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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part6

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653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/12(月) 18:10:07.71 ID:55oKPG/eO
カリ殺者いっぱいいそう
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/12(月) 22:07:04.15 ID:SMQBPGmD0
乙です
レイの過去や禁呪や邪神関係も明らかになっていくのかな
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/13(火) 12:06:51.28 ID:RycuNkIFO

ミスティさんが安定の脳筋武闘派スタイルで安心できる
努力目標が追加されたけどクロシュちゃん的にはやっぱセインさんたちが気になるとこよね
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/16(金) 23:39:54.69 ID:yLauTuFXo
ミスティバイオレット姉妹大魔女帝国レインと対カリス連合できるなって
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/17(土) 09:38:35.68 ID:idXzYpXB0

自由行動の安価に関してなんか言っていたけど>>357でまだ様子みる感じだったのね(一度自由行動の安価取っているのにまたとっている人たちがいたからあれっと思ったけど)。
658 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/17(土) 16:29:30.36 ID:2CFwlCGE0
使徒氏は少し変わった考え方を持っているようです。彼女の真の目的が何なのかは今のところ闇に包まれていますが、少なくとも今のところはクロシュたちと喧嘩になることはなさそうです。クロシュ氏としても、デロデロ教についての考えと評価を提示してくれたのは嬉しいことであったと言えるかもしれません

カリス氏に恨みを持っている人はけっこういるので、カリス氏を殺したいと思っている人はけっこういると考えられます。彼女に向けられた殺意がどのような影響を及ぼすのかは今のところ未知数と言えます

レイ氏のことや邪神のことなどは、今後明らかになる可能性があります。今のところは闇に包まれているため、それが実際にどのようなものなのかはわかりません。なおこれはネタバレですが、邪神や邪教に関係している言葉や事象は既に劇中でもいくつか出てきています。鋭い方はもうお気付きかもしれません

ミスティ氏は脳筋なので、枢機卿とカリスを同時にやっつければ悪は去ると考えたようです。それは実のところある程度その通りなのですが、しかし彼らを同時にやっつけるのはとても難しいかもしれません
クロシュ氏としては、セインさんやフレアちゃんのことがやはり気になるようです。時間は有限なので、早め早めに調べたり動いたりしていくのが良いでしょう

カリス氏に恨みを持つ人はけっこういますが、それらの復讐者たちが一致団結するには場所やコミュニケーション手段など、様々な課題があります。もしそれらを乗り越えることができれば、大きな戦力となってカリスを打ち倒すことができるかもしれません
659 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/17(土) 16:30:00.90 ID:2CFwlCGE0
―王都セイントレア 喫茶店

 カランカラン

店員「お待たせいたしました。紅茶とセイントレアチーズケーキになります」スッ

 紅茶「」ポン ホカホカ
 レアチーズケーキ「」ポン

ミラ「ありがとうございます」

店員「ごゆっくりお過ごしくださいませ」ペコリ スタスタ


レイ「……」ガクブル

妖精「え、ええと……これは、どういう状況なの?」

ミラ「君たちもレイのことを知ってるんだよね?」

クロシュ「うん……」

妖精「まあ、ちょっと縁があって……」

ミラ「なら一緒にお話しようよ。久しぶりに会えたことだしさ……」

レイ「……」ガクブル

 ◇

クロシュ「……」モグモグ

妖精「えっ……ミラとレイは同じ孤児院の出身だった……!? でもレイの孤児院って――」

ミラ「そう。レイがやったんだ」

レイ「ち、違うよぉ……。私、何もしてないんだよぉ……」グスグス

ミラ「うん、知ってるよ。私たちの孤児院が邪教の組織だったことも。レイがその器として選ばれたことも。ロイエ教の襲撃でパニックに陥ったレイが逃亡したことも。その余波でクルが死んだことも――」

レイ「あっ……く、クルが……」ジワワ

ミラ「フフ……お陰で、僕とクルは一つになれた。レイには感謝してるんだ……本当だよ?」ニコニコ

レイ「あ、ぁ、ぅ……」ガクブル


どうする?
↓1〜3選択 話す or すること
1.邪教について聞く
2.セイントレアチーズケーキについて話す
3.周囲を見る
0.自由安価
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/17(土) 16:33:13.75 ID:zB4QjK25O
1
661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/17(土) 16:33:41.20 ID:UE2J1q550
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/17(土) 16:38:56.05 ID:hJvJmRqI0
過去の孤児院でのレイミラクルがどういう生活してたのか聞いてみる
663 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/17(土) 19:52:51.61 ID:2CFwlCGE0
クロシュ「邪教って……?」

ミラ「邪教――正式名称は、クリファ教。現世においては悪魔とされる、幽界の邪神を信仰する暗黒の宗教さ」

妖精「幽界の邪神……?」

レイ「そ、そうだったんだ……」

ミラ「レイ、器なのに知らなかったの?」

レイ「知らないよぉ……。興味もないし……」

ミラ「あいつらは孤児たちを利用して、邪神をこの世に顕現させようとしていたんだ」

クロシュ「どうして……?」

ミラ「邪神が好きすぎて直に会いたくなったとかじゃないかな?」

妖精「……でも結局、儀式は失敗したんでしょ? レイの様子を見る限りじゃ」

レイ「そ、そうなの……?」

ミラ「たぶんそう。でもはっきりとはわからないんだ。あの時、あの場所で、もしかしたら邪神は降りていたのかもしれない。レイは……覚えていない?」

レイ「わ、わかんないよぉ……あの時は、武器を持った奴らがいっぱい暴れてて……みんな死んで、殺されて……私、無我夢中で……」

妖精「あれ、でもレイって闇の力を使えるよね。あれってよく考えたら幽界の力か……じゃあ儀式は成功していた?」

ミラ「そうなの? レイ」

レイ「わかんないってばぁ……」

 *

クロシュ「孤児院では……どんな風に、暮らしてたの……?」

クル「ここからは私がお話するね。毎晩闇の神様にお祈りを捧げるところ以外は、たぶん他の孤児院ともあんまり変わらなかったと思うよ。ね、レイ?」

レイ「あ、え、えっ……く、クルなの……?」

クル「そう! よくわかったね、褒めてあげよう」ニコニコ ナデナデ

レイ「あぅぅ……。ご、ごめ、なさ……」

クル「アハハ、大丈夫! レイのせいじゃないってわかってるもの。それに今は、ミラとずーっと一緒にいられるから」

レイ「うう……」

クル「あ、もう一つ変わったことがあった。魔法の練習は全然しなかったんだ。それどころか、杖を持ったり自分で勉強したりするのも禁止だった」

妖精「魔法禁止……? それはけっこう厳しくない?」

クル「よくわからないけど、邪神の器にする都合じゃないかな? 属性の適性検査だけはけっこう頻繁にやってたし」

レイ「……そういえば……闇適性のある子だけが呼ばれたこと、あったよね……」

クル「うん。あれは邪神の器に最も相応しい子供を選定してたんじゃないかなあって思う。もしかしたらレイじゃなくて私が邪神の器になっていた運命もあったのかもね」

レイ「………」

 ◇
664 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/17(土) 19:54:01.20 ID:2CFwlCGE0
 ワイワイ キャッキャ

クル「それでね、その時レイが――」
レイ「や、やめてよぉ――」
妖精「へえ〜」
クロシュ「ほえ……」


 カウンター席「」
新聞を読む隻腕の男「……」ペラッ…
無言で紅茶を啜る男「……」ズズ…


 窓の外「」ワイワイ
動かない男「……」
行き来する男「……」スタスタ クルッ スタスタ


クロシュ「……」


クロシュ(妖精さん……)

妖精(……クロシュも気付いた? 変な奴らに囲まれてる)

クロシュ(うん)

クル(え、そうなの!? うわ、本当だ。変な奴らがいるね)

レイ(ひっ……!?)

妖精(レイ、態度に出さないで。気付いていない風を装って)

レイ(う、うん。ごめん……)

クル(レイを捕まえに来た兵士……にしては、やけに不審だね。私服だし、動きも見えない)

妖精(思うに……あれは、孤児院を襲撃したロイエ教の奴らなんじゃ? 派閥まではわからないけど……今度こそレイを捕らえようと企んでいるのかも)

クル(!)

レイ(ひえ……!? み、見捨てないよね!? 私のこと……見捨てないよね……!?)

クロシュ(うん……! レイさんは……悪くない……!)

レイ(クロシュちゃんんんん!!!!)

クル(それで……どうするの?)

妖精(私に考えがある)

 ◇
665 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/17(土) 19:54:28.55 ID:2CFwlCGE0
 チャリンチャリン

店員「ありがとうございました」ペコリ

 扉「」ガラッ
 カランカラン―

クル「美味しかったねー」

レイ「う、うん……びび、美味でありましたなあ……!」

妖精「あ、あの路地裏に何か美味しそうな気配がある!」

クロシュ「わ〜!」

クル「それじゃあ行ってみよう」

 スタスタ トコトコ パタパタ
 曲がり角「」クルッ


隻腕の男「……」シュタタッ
追跡者たち「……」シュタタッ

 クルッ

隻腕の男「!」

 誰もいない路地裏「」

隻腕の男「逃げられたか? 総員、周辺を隈なく探せ」

追跡者たち「ハッ!」ザザッ

 *

透明妖精(まだいるんだけどねぇ)

透明クル(クロシュちゃんの反映魔法……! 凄いね!)

透明レイ(クロシュちゃん、こんなことできるの……!?)

透明クロシュ(んへへ……)

透明妖精(奴らが見失ってる内にさっさと離れよう)

 ◇
666 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/17(土) 19:54:56.25 ID:2CFwlCGE0
―夕方
 王都セイントレア 公園

 噴水「」シャワシャワ

クロシュ「……」キョロキョロ

妖精「この辺まで来ればもう大丈夫だと思う」

レイ「ぷはっ……た、助かったぁ……」

ミラ「フフ、なかなかスリリングだったね」

妖精「ただ、問題は……私とクロシュは巡礼者ってことでロイエの教会に泊まってるからたぶん顔が割れてるし、クル……じゃなくて今はミラか。ミラもそこの孤児院で働いてるから、当然素性はバレてる……。このまま帰れば待ち伏せされてるかも……」

ミラ「困ったね……。僕としては、レイを奴らに引き渡すのだけは阻止したいところなのだけれど」

クロシュ「んゅ……」

レイ「……だ、大丈夫! あとは私、ひ、一人で逃げられるから……!」

ミラ「ダメ。そうやってこの前も一人で逃げて、結局ずっと会えなくなっちゃったじゃないか。今度は一人で行かせなんて――」

レイ「ごご、ごめんねっ……!」スッ

 影「」ドプン!

ミラ「あっレイ……!?」

妖精「影に……隠れた!」

クロシュ「わあ……!」


闇隠れレイ「今日はありがとね……。クルのことは……本当に、ごめんなさい……。これ以上、みんなを巻き込めないから……私、もう行くね……」

ミラ「レイ……!!」

闇隠れレイ「それじゃ……さよなら……!!」

 スススス――…


妖精「……行っちゃった。前より闇の力を使いこなしてる」

ミラ「………レイ……」

クロシュ「ミラさん……」


 ☆レイと再会しました

 ☆努力目標が追加されました
 ・レイの行方を追う

 ◆
667 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/17(土) 19:56:06.39 ID:2CFwlCGE0
―王都セイントレア 市場

 ワイワイ ガヤガヤ

イリス「枢機卿の弱点……何かないですかね」スタスタ

ローガン「難しいな。簡単に見つかるような弱点があれば、恐らく既に潰されているだろう」スタスタ

イリス「それはそうですね……ん?」


 ザワザワ…

貴族の少年A「おらっ! 有り金全部出せ!」ゲシッゲシッ
貴族の少年B「ギャハハハ!!」

縮こまっている奴隷「……」ブルブル


イリス「あれは……!」

ローガン「ふむ……見たところあの子供たちは身分の高い者の子息か。蹴られているのは……首に枷が嵌められているところを見ると、奴隷だろう」

イリス「貴族だから誰も手出しできないってことですか……!?」

ローガン「うむ……。あの奴隷の主人がもし平民の者であれば、打つ手はないだろう。魔族国での貴族や騎士の振る舞いを思い返せば、この王国において貴族は巨大な力を有しているはずだ。そんな者が相手ではどうにもならぬ」

イリス「……」ギリリ

 バサッ!!

ローガン「あっイリスくん待て!」

 *

貴族の少年たち「ギャハハハハ!!」ゲシッゲシッ


「待て!」ザッ


貴族の少年A「あ?」

星柄フードで顔を隠した少女「弱き者を痛めつけ悦楽に浸るその腐り切った性根――叩き直してくれよう」バサッ

貴族の少年B「なんだァお前?」

星柄フードで顔を隠した少女「夜闇に紛れて悪を討つ、星光のダークヒーロー――イリスとは私のことだ!」ババン!

貴族の少年A「は?」

 ザワザワ… ナンダアレハ…

貴族の少年B「夜闇て……今は真っ昼間だぞ! ブハハハハ!!」

貴族の少年A「ケヘヘ……こいつけっこう良い体してるぜ! 貴族様に逆らった罰だ、たっぷり躾けてやるよ!」

ダークヒーローイリス「……」ワナワナ
668 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/17(土) 19:56:52.05 ID:2CFwlCGE0

 ザワザワ…

「おいおい大丈夫か、あの頭のおかしい女の子……貴族なんかに喧嘩売っちまって……」
「大丈夫じゃないだろ……」
「あいつら、この辺じゃけっこう有名な悪ガキでよ。今日は奴隷だけど時々冒険者とかにも喧嘩売ってボコボコにしてる札付きなんだ。あの頭のおかしい女の子、ヤベェぞ」
「……でもこれ、けっこう美味しい光景が見れそうじゃね? へへ……頭はおかしいけど体つきは本当にけっこう良いし……さっきチラっと見えたけど顔もかなりかわいいし」
「うわ、お前最低だな……。まあ気持ちはわかるけ――」

 ドガンッ!!

貴族の少年A「」プスプス
貴族の少年B「」プスプス

ダークヒーローイリス「命までは取らない。反省することだ……」ザッ

縮こまる奴隷「」ブルブル

ダークヒーローイリス「悪は討った。君ももう大丈夫だ――」

縮こまる奴隷「……?」ブルブル


アルベール王「……」ヌッ


 ザワザワザワ… アルベールオウ…!?


ローガン(なんだと……!? アルベール王がなぜこんなところに……!? まずいぞ、イリスくん……!!)


↓1コンマ 奴隷の身元
01-10 ??
11-30 平民に仕える魔族奴隷
31-50 平民に仕える人間奴隷
51-70 貴族に仕える人間奴隷
71-90 王族に仕える人間奴隷
91-00 ??
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/17(土) 19:58:16.19 ID:Ntcme+DnO
はい
670 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/17(土) 20:46:32.35 ID:2CFwlCGE0
魔族の奴隷少女「あ、ありが――」


アルベール王「……」ギン


魔族の奴隷少女「ひ、あ……」ガクガク


ダークヒーローイリス「……!! 貴方は――」


アルベール王「このような見世物に出会えるとは。出歩いてみるものだ」

ダークヒーローイリス「アルベール王……!!」

アルベール王「衛兵よ。この者を捕らえよ。暴行の現行犯である」

衛兵たち「ハッ!」ザザッ

ダークヒーローイリス「くっ……!! アルベール王、虐げられる者たちの声は聞こえないのか!? 貴方に人の心はないのか!!?」

アルベール王「私は城に戻る」クルッ スタスタ

ダークヒーローイリス「アルベール王!!!!」


ローガン(なんてことだ……! どうする……!? 何か手は――)


 モニョモニョ…モニョモニョモニョ…


衛兵たち「黙って歩け!」スタスタ
衛兵たち「逃げ出そうなんて考えるんじゃないぞ」スタスタ
衛兵たち「ったく、面倒な仕事増やしやがって」スタスタ


ダークヒーローイリス「……え? いや、あの……私はこっち……」

『民衆の目を誤魔化しました。こちらへ……』モニョモニョ

ダークヒーローイリス「えっ……!? あっ……!」


小さな半透明スライム「〜〜!」モニョニョ


『そのスライムについていってください』モニョモニョ

ダークヒーローイリス「は、はい」

『さあ、あなたも……。ここにいては、不要な諍いに巻き込まれます……』

魔族の奴隷少女「え、あ、はい……!」

 ◇
671 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/17(土) 20:49:46.94 ID:2CFwlCGE0
―王都セイントレア 薄暗い路地裏

小さな半透明スライム「〜〜」モニョニョ

『ここまで来ればもう大丈夫でしょう……。帰り道、どうかお気をつけて……』モニョモニョ

魔族の奴隷少女「あ……は、はいっ」

イリス「あ、ありがとうございました……! あの、あなたは……?」

『……この街に暮らす者の一人です。魔族が虐げられていても、あなたのように立ち向かう勇気もなく、見ていることしかできない……無力な……』モニョニョ…

イリス「そ、そんなことありません……! あなたのお陰で、私はなんとか逃げおおせることができました……!」

魔族の奴隷少女「う、うん……。えと……ありがとう……助かり、ました……」

イリス「だから、ええと……お礼を――」

『……不要です。どうか、私のことは詮索せずに……。そのまま、お帰りください……。それでは……』モニョモニョ


小さな半透明スライム「〜〜」ピョンピョンピョン―


イリス「……」

魔族の奴隷少女「え、えっと……ダークヒーローさんも……ありがとう、ございました……」ペコリ

イリス「あ、ううん……」

 ◆

―夕方
 聖ヴァレリオ教会

ローガン「イリスくん……今回のことは流石に肝が冷え切ったぞ……」

イリス「す、すみません……。頭に血が登ってしまって……」


ミスティ「どうしたの? イリスが叱られるなんて珍しいわね」

エバンス「何をやらかしたんだ?」

 *

エバンス「ええ……貴族に喧嘩を売った……!?」

ミスティ「へえ……! イリスって脳筋だったのね」クスクス

イリス「うっ……今日ばかりはミスティに何も言い返せない……」

ローガン「はあ、笑い事ではないのだがな……。下手をすればパーティ全滅の危機だったのだぞ……」

イリス「うっ……本当にすみません、反省しています……」

ローガン「……だが、少なくともあの場で虐げられていた魔族の少女が救われたのも事実だ。ひとまず今は、そのことに胸を張るのが良いだろう」

イリス「はい……」


イリス(でも、あの声は一体誰だったんだろう……? 小さなスライムを使役していた……? それとも、あれは――)

イリス(……考えてもわからない! ひとまず今は大人しくしていよう……)

 ◆
672 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/17(土) 21:36:42.64 ID:2CFwlCGE0
―夜
 セイントレア平原

 焚き火「」パチパチ

レイン「……」


レイン(調査の結果、勇者モドキのセインはカリス・ノーランドの邪術によって造り出されたことがわかった……)

レイン(つまり私が滅ぼすべき相手は……セイントレア王国と、カリス・ノーランド……。場合によっては、セクリエ・ロイエも……)

レイン(……最低でもアルベールとカリスだけは、絶対に殺す……)


ザイル「レイン。ここにいたのか」バサッバサッ

レイン「ザイル」

ザイル「フレメアが居座っていた廃城が木っ端微塵に吹き飛んでいた。彼女の行方を知らないか?」

 バサッバサッ

フレメア「呼んだ?」

ザイル「フレメア。生きていたか」

フレメア「まあね。ちょっと野暮用が出来たから、しばらくお仕事はできない」

レイン「野暮用?」

フレメア「カリス・ノーランドを殺すの」

フレメア「!?」

ザイル「カリス・ノーランド……?」

 *

ザイル「なに……!? フリューゲルが、カリス・ノーランドの手で……!?」

レイン「……!」

フレメア「それでいろいろあって、カリスを潰してお母様を救出する為に愚妹とか魔族国に協力させられることになったの。だから悪いけどこっちの仕事はできないわ」

レイン「……待ちなさい」

フレメア「何?」

レイン「私にも噛ませなさい、それ。こっちもカリスに恨みがあるのよ」

ザイル「オレも参加させてもらおう。フリューゲルには恩がある」

フレメア「ええ? まあいいけど……」

 ◆
673 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/17(土) 21:37:15.03 ID:2CFwlCGE0
―夜
 魔族国 バイオレット邸

 広げられた本「」バサッ
 散らばった本「」ドサッ

フラナ「はあ。フレメアの奴はロクに知識がなくて役に立たないし、この国に私以上に魔法に詳しい奴なんてほとんどいないし……どうしたものか……」

 コンコン ガチャッ

クローディア「お困りのようね。フラナ・バイオレット」スタスタ

フラナ「……大魔女帝国に不法侵入を取り締まる法はないの?」

クローディア「大魔女を取り締まる法はないわ」

フラナ「はあ、そう……。で、何の用? 見ての通り私は今忙しい」

クローディア「カリス・ノーランドを倒す方法――知りたくないかしら?」

フラナ「なるほどね。代価は?」

クローディア「カリス・ノーランドの首」

フラナ「……つまり、同じ目的を持っていると考えて良いのかしら?」

クローディア「ええ、その通り。彼奴は我が国で許し難い狼藉を働いた上――我が朋友フリューゲル・バイオレットの生命・尊厳を踏み躙り、辱め続けている。彼奴の生命がこの地上にある限り、私の怒りが静まることはないわ」

フラナ「……母上と知り合いだったの?」

クローディア「そうよ。ずっと以前から、彼女を救出する作戦は考えていたの。けれども、無数の分身を持つカリスを滅ぼす方法も、カリスに改造された生命を救う方法も、見つからなかった……」

フラナ「……」

クローディア「でも今は違う」

フラナ「!」

クローディア「切っ掛けは、以前うちの国でカリスが騒動を起こした時に奴の魔法を直接視れたこと――そして、カリスに造られた生命を解析できたこと。特に、クロシュとフメイの二人にかけられていた呪いはカリスの手法を紐解く大きなヒントになったわ」

フラナ「クロシュと、フメイが……!」

クローディア「――今ならやれる。でもそれには力が必要なの。王国とセクリエ・ロイエに守られている奴を叩き潰すには、大きな力が――」

フラナ「だから目星を付けたというわけか。王国と一触即発を保つ敵国である、我々魔族国を」

クローディア「無論、全力で魔族国を支援する用意はあるわ。私自身も立場を表明して参戦しましょう。どうかしら?」

フラナ「……悪くない提案だけど、もし大魔女が参戦するとしても王国との戦力差を覆すにはまだ――」

 窓「」バァン!!

フレメア「ただいま」バサッバサッ

レイン「お邪魔するわ」バサッバサッ

ザイル「失礼する」バサッバサッ


フラナ「……」

クローディア「テロ支援国家だったのね、魔族国って」

フラナ「誤解よ」

 ◆
674 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/17(土) 21:37:49.05 ID:2CFwlCGE0
―夜
 王都セイントレア 地下水路

 地下水路「」ザアザア

レッサースライムたち「〜〜」モニョモニョ

ドブネズミたち「チューチュー」チョコマカ



フメイ「ふう……」ゴロン

アリシラ「ねえ、フメイちゃん……やっぱり地上の宿屋とかに泊まらない?」

フメイ「なんで? ここなら雨風を凌げるし、人目にも付かないし、しかもタダなのに」

アリシラ「そうだけどさあ……。暗くてジメジメしてるし……ネズミもいるし……」

フメイ「――!」サッ

 瞬間凍結「」ガキンッ!

アリシラ「敵襲!」バッ


アイス「……」トコトコ ジッ


フメイ「……!」

フメイ(あいつ……間違いない……! フメイたちと同じ奴だ……!)

アイス「……」スッ

 瞬間凍結「」ガキンッ!
 瞬間凍結「」ガキンッ!
 瞬間凍結「」ガキンッ!

アリシラ「うわうわうわあっ!!」サササッ

フメイ「アリシラ! びっくりしてないで吸収とかしてよ!!」サササッ

アリシラ「今は星の力でいっぱいいっぱいでェ……!」

フメイ「ああ……くっ!」バッ

 炎「」ゴウッ!!

アイス「!」

フメイ「それ以上攻撃を続けるなら、この地下水路を爆破する。それは困るよね?」

アイス「……」

フメイ「わかったら大人しく――」

アイス「……」チラッ


レッサースライムたち「〜〜!?」モニャニャ


アイス「……」

 パキッ――
 凍結領域「」ピキピキパキッ――

氷漬けフメイ「」カチンコチン

氷漬けアリシラ「」カチンコチン

氷漬けレッサースライムたち「」カチンコチン
675 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/17(土) 21:38:16.85 ID:2CFwlCGE0
アイス「……」

アイス「……」トコトコ

氷漬けフメイ「」

アイス「……」スッ

 ヒュッ!

アイス「!」サッ

 氷壁に刺さる刃「」ドズッ!!


ブラッド「避けるなよ」スタッ

アイス「……ブラッド」

ブラッド「あ? お前あたしのこと知ってるの?」

アイス「……」ギリッ

ブラッド「??」

アイス「……」

 パキッ――

ブラッド「!」

 凍結領域「」パキパキ――

 モニョモニョポン!
氷ブラッド「効かないねぇ」ニヤ

アイス「!!」

氷ブラッド「お前カリスの手下だよね? あの腐れ野郎についてあることないこと吐いてもらおうか――」スタスタ

アイス「――っ!」

 雷「」バチチッ!!

氷ブラッド「うわっ!」


黄スライム『アイスちゃん!』モニョニョ!

アイス「……!」

黄スライム『掴まって! ちょっとびりびりするけどごめんね!』モニョモニョ!

アイス「!」ガシッ

 雷の残像「」パリッ―


氷ブラッド「ちっ……逃げられたか」

 *
676 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/17(土) 21:38:47.48 ID:2CFwlCGE0
―深夜
 王都セイントレア 地下水路

 メラメラ…シュワシュワ…

解凍フメイ「わあっ!?」ガバッ

解凍アリシラ「ああっ……!?」ガバッ

解凍レッサースライムたち「〜〜!?」モニャニャニャ!?


ブラッド「ようやく起きたか」

フメイ「あ……赤スライム……!?」

ブラッド「久しぶり、後輩。カリスの手先如きに遅れを取るなんてちょっと迂闊すぎるんじゃないの」

フメイ「うっ……」

アリシラ「え、ええと……誰……?」

ブラッド「……で、何でお前は人間なんかと一緒にいるわけ?」

フメイ「……」

 *

ブラッド「ふうん、そういうことだったんだ……。というかあいつ、お前の妹分だったのか……」

フメイ「……妹分かどうかは、わかんないけど……ずっと、一緒だった……。」

ブラッド「ま、どうでもいいけど。それよりお前、私に協力しろ」

フメイ「?」

ブラッド「カリスを殺す」

フメイ「……!」

ブラッド「お前の炎は役に立つ。嫌なんて言わないよね?」

フメイ「……」

アリシラ「……フメイちゃん、やろう」

フメイ「アリシラ……!」

アリシラ「カリス・ノーランドはいずれ決着を付けなきゃいけない相手でしょ? それならこの強い赤スライムちゃんと一緒に戦える今がチャンスだよ。今なら私も星の力が使えるしさ」

ブラッド「人間の言葉に賛同するのは気に入らないけど、そいつの言う通りじゃない?」


フメイ(……カリスを倒せれば、クロシュを脅かす危険が一つ減ることにも繋がる……ここで乗らない手はない)

フメイ(アリシラを巻き込むのが少し心配だったけど……本人が良いって言ってくれたから、やるしかない……!)


フメイ「わかった」

ブラッド「よし。それじゃあよろしく」

アリシラ「うん、よろしくね赤スライムちゃん!」
677 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/17(土) 21:39:44.46 ID:2CFwlCGE0

ブラッド「ところで星の力が使えるって本当?」

アリシラ「うん。フメイちゃんより強い炎が出せます! 頼りにしてくれて良いよ」

ブラッド「さっきは二人一緒にカチコチに凍らされてたけど?」

アリシラ「あれは……ちょっと予想外だったの! ほとんど予備動作なしの全体攻撃なんて反則でしょ!」

フメイ「……フメイも、次は凍らされない。凍らされる前に、溶かす」

ブラッド(……まああたしも、こいつらがやられてるところを見ていなかったらやばかったかも)



ブラッド「ところでフメイって名前、自分で付けたの?」

フメイ「脱走してすぐの頃に、通りすがりの精霊に名前がないと不便だよって言われて名付けられた。クロシュもその時に」

ブラッド「ふうん……まあカリスの命名じゃないなら良いか」

アリシラ「赤スライムちゃんは?」

ブラッド「あたしは別にいらない。なぜかあいつの付けたブラッドって名前が冒険者たちにも使われてて不快だけど」

フメイ「……偶然の一致?」

アリシラ「冒険者ギルドにカリス・ノーランドが情報提供した、とか……?」

ブラッド「どうでもいい。お前たちも呼びたいように呼べ」



レッサースライムたち「〜〜」モニョモニョ

フメイ「……あ。えっと……巻き込んでごめん」

レッサースライムたち「〜〜」モニョニョ

ブラッド「弱いのが悪い」

アリシラ「でもレッサースライムちゃんたちも解凍してあげたんだよね」

ブラッド「ついでだよついで。一応同じスライム類のよしみってやつ」

レッサースライムたち「〜〜♪」モニョニョ スリスリ

ブラッド「すりすりするな」ペチッ

レッサースライムたち「〜〜!」モニャニャ


フメイ(そういえば、あの銀髪の刺客……あの凍結魔法を使う前に、少しレッサースライムたちの方を見た気がする……)

フメイ(……どういう意図……? 巻き込むことを気にした……? 結局巻き込んで凍らせてるけど……)

フメイ(たぶんフメイたちの、さらに妹にあたる存在だから……できれば、なんとかしたい……)

 ◆
678 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/17(土) 21:51:24.25 ID:2CFwlCGE0
―王都セイントレア 滞在5日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ラティアの大盾  飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の大杖    防:竜のエプロン   飾:不死鳥の羽根

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:蒼き星の杖    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:ブラッドランス  防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:氷の短刀     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:蜥蜴一文字    盾:灼鋼の盾     飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:オリハル鎖帷子  飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:古代の鉄槌    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:魔銀の刀     防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*1       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   闇の欠片        精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中下   フリルワンピ水着    精霊樹の鉢植え+赤雷球
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    フメイとアリシラの人形
魔導飯盒        ガラスのザリガニ    メルルの帽子
妨害魔力波発生装置   踊り子の双剣      溶岩石のアミュレット
属性大全        サボテンドラゴンの花  太陽のメダリオン
魔王図鑑        精霊のローブ      暗黒優待券
氷精の魔導書      精霊樹の杖[改]    冒険者証(ランク1)
ブラッドワイン*1   銀のナイフ       大魔女帝国渡航権
吸血鬼殺ワイン*1   ダイヤメリケンサック  かたたたきけん
魔術書「正負の属性」  パラサイトソード    大魔女帝国滞在許可証
吸血鬼の日焼け止め               風船印のパラシュート
日蝕の傘                    ラティア勲章
大魔女サイン*1                ユーシリア王家の紋章
古代のセラミック
ステライト鉱石
晴れ乞い傘
チョコスムージー
ヒヒイロカネ
氷魔力結晶
魔導書「絶対零度」

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[4/5]
・最悪の未来を阻止する

◯努力目標
・カリスに造られた者たちを助ける
・枢機卿の悪事を暴く
・戦争を阻止する
・レイの行方を追う

◯仲間の目標
・カリス・ノーランドを討つ(ミスティ)

◯経験値
・クロシュ 剣技[03/07] 魔法[06/07] 防御[00/07]
・イリス  杖術[00/06] 魔法[14/16]
・ミスティ 剣技[05/07] 魔法[11/16]
・ローガン 剣技[16/16] 魔法[06/08] 防御[07/08]
・エバンス 剣技[16/16] 魔法[07/08]
……………………………………………………………………………………
□王都セイントレア
王城:未探索
城下:教会、孤児院、市場、食事処、酒場、浴場、娼館、冒険者ギルド
   中央広場、公園、学校、図書館、博物館、劇場、闘技場、未探索
……………………………………………………………………………………
□セクリエ・ロイエ
大聖堂、大聖堂別館、美術館、庭園、お土産屋、未探索、他
……………………………………………………………………………………
679 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/17(土) 21:52:21.45 ID:2CFwlCGE0
―朝
 聖ヴァレリオ教会

 チュンチュン

クロシュ瓶「」zzz


ミスティ「ふわ……。朝ね……」ググ

イリス「……」ゲッソリ

ミスティ「うわっどうしたのよ……!?」

イリス「昨日の反省をしていたら……寝不足になった……」

ミスティ「ええ……? お説教はそんなに長くなかったと思うけど……」

イリス「自分で反省してたの! なぜあんな軽率なことをしたのか、他に良い手はなかったのか、ダークヒーローの名を汚したのではないか、とかとか……」

妖精「真面目だねえ……。でもそれで寝不足になってたらまた別の失敗に繋がるんじゃないの?」

イリス「仰る通りです……」

ミスティ「とりあえず、今日はもう少し寝ていたら? クロシュもまだ寝てるし」

イリス「うん……ごめんね、それじゃあクロシュちゃんが起きるくらいまで……」ガクッ


王都セイントレア滞在5日目。15日目に何かが起こります

↓1コンマ ランダムイベント
01-30 素パスタ
31-60 卵かけパスタ
61-90 クリームパスタ
91-00 カニパスタ

↓3〜5 自由安価 何をする?
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/17(土) 21:54:01.26 ID:GQ5Rm2I4o
カニ!カニ!
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/17(土) 21:54:53.11 ID:GQ5Rm2I4o
カニなんか巡礼者が食べられるわけなかったわ
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/17(土) 21:54:59.08 ID:XVkadkO9o
枢機卿や戦争情報について調べる
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/17(土) 21:55:00.22 ID:g7dERVQTO
フリューゲルやアイスを救う手立てを探る
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/17(土) 21:55:08.24 ID:WShEgGq1O
特ダネ求めてきたフーミンと再会
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/17(土) 21:55:20.65 ID:M/xmiruSO
(未探索部分を明らかにすることも兼ねて)レイの行方や手がかりを探す
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/17(土) 21:55:21.11 ID:eErhPeRAO
どうすれば現教皇に会えるか色んな人に聞いてみる(カリスや世界めくれ等で協力できないか)
687 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/17(土) 22:53:55.75 ID:2CFwlCGE0
―聖ヴァレリオ教会 食堂

 素パスタ「」ポン!

クロシュ「わあ……!」

エバンス「……パスタだ。具のない……」

イリス「具がないなんて……!」


クレア「今日は聖ヴァレリオの好物にちなんだ素パスタの日なのです。少々素朴な味ですが……」

ミスティ「聖ヴァレリオって人は素パスタが好きだったの?」

クレア「パスタ類は何でも好いていたそうで、何も付けずに水で茹でただけのパスタも好んで食したと伝えられています。ゆえに当教会では時々こうして素パスタを食べる日があるのです」

聖女「私はけっこう好きですよ、素パスタ。麦の味が感じられるんです」

エバンス「おお、流石聖職者……。よし、俺も味わってみます!」

 ◇

クロシュ「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ

妖精「良い茹で加減だね」モグモグ

聖女「クレアさんはパスタがとってもお上手なんですよ!」モグモグ

ミスティ「素材の味が感じられるわ……!」モグモグ

ローガン「うむ……こういうのも悪くない」モグモグ

エバンス「……おう! 美味い!」モグモグ

イリス「……そ、そうですね! 美味しいです!」モグモグ


クレア「ふふ……今夜は味付けの濃いものに致しましょう」


 ☆素パスタを食べて元気になりました
  本日中に戦闘が発生した場合、戦闘コンマに+10が加算されます

 ◇
688 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/17(土) 22:55:19.63 ID:2CFwlCGE0
―聖ヴァレリオ教会 宿泊室

エバンス「……まず、今知りたいのは枢機卿のこととか戦争のことだよな」

イリス「そうですね……。本当に戦争になんてなったらまずいですし……」

妖精「魔族国も戦備を進めてるらしい。とはいっても全面戦争になんてなったら魔族国に勝ち目はないし……やっぱり未然に防ぐのが最善だと思う」

ローガン「使徒殿が言っていたという枢機卿と王国の繋がりや、枢機卿の悪事というものが何なのかを知れれば大きな武器になりそうだが……」

ミスティ「聖域の間とか言ったかしら? そこに殴り込みでもしてみる?」

妖精「いやいや……流石に無理だよ、捕まっちゃうよ」

ミスティ「冗談よ。考えなしに暴力的手段に訴えるほど脳筋じゃないわ」

イリス「」グサッ

エバンス「ま、まあとりあえず調査だ!」

クロシュ「ん!」

 窓「」ガラッ

フーミン「話は聞かせてもらったわ」ヌッ

イリス「げっ、悪徳新聞記者――じゃない!?」

ミスティ「あなたは――情報屋のフーミン・クロス!」

 *

フーミン「枢機卿グランドマスターの裏の顔と、王国との繋がり……フフフ、美味しそうなネタじゃない。私も一枚噛ませてもらって良い?」

妖精「情報の持ち逃げとかしないなら……」

フーミン「しないしない。知り得たものは全て記事にして垂れ流す――それが記者ハーピィの流儀よ」

イリス「ユーシリアでもちゃんとした情報を提供してくれましたし、フーミンさんは信用して良いと思います!」

ローガン「うむ……。その節は感謝している。また貴方に手を貸して頂くことになるとはな」

フーミン「タダでやってあげてるつもりはないわよ? あなたたちも相応の活躍を見せて頂戴ね」

ミスティ「ええ……悪は必ず滅するわ。期待していて」


枢機卿と戦争についての情報収集
↓1コンマ(フーミンの協力+15)
01-30 黒い噂
31-60 ↑+魔族掃討作戦
61-90 ↑+聖域の間について
91-00 ↑+??
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/17(土) 23:00:50.00 ID:hJvJmRqI0
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/17(土) 23:09:01.35 ID:g7dERVQTO
これは枢機卿丸裸
691 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 00:05:19.42 ID:4molOIYy0
―大聖堂前

 ワイワイ ガヤガヤ

妖精「で、結局直接忍び込むのが一番早いと判断したわけだけど……」

クロシュ「ん……!」

使徒「安心して不法侵入してきてくださいね。隠蔽ならお任せを」ヒョコ

ミスティ「ええ……」

妖精「なんか、使徒が協力してくれることになった……」

使徒「聖域の間を破壊してグランドマスターを抹殺してきてくれても構いません」

 *

―大聖堂 深部

 コソコソ…

透明クロシュ「」コソコソ

透明妖精「使徒の支援があるから、今回は大胆に三人で侵入している。クロシュも分体ではなく本体だ」コソコソ

透明ミスティ「いくら使徒の隠蔽を頼れるからって舐め過ぎじゃない? 急に解説なんかしちゃって」コソコソ

透明妖精「無音結界を張ってるから大丈夫……んっ、あれは――」


 大仰で豪華な扉「」ゴゴゴゴ


透明ミスティ「……あれが聖域の間ってやつね」

透明妖精「……なんだろう。ものすごく不快な感じがする……。二人とも気を付けて」

透明クロシュ「ん……」

透明ミスティ「わかったわ……ん? 扉が開く……!」

透明妖精「まずい……! いや、クロシュの迷彩があれば大丈夫か……!?」


 大仰で豪華な扉「」ギギィィィィ――

 コツコツコツ…

荘厳な杖を携えた白髪の青年→グランドマスター「……」コツコツ…


透明ミスティ「あれが……グランドマスター!!」

透明妖精「……吐き気を催すドブ以下の臭いがする……なんだ、こいつ……!?」


グランドマスター「……」コツコツコツ…


透明ミスティ「大聖堂の正面……外へ歩いていくわ」

透明妖精「フーミンの調査メモによれば、今日王国軍で極秘の会議があるらしい。それに行くんだと思う」

透明ミスティ「聖域を調べるチャンスね……!」

透明クロシュ「ん……!」

 ◇
692 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 00:06:01.61 ID:4molOIYy0
―聖域の間

 白い石柱「」
 白い石柱「」
 白い石柱「」
 白い石柱「」
 白い石柱「」

クロシュ「……」

ミスティ「白い石柱に囲まれた……五角形の部屋……!!」

妖精「石柱と石柱の間には、なんだかよくわからない壁画みたいなのがある……。でも……な、なんだここ……うう……」ヘナヘナ

クロシュ「妖精さん!」

ミスティ「妖精……! どうしたの……!?」

妖精「……こ、ここ……悲しみと、苦しみが……異様に沈殿してる……。一体、ここで何が……」

ミスティ「……妖精は休んでいて。私とクロシュで調査をするわ」

妖精「ごめん、お願い……」

 ◇

クロシュ「……?」

 壁画の出っ張り「」

ミスティ「……何かしら。不自然に出っ張っているわね。気になるわ……押してみましょう」スッ

 壁画の出っ張り「」ガゴン

クロシュ「!」

ミスティ「これは……!」

 ゴゴゴゴゴ―
 隠し階段「」ドン!

妖精「うわっ……!? それ……どうしたの!?」

クロシュ「ひみつの、通路……!」

ミスティ「降りてみましょう。妖精は――」

妖精「いくよ。ここに一人で待つ方が怖いし……」

クロシュ「うん! えと、じゃあ……わたしの、服の中に……」

妖精「そうさせてもらうね」スス

 ◇
693 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 00:06:56.08 ID:4molOIYy0
―聖域の地下

 カン カン カン カン …

クロシュ「……!?」

ミスティ「こ、これは……」

 謎の魔導機械「」ゴウンゴウン…
 謎の魔導機械「」ゴウンゴウン…
 謎の魔導機械「」ゴウンゴウン…
 謎の魔導機械「」ゴウンゴウン…
 謎の魔導機械「」ゴウンゴウン…

妖精「〜〜…」クラクラ

クロシュ「よ、妖精さん……無理、しないで……」

妖精「う、うん……。でも、これ……」

 謎の魔導機械「」ゴウンゴウン…

ミスティ「……魔導機械。あの、テンペスターで稼働していたものに似ている……!!」

妖精「……うん。感じる……あの機械の中から……悲しみと、苦しみに泣く……声にならない、声が……」

クロシュ「……!!」

妖精「……魔力の流れを見た感じだと……この機械から取り出された魔力が、上の部屋に送られているみたい……。たぶん、これは……魔力を、搾取する機械……」

ミスティ「……」ギリリ

妖精「クロシュ……」

クロシュ「うん……」

 メイドブレード「」シャキン

メイドクロシュ「――介錯、する」

 メイドブレード「」シャンッ!!

 ズガッ!!
 バチバチッ…

 精核「」ズッ

ミスティ「精核……!!」

妖精「……クロシュ……食べてあげて……」

メイドクロシュ「ん……」

 パクッ…モニョモニョ…モグモグ…

 ◇

 ズガンッ!!
  ズガガッ!!
   ドッギャァン!!!
  バチバチバチッ…

 モニョモニョ…モグモグ…
  モグモグモグ…

 ◇

 赤い精核「」ポン
 パクッ…モニョモニョ…モグモグ…

妖精「……今ので、最後だね……。ありがとう、クロシュ……」

クロシュ「ん……」

ミスティ「……赤や紫の精核もあったけれど、あれは……?」

妖精「……緑色のは、テンペスターでも見た通り、たぶん妖精や精霊を溶かして造られたもの……。他の色のは……魔力の波長からすると、恐らく魔族……」

ミスティ「……魔族まで……。枢機卿、許し難い下衆……!!」

妖精「……上に戻ろう。もう……ここに、犠牲者は残ってない」

 *
694 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 00:07:39.66 ID:4molOIYy0
―聖域の間

 カン カン カン カン …
 隠し階段「」ヒョコ

妖精「……っはぁ! い、息苦しかった……」

ミスティ「ふう……。妖精、大丈夫?」

クロシュ「だいじょうぶ……?」

妖精「うん。なんと、か――」


グランドマスター「……まさか留守中にネズミが入り込むとはね」ニコニコ


妖精「お前……っ!!」

ミスティ「貴様……」ジリ

クロシュ「……」キッ
695 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 00:11:31.83 ID:4molOIYy0
というわけで本日はここまでとなります

戦争を阻止するべく枢機卿の闇を暴きに動く一行。聖域の地下で目にしたものは、かつてテンペスターで目撃した悲劇と地続きのものだった
そして今。クロシュたちは、悲哀と苦痛を生み出す根源――極悪枢機卿グランドマスターと相対する
会心の女神が微笑む中で。迸る激情が、闇を穿つ―――

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします
696 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 06:00:22.50 ID:0IQ7QJkho
おつでした
様々な陣営からカリスに集まる業の数々、これは年貢の収め時ですねぇ
ああ!イリスも脳筋武闘派魔術士に!
697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 08:16:05.02 ID:+Ri+2sfI0

フーミンの情報収集からいきなり潜入に場面変わったけどこれってフーミンの協力は関係あったの?関係なかったら【フーミン「えっ私は!?潜入するなら必要ないじゃないか(怒)」】とか言ってフーミンぶちギレてそう。
698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 12:29:07.70 ID:Q9s+9EDmO

レッサースライムとかいうかわいいだけの生き物かわいい
戦争と枢機卿については00クリティカルのパワーでどうにかなりそうかな?
699 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 19:55:50.05 ID:4molOIYy0
カリス氏はたくさんの恨みを飼っているので、実際とても危うい立場であるかもしれません。今後の動向に注視していきたいところであります
イリス氏も実のところ脳筋な面がなくはないらしく、今回はその面が大きく出てしまったようです。元々彼女は正義感が強い人なので、ダークヒーローとして抑えきれなかったのかもしれません。今後の活躍にも期待したいところであります

>>691のレスを見るとわかりやすいですが、クロシュたちは彼女の調査メモを持って潜入に臨んでいるため、フーミン氏の協力は普通に関係しています。また、たとえ関係なかったとしてもフーミン氏はその程度のことで怒り散らすような短気な方ではありません。風説の流布にご注意ください

レッサースライムはあかちゃんスライムのクロシュよりもあかちゃんなスライムなので、人によってはかわいく思える場合があります。王国内でもペット人気があったりなかったりしますが、もし人間のあかちゃんや他の小さなペット等がいる家庭で飼う場合は注意が必要です。食欲旺盛でなんでも食べるため、最悪の場合モニョモニョモグモグと食べてしまうからです
700 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 19:57:47.27 ID:4molOIYy0
―聖域の間

クロシュ「……」
 メイドブレード「」シャキン

グランドマスター「おっと、良いのですか? この私を殺せば、あなた方は完全にテロリスト。二度と太陽の下を歩けなくなってしまいますよ?」

ミスティ「太陽の下を歩けなくなる覚悟さえあれば、できるわ」

グランドマスター「クッ……クハハハハッ!! 残念ながらそれも不可能でしょう。この部屋にいる限り、私は無敵なのでね」

妖精「……どういうこと?」

グランドマスター「私の魔法は、魔力を命に変換する希少なもの。そしてこの部屋は、地下に押し込めた役立たずの劣等種共から魔力を吸い上げ、私に供給するように造られた特別な聖域――。つまりこの部屋にいる限り私の魔力は無限であり、無限の魔力があればいくらでも命に変換して蘇ることができるのです!!」

妖精「な、なんだって!?」

ミスティ「貴様……彼らの命を、そんなことに……!!」

グランドマスター「ンン〜? クックック……貴方は人間でありながら、人間以外の劣等種を尊重してしまう無知蒙昧で視野狭窄な暗愚のようだ」

ミスティ「……」

グランドマスター「魔族だの妖精だのは知性なき害獣です。魔力電池にするくらいしか役立てる道がないというのに、あなたや穏健派の愚人たちはなぜそんな簡単なこともわからないのでしょう?」

妖精「ふうん? カリス・ノーランドはエルフなのに、なんで協力できるの?」

グランドマスター「ハハ、御冗談を。利用価値があったから飼っているだけです。あれも所詮は愚鈍な淫売エルフに過ぎません」

妖精「利用価値があったから、処刑したと見せかけて飼いならした?」

グランドマスター「ええ、その通り! カリス・ノーランドは下劣な大罪人ですが、価値は価値。劣等種は死ぬまで搾り取るのが私の流儀です」

妖精「クリファ教の孤児院を襲撃したのも、価値があったから?」

グランドマスター「おや、そんなこともご存知なのですか? もちろんそうです! 邪神関係は穏健派にとっても見過ごせない案件なのでね、先を越されると困るのです」

妖精「それで死者を大勢出したのは良いの? 異教徒と言えど人間なのに」

グランドマスター「邪神を信仰する連中など、我々と同じ知性を持った人間とは言えません。魔族や妖精共と同じ害獣です。言うなれば駆除です、駆除」

妖精「……あなたが王国との連合軍を率いて魔族国と戦争をするって噂を聞いたけど、それも?」

グランドマスター「ええ、私自ら出陣する予定です。それと……ククク、戦争とは国家と国家の争いのことですよ。害獣駆除作戦を戦争とは言いませんねェ」

妖精「魔族国には未だに大勢の人質がいるけど、その人たちの命は考慮しないの?」

グランドマスター「魔族国の捕虜となった方々は、既に洗脳されて知性なき害獣と化してしまいました。彼らに尊厳ある死を与えて差し上げるのもまた慈悲です。本人はもちろん、遺族の方々にとっても、それが最も幸福なことと言えるでしょう」

妖精「……ふうん。ところで、そんなこと部外者の私たちにベラベラ喋っちゃって良いの?」

グランドマスター「ええ、もちろん。あなた方は生きてここから出られませんからねェ」ニヤ

 閉まる大扉「」ズズゥン…

ミスティ「!」

クロシュ「!」バッ

グランドマスター「無限の命を持つ私に嬲り殺されるが良い! 愚劣なる害獣共よ!!」


 ――戦闘開始 枢機卿グランドマスター――


 ★グランドマスターが〈聖域の間〉を発動!!
  敗北を100回無効化する!!
  さらに毎ターン自身のコンマ+1!!

 ☆クロシュたちが〈聖域破壊〉を発動!!
  グランドマスターの〈聖域の間〉を無効化!!

◇自陣(戦力差+30、素パスタ+10、フーミン情報+15、使徒支援+10)
・不死鳥化できる(1/1)

◇敵陣
・聖域の間(機能停止)

 *

 ☆戦力差により自動的に勝利します
701 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 19:58:29.94 ID:4molOIYy0
 ドッギャァァァァン!!!!

グランドマスター「ごふっ……!! フッ……フゥーッハッハッハ!! 無駄です、ここにいる限り私は無敵だと――オゴッ!!?」ズキッ!!

 ガクッ

グランドマスター「ぐ、うおあああ……!!? あ、頭が……!!?!? こ、これは……魔力、欠乏……」ガクガク

妖精「……残念だったね。地下にはもう……誰もいないよ」

グランドマスター「なっ、何……!? 貴様ら、まさか――」ガクガク

クロシュ「……わたし……食べた。みんな……」

グランドマスター「た、たべた……だと……」ガクガク

妖精「さて……ミスティ、ちゃんと撮れた?」

ミスティ「ええ」スッ

 小型録画水晶「」ポン

グランドマスター「な、に……録音、水晶だと……」ゴボッ

妖精「知人の記者から借りたの。あなたの秘密を暴いて、世に知らしめる為にね」

グランドマスター「きっ、貴様ら……!! そ、それを、今すぐ……」ガクガク

ミスティ「年貢の納め時よ。これを記事にして大陸中にバラ撒くわ」

グランドマスター「ま、まてっ……私が悪かった……!! 頼む、見逃してくれっ……!! 望みがあれば叶えよう……!! 永遠の命だろうと、死者の復活だろうと、私の力ならば……!!」

 バキッ!!

グランドマスター「ぐあっ!」ドサッ

ミスティ「……散々多くの命を苦しめておいて……よくもそんなことが言えたわね……」

妖精「……魔力を命に変える魔法か……。もし使い手があなたのような下衆じゃなかったら、たくさんの命を救える素晴らしい魔法になれただろうに。本当に残念だよ」

グランドマスター「ま、待ってくれ……まっ……」


クロシュ「……」
 メイドブレード「」シャンッ

 大扉「」スパッ
 ドズゥゥン…

クロシュ「……みんな……お外に、行こ……」

 メイドブレード「……」


 ――戦闘終了――


 ☆たくさんの想いを食べて、メイドブレードが星霊の剣に変化しました


 ◇
702 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 19:59:13.32 ID:4molOIYy0
―聖ヴァレリオ教会 宿泊室

 小型録画水晶『無限の命を持つ私に嬲り殺されるが良い! 愚劣なる害獣共よ!!』ザザ

スライムクロシュ「〜〜!」モニョニョ

エバンス「うおお! めっちゃ綺麗に撮れてるな!」

フーミン「でかしたわ!! これならグランドマスターを必ず失墜させられる!」

ミスティ「あいつに出くわした時はちょっとゾッとしたけど、結果オーライね」

妖精「あそこまでベラベラと喋ってくれて良かったよ。でもこれ、捏造扱いされない?」

フーミン「録画水晶の映像は改竄できないから、ほとんどの国の司法や警察で証拠能力を持つものとして扱われているの。これだけバッチリ姿も声も鮮明に記録されていれば間違いないわ」

ローガン「だが、これの公開によって混乱が生じる恐れはないだろうか? 曲りなりにも彼はロイエ教の大人物だ」

フーミン「混乱は避けられないでしょうね。でも改革に痛みはつきものよ」

イリス「……一番の不安は、カリス・ノーランドですね……枢機卿が力を失った結果、カリスがどんな動きをするか……」

使徒「その点は私にお任せください。最低限、今の段階で彼女を縛り付けている鎖は維持致します」

フーミン「……人前に滅多に姿を現さない原理派の名誉顧問、使徒……そんな人物の協力を得るなんて、あなたたち一体どんなコネを使ったの?」

妖精「それは……まあ、いろいろあって」

使徒「利害の一致というやつです」

 ◇

―夕方
 王都セイントレア 市場

 ゴウガイダヨー!! ゴウガイダヨー!!
 ザワザワ… スウキキョウガ… ウソダロ…

 ☆枢機卿の悪事を暴き、大陸中にばら撒きました
  枢機卿と原理派と王国の評判が大きく下がりました

 ☆目標「枢機卿の悪事を暴く」を達成しました

 ◆
703 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 20:01:20.83 ID:4molOIYy0
―夕方
 聖ヴァレリオ教会 宿泊室

クロシュ「……」

 星霊の剣「」キラキラ

妖精「あれ? その剣、なんか変わった?」

クロシュ「……わかんない。でも……みんなが、力……貸して、くれてる……気がする……」

イリス「なんだろう……ほんのりとだけど、星属性っぽい力を感じる……」

妖精「精核を食べた影響……? まあ悪い変化ではなさそうだね」

クロシュ「うん……」

妖精「他に何か心配事があるの?」

クロシュ「えっと……わたし……セインさんたち、助けたい……」

イリス「そうだね……私も助けたいよ」

クロシュ「でも……どうすれば、助けられるのか……わかんない……」

妖精「んー……今生き残ってる子たちは全員お茶会を楽しむくらいの自我があって、セインについてはかなり自由に動けるみたいなんだよね。セインが本気を出せば全員で脱走くらいは簡単にできそうだけど……」

イリス「……そうできない理由があるってことだよね。つまり」

妖精「そうなんだと思う。話を聞いた感じだと、セインは鳥籠を出て自由になることより、鳥籠の中を住みやすくする方向で頑張ったみたい」

イリス「カリスから離れられないような呪いをかけられてる、とか?」

妖精「セインは国外まで遠征してることもあるから違うだろうけど、他の子たちはそういう呪いがかけられてる可能性が十分にある。大魔女に解呪してもらったけど、クロシュにも服従の呪いがかけられてたし」

クロシュ「……」


クロシュ(でも……わたしとフメイちゃんは、脱走できた……。だから……たぶん今は、前よりももっと厳しい、逃げられない仕組みがある……)

クロシュ(……もう一回、侵入して……セインさんに、聞いてみる……?)


↓1コンマ
01-60 アイスちゃんの氷魔力結晶が……
61-90 大魔女さん来訪
91-00 ???
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 20:02:57.23 ID:5DAVnfNJO
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 20:09:39.83 ID:aGPUDk9Bo
00クリティカル強い
章ボスかと思ったらもう退場
706 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 21:03:28.82 ID:4molOIYy0
クロシュ「……?」

 氷魔力結晶「」デロデロ…

クロシュ「!」

イリス「あれっ? これ、アイスっていう子の魔力結晶だよね? なんでこんな……」

妖精「……おかしい。一度結晶化した魔力がこんな風に溶けることなんて、普通はないはず……」

イリス「だ、だよね。私もこんなの初めて見たよ」

妖精「……うーん……魔力の結合が解ける原因は……。そもそもなんで今まで、ちゃんと結晶だった――はっ!」

イリス「……!! ま、まさか……これ!!」

妖精「……これ……カリスから逃げ出せない仕組みかも……!!」

クロシュ「??」

イリス「……たぶんカリスの元から長期間離れると、魔力に異常をきたして具合が悪くなっちゃうんだ……」

妖精「……放っておけば、死ぬと思う」

クロシュ「!!」ソワソワ

イリス「……この魔力結晶はアイスちゃん自身ではないから、今アイスちゃんが危ないってことはないよ。でも……カリス、嫌らしい仕組みを……」

妖精「ひとまず、この溶けてる結晶は瓶に詰めておこう。溶けはしても強力な氷魔力を秘めてるのは変わらないから、使い道は変わらないはず」

イリス「そうだね……」

 *

 瓶詰め氷魔力「」ポン!

クロシュ「……」

妖精「これがどういう現象で、どうすれば食い止めることができるのか……」

イリス「しっかり調べる必要があるね……」

クロシュ「うん……」

 ☆カリスに造られた者の事情について少し知りました

 ◆
707 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 21:03:58.30 ID:4molOIYy0
 ―幕間―

―夜
 聖ヴァレリオ教会 聖女の宿泊室

 コンコン

クレア『聖女……いますか……?』


 開かれた号外新聞「」バサッ
頭を抱えて机に突っ伏す聖女「………はい」


クレア『入っても構いませんか……?』


聖女「……はい」


 扉「」ガチャッ


クレア「失礼しますね……。ハーブティーを淹れて来ました。良かったら飲んでください」スタスタ

 温かいハーブティー「」ポン ホカホカ

聖女「………すみません。私……今日は、ろくにお手伝いもできなかったのに……」

クレア「構いません。今、原理派が大変な状況というのはわかっていますから……」

聖女「………考えが……まとまらないんです……。私……どうしたら、良いのか……」

クレア「……無理しないで。あなたは立場上原理派ですが、中身はほとんど穏健派みたいなものです。あなたが無理に考えなきゃならないことなんて、何もないのですよ」

聖女「……でも……私の父は、枢機卿とも近しい大司教で……今どこに赴任しているかさえ、誰も教えてくれないんです……。お姉ちゃんも、どこ行ったか、わかんなくて……。私、もうぐちゃぐちゃで……どうしたら良いか……」

クレア「……今夜は、もう寝ましょう。具合の悪い時に起きていると、嫌なことばかり考えてしまいます」

聖女「……はい。そう、します……」

 ◆
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 21:05:41.03 ID:0IQ7QJkho
……ブラッドフメイクロシュと逃げられたから導入された仕組みっぽいな……うーんカリスマジカリス
709 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 21:10:09.94 ID:4molOIYy0
―王都セイントレア 滞在6日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:星霊の剣     盾:ラティアの大盾  飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の大杖    防:竜のエプロン   飾:不死鳥の羽根

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:蒼き星の杖    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:ブラッドランス  防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:氷の短刀     盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:蜥蜴一文字    盾:灼鋼の盾     飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:オリハル鎖帷子  飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:古代の鉄槌    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:魔銀の刀     防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*2       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*1       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*1       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   闇の欠片        精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中下   フリルワンピ水着    精霊樹の鉢植え+赤雷球
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    フメイとアリシラの人形
魔導飯盒        ガラスのザリガニ    メルルの帽子
妨害魔力波発生装置   踊り子の双剣      溶岩石のアミュレット
属性大全        サボテンドラゴンの花  太陽のメダリオン
魔王図鑑        精霊のローブ      暗黒優待券
氷精の魔導書      精霊樹の杖[改]    冒険者証(ランク1)
ブラッドワイン*1   銀のナイフ       大魔女帝国渡航権
吸血鬼殺ワイン*1   ダイヤメリケンサック  かたたたきけん
魔術書「正負の属性」  パラサイトソード    大魔女帝国滞在許可証
吸血鬼の日焼け止め               風船印のパラシュート
日蝕の傘                    ラティア勲章
大魔女サイン*1                ユーシリア王家の紋章
古代のセラミック
ステライト鉱石
晴れ乞い傘
チョコスムージー
ヒヒイロカネ
氷魔力結晶
魔導書「絶対零度」

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[4/5]
・最悪の未来を阻止する

◯努力目標
・カリスに造られた者たちを助ける
・枢機卿の悪事を暴く(達成!)
・戦争を阻止する
・レイの行方を追う

◯仲間の目標
・カリス・ノーランドを討つ(ミスティ)

◯経験値
・クロシュ 剣技[03/07] 魔法[06/07] 防御[00/07]
・イリス  杖術[00/06] 魔法[14/16]
・ミスティ 剣技[05/07] 魔法[11/16]
・ローガン 剣技[16/16] 魔法[06/08] 防御[07/08]
・エバンス 剣技[16/16] 魔法[07/08]
……………………………………………………………………………………
□王都セイントレア
王城:未探索
城下:教会、孤児院、市場、食事処、酒場、浴場、娼館、冒険者ギルド
   中央広場、公園、学校、図書館、博物館、劇場、闘技場、未探索
……………………………………………………………………………………
□セクリエ・ロイエ
大聖堂、大聖堂別館、美術館、庭園、お土産屋、未探索、他
……………………………………………………………………………………
710 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 21:10:45.94 ID:4molOIYy0
―朝
 聖ヴァレリオ教会 食堂

 チュンチュン

クロシュ「……? 聖女さんは……?」キョロキョロ

クレア「……聖女は、少々体調を崩してしまいまして」

クロシュ「そうなの……?」

クレア「はい……。もし良かったら、お見舞いに行ってあげてくださいね。あの子はあなたたちのことが凄く好きみたいなので、きっと励みになるかと……」

クロシュ「ん……わかった」


イリス(聖女さんが……それってやっぱり、あの新聞が原因だよね……?)

妖精(まあそうだろうね……一応原理派みたいだから、ショックはあると思う……)

ミスティ(自分のとこのトップがアレだなんて知ったら……きついでしょうね……)

エバンス(聖女は何も悪くないわけだし、気の毒だな……)

ローガン(だが、枢機卿を討つにはああするしかなかったのだ……)


王都セイントレア滞在6日目。15日目に何かが起こります

↓1コンマ ランダムイベント
01-20 なし
21-40 黒髪の無愛想な青年
41-60 デュア
61-80 メルル
81-00 リュアン

↓3〜5 自由安価 何をする?
711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 21:20:01.80 ID:0IQ7QJkho
ラスイチ引きたーい
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 21:20:14.37 ID:nvaoM0pFO
聖女さんの父親(活動日誌書いた人)を探してみる
713 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 21:20:17.82 ID:aGPUDk9Bo
イリスを救ったスライムと出逢う
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 21:20:18.16 ID:9zeghqheO
原理派勢力が後退した分デロデロ教の勢力が増してきて滅茶苦茶布教を受けてしまう
715 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 21:20:20.31 ID:souoKTqC0
ミラ(クル)と会話中テラヌス・ウルスのミラの話題になり、今どうしているか考える
716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 21:20:23.76 ID:U6/sphVA0
ミラと一緒にレイを探す
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 21:20:32.07 ID:5DAVnfNJO
>>649
718 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 21:52:23.26 ID:4molOIYy0
―王都セイントレア 市場

 ワイワイ ガヤガヤ

妖精「ひとまず今日は――ん?」

「……」

妖精「ていっ」ペチッ

「ぎゃっ」

イリス「その声は……」

メルル「たはは〜見つかっちゃったねェ」ヌッ

ミスティ「メルル!」

メルル「妹がお世話になったそうで! いやあキミたちには世話になりっぱなしですなァ」

クロシュ「ん……お世話、したり、されたり……?」

エバンス「でもなんでメルルが王都なんかに? ここ王国だからけっこう危ないぞ」

メルル「まあ冒険者のカンってやつ? なんか面白いことがありそうだな〜って思ってね」

ローガン「うむ……まあ、何かはあるかもしれんな……」

 ☆メルルと再会しました
  今日と明日、時と場合によりコンマに補正を得られるかもしれません

 ◇
719 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 21:53:10.46 ID:4molOIYy0
―王都セイントレア 中央広場

 ワイワイ ガヤガヤ

デロデロ教徒「真の正しい世界! 真の正しい世界こそが救いとなるのです!!」

 ワアアアア!!! シンノタダシイセカイ!!!! シンノタダシイセカイ!!!!


クロシュ「わあ……」

妖精「うわ、デロデロ教の奴らだ。王都でも布教活動してるのか……」

イリス「ロイエ教の枢機卿があんな記事になっちゃったから、効果は大きそうだねえ……」

エバンス「そこを狙ってんだろうな。まあ俺たちにとっちゃどうでもいいことだが……」

デロデロ教徒「まあそう言わず、あなたもご一緒にどうですか?」ヌッ

エバンス「うおわっ!? い、いや俺は無神論者で……」

デロデロ教徒「デロデロ教は神を信奉するものではございません。ただ、正しい救いを求めるだけのシンプルなものなのです」

イリス「そ、そうなんですか……」

デロデロ教徒「というわけで皆さんもご一緒にどうですか? 真の正しい世界!」

クロシュ「しんのただしいせかい!」キャッキャ

妖精「こら、調子に乗るな」ペチッ


↓1コンマ
01-30 グランドマスター「騙されるな、民衆よ!!!!」ヌッ
31-60 楽しかった
61-90 僧侶「お久しぶりです!」
91-00 ???
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 21:55:17.96 ID:KXYGCVKs0
ヌッ!
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 21:58:26.06 ID:aGPUDk9Bo
グランドマスター生きてはいるのか
ただじゃ終わらなさそう
722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 22:09:18.59 ID:J0szS0XNO
前々から思ってたけど自由安価先着順じゃなくて時間指定できた安価の中から高コンマの安価採用みたいにできないのかな?
今までの見ると3人以上は自由安価取るために待機してるみたいだし今までの埋まるスピードなら時間の範囲短くても問題なさそう。(>>357で言ってるみたいな一度取ったら次は譲るというのは日付が変わるとIDが変わったり、同じIDでも2連続で自由安価取る人もいたりでルール無しでは正直うまくいかなそう……)
723 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 22:44:13.05 ID:4molOIYy0
グランドマスター「騙されるな、民衆よ!!!!」ヌッ

 ザワザワ… エエ… ドチクショウノグラマスダ

グランドマスター「真の正しい世界!? そのようなまやかしは存在しない!! セイントレア国民よ、今一度人間の尊さを思い出すのです!! デロデロなどというものに縋らずとも、我々人間は――」

 ウルセー!! スッコンデロー!! ヨウセイレイパー!! ヘンタイ!!

  石「」ポイポイ
   石「」ポイポイ

    パシッ!!

赤橙ショートの眼帯女性「……」スッ

  ザワザワ… オッカネエヨウジンボウダ…

グランドマスター「無詠さん、助かりました。この私が石をぶつけられるなど、あってはならないことです」

赤橙ショートの眼帯女性→無詠「報酬分は働く。それだけだ」



イリス「……!!?!?!?」

エバンス「ん……!? あっ……!! ま、マジか……!?」

妖精「え、何? あの用心棒に心当たりでもあるの?」

イリス「えっ、いや……ひ、人違いかも……」

エバンス「あいつは……俺の傭兵団の実力者、無詠だ!」

イリス「ええっ!? そうなんですか!!?」

妖精「ど、どういうこと……?」

クロシュ「??」



無詠「……?」

グランドマスター「む……あの少女と妖精は……!! 無詠、奴らを今すぐ叩き殺しなさい! アレは国家反逆者です!!」

無詠「仕事は護衛だけだったはずだが」

グランドマスター「融通の効かない人ですねえ! それならば暗殺の追加依頼です!!」

無詠「悪いが、貴方との契約もこの護衛任務で打ち切らせて頂く。我々も評判を気にしなければ生きていけないのでな」

グランドマスター「なんですと……!? 貴様……下賤なならず者モドキの分際で……!!」

無詠「今すぐ契約の打ち切りをお望みなら対応可能だが?」

グランドマスター「そもそも貴様が昨日いなかったせいです!! そのせいで私は――」

無詠「極秘会議だからと私を遠ざけたのは貴方だったはずだが……」

グランドマスター「……帰ります!」プンスコ ズカズカ


 ザワザワ… カエッテッタ… ナンダッタンダロウ


妖精「なんか……揉めてた?」

エバンス「あー……まあ、その方が俺としては助かるな」


無詠「……」ジッ


クロシュ「?」

イリス「い、いやいや……まさか、ありえないでしょ……」


無詠「……」スタスタ


妖精「うわっ、こっち来たよ!」

イリス「え、ええ〜っ!?」

 *
724 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 22:50:23.94 ID:4molOIYy0
―王都セイントレア 路地裏

無詠「久しぶりだな、エバンス」

エバンス「おう……。アンタ、あんな奴の仕事なんて受けてたのかよ」

無詠「報酬が魅力的だったからな……。今は反省している」

エバンス「マジで反省してくれ……俺たちの評判まで悪くなるし、下手すると俺と敵対することになるし……」

無詠「……エバンスは個人依頼を受けたと聞いていたが……後ろの彼女たちが、その依頼主なのか?」


クロシュ「……」コソコソ
妖精「……」コソコソ
イリス「……」コソコソ ドキドキ


エバンス「ああ、まあそんなとこだ……。ちょっと恩があって、格安で……。報酬はあんまり期待しないで欲しい」

無詠「それは構わないが……グランドマスターは彼女たちに強い恨みを抱いているようだった。一体何をしたんだ?」

エバンス「ああ、それなら――」

 *

無詠「……まさか、昨日の記事が彼女たちの行動によってできたものだったとは……」

エバンス「アンタ、この件から手を引くことはできないか?」

無詠「……こちらから契約を切るのは難しい。腐ってもまだロイエの枢機卿だ。下手に恨みを買うのは傭兵団にとっても得策ではないだろう」

エバンス「それはまあ、そうか……」

無詠「安心しろ。お前たちと敵対することになったら、適当に手を抜いてやる」

エバンス「そりゃ助かるが……アンタは大丈夫なのか?」

無詠「無論だ」



イリス「……」コソコソ ドキドキ

妖精「イリス……気になるなら話しかけにいきなよ」

イリス「えっ……で、でもぉ……きっと人違いだし……」

クロシュ「……ひとちがいなの?」

イリス「そうだよ……! だって、母さんは――」

妖精「……母さん?」



無詠「……私は怖がられているのか?」

エバンス「え、どうだろうか……まあ女性にしてはけっこう強面だと思うぞ、眼帯だし」

無詠「そうか……」


どうする?
↓1〜2選択 話す or すること
1.イリスさんのお母さんですか?
2.カリスの被害者な気がする……
0.自由安価(状況にそぐわないものは再安価となります)
725 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 22:54:28.22 ID:0IQ7QJkho
1
726 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 22:54:54.46 ID:+Ri+2sfI0
1
727 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 22:57:22.75 ID:4molOIYy0
被ったのでもう1つよろしくお願いします

↓1選択 話す or すること
2.カリスの被害者な気がする……
0.自由安価(状況にそぐわないものは再安価となります)
728 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 22:57:50.30 ID:BEiXDIwQO
0とりあえず食事しながら会話(そこへメルルとフーミンもやってきた)
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 22:59:59.78 ID:0IQ7QJkho
>>727
そして連取りだわごめんなさい
730 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 23:43:13.61 ID:4molOIYy0
クロシュ「……」トコトコ

無詠「……」

クロシュ「えっと……イリスさんの……おかあさん、ですか……?」

無詠「……イリスの……お母さん……?」

エバンス「えっ……? それってどういう……」


無詠「…………」


無詠(イリス……どこか、聞き覚えのある名だ)

無詠(不思議な懐かしさ……そして愛おしさを感じる……)

無詠(……私には、ある時点以前の記憶がない)

無詠(………カリス・ノーランドの施設で人体実験を受ける以前の記憶は、一切ないのだ)

無詠(だから……私が誰かの母親だったという可能性も、ゼロではないだろう)

無詠(……しかし、ならばどうしろと言うのだ?)

無詠(私は……もう随分と長い間、無詠≠ニして傭兵をやってきた……)

無詠(……今更、過去を突きつけられても……私は……)


無詠「……………」


クロシュ「えと……ごはん、食べる……?」

無詠「……ごはん?」

クロシュ「うん……。ごはん、食べれば……元気に、なるかも……」

エバンス「賛成だ。飯にしようぜ、腹が減ってちゃ腹割って話すこともできないだろ?」

妖精「そうだね。まずはごはんにしようよ。ね、イリス?」

イリス「へっ!? そ、そうだね……!? ごはん……ごはん!!」

無詠「わかった。ではご相伴に預かろう」

 ◇
731 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 23:45:21.58 ID:4molOIYy0
―聖ヴァレリオ教会

イリス「クレアさん、台所お借りしても構いませんか?」

クレア「はい、もちろんです。ご自由にお使いくださいね」

イリス「ありがとうございます!」


無詠「ここに滞在しているのか」

エバンス「おう。飯は俺とイリスちゃんが作るから、待っててくれ」

無詠「わかった」

 *

 魔導拳銃「」ポン!

クロシュ「わぁ……!」

ミスティ「魔導拳銃……! かっこいいわね……」

妖精「そう? 私には凶悪な鉄の塊にしか見えない……」

ローガン「こういったものはどこに売っているのだろうか?」

無詠「これは私用にチューニングされた特注品だが、量産品であれば機械都市や商業都市で手に入る。まあ、量産品は規制がかかっているからか豆鉄砲のような威力しか出ないらしいが……」

ミスティ「豆鉄砲……。氷魔法を使いながら炎の弾丸を撃ち出す、みたいな戦法はできないのね……」

無詠「フフ、傭兵団に入れば注文ルートを紹介できるよ」

ミスティ「まあ……食い詰めたら考えるわ……。それよりあなた、イリスのお母さんと聞いたのだけど……」

無詠「……そうらしいが、私は記憶がないんだ。記憶もなしに、母親として振る舞うことはできない。だから……どう対応したら良いものか、少し困っている」

ローガン「ふむ……。イリスくんも、恐らく同じような状態だろうな。記憶のない人に、過去を押し付けて良いのかと、葛藤しているように思える」


台所でせっせと働くイリス「〜〜」セッセ


無詠「……子供にそのような気持ちを抱かせるのも、母親失格だとは思うのだが……私自身、母親としての自覚が全くないんだ。他人事のように思えてしまう……。そんな気持ちで母親面をすることの方が、もっと深く傷付けてしまうのではないかと思うし……」

ミスティ「……難しいのね……」

ローガン「うむ……私もこのようなケースは初めて見る。どうするのが正解なのかわからん……」



フーミン(……なんか混ざりにくいシリアスな雰囲気ね……。出直そうかしら……)コソコソ

メルル(めっちゃわかる〜。場違いになっちゃいそうなんだよね〜)コソコソ

フーミン(いや、誰よあなた……)コソコソ


↓1〜2 食材を1〜2つ選択
肉類:トリ肉、ケモノ肉
魚介:ザリガニ、オオキイタニシ、イクラマス、マグロ
野菜:ノラワカメ、セイントレア草、キャベツ、長寿トマト
穀物:お米、パスタ麺、こんがりパン、ヤマイモ、オオキイ豆
果実:イチゴ、リンゴ、ブドウ、シャイニングマスカット
卵乳:トリの卵、ミルク、チーズ、バター
特殊:スライムゼラチン、フェアリーシロップ、ブラッドワイン、精霊樹のジャム、上白糖、香辛料
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 23:46:46.92 ID:QVYhcFXN0
オオキイタニシ 米
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/18(日) 23:51:27.25 ID:9zeghqheO
マグロ、シャイニングマスカット
734 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/18(日) 23:56:03.54 ID:4molOIYy0
食材が決まったところで本日はここまでとなります。次回、再会のごはん編、株分けの伝説スライム編、ミラくんちゃんとミラさん編です

グランドマスターの悪事を暴き、評判をガタ落ちさせることに成功したクロシュたち。一方カリスに造られた命をどうにかする手立ては未だ見つからず、クロシュは気を揉む――
そして出会ったのは、謎多き傭兵の無詠。エバンスの同僚であり、イリスの母疑惑がある彼女と食卓を囲むことになったものの、イリスと無詠は互いにどう接したら良いかわからず困り果てる。長き時を経て再会した親子の行方は――。あかちゃんスライムもまた、二人が仲良くなれたらと小さくお祈りする――

それでは本日もありがとうございました。次回は土日となります、よろしくお願いいたします
735 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/19(月) 09:21:24.28 ID:KDY9gVoKo
おつおつでした
聖女さんお辛い立場だ…
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/19(月) 14:47:35.64 ID:1D8lVcawO

またカリスの罪状が増えとる…
聖女さんも厄ネタ持ちだし気にした方が良さそうだけどやることが…やることが多い…!
737 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/24(土) 13:09:48.02 ID:9IKHAwNvO
王国編は要素が多くて全部回収できるかな
738 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/24(土) 16:28:54.68 ID:+fI+KUJE0
聖女氏は実際とてもつらいようです。彼女がなんらかのお咎めを受けるということはたぶんありませんが、その大きなストレスは心身に悪い影響を及ぼす可能性があります。気にしてあげると良いかもしれません

カリスさんは既に処刑されたはずの指名手配犯なので、その罪はとても大きいようです
聖女氏は例の日誌に記されていた通りであれば何やらすごい力を持っているそうです。その力がどのような未来をもたらすかは今のところ未知数です

王国編はやることが多いですが、今のところは順調に進んでいるので、このペースでいけば問題ないと思われます。なお一部の努力目標は特定人物の生死に関わっていたりもするため、気にするのが良いかもしれません

なお最も良い未来を目指したい場合、努力目標以外にも気にした方が良いことがあったりするかもしれません。とはいえ本編の内容やクロシュたちの言葉をちゃんと聞いていれば、そのようなものを見つけるのは難しくないでしょう
739 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/24(土) 16:30:39.27 ID:+fI+KUJE0
 マグロ寿司「」ポン!
 タニシ寿司「」ポン!
 マスカット寿司「」ポン!

クロシュ「わあ……!」

イリス「お寿司にしました!」

ローガン「待て、緑色のこれは何だ」

 マスカット寿司「」

エバンス「マスカット寿司だ」

ローガン「なんだと」

ミスティ「何かおかしいの?」

ローガン「いや……寿司ネタにマスカットというのは聞いたことがないのだが……」

エバンス「ははっ、遅れてるな旦那! 今フルーツ寿司は密かに人気を集めてるんだぜ」

ローガン「そ、そうなのか……」

ミスティ「へえ……お寿司を食べること自体が初めてだから全然知らなかったわ」

エバンス「この前オノゴロに行ったってのにうっかり寿司を食うのを忘れてたからな。ミスティちゃんもこれで寿司デビューだ!」

妖精「寿司って炊いたごはんに魚介の刺身を乗っけただけでしょ?」

エバンス「違うぞ! 寿司用の米には酢が混ぜてあってだな――」

 *

 パクパク モグモグ モニョモニョ

スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ

ミスティ「お寿司って初めて食べたけど、すごく美味しいわね……」モグモグ

ローガン「うむ……しかし甘いマスカットと酢飯が意外と合うとは……」モグモグ

妖精「わたしはマスカット寿司が一番好きかも」モグモグ

エバンス「ちなみにこれはシャイニングマスカットっていう光属性の果物だから、食べたあとしばらく光属性が強くなったり、光耐性が付いたりするんだ。寿司でも効果は得られるが、どちらかと言うと甘味系の料理に使った方が効果が高まるらしい」



無詠「……」モグモグ

イリス「……ええっと〜……ど、どうですか……?」


↓1コンマ
01-40 美味い
41-70 この味は……
71-90 懐かしい
91-00 ???
740 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/24(土) 16:35:37.82 ID:Xh7U9K+70
741 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/24(土) 18:25:38.77 ID:+fI+KUJE0
無詠(……なんだ、これは……?)

無詠(胸を締め付けるようでありながら……苦しくはなくて……)

無詠(悲しい……? いや……それとも、少し違う……)

無詠(この……感情は―――)


 ――『わぁ〜! おすし! おすし!』キャッキャ

 ――『誕生日おめでとう、イリス。いっぱい食べなさい』

 ――『おめでとう、イリスちゃん。いっぱい食べて大きくなるのじゃぞ』

 ――『うん! いただきま〜す!』モグモグ


 ――『しかしティナよ、ワシまで本当に良いのかの?』

 ――『もちろんです、師匠。イリスをここまで育てて来れたのは師匠のお陰ですから』

 ――『ワハハ、それじゃ遠慮なく頂こう――む? こりゃマスカットか?』

 ――『ええ。フルーツ寿司と言って、最近流行っているそうです』

 ――『ふむう……最近の若者の味覚は変わっとるのう……』


 ――『おかあさん、あしたもおすしがいい!』

 ――『それはだめ』

 ――『なんで!?』

 ――『お寿司は食べて良いのは、特別な時だけなの』

 ――『ええ〜じゃああしたもとくべつにしてよぉ』

 ――『だめ』

 ――『えええ〜!?』

 ――『イリスちゃん、そしたら自分で握れるようになると良いぞ』

 ――『えっじぶんで!?』

 ――『そうじゃ。そしたら毎日が特別じゃ』

 ――『そっか! じゃあイリスおすしにぎれるようになる!』

 ――『師匠……本当に握れるようになったらウチの家計が……』


無詠(―――ああ。これは、私の記憶か――――……)

 *
742 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/24(土) 18:26:16.58 ID:+fI+KUJE0
無詠「イリス」モグモグ

イリス「ふぁいっ!?」ビクッ

無詠「……ありがとう。美味しいよ」

イリス「えっ! あ、えへへ……良かった、です……!」

無詠「………お寿司……握れるようになったんだね」

イリス「えっ……!?」

無詠「………大きくなったね。イリス」

イリス「あっ……お、お……おかあ、さん……?」

無詠「うん……ただいま。ごめんね、遅くなって」

イリス「え、ええっと……えっとえっと……お、おかえり……なさい……!?」グルグル



クロシュ「わあ……!」

妖精「あらら……イリスの方が混乱してるね、ありゃ」

エバンス「まあ、すぐに昔と同じようにってわけにはいかないよな」

ローガン「うむ……だが、二人の間に何か問題があるわけではないのだ。いずれ自然と打ち解けるだろう」


ミスティ「……」

妖精「……ちょっと、悔しい?」

ミスティ「そんなんじゃないわ……。良かったと思っているし」

妖精「ふふ〜じゃあ私がミスティのお母さん役をやってあげよっか」ニコニコ

ミスティ「おばあちゃん役の聞き間違いかしら?」クスッ

妖精「誰がババアだって!?」プンスコ

ミスティ「……気遣いありがとう、妖精。ヘタクソだったけど」

妖精「げっ……」

ミスティ「実際平気よ、私。今の私を大切に思ってくれる人がいっぱいいること……わかっているもの」

妖精「……そっか」ニコ

 ◇
743 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/24(土) 18:26:45.16 ID:+fI+KUJE0
無詠→ティナ「では改めて――ティナ・プラネットです。今まで、イリスと共に歩んで来てくれてありがとうございます」ペコリ

妖精「どういたしまして。まあイリスにはこっちも助けられてきたから、こちらこそありがとうございます……かな?」

エバンス「無詠……じゃなくて、ティナさん。記憶はもう全部戻ったってことなのか?」

ティナ「断片的な記憶をいくつか思い出しただけで、全部とは到底言えない。しかしそれでも……私がイリスの母だったこと、かつて星属性の魔法使いだったことは思い出せた」

エバンス「星属性だったのか……!」

ティナ「そして今この世界が直面している二つの危機……世界樹の光と、世界めくれ……私にも、その対処を協力させて欲しい。構わないだろうか?」

妖精「もちろん! 人手は多い方が良いしね」

エバンス「そうなると枢機卿に雇われてる立場ってのが逆に活きてきそうだな!」

ティナ「ああ。枢機卿は今世間や貴族たちから激しいバッシングを受けているところだが、完全に失脚したわけではない……。そして立場がまずいからこそ、失脚する前に挽回しようと戦備を急いでいるようだ」

妖精「えっ!? それじゃあ私たちが奴を責め立てたのは逆効果だった……!?」

ティナ「いや、そうでもない。戦備を急ぎすぎれば兵の質は落ちるし、作戦の穴も増える。貴族たちへの根回しも十分にできないだろう。当然、民衆の支持も得られまい」

ミスティ「つまり……隙だらけになるということね」

ティナ「そうだ。戦争を止めるのであれば、生じた隙を的確に突いていくのが良いだろう」

ローガン「兵士の士気を落とすような工作をしたり、事前に作戦が失敗するように仕向けたり、戦争反対派の貴族を立てて反対運動を起こしたり、民衆を扇動したり……といったところか?」

ティナ「ああ。もちろん、他にもできることがあれば積極的に行動していくべきだろう」

エバンス「なるほどな……できそうなことからやっていこう」

ティナ「そして私は現在枢機卿に近い立ち位置にいる。もしやって欲しいことがあれば言ってくれ」

妖精「わかった! 頼りにしてるよ、ティナ」

 *

ティナ「それじゃあ私は戻る。何かあれば連絡を」スッ

イリス「あっ……」

ティナ「……イリス。どうか、無事で」

イリス「う、うん……。かあ、さんも……お気を付けて……!」

ティナ「ああ。ありがとう……」


 スタスタ…ガチャ パタム


イリス「………」


 ☆美味しいごはんを食べて元気になりました
  明日の終わりまで、戦闘コンマ+15、光適性◯を得ます

 ☆無詠→ティナ・プラネットが記憶を少し取り戻しました

 ☆戦争準備について情報を得ました

 ◇
744 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/24(土) 21:25:11.47 ID:+fI+KUJE0
―王都セイントレア 市場

 ワイワイ ガヤガヤ

イリス「………うぅ、ううぅ〜ん……!!」ググッ

妖精「うわっ!」

クロシュ「わあ……」

ミスティ「急に変な声を出すわね……」

イリス「だ、だって……! お母さんが……生きてたんだよ……!?」

クロシュ「うん……!」

ミスティ「ええ。良いことじゃない」

イリス「そう! 良いことなの! でも、なんかこう……気持ちが、追っつかないっていうか……!!」

クロシュ「そうなの……?」

イリス「私……お母さんが生きてて、ちゃんと喜びたいのに……なんかぎこちなくなっちゃって……。お母さん、がっかりしてないかなあ……。私って薄情なのかなあ……」

妖精「自分の中で既に決着の付いたことを、後になってひっくり返されると混乱するもんだよ。それが例え、良いことだとしてもね」

イリス「そういうものなの……?」

妖精「そういうもんだよ。妖精に母っていう存在はいないけど、家族みたいな存在はけっこういたりするからさ。気持ちはわからないでもないんだ」

イリス「そういうもんか……。うん、わかった! 次は……もうちょっと、気楽に接してみる!」

ミスティ「いつまでもウジウジしないのがイリスの良いとこよね」

妖精「クロシュなんて一度凹むと数日は瓶から出られなくなっちゃうからねえ」

クロシュ「んゅ……」

ミスティ「妖精も人のこと言えないでしょ。商業都市でクロシュが捕まった時のこと忘れてないわよ」

クロシュ「ほえ……?」

妖精「んぐ……あ、あれはだね……」

 タタタタッ

  ドッ!!

クロシュ「んわっ!」コテッ

馬頭の剣闘士「すまねえっ!」タタタッ

ミスティ「ちょっと!」

イリス「……!! 待って、あれは――」


 馬頭を先導して跳ねる透明スライム「〜〜!」ピョンピョン


妖精「スライム……!? 透明で見えづらいけど……」

イリス「前に……私を助けてくれたスライムさん!」

ミスティ「えっ!?」

クロシュ「!」

妖精「……今の奴、剣闘士の格好をしてた……たぶん脱走奴隷だ……!」

イリス「追って……あっでも私たちが追ったら目立っちゃう……!?」

魔女っ子クロシュ「!」ポン!

 反映魔法弾「」ポポポポン!!

透明イリス「わあ!」

透明ミスティ「マントを使わなくても、私たちを透明に……!?」

透明妖精「でかしたクロシュ! これであいつを追おう!」

透明クロシュ「ん!」

 ◇
745 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/24(土) 21:25:46.86 ID:+fI+KUJE0
―セイントレア王都 地下水路

 地下水路「」ザァザァ

 ねじ曲がった鉄格子「」ザァザァ

馬頭の剣闘士「こ、この先が……!」

透明スライム「お疲れ様です。この鉄格子を越えて流れに沿っていけば、城壁の外へ出られます」モニョモニョ

馬頭の剣闘士「……ほ、本当か……? 本当に……生きて、この街を出られるのか……?」

透明スライム「はい。しかし街の外はまだ王国領です。くれぐれも兵士には気を付けて……。亡命は、できれば農業国かユーシリア帝国へ」

馬頭の剣闘士「魔族国はだめなのか……? 革命で独立したんだろ?」

透明スライム「今この国と魔族国は極度の緊張状態にあるので、間者の疑いがかけられます」

馬頭の剣闘士「じゃあ緑の国は……!? あの国なら――」

透明スライム「……現在も、世界樹の結界による鎖国が続いています。緑の大森林は結界を越えて広がっていますが、王国の狩人が巡回している為安全とは言えません」

馬頭の剣闘士「そんな……。農業国もユーシリアも人間の国じゃねえか……。せっかくこの国を出ても……」

透明スライム「農業国は人間の国ですがエルフやアルラウネとの親交も深く、農業を行う労働力さえ提供できれば種族は不問のおおらかな国です。ユーシリアも現皇帝が即位してからは魔族との融和路線に舵を切り、大きな成果を挙げています。聞くところによれば、身の回りのお世話を森スライムに任せているのだとか……」

馬頭の剣闘士「そうなのか……」

透明スライム「あとは……港湾都市ウォーターポートも王国内では比較的魔族に寛容な街ですが、それでも脱走奴隷の身分では流石に厳しいです。テラヌス・ウルスは砂漠越えが厳しいでしょうし……」

馬頭の剣闘士「わ、わかった……。すまねえ、こんなところで文句言っちまって……」

透明スライム「構いません……。運命を左右することですから……」

馬頭の剣闘士「……アンタは、これからもここでこの活動を続けるのか……?」

透明スライム「はい。この地獄がなくなるまで……私は、続けるつもりです」

馬頭の剣闘士「………」

透明スライム「……私のことは、どうかお気になさらず。ご覧の通り、私は身を隠して行動する能力に長けています。今話しているこのスライムも……私が遠隔操作している端末の一つに過ぎません。私は……誰よりも、安全なのです。あなたが思っているより、ずっと卑怯で、臆病なスライムなのです……」

馬頭の剣闘士「…………すまねえ………オレは………オレも、奴隷の苦しみを知っているのに……。アンタを、手伝うべきなのに……。こ、こわいんだ……また、捕まって……闘技場で、同胞たちと、殺し合いをさせられるんじゃないかって……こわくて……」ガクブル

透明スライム「大丈夫です。あなたが苦しむことなんて、もうないのです。この街を出て、何もかも忘れて、自由に生きるべきなんです」

馬頭の剣闘士「でもっ……お、オレが闘技場で、殺した奴らは……オレを、許すだろうか……!!? あ、あいつらだって……オレと同様に、どっかで捕まって、無理矢理戦わされてただけで……! 故郷には家族とか、友達とか、いたはずだろ……!? でもオレはそういうの、もうないんだ……!! 故郷のリーリアはとっくに滅んでて、家族も友達もみんな死んでるんだよ……!! オレなんかが逃げ出せても、もうどうにもならないんだ……!! それなのに……オレだけが助かるなんて……オレだけが自由になるなんて、そんなの、許されないだろ……!? ああっ……す、すまねえ……アンタに助けてくれって言って、こんなとこまで連れてきてもらったってのに、オレは……オレは……」グルグル

透明スライム「〜〜」パクッ

 モニョモニョ…モグモグ…

馬頭の剣闘士「――アンタ、今オレに何をしたんだ? 急に頭がスッキリしたみたいだ」

透明スライム「あなたが、二度と悪夢に囚われないように致しました。これであなたは不安に苛まれることなく、どこにでも行けます」

馬頭の剣闘士「なんかわからんが助かった。取り乱してすまなかった」

透明スライム「構いません……」

馬頭の剣闘士「それじゃ、いろいろとありがとう。オレはもう行くよ。アンタも、どうか達者で」

透明スライム「はい……どうか、お元気で」

 シュバッ ザブン!
  スイスイ…
746 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/24(土) 21:27:04.26 ID:+fI+KUJE0
 シュバッ ザブン!
  スイスイ…


透明スライム「……」


透明スライム「……また会いましたね。ダークヒーローさん」


透明イリス「!」

妖精「気付いていたの?」ヒョコ

透明スライム「隠密行動には少々の心得がありますから……」

クロシュ「わあ……!」

ミスティ「……あなたは、何者? 奴隷を逃がす活動をしているの?」

透明スライム「はい、その通りです……。何者かと問われると……この街に住む、ただのスライムと答える他ありませんが……」

クロシュ「……クロシュヴィアちゃんの、分体……?」

透明スライム「……!? あなた……あなたこそ、何者ですか……!?」

 デロデロ…

スライムクロシュ「〜〜!」モニョニョ!

透明スライム「! なるほど……あなたも、クロシュヴィアの株分けだったのですね」

スライムクロシュ『そうなの?』モニョニョ

透明スライム「えっ……? 違うのですか?」

スライムクロシュ『わかんない』モニョモニョ

 *

透明スライム→ヴィア「……私は、ヴィアと言います。クロシュヴィアの分体の一つが自我に目覚めた、株分けのスライムです」

妖精「クロシュヴィアの株分け……性格は全然似てないね」

ヴィア「……活動している期間で言えば、風になってずっと眠っていたクロシュヴィアよりも、私の方が長いでしょうから……」

クロシュ「そうなんだ……」

ヴィア「…………できれば、私の活動のことや、今逃げていった彼のことは秘密にして頂けるとありがたいのですが……」

妖精「ああ、その点はご心配なく。私たちは見ての通りこの国の者じゃないし、非人間奴隷の扱いも良く思ってないもん。あと、ここに来るまでに誰かに尾行されたりもしてないはずだから安心して」

ヴィア「それならば、良かったです……」

クロシュ「うん……!」

ヴィア「……あなた方は巡礼者の偽装をしているようなので、脱出の幇助は不要ですよね……。他に……何かご用はありますか……?」

クロシュ「!」


どうしよう?
↓1〜2 選択
1.さっき馬頭さんに何をしたの?
2.デロデロ教のことどう思う?
0.自由安価(状況にそぐわないものは再安価)
747 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/24(土) 21:28:20.40 ID:dblBva3A0
0あなたみたいなことをしている人は他にもいるの?
748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/24(土) 21:30:20.13 ID:68N8eIG+O
1
749 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/05/24(土) 22:04:28.51 ID:+fI+KUJE0
クロシュ「一人で……がんばってるの……?」

ヴィア「……少ないですが、志を共にして活動してくれている仲間はいます。とはいえ……このように直接外へ逃がすような危険な役目は、分体を放って動かせる私にしかできません……」

クロシュ「そうなんだ……」

ヴィア「私が知らないだけで、私以外にも魔族の奴隷を逃がす活動をしている人や団体がもっといる可能性はありますが……今のところ、目立った成果が上がっていないのは確かです。学生たちや活動家の反対運動も王族の耳には全く届いていないようですし……」

妖精「まあでも、トンチンカンな宗教活動を繰り広げてるクロシュヴィアよりはずっとまともに動いてて偉いんじゃない?」

 *

クロシュ「そういえば……さっき……馬頭さんに、何をしたの……?」

イリス「あ、それは私も気になります! ものすごく震えて狼狽してた馬頭の人が、急に落ち着いて水路に飛び込むのが見えました!」

ミスティ「一体どんなマジックを使ったの?」

ヴィア「……彼の、心を食べました」

イリス「!?」
ミスティ「!?」
妖精「!?」

クロシュ「こころ……?」

ヴィア「全てを食べたわけではありません……。でも……彼の心は、自分自身が作り出す重すぎる悲しみで……既に、壊れていました……。だから……食べて、治しました」

妖精「ま、待って待って! 例え一部でも……悲しみを生み出す部分がなくなっちゃったら――」

ヴィア「彼は、この先二度と悲しみに溺れることはありません。死ぬまで健やかに……前を向いて、生きていけます……」

妖精「い、いや……でも……それは……」

ミスティ「……じゃあ……あの男は……二度と、家族や友達……失った祖国のことで、悲しむことはないということ……?」

ヴィア「そうです……」

イリス「……で、でも……そんなの……あまりにも……」

ヴィア「……かわいそう、ですか……?」

イリス「そ、そうです!! 例えどれほど悲しいからって……失った人たちのことで、悲しむこともできないなんて……!!」

ヴィア「……彼の心は……既に、限界でした。例えここから逃げ出せても……あのままでは決して生きていけなかったと思います……。ダークヒーローさんは……あのまま彼の心が壊れて、死んでしまう方が、良かったと思いますか……?」

イリス「極論はやめてください……! ほ、他に方法が……」

ヴィア「……表層的な悲しみだけを食べることもできますが……悲しみを生み出す根源を食べてしまわなければ、その場しのぎにしかなりません。いずれはまた悲しみに押し潰されます……」

妖精「……た、例えば……時間をかけて傷付いた心を癒やしてあげるとかは……」

ヴィア「……一度壊れてしまった心は……どれほどの時間をかけても、治ることはありません……。一見治ったように見えても、すぐにまたヒビが入り……容易く、砕けるようになってしまいます……。悲しみの気持ちが、ある限り……」

妖精「………」

ミスティ「でも……彼は、それで……いや……しかし……ううん………」

クロシュ「……」

ヴィア「……クロシュちゃんは……どう思いますか……?」

クロシュ「……」


↓1〜 先取3票
1.ちょっといやかも……
2.そういうやり方もある
0.自由安価(票数は内容ごと)
750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/24(土) 22:07:49.02 ID:2YtJjN2EO
2
751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/24(土) 22:10:31.27 ID:7/lg7Vq4O
1
752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/24(土) 22:15:21.06 ID:DfxEK1Myo
1
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