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デジタルモンスター研究報告会 season2 後編

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753 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/12(火) 22:39:59.55 ID:u0sxTrbTo
その時。

デジタル空間に、大きなゲートが開いた。

そして、その中から大きなデジモンがのっしのっしと這い出てきた。

『ウバシャアアアアアアアア!!!』

そのデジモンは、超高圧の水流を噴射し、ケンキモンからプラチナスカモンを洗い流した。

「グヒャーーー!?」

水流で剥がれたプラチナスカモン。

「な、なんだ!?俺様の見せ場をよくも…!」

そのデジモンは…

「ンバアアァ」

大きな口で、プラチナスカモンをばくんと丸呑みにした。

『む…!?』

「水銀になろうと…粘菌デジモンは、こいつの大好物だ。指示がなくとも…最優先で狙う!」

そ…
その声は!
754 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/12(火) 22:42:04.63 ID:u0sxTrbTo
「お前が使った手に…今度はお前自身が苦しめられろ!AAA!」

け…ケン!
来てくれたんだな!

「お待たせメガ。連れてきたよ。ドーガモンを…そして、こいつを!」

『ウバシャアアアアアアアア!ゴアアアア!』

デジタル空間内に解き放たれたモリシェルモンは、周囲に蠢いている二足歩行の餌達を見て大喜びし、咆哮を上げた。
755 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/12(火) 22:42:32.80 ID:u0sxTrbTo
続く
756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/12(火) 22:44:48.18 ID:wW2J4j/Bo

なるほどモリシェルモン問題をここで解決したか
757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/12(火) 22:47:18.69 ID:r4FeTMSG0

前回のピンチを逆に利用したか
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/12(火) 22:47:59.91 ID:eiGfcAUe0

熾烈なMPK合戦だ
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/13(水) 00:03:27.66 ID:XAihZnZI0
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/16(土) 16:52:13.14 ID:gdqdyO2Jo
もうそろそろAAAにちゃんと勝てれば良いな
761 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 20:01:23.70 ID:QUG87C/oO
〜ケン視点〜

「ウシャバァアアア!!」
モリシェルモンは、貝殻に籠もると、回転して浮きながら、周囲の蛮族デジモン達へ突撃した。

シャーマモンやコエモン達が撥ね飛ばされている。
「ウギャァーーー!」

柔らかいワームモンへ一撃で致命傷を与えたモリシェルモンの回転タックル。
成長期の蛮族デジモン達は、その威力を一撃食らっただけで再起不能になっていた。

パルモンの花粉を、涙や鼻水で少しずつ洗い流している蛮族デジモン達は、視界がきくようになってきたのか、回避行動を取り始めた。

ドリモゲモンは、頭部のドリルでデジタル空間の地面に穴を掘って潜った。

目を擦りながら薄目を開けているフーガモンは、シマユニモンの手綱を引き、「とにかく離れろ」と言わんばかりに方向を指示をしたようだ。

フーガモンを乗せたシマユニモンは、その方向へ猛スピードで駆け出した。
どうやらシマユニモンには花粉があまり効いていないらしい。
https://i.imgur.com/9ZFlmF4.jpg
目がバイザーで覆われているため、鼻水は出るが涙で目が見えなくなることはないらしい。

モリシェルモンは、ケンキモンには攻撃してこない。
見るからに鉄の塊であり、食えそうにないからだろう。

…さて。
モリシェルモンは本命じゃない。
本当に連れてきたかったのは、デジヴァイスの制御システムを管轄してるドーガモンだったね、確か。

https://i.imgur.com/vtbqrA3.png
『お オレサマか』

ドーガモンがきょろきょろしているが、メガが答えた。
「そう。いずれパルモンの目潰しは効力を失う。そうしたら、このドーガモンが数の不利を補ってくれる。決定力はないけど、いるといないとでは絶対違うはずだよ、ケン」

分かった。
それで、そのドーガモン戦法はすぐにできるのか?

「いいや、デジモンの映像をドーガモンに視聴させて、それを教師データにして3分ほど深層学習させる必要がある。それまでは…モリシェルモンとケンキモンに時間を稼いでもらおう」

なるほど…!
ケンキモン、モリシェルモンと一緒にできるだけ蛮族デジモンを減らしてくれ!

すると、デジヴァイスからブイモンの声がした。
「お、おれも…いくよ! ワームモンの…か、かたきだ…!」

…無茶するなブイモン。
膝が震えてるよ。

それに今は、モリシェルモンが敵味方の区別なく暴れている。
ケンキモンみたいな明らかな無生物型デジモン以外は巻き添えを食らうよ。

「…そうかよ…」

君にはきっと然るべき出番で役割があるはずだ。

「…ねえんだろ、どうせ…オイラみたいに、バカであしひっぱってばかりのザコには…」

そ、そんなことないって…!
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 20:02:49.96 ID:W6ECuDjro
ブイモン…
763 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 20:13:10.19 ID:QUG87C/oO
「シャオオオォ!」
モリシェルモンは、キンカクモンに向かって水流とともに小さな貝殻の弾丸を発射した。

「チクショウガァ!」

仮面で素顔を覆い隠しているキンカクモンにも、花粉は効いているようだ。
だが、どうにかして金棒を振り、貝殻を打ち返そうとする。

貝殻に金棒がかすったようだ。
軌道を反らしはしたが、打ち返せてはいない。
貝殻の弾丸は、隣りにいたセピックモンの大きな仮面に当たった。

「ウキイィ!?」

貝殻はセピックモンの仮面に突き刺さり、びしびしとヒビを入れた。

凄まじい威力だ…!
キンカクモンとて、まともに食らったらただでは済まないだろう。


そこへ…
ケンキモンが突っ込んできた。
片方のキャタピラーがガタガタと不安定に揺れている。
プラチナスカモンの水銀ボディで若干溶かされたせいで、走行しづらくなっているらしい。

ケンキモンは、まだ花粉が効いているうちにキンカクモンを仕留める気だ!

右手の穴掘建柱ドリルを、キンカクモンに向かって突き出した!

キンカクモンはドリルを金棒でガードした。
「ヌウゥゥゥ!」

キンカクモンはケンキモンから距離を取る。
まだぶつかり合うのは不利だと悟ったようだ。
キンカクモンは仮面を外し、手で目を擦っている。

カリアゲがガタッと身を乗り出した。
「うおっ…美人さんだ…!敵じゃなけりゃあなぁ…!」

いや、おそらく蛮族デジモン達は、猿型デジモンがAAAからの影響を受けて人に似た姿に収斂進化したデジモンだ。
敵じゃなかったら人の姿に近付く機会すらなかったはずだ。

「おお、そっか…今はそんな解説してる場合じゃないと思うけどな!」

それはそう。
私の悪い癖だなぁ…
764 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 20:14:57.10 ID:W6ECuDjro
やはりある程度の言葉を覚えているか
765 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 20:25:36.91 ID:QUG87C/oO
ケンキモンは、巨大なボディで強力なパワーを発揮して戦っている。 

その動力源は、ケンキモンのコクピットに搭乗している「本体」が体内で発電した電気と、ケンキモンの予備バッテリーに充電していた電気の二つだ。
現在のケンキモンは、それら二系統の電力を同時に使ってオーバーロードしているから、本来のDPを超えたパワーを出せる。

だけど、いずれ予備バッテリーの電力は尽き、パワーが半減してしまうだろう。
そうなる前に、ケンキモンは短期決戦で強力な敵を仕留めようとしている。

距離を取ったキンカクモンに詰め寄ろうとして、脚部のキャタピラー(無限軌道)をぶん回そうとするケンキモン。
その時。

『今だ…やれ!』

突如、ケンキモンの脚部のキャタピラーの履帯がバチンと切れた。

な…なんだと!?
プラチナスカモンに溶かされたとはいえ、破断するほどのダメージは負っていなかったはずだ!
どうして!

ケンキモンの足元には何かがいた。
それは…

3体の、蟹型デジモン…ガニモンだった。
くそっ、こいつらがハサミで履帯を切断したのか…!

だけど、ガニモンはこんなに細かい命令を聞いて実行できるデジモンじゃないはずだ…!
なぜこんなに命令に従うんだ。

それに、花粉は効いていないのか…!?

…いや、効いてる!
目からドバドバ涙を流していて、目が真っ赤に痛々しく充血している!
物凄く辛そうだ!

フローティア島では、ガニモンは花粉をくらったら視界が効かなくなって海へ逃げていったはずだ。

このガニモン達、おかしいぞ…
蛮族デジモン達ですら耐え難い目の激痛と痒さに襲われているのに、なぜこんなロボットのように忠実に命令をこなせるんだ!?
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 20:26:29.03 ID:n0ifzAFQ0
かわいそ…
767 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 20:37:35.68 ID:QUG87C/oO
「どけ!」

ケンキモンは、鉄骨カッターを振ってガニモンを打ち払った。

ぶっ飛ばされたガニモンは仰向けにひっくり返る。

ん…?
ガニモンの腹部になにかついている…!

こ、これは…
ズルモン!

粘菌デジモンのズルモンが、ガニモンの腹部に潜り込んでいる…!
寄生してるのか!?

ガニモンは、あの寄生ズルモンに操られていた…!?

リーダーは驚いた。
「なんだと…!?今まで見てきた粘菌デジモンに、寄生する性質は無かったはずだ!どうやってあんなデジモンを作り出した!?」

クルエは寄生ズルモンにドン引きしながら答えた。
「どうって…どうにかしたんじゃないですか…?亀のデジモンを剣や盾への変形デジモンにできる奴らですよ、これくらいやってきそうですが…」

「だが…自然界にいるデジモンの中には、寄生性のデジモンは居ない。パッチ進化やジョグレス進化をしたとしても…、寄生して栄養を吸うだけならともかく、宿主を操る能力を獲得するように人工進化させるなど容易いことではないぞ…!」
768 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 20:40:13.56 ID:W6ECuDjro
数も多い上に何でもありかクラッカー側
769 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 20:51:28.87 ID:QUG87C/oO
リーダー。
心当たりがあります。

「フクロムシ」…という寄生虫を知っていますか?

「…ああ。知っている。カニに寄生して、体を乗っ取って操ってしまう生物だな。デジタルワールドでは、そのニッチに該当するデジモンは見つかっていなかったはずだが…」

そのフクロムシは…
フジツボの近縁種なんです。

「フジツボ…海岸の岩にくっついてるヤツらか」

はい。
フクロムシはフジツボと同系統の、蔓脚類という甲殻類です。

フジツボがカニの腹部にくっつくようになったものが、寄生能力を得るように進化した生物。それがフクロムシです。

そして、デジタルワールドにはフジツボによく似たデジモンがいます。

『フジツモン』…。
ピチモンから進化して、ガニモンへ進化する幼年期レベル2デジモンです。

「フジツモン…たしかタコ型デジモンのオクタモンの頭部にくっついてたり、岩にくっついたりして水中を漂う生ゴミの粒を食っている幼年期デジモンだな」

はい。
クラッカーはおそらく、粘菌デジモンのズルモンを、こともあろうにガニモンの進化前の姿であるフジツモンとジョグレス進化させたんです。

そうして、現実のフクロムシの進化を辿らせて、それに酷似した性質を持った寄生性ズルモンを作り上げたんです!

「…そうか…!『どんなデジモンにも寄生して操れるズルモン』を作ろうとした場合、寄生対象となる宿主デジモンの神経系統を乗っ取れるような遺伝子を作り上げなくてはならない…そんなことはとうてい不可能だ。だがいずれガニモンへ進化する遺伝子を持った幼年期のフジツモンをベースにして寄生デジモンを作ることで、ガニモンの神経系統を乗っ取れる遺伝子を獲得したということか!」

きっとそうです。
ガニモンの神経系統を乗っ取れるようにしたいなら、ガニモンの遺伝子を持った寄生デジモンを作ればいい…ということです。

「理屈は分かるけどよぉ…そんなことやるかフツー!?どんだけ性格悪いんだよAAAのヤツ!」
カリアゲは悪態を付いている。
気持ちは分かる。

…AAAのデジドローンから声がした。
『…何だ?今のお前…ガニモンの腹部を一目見ただけで、私が寄生ズルモンを作り上げた手段を一瞬で言い当てたのか?』

だったら何だ!

『…お前、私と手を組まないか?クラッカー側に来いよ』

行くわけ無いだろ!
770 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 21:03:12.92 ID:QUG87C/oO
『そうか…仕方ない。おい、もうそのデカブツは用済みだ。片付けろ』

ん…?
AAAのデジドローンが、なにかへ指示をした。

「ウシャアアアア!」
モリシェルモンは、多数の蛮族デジモンに対して数の不利など知ったことかと言わんばかりに圧倒している。

シャーマモンを叩き潰して殺し、食わずに捨てて、新たな獲物を仕留めにかかっている。

モリシェルモンはヌメモン系統なので、腐敗した死骸でも平然と食う。
そのため獲物を仕留め次第逐次食うのではなく、とにかく殺せるだけ殺してから、それを巣に持ち帰ってじっくり食べる習性がある。腐り始めたものから…。

そうだ…
ズルモンは粘菌デジモンだ!
モリシェルモンの大好物!

ケンキモンは、足下の小さなガニモン達を相手にするのを手こずっているが…
モリシェルモンの興味を引ければ、腹部のズルモンごとガニモンを優先的に食ってくれるかもしれない!

ケンキモン、モリシェルモンの意識を引け!

ケンキモンは私の指示を聞き、ガニモンを一体モリシェルモンの方へ弾き飛ばした。

モリシェルモンをおびき寄せる気だ!

その時…
「ガアアアアアァァァ!?」
突如、モリシェルモンが悲鳴を上げた。
771 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 21:09:52.90 ID:QUG87C/oO
どうしたんだ、モリシェルモン!?

「ガアアアアアァァァ!ァガアアアァァァ!ゴバアアア!」

モリシェルモンは吐血した。
物凄く痛がっているようだ。
な、なんだ!?

『くっくっく…このデカブツを繰り出して、一杯食わせたつもりか?だとしたら興醒めするほどつまらんな。この私が…自分が使う手への対抗策を何も用意していないと思ったか!』

モリシェルモンはグルンと白目を向いた。
するとモリシェルモンの頭部が、メキメキと裂けて…
血飛沫をあげ、頭の中から何かが突き出した。

それは…
回転するドリルだ。

「ウウゥゥゥウ〜〜!!」

モグラ型成熟期デジモンのドリモゲモンが、モリシェルモンの頭部を突き破り、引き裂いてモリシェルモンの体内から出てきた。

モリシェルモンは、力なくうつ伏せに倒れた。

「ウゥーーーーー!!」
ドリモゲモンは雄叫びをあげている。


…そんな…。
あんなに強いモリシェルモンが、こんなに一瞬であっさりと仕留められた!
772 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 21:14:38.12 ID:QUG87C/oO
ドリモゲモンのDPは、モリシェルモンに比べれば遥かに低い。
だが、ドリルで地中にトンネルを作って掘り進む力を持つドリモゲモンは、ある意味モリシェルモンにとって天敵なんだ…!

途中からモリシェルモンの腹部の下へ、そのまま『掘り進んで』しまえば、モリシェルモンの体内へそのまま『トンネル』を掘り、内部から破壊してしまうことができる。

くそ…!
そんな手があったなんて!

『ついでだドリモゲモン!そこのガラクタを解体してやれ!』

「ウゥゥ〜〜!」
モリシェルモンを仕留めたドリモゲモンは地中に潜った。

ま、まずい…!
ケンキモンは今、キャタピラーは破損していて移動できない!

血中からドリモゲモンに攻撃されたら、回避できない…!
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 21:17:13.06 ID:qrMvnQFJo
命運もここまでか!?
774 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 21:21:31.03 ID:QUG87C/oO
ケンキモンは慌てている。

そのとき…

『ケンキモン オレといっしょに ドリモゲモンを たおすぞ』

チャットの文章を読み上げたような合成音声が聞こえて来た。

声がした方を見ると…
一体のデジモンがいた。

そのデジモンは…
見たことがないデジモンだった。
https://i.imgur.com/MNNSRQX.jpg

赤い帽子を被った、二足歩行の獣形デジモンだ。
成長期だろうか。
あ…あれは!?

メガが口を開いた。
「仮称ガンマ。蟹を煮る鍋の位置を検索したり、さっきチビマッシュモンの体内からマルウェアを検索したのがこの個体だよ」

仮称は分かりづらい!
名称を教えてくれ!

『オレは アプリモンスターズ計画 試作ロット第2号 ガッチモンだ!なんていってる ばあいじゃねえ! やるぞケンキモン ドリモゲモンを…ふたりでたおす!』

し…勝算があるのか!?

『まかせろ ディープサーチ!』
ガッチモンは、両手を地面にかざした。
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 21:23:54.85 ID:uCjdMN4a0
感情は豊かなようだ
これでお喋り出来れば楽しい奴なんだけどな
776 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 21:26:20.07 ID:QUG87C/oO
ガッチモンは、デジタル空間地下の地図データを生成した。
『よっしゃ ケンキモン これを!』

ケンキモンは、地図データを見た。
地中のどこにドリモゲモンがいるか、はっきりと映し出されている!

蛮族デジモン達が、いっせいにケンキモンの方へ向かってきた。
モリシェルモンが倒れた今、倒すべき敵はケンキモンただ一体ということだ。
花粉のアレルギー症状が引いた個体から、飛びかかってくる…!

ドリモゲモンの居場所を示すマーカーが、ケンキモンの真下へ来る…!

「そこだ!」
ケンキモンは、マーカーの位置へ向かって、穴掘建柱ドリルを突き出した!

回転するドリルはデジタル空間の地面を突き破り、地中を抉る。

「ウウウゥゥウウギャアアアアアアアアア!!!」

血飛沫と共に、ドリモゲモンの悲鳴がこだました。
777 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 21:27:13.93 ID:QUG87C/oO
続く
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 21:29:07.11 ID:n0ifzAFQ0

メガは有能なデジモン作ったな
779 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 21:29:52.74 ID:QUG87C/oO
>>774
間違えた
試作ロット第2号→第3号です
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 21:32:07.10 ID:OS5USrQ2o
戦局は膠着ってとこか
781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 21:38:11.43 ID:sF9aBeuM0
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 21:43:59.22 ID:NHUelWMX0

手札を出しまくる戦いだ
783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/18(月) 09:16:35.25 ID:UfnU4ilZ0
短いはずなのに長く感じる3分だ
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/18(月) 20:40:55.58 ID:bISmu9fZo
3分耐えれば勝てる保証があるわけでもないし辛い戦い
785 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 07:59:55.21 ID:ZRae2xG0o
ケンキモンが地面からドリルを引っこ抜くと…
ドリルには、胴体を貫通されているドリモゲモンがついてきた。

ケンキモンはドリモゲモンからドリルを引き抜き、ドリモゲモンを地面へ投げ捨てた。

『なんだと…!?貴様、どうやってドリモゲモンの位置を…!?』
AAAは予想外だったらしく慌てている様子だ。

「ウゥ…ゥウウ…!」
致命傷を受けたドリモゲモンは…
最期の力を振り絞って、デジタマを産んだ。

ドリモゲモンのデジタマか…
確保しておこう。
デジモンキャプチャーを使い、そのデジタマを隔離チェンバーへ送った。

だが、相変わらず敵は多い。
花粉アレルギーが治まった蛮族デジモン達が、ケンキモンに押し寄せてくる。

ズルモンに支配されたガニモン達も、再び脚部を狙ってくる。
四面楚歌だ…!

だが、ガニモン達は…
彼らのすぐそばに突如開いたデジタルゲートから伸びてきた、植物のツタのようなものに捕まった。
そして、デジタルゲートへと引きずり込まれた。

そのデジタルゲートの向こう側は…
懐かしのビオトープだった。

オタマモンがかまどに火をつけており、かまどでは大きな土鍋の中で熱湯が湧いていた。

ガニモン達を捕らえたパルモンは…
そのままガニモン達を、土鍋へ叩き込んだ!

熱湯がバシャンと音を立てる。

この土鍋は、ガニモンを茹でて蟹鍋にするためにブイモンが作った逸品だ。

ガニモン達は熱湯から脱出しようとするが…
パルモンとオタマモンは、蓋を閉めて上から押さえつけた。

…まさか蟹鍋を武器として使うとは。

やがて、全力で暴れたガニモンが蓋を払い除けた。
空中で宙返りして、地面へ着地するパルモン。

ガニモン達は土鍋から脱出してしまった。

熱湯の中には…
グツグツに茹でられて動かなくなったズルモン3体の姿があった。
786 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 08:10:54.44 ID:ZRae2xG0o
さて、ケンキモンとドリモゲモンが戦っていたとき…
同時並行で、マッシュモンとチビマッシュモンは別の作業をしていた。

モリシェルモンの巨大な死骸を、デジタル空間からどける作業だ。
メガ曰く、モリシェルモンの死骸はドーガモン作戦の妨げになるらしい。

モリシェルモンの直下に巨大なデジタルゲートが開いた。
その中からチビマッシュモン達が出てきて、モリシェルモンの死骸をゲートに引っ張り込もうとしている。

「マッシ!マッシ!マッシ!」

だが、チビマッシュモン達の小さな体では、モリシェルモンをデジタルゲートの中へ引きずり込むのが容易でないようだ…。

そこへ…
「オイラも…てつだう」

デジタルゲートの中からブイモンが現れた。
「こいつを…どかせば、いいんだろ!」

チビマッシュモンに、肉体労働が得意なブイモンが加わったことで、モリシェルモンの死骸をデジタルゲートを通してフローティア島へ放逐することに成功した。

よくやったブイモン!
偉いぞ!
「そ、そうかな…へへ…」
ブイモンは少し照れている。
「オイラ、これくらいしかできることないからよ…」
…自分を卑下するなよブイモン。
十分いい働きしてるんだから。
787 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 08:19:04.84 ID:ZRae2xG0o
ガニモンの排除と、モリシェルモンの放逐に完了したとき…

「ウホオォォ!」

ジャングルモジャモン2体がケンキモンに飛びかかってきた。

ケンキモンは先程、ガニモン達と格闘していたが、だいぶ脚部を破壊されてしまった。
この場から移動することは難しいだろう。

「ウホォァ!」
ジャングルモジャモン達は、青銅の棍棒でケンキモンのボディを叩いた!
ガキィンとすさまじい金属音が鳴り響いた。

「ウホ?」
殴られたケンキモンのボディは凹んでいたが…
青銅の棍棒はそれ以上に凹んでいた。

ケンキモンのボディは鉄製だ。
そう簡単に青銅に負けはしない。

…それを鑑みると、薄い板金とはいえ、鉄のキャタピラー履帯を切断したガニモンのハサミは本当に自分恐ろしい武器だったんだなと実感させられる。

パルモンが不意をついてガニモン達の腹部に寄生したズルモン達を茹で殺すことには成功したものの…
統率された行動を取るガニモン達は、下手な成熟期より恐ろしい敵だった。
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 08:27:27.59 ID:RMabxayOo
こちらは各自の判断でみんなベストを尽くしているな
789 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 08:29:36.14 ID:ZRae2xG0o
ケンキモンは、クレーン鉄球をジャングルモジャモンへ振りかざす。

「ウホッ!」
だが、ジャングルモジャモン達はそれを軽快に回避した。

続いて、鉄骨カッターやドリルを繰り出すが…
「ウホハハハハ!」

ジャングルモジャモンはそれらの攻撃を、ひょいひょい飛び跳ねて回避する。

くっ…
スピードで完全に負けている…!

パルモンの花粉による弱体化が解けた蛮族デジモンが、こんなに手強いのか!

『金属のボディか…。フーガモン、やれ!』
AAAのデジドローンが指示を出した。

すると、フーガモンはシマユニモンの手綱を握って、シマユニモンに何かを指示した。

シマユニモンは、ケンキモンに角を向けると…
角から放電を放ち、ケンキモンへ電気ショックを浴びせた!

「ぐっ…があああああ!」
ケンキモンの中の本体が苦しそうな声を上げた。
電撃攻撃がケンキモンの金属ボディを伝い、中の本体にダメージを与えているのか!

や…やばい!
シマユニモンにそんな力があったなんて…!

このままではやられてしまう…!

「3分だ!いくぞ、ドーガモン!」
その時、メガの声がした。
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 08:32:58.50 ID:JqwF3fs00
長い3分だった
791 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 08:39:31.33 ID:ZRae2xG0o
空中にデジタルゲートが空いた。

その中から飛び出てきたのは…
ファンビーモンだ。

ファンビーモンが…
なんと、2体、3体…4体…!
次々と飛び出してくる!

合計16体のファンビーモンが、デジタルゲートから出現した!

『なに!?バカな…これだけの短期間でファンビーモンをここまで殖やしたのか!?』

「ヒイィィィ!」
敵のキャンドモン達は、ファンビーモンの群れの姿を見てビビった。

群れのうちの一体が、尾から毒針を飛ばした。
「ウホォオ!?」

毒針は、ジャングルモジャモンの一体に当たった。

「ウホギャアァア!」
毒針から電気ショックが発せられ、ジャングルモジャモンが感染した。

え!?
ファンビーモンの毒針って電気も出せるの!?

私が驚くと、カリアゲが解説してくれた。
「毒針の中に電源が入っているみたいだぞ。すぐに引っこ抜かれないように、少しの時間だけ感電させて、毒が回る時間を稼げるようにしてるみたいだな」

カリアゲ…
随分ファンビーモンに詳しいな。

「まあ…俺はファンビーモンと仲間になろうとして、ずっとコンタクトを取り続けてきたからな。ガニモン鍋の残りとかあげたら、喜んで食ってたぜ」

それが今、活きたということかな。
「いや、あんま活きてないな!シマユニモンを狙えって言ったけど、やっぱ言葉は分かってねえみてえだ!」

確かに。
今はジャングルモジャモンより優先して、シマユニモンを狙って欲しい場面だ…!
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 08:41:48.47 ID:C3Ln/pi0o
あんな奴と仲良くなるのまだ諦めてなかったのかカリアゲ
793 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 08:46:57.86 ID:ZRae2xG0o
そのままジャングルモジャモンは、麻痺毒で動かなくなった。

…成熟期相手をこんなあっけなく無力化するファンビーモンの猛毒。
やはり純粋な戦闘能力においては規格外だ。

ファンビーモンの毒針攻撃を見た蛮族デジモン達は、大層驚いている様子だ。

空中から即効性のある麻痺毒針を飛ばしてくる敵…
それが16体もいる。

その状況の恐ろしさに、蛮族デジモン達は気付いたようだ。

続いて、他のファンビーモン達も毒針を飛ばし始めた。
それらの毒針はすべて、命中するスレスレで外れてしまったが…
『自分に向かって毒針が飛んできた』というだけで、蛮族デジモン達はパニックになっているようだ。

「ウホオォォオオオ!!ホァアアア!!」
ケンキモンの取り囲んで青銅棍棒で叩いていた蛮族デジモン達は、一斉に逃げ惑う!

『くそ…戦え!逃げるな!』
AAAの言葉も、パニックの蛮族デジモン達には届いていないようだ。
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 08:50:51.16 ID:DW7YuOfCo
大局的にはまだ勝つ見込みあっても自分が死ぬ確率は高そうなら利害の一致しかない関係ならそら逃げる
795 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 08:54:56.41 ID:ZRae2xG0o
シマユニモンに電撃攻撃をさせていたフーガモンは…
「イッタン キョリヲ トレ!」

シマユニモンの手綱を引いて、電撃攻撃を止めさせた。
ファンビーモンの群れをケンキモン以上の脅威と見なし、距離を取ることにしたようだ。

「ブルッヒ!」
放電を止めたシマユニモンは、だいぶ疲れているようだ。

あの放電攻撃はなかなか体力を消耗するらしいな…。

シマユニモンは、再び駆け出そうとした。
…その時。

どこからともなく、高速回転する手裏剣のようなものが飛んできて…
シマユニモンの首の横側を切り裂いた。

「ブルヒヒイィィ!」
斬撃を首に食らったシマユニモン。
首の切り傷からボタボタと出血した。

飛んできたのは…
https://i.imgur.com/2o5Ko8A.jpg

…ティンクルスターモンだ!
796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 08:56:55.15 ID:JqwF3fs00
来てくれたか戦闘力だけなら信頼できるやつら
797 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 09:00:55.04 ID:ZRae2xG0o
『ふはははは!手遅れになる前に間に合ったようだな!』

この声は…パルタスさん!?
そういやリーダーから救援要請をしてたんだっけ。

ティンクルスターモン!久しぶり!

『ヒサシブリ? オハツニ オメニ カカリヤッス!』

あれ。
前にティンクルスターモンとは話したことなかったっけ。

『そいつは前に見せたときは幼年期のピックモンだった個体だな!あのとき会わせたティンクルスターモンは、今はスターモンへ進化したぞ!』

おお、そうなんですか!

『上からの許可が通ったのはティンクルスターモンだけだった!スターモンとシューティングスターモン、ジオグレイモンは出撃許可が通らなかった。仕方あるまい、こちらをもぬけの殻にはできないからな!』

十分助かります!
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 09:01:04.59 ID:HYI1xDmL0
ティンクルスターモンの形状
八つ裂き光輪みたいに投げたり持って斬りかかったりしたくなる
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 09:01:51.15 ID:gxUz7AgNo
…ジオ?
800 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 09:15:19.24 ID:ZRae2xG0o
スポンサーさんから通信があった。

『諸君。今はあまり関係ない話だが…ローグ・ソフトウェアに連絡したところ、クラッカーデジモンの駆除に協力してくれるそうだ』

おお、なんと!?
で、ではそっちのセキュリティデジモンがここへ来てくれるんですか!?

『いや、ここには来ない。見守りマッシュモンとかいう詐偽は、学校だけでなく生徒の親達にも被害が拡大していたのを覚えているかね?』

あー、確かそうでしたね。
モリシェルモン乱入の有耶無耶で、そっちは放置して帰ってきちゃいましたけども。

『ローグ・ソフトウェアは、その親御さん達のとこにいるであろうクラッカーマッシュモンを駆除し、自分たちのところのセキュリティサービスの営業をかけるようだ』

それを聞いたカリアゲは前のめりになった。
「何だよそれ!?俺達が先に見つけた敵じゃねえか!横取りかよ!」

『君達が命がけで暴いた敵の手口だったが…。状況が状況なだけに、つい口を滑らせてしまった。すまないね』

「ずるいぞ畜生!」

いや…そうとも言えない。
一番大事なことは、セキュリティサービス同士での小競り合いに勝つことじゃない。
クラッカーデジモンの被害者が、一刻も早く被害から救われることだ。

今こうしてる間にも、生徒の親御さん達のパソコンやスマホから、クラッカーマッシュモンによって情報を抜き取られたりしているかもしれない。

それを…
『我々が行くまで待て』とは言えないよ。
ローグ・ソフトウェアがすぐ動いてクラッカーマッシュモン退治してくれるなら、それに越したことはない。

「おお、そりゃ…そっかぁ…。そうだな」

『…損な性格だね。だが、それが我々が君達を信頼している点でもある』

それはどうも。

『本当に今と関係ない話ですまないね!だが一応リアルタイムで伝えておくべきと思ったんだ』

…まあ、AAAがこちらへの攻撃に集中している間に、その手先を排除するのは悪くない判断です。
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 09:18:03.72 ID:RzVVH3UDo
デジモンシリーズの主人公やれそうなくらいバカのつくほど善性お人好しと知性だ
802 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 09:20:40.50 ID:ZRae2xG0o
ファンビーモンの群れは、毒針を飛ばし続けている。

大体はハズレており、蛮族デジモンに命中しそうでしないギリギリのところのようだ。

しかし、中にはきちんと命中する毒針もある。

そんなカオスな状況で、ファンビーモンを注視して警戒している敵デジモンを…
ティンクルスターモンが、背後から回転手裏剣タックルで切り裂く!

「キャドオォォオオ!?」
キャンドモンの一体が、ティンクルスターモンに切り裂かれた。

この連携攻撃は、敵にとって相当厄介だろう。

「ウキッ!」
セピックモンの一体が、ブーメランを握りしめた。
「ウキャアアアア!」
セピックモンは、空中を飛ぶファンビーモンに向かってブーメランを投げ飛ばした。
803 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 09:22:46.89 ID:ZRae2xG0o
つづく
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 09:23:14.90 ID:RzVVH3UDo
805 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 09:24:40.76 ID:JqwF3fs00

エスカレートする戦争
806 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 19:49:30.55 ID:ZRae2xG0o
投げられたブーメランは…

ファンビーモンの体をすり抜けた。

「ウキッ!?」
ブーメランがすり抜けるという異常な現象に驚くセピックモン。

「う、ウキー!」
攻撃が効かないと見ると、セピックモンもファンビーモンから逃げた。

16体のファンビーモンのうち15体は、ドーガモンがファンビーモンの姿を深層学習して、デジタル空間へ投影している「立体映像」である。
16体のうち1体だけが本物のファンビーモンだ。

作戦前にモリシェルモンを片付けたのは、そうしないとファンビーモンは敵へ攻撃せず、大きなモリシェルモンの死骸を貪って空腹を満たすだけになるためだ。

ドーガモンとファンビーモンの連携(?)によるこの作戦は、敵をパニックに陥れることには成功したが…

あいにく、決定力に欠ける状況だ。
まず、ファンビーモンの毒針は無限に飛び出るわけではない。
毒針が尽きるなり、食欲が満たされるなりすればファンビーモンは攻撃を止めるだろう。

そして、ファンビーモンが戦場にいる間、パルモンやブイモン、オタマモンはデジタル空間に出てこれない。
ファンビーモンは敵味方の区別なく、食えそうなデジモンを無差別に攻撃する。
そのため、食えなさそうなケンキモンとティンクルスターモン以外の味方デジモンは、この場に出てきたらファンビーモンのターゲットになりかねないのだ。

そういうわけで、今戦場で戦えるのはティンクルスターモン、ファンビーモン、ケンキモンだけだ。

だが、ケンキモンはガニモンの攻撃で脚部を破壊されており、満足に移動できない。

一方、敵の戦力は…
ドリモゲモン、ガニモン、プラチナスカモンは倒したが…
シマユニモンに乗ったフーガモンや、キンカクモン、キャンドモン…
あとはジャングルモジャモンやセピックモン、成長期の蛮族デジモンが何体か残っている。

ハゲオヤジデジモンは、相変わらず高いところで戦いを見物しながら、干物を食ったり酒を飲んだりしている。
なんなんだこいつは。

成熟期のデジモンは、(ハゲオヤジデジモンは分からないけど)どれも強敵だ。
この三体でどうにかできるのか…!?

…しかし、なにか妙な悪寒がする。
何かを、忘れているような…。

本来いるはずの敵が、その場に欠けているような…。
不思議な感覚だ。
807 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 19:52:13.74 ID:poizqX8Go
少数精鋭過ぎる…
808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 19:57:44.61 ID:HMUIEPY50
もう手札が残ってないのか
809 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 20:12:09.49 ID:ZRae2xG0o
現在戦闘可能なジャングルモジャモンは3体。
セピックモンも3体だ。

『フーガモン!ジャングルモジャモン!セピックモン!キンカクモン!あの蜂共を片付けろ!』

「う、ウホオォ!」
成長期の蛮族デジモン達やキャンドモンは、ファンビーモンの毒針が届かないところへ隠れているが…

今名指しで呼ばれた成熟期達は、腹を決めたらしく、空を飛ぶファンビーモン達へ攻撃を仕掛けるようだ。

ジャングルモジャモン達は、倒れ伏している蛮族デジモン達の手元から、青銅の武器をひったくり…
しこたま投げまくった。

セピックモンは、手持ちのブーメランを投げまくった。

キンカクモンとフーガモンは、打撃武器を構えてファンビーモン達をじっと観察している。

ファンビーモン達は、投げられた武器を回避する。

そして毒針を放って反撃するが…
その殆どは、蛮族デジモン達から命中寸前でハズレた。

それらは全て立体映像の偽物だが…
防御しないわけにはいかないのだ。
既に毒針で何体かの蛮族デジモンが仕留められているのだから。

シマユニモンは、再び角に放電攻撃のエネルギーをチャージしている。

今の敵の中で、最も厄介な相手は…
シマユニモンだ。

何故なら、電気は「通りやすいところへ流れる」性質を持っているからだ。

シマユニモンは、群れの中から、本物のファンビーモンを、電流が自動で探知して感電させることができる。

再び放電を放たれたら、本物のファンビーモンがやられる…!
そうなる前に、シマユニモンだけは仕留めなくてはいけない!
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 20:14:43.61 ID:JqwF3fs00
研究所は各所のデジモン関連の仕事の要だろうに力貸してくれる人少ないの悲しいな
811 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 20:21:13.99 ID:ZRae2xG0o
ティンクルスターモンが、シマユニモンをめがけて回転しながら飛んできた。

シマユニモンは、それを素早い身のこなしで回避した。
シマユニモンはとんでもなくスピードに優れている。

「ウガーオゥ!」
フーガモンは、空中で青銅棍棒を振るってティンクルスターモンへ振りかざした。

ティンクルスターモンは、空中で青銅棍棒を回避する。

スピード自慢同士の戦い。
互いに攻撃を躱し続けている。

だが、シマユニモンのチャージが終わったら、その戦いも終わるだろう。

シマユニモンの放電攻撃は、回避が極めて困難。
ティンクルスターモンがいくら素早くても、電流はそれを追尾して感電させてしまう…!

やがて、シマユニモンの角に放電攻撃のチャージが溜った。

『フーガモン!その手裏剣デジモンを撃ち落とせ!』

シマユニモンは、角をティンクルスターモンへ向けて…
電撃攻撃を放った!


電撃攻撃は…
ティンクルスターモンの方ではなく、ファンビーモンの方でもなく。

シマユニモンの真上へと飛んだ。

『なに!?』
812 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 20:29:08.27 ID:ZRae2xG0o
シマユニモンの直上には、巨大なデジタルゲートが開いており…

その中から、ケンキモンが落下してきたのだ。

電気は「流れやすい方向へ流れる」。
ゆえにティンクルスターモンの方でなく、巨大な鉄の塊であるケンキモンのボディへ流れるのは必然だ。

『よけろ!シマユニモン!』

シマユニモンは、自分の真上に落下してきたケンキモンを…
死物狂いで回避した。

ケンキモンは、大きな音を立てて地面に落下・衝突する。
脚部が大破し、パーツが飛び散った。

これだけのダメージを負ったら、ケンキモンはもう戦えないだろう。

『くっくっく…自爆覚悟の投身攻撃か!だが無駄に終わったなぁ!』

シマユニモンは放電を止めて、再びティンクルスターモンの方を向いた。

『セピックモン!いったん蜂共はいい!その手裏剣デジモンを全員で仕留めろ!』

ううっ、それはまずい!
セピックモンのブーメラン攻撃は、空中で予測不可能な軌道を描いて敵に当たりに行く。
その攻撃力も強力だ。

それを3つも投げられたら…
いくらティンクルスターモンでも躱しきれない!
813 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 20:31:14.62 ID:DS26LGM7o
ケンキモンの命を懸けた最後の攻撃が…
814 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 20:38:42.77 ID:ZRae2xG0o
敵デジモンの意識がすべてティンクルスターモンに注がれた、その時…

ケンキモンのコックピットが開き…
中からケンキモンの本体が飛び出してきた。

ゴーグル付きの黄色いヘルメットをかぶり、右手がハンマー、左手がドリルになっているその姿は、まるでロボットのようだ。

https://i.imgur.com/SNibQvY.jpg

…今だ、やれ!
ケンキモン…
いや!

クラフトモン!

「うおおおぉ!」

クラフトモンは、シマユニモンの直上から襲い掛かり…
右手のドリルを回転させ、シマユニモンの脳天へ叩き込んだ。

「ブルッギャアアアアアアアアーーーーー!!!」

ドリルはシマユニモンの眉間を貫通した。

シマユニモンに乗っていたフーガモンは驚いた。

『そのデジモン…中に別のデジモンがいたのか!フーガモン!やれ!』

シマユニモンに乗っていたフーガモンは、青銅棍棒でクラフトモンの頭部を思いっきり殴打した。

クラフトモンのヘルメットがバラバラに飛び散った。

…だが、クラフトモンは飛び退いた。
このヘルメットは「壊れることで衝撃を受け止める」タイプだ。

頭部にもろに打撃を食らっていたら即死だったかもしれないが…
ヘルメットがたった一度だけ、その致命傷級のダメージを肩代わりしてくれたのだ。
815 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 20:41:49.22 ID:DS26LGM7o
クラフトモン、お前だったのか!
816 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 20:52:36.80 ID:ZRae2xG0o
シマユニモンは…

「ブ…ブルルヒ…」

横に倒れた。
乗っていたフーガモンは、地面に自身の脚で着地した。

『…シマユニモンが殺られたか…』

よし!
これで、ティンクルスターモンとファンビーモンを確実に倒せるシマユニモンを討ち倒した!

勝ち筋が見えてきたぞ!
ファンビーモン軍団が撹乱しつつ、ティンクルスターモンとクラフトモンがデジタルゲートを駆使してヒット・アンド・アウェイで攻撃を仕掛ければ…

キンカクモンとフーガモンに勝つ目が出てくる…!

『…くっくっく…ははははは…!ようやく手札を出し尽くしたようだな!』

そっちもだろうが!

『貴様達は不利な状況を、敵の戦力を観察・分析し、弱点を突く戦略で不利を覆す戦いをしていた。まるでパズルのピースを埋めるようになぁ…!』

な…なんだ。
その余裕は。

『くっくっくっく!そう、貴様達の最大の弱点は…!手繰り寄せた細い細い勝ち筋を…未知の情報で潰されることだ!はっはっは!』

な、なんだ…
何を言っている!
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 20:54:33.38 ID:UFU1+oXwo
イレギュラーって大抵の人は弱いと思う…
818 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 20:56:45.44 ID:ZRae2xG0o
ジャングルモジャモンのうち一体が、群れに紛れた本物のファンビーモンの毒針を食らった。

「ウホギャアア!」

ばたりと倒れるジャングルモジャモン。
ファンビーモン…まだいけるか?

その時…

ファンビーモンの群れの上から…
突如。

大量の溶けた蝋が落下してきた。

群れの中で、たった一体だけのファンビーモンは、その突然の攻撃を察知しきれずに、蝋に絡め取られた。

「ズビィ!?」

ファンビーモンを絡め取った蝋は、地面に落下してべちょっと貼り付いた。

ファンビーモンは、蝋から脱出しようとするが…
既に蝋は固まっている。
抜け出せない!

「ズ、ズビ、ズビィ!」

なんだ…
何が起こったんだ!
819 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 21:01:47.63 ID:ZRae2xG0o
『そういうからくりか。まとめて全員仕留める算段だったが…。どうやっているかは知らないが、1体を除けば全ては蜃気楼のようなものだったらしいな』

ば、バレた…!
ドーガモン作戦が!

『くっくっくっく!これで厄介な蜂の動きは封じた!お前達、もういいぞ、出てこい!』

AAAがそう言うと…
ファンビーモンに恐れをなして逃げていた、成長期の蛮族デジモン達やキャンドモン達が、物陰からぞろぞろと出てきた。

『はーっはっはっは!どんな気分だ!?セキュリティ共!切り札を潰された瞬間は!』

カリアゲは顔を真っ青にしている。
「何だよ…何だよあの蝋は!」

…そうだ。
なにか忘れていたと思ったが…
これだ!

確実に、存在することが分かっていたはずなのに…
今までここにいなかった存在。

それが今まで潜伏していた可能性に…
私達はなぜ気付けなかったのだろう。

そう…
キャンドモン達の親デジモンが…!
820 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 21:08:25.27 ID:ZRae2xG0o
ファンビーモンを蝋で捕獲したデジモンは…
大きな翼を羽ばたかせながら、上空からゆっくりと降り立った。

https://i.imgur.com/Wrtk29D.jpg

真っ白な…
悪魔のような姿だった。

これが、今まで隠れていた…
キャンドモンの親か!

『真の切り札は、伏せておくものだ…そうだろう?くっくっく…!はーっはっはっは!』

ま、まずい…
ここに来て、わけのわからない性質のデジモンが出現するなんて…!

想像していなかった。
完全に虚を突かれた。

プラチナスカモンを、ドリモゲモンを、シマユニモンをも失ってまで…
奥の手を隠し続けていただんて。

そんなの、予想していなかった…!

『まとめて蝋人形にしてやれ!アイスデビモン!』
821 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 21:09:11.67 ID:ZRae2xG0o
つづく
822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 21:11:22.81 ID:UFU1+oXwo

今度こそもうダメか…
823 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 21:15:52.32 ID:ZRae2xG0o
※調子がいいので今日はもうちょっとだけ書きます
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 21:17:09.34 ID:z0RROQHd0
気になるところだったから助かる
825 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 21:25:42.20 ID:ZRae2xG0o
「ズ…ズビ…!」
固まった蝋から、頭部だけが出ている状態のファンビーモン。

そこへ、キャンドモンが二体やってきた。
や…やめろ!

「ドキャーー!」
キャンドモン達は、口から火を吐いた。

キャンドモンやアイスデビモンの蝋は、特別に高温で燃えやすい性質のようだ。
火は蝋に燃え移り、ファンビーモンを焼いていく。

「ズビィイーーーッ!」

あああ…
ファンビーモンが燃やされていく…!

ファンビーモンの翅は溶けた蝋が絡み付いているため、羽ばたかせても飛べないようだ。

それだけじゃない。
ファンビーモンは昆虫型デジモン。腹部の気門で呼吸をするタイプだ。
その気門に溶けた蝋が流れ込んでいるようであり、呼吸器官を焼かれている!

し…
死んでしまう…ファンビーモンが…!

「ズビ、ズビィィ!」

めらめらと燃えていくファンビーモン。
シャーマモンやコエモン達は…

「ウガァアア!」

先程さんざんビビらせられたことで鬱憤が溜まっているのだろうか。
ファンビーモンを寄って集って、青銅棍棒で滅多打ちにし始めた。
826 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 21:28:56.07 ID:ZRae2xG0o
そこへ…

「やめろよおおお!」

なんと、ブイモンが腕をブンブン回しながら走り込んできた。

「ウガ!?」
シャーマモンの一体を殴り飛ばしたブイモン。
溶けた蝋の中からファンビーモンを引っ張って救出した。

「うあっちいぃいいいいい!」
溶けて燃えた蝋はブイモンの手を灼いていく。
だが、ブイモンは構わずにファンビーモンを背負って、走った。

「ゲート!はやく!」

私は、デジタルゲートをブイモンの眼の前に開いた。
ブイモンは、ファンビーモンを抱えてゲートへ飛び込んだ。
827 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 21:29:57.98 ID:JqwF3fs00
ろくに話したこともない言うことも聞かない蜂野郎のために…
828 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 21:31:13.17 ID:ZRae2xG0o
一旦ここまで
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 21:31:56.75 ID:z0RROQHd0

続きがやはり気になるところだった
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 21:36:57.37 ID:1gcRJjUwo

こういう判断できるブイモンは大きな可能性秘めてそうね
831 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 22:40:51.53 ID:ZRae2xG0o
ブイモンを送り込んだ先はビオトープだ。
ここは飲み水をたくさん保存してある。

今のフローティア島は、井戸を作っている最中。
だから飲み水はこのビオトープに貯蔵しているものを使っているわけだ。

ブイモンは、燃えているファンビーモンを、自分の手ごと大きな水瓶に突っ込んだ。

水が蒸発するジュウ〜という音が鳴る。

「あっちちちち!」

しばらく水につけると、溶けた蝋がファンビーモンの体から剥がれて水面に浮かんできた。
火は鎮火したようだ。

ブイモンは、ファンビーモンを水瓶から出して、床へ寝かせた。
ブイモンの手は火傷しているようだ。

ぐったりしたファンビーモンは、ブイモンの方を見ている。

全身を焼かれ、呼吸器を灼かれ…
蛮族デジモン達に青銅の棍棒で叩きのめされたファンビーモンの外骨格はボロボロに割れていた。

せっかく助けはしたが…長くないかもしれない。
「ファンビーモン…おまえのこと、いまでもだいっキライだよ」

ブイモンは、ファンビーモンに向かって話しかけ始めた。
「ちいさいころ…おまえにおそわれて、ハリをめにさされて…しにそうになった。ワームモンがたすけてくれなきゃ、オイラはおまえにくいころされてた」
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 22:41:59.01 ID:XhrP/oAho
人間並みの感受性…
833 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 22:43:28.74 ID:I41UtgsYo
戦闘はよわっちいかもしれんがどんな育て方したのか他のデジモンに比べて異質だブイモン
834 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 22:47:12.72 ID:ZRae2xG0o
ブイモンは静かに話しかけている。
「いまでも、おまえのこと、だいっきらいだ。ついさっきまで、いなくなってほしいって、ずっとおもってた。…でも、おまえは、あんなおっきなやつらと、ひとりでたたかってた」

「なあ、おまえはなんであんなつよくてこわいやつらとたたかえるんだ?つよいからか?」

ファンビーモンの体の傷を見ているブイモン。
「…ちがうよな。ファンビーモンも、オイラとおんなじチビッコなんだ。たたかれたらケガするし、よわいチビッコなんだ。それなのに…おまえは、デカいオトナとたたかって…なんたいもやっつけた」

ブイモンは目に涙を浮かべた。
「おまえのこと、キライだけど、でも…、カッコいいっておもっちまった。おまえみたいにカッコよくなりたいって…あこがれちまったんだ」

ファンビーモンの体を揺さぶっているブイモン。
「オイラがきらいでも…オイラがだいすきなひとたちにとって、おまえはたいせつなんだよ!だから…しんじゃだめだよ、ファンビーモン…!」
835 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 22:52:58.88 ID:qi+tozCO0
言うこと聞かないただの狂犬だったファンビーモンでもこんなこと言われると死ぬの悲しくなる(´;ω;`)
836 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 22:53:10.34 ID:ZRae2xG0o


戦場では、ファンビーモンの立体映像が消えた。
もはや映していても意味がないので、ドーガモンが立体映像を消したのだ。
デジモンの体力は有限だ。あれだけの立体映像を個別に動かし続けていては疲弊してしまう。

ドーガモンはいったんビオトープに入り、特性栄養ドリンクで栄養補給をして休憩した。

リーダーが、ドーガモンに話しかけた。

「ドーガモン、休んでいるところ済まないが…新たな教師データで深層学習してほしい。頼めるか?」

『いいケド… なんだ』

「今までの戦いの録画データだ。ここから、ある情報を抜き取って、学習してほしい。できるだけ急ぎで」

『…クラフトモンがたたかってるもんナ おちおちネてもいられねーカ…』
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 22:55:49.48 ID:7ODOdQ1vo
ブイモンの姿全国で放送したら世間泣いちゃいそう(´;ω;`)
838 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 23:33:54.10 ID:ZRae2xG0o
戦場の状況は、圧倒的に不利だ。

クラフトモンは、先程まで巨大でパワフルなケンキモンを自身の体内の貯蔵エネルギーで操作していたため、だいぶエネルギーを消耗している。

それにクラフトモン本体の腕力はそれほど強いわけではないのだ。
ドリルの殺傷力は高いが…。

ティンクルスターモンも、かなりエネルギーを消耗している。
成長期の小さな体で、あれほどの殺傷能力のある回転タックルを放ち、既に敵デジモンを何体も斬り殺している。
ティンクルスターモンの高速飛行は、物理的な推進機構がなく完全にエスパー能力だけで推進力を得ているので、エネルギー効率が悪いのだ。

さすがはジャスティファイアが鍛え上げた国防用デジモン。
成長期どころか並の成熟期より強いが…スタミナが低めの短期決戦デジモンであるらしい。

カリアゲがAAAのデジドローンに話しかけた。
「AAA…てめえなんで今までアイスデビモンを繰り出してこなかったんだ。はじめっからアイスデビモンを繰り出していれば、シマユニモンも、ドリモゲモンも、失わずに済んだかもしれないじゃねーか!大事な部下じゃねえのかよ!」

『ん?そいつらなど、所詮は野生デジモンだ、どれだけ失おうが勝手にデジタルワールドから生えてくるだろう。畑のキャベツより容易くなぁ』

「なんだって…!?」
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 23:36:31.01 ID:ThSwC4gTo
ひ、人でなし…
840 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 23:38:50.16 ID:ZRae2xG0o
『てっきり貴様らはズバモンとルドモンを手懐けているとばかり思っていたが…その様子だと奴らを手懐けてはいないようだなぁ!くっくっく!』

「ふざけるな…お前…デジモンを何だと思ってやがる!」

『ん?その質問には前に答えたはずだぞ?同じことを何度も言わせるな… 道具だ!』

「んだとてめえ…」

リーダーがマイクを握った。
「…デジモン伝送路は遮断したはずだ。いつの間にアイスデビモンを送り込んだんだ」

『くくく、自分で考えてみたらどうだ?』

メガがサーバーの状況を確認している。
「うわ、そんな!デジモン伝送路が再び繋がってるよ!」

リーダーは驚いている。
「どういうことだ!」

メガが色々調べた。
「そうか…最初に伝送路を繋がれたときは、チビマッシュモンにマルウェアを仕込んでいた。でも今はファイヤウォールが破壊されてしまっているから…直にマルウェアを送り込んできて伝送路を繋げたんだ!」

クルエが驚いている。
「そんな…マルウェアはチビマッシュモン達が駆除したはずじゃ!?」

…ごめん。
戦場にモリシェルモンを放ったとき、チビマッシュモンにはいちど退却させたんだ。
あのまま戦場にいると、蛮族より優先してチビマッシュモンを食べるから。

…きっと、その僅かなチビマッシュモン不在期間を突かれたんだ。

『くっくっく…!勘付いたか!既に手遅れだがな…!』

こ…
こいつ…!

『さて、おしゃべりはもういいか?時間稼ぎにはもう付き合えん。終わらせよう、このゲームをな!』

カリアゲは怒りの表情を向けた。
「ゲームだと…ふざけんな!デジモンの命を、ゲーム感覚で…!」

『フーガモン、キンカクモン、アイスデビモン…そしてセピックモン!そいつらを片付けろ!』
841 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 23:39:37.46 ID:ZRae2xG0o
つづく
842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 23:42:06.52 ID:ThSwC4gTo
乙乙
何度手を尽くしても届かない
843 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 23:43:59.20 ID:JqwF3fs00

何もかも負けてて勝てる気しないな
844 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 23:47:29.77 ID:LthkEqOP0

重要拠点のはずなのに自前の防衛戦力も協力してくれる戦力もクラッカーに比べるとあまりにも力不足
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/21(木) 02:09:35.03 ID:6vR+Djtb0

一日目を離した間に滅茶苦茶投稿されてて嬉しい
最初から最後まで面白いよ
846 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/21(木) 13:15:42.55 ID:NrndiDH80
847 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/21(木) 15:17:29.40 ID:B8y79Dkao
こっちは本拠地バレてて常に一方的に攻撃される危険性があるのに向こうはどれだけ攻撃しても捨て駒消耗するだけで本拠地バレなくて何の心配もなく攻撃出来るという不公平なウォーゲームだ
848 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/21(木) 19:52:27.25 ID:t8vgFj2I0
戦力差は歴然だからか引きはいつも大ピンチだ
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/22(金) 00:45:06.73 ID:JSboRWIv0
デジモンは後悔が進化の鍵って仮説だけど後悔してももう遅いって言われそうなマジで死にそう数秒前って状況の連続
850 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/23(土) 12:23:50.33 ID:TlnrVhSsO
『かかれ!』
AAAの号令と同時に、成熟期蛮族とアイスデビモンだけでなく、シャーマモンやコエモン、キャンドモン達も、一斉に襲いかかってきた。

数が…
数の差がありすぎる!

どうする…!?
一旦クラフトモンとティンクルスターモンをビオトープへ引っ込めるか…?

だが、そうしたとしてどうなる…?
無抵抗で我々のサーバーを破壊されて、壊滅するだけだ。

何か…!
何か手はないのか!?

クルエさん!
ベーダモンの説得はできないか!?

「た、助けてぇベーダモン!」

『なんだ ここまでなのか? つまらん』

「だめだぁ、手を貸してくれない!」
ちくしょう、だめか!

その時。パルタス氏から通信がきた。
『貴様ら喜べ!上を必死にスターモンとジオグレイモンの出撃許可が出たぞ!』

おお、それは助かる!
すぐデジモンを送ってください!

『わかった!だから伝送路の接続を許可しろ!』

え…
め、メガ!できそう!?

『ダメだ!デジモン伝送路の接続切り替えシステムがAAAに乗っ取られてる!ジャスティファイアのサーバーに繋げない!』

そ、そんな…
ジャスティファイアからの救援は来れないのか!

つ…
詰んだか…ついに…!?
851 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/23(土) 12:43:48.03 ID:TlnrVhSsO
デジタル空間の上空にデジタルゲートが開き…
パルモンが出現した!

「さいごののこり! ぜんぶ!」

パルモンは、花粉の備蓄ストックを、今自分自身の頭の花から出せる花粉とともにありったけ蛮族デジモン達の頭上からばら撒いた。

おお、いいぞパルモン!
花粉で目潰しをすれば、奴らの集団攻撃は封じられる!

花粉アレルギーによる催涙効果が効いている間に、クラフトモンのドリルやティンクルスターモンのカッターで攻撃すれば、ワンチャン…!

『ワンチャンあると思ったか?その手は二度通じん!キンカクモン、電撃バットへマントを巻き、空中へ放電しろ!』

キンカクモンは、言われたとおりに毛皮のマントを脱ぎ、バットへ巻いて空中へ掲げた。

そして、キンカクモンのバットから放電が放たれた。
キンカクモンも電気を使えたのか…!


すると…
ばら撒かれた花粉が、全てマントに吸い寄せられた。

「ゲホ!ゴホ!」
キンカクモンは花粉が効いているためか、苦しそうに涙と鼻水を出し始めたが…
他の蛮族デジモンや蝋燭デジモン達は平気そうだ!

か…花粉が…
対処された!

カリアゲが驚いた。
「なんだ!?何が起こったんだ!?」

リーダーは苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「静電気だ…!ヤツはマントに強力な静電気を蓄電させることで、ばら撒かれた花粉をクーロン引力で吸い寄せたんだ!」

そ、そんな…!

『仕留めろ、セピックモン!』

セピックモン三体は、パルモン目掛けてブーメランを投擲した!

パルモンはデジタルゲートへ飛び込んで逃げようとしたが…
両足にブーメランが1つずつ命中した!

「ぎゃああっ!」

パルモンの両足はへし折れてしまった…!
どう見ても骨折している。

だが、パルモンはツルを伸ばしてデジタルゲートを掴み、どうにかビオトープへ戻ってきた。
852 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/23(土) 12:52:29.25 ID:PGVJP5TIo
えっぐ…
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