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長谷川千雨「鳴護アリサ、って知ってるか?」(再・改)1(ネギま!×とある禁書)
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58 :
ちさめンデュ
◆XM0GKUROmo
[saga]:2022/02/09(水) 00:03:55.50 ID:thXl/Elz0
「このタイミングでと言う事は、そちらの狙いも同じと言う事か」
「質問で返さないで下さい」
「だから答えるつもりもない。彼女の事はこちらで扱う、退いてもらおう」
「たまに勘違いしている人がいる様ですが、
魔法協会が十字教の下についたと言う事実は存在しない」
「魔法使いが僕らを妨げると?」
「押し通りますか?」
「ちょっと待てえっ!!」
ズンズン盛り上がるステイルと高音の会話に怒声が割って入った。
「何やってんだてめぇらっ!?
何アリサを魔法使い同士の景品にしてやがるんだてめえらはっ!?」
「ん?全く、困ったものだ」
「!?」
駆け上がって怒号を上げた千雨の目の前で、ステイルの炎剣を愛衣の箒が抑える。
「少しは場数を踏んでいるか」
単に反応出来なかっただけだが、
腰を抜かして漏らさなかったのが上出来だと言うのが千雨の実感だった。
「次は無いでござるよ」
それは、仲間も滅多に聞かないゾッとする様な声だった。
ステイルもこれまで経験した修羅場が無ければ、
腰を抜かして漏らすイメージも決して遠くはないと実感する。
ステイルが鼻で笑って両手を上げ、苦無を手にした楓がステイルの背後から離れる。
59 :
ちさめンデュ
◆XM0GKUROmo
[saga]:2022/02/09(水) 00:06:26.01 ID:thXl/Elz0
× ×
「こないな所で高みの見物か、姉ちゃん」
とあるビルの上、犬上小太郎は不敵に笑った。
「!?」
相手がゆっくり、悠然と振り返るのを見届けた小太郎が一踊りして、着地する。
着地した小太郎が、左腕の裂けた学ランの中をぺろりと舐める。
その小太郎が見据えた相手は、たった今、悠然と小太郎の方に向き直した美女だった。
長い黒髪を後ろで束ね、臍上をばっさりカットした白いTシャツに、
こちらこそ片脚をバッサリ切り落としたジーンズと言うラフなスタイルは、
縦には目を引く背の高さ、それでいてバンとばかりに出る所の出た
抜群のプロポーションに見事にはまってる。
そんな長身美女神裂火織が、それこそ平均男性の背丈を上回る長さの刀、儀式用の令刀を構える。
その姿は、イカレてる様だが野性味溢れるファッションも相まって実に凛々しい。
小太郎が駆け出し、令刀の鯉口が切られた。
ニッと笑った小太郎は、ダンスの様にキレた動きを見せながら神裂に向けて突き進む。
「!?」
小太郎の元いた場所から神裂までの中間点辺り、そこで小太郎が屋上の床に右手を着く。
右手を中心に床に影が広がり、二次元から三次元へと実体化を始める。
影から現れた黒狗の群れが小太郎の露払いの如く神裂に躍りかかり、
そして瞬時に弾かれる様に消滅する。
「狗神ですか」
呟きながら神裂は、タッ、と垂直ジャンプする。
その下で、体のあちこちからたらりと血の筋を溢れさせた小太郎が、
カポエラだが骨法だかを見真似に応用した超低空キックを空振りさせていた。
トン、と、神裂は屋上の縁に丸で危なげなく片足で直地した。
着地した、と、思った時には、神裂の姿は小太郎の目の前にあった。
半ばリンボーダンスをして身を交わした小太郎は、じっとり走る冷や汗をごまかす様に口笛を吹く。
その小太郎の上空を突き抜けた神裂の脚が、
小太郎に向けて突き、薙ぎを浴びせようと吸い付く様に繰り出される。
60 :
ちさめンデュ
◆XM0GKUROmo
[saga]:2022/02/09(水) 00:08:16.31 ID:thXl/Elz0
「や、やるやんけ」
とにかく、一瞬でも気を抜いたらブチ抜かれる、その恐怖と闘いながら屋上を踊り、
ようやく大きな動きで間合いを取った小太郎は強がってはいるが、冗談ではない。
まず、絶対交わしたと思った脚の薙ぎが鋭く顎をかすめ脳を揺らされた。
それ以外にも、クリーンヒットは確実に避けている筈なのに、
神裂の見事な脚線美が閃く度に吐き気がする程にダメージが蓄積している。
それを、蹴り技だけでやってのけた上に実力の何分の一にもなっていない筈。
「その歳にしては筋がいい、相当な鍛錬と実戦をくぐり抜けた動きです。
だからこそもういいのでは?」
「何?」
歯牙にも掛けない余裕綽々、むかっ腹の一つも立てたくなるがそれを当然とする力量。
小太郎の肉体と感情がぐるぐる回る。
「例え、その帽子を不要にした所で私には指一本触れられない、とうに理解している筈」
「言うなぁ、ああ、いたなそういう事言われたわ、ついこないだの事の筈やけどなぁ」
小太郎の表情に、神裂は一瞬こぼれそうになる笑みを呑み込む。
いい目だ、違う場面であれば存分に稽古を付けてやりたいものだと。
「なかなかおもろい手品やったけど、そのデカブツ只の手品ちゃうやろ。
紐付きやなくてもそんなん使うのあんただけちゃうからなぁ。
目配り足運び、みんなよう分かる。
抜いてみぃやオバ――――――」
61 :
ちさめンデュ
◆XM0GKUROmo
[saga]:2022/02/09(水) 00:10:57.26 ID:thXl/Elz0
× ×
「日陰で黙々と人助けをしていると思うから見逃してやっているものを、
表裏の管理もろくに出来ないでは、少し考え直す必要があるのかな」
「魔法協会が十字教の許認可団体だとでも思っているのなら、
まずその幻想をブチ…」
次の瞬間、高音とらちもない言い争いを続けていたステイルは血の凍る心地を味わった。
気付いた時には俊敏に動いた長瀬楓が自分の側を通り過ぎており、
ステイルがそちらを見た時には、楓は力強く二刀流の苦無を奮っていた。
「何だっ?」
ステイルは、その苦無が、宙を飛んでこちらに殺到していた
ワイヤー付きの円錐を弾き飛ばしていた事に気付く。
その楓が巨大な丸鋸を思わせる巨大手裏剣を斜め上の空に向けて放つ横で、
ステイルがその出所、アーチの上に向けて炎剣を飛ばす。
確かに手応えはあった。この業火にも揺るがない何かがそこにある。
面倒な事に、その「何か」は物理的に炎の障壁になりつつ、
それ以上の姿がこちらからは見えない。
「来るでござる」
「くそっ!!」
楓の呟きに、千雨と夏美がアリサの元へと走る。
複数の何かが姿を現す。
よく見えないが、その駆動音から相手はメカと千雨は見当を付ける。
周囲に、フリスビーをずんぐりさせた様な何かが降り注ぐ。
そのフリスビーに、先程の円錐が殺到した。
「交わせっ!!」
「メイ、ナツメグっ!!」
「「はいっ!!」」
ステイルと高音の叫びが交錯し、呼びかけられ二人も動く。
池のある丘一帯が、オレンジ色の爆発に包まれた。
62 :
ちさめンデュ
◆XM0GKUROmo
[saga]:2022/02/09(水) 00:12:31.99 ID:thXl/Elz0
「………助かった………サンキュー」
「はい。只、どちらかと言うと見た目の割にはコケ脅しですねこの爆発」
「コケ脅し?」
ナツメグこと夏目萌と共に魔法防壁で千雨達を守った愛衣に千雨が聞き返す。
断続的な爆発に終われる形で、どうやら全員池の丘から降りた様だ。
「ええ。この炎の加減だと、そうなる様に繊細に計算された爆発の様です」
愛衣の説明を聞きながら、千雨は新手の正体を見定める。
千雨達の周囲は、公園の方々にあるアーチ状建造物の上に配置されたメカ達、
甲虫と鴉をミックスした様なデザインの黒い機械に囲まれていた。
「我々は、学園都市統括理事会に認可を得た、
民事解決用干渉部隊である」
「マジかよ…」
長谷川千雨は、麻帆良学園都市の住人である。
科学の学園都市とは系統が違うが麻帆良学園都市も先端科学の街であり、
目の前でアナウンスしている機械が、一人乗りの有人多機能メカであろう、と言う大体の見当は付いた。
加えて、千雨は嗜みとしてフィクションにもそれなりの造詣がある。
更に、丸でフィクションみたいな変な世界にも実体験としてそれなり以上の知識を持っている。
科学の学園都市に就いても、ネット上で可能な限りの下準備はして来た。
科学の学園都市は実質独立国家であり、独自の治安システムを持っている。
その一環として、言わば民営にして公に近いタイプの警備部隊が存在する。
情報の欠片は持っていたし、そう考えるとしっくり来る。
63 :
ちさめンデュ
◆XM0GKUROmo
[saga]:2022/02/09(水) 00:14:14.37 ID:thXl/Elz0
「これより特別介入を開始する」
「千雨殿、皆をっ!」
「分かった!アリサっ!!」
「は、はいっ!」
楓に促され、千雨がアリサの手を引いて逃げる。
その楓の目の前では、部隊メカが一台、楓を捕らえようとして
身を交わした楓の放った鎖を食い込ませ不快音を立てて軋んでいた。
「メイ、ナツメグッ!」
「はいっ!」
高音が踵を返し、後の二人を連れて逃走を開始した。
「ええいっ!」
思い切り跳躍した愛衣が、強力な火炎魔法を帯びた箒を力一杯振り下ろす。
丸で漫画かゲームの巨大ハンマーでも食らった様な一撃に、
その目の前を跳躍していた機動メカが一台ふらふらと着地して停止する。
64 :
ちさめンデュ
◆XM0GKUROmo
[saga]:2022/02/09(水) 00:15:21.13 ID:thXl/Elz0
今回はここまでです。
続きは折を見て。
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/10(木) 17:27:13.92 ID:nJVV8/LDO
SS速報避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/
66 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2022/02/26(土) 01:27:24.60 ID:FyUjnOSx0
生存報告しておきます
67 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2022/03/19(土) 22:50:34.46 ID:prufWT440
生存報告です
68 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2022/03/31(木) 23:25:39.43 ID:OSQCXiry0
調整的生存報告です
69 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2022/04/28(木) 00:40:25.60 ID:rfYZAF9b0
生存報告です
70 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2022/05/06(金) 19:09:25.48 ID:cggI0odA0
調整的生存報告です
71 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2022/05/29(日) 00:39:06.45 ID:CaaFuz7t0
生存報告です
72 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2022/06/28(火) 02:14:40.06 ID:Hw4caRY90
生存報告です
73 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[saga]:2022/07/11(月) 01:42:27.36 ID:4fmS3s7z0
お久しぶりです。
随分と間が空いてすいません。
早速ですが、訂正です。
>>62
×断続的な爆発に終われる形で、
○断続的な爆発に追われる形で、
それでは今回の投下、入ります。
74 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[saga]:2022/07/11(月) 01:43:59.09 ID:4fmS3s7z0
==============================
>>64
× ×
神裂が瞬時に飛び退き、小太郎に背を向けた、
次の瞬間には、ビルの外から神裂の目の前の空中に「黒鴉部隊」のメカが現れ、
神裂とメカの間で爆発が巻き起こる。
「………やりますね………」
呟いた神裂は、そのまま下のステイルに撤退を指示する。
こんな連中まで関わって来たとなると、
これ以上引き延ばせばここの正式な警察機関である警備員の介入を招く。
そもそも正規の許可を受けての出入りですらない、
ここでは存在自体が御法度の魔術サイドとしては論外の事態だ。
「あなたも、背中を狙わなかったのですね」
「アホ抜かせ」
ぼそっと言った小太郎は、
ほんの一瞬とてつもない気が神裂から噴き上がったあの時、
少なくとも10万3千通りは展開された自分のサイコロステーキの妄想を汗と共に拭い去る。
すれ違い駆け抜ける神裂を、小太郎はやる気なさげに手を振って見送った。
× ×
「鳴護アリサに関わるな、死ぬぞ」
その少女は、黒いライダースーツの様な強化服がよく似合っていた。
歳は余り自分と変わらないのだろう、セミロングの黒髪でキリッとした雰囲気。
見た目は美人の部類に入れてもいいだろう。
だからと言って、機動メカから出て来た少女に告げられた言葉に納得した上条当麻ではない。
だから、懸命に追走し、通りの真ん中で停止したメカから現れた黒い少女に散々に食い下がり、
その結果がこの最後通告だ。
そして、少女は警告した先からオートマチックの拳銃を抜いている。
いやいやいやいや、言ってる事とやってる事が違う、
右手以外は一般人である筈の上条さんとしてはあんだけ言っといて今殺す気ですかあんた、
と、内心の突っ込みが口から出る前に、少女は無造作に発砲する。
75 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[saga]:2022/07/11(月) 01:45:18.28 ID:4fmS3s7z0
「よう」
着弾した建物の陰からメカの機体に跳び乗った小太郎が不敵な笑みを見せた時には、
拳銃は右手から左手に移り、ナイフが突き、退いていた。
「ナイフと拳法をいっぺんに使う、あっちの軍隊の流儀やな」
「貴様も素人ではないな」
既に拳銃をしまい、女性にはごついナイフを片手に構えを取る少女と、
急所こそ外した一撃を交わした小太郎が向き合う。
少女もコクピットを完全に離れ、機体上での攻防が開始された。
鋭い刃を交わす小太郎の動きには、まだ余裕があった。
しまいに、小太郎はナイフを手掴みにしてへし折って見せる。
だが、少女は表情に驚きを見せながらも即座にナイフを捨て、
小太郎の脇腹目指して右脚を跳ね上げていた。
「いい判断や」
小太郎は回転しながら大きく後ろに跳び、通りに着地する。
「!?さっきのかっ!」
先ほど、屋上での片脚ジーパン姉ちゃん神裂火織との攻防は見ていた。
正確に把握した訳ではないが、とにかくワイヤーに繋がった爆弾、
実際にはレアアースペレットが幾つも放たれ小太郎の上で展開しているのは確か。
「おいっ!」
離れた所で事態を見守るしかなかった上条当麻の叫びも虚しく、
レアアースペレットはオレンジ色の光を放ち爆発する。
その跡には、肉片一つ残っていなかった。
「逃げたか」
76 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[saga]:2022/07/11(月) 01:46:59.82 ID:4fmS3s7z0
× ×
「な、なんなのよ、こいつ」
夏美が震えながら呟く。
高音チーム、ステイルチームはそれぞれに逃走。
ステイルが工業レベルの高温火炎で、メアリエが消火栓の水を暴走させ、
マリーベイトが土の筒を絡めてメカを文字通り足止めしながら逃走するのを、
上条当麻も追走して姿を消した。
長瀬楓も別の機動メカに追われて姿を消し、残ったのは火力最低少女四人組。
夏美と千雨、アリサにシスターが手を繋いで公園に残っているのだが、
その理由はひとえに動けないから。
黒い機動メカが一台、夏美達の周囲をうろうろして離れようとしない。
「センサーだ」
千雨が言った。
「このアーティファクトは存在感を消すだけ…」
「アーティファクト?」
シスターの呟きが聞こえるが、千雨は少し失敗を自覚しつつ言葉を続ける。
「多分、センサーで機械的にここに人間の反応がある事を察知してる。
だけど、パイロットの脳が私達を認知出来ないんでうろうろしてるって状態に見える」
「そしたらどうするのよ?」
「あのメカのコンピューターに七部衆が干渉してる、じゃなかったらとっくにやられてる。
それでも、こっちに直撃が来ない様にごまかす時間稼ぎが限度だ。
私が直接干渉したら攻撃判定で村上のアーティファクトが剥がれて
メカを乗っ取る前にこっちの居場所が割れるし
その前に割り込むには防壁が硬過ぎる、流石は科学の学園都市だ」
言ってる先から、機動メカに上からすごいあつりょくが叩き付けられ、
メカが煙を上げる。
77 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[saga]:2022/07/11(月) 01:50:41.82 ID:4fmS3s7z0
「こ、この…」
「あらよっ!」
コクピットが開き、中の男性隊員が拳銃を抜こうとしたが、
小太郎が頭突きでKOするのが先だった。
「小太郎君っ!」
「助かった」
夏美が叫び、実際は腰が抜けそうだった千雨もふうっと嘆息した。
「いるでござるか?もうこの辺りは大丈夫でござる」
しゅたっと着地した楓が言い、一端隠れ身を解いて合流した。
「さて、こっからどうするかだ」
とにかくぐっちゃぐちゃの状況を千雨が整理しようと周囲を見回す。
「アディウトル・ソリタリウス」
荘厳に澄んだ発音を聞き、千雨がそちらを見た。
「日本語だと孤独な黒子。
日本語だと皮膚の黒い点とか学園都市産のグドンのエサも同じ漢字を当てるみたいだけど、
同じ意味の漢字で言うなら、お芝居で黒い服を着て、そこにはいない事になっている人だね。
言い伝えられているだけでも280年前より後の記録が無い魔法具。
生きている間に伝説通りの効果を身をもって知る事が出来るとは思わなかったんだよ」
そう言いながら、シスターは、きょとんとしている夏美から視線を移す。
「パクティオーカードと言う事は君がマスターなのかな?
日本でも西の方の魔術師は西洋の魔術を使うのを嫌う人が多いって聞いていたけど」
ちょっと聞く分には子どもっぽい口調でもあるが、穏やかな威厳すら感じられる。
そんなシスターの声に夏美が息を呑み、小太郎が身構えた。
78 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[saga]:2022/07/11(月) 01:52:46.30 ID:4fmS3s7z0
「君の術式は陰陽術、基礎を覚えて、後は使う所を我流で摘む使い方だね。
体術の補助に、「血の制御」にも使っているんだね」
小太郎の眉がぴりりと上がった。
「あなたの後ろに隠れているのは雷の精霊、
電気を媒介に急速に発展した科学に介入するために進化した変種だね。
直接知らなくてもコンセプトから理屈は分かるんだよ。
いとめののっぽさんは甲賀流の忍者さんだね」
「何の事でござるかな?」
ごくりと息を呑む千雨の側で楓が飄々と応じる。
「甲賀忍術の発祥は諏訪明神、そこに地理的な条件が加わって
薬草使い、陰陽道、密教、修験道、各種の山岳信仰の魔術と科学が実用的に進化したのが忍術。
日本の戦国時代には軍師と呪術師の明確な境界線は無かったんだよ」
「な、何なんだよ、こいつ…」
「それで、どうするの?」
焦りを見せる千雨に、シスターは静かに尋ねる。
「さっきの黒いサラマンダーも知り合いなんだね。
サラマンダーが使っていた箒はオソウジダイスキ。
いわゆる魔女の箒を定形化した、「学校」の魔術師を中心に使われているもの。
基本から体系的なラテンの詠唱魔術を使う統率のとれた集団。
日本、それも関東であの歳であれだけの実力でそういう魔術集団は一つしか考えられないんだよ。
あなた達は別行動だったみたいだけど、
そういう繋がりがあってこれだけの魔術を使う集団がここに、学園都市にいていいのかな?」
「ヤバイぞ」
「で、ござるな」
チラと周囲を伺った小太郎と楓が、揃って硬い口調で言う。
79 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[saga]:2022/07/11(月) 01:54:23.15 ID:4fmS3s7z0
「これ、いよいよ警察か何かか?」
「その様でござるな」
「アンチスキルが来たのかな?
だったらこれ以上いられない、あなた達はもっとだよね。
行こう、アリサ」
「え?」
元々通じない話を千雨達に向いて喋っていたシスターに
不意に声を掛けられてアリサも戸惑いを見せる。
「頼んでいいんだな」
「アリサは私の、私とととうまの、大切な友達なんだよ」
「頼んだ」
「夏美姉ちゃん」
「分かったっ!」
間一髪、千雨とシスターの間で合意が成立し、
アリサ達が姿を消して夏美に始まる人のチェーンが繋がるのと、
アンチスキルが本格投入されるのは辛うじて入れ違った。
80 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[saga]:2022/07/11(月) 01:55:41.91 ID:4fmS3s7z0
× ×
「転移ポイントはっ!?」
「もうすぐですっ!」
「ん?」
上条当麻は、本日も不幸であった。
ここまでの騒ぎとなると、流石にアンチスキルも動き出す。
そもそも、「学園」と「都市」が同義語に近いこの学園都市では、
学園的秩序、発想に直結して学生の夜間外出自体が厳しく制限されている。
と言う訳で、上条当麻は今日も走る、走る走る走る、
目の合った職務熱心な警備員ボランティア先生を振り切るべく全力でダッシュする事幾度か、
薄氷を踏む思いをしながら、目の合わない内に建物から建物へと駆け抜けた事が幾度か、
近くに聞こえるサイレンと逆方向に駆け出した事もしばしば。
そうこうしている内に、既に大方の営業が終わったビル街で、
上条の視界を見覚えのある人影がよぎった。
「おいっ!」
ビル街の中の空き地で、
高音・D・グッドマン率いる魔女見習い三人娘は呼びかけに振り向いた。
「あの人…」
全三人のチームの内の一人、佐倉愛衣が呟く。
視線の先で両手を腿に当てて息を切らしているのは、
先ほどなし崩し的に共闘する事となったウニ頭の少年だった。
「ハァハァ一体ゼェどういうハァ事なんだゼェゼェっ!?
どういうハァハァ事なんだ?
ゼェハァお前達もゼェ魔術のゼェ人間なんだろ?ハァハァ
魔術の人間がどうしゼェゼェてアリサをゼェゼェ襲う?アリサに何がハァハァあるって言うんだ?」」
「お姉様、時間が。それにこれ以上は…」
同行した夏目萌に促され、
元来の誠実な性格でウニ人間のブツ切り言語を解読しようとしていた高音が頷いて歩き出す。
81 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[saga]:2022/07/11(月) 01:57:10.89 ID:4fmS3s7z0
「待てよっ!」
力強い怒声が、三人の歩みを止めた。
そして、振り返った三人の美少女は、叫びの主、上条当麻と正面から向き合う事となる。
「お前ゼェゼェら魔術ハァハァ師ハァハァアリサハァ、ハァ」
既に相手の事すら半ば見えない状態で、只、逃がしてたまるかと言う一念だった。
駆け出した上条当麻だったが、体力は限界。
言葉もほとんど繋がらず、吐き気を抑え込むのがやっとの有様。
それでも、歩みを止めた三人にようやく向き合う事が出来る、
と言う客観的状況下で、上条の脚が限界を迎えた。
「お前ハァハァらハァハァアリサハァハァにハァハァ」
もつれた足が大きめの石ころを踏みつける。
完全に限界を迎えた脚の均衡が崩壊する。
三人の美少女は一歩、二歩と、上条当麻に正面から向かい合う形で後退していたが、
「ハァハァ一体ハァハァ何ハァハァをハァハァハァハァ」
何とか痛い転倒は回避しようとした上条当麻は、
ゴシック調の揃いの黒衣姿で自分の方を向いて横並びに立っている
目の前の三人の中でも真ん中で一際背の高い、
金髪のロングヘアがよく似合う美少女の肩を、空中を泳がせていた
右手で、ガシッ、と掴んでいた。
82 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[saga]:2022/07/11(月) 01:59:10.47 ID:4fmS3s7z0
==============================
>>73
今回はここまでです。
これの元となった過去作を映画の記憶で描いた時とその後に観直したものとで、
規模等にかなりの違いが見られましたので、この公園戦に関しては大幅な書き換えを行いました。
続きは折を見て
83 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2022/08/06(土) 01:26:48.02 ID:6y0KVm0J0
生存報告です
84 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2022/08/29(月) 23:56:03.32 ID:vpj0uWeA0
生存報告です
85 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2022/09/28(水) 00:33:37.69 ID:ZcOuCRX00
生存報告です
86 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2022/10/22(土) 02:19:11.62 ID:NMZx0fOJ0
生存報告です
87 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2022/11/12(土) 23:16:45.88 ID:TN+3XaGb0
生存報告です
88 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2022/12/09(金) 02:24:33.18 ID:nhtyELtn0
生存報告です
89 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2023/01/05(木) 02:26:30.06 ID:n3q3QwQD0
生存報告です
90 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2023/02/04(土) 20:06:04.69 ID:jI0W/ewr0
生存報告です
91 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2023/03/03(金) 01:07:25.84 ID:YJ6V6AnZ0
生存報告です
92 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2023/04/01(土) 21:20:25.32 ID:3bL1AtgJ0
生存報告です
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/04/12(水) 23:22:57.93 ID:wbp6i9BI0
はい
94 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2023/04/30(日) 03:01:52.50 ID:rGcO9hpq0
生存報告です
95 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2023/05/29(月) 01:23:18.49 ID:HsuT/W4w0
生存報告です
96 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2023/06/13(火) 01:56:09.52 ID:4OaJuCH10
生存報告しときます
97 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2023/07/10(月) 02:26:55.21 ID:T0dMNvnp0
生存報告です
98 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2023/08/08(火) 02:33:48.10 ID:c8Sz81gr0
生存報告です
99 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2023/09/07(木) 19:58:54.58 ID:EWYncz1E0
生存報告です
100 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2023/10/06(金) 01:22:59.55 ID:KzRnoKR90
生存報告です
101 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2023/11/04(土) 03:33:19.34 ID:Y4m0RoK40
生存報告です
102 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2023/12/03(日) 01:59:15.67 ID:v4ErjX0h0
生存報告です
103 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2023/12/25(月) 01:54:03.33 ID:kQptvkss0
生存報告です
104 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2024/01/24(水) 03:21:14.01 ID:V8BfDPVO0
生存報告です
105 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2024/02/23(金) 02:36:50.94 ID:PQ+iUXK70
生存報告です
106 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2024/03/21(木) 20:10:05.85 ID:AIQx1/mU0
生存報告です
107 :
ちさめンデュ
◆nkKJ/9pPTs
[sage]:2024/04/19(金) 01:28:39.58 ID:qG0MV/ra0
生存報告です
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