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デジタルモンスター研究報告会 season2 後編

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853 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/23(土) 12:56:12.63 ID:TlnrVhSsO
ビオトープに戻ってきたパルモン。
「あううぅぅ…!」
折れた両足がひどい内出血を起こしている。
「いたい…!」

カリアゲがパルモンに話しかける。
「パルモン…今できる中で一番の手は…!やっぱ進化だ!」

「しんか…!」

「このままじゃクラフトモンとティンクルスターモンはきっと蛮族たちに殺される…!他のみんなも!頭数に差がありすぎるんだ!」

「うぅ…!」

「パルモン…ブイモン…!そしてボスマッシュモン!きっとやれるはずだ!今こそ…進化だ!」

パルモンとブイモン、そして体をようやくいつものサイズにまで形成し終えたボスマッシュモン(真・ボスマッシュモンの分身)は、カリアゲの言葉に頷いた。

「パルモン…しんかぁーー!」
「ブイモン!しんかーーー!」
「マシュモ、ミシュマァーーー!!」



「「しんかできない…」」
「マシュマ〜…」

ううっ…
やっぱり進化は気合いを込めるだけですぐに反応が始まるものではないんだ…!

「スコピオモンやルカモンが戦闘中にレベル5へ進化したから、いけると思ったんだけどな…ちくしょう…!」
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/23(土) 12:56:47.25 ID:YTyJ/5g60
セピックモンまだ3体もいるんだ……
トータルで成熟期の半分以上倒せてない状況なんだな
855 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/23(土) 13:03:43.78 ID:TlnrVhSsO
やむを得ない!
ティンクルスターモン、クラフトモン!いったんゲートに入れ!

そう指示すると、ティンクルスターモンとクラフトモンは、私が開いたデジタルゲートへ入った。

二体はビオトープに入ってきた途端、地面に腰を下ろした。(ティンクルスターモンに腰はないが)
だいぶ疲労しているようだ。

とりあえず、特製栄養ドリンクを与えて栄養補給をさせた。

こ…
これからどうします!?リーダー!

「俺達の最後の切り札、それは…この自由自在にデジタルゲートを開けるランドンシーフだ。これを使って…粘れるだけ粘る!マッシュモン達は、伝送路を乗っ取っているマルウェアを探して駆除してくれ…できるか!?」

「シマッ!」

ボスマッシュモンとチビマッシュモン達は、敬礼のポーズをとった。

頑張ってくれ…!
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/23(土) 13:05:06.88 ID:PGVJP5TIo
まだ足掻く
857 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/23(土) 13:35:20.19 ID:TlnrVhSsO
しかし、これだけの数の蛮族デジモン…
戦力差を覆す方法はあるんですか!?

「…ドーガモン。深層学習は終わったか?」

『なんとか おわったゼ』

「よし…」

…何か秘策があるんですね。
858 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/23(土) 13:35:49.66 ID:TlnrVhSsO
『…デジタルゲートを開く技術がうっとうしいな。どこかにデジタルゲートを制御するシステムがあるはずだ、虱潰しに破壊しろ!』

蛮族デジモン達は、デジタル空間を次々と破壊していく。

メガは顔を青くしている。
「あああああ!サーバーのシステムが次々に破壊されていく!!」

『デジモン達だけに任せるのは非効率か。ファイヤウォールがない今、通常のマルウェアも送り付けてやるか…くっくっく…!』

すると…
AAAのデジドローンのすぐ近くに、デジタルゲートが開き…
ティンクルスターモンが出てきた。

ティンクルスターモンは、AAAのデジドローンを真っ二つに切り裂いて破壊した。

これでもう、AAAはデジモン達に指示は出せないし、デジクオリアでデジタル空間内を覗くこともできないはず…!

『くくく、ハズレだ』
そう言って、物陰からデジドローンが出てきた。
くそ、さっきのはダミーか…!

ティンクルスターモンは、今出てきた方のデジドローンに向かって飛んでいく。

『…軌道が決まったな!フーガモン、やれ!』

AAAがそう言うと、物陰からフーガモンが飛び出てきて…

青銅の棍棒を構えた。

しまった、罠だ!
戻れティンクルスターモン!

逃走用デジタルゲートを開こうとしたが、間に合わず…
フーガモンがフルスイングした棍棒が、ティンクルスターモンに当たった!

カキーンと甲高い音を立てて、勢いよく吹っ飛んでいったティンクルスターモンは、そのままデジタル空間の壁に突き刺さった。

だ…大丈夫かティンクルスターモン!

『ウゥ ダ ダメソウッス』

…致命傷を負っていないのが救いか…。
蛮族デジモンがトドメを刺しに来る前に、デジタルゲートを開いてビオトープにティンクルスターモンを回収した。
859 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/23(土) 13:39:18.43 ID:PGVJP5TIo
も、もうダメだぁ…おしまいだぁ…
860 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/23(土) 13:43:45.61 ID:TlnrVhSsO
てぃ、ティンクルスターモンまで…!
もうクラフトモンしか、成熟期相手にまともに戦えるデジモンがいない…!

クルエが席から立った。
「…確か、キノコ生成用のスパコンありましたよね。少し借りますね」

リーダーが答えた。
「い、いいが…何をする気だ?」

「あと、電話もちょっと借ります」

「いいが…だから何をする気だ!?」

「…リーダーには言えないことですが…今、私達に必要なことです」

「…そうか。信じよう」

「あざまっす」

クルエさん…
何か策があるんだろうか…?
861 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/23(土) 13:48:47.22 ID:TlnrVhSsO
『くっくっく!もう貴様達にできることはないぞセキュリティ!蛮族共、システムを徹底的に破壊し尽くせ!』

AAAのデジドローンがそう言い放つが…

『…?おい、シャーマモン共、コエモン共…どうした。聞こえていたら返事をしろ』

…成長期蛮族からの返答がないらしい。

『ん?おかしい…シャーマモン!コエモン!貴様らどこへ行った!?』

あれだけたくさんいたシャーマモンとコエモン達は…
いつの間にか
どこにもいなくなっていた。

『なんだ…何をした貴様ら…!?成長期蛮族どもをどこへやった!』

確かに…
どこへ行ったんだあいつら!?

私の隣で、リーダーが呟いた。
「戦えるデジモンは残り少ない。だが、まだ俺達には武器が残っているということだ。…思考という武器がな」

『何を言っている…!』

リーダー…
何をしたんだ…?
862 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/23(土) 13:49:14.06 ID:TlnrVhSsO
つづく
863 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/23(土) 13:57:33.38 ID:PGVJP5TIo
864 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/23(土) 14:02:01.50 ID:jHMWlyocO
865 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/23(土) 14:10:17.12 ID:Hi/nyrvz0

このチームスタンドプレー多いな…
866 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/23(土) 16:14:07.80 ID:jhD7Md8xo

もがき足掻く事こそ生命の本質
867 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/23(土) 20:50:54.80 ID:SBfIyhan0
「何をした?」と問われてもその場にいる殆どの人は知らない
868 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/23(土) 23:32:12.62 ID:Tb+i1BnW0
中々の長丁場ね
869 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 19:32:16.79 ID:lgbTJ6wWo
人間もデジモンも結構独断行動多いのによく瓦解しないなこのチーム
870 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 20:24:41.98 ID:aRWUSx6po
何したんですかリーダー?

リーダーは、マイクを切って少しだけ呟いた。
「…ドーガモン。投影。AAA。以上だ」

それだけ言った後、リーダーは再びマイクをONにした。

それだけ言われても…全然わからん…!
できればもっとちゃんと教えてほしい…!
あと、できれば何かするなら先に言ってほしい。

…だが、この状況では仕方ない。

もしも私達の会話の間に、敵が都合よく攻撃の手を止めてくれるのなら。
もしも話す時間が無限にあるのなら。
リーダーは事細かに、これから何をするか、今何をしたのか、丁寧に相談し、教えてくれるだろう。

チェスの駒を指し合うように、考える時間がいくらでも取れるのなら。
誰がどのデジモンに何をどう指示するか、チームのみんなでじっくり話し合って決めることができるだろう。

だが現実には、敵は我々が話し合っている間に攻撃を待ってくれなどしない。

一分一秒ごとに状況が変化する戦場だ。
攻撃のチャンスが一瞬で生まれては、一瞬で消えていく。
危機が一瞬で訪れ、パートナーデジモンに襲いかかってくる。

たとえ、その度に「待った」を宣言し、チームみんなでじっくり相談をしようとしたところで、ただ攻撃のチャンスが去っていき、新たな危機が訪れるだけだ。

もしかしたら、リーダーが成長期蛮族を消した手品は、事前に私にじっくり説明する時間をとっていたら、機を逃して間に合わずに失敗していたものだったのかもしれない。

…そう考えると。
たとえ軽率な行動で悪手を指し、大失敗するリスクを抱えてでも、今できることを、間に合ううちに、とにかくやり続けるしかない。

リーダーもクルエも、誰も彼も説明不足になるのは仕方ないといえるだろう。
説明する余裕がない状況なのだから。
871 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 20:26:15.48 ID:lXh+hupv0
それでパズルのピースが噛み合うのは奇跡なのかチームワークの賜物なのか
872 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 20:29:18.84 ID:vDAwGCuA0
「我々の間には、チームプレーなどという都合のよい言い訳は存在せん。有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。」とは正にこのことだ
873 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 20:40:36.19 ID:aRWUSx6po
しかし、とうとう攻撃できるのがクラフトモンだけになってしまった…

敵の蛮族デジモン達は、我々最後の武器であるランドンシーフのシステムを破壊して、デジタルゲートを自在に開く戦術を無効化しようとしている。

今、こうしている間にも、次々と蛮族デジモン達は我々のサーバーのシステムを破壊している。
じっと機を伺っていれば手遅れになるだけだ。
なんとかしないと…!

…でも、ここからどうしますか。
さっきの手品で、残りの成熟期達も消せませんか?

「AAAが見ている所では使えない手だ。それに、まだ戦力差を覆せる可能性はゼロじゃない」

どうするんですか…?

「チビマッシュモン達を繰り出して、デジタル空間内のマルウェアを駆除させて、デジモン伝送路のコントロールを取り戻せれば、ジャスティファイアからスターモンを呼べる…!」

…できますか?
この状態で。

「じゃあ他にどうする」

…やりましょう。
たとえ破れかぶれでも、本当の手遅れになる前に。
874 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 20:47:09.65 ID:yNnbHN/jo
詰み一歩手前、土俵際で長時間踏ん張ってるようだ
875 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 20:52:11.48 ID:aRWUSx6po
「マシ〜〜〜〜〜〜!!」

デジタルゲートから、チビマッシュモン軍団が飛び出した。

チビマッシュモン達は、デジタル空間内にばら撒かれたマルウェアの匂いを嗅ぎつけ、散らばって走った。

最新のマルウェアは恐ろしい。
AAAが我々のサーバーに送り付けてきたマルウェアは、何も対処しなければ蛮族デジモン達が暴れまわるよりも早くサーバーのシステムを破壊してしまうものかもしれない。

だが、現状どうにか被害を押し留めることができているのは、うちの研究所のセキュリティ部門やメガが頑張ってマルウェアに対抗してくれているからだ。

敵の方が優勢だが、どうにか必死に綱引きをしている状況だ。

だがデジタル空間においては、情報生命体デジタルモンスターが絶対強者だ。
デジモンにとっては、マルウェアは楽に狩れる餌のようなものだ。

チビマッシュモン達は、次々とマルウェアを見つけては食べていく。

『始末しろ!そいつらを!』

「ガウオオオオ!」

フーガモン達は、チビマッシュモンを殺すべく、青銅棍棒を掲げて襲いかかってきた。
876 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 20:54:11.11 ID:aI32PQ89o
何百何千何万のチビマシュが天に召されていったのか
877 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 20:59:19.65 ID:31qNuXTA0
所詮分身とか髪の毛みたいなもんでマッシュモンが気にしてないとしてもチビ達殺されてく度に断末魔挙げるから見てる人間は気にしちゃうよね
878 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 21:07:29.60 ID:aRWUSx6po
「オ゛ォン!」

フーガモンは、地面でマルウェアを貪っているチビマッシュモンを棍棒で叩き潰した。

「マ゛シィイイイイ!」

…今だ!

フーガモンの頭上でデジタル空間が開き…
クラフトモンがドリルを回しながら飛び出してきた!

ドリルの回転音に驚き、左手を後ろに回しながら振り返るフーガモン。

クラフトモンは、ドリルを突き出した。

フーガモンがとっさにかざしてきた左手の平を貫き、フーガモンの胸部にドリルが突き刺さる。

「ギャアアアアアァアアア!!」

いけ!
そのまま大動脈をブチ抜け!

フーガモンは、棍棒を振りかざした。
ヘルメットが破壊されて素の頭部が露出しているクラフトモンの側頭部に、棍棒がヒットした。

すさまじい金属音だ。
あの状況で反撃してくるなんて…なんて奴!

クラフトモンはぐらりと揺れたが…
手を緩めず、フーガモンの胸部へさらに深くドリルを突き刺した。

「ガギャアアアアアアアア!」

フーガモンの傷口から勢いよく血が吹き出した。
やったぞ!

「クラフトモン!後ろだ避けろ!」
リーダーの声がした。
879 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 21:15:08.37 ID:aRWUSx6po
クラフトモンはとっさに横へ飛び退いた。

…クラフトモンの脚に、大量の溶けた蝋がぶちまけられた。

「グウゥ!?」

クラフトモンは距離を取った。

『フン…素早い奴だ。もう少しで頭から蝋を被らせて窒息させたやれたものを』
AAAの声がした方を見ると…
デジドローンのとなりに、アイスデビモンがいた。

クラフトモンの脚についた蝋は、早くも固まった。
カチカチになったクラフトモンの脚は、だいぶ動かしづらそうだ。

キャンドモンの親…
ガソリンのように高いオクタン価の特殊な蝋を操る、白き悪魔…アイスデビモン!

メガが口を挟んだ。
「なんでアイスデビモンなのに蝋なんだ!それじゃワックスデビモンだろ!」

『む…』

「お前もしかして蝋と氷の区別つかないのか?そんなの令和の小学生ならみんな分かるぞ!ヘボエンジニアどころか幼稚園児以下の語彙力だお前は!」

何急に!?
とつぜんメガがAAAのネーミングを罵り始めた。
880 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 21:16:34.67 ID:Gm60WTsJ0
そもそもアイスデビモンってなんだよ!
アイスじゃないデビモンいるのか!
881 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 21:27:45.56 ID:aRWUSx6po
「バーカバーカ!」

『バカは貴様の方だメガ。アイスデビモンは、蝋だけでなくガラスや石灰も取り込んで操れるのだ!私の傑作デジモンだ!』

アイスデビモンはAAAの指示を待っており、クラフトモンはアイスデビモンの様子を伺っている。

「ガラスも石灰も氷じゃないじゃん!何がアイスデビモンだ!氷を武器にしないくせに!そいつの名前はセメントデビモンとして登録してやる!」

『浅学!短慮!!短絡的!!!英語のスラングでは氷のように美しく輝く宝石やガラスをiceと呼ぶのだ!だいたい常温で融解する氷なんか武器にしてどうする!解けてしまうだろ!流体を敵に浴びせて硬化させたいなら、常温で個体の物質を武器にした方が合理的だ!』

「今だ!デジタルゲート開け!」

クラフトモンの隣にデジタルゲートが開いた。
クラフトモンはゲートへ飛び込んだ。

『しまった!逃げられた!クソ!』




ビオトープでは、オタマモンがクラフトモンの脚を火で炙って、蝋を溶かした。

クラフトモンは、フーガモンに殴られた側頭部を押さえて痛そうにしている。

よくやったクラフトモン!
これでフーガモンは仕留めたか!

そう思ってデジタル空間を見ると…

アイスデビモンは、フーガモンの傷口に蝋を詰め、止血をしていた。

ううっ…
あんなことまでできるのか…
882 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 21:29:41.70 ID:aRWUSx6po
一旦ここまで
883 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 21:29:57.21 ID:iCA5tmCP0
割とセコい手に頼ってもダメだったか
884 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 21:30:40.24 ID:gU1zdM7Fo
885 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 21:32:41.05 ID:31qNuXTA0

クラフトモンもダメージは小さくなくていよいよ手がなくなってきた
886 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 21:33:14.87 ID:AGYFP8V60
887 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 21:57:18.65 ID:aRWUSx6po
衝撃とともに、ビオトープ内に警報ブザーが鳴り響いた。

デジタルゲートを開くシステムが破損し始めている!
いよいよ敵の手が王手に届きかけている。

これまで、インターバルを挟みながらヒット・アンド・アウェイを繰り返してきたが…
一休みできるのはこれが最後になりそうだ。

い、いけるかクラフトモン!
だいぶ辛そうだけど…

「…」

クラフトモン?

「しまには わたしのタマゴが ひとつある かしこく やさしい りっぱなせんしに そだててくれ」

…分かった。

「いこう さいごの たたかいだ!」

クラフトモンは、よろめく脚に力を入れて踏ん張った。
888 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 22:00:11.87 ID:iIYfscv/o
死亡フラグ建てるなよぉ(´;ω;`)
889 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 22:03:50.37 ID:aRWUSx6po
アイスデビモンは、逃げ惑うチビマッシュモン達を蝋で次々と固めている。

そんなアイスデビモンの背後に…
デジタルゲートがひとつ開いた。

そして、クラフトモンが飛び出してきた。

『アイスデビモン!後ろだ!』

アイスデビモンは後方を振り返り、クラフトモンへ蝋を浴びせた!

…だが。
蝋はクラフトモンをすり抜けて、地面に貼り付いた。

『…幻影だ!ファンビーモンと同じ!囮だ!』

本物のデジタルゲートは…
フーガモンの頭上に空いた。

『フーガモン!頭上だ!迎え撃て!』

「ウガウ!」

先程胸部をドリルで抉られてよほど怒っているのだろう。
怒りの表情を向けて、棍棒を構えて頭上を向くフーガモン。
棍棒で迎撃する気だ…!

ゲートから落ちてきたのは…
透明な粘液だった。

粘液はフーガモンの顔にかかった。

「ウガ!?」


次に顔を出したのは…
クラフトモンでなく、オタマモンだった。
890 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 22:11:52.10 ID:aRWUSx6po
オタマモンは、フーガモンの顔に火炎放射を放った。

粘液もとい燃料に引火し、フーガモンの顔面が燃えた。

「アガアアォァアアアアア!!!」

顔を押さえるフーガモン。
よし、これでフーガモンは目が効かない!

オタマモンに続いて、クラフトモンが飛び出した。

クラフトモンは、フーガモンの後頭部目掛けて…
ドリルを突き出した!

フーガモンは…
空中で宙返りをし…

なんと、全く視界が効かない状況にもかかわらず、強烈無比なキックを放ち、クラフトモンを蹴り飛ばした!

地面を転がるクラフトモン。
「ゴボッ…ぐ…!」

なんだ!?
一体どうやって、クラフトモンを探知した!?
視界が効かず、顔面が燃えているのに!
AAAの指示も無かったのに…!
891 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 22:13:56.22 ID:iIYfscv/o
ベスト尽くしてるはずなのにまだ届かんか
892 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 22:17:42.39 ID:aRWUSx6po
まさか、テレパシーのような能力が…!?

リーダーが驚いている。
「ヤツは…おそらく『勘』で蹴りを放った…!」

勘!?
そんなバカな!

「長い間、パイルドラモン現役時代のディノヒューモン農園の勢力と戦い続け、野菜の強奪を成功させてきた奴らだ。信じられないが…『戦いの勘』で、俺達の策を打ち破ってきた…!」

な、なんてヤツ!
フーガモン…蛮族の王。
あいつを甘く見ていたのだろうか。

クラフトモンは立ち上がろうとしている。
「キー!キキー!」

セピックモン達が、遠くからブーメランを投げ、クラフトモンを攻撃している。
一発一発が強烈なダメージだ…!

や、やばい!
893 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 22:20:22.17 ID:31qNuXTA0
勘などという運というか非科学的というか奇跡的なものすら向こうに味方してくるか
894 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 22:23:02.44 ID:aRWUSx6po
フーガモンは、瀕死コエモンの腹部をパンチで貫き、傷口から出る出血で顔を洗った。
そしてコエモンの衣類を剥ぎ取り、頭を擦り付けて、粘液を拭き取ったようだ。

そして、クラフトモンのところへ来て…
クラフトモンを力いっぱい、何度も踏みつけた。

く、クラフトモン…!
戻れ!

システム不調で不安定気味なデジタルゲートを、クラフトモンの真下へ空けた。

だがフーガモンは、クラフトモンを蹴り飛ばし、ゲートが空いた位置から移動させた。

クラフトモンは、立ち上がろうとしているが…
ボロボロだ。
ロボットのように見えるその体の至るところから出血している。

もう、クラフトモンは戦えない…!

「トドメエエェェ!」

フーガモンは、棍棒を構えて、クラフトモンへ突撃した。




「やめろおおおおおおお!」
何者かが、鎌を振りかざしてフーガモンを攻撃した。
フーガモンはその鎌を躱して、立ち止まった。


「ふぅーっ…ふぅーっ…!クラフトモンを…それ以上…いじめるな…!」
スナイモンの鎌を構えたブイモンだ。
895 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 22:24:47.71 ID:O3egGQFJo
お久しぶりのブイモン
896 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 22:27:40.10 ID:aRWUSx6po
ぶ、ブイモン…

「あああああ!おいらが!あいてだあああああ!」

ブイモンはスナイモンの鎌をブンブンと振り回して、フーガモンを攻撃する。

フーガモンは軽々とそれを躱して…
ブイモンの腕を蹴り、鎌をふっとばした。

「う、ああぁ!ぶ…ぶきが!なくったって!だああ!」

ブイモンは己の拳でフーガモンに殴りかかるが…
強烈なカウンターパンチを食らって、地面を転げ回った。

「ぎゃう!」

『くっくっく…!もうそんなザコしかいないのか!農園にいるブイモンだな?私の忠実な信徒達は、そいつと同じ顔をしたデジモンをこれまで何体もブチ殺してきたぞ!』
897 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 22:35:13.97 ID:aRWUSx6po
『はーっはっはっは…もう終わりだなぁ!ナニモン、私からの通信が途切れた時にどうすればいいかは分かっているな?』

AAAがそう言うと…
高いとこで寝っ転がってるハゲオヤジデジモンが、「ウィー」と言いながら手を上げた。
…あいつナニモンって名前なのか。

『トドメをさせ…フーガモン!』

フーガモンは、ブイモンににじり寄って…
棍棒を振りかざした!

「ガオォーー!」

「ちく…しょう…!」

その時。

横から飛び出してきた何かが、ブイモンとフーガモンの間に割って入り…
ブイモンの代わりに棍棒を食らった。

「ひっ…!え…!?」

『なに…!?』

攻撃を受け止めたのは…
白い大きなデジタマだった。

ワームモンとサラマンダモンが、割れたデジタマと融合してできたタマゴだ。


棍棒の強烈な一撃を受けたデジタマは…
ビシビシと大きなヒビが入った。

『なんだ?ゲートから出てきたデジタマが…自ら転がって、ブイモンを庇っただと?あり得ない現象だ…!』

「あ、ああ、ワームモン…!なんで…お前また…!」

デジタマの割れた部分からは、何かのエネルギーが流れ出ている。

「ワームモン…おいらまた、オマエを盾に…!あ、ああ…!」
ブイモンは、デジタマを抱きしめた。
898 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 22:37:06.87 ID:O3egGQFJo
デジタマでもガチれば動けるという新たな発見
899 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 22:43:04.68 ID:aRWUSx6po
『くっくっく…!何やら知らんが面白い現象だな…デジタマがひとりでに動き回るなど…!どうやって動いている?手足も感覚器もないのに!』

AAAがそう言うと、フーガモンがブイモン達を見て余裕そうに嘲笑った。
「ガッハッハッハッハ!!」

「…そっか…そうだったんだ…。オイラ…かんちがいしてた。ワームモン…おまえのこと…」

「おまえは…オイラがみがわりにしようとしても…あのときほんとは…」

「じぶんでオイラのうでから、にげられたんだ」

「でも、そうしなかったのは…」

「オイラを…かばってくれたんだな…ワームモン…!」

ブイモンは目を閉じて、割れたデジタマを抱き締め…
目を見開いた。

『くっくっく!傑作だ、割れたデジタマに何を話しかけている?』

「…ワームモン…またいっしょにたたかおう…」

ブイモンは立ち上がった。

「ちがう、いっしょにたたかうんじゃない…」



「ひとつになって!たたかうんだ!」

割れたデジタマから、突如不思議な光が放たれ…
ブイモンを包んだ。

『ん?何だ…?この光は?』
900 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 22:44:52.06 ID:OHN8Rklx0
おぉ…ついに来るのか
901 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 22:52:41.19 ID:aRWUSx6po
割れたデジタマに、さらにヒビが入り…
外角が細かく分離した。

デジタマの中から放たれる光は、力強い眼光を秘めたブイモンを包み込む。

ブイモンのシルエットは、少しずつ背が高くなっていく。

デジタマの割れた外殻が、光り輝くブイモンの手足や胴体、頭部に貼り付き、装甲を形成していく。

『なんだ…なんなんだこの現象は!フーガモン!何かわからんが殺せ!』

「ウガアアァァ!」

フーガモンは、青銅の棍棒でブイモンに殴りかかった。


その棍棒を…
ブイモンは片手で止めた。

「ガウウゥ!?」

「よくも…クラフトモンを…ファンビーモンを…みんなを…!」

やがて光が消えると、そこには…
燃え上がる勇気のように勇ましい、炎のような紋様が刻まれた装甲を手足と胴体、頭部に纏ったデジモンがいた。

手足の装甲と頭部には、ナイフのように鋭いツメとツノが生えている。

「てめえら…灰になっても燃やし尽くしてやる!」
902 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 22:53:54.53 ID:VSgDkCZmo
ここに来るまで長かったなブイモン…
903 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 22:59:45.47 ID:aRWUSx6po
装甲を身に纏ったブイモンは、手のツメに炎を纏った。
ツメが高熱によって赤熱化していく…!

「ウ、ウガオオオォ!」

フーガモンは棍棒をひったくると、再度振りかぶった。

「うらああああ!」

ブイモンのツメは、青銅の棍棒を一瞬で溶断した。

「ガァウ!?」

『な…なんだこの切断力は!?』

「だあああらあああああ!」

ブイモンが再度ツメを振りかざす。

「ヒイッッ!?」

フーガモンは両腕でガードする。


…炎のツメを受け止めたフーガモンの両腕は、プラスチックカッターを押し付けたれた発泡スチロールのようにスパッと切れた。

「ガ…ゴァアアアアア!?」
904 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 23:07:34.54 ID:aRWUSx6po
「邪魔!なんだ!よ!」

ブイモンはツメをフーガモンの腹部へ突き刺した。

「消えろぉおお!」

フーガモンの腹部へ突き刺さったツメから出た炎が、フーガモンを体内から焼き付きした。

「ゴボォォォオォォ!」

フーガモンの口から炎が吹き出した。

ブイモンがフーガモンの腹からツメを引き抜くと…
フーガモンは倒れた。

『バッ…バカな!あのフーガモンを…こうもあっさりと…!?貴様、何をした…!』

まさか…この現象は…!

リーダーが頷く。
「間違いない。この土壇場で…ついに成功させた。覚醒したんだ…デジクロスの力が!」

『バカな…こんな都合の良いタイミングで偶然進化したのか!?成熟期に!そんな幸運が!あり得るのか!』

「幸運でも偶然でもねーよ!」
そう叫んだのはカリアゲだった。

「いけ!ブイモン!」

「…カリアゲ。オイラはブイモンじゃない」

「えっ違うのか!」

「ここにいるよ!ワームモンも、サラマンダモンも!」

「そうか…いるのか!じゃあ新しい名を付けてやる!」
905 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 23:12:15.83 ID:aRWUSx6po
「名前は…炎の竜!フレイドラモンだ!」
https://i.imgur.com/nMECtCB.jpg

フレイドラモンは、蛮族デジモン達を睨みつけている。

『こ、これは面白い現象だ…。だが…デジタルワールドにはエネルギー保存則がある!それだけのパワー、常に発揮していれば長くはもつまい!』

「…かもな」
フレイドラモンは自分の手を見ている。

『運良く手札にジョーカーが舞い込んだようだなぁ研究者共!だが、ゲームにはジョーカーたった一枚だけでは勝てないことを!教えてやる!』
906 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 23:12:43.08 ID:aRWUSx6po
つづく
907 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 23:14:03.12 ID:31qNuXTA0

もう戦えるのフレイドラモンしかいない…
908 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 23:15:17.27 ID:aqDppXnLo

長年の不遇をこれで晴らせるかな
909 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 23:19:54.27 ID:AGYFP8V60
910 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 23:31:59.32 ID:ctgIAIJB0

なにげに漢字まで発言出来るようになってるんだな……
911 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/26(火) 08:57:50.66 ID:PiF699DJo
ワームモン&サラマンダモン&サラマンダモンのデジタマがジョグレスしたデジタマ×ブイモンで実質×4デジクロスかな
912 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/30(土) 23:44:15.82 ID:fMHYQjIgo
年末年始は投下するのか投下なしか
913 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/31(日) 21:04:42.28 ID:7Sb/MM+So
ブイモンがついにデジクロスを成功させ、超強力な戦闘能力を手に入れた。
その力は蛮族の王であるフーガモンを、手負いとはいえ圧倒するほどだった。

しかし、我々は知っている。
デジクロスの弱点…
それは、エネルギーの消耗が激しく、形態を維持していられる時間が短いこと。

そして活動限界まで戦い続けてからデジクロスを解除した場合、餓死寸前までエネルギーを使い果たした状態となり、戦闘不能になることだ。

つまり…
エネルギーを使い果たすまでに、敵を全滅させれば我々の勝ち。
エネルギーを使い果たせば敵の勝ちだ。

已然、一切気が抜けない状況だ…
それでも、やるしかない!

フレイドラモン!
行け!

「うおおおおおお!」
フレイドラモンは、アイスデビモンへ一直線に突っ込んでいく…!

「フレイドラモン!先にチビマッシュモン達を助けろ!」
リーダーがそう言うと、フレイドラモンは方向転換し、チビマッシュモン達を叩き潰しているジャングルモジャモンの方へ向かった。

なるほど…

「ウ、ウホォ!」
ジャングルモジャモンは棍棒を振りかざす。

「だりゃあ!」
フレイドラモンは、爪を突き出し、ジャングルモジャモンの喉へ突き刺した。

「焼けろ!」
フレイドラモンの爪から炎が吹き出し、ジャングルモジャモンを内部から燃やした。
「ウッホォォァアアア!」
ジャングルモジャモンが倒れた。

「マシ〜!」
チビマッシュモン達は、ジャングルモジャモンのせいでずいぶん数を減らされてしまったが、残った個体はまだいる。
残ったチビマッシュモン達が、マルウェアを食べ、システム障害を緩和させた。
914 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 21:06:06.69 ID:6xqwFMlno
これもデジメンタルアーップ!じゃなくてデジクロスという扱いか
915 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/31(日) 21:10:48.17 ID:7Sb/MM+So
『セピックモン!やれ!フォーメーションRだ!』
AAAが指示を出すと、セピックモン3体はチビマッシュモン叩きをやめて、フレイドラモンを囲い、円を描くようにぐるぐる回った。

フレイドラモンは、セピックモン一体へ近付こうとする。
すると、背後に回ったセピックモンがブーメランを飛ばしてきた。

「いて!」
ブーメランがフレイドラモンに命中する。

フレイドラモンが背後を振り返ると、再びセピックモンが後ろに回り込み、ブーメランを投げた。
「痛ってぇ!」
フレイドラモンの背中にブーメランが命中する。

『そのままダメージを与えてスタミナを削れ!』

くっ…!
早くも適応してきたか!
フレイドラモンは近接戦闘が得意なようであり、遠距離攻撃は苦手そうだ。

セピックモンはこのフォーメーションのまま、付かず離れず距離をとって攻撃し続け、フレイドラモンにちくちくダメージを与えて消耗させていくつもりだ…!

「うっぜえよ…てめーら!ワームモン!替わるぞ!」
フレイドラモンがそう言うと、フレイドラモンの体が突如光った。

光が消えると…
姿が変わっていた。
https://i.imgur.com/DZ39Q5x.jpg

その姿は、どことなくワームモンの親であるスティングモンに似たシルエットだ。

フレイドラモンによく似た装甲を頭部と手足に纏っており…
赤い翅を生やしている。

これは…!
パイルドラモンがディノビーモンに変形したのと同じだ!
フレイドラモンも、別の姿になれるのか!
916 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 21:11:08.06 ID:LqPEwKjIo
もしBreak up!が流れてたらもう勝てる気になれた
917 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 21:12:32.38 ID:8xjFY2uR0
いくらスポンサーさんでもブイモン&デジタマの合体変形フィギュアを作るのは無理かな
918 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/31(日) 21:26:38.53 ID:7Sb/MM+So
な、なんて呼ぶ!?

私がそう言うと、カリアゲが口を開いた。
「フレイドラモンの影!シェイドラモンだ!」

わ、わかった。
あの形態はシェイドラモンだな!

『形態変化…だからどうした!』
「ウキー!」

再び、セピックモンの一体がシェイドラモンの背後からブーメランを投げた。

シェイドラモンは…
手から糸を出して、ブーメランを絡め取った。

『なに!?』
「ウキ!?」

二体目のセピックモンがブーメランを投げようとするが…
シェイドラモンは両手から糸を伸ばし、セピックモン二体を拘束した。

「う、ウキ!」
強力な粘着糸が、セピックモンの体を動きを鈍らせる。

シェイドラモンは、セピックモン達に小さな火を飛ばした。

すると、飛ばされた火は粘着糸に着火し、一瞬でセピックモン二体はごうごうと炎上した。
「ウッギャアアアアアアア!!!」
転げ回るセピックモン達。

どうやらシェイドラモンは、ワームモンの粘着糸と、サラマンダモンの燃料粘液の性質を併せ持った糸を操れるようだ。

『…形態が変わると、能力も変化するのか…』
AAAは、シェイドラモンを観察しているようだ。

残るセピックモンは一体。
「キ…キキー!」
セピックモンは背を向けて逃げようとした。

シェイドラモンはそれを追おうとする。

「後ろだ!シェイドラモン!」
リーダーの言葉を聞いて振り向いたシェイドラモン。

キンカクモンが、電撃バットが振りかざしていた。
シェイドラモンは、両腕でガードするが…
電撃バットは、防御態勢のシェイドラモンを弾き飛ばした。

空中で回転して着地するシェイドラモン。
キンカクモンの方を向き直る。

そして、キンカクモンに糸を伸ばそうとすると…
「後ろ!ブーメランだ!」
リーダーはシェイドラモンの背後から近づく危機を伝えた。

シェイドラモンは大きく横に飛び退く。

シェイドラモンの背後から飛んできたブーメランは、キンカクモンの目の前でぐるりと回り、セピックモンの手元へ戻った。
919 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 21:29:07.70 ID:Vozty7Rl0
やはり勢いに乗らせてくれないか
920 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 21:34:10.16 ID:/e4PxsK20
糸と炎の組み合わせ、強いな……
921 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/31(日) 21:38:17.02 ID:7Sb/MM+So
シェイドラモンは…
一瞬のうちにフレイドラモンへ変形した。

そして、背後からチクチク攻撃してくるセピックモンへ、一気に距離を詰めた。

『は、速い!』
AAAは驚いている。

フレイドラモンは、セピックモンを蹴り飛ばす。
「ウキー!」
地面を転がるセピックモン。

キンカクモンは、フレイドラモンを背後から攻撃しようとする。
だが、それよりも早く、フレイドラモンは鋭利な足のツメでセピックモンの腹部を突き刺した。
「ウギャアアアア!」

そして、ツメから噴出させた炎でセピックモンを内部から焼き…
キンカクモンへ蹴り飛ばした。
「グギャアアアア!」

腹部から炎を吹き出しながら、キンカクモンの方へ吹き飛んでいくセピックモン。

キンカクモンは、それを電撃バットで払い除けた。

キンカクモンとフレイドラモンは対峙する。


『セピックモンとジャングルモジャモンが全滅したか…』

残っているのは、キンカクモンとアイスデビモンだ…!
壁の腕でボケっとしているナニモンは相変わらず攻撃も破壊活動もしない。

『だが…これで手駒が尽きたと思うな!来い!信徒達よ!』

AAAが号令を出すと…
ネット回線のトンネルから、シャーマモンやコエモン、ジャングルモジャモンがわらわらと現れた。
しかもそれらの多くは弓矢を持っている。

「クソ!まだ来るのかよ!せっかく小せえ奴らを追っ払ったのに!ふざけんな!」
カリアゲが台パンする。

『くっくっく…!私にデジモン伝送路のコントロールを支配されているとはこういうことだ!デジタルワールドには、私の忠実な信徒がまだまだいるぞ!』

賽の河原の石積のような徒労感だ。

そうだ…
マッシュモン達に頑張ってもらい、デジモン伝送路のコントロールを奪還できなければ、敵デジモンはまだまだ増えるし、スターモンは助けに来れない。

「ぜぇっ…ぜぇっ…」
フレイドラモンの息が荒くなっている。
922 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 21:39:29.16 ID:8xjFY2uR0
万策尽きたか
923 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 21:40:20.14 ID:gkJ01KDB0
ここまでやってもダメなのか!
924 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 21:50:28.43 ID:/e4PxsK20
ここまででセピックモン4体とジャングルモジャモン3体倒しててこれなのでマジで戦力が厚い
925 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/31(日) 21:51:01.19 ID:7Sb/MM+So
「ウガオーー!」
増援達は、蜘蛛の子を散らすようにデジタル空間に散らばった。

ある個体はデジタル空間を直接叩き壊そうとする。

ある個体はチビマッシュモンを叩き潰して、我々がマルウェア排除と伝送路を奪還するのを妨害しようとしている。

ある個体はフレイドラモンへ弓矢を構える。

「うああああああ!邪魔だ!どけえええ!」
フレイドラモンは、増援の蛮族達に飛びかかろうとする。

「待てフレイドラモン!敵は弓矢を持っている!」

「弓矢ってなんだ!?」

「飛び道具だ!ファンビーモンの針!」

「な!?」

『射てぃ!』
成長期蛮族の群れは、一斉に弓矢を放ってきた。
フレイドラモンは、それらのいくつかを払い除けたが…
4、5発ほどが命中した。

「痛ッてええ!」

蛮族の飛び道具は、確実にフレイドラモンの体力を削っていく。

『くっくっく…!デジモンのチーム同士の戦いは…成熟期が最高戦力だ。だが実際は!成長期の使い方こそが!雌雄を決するのだ!』

もっともらしいことを言いやがって…!

「みみっちい!」
フレイドラモンは、シェイドラモンへ変形する。
「まとめて片付けてやる!」
シェイドラモンは大きな翼を羽ばたかせ、空中で巨大な蜘蛛の巣状の網を作り出し…
それを蛮族弓兵たちに頭上から浴びせた。
「ウホホ!?」

「これで…一網打尽だ!」
926 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 21:52:22.35 ID:gkJ01KDB0
弓矢知らなかったのか
927 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 21:58:56.39 ID:laGNMNFFo
やっぱ物量作戦には勝てんね
928 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/31(日) 22:01:08.87 ID:7Sb/MM+So
そう言い、シェイドラモンは火炎弾を飛ばした。

網に包まれた蛮族弓兵達は、炎に包まれる。
「ウッギャアアアアアアア!!」
業火に焼かれる蛮族弓兵達。

「やった…」
シェイドラモンは地面へ着地する。

「ぜーはー…ぜーはー…!」
シェイドラモンは、明らかに体力を消耗してきている。

当然だ。
燃料というのは、熱量(カロリー)という科学エネルギーを持たせた物質だ。

そのカロリーは、当然シェイドラモンの肉体から消費したもの。

これだけの炎を放ち続けたということは…
それだけシェイドラモンの体力をすり減らしているということだ。

…シェイドラモン!キンカクモンが来た!

シェイドラモンは空を飛びながら後方を振り返った。
キンカクモンが電撃バットを掲げてやってきる。

シェイドラモンは、近付くのはごめんだと言わんばかりに、空中から糸を飛ばしてキンカクモンを攻撃する。

キンカクモンは、糸を巧みに回避する。

「ぜぇっ…!ぜぇっ…!」
糸を飛ばすのにも、空を飛び続けるのにも、エネルギーを消耗する。
このままでは…シェイドラモンがもたない…!

『くっくっく!どんどんバテてきているな!ダメ押しだ…さらに来い!信徒達!』

くそっ…もうこれ以上の増員はやばい…!
929 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 22:05:39.90 ID:laGNMNFFo
このままじゃ年越しがお通夜になっちまうぅぅ!
930 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/31(日) 22:07:37.41 ID:7Sb/MM+So
…しかし。
蛮族の増援は来ない。

『ん!?な、なんだ…?』

ネット回線トンネルから、蛮族の増援は来ない。

『私のところへ繋いでいたデジモン伝送路が…遮断されているだと…?』

お、おお?
これは…!
敵の伝送路を遮断できたのか!

め、メガ、これは!?
君がやったのか!?
「…違う」

え、違うの?
「僕は未だに伝送路のコントロールを奪還できていないし…マッシュモン達も伝送路接続のマルウェアを駆除できていない。なのに、突然、AAAへの伝送路は遮断された!」

ど、どういうこと…?
有り難いけども、何がどうなってそうなったんだ!?

私が困惑していると…
席に戻ってきていたクルエが、私に向かってウインクした。

そして、口元に指を添えて、「しー」っとサインを送ってきた。

よくわからないが…
クルエの策のおかげで、AAAのところへのデジモン伝送路は断ったようだ!

『なん…だと…!まだ何か奥の手を隠していたのか…?』
931 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 22:09:37.58 ID:laGNMNFFo
味方にすら隠されてる正に奥の手
932 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/31(日) 22:16:31.10 ID:7Sb/MM+So
とはいえ、先程敵が送り込んできた増援のうち、チビマッシュモンやデジタル空間を攻撃していた個体はまだ生き残っている。

どうする…?
そっちを片付けていては、キンカクモンやアイスデビモンと戦う体力がもたないかもしれない。

だが、そちらを放置していては、仮にキンカクモンとアイスデビモンを倒しても、体力を使い果たしてしまい、ボコられるかもしれない。

究極の選択だ…
どちらを先に…!

「キンカクモンに行って!」
クルエがそう叫んだ。

「あっちは大丈夫だから!」
大丈夫なの!?
いったいどうして…

…ん…?

よく見ると…

破壊活動をしている蛮族デジモン達の足元が、何かの液体で濡れている。
933 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 22:23:03.38 ID:NrTtYmfy0
全員がベストを尽くせばみんなが何やってるか分からなくても上手く行くもんだ
934 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/31(日) 22:23:27.27 ID:7Sb/MM+So
物陰から、何かがひょっこり現れた。

…赤いオタマモン。
それが8体だ。

オタマモン達は、蛮族の足元の液体に炎を放った。

すると蛮族デジモン達の足元の液体は、一瞬で着火し、ごうごうと蛮族デジモン達を焼いた。
「ギャアアアアアア!!!」

お、おお!
罠にかけたのか!

『何ィイーーーーッ!?貴様達…どこから味方を呼んだ!?』

赤いオタマモンということは…
スポンサーさんですか!?

『いや違う』
違うの?

『我々も諸君らに増援を送ろうとしているが…伝送路が繋がらない。どこからそのオタマモン達を呼んだんだ?』

スポンサーさんたちのオタマモンじゃない!?
どういうこと!?

…困惑している私を見て、クルエが再度ウインクした。

…あ。
ま、まさか…!

わ…わかったぞ!クルエさんが何をしたか!
どうやってAAAへの伝送路を遮断し…
どこからオタマモンを呼んだか!

そりゃ言えないわけだ!誰にも!!

私はお口にチャックし…
全てのトリックを理解したことを、誰にも悟られないようにした。

これで…
最後の敵は、キンカクモンとアイスデビモンだけだ!
935 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/31(日) 22:23:58.73 ID:7Sb/MM+So
つづく
936 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 22:26:17.11 ID:8xjFY2uR0

なんとかここまでたどり着いたか
937 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 22:26:36.42 ID:NrTtYmfy0
938 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 22:30:56.77 ID:le6IICKh0
939 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 22:31:58.20 ID:/e4PxsK20

流石に明らかな少なさになってる
940 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/01(月) 13:47:28.94 ID:/pdtuiZvo
万全の2体相手に息切れフレイドラモン1体
後はもう根性がどこまで続くか
941 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/02(火) 09:56:34.08 ID:ivTvwUfno
この戦いを乗り越えてもお仕事いっぱいあるんだから大変だなこの研究チーム
年末年始休みなんて概念なさそう
942 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/08(月) 10:40:50.67 ID:SgLli2Cdo
我々がデジタルワールドやデジタル空間の可視化に使用しているソフトウェア…
デジクオリア及びデジドローン。

その開発元であるカンナギ・エンタープライズは、特定勢力に対して贔屓することはなく、冷遇することもないと明言している。

すなわち、クラッカーとセキュリティの戦いに対し、どちらかの味方につくことはなく、デジクオリアの販売規制やライセンスの剥奪をすることはない、ということだ。

何故なら、何が正義で何が悪かは相対的なものだからだ。
もしもカンナギが「セキュリティ側に加担する」と宣言した場合、仮に『武力攻撃をして多数の人々を苦しめている独裁国家に対して、革命家がデジモンを使ってサイバー攻撃する』というケースが生じた際に、カンナギは独裁国家のセキュリティを保護し、革命家を規制しなくてはならなくなる。
そういったジレンマに振り回されるのを防ぐために、最初から誰にも加担しない…と立場を表明している。

もっとも、立場上加担しないというだけで…
CEOの神木さんは、ギリギリ贔屓にならないラインで我々に協力してくれている。

そんなカンナギが、ただ一つだけ。
彼らが明確に敵視している存在がいる。

「デジクオリアを不正コピーして使用する者」だ。

その対策として、デジクオリアには特殊なコピープロテクトが仕込まれている。

不正にコピーされたデジクオリアがインストールされた場合、その端末のデジモン伝送路を乗っ取って強制的にカンナギ・エンタープライズ・ジャパンの極秘のサーバーに接続される。

そして、執行者こと赤いオタマモン達が送り込まれて、端末内部のデジタル空間に放火してシステムを攻撃するのだ。

尚、どこをどの程度燃やすのかは完全にCEO神木氏や、その秘書の岸部エリカ氏の匙加減次第だ。

完全に破壊し尽くすこともあれば、ちょっと灸を据える程度で済ますこともあるだろう。

…この仕様は極秘事項であり、知っているのはカンナギの極一部の上層部と、私とクルエだけだ。


…クルエはこの仕様を逆手に取ったのだ。

あらかじめ電話でカンナギへ事情を伝えた上で、スパコンの高速演算能力を使い、デジクオリアの不正コピー品を作成し…
我々のネットワークに接続された端末へインストールしたのだ。

それによって、AAAに掌握されていたデジモン伝送路を、さらに上から乗っ取った。

マルウェアに支配された伝送路のコントロールを、正規の方法で奪還できないなら…
別のトロイへ伝送路を奪わせてしまえばいい。

この裏技によって、クルエはAAAが繋げてきたデジモン伝送路を遮断したのだ。

なんてイリーガルな手だ…
私には絶対思いつかない発想だ。
943 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 10:47:09.63 ID:F9CvrnJp0
犯罪者の悪辣な手を考える担当はクルエさんか
944 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 10:58:59.65 ID:4EkZsmoH0
単純に助けを求めたとかじゃなかった 裏技だわ……
945 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/08(月) 11:08:42.66 ID:SgLli2Cdo
そして神木CEOは我々のもとにオタマモン8体を送り込んできて…
灸を据える程度に、デジタル空間を燃やしてくれた。

尚、オタマモンが燃やした箇所には、AAAの配下である蛮族デジモン達がいたが…
それらはただ巻き込まれただけだ。
勝手に人の端末にデジモンを送り込んでくる方が悪い。
どっちの味方だとかそういう話ではない。

まあ、そういう建前で…
神木氏は、我々のもとへオタマモン8体の救援を送り込んでAAAの配下を始末し、これ以上フレイドラモンが体力を削られるのを防いでくれたのだ。

なぜ神木氏が我々に味方してくれたのか…
言われなくても分かる。

我々研究所の活動が、カンナギ・エンタープライズにも利益を齎すから。

そして何より、クルエは電話で…サラの訃報を伝えたのだろう。
そして、我々を今攻撃しているAAAこそが、サラことサラマンダモンの仇だと。

クルエが、リーダーやみんなに、何をするのか教えなかったのは…
カンナギの報復システムが秘匿されたものであり、それを利用した手だったからだ。
決して皆に無意味な嫌がらせをしていたわけではなく、必要だから黙っていたのだ。


…キンカクモンが、フレイドラモンに金棒を振りかざす。
フレイドラモンはそれを躱し、反撃を試みるが…
アイスデビモンの蝋がフレイドラモンの手足を拘束して、動きを封じた。

フレイドラモンは蝋を燃やして溶かしたが…
その一瞬の隙を突いて、キンカクモンの金棒がフレイドラモンの頭部を殴りつけた!

金棒を介した電撃攻撃が、フレイドラモンを苦しめる。
キンカクモンやアイスデビモンとの一対一でなら勝てるかもしれないが、それら二体がいると、流石にフレイドラモン側が不利だ。

二体を相手にしても尚、殴り合いならフレイドラモンの方が強そうだが…
アイスデビモンが放ってきた蝋の拘束を溶かすために、どんどん火力を消耗させられるのだ。

尚、このアイスデビモンは先程、キャンドモン4体を吸収することで、蝋を補充していた。

このままでは、スタミナを削られて押し切られかねない…!
敵の手はとんでもなく陰湿だが、脅威だった。

格闘が苦手なオタマモンが、この場に割って入っても…
キンカクモンに叩き潰されてしまうだけだろう。
946 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 11:11:14.01 ID:+PSAE41U0
まだ後ちょっと届かないか
947 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/08(月) 11:24:42.06 ID:SgLli2Cdo
メガは、今まで蛮族デジモン達に破壊されまくったシステムを、必死に修復している。

先程の蛮族達の猛攻によって、システムの様々な部分が破壊され、動作不良を起こしている。
それでも尚、今までどうにか戦えているのは、メガやシステム管理チームがリアルタイムでシステムの修復をしてくれているからだ。

…デジタルゲートはまだ使えなさそう?メガ。

「数分かかると思っていたけど…。もうすぐ復調しそうだ」

おお!
凄いぞメガ!

「僕だけの力じゃない…見て、あれを」

メガが指した方を見ると…
そこにはクラフトモンがいた。

クラフトモンは、フーガモンに滅多打ちにされて、酷い大怪我を負っているにも関わらず…
工具を駆使して、ファイヤウォールやシステムの修復を、手伝ってくれている!

クラフトモンの工具は、どうやらシステムの概念的な修復も可能であるらしい。

…あの傷は相当深い。
全身に激痛が響いていることだろう。
本来なら、今すぐ絶対安静にして寝込まなくては命に関わる重症だ。

それでも、クラフトモンは痛みに耐え、傷付いた体でシステムの修復作業をしている。
フレイドラモンの勝利を信じて…!

「やった!デジタルゲートが復旧した!」

おお、やったか!

メガ…戦況は不利だ。
フレイドラモンは強いけども、敵は狡猾な手段でフレイドラモンの弱点であるスタミナを削っている。

遅延戦術をして、自分達が有利になるのを待っている。

この戦況を覆すために…
私に作戦を任せてくれないか。

「何か手があるんだね。…勿論いいよ、ケン」
948 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/08(月) 11:25:29.52 ID:SgLli2Cdo
つづく
949 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 11:26:35.37 ID:+PSAE41U0
950 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 11:26:47.53 ID:F9CvrnJp0
951 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 11:27:40.41 ID:fpJ3ipKj0
952 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/09(火) 23:54:35.66 ID:zL1/UX/Co
メガ…
アプリモンスターズ達は、それぞれの力を組み合わせることができるの?

蟹鍋用のシャコモン貝殻探しで、ガッチモンとナビモンが連携したように。

「可能だよ。スプリングシステムというんだ。アプリモンスターズ達の肩から生えているケーブルを相互に接続することで、システムをリンクさせて力を発揮できるんだ」

3体以上でもできる?

「うん。ナビモン、ガッチモン、ドーガモンの3体で、輪になるようにアプリンクすれば、全員のシステムを連携できる」

横からカリアゲが顔を出してきた。
「すげーな…じゃあさ、相性がいいアプモン同士でアプリンクしたら合体できたりしないのか?」

「そんな機能は無いよ」

「え、なんかできそうじゃん!デジクロスならぬアプ合体!みたいな」

「ふざけてるの!?しつこいな、合体できないって言ってるでしょ!」

「そ、そんなに怒るなよ…」

とりあえず…分かった。
3体でアプリンクして…作戦をやりたい。いいかなメガ。
「いいよ、ケン」

今回は、マッシュモンや、救援に来たオタマモン達にも協力してもらう。

「なあ、ケン…このオタマモン達どっから来たんだ?スポンサーさんとこじゃねえなら…マジで今伝送路はどこに繋がってんだ?」

気にするなカリアゲ!
味方であることは間違いない!

「そ、そっか…」
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