

もうすぐこの戦いは終わるだろうか…
そんな気持ちで眺めていた我々は、不思議なものを見た。

恐竜デジモン達が突き進んできた黒い線が…
猛烈な勢いで灰煙を立て始めたのである。

まるで、燃え尽きた木々と灰の中を、何かが突き進んでいるかのように…。
577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 22:30:22.82 ID:aVg1OFrYO
これだけじゃ終わらんよなあ……
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 22:35:24.96 ID:a5jYl5HfO
グラウモンが、ブロッサモンに火炎放射を吹きかけようとしたが…

ブロッサモンは蔓を伸ばし、強引にグラウモンの口を閉じさせた。

炎を吐き出せなくなったグラウモン。
ブロッサモンは火傷だらけの痛々しく満身創痍な肉体を大きく震わせて、グラウモンの心臓をめがけて、蔓を突き刺そうとした。

…その時。



一瞬だった。

燃えた木々の中から、凄まじい勢いをつけた二体の巨大な影が飛び出してきたのである。


あまりに突然の出来事だったため、反応できなかったブロッサモンは…


飛び出してきた『何者か』の体当たりをまともに食らい、太い茎の中心へ、巨大な角を深々と突き刺された。

絶叫を上げるブロッサモン。
傷口から、夥しい量の体液が噴出した。


ブロッサモンを突き刺した、二体のデジモン達は…こいつだった。
https://i.imgur.com/FFww9UD.jpg
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 22:41:04.15 ID:a5jYl5HfO
…タスクモン。

森に適応できず、すごすごと逃げ帰っていったはずの彼らが、何故ここにいるのか。

何故このタイミングで、突撃を仕掛けてきたのだろうか。

タスクモン達の体当たり攻撃は、ブロッサモンに深い深いダメージを与えたようだ。

ブロッサモンは、己の茎に突き刺さったタスクモン達へ蔓を巻き付け、死にものぐるいで引き剥がそうとした。

そうして無防備になった顔面に…
グラウモンは火炎放射を浴びせかけた。

これまでは、苦手な火炎放射を蔓で防御することで凌いできたブロッサモン。

まともに顔面に火炎放射を浴びたブロッサモンは、断末魔のような叫びを上げながら、燃える頭をぶんぶんと震わせた。

そこへ、グレイモンが追い打ちでトドメの火炎放射を浴びせようとした。

…ジャガモンが間に割って入り、頑丈な甲殻で炎を防いだ。
ブロッサモンを庇ったのである。
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 22:43:44.69 ID:q47WERm+o
形勢逆転かー
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 22:50:34.10 ID:a5jYl5HfO
タスクモン達は、ブロッサモンの蔓から脱出すると、再び焼けた助走路の向こうヘと走り去っていった。

睨み合うジャガモンと、グレイモン&グラウモン。

だが、瀕死のブロッサモンは自身の上に倒れかかったティラノモンをどけると、ジャガモンを睨んで吠えた。

ジャガモンは、訝しげな表情をブロッサモンへ向けたが…
ブロッサモンに二回ほど吠えられると、グレイモン達とブロッサモンの間から体をどけた。

…ブロッサモンはどういうつもりなのか?
こんな死にかけの体で、多勢に無勢の戦況で。
尚、一体で戦おうというのか?

…合理的ではない。
レベル5のジャガモンの助力を得れば、これらの敵を撃退できる可能性は大きく上がるはずだ。

…ブロッサモンの行動原理を、私は理解できない。
なぜわざわざ自分を不利な状況へ追い込むのか。
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 22:55:15.05 ID:q47WERm+o
プライドか?
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 23:03:52.02 ID:a5jYl5HfO
我々は、一連の出来事に呆気にとられていた。

なぜここに、タスクモンがいるのか?
なぜこのタイミングで、突然襲いかかってきたのか。

やがて、研究員の一人は、恐るべき仮説を提唱した。

曰く…

あれら2体のタスクモン達は、かつて森林に適応できず、森にタマゴを残してサバンナへ退却していったタスクモン達と同一個体である。

だが、それが不自然だった。
自分の死すら恐れずにモノクロモンを仕留めようとする、あの異常な攻撃本能を持ったタスクモン達がだ。
木々が邪魔で体当たりがうまくできなかった…というだけで、おめおめとサバンナへ逃げ帰るものだろうか。

…いや、逃げたのではない。
タスクモンは、機が熟すのを待っていたのだ。
森林の環境へ適応するために。


タスクモン達は…


グレイモン、グラウモン、ティラノモンの卵を森林へ産み落とし、成長した彼らによって森林を焼き払わせた。

そうして森林を焼け野原にし、平原にすることで…
体当たり攻撃を存分に使える環境へ作り変えようとしたのだ。

この森林のあった場所へ適応し、この地の支配者となるために。
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 23:06:37.42 ID:aVg1OFrYO
環境が合わないなら環境を変えればいい、成程な……
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 23:06:45.52 ID:a5jYl5HfO
我々はその説を聞いて、恐怖で身を震わせた。
ゾッとした。

そんな恐ろしい生き物がいてたまるか…と思わずにはいられなかった。

だが、そう考えると辻褄が合ってしまうのである。

突如、火炎放射で全てを薙ぎ払う恐獣の出現、そしてこの場にタスクモンが現れたことの辻褄が。

なんという恐ろしい執念であろうか…。
586 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 23:09:27.98 ID:q47WERm+o
知能高い
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 23:29:38.42 ID:a5jYl5HfO
ブロッサモンは、満身創痍ながらも戦おうとする。
これだけの体力…おそらくジャガモンと同じく、レベル5に到達したデジモンなのだろう。

だが、どう見てもブロッサモンは限界だ。
レベル4デジモン5体による巧みな連携攻撃で、戦闘不能のダメージを受けてしまったとしか言えない。

次にタスクモン達が突っ込んできたら、完全なトドメを刺されてしまうはずだ。

…構えるブロッサモンに、グレイモンは火炎放射を放った。
最初に見たときよりも、威力は著しく減衰している。

だが、全身大火傷な上に、蔓を再生する体力も尽きかけているブロッサモンには、それでも大ダメージであった。
残り少ない蔓で防御するも、蔓の壁は長くはもたなかった。

グレイモンの火炎放射が止まった。

反撃のチャンスがブロッサモンに訪れたが…
ブロッサモンは、攻撃翌用の蔓の用意が間に合わなかった。

やがてグラウモンが、波状攻撃を狙って炎をチャージした。

戦いを見守るジャガモンの目の前で、ブロッサモンは必死で蔓を再生しているが…

生えかかった蔓を、グレイモンが食いちぎった。

…これではもう、防御は間に合わない。


最早、ブロッサモンに、グラウモンの火炎放射を止める術はない。
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 23:33:50.71 ID:a5jYl5HfO
グラウモンが火炎放射を浴びせようとしたその時…

何者かの影が、木々の間をくぐり抜けて、グラウモンの足へと突進してきた。

グラウモンは、首の向きを突っ込んできた影の方へ向けた。
そしてその影へ、火炎放射を放った。


威力が衰えたとはいえ、レベル4の中でも上位の強さを持つスターモンを安々と仕留め、レベル5のブロッサモン相手ですらダメージを与える火炎放射だ。
並大抵のデジモンでは耐えられまい。


だが、その突っ込んできた影は…

炎に包まれても尚、平然としていた。

それはそうだろう。
その肉体は、元から炎に包まれているのだから。

https://dotup.org/uploda/dotup.org2736588.jpg
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 23:35:58.16 ID:NOE2gnDEo
おお懐かしい
590 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 23:41:09.51 ID:a5jYl5HfO
エレキモンから進化した哺乳類型デジモン、ボアモン。

ボアモンは火炎放射を突っ切って、グラウモンの足へ突進攻撃を浴びせた。

グラウモンは、ブロッサモンとの取っ組み合いでダメージが蓄積していたのだろう。
足が歪な形に折れ曲がり、その場に転倒した。

相方が急に襲われて驚いたグレイモン。
だがグレイモンは、ボアモンと戦う前に、ブロッサモンを確実に仕留めるべきだと考えたのだろう。

火炎放射のチャージが間に合っていないためか、強靭なアゴでブロッサモンの頭を食いちぎろうとした。

…その時。
グレイモンは、足元に弱そうでちっこいデジモンがいることに気付いた。

そのデジモンは背中がややトゲトゲしているが、見るからに弱そうだ。

邪魔に思ったグレイモンは、そのデジモンを右足で踏み潰そうとして踏みつけた。


…グレイモンの右足の裏に、硬いトゲが突き刺さった。
そして刺さったトゲによって、体内から血液を急速に冷やされていった。
右足は足元からどんどん凍っていく。

https://dotup.org/uploda/dotup.org2736600.jpg
591 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 23:52:11.76 ID:a5jYl5HfO
グレイモンは悲鳴を上げた。
中途半端なチャージで微妙な火力の火炎放射を、自分の右足に突き刺さったハリモグモンへ浴びせた。

だが、ハリモグモンは極めて高い防御力を持つ。
火炎放射を浴びても、己の冷気で相殺してダメージを抑えた。

ハリモグモンの水晶が突き刺さった右足は、脛から下が完全に凍ってしまった。

凍った右足から上ってきた、冷された血液が、グレイモンの体内を巡った。

なんとかしてハリモグモンを引き剥がそうとして、右足を地面へ叩きつけるグレイモン。

さすがにグレイモンの足のパワーは凄まじい。
やがて凍った右足が割れて、ハリモグモンを足の裏の皮膚ごと引き剥がした。

地面に叩きつけられた衝撃で吹っ飛び、そのまま燃えかけた木に引っかかったハリモグモン。

しばらくの間は、グレイモンのところへ戻ってはこないだろう。

グレイモンはショックを受けているようだ。
こんなわけのわからないチビのせいで、右足に甚大なダメージを負わされたのだから。
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 00:02:26.06 ID:uBzwq81XO
グラウモンは、折れた足を庇いながら、なんとか強靭な腕の刃でボアモンの腹へ斬撃を叩き込んだ。

致命傷には至らずとも、大ダメージを受けて出血したボアモン。
これ以上は危険と考えたのか、ハリモグモンが飛んでいった木の方へ逃げていった。


思わぬ邪魔者のせいで、チャージした火炎放射を消費させられたグレイモンとグラウモン。

その隙を、ブロッサモンは見逃さなかった。
ボアモンとハリモグモンが時間を稼いだ間に、なんとか再生が間に合った僅かな蔓で、グラウモンを縛り上げた。

そしてブロッサモンは、暴れるグラウモンの首へ噛みついた。

このまま頸動脈を噛み千切って致命傷を与えるつもりだ…!
593 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 00:13:17.69 ID:uBzwq81XO
…ブロッサモンは、見逃さなかった。

再び、燃え尽きた木々が埃を巻き上げ、タスクモン達が突進してくるのを。

ブロッサモンは、地面に横たわっているティラノモンを掴み上げると、グラウモンとともにタスクモン達の方へ投げ飛ばした。




自分の子供達を投げ飛ばされたタスクモン達は…



無意識に、足にブレーキをかけてしまった。




突進攻撃をくらったティラノモンは真っ二つに千切れ飛んだ。

グラウモンは、タスクモンの頭突きを背中にくらい、背骨をへし折られた。




体当たりがブロッサモンに当たった頃には、その衝撃は大分相殺されていた。
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 00:24:49.77 ID:uBzwq81XO
とはいえ、ブレーキをかけ、グラウモン達を跳ね飛ばして尚、タスクモン達の突進攻撃は強烈だった。

特に、ブロッサモンのように、移動が苦手な植物型デジモンには、突進攻撃は効果的だった。

攻撃をくらい、倒れるブロッサモン。

タスクモン達は、ブロッサモンを仕留めようとする。

…彼らの前に、ジャガモンが立ち塞がった。

先程ジャガモンが体内に収納していた避難デジモン達は、ジャガモンの中から出て森のむこうへ逃げていった。

火炎放射を吐く恐獣達がもはや戦闘不能になったことを察したためであろう。

ブロッサモンは、ジャガモンを睨んで吠える。
邪魔をするなとでも言いたいのだろうか…。

だがジャガモンは、ブロッサモンの声を無視した。
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 00:30:00.12 ID:uBzwq81XO
タスクモン達が、ジャガモンと取っ組み合った。

ジャガモンは、頭突き攻撃をしたり、岩を飛ばしたりして、タスクモンを攻撃した。

右足に酷い凍傷を負ったグレイモンは、タスクモンに加勢しようとする。

背骨が折れたグラウモンもまた、上半身だけで地面を這い、ジャガモンにどうにか攻撃しようとする。

だが、タスクモン達は、グレイモンとグラウモンを睨むと、吠えた。
先程ブロッサモンがジャガモンに吠えたのと同じように。

…グレイモンは、右足を引きずりながら逃走した。
グラウモンもまた、腕だけで這ってその場から逃げ出した。
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 00:33:04.95 ID:uBzwq81XO
ジャガモンの張り手を食らい、吹き飛んだタスクモン達。

ジャガモンとの力量差を感じ取りながらも、尚もジャガモンへ襲いかかる。

ジャガモンは、タスクモンのうち一体を地面にうつ伏せに突っ伏させると、前足で思い切り頭を踏みつけた。

タスクモンの硬い頭蓋骨に、ヒビが入った。

ジャガモンは、何度もタスクモンの頭を踏みつける。

やがて、そのタスクモンの頭は潰れた。
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 00:38:37.65 ID:uBzwq81XO


グラウモンとグレイモンは、その場から逃げていた。

だが、右足だけが駄目になったグレイモンと違い、グラウモンは背骨が折れている。

なんとかして這って逃げ延びようとしたが…

途中、グラウモンの目の前に、スナイモン、ゴーレモン、ウッドモン、ドクグモンが現れた。

ブロッサモン戦で火炎放射のエネルギーを使い果たしたグラウモンは、もはやまともに戦える状態ではなかった。

ドクグモンに麻痺毒を注入され。
スナイモンに切り刻まれ。
ゴーレモンに叩きのめされ。
ウッドモンに体液を吸いつくされた。


…そうして、グラウモンの肉体は、森の養分へと還っていった。


そんな相方の無残な最期を横目に、グレイモンは山岳地帯の方へと走り去っていった…。
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 00:42:59.52 ID:uBzwq81XO


地面に倒れ伏し、ジャガモンを睨む、二体目のタスクモン。

ジャガモンは、その首を踏みつけると、足から伸ばした根を首へ突き刺し、血液を吸い上げた。

やがてタスクモンは動かなくなった。
…逃げ延びたグレイモン一体を除き、敵は全滅したのである。

…タスクモンは、足の速さではジャガモンより上だ。
立ち向かうのを諦めて、逃げてしまえば、生き延びることができたはずだ。

一体なぜ、そうしなかったのだろうか…。

…死人に口なしである。
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 00:48:52.92 ID:uBzwq81XO


ジャガモンは、タスクモンのうち一体を捕食した。

レベル5のデジモンは、ただ生きているだけで、莫大なカロリーを基礎代謝として消費する。

戦いを終えたジャガモンは、タスクモンから栄養を取らなくてはならなかった。

傷付いて戦闘不能となったブロッサモンは、やがて体を起こした。

ジャガモンは、真っ二つになったティラノモンの死骸を、ブロッサモンに与えた。

ブロッサモンは、落ち込んだような表情をしていたが、腹の虫には逆らえないのか、ティラノモンを食って栄養補給をした。
600 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 00:52:43.96 ID:uBzwq81XO
ブロッサモンは、傷ついた体を癒やすためか、地中へと潜っていった。

ジャガモンは、焼け野原となった森林を眺めていた。

だが、消耗した体力を回復するためか、ひとまず急速を取ることにしたようだ。


…結局、ブロッサモンはなぜ、一人で戦うことに拘ったのだろうか。

最初からジャガモンの力を借りていれば、これほど瀕死に追い込まれることもなかったというのに。

…理由は不明である。
601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 00:58:19.95 ID:uBzwq81XO
それにしても…

このタスクモン達は、引き下がらずに命を落としこそしたが、恐ろしく狡猾な手段で森林地域の支配を試みた。

己が環境に適応するのでなく、環境を己に合わせるという発想…。

この恐るべき知能と発想は、どこから来たのであろうか。

そして、タスクモン達のこの作戦は、「火」の性質と利用法を知っていなければできなかったことだ。

タスクモン達は、どこで火の使い方を学んだのだろうか…。



…心当たりが。

ひとつだけ、あった。
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:00:34.71 ID:uBzwq81XO


地中へと、潜っていくブロッサモン。

やがて頭といくつかの葉だけが地面から出た状態となった。

このまま、地面から栄養を吸収しながら光合成を行い、体力を回復するのだろうか…。



そうして休もうとしているブロッサモンの顔面に。


突如、空中から放たれたビーム攻撃が直撃した。

叫び声をあげるブロッサモン。

ジャガモンは、何事かと振り返った。
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:04:12.30 ID:uBzwq81XO
ブロッサモンは、ビームが飛んできた方を振り向いた…。

その直後。

空中から奇襲してきた何者かが、鋭い針の攻撃で、ブロッサモンの右目を貫いた。

そして、そのまま右目をくり抜いてしまった。
604 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:10:15.78 ID:uBzwq81XO
https://i.imgur.com/AbzDcgm.jpg

…針で攻撃したのは、蜂のような姿をした昆虫型デジモンであった。

そして、昆虫型デジモンの隣に、空中からビームを放ったデジモンが降りてきた。

https://i.imgur.com/x8a4jG0.jpg

…そのデジモンは、なんと呼ぶべきだろうか…
グレイモンのような恐竜型デジモンとはちょっと違う。

あえて言うなら、爬虫類型…

ニ本足で立つ、爬虫類型デジモンだ。



その面影は、どこか見覚えがある。
このデジモンととてもよく似た姿を、どこかで我々は見たことがあった。

「蜂型デジモンと共生しながら暮らす、爬虫類型デジモン」

「火の扱いに長けたデジモン」

…そんなデジモン達の集団を、どこかで見た覚えがある。



ジャガモンは、最早ブロッサモンには戦う力も、自力で身を隠す力もないと察したのだろうか。

これまで聞いたことのない咆哮を上げて、二体のデジモンへ襲いかかった。
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:16:51.49 ID:uBzwq81XO
ジャガモンは、2体のレベル4デジモンが融合して生まれたレベル5デジモンである。

目の前の敵デジモンは、技の威力を見るにレベル4相当であろう。

単純な実力では、負けることはないだろう。

だが、二体のデジモンは、予想外のことをしでかした。

なんと蜂型デジモンは、己の肉体をバラバラにして、竜人型デジモンへ鎧のようにくっついたのである。

https://i.imgur.com/yvPyxCG.jpg

…我々は言葉を失った。
いったいどんな肉体構造をしていれば、こんなことができるのだろうか。

合体したデジモンは、空中へ飛び上がると、腰にぶらさがった銃のような器官から凄まじい勢いで弾丸を連射した。

ジャガモンの甲殻が、激しい金属音を立てている。
あの丈夫な装甲から、少しずつ破片が散っている。
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:21:44.60 ID:uBzwq81XO
あの丈夫な装甲を傷付けるとは…
まさか、あの合体デジモンもレベル5相当の実力を持っているのだろうか?

ただ蜂型デジモンを装甲として身に纏っているだけではないのだろうか。

ジャガモンは、空中の合体デジモンへ向かって、隕石のような勢いで岩を打ち込んだ。

ジャガモンは、こう見えて飛び道具は得意な方である。

合体デジモンには、ジャガモンの岩がいくらか当たっており、ダメージを与えることができているようだ。

合体デジモンは、撃ち合いでは分が悪いと判断したのだろうか…
空中で、いったん合体を解除した。

そして再び、蜂型デジモンを身に纏った。
今度は、竜人型デジモンよりも、蜂型デジモンの要素が強い姿となった。
https://i.imgur.com/f0HX7oN.jpg
607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:26:37.32 ID:uBzwq81XO
ジャガモンは、それがどうしたと言わんばかりに、合体デジモンへ岩を打ち込み続けた。

だが、新たな姿となった合体デジモンは、先程よりもはるかに素早かった。

空中を高速で飛び回る合体デジモンは、すべての岩をことごとく回避し続けた。

そうして合体デジモンは、目にも止まらぬ速さで地上に降り立つと…



…ブロッサモンの首へ、深々と腕を突き刺した。


一瞬の早業であった。
鈍重なジャガモンには、止める術はなかった。

ブロッサモンは、弱々しくも蔓を使って合体デジモンの腕を締め付け、腕を首から引き抜こうとする。

どうやら、合体デジモンのこの形態は、スピードがある代わりにパワーはそれほど強くないらしい。
合体デジモンの腕は、徐々にブロッサモンの首から引き抜かれていく。
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:30:39.66 ID:uBzwq81XO
だが、合体デジモンはその場で蜂型デジモンの装甲を瞬時に組み換え、シームレスに別の姿へ変形した。

https://i.imgur.com/yvPyxCG.jpg

我々が最初に見た姿である。

合体デジモンは、恐ろしい怪力によって、一気に右腕をブロッサモンの首へ突き刺した。

先程までの姿と違い、凄まじい怪力を発揮した合体デジモンは、ブロッサモンの蔓を難なく引き千切った。

ジャガモンは合体デジモンのところへ駆け寄ろうとする。

何発も岩を飛ばす。

だが、合体デジモンは空いた左手で岩を防御すると…

右腕でブロッサモンの頭を、首から引き千切った。
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:33:07.11 ID:uBzwq81XO
合体デジモンは、ブロッサモンの頭を持ち上げると、瞬時にスピード特化形態へ変形した。

https://i.imgur.com/f0HX7oN.jpg

そして瞬く間に飛翔し、ジャガモンの岩が届かない高さの上空まで飛んでいき、そのままブロッサモンの頭を奪い去っていった。
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:38:56.62 ID:uBzwq81XO


合体デジモンは、やがて遠く離れた地へ降り立つと、合体を解除した。

竜人型デジモンと蜂型デジモンの二体へ分離したのである。

そして、表情一つ変えなくなったブロッサモンの頭を引きずり、どこかへ去っていった。


…先程ジャガモンと交戦した際の戦力は、間違いなくレベル5相当であった。

2体のレベル4デジモンがただ力を合わせただけでは、決して届かない戦闘力。

それを、この2体は、間違いなく戦闘中という一瞬だけ獲得していた。


信じ難い光景であった。
彼らは何故今、消耗したブロッサモンのところへ襲来し、その命を奪ったのであろうか…。

一体どこから来たのか。
目的は何なのか…。

全てはまだ不明である。
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:41:53.87 ID:uBzwq81XO


ジャガモンは、辺り一面焼け野原となった真っ黒な森の真ん中で、首のないブロッサモンの肉体を悲しそうな目で眺めていた。

だがしばらくすると、その場にうずくまり…
再び休眠に入った。

やがて、小さな草食デジモン達がやってきて、ブロッサモンの死骸を食い尽くした。

…ジャガモンは、今自分がやるべきことは…
とにかく体力を回復することだと考えたのだろうか…。
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:46:25.23 ID:uBzwq81XO


ボアモンは、木に引っかかっているハリモグモンを見つけると、木に頭突きをした。

枝が揺れ、ハリモグモンは地面に落ちてきた。

やがて二匹は一緒に歩き始めた。

散歩でもしているのだろうか。



歩いている途中で、二匹は大きな骨を見つけた。
先程食われたグラウモンの骨だ。
幼年期デジモンやゴキモン、ヌメモンが群がっている。

二匹はそのうち、肉の切れ端が少し残った骨をいくらか口に咥えて持ち上げると、それぞれの巣へと持ち帰った。

自分達の子供に与えるのだろうか…?
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:49:46.21 ID:uBzwq81XO
続く
614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/26(土) 01:57:41.36 ID:xqKlK4V+o


次々に強いヤツが出てきてデジモン世界が地獄すぎる
弱い子は生き延びるの大変だろうな
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/26(土) 02:09:47.10 ID:cXJ/h8NgO


このエクスブイモンは>>140で出たブイモンってことか……?
ウィルス種集団とは協力関係にあったのか、それとも敵対してたのか……
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/26(土) 07:19:52.91 ID:sZfhxTnoo
仲間を守れなかったジャガモン悲しい…
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/26(土) 20:28:06.79 ID:HQnhhyMqo
続き待ってるぞ
618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 15:03:35.26 ID:qH74J3v0O


四つん這いになって移動する、グレイモンの姿があった。

https://dotup.org/uploda/dotup.org2736618.jpg

グレイモンは、レベル5のブロッサモンとの戦いで全身にダメージを負い、ボアモンの頭突きによって脚を骨折している。
加えて炎を吐くエネルギーは枯渇してしまった。
まさに満身創痍といった状態だ。

グレイモンは山岳地帯へ向かって這いずっている。
こんな状態では移動することすら一苦労であろうに、わざわざ標高の高い山岳地帯へ移動するのは何故なのだろうか…。

グレイモンは、移動中に見つけた植物型の幼年期デジモンや、動きの遅いヌメモンを食って栄養補給している。
だが、腹はあまり膨れていないようだ…。

そこへ、ふたつの巨影が迫ってきた。
https://dotup.org/uploda/dotup.org2736560.jpg
https://i.imgur.com/fvX8kVi.jpg

大型岩石デジモン、ゴーレモン。
そして甲虫型デジモン、カブテリモンである。
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 15:24:52.35 ID:qH74J3v0O
ゴーレモンの体はボロボロに傷付いている。

このゴーレモンは、かつてモノクロモン及びスターモンと共に、グレイモン達3体の恐竜型デジモンに戦いを挑んだ個体である。

前回の戦いでは、こっぴどくやられてしまい、スターモンが時間稼ぎをしたおかげで逃げ延びることができたようだ。

一度力の差を思い知らされたゴーレモン。
普通ならば、生き延びられたのが幸運と思い、二度とグレイモン達に挑もうとは思わないはずだ。

だが、ゴーレモンはヒビの入った拳を握りしめ、グレイモンを殴りつけた。

腹部を打たれて、叫ぶグレイモン。

続いてカブテリモンが、プラズマの球体を発生させ、それをグレイモンの腹へ放った。

グレイモンは、転がってプラズマ弾を躱した。


…ゴーレモンとカブテリモンは、どうやらグレイモンを仕留めにきたようだ。
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 15:30:00.63 ID:qH74J3v0O
炎を吐く体力がなく、片脚がへし折れている満身創痍のグレイモンでは、これら2体のデジモンと戦うのは圧倒的に不利だろう。

なすすべなく倒されるだろう…。
そう思っていた。

だが。
グレイモンは恐ろしいくらい粘った。

ゴーレモンの強靭なパンチを、腕で受け止めて、尻尾攻撃でカウンターを決めた。

カブテリモンの突進攻撃を受け止め、そのまま持ち上げて地面に叩きつけた。


なんということであろうか。
グレイモンは、片脚が折れ全身に深い傷を負っても尚、純粋な格闘能力だけで2体のデジモン達と互角に渡り合っていた。

…いや。
ゴーレモンとの格闘戦に限って言えば、完全にグレイモンが上回っている。

グレイモンは、炎を吐けずとも、純粋な格闘戦能力だけでゴーレモンを遥かに上回っているのである。
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 15:33:18.09 ID:qH74J3v0O
グレイモンは、カブテリモンの羽や右腕を噛み千切った。

ゴーレモンの左腕を尻尾攻撃で粉々に打ち砕いた。

恐るべき戦闘能力だ。

…だが、深いダメージを負って尚、カブテリモンとゴーレモンは、怯まずにグレイモンへ猛攻を続ける。

カブテリモンのプラズマ弾がグレイモンの頭部に当たったことで、戦況は徐々にカブテリモン&ゴーレモン側に傾き始めた。

とうとう持久力の差が出てきたようだ。

ゴーレモンとカブテリモンが、これだけ傷付きながらも戦いを続けるのは何故だろうか。
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 15:41:27.82 ID:qH74J3v0O
これは予想だが…
2体はスターモンの仇討に来たのだと、私は思う。

今はジャガモンの一部となっている、元祖スターモン…
その子供が、恐竜型デジモンとの戦いで火炎放射に身を焼かれて命を落とした、スターモン二世である。

このゴーレモンには、ゴツモンの面影がある。
おそらく、スターモン二世の子供か兄弟であろう。

そしてカブテリモンには、スターモンと共生して暮らすテントモンの面影がある。

スターモン二世は、ゴツモン達やテントモンを護りながら共に暮らしていたデジモンである。

グレイモンがその命を奪った代償は、あまりにも大きかった。


捕食や生存のためではない。
「義」と「復讐」のために、我が身を捨ててこの2体は戦いを挑んできたのだ。


グレイモンは狡猾な戦い方をしていた。
カブテリモンやゴーレモンの身体を欠損させることで、心を折って短期戦で追い払おうとしたのであろう。
合理的な戦い方である。


だが、理を超えた概念に基づく、捨て身の攻撃。
悪く言えば無謀や蛮勇とさえいえる精神が、グレイモンの力を超えたのだった。
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 15:45:14.83 ID:qH74J3v0O
地に伏したグレイモン。

かつてグレイモン達が焼き尽くした、黒焦げの木々の中に手を突っ込んでいる。

カブテリモンは、とどめの一撃といわんばかりに、プラズマ弾を放った。


…グレイモンは、木々の燃えカスの中から何かを掴み、目の前に掲げた。

それは、モノクロモンのものと思われる甲殻であった。

モノクロモンの甲殻は、プラズマ弾を防ぎ、粉々に飛び散った。

おそらく、ここはかつてモノクロモンのいち個体が、ある恐竜型デジモンと死闘を繰り広げ、差し違えた場所だ。

消化しきれなかった残骸の甲殻を、グレイモンは咄嗟に拾って防御に使ったのだ。
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/09(土) 15:58:59.82 ID:HAbQ4K6ho
グレイモンの戦闘センスやべえ
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 16:05:38.60 ID:qH74J3v0O
カブテリモンのプラズマ弾は、再び撃てるようになるまでのクールタイムがかなり長いようだ。

それまでの間、ボロボロのゴーレモンが持ち堪えられるかは怪しい。

カブテリモンは、トドメを刺すために、グレイモンへと駆け寄った。

片腕を破壊されたゴーレモンは、残った方の腕でグレイモンを地面へ押さえつけた。

グレイモンは、焼け焦げた森の中に仰向けに押さえつけられる。

そして2体は、口を大きく開けた。
グレイモンへ致命傷を与えるために、首へ噛み付こうとしているのだ。

ゴーレモンとカブテリモンは、強靭な顎と鋭い牙で、グレイモンの首へトドメの一撃を放つ…!
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 16:12:16.43 ID:qH74J3v0O
…グレイモンは…

黒焦げの木々の中から、両手でそれぞれ、何かを掴んだ。


それは…

かつてこの場で、モノクロモンと死闘を繰り広げて散った、タスクモンの長い角だった。


グレイモンは、二本の鋭い角を掴み上げると、噛みつき攻撃を放っているカブテリモンとゴーレモンの口の中へ突き刺した。


ゴーレモンは、タスクモンの角によって頸椎を貫かれ、倒れ伏した。

カブテリモンは、刺された角が口を貫通して後頭部から突き出ていた。

夥しい量の体液が噴出し、絶叫するカブテリモン。

グレイモンは、ゴーレモンの口から角を引き抜くと、カブテリモンの脳天ど真ん中へ突き刺した。

カブテリモンは、地面に倒れて、ジタバタと暴れまわった。

後頭部と脳天を角で貫通されたカブテリモンは、方向感覚を失ったのであろうか。
空中へ何度もパンチやキックを繰り出している。
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/09(土) 16:14:07.91 ID:G1vg9Bw+o
戦闘力も知能も高い
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 16:18:49.77 ID:qH74J3v0O
グレイモンは、カブテリモンの頭部を尻尾で滅多打ちにする。
首と頭の傷を広げようとしているようだ。

だが、ピクリとも動かなくなったゴーレモンと違って、カブテリモンは頭部を破壊されてもなかなか死なない。

昆虫型デジモンは、思考中枢が脳だけに集中しているわけではなく、脊椎全体に神経系が分散しているようだ。

だが、方向感覚を失っている状態では、もはや勝機がないと察したのだろう。
羽を一本失ったカブテリモンは、残った三本の羽をばたつかせて体を浮かせながら、地面を這って遠くへ逃げていった。

満身創痍になりながらも、追っ手を撃退したグレイモン。

グレイモンは、ゴーレモンの岩のような硬い甲殻を剥ぎ取り、内部の筋肉や内臓などの軟組織を食った。
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 16:28:08.73 ID:qH74J3v0O


夜になった。

ゴーレモンを貪り食って、空腹を満たしたグレイモンは、折れた片足を引きずりながら、先程よりもハイペースで山岳地帯へと移動していた。

拾ったタスクモンの角を、登山用ピッケルのように使うことで、匍匐のスピードを上げているようだ。

なにせ、カブテリモンを取り逃がしてしまったのである。
頭部を滅茶苦茶に破壊されたカブテリモンにどこまでやれるかは不明だが、助けを呼ばれたら危険だ。
そのため、一刻も早くこの場を去ろうと焦っているのだろう。

グレイモンは、両手に握っているタスクモンの角を見つめている。

もしも、モノクロモンとタスクモンの残骸がこの場に落ちていなかったら…
グレイモンは自力では対処しきれず、ゴーレモン達によって確実に仕留められていたであろう。

そして、それ以前に…
ブロッサモンとの戦いでは、親であるタスクモン達が、グレイモン達のために命を賭して時間稼ぎをしてくれなければ、その場から逃げ切ることができず、ブロッサモンに倒されていたはずだ。

…かつてこの場で、モノクロモンへ異常な闘争本能をもって戦いを挑み、散っていったタスクモン。

そして、ブロッサモンとの戦いでグレイモンを逃したタスクモン。

それらの死が、今グレイモンを生かしているのである。
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/09(土) 16:32:03.15 ID:G1vg9Bw+o
そういう思考をグレイモンもしているのか
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 16:32:07.82 ID:qH74J3v0O
グレイモンは、山の麓へ辿り着くと、やがて睡眠を取った。



朝になると、やや脚の痛みが引き、体力が回復してきたようだ。

餌を探して、グレイモンはその場を徘徊し始めた。



…すると、聞き覚えのある羽音が、グレイモンへと近付いてきた。

頭と首に痛々しい傷痕が残ったままのカブテリモンが、追ってきたのである。

どうやら、方向感覚を取り戻したようだ。
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 16:38:23.53 ID:qH74J3v0O
カブテリモンは、プラズマ弾をチャージし、グレイモンへ向かって放った。

それに対して、グレイモンは…
火炎放射で迎え撃った。

グレイモンの火炎放射は、カブテリモンのプラズマ弾を飲み込み、そのままカブテリモンの身を焼いた。

熱さに絶叫するカブテリモン。

グレイモンは、カブテリモンへタックルを放ち、地面に押し倒した。

そして二本のタスクモンの角を掴み、カブテリモンの首へ両方突き刺した。

カブテリモンは、首へ突き刺されたタスクモンの角を、4本の腕で引き抜こうとしている。

グレイモンは、タスクモンの角から手を離した。

カブテリモンは、虫ピンで刺された昆虫標本のように、地面に留められている。

必死に起き上がろうとするカブテリモン。
だが、首へ突き刺された角はなかなか抜けない。
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 16:44:33.27 ID:qH74J3v0O
グレイモンは、再びカブテリモンへ火炎放射を放った。
頭部へ向かって、集中的に。

…その一撃で、カブテリモンの頭部は炎に包まれて焼き尽くされ、完全に機能を失った。

カブテリモンの首に突き刺さったタスクモンの角は、グレイモンの火炎放射で焼かれ、ボロボロになっていた。

グレイモンは、カブテリモンを捕食しようとした。

だがカブテリモンは、なんと無理矢理起き上がった。

頭部を完全に失い、首が千切れたカブテリモン。
視聴覚を失い、もはや五里霧中となったようであり、あらぬ方向感覚へプラズマ弾を放っている。

グレイモンは、カブテリモンを尻尾で殴りつけて地面に倒すと、全身を食い千切って咀嚼した。



グレイモンは去った。
その場には、食い散らかされたカブテリモンの残骸と、燃え尽きたタスクモンの角が残っていた。
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 16:50:27.21 ID:qH74J3v0O
グレイモンは、脚の傷が癒えてきたようであり、身を起こして歩き始めた。

極めて強い、生への執着である。

そしてグレイモンは、山の麓でタマゴを3個産んだ。

タマゴから産まれたデジモンは、やがて進化して成長期デジモンとなった。


https://i.imgur.com/ysZftoi.jpg
翼竜型デジモン、ヴォーボモン。

https://i.imgur.com/iKwsl0I.jpg
ドラゴン型デジモン、ドラコモン。

https://i.imgur.com/7OIywm2.jpg
そして、鳥型デジモン、ファルコモンである。

635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 16:51:52.44 ID:qH74J3v0O
強力無比な破壊者、グレイモンの遺伝子を継いだこれら3体の成長期デジモンは、これからどのように環境へ適応していくのであろうか。

そしてそれらの親である、グレイモン自身は…。
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/09(土) 16:52:35.34 ID:G1vg9Bw+o
こんな化け物染みた強さのデジモンがどんどん増えてくかもしれないってこっわ
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 16:57:17.31 ID:qH74J3v0O


私はグレイモンの観察レポートをまとめ、研究チームへ提出した。

そして、チーム内でレポートを共有することにした。

どうやら、私以外にも、「あの戦いの後」についてレポートをまとめていた研究員がいたようだ。

私のレポート「グレイモン観察」。
その他に提出されたレポートは…

@ボアモンの観察
Aブロッサモンの死骸の観察
Bブロッサモンを倒した謎の合体デジモンの観察

この3つだ。
どの順番で見ていくか…?↓
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/09(土) 17:01:28.14 ID:G1vg9Bw+o
2
1
3
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 17:04:17.40 ID:qH74J3v0O
次回は、ワタシがグレイモンを観察しているときに同時並行で起こった出来事を、A→@→Bの順で確認していくことにしよう。
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 17:04:44.27 ID:qH74J3v0O
続く
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/09(土) 17:05:57.20 ID:2t+4JeyVo
いつなんだろう次回
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/09(土) 17:06:18.07 ID:G1vg9Bw+o
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/09(土) 17:45:55.40 ID:Y35jLN4Go
おつ
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/09(土) 18:15:27.43 ID:yv7TlCmgO
来てた 乙
群像劇だな……
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/10(日) 10:47:57.38 ID:E5yuUg1W0
来てたのか、乙
かたき討ちはできなんだか、仕方ないけどコレも弱肉強食のデジタルワールドの日常なのよね
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 15:50:40.62 ID:vkPQKBGYO
リーダーは私へ、至急レポート「ブロッサモンの死骸の観察」を閲覧するように指示した。

デジモンの死骸がどうしたというのだろうか…?

レポートは、ドキュメントと映像記録の2つで構成されている。
私はまず映像記録を確認した。




映像に映ったのは、ブロッサモンの死骸だ。
謎の合体デジモンに首を千切られて持っていかれてしまい、胴体が半分地面に埋まった状態である。

これがどうしたというのだろうか…?


…しばらく観察していると、ブロッサモンの胴体が蠢き始めた。

まさか、生き返るのか…?

次の瞬間、全く予想していなかったことが起こった。

ブロッサモンの胴体が引き裂かれ、中から何かが出てきたのである。

現れたのは…
上半身だけで地面を這いずる、全身ドロドロのデジモンである。

これは、既に面影がないが…
おそらく、>>599でブロッサモンに丸飲みにされたはずのティラノモンである。

私は目を疑った。
ばかな。
ティラノモンは死んだはずでは…!?
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/10(日) 15:57:30.14 ID:+C87Jszfo
おや?今日も来たか!
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 15:58:32.19 ID:vkPQKBGYO
私はいったん映像を止め、レポートに目を通した。

なぜ、死んだはずのティラノモンが蘇生したのか…?

…いや。そもそも、死んだはずという前提が間違っていた。
我々は、ティラノモンが明確に「死んだ」ことを見届けていないのである。

改めて、ティラノモンが負ったダメージを再確認しよう。

>>574では、ブロッサモンの花弁の刃では首を真横に切り裂かれ、夥しい出血をしながら倒れ、それっきり動かなくなった。

>>593では、タスクモンの突進攻撃をくらい、
真っ二つに千切れ飛んだ。

そして、>>599ではブロッサモンに丸呑みにされた。


…これで死んだと思わない方がおかしいだろう!
頸動脈を切断されて、下半身が千切れ飛んで、何故死なないんだ!?

…いや、「まだ死んでいない」というだけのようだ。

胴体の傷から臓物を晒しながら、上半身だけで地を這い、胃液で溶かされた痛々しい姿を晒すティラノモン。
首からの出血は未だに止まっていない。

生への執着はすさまじいが、あのままでは…
やがて死ぬだろう。
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 16:04:27.82 ID:vkPQKBGYO
ティラノモンは、弱々しく地面を這っているが…
やがて、その力は弱くなっていった。

ついに、その場から一歩も動けなくなり、腕を動かすことが精一杯になった。

…ティラノモンはここまでだろう。
そう思った、その時。

ティラノモンの前に、大きなデジタルゲートがほど開いた。

…デジタルゲートとは、我々が研究室のサーバーからデジタルワールドへ、デジドローンを転送するときに空けるゲートだ。

ティラノモンは、最後の力を振り絞り、そのデジタルゲートへ入った。

ティラノモンが入ったデジタルゲートは、やがて閉じられた。

…以上が、1つめの映像ファイルである。
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 16:09:15.78 ID:vkPQKBGYO
これは…どういうことだ?
デジタルゲートを通じて、瀕死のティラノモンを我々のサーバーに連れ込んだということだろうか?

リーダーに確認したところ、なんと「あのゲートについては何も知らない」とのことである。

ばかな…
するとあのゲートは、我々が全く知らない、何者かによって空けられたということだろうか。

そして、その何者かは、瀕死のティラノモンを捕獲した…?


つまり、我々以外にも、誰かがデジタルワールドに干渉し始めたということだろうか…。
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/10(日) 16:11:01.58 ID:o0u75C3Eo
おいおいおい
悪意ある奴が何かやらかしてデジモンが人間に敵意持ったら人間勝ち目無いぞ
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/10(日) 16:28:01.19 ID:UQfGQe4K0
コレはアレか、デジタルペットの方の奴を不正に手に入れた連中の仕業か
653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/10(日) 16:29:38.48 ID:UQfGQe4K0
這いずる全身ドロドロのデジモンだしレアモンになってるのかな?
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 16:45:05.19 ID:vkPQKBGYO
このレポートを書いた研究員は、このとき空いたデジタルゲートを分析し、特有の信号パターンを記録した。

もしも今後、同じデジタルゲートを目撃したときは、照合することができるだろう。


…さて。
ティラノモンを助けた者は、何が目的なのだろうか?

憐れみからきたものなのか。
研究対象とするためなのか。
あるいは…。
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 16:54:27.69 ID:vkPQKBGYO
…レポートには、2つめの映像が添付されていた。
再生してみよう。

時期的には、グレイモンがタマゴを産み、それらが成長期まで育った頃のことだ。

ブロッサモンの死骸があった場所。
既に死骸はヌメモン達によって食い尽くされており何もなくなっていた。

その場に、例の信号パターンを示すデジタルゲートが開いた。

やがて、ゲートの中から何かが出てきた…。


https://i.imgur.com/2ObcB3n.jpg

こ…これは!?
おぞましい姿のデジモンが、ゲートから這い出てきたのである。
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 16:59:23.90 ID:vkPQKBGYO
腐りかけたおぞましい姿。
下半身を失ったまま、腕だけでズルズルと這い回っている。

どうやら、機械のようなものが体に埋め込まれているようだ…。

まさか、これはティラノモンの成れの果てなのだろうか?

やがて、ゲートからはデジドローンが飛んできて、死にかけのデジモンを観察し始めた。

我々は、このデジモンをレアモンと名付けた。

レアとは、rare…『希薄な』を意味する単語に由来している。
途絶えかけた希薄な命を表す名である。
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 17:03:32.72 ID:vkPQKBGYO
レアモンの周りに、ヌメモンやゴキモン等のスカベンジャーデジモンが寄ってきたが…

レアモンは、それらにガスを吹きかけた。

するとヌメモン達は、体の表面が焼けただれていき、苦しんだ。

どうやらあのガスは、かつて炎を吐く力だったものの名残りのようだ。

硫酸かなにかだろうか…。

そしてレアモンは、己の肉片を千切ってヌメモンへ投げつけて攻撃した。

そして弱ったヌメモンを、己の肉片ごと食べた。


…おぞましい。
それ以外に、形容する言葉が見つからなかった。
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 17:10:06.78 ID:vkPQKBGYO
そのうち、ウッドモンやスナイモンが、レアモンを発見したが…

彼らはあまりの悪臭に耐えきれず、その場から離れた。

「あんなものを食ったら病気になる」と思ったのだろうか。
実際そうなるだろうな…。

そうしてレアモンは、悪臭によって外敵を退けながら、悪臭に惹かれてきたスカベンジャーデジモン達を捕食し続けた…。


果たして、こんな姿になったティラノモンは、今に満足しているのだろうか。

生き続けていて、辛くないのだろうか。

…その答えは。
あんな姿になっても尚、必死に生きようと足掻き続ける様が、全てだと言えるだろう…。
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 17:11:09.06 ID:vkPQKBGYO
…以上が、レポート「ブロッサモンの死骸の観察」である。

なんということであろうか…
この先レアモンは、どうなるのであろうか。
全く予想がつかない…。
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 17:11:35.96 ID:vkPQKBGYO
つづく
661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/10(日) 17:14:15.88 ID:bUUlan5do
人間の手を加えられてデジタルワールドに放たれてしまったデジモンか
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/10(日) 17:39:36.99 ID:UQfGQe4K0

謎の連中はいったい何が目的なのか
663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/10(日) 18:46:46.97 ID:OAwxYHTuO

獲物を引き寄せて外敵を遠ざける臭いって厄介なもんだ……
664 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/10(日) 19:21:41.39 ID:UQfGQe4K0
でも嗅覚のないデジモン相手だと動きの遅い獲物かもしれんね、硫酸は厄介だけど距離とれば問題なさそうだし
665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/11(月) 00:38:22.60 ID:dzyYCH8m0
ネトウヨ・保守(笑)・右翼(笑)・老害右派の大嘘

「太平洋戦争は白人に対するアジア解放の戦いだった」
↑これ大嘘です
news.yahoo.co.jp/byline/furuyatsunehira/20200815-00193356
すべての侵略戦争にあった「大義名分」

「アメリカの経済制裁が気にくわないから」という理由だけでは対米開戦としての大義は弱いので、 日本は対米開戦にあたり「アジア解放(大東亜戦争)」をスローガンに掲げたのである。

当時アメリカの自治国であったフィリピンは アメリカ議会からすでに1945年の独立を約束されており、 日本軍の侵攻による「アジア解放」というスローガンは全く無意味として映った。 よって南方作戦で日本軍に占領されたフィリピンでは、そもそも日本の戦争大義が受け入れられず、 またアメリカの庇護下のもと自由と民主主義、そして部分的には日本より高い国民所得を謳歌していたフィリピン人は、 日本の占領統治に懐疑的で、すぐさまゲリラ的抵抗や抗日活動が起こった。
日本は、アメリカとの戦争の際「アジア解放」を掲げていたが、それよりさらに前の段階で、 同じアジア人に対し攻撃を加えていたのであった。よって多くのアジア地域では日本の戦争大義「アジア解放」は、美辞麗句で空疎なものと映った。 「アジア解放」を謳いながら、片方で同じアジア人である中国を侵略するのは完全な矛盾である。

「日本のおかげでアジア諸国は戦後独立した」
↑これも大嘘です。大日本帝国と関わりない中東やアフリカも独立してます。

「人種的差別撤廃提案で日本は唯一差別と戦った。白人は人種差別を支持した」
↑これも大嘘です。フランスやイタリアも日本に賛成してます。
https://w.wiki/4i4Q
日本国民自らが中国人を差別していることを思い起こすべきと主張し、吉野作造も日本が中国人移民を認めるだろうかという問いかけを行った。 事実、賛成しているのはどちらかと言うと移民を送り出す側の国であり、反対しているのが移民を受け入れる側の国である(イギリスも本国としては賛成だったが、オーストラリアの意向をくんで反対に回っている)。

「アメリカはドイツは人間として扱い、日本人を人種差別で猿や化け物扱いし、それが理由で原爆投下をした」
↑これも大嘘です。ドイツはアメリカに騙し討ちをしてませんから当然です。 開戦前に真珠湾騙し討ちで多くのアメリカ人を無差別攻撃した日本のイメージが最悪だっただけです。

https://w.wiki/4i4Z
原爆投下前に日本の風船爆弾でアメリカの民間人妊婦が殺害されています。ドイツより日本を恨むのは当然です。
「1945年5月5日、オレゴン州ブライで木に引っかかっていた風船爆弾の不発弾に触れたピクニック中の民間人6人(妊娠中の女性教師1人と生徒5人)が爆死した」

原爆投下は、本土決戦のアメリカ側の死者数(日本兵が降伏しないから)やソ連との日本占領競争が主な原因です。人種差別が理由ではありません。 アメリカは投下前に、原爆という新兵器の危険性のビラを撒き日本に降伏を勧めています(日本側は無視)。投下後の人体実験はしないよりする方が良いからついでに検査をしただけでしょう。

そもそも日本側も、アメリカ人やイギリス人だけを鬼のように扱っていました(鬼畜米英)。日本と開戦した連合国国家(オランダ等)は他にもあります。(自分らの差別は棚に上げる)

日本の戦争犯罪は戦場経験者でもある水木しげるさんが証言して漫画にしてます。 詳しくは「水木しげる 姑娘」「水木しげる 従軍慰安婦」で検索してください。 他には「スマラン慰安所事件」「バンカ島事件」で検索。
666 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/06(金) 17:57:36.70 ID:rYV+b3N9O
SS避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/
667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/07/12(火) 15:00:47.31 ID:30QtnqJLo
やっぱエタったかな
668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 21:06:45.63 ID:tDniYEo4O
ハリモグモンは海辺に沿って進みながら、寒冷な気候の土地へ向かって旅をした。
やがて、3個のデジタマを産み、幼年期デジモンが生まれた。

https://i.imgur.com/1Mf8HT6.jpg

四足歩行の哺乳類型デジモン。トコモンと命名された。
女性研究者達に大変人気である。

ハリモグモンは、海でプカモンなどの水棲小型デジモンを捕獲し、親子で分け合って食べた。

やがて、雪が降り積もる寒冷地帯へ移り住んだ頃に、トコモン達はレベル3へ進化した。
https://i.imgur.com/LfIxdqg.jpg

これまたアザラシのような姿。
ゴマモンと名付けられた。
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/29(月) 21:08:03.14 ID:SuSrkFRNo
ファッ!?!?
復活した!?
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 21:15:54.25 ID:tDniYEo4O
その愛くるしい姿は、研究所の中で大人気であった。

ゴマモン親子は、その強い防寒能力によって、寒冷地帯で生息域を広げることに成功した。

しばらくの間、敵無しで暮らしていたのだが…
やがて、そんなオアシスに外敵が侵入してきた。

https://i.imgur.com/nPLg0XG.jpg
https://i.imgur.com/qpLnttg.jpg
氷雪系のレベル4デジモン。
アイスモンとユキダルモンである。

おそらくゴツモン系統から進化したのだろう。


彼らは、ヒヤリモンと名付けられた幼年期デジモンの群れを連れていた。
https://i.imgur.com/MI42SRK.jpg
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 21:34:14.84 ID:dBhuTsBvo
アイスモン軍勢と、ハリモグモン軍勢は、出会ってしまった。
食糧がそう多くない、極寒地帯で。

どうやら、どちらの軍勢も争いは嫌いなようだ。
だからこそ、こんな局地へ適応する進化をしてまで、外敵のいない環境を選んだのだろう。

両軍勢は、できるだけ互いに関わらないようにしていた。
海で小魚デジモンを捕りながら、慎ましく暮らしていれば、争わずに済むだろうと…
その場の皆が信じていた。



…しかし、狩られる魚型デジモン達とて馬鹿ではない。
プカモンの数が減ったことで、彼らは「海の中から」発見されてしまったのである。
672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 21:43:00.63 ID:dBhuTsBvo
やがて、ヒヤリモン達は進化した。
成長期デジモン、チクリモンである。
https://i.imgur.com/70zmHcs.jpg

たくさんのヒヤリモン達が皆成長期になったのだから、さらに多くの食糧が必要になった。
チクリモン達も、海に飛び込んで、プカモンを狩るようになった。


ある日のこと。
ゴマモン一匹と、チクリモン数匹は、いつものように海岸でプカモンを獲ろうとしていた。

そこへ、突然…
水面から何かが飛び出してきた。
https://i.imgur.com/Vw7HNtZ.jpg
https://i.imgur.com/0pxex1L.jpg
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 21:47:06.44 ID:dBhuTsBvo
一瞬のことであった。

水中から出現したレベル4デジモン、シードラモンとトビウモン。

彼らは、ゴマモンとチクリモンを丸呑みにすると、そのまま水中へと潜っていった。


…その様を見ていたユキダルモンとハリモグモンは、あ然としていた。
自分の子供が、一瞬で海に飲み込まれていったのだ。

それ以降も、群れがプカモン狩りをしていると、騒ぎを聞きつけてシードラモン達が飛び出してくるようになったのである。

…ふたつの群れは、完全にマークされていた。
674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/29(月) 21:51:30.89 ID:qyt+O7xfo
帰還に感謝!
圧倒的感謝!!!
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 21:53:34.37 ID:dBhuTsBvo
このままではいけない。
協力して海の敵と戦おう。
そう決心した、ユキダルモン、アイスモン、ハリモグモン。

彼らは、大きな音を立ててシードラモンとトビウモンをわざとおびき出し、そして戦った。

戦いは熾烈を極めた。
戦いを避けてきたユキダルモン・アイスモン・ハリモグモンよりも、海の中で捕食者として暴れ回っていたシードラモン、トビウモンの方が、単独での戦闘力は高い。

それでも、陸上に陣取っているハリモグモン陣営は、地の利を活かして戦い、優勢に立ち回っていた。

もしかしたら、このまま押し切れば勝てるかもしれない!
アイスモンは氷の拳をトビウモンに叩きつけながら、そう思っていただろう。

…だが。
戦場に突如、ラッパのような音が鳴り響いた。

水中から顔を出したレベル4デジモン、シーホモンが雄叫びをあげたのである。
https://i.imgur.com/LRpH0KB.jpg
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 21:59:12.20 ID:dBhuTsBvo
シーホモンは、ラッパを吹き終えると、海に潜っていった。

…その数秒後。
海の中から、シードラモンが追加で5匹出現した。

これはまずい、とビビったハリモグモン陣営は、その場から一目散に逃げ出した。

6体のシードラモンから一斉に噴出された氷の矢によって、ユキダルモンは粉々に消し飛んだ。




…それ以来、海岸からはいつもシーホモンが顔を出していた。
ゴマモンがプカモンを狩るために海辺へ近づくと、シーホモンはすぐにラッパを吹いた。

シードラモンがやってくるのを恐れて、すぐに逃げた。



…そうして、局面は膠着した。
アイスモンやハリモグモン、その子供達は、まともに餌がとれなくなってしまったのだ。
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 22:22:37.07 ID:dBhuTsBvo
ハリモグモンは、それでも子供達のために餌をとろうとした。

シーホモンが見ていない隙を狙って、海に潜るハリモグモン。

だが、海の中では…
既にトビウモン数匹に待ち伏せされていた。

トビウモンのタックルを全身に浴びるハリモグモン。
背中を氷で防護しているハリモグモンといえど、これを受け続けたらやばい。
氷で身を包み、防御を試みた。

だが、トビウモン達は、氷の鎧で身を包んだハリモグモンを、水中へ引きずり込もうとした。

さすがに呼吸が続かないハリモグモンは、氷を融かし、泳いで水中から脱出した。

陸に上がったハリモグモンは、口を大きく開けて息を吸い込んだ。

その瞬間。

シーホモンのラッパが鳴った。





ハリモグモンが大きく開けた口の中に。
シードラモンが発射した氷の矢が、深々と突き刺さった。




ハリモグモンは口と後頭部から大量に出血し、倒れた。
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 22:23:19.80 ID:dBhuTsBvo
続く
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/29(月) 22:32:41.65 ID:qyt+O7xfo
おつおつ!
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/29(月) 22:36:54.07 ID:SuSrkFRNo
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 22:53:33.68 ID:dBhuTsBvo
〜オマケ〜

ところで、海にたくさんいる大量のプカモン達。
これらを見て、疑問に思わないだろうか。
「このプカモン達はなぜ、幼年期のままこんなにたくさんいるのだろうか」と。


プカモン達とて、食われるのは嫌なはずだ。
ならばさっさと成長期ヘ進化してしまったほうが、個体の生存率はぐんと上がるだろう。

しかし、プカモン達は進化せず、幼年期のままあちこち泳ぎ回って暮らしている。

…どことなく奇妙である。
我々はプカモンについて観察し、研究した。
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 22:58:31.30 ID:dBhuTsBvo
プカモン達の生活を見ていると…

プカモンの主食は、海藻であったり、水棲デジモンの死骸であったりするが…

プカモンよりさらに小型の幼年期デジモンである、ピチモンやポヨモンを食べる事もあった。
https://i.imgur.com/NrUhXcR.jpg
https://i.imgur.com/ZoXVNs8.jpg


…そしてプカモンは、なんと小粒のデジタマを大量に産んだ。

そして、プカモンが産んだデジタマからは、稚魚のようなデジモンが産まれた後、プカモンへ成長した。


…これは驚いた。
なんとプカモンは、幼年期のままデジタマを産むのである。


プカモンの餌となるピチモンやポヨモンも、プカモン同様に、幼年期のまま大量にデジタマを産み、親と同じ姿の子が孵化することが確認された。
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 23:04:30.94 ID:dBhuTsBvo
謎が解けた。
弱い被捕食者であるプカモンや、さらにその餌となるピチモン達が、なぜ幼年期のままあちこちにいるのか。


彼らは、幼年期を最終進化形態として、ハイペースで殖えることによって生存する種だということだ。

我々は仰天した。
陸上のデジモン達は、皆レベル4になって初めてデジタマを産んでいたからだ。


低レベルデジモンが、高レベルデジモンに勝る点…
それは「代謝量が極めて少ない」ことである。

消費カロリーが少ないから、僅かな餌だけで生き延びられる。
外敵に捕食されようが構わない。それら外敵の死骸が、増えたプカモンやピチモン達の餌となるから。

…そうした生活環を獲得したデジモンもいるということだ。
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 23:08:15.14 ID:dBhuTsBvo
もっとも、ピチモンやプカモンポヨモンの中には、成長期や成熟期へ進化をする個体もいるようだ。

彼らのDNAを調べたところ、幼年期のまま殖える個体群とは、大きく遺伝子配列が異なっていた。

同じ外観でも、DNAがぜんぜん違う。
だから生活環や成長の方向、デジタマを産むようになる年齢にも差異が出てくるのである。


水棲デジモンは、この傾向がかなり多い。
魚型デジモンであるスイムモンも、成長期のままデジタマを産むことが確認されている。
https://i.imgur.com/Ih3rbOG.jpg
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 23:10:24.06 ID:dBhuTsBvo
つまり、デジモンは。
産もうと思えばどんなレベルでも、デジタマを産めるのである。

それでも、陸上のデジモンはレベル4になるまでデジタマを産もうとしないことが多い。

これは、恐らくだが…
DNAに秘められた「強くなろうとする意思」が、陸上デジモンの方が強いのかもしれない。
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 23:10:59.18 ID:dBhuTsBvo
〜つづく〜
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/29(月) 23:11:35.73 ID:SuSrkFRNo
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 23:20:43.80 ID:dBhuTsBvo
ところで、これまでの報告を聞いてくれた皆様には、今まで出現した中で好きなデジモン、もっと観察したいデジモンはいるだろうか。

もしも挙げてもらえるならば、そのデジモンにフォーカスしてさらなる観察をしたいと考えている。
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/29(月) 23:32:47.40 ID:QPZgrHajo

コマンドラモン
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/30(火) 00:12:00.08 ID:dDXhyRG20
まさか復活するだと……!?乙

手持ちデジモンがやっぱ気になるけど、それ以外だとジャガモン、グレイモンの子、農園、マッシュモンかな
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/30(火) 00:24:17.06 ID:KvfhLROEo

グレイモン
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/30(火) 01:13:19.15 ID:9UjmJCQIo
おつ
ジャガモンを
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 23:28:50.12 ID:zm1NUAgko


ハリモグモンの兄弟であるボアモンもまた、デジタマを4個産んだ。

そこから産まれたトコモンは、やがて4匹とも、レベル3へ進化した。
https://i.imgur.com/afT1gum.jpg

4匹の哺乳類型デジモン…バクモンは、森の中で草を食べながら生きた。


やがて4匹のバクモンは、それぞれ異なる姿のレベル4デジモンへ進化した。

牛型デジモン、ブルモン。
https://i.imgur.com/NVoWcCH.jpg

シマウマ型デジモン、シマユニモン。
https://i.imgur.com/aEtYNQ3.jpg

ヤギ型デジモン、ゴートモン。
https://i.imgur.com/YK9hxcl.jpg

ヒツジ型デジモン、シープモン。
https://i.imgur.com/G3YI28G.jpg


子供達の共通点は、親譲りの硬い蹄である。
走行に適した脚部を活かして、これら偶蹄類型デジモン達は、大地を駆け巡った。


…彼らについて特筆すべき点はない。
足が速ければ、生存に有利に決まっているからだ。


偶蹄類デジモン達は、森やサバンナ、山岳地帯、平原へ、それぞれ住処を移していった…。
694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 23:31:57.09 ID:zm1NUAgko
…さて。
ブロッサモンを倒した、竜人型デジモン…エクスブイモンと、蜂人型デジモン…スティングモン。

彼らは、ブロッサモンの頭部を運び、サバンナの方へ向かった。

そこには、大きな集落があった。
ディノヒューモン農園を中心として、原始的な文明ができていたのである。

爬虫類型デジモンと、蜂型デジモンか共生し、農作物を育成する巨大農園。
エクスブイモンとスティングモンは、ブロッサモンの頭をそこへ持ち帰ったのであった。
695 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 23:36:43.65 ID:zm1NUAgko
エクスブイモンは、村の長であるディノヒューモンのもとへブロッサモンの頭部を届けた。

ディノヒューモンは、ブロッサモンの頭部を何度も切断し、細切れにした。
おおよそ500ピースほどに分離された。

それを乾燥させた後、石をくり抜いて作った容器の中へ入れて貯蔵した。

ディノヒューモンは、この乾燥ブロッサモンを何に使うのであろうか…。
696 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 23:43:21.61 ID:zm1NUAgko

数日後。
ディノヒューモンは、群れのデジモン達に何かを指示した。

すると群れのデジモン達は、いっせいに森へ向かった。
そして木々を伐採し、材木にして、サバンナの集落へ持ち帰ったのである。

木材の有用性に気付いたということだろうか。

次々に木を切り倒していく集落のデジモン達。
怒ったレッドベジーモンが攻撃を仕掛けたが、フライビーモンやモスモンの集中攻撃を受けて倒された。


もしかしたら彼らは、ブロッサモンが倒れ、材木を収集しやすくなる機会を伺っていたのかもしれない…。
697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 23:46:46.63 ID:zm1NUAgko


その頃。

森の中では、ジャガモンとウッドモンが向かい合っていた。

ジャガモンは、自分の体の中から、大きな芋を取り出し、ウッドモンへ差し出した。

ウッドモンはその芋を食べた。


すると、ウッドモンの肉体は、急激に巨大化を始めた。


https://i.imgur.com/ydN30Hu.jpg

枯れ木そのものであったウッドモンは、青々と生い茂る葉に包まれた。
698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 23:51:27.05 ID:zm1NUAgko
その進化を見届けたジャガモンは、深くうなずくと…

体表を構成する岩石のような装甲が、ボロボロと剥がれ落ちていった。

ジャガモンの肉体はどんどん崩れていく。


やがて、ジャガモンはこぢんまりとした姿となった。
頭部から、根っこと枝、葉が生えた姿だ。
サイズは小さめの成熟期程度だ。


その小さな体になったジャガモンは、目を瞑り…
そのまま眠った。




しばらく観察したが、ジャガモンは目を覚まさなかった。
間違いなく生きてはいるが、太陽光を浴びてわずかに光合成するだけであり、動き回ったりはしないようだ。
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 23:52:22.85 ID:zm1NUAgko
大木へ進化したウッドモンこと、ジュレイモンは…
休眠状態のジャガモンを一瞥すると、森の中心へと進んでいった。
700 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:10:44.43 ID:LRT6okKKo
…ときに。

現在のデジタルワールドは、成熟期…レベル4デジモンを頂点とした生態系ではあるものの、個体数では成長期…レベル3デジモンの方が多い。

それは何故なのだろうか?
なぜデジタルワールドは、レベル4デジモンで埋め尽くされていないのだろうか。


デジモンはレベル4になれば格段に戦闘能力が増す。
それならば、どいつもこいつも成長期で留まっておらずに、みんなグレイモンやスターモン、モノクロモンといった戦闘能力の高いレベル4や…あるいはスコピオモンのようなレベル5になってしまった方が、個体の生存率は上がるはずだ。

しかしながら、デジモン達は誰も彼もが戦闘能力の高い姿を手にしたわけではない。
プカモンやヌメモン、ベジーモンのように、あえて弱い姿を選んで進化する個体も大勢いるのである。


それは一体、なぜなのか…?
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:17:26.29 ID:LRT6okKKo
それは、高い戦闘能力をもつ肉体を維持するには、莫大な消費カロリーを必要とするからだ。

かつて出現したレベル5デジモン、スコピオモンを覚えているだろうか。
スコピオモンは、その強靭な肉体を維持するために、森林に住むデジモン達を乱獲した。

あのときは森林のデジモンの10〜20%が消え、生態系のバランスが変わったともいわれる。

もしもあのままスコピオモンを止めるものがいなかったら、どうなっていただろうか?
森林のデジモン達は絶滅していたかもしれない。
そうなれば、スコピオモンは間違いなく餓死していたことであろう。

故に、スコピオモンは。
圧倒的な強さを持ってはいたが、生存に有利かというと全くそんなことはなく、むしろとても脆い存在だったといえる。
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:23:49.89 ID:LRT6okKKo
かつて我々の世界は、巨大生物であふれていた。
トンボの祖先は体長が30cmもあったといわれているし、全長20mを超える恐竜が陸上を闊歩していたこともあった。


しかしながら現在では、そんな巨大生物はほぼ存在しない。
トンボは小さくなり、恐竜は小鳥になった。

皆あえて大きさと強さというアドバンテージを捨て、小型化したのである。


そう、つまり。
大きく強くなることだけが進化ではない。
小型化し、弱くなることで、環境に適応しやすくなることもあるのだ。

それがデジモン達の進化の方向性のひとつだということである。
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:26:46.28 ID:LRT6okKKo
では、デジモンにとってレベル5への進化は、死の病なのであろうか?

過剰なパワーと引き換えに強い空腹に襲われるだけの、誤った進化なのだろうか。


…そうとは言い切れない。
ひとつ、レベル5に到達しても、安定して生きていける系統がある。


それは、光合成によって体内で栄養を合成できる、植物型デジモンだ。

ジャガモンやブロッサモンがそうだ。
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:31:40.09 ID:LRT6okKKo
あのブロッサモンは一体何者だったのであろうか。
ジャガモンとの関係は一体なんだったのだろうか。

我々の研究所は、ブロッサモンは『ジャガモンの後継者である』と仮説を立てた。


ジャガモンは、スコピオモンに対抗するために、スターモンとウッドモン、大勢のゴツモン達が融合して進化したレベル5デジモンである。
その戦闘能力は、これまで見てきたデジモン達の中で群を抜いて最強であった。
ジャガモンならば、グレイモン・ティラノモン・グラウモンの3体と戦っても、大してダメージを受けずに勝っていただろう。


だが、ジャガモンは戦闘能力が高すぎるあまり、消費カロリーが高く、『森の守護者』を担うにはオーバースペックだった。

単独の戦士として最強であっても、守護者としての役割に向いた肉体をであるかというと、そうとは言えないのだ。

だからジャガモンは、デジタマを産み、後継者であるブロッサモンを育てたのだ。





…だが。
そのブロッサモンは死んだ。
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:33:46.01 ID:LRT6okKKo
そして今、ジャガモンは体内のエネルギーをウッドモンへ渡し、ジュレイモンへと進化させた。


ジャガモンのような、動物型と植物型のハーフではなく。
完全な植物型のレベル5デジモンに、守護者の座を譲ったのである。
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:35:44.03 ID:LRT6okKKo
ジュレイモンは、さくらんぼのような赤い果実を実らせた。

甘い香りに誘われ、動物型デジモン達がジュレイモンの周囲に集まり、果実を食べていく。

ジュレイモンはそれを眺めながら…
にっこりと笑っていた。
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 01:19:50.59 ID:S+vp7nWso
ジャガモンも現役引退か
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 03:59:15.35 ID:YFi/b0Ak0
現実で一番大きい生物って言ったら確かに木だもんなあ……
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 13:21:45.98 ID:WJ2eg3gB0
どこの世界も飯の確保は死活問題だ
710 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 16:35:56.09 ID:8gtM5zKKo
草食以外は誰かが餌にならんと食物連鎖できないしな…
可哀想だけど小さい子たちはたくさん産んで食われるしかない
711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 17:10:08.09 ID:f1VzQWCpo
デジタルなモンスターだけど自然の摂理には逆らえない
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 22:33:03.26 ID:UY437IRqo
我々は、レベル5デジモンについての研究をレポートにまとめた。
そして講演会で発表した。

デジモン研究の講演会には、学者のみならず一般の方々もよく来てくれる。
小さな男の子もちらほら散見される。

一通りの発表が終わり、質疑応答の時間に入った。
様々な人々からの質問が行われる中、小学生とみられる男子から、思いもしなかった質問が飛んできた。


「レベル5デジモンはなんでそんなに強いんですか?」


…我々は答えを持ち合わせていなかった。
というより、考えたこともなかったのだ。
「なぜレベル5デジモンがそんなに強いのか」などと。


かつて出現した暴虐の王、スコピオモンは、体のサイズはスナイモンと同程度だったはずだ。
だが、パワーもスピードも体力も、レベル4とは比較にならないほど向上していた。


少なくとも現実の動物なら、体のサイズが変わらないなら、筋繊維の密度もそう大きく変わらないはずだ。
体内に蓄えられるエネルギー量もそう大きな違いはないはずだ。


それなのに、スコピオモンはなぜあんなに強かったのか?

…我々はその理由を調査しようとした。

だが、断念した。
サンプルが少なすぎるためだ。

今後、レベル5デジモンからデータ計測できる機会はあるのだろうか…。
713 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 22:45:18.52 ID:UY437IRqo


デジモン達は、デジタルワールドでどんどん生息分布を広げていく。

森林やサバンナ、密林、寒冷地帯、湿地帯など…。


やがてデジモンは、険しい山岳地帯へと進出しようとしていた。

山の麓には森林が生い茂っているが、高度が増すにつれ、ゴツゴツとした岩肌が露出している。
大地が大きく傾き、デコボコしている。

それ故か、モノクロモンのように重い体を持つデジモンは、この環境に不向きなようだ。

既に植物型デジモンや、テントモン等の羽をもつ昆虫型デジモン達は、この環境に適応していた。

そんな中に、グレイモンの子供の一体…
ファルコモンがやってきた。
https://i.imgur.com/7OIywm2.jpg
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 22:53:35.81 ID:UY437IRqo
ファルコモンは、小型恐竜デジモン、アグモンに近い種である。

鋭い爪をもち、地面をどしどしと直立二足歩行するという共通点がある。

アグモンとの大きな違いは、硬い嘴と羽毛を持つことだ。

その嘴は、地面をつついて植物を掘り起こして食べたり、攻撃に使ったり、巣材を折ったり…様々な用途があった。

その羽毛は、体温を維持するのに役立った。羽毛の中に空気を含んでいるため、体温を奪われにくい。また、撥水性をもつため、雨にぬれても強い。
ときに巣材になったりもする。

ファルコモンは、アグモンより確実に進化した種であった。


やがてファルコモンは、レベル4へ進化し、さらに強靭な肉体を手に入れた。


https://i.imgur.com/kkHmLhU.jpg
ニワトリに似た姿のデジモン、コカトリモン。
だがその暴れっぷりは、ニワトリというより恐鳥類に近かった。
715 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:01:46.93 ID:UY437IRqo
これまで、デジモンはただひたすらデカくて強ければよい、というわけではないことが、繰り返し語られてきた。

だが、レベル4としての強さの極限を攻めた、巨躯をもつグレイモン。
その子供であるコカトリモンもまた、親同様に、強さと狂暴さを極めようとしていた。

コカトリモンは極めて獰猛であり、直系の祖先であるタスクモンを彷彿とさせる暴れっぷりを見せた。

あるとき、コカトリモンは、山岳地帯で他のデジモンを発見した。

テントモンに近い種とみられる、レベル3デジモン…
コカブテリモンである。
https://i.imgur.com/cros2MF.jpg
716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:04:05.74 ID:UY437IRqo
コカトリモンは、コカブテリモンに襲いかかると、鋭いクチバシをコカブテリモンの頭部に力強く打ち付けた。

コカブテリモンの頭部は、アイスピックを振り下ろされた氷のように粉砕された。

コカトリモンは鋭い爪とクチバシで、コカブテリモンを八つ裂きにし、バラバラにして食べた。
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:16:16.94 ID:UY437IRqo
食事の最中に、コカトリモンは、新たなデジモンを発見した。
https://i.imgur.com/53z6JEM.jpg

昆虫族の中でも上位の強さを誇る、スナイモンである。
かのスターモンと互角の戦闘力を持つ種だ。戦いは避けた方がよいだろう。


だが、コカトリモンは雄叫びをあげ、スナイモンに襲いかかった。

スナイモンの鋭い刃がコカトリモンに振りかざされる。
凄まじいスピードだ。


だが、コカトリモンは口から炎のようなものを吐き、スナイモンの刃に浴びせた。


スナイモンの刃は、石…もといセメントのような物質で覆われた。
これでは自慢の切れ味が活かせない。

コカトリモンは、スナイモンの関節部へ、この炎を吐きつけた。
スナイモンの関節部はどんどんセメントで固められ、動きが鈍っていった。

やがてコカトリモンは、スナイモンの首に噛みつくと…
頭部を噛みちぎって切断した。


我々は驚いた。
あのスナイモンを、ここまで圧倒するとは。
さすがはグレイモンの子孫…。


コカトリモンは、スナイモンを解体して捕食した。
718 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 23:21:53.45 ID:YFi/b0Ak0
コカトリモン、あんまり強いイメージはなかったけど石化能力はそりゃまあ強いわな……
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:23:41.78 ID:UY437IRqo
コカトリモンは、スナイモンを食っている最中に、また新たなデジモンを発見した。
https://i.imgur.com/8biGpQL.jpg

カラツキヌメモンの子孫とみられる、モリシェルモンである。

スナイモンの死骸を放置して、雄叫びをあげてモリシェルモンへ襲いかかるコカトリモン。
モリシェルモンは、固い殻の中に隠れた。


だがコカトリモンは、鋭いクチバシを、モリシェルモンの殻へ打ち付け続けた。

やがてモリシェルモンの殻は、アイスピックを突き立てられた氷のように砕けた。

そうしてコカトリモンは、モリシェルモンの軟らかい体を食い千切って捕食した。

暴れて抵抗するモリシェルモンであったが…
コカトリモンは、モリシェルモンの頭部へクチバシを突き刺し、脳を引きずり出して食った。


なんという獰猛さであろうか…。
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:26:46.00 ID:UY437IRqo
翌日、再びデジモン狩りをするコカトリモン。
新たな獲物はすぐに見つかった。


https://i.imgur.com/YK9hxcl.jpg
ヤギ型デジモン…ゴートモン。
ボアモンの子供だ。

コカトリモンはニタリと笑うと、食いかけのコカブテリモンを捨て置き、ゴートモンの方へ駆け出した。

ゴートモンは、蹄のある自慢の脚で逃げ出した。
さすが走ることが得意なボアモンの子だけあって、走行スピードは速い。
木々の間を縫うように、機敏な走りを見せた。


だが、コカトリモンも猛スピードで爆走し、ゴートモンを追いかけた。
凄まじいパワーのクチバシで木々をへし折ってなぎ倒しながら追跡する。
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 23:27:46.46 ID:FfYDiL2+o
グレイモンの子孫つっよ…
こんなの余裕で天下統一じゃないですか…
722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:29:58.78 ID:UY437IRqo
やがてゴートモンは、険しい崖へと追い詰められた。

コカトリモンは、ゴートモンを崖へ追いやってていく。

するとゴートモンはなんと、崖の下に飛び降りた。
そして崖の僅かな突起に蹄をひっかけて、切り立った崖を登り始めたのである。

驚くコカトリモン。
だが、美味そうな獲物を目の前にして、このままおめおめと似がせるわけがない。
コカトリモンもまた、崖の下に飛び降り、ゴートモンのように崖にしがみつこうとした。
723 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 23:32:25.03 ID:tecEvoFk0
あれ?アグモン今まで出たっけ?
724 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:32:52.52 ID:UY437IRqo
だが、無理だった。

足を滑らせたコカトリモンは、200mの高さの崖から転落した。

必死に翼をバタつかせたが、飛ぶ機能は備わっていない。

どんどん遠ざかっていくゴートモンを睨みながら、コケエエエエと大声で叫んだ。





…そのままコカトリモンは、激しく地面に体を打ち付けた。

バーーーーンという大きな音が、30秒ほど山々に木霊した。
725 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:38:16.26 ID:UY437IRqo
やがて砂埃が消えると、地面に倒れ伏しているコカトリモンの姿が現れた。

全身を複雑骨折し、内臓も破裂しているとみえる。

なんとも痛ましい姿だ。



目玉が飛び出ているコカトリモンは、絞り出すように鳴き声を発しようとするが…
気嚢が破れており、声を発することができないようだ。


死に瀕して悔しそうな表情をするコカトリモン。
己こそが最強だったはずだ。間違いなく山の生態系の頂点だったはずだ。
その自分が、あんな弱そうな奴を捕食できず、こんな無惨な最期を遂げるだなんて。

最強であるはずの自分に、こんなことがあっていいはずがない…!


…そんなことを考えているのが、コカトリモンの全身からありありと伝わってきた。
726 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:40:37.45 ID:UY437IRqo
コカトリモンは、最期の力を振り絞り、デジタマを産んだ。
そして徐々に冷えていくぬくもりで、デジタマを温めた。





コカトリモンの死骸が、ヌメモンやゴキモンに食い尽くされた頃…

その遺骨の下の地面が、モコモコと盛り上がった。
727 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 23:40:38.32 ID:YFi/b0Ak0
過剰な攻撃性は自滅に繋がるってことだなあ
728 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:49:14.66 ID:UY437IRqo
地面から出てきたのは、なんとも可愛らしい姿の幼年期デジモンであった。
https://i.imgur.com/jiHyVLF.jpg

草の実などを食べて成長し、一回り大きくなった。
https://i.imgur.com/aSMy2Mq.jpg


やがてレベル3になると…
親よりも、さらに鳥に近い姿となった。
https://i.imgur.com/j3KPXqT.jpg


鳥型デジモン…ピヨモンは、未発達な翼で、ばたばたと飛んだ。

地上から飛び上がるのは得意じゃないらしい。
たった一世代で、大空を舞う力が備わるわけではないようだ。


だが、それでも…
崖から飛び降りても、ゆるやかに着地することはできるようだ。
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:53:56.41 ID:UY437IRqo
ピヨモンは、崖から飛び立って地面を目指しているときに、何かが目に入った。

それは、ピヨモンの親…コカトリモンのように、ゴートモンを追いかけている、恐鳥型デジモン。ディアトリモンの姿であった。
https://i.imgur.com/TJasJB7.jpg


ディアトリモンは、崖を登るゴートモンを追いかけ…
そして、足を滑らせて転落した。



あのショッキングな音が、再び山々の間に木霊した。
730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:55:20.82 ID:UY437IRqo
つづく
731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 23:59:00.19 ID:YFi/b0Ak0

山岳のヤギ、強い
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 00:05:17.97 ID:oDW6wgJ0o
〜オマケ〜

紹介するのが遅れていた。これがアグモンである。
https://i.imgur.com/atrQ69D.jpg

タスクモンが産んだ卵から産まれたレベル3デジモンであり、これらがグレイモン、グラウモン、ティラノモンへと進化したのだ。

口から炎を吐くことができ、レベル3の中では最強クラスといわれる戦闘力をもつ。
レベル4デジモンのヌメモンやベジーモンと互角の力を持つとさえいわれる。

強さを突き詰めようとするアグモンの遺伝子は、強大なレベル4デジモンに進化し得るポテンシャルを持っているのである。
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 00:08:34.38 ID:ofigKZ2Uo
鳥なのに飛べない奴等は悲惨だ
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 08:52:11.40 ID:KsWPbD8E0
ピヨモンはまだ落ち着きありそう
735 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 10:40:44.76 ID:aVrFe9B/o
飛べないにしても滑空くらいできたら良かったのにね
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 20:35:01.52 ID:lWoanl7ko
戦闘だけなら天下だなアグモン→グレイモン一族
737 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 22:24:59.26 ID:dAo3F5IXo
デジタルワールドのエネルギー循環、栄養循環は、どのような仕組みになっているのだろうか?

一見すると、太陽光を使って成長した植物が、草食デジモンの餌となり、それが肉食デジモンの餌となり、死んだデジモンが分解されて植物の栄養になる…という、現実の生態系と同じシステムに思える。


しかしながら。
デジモンというものを詳しく調べていくと、「ん?」と疑問点が湧いてくる。

第一に…
デジモンは「データ」を食べる生き物であることが分かっている。
ただし、デジモンはサイズがでかいだけのランダムノイズなどは食べない。
価値のある情報を選り好みして食べるのだ。
我々が、コマンドラモンやマッシュモン、フローラモンの餌を、データのコピペではなく、データマイニングによって計算コストと時間コストをかけて都度生成していることからも、それは明らかだ。

しかしながら、「データを食べる」ということが具体的にどういうことなのか、よく分かっていないのだ。

食べたデータが分解され、デジモンの体内で消えたことで、代わりに何のエネルギーが生まれるのか?

分からないことだらけではあるが…
デジモンの代謝系は、我々人間が、糖と酸素からATPを合成して、細胞内で分解してエネルギーにする仕組みとは、根本的に異なるシステムであることは間違いない。


すると、そのエネルギーの源となっている、デジタルワールドにおける「太陽」とは何なのであろうか?


デジクオリアが我々に「太陽」として見せているコレは一体何なのであろうか?
738 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 22:35:51.76 ID:dAo3F5IXo
そもそもデジタルワールドとは何なのか。

デジタルネットワーク上に存在している世界…というと、なんとなくわかったような気にはなる。

だが、現実のデジタルネットワークは、世界各地のサーバーや端末内の様々なシステムによって極めて精巧に作られている。

コンピューターウィルスは世界中に蔓延してはいるが、各種セキュリティソフトによって逐次駆除されている。

こんな精巧なモンスター型のボットを構成している巨大なデータが、あちこちのサーバーやパソコンのディスク上の領域に丸ごと入っているかというと…
現実のデジタルワールドを見る限り、あまりそうとは考えられない。


しかしながら。
フローラモンやマッシュモン達は、確実に我々のサーバー内に「いる」こともまた事実なのだ。


我々人間は、原子や分子の構造体という形で、現実世界に『いる』。


ではデジモンは、どんな形で、どこに『いる』のだろうか。
739 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 22:53:30.04 ID:dAo3F5IXo
様々な研究によって、少しずつ、それが分かり始めてきた。

デジモンが存在する「デジタルワールド」…
その媒体となっている「デジタルネットワーク」とは、ノイマン型コンピュータ端末同士の相互通信ネットワークや、それを構成する磁気テープ上のゼロイチのデータ情報のことだけを指しているのではないのだ。

それらの端末を利用している、我々人間の脳もまた、「デジタルネットワーク」を構成する一部分なのだ。

人間だけではない。
地球上の様々な動物の思考回路…脳も、デジタルネットワークを構成する要素となっている。

動物だけでもない。
近年の研究によって、森林を構成する植物同士は、菌根菌の菌糸を回線としたネットワークを構成し、相互に情報交換をして協調して活動していることが明らかになっているのだが…
そのような植物同士の情報ネットワークもまた、デジタルワールドを構成する「デジタルネットワーク」の一端であることが、いくつかの研究によって示唆されている。
740 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 23:03:17.64 ID:dAo3F5IXo
植物や人間の思考回路はアナログではないか?それではアナログワールドにいるアナログモンスターではないか?と言われることもある。

それは、まあ…今更といえば今更というか。
最初にそう名付けられてしまったから、今もそう呼ばれているということだ。

電流の向きがマイナスのベクトルとして決まっているように。

自然界を支配するといわれる4つの力…
重力と電磁気力に続く「弱い力」と「強い力」が、仮称のまま正式名称になってしまったように。


通称として広く知れ渡り、様々な論文で使われてしまった以上、今更名称を変えるわけにもいかなくなった、ということだ。

もっとも、変えるべきだなんて意見は一度たりとも聞いたことはないが。
741 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 23:14:27.69 ID:dAo3F5IXo
あまりこのあたりを詳しく説明してもドツボにはまるので、詳しくは我々が出している論文を見て欲しい。
きっと理解の助けになるはずだ。


近年では、「現実世界とデジタルワールドの間で、物体の転送ができないか?」という研究を行っている機関もあるらしい。

もしもそうなれば、人類にとって大きな恩恵となることは間違いない。
ゴミ処理問題や農地開発など、「土地が足りない」ことによる問題の解決の糸口になるかもしれない。

また、化石燃料の代替となるエネルギー源を得られるかもしれない。

もっとも、そんなことが本当に可能となるかどうかは怪しいが…

我々がデジタルワールドを観測する技術「デジクオリア」は、その領域に至るための足がかりであることは間違いない。
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 23:23:37.60 ID:9B9kfaSu0
読ませてくれ……論文!!

今のデジタルワールドは全然原始的だし
本格的に人間の手が加えられるようになったら荒らされそうだなあ
743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 23:31:32.07 ID:dAo3F5IXo
話がそれてしまって申し訳ない。
元々は、デジタルワールドの栄養循環がどうなっているか、デジモンは食べたデータをどのように生体エネルギーへ変換しているのかという話だった。

しかしながら、それをきちんと論理的に納得できるように説明するには、どうしても複雑な話に言及せざるを得ないのだ。


抽象的、オカルト的な話に喩えるのは苦手なのだ。
うまく簡潔に説明できずに申し訳ない。


ともあれ、私の同僚の言葉を借りるならば…
『エネルギー保存則がこの世に存在するように、情報もまた完全に消滅することはない』という法則が、この世には存在するらしい。


たとえば、純水と乾燥した土がそれぞれ独立で保管されていたとして…
それを混ぜて泥水にしてしまえば、それが元々は純水と乾燥した土だったという情報は、我々からすると消えてしまったように見える。

しかし実際は、その結果が観測されることにより、「乾燥した土がどのような過程で水に溶けていくのか?」という知識や、泥水そのものが持つコロイド溶液の性質に関する科学的知見など、新たな情報が生み出される。


デジタルワールドの栄養循環や、デジタルモンスターのエネルギー代謝とは、この概念に近いのだそうだ。


『情報が消えることで、新たな情報が生まれる』…。

その連鎖によって、デジモンは活動している、ということらしい。

そして、デジタルワールドにおける太陽とは、この概念でいうところの『巨大な情報源』…

いわば「我々の認識できる世界から失われていった情報」が、何らかの方法でデジタルワールドへ送られ、日光のように降り注いでいる…ということのようだ。


ぼやっとした説明になってしまったが、なんとなくイメージは分かってもらえたことだろう。
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 23:34:31.34 ID:vUTbkIeto
人間のいらないものがデジモンにとってのいるものになってるんだな
745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 23:44:38.66 ID:dAo3F5IXo
人間のデジタルネットワークには、コンピュータのデータを破壊するプログラムが多数存在している。

我々はそれをワームやウィルスに喩え、「データを食べて殖える生命のようだ」と比喩したことがあった。

しかしながら、その比喩は一見合っているようで、実は誤りがある。
なぜならウィルスやワームは、自己増殖することとデータを破壊することの間に、機能的な繋がりがないからだ。

殖えようと思えば、データを破壊せずともいくらでも殖えることができる。
かつて流行したことのあった「チェーンメール」のように。

つまり、ワームやコンピュータウィルスは、別に「データを栄養にしているわけではない」のである。


だが、コンピュータウィルスの流行をきっかけとして、デジタルワールドの存在が我々の技術で観測できるほど顕現できるようになったことは、決して偶然ではない。


デジタルネットワークが肥大化し、それを構成する情報を破壊する悪質なプログラムが増えたことで、「我々の世界から失われる情報」の量が爆発的に増加したのである。

つまり、それと対になるように、我々の世界からデジタルワールドへ送られる情報量もまた、爆発的に増加したのだ。
746 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 23:56:48.82 ID:9B9kfaSu0
世のハードディスクが削除されたり暗号化されたりする度にデジタルワールドが富んで来たんだな……
747 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 23:59:39.22 ID:pTAUatDf0
デジタルが喋れればデジタルワールドのこと分かるのになあ
748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/02(金) 00:05:40.34 ID:VkqQSjxro
デジモンは、コンピュータウィルスが進化して産まれたデジタル生命体…という通説は、合っているようでもあり、そうでもないといえる。

これは、動物の進化のイメージが近いといえる。

動物は、細胞内のミトコンドリアによって酸素と糖分から莫大なエネルギーを得る力…「好気呼吸の力」を獲得した生物群だ。
好気呼吸によって得られる活動エネルギーは、メタン細菌のような他の代謝システムをもつ生物が生み出す活動エネルギーよりも遥かに大きい。

そのミトコンドリアの起源は、αプロテオバクテリアと呼ばれる好気性細菌だったといわれている。

しかしながら、動物はαプロテオバクテリアそのものが直接進化して誕生した生物というわけではない。

原始的な真核生物が、αプロテオバクテリアを取り込んで、細胞内共生することで進化した種だ。


デジモンもまた、ウィルスそのものから直接進化した存在というよりは、データを分解・吸収するための手段として、ウィルスを利用するようになった生物、ではないかと予想されている。


デジタルワールドには、『デジモン以外のデジタル生命体』も存在している。
たとえば微生物や細菌、植物に近い生命が確認されている。

それらデジタル生命体の中のひとつであり、最も強力に進化した系統が「デジタルモンスター」なのだ。
749 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/02(金) 00:09:14.42 ID:Bt3c95Ulo
ウイルスではないけどウイルスと似た能力も使える生き物か
750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/02(金) 00:12:55.73 ID:VkqQSjxro
かつて我々の研究所で発生した「ゴミ箱マッシュモン事件」を覚えているだろうか。

ゴミ箱の中にあるデータが、どんどん消えていき、マッシュモンの餌となっていた事件である。

あのときは、コンピュータをスキャンしてもコンピュータウィルスは見つからなかった。

それはそうだ。ウィルスセキュリティソフトは、コンピュータに有害なプログラムをなんでも除去してくれる魔法のソフトではない。
ウィルス定義ファイルに基づいて、ウィルスとみなされたプログラムを除去しているにすぎない。


あの時、研究所のパソコンに巣食っていたプログラムは、ウィルス定義ファイルで引っ掛けることができなかったのだ。

マッシュモン…
「分解者」の姿と力を得たそのデジモンは、データを分解するプログラム…デジタルワールド製のコンピュータウィルスを菌糸のように操り、ゴミ箱の中のデータを破壊し、吸収しやすいように加工していたということだ。


つまり、マッシュモンは…
デジモンの起源を解き明かすことにおいて、重要な意味を持つデジモンなのかもしれない。
751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/02(金) 00:13:30.78 ID:VkqQSjxro
つづく
752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/02(金) 00:14:52.55 ID:F+maKwm4o

まさかのマッシュモン
753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/02(金) 00:16:22.73 ID:fWmvZ4fR0

デジモンは基本見た目通りの能力ね
754 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/02(金) 00:43:54.51 ID:HjqHUSUX0

菌類、研究対象として価値あるな
進化には恵まれてないが……
755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/02(金) 10:05:39.18 ID:ZwQbZq98o
際限なく仲間を生み出せるし生き物としては優秀すぎるな
756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/02(金) 18:47:04.85 ID:St8y0vCR0
今飼ってるデジモンはコマンドラモン フローラモン ボスマッシュモンか
757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/03(土) 11:38:20.42 ID:6JA/Veupo
増殖の効率良すぎるマッシュモンに絶滅の危機を抱かせるほどの天敵は果たして存在するのか
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/03(土) 14:04:59.67 ID:lKD0CZQ7o
植物と植物型デジモンの違いは何だろうか?

結論から言おう。全くの別物である。
植物型デジモンは、植物の特性を習得することで、地中から栄養を吸ったり光合成する力を身に着けたというだけの、れっきとした動物デジモンである。
いわば植物への収斂進化だ。


そもそもデジタルワールドに自生している植物も、厳密には我々の世界の植物そのものではないのだが…
あるデジタル生命体が、空から太陽光のように降り注ぐデータを吸収して栄養にし、その場から動かずに殖えるという生態を突き詰めた結果、我々の世界の植物に収斂進化したという結果は合理的といえる。
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/03(土) 14:09:15.24 ID:6JA/Veupo
キター!
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/03(土) 14:12:07.78 ID:lKD0CZQ7o
樹木という生物は、全身を構成する細胞のうち、生きた状態のものの割合はかなり少ない。
中空部分は死んだ細胞でできており、生きた細胞は表皮や成長点、枝葉の部分、根くらいしかない。

だが樹木型デジモンであるウッドモンやジュレイモンは、角質など一部を除けばほぼ全身の細胞が生きている。


また、細胞の構造も植物とは異なる。
動物のように動き回ったり戦ったりする必要があるため、駆動部には筋繊維ないしそれと同等の動きをする細胞が詰まっている。

つまり植物型デジモンは、外骨格デジモンの一種なのである。
サンゴやイソギンチャクをイメージしてもらると分かりやすいだろうか。
761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/03(土) 14:16:49.09 ID:lKD0CZQ7o
我々は「植物型デジモンの祖先は何か?」を調査したことがある。

その結果、最も可能性が高い種として挙げられたのがこれだ。
https://i.imgur.com/qOkjolq.jpg

刺胞動物型デジモン、サンゴモン。
珊瑚のように硬い骨格で身を包んだ、軟体のデジモンであり、海に生息している。

こいつが上陸し、植物を食べて暮らしている中で、やがて表皮の中に葉緑素を取り入れることに成功し、植物型デジモンへと進化したということらしい。

762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/03(土) 14:40:31.26 ID:lKD0CZQ7o
まるで太陽光のようにデジタルワールドへ降り注ぐエネルギー…

それは我々の世界から失われていった情報である、と、いうのが定説だ。

ここでひとつ疑問がある。
デジタルワールドにおいて、デジモン達の中を巡ったエネルギーは最終的にどこへ行くのか?ということである。

我々のいる現実世界では、太陽光は地上の生物の中を様々なエネルギーとして循環した後、最終的には熱エネルギーとなって、空気中や水中へ放出される。それがそのまま地球の中へ留まっていたら、地表はどんどん高熱化してしまうだろう。
だが、それらが持つ熱は熱輻射線という電磁派へ変換されて、宇宙の外へ放出される。だから太陽光に照らされても、地球の温度は維持されるのである。

では、デジタルワールドではどうなのか?
熱輻射のように、世界の外へ排熱するシステムはあるのだろうか。

…少なくとも『それらしいものがある』という仮説を立てなければ、生態系が維持されていることを説明できないといえるだろう。
763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/03(土) 14:48:20.12 ID:lKD0CZQ7o
熱されたものが冷えるのは当然の摂理だ。
それは空気や水への熱伝導だけでなく、熱エネルギーが赤外線として放射されるためでもある。

その仕組み自体が、デジタルワールドにも備わっているのか、我々はコマンドラモンの協力を得て実験によって確かめた。

サーバー上のローカルなデジタルワールド空間で、コマンドラモンの爆弾を爆発させた。
その後、デジクオリアのカメラを調節し、可視光線外の波長…赤外光が発せられるかを確かめた。

その結果、爆発によって温まった物体や空気が、遠赤外線を発していることが確認された。

つまり、デジタルワールドにも熱放射の仕組みはあると考えられる。
764 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/03(土) 14:54:48.72 ID:6JA/Veupo
成長期の間は色んなことを学習させられるな
765 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/03(土) 15:05:16.27 ID:lKD0CZQ7o
…しかし。
デジタルワールドの太陽光は、その全てが熱と光だけでできているわけではないようだ。

なんと、デジタル生命体にとって栄養素そのものとなる、データ…情報が、粒子のような形で、太陽光とともに降り注いでいるのである。

熱や光は熱放射で捨てられるだろうが、こちらは捨てられることはなく、そのまま栄養分としてデジタル生命体の肉体を構成する粒子として残存し、循環し続ける。

デジタルワールドにいる成熟期デジモンの数は、はじめに比べて随分増えた。


それはすなわち、太陽から発せられた栄養データが、そのまま生態系に蓄積し、どんどん高栄養状態になっていっているからだ。
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/03(土) 15:23:37.47 ID:lKD0CZQ7o
…こういったデジタルワールドの栄養循環の仕組みを、高校時代からの友人に、宅飲みしながら話してみた。
彼はこういう話に興味を持ってくれる。職場以外でこの手の難解な話に付き合ってくれるのは、大変有り難いことだ。


友人は「まるで死んだ情報が辿り着く天国みたいだな」と言った。

なかなかおもしろい喩えだ。
死者の魂が辿り着く「冥界」という概念は、世界中の様々な宗教に存在している。
もっとも、冥界に行った後どうなるかは千差万別だ。輪廻転生するとか、いずれ神との約束の地へ復活するとか言われている。

そう考えると、我々の世界から消えた「情報」は、デジタルワールドでデジタル生命体の栄養となることで、輪廻転生している…とか言えなくもないのかもしれない。


友人はさらに続けて言った。
「そういや前に、デジタルワールドって実は人の脳や植物の根っこみたいなアナログの情報媒体にも繋がってるんだよな?」

どうやらそういうことらしい。

「じゃあさ、人間が死んだ後…その人の脳の中の記憶や人格といった情報も、デジタルワールドに送られるのか?」


とんでもないことを言うやつだ。
そんなこと考えたこともなかった。
767 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/03(土) 15:33:55.93 ID:lKD0CZQ7o
ハハハ、何言ってんだ…と思ったが。

冷静に考えると怖くなった。

なぜデジタルワールドに栄養として送られる情報が「www(ワールドワイドネットワーク)に接続されたコンピュータ機器内の情報」だけだと言い切れるのか?

外部に接続されていないローカルネットワーク上で失われた情報が、デジタルワールドに送られないという保証がどこにあるというのか。

そもそも、ネットワークなんてのは物理的に言えば「情報を正規化し、電気信号や光回線信号、電波信号に変換して、機器間でやりとりしているだけ」の概念である。
物理的な連続性はないのだ。

それならば。
視聴覚によって外部との情報交換ができる、我々人間の脳が、スタンドアローンの端末だなどと何故言い切れるのか?

光や音を入力とし、手や声を出力としてネットワークに接続されている生体コンピュータと捉えれば、我々の脳も「ネットワークに接続されている」と言えるのではないだろうか。


ならば。
我々の記憶や人格が「失われた後、デジタルワールドに送られる」ことを否定しきれないのではないか?
768 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/03(土) 15:34:59.24 ID:lKD0CZQ7o
…その晩、私は久々に恐怖と好奇心のせいで眠れなくなった。

こんな感覚は、子供の頃に心霊番組を観た時以来であった。
769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/03(土) 15:35:58.06 ID:lKD0CZQ7o
つづく
770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/03(土) 15:36:30.24 ID:9Iw9mMpno
単純な武力でも知能でもデジモンは恐るべき生き物なのにこわいこわい
771 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/03(土) 15:36:56.23 ID:ldxOXyXe0
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/03(土) 15:42:26.48 ID:6JA/Veupo
人間そのもののデータ使ってるならこのデジタルワールドにも人間同然のデジモンもそのうち…
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/03(土) 16:22:14.87 ID:2LB5F9TV0
デジタルワールドとデジモンが何かまだまだわからないからどんな仮説も否定できない
774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/03(土) 16:54:34.05 ID:aPoMvTto0
植物型デジモンでも現実の肉食生物みたいに捕食能力あるんだったら光合成の分得してるだけじゃね?と思ってたらちゃんと掘り下げられてた マジでしっかりしてるなあ
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/03(土) 22:03:45.82 ID:GQTis+Iko
デジモンに関して知ってることは学者も一般人も大差ないから発想は無限大
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/04(日) 13:50:39.00 ID:Rwinpa1ho
マッシュモンだけでも人類滅ぼせそうな物量なのにシンプルに強いデジモンまだまだたくさんいるから争いになったら人類負けちゃうな
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/04(日) 23:59:51.96 ID:wQyziKWco
今日はなかったか悲しい
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 19:11:05.82 ID:SiEWJj1Go
ある日、とある鉄鋼会社から我々の研究所へ電話がきた。
曰く、会社のサーバーが未知の悪質なコンピュータウィルスに感染し、ネットワーク回線のトラフィック量が爆増してしまったそうだ。
様々なセキュリティソフトを試したが効果がない。
もしかしたらデジモンの仕業かもしれないので、調査してほしい…との依頼であった。


我々は依頼を引き受けることにした。
早速、鉄鋼会社のオフィスへ向かった。


我々は今後のデジモン調査のために、専用PCを用意した。
名付けて『ランドンシーフ』。揚陸艦という意味だ。

このPC端末には、マッシュモン、フローラモン、コマンドラモンが居住するためのスペースと、彼らヘの餌となるデータをマイニングするソフトウェアが仕込まれている。

強固なセキュリティによって内部のデジタル空間を保護しており、対デジモン用の様々な設備を搭載している。

我々は、ランドンシーフを鉄鋼会社の回線へ接続した。

まずは様子見のため、ネットワーク内にデジドローンを飛ばして偵察を行った。
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 19:15:31.57 ID:SiEWJj1Go
やがてデジタル空間可視化ソフト「デジクオリア」のウィンドウ画面に、デジドローンから送信された映像が映し出される。


デジタル空間の中は、図書館を彷彿とさせる風景であった。
様々な資料が入ったバインダーが、棚に陳列されている。

だが、異変はすぐに見えた。
黄色いスライム状の物体が、デジタル空間の床や棚をウジュウジュと大量に這い回っているのである。

https://i.imgur.com/f5KklKj.jpg

これは…見たことのあるデジモン。
ズルモンだ。
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/05(月) 19:20:23.54 ID:cmTVxjpSo
幼年期とはいえ大量かあ
781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/05(月) 19:23:55.03 ID:dwACPmNH0
デジモンセイバーズのDATSみたいなことしてるな
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 19:24:56.06 ID:SiEWJj1Go
やがて、ズルモンは動きを止めると…
進化を始めた。

レベル3…成長期デジモンとなったのである。

https://i.imgur.com/4JsLekH.jpg

周囲を見回すと、どうやらズルモンだけでなく、この成長期デジモンも大勢いるらしい。

そのデジモンの姿は…一見するとナメクジ型デジモン、ヌメモンによく似ていた。
だが、大きな違いがあった。

この成長期デジモンは、自重を支える力があまり強くないようだ。
かなり体高を低くした状態で、床をズルズルと這い回っている。

そしてこいつは、頻繁に体を分裂させたり、異個体間で結合したりしているのである。

まるで粘菌だ。
ヌメモンならこうはいかない。
783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 19:34:10.63 ID:SiEWJj1Go
同僚の一人が、このデジモンに「ゲレモン」と名付けた。
ちょっと品のない響きだが…まあド直球でないだけ良しとしよう。

ゲレモンの胴体から飛び出た2つの眼球のようなものは、どうやら視覚を担う器官のようだ。やはり眼なのだろう。

ゲレモンは、棚からバインダーを取り出すと、それを開き、資料を舌でベロンベロンと舐め回した。

舐められた資料は消えてはいないため、どうやらデータを食べているわけではないようだ。

ゲレモンやズルモン達の群れの動きを見ると…
どうやらゴミ箱の中のデータを食べて栄養を補給しながら、資料舐めをしているようだ。



…私は、このデジモンの形質に覚えがある。
これと似た性質の生物が、現実に存在するのだ。

名を「キイロタマホコリカビ」という。
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 19:38:54.70 ID:SiEWJj1Go
キイロタマホコリカビは、普段はアメーバ状の単細胞生物として振る舞い、細菌などを食べて成長する。

だが、環境が変わると、多数の個体同士が合体し、ナメクジ体と呼ばれる多細胞生物へ姿を変え、地面を這う。

そして、やがて子実体を伸ばして、そこから胞子をばら撒くのである。



これらのズルモンとゲレモンを見ていると…
どうやらズルモン達は一個体がそのままゲレモン一個体になるのではなく、多数のズルモン達が集合してひとつにまとまることで、一体のゲレモンとなるようだ。


もしもこいつらがキイロタマホコリカビを模倣しているのであれば…
「ナメクジ体」の名にちなんで、ナメクジ型デジモンであるヌメモンに似た姿へ収斂進化するのも頷ける。
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 19:51:49.10 ID:SiEWJj1Go
こいつらも、マッシュモン同様に、幼年期や成長期のまま分裂して増殖する『デジタマを産まないデジモン』なのだろうか。

さて、どうやらこいつらのせいで、ネットワークのトラフィック量が増大しているらしいが…
それはどういうことなのだろうか。


我々は、デジドローンを移動させ、ネットワーク回線の出入口付近付近を調査した。

やがて、トンネルのようなものが見えてきた。これがインターネット回線だ。

すると…
おお、なんということだ。

インターネット回線のトンネルの壁は、まるで悪玉コレステロールのプラークが詰まった血管のように。

ゲレモンないしズルモンと思われる粘菌が、びっしりと張り付いていたのである。

内部はもはや黄色いトンネルであった。
わずかな隙間の中を、データが行き来している。

なるほど…これがトラフィック量増大の原因か。
こいつらが壁に張り付き、トンネルを狭くしていたせいで、データの送受信が滞っていたのだ。
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 19:58:57.22 ID:SiEWJj1Go
今回は、デジドローンを飛ばすだけで、あらかた事態が把握できた。

デジモンの仕業であることを鉄鋼会社の社員へ伝えた。

さて、問題はここからである。
これらのズルモン&ゲレモン軍団をどうすればよいのだろうか?

マッシュモンのように高い知性は感じられない。対話は無理だろう。

各パソコンのデータをバックアップし、すべて初期化すればよいのだろうか。
戦って殲滅すればよいのだろうか…?


皆様の意見を聞きたい。
↓1〜3
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/05(月) 20:02:53.12 ID:cmTVxjpSo
こればかりはしゃーない
駆除
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/05(月) 20:07:15.98 ID:2SoW8sDI0
まず適当に捕獲して解析して効率的に撃退する手段用意を試みる
789 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/05(月) 20:12:17.46 ID:6Dokber/0
奴等の補給線を断つために殲滅と平行してゴミのお掃除
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 20:21:42.56 ID:SiEWJj1Go
「そ、それで…?うちの会社のサーバーは、直せるんですかい…?」

この状態から復旧する方法は、ただひとつ…
巣食っているデジモン達を、駆除するしかありません。


「駆除…できるんですか?」

やってみなければ分かりませんが…
それなりに戦力はあります。

「それじゃお願いしやっす!」



決めた。
ズルモンとゲレモン達を、駆除しよう。

とはいえ、いきなり何の情報もなしに突入するのは危険だ。
下手を打てば、我々の大切な仲間を失いかねない。

まずは更なる情報収集と分析をして、奴らの弱点を探ることにした。
791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 20:26:19.76 ID:SiEWJj1Go
まずはゲレモンを一匹捕獲して、隔離チェンバーへ閉じ込め、分析をすることにしよう。


ゲレモンはレベル4のヌメモンに似てはいるが、レベル3のデジモンだ。
純粋な戦闘能力ではこちらの勢力が上だろう。

とはいえ…奴らが毒を持っている可能性がある。
正面からいきなりケンカを仕掛けるのは得策ではない。


だが、暴れるレベル3デジモンを、デジモンキャプチャーで捕獲することは難しい。
…やはりマッシュモン、コマンドラモン、フローラモンのうち誰かに捕獲してもらうしかない。
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 20:45:18.79 ID:SiEWJj1Go
そんな話をしていると、マッシュモンがチャットを飛ばしてきた。

『かみよ すこし ながいたたかいに なっても へいきか』

ん?
まあ、今のところ回線が重くなってるだけで、データを食われているわけではないから…
多少長引いても、確実に駆除できるならいいよ。

『では わたしに まかせてくれ』

どうするつもりだ?

『わたしが ここでふえれば せんりょくがますはずだ』

前みたいに根城にする気か!?
いや考え直せ。仮に君がたくさん増殖してゲレモン達を倒したとして…
その後、増えた個体はどうするんだ?

『また いぜんのように たびにいかせれば いい』

…別の手段も考えようか。

『わかった』

そうして我々は再び、ゲレモン捕獲作戦を考えるのだった。
793 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 20:45:45.76 ID:SiEWJj1Go
つづく
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/05(月) 20:47:30.65 ID:cmTVxjpSo

ちゃんと自分なりに方法考えたのはえらいマッシュモン
795 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/05(月) 20:49:52.18 ID:0aHYnTAQo

会話できるのは便利だ
796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/05(月) 21:13:54.63 ID:33BZLfuho
おつおつ
マッシュモンかわいい
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/05(月) 22:19:41.45 ID:jE8QWo0G0

臆病ではあったけど戦いを選択する事もできるのはえらい
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/06(火) 12:34:19.68 ID:+2JxLtt7O
ちなみに、ゲレモン捕獲作戦について案がある方はいるだろうか。
参考として意見を聞かせてほしい。
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/06(火) 12:46:53.59 ID:FRljv4R5o
まずマッシュモンがキノコに糸みたいなのくくりつけてゲレモン1体を釣って集団から引き離す

そのゲレモンの前にコマンドラモンが姿を現して挑発して逃げる

フローラモンがコマンドラモンもろともアレルギーシャワーでゲレモン無力化(コマンドラモンにはガスマスクあるから無害)
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/06(火) 12:47:24.09 ID:LfkCBwq0o
こちらが戦力は上とのことなので、全員で出撃して巣食われている今の環境を変えて住みづらくさせつつ、似た環境の移住艦みたいなのを用意してそちらに移動をさせていく
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/06(火) 12:50:28.97 ID:tlTac4UZo
デジモン達の能力で麻酔銃みたいな対象を無力化できる道具は作れないか聞いた
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/06(火) 13:21:32.14 ID:jy0KZlxL0
コマンドラモンが光学迷彩でこっそり近づき思いっきり銃をフルスイングしてゲレモンをキャプチャーある方向へホームラン
803 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/06(火) 15:29:04.43 ID:uTTc5Y1C0
開いたゲートの近くにマッシュモンの毒キノコを置いておき、小さな個体に光を照射することでそこまで追い立てる
食べて毒が効いてきたらデジモン達に棒で突かせてゲートの中にポイ
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/06(火) 18:42:57.46 ID:kD+qn/oU0
コマンドラモン達をゲレモンそっくりに変装させて近づかせ、仲間だと思って油断してるところをさっと捕まえさせる
805 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/06(火) 18:50:07.44 ID:qgAu/NMb0
良い機会だからデジモン達にも考えさせ「問題」に対してどういう「過程」で「答え」を出すのか研究
806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/06(火) 19:00:29.96 ID:ub9o1vefo
昔シャコモンをガニモンから助けた時みたいに大量のゴミデータという煙幕でゲレモンの視覚を封じてその隙に捕まえる
807 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/07(水) 12:17:34.96 ID:YqKDft3Yo
マッシュモンの毒キノコとフローラモンのアレルギーシャワーをコマンドラモンの爆弾に詰め込んで投げる
808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/07(水) 18:18:55.93 ID:RWko02mMO
我々は様々な案を考えた。
いかに安全に、確実に捕らえるか、作戦を練った。

その中で、「試しにフローラモンやコマンドラモンにも作戦を考えさせてみてはどうか」という意見が上がった。
せっかくだし、やらせてみよう。

フローラモンは早々に飽きたようで、コマンドラモンに一任するつもりのようだ。

そしてコマンドラモンが出した案は…
我々が一切予想していなかった作戦だった。


それは『普通にデジモンキャプチャーで捕まえる』というものだった。
809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/07(水) 21:52:40.95 ID:ih03TAwbo
ま…まああんたほどの実力者がそういうのなら……
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/08(木) 10:20:02.16 ID:y/IAzBpp0
それなりに戦闘力もあって能力汎用性あって頭も良いし
下手な成熟期より優秀な成長期コマンドラモンさん
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/08(木) 21:38:05.86 ID:Fq3fuRlqo
今日来るかな
812 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/09(金) 23:14:17.99 ID:loYrn++Go
今までレベル3デジモンを捕獲できたことはないのだが…
とりあえずものは試しだ。ゲレモンをデジモンキャプチャーで捕獲してみよう。

デジモンキャプチャーのゲートを、ランドンシーフの隔離チェンバー内に設定。

そして我々はさっそく、ゲレモンの近くでゲートを開いた。


すると驚くべきことに、なんとゲレモンは自分からゲートの中に入ってきたのである。

え?え?
どういうことだこれは?
とりあえず、ゲレモンがチェンバーに入ってから、ゲートを閉めた。
813 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/09(金) 23:19:31.25 ID:loYrn++Go
全くの予想外だった。
なぜ自分から捕まりにきたのだろうか。

ゲレモンは、チェンバー内をゆっくり這い回っている。

我々はあれこれと捕獲作戦を練っていたのに…
コマンドラモンの言う通りに、デジモンキャプチャーを起動したら、自分からゲートに入ってきた。

一体どういうことなんだ…?
コマンドラモンに思惑を聞いてみた。
コマンドラモンはチャットで返信してきた。

『よわそうだから キャプチャーで つかまえられそうだと おもった』

…そういうことだったのか。
なんかすごい計算をしているのかと思ったぞ。

だが、「レベル3はデジモンキャプチャーで捕まえられない」という固定観念を排して考えることもまた重要だということなのかもしれない。

さて。
何から調べるべきか…
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/09(金) 23:22:28.20 ID:v2b0DRfmo
コマンドラモンさん頭柔らかいな
815 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/09(金) 23:30:46.40 ID:loYrn++Go
チェンバーの中で、ゲレモンの体から一体のズルモンが分離した。

…デジタマを産まずに幼年期を殖やすとは。
やはり粘菌型デジモンのようだ。

ズルモンは、地面をずるずると這い回っている…。 

我々が最初に発見したズルモンとは、見た目が同じなのに、明らかに性質が異なる。

我々が知っているズルモンは、海底の熱水噴出孔付近のデジタマから出現した。
そしてゴロモン、ゴツモン、スターモン、ゴーレモンといった、鉱物を身に纏ったデジモンへと進化していった。

どうやらデジモンは、外見が同じでも、全く異なる性質となることがあるようだ。
これはピチモン・プカモンに幼年期のまま殖える個体群と、成長期まで進化する個体群があるのと同じようなものだろうか…?


それを調べるには…
ゲレモンの遺伝子を調べる必要がある。

このゲレモンの遺伝子を、今まで採取してきたデジモンの遺伝子と比較するのだ。
最も近しい遺伝子を持つものがどれか分かれば、どのような進化を遂げてきた存在かも推理できる。
816 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/09(金) 23:41:17.33 ID:loYrn++Go
解析した結果…

粘菌型のズルモンとゲレモンは、意外なことに、マッシュモン系統から派生して進化した種であることが判明した。

なるほど、言われてみれば…

デジタマを産まずに殖える習性。
菌類型(植物型から進化したとはいえ)のマッシュモンと、粘菌型のゲレモン。
共通点はある。

そもそもマッシュモンは、一見するとキノコの子実体に手足と顔がついたような姿をしているが、これはマッシュモンそのものではない。
マッシュモンの正体は「菌糸」である。一個体のように見えているのは、菌糸が束になって運動能力と知性を得たカタマリなのだ。

そう考えると…
パッと見の姿は全然違うが、その「正体」は割と近いのかもしれない。
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/09(金) 23:44:04.36 ID:1nCw/npQ0
優秀な遺伝子だなあ
こっちの知性は退化しちゃったみたいだが
818 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/09(金) 23:45:12.00 ID:v2b0DRfmo
マッシュモンはそれに加えて感情らしきものを持てるだけの知性あるんだよな
819 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/09(金) 23:47:51.39 ID:loYrn++Go
そしてマッシュモン系統ということは、毒があるのだろうか。

ゲレモンのデータを解析したところ…
やはり毒はあるようだ。
マッシュモンが持つものと同種類の毒を薄めたような感じだ。

厄介だな…
あの粘菌に纏わりつかれたら危険極まりない。
うかつに手が出せないぞ。

すると、ボスマッシュモンがチャットで話しかけてきた。

『かみよ ちょっとおおめに しょくりょうを いただきたい』

腹減ったのか?いいぞ。
私はデータマイニングでキノコをたくさん作った。

マッシュモンはそれらを食べまくった。

するとマッシュモンの足元から、菌糸がぼわっと伸びた。
やがて菌糸から、小さなキノコが生え始め…
そのままミニサイズのマッシュモンとなった。


「マシー!」

ミニマッシュモンは、ボスマッシュモンの足から離れた。
ど…どうする気だ?

『どくみを させる』

…え?
まさかゲレモンをミニマッシュモンに食わせる気か!?
820 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/09(金) 23:52:39.46 ID:loYrn++Go
お腹壊したらどうする!

『だから ぶんしんを だした もんだいは ない』

し…しかしだ。
ミニマッシュモンも命じゃないのか?

『そういわれても これは わたしの いちぶだ どうするか わたしが きめては いけないのか』

…ま、まあいいよ。君本体が無事ならいいさ。

我々は恐る恐る、ミニマッシュモンをチェンバー内へ投入した。

ミニマッシュモンは、ズルモンの報に駆け寄ると…
ズルモンに噛み付いた!

暴れるズルモンを、ミニマッシュモンはもぐもぐと食っていく。
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/09(金) 23:54:29.69 ID:UhxxLD9Bo
さすがマッシュモンさんだ
822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/09(金) 23:56:40.68 ID:loYrn++Go
そうしてミニマッシュモンは、見事ズルモンを飲み込んでしまった。

「ウマ〜」

美味いの!?

『おなじどくなら われわれに きくはずがない われわれももっている どくなのだから』

おお…それもそうか。
凄いなマッシュモン。

チェンバー内では、ズルモンが食われたのを見て怒ったゲレモンが、ミニマッシュモンに襲いかかっていた。

ミニマッシュモンはゲレモンに包まれた。
ミニマッシュモンも負けじとゲレモンを食おうとした。

お、おお…互いに互いを食おうとしている!

だが、サイズ差もあり、やがてミニマッシュモンは溶かされ始めてきた。

このままではミニマッシュモンが食われてしまう…助けないと!

『いいや そのまま みていて いい』

うーん…
そう言われても、ちょっとかわいそうだ。
823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/09(金) 23:59:41.01 ID:1nCw/npQ0
本体は食べられたりするのは怖いけど生み出した小さな分体が食べられるのはオーケー、デジモンなりの独特な感覚だ
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/10(土) 00:01:17.31 ID:ZiA9lSuAo
[たぬき]やパーマンのコピーロボット的な感覚かな
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/10(土) 00:13:43.12 ID:tonQCejKo
やがて、ミニマッシュモンはゲレモンを構成する粘菌達に包まれて溶かされてしまった。

ああいうふうに消化吸収するのか…
しかし、今まで毒をもつマッシュモンを食えたデジモンは見たことなかったな。

互いに互いの毒が効かないとなると、フィジカルでの食い合いになるのか。

『かみよ つぎは わたしが いく』

だ…大丈夫なのか?

『わたしは たたかいに じしんはないが あれになら かてるかも しれない』

本当か…?
し、死ぬなよ。

私はマッシュモンと、ついでにコマンドラモンをチェンバーへ投入した。
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/10(土) 00:19:02.54 ID:tonQCejKo
マッシュモンは、ゲレモンに向かって突撃した。

ゲレモンはマッシュモンを迎撃しようとする。

…そこへ。
コマンドラモンの自動小銃が飛んできて、ゲレモンの柔らかい肉体をバラバラに引き裂いた。

びちゃびちゃと地面に落ちたゲレモンの肉体は、それぞれがズルモンとなって再生した。

マッシュモンは、複雑そうな表情をしている。
…うん。それでいいよコマンドラモン。


そしてマッシュモンは、ズルモン達を捕食した。
827 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/10(土) 00:19:47.50 ID:tonQCejKo
つづく
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/10(土) 00:22:06.99 ID:gVDdCNeP0

コマンドラモンクールだな
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/10(土) 00:24:01.14 ID:ZiA9lSuAo

デジモンも色んな性格がいる
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/10(土) 00:27:11.06 ID:3C9Qoo6jo
うーんこのリアリスト
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/10(土) 00:29:59.56 ID:psKbTIlJ0

まあ……食べるのはマッシュモンしか出来ないから……
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/10(土) 00:32:15.32 ID:w2lKrBoco
分離と合体するデジモンも過去にいたとはいてやはり根本的には違うねえ
>>605
>>606
833 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/10(土) 01:39:48.59 ID:c2kZL3uI0
動植物は表情の変化なんてほとんど分からないけどデジモンは表情の変化はっきりと分かるのね
834 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/11(日) 13:05:29.69 ID:Jit5XDILo
マッシュモンも異なるデジモンを取り込んだとはいえ増殖にリソース割かれてこれ以上の進化は望めないかな
835 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/12(月) 09:28:24.96 ID:yEozVfQg0
現状コスパ最高だからコマンドラモン達は進化する必要あまりないね
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/13(火) 01:42:32.77 ID:Jcw2chBy0
昨日もなかったか…
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/14(水) 16:00:27.92 ID:ovyUWV3J0
ゲレモンの解析に手間取ってるのかな?(純粋な瞳)
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/14(水) 21:18:47.96 ID:TxauxGM0o
マッシュモンは続けてチャットを打ってきた。
『かみよ わたしのちからを ためすきかいが ほしい コマンドラモンに まもられればかりでは あしをひっぱってしまう』

な…なんか勇敢になったな。
前はもっと怖がりで図々しかったのに。

まあ、そんなに言うならいいか…頑張れよ。

私はデジモンキャプチャーのゲートを開き、他のゲレモンに近づけた。
するとやはりゲレモンはゲートの中に入ってきた。

隔離チェンバー内で、コマンドラモンが見守る中、マッシュモンとゲレモンが対峙する。

マッシュモンがゲレモンに突撃した。
コマンドラモンはじっと見守っている。
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/14(水) 21:24:38.31 ID:TxauxGM0o
ゲレモンは、触手を伸ばして迎撃しようとしてきたが…

マッシュモンに殴られると、触手は千切れ飛び、壁にベチャッと貼りついた。

おお、いけるじゃないか!
続けていけ、マッシュモン!


マッシュモンは、ゲレモンにパンチやキックの連打を浴びせた。
ゲレモンはたちまちバラバラに千切れ飛び、それぞれがズルモンとなって再生した。

マッシュモンは、ズルモン達を食べた。

やったな!圧勝だったぞ、マッシュモン!
お前こんなに強かったのか!

『わたしも やれる たたかえるぞ』

じっと戦いを観察していたコマンドラモンが、チャットを打ってきた。

『たしかに マッシュモンも つよくなった だが あいてのパワーが よわすぎる われわれにとおく およばない』

そ、そうなのか?
…なんかチャットを見たマッシュモンがムスっとしてるんだが。

『やつらは ちからでなく どくでみをまもる マッシュモンいがいでは なぐりあえない』

おお、チャットを見たマッシュモンがご機嫌そうに笑みを浮かべたぞ。

840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/14(水) 21:26:33.16 ID:0Z9NYnUBo
戦隊物ならブルーかブラックポジションだなコマンドラモン
841 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/14(水) 21:42:33.93 ID:TxauxGM0o
研究グループのリーダーが、戦いを観終えてから発言した。

「だが、あまりに力の差がありすぎるな。
相手も一応レベル3なのでは…?」

…リーダー。
まだ思い付きの段階ですが…今の戦いを見て、仮説をひとつ思い付きました。
奴ら…ゲレモンが何者なのか。

「ふむ?聞かせてみろ。駆除のいいヒントになるかもしれん」

けっこう長い話になりそうですがいいですか?

「構わない。鉄鋼会社のサーバーのデータを奴らに食われてるわけではないからな」



…結論から言います。
奴らゲレモンは、「マッシュモンが進化して、独立栄養生物に回帰したデジモン」だと考えられます。

「ほう…?独立栄養生物に?」

はい。
デジモンはデータを食べる生物と言われていますが、我々人間が生み出すデータをそのまま直接食べるデジモンは、実は現在ではごく少数派となっています。

ほとんどのデジモンは、データそのものではなく、植物や他のデジモンなどを食べています。

「確かにそうだな…。例外は、幼年期の植物型デジモンくらいか…?」

それもありますが。
他にもわずかに、『データそのもの』を食べているデジモンの個体群が確認されています。

ズルモンと、ポヨモン。そして今ここにいるマッシュモンです。

「ポヨモン…あれか。我々が最初に見た小型クラゲのデジモンか」
https://i.imgur.com/CXDeTwM.jpg
842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/14(水) 21:54:14.19 ID:TxauxGM0o
そうです。
ただし、我々が最初に見たポヨモンは、やがて成長期へ進化していきましたが…
今挙げたポヨモンとズルモンは、成長期に進化せず、幼年期のまま殖える個体群なのです。

「なるほど…そういう風に進化したというわけか」

いいえ…違います。逆です。
これらの個体群は、今まで発見された中で、最もDNAのサイズが小さいんです。

つまり…
『デジモンの共通祖先にもっとも近い』んです。

「デジモンは…そいつらから進化した、ということか…!?」

おそらく、最初に出現したデジモン…ズルモンとポヨモンは、プランクトンのように漂い、データをそのまま食べる生物だったんです。

そのせいで、あまり強いパワーが出せず、幼年期のまま殖えるしかなかった。

しかし、やがてデジモンが他のデジモンやデジタル生命体を食べるようになってからは…、さらに強い体を手に入れて、もっと多くのエネルギーを補給できるようにするために、「進化」できるようになったんです。

「デジモンが進化の力を獲得した起源か…。我々の世界では、独立栄養生物は『光合成によって炭素固定をする生物』と定義され、従属栄養生物とは『他の生物から炭素を得る生物』と定義されるな」

デジモンでは、炭素のポジションがデータになるわけです。
843 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/14(水) 22:04:13.18 ID:TxauxGM0o
「それで…マッシュモンも独立栄養生物デジモンなのか?」

我々が初めてマッシュモンと出会ったときを思い出してください。

あのときマッシュモンは、ゴミ箱の中のデータや、我々がデータマイニングで生成したデータをそのまま食べていました。

「そうだな。む、すると…マッシュモンも独立栄養生物型デジモンなのか。いちど従属栄養生物型になってから、独立栄養生物型に戻ったと」

しかし今は、我々がデータマイニングで生成したデータを、一度キノコに与えてから、それを餌として与えています。

「確かに餌が変わったな…それが何か?」

マッシュモンが、急に強く、そして勇敢になったのは、『餌が変わったから』ではないでしょうか?

「餌が変わると…なるほど。キノコからデータを奪うから、従属栄養生物型デジモンの振る舞いとなったわけだ」

マッシュモン。
今でもまだ、データマイニングで出したペレットや、ゴミ箱の中のデータを美味しそうだと思うか?

『わたしは したが こえてしまった グルメになって しまった』

やはりか…。
マッシュモンは、『菌糸』のデジモンです。
我々がキノコを餌として与え続けたことで、マッシュモンを構成する菌糸たちが進化し、従属栄養生物型デジモンに戻ったんです。


「…つまり『テセウスの船』というわけか。今のマッシュモンは…」
844 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/14(水) 22:07:05.52 ID:LSlMC0dFo
食事が変われば身体も変わる
当然といえば当然なのか
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/14(水) 22:08:17.19 ID:TxauxGM0o
では、今ここにいる従属栄養生物型の個体とは逆に、マッシュモンが独立栄養生物型デジモンとしてさらに先鋭化した姿へ進化したらどうなると思いますか?

「余計なエネルギー消費を抑えるために…、手足が無くなり、脳も退化し…粘菌型になる、か」

そう考えられます。
我々のパートナーと正反対の進化を遂げたのがゲレモンなのではないでしょうか。
だからパワーにもこんなに差があるんです。

「ゲレモンの幼体がズルモンなのも、一種の先祖返りということだな」

それが私の仮説です。


「なるほど…確かに尤もらしい。だがそれなら、なぜ鉄鋼会社のサーバーデータを舐め回してばかりで、食べてしまわないのだ?奴らはゴミ箱の中のデータばかり食べているじゃないか」

それは…まだ分かりません。
846 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/14(水) 22:18:20.79 ID:TxauxGM0o
「ふむ、ではその仮説を元にして駆除作戦を立てよう。えーと…どうするんだ?マッシュモンを殖やして襲わせるのか?」

それだとマッシュモンが届かないところへ逃げ込まれてしまう可能性があります。

「そうか、粘菌デジモンだからマッシュモンより狭い隙間に隠れるのか。厄介だな…」

奴らはデジモンキャプチャーのゲートに自分から飛び込んでくる習性があります。
これを利用できないでしょうか?

「なるほど。デジモンキャプチャーのゲートで掃除機のように吸い込み、中でマッシュモンに食わせるのか」

そうです。どうですか?

「なぜこんな習性があるのか、まだ分からないからな。絶対のものだと考えると、条件次第で作戦が破綻しかねないぞ」

う、それは確かに…。
しかもこいつら、ちょっとでも取り逃がせばすぐ殖えますよねきっと。

「だろうな。一匹も逃さないような作戦が必要だ」




どうするか…
なにかいい作戦はあるだろうか…。
847 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/14(水) 22:19:13.04 ID:TxauxGM0o
つづく
848 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/14(水) 22:20:03.08 ID:8iCl6RKOo

人間の知恵では答えを出せなさそうな課題
デジモンなら答えを出せるかな
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/14(水) 22:25:34.38 ID:p+OjSgsTo
おつー
850 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/15(木) 01:22:13.90 ID:exnKTwo30

一つ明かされてもまだ謎が残る
851 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/15(木) 18:31:36.21 ID:s0sce3Mco
マイペースなのかめんどくさがりなのかフローラモンあんま積極的になってくれないな
852 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/17(土) 07:29:57.79 ID:QCDdDpZd0
>>851
そりゃあ愛玩用途で接した場合のテストケースだし……
853 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/17(土) 08:32:18.32 ID:NyFw2lYV0
フローラモンは犬か猫かなら猫ね
頭は良くて懐きはするけど別に主人の言うこと絶対聞いてやろうとは思わない
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/17(土) 13:04:27.13 ID:WP5gaqPEO
試しておかなくてはならないことが一つあった。
このズルモンやゲレモンに、フローラモンの花粉攻撃は効くのか?という検証だ。

隔離チェンバー内にゲレモン、チビマッシュモン、フローラモンを閉じ込め、花粉を撒いてみた。

すると、ゲレモンとチビマッシュモンは、花粉を吸い込んでもアレルギー反応を起こさなかった。

どうやらゲレモンやマッシュモンは、微生物の集合体であるため、コマンドラモン等に比べて免疫機能が原始的であるため、「アレルギー反応を起こすほど高度ではない」らしい。

尚、このゲレモンはコマンドラモンの爆弾で焼いて処分した。

ふむ…
やはり今回の相手は、マッシュモンとコマンドラモンで対処にあたり、フローラモンは待機するのがいいのだろうか。
粘菌型で毒があるので、くっつかれると厄介だし。
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/17(土) 13:26:30.91 ID:WP5gaqPEO
しかし、やはり「一匹残らず駆除する」のは難しいか…?
そう考えていると、研究員の一人が作戦を提案した。


@データマイニングで、データ(餌ペレット)を大量に生成し、デジタルゲート内に溜めておく。
Aデジタルゲートを開く。
Bゴミ箱の中のゴミデータを、すべてデジタルゲートへ移動する。
Cフローラモンがゲート内からペレットを撒き、ゲレモン達をゲートへ誘い込む。
C集まってきたゲレモン達は、隔離チェンバーへ誘い込んでから監禁し、マッシュモンとコマンドラモンで駆除する。

ふむ…
ゲレモン達が、最初から最後まで一匹残らずデジタルゲートへ誘引されるという前提の作戦だが…
まあ安全ではある。

これでいくか…?
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/17(土) 13:27:52.65 ID:WP5gaqPEO
つづく
857 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/17(土) 13:28:21.10 ID:r29EzyCOo
中々優秀じゃないか研究員の一人君
858 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/17(土) 13:37:05.97 ID:joVyITL4o
数が減れば残りはローラー作戦もできそうだしいいじゃないか
おつ
859 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/17(土) 16:53:41.81 ID:GNccL0ag0

不安要素はあってもわかってることが少ないからなあ
860 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/18(日) 20:55:50.75 ID:V9i0TzgEo
土日でもあんまやらないな
861 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/19(月) 08:18:35.52 ID:hqvul1D7o
たった数人で数百匹の化け物を駆逐しろ
地球防衛軍とかでありそうなミッションだ
862 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/19(月) 19:11:34.32 ID:EC071Ti6o
ずっと考えていてばかりでは、ゲレモンがどんどん増殖していくだけだ。
私は鉄鋼会社の情シス部門リーダーの合意を得て、例の作戦を開始した。

まずはゴミ箱の中のゴミデータを削除しよう…
削除を実行。

デジタル空間上では、ゴミ箱に向かってクレーンアームのようなものが近付いて来た。
あれでゴミ箱を運び、ゴミデータ焼却炉へ搬送するらしい。

しかし、ゲレモン達はなんと、クレーンアームがゴミ箱を掴むのを妨害した!

クレーンアームは、ゲレモン達の粘菌塊投げの集中砲火を受け、撤退していった。


やがて画面にメッセージが表示された。
「ゴミ箱のファイルがロックされています。完全に削除できません」

え…えええ!?
初手でいきなり出鼻をくじかれた。

作戦の最初の一歩が進めない!
これじゃゲレモンを誘き寄せられないぞ…


データマイニングで生成したキノコを投げようかとも考えたが…
ウジャウジャ巣食っているゲレモンをみんなおびき寄せるのには生産量が足りなさすぎる。

リーダーが苦い顔をしている。
「いきなり頓挫したぞ…ど、どうするんだ…。別の作戦を考えるか?」
863 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/19(月) 19:13:17.69 ID:kwt1tF4Wo
事前の作戦説明はやはり失敗フラグ
864 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/19(月) 19:19:30.30 ID:EC071Ti6o
いや…まてよ。
ようはゴミ箱のデータよりも美味い餌をばら撒けばいいわけだ。

フローラモン!
花粉をばら撒いてくれ!できるだけデジタル空間の隅々まで行き渡るように!


私の指示を聞いたリーダーは慌てた。
「おい、何言ってるんだ!花粉攻撃をしたらかえって逃げて行ってしまうだろ」

まあ見ていて下さいリーダー。

「どうする気だよ…」

フローラモンは指示を了承し、花粉をばら撒いた。
865 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/19(月) 19:27:33.16 ID:EC071Ti6o
すると…
ズルモンやゲレモンが、一斉に大挙して押し寄せてきた。

リーダー「んん!?あ、集まってきた!何があったんだ!」


思い出してくださいリーダー。
デジモンは、ただのデータそのものよりも、デジタル生命体由来のデジタル物質を餌として好むんです。

そして花粉とは…
自然界では、ダニや蜂、ハナムグリが好んで餌にする物質なんです。
特に蜂は、花粉を集めて蜂蜜を作ります。

したがって、ゲレモンやズルモン達は、花粉を餌として認識し、誘き寄せられてきたんです。

しかも、花粉は風に乗って遠くまで飛んでいけるようにできています。
だからレベル3デジモンの手では届かないような隙間にいる粘菌デジモン達のところまで、餌付けができたというわけです。

リーダー「な、なるほど…。この役割はフローラモンにしかできないな。コマンドラモンやマッシュモンではこんなに効率よくゲレモン達を誘き寄せられない…!」

そうです。
フローラモンは、戦闘能力では他二体に比べて大きく劣っています。

しかしフローラモンの技…「花粉を撒くこと」は、今この状況下では、他のどんなデジモンの技よりもゲレモン駆除に有効といえます。


リーダー「デジモンの優劣は、単純な戦闘能力の強弱だけでは測れないな。時には弱く進化したデジモンが、強いデジモンを凌ぐ働きを見せる…」
866 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/19(月) 19:29:38.20 ID:Pn87KL/Go
頑張ったなフローラモン
867 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/19(月) 19:32:48.25 ID:EC071Ti6o
そうして、おびき寄せられたゲレモン達は自らデジタルゲートへ入っていき…

隔離チェンバーに閉じ込め次第、コマンドラモンの射撃でバラバラにし、マッシュモンが捕食した。

いける!このままならいけるぞ!

…その時。

『コラァァァーーッ!キサマら、ワガハイの命令を無視して勝手に何やってる!!』

!?なんだ…
やや電子音声気味のエフェクトがかかった、日本語の音声が聞こえてきた。

声がした方を向くフローラモン。
やがて、声の方からドスン、ドスンと、足音?のようなものが聞こえてきた…。
868 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/19(月) 19:33:15.08 ID:EC071Ti6o
一旦ここまで
869 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/19(月) 19:35:07.48 ID:hQhAM+58o
気になるところで…
870 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/19(月) 20:07:21.27 ID:EC071Ti6o
やがて声の主が姿を現した。


https://i.imgur.com/tdvSFCJ.jpg

こ、こいつは…!?
黄金の肌を持つデジモンが、長い腕でドッタンバッタンと音を立てながらやってきた。

フローラモンはビビった。

その姿には、ゲレモンの面影がある。
ギョロっとした大きな目玉。
歯並びの良い大きな歯。
ベロンと飛び出た舌。

だが、ナメクジのような柔らかそうな質感ではない。
金属光沢をもったそのシルエットはまるで…


リーダー「う…ウンコだあァーーーッ!!」


リーダーがつい、見たままをオブラートに包まずに言ってしまった。

すると黄金のデジモンは、我々のデジドローンを睨みつけてきた。

「無礼者!ワガハイはウンコではない!我が名は偉大なる粘菌の王!スカモン様だーーーッ!」

リーダー「やっぱりウンコじゃねーか!」

リーダー落ち着いて!
871 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/19(月) 20:09:04.67 ID:hQhAM+58o
しかも普通に喋ってる…
872 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/19(月) 20:16:27.94 ID:EC071Ti6o
「だいたいキサマは何だ!?なぜここにデジモンがいる!ワガハイ達の邪魔をするな!」

それはこっちの台詞だ!
いや…なんだこいつマジで。

うちのデジモン達は人語を話すような声帯ではないから、チャットで会話をするのだが…

スカモンを名乗るこいつは、明らかに口を動かして発声している。
どこで言葉を身に着けたんだ?

「ワガハイを無視するな!これ以上ワガハイの子分を誑かすなら、容赦はせんぞ!」

そう言い、スカモンは周囲のゲレモンを一体掴むと、おにぎりを握るようにこね始めた。

こねられたゲレモンは、スカモンの体のように金属光沢をもった、螺旋状の物体へと変わった。

その外見はまるで…

リーダー「やっぱりウンコだアァァーーー!!」

スカモン「ウンコではない!くらえ!スライムモールド・ドリルゥーー!」

スカモンはそう叫ぶと、ゲレモンで作ったドリルをフローラモンへ投げてきた。

ドリルはぐるぐると回転している。
いかん!あれに当たったら貫かれかねない!
よけろフローラモン!


驚いたフローラモンは、とっさに飛び退こうとしたが…
足が地面から離れない。

いつの間にか、足元にはゲレモンが纏わりついていたのだ。

なんて奴!
我々とお喋りをしている間に、こっそりフローラモンの足を粘菌で固定していたのか!

ふ…フローラモンにドリルがぶつかる!
873 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/19(月) 20:23:07.88 ID:EC071Ti6o
その時。

デジモンキャプチャーのデジタルゲートの中から、連続した火薬音が鳴り響いてきた。

飛んできた銃弾が、ドリルの側面に当たり、軌道をそらしてフローラモンから外れた。

スカモン「ヌゥ!?なにやつ!?」

ゲートの中からコマンドラモンが駆け出してきて、スカモンに向かって爆弾を投擲した。

爆弾はスカモンの額に当たり、ボカンと爆発した。

スカモン「ギャアァァーーーッ!?熱ウゥーーッ!!」

スカモンが悶絶している間に、ゲートからマッシュモンが飛び出してきて、フローラモンの足についた粘菌デジモンを払い除けた。
ついでにちょっと食べた。

スカモン「ウヌヌ…キサマ、仲間がいたのか…!」
874 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/19(月) 20:24:25.35 ID:wp3iAbL80
お姫様を守る騎士のご登場だ
875 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/19(月) 20:32:03.78 ID:EC071Ti6o
スカモン「クッ…キサマら、少しはできるようだな…!」

何なんだお前は!ここで何をやってる!
迷惑だからとっとと去れ!

スカモン「フン!キサマらなんぞにワガハイの崇高なる使命を邪魔されてなるものか!」

崇高なる使命?
なんだそれは!

スカモン「フフン知りたいか!このスカモン様の栄誉ある使命をそれはだな…」

そこまで言ったところで、スカモンの背中に乗っていたネズミ型デジモンが、スカモンの背中を引っ掻いた。

https://i.imgur.com/1SlcECJ.jpg

あのデジモンは…よくデジタルワールドにいるやつだ。
レベル3デジモン、チューモンだ。

スカモン「イデデデデッ!わ、わかった!言わん、言わんて!!」

スカモンがそう叫ぶと、チューモンは引っ掻くのを止めた。

スカモン「フー…というわけだ、ワガハイの使命はキサマら愚か者共には教えられんのだ!残念だったな!スカーッカッカッカ!」

あいつ、高笑いしてやがる…

突如、コマンドラモンが、自分達の足元を銃撃した。

な、なんだ!?

…コマンドラモンが銃撃したのは、スカモンが話している間にこっそりにじり寄っていたゲレモン達だった。


スカモン「な!?ワガハイの『有り難いお話作戦』を見破るとは…なかなかデキる奴!」

あぶねー、つい相手のペースに乗せられていた。
サンキュー、コマンドラモン。
876 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/19(月) 20:33:27.86 ID:ox3A4vVmo
ほんと出来る奴だなコマンドラモン
877 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/19(月) 20:41:17.12 ID:EC071Ti6o
だが、読めてきたぞスカモン。貴様の正体が。
『粘菌コンピュータ』だな。

スカモン「ナヌ!?…ふ、ふん!よ、ようやくワガハイがウンコではないと理解したようだな!」

真性粘菌達は、互いに結合して情報をやりとりすることで、複雑なネットワークを形成し、演算回路として働くことが分かっている。

迷路のスタートとゴールに餌を置いた場合、はじめは迷路内にまばらに散らばるが、やがて最短経路を結ぶような一本の線となって最適化される。
迷路の最短経路を解くコンピュータのように。

それが粘菌コンピュータ…
Slime mold computer(スライム・モゥルド・カンピューター)のデジモン。

それがスカモン、貴様の名前の由来だな!

スカモン「お、おおおお!そこまでワガハイのことを理解するとは!キサマ見所があるな!どうだ、ケンカはやめてワガハイの部下にならんか?」

ならんわ!
お前が何をしているか洗いざらい吐くか…
駆除されるか選べ!

スカモン「それはこっちのセリフだあァァーーッ!」

B A T T L E
 S T A R T
878 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/19(月) 20:48:20.77 ID:EC071Ti6o
戦闘開始早々…
フローラモンは遠くへ走って逃げた。

スカモン「スカーッカッカッカ!臆病者めが!」

そしてフローラモンは、花粉をばら撒いた。
コマンドラモンはガスマスクを装着した。

どうやらフローラモンは、粘菌デジモン達をひきつけて、スカモンの周囲から戦力を削ごうとしているらしい。
だが…

スカモン「バカが!さっきは自律行動させていたから誘き寄せられたが、今度はそうはいかんわ!」

粘菌デジモン達は、フローラモンの方には目もくれず、コマンドラモンの方へと大挙して押し寄せた。

スカモンは自らを粘菌の王と名乗った。
つまり粘菌コンピュータを構成するズルモンやゲレモン達を自在に操れるということだろう。
879 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/19(月) 20:50:21.64 ID:PsMs77Z1o
フローラモン達はちゃんと考えて最善策出来てるのにことごとく封じられる
880 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/19(月) 20:55:04.81 ID:EC071Ti6o
コマンドラモンは、ゲレモン達を銃撃したが…
撃たれたゲレモン達は細かく砕け散り、分離してズルモンになる。
まるで暖簾に腕押しだ。キリがない…!

床が粘菌デジモンで埋め尽くされていく。これを踏んづけたら足を地面に貼り付けられ、ドリルを投げられてしまう。
しかも粘菌デジモン達の体には毒がある。

粘菌デジモンを避けるが、徐々に壁に追い詰められ始めるコマンドラモン。

コマンドラモンは、いちかばちか、スカモンへ直接銃撃を浴びせようと試みた。

スカモン「遅いわぁぁぁ!」

だが、スカモンは粘菌デジモン達の上を高速で移動して銃弾を躱す。
なんだあの動き!?両腕でドッスンドッスン歩いてちゃあんなスピードは出せないはずでは!?

リーダー「あれは…床を埋め尽くしている粘菌達が、ベルトコンベアーのようにスカモンを運搬しているんだ!」

くっ…
あいつは床一面の粘菌の上を自在に高速移動できるのか。
バカみたいな見た目してて、案外隙がない…!
881 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/19(月) 20:56:56.76 ID:EC071Ti6o
※戦闘BGMがあるならこんな感じ
https://youtu.be/zn2LH1sGAks
882 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/19(月) 20:58:53.18 ID:mV1GIMTm0
臭っても成熟期ってことか
883 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/19(月) 20:59:36.13 ID:g0JUxsCBo
臭っても成熟期だしなぁ
884 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/19(月) 21:05:40.46 ID:EC071Ti6o
するとマッシュモンは、コマンドラモンを肩車して担いだ。

そして、エッホエッホと粘菌の上を歩き始めた。

スカモン「バカが!!粘菌で包んで食ってやるわ!」

マッシュモンの足元へ、ズルモン達が押し寄せてくる。

マッシュモン「ミマシャー!」
マッシュモンがそう叫ぶと…
デジタルゲートの中から、チビマッシュモン軍団が一斉に飛び出してきた。
なんだあいつら!?いつの間に!?

リーダー「マッシュモン…まさか…自分のような司令塔がいることを予測して、部下を殖やしていたのか!?」

チビマッシュモン軍団は、床一面の粘菌の上に並んでスカモンまでの道を作った。

マッシュモンは、チビマッシュモン軍団の方へコマンドラモンを投げた。

コマンドラモンは、チビマッシュモンの上を駆けて、スカモンまで一直線に走っていく。
近接格闘戦に持ち込む気だ!

フローラモンも、コマンドラモンの後ろについて、スカモンの方へ駆け寄っていく。

スカモン「く、来るな!粘菌ども、さっさとそのチビキノコ共を食ってしまえ!」

粘菌たちがチビマッシュモンを包み込んで食おうとする。
885 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/19(月) 21:19:51.91 ID:EC071Ti6o
マッシュモン「マシュムマママママ!!」

マッシュモンとチビマッシュモンは、粘菌たちを掴んでは口に放り込んでいる。

さっきの隔離チェンバー内での実験では、ミニマッシュモンは粘菌に溶かされてしまったが…
あの実験結果から逆算し、マッシュモンはギリギリでゲレモンに勝てるサイズで各チビマッシュモンを作ったらしい。

粘菌デジモンを食べたマッシュモン達は、ポコポコと殖えていく。

スカモン「粘菌が逆に食われている!?クソ、粘菌共!もうそのキノコに構うな!トカゲと花を止めろおおお!」

粘菌達は、スカモンの方へ押し寄せてきた。コマンドラモン達を迎撃する気だ。

だが、それより一手早く、フローラモンがスカモンの口を掴んで無理矢理開かせた。

スカモン「ホゲ!?にゃ、にゃぎをふゆ!!」

フローラモンを長い腕で掴み、引き剥がそうとするスカモン。

コマンドラモンは、スカモンの口の中へ爆弾を放り込んだ。

スカモン「ほご!?」

そしてコマンドラモンは、スカモンの口の中へ銃撃を連射した。

スカモン「や、やめろぉぉ!モゴォ!」

スカモンは銃撃から口の中を護るために、口を閉じ、両腕で口をガードした。




…数秒後、スカモンの口の中で爆弾が爆発した。

スカモン「ブッゴオオオォオォォオォオオォォ!!!」



コマンドラモンはレベル3。スカモンはレベル4デジモンだが…
口の中で爆弾を炸裂させたとあれば、いくらレベル差があってもただでは済まないだろう。
886 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/19(月) 21:21:22.44 ID:mV1GIMTmo
成長期が成熟期に知恵と勇気で勝った
887 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/19(月) 21:26:15.15 ID:TnBkPII20
フローラモンも大方優秀でビックリするな……
888 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/19(月) 21:32:15.50 ID:EC071Ti6o
スカモン「グ…グフ…」

白目を剥いたスカモンの口から煙が立ち上り、吐血している。

コマンドラモンは、今の爆弾攻撃を使ったせいで、だいぶ体力を消耗したらしい。

コマンドラモンの銃弾や爆弾は、自身のエネルギーを消耗して生産するものだ。
こんだけ連発すれば、疲弊もするだろう。

私がデジドローンからキノコを投げると、敵を警戒しながら食べ始めた。枯渇しかけているエネルギーを補給しているのだ。

マッシュモン「ムッムー!ムマシュー!」
チビマッシュモン達「ムマシャーー!」

マッシュモンはチビマッシュモンを引き連れて、スカモンの方へ突撃した。
とどめを刺す気か…!


すると、スカモンがカッと目を見開いた。
先程スカモン達の方へ押し寄せてきた粘菌達は、スカモンを覆い隠すように包み込んだ。

バリケードで時間稼ぎする気か…!?

しかし、スカモンを包み込んだ粘菌の繭は、壁を伝ってズルズルと天井まで上っていき、そのまま天井から吊り下がった。

くっ…
コマンドラモンの銃が弾切れである以上、天井には攻撃が届かない。
889 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/19(月) 21:38:28.94 ID:EC071Ti6o
呆気にとられながら戦いを見守る一同。

私は、鉄鋼会社の社員の方を向いた。

粘菌達は今、あの眉に全て集まっている!
今のうちにゴミ箱の中のゴミデータを処分してください!

すると、社員達はコンピュータを操作し、ゴミ箱の中身の消去を実行した。

ゴミ箱にクレーンアームが伸びてきて、ゴミ箱を掴み上げると、焼却炉の上で中身をぶちまけた。

ゴミデータはめらめらと燃え尽きていった。
削除完了!
これで、粘菌共の餌はなくなった。

あとは、天井から吊り下がった繭をどうやって破壊するか…だ。

フローラモン、コマンドラモン、マッシュモン達は悩んでいるようだ。
890 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/19(月) 21:42:02.40 ID:EC071Ti6o
そうして繭を観察していると…

突然繭が破れ、中から大きな物体が落下してきた。

https://i.imgur.com/MOw4aEA.jpg



…体長5mがあろうかという、巨大なスカモンだ。


レベルは…4のままだが…
まずい!
逃げ…


そう言い切る前に…
巨大スカモンの剛腕が、フローラモンの腹部に裏拳を叩き込んだ。


コマンドラモンのすぐ横を、びゅんと通り過ぎて吹き飛んだフローラモンは、壁に叩きつけられた。
891 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/19(月) 21:42:32.75 ID:EC071Ti6o
続く
892 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/19(月) 21:42:51.56 ID:mV1GIMTmo

うーんこれは絶望
893 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/19(月) 21:44:35.10 ID:Pn87KL/G0

ベストは尽くしたはずなのに
894 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/19(月) 21:54:56.66 ID:TnBkPII20

融合的なのはあるかと思ってたけど思ったよりすごいことに
895 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/19(月) 22:08:32.85 ID:g0JUxsCBo
おつ
ゲェ!?大王!?
896 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/20(火) 07:07:20.23 ID:lPx0Bf+i0
元々の世代は完全体だっけ?>大王
897 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/20(火) 18:24:39.08 ID:7/yGgwXeo
いつもながら続きが気になる引きだ
898 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/20(火) 21:30:19.54 ID:PlYNVC/mo
倒れたフローラモンはピクリとも動かない。

我々は数々のデジモンを観察し、データを計測していくうちに、「デジモンは強くなるにつれて代謝量が大きくなる」という法則を発見し、強さと代謝量を概算する「DP」という物理量を定義した。

今の巨大スカモンのDPは…
既存のデジモンでいうなら、クワガーモンと大体同じ数値だ。
これは「小細工抜きで強い、戦闘向きデジモン」を表している。

これまでのスカモン相手なら、立ち回りを工夫することでなんとか張り合えたが…
ここまで「シンプルに白兵戦が強い」デジモンには、もはや知恵比べでは埋められない実力差になるのだ。

巨大スカモン『きひゃまらあァァーーーッ!もう許ひひゃおかん!!ワガハイのキレイな歯をこんなにボロボロにひおって!このスカモン大王が!ブチ殺ひてやゆ!クソトカゲェェーーッ!』

スカモン大王を自称する巨大スカモンは、歯並びの良いキレイな歯が並んだ口を、一切動かさずにそう発声した。

くっ…さすがにこれは分が悪い…
一時退却だみんな!
ゴミ箱の中のゴミデータは捨てたんだ!あいつはほっておけばそのうち飢える!撤退だ!

鉄鋼会社社員「で、でも、ここで撤退したら…あいつ、ゴミデータの代わりに会社の機密データを食べ始めるんじゃ…」

うぅっ…有り得るけど…
フローラモンがまずい!
態勢を建て直すぞ!

私はデジモンキャプチャーでデジタルゲートを開いた。
マッシュモンは、フローラモンを担いでデジタルゲートへ駆け込んできた。

よし、マッシュモン収容完了!
次、コマンドラモン!来い!


コマンドラモンも、デジタルゲートへ走ってくるが…
急に止まった。
899 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/20(火) 21:36:46.44 ID:87enaXGko
お前まさか…
900 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/20(火) 21:40:40.78 ID:PlYNVC/mo
コマンドラモンの目の前に、スカモン大王の右手のチョップが飛んできて、地面にめり込んだ。

凄まじい轟音だ。

コマンドラモンは、自分の直上にチョップが迫っていることに気付いたから止まったのだ。

スカモン大王『クッソ!もうちょっとで叩き潰せたものを!』

コマンドラモンはスカモン大王の手から遠ざかる。

スカモン大王『無駄だァーーーッ!ぶっとばしてくれるわ!』

スカモン大王は、左手を横に振り、コマンドラモンに思いっきりビンタした。

コマンドラモンは吹き飛び、地面をごろごろと転がる。
…あまりにも戦力差が大きすぎる…早くコマンドラモンをゲートに入れなければ!
私はデジモンキャプチャーをコマンドラモンへ近づけるが…

スカモン大王『させんわ!』

うぅっ、左手でデジモンキャプチャーのゲートを塞ぎやがった!

スカモン大王『ゲホッゴホッ…これで貴様は脱出(だっひゅつ)でひまい!ゴボッ…!』

相変わらずスカモン大王は口を一切動かさずに発声している。

や、やばいぞ…ゲートを塞がれるとは…!
このままではコマンドラモンを撤退させられない。嬲り殺しにされてしまう…!

その時。

「チビシュマーーー!!」

チビマッシュモン軍団が、スカモン大王の体を登り、眼球を攻撃し始めた。
目潰しをする気だ!

スカモン大王『うざいわあああ!』

スカモン大王はチビマッシュモン達を手で払い除けた。
ぼとぼとと地面に落ちるチビマッシュモン達。


スカモン大王『さて、まずはあのクソトカゲから…!ムム?あのクソトカゲはどこだ!消えたぞ!?』

なんと。
チビマッシュモンがスカモン大王に飛びついている間に、コマンドラモンが忽然と姿を消してしまった。

ゲートは未だにスカモン大王の手で塞がれているので、こちらへ逃げてきたわけではないようだ。

どこへ行ったんだコマンドラモン…?
901 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/20(火) 21:50:54.12 ID:PlYNVC/mo
しかし、あまりにもフィジカルの差が大きすぎる。
これではコマンドラモンの体力が回復したところで、機銃や爆弾は効かないかもしれない。
奴に弱点はないのか…!

カリアゲの研究員「なあ…すごくどうでもいいことなんだけどさ…」

どうした?こんな時に。

カリアゲの研究員「なんであのスカモン大王、口を動かさずに喋ってるんだ?さっきは人語の発声には口や声帯を動かす必要があるって言ってなかったっけ…」

リーダー「本当にどうでもいいな。腹話術でもやってるんじゃないのか」

腹話術…?
…まてよ。

さっきスカモン大王は、自分の歯並びのいい歯がボロボロになったと言っていたけど…
どう見てもスカモン大王の歯はキレイなままだよな。

リーダー「そ、それが…?」

…そうだ!わかった!
スカモン大王は、あのでかい口で喋ってるんじゃない!
文字通り、腹の中から喋ってるんだ。

カリアゲの研究員「腹の中から…!」

そうだ!
スカモンはあのデカい体とまだ完全に融合しきってない!
外側のボディをパワードスーツのように着て、中に本体のスカモンがいるんだ!

…そうは言っても。
あの金属光沢で黄金に光る硬化粘菌ボディに、付け入る隙など見当たらない…。
902 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/20(火) 21:53:48.17 ID:87enaXGko
全員の知恵と知恵のぶつかり合い
熱いじゃねえか
903 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/20(火) 21:58:14.78 ID:PlYNVC/mo
スカモン大王『クソトカゲ!どこへ消えたァァ!!』

スカモン大王は、ゲートを手で抑えながら、きょろきょろとあたりを眺め回している。

チビマッシュモン軍団は、再びスカモン大王の体を登ろうとして足元に集まってくる。

スカモン大王『このぉ、ウザいぞ!キサマら祖先共は時代遅れなのだ!進化したワガハイこそが最新最強なのだああ!』

そう叫んだスカモン大王は、自分の頭頂部に生えている螺旋状の物体をパカっと外すと、自分の右腕に装着した。

すると、スカモン大王の右腕で金色に輝く螺旋状の物体は、ドリルのように高速回転し始めた。

スカモン大王『まとめて逝ね!スライムモールド!ドリィイイル!』

ドリルで薙ぎ払われたチビマッシュモン達は、バラバラに切り裂かれて散らばった。

うぅっむごい…!
チビマッシュモン達は逃げ惑う。
904 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/20(火) 22:01:44.09 ID:PlYNVC/mo
スカモン大王『スカーッカッカッカ!クソキノコ共!まずは貴様らから撲滅してやるぞォォ!』

スカモン大王は高速回転するドリルを、チビマッシュモンの上から叩きつけた。
チビマッシュモンは一瞬でバラバラに吹き飛んだ。

なんて威力…!
コマンドラモンでさえ、一発あれを叩き込まれれば即死は免れない。

…その時。
我々のもとへ、一通のチャットが飛んできた。

コマンドラモンからだ…!
内容は…?

『うえから みえるか』


…んん?
なんのことだ?
905 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/20(火) 22:08:32.79 ID:PlYNVC/mo
上から?何が?

…とりあえず私は、デジドローンを飛ばし、戦局を上空から眺めた。

すると…
…おお…!

スカモン大王が頭頂部からドリルを取り外したときに頭に空いた穴から、中が見えた。
やはりスカモンが乗っている…!

私は『みえる』とチャットを打った。


すると…
『すべてを たくす』と返信が来た。

その直後…
床から何か、コツン、と硬い音が鳴った。

私は音が鳴った方を見た。


そこにあったのは…
ピンがついたままの、コマンドラモンの爆弾だった。


そうか…!
コマンドラモンは今、光学迷彩で隠れているのか!

さっきまでは周囲に粘菌がひしめいていたから、光学迷彩を使ったところで粘菌の触覚で居場所がばれてしまう状況だった。

だが、粘菌がすべてスカモン大王の装甲となった今…
光学迷彩で隠れることが可能になったんだ。
906 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/20(火) 22:14:52.98 ID:PlYNVC/mo
やがて、爆弾から離れた位置で、コマンドラモンの姿が現れた。
光学迷彩はエネルギーの消耗が激しい。きっとエネルギーが切れたのだろう。

スカモン大王『見つけたぞおおおお!クソトカゲ!』

スカモン大王は大喜びで、コマンドラモンの方へにじり寄っていく。
スカモン大王は移動するときに両腕を使って地面をナックルウォーキングしている。

…つまり。
デジタルゲートは今、スカモン大王の手で塞がれていない。

わかったぞ、コマンドラモン。

…私達にも、一緒に戦えというんだな!


私はデジモンキャプチャーを使い、コマンドラモンの爆弾を回収した。

スカモン大王は、コマンドラモンにドリルを打ち込もうとしている。

スカモン大王『キサマは一息には殺さん!じわじわと嬲り殺しにしてやるゥゥーーー![ピーーー]ェェーーーーッ!!』


私はデジタルゲートを、スカモン大王の直上へと移動させた。


…今だ!

来い、マッシュモン!!


私の合図とともに、デジタルゲートから、ピンの抜けた爆弾を持ったマッシュモンが降下してきた。
907 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/20(火) 22:21:17.74 ID:Qqzpjhzx0
人間とデジモンの共同作業だ
908 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/20(火) 22:21:34.43 ID:PlYNVC/mo
スカモン大王『スカーーーっとするぜェェーーーー!』

コマンドラモンに向かってドリルを突きだすスカモン大王。

マッシュモンは、そんなスカモン大王の頭にぽっかりと空いた穴へ飛び込み…

内部のスカモンの頭を思いっきり踏んづけた。

スカモン「ふぎゃん!?な、何奴!?」

スカモンは両腕を、スカモン大王の内壁へ突っ込んでいる。きっと何か操縦桿みたいなものをこねくり回しているのだろう。

マッシュモンは、すかさずスカモンの口の中に爆弾を放り込んだ。

スカモン「もごぉ!?」

そしてマッシュモンは、その場でジャンプし…
スカモンの頭部へヒップドロップを決めた!

スカモン「ぶぎゅ!」


…直後、スカモンの口の中で、コマンドラモンの爆弾が爆発した。

スカモン「ゴッビャアアアアアアァァァァーーーーーーー!!!!」

スカモン大王の頭の穴から、マッシュモンがポーンと飛び出してきた。

爆発と同時に、スカモン大王の腕の動きは止まった。
909 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/20(火) 22:26:36.60 ID:PlYNVC/mo
スカモン大王は、仰向けに倒れた。
頭の穴から、スカモンが転がり出て来た。

スカモン「」

白目を剥き、口をあんぐりと開けている。
口の中からは煙が立ち上っている。
歯は全部吹き飛び、舌も千切れ飛んだようだ。
スカモンはピクリとも動かない。

…勝った…のか?



マッシュモンは爆発の衝撃で気絶している。
よくやったマッシュモン。
私はデジモンキャプチャーで、マッシュモンと、生き残りのチビマッシュモンを回収した。


コマンドラモンは、スカモンに向かって銃撃をしようとしたが…
エネルギーが残っておらず、弾切れのようだ。


大丈夫だ、コマンドラモン。無理にとどめを刺さなくても。
そいつはデジモンキャプチャーで回収して、隔離チェンバー内で標本にしてやる。

私は、デジモンキャプチャーをスカモンへ近づけた。
910 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/20(火) 22:30:56.57 ID:PlYNVC/mo
すると、そこへ。
先程スカモンの背中に乗っていたチューモンが、どこかから素早く走り寄ってきた。


な、なんだ…?

すると、なんと。
チューモンはスカモンの口の中に手を突っ込み、何かを引きずり出した。

それは…脳か何かのように見えた。

チューモンは、スカモンの脳を持ち、走り去っていく。

コマンドラモンはチューモンを追い掛けようとしたが、体力の限界が来たようであり、がくんと地面に膝をついた。


チューモンは、トンネル…ネットワーク回線の方へ向かった。

そして、内壁が粘菌でびっしりと埋め尽くされたトンネルに飛び込んだ。

やがて、トンネルの内側にびっしりとこびりついていた粘菌達は、チューモンを包んでネットワーク回線の奥へと引っ込んでいった。


…我々は、スカモンに勝ったのだ。
911 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/20(火) 22:34:28.47 ID:PlYNVC/mo
チューモンには逃げられ、スカモンの脳は持ち去られたが…
ひとまず、鉄鋼会社のサーバーに巣食っていた粘菌デジモン達は完全に消え去った。

ネットワーク回線の中を圧迫し専有していた粘菌達も、遠くへ引っ込んでいった。

ひとまず、危機は去ったのだ。

…我々は、スカモンの死骸および、チェンバー内に誘引したゲレモン達を標本として保管した。

巨大なスカモン大王の抜け殻は…
でかすぎてデジタルゲートを通過できなかったので、その場で消去した。
912 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/20(火) 22:39:34.42 ID:PlYNVC/mo


我々は、ランドンシーフの居住スペースで、フローラモンの様子を見ていた。

フローラモンの脈拍はどんどん弱まっていく。

何か治療を施してやりたいが…
今の我々には、デジモンへの医療技術はない。


フローラモンは、頭部が花になっているデジモンだ。
我々が見守っている中で…
フローラモンは、頭部の花を散らせた。

…そして、フローラモンの頭部は首からごろりと離れ、地面を転がった。


…フローラモンの脈拍が、止まった。
913 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/20(火) 22:42:06.46 ID:RwEID8Zoo
そんな…
914 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/20(火) 22:44:21.11 ID:PlYNVC/mo
スカモンの駆除には成功した。

鉄鋼会社の社員達みんなから感謝された。


だが、勝利の代償として…
フローラモンは息を引き取った。


我々はどうすれば良かったのだろうか。

スカモンと出会ってすぐに、戦闘を回避してデジモンを全員引き連れて退却し、サーバーやネット回線を放置すればよかったのだろうか。

それとも…我々は最善を尽くしたのだろうか…。


どれだけ反省会をしても、フローラモンが息を吹き返すことはない。


哀しみに暮れる一同。
フローラモンを愛した大勢の研究員達が、涙を流していた。

そうしてフローラモンは、ビオトープの一角に掘られた墓穴へと、コマンドラモンの手で埋められた。
915 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/20(火) 22:49:04.95 ID:PlYNVC/mo
翌日。
我々は驚いた。

なんと、フローラモンの墓の土から、芽が生えている。

我々は、あまり気が進まないが…
フローラモンの墓を暴いた。


すると、さっそく芽の正体が顔を出した。
https://i.imgur.com/IYR03w0.jpg

ニョキモン…
フローラモンが産まれた直後と同じ姿のデジモンだった。


墓土の中には、フローラモンの頭部を形成していた外殻の破片と、植物の種が真っ二つに割れたような殻があった。



…花とは、やがて果実になり、実をつけ、種を残す器官だ。
フローラモンは死の間際に、自分の頭部の花の中で種を…
ニョキモンのデジタマを遺したのだ。


我々は、フローラモンが遺したニョキモンを、大事に育てることに決めた。
916 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/20(火) 22:52:28.52 ID:eMlvZvJS0
デジタルワールドじゃなくて人間世界で誕生したデジタマか
917 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/20(火) 22:57:26.06 ID:PlYNVC/mo
数日後、ニョキモンはピョコモンに進化した。
https://i.imgur.com/B0YnRSd.jpg


フローラモンと同じ幼年期デジモンだ。
そろそろチャットによる会話を教えてみようか…

すると、信じられないことが起こった。


ピョコモン「あるじ!あし はえた! また きたえて!」


…ピョコモンは、口から人語を発したのだ。
これにはピョコモンの世話をしていたコマンドラモンとマッシュモンもぶったまげた。

まだ言葉を教えてないぞ…どうなってんだ!?

ピョコモンはさらに続けて喋った。

ピョコモン「ふろーら、うんこに まけたvくやしい! うんと つよくなる! きたえて!」


…なん…だと?
このピョコモン、自分を『フローラ』と名乗ったぞ。


コマンドラモンは、ピョコモンにチャットを打った。
『おぼえているのか あの たたかいを』


ピョコモン「こまんど かこよかた!ふろーらも こまんど みたいに つよくなる!」





フローラモンは、ただデジタマを遺していただけじゃない。

頭部の中にある…脳を、記憶を。
肉体の死の間際に、デジタマとして切り離すことで、前世の記憶と自己同一性を維持したまま、幼年期への転生に成功したのだ。

誰も気にしていなかった。
「なぜフローラモンは、花が頭部なのか」などと。
そういうデザインなのだろう、程度にしか考えていなかった。

だが違う。
フローラモンには、こういうことができる身体機能が、初めから備わっていたのだ。
918 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/20(火) 22:59:28.95 ID:PlYNVC/mo
デジモンの生命力の強さは。
生存能力の強さは。
決して、白兵戦闘力だけを物差しとして測られるものではない。

一見弱そうなデジモンが。
誰よりも強い生命力を秘めている事があるのだ。
919 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/20(火) 23:00:32.78 ID:UiBHYRXoo
フローラモンまた会えた(´;ω;`)
920 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/20(火) 23:04:29.08 ID:PlYNVC/mo


ピョコモンは現在、コマンドラモンの指導のもとで、ハードなトレーニングを積んでいる。

さて…
あまり感傷に浸り続けてはいられない。

今回の鉄鋼会社で起きた、ゲレモン及びスカモンによる粘菌事件。

その顛末について分析し、今後どうするかを考えなくてはならない。
ワルモノをぶっとばしたから万事解決!というわけにはいかないのだ。


あの粘菌達はどこから来たのか?

なぜゲレモン達はサーバーのデータをペロペロ舐めてばかりで、食べようとはしなかったのか?

なぜネットワーク回線の内壁にびっしりと粘菌デジモンがくっついていたのか?

結局スカモンは何をしようとしていたのか?
そもそもあのスカモンはどこから来たのか?

あのチューモンはどこへ去ったのか?


…ひとつひとつ、限られたヒントから分析しなくてはならない。
921 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/20(火) 23:04:34.04 ID:pzck2Szj0
マッシュモンがチビマッシュモンってクローンを作り出すのとはまた違うか
922 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/20(火) 23:05:07.41 ID:PlYNVC/mo
つづく


次回、シーズン1 最終回(予定)
923 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/20(火) 23:07:09.85 ID:+gk60EHro

確かに1期最終回並みの熱い展開だったな
924 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/20(火) 23:07:40.81 ID:PL0tYnjz0
よかったよかったが謎は残る
人間のネットワークに既に知性あるデジモンが侵食してるらしいってことだもんなあ
925 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/20(火) 23:08:14.51 ID:tJCZEGSU0

この戦いと後日譚だけでも人々のデジモンへの興味に大きな影響与えるぞ
926 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/20(火) 23:09:55.24 ID:pzck2Szj0

人間との関わりがデジモンの成長を加速させていく
927 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/20(火) 23:14:21.86 ID:LbNG3iZ2o

進化だけがデジモンの無限の可能性じゃないな
成長期でも上の世代を越える成長が出来る
928 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/20(火) 23:20:35.52 ID:Jh2IZPie0
RPGなら経験値大量ゲットで超レベルアップしてるところ
素の力は低くてもエネルギーの燃費良くて知識吸収の早さで応用の幅が広い成長期は一つの理想形だ
929 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/20(火) 23:33:14.78 ID:pzck2Szj0
スカモン達がどうやって生まれたのか答え分かった気がするけど展開予想はまずいか
930 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/20(火) 23:40:04.61 ID:PlYNVC/mo
オマケ

これまでに確認されたレベル4デジモンのDP比較表を、Tier表形式で発表する。


S+ グレイモン グラウモン ティラノモン
S コカトリモン ディアトリモン
A+ スターモン スナイモン
A タスクモン モノクロモン エクスブイモン スティングモン
B+ クワガーモン スカモン大王 カブテリモン ゴーレモン モリシェルモン
B ディノヒューモン レッドベジーモン ドクグモン ボアモン シードラモン ドビウモン
C+ フロッグモン サラマンダモン モスモン ウッドモン アイスモン ユキダルモン
ヤンマモン
C ベジーモン トゲモグモン ゴートモン シーホモン
D ヌメモン ゴキモン カラツキヌメモン ハニービーモン
931 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/20(火) 23:44:52.81 ID:0ylMH5zuo
やっぱタスクモンの子供組が上位占めてるんだな
932 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/20(火) 23:49:32.71 ID:M9ccTe7jo
おつおつ
この先もたのしみー!
933 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/21(水) 00:11:49.79 ID:5MeVZp8F0

上位勢はほぼ死んでるけど
グレイモンは生き残ってるんだなあ
934 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/21(水) 07:34:38.45 ID:E7e6zb240
あのグレイモンはメタルになるのか、スカルになるのか……
935 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/21(水) 08:28:10.78 ID:VuzEauDwo
コマンドラモンの活躍っぷり
軍隊なら軍曹くらいにはなれてるぜ
936 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/21(水) 10:20:08.30 ID:ts8E5Hc/o


フローラモン生きてて良かった
でも戦力的に不安だよな。もう一人アタッカーが欲しいところ
937 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/21(水) 10:42:30.00 ID:Vsw2m0Dh0
大群なぎはらって大きな質量に対抗できるようなデジモンが乗れる戦車や戦艦や巨大ロボやパワードスーツとか作れればなあ
938 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/21(水) 20:37:33.23 ID:JZWTPcqQo
>>930のTier表は、上から見れば強さの順となるが、空腹に弱い順でもある。

下から見れば、長い間食事を摂らずに生きていける順となる。

そのどちらが生存に有利かは、時と場合によりけりだ。
939 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/21(水) 20:40:22.75 ID:4gPNXEV3o
何らかの手段で二つを両立出来れば完璧だ
940 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/21(水) 20:53:00.26 ID:msXJYCtV0
空腹に強い形態でいて戦闘力を知恵や他者との協力で補うコマンドラモン達も1つの答えか
941 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/21(水) 20:53:27.86 ID:JZWTPcqQo
我々は、事件の分析を試みた。

ゲレモンはともかく、スカモンはどう考えても自然発生したデジモンだとは考えれない。

スカモンは粘菌型デジモンだというのに、極めて流暢に人語を話した。
これは、デジモンまたは人間から、言語とコミュニケーションの高度なトレーニングを施されていると考えてよいだろう。

さらにスカモンは、ネットワーク回線を圧迫したり、データバンクをゲレモンに舐めさせたことを「崇高なる使命」と呼んだ。

これが自発的な行動であれば「使命」などという言葉は使わないだろう。
故に、スカモンが敬愛する何者かからの命令で動いていたと考えるべきだ。

そして、ゲレモン達はスカモンの命令に従い、鉄鋼会社のデータを「食べる」のではなく「コピー」していたのだと考えられる。

ネットワーク回線のトンネルの内壁が粘菌で埋め尽くされていたのは、ゲレモン達がコピーした情報を送るパスを専有するためだった…と考えれば筋は通る。


つまり、今回の事件は…
デジモンを利用したサイバー犯罪だ。

鉄鋼会社のデータを盗むことを目的にしていたのだ…という可能性が最も高い。

既存のセキュリティソフトでは、デジモンの侵入は防げない。

今後も同じ手口が使われるとしたらゾッとする。

研究所内では、「この事件を公表し、デジモンによるサイバー犯罪の対策を啓発すべきか?」と議論が行われた。


だが結局「公表しない」ことにした。
人類のIT技術では対策しきれない上に、むしろ犯行グループの広告となってしまい、デジモンを利用したハッカーが得をしてしまう可能性があるからだ。
942 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/21(水) 20:55:00.76 ID:hTCILCb/o
サイバー犯罪なら警察と協力できるな
943 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/21(水) 21:11:47.83 ID:JZWTPcqQo
本格的に対策を考えるなら、犯人の動機だけでなく、「手口」の分析も必要だ。

そもそも犯人は、一体どうやってゲレモンとスカモンという、情報窃盗に最適な形質のデジモンを用意したのだろうか?

デジタルワールドからゲレモンとスカモンを拾ってきたのか…?
いや、それではスカモンがあんなに流暢に喋れる発声器官を持っている理由が説明できない。

我々は、スカモンの死骸やゲレモンからDNAを解析してみた。
すると、面白いことが分かった。

彼らはもともとは、レベル3のマッシュモンだったのだが…
それがレベル4のゲレモンへと進化した。

その後ゲレモンがデジタマを産み…
ゲレモンの子は、『レベル3で』親のゲレモンと同じ姿へ進化したのだ。

ゲレモンという種が、レベル4からレベル3へと移り変わった。

そしてその後、レベル3のゲレモンがレベル4のスカモンへと進化したのである。


途中に何世代か挟むだろうから、実際にはこんなスムーズに形態変化していったわけではないだろうが…
大体こんな感じである。


デジモンが『元々のレベルより低い段階へ移り変わる』という現象は、いくつかの例で確認されている。

たとえば、現在のデジタルワールドの海には、ホエーモンというレベル5の巨大なデジモンが確認されている。
https://i.imgur.com/JpioOvv.jpg

しかし、ホエーモンの子供達は、レベル4で親と同じ姿へ進化したという。

同様に、「カラツキヌメモン」や「ゴキモン」も、かつてはレベル4だったが、その子供達がレベル3で親と同じ姿を獲得している。
https://i.imgur.com/4BGl6cW.jpg
https://i.imgur.com/Kv42v0J.jpg

わざわざ低いレベルに下がることに意味があるのかというと…
大変大きな意味がある。

戦いを避けて、逃げたり隠れたりすることに特化したデジモンは、戦闘力を捨てる代わりに素早く完成した身体機能を手に入れ、燃費の良い肉体になることで、生息分布を一気に拡大することに成功しているのだ。
944 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/21(水) 21:22:44.90 ID:5MeVZp8F0
>>495からの系統か……?
それにしても進化や繁殖が早い
945 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/21(水) 21:26:37.20 ID:JZWTPcqQo
マッシュモンがゲレモンに進化したところまでは、まあデジタルワールドで自然に進化した可能性も十分に考えられるが、その進化形態であるスカモンについては、どう考えても自然な進化としては説明がつかない。
明らかに進化の傾向が違うのだ。

いちどマッシュモンから退化したであろう知能が、人と会話し、命令を遂行できるほど高度に進化している。
しかも、ゲレモンは戦闘力を捨てていたフシがあるが、スカモンは強かった。
合体形態の「スカモン大王」は戦闘向きのデジモン達と遜色ないDPを持っていた。

このことから、スカモンはハッキング目的に特化した形質を得るように人為的に進化させられたのではないか?という説が浮上した。


「何者かがデジモンの肉体に手を加えた例」なら、我々は既に一度目撃している。
瀕死のティラノモンを機械(というよりプログラムボット)で改造したレアモンである。
https://i.imgur.com/2ObcB3n.jpg


あの後、レアモンを分析したところ、どうやら「デジモンの欠損した身体機能を、人工のプログラムで代替する実験」の実験台になっているのではないか…とする説があった。

スカモンと直接の関わりはないが…
「望み通りのデジモンを作る」ためのアプローチと考えると、どことなく共通した目的があるようにも見えてくる。…根拠は無いが。
946 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/21(水) 21:41:30.94 ID:JZWTPcqQo
もしも、この説が正しいのであれば…
先の事件で出現したスカモンを倒せば万事解決、と終わるはずがない。

むしろ、あのスカモンが量産されたら、次々と同じ手口によるハッキングで情報窃盗が行われかねない。
これが公的機関や軍需企業、金融機関に差し向けられたらひとたまりもない。

(なぜ今回は鉄鋼会社が狙われたのかは不明だ)

しかも、今回はスカモンが一体だけだったからギリギリ勝てたが…
さらに強力なハッキングデジモンが配備されたら、うちのレベル3デジモン達では太刀打ちできないだろう。

どう対策したものか…と頭を悩ませていた頃に、マッシュモンから通信があった。

『かみよ スカモン大王の 処分がおわったようだ かれらをむかえてくれないか』

…え?彼らって誰?
そういえばスカモン大王ってどうやって処分したんだ?
あんなバカでかい巨体を…


私は鉄鋼会社のサーバーを見た。
かつてスカモン大王があった場所には…
大量のチビマッシュモンがいた。


うわ!なんだあの数!
おい、どういうことだ処分作業担当者!
マッシュモンにやらせたのか?

担当者「ち、違うよ!あいつら元々あそこにいたんだ!」

元々…?

担当者「スカモン大王の攻撃で、チビマッシュモンがたくさん粉砕されてただろ?そいつらだよ」

え?スカモン大王にやられて死んだんじゃなかったの?

『かみよ われわれは 菌糸のデジモンだ たとえコナゴナにされようと 菌糸はいきている またかたまればいいのだ』


…あー。なるほど。
撃たれたゲレモンがバラバラになってズルモンへと分裂するようなことを、君らもできるのね。
そして、スカモン大王の残骸を食べて殖えに殖えたと。

…なんかゲレモンにならずとも、マッシュモンの時点でそうとうスゴいデジモンだな。
さっきまでフローラモンの生還に感動してたのに…桁違いの生命力を今まじまじと見せつけられた。


しかし…この数のマッシュモン。どうしよう…
ランドンシーフで飼えるのか…?
947 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/21(水) 22:07:01.98 ID:JZWTPcqQo
そこへ、スポンサーの方から連絡がきた。

スポンサー『ハーッハッハッハ!ご機嫌よう諸君!君達の戦いは見せてもらったよ…素晴らしいい!』

ど、どうも。

スポンサー『特に、君達とデジモンの絆が素晴らしい!デジモンがただ命令に従っただけじゃない、その場に適した意思決定をデジモン自身が行い!君達人間に協力まで求めた!こんな素晴らしいことは、あんな薄汚い排泄物デジモンになどできやしないだろう!』

お褒めにあずかり光栄です。
それで、あの…このマッシュモン達どうしましょうね?
こんな数うちの研究所で養えるかどうか…。

またペットとして売ります?

スポンサー『それもいいだろう!需要はたくさんある!こないだ売ったマッシュモン達だがね、動画サイトで大人気なんだ!生きたデジタルペットとして大変愛されている!購入希望者続出だ!』

おお、それは良かったですね。
マッシュモンを買ってくれた人の中に、動画サイトでバズった人がいたんですね。

スポンサー『というより、購入希望者の中からインフルエンサーを数名ピックアップし、抽選で優先的に当選させたからだよ!ハーッハッハッハ!』

さすが…。
で、このマッシュモン達ですが。

スポンサー『また売ってもいいが…君達は、可愛いデジタルペットとしての用途以上に価値のある使い道を見せてくれたじゃあないか!そっちはどうかね?』

カリアゲの研究員「え?どういうこと?」

つまり…
マッシュモンを「ハッキングデジモン対策用の傭兵」として運用するって案ですか?

スポンサー『察しが良くて助かるねえキミ!』

可能なんでしょうか、そんなこと…。
正直、マッシュモンだけじゃスカモンに勝てなかったと思いますが。

スポンサー『相手がマッシュモンを品種改良したからだろう?ならば君たちも同じことをすればいいじゃないか』

まさか…
マッシュモンをこちらも人為的に進化させる、と…?

カリアゲの研究員「あ、あんた、命をなんだと思ってんだ!人工進化だなんて…その中で犠牲になるマッシュモンだっているんじゃないのか!だいたい、望み通りに進化してくれるとは限らないぞ!凶暴化して暴れ回るかも!」

それは確かにありますね…。

スポンサー『…「餌の確保のしやすさ」「早い成長速度」「飼育下での繁殖能力」「穏やかな気性」「パニックを起こさない性格」「序列性のある集団を形成する習性」…。何のことか分かるかね?』

カリアゲの研究員「んあ?…マッシュモンの良いところか?」
948 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/21(水) 22:22:29.65 ID:JZWTPcqQo
いや、それはそうだが…違う。
今スポンサーさんが挙げたのは…『家畜化しやすい動物の条件』だ。

カリアゲの研究員「か、家畜化ぁ!?あんたマッシュモンを家畜にしようってのか!!」

スポンサー『言い方を変えよう。マッシュモン達は、人類の良き友…パートナーデジモンに相応しいということだよ。彼らに強くあれと望めば、きっと彼らも想いに応えてくれることだろう!』

カリアゲの研究員「どうだか…マッシュモンが進化した姿のひとつがスカモンやゲレモンだろ?あんな風に悪さして暴れる可能性があるって、ついさっき示されたとこだろうが!」

スポンサー『悪さ?とんでもない。むしろスカモン達はとてもよく人類に尽くしたじゃないか』

カリアゲの研究員「ああ?何言って…」

いいや、スポンサーさんの言う通りだ。
スカモンは命令を指示した人間に対して、とても忠実に従ったんだ。
大ダメージを受けても逃げずに戦闘を続行していたしな。
それは即ち…マッシュモンの、人間のパートナーとしての高い適性を意味するんだ。

暴れていたのは、命令した人間に悪意があったからだ。

カリアゲの研究員「…善人のパートナーにも、悪人のパートナーにもなれるってことか…」

スポンサー『理解したかね?マッシュモンのデジタル傭兵としての有用性と、スパイボットとしての危険性を!デジモンからシステムを護れるのはデジモンだけだ!きっと今に皆が欲しがるぞ、セキュリティデジモンを…!』

どうでしょうね。
ハッキングデジモンの存在が周知されない限り、その需要もあまり…

スポンサー『いや需要は伸びる。なぜなら既にマスコミに売り込んだからだ!デジモンハッキング事件のあらましをね!』

なんだって!?
か、勝手なことを!

研究所副所長「いやー、まあ、世のため人のためになるかと思ってつい…許諾しちゃった★テヘぺろ☆」

もうーーーーー!

スポンサー『ハーッハッハッハ!遅かれ早かれパンドラの箱は開けられていたよ!ならばジリ貧まで追い詰めれるよりも、早期に手を打つ方がいいに決まってるだろう!』

そりゃそうですけどね…。
949 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/21(水) 22:26:42.62 ID:VVRkMwF6o
うーむスポンサーさんを全ては否定できないのがなんとも
950 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/21(水) 22:31:49.05 ID:5MeVZp8F0
隠し切れなくなってから『諸悪の根源はこの研究所だった!』って言われた方が不味いのはそう
しかしどんどん取り返しは付かなくなっていく……
951 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/21(水) 22:33:54.37 ID:JZWTPcqQo
スポンサー『だがおかげでセキュリティデジモン開発資金の投資は非常ォ〜にたくさん集まっている!設備ならガンガン増設してあげるから、頑張って研究を進めてくれたまえ!』

もぉ〜勝手に決めちゃうんだから…
リーダーはいいんですか?

リーダー「…遅かれ早かれパンドラの箱は開けられていた、それは確実だ。ならやらざるを得ないだろう」

し、しかし…気が進まないな…

リーダー「それはそうだ。お前達はデジモンに、感傷的になりすぎている。非情にはなれないだろう」

…はい。

リーダー「部署を分けよう。デジタルワールド観察班はお前に任せる。セキュリティデジモン開発班は俺に任せろ。汚れ仕事はこっちで請け負う」

…お願いします。
俺も…本当は分かっています。
このままハッキングデジモンが増え続けたら、うちの3体じゃ太刀打ちできなくなり、どこの会社のサーバーもハッキングされ放題になってしまう。
戦力図が一方的に染められてしまう…ということを。

リーダー「人には向き不向きがある。お前は頭が回るが…手を汚すのには向いていない。適材適所だ」

…すみません。

リーダー「いいさ。お前の研究成果は、オレ達にとっても役立つことだろう。そういう手伝い方をしてくれればいい」

引き続き、デジモン観察頑張ります。
952 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/21(水) 22:43:28.31 ID:JZWTPcqQo
ところで。
マスコミにハッキングデジモン事件を広めさせたことで、セキュリティデジモン研究費用がたくさん貰えたのなら…

逆にハッカー達の方も、やべえ奴らから資金提供されたり、仕事をたくさん依頼されてるんじゃないですか?

スポンサー『ハーッハッハッハ!そりゃされてるだろうな!』

笑い事じゃありませんよ!
国際機密を狙う国際テロ組織とかが、ハッキングデジモンを利用するようになりかねませんよ!

スポンサー『なら我々は国家からセキュリティデジモン開発予算を貰えるようになるなあ!ハーッハッハッハ!』

だから笑い事じゃありませんってば!
そうなったらもう戦争じゃないですか!

スポンサー『そうだが?』

そうだがじゃありませんよ!

スポンサー『戦争ができるだけマシじゃないか!このままハッカー共を野放しにして、事なかれ主義で日和見していたら、戦いさえさせてもらえずにデジタルジェノサイドされていたぞ君ィ!』

うぅ…否定できない。

リーダー「…先手を打つ者はいつだって非難にさらされるもんだ。そのくせ大事件を未然に防げても感謝されない。損な役回りさ…。だが、誰かがやらなきゃいけないんだ。今回はそれがオレ達だ」

…やるしかないか…。
頼みましたよリーダー。
953 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/21(水) 23:03:20.16 ID:JZWTPcqQo
しかし、やるしかないとは言っても…
そもそもハッカー側がどうやってデジモンを人工進化させたのかがわからない。

デジモンの進化という現象が、いかなる論理に従って引き起こされているのかが分からないのだ。

我々の世界の生命の進化は、「自然選択説(ダーウィンの進化論)」と「メンデルの法則」で説明される。

ざっくり言うと、進化とは精細胞のランダムな突然変異によって引き起こされ、それが子に遺伝する…というものだ。

たとえば、魚のヒレの形状に変化があったとする。
それが単に泳ぎづらくなるだけならば、遊泳スピードが落ちて、生存に不利になって消えていくだけだ。

だが、変化したヒレのおかげで泳ぐスピードが上昇したり、水中を飛び跳ねたときに長く対空していられるようになったなら…
より生存に適した姿へ「進化した」といえるのだ。

我々の世界の生物は、一握りの成功を得るために、無数の失敗をしているのである。
そうして「有利に働くか不利に働くかが未然に判断できない形質変化」に莫大な試行回数をかけてトライするからこそ、全く予想だにしない進化ができるのである。

しかし…
ダーウィンの進化論よりも前には、別の説が有力視されていた時期があった。

「ラマルクの進化論」である。

ラマルクの進化論は「自然選択説」ではなく「用不用説」といわれる。

「よく使われる部位が発達し、使われない部位は退化する」というものだ。
954 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/21(水) 23:20:32.26 ID:JZWTPcqQo
だがこの説は、様々な反論を受けた。

たとえばネズミを使った実験では、22世代にわたって尻尾を切断し、尻尾を「使わなくさせる」ことで、尻尾が短くなるかを調べたのだ。

だが、22世代目になっても、使わなくなったはずの尻尾は短くならなかった。

この結果によって「使わない部位は退化する」という説は否定されたのだ。

…さて。
デジモンの進化は、そのどちらにも当てはまるようでいて、どちらにも当てはまらないのだ。

一見すると、「用不用説」が近いように見える。
たとえば魚型デジモンであるスイムモンが、陸に上がりたいと望んだことで、肺を持ち淡水に適応できるシーラモンへ進化した。

その子であるオタマモンは、進化して手足のある両生類型デジモンとなった。

これは当初「強く望んだ形質を得ている」ものと見なされていた。

だが、冷静に考えるとおかしいのだ。
スイムモンはどうやって「肺」という完璧に機能する器官を、試行錯誤なしに知り得たのか?

両生類型デジモン達はどうやって、陸上をうまく歩行できる手足の骨格や、乾燥から身を護る皮膚の構造を知り得たのか?
955 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/21(水) 23:34:20.83 ID:JZWTPcqQo
これは仮説だが…

「人間の世界から消えた情報が、デジタルワールドへと送られる」というのなら。

最も多く転送されている情報とは、生物の細胞内に存在している核酸がもつ「DNA配列」ではないだろうか。

我々の世界の生物達の遺伝子情報が、デジタルワールドへ送られており、デジモン達はそれを食べながら、我々の世界の生物の身体構造を「学習」しているのではないだろうか。

進化をする際は、そうして蓄積した遺伝情報の学習データをパッチワークして、新たな身体機能を獲得するのではないだろうか。

勿論、それを行うには、選択をするための知能が必要だが…
原初のデジモンであるポヨモン、ズルモン、ニョキモンは、皆「脳」を持っている。
このことから、脳のない現実のクラゲや粘菌、植物と違い、デジモンは基本的に「願う」「望む」という機能を持っていると考えられる。


この仮説を検証する実験はまだ行っていない。

だが、必ずしもそれがデジモン進化論の全てとは決して言い難い。
デジモン達は、我々の世界の生物が持っていない形質を獲得することもあるのだ。

たとえば、腹部に機関銃をもつモスモン。
https://i.imgur.com/kSzyVCF.jpg

燃える体をもつモスモン。
https://i.imgur.com/EZnZhyP.jpg

岩石の身体を持つゴツモンやゴーレモン、スターモン。

目玉と知能と口を持つ粘菌、スカモン。

などなど…
我々の常識ではまったく考えられない姿へ進化する種もいるのだ。

デジモン達は、いずれ我々の世界の生物が現在までに進化して到達した地点を、はるか遠く超えていくだろう。

その先で、デジモン達がどのような姿へ変貌するか…
全く予想ができない。
956 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/21(水) 23:38:53.33 ID:JZWTPcqQo
我々は、これからもデジモンを研究し、観察し続ける。

フローラモンが転生したピョコモンは、どんな姿へ進化していくのか?

ハッカーが従えるデジモン達は、どのように進化していくのか?

スカモンから脳を奪ったチューモンは、どこで何をしているのか?

ディノヒューモンの集落は、どのように発展していくのか?

ジャガモンから守護者の地位を継いだジュレイモンは、これから何をするのか?

グレイモンは、これからどこで何をして生きていくのか?

寒冷地帯の闘争の結末は、どうなるのか?

…まだまだデジタルワールドは、デジモン達は、観察のしがいがある。

研究レポートのネタは尽きることがないだろう。


だが。
我々はいったん、ここで一区切りをつけるとしよう。
957 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/21(水) 23:46:14.64 ID:JZWTPcqQo
これまで我々の研究報告を聞いていただいたことを、深く感謝したい。

またいつの日か、我々の研究報告を聞いてもらう日が来るかもしれないし…
もうその機会は訪れないかもしれない。

だが、それでも我々は、この世界でデジモンの観察と研究をし続ける。

まずは今回のスレッドに投稿した研究成果について、皆様に楽しんでもらえたのなら、とても幸いだ。




最後にひとつ、皆様に謝っておかなくてはいけないことがある。
スレッドタイトルでは、「安価でデジモンを進化させる」などと言っておきながら、実際の所、我々はあまりそうできなかったと思う。

もしも、第2シーズンがあるとしたら…
『デジタルモンスター研究報告会』など、シンプルな名をつけることにしよう。
958 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/21(水) 23:47:17.00 ID:JZWTPcqQo
【研究員「安価でデジモンを進化させる」】

〜完〜


今までご愛読いただき、ありがとうございました

959 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/21(水) 23:50:51.64 ID:/hHDJIfx0

続編あるの祈る
960 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/21(水) 23:57:19.34 ID:wOjAYE3Fo

続き期待する
961 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/21(水) 23:59:26.34 ID:JkRJmeQr0

まだまだ見たいね
962 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/21(水) 23:59:38.92 ID:JZWTPcqQo
(よかったら感想などもらえたらうれしい)
963 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/22(木) 00:01:13.17 ID:MNDR3oI+0
デジモン達の生態とか進化や種の成長とかワクワクしたよ
964 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/22(木) 00:05:54.88 ID:sg24qGsJ0

デジモンに関わり始める人間世界がどうなってくのか見てみたい
965 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/22(木) 00:09:51.46 ID:kCkVI9vHo
デジタルワールドのデジモンと人間と関わるデジモンの違いも考えるとまた面白かった
966 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/22(木) 00:42:56.65 ID:O7xmSDZa0

一年以上更新待ちリストに入れ続けておく魅力のある作品だったよ
デジモンの生態に現代知識交えつつ理由付けしていく、っていう発想があっても、普通ここまで幅広い引き出しから綿密にやってくのは出来ない
小説としての展開も面白かった 此処から更に風呂敷広がっていくと絶対大変だよなあ、という納得はあるものの続きは見たい
再開してくれてありがとう
967 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/22(木) 00:43:12.47 ID:uLZK9Ei/o
おつおつ
描写が上手くて引き込まれた
第二シーズンお待ちしております!
ありがとうございました
968 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/22(木) 00:57:58.37 ID:8E61Z0/Wo


デジモン見たことないけど楽しめた
学術的な説明とか勉強になったよ。またいつか帰ってきたら嬉しい
969 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/22(木) 07:41:45.61 ID:HbRtvgEf0
少なくとも究極体が確認されるまで続いてほしい(願望
970 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/22(木) 21:39:15.06 ID:l7Hm6M+fo
まだまだ見たいものたくさんあるよ
971 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/23(金) 15:22:20.54 ID:5dE713J70
デジモンの無限の可能性というものをまだまだ見ていきたいぞ
972 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/23(金) 18:59:56.52 ID:RKSqMsKw0
ハーメルンで見つけてビビったゾ、完結してたのか初めから見なきゃな
973 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/23(金) 21:32:06.87 ID:NuYzxO29o
カリアゲさん最初はマッシュモン皆殺しにしても良さそうだったのにいつの間にかマッシュモンに感情移入してる
974 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/25(日) 17:37:37.23 ID:fPu9l6zlo
どうなってくのか見たいものがたくさんある
975 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/25(日) 18:31:03.34 ID:u+8KHqtW0
第二シーズンある場合、研究費増えてご飯となるデータ量も増えて3体とも成熟期なるんかな?
976 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/30(金) 21:04:10.98 ID:sfEZVL9oo
ハーメルンの方だいぶ加筆されてるな
977 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/03(月) 21:03:20.09 ID:eoZ7UQNLo
自然の中のデジモンと人間と関わるデジモン等々
デジモンのあらゆる可能性ってものを見たいね
978 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/10(月) 22:58:22.85 ID:olwsrSOT0
ハーメルンの方でもフローラちゃんが…
979 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/12(水) 01:24:36.50 ID:HAlGfQ2dO


〜???視点〜

スカモンの作戦は成功したようだ。
鉄鋼会社から、様々な情報を持ち帰ってきた。

持ち帰ったというのはあまり正しくないな。
そもそも、抜き取った情報はコピー出来次第、次々と送られてきていたのだから。

ネットワーク回線の内側を粘菌で埋め尽くしたのは、我々のもとへデータを送るための伝送路を確保するためだ。
ゲレモンが読み取ったデータを、その伝送路で我々のもとに届けていたというわけだ。


しかし…クソ!
何が悲しくて、私の現時点最高傑作であるスライモンを、ゲレモンなどという下劣な名前で呼ばなくてはならないのだ。

あの研究所が、勝手に私のスライモンに「ゲレモン」などという下品極まりない名前を付けて勝手に公表したからだ。
屈辱だ。

まあいい。計画は順調に進んでいるのだから。
チューモンは無事にスカモンの脳を回収した。
ヤツは粘菌デジモンだ…。この脳を新しいボディへ埋め込めば復活するだろう。

スカモンは優秀な個体だ。失いたくはない。

…ゲレモンを作るのは大変だった。
ヌメモンとマッシュモンに、互いを吸収し合うような環境ストレスを与え、ジョグレス進化を誘発させなくてはならなかったのだから。

マッシュモンは、鳥かごのような狭い牢獄へ監禁した。
どれだけ分身を作っても、狭い鳥かごの中では自由になれない。

そうしてマッシュモンに、「粘菌のような柔らかい肉体を得て、鳥籠から抜け出したい」という強い願望を抱かせた。

ヌメモンたちには別の環境ストレスを与えた。
複数のヌメモンたちを、狂暴な肉食デジモンと同じ部屋へ閉じ込め、ひたすら殺戮させたのだ。

そうしてヌメモンに、「分裂して生き延びる力と、捕食者に食われないようになる毒の体を持ちたい」という願望を抱かせた。



その二体をめぐり合わせることで…
ヌメモンとマッシュモンは、互いのデータを求め合い…ひとつに溶けた。
そうして誕生したのがゲレモンだ。



だが、これがゴールではない。
むしろ計画のごく初期段階の一ステップにすぎない。


新たな獲物から、データを盗むとしよう。


私はハッキングツールを起動し、新たなターゲットへと、デジモン伝送路を繋げた。


--------------------------------------------------------
SHELL COMMAND
--------------------------------------------------------
Hacking System 2022
(C)■■■■■■■■■ Software

>NETHACK 197.045.060.080
>. . . . . . . . . . . . .

CONNECT OK!

USER NAME: A_A____A_
PASSWORD: ********


980 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/12(水) 01:33:15.72 ID:WFr02ltI0
エグいことを…
981 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/12(水) 01:38:50.08 ID:qhlqwQbq0
ここまでタガ外れたことやってくる奴等に果たしてコマンドラモン達は勝てるのか
982 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/12(水) 01:51:28.32 ID:9qgB3Mo2o
好き放題されっぱなしだぁ
983 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/12(水) 01:54:37.80 ID:TiRtPdGM0
特命係やコナン君でもこの犯罪に勝てるかどうか
984 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/12(水) 08:34:53.95 ID:9pJ9bS6X0
ハーメルン完結だと思ったらこっちに追加来ててやっほい
985 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/12(水) 12:48:45.94 ID:7Lqts9Ij0
加筆部分がどれも描写や補足として嬉しいものばかりで感じ入ってる間に追加が来てた
原作意識の要素も嬉しいんだよな
986 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/14(金) 01:00:03.75 ID:vPqYpynqo
ハッカーさん何をする気なのか気になるところでなかなか焦らす
987 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/18(火) 21:21:51.14 ID:/W0KDf4Y0
続き「デジタルモンスター研究報告会 season2」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1689348335/
988 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/18(火) 21:28:38.55 ID:E5USTssL0
め、めちゃくちゃ見逃してた もう来てたのか!? ありがとう……
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