【安価】魔姫「お父様が勇者とやらに討たれてしまいました」

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68 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/28(金) 23:06:13.51 ID:alRBkNlf0

―――そして次の日―――


チュンチュンチュン


魔姫「んん〜っ……今日も清々し―――」

エルフ「嫌だ嫌だ嫌だ非公認キャラなんて嫌だ……」ブツブツ

魔姫「――くはありませんわね。ドンよりしてますわ」

エルフ「こんな体じゃ可愛い服も……」ブツブツ

魔姫「ほらエルフ、朝ですわよ」

エルフ「―――はっ!? 朝ですかっ! 鏡っ、鏡はどこですかっ!」キョロキョロ

魔姫「落ち着きなさいな。はい、どうぞ」つ鏡


69 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/28(金) 23:09:53.42 ID:alRBkNlf0
エルフ「……顔、よし! 身体、よし! やった! 元に戻ってるーーーーー!」

魔姫「効果が一過性で良かったですわね。それとも毒消し草の自棄食いが功を奏したのかしら」
 
エルフ「もう、魔姫さん変な物貰ってこないでくださいよ!」

魔姫「問題はあなたの食い意地の方にあると思いますけどね」

エルフ「ぶー……」


――――同時刻――――――


【竜の渓谷】


メイドラゴン「わーーっはっはっはっ! やはり我の角は元の大きさが一番なのだー!」
70 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/28(金) 23:19:15.35 ID:alRBkNlf0
魔姫「問題が片付いたところで、お土産はもう一つありましたわね」

エルフ「こっちも大きいですねぇ……このコイン、巨人のお金とかなんですかね」

魔姫「用途は置いとくとしても。材質がまるで分かりませんわ」コンコン

エルフ「うーん。金とか銀とかじゃなさそうですし……どうするんですかこれ」

魔姫「そうですわね。あなたの家の庭石にでも」

エルフ「いや邪魔ですってこんな大きいの。ママに叱られちゃいます!」

魔姫「なら、他にいい案を出してくださいな」

エルフ「ええっ……うーん……>>71とか?」

71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/28(金) 23:20:19.84 ID:mwENGSXO0
道具屋に売る
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/28(金) 23:20:28.30 ID:u4F7rvdk0
漬物石にする
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/28(金) 23:21:14.82 ID:vB3vtAF8o
そこのドラゴン娘の炎で溶かして剣を作るとか?
74 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/29(土) 00:45:20.41 ID:vrk1+OTM0
エルフ「道具屋に売るとか?」

魔姫「あら、意外とまともな案が出ましたわね。お利口ですわよ」

エルフ「えへへ〜……なんて言わないですよ、褒めてませんよね」

魔姫「貴重な金属のようですし、欲しがる者もいるしょう。ではお任せしますわ」スタスタ

エルフ「いやちょっと!任されても困―――」

魔姫「これはあなたの案なのですから。あなたが責任持つのは当然の事でしょう」スタスタ

エルフ「確かに!―――っていやいや! お土産貰ったのは魔姫さんじゃ―――」

魔姫「スースー」

エルフ「寝てるしっ! 面倒になっただけじゃん!いつものぶん投げじゃん!」



エルフ「こんな大きいもんどうやって道具屋に運べってんだちくしょー!」

75 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/29(土) 00:53:04.49 ID:vrk1+OTM0

【人間の町・道具屋】


エルフ「というわけで買い取ってください。高値で」デデーン

道具屋「いやあのねエルフの嬢ちゃん。こんなでかいもん買い取れる訳ないだろうに」

エルフ「道具屋ならゴミでも馬糞でも買い取ってくださいよ」

道具屋「道具屋はゴミ捨て場じゃないからね。てかどうやって運んできたの」

エルフ「転移魔法で無理やり一緒に飛んできました」

道具屋「こんなでかい荷物と一緒に転移って、エルフの魔力は底無しだね」

エルフ「そう見えますか?」

道具屋「見えないね。顔が土気色だね」

エルフ「分かってるじゃないですか。この店で死人が出る前に早く買い取りやがった方が身の為ですよ」コヒューコヒュー

道具屋「脅迫の仕方が斬新で言葉も出ないね」


76 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/29(土) 01:01:09.83 ID:vrk1+OTM0
エルフ「とにかく品定めくらいしてくださいよ! それでも天下の道具屋ですかっ!」

道具屋「ここはそんな大層な道具屋じゃないけどね。まぁ言ってる事は一理あるよ」

エルフ「ならはやくしろーーーっ!!! 間に合わなくなってもしらんぞーーーっ!!!」バンバン

道具屋「こんな迷惑なお客さん初めてだね。どれどれ……ほぅ」

エルフ「で、どうなんですか売れるんですか勿論売れますよねそうに決まってますよね」

道具屋「落ち着きなエルフの嬢ちゃん。このコインはあれだね」


道具屋「>>77だね」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/29(土) 01:03:19.25 ID:aZWz1OCG0
偽物
78 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/29(土) 01:40:39.23 ID:vrk1+OTM0
道具屋「偽物だね」

エルフ「偽物ってどういう事ですか薄ら禿。残りの髪毟って坊主にしてやりましょうか」ギュー

道具屋「痛たたたたた!ぼ、暴力は反対だね!」

エルフ「こんなデカコインの偽物があってたまるかーーっ!」

道具屋「まずは話をき痛たたたた!」ブチブチブチ

エルフ「言ってみてくださいよーーーっ! なにをもって偽物なのか言ってみてくださいよーーっ!」

道具屋「そ、それは>>79!」

79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/29(土) 01:44:08.14 ID:X4Qa9ktSO
ここに本物があるねん(ドヤ顔)
80 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/29(土) 02:24:38.90 ID:vrk1+OTM0
道具屋「ここに本物があるねん!そこ見てそこそこ!」

エルフ「本物ぉ!? このデカコインに本物も偽物もあるわけ―――って何これぇ!?」

道具屋「ドヤァ」

エルフ「デカコインがもう一つ!?」

道具屋「これこそが本物のデカコインだね。そんな訳で、お嬢ちゃんのは偽物だね」

エルフ「いやいや! さっきまでそこにデカコインなんてなかったよ!?」

道具屋「それがあったんだね。お嬢ちゃんが見落としてただけで」

エルフ「こんなでかいもん普通見落とさないでしょ!」

道具屋「お嬢ちゃん息絶え絶えだったから、そういう事もあるんだね」

エルフ「そ、そんなーーーっ!」

81 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/29(土) 02:32:21.59 ID:vrk1+OTM0
エルフ「おかしい……なにかがおかしい……」ブツブツ

道具屋「エルフの嬢ちゃん、それでどうするんだね」

エルフ「ど、どうするって何がですか……」

道具屋「買い取れない以上は、持ち帰ってもらう事になるわけだけど」

エルフ「はっ! そうだ、もうこんなデカコインを転移魔法で運ぶ余力なんて……」

道具屋「仕方ないね。それなら、タダで引き取ってあげてもいいんだね」

エルフ「へっ!?タダでですか!?」

道具屋「責任をもって処分してあげるよ。これも、何かの縁だからね」

エルフ「う、うーん……確かにこんなのあっても邪魔なだけだし、タダなら処分してもらったほうが……」ブツブツ


道具屋「どうするんだね?」


>>82
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/10/29(土) 03:24:47.75 ID:CqnYYQXpO
コインの金属を鋳潰して売れないか試したいので、工房を貸してください
83 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 20:19:54.65 ID:eMC+wGAP0
エルフ「じゃあ工房を貸してください」キリッ

道具屋「なんでそうなるの」

エルフ「デカコインを鋳潰します。地金にした金属なら売れるかもですし」

道具屋「ちっ」

エルフ「今舌打ちしましたよね」

道具屋「気のせいだね。その熱意には負けたんだね」

エルフ「なんかもう、ここまで来たら引けないかなって」

道具屋「お嬢ちゃん何と戦ってるの。まぁ、奥の部屋を使うといいんだね」

エルフ「ありがとうございまーす!」スタスタ


道具屋「……」
84 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 20:24:14.54 ID:eMC+wGAP0

【エルフの里】


魔姫「……」ペラッ

エルフ女王「退屈そうねー」

魔姫「読書中に声をかけないでくださいな」ペラッ

エルフ女王「うーん。『いつからそこにっ!』みたいなリアクションが欲しかったわ」

魔姫「気配だだ漏れにしといてよく言いますわ」ペラッ

エルフ女王「これでも御忍びで来てるんだけどなー」ツンツン

魔姫「……」ペラッ
85 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 20:27:30.20 ID:eMC+wGAP0
エルフ女王「反応が無いと寂しいぞー。私、泣いちゃうぞー」

魔姫「……」ペラッ

エルフ女王「つんつーん。つんつんつーーん」

魔姫「……」ペラッ

エルフ女王「それ、犯人はヤスよー」

魔姫「」イラッ
86 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 20:30:35.12 ID:eMC+wGAP0
エルフ女王「そして主人公とヤスは幸せなキスをして……」

魔姫「はぁ――要件はなんですの」

エルフ女王「んー。特にないかなー」

魔姫「お帰りはあちらですわ」

エルフ女王「うそようそー。お茶でもしようかなーって思って来たのよ」
87 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 20:35:12.52 ID:eMC+wGAP0
エルフ女王「美味しい?」ニコニコ

魔姫「悪くはありませんわ」

エルフ女王「素直じゃなーい」ツンツン

魔姫「いい加減、突くのを止めてほしいですわね」

エルフ女王「とっておきのハーブティだもの。感想はちゃんと聞きたいなー」

魔姫「お茶の感想だけ聞いて満足して帰るなら答えますわよ」

エルフ女王「ならずっとつんつんの方がいいかなー」ツンツン

魔姫「もう勝手にするといいですわ」

エルフ女王「魔姫ちゃんは変わったわね。お茶会にもこうして付き合ってくれるようになった」ツンツン

魔姫「私ではなく、あなたのお誘いがどんどん強引になってるんですのよ」

88 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 20:40:14.78 ID:eMC+wGAP0
エルフ女王「そして、あの子も変わったわ」

魔姫「……」

エルフ女王「あの子はね、いつも肩肘を張って生きていたの」

魔姫「そう」

エルフ女王「眉間にも皺を作っていたわ」

魔姫「想像できませんわね」

エルフ女王「日記帳をこっそり読んだら物凄く怒って」

魔姫「それは今でもそうでしょうね」

エルフ女王「ふふっ。今は毎日とっても楽しそう。親として嬉しいわ」
89 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 20:44:44.68 ID:eMC+wGAP0
エルフ女王「半年前、娘がボロボロになったあなたを見つけたその日から―――」

魔姫「そろそろ読書に戻らせてもらいますわ」スタスタ

エルフ女王「あら残念。それで、あの事は考え直してくれた?」

魔姫「あの時も言いましたけど、謹んでお断りします」

エルフ女王「んー。そんなに嫌?」

魔姫「エルフのお城になんて住みたくないですわ。この場所で充分」

エルフ女王「一緒に暮らせばいつでもお茶会出来るのにー」ブー

魔姫「だからですわよ」スタスタ
90 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 20:49:04.71 ID:eMC+wGAP0
魔姫「……」ペラッ


エルフ女王『ふふっ。これからも娘をお願いね』


魔姫「エルフ族の思考は理解出来ませんわ」ペラッ

魔姫「……」ペラッ

魔姫「……」パタン

魔姫「接吻どころか身体を重ねるところまでいきましたわね」


魔姫「続きの巻は」ゴソゴソ
91 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 20:53:09.07 ID:eMC+wGAP0
エルフ「うわーーーん! 魔姫さーーーん!」ダダダダ!


魔姫「別に探してないですわ」

エルフ「へっ?」

魔姫「こちらの話ですわ。それで、どうしましたの」

エルフ「そうだ! 聞いてくださいよ酷いんですよー!」

魔姫「あなたが人里から戻る時はいつも何かありますわね」


92 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 20:57:10.58 ID:eMC+wGAP0
エルフ「―――という訳でデカコインを鋳潰してたんですけど」

魔姫「……」

エルフ「あの、まさか笑ってませんよね」

魔姫「邪推は感心しませんわね」

エルフ「……そしたらあの道具屋、なんと聖騎士団を連れてきたんですよ! そして――」


道具屋『このエルフの娘が私のデカコインを勝手に鋳潰してるね! あと髪毟られたね!』


エルフ「――とか言いだしやがったんですよっ!」

魔姫「食い逃げの前科もあって完全に犯罪者扱い。泣く泣く逃げて来たと」

エルフ「うわーーーん! どうなってるんですかこれーーー!」
93 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 21:01:06.54 ID:eMC+wGAP0
魔姫「話を聴く限り、あなたは幻惑にでもかけられたのでしょうね」

エルフ「幻惑!?」

魔姫「デカコインの幻を見せ、口八丁でデカコインを掠め取ろうとしたのでしょう」

エルフ「そ、そうか! やっぱりあそこにデカコインなんて無かったんだ!」

魔姫「魔法か、あるいは魔道具か。いずれにせよ――ってどこ行きますのよ」

エルフ「あの道具屋の髪の毛全部毟りに行ってきます」スタスタ

魔姫「落ち着きなさいな」ガシッ

エルフ「止めないでください。これは私の名誉の問題なんです」

魔姫「食い逃げも、髪を毟ったのも、本当にしでかした事じゃありませんの」


94 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 21:05:37.02 ID:eMC+wGAP0
エルフ「デカコインは私たちのものじゃないですか!」

魔姫「もともと必要のない物ですわ」

エルフ「高値で売れたかもしれないのに!」

魔姫「あなたが大金を手にした所で碌な事に使わないでしょうに」

エルフ「うっ……」

魔姫「第一証拠もありませんわ。迷惑料兼、勉強料だと思って諦めなさいな」

エルフ「うわーーーん!」ドサッ

魔姫「あら、それは」

エルフ「ううっ……地金にしたデカコインです……これだけしか持ってこれなかった……」シクシク

95 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 21:12:10.05 ID:eMC+wGAP0

――――真夜中―――――


ホーホー ホーホー


魔姫「とは言ったものの」


エルフ『今日はもう家帰って寝ます……』シクシク


魔姫「さすがに可哀そうに思えてきましたわ」


エルフ女王『ふふっ。これからも娘をお願いね』


魔姫「そんな事を言われても困りますのに」


ヤス『覚悟は出来てます。僕は甘んじてその懲罰棒を』


魔姫「仕方ありませんわね」
96 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 21:15:52.24 ID:eMC+wGAP0
魔姫「ドラゴン娘召喚!」カッ


メイドラゴン「ぐがー……なのだーzzZ」


魔姫「あら、あの玩具が無くてもなんとかなるものですわね」

メイドラゴン「我は誇りあるぅ……zzZ」

魔姫「真夜中にごめんなさい。起きてくださいな」ユサユサ

メイドラゴン「もえもえきゅ……おおっ?」パチッ


魔姫「ちょっと手伝ってほしい事がありますの」

97 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 21:20:36.33 ID:eMC+wGAP0

―――次の日―――


チュチュン チュン チュチュン チュチュン チュン チュチュン


エルフ「はぁ……昨日は散々だったなぁ」トボトボ

エルフ「ああいうの慣れっこになったと思ったけど、久々に会心の一撃――あれっ」


メイドラゴン「ぐがーなのだーーーzZZ」


エルフ「なんでこんな所で寝てるのこの人。いや竜か」

エルフ「うーん。真面目に里の守り見直した方がいいのかな……」スタスタ

エルフ「魔姫さーん。外の竜って魔姫さんが呼んだんで―――」ガチャ

98 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 21:23:00.18 ID:eMC+wGAP0



エルフ「なに、これ……」




魔姫の手紙『エルフへ』




エルフ「っ―――!」ダッ


99 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 21:26:36.32 ID:eMC+wGAP0
メイドドラゴン「ぐがー……いってらっしゃいまぐえっ!?」

エルフ「ドラゴンこらーーっ! 起きろこらーーーっ!」ブンブン

メイドラゴン「なななっ!? なんなのだっ!?」

エルフ「あなた何か知ってるんでしょ!」

メイドラゴン「はっ!? いきなり何のことなの」

エルフ「大人しく吐けやーー!」グワングワン

メイドラゴン「ややや止めるのだーー!!頭が揺れて気持ち悪っ」ウップ
100 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 21:28:30.42 ID:eMC+wGAP0

メイドラゴン「は、離すのだ! 誇りある竜種である我に向かって何を――」


エルフ「っ――!」


メイドラゴン「――我に、何を訊きたいのだ」


エルフ「魔姫さんはっ! 魔姫さんはどこに行ったんですかっ!」


メイドラゴン「魔姫? あやつなら確かエルフの城に行くとか言って」

101 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 21:32:34.30 ID:eMC+wGAP0
エルフ「お城ですね! 分かりましたっ!」バッ

メイドラゴン「ちょっ急に離――あいったーーー!」ゴォン


エルフ「魔姫さん―――!」ダッ


メイドラゴン「っ〜〜! なんなのだ一体……我に向かって無礼にも程があるのだ」ヒリヒリ


エルフ『っ――!』


メイドラゴン「―――ま、でも今日の所は無礼講にしといてやるのだ」

メイドラゴン「おろろろろろ……」オエー
102 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 21:35:16.87 ID:eMC+wGAP0

エルフ「魔姫さん、何でお城なんかに……!」ハァハァ


エルフ「私やママがいくら招待しても絶対来てくれなかったのに……!」ハァハァ


エルフ「おかしいじゃないですか……!」ハァハハァ


エルフ「手紙なんか残して……!」ハァハァ


エルフ「何も言わずに……!」ハァハァ


エルフ「こんなのっ――!」ビリィッ


103 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 21:39:18.11 ID:eMC+wGAP0

【エルフの城】


エルフ女王「そう。行ってしまうのね」

魔姫「お邪魔しましたわ」

エルフ女王「お邪魔だなんて。私はあなたにずーっといてほしかったのに」

魔姫「そういう訳にもいきませんわ。そろそろ彼女が――」


バンッ―――!


エルフ「私が―――私がなんだって言うんですか……魔姫さんっ!」ハァハァ


エルフ女王「あら、帰ってきちゃったわね」

魔姫「みたいですわね」


104 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 21:42:57.89 ID:eMC+wGAP0

エルフ「っ……」スタスタスタ バチーン!

魔姫「――いきなり平手は酷いのではなくて?」ヒリヒリ

エルフ「酷いのは魔姫さんですよ……」

魔姫「――そう。良かれと思ったのですけど。怒らせてしまったようですわね」

エルフ「当たり前ですよ……。こんな事、怒らないほうがおかしいですよ!」

魔姫「難しいものですわ。これでも心というものを……いえ、言い訳はよくないですわね」


エルフ「お別れくらいっ! 直接会ってしてくださいよっ!」


魔姫「―――はっ?」


105 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 21:45:34.26 ID:eMC+wGAP0

エルフ「手紙でお別れなんて、納得出来る訳ないじゃないですかっ!」バッ


手/糸/氏「」


魔姫「はぁ……。破いたんですのね。中身も読まずに」チラッ

エルフ女王『そのまま続けてっ!』グッ!

魔姫「」イラッ


エルフ「手紙に心なんて込められても、私馬鹿だから分からないもんっ!」


魔姫「はぁ……それで?」


106 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 21:49:29.67 ID:eMC+wGAP0

エルフ「これでも! 魔姫さんとの毎日が楽しかったのにっ!」


魔姫「ええ」


エルフ「ふたりで変なおもちゃ見つけて、おかしな人たちと話して面白かったのに!」


魔姫「そうでしたのね」


エルフ「基本ぞんざいな扱いしてくるけど、極まれに優しい魔姫さんの事が、大好きだったのにっ!」


エルフ女王「ねぇ、もう少し優しくしてあげてほしいかなーって」

魔姫「やかましいですわね」


エルフ「友達だって! 思ってたのにっ!」


魔姫「……」
107 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 21:52:49.67 ID:eMC+wGAP0

エルフ「手紙でお別れなんて寂しすぎますよ……」


エルフ「また明日って、言わせてくださいよ……」


エルフ「もっとふたりで……退屈なんて感じないくらい楽しく過ごしましょうよ……!」


魔姫「あなたって子は……」


エルフ「うわーーーーーん!」

108 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 21:55:24.59 ID:eMC+wGAP0

エルフ「ひぐっ……ひぐっ……」

エルフ女王「よしよし。そうね、魔姫ちゃんは悪い子ねー」

魔姫「私一人が悪者なんですのね」

エルフ女王「ここは母親ポイントの稼ぎ処ですものー」

魔姫「いい性格してますわ。ほらエルフ」

エルフ「ひぐっ……わ、我が儘言ってごめんなさい……でも私……私――!」

魔姫「はぁ……。こういうの柄じゃないですわね―――」ダキッ

エルフ「ふえっ!?」
109 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 21:58:19.81 ID:eMC+wGAP0
魔姫「これで落ち着きまして」ポンポン

エルフ「……うん」ギュー

魔姫「まったく、呆れて物も言えない」

エルフ「……うぐっ」

魔姫「本当に、お馬鹿さん」

エルフ「……いいもん、馬鹿だもん」

魔姫「エルフ。はっきり言いますけど」

エルフ「……っ」

魔姫「勘違いですわよ」

エルフ「……へっ?」
110 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 22:01:01.16 ID:eMC+wGAP0

エルフ「っ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」バンバンバンバン

エルフ女王「あらあら。エルフちゃんの顔、真っ赤ねー」

魔姫「私はただ本を借りにきただけ。手紙にもちゃんとそう記してましたのに」

エルフ「だ、だって今まで何度誘ってもお城に来てくれたことなんて!」

魔姫「ここに来れば女王に拘束されるのが分かり切ってたからですわよ」

エルフ女王「お茶会以上は駄目って言うんだもの。もっと色々経験して欲しいのにー」

エルフ「じゃあママがさっき、『行ってしまうのね』とか言ってたのは……」

魔姫「お食事会、お風呂会、パジャマパーティー……。付き合ってられませんわね」

エルフ「ええ……」
111 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 22:05:31.11 ID:eMC+wGAP0
エルフ「ていうか本くらい別に私に頼めば……」

魔姫「……続きが早く読みたかったんですのよ」

エルフ「……そ、そんな理由で」ヘナヘナ

魔姫「わ、私にだってそういう時くらいありますわ」

エルフ「うぅ……私の誘いって本以下なの……」

魔姫「――その様子だと、贈り物の方には気付かなかったようですわね」

エルフ「へっ、贈り物?」

魔姫「ええ、ほんのささやかな物を。あなたが持ち帰ったデカコインの地金で作らせてもらいましたの」


112 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 22:10:12.43 ID:eMC+wGAP0

エルフ「ええっ!? 魔姫さんが私にお手製のプレゼントですかっ!?」

魔姫「お手製といっても、手伝ってもらってですわ」

エルフ「あ、あの外でごろ寝してたドラゴン……」

魔姫「最初はてっきり、それが気に入らなくてぶたれたのだと思いました」

エルフ「……あっ!ご、ごめん!ごめんなさい! 私の勘違いで酷い事……」

魔姫「別に気にしてませんわ」

エルフ「……ほんと?」

魔姫「直後にあんな恥ずかしい告白を受けたんですもの。何でも許せるというものですわ」

エルフ「っ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」バンバンバンバン
113 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 22:13:32.73 ID:eMC+wGAP0

エルフ「で、でも何で急にプレゼントなんて。誕生日とかでもないし」

魔姫「それは……」

エルフ女王「ふふっ」ニコッ

魔姫「ただの気紛れですわ」

エルフ「ふーん……。あっ、もしかして友情の証とか!」

魔姫「どう受け取ってくれても構いませんわよ」

114 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 22:17:26.77 ID:eMC+wGAP0

エルフ「そういう事なら急いで取りにいかないとっ!」 

魔姫「急がなくても無くなったりしませんわ」

エルフ「いえ、魔姫さんお手製ならありえなくも……」

魔姫「ありえませんわよ」

エルフ「ふっふ〜ん〜!魔姫さんの真心こもったプレゼント〜!」タタタッ

魔姫「まったく、本当に調子のいい子ですわね」

エルフ「ほら魔姫さん早くっ!」

魔姫「ええ、今行きますわ」



魔姫「退屈が懐かしくなるような毎日へと」




おわり
115 : ◆Rh0rNJwWGY [saga]:2022/10/30(日) 22:20:42.42 ID:eMC+wGAP0
無理やり終わらせた自覚はある。すまんかった
安価捌いてss書くのって難しい…

ここまで読んでくれた方はありがとうございました
依頼出してきます

116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/30(日) 22:56:34.77 ID:wvITTfvXo
続いてほしかったが乙
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/11/01(火) 10:08:32.46 ID:wRFhoUwWo
おつおつて
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