【俺ガイル】走れ8幡弾丸よりも速く【再投稿版】

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17 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2025/11/05(水) 01:31:48.59 ID:XxZOTkKQO
投下します。
18 : ◆S0pw.EDnyA [sage saga]:2025/11/05(水) 01:34:10.22 ID:XxZOTkKQO

第一話 比企ヶ谷8幡

八幡「なぁ、小町」

小町「何? お兄ちゃん」

八幡「俺の目って、腐ってるよな?」

総武高校の制服に袖を通しながらしょうもない事を尋ねる。普段はあれだ、自分の目が腐ってるとか尋ねんし聴きもしない。
そもそもの話、自分が一番よく知ってるのだから。

ただ……


小町「何いってんの? お兄ちゃんの目は何時も濁りっぱなしのヘドロ状態だよ!」

八幡「だよね〜」

八幡「……」

『お兄さん、目がお人形さんみたい』
19 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2025/11/05(水) 01:35:28.26 ID:XxZOTkKQO

あんなこと、初めて言われた……
よくよく考えると、あの時の自分は何処かおかしかった。自分でも気付かないほど自然に、何かとんでもないことをやらかした気がする。
その時の記憶はなんだかボヤけてて上手く思い出せない。自分でしたはずの行動なのに、ひどく不自然な感覚。まるで自分という存在が、全く違うものに置き換わってしまったような

八幡「アホらし……」

小町「なんなのさっきから。それよりお兄ちゃん、今日体力測定の日なんでしょ? 退院したばっかりだけど大丈夫なの?」

八幡「あー、平気平気。なんか知らんけど体はすこぶる順調だ。それに適当に流すから心配すんなって」

入学早々交通事故に遭遇したことにより、俺のクラスでの立場はスタートラインにも立ってない最底辺のポジションだろうな。
全く己の不幸加減には溜め息が出る。
20 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2025/11/05(水) 01:37:03.13 ID:XxZOTkKQO

だが、今はそんなことよりも重大なことが起こっている。

小町「お兄ちゃん、お腹減ってないの?」

八幡「……」

飯が喉を通らない。
いや、正確には食べる気が全く起きない。味はするし、食べようと思えば食べれると思うが、全てが無駄な行為に感じる。
いや、そうだ、コンナモノを食べるくらいなら

八幡「小町、冷蔵庫にまだマッ缶あったっけ?」

小町「マッ缶? あるけど……」

八幡「うし」

訝しむ小町を尻目に、俺は冷蔵庫からMAXコーヒーを取り出した。
21 : ◆S0pw.EDnyA [sage saga]:2025/11/05(水) 01:38:24.90 ID:XxZOTkKQO

カシッ ゴクゴク

八幡「フーーーーーーッ!」

んんんっ!!これだよこれ!
この爽快感、頭のてっぺんから冷えたような感覚!
ほんと、これさえあればもう何も要らないんじゃないか?

八幡「ご馳走さん。んじゃ、小町、先行ってるから」

小町「え、お兄ちゃん? ご飯は?」

八幡「ああ、もう平気!」

ブン
キーーーーーーーーーーーーーーーン

小町「お兄ちゃん! ……あれ? もういないし」

小町「……お兄ちゃんのばか。おいてけぼりなんて小町的にポイント低いよ」
22 : ◆S0pw.EDnyA [sage saga]:2025/11/05(水) 01:39:31.56 ID:XxZOTkKQO

走りながらふと周囲の景色を観てみると、なんだか人とか車とかの移動スピードがいつもより遅い気がする。
安全運転でもしてるのか?
顔にまとわりつく風の感触が気持ちいい
ただ走ってるだけで……幸せな気分になる
まだだ
こんなもんじゃない
もっと……スピードを出せるはずだ

より低く、前傾に姿勢を倒す

自分以外の景色が目まぐるしく変化する

このまま

音の





八幡「……あれ?」

家を出てから、数十秒ほど経って気がついた事なのだが、
俺は、いつの間にか総武高校の正門に到着していた
23 : ◆S0pw.EDnyA [sage saga]:2025/11/05(水) 01:41:25.96 ID:XxZOTkKQO

そして、直後に襲ってきたのが、恐るべき灼熱感と倦怠感だった。

八幡「う、ぉあ」

頭が熱い
熱い
熱い
熱い……!!


頭から煙が出そうなほどに灼熱感を覚える。
身体がだるい。指先から爪先まで、動かすのにも相当なしんどさを感じる。
そんなことよりもあれが、あれが欲しい

あれ

八幡「マ…マッ缶」

マッ缶マッ缶マッ缶マッ缶マッ缶…!!

八幡「マッ缶! 誰かマッ缶くれぇええええ!」

「あ、あの、これ飲む?」

砂漠で遭難した乾きに乾いた旅人のように、マッ缶を求める俺の目の前に差し出されたオレンジ色の缶
紛れもなくそれは、俺が文字通り喉から手が出るほど欲しがったMAXコーヒーそのものだった。
24 : ◆S0pw.EDnyA [sage saga]:2025/11/05(水) 01:44:04.55 ID:XxZOTkKQO

八幡「マッ缶!」

奪い取るように取り上げ、本能の赴くままに貪る。

カシッ ゴクゴク!

八幡「フーーーーーーッ!」

くぁーーーーーーーーーーーーーーっ!

キンッキンに冷えてやがる!
犯罪的かつ悪魔的な美味さだ!
自分はこの時のために生きてるいるのだって実感できる!!

「なんだかよくわからないけど大丈夫っぽいね」

声の方を向くと、桃色の髪をしたギャルっぽい少女がいた
総武高校の制服に身を包んでいる
俺の奇行を見たせいだろうか、ちょっと引き気味なのは多分気のせいではないのだろう。
頭が冷えたせいか、改めて冷静に考えると自分がだいぶやらかしてることに気づいた。

八幡「あ……あの、君は誰でしょうか?」

「君、同じクラスのヒキタニくんだっけ?」

若干きょどりながら何とか名前を尋ねたが、逆に聞き返されてしまった。
つか人の名前間違えてんじゃねえよ
しかもそんないい笑顔浮かべて、何考えてんだこの女
…女子と話したのって、なんだかすごい久しぶりな気がする……。

25 : ◆S0pw.EDnyA [sage saga]:2025/11/05(水) 01:45:42.25 ID:XxZOTkKQO

八幡「あの、ヒキタニじゃなくて、比企谷な」

「あ、ごめん。漢字難しくてわかんなかった」

本当に申し訳なさそうな顔をするピンク髪
やめろよ、そんな顔されると怒るに怒れねーよ

八幡「いや、別に気にしてないし……。それより、マッ缶ありがとな。助かった」

「あー、いいのいいの! ほんのお礼だから!」

それだけ言うとピンク髪は校舎の中に走り去っていった。ゆれるスカートから覗く綺麗な足が艶めかしい。女子の足ってなんであんなに綺麗なのかなぁ
っていうかお礼って? 一体何のことだよ。


「また、話しようね、ヒッキー」


八幡「・・・うん?」

耳に飛び込む再開を意味する言葉
多分だが、俺に聞こえないくらいの声量で言っただろうそのセリフを、俺はなぜか一字一句聴き逃さずに捉えていた。
いやいや待てよなんで聞こえたんだ? 俺……
いつのまにか地獄耳になったのだろうか……
26 : ◆S0pw.EDnyA [sage saga]:2025/11/05(水) 01:47:19.02 ID:XxZOTkKQO

--



所変わってここは校庭

一部の体育会系を除いたとしても誰もがやりたがらないであろうイベント、体力測定が実施されていた。
その中で50メートル走はシンプルかつ単純におのれの力量を表してくれる。
まぁ、ボッチの俺に誰かと結果を語り合うなんて青春じみた事など夢のまた夢だが

「つぎ、ヒキタニ」

オイコラ先公お前まで名前間違ってんじゃねーよ
今ので完全にとどめ刺されたぞ
今日から俺の名前ヒキタニだぞどうしてくれんだ畜生

八幡「はい」

だがそこは長年のイヤガラセに耐え抜く術を身に着けた俺
この程度のことで顔色を変えるほど軟ではない
目は腐ってるけどな!

「位置について」

あーめんどくせ……さっさと終わらせよ

「よーい」

ピッ!

ブン
キーーーーーーーーーーーーーーーン

……ん?

27 : ◆S0pw.EDnyA [sage saga]:2025/11/05(水) 01:48:47.35 ID:XxZOTkKQO

「おい、今なんか通らなかったか?」
「風じゃないの」

後ろでストップウォッチを持った計測係がなんか言ってる

……後ろ?

「ヒキタニーーー?どこ行ったんだーーーー?」

後方から体育教師の声が聞こえた。
だから比企谷だつってんだろ!
……じゃなくて、なんで、いつの間にこんな場所に突っ立ってるんだ?

「ねぇねぇ、なんかあの人すごくない?」
「誰? あいつ」
「目つきわるーい」

混乱している俺を尻目に女どもが俺に黄色い声をあげてる
……なんだこれ
なにこれ、どうしちゃったの俺
もしかして、あれか?
ついに俺の内に眠る真の力が目覚めたのか?
邪気眼なの?
中二なの?
28 : ◆S0pw.EDnyA [sage saga]:2025/11/05(水) 01:51:14.27 ID:XxZOTkKQO

八幡「……ふ、ふひ」

我ながら気持ちの悪い声が出た
いやいやだってしょうがないじゃない
今までこんな、他人の注目をかっさらう行為なんてしたことなかったんだもん
うわあ、なんか凄く恥ずかしくなってきたぞ……
でも
まぁ、悪くない。悪くないぞこれは
どれ、ここはひとつ手でも挙げて・・・

八幡「ぶふぅっ!?」

「ど、どうしたヒキタニ。さっきからなんだか挙動不審なようだが?」

ち、ちがう。噴出したのは決してそういうことではない、目の前の光景が余りにも衝撃的だったからだ
だって、あんな

「ねえ、さっきからあの人こっち見てんだけど」プルン

「ヤダ、キモーイ」プルルン

「ヒッキー、運動すごくできるんだ・・・」バルン

「ヒッキー?」タユン

女子全員が裸に見えるなんて、そんなことありえるだろうか?
29 : ◆S0pw.EDnyA [sage saga]:2025/11/05(水) 01:53:19.82 ID:XxZOTkKQO

ピーガガ

由比ヶ浜 結衣
B:F65

八幡「!?!?」

なんだ!? 頭に変な数字が

ピーガガ

川崎 沙希
B:G70

こ、これは…まさか
いや、間違いねぇ

八幡(おっぱいスカウターだと…!?)
ピーガガ

三浦 優美子

八幡「ば、ちょ、待」アタフタ

八幡「せ、先生!!」

「な、なんだヒキタニ」

八幡「……気分が悪いんで保健室に行ってきます!」

「は?」

八幡「それでは!」 シュタッ

キーーーーーーーーーーーーン



「ヒキタニ……ってあれ?」

「消えた・・・?」

30 : ◆S0pw.EDnyA [sage saga]:2025/11/05(水) 01:54:28.09 ID:XxZOTkKQO

--

八幡「うぉおおおおおおおおお!!」 キーーーーーーーーーーーン


俺は脇目も振らずに走った
とにかく走った
最初は、幻覚かと思った
俺の欲求不満と日頃の妄想が産み出した幻覚だと思いたかった
だけど、違う
あれは違う
俺の男の本能が告げている

あれは生乳だと

八幡「とりえずトイレに直行おおおおおおおお!」

今でも鮮明に思い出せる
まるでデジカメで撮影したかのように思い出せるぞ!
自分のメモリの優秀さに若干引く
でも、それならばあとはやることは一つだろうが!

ここは滅多に人が来ないトイレ
まさに事を運ぶにはうってつけである
え、なにがって?
言わせんな恥ずかしい

八幡「なんだか目から光が出てる気がするぜ……」ピカー

便座に座ると、個室の壁に先ほどの光景が映し出されてる気がした。
おいおい、俺の想像力もバカにできたものじゃないな!!

31 : ◆S0pw.EDnyA [sage saga]:2025/11/05(水) 01:55:41.10 ID:XxZOTkKQO

こうまでハッキリ妄想が具現化するなんて、ナイス俺
まるでスクリーンに投影するプロジェクタじゃないかハハハ

まあ、それは置いといて

八幡「レッツトライ!」ゴソゴソ

八幡「…あれ?」
八幡「……」ゴソゴソ
八幡「………」ゴソゴソゴソゴソ

八幡「…………」ツンツンフニフニ


ムスコよ……なぜ立ち上がらない?



32 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2025/11/05(水) 01:56:33.23 ID:XxZOTkKQO
以上です。
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