にこ「タンポポのように」【ラブライブ】

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1 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:01:19.20 ID:WCLx44Po0
「ママー、みてみて! タンポポのはながさいてるー!」

「あら本当ね」

「きれー」

「うふふっ、まるでにこちゃんみたいね」

「にこみたい?」

「そうよ。花が開いてニッコリ顔を見せてるとこがそっくりね」

「わぁー!」

「だからにこちゃんも、このタンポポの花みたいに笑顔の似合う娘でいてね」

「うん!」
 
 
「にこ、ニッコリえがおがにあう、げんきなこでいる!」

…………………………
……………………
………………
…………
……

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1684501278
2 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:03:21.84 ID:WCLx44Po0
「……」

カタカタ

「……」

アイドル総合掲示板

「……」

クリック

「……」
 
 
私達、新米アイドルでぇーす!
 
 
「……ふぅ」

カタカタ、カタカタ
 
 
アイドル舐めんじゃないわよ!
 
 
「ふっ」

書き込む↖

「ふふっ」

ガチャッ

「!」
3 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:03:54.23 ID:WCLx44Po0
希「いるんやったら電気くらい付けな」

にこ「の、希!?」

希「目、悪くするよ」

にこ「お、驚かせるんじゃないわよ!」

希「鍵掛かってなかったからなぁ」

にこ「せめてノックくらいはしなさいよ!」

希「したよ」

にこ「嘘!」

希「嘘や」

にこ「ぐっ」

希「で、にこっちは何やってるん?」
4 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:04:21.59 ID:WCLx44Po0
にこ「調査よ」

希「調査?」

にこ「最近の目まぐるしいアイドル界に、どういったアイドル達がいるか調査してたのよ」

希「電気も付けずに」

にこ「そこはどうでもいい」

希「ええんかい」
5 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:05:01.14 ID:WCLx44Po0
にこ「それで希は何の用よ」

希「あぁ、生徒会からのお知らせを持って来たんよ」

にこ「お知らせ?」

希「来週の月曜日の放課後にやるクラブ紹介のお知らせ」

にこ「アイドル研究部、出れるのね」

希「出れるからにこっちに知らせに来たんやけど」

にこ「部員一人だけなんだけど」

希「ちゃんと部として認められてる証拠やな」

にこ「何スピーチすればいいのよ」

希「そこは自分で考えてなぁ」

にこ「頭が痛いわね……」
6 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:05:41.63 ID:WCLx44Po0
希「ほな、用は済んだからウチはこれで」

にこ「へいへい」

スタスタ

希「あっ、せやにこっち」

にこ「まだなんか用があるの?」

希「部室でパソコンを使用するのはいいけど、あんま他のアイドルへの誹謗中傷はやめときや」

にこ「!」

希「一応、学校の備品やねんからな」

にこ「わ、分かったわよ」

希「分かったらええわ」

にこ(希は侮れないわね)

希「ほなね〜」
7 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:06:28.41 ID:WCLx44Po0
にこ「……」
 
にこ(ったく)

にこ「……」
 
 
アイドル舐めんじゃないわよ!
 
 
にこ「ふう」
 
 
アイドル舐めんじゃな|

アイドル|
 
 
にこ(バカバカしいわね)

にこ「……はぁー」
8 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:06:58.23 ID:WCLx44Po0
自分で立ち上げ――

自分で壊した――

それがこの学校にあるアイドル研究部の現状である。

在籍たった一名――

やることは一人でアイドルグッズ眺めたりライブDVDの観賞。

あと、パソコンで他のアイドルへの悪口とかを書き込んだり、

正直、部活としての体をなしているとは思えない。

だけど、いつまでもこうしているワケにもいかない、この現状を変えれるのは私だけ!

そう、私だけ……
9 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:07:54.54 ID:WCLx44Po0

 
 
にこ「アイドル研究部でーす」

「……」

にこ「私と一緒にアイドルやりませんかー?」

「……」

にこ「にっこにっこにー♪」

「くすくす」

「何あれ?」

「恥ずかしくないのかしら?」

にこ(恥ずかしいに決まってんでしょーが!)
10 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:08:37.81 ID:WCLx44Po0
にこ「そこのあなた! 私とアイドルやらない?」

生徒H「えっ、アイドル?」

生徒U「なんなのですかいきなり」

にこ「だから、このにことアイドルやるやるために、アイドル研究部に入らないかってこと」

生徒K「ど、どうする?」

生徒H「アイドルかぁ〜」

生徒U「丁重にお断りします」

にこ「なぬっ!?」

生徒U「アイドルには興味ありませんので」

にこ「ぬぬぬっ」
11 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:09:18.29 ID:WCLx44Po0
生徒U「そもそも、あんなヒラヒラな衣装着て踊るなんて、破廉恥極まりないことです」

にこ(こいつは何考えてんだか)

にこ「じゃあ、あとの二人は?」

生徒H「私もいいかな」

生徒K「私もパス」

にこ「そう、じゃあもう良いわよ。あっち行きなさい」

生徒U「いきなり呼び止めといて常識の欠片もない人ですねぇ」

生徒K「まあまあ」

生徒H「それで部活はどうするの?」

生徒U「私は弓道部に入ります」

にこ(後で入れてって言ってきても入れてあげないわよ!)
12 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:09:53.41 ID:WCLx44Po0
にこ「アイドルやりませんかー!」

「……」

にこ「アイドル!」

「……」

にこ「今なら入会特典として、にこのサイン要りグッズが付いてくるわよ」

「……」

にこ「この期にさぁ!」

「……」

にこ「なんで誰も反応しないのよ!」

「まあまあ、そう怒らないの」

にこ「あら、絵里じゃない」
13 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:10:33.93 ID:WCLx44Po0
絵里「どう? 上手くいってる?」

にこ「いってる用に見える?」

絵里「見えないわね」

にこ「何しに来たのよ」

絵里「生徒会として強引な勧誘とかがないかチェックしてるのよ」

にこ「冷やかしに来たワケじゃなさそうね」

絵里「いやいや、そんなことしないわよ」
14 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:11:02.31 ID:WCLx44Po0
にこ「なんで誰も私に見向きもしないのよ?」

絵里「アイドルに興味ない、とか?」

にこ「この前の部活紹介でのスピーチは手応え抜群だったわよ」

絵里「とりあえず拍手くらいはね」

にこ「おかしいわね」

絵里「流石にあの『にっこにっこにー』にはクスクス笑い声がしてたけど」

にこ「ギャグじゃないわよ!」

絵里「分かってるわよ」
15 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:11:42.68 ID:WCLx44Po0
にこ「あんた、アイドル研究部に入らない?」

絵里「生徒会があるから無理よ」

にこ「兼任しなさいよ」

絵里「そこまで器用に立ち回れないわ」

にこ「くそっ」

絵里「まぁでも、新入生が入ってくれたら、私がいなくてもやってけるでしょ?」

にこ「入るように見える」

絵里「待てば海路の日和ありっていうでしょ」

にこ「どういう意味だっけ?」

絵里「えっと、今はノーチャンスでも耐えて待っていたらチャンスは訪れるって意味だったかしら」

にこ「賢いわね」

絵里「賢い可愛いエリーチカだかね」

にこ(何それ)
16 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:12:11.96 ID:WCLx44Po0
絵里「それとにこ」

にこ「何よ」

絵里「ゴールデンウィーク明けに部活のPV撮るから」

にこ「またやるの?」

絵里「毎年やるのよ」

にこ「一人しかいないわよ」

絵里「活動してる以上はやる決まりよ」

にこ「分かったわよ。ちゃんと可愛く撮りなさいよ」

絵里「はいはい。それじゃ、頑張ってね」

にこ「へいへい」

にこ(PV撮影かぁ……それまでになんとか部員を増やさなきゃね)
17 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:12:40.86 ID:WCLx44Po0

 
 
●REC

 
「えっ、もう撮ってる!?」

「……」

「こほん」
18 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:13:16.51 ID:WCLx44Po0
にっこにっこにー♪

アイドル研究部部長の矢澤にこでーす♪

今日はPV撮影の為に張り切っちゃうわよ♪

今、私は自分の可愛さを引き立てるためにぃ、花壇に来ています。

この花壇に咲く花みたいにぃ、アイドルとしてのにこも綺麗に咲き誇りたいなぁ♪

だけど、部員はにこ一人なの……

くすん、寂しい

でもでも、にこはアイドルになる為なら負けないから、一人でも頑張って見せる♪

そんなにこを応援して、もしこのPVを観てアイドルに興味持ったならぁ、

にこと一緒にアイドルやろ♪

ふふっ

以上、アイドル研究部部長の矢澤にこでした。

にっこり♪
 
 
■STOP
 
 
にこ「どうよこんな感じで」
19 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:14:04.32 ID:WCLx44Po0
希「……」

絵里「……」

にこ「黙ってないで何か言いなさいよ」

希「なんて言うか……」

絵里「い、痛いわね……」

にこ「あぁ!?」

絵里「ごめんごめん!」

にこ「いやいいわよ。自分でも痛いって分かってるし」

希「分かってるんや……」
20 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:14:35.54 ID:WCLx44Po0
にこ「こんなPV撮ったからって新入部員が来るかどうか」

絵里「そうネガティブにならないの」

にこ「なってないけど、現実誰も入って来なかったし」

希「時期が悪いのかも知れんし」

にこ「それなら年がら年中、悪い時期ばっかりが続くわね」

希「にこっち……」
21 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:15:26.90 ID:WCLx44Po0
にこ「まっ、やるべきことはやったから、もういいわよね?」

絵里「えぇ、協力に感謝するわ」

希「ありがとうな」

にこ「さてと、片付け……」

絵里「にこ」

にこ「あん?」

絵里「新入部員。入ると良いわね」

希「応援してるよ」

にこ「……ありがと」
22 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:16:13.91 ID:WCLx44Po0
新入生が入学して一ヶ月、ほとんどが部活の所属先を決めてるのに、アイドル研究部には人っ子一人も来ない。

もしかして、アイドル研究部って認知されてないのかしら?

部活紹介のスピーチは上手くいったけど、チラシ配りに至っては不発――

やっぱり、最初からダメだったのかしらね……

って、弱気になるんじゃないわよ!
23 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:16:54.65 ID:WCLx44Po0
にこ(やることないし、片付けて帰りますか)

にこ「はぁー」

クシャ

にこ「ん?」

にこ(なんか踏んだ……)

ソローリ

にこ「あっ」
24 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:17:28.54 ID:WCLx44Po0
煉瓦が積まれて作られている花壇の枠の外、

あんまり目立たないような位置に、一輪のタンポポが元気よく咲き誇っていた。

所々、踏まれた形跡はあるものの、なんということもなく咲いていた。

まぁ、花壇の花を踏み荒らした騒ぎにはなるだろうけど、
地面に咲いている花が踏み荒らされたところで誰も騒ぎはしないわね。

タンポポかぁ――
25 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:18:11.15 ID:WCLx44Po0
「まるでにこちゃんみたいね」
 
 
小さい頃、タンポポを発見した私にママがそんなことを言っていたような……記憶が曖昧でその前後はよく分からないけど、なんかそう言ってたのは覚えいてる……

あまり深い意味はないのかもだけど、

今の自分に例えたら、そうなのかもしれない。

 
花壇で咲いている綺麗な花より、花壇の外で目立たずひっそり生えてる雑草がお似合いね――
 
 
てな、感じでね。
26 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:18:53.14 ID:WCLx44Po0
あっ――

なんかそんなこと考えてたら、目が潤んできた。

やばい、やばい!

ネガティブになってる。

……

よしっ!

私も花壇で咲き誇れるように、新入部員が来るまで諦めないわよ!
27 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:19:19.73 ID:WCLx44Po0

 
 
そして月日は流れ、気が付けば一学期が終わり二学期に突入――

その間、新入部員は誰も来ずに放課後は一人、相変わらず部室に入り浸ったまんまの日々――

絵里から待てば海路の日和ありとは言われたけど、

待てども待てども待ち人来たらずじゃないのさ。

あぁ、そういや二学期になって新しい生徒会長が決まったんだった。
 
 
あの絵里が生徒会長、希が副会長になっていた。
28 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:19:45.16 ID:WCLx44Po0
にこ「ったく」

にこ(呼び出しってなんなのよ)

にこ「ふぅ」

コンコン

絵里「はい」

にこ「アイドル研究部部長、矢澤にこが来たわよ」

絵里「どうぞ」

ガラガラ

にこ「失礼します」
29 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:20:35.80 ID:WCLx44Po0
絵里「呼び出して悪かったわね」

にこ「いいわよ。どうせ暇だし」

希「まぁ、一人やもんね」

にこ「んで、わざわざ呼び出すなんて、なんか重大なことなの?」

絵里「この前提出してもらった部の活動報告についてだけど」

にこ「あぁ、あれ。なんか問題でもあるの?」
30 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:21:09.64 ID:WCLx44Po0
絵里「内容を拝見したけど、ほとんど遊んでばかりの内容ね」

にこ「一人しかいないんだからしょーがないにしても、遊んでばっかりとは心外ね」

絵里「〇〇のライブDVDを観賞した。◎◎のグッズを揃えた」

希「●●のアイドルをバカにするような書き込みをした」

にこ「そんなこと書いてないわよ!」

希「冗談や」

にこ「ったく」

にこ(いや、書き込みしたことあるけど……)

にこ「アイドルを研究してる部活なんだから、別に変じゃないでしょ」

絵里「変じゃないけど、もっとこうちゃんとした活動実績とかないの?」

にこ「あるワケないじゃない。アイドルの大会とかないんだし、実績作りとか無理に決まってるじゃない」
31 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:21:50.04 ID:WCLx44Po0
絵里「はぁー」

にこ「そんなに私が提出した報告書に不満があるの?」

絵里「私と希は別に不満があるってワケじゃないけど」

にこ「なんなのよ」

希「んー、この活動内容やと下手したらアイドル研究部への来年度の部費が出ないかも知れんのよ」

にこ「はぁ?」

絵里「ほら、去年の部長会議覚えてるでしょ」

にこ「会議?」

にこ(はてな)
32 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:22:33.39 ID:WCLx44Po0
希「去年アイドル研究部の部費決めるとき、他の部と揉めたやん」

にこ「んっ……あぁ、思い出した。確かに色々と揉めたわね」

絵里「部員一人しかいない部にアイドル研究部が希望する額の部費を出すのはどうなのかって」

にこ「まぁ、確かに」

絵里「活動報告の方は部活が出来て初年度だし、講堂でライブをやったりしたからで実績は作れたけど」

希「今年度、現在に至ってはなんもやってないやん」

にこ「何もってことはないけど……」
33 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:23:25.39 ID:WCLx44Po0
希「他の部からしたら、アイドル研究部はなんの活動してるかよく分からん部なんよ」

絵里「この活動報告書を読めば、誰だって遊んでるようにしか思えないわよ」

にこ「体育系の部活はまだしも、文化系の部活はどうすんのよ」

希「そっちは文化祭で活動発表の展示したりしてたから、まぁそれが実績としては認められてる」

絵里「ちなみにアイドル研究部は文化祭で何やったの?」

にこ「えっと……」

にこ(あれ、何やったっけ?)

にこ「うん、と……ちょっと最近、物忘れが酷くなったかしら?」

絵里「そりゃ何もやってないんだもの」

希「思い出せるワケないわな」
34 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:23:52.29 ID:zKgI0kkS0
にこ「ど、どうしよ……」

希「どうって言われてもなぁ」

絵里「難しいわね」

にこ「生徒会長でしょ? なんか良い案ないの?」

絵里「生徒会長だからって、にこの肩を持つことは出来ないわよ」

にこ「なんでよ」

希「ウチらにこっちと仲良いから、にこっちを贔屓にするんちゃうかなって、他の部の人達から思われてるんよ」

絵里「だから、これに関しては何もフォローは出来ないわ」

にこ「くっ」
35 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:24:21.74 ID:g67Ahcu10
希「ちなみに部長会議は来月やからね」

絵里「それまでに何とか頑張りなさい」

希「活動報告書は会議までに出してくれたらええから」

にこ「わ、分かったわよ」

にこ(マジ、どうしよう……)
 
にこ「失礼しました」

ガラガラ

にこ「に、にごぉ……」

にこ(なんとか実績作らなきゃ!)
36 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:25:19.54 ID:WXXJq2wt0
それから一ヶ月の間、色々と思案した結果……

特に何も思い付かなかったにこー!

いやマジで……

もうこうなりゃヤケクソ、捨て身の覚悟で部長会議に出席したわ。

どうなったかって?

周りから色々ボロカスに言われて、精神が参ってしまったわよ……

だけど、ちゃんと来年度の部費はゲットしたわ!

想定していた額の半額以下だけど……

まぁ、ないよりはマシでしょう。
37 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:25:47.62 ID:WXXJq2wt0

 
 
冬休みのある日――

家に居てのんびりしてたら「散歩に行こ」って妹達に誘われた。

外は寒いけど、可愛い妹達の頼みだから仕方ない。

というワケで近所をぶらぶら散歩することにした。
38 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:26:14.09 ID:WXXJq2wt0
ここあ「へっくしゅん!」

タラーリ

ここあ「んあー」

にこ「あぁ、もうほら鼻かんで」

ここあ「ずびー」

にこ「大丈夫?」

ここあ「うん」
39 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:26:51.65 ID:WXXJq2wt0
こころ「ここあ。しっかりしなきゃダメ」

虎太郎「しっかりー」

ここあ「わかった」

にこ「寒いし、そろそろ帰るわよ」

ここあ「もう帰るの?」

にこ「風邪引くと厄介だからよ」

虎太郎「えー」

ここあ「もーすこし、ねっ」

こころ「二人とも、わがまま言っちゃダメ!」

ここあ「はーい」

虎太郎「ういー」
40 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:27:42.71 ID:WXXJq2wt0
にこ「じゃあ帰ったらアイドルのライブDVD鑑賞会でもやるわよ」

こころ「おねえさまのですか!?」

にこ「あっ、いやぁ……」

ここあ「おねえちゃんのじゃないの?」

にこ「あー、その……お姉ちゃんのはまだよ」

虎太郎「ざんねーん」
41 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:28:29.10 ID:WXXJq2wt0
にこ「まぁ、今は色々と練習してるから、いつかは観せれるとは思うわよ」

ここあ「わー」

こころ「たのしみです!」

虎太郎「うーん」

にこ「それまで、良い子にしてなさい」

三人「はーい!」

にこ「よーしよしよし」

にこ(何言ってんだか私は……)
42 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:29:03.98 ID:WXXJq2wt0
こころ「今日はなんのDVDをみるんですか?」

にこ「□□にする?」

ここあ「■■は?」

にこ「じゃ、それにしよっか」

ここあ「うん」

にこ「鑑賞会やるんだから、おやつ買って帰ろっか」

虎太郎「やったー」
43 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:29:52.69 ID:WXXJq2wt0
にこ「何食べたい?」

ここあ「んと、シュークリーム!」

こころ「チョコレート!」

虎太郎「わがしー」

にこ(みんな食べるのバラバラね……)

にこ「よーっし、お姉ちゃんが奢ってあげるわ」

こころ「だいじょーぶですか?」

にこ「あんた達の為なんだから大丈夫に決まってるでしょーが!」

にこ(ホントはヤバいけど……)
44 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:30:42.08 ID:WXXJq2wt0
ここあ「ありがと、おねーちゃん」

こころ「ありがとうございます」

虎太郎「あーあと」

にこ「わっはっはっはっはっ」

にこ(年末に短期でバイトでもしよっ)

にこ「んじゃ、行くわよ!」

三人「おー!」
45 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:31:35.22 ID:WXXJq2wt0
にこ「♪〜」

ここあ「♪〜」

こころ「♪〜」

虎太郎「あー」

にこ「どうしたの虎太郎?」

虎太郎「あれ?」

にこ「電信柱がどうかしたの?」

虎太郎「そのしたー」

にこ「?」
46 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:32:18.36 ID:WXXJq2wt0
ここあ「草……かな?」

こころ「花でしょうか?」

にこ「あぁ、これタンポポよ」

虎太郎「たんぽぽ?」

こころ「きいろい花のやつですよね」

にこ「そうよ」

ここあ「でも、なんかシナシナだよ」

にこ「冬だから冬眠でもしてるんじゃない?」

虎太郎「おきろー」

ツンツン

にこ「こらこら、そういうのは手が汚れるから触っちゃダメ」

虎太郎「はーい」
47 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:32:46.46 ID:WXXJq2wt0
ここあ「こんなとこで咲くなんて、めずらしいね」

にこ「タンポポってそこら辺に生えてるものよ」

こころ「そうなのですか?」

にこ「えっ、うん。割りとアスファルトの割れ目とかに、ひっそり生えてるもんよ」

虎太郎「ふーん」

にこ「今はこうやってしなれてるけど、春になったら黄色の花を咲かすのよ」

こころ「おねえさま、ものしりですね」

ここあ「タンポポ博士だ!」

虎太郎「すごーい」

にこ「ふふーん!」

にこ(タンポポのこととか良く分かんないけど……まっ、いっか)
48 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:33:19.00 ID:WXXJq2wt0
にこ「さっ、早くおやつ買いに行くわよ」

こころ「そうでした!」

ここあ「いっぱい買うぞー」

虎太郎「おおー!」

にこ(財布が空になりませんように!)
49 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:33:44.38 ID:WXXJq2wt0

 
 
時の流れは早いと言うか残酷と言うか、気が付けば桜が満開、そして私は三年へと進級――

別に留年の危機とかはなかったけど……

さて、春ということもなると当然やって来るであろう新入生!

なんか今年は1クラスと偉く少ないわね。

まっ、いいわ。

新入生が入ったということは部活動の勧誘が行われる。

別に今さら新入部員とかいらないんだろうとは思うけど、とりあえずやるだけはやってみよっかな――
50 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:34:44.18 ID:WXXJq2wt0
にこ「アイドル研究部でーす」

「……」

にこ「私と一緒にアイドルやりませんかー?」

「……」

にこ「にっこにっこにー♪」

「寒いですね……」

「痛そう」

「見てらんないわね」

にこ(やかましい!)
51 : ◆cCdqIB5XEY [sagesaga]:2023/05/19(金) 22:35:29.57 ID:WXXJq2wt0
にこ「そこのあなた! 私とアイドルやらない!?」

生徒M「はぁ? そんなのやるワケないでしょ」

にこ「アイドルに興味あるわよね!?」

生徒M「ないわよ」

にこ「それじゃあもういいから、あっち行きなさい!」

生徒M「何よ呼び止めといて、失礼しちゃうわね」
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