星の陽炎型

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52 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 13:45:42.85 ID:CIciDLhWo





死神「えげつないな、あの姉ちゃん。 こんなとこまで追い込みに来よったで」

死神「ヤバいわ。 馬乗りでフルボッコやん」

死神「な、なあリボンの姉ちゃん、アカンで。 そないに殴ったらホンマに死んでまうで」

神通「構いません」

死神「」

神通「この程度で死ぬならば、それがこの子の寿命です」

死神「この姉ちゃんヤバいやろ。 ウチより死神に向いとるんちゃうか」
53 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 13:46:18.23 ID:CIciDLhWo





神通「お騒がせしました」

神通「連れて帰りますね」

死神「帰って!もう早よ連れて帰ったげて!」

死神「お土産あげるから!たくさん!」ドササッ

神通「また、来ます」ニコッ

死神「もう来ないで!!」

54 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 13:46:49.97 ID:CIciDLhWo



◇◇◇



磯風「」


神通「星が綺麗ですね」

神通「ぐっすり眠って、起きたらまた頑張りましょう」

神通「あなたは強くなれます」

神通「きっとなれます」

神通「私がそうします」

神通「何度でも地獄に連れていき、何度でも連れて帰ります」

神通「だから今だけは、ゆっくりと休みましょう」

神通「おやすみなさい」


磯風「」

55 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 13:47:40.19 ID:CIciDLhWo


【 浜風 】


お世話になった神通に、美味しい料理でお礼がしたい。

いつになく真剣な面持ちで、磯風がそう切り出した。



浦風「どうしてこいつはこう……恩を仇で返そうとするんじゃ」

浜風「いや、本人はそんなつもりじゃないですし」

浦風「心から喜んで貰おうと」

浜風「そう思っている筈です」

浦風「無理じゃ」

浜風「無理って」

浦風「他所の磯風なら兎も角、ウチの磯風にはもう無理じゃ」

浦風「こいつは強くなる度に料理がポンコツになる」

浦風「そういう仕様なんじゃ」

浜風「仕様って」

浦風「多分こいつは、前世で何かしでかした」

浦風「少し痛い目をみろという、神様からの罰なんじゃ」

浜風「痛い目にあってるのは周りの人なんですがそれは」
56 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 13:48:16.73 ID:CIciDLhWo

浜風「どうにかなりませんか」

浦風「どうにかと言われてもな」

浜風「いっそ私達が代わりに作っては」

浦風「それは駄目じゃろ、意味がない」

浜風「ですよね」

浦風「代わりが駄目なら一緒になら」

浜風「一緒にですか」

浦風「磯風の隣で、全工程を監視するんじゃ」

浦風「手順を間違ったら指摘して、何回でもやり直させる」

浜風「それなら……まあ」

浦風「時間は掛かるが確実じゃろ」

浜風「磯風が納得しますかね」

浦風「これでもウダウダ言うなら、ウチが腕ずくで黙らせる」

浜風「浦風もう少し穏便に」
57 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 13:48:50.41 ID:CIciDLhWo





磯風「やったぞ! 完成だ」

磯風「磯風特製幕の内弁当!」

磯風「感謝するぞ、二人とも。 これなら神通も大満足だ!」

浜風「……疲れ果てて死にそうです」グッタリ

浦風「……まさか全部の手順を間違えとるとは」ゲッソリ

浜風「でもまあ、確かに大満足です」

浦風「食べても死なないって素晴らしい」

磯風「早速神通に渡してくるぞ」

浜風「いいですね? もう余計なアレンジはいりませんよ」

浦風「そのまんま何もせんで渡すんで」

磯風「ああ、分かってる。 綺麗に包んでこのまま渡すさ」

浜風「綺麗に包めますか?」

浦風「風呂敷は結べるんか?」

磯風「……」

浜風「ほら、貸して下さい」

浦風「お前ホンマ、手が掛かるの」

磯風「むむ……」





浜風「はい、出来ましたよ」

浦風「今度こそバッチリじゃ」

磯風「ああ、何度もすまない。 行ってくるぞ」

磯風「浜風、浦風、本当にありがとう」ニコーッ

浜風「やれやれですね」

浦風「あの笑顔に免じて許してやるわ」
58 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 13:49:31.27 ID:CIciDLhWo



◇◇◇



那珂「大変だよ、大変! 神通ちゃん息してないよ!」

川内「畜生! 誰が神通を!」

由良「救護班急いで! 急いで!!」

木曾「信じられん、あの神通が一撃でだと」

名取「しかも無抵抗だよ、ありえないよ」

天龍「賊はとんでもない手練れだぞ、油断するな」

多摩「まだ遠くには行ってないはずにゃ、徹底的に探すにゃ」

五十鈴「厳戒態勢よ、見つけ次第殺していいわ」

球磨「神通の弔い合戦クマ! 絶対に探し出すクマ!」



浜風「」

浦風「」

浜風「大変な事になってますね」

浦風「心当たりがありすぎる」
59 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 13:50:16.46 ID:CIciDLhWo

磯風「今日は鎮守府が騒がしいな」

浦風「お前、弁当はちゃんと渡したんか」

磯風「勿論だ。 ケーキも忘れずに届けたぞ」

浜風「は?」

浦風「ケーキ?」

磯風「デザートだ。 私が事前に作っておいた」

浜風「」

浦風「」

磯風「ケーキには自信があるんだ」

磯風「改二パーティーの時に、陽炎も褒めてくれた」

浜風「ああ、あの時限式の」

浦風「あれか、デスギフトか」

浜風「どうしましょう」

浜風「自首と隠蔽の二択ですが」

浦風「ホンマ手がかかるの、お前は」

磯風「?」キョトン



◇◇◇



死神「何しに来たん! 帰って! 帰ってや!」

神通「何しにと言われましても……」

死神「やめて! 殺さないで! 帰って!」

60 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 13:50:56.62 ID:CIciDLhWo


【 谷風 】


出掛ける支度をしていると、めざとく谷風がやって来た。
清霜から話を聞き付けて、慌ててここに来たようだ


谷風「お好み焼き屋に行くんだって? 谷風も連れてっておくれよぅ」


生粋の江戸っ子である谷風にとって、お好み焼きは欠かせぬソウルフードなのだと言う。


那智(お前のソウルフードは、お好み焼きではなくてお菓子だろう)

那智は心の中でそう思ったが、口に出すのは止めておいた。


那智「別に構わんが、退屈だぞ」

谷風「がってんだー!」パアアァ!


”生粋の江戸っ子”という言葉の意味を、那智は百回くらい教えたが。
大阪生まれ広島育ちの谷風は、大きく「うん!」と答えるだけで、最後まで理解を示さなかった。


武蔵「フッ、随分待たせたようだな」


果たして約束の時間になると、のそり、と武蔵がやって来た。
足元にはいつものように、清霜が纏わりついて離れない。


那智「いや、時間通りだ」

清霜「それじゃあ、しゅっぱーつ!」

61 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 13:51:48.95 ID:CIciDLhWo



◇◇◇



武蔵「随分と洒落た店だな」

那智「ここはすごいぞ」

那智「関西風も広島風も、何でも出来る」

武蔵「ほう」

谷風「もんじゃ焼きはー?」

那智「もんじゃも大丈夫だぞ」

清霜「すごーい」

谷風「やったー」
62 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 13:52:14.44 ID:CIciDLhWo

武蔵「ならば私は関西風にしてみよう」

那智「私は広島風にするかな」

谷風「谷風さんはもんじゃ焼きを頼むぜ!」

武蔵「清霜はどうする」

清霜「わたしはねー、今川焼きー!」

武蔵「」

那智「」

武蔵「いや清霜、今川焼きというのは……」

店主「はい! お待たせしましたー!」ドン!

那智「あるのか!?」

武蔵「すごいな、この店」
63 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 13:52:45.14 ID:CIciDLhWo





谷風「もんじゃうめー!」

清霜「今川焼き美味しい」

那智「お好み焼きも旨いな」

武蔵「ああ、素晴らしくビールに合う」

那智「ん? 鉄板焼きもあるのか」

武蔵「好きな材料を選んで自分で焼くみたいだな」

那智「よし、なら何か頼んでみるか」

谷風「わーい」

清霜「やったー」
64 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 13:58:55.67 ID:CIciDLhWo





那智「ホタテ旨いな」

武蔵「イカもいけるぞ」

那智「自分のペースで焼きたてを食べられるし、これはいいな」

武蔵「次はエビでも頼んでみるか」

那智「お前たちは何を焼いているんだ」

清霜「ホットケーキ!」

那智「」

武蔵「」

谷風「バニラ乗せようぜ!」

清霜「わたしハチミツかける!」

那智「お、おう……」

武蔵「お前らすごいな」
65 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:00:11.34 ID:CIciDLhWo





那智「寝たか」

武蔵「ああ」

那智「しかし、夕飯に今川焼きとホットケーキとはな」

武蔵「発想が異次元だな」

那智「子供らしいと言えば、まあそうかもな」
66 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:00:58.52 ID:CIciDLhWo





那智「子供の頃 近所の駄菓子屋にな、小さな鉄板があったんだ」

武蔵「ほう」

那智「店の婆さんがお好み焼きを焼いてくれるんだ」

那智「お好みと言っても、小麦粉の生地にソースを塗っただけの簡単なものだ」

武蔵「ふむ」

那智「しかしこれが子供にとってはやたらと旨い」

那智「小銭を握りしめては、毎日のように通ったもんだ」

那智「駄菓子屋だから食べるものは沢山ある」

那智「砕いたうまい棒や千切ったさきイカなんかを、そのお好みに入れて食べる」

那智「食べ物で遊ぶなと今なら怒られるだろうな」

那智「それがまた実に旨く、楽しいんだ」

武蔵「ふむふむ」
67 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:01:43.18 ID:CIciDLhWo

那智「で、毎日足柄と一緒に通っていた訳だが」

那智「こいつが毎回ソースカツばかり買うんだ」

武蔵「ブフォ!」

那智「毎回毎回、同じものだ。 三枚入りのソースカツ」

武蔵「その頃からなのか」

那智「それで一枚はそのまま食べて、二枚目はお好み焼きに入れて、残りを私にくれるんだ」

武蔵「ほう、優しいな」

那智「いや、毎回だぞ?」

那智「毎日毎日ソースカツばかり買っては、毎回毎回カツを一枚よこすんだ」

武蔵「今と同じじゃないか」

那智「私はいらないから全部お前が食べろと、何回も言ったんだが」

那智「こいつは全く人の話を聞かないからな」

那智「毎日毎日、笑顔でソースカツを持ってくる」

武蔵「……」クックッ

那智「笑い事ではない」

那智「結局私も根負けして渋々カツを食べるんだが」

那智「毎日毎日無表情でカツを食べる私は、周りからしてみればさぞかし可愛げのない子供だったろうさ」

武蔵「はっはっは」ケラケラ

那智「まさか大人になってまでそれが続くとは思わなかったぞ」

武蔵「人に歴史ありだな」

那智「まったく、三つ子の魂はなんとやらだ」

68 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:02:26.22 ID:CIciDLhWo


【 嵐 】


深雪「嵐ー! サッカーしようぜ!」

嵐「おっ、いいな。 すぐ行くー」

島風「早く早くー!」

提督「みんな元気だなぁ」

萩風「今日はいい天気ですもんね」

嵐「なあ、司令もサッカーやらないか」

天霧「人数足りないんだ、頼むよ」

提督「む、サッカーか」

皐月「司令官、お願ーい」

提督「いいけど、あまり上手くはないよ」

深雪「いいからいいから」

時津風「やったー! メンバー揃ったよ」
69 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:02:58.37 ID:CIciDLhWo





提督「…… ///」

提督「君たち、どうして制服のままなの」

嵐「えっ」

天霧「いつもこうだぜ」

提督「体操着とかに着替えないのかな」

皐月「この方が慣れてるし」

深雪「戦闘の時だってこの格好だよ」

提督「いや、それはそうだけど」

島風「試合始めるよー!」

嵐「ほら、行くぜ司令」

深雪「絶対勝つからなー!」

提督「お、おーう…… ///」
70 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:03:37.03 ID:CIciDLhWo





提督「みんな短いスカート姿」

提督「走る度にスカートが捲れて、パンツがチラチラ ///」

提督「こ、これは流石に良くないな」
71 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:04:23.56 ID:CIciDLhWo





嵐「はあ? パンツ」

深雪「別にいいぞ、減るもんじゃないし」

時津風「たたがパンツじゃん」

雪風「雪風は平気です!」

天霧「あたしスパッツだし」

不知火「不知火はむしろ……もっと……見て ///」ハァハァ

吹雪「パンツは見せつけるものですよ司令官」

提督「ああ、うん。 吹雪はちょっと落ち着こうか」

島風「はーやーくー!続きー!」

提督「お、おう?」





舞風「提督動き悪いね」

萩風「意外と運動苦手なのかな」


提督(め、目の毒だ……早く終わってくれ…… ///)ゼェゼェ

72 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:05:08.28 ID:CIciDLhWo


【 萩風 】


萩風「あ〜、お風呂いいねぇ」

嵐「運動の後は格別だな」

萩風「大活躍だったね、嵐」

嵐「まあな、嵐を巻き起こしたぜ」

萩風「ふふふ」
73 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:05:39.37 ID:CIciDLhWo

萩風「ウチのお風呂はいいよね」

嵐「ちょっと古いけどな」

萩風「広いし内装も凝ってるし、私は好きだなぁ」

嵐「露天風呂欲しいな」

萩風「あー、露天いいよね」

嵐「今日みたいな日は星を見ながらさー」

萩風「いいねー」

嵐「司令に頼んでみようか」

萩風「えー、改築を? 流石に無理だよ」

嵐「まあまあ、駄目元でさ」

嵐「新しい艦娘も増えてきてるし、ここも拡張するかもしれないじゃん」

萩風「それはそうだけど」

嵐「パーッと景気よくさ、大改装!」

嵐「露天風呂とか、サウナとか、ジャグジーとかも」

野分「野分はジャグジーがいいです」

舞風「舞風はサウナに入ってみたいな」

萩風「ふふ、いつかそうなったらいいね」
74 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:06:12.74 ID:CIciDLhWo

嵐「あれ? そういえば時津風は」

萩風「姿が見えないね」

野分「もうあがったのでは」

舞風「いや、最初からいないよ」

嵐「……もしかして男湯に行ったんじゃ」

萩風「えーっ! 男湯?」

嵐「ずっと司令にじゃれついてたじゃん」

嵐「そのままうっかり、ついていったとか」

萩風「あー……ありえるかも」

舞風「時津風だしね」

嵐「まっ、時津風ならいっか」

天霧「別に問題ないな」

深雪「うっかりしてたなら仕方ないよな」

初風「!?」

不知火「!?」

天津風「!?」
75 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:06:41.95 ID:CIciDLhWo

初風「ちょ、ちょっと! 男湯よ? 提督がいるのよ」

嵐「別にいいじゃん」

深雪「わざとなら兎も角さー」

天霧「そうそう、うっかりなら仕方ないさ」

初風「うっかりなら!?」

不知火「仕方ない!?」

陽炎「嫌だったらすぐ出てくるでしょ」

舞風「むしろ提督の方が嫌かも」

嵐「騒がしくてさ」

萩風「ゆっくり浸かれないよね」クスクス
76 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:07:17.85 ID:CIciDLhWo


野分「そういえば男湯って、どうなのでしょう」

野分「女湯よりは狭いみたいですけど」

嵐「そりゃそうだろ」

萩風「司令しか使わないしね」

萩風「けど内装が凝ってて、女湯より豪華らしいよ」

萩風「ジャグジーとかもあるんだって」

舞風「えーっ、何それ、いいなー」

萩風「まあ来客用でもあるからね」

嵐「あー、なるほど」

萩風「そもそも司令自体が偉い人だし」

舞風「みんなの上司だもんね」

嵐「そっかぁー、女湯と違うんだー。 いいなー」

舞風「興味深いね」

萩風「じゃあ、うっかりしてみる?」

嵐「えっ」

萩風「時津風みたいにさー、うっかり男湯に」

嵐「えーっ! 何それ!」

萩風「うっかりだからねー、仕方ないねー」

舞風「そうそう、わざとじゃないからさー、怒られないよー」

嵐「そ、そんなの出来る訳ないじゃん! ///」


初風「うっかり…… ///」

不知火「うっかりなら大丈夫…… ///」

天津風「うっかりなら仕方ない…… ///」

77 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:10:42.10 ID:CIciDLhWo


【 野分 】


野分「ふう……」

野分「やはり風呂上がりにはフルーツ牛乳ですね」

野分「それにしても、うっかり男湯に入るだなんて」

野分「時津風には困ったものです」

時津風「呼んだ?」ヒョコ

野分「と、時津風!」

時津風「わーい、時津風も牛乳飲むよー」

野分「えっ、えっと、司令は」

時津風「しれぇはもうお部屋に戻ったよ」

野分「や、やはり一緒だったんですね」

時津風「うん。 さっきまでお風呂だったよ」

時津風「いやー、うっかりしちゃってさー」

野分「うっかりって……もう、時津風は仕方ありませんね」

時津風「えへへー」
78 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:11:14.88 ID:CIciDLhWo

野分「そ、それで、どうでしたか? 司令と一緒だったんですよね」

時津風「うん! おっきかったよ!」(大浴場)

野分「おっきかった!」

時津風「あとねー、変なかたちしてた」(凝った内装)

野分「変なかたち!!」

時津風「それから、すっごく激しかった!」(ジャグジー)

野分「!!?!」

野分「えっ、えっ!? 激しかったって」

時津風「あと、すっごく気持ちよかった」(湯船)

野分「!?!?」
79 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:11:56.26 ID:CIciDLhWo

野分「ちょっと待って下さい」

野分「は、初めてですよね? それなのに気持ちよかったのですか」

時津風「最初はね、ちょっと痛かった」(電気風呂)

野分「!」

時津風「でも途中から気持ちよかった」(慣れた)

野分「!!」

時津風「特に下半身」(半身浴)

野分「ああああああーーっっ!!」
80 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:12:43.58 ID:CIciDLhWo

野分「そ、そんな事をしたら、赤ちゃんが……!」

野分「司令は、ちゃんと付けてくれたのですか」

時津風「付ける?」

野分「あ、アレです、アレ。 スッポリと被せる」ゴニョゴニョ

時津風「あー、アレね」

時津風「時津風はね、付けようとしたんだけど」(シャンプーハット)

時津風「司令がね、もう大人だからそんなの外そうねって」

野分「鬼畜ーーッ!!」

時津風「他にもいろんな道具使ってね、身体の隅々まで擦ったりして」(ボディーブラシ)

野分「マニアーーック!」

時津風「硬いのをゴリゴリするのはイヤだったかも」(角質落とし)

野分「ハードプレイィィーーッ!!」
81 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:13:14.62 ID:CIciDLhWo

野分「鬼! 悪魔! オーク!」

野分「失望しました! 司令がそんな人だったなんて」

時津風「でも、しれぇと一緒にいるとね、すごくドキドキするの。 頭もポーッとする」(湯あたり)

野分「違います! 騙されては駄目です! それは恋ではありません!」

時津風「身体の芯からね、ジンジン熱くなってくるの」(サウナ)

野分「心とは裏腹に! 幼い身体は熱を! 熱を帯びて!!」
82 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:13:45.99 ID:CIciDLhWo

時津風「あー、でもあの匂いは苦手かも」(入浴剤)

時津風「あの白いのもヌルヌルして何かヤダ」(ボディーソープ)

野分「最初はそう! 最初はみんなそう言うんです!」

時津風「そうなの?」

野分「でも途中からもの足りなくなって! それ無しじゃ駄目な身体になって!」

野分「もっと! 濃いのをもっとくださいって!! 自分の方から!!」

時津風「そうなんだー」
83 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:14:31.66 ID:CIciDLhWo

時津風「あとねー、お外にも行ったよ」(露天風呂)

野分「外おおぉっ!?」

野分「ぜ、全裸で外に!? 野外で露出!?」

時津風「外はダメだね。 何回も刺されたよ」(虫)

野分「何回も挿された!?」

時津風「後ろも前も何回もだよ」

野分「絶倫ーーッッ!! 驚異の回復力! スッポンエキス配合!」
84 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:15:06.97 ID:CIciDLhWo

時津風「最後は頭から熱いのたくさん掛けられた」(シャワー)

野分「か、顔に」

時津風「えっ」

野分「顔にかけられたのですか、熱いのを!」

時津風「ううん、全身だよ」

野分「全身! 熱いのを! 全身に! ぶっかけでフィニーッシュ!!!」
85 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:15:33.34 ID:CIciDLhWo

野分「うう……時津風はもう、全て汚されてしまったんですね」ガクッ

時津風「えっ? 汚されてないよ」

時津風「時津風は綺麗だよ」

野分「ッッ!!」

野分「そっ、そうですよね! その通りです!」

野分「時津風は汚くありません! 汚されてなんかいません!」

野分「時津風は……時津風は、綺麗なままです!」

時津風「えへへー」
86 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:16:02.42 ID:CIciDLhWo

時津風「今度はねー、野分も一緒に入ろうね」

野分「え、男湯にですか? む、無理です」

時津風「だって気持ちいいよ」

野分「そ、そんなの駄目に決まってます」

時津風「わざとじゃないから大丈夫だよ」

野分「えっ」

時津風「うっかり間違ったら仕方ないよね」

野分「し、仕方ない?」

陽炎「アンタたち早く寝なさい」

時津風「あっ、陽炎」

陽炎「ほらほら、湯冷めするわよ」

時津風「はーい」
87 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:16:30.20 ID:CIciDLhWo

陽炎「あと野分、お風呂にタオル忘れてたわよ」

野分「えっ」

陽炎「ほらこれ、アンタのでしょ」

野分「あっ、はい、すみません」

陽炎「ホーント、うっかり屋さんね」

野分「!!」

時津風「わーい、うっかり屋さんだー」

野分「そ、そうですね、うっかりしてました。 あはは」

陽炎「ほら、時津風。 部屋に戻るわよ」

時津風「うんっ、じゃあ野分おやすみー」

野分「あっ、はい、おやすみなさい」

陽炎「野分も夜更かししちゃ駄目よ」

野分「はい、おやすみなさい」
88 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:17:04.14 ID:CIciDLhWo

野分「……」

野分「野分は……うっかり屋さん……」ドキドキ

野分「うっかりなら……仕方ない?」ドキドキドキ




嵐「のわっち、顔赤いな」

萩風「のぼせたのかな」

舞風「イチゴ牛乳おいしーっ」プハーッ

89 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:17:38.59 ID:CIciDLhWo


【 舞風 】


親潮「水平線に向かってひたすら進むと、やがて黒い世界に辿り着きます」

親潮「光が届かない夜の海はとても暗くて、吸い込まれそうな深い黒です」

親潮「暗くて寂しくて、とても怖くて。 みんなが嫌いな場所です」

親潮「けれど、そこで見る星空は違います」

親潮「鮮やかで眩しくて、地上では決して知る事のない輝きです」

親潮「そして、空を映す水面もまた幻想的で」

親潮「まるで星を敷きつめたかのように瞬きます」
90 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:19:14.21 ID:CIciDLhWo

親潮「そんな光の世界の中で、舞風はひとり踊るのです」

親潮「いつもの元気なダンスと違い、ワルツのような舞踊のような、ゆっくりとした静かな舞いです」

親潮「それが本当に……美しくて……」

親潮「親潮は踊りの事は分かりません」

親潮「それでも心が震えます」

親潮「何故だか分からないままに、自然と涙が零れるのです」

提督「そんなにすごいんだ」
91 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:21:03.56 ID:CIciDLhWo

親潮「出来るなら司令にもご覧になって頂きたいんですが」

提督「う〜ん、でもそれは海を征ける艦娘だけの特権だろうね」

提督「例え船で沖へと出ても、そんな光景にはきっと出会えないだろうからね」

親潮「はい、そうかもしれません」

提督「だとしたら、せめてその踊りだけでも舞風に頼めないかな」

親潮「それが……無理なんです」

提督「えっ」
92 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:21:44.90 ID:CIciDLhWo

親潮「以前舞風に聞いてみたんですけど、自分でもどうやって踊ったのか分からないらしいんです」

提督「分からない」

親潮「踊った事は覚えてるけど、どこか自分じゃないような」

親潮「知らない誰かが踊っているみたいな、そんな感覚だったそうです」

提督「えー?」

親潮「にわかには信じ難い言葉です」

親潮「けれども、あの星の降る夜を思い返してみれば」

親潮「あながちありえない話ではないと、親潮は思うのです」

提督「なるほど、不思議な事もあるんだねぇ」

提督「それは、つまり……」チラッ

親潮「?」
93 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:22:20.75 ID:CIciDLhWo

陽炎「ちょっと黒潮!」

黒潮「うわっ!? 陽炎」

陽炎「アンタまた甘いもの食べたでしょう!」

黒潮「ちゃうねん、あれはウチじゃない」

陽炎「アンタ以外に誰がいんのよ!」

黒潮「あれはウチやけどウチやないんや、もうひとりのウチなんや」

陽炎「はあ!?」

黒潮「ドッペルゲンガーみたいなもんや。 ドッペル黒潮ちゃんや」

陽炎「なに訳の分からない事言ってんのよ!」

黒潮「だからホンマにウチやないんやて〜」



提督「……」

親潮「……」

提督「……つまり、ああいう事かな?」

親潮「違うと思います」

94 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:23:00.64 ID:CIciDLhWo


【 秋雲 】


流れ星を探して星空観察をしていた姉達が、極寒の中で死んでいた。
田舎の夜の冬空は想像以上の厳しさらしい。

コンビニで買ってきた熱々の救援物資を差し出すと動き出した。

待望の握手会で狂乱状態のファンの群れに囲まれ、全ての逃げ場を失っても笑顔を絶やさなかった那珂ちゃんの気持ちを、少しだけ理解する。


   オイテケー オイテケー タマゴオイテケー

   オイテケー ワタシトマトー ズルイワタシモー


こんな状況でもちくわぶは人気がない。

95 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:23:54.69 ID:CIciDLhWo


陽炎「冬はやっぱりおでんよね」 大根

不知火「身体が温まります」 はんぺん

黒潮「コンビニのも美味しいな」 タコ

親潮「種類も豊富ですしね」 ゴボウ巻き

初風「前より美味しくなってるわ」 トマト

雪風「雪風も大好きです!」 出汁巻き玉子

天津風「ほら、慌てると火傷するわよ」 白滝

時津風「おツユも美味しいねー」 ウインナー

浦風「ウチは関西風がええな」 牛スジ

磯風「出汁が薄めの方か」 ロールキャベツ

浜風「こっちの方が上品ですね」 厚揚げ

谷風「てやんでい! 関東風に決まってらぁ!」 玉子

野分「他にも味噌おでんとかありますね」 こんにゃく

嵐「何それ美味そう」 がんもどき

萩風「鳳翔さんに頼んでみようか」 銀杏

舞風「賛成ー! 味噌おでん食べたーい」 巾着餅

秋雲「あ、でも鳳翔さん今日お休みだよ」 ちくわぶ



磯風「ふむ……つまり私の出番という訳かな」(名推理)

全員「あーっ! 急にカップ麺食べたくなったわ! 絶対カップ麺だわ! カップ麺しかありえないわ! おでんはいらないわー!」

96 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2022/05/23(月) 14:24:28.95 ID:CIciDLhWo

以上です。
読んでくれた人ありがとう。
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/23(月) 22:55:38.28 ID:3x0XEqTvo
おつおつ
おまちしておりました…!
今回もありがとうございました!
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/24(火) 17:45:46.14 ID:K+qOG3KC0
投稿おつです
いつも楽しみにしております
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/25(水) 18:24:43.05 ID:azSBpm6vo
久しぶりの乙
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/06/07(火) 12:14:51.64 ID:EAfIA6PwO
新作おっつおっつ
淫ピの中にシレッと入るのわっち…
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/06/14(火) 23:48:17.56 ID:uAW3tQWMO
久々の投稿乙です
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