【艦これ】提督「鎮守府が罠だらけ?」ニコ「その4だよ」【×影牢】

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1 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:33:14.70 ID:rtPz59jJo

・DMM【艦隊これくしょん】と
 DMM【影牢トラップガールズ】(2016/07/29サービス終了)、
 およびPS4【影牢〜もう一人のプリンセス】のクロスオーバーです

・キャラ崩壊注意

・提督も艦娘も殆どが不幸属性持ちです

・>2の過去スレ(前日譚の『墓場島鎮守府?』シリーズ含む)を
 全部読まないと話がわからないと思います


・基本的にsage進行しますので、感想、雑談など、書き込みの際は
 メールアドレス欄に「sage」と入れてくださいますよう、ご協力をお願いします。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1778419993
2 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:34:36.97 ID:rtPz59jJo
過去スレ、関連スレはこちら。

提督「墓場島鎮守府?」
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1476202236/
【艦これ】提督「墓場島鎮守府?」如月「その2よ!」
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1529758293/
【艦これ】提督「墓場島鎮守府?」不知火「その3です」
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1583941702/
【艦これ】提督「墓場島鎮守府?」吹雪「その4です!」
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1652576643/

【艦これ】提督「鎮守府が罠だらけ?」【×影牢】
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1467129172/
【艦これ】提督「鎮守府が罠だらけ?」ニコ「その2だよ」【×影牢】
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515056068/
【艦これ】提督「鎮守府が罠だらけ?」ニコ「その3だよ」【×影牢】
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1690021595/



前スレまでのあらすじ

太平洋上の孤島に建てられたとある鎮守府に、島流し同然の扱いで着任した提督。
轟沈した艦娘が流れ着く不吉な島で、様々な理由で島に来た艦娘たちを保護しながら暮らしていた。
そんなある日、鎮守府が乗っ取られるという非常事態が発生。鎮守府を取り戻すべく、罠だらけになった鎮守府に
潜んでいたのは、提督を『魔神』と呼び崇敬する、罠の化身『メディウム』たちだった。
メディウムたちと和解もつかの間、敵対勢力と戦う中で、提督の魔神の力が覚醒したことで海底火山が噴火し、島の建造物が焼失。
共闘した深海棲艦と協力して鎮守府を再建し、提督と島に住む艦娘たちは、海軍から独立することになった。

その後の交渉で政府との会談を控える中、深海棲艦撃滅を謳う過激派や、提督の地位を奪おうとする実弟、
提督を殺戮の魔神として覚醒させようとする魔神の下僕エフェメラの乱入を退ける。
この出来事をきっかけに海軍の本営へ乗り込んだ提督は、ようやく艦娘を使って実験をしていた『組織』に接触する機会を得たのだった。
3 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:35:21.04 ID:rtPz59jJo

舞台の「墓場島」について
 作中の表記は「××国××島」、通称「墓場島」。太平洋上にあるとある無人島で、パラオ泊地が一番近いと思われる。
 島の北側には海底火山があり、潮流が強く流れが特殊なため、轟沈した艦娘の亡骸がよく島の北東の砂浜に流れ着いていた。
 墓場島と呼ばれるようになった所以は、轟沈して島に漂着した艦娘を提督が埋葬し、墓標代わりに艤装を並べたことから。
 直近では「不要な艦娘の姥捨て山」的な意味に勘違いした海軍の面々から、問題を起こした艦娘が送り付けられていた。

 鎮守府は島の東側にあったが海底火山が噴火した際に焼失。溶岩は島の全土を焼き尽くし、溶岩によって島の面積は5倍に拡大。
 島の多くはいまだに溶岩だった岩場に覆われているが、提督に縁のある深海棲艦たちの協力によって、鎮守府が再建。
 海底火山の活動は一旦は収まって沈静化しており、少しずつかつての島の風景を取り戻しつつある。



主要な登場人物

・提督
 階級は少尉だったが、ある事件をきっかけに海軍を離れることに。その際、在籍時の功績を認められ? 最終的な階級は中佐。
 現在は墓場島と呼ばれる孤島の鎮守府の最高責任者を務める。
 一般人には見ることすら出来ない妖精と話が出来たせいで、親からも変人扱いされたため人間嫌いをこじらせた。
 妖精と会話ができることを見込まれて海軍にスカウトされたものの、上官となった大佐に疎まれ、離島の鎮守府に向かわされる。
 その後、大佐が自身の養父である中将の暗殺を企み、その犯人を提督に仕立てようとしたことを知り、
 以前から燻ぶり続けていた人間への怒りと憎悪を燃え上がらせた結果、異世界から『メディウム』たちを呼び寄せてしまった。
 両親は人間だが、提督の魂は、母親が深海棲艦に襲撃された際に体内に残った魂の残滓と、魔神と呼ばれる異世界の住人の魂の混ぜ物。
 現在はメディウムたちによって肉体を作り替えられたため、見た目こそ人間ではあるが、人間とは似て非なる生物である。

・妖精たち(妖精と島妖精)
 提督と小さいころから一緒だった妖精が、提督が島へ渡った際に同行している。その彼女の正体は応急修理女神妖精。
 島を溶岩が覆った際、溶岩から提督たちを守るために力を使い、今は姿を消してしまっている。
 島に住み着いていた妖精たちは、轟沈して島に漂着した艦娘が身に着けていた装備の妖精たち。大佐によって島に置き去りにされた
 人間たちが醜く争うさまを見てきたため人間に不信感を抱いていたが、艦娘の埋葬を提案した提督とは信頼が生まれている。
 なお、妖精と接することができるのは、艦娘や艦娘に近しい人物、あるいは過去の海軍に縁のある人物と考えられている。
4 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:36:06.90 ID:rtPz59jJo

登場艦娘一覧(墓場島への着任順)

・如月:試作の新兵器の威力の実験台にされていたところを脱走し大破、島に漂着。初期艦としてサポートしつつ提督に迫る日々を送る。
・不知火:もと大佐の部下。解体前提で如月捜索に駆り出されたが、提督の計らいで中将麾下に。提督の愚痴に付き合うことが多い。
・朧:吹雪と同時期に捨て艦で轟沈後、島に流れ着く。そのせいか諦観気味でやや擦れた性格になった。本の話を共有しているときが幸せ。
・吹雪:朧と同時期に捨て艦で轟沈後、島に流れ着く。希望は捨てずに諦めないタイプ。提督の自暴自棄な態度に激怒したこともある。
・由良:大破進軍で轟沈し、島に流れ着く。電の僚艦。軽巡の中では一番古株なためか、無意識に提督をお世話したがるところがある。
・電:大破進軍で轟沈し、島に流れ着く。由良の僚艦。ある鎮守府の初期艦として、その司令官を諭せなかったことを悔やんでいる。
・神通:慕っていた司令官を謀殺されかけ、復讐の途中で島に左遷させられた。人の考えを読んで言い当てるのと、気配を消すのが得意。
・大淀:日々の解体任務に疑問を覚えて仕事が手につかなくなり、異動させられた。自身の考えを肯定してくれる提督に好意を抱く。
・敷波:大破進軍後消息を絶った由良と電の捜索を命じられ、そのまま消息不明扱いにされた。提督が自分に似ていると感じている。
・明石:前提督に帳簿の不正を強いられ、そのまま首犯扱いで雷撃処分された。物資不足の島で生活するうちに大工仕事が得意になった。
・朝潮:前提督の不正の内部告発を計画するも逆に犯人扱いされ雷撃処分された。提督に妄信的過ぎて明石や提督に心配されている。
・霞:朝潮と同じく雷撃処分され、沈みかけたところを敷波に助けられた。提督を信頼してはいるが投げやり気味な態度に呆れてもいる。
・暁:信頼していた前提督の変貌に錯乱して敵陣特攻し記憶喪失になる。レディとしての振舞いは忘れておらず、驚くほど大人びている。
・初春:捨て艦で轟沈後、暁に助けられ島に漂着。建造後すぐ轟沈したこともあり、不知火の付き添いで島外の様子を見に行っている。
・潮:変態の前提督に迫られ耐え切れなくなり家出。護衛役の長門に少し依存気味。男性は苦手だが提督には強く出られるようになった。
・長門:変態の前提督に迫られた潮を庇い、逃げる手引きをした。強烈な反面教師を見たおかげで駆逐艦たちと適度な距離で接している。
・比叡:料理上手を前提督に認めてもらえず、ご飯を捨てられ自暴自棄になり轟沈した。暁の必死の看病により回復し、厨房を任される。
・古鷹:お人好し過ぎて自分の練度が上がらないままお世話を続けるも、前提督の見栄のために観艦式において行かれた、超世話焼き。
・朝雲:観艦式に向かう途中で艦隊を離脱して古鷹を追いかけてきた。鎮守府で一番の常識人とは提督の弁。そのせいで苦労人でもある。
・利根:前提督の猟奇趣味に巻き込まれ、地下に幽閉され死にかける。墓場島に来て初めて海に出たことで艦娘として生きる決意をした。
・伊8:オリョールで逃げたル級の代わりにいた軽巡に轟沈させられた。提督のベッドに裸で潜り込むくらいには提督に依存している。
・大和:島の妖精が提督に内緒で大張り切りで大型建造したら作られた。提督への好意が最初から全開で、大佐を激しく嫌悪していた。
・初雪:艦娘管理ツール使いの前提督に昼夜問わずこき使われ失神後漂着。島に来てからは遠征も出撃もせずマイペースに畑仕事に従事。
・金剛:愛情から目を背ける前提督を説得し続け、煙たがられて左遷された。愛情深いせいか金剛のハグは心地よさで抜け出せないほど。
・五月雨:玉砕覚悟の敵討ちを望むも、仲間を沈めた濡れ衣を着せられて追い出される。ドジではあるが、それで物を壊したことはない。
・榛名:養成所の訓練と称して轟沈するまで戦わされた。それまで出会った人間の態度がモノ扱いだったため提督との出会いを喜んでいる。
・那珂:榛名と同じく過労で失神するまで戦わされ島に漂着。即興で歌った鎮魂歌が島の艦娘から喝采を浴び、歌い続けることを決めた。
・扶桑:理由もなく疫病神扱いされ、戦況不利な海域に誘導され轟沈。自分たちを追ってきた時雨が轟沈したことをずっと後悔していた。
・山城:扶桑と同じ理由で轟沈して島に漂着する。扶桑が好きだが那珂の歌声も好き。自分の幸せを素直に受け入れられない面倒な人。
5 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:36:50.90 ID:rtPz59jJo

・龍驤:暴食を強要され体形を馬鹿にされ、ブチ切れて鎮守府を火の海にした。雲龍に懐かれてからは、当たり散らすこともなくなった。
・陸奥:龍驤と同じく暴食を強要され、かつ度重なるセクハラで男性不信になった。男性不信は一部の艦娘と提督のみで秘匿している。
・雲龍:特別海域で艦隊に邂逅できず、餓死寸前だったところを龍驤に保護された。以来、龍驤を信頼し忠犬のようについて回っている。
・島風:戦艦級の火力を求める前提督に疎まれて、訓練中に除名される。競争相手の白露に妹扱いされ、迷惑そうにしつつも喜んでいる。
・白露:島風と一緒に特訓するため艤装を改造、同じく訓練中に除名。島風に追いつくため艤装を違法改造した結果胸が縮んでしまった。
・黒潮:姉妹艦を人身御供にした前提督にぶち切れて、犯人もろとも海に投げ捨て離反。山雲を救助後、白露、島風に合流し島へ辿り着く。
・山雲:海に現れた直後に、黒潮を探す雪風を追いかける深海勢(空母棲姫)に激突される。ネガティブになると深海棲艦的雰囲気になる。
・三隈:最上にベタベタし続ける前提督にキレて股間を砲撃したため島に送られる。破廉恥な場面に遭遇するとくまりんこと叫ぶ癖がある。
・最上:前の鎮守府で過剰なスキンシップを迫られていた。ただ、当人はそこまで気にしておらず、鈍いというか明け透けな性格だった。
・摩耶:理不尽な防戦指示を無視したため、前提督に命令違反を咎められ左遷。提督と意見がよく合うが口調を注意され度々口論になる。
・霧島:摩耶と同じく命令違反で左遷される。戦況を好転させる戦果を挙げても摩耶以外には認めてもらえず、自信を喪失していた。
・若葉:前提督が夜戦禁止の慎重派で、敵輸送部隊殲滅のため夜戦した結果馘に。その前の鎮守府ではレ級と交戦しリベンジを誓っていた。
・川内:若葉と同じく殲滅のために夜戦したら馘になった。その前の鎮守府で暁と一緒だったが暁が記憶を失っていたため分からなかった。
・武蔵:またも妖精が提督に内緒で大張り切りで大型建造して作られた。規律を重んじる真面目な性格で、大和たちを窘める損な役回りに。
・五十鈴:テレビの取材で舞い上がった前提督の浪費で、赤札を貼られまくった鎮守府から脱走。五十鈴は飽和状態で解体予定だった。
・筑摩:五十鈴と同じく借金まみれの鎮守府から逃げてきた。長らく邂逅できなかった利根に迫ったため利根が倒れたことを悔やんでいる。
・鳥海:一日提督の無茶のために大破進軍した加古を庇って轟沈した。お人好しで少々世間知らずなところがあり、加古に心配されている。
・加古:鳥海と同じ鎮守府だが、そこの提督に失望し大破進軍して轟沈。寝るのが好きで提督に特注のベッドと抱き枕を買ってもらった。
・千歳:婚活したがっている女提督と喧嘩別れ後、墓場島への案内を任されそのまま着任。お酒好きと言うよりお酒で盛り上がるのが好き。
・足柄:千歳と同じく、女提督と喧嘩別れしたのち路頭に迷っていた。戦闘には積極的だが、たまに人の話を聞いてないときがある。
・隼鷹:ケッコンカッコカリ間近で前提督の頬を叩いたところを上官に見られて更迭後、脱走する。ちょっとお節介焼きなところがある。
・那智:酒飲みの愚痴聞き係で戦線に立たせてもらえなかったため脱走した。以来、禁酒を続けながら、自己鍛錬にいそしんでいる。
・日向:深海棲艦について突っ込んだ考察を出撃前後に前提督に相談しまくった結果追い出される。提督の持論にはある程度納得した模様。
・伊勢:上記の日向の異動にともない、干されていたところを中将の計らいで着任。別に何の落ち度もないのに島に追いやられた不幸な人。
・青葉:写真嫌いの前提督の怒りに触れて左遷……という建前でJ少将から離反した。今後は物騒じゃない写真を撮りたいと考えている。
6 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:38:07.01 ID:rtPz59jJo

・北上、霰、満潮:大佐の部下Aのもと部下。中将暗殺の証拠を見つけ、真相追及のため墓場島へ向かい、明石たちと再会を果たした。
・名取、弥生:大佐の部下Bのもと部下。泊地棲姫の塒への吶喊を命じられ敗走、墓場島へ向かうよう指示される。電たちとは初対面。
・初霜:大佐の部下Bのもと部下。泊地棲姫の塒への吶喊を命じられ死にかける。泊地棲姫に鹵獲後、裸リボン姿で提督に引き渡された。

・時雨:扶桑、山城と同じ鎮守府出身。轟沈した扶桑たちを追い襲撃され島に漂着、埋葬された。エフェメラと邂逅し、蘇生されて帰還。
・早霜:過去に島に漂着した艦娘。前鎮守府では司令官が過労で判断ミスし轟沈。提督に興味を示し年月を経て艦娘として再邂逅。

・赤城:元大佐の秘書艦。その前は中将の部下で、中将が運営していた鎮守府の評価が下がらぬように大佐の悪事の尻拭いをしていた。
  意図を気取られぬよう冷酷な態度を貫いて付いた渾名が『鉄の赤城』。提督が如月や不知火を助けて以降は冗談を言い合う仲になる。

・阿賀野(深海化):鎮守府の不正を探り大怪我を負う。入院後、足を滑らせ海へ転落して深海棲艦に転生。当時の記憶を一部覚えている。
・秋雲:自分の趣向に合わない同人活動から離れようとするも、前提督に理解を得られず失望し出奔。風景画を描くのが好きらしい。
7 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:39:21.56 ID:rtPz59jJo

深海棲艦たち
・戦艦水鬼改(元ル級):東オリョール海で毎日潜水艦に小突かれる日々に嫌気がさし脱走。補給を得られず漂着した墓場島鎮守府で、
  長門と念願の砲撃戦を繰り広げた。その後親睦を深め離れ小島に住み着き、時折墓場島で談笑する仲に。戦闘中に水鬼改へと深化。
・軽巡棲姫:人間の研究者たちが開発した、深海棲艦の遺骸から武器を作り出す外法の技術によって、銃の弾丸に作り変えられた深海棲艦。
  後に大佐が提督を撃ったときに体内に残り、謎の力で提督とともに蘇った。その後、泊地棲姫に育てられて軽巡棲姫に成長した。
・泊地棲姫:大佐の中将暗殺に利用された深海棲艦。大佐の部下の艦娘に塒を荒らされ、墓場島に誘い出された挙句、返り討ちに遭う。
  このとき、深海棲艦化していた提督と邂逅し、興味を持ったのか提督を勧誘するように。現在は部下も一緒に墓場島で暮らしている。

泊地棲姫の配下
・リ級:泊地棲姫に長く従ってきた深海棲艦。ややドライでは打算的なところもあるが勤勉。提督のことは心地よい抱き枕だと思っている。
・南方戦艦新棲姫:かつてのタ級、サウスダコタと思われる。食堂や執務室でコーヒーを嗜むのが好き。艤装のサイズ感にまだ慣れていない。
・欧州水姫:かつてのタ級、おそらくネルソン。泊地棲姫配下では珍しい英国艦。南方戦艦新棲姫とはコーヒー紅茶論争で良く盛り上がる。
・防空巡棲姫:かつてのツ級。艦娘のアトランタよろしくダウナー気質な深海棲艦。あまり働きたくないが仕方ないと言いつつ働くタイプ。
・軽巡新棲姫:かつてのヘ級。こちらもホノルルに似て深海棲艦らしからぬ陽気さを持つ。工廠によく出入りしていて明石と駄弁っている。
・深海海月姫:かつてのヲ級、おそらくサラトガ。岩礁は背負っていない。可愛いもの好きで、深海棲艦化した提督を可愛いと評している。
・南太平洋空母棲姫:かつてのヲ級、おそらくホーネット。墓場島周辺で生まれた駆逐艦の面倒を見ていた。真面目で仕事熱心な性格。
・白露型イ級:白いワンピースを纏った、真っ白な人型の深海棲艦。夕立と村雨が混ざったような雰囲気を持ち、言動も彼女たちに近い。
・暁型ロ級:こちらは暁型4隻の特徴を混ぜたような人型の深海棲艦。提督に労われて撫でられたのちに外殻が割れ、この姿に変化した。
・伊号ヨ級:下半身が生えたヨ級。酒保にある伊号潜水艦の予備のスク水を着ている。髪を結うと、どことなく伊168に似ているとか。
・伊号カ級:両手足に胴体もあるカ級。胸部装甲が大きいためか、スク水ではなくビキニ着用。もとの艤装は浮き輪のように腰部に装着。

その他の深海棲艦
・集積地棲姫:墓場島で深海棲艦が住めるように取り決めたのち、提督に人間からの保護を求めてやってきた引き籠り希望の深海棲艦。
・戦艦棲姫:集積地棲姫のところに押しかけてきた深海棲艦。集積地棲姫に何度か助けられたため、彼女を気に入り一緒に行動している。
8 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:40:36.03 ID:rtPz59jJo
X提督とその同期組
・X提督:T大将の甥、大佐。秘書艦は祥鳳。見た目も性格も軍人には向かない。酒匂に似ているとよく言われる。主力は潜水艦と海外艦。
  I提督のもとにいた響が改装されヴェールヌイとして所属している。深海棲艦との共存を目指しており、提督には好意的。
・W提督:大佐。秘書艦は伊勢。「日向に似てきた」とは伊勢の弁。主力は伊勢型、最上型の航空火力艦、および球磨、多摩など軽巡洋艦。
  V提督鎮守府の榛名が解体までの一時預かりの形でW大佐鎮守府に身を寄せている。どちらかと言えば本音は深海棲艦殲滅派。
・V提督:比叡の元上官。酒飲み友達に感化され、比叡の料理を褒めずに貶めたため比叡が轟沈。ピストル自殺を図るが一命を取り留めた。
  現在はかつてN提督がいた鎮守府の指揮を執る。W提督のもとへ移籍した榛名に恨まれているが、それも受け入れている。
・U提督&Y提督:飲み友達。

主要なお偉方
・中将:現在は相談役。提督を正式に海軍に引き入れた人物。深海棲艦との接触で足を悪くし杖が手放せない。大佐は再婚した妻の連れ子。
  現在は勇退し、与中将を自身の後継にして相談役としてサポート役に回っている。提督の本音を知る数少ない人間の一人。
・T大将:作中では「大将」と表記。秘書艦は武蔵。深海棲艦と和睦を結びたい人。声がでかくて威勢がいいおやじさん、X大佐は甥。
  猪突猛進の上、思い付きで単独爆走することも多く、ゴリ押しで最善手に結論を持っていこうとする、かなり強引な人物でもある。
・H大将:秘書艦は大井。お堅いおっさん。かつては深海棲艦を殲滅したい人たちの筆頭的存在で、人類を守るために精力的に活動。
  墓場島でJ少将に裏切られ、提督と協力し脱出したことから、事情をよく知る人物として提督に付き合わされることになった。


大佐とその関係者
・大佐:戦争を金儲けの道具と考え、中将の威光を傘に暗躍。妖精と会話できる提督の存在に危機感を覚え、離島の鎮守府へ幽閉。
  その後、提督に罪を被せて中将暗殺を謀るも、艦娘やメディウムたちに阻まれ失敗。身柄は泊地棲姫に預けられ、以後生死不明。
・Z提督:大佐と一緒に深海棲艦の遺骸を利用した武器の製造を研究していたが、提督によって艦娘虐待の罪に問われることになった。
  その後、J少将により再び研究に参加、恨みを晴らすため乗り込んだ墓場島で、提督たちの怒りを買い、溶岩に飲まれ死亡。
・A提督:明石に横領を強要し、それを調査した朝潮と霞に濡れ衣を着せ、雷巡になったばかりの北上に3人を雷撃処分させた。
・B提督:初期艦だった電と、その随伴艦由良を大破進軍で失う。それを咎めた敷波を捜索に向かわせ、そのまま行方不明扱いにした。
・C提督:霧島、摩耶と駆逐艦たちを空母棲姫戦へ参加させるも、轟沈しかねない理不尽な命令を命じたため、摩耶に殴られる。
・D提督:験を担ぐあまり扶桑と山城を毛嫌いし、わざと勝ち目のない海域へ向かわせ轟沈させた。時雨がその後を追い轟沈してしまう。
・E提督:駆逐艦たち、とくに潮を対して繰り返し変態行為を迫った。その潮は長門の手引きによってともに鎮守府から脱走している。
・部下1〜3:提督の鎮守府で建造した大和を大佐が奪いに来た時に同行した士官たち。大和奪取に失敗したため異動させられた。
  部下1はその後大佐の元を離れ、留提督とテレビクルー一味の回収や、島への艦娘の引き渡しなど、提督との腐れ縁が続いている。

・J少将:H大将の部下。地味で人のよさそうな細身のおっさんだが、自分たちの活躍の場を奪った艦娘を密かに憎んでいた。
  艦娘に頼らず深海棲艦を打倒するため、艦娘や深海棲艦を使った実験を指示。兵器開発に反対する大将たちの謀殺を企んでいた。
・K大佐:J少将の部下。要領が悪く海軍内の評価はほどほどだが、決して目立つなというJ少将の意向に忠実に従い活動していたため。
  J少将の手足となって大将2名の暗殺を企てていたが、結果的にだが提督に阻止され、メディウムの襲撃によって殺されている。
9 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:43:20.84 ID:rtPz59jJo
その他の提督たち
・F提督:神通の元上官。ケッコンを約束した仲だったが、深海棲艦と共存を訴えていたため、徹底抗戦派と戦争継続派に謀られ戦没した。
  ……と思われていたが、大将の艦娘により秘密裏に救出され治療を受けていた。神通との再会を果たし、再び深海棲艦と共存を目指す。
・G提督:神通をF提督から引き離し部下にしようとした男。その神通に考えを言い当てられ続け、恐怖のため精神に異常をきたし入院した。
・I提督:暁の元上官、女性提督。深海棲艦から長期間兵糧攻めに遭い正気を失う。秘書艦の翔鶴を手にかけ、鎮守府とともに炎に没した。
・L提督:少佐。古鷹、朝雲の元上官。秘書艦の古鷹に上げ膳据え膳で立場を勘違いしたため、観艦式を古鷹抜きで挑んで盛大にやらかす。
  一時は中尉に降格するも新秘書艦香取によって更生。新人提督の育成に携わり最近少佐に復帰した。ババ抜きは弱いが将棋はプロ級。
・M提督:准将。利根の元上官。歪んだ愛欲のためか、秘書艦以外の利根を殺害し遺体を地下室に飾っていた。露見後は罪を認め自害。
・N提督:元中佐。深海棲艦の影響で地元の漁村が過疎化したことから、殲滅のため違法ツールに手を出す。そのため初雪が過労で島に漂着。
  過去には朧も捨て艦で沈めていた。現在は特務大尉として特警のような仕事を請け負い、妙高、磯波と各地を転々としている。巨乳好き。
・O提督:もと大佐の部下の下士官、現在は大尉。秘書艦は木曾。大佐の不在時に大佐の権力を使って艦娘を救ったのを評価され昇進。
  大佐から離れた後は伊8を大破進軍で沈めた鎮守府に新司令官として着任しW提督に協力を仰ぐ。態度は柔和だが、したたかな面もある。
・P提督:少将。五月雨の元上官。レ級に艦娘を沈められ、五月雨を嘘の罪で墓場島へ護送後、報復の特攻を目論むも特警により射殺された。
・Q提督:中将。金剛の元上官。息子を失い自責の念に駆られ疎遠になった妻との仲を取り持とうとした金剛を島に追放する。その後病没。
・R提督:少佐。隼鷹の上官。飛鷹と隼鷹に酒の力を借りて求婚カッコカリするも隼鷹に激怒され、その現場をJ少将に見つかり左遷された。
  その後中尉に降格も、左遷先から舞鶴に戻る際に大尉に。隼鷹と飛鷹の復帰とともにJ少将の艦娘を引き取り、今後も墓場島と交流予定。
・S提督:吹雪の元上官。捨て艦で吹雪を轟沈させた。その後新しい吹雪を迎え改二まで育てるも、轟沈した吹雪を悔やみ続け辞職した。
・以提督:中佐。龍驤、陸奥の元上官。格闘家。艦娘を私物化しようとして反感を買い鎮守府ごと燃やされる。その後逃走し現在行方不明。
・波提督:元大尉。千歳、足柄の元上官、女性提督。元OLで幸せな家庭に憧れるが、価値観の違う提督に拒絶され自信喪失し体調を崩す。
  千歳、足柄と喧嘩別れ後うつを発症し退役。回復後、就職先の企業で墓場島を取材したテレビクルーの一人に出逢い、交際を経て結婚。
・仁提督:少佐。白露、島風の元上官。巨砲至上主義で駆逐艦の育成を重要視せず、勝手に訓練していた白露と島風を強制的に追放した。
  墓場島来訪後に保提督鎮守府の雪風と萩風、嵐を引き取ることになり、駆逐艦の育成を始めるようになる。秘書艦は金剛。犬好き。
・保提督:黒潮の元上官。学生時代のいじめっ子に自分の艦娘を歓待に使うよう脅される。黒潮に離反された後、いじめっ子を告発し係争中。
・部提督:最上、三隈の元上官。明け透けな性格の最上にスキンシップと称してべたべたしていたところ、三隈の怒りを買い股間を撃たれる。
・止提督:准尉。川内、若葉の元上官。夜を異常に嫌がり夜戦の回避を徹底させていた。艦娘を実験台にする組織と接触したことが原因らしい。
・知提督:大尉。M提督の部下。O提督とは友人。M准将の跡を継いで城塞鎮守府を運営する。C提督の部下だった駆逐艦を引き取っている。
・利提督:筑摩、五十鈴の元上官。地道に地域に貢献する提督だったが、テレビへの露出を機に無駄遣いが増え借金を負う。現在行方不明。
・留提督:2世タレント。アイドルとして売り出すため海軍と艦娘を利用するも、提督に本性を暴かれ捕縛。その後、芸能活動を停止した。
・遠提督:元大佐、現在は中尉。加古、鳥海の元上官。母性に飢えていたためか雷と逃避行を計画し、留提督に大佐の地位を譲ろうとした。
・和提督:中将。那智の元上官。那智を酒飲みと愚痴をこぼす相手として出撃させずバーに常駐させていた。縁起が悪い墓場島を忌み嫌う。
・加提督:日向の元上官。ブイン泊地で深海棲艦と交戦している。深海棲艦の撃滅より存在理由ばかり考えて足を引っ張る日向を追放した。
・与提督:中将。仁提督の上官、女性提督。若くして将官になった天才で、見た目も幼く見えるが一人称は『わし』。最近少将から昇進し、
  敬愛している本営中将の業務を引き継ぐ。和中将からは執拗にアプローチがあったが、提督との接触と墓場島の上陸によって解消した。
・礼提督:P少将鎮守府の憲兵隊長の娘。弁護士を志していたが、P少将の無念を晴らすため、秘書艦に五月雨を迎えたいと出向いてきた。
・曽提督:大佐。深海棲艦との和睦に反発しH大将麾下から離反。深海棲艦を殲滅する同志を集め島に艦娘を出撃するが、返り討ちにあう。
・川提督:曽大佐の作戦にコロラドたちを参加させた、小太り体形の気の弱い提督。かなり臆病で提督には出会い頭に土下座を決めている。
・祢提督:大将。呉に鎮守府を構える提督たちの統括責任者。秘書に退魔師の女性を控えており、彼女が妖精と会話できると思われる。
・奈提督:准将。中将が乗った護送船の護衛を艦娘に任せた人物。中将曰く真面目な人柄で、配下の葛城たちから信頼されている様子。
・良提督:秋雲の上官。周囲の評価を気にする人物らしく、同人活動から離れたい秋雲の意向を無視し、活動を続けるよう根回ししていた。
・武提督:大将。大湊警備府を取り纏めている提督。N提督の上官。提督の活動には好意的らしいが、情報が回ってきていなかったご様子。
・宇提督:大将。佐世保の鎮守府を取り纏める提督。主戦場の西方海域の戦闘激化は、墓場島が深海棲艦の領海となったことが一因らしい。
10 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:44:50.84 ID:rtPz59jJo

影牢シリーズより

・ニコ・エレメンタル:
 封印されし魔神の力そのものと言われている少女。個性的なメディウムたちのまとめ役だが、彼女自身はメディウムではない。
 魔神が封印された神殿で魔神の目覚めを待ち続けていたが、提督の抱いた人間に対する強烈な怒りや憎悪を
 『魔神の力』として感じ取り、異世界から鎮守府に向けて扉を開いて提督との邂逅を果たした。
 見た目こそ少女だが数百年の時を生きているらしく、提督に対してなにかと『お姉ちゃん』ぶる態度をとる。

・『魔神』とは
 現在とは違う世界……アルスギア大陸で信仰されるアルス正教の善神アルスに反する存在として、魔神と称される。
 世界を闇で覆い、力と恐怖で世界を支配するべく『アルス=タリアの大収穫』と呼ばれる大災害を引き起こした、と言われている。
 その後、その世界の人間たちにより魔神は封印され、やがてその建物が『アルス=タリア封印神殿』と呼ばれるようになった。

・『メディウム』とは
 魔神に作られし被造物であり、魔神を崇拝する巫女であり、魔神に代わって力を振るう殺戮者たちである。
 この世界におけるメディウムは、いずれも女性の姿を取り、それぞれが人を陥れる『罠』の化身。
 突如として鎮守府に現れ艦娘と戦ったが、提督を魔神と認め、提督に忠誠を誓い従属するしもべとなった。

・魔神のしもべ『エフェメラ』:
 魔神が生み出したとされる自動人形(オートマタ)とされる。複数体存在し、魔神の生贄となる魂を集める者もいれば、
 魔神の生まれ変わりである提督を支援する者もいる。魔神と認めた者のために働くという意味では、どのエフェメラも同じである。
11 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:45:53.06 ID:rtPz59jJo

華麗系の罠のメディウム
・ミルファ・メガロック:チアリーダー姿のメディウム。丸い岩を落とす罠で、坂道であれば転がるしギミックで跳ね飛ばすこともできる。
  元気印の女の子。応援が好きと言うが、両手のポンポンはなんと岩。振り回せば凶悪極まりないし当然重い。ついでに胸も凶悪である。
・ソニア・スプリングフロア:バドミントン選手のような風貌の少女のメディウム。床が斜めにせり上がり、人を跳ね飛ばす罠。
  ツインテールが可愛らしい快活な少女。戦闘時以外は罠の名前で呼ばないで、各々の名前で呼んでほしいとニコたちにお願いしている。
・クレア・スマッシュフロア:テニスプレーヤーのような衣装の女性のメディウム。床が斜めにせり上がり、遠くに人を跳ね飛ばす罠。
  姉妹の中では自分が一番イケていると思っているお転婆娘。人を呼ぶときの呼び方が少々独特。軽率な失言が多いことを自覚している。
・ユリア・カタパルト:ゴルファーのような風貌の女性のメディウム。床が斜めに勢いよくせり上がり、遥か遠くに人間をかっ飛ばす罠。
  ドライバーを手にした長身の女性。スポーツマンに見えるが酒好きメディウムの一人。眺めのいい景色や、風を感じることが好き。
・ミリーエル・アローシューター:エルフのような長い耳を持つ、弓矢を携えた姿のメディウム。矢が飛んできて、人間を攻撃する罠。
  エルフと呼ばれる森の民のような風貌の女性。四姉妹の末妹で、特徴のない自分を未熟だと思っている。性格も真面目で素直な優等生。
・ディニエイル・コールドアロー:エルフのような長い耳を持つ、氷の弓矢を携えたメディウム。氷の矢が飛んできて人間を凍結させる罠。
  アロー四姉妹の一人で、冷静で理知的なクールビューティー。しかし魔神のそばでは冷静さが吹き飛ぶようで、少々お熱が入り気味に。
・グローディス・サンダージャベリン:エルフのような長い耳を持つ戦士のメディウム。帯電した槍が飛んできて、人間を刺し貫く罠。
  四姉妹の一人で、その中では珍しい肉体派。性格も豪快で少々直線的。姉妹は揃って美人だが、それを武器にするのは苦手の様子。
・ノイルース・ファイアーボール:エルフのような長い耳を持つ魔導士のような姿のメディウム。火の玉が飛んできて、人間を燃やす罠。
  杖を携え炎を操る、長身のエルフの女性。四姉妹の長姉らしく、物腰柔らかく落ち着いた雰囲気を持つが、炎の話になると饒舌になる。
・アーニャ・クレーン:釣竿を担いだ活発な少女のメディウム。大きな爪を持ったクレーンが人間を掴み、回転させてから放り投げる罠。
  妹のミーシャと一緒に釣りをするのが大好きな、日焼け跡がまぶしいアクティブ娘。でもさすがに裸にオーバーオールはどうかと思う。
・ミーシャ・ハンギングチェーン:釣竿を持つおとなしい少女のメディウム。足元に設置された虎ばさみで人間を捕らえ逆さ吊りにする罠。
  麦わら帽子をかぶったおとなしい少女。姉同様に釣りと外出が好きだが、ちょっと内気で日差しが苦手。完全防備しているので色白。
・ツバキ・カビン:丁半賭博の賭場にいるような、右肩を晒した着物姿のメディウム。上から花瓶を落として人の頭に被せて視界を奪う罠。
  任侠の世界から出てきたような口調の女性。胸元にはさらしを巻き、いつの間にか杯を交わしたという主のためなら命も惜しまぬ姐さん。
・カトリーナ・スイングハンマー:ガテン系メディウム。巨大な石槌で人間を跳ね飛ばす罠で、柱や石像も軽々とへし折ったり動かすほど。
  巨大なハンマーを担いだ屈強な女性。見た目同様豪快な性格だが、裁縫や料理など一通りの家事も不器用なりに練習する実直な面もある。
12 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:46:51.08 ID:rtPz59jJo

・メリンダ・ベアトラップ:腕や脚に包帯を巻いた、丈の短いメイド服姿のメディウム。足元に設置されたトラバサミが人の動きを奪う罠。
  目と意思を持つトラバサミ「ベアトラ君」を連れ歩く眼鏡の女性。自己肯定感が低いのかMなのか、やたらとお仕置きを要求してくる。
・イサラ・スパークロッド:ぼさぼさの長髪が静電気で広がった引き籠り少女メディウム。発雷するロッドが電撃フィールドを作る罠。
  メディウムの中では珍しい、一人に慣れてる引き籠り。臆病で、構ってもらえるのは嬉しいが、熱い相手にはついていきたがらない。
・オリヴィア・クエイクボム:巨漢ヒール女子プロレスラー姿のメディウム。局地的な地震を引き起こし、人間の動きを封じてしまう罠。
  ルチャスタイルの女性レスラー。大柄だが痩せやすい体質で普段から食事に気を遣っている。痩せた姿とどちらが本来の姿なのかは不明。
・リンダ・ローリングボム:ボーリング選手のような風貌のメディウム。ボール状の爆弾が床を転がり、触れた人間を爆風で吹き飛ばす罠。
  何故か関西弁でボケ倒す、おしゃべり大好きねえちゃん。人を笑わせたいのか気を引きたいのか……というより、そういう性分なのかも。
・アカネ・ブラストボム:お団子ヘアにミニ浴衣姿。花火玉を抱えたの元気な少女メディウム。いきなり爆発を起こして人間を吹き飛ばす罠。
  お祭り大好き、騒ぐのも大好き。騒いでときどき神殿内を壊したりするお騒がせ娘。いくらなんでも屋内で花火するのはやめなさい。
・レイラ・マジックバブル:人魚を思わせる舞台衣装を身につけた女性のメディウム。大きなシャボン玉が人間を閉じ込め窒息させる罠。
  豪奢なドレスを着たオペラ歌手のような女性。自分が作る泡を使って舞台演出まで手掛けようと考えている。肝心の歌の実力は未知数。
・アマナ・バキュームフロア:掃除機を持ち歩くメイドさんメディウム。床にバキュームを設置し、近づく人間を吸引力で吸い寄せる罠。
  散らかったお部屋を綺麗にするのが好きなメイドさん。今の魔神は元から散らかさないためか、掃除に少し物足りなさを感じている。
・クリスティーナ・ライジングフロア:ダンサーのメディウム。床がせり上がり人間を真上に飛ばす罠で、ロック系も打ち上げられる。
  誰よりも高く飛ぶことを目指す孤高のダンサー。日頃から練習に明け暮れる努力家ゆえに無理しがち。休みには紅茶を嗜む優雅な性格。
・カオリ・ボールスパイカー:バレーボール選手のような姿のメディウム。発射台から3発のバレーボールが放たれ、人間を打ちのめす罠。
  日々トレーニングに汗を流す体育会系娘。頑張り過ぎて体を壊したり、神殿の壁を壊したりと、高い向上心に反して自制心は低い模様。
・ケイティー・チャペル:花嫁衣裳のメディウム。教会の鐘が落ちてきて人間を閉じ込める罠。外から衝撃を与えると鐘の音で追撃できる。
  少々とは言えないほど独占欲が強すぎる女性。自分以外に魔神に近づく者をすべて排除し、鐘の中で二人きりになろうと企んでいる。
・スズカ・フライガエシ:ねじり鉢巻きをした和装のメディウム。巨大なフライ返しが、人間を空高く打ち上げひっくり返す罠。
  お好み焼きでも焼いてそうな雰囲気の女の子。でもお好み焼きを知らない。調子に乗って大きなことを言うのが欠点、とは本人の談。
・フローラ・チュウシャキ:注射器を抱えたナースのメディウム。注射器を射出し、刺さった人間に謎の液体を注入して体調を崩させる罠。
  巨大な注射器を抱えたナース姿の女性。柔和に見えるが薬物による尋問拷問もこなせるくらいには酷薄。魔神様も実験台の候補らしい。
13 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:47:50.97 ID:rtPz59jJo

残虐系の罠のメディウム
・ニーナ・ペンデュラム:胸当てとドレスを身に纏ったメディウム。巨大なペンデュラム(振り子)の刃が往復して人間を切り刻む罠。
  花のお世話が趣味のお淑やかな女性。魔神を守る騎士を名乗るだけあって真面目で誠実。細身の体に似合わず巨大な鎖鎌を振り回す。
・キャロライン・ニードルフロア:金髪碧眼で着物姿、海外留学生風なメディウム。とげ付きの床がせり上がり、人間を串刺しにする罠。
  魔神をダーリンと呼び慕う、天真爛漫でアメリカナイズな女の子。生け花を嗜むが正座は苦手で、しょっちゅう足を痺れさせている。
・ナンシー・フォールニードル:美容師を思わせる風貌のメディウム。無数のとげのついた天井が落ちてきて、人間を串刺しにする罠。
  いつでも明るくノリのいい、緊張感極薄ガール。一方で身だしなみには目を光らせており、特に寝ぐせを見つけるとすぐ直してくれる。
・オボロ・ブラッディシザー:両手に鉤爪を装備した忍者姿のメディウム。三対のハサミのような鉤爪が人間を捕らえて切り刻む罠。
  床下に潜み魔神を守護する忍びの者。名前を呼べば床下から出て来てくれるが、床下のほうが過ごしやすいために落ち着くんだとか。
・ルイゼット・ギロチン:巨大な斧を携えた、シスターのメディウム。ギロチンの刃が上から落下して、人間の首や胴を両断する罠。
  魔神の教えを正義と信じて異教徒を断罪する、過激で敬虔な修道女。魔神を絶対視しているため、融通が利かないところが玉に瑕。
・イーファ・スパイクボール:半人半獣のメディウム。とげ付きの鉄球が人間を刺し貫く罠。坂があれば転がって人間を巻き込み貫く。
  ヤマアラシを連想させる固い針のような体毛と尻尾を持つ少女。大切な主も触れたら怪我させてしまいそうな自分の体を疎んでいる。
・シルヴィア・シャークブレード:ダイバースーツ姿のメディウム。鮫の背びれのような刃物が地面を滑走し、人間を切り裂く罠。
  泳ぐことが大好きなお姉さん。神殿の周囲には沼しかないため海に出て泳ぐのが夢だった。スーツは普段着にするには少々窮屈らしい。
・サム・ヴォルテックチェア:燕尾服を着た慇懃無礼な男装の麗人のメディウム。電気椅子が現れて、座った人間に強力な電気を流す罠。
  椅子の傍らに立つ執事姿の優雅な女性。魔神に対し多分に毒を含んだ物言いが多く、隙あらばいたずらと称して電撃しようとする曲者。
・コーネリア・ギルティランス:黒いドレス姿のメディウム。壁から返しのついた多数の槍が飛び出し、人間を刺し貫いて引き寄せる罠。
  無数の槍を背負うバトルマニアを自称する好戦的な女性。心配されるのが嫌いなこともあり、戦い続けるためにも引き際は弁えている。
・カサンドラ・アゴニーマスク:中世の剣闘士風のメディウム。通電している拷問用のマスクが落ちてきて、人間の視界を奪い苦しめる罠。
  人に顔を見られるのが苦手な恥ずかしがり屋。戦いには勇ましく振る舞うが、武器のマスクは自分の顔を隠すため被ってしまっている。
・リサーナ・キラーバズソー:バニーガールのメディウム。丸鋸を壁から射出して、切りつけた人間をそのまま壁まで運んで叩きつける罠。
  配膳用の丸盆と思いきや、丸鋸を手にした危険なバニーさん。明るく朗らかでおしゃべりが好きで、静かなところは嫌いらしい。
14 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:48:50.93 ID:rtPz59jJo

・ウーナ・ヘルファイヤー:獣の毛皮を身にまとい、松明を掲げた野性味あふれるメディウム。強力な火柱が人間を燃やし吹き飛ばす罠。
  カタコトの言葉で話す少々ワイルドすぎる女性。暗いところが苦手で常に松明を持ち歩く。火を消すのは夜空の星を眺める時くらい。
・ルミナ・ヘルレーザー:モノクルをかけた白衣姿の科学者のメディウム。レーザービームが一直線に走って人間を焼き切る罠。
  メディウムや魔神も研究対象という狂科学者。特製モノクルはもとは宝石加工用だったが、なぜかすべてを焼き切る凶悪兵器になった。
・エレノア・メイデンハッグ:ちょっとパンクスタイルなシスターのメディウム。アイアンメイデンが人間を取り込み体中を刺し貫く罠。
  派手な修道服を着た女性。鋼鉄の処女を模した大きなトゲ付きの盾を持つ。大の酒好き。仲間思いでリスキーな行動も躊躇わない女傑。
・シエラ・デスサイズ:両手で扱う巨大な鎌を携えた、死神のような容姿の少女のメディウム。巨大な鎌が人間を無慈悲に刈り取る罠。
  臆病で人前で話すのが苦手な少女。変身願望があり、恥ずかしがりな自分をどうにかして変えたいと思っているようだが……先は長い。
・イブキ・ヒートブレス:丈の長い学生服を纏った応援団のような風貌のメディウム。熱波を吹き付けて人間を丸焼きにする罠。
  熱を扱う罠に相応しい熱血娘。声も大きければやることも豪胆。下着代わりのさらしもあらわで、恥じらいというものには少々疎い様子。
・リンメイ・メガバズソー:チャイナドレス姿のメディウム。刃のついた巨大なホイールが転がって、人間を切り裂きながら吹き飛ばす罠。
  自分の武器を回転ゴマにして操る曲芸師。さすがに自分でもこのコマは怖いらしい。たまにすっぽ抜けてどこかに飛んでいくのもご愛敬?
・ブリジット・ガトリングアロー:陸軍系の軍人風コスプレイヤーメディウム。ガトリングガンから矢を連射して、人間を蜂の巣にする罠。
  規律正しい軍人と思いきや、実は趣味のコスプレ姿。実戦経験に乏しいので、その場の勢いやテンションの高さで恐怖を誤魔化している。
・パメラ・スローターファン:煽情的なレースクイーン姿のメディウム。設置したファンが回転して人間を吸い寄せ、巻き込み切り刻む罠。
  手にした日傘は傘ではなく巨大な刃物のファン。注目を浴びるのが好きらしいが、本人より手にした凶悪な刃物のほうが注目の的に。
・ゼシール・サーキュラーソー:中世の暗殺者のような風貌のメディウム。上から丸鋸が降りてきて、人間の頭を切り裂いて弾き飛ばす罠。
  斜に構えた口数少ないニヒルな女性。侵入者の排除を仕事と割り切るリアリスト。殺伐とした日常から空飛ぶ鳥の自由さに憧れる一面も。
・ティリエ・ゴウモンシャリン:動物着ぐるみパジャマ姿のメディウム。とげのついた車輪が転がり、人間を巻き込みながら弾き飛ばす罠。
  車輪を転がし駆け回るのが好きなシニカル少女。何かにくるまっていると落ち着くため、暑くても着ぐるみパジャマは脱がない主義。
・シェリル・ヘルジャッジメント:ロック歌手のメディウム。避雷針が落ちてきて、直後にその針に雷が落ちて人間を感電させる罠。
  魂まで痺れさせる歌を目指して歌い続けるロッカー。硬派なイメージで売りたいようだが、部屋には可愛いぬいぐるみが大量にある。
・チェルシー・スイングアンカー:水兵メディウム。船の錨を振り子のように往復させ、軌道上の人間を引っかけて高所から落とす罠。
  船の上が好きで、わざわざ寝床を船の上に作るほど。細身のわりに足腰は強く、押そうが引こうが簡単には動かない、とは本人の弁。
15 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:49:51.06 ID:rtPz59jJo

屈辱系の罠のメディウム
・ミュゼ・テツクマデ:庭師のお姉さんメディウム。おもむろに置かれたテツクマデを人間が踏み、跳ね上がった柄が顔面を打ち付ける罠。
  言動にちょっと年季の入った庭師のお姉さん。忘れっぽいのか、テツクマデをどこかに置き忘れ自分で踏んでしまうことも増えてきた。
・タチアナ・トリックホール:スコップを手にしたキャリアウーマン風のメディウム。深い落とし穴が突如現れ人間を嵌めてしまう罠。
  スーツ姿に眼鏡をかけた、お仕事大好きな真面目さん。書類仕事はお手の物、魔神のためにメディウム運用の効率化まで考えるほど。
・フウリ・タライ:裾の短いバスローブを纏った少女のメディウム。空から金だらいが降ってきて、人間の頭に直撃して怒りを誘う罠。
  人前で話すのが苦手な少女。お風呂が大好きで、入っていればご機嫌なのだが、そのせいか衣装がバスローブしかないのを悩んでいる。
・ヴァージニア・クイーンハイヒール:威厳漂う女王のメディウム。ハイヒールを履いた巨大な女性の足が人間をぐりぐり踏みにじる罠。
  いかにも豪奢な特注の椅子に座って踏ん反り返る、尊大な女王。メディウムの王たる魔神にも、それ相応の威厳と態度を求めている。
・ヴェロニカ・スパイダーネット:煽情的な衣装に身を包む妖婦のメディウム。頭上から蜘蛛の巣が降ってきて、人間の動きを鈍らせる罠。
  何人もの男を絡め取り弄んできたと思われる蠱惑的な女性。魔神に対しては毎度誘惑が不発に終わることが多く、悶々としているとか。
・ヒサメ・スリップフロア:雪女のように冷気を漂わせた着物姿のメディウム。地面を凍結させて、足を踏み入れた人間を転倒させる罠。
  気に入った男は凍らせて飾るのが趣味と言う、雪女のような女性。掴みどころのない性格で、大人の余裕を見せながらからかってくる。
・ジェニー・デルタホース:西部劇のカウボーイのような姿のメディウム。下から三角木馬がせり上がり、人間を痛めつけつつ辱める罠。
  さっぱりした性格のブロンドの女性。かつては群れずに一人で旅をしていたという。相棒の木馬シルバーエッジが潰した股間は数知れず。
・セレスティア・ホットプレート:鉄板を持ったシェフ姿のメディウム。焼けた鉄板が足元に現れて、人間を焼いて飛び上がらせる罠。
  メディウム随一の料理人。マーガレットを良きライバルと認識しているが、同時に彼女のつまみ食いと食べ過ぎも気にかけている。
・ヴィクトリカ・ヒューマンキャノン:眼帯をした女海賊風のメディウム。巨大な砲台が人間を弾丸にして、遥か遠くへ発射する罠。
  見た目通りの女海賊。海が好きだが残念ながら船は持っておらず、南の海に船で乗り出すのが夢。酒好きメディウムの一人でもある。
・ヨウコ・メガヨーヨー:戦隊ヒーローものを思わせる衣装のメディウム。巨大なヨーヨーが回転しながら人間を弾き飛ばす罠。
  悪い人間に正義の鉄槌を下す、メディウム戦隊がひとり、メディ・ピンク! 残り4人は募集中。性格はレッド(リーダー)適正あり。
・メアリーアン・スノーボール:防寒具に身を包んだメディウム。巨大な雪玉が落ちてきて、触れた人を巻き込み飲み込み転がっていく罠。
  大きな雪玉を抱えたカントリーガール。田舎育ちのためか訛りが強く性格もおおらか。暖かい飲み物が好きで、時々皆に振舞っている。
・シャルロッテ・バナナノカワ:バナナを模した衣装を身に纏ったメディウム。足元におかれたバナナの皮が、人間を転ばせ怒らせる罠。
  アイドルを自称する少女。キラキラしたものが好きでステージ上でも輝くためアイドルを目指す。努力する姿は人に見せたくないタイプ。
16 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:51:51.03 ID:rtPz59jJo

・マルヤッタ・トゥームストーン:墓石を背負い包帯を体に巻き付けた姿のメディウム。頭上から墓石を落として人間を押し潰す罠。
  墓守を名乗る、語尾が特徴的な少女。ミイラのように体に包帯を巻き、なぜかその上に「まるや」と書かれたゼッケンをつけている。
・マリッサ・クラーケン:ボディハーネスに身を包んだ女性のメディウム。海の怪物クラーケンの触腕が人間を締め上げながら辱める罠。
  軍帽、目隠し、ボールギャグ、拘束具に鞭と、見た目でヤバさ満載の女性。言動もそれ以上に危険で卑猥な、苦痛も楽しむ探究者。
・キュプレ・ペッタンアロー:天使のような衣装のメディウム。ロープと吸盤のついた矢が人間に張り付き、発射台まで引っ張る罠。
  人と人を物理的にくっつけるのが好きなお節介焼き少女。ただし恋愛そのものには興味が薄く、くっつけた後のケアまでは知りません。
・ベリアナ・ブラックホール:悪魔というかサキュバスなメディウム。ブラックホールで周囲の人間を吸い込んで、上空から吐き出す罠。
  ボンデージビキニのセクシーな悪魔。思わせ振りな言い回しで人間だけでなく魔神も誘惑しようとする。人肌が恋しいのか一人は苦手。
・ロゼッタ・パンプキンマスク:魔女っ娘メディウム。空からハロウィンのかぼちゃを落として人の頭に被せて視界を塞ぐ、屈辱系の罠。
  悪戯と可愛い衣装、お菓子とコーヒーが大好きな、おしゃまなお年頃の魔女娘。大人の女性を自称しているが、大人しくするのは超苦手。
・オディール・マンリキスピン:万力を手にしたバレリーナのメディウム。巨大な万力が人間を掴み、超高速で回転して目を回させる罠。
  自意識過剰で自信過剰な筋金入りのナルシスト。みんなが目を回すほどの美しさを自称しているが、一番目が眩んでいるのは彼女自身。
・エミル・トイハンマー:お人形のような可愛いドレス姿の幼女メディウム。巨大なピコピコハンマーが、思い切り人間を叩いて辱める罠。
  巨大なおもちゃのハンマーを担いだ少女。見栄っ張りで意地っ張り、メディウムの中でも特に幼い外見だが可愛いと言われるのを嫌う。
・ハナコ・ウォッシュトイレ:学校で見た気がする、おかっぱ頭の少女のメディウム。温水洗浄便座のシャワーが人間を吹き飛ばす罠。
  狭く静かなところが落ち着くらしく、そのためとある個室に引き籠り気味な少女。場所が場所だけに、存在自体に驚く人も多いとか。
・マーガレット・フライングケーキ:パティシエのメディウム。飛んできたホールケーキが人間の顔にはりついて、視界を奪う罠。
  暇さえあればケーキを作るケーキ好きの女の子。作ったケーキは転んで落とさない限り残さず食べるせいか、いろいろ気になるお年頃。
・クロエ・ワンダーバルーン:サーカスのピエロのような装束のメディウム。風船が人間を包み込み、ふわふわと空へ飛ばしてしまう罠。
  たくさんの風船を持ち歩く道化師。笑顔を振りまきつつ風船を配り、あらゆる悩みも空へと導いて、問題を忘れさせてしまおうとする。
・ジュリア・ハリセン:ボディコンスーツ姿のメディウム。人間の頭めがけてハリセンを振り抜き、痛みと激しい怒りを誘発させる罠。
  バブル期に流行したクラブにいそうなお姉さん。派手な見目に反して、真面目で素直。お願いも不満を言いつつ聞いてくれる。
17 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:53:35.75 ID:rtPz59jJo
以上、テンプレ。

いや、テンプレにしたくない。もうちょっと短くまとめたい。いくら何でも長すぎる。目が滑る。
確認したいときにご覧ください。

以下、続きです。
18 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:54:36.14 ID:rtPz59jJo

 * 数日後 *

 * 横浜某所 研究所 出入口 *

提督「やっぱり艦娘たちは誰も連れてこなくて正解だったな。ったく、最悪な気分だぜ」

大将「同感だ……頭が痛いな、いろいろと」アタマオサエ

武蔵改二(大将の秘書艦)「やっと戻ったか。相棒、首尾はどうだった?」

大将「一応、見るべきところはすべて見た。が、つくづくマッドサイエンティストどもの感性は理解しきれんな」

大将「後日、今日見た施設の詳細をレポートにすることになっているが、それを見返して、わからんところは後から聞き直す感じになりそうだ」

大将「正直なところ、もう見返したくないが」ハァ…

武蔵改二「ほう。どんな設備があったんだ」

大将「そうだな……例えば、たくさん並んだ丸い筒状の水槽の中に、解剖された艦娘の遺体が浮かんでたり……」

武蔵改二「む……」

大将「深海棲艦の生きた生首に無数の電極が刺さっていたり、何をどうしたらそうなるのかわからん生物が蠢いていたり……」

大将「我々でも直視するのが苦痛になるような、そういうものが施設内に並んでいた」

武蔵改二「……」

大将「ほかにも、施設内で建造した艦娘を観察する疑似生活スペースや、大型の深海棲艦を鹵獲した際に使うと思われる特大の水槽も置いてあった」

武蔵改二「……艦娘や深海棲艦を調べるのに特化した施設というわけか」
19 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:55:36.07 ID:rtPz59jJo

大将「少なくとも、見学して良い印象は皆無だ。そもそも、施設内でまともな姿をした艦娘は1人しか見かけられなかったしな……」

武蔵改二「1人?」ヒキッ

大将「ああ。その鹿島も、いきなり提督に喧嘩を売るくらいにはイカレてて、返り討ちに遭って氷漬けにされていた」

武蔵改二「氷漬け? なんだそれは?」

大将「俺にもわからん。気付いたら壺を被った鹿島が氷漬けになっていたんだ。それも提督の仕業らしい」

武蔵改二「壺……?」

大将「ほかにも、深海棲艦から武器や弾丸を作る設備もあったんだが」

大将「いきなり燃えたり爆発したり、室内なのに雷が落ちたり、でかい足が落ちてきてその設備を踏み壊したり」

武蔵改二「……すまない、さっきから何を言っているんだ?」

大将「何を言っているかわからんと思うが、とにかくそういうことが実際に目の前で起こったんだ」

大将「その提督も、身の丈を超えるでかいハンマーをどこからともなく取り出して、叩き壊しにかかっていたし……」

武蔵改二「……」

大将「まるでテレビアニメでも見ているような非現実さで、状況を理解するまで数秒……いや、もう少しかかったか。齢は取りたくないものだ……」

武蔵改二「そんな状況なら、私であっても理解に苦しむが?」アタマオサエ

大将「……そうか。だとしたら、俺はまだまともなんだな」フー…
20 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:56:21.22 ID:rtPz59jJo

武蔵改二「話を聞く限り、無茶苦茶していたんだな? あの提督は」

大将「そうだな。そうなったのも、施設内の艦娘と深海棲艦の扱いに憤っていたからこそ、だろう。施設に入ってすぐのときも……」

 * 回想ここから *

研究員「そ、それでは案内いたします……」

提督「待て。お前じゃなくて、ここの所長のお前が案内しろ」

所長「!」

研究員「い、いえ、ここは私が……」

提督「全部知ってる人間が案内しろって言ってんだよ。嫌だというなら、この場にすぐさま深海棲艦を呼び出して、そいつらの好きにさせるぞ」

研究員「な……!?」

大将「お、お前、本気か!?」

提督「ひとつ断っておくが、俺もお前らと同じく、人間の命なんざどうとも思ってねえ。ましてやお前らは明確に俺の敵だと認識してる」

提督「隠し事をしたり、欺こうとしたりしたら、即刻この場で食い殺す。命が惜しけりゃ、俺の気分が変わらないうちに、さっさと案内しろ」

所長「……!!」

 * 回想ここまで *

武蔵改二「食い殺す、か……獣のような脅し文句だな?」
21 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:57:20.89 ID:rtPz59jJo

大将「あの男は、自分が半分深海棲艦であると自称していた。自らが『ヒト』ではないことを意識して、そんな脅しをかけたのかもしれん」

大将「この施設に入ってから、終始あからさまに不機嫌そうにしていたし、特にその時は尋常じゃない殺気を放っていた」

大将「それがまるで、深海棲艦をまとめる提督に肩入れしているように見えたからこそ、鹿島が提督に襲い掛かったとも考えられるが……」

武蔵改二「……なんというか、施設内にまともな人物がいなかったということか?」

大将「……」タラリ

武蔵改二「……む? あいつらは……」

大将「おい、近寄らんほうがいいぞ?」

武蔵改二「いや、私は以前、彼女たちと話している。大丈夫だろう」

大将「そ、そうか……?」

武蔵改二「ああ、待っていてくれ」
22 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:58:06.80 ID:rtPz59jJo

ディニエイル「魔神様、此度の施設の制圧、大変お疲れさまでした」

提督「こっちこそ急に呼び出して悪かったな。本当なら俺一人で片を付けるはずだったんだが」

シェリル「いいってことさ、あたしも思いっきりシャウトできてすっきりできたし。魔神さんも、我慢できなかったんだろ?」

アカネ「ニコちゃんからも、我慢は良くないって言われてたんだよねー? 思いっきり爆発できて、良かったんじゃない?」

ヴァージニア「私は満足しておらん。本来ならわれらの力はあのような機械のみならず、愚かな人間どもも使えば良かったのだ。貴様は甘すぎる!」

提督「建前とは言え、命が惜しけりゃ、って言っちまったからな……粗相してないんじゃ、見逃さないわけにもいかねえよ」

ヴァージニア「何を綺麗事を。我等はメディウムだぞ、騙し討ちもできずに、何が魔神か!」

ディニエイル「落ち着きなさい。魔神様には魔神様のお考えがあっての判断です」

ヴァージニア「ああ、わかっている。わかっているからこそ苦言を呈しているのだ!」

ミュゼ「あのー、ご主人様? 艦娘は1人氷漬けにしてましたけど……」

提督「ああ、ありゃ殺してないからノーカウントだ。つか、あんな話の通じねえ鹿島がいるとは思ってなかったぜ」

ウーナ「あいつ、言葉通じなかった! リーダー、凍らせるの正解! 間違ってないぞー!」

ツバキ「わてらは親分さんの言うとおりにいたしやす。どう使っていただいてもかまいやせんで」

提督「ありがとな。頼りになる仲間がいて、本当に助かってる」

カトリーナ「アタシたちこそ、アニキが頼ってくれて嬉しかったぜ!」
23 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:58:51.08 ID:rtPz59jJo

カトリーナ「……いきなり一回でいいからハンマー貸せって言われて、アニキが振り回し始めたときはびっくりしたけどなー」

提督「俺もどうしても一撃入れたくてな。大事な武器なのに悪かったな」

カトリーナ「気にしなくていいぜ。電からもしょっちゅう貸してくれって頼まれてるから」

提督「……あとで電に注意しとくか」アタマオサエ

武蔵改二「すまない、ちょっといいか? お前……確か、ツバキだったな?」

ツバキ「? わてを知ってるとは……ああ、あんた、あの船にいた、余所の組の艦娘さんやな?」

提督「大将んとこの武蔵か?」

武蔵改二「ああ、そうだ。もしかして、鹿島を氷漬けにしたというのは、ツバキたちの仕業か?」

ミュゼ「はい! 私のテツクマデで足止めして、ツバキさんのカビンで目隠しした隙に、ディニエイルさんがコールドアローで凍らせました!」

提督「ミュゼ、ご丁寧に全部説明しなくていいんだぞ」

ミュゼ「はっ!? ご、ごめんなさい!」

武蔵改二「説明はありがたいが、言われてもよくわからないな……とにかくお前たちがやったということか」

提督「ああ。死なない程度に黙ってもらった」

武蔵改二「……ということは、相棒の言っていた不可解な現象はここにいる者たちが引き起こしたということか」

提督「掻い摘んで言えば、そういうことだ」
24 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 22:59:35.89 ID:rtPz59jJo

カトリーナ「なあアニキ? うちにいた武蔵って、そのうち帰ってくるのか?」

提督「いや、武蔵は本営の与中将のところに転籍するから、帰ってくるってのは難しいな」

カトリーナ「そうなのか!?」

提督「たまには顔を見せに来いとは伝えてる。まったく来なくなるわけじゃねえから、そこまで悲観すんな」

武蔵改二「ほう。そちらにいた私は、お前たちとは親しくしていたようだな」

ツバキ「おかげさんで。そういえば、あんたさんは、なんや随分とハイカラになりましたなあ?」

武蔵改二「私は第二改装を受けたのだ。いいだろう? この装束」フフッ

カトリーナ「強くなってるてことか……じゃあ、うちにいた武蔵も、似たような格好になるってことか?」

提督「与中将んところで頑張ってりゃ、近いうちにそうなるだろうな」

武蔵改二「今後は与中将との交渉がメインになるのか?」

提督「交渉っつうか、与中将は窓口だな。あの中将の後を引き継いでもらった。うちの武蔵は、那智と一緒にそっちに転籍してもらってる」

提督「ただ、メディウムはできるだけ与中将……つうか、人間と接触しないよう、取り計らっているけどな」

武蔵改二「お前たちは人間の魂を餌にしている、という話だったな。相棒がこちらに近寄ろうとしないのも、そういう理由か」

提督「そういうこった。研究所内の人間を巻き込まないように気を遣うのも大変だったぜ」

提督「ぶっちゃけ、偶然を装って殺せないか、って、すげえ悩んだからな」

武蔵改二「……冗談でもそういうことは言わないでくれないか」タラリ

カトリーナ「どこの武蔵も、真面目なんだなー」
25 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 23:00:21.12 ID:rtPz59jJo

 *

大将「武蔵は大丈夫だろうな……」

元帥「……大将」

大将「おお、戻られましたか元帥殿」

元帥「……」ウナヅキ

大将「他人事のような感想になりますが、なんというか、すさまじい場所でしたな」

元帥「それは仕方がない。私もこの施設の地下は初めて見たが、少なからず、君と同じ感想を抱いている」

大将「彼らがどんな研究成果をあげ、我々の力になっていたのかはわかりませんが……こうして表に出すべき研究ではなかったことは否めませんな」

元帥「うむ。このような組織なら、最初からなくしておけば良かったのだが……私の、判断が甘かったようだ」

大将「仕方ありますまい。この研究が進められた当時、我々が深海棲艦から受けた被害を思えば……」

大将「彼らのやっていたことも必要悪とされていたか、むしろ正しいこととして認識していたでしょう」

大将「外敵でしかない、未知の相手との戦争だったのです。きっと彼らの情報に助けられたことも、なきにしもあらず」

大将「もっとも、その研究対象が深海棲艦だけではなく、艦娘もそうであったことをもっと早くに知っていれば、判断を誤らなかったのかもしれません」
26 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 23:01:05.83 ID:rtPz59jJo

元帥「……」

大将「……元帥殿。我々は、これから深海棲艦と、可能な限り戦いをなくす道を探します」

大将「手始めに、この組織の解体を。確かに、この組織の技術は、艦娘の治療などにも役立つでしょうが……」

大将「艦娘を犠牲にすることを前提で行われた研究は忌避されるのが当然。露見した以上、艦娘からも人からも反発を買うのは必至でしょう」

大将「急ぎこの結果を持ち帰り、今後の動きについて方針を決めるべきかと」

元帥「……」

大将「元帥殿?」

元帥「いや、すまない。早くに私が、この状況を確認し、J少将を諭していればよかったのだ」

元帥「その判断を鈍らせたが故の私の失態……この汚名は雪がねばならん。艦娘との信頼関係を考え、この施設は早急に閉鎖しよう」

元帥「大将、各鎮守府の将官に情報を共有し、海軍内でこの組織に関与した人員の情報を集めてくれ」

大将「はっ!」
27 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 23:01:53.39 ID:rtPz59jJo

提督「さてと、俺たちもそろそろ帰るか……」

??「おい! 提督!!」

提督「ん? ……お前、まだいたのか」

??→士官「いたのか、じゃねえよ! ふざけんな! ったく、大事な仕事だと聞いて来たら、こんな場所に連れてきやがって……!」

武蔵改二「この士官とは知り合いか?」

提督「おう。この前勇退した中将の息子で、大佐って奴がいただろ?」

武蔵改二「中将の……もしかしてあの島の泊地棲姫との戦いで戦死したという、あの大佐か?」

提督「ああ、そいつだ。こいつは昔、その大佐の部下だったんだ」

提督「大佐がまだ中佐だったころだな。こいつともう二人連れて、うちの大和を奪いに来たことがあるんだよ」

武蔵改二「なに?」

提督「それ自体は大和に拒絶されて失敗したんだが、大佐はその失敗を八つ当たりでこいつらのせいにしやがってな」

提督「それで大佐んところから追い出されて、あちこち転々としてるって俺は聞いてるぜ」

武蔵改二「それは……災難だな」

士官「あー……まあ、な……」

提督「で、そのあとも、島絡みの事件が起きた時にこいつとは何度かやりとりしてて……まあ、腐れ縁っつうか、そこそこ見知った顔だな」

士官「そのせいで、こんな場所にくることになっちまって……絶対、これからも厄介ごとに巻き込まれそうな予感しかしねえぞ」ジロリ

提督「俺に言うなよ。お前が連れてこられたのは俺以外の誰かの判断だろ」
28 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 23:02:36.25 ID:rtPz59jJo

士官「そうであってもだよ! お前に文句のひとつでも言わねえと気が済まねえよ……ったく」

武蔵改二「なるほど。だが、この場で文句を言うのは、やめておいた方がいいな」チラッ

メディウムたち「「……」」ギロリ

士官「うお……!?」ゾワッ

武蔵改二「提督。彼女たちは、提督の言うことしか聞かないんだろう?」

提督「そうだな……よし、お前たちは下がってていいぞ? 隠れててくれ」

 ヒュッ(一瞬にしてメディウムたち全員が姿を消す)

武蔵改二「!?」

士官「え」

提督「あいつらは、人間とは口も利きたくないくらい人間嫌いなんだ。あいつらがいる時は下手なことは言わずに黙ってた方がいい」

士官「いや、ちょっと待て……どこに行ったんだ、今の女たちは」

提督「気にすんな。あいつら、平たく言えば暗殺者みたいなもんだからな。探りを入れるつもりなら俺も命の保証はできねえぞ」

士官「は? あんさ……は!?」

提督「ここに関する文句は、この施設の人間か、お前の上司に言ってくれ。それからこの施設、あの大佐もがっつり関係者なんだからな?」

士官「た、大佐が!?」
29 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 23:03:22.48 ID:rtPz59jJo

提督「大佐に関わって死んだ人間は少なくねえし、中将も俺も殺されかけてる」

提督「お前も一方的に縁を切られたとはいえ、少なからず大佐に関わったんだ。お前をここに引き寄せたのも、その悪縁のせいだろうさ」

士官「……」

提督「つうか、この程度で済んで良かったな。大佐の技術を引き継いだJ少将なんか、海軍の人間大勢巻き添えにして死んでるし」

士官「……確かにそう言われりゃあ、生きてるだけマシか……」ハァ

提督「そういえば、大和の時に一緒に来てた残りの二人はどうなったんだ?」

士官「一人は辞めたよ。もう一人は、そのJ少将の船に乗って行って……死にはしなかったが、相当怖い目に遭ったって聞いてる」

提督「へえ、怖い目か。痛い目じゃないだけ運がいいな」

士官「それで運がいい、かよ……ったく、なんでこんな目に遭うんだか。こんな悪縁、とっとと断ち切りてえ」

提督「そうなるといいがな。周りの連中は、まだお前のことを利用したがるだろうけど」

士官「丁重に辞退してやるよ。出世できねえかもしれねえが、これ以上お前とも関わりたくねえし」

提督(そういう奴ほど都合よく連れ回されそうなんだよなあ……)
30 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 23:04:06.39 ID:rtPz59jJo

 * その後 神殿の連絡通路 *

 スタスタ…

ディニエイル「魔神様、よろしかったのですか? あのように無礼な口を利く男を野放しにして」

提督「大丈夫だよ。あいつは俺たちに関わりたくねえって言ってんだ、放っときゃいいし、好き好んでこっちに絡んでくることもないだろう」

提督「むしろ、俺たちに関わると酷い目に遭うって話をあいつが広めてくれそうだし。むしろ広めてもらいてえな」

ヴァージニア「まったく……つくづく手緩いな。あのような無礼者こそ、見せしめにしてしまえば良いものを」

提督「あいつじゃ見せしめなんかにならねえよ。どうせ見せしめにするなら、もう少しやらかした奴を派手に始末しねえとインパクトに欠ける」

提督「あいつらから受け取ったこの封書の中に、あの施設の関係者の名簿がある。やるんだったら、そいつらをやった方がいい」

ヴァージニア「やれやれ。慎重というべきか回りくどいというべきか……」

提督「そこは臆病でいいぞ」

ヴァージニア「……」

シェリル「ちょっと魔神さん、ヴァージニアがすごい顔してるけど?」

提督「俺はこの手の嫌味には、一番相手が嫌がりそうな答えを返してやりたいタイプなんだ。性格悪くて悪いな」

シェリル「ああ……それはそれで『魔神様』らしいけどね」

ミュゼ「でもでもご主人様? 見逃すにしても、甘くしすぎたら人間に舐められてしまいます! 私でもそれはどうかと思いますよ?」

提督「今の時点でそこまで殺しまくるのはまだ早い。俺たちと海軍の付き合いはこれからだし、深海棲艦のこともあって海軍は慎重になってる」

提督「島の発展には、ある程度は人間の力も必要なんだ、少しは余裕を見せねえとな」
31 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 23:04:50.94 ID:rtPz59jJo

提督「勿論、人間どもが調子に乗るようなら、そのときは俺たちの恐ろしさを思い知らせてやるさ」

ミュゼ「んー……ご主人様は人間が委縮しないように気を使っておいでですか?」

提督「ある程度は自由にさせて泳がせる。ちょっとおだてていい気にさせてから、こっちの都合のいいように動いてもらう。それでいいだろ?」

ヴァージニア「ふん、最初からそう言えば良いものを。せいぜい、奴らが自ずと喜んで我らに奉仕するよう、上手く手懐けるがいい」

提督「ああ、わかってる」

ツバキ「……ところで、親分さん?」

提督「ん?」

ツバキ「その、お手にお持ちの、その鉄のかけらはどないしはったんどすか?」

提督「これか? 俺の島の近くの海に投げ入れてほしい、って頼まれてな」

ミュゼ「あー! もしかして、深海棲艦の装備のかけらですか!?」

アカネ「形が残ってるってことは、そのかけらはまだ生きてる、っていうか、魂が残ってる、って話なんだっけ??」

提督「ああ。どうせ死んで眠るんなら、外の海で、ってことらしい。鎮守府についたら、埠頭に持ってって海に投げ入れてやるつもりだ」

カトリーナ「そのかけらの持ち主って、どんな奴だったんだ?」

提督「重巡リ級なんだが……首だけの状態で無理矢理生かされてたんだよ」

シェリル「首だけ?」

提督「コードがあちこちにぶっ刺さってて、何を考えているか解析にかけられてたみたいだったんだ」
32 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 23:05:36.13 ID:rtPz59jJo

提督「声を掛けたら、かろうじて意思疎通できたんで、どうしたいって訊いたら、海に帰りたい、ってよ」

カトリーナ「そっか。どうせなら人間に復讐して欲しいって頼んでくれりゃ良かったんだけどなー」

ディニエイル「そうなれば、我々も遠慮なく人間どもを駆除できましたね」

提督「あの場じゃ、それはできねえっつってただろ。ここで約束破ると俺たちの未来が保証できねえってんだ」

ツバキ「……その深海棲艦にも、無理やと伝えたっちゅうことですか」

提督「いや、どっちかっつうとこいつは精神的に摩耗しててな。かたき討ちとか、そういう選択肢が頭になかったらしい」

提督「とにかく楽になりたい、解放されたいっつう意思のほうが強かった」

ディニエイル「安寧を求めていた、ということですか」

アカネ「その子もケージュンセーキ? みたいに復活するのかな?」

提督「それはわからねえな。そうならずにそのまま水の泡になって消える場合もあるっつうし」

提督「深海棲艦を倒すと艦娘になる可能性もあるから、艦娘になって戻って来るってのもあるかもしれねえ」

提督「ま、どっちにしても、海に行きたいって言うんだから、いまはそれを叶えてやるだけさ」

アカネ「マー君、やっさしい!」

提督「……魔神だからマー君か。お前も結構、個性的な呼び方するな」

アカネ「そっかなー? クレアよりは普通だと思うけど?」

提督「あいつの場合はまっさんだったな。あの呼び方は面食らったぜ」
33 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 23:06:21.86 ID:rtPz59jJo

カトリーナ「そういう愛称みたいな呼び方するのって、クレアとアカネだけじゃねえ?」

ミュゼ「そう言われてみれば、そうねえ? 深海棲艦たちもみんな提督、って呼ぶし……」

ウーナ「艦娘たちも、リーダーのこと、だいたい提督か、司令官って呼ぶ!」

ディニエイル「ふむ……艦娘や深海棲艦の前でその『マー君』なる呼び方をすると、あらぬ誤解を招くかもしれませんね」

シェリル「特別扱いって思われて嫉妬を生むかも、ってことか?」

ツバキ「かぁもしれまへんなあ。親分さんに対して、馴れ馴れしい言い方しよると、どうなるかわかりゃんせん」

アカネ「そーなの? アカネとマー君、まだそこまでの仲じゃないんだけどぉ〜」

ヴァージニア「まだ?」ギロリ

ミュゼ「ひいっ!?」ビクッ

アカネ「そーだよー。キャロラインなんか、マー君のこと『ダーリン』って呼んでるじゃない?」

アカネ「それに、ベリアナとかリサーナとかのほうが、アカネよりずーっとマー君にベタベタしてるよー?」

ツバキ「そいはまことどすか、親分さん」

提督「まあ、事実だな。あいつら、すぐに抱き着いてくるくらいには遠慮がねえ。そういう意味じゃ、キャロラインは聞き分けのいい方だ」

ヴァージニア「何をのんきな! 即刻辞めさせよ! 貴様はそれでも我等メディウムを率いる魔神か!」

提督「艦娘や深海棲艦に許してることを、メディウムにだけ禁じる理由がねえだろ」
34 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 23:07:20.91 ID:rtPz59jJo

ヴァージニア「ならば諸共に厳しくすればよいだけのこと! 貴様は魔神だぞ! 少しは自覚して威厳ある態度を身に着けよ!」

提督「面倒臭え」

ヴァージニア「」シロメ

ウーナ「ヴァージニア、足、止まったぞ……」タラリ

シェリル「魔神さん、そのレスポンスはちょっと強烈すぎないか……?」タラリ

ミュゼ「あれ? っていうことは、仮に誰かがこの場で抱き着いても、ご主人様は構わない感じですか?」

提督「ちょっとくらいならな。メディウムもそうだが、艦娘も深海棲艦も俺が作ったルールを守ってくれてんだ。別に厳しくしなくたっていいだろ」

ディニエイル「魔神様がそう仰るのであれば、我々は従うのみですが……」

カトリーナ「アニキのそういうとこ、アタシはいいと思うぜ!」

提督「ひとまず、今の時点で厳しくしなきゃいけねえのは、せいぜいケイティーくらいなもんだ」

ミュゼ「あー……」

ウーナ「ケイティー、まだ懲りてないか?」

ツバキ「そういうことなんでっしゃろなあ……」
35 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 23:08:06.14 ID:rtPz59jJo

 * 墓場島鎮守府 執務室 *

ニコ「ふーん。それでここに来る前に、わざわざ海に行ったんだね」

提督「深海棲艦の破片がどうなるかはわからねえが、もし何らかの姿になって戻って来て、俺たちに従うなら歓迎するさ」

提督「復讐したいなら、余所の深海棲艦を訪ねるように助言してやるしかねえ。今はその当てもねえから、自分で探してもらうことになっちまうが」

如月「それで、司令官? その組織はどうなるの?」

提督「ひとまず、情報は全部吸い上げた。海軍にもわたってるから、ごちゃごちゃやってからお取り潰しになるだろうな」

提督「貴重な研究施設ってこともあって、元帥も研究所の中を見るまでは何かしら残せないかと迷ってたみたいだが」

提督「実際に目にして、あれをそのままにしておく方が手に負えねえと判断したように見えたな」

提督「あん中じゃ深海棲艦もひでえことになってたが、艦娘も結構な数が標本になってた。深海棲艦は当然だが、艦娘にも見せられたもんじゃねえ」

如月「え? それじゃ、海軍の艦娘はその施設に入らなかったの?」

提督「ああ。入ったのは俺と海軍の人間だけだ。あんなとこ艦娘が入ったら、ショックで人間不信になっちまう」

提督「今後も海軍が艦娘と轡を並べて戦うつもりなら、あんなことやってる組織は責任持って潰すべきだって判断してんだろうな」

如月「そんなにひどいの……」

ニコ「ねえ魔神様、如月も似たような目に遭っていたんだよね?」

提督「……まあ、そうだな。時期と犯人が違うが、如月も逃げてこなかったら、最悪同じ目に遭ってたかもしれねえな……」
36 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 23:09:06.07 ID:rtPz59jJo

提督「実際に如月の同型艦や、この島にいる艦娘の同型艦もいたしよ」

如月「そうなの……」

提督「そう考えると、つくづく、如月も、榛名も那珂もよく助かったもんだ」

ニコ「相当にひどい現場だったんだね。急遽、みんなを呼び出したのも、そのせいなんだね?」

ディニエイル「はい。呼び出されて以降、私たちは魔神様に随伴いたしましたが、魔神様がお怒りになるには十分な場所だったかと」

ウーナ「リーダー、ずっと怒ってた! だからウーナ、リーダーと一緒にたくさん暴れた!」

シェリル「言っとくけど、気分悪かったのは魔神さんだけじゃないからね。私たちだって、あんなもの見せられたらむかつくよ?」

アカネ「そうそう! だからそこにいる人間もぶっ飛ばしたかったんだけど、マー君に止められちゃった!」

如月「……マー君?」

提督「魔神様だからマー君だと。クレアもまっさんって呼んでくるだろ」

如月「ふぅ〜ん……」キラリ

シェリル(なんだあの眼光……)

ディニエイル(あれはきっと魔神様の反応をうかがってますね……)

ニコ「人間を殺さなかったのは、なぜなの?」

提督「それはそういう約束だからな。ここでそれを破ったら、その後の交渉に支障が出る」

ニコ「……」
37 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 23:10:05.99 ID:rtPz59jJo

提督「お前たちにとってストレスなのはわかるが、ここは我慢してくれ。代わりに、こっちの領域に入った奴には容赦しなくていいからよ」

ニコ「わかってるよ。わかってるけど……魔神様が人間に下手に出ている姿を見るのは、どうしようもなく苦しいよ」

ヴァージニア「ああ、まったく……恥辱の極みだ」

如月「? ヴァージニアさん、なんだか元気がないみたいだけど?」

シェリル「それがさ、さっきヴァージニアが魔神さんに、威厳を持て! って言ったんだけど、面倒だって返されたんだよ」

ウーナ「ヴァージニア、びっくりして固まってた」

ニコ「……魔神様?」ジトッ

如月「もう、司令官ったら。みんな心配してくれてるのに、そんな態度じゃだめでしょ?」

提督「そうは言うが、威厳ってそこまで必要か?」

如月「え?」

提督「俺はお前たちには楽にしててほしいと思ってんだ。なのに俺が今以上に難しい顔して睨んでたら気が休まらねえだろ」

提督「悪いことをした奴には相応にお仕置きもするが、それ以外の時はゆるくて良くねえか?」

ニコ「うーん……」

提督「威厳なんてもんは、必要な時に出しゃあいいんだよ。どんな力も……武力も、迫力も、協力もそうだ。必要な時に引き出せればいい」

提督「そういうのをいざというときに引き出すために、訓練なり演習なりやってんだろ?」

ヴァージニア「……貴様は、我らメディウムを支配するあるじだぞ」

提督「あるじねえ。それなら俺はあるじの務めとして、この島の責任者として、お前たちが路頭に迷わないようにすむ道を選ぶだけだ」
38 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 23:11:05.72 ID:rtPz59jJo

提督「必要があれば、俺が矢面に立つつもりでいるしな。俺の選んだ道で、俺が先陣を切らないでどうするよ」

ヴァージニア「……それが戦場であっても、か。自ら戦旗を掲げて先陣を切るつもりか」

提督「俺が必要と感じれば、そうするだろうな」

提督「勿論、俺が手一杯のときにはお前たちに頼るし、俺にできないことや俺が出るまでもないって言うときなら任せるけどよ」

提督「生憎と、お前たちの後ろで待ってるのは性に合わねえし、主がそれじゃ示しがつかねえと思ってるんだが?」

ヴァージニア「……いや、良い。理解った」

ニコ「ヴァージニア?」

ヴァージニア「私は部屋に戻る」

 コツコツ…

ニコ「ヴァージニア、大丈夫かな……」

提督「あいつがああやって文句言ってきてんのは、俺があいつの理想の魔神様じゃないから、なんだろうなあ」

ニコ「そうかもしれないね。でも、魔神様はそれでいいんだよ。ヴァージニアの言う通り、きみはメディウムたちのあるじなんだから」

ニコ「メディウムのわがままを何でも聞いていたら駄目だよ。魔神様はメディウムに使われる存在になってはならないんだからね?」

提督「わかってるよ。それに、そもそも俺の性格なんて今更変えられねえし、変えたくもねえしな。こればっかりは慣れてくれと言うしかねえ」

如月「そうかしら? もう少し素直になってくれてもいいんじゃない?」
39 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 23:11:51.00 ID:rtPz59jJo

提督「素直なんて俺の柄じゃねえんで、恥ずかしいんだよ。ほかに誰もいないときなら、曝け出してもいいかもしれねえが……」アタマガリガリ

如月「あら。それもそうねえ……それじゃ、ふたりっきりのときにお願いしようかしら。うふふっ」

ニコ「……」ジトッ

提督「なんでニコが恨めしそうに見てんだよ。お前だって俺の部屋に泊まりに来てんじゃねえか」

ニコ「!?」セキメン

アカネ「あー、いーなー! わたしたち、まだそういうことないんだよねー」

ウーナ「リーダー! ウーナも、リーダーといっしょに星を見たいぞー!」

提督「星? なかなか風流な趣味してんな。いいぞ、そういうのなら付き合うぜ」

ウーナ「ほんとか!? ウーナ、楽しみ!!」ワオー!

ディニエイル「ちょっ! 松明を振り回……あつっ!!」

提督「おい、ウーナ落ち着け。とりあえずその火は仕舞うか、燃えないどこかに置いとけ」

ウーナ「ウ……リーダー、ごめん。ディニエイル、大丈夫か?」

提督「お前、炎には弱いからな。ほれ、火傷してないか診せてみろ」ズイ

ディニエイル「! だ、大丈夫で……その、あの、あまり近づかない方が……!」セキメン

アカネ「マー君、ほんと、誰にでも優しいよね〜」
40 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 23:13:05.99 ID:rtPz59jJo

如月「本当にね。司令官が厳しくなったら嫌がる子、大勢いるんじゃない?」

ニコ「キャロラインは確実だね。あとはソニアとかシエラとかイーファとか。ミーシャやフウリも、魔神様が厳しくなったら怖がりそうかな」

ツバキ「ヴィクトリカやエレノアみたいな酒飲み勢も悲しむんちゃいますか?」

シェリル「喜ぶメディウムのほうが圧倒的に少ないと思うよ?」

提督「そもそも、愛想良くするのが苦手だからなあ……これでも気ぃ使ってんだぞ?」

如月「わかってるわよ、司令官」ウフフッ

提督「でもまあ、あれだ。ヴァージニアの不満の中の、人間相手に下手に出てるって部分で言えば、ニコも同じく不満に感じてるんだよな?」

ニコ「当然だよ。ぼくに限らず、メディウムみんながそう思ってる」

如月「深海棲艦のみんなも、そう思ってるんじゃないかしら」

提督「だよな。ま、そうもなるか……」

ニコ「それからヴァージニアは、魔神様には後ろで構えてて欲しいんだと思うよ。ぼくも、魔神様が前に出て戦おうとするのはやめてほしいな」

提督「そうか? 俺も出ねえと、示しがつかねえと思ってんだけどなあ……危ない目に遭わせてるんだしよ」

ツバキ「あまり前に出るのは、危なっかしゅう思いますな。親分さんにわてらの仕事を見てていただく分にゃあ、不満はございやせんが」

ウーナ「ウーナ、リーダーが後ろで見てると思うと燃えるぞ!」

シェリル「私もどっちかって言えば見ててもらった方が張り切るかな。私のライブは特等席で見ててもらいたいと思うしね」
41 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 23:13:50.84 ID:rtPz59jJo

提督「お前たちも俺に下がってろって感じか」

カトリーナ「アタシたちは、アニキの号令で戦うのがいいんだよ。アタシだって、アニキの後ろで戦うなんて性に合わないからなあ」

提督「そうか……」

如月「ねえ、司令官? 今までだって、ここで私たちの帰りを待ってたじゃない」

提督「そりゃ、俺自身が戦えなかったからな。今は……」

如月「半分深海棲艦だったとしても、一緒に出撃して島を留守にするわけにもいかないんだし。司令官はそれでいいのよ」

提督「……しょうがねえな、そういうことにしとくか」

ニコ「不満そうだね?」

提督「俺が助けてもらってばっかりだからな。」

アカネ「そんなことないと思うけどなー」

如月「司令官は、人を相手に矢面に立ってくれているわ。私たちを支えてくれるあなたがいるから、私たちが頑張れるんだもの」

カトリーナ「いいこと言うなあ! そうそう、力仕事はアタシに任せてくれよ!」

 神殿の扉<コンコンコン

ニコ「!」

ミリーエル「魔神様、ニコさん、ご報告がございます」チャッ
42 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/10(日) 23:15:20.92 ID:rtPz59jJo
というわけで今回はここまで。

前スレの最終書き込みが去年の9月か…
だいぶお待たせして申し訳ありませんでした。
もうしばらく続きます。
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/05/17(日) 20:29:43.04 ID:qKX+ZccI0
待ってました。この後どうなるのか、楽しみです。
体調に気をつけてください。
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/05/29(金) 12:27:38.43 ID:Q9IVseEN0
ずっと待ってましたこの後がどうなるのかも楽しみです。
完結までいくらでも待ちます。
45 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:37:59.97 ID:Tmcr022Ro
それでは続きです。
46 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:38:45.13 ID:Tmcr022Ro

 * 呉 祢大将鎮守府 *

H大将「そうか。では、あの組織が持つ全データの開示が行われるわけだな」

通信(大将)『ああ。提督が虱潰しに施設内の隠し扉を看破していって、その都度その場所のデータを見せるよう指示していたからな』

通信『同行させた士官にも、見た内容は逐一記録させている。受け渡し対象のデータの中身は、それなりに信頼できるものになるだろう』

祢大将「改竄の恐れはないのか?」

通信『提督がそうならないよう脅していた。人の考えを読み当てたり、襲い掛かってきた艦娘をわけのわからん力で制圧したり……』

通信『深海棲艦を弾丸に作り替える大掛かりな装置も、よくわからん謎の力で提督が破壊していた』

通信『俺も見ていたが、あんなものを見せつけられては、研究員たちも従わざるを得んだろうな』

H大将「……そうであってほしいが。あいつら、提督に興味を持ったりしないだろうな?」

通信『なに?』

H大将「深海棲艦を研究対象として見ている連中だ。わけのわからん力を使う提督のことも、同じように研究材料に見ていないか、危惧しただけだ」

祢大将「それは確かにあるかもわからないな。恐怖より興味が勝れば、そうもなり得る」

祢大将「提督自身が既に察知しているかもしれないが、我々からも一言伝えておくべきではないかね?」

通信『そうだな。それは甥っ子君……X大佐から伝えてもらうとするか』

通信『それから、組織の全データに先んじて、その組織に出入りしていた人間のリストを手に入れている』
47 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:39:29.74 ID:Tmcr022Ro

通信『さっき保存場所のアドレスを送ったが、届いてるか?』

H大将「ん、これだな。今開く」

 カチカチ…

祢大将「……これは」

H大将「……」

通信『どうだ、錚々たる顔ぶれだろう。提督の父親が霞んで見えるぞ』

H大将「政治家連中も絡んでいるとは予想していたが……それ以上だな。どこかで見たような名前がズラリだ」

祢大将「元官僚に財閥の会長、外資系企業の幹部、こっちは指定暴力団員だな……これは誰だ? 芸能人……いや、テレビ局の重役か?」

H大将「国外の人間も多数いるな……考えようによっては厄介だぞ? 大将、このリストは提督も入手しているのか?」

通信『ああ、それを印刷したものを持って行った。ただ、提督がここに載っている人間をどのくらい知っているかはわからんぞ?』

祢大将「彼の言葉を信じるなら、知らない方が多いだろうな。父親の動向もそうだが、島の外で起きていることには疎いと話していたこともある」

H大将「提督がこのリストを見て、何か行動を起こしそうな気配はあったか?」

通信『それはわからん。ただ、何かあったなら与中将か甥っ子君に話が行くんじゃないか? H大将も連絡するよう提督に言ったんだろう?』

H大将「確かに言ったが、最悪のケースも想定しておくに越したことはない」

祢大将「私は、提督は自制のきくタイプだと思っているがね。逆にこのリストに名を連ねた人間たちのほうが、彼より先に何かやらかさないかが心配だが?」
48 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:40:14.57 ID:Tmcr022Ro

H大将「……此度の元帥閣下の判断は間違っていないと思うが、確かにこのリストの人間たちがそれをどう思うかまでは、如何ともしがたい」

H大将「仮に財閥やメディアの人間がこの決定を不服に思って我々を敵視してきた場合、どんな嫌がらせをしてくるかわからんな」

祢大将「……」

H大将「とはいえ、今は特に時期が悪い。ただでさえ研究所の話が明るみになって海軍全体が動揺している時だ、艦娘の間でも動揺が広がるだろう」

H大将「その状態で下手な噂をたてられても困る。提督には悪いが、このリストの人間のヘイトは提督に向けさせておきたい」

通信『むう……それもやむなしか』

祢大将「……大丈夫なのかね」

H大将「俺たちが、艦娘を安心させたいため、と言えば、あいつも仕方ないと言うに違いない」

H大将「あいつは今の状況を使って、俺たちを利用しているんだ。俺たちだって少しぐらいは利用し返してもいいだろう」

H大将「それに……あいつにとっては、これも撒き餌のうちなんじゃないかと、俺は思っている」

祢大将「撒き餌?」

H大将「あいつの部下だというメディウム……艦娘ならぬ罠娘たちの餌が、悪人たちの魂、だと言っていた」

H大将「艦娘や深海棲艦を実験に使う人間も、自分のテリトリーに誘い込んでしまえば、誰にも咎められず殺すことができるからな」

祢大将「攻め込まれる可能性があるのも織り込み済み、ということか」

H大将「おそらくな」
49 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:40:59.23 ID:Tmcr022Ro

通信『俺は、あの島が攻め込まれること自体ないんじゃないかと思っているぞ』

通信『罠娘以前に、あの島には深海棲艦が住んでいるんだ。それも姫級や鬼級といった強力な深海棲艦たちが複数いる』

通信『攻めるにしても艦娘以外にまともな攻撃手段がないし、仮に艦娘を連れて行こうとしても、船を出すにしても、それは我々が許可しない』

通信『あの島に攻め込む手段そのものが、どこにもないわけだ。曽大佐のような男がいれば話も変わってくるが、そんな無謀な者も現れまい』

H大将「海軍に属さない所属不明の艦娘がいれば話も変わって来るが、今のところは幸いにしてそういう話もないな?」

通信『ないな。施設に連れ去られた艦娘は練度が低い者たちばかり。組織が実験に使った以外に、どこかで育てているという情報もなかったぞ』

祢大将「ふむ……ときにH大将、悪いがさっきのリストの続きを見せてくれないか」

H大将「ん? ああ、わかった」

祢大将「……海軍の人間も、だいぶ関わっているようだな」

H大将「……」

通信『不幸中の幸いは、関わっていた者の多くが佐官以下だったことだな』

通信『提督が、トップはJ少将だと言っていたが、まさしくその通りだったようだ』

祢大将「海軍としてのトップはJ少将なのかもしれないが……ここにこの外部の人間が加わると、それもわからなくなるな」

祢大将「いずれにせよ、今後もこの研究を行おうとする輩が現れないとは限らない。研究成果が有用であることは事実だからな」

通信『もしかしたら、純粋に、艦娘を支援したい協力者もその中に含まれているかもしれんな?』

H大将「J少将が言いくるめて引率していれば、その可能性もあるか」
50 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:41:44.35 ID:Tmcr022Ro

 扉<コンコンコン

秘書「祢大将、佐世保の宇大将がお見えです」

祢大将「ああ、入ってくれ」

 扉<チャッ

宇大将「邪魔するぞ。ちょうど、研究所の情報が回ってきたようだが、お前たちも見ているか?」

祢大将「ああ。君にも大将からのメールは回ってきただろう?」

通信『回しているぞ。宇大将も見てくれたか?』

宇大将「いや、スマホでは画面が小さすぎるんで、まだ目を通していない」

宇大将「どうせここに来るのだしその時でいいだろうと思っていた。それで、この画面のリストはなんだ?」

H大将「くだんの組織に出入りしていた人間のリストだ」

宇大将「ふん……うちの部下も絡んでいるのか。一体どこから指示があったのやら」

H大将「外部からの指示だと思っているのか?」

宇大将「以前から海外のスパイの活動が活発化していただろう。俺は最初からそちら絡みだと考えていた」

宇大将「そもそも、艦娘の横流しなんぞ、そうそうできてたまるか。佐官以上の手引きがあったとしても、おいそれとできることじゃない」

宇大将「艦娘を人知れず連れ去ることができるとなれば、でかい組織が裏にあると思うのが自然だ」

宇大将「我々が気付けなかったのは、そのスパイたちが海軍の深部にまで浸透しすぎていたから……それも言い訳にしかならんな」

H大将「……」
51 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:42:29.47 ID:Tmcr022Ro

祢大将「ひとまず艦娘には、提督が艦娘の保護を第一に考えていることを話しておいてくれ。彼に弓引くことはあってはならない」

宇大将「……それなんだが、大丈夫なんだろうな?」

祢大将「何がだね?」

宇大将「提督は『艦娘の保護』をしているという話だったが、艦娘の中にも怠け者がいないわけではない」

宇大将「提督の話をすることで、海軍での扱いを不服に思っている艦娘が、そいつのもとに逃げ込むようなことがないだろうな?」

祢大将「そんなことが……宇大将は、それがあり得ると考えられるのかね?」

宇大将「初雪のような出不精もいる。お前のところにもいるだろう?」

祢大将「ふむ……」

通信『心配事があるなら、提督と話ができるよう甥っ子君……X大佐に話をつけてもらうが、どうする?』

宇大将「できればそうしてもらおうか。彼に出した質問状の回答も一通り見たが、ほかにも聞きたいことがある」

宇大将「それになにより島の状況も見ておきたい。危険だとは聞いているが、やはり現場と現実を確認したいからな。調整してもらえるか?」

通信『わかった。X大佐に依頼しよう』

祢大将「では、そちらはX大佐に任せるとして……海軍内で組織に関与していた者たちをどうするか、だな」

宇大将「まずは急ぎ艦娘の指揮権を取り上げるしかあるまい。組織から艦娘との関わりを切り離すのが先だ。それから……」
52 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:43:14.60 ID:Tmcr022Ro

 * 数日後 *

 * 墓場島沖 海軍巡視船内 会議室 *

金剛「ふへへ、テートク〜……」ダキツキスリスリ

提督「……なあ、金剛?」ダキツカレ

金剛「なんデスカ?」ニッコニコー

提督「さすがに示しがつかねえから、抱き着くのそろそろやめねえか」

長門「……」

潮「……」

礼提督「……えーと……」アハハ…

五月雨「まあ……その……」

X大佐「……さすがにね?」コホン

祥鳳「離れた方が良いと思います、はい」

金剛「しょうがないデスネ……Hey, Xテートク? いい加減、代わりになる司令官はいらっしゃらないんデスカー?」ジトォ…

X大佐「申し訳ない。方々に問い合わせているのだけれど、まだ任せられる人が見つかっていないんだ」

金剛「……こっちは、しょうがない、で片付けたくないデスネー……」ガックリ

提督「いくら金剛しか頼りにならないとはいえ、当人がこのナーバスっぷりじゃ、そろそろまずくねえか?」

提督「Q中将の奥さんだって単純に巻き込まれた民間人だろ、とっとと開放してやれよ」
53 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:43:59.20 ID:Tmcr022Ro

X大佐「僕もそうしたいよ。だけど、主要な提督候補や職員があちこちに引き抜かれて、まともな運営ができる人が誰もいない状態だ」

提督「だからQ中将の奥さんを鎮守府に縛りつけて金剛巻き添えにして運営していいのかよ。そんな鎮守府閉鎖してもいいんじゃねえの?」

提督「つうか、Q中将が亡くなってから何年経つと思ってんだ。それまで指揮執ってた奴がいるんだろ? そいつを呼び戻せよ」

X大佐「その人も今はほかの鎮守府で指揮を執っている。呼び戻せる状況にないから困っているんだ」

金剛「入れ替わりで新しく着任した人が、問題起こしたんデス。だから、私やQ中将の奥様に白羽の矢が立ったんデスヨー」

X大佐「とにかく、いまは引き継げる人材がいないんだ。今日ここに金剛を連れてきたのも、息抜きの意味合いが強い」

提督「ってことはまた戻らねえといけねえのか。勘弁してやれよ、比叡も金剛いなくて寂しがってんだぞ」

金剛「テートクも寂しいデスヨネ?」

提督「あ、そうだ、長門、お前ぬいぐるみ作れねえか? 金剛のぬいぐるみ作って比叡に預けてもらえねえかな」

金剛「テートク? 無視しないでくだサーイ」

長門「いや、それで済むならそうしたいが……」

金剛「私の話聞いてマスカー!?」

提督「なんか含みのある言い方してんな。なんかあったのか」

金剛「……」ガシッ

X大佐(無言で抱き着いてる……)
54 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:44:44.57 ID:Tmcr022Ro

長門「単純に、効果があるのかが疑問だ。逆に寂しさを募らせたりしないか、とも考えている」

提督「そうか?」

祥鳳(提督さんも長門さんも、全然金剛さんを気にしてませんね……)

礼提督「えーっと……あの、私の幼いころの話といいますか、体験談で恐縮なんですが」

礼提督「昔、私の両親が揃ってお仕事で忙しい時期があったときに、私がぬいぐるみを抱いて寝てた時期があったんです」

礼提督「それがなかなか慣れなくて、私が寝ながら泣いていた時期があったんですよ」

提督「それで逆効果かも、って話か?」

長門「ああ。ちょうどそれと似たような話が、彼女の父親である憲兵隊長の部下のところでも起きている」

長門「海軍も人手不足だが、陸も事情は同じらしい。その憲兵は、娘が起きている間に会うこともできず、どうしようかと悩んでいるそうだ」

長門「その時に私も、提督と同じように寂しさを紛らわせるためのもの……人形やぬいぐるみを与えることを提案したんだ」

礼提督「父にも相談したんですが、昔の私のことを持ち出されまして、」

提督「んー……独り立ちするいい機会だと思うしかねえんじゃねえか?」

長門「その子は未就学児なんだ。まだまだ寂しい時期だと思うぞ」

提督「ふーん。ま、どっちにしても、代わりになるような誰かはいねえんだろ? どっちかの親がどうにかするしかねえ」

礼提督「それで私のところに内緒で相談が来たんです。誰か手の空いてて信頼できる艦娘を、その子の寝かしつけ役にできないか、と」

提督「なんだそりゃ。艦娘をプライベートなことにレンタルさせろってことか」
55 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:45:29.35 ID:Tmcr022Ro

礼提督「さすがにお断りしました。もしその艦娘がその子に怪我をさせたりしたら責任を負えませんし、艦娘がそもそも機密情報の塊です」

礼提督「情報公開が許されたとはいえ、そのレベルの接触はできないと、父にもそう報告しましたし、それでいいと言っていました」

礼提督「それと、差し出がましいとは思いますが、その人のお休みを増やす方法を考えてほしいとも、私から父にお願いしました」

提督「マジで人手不足なんだな。つうか、そっちの鎮守府で子守できる艦娘なんているのか?」

五月雨「お願いされたのは長門さんです」

提督「長門?」

長門「ああ。そういう自覚はないのだが、私は無意識のうちに駆逐艦たちを甘やかしているらしい。それを見た憲兵の一人が私を頼りたいと」

長門「ここしばらく、駆逐艦たちの育成のために私が留守を預かっていたんだが、それが手が空いているように見えたらしい」

五月雨「前も言ったと思うんですが、長門さんって他の鎮守府にいる長門さんと比べると、すごく穏やかというか、雰囲気が全然違うんですよね」

五月雨「そのせいか、余所の鎮守府の提督さんから、長門さんをトレードしたいって申し出も、それなりの頻度で来るんですよ」

提督「その話はX大佐から聞いてる。それで長門と潮は、礼提督のところに転籍させず、うちの所属のままにした、って話だったな」

五月雨「はい。そのおかげで断り続けることもできているのですが、このままではいろいろ良くないと思いまして」

五月雨「長門さんと潮ちゃんは、この島に戻っていただいた方が良いんじゃないか、って話を、礼提督としていたんです」

五月雨「おふたりに来ていただいたのも、その話を提督と共有したいと考えたからです」

提督「戻って来る分には構わないが、礼提督の自前の艦隊は大丈夫なのか?」

礼提督「そこは、まだまだこれからだと思っています。長門さんや五月雨さんのご指導もあって、これまで大きな損害もなく進軍できていましたが」

礼提督「それだけに、ちょっと頼りすぎかな、と思うところはありますね」
56 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:46:14.59 ID:Tmcr022Ro

五月雨「若葉ちゃんからも、長門さんが礼提督や駆逐艦に対して過保護すぎると言われてるんですよ」

提督「ふーん。若葉の見立てなら、まあそういうことなんだろうな。で、長門も過保護の自覚がある、と」

長門「若葉にそう言われてから、だな。とくに潮を甘やかしすぎだと、苦言を呈されている」

潮「そ、そんなことありませんよ!?」

長門「潮はそう言うが、私もそれなりに思い当たることがある。眠れないからと枕を抱えて私の部屋に何度か来ているだろう?」

潮「あう……」セキメン

提督「そういう若葉は大丈夫なのか? 龍驤や雲龍も」

長門「若葉は特に変わっていないな。相変わらず頼もしいが、自分に負荷をかけまくっているところが問題なのも変わっていない」

提督「注意できる奴はいねえのかよ」

長門「それは私からも伝えているが、その若葉が度を越えて張り切る姿に触発されてやる気を出す者もいるから、あまり強く言うのも考えものでな」

五月雨「なので、私からも、くれぐれもやりすぎないようにと声をかけています」

長門「それから、雲龍と龍驤は、礼提督のもとではくっつきすぎないように自重しているな」

長門「雲龍が気を使って半歩下がるようになったせいか、距離というか壁ができたように思えて寂しく感じるようになったと、龍驤が言っていた」

提督「だとすると、雲龍や龍驤もこっちに戻りたいって感じか?」

長門「いや、二人は礼提督のもとで頑張りたいと言っている。ここに戻りたい、とまではなっていないな」

長門「これまでの距離感が近すぎたんだろう、という反省も感じているようだし、ふたりきりのときは話が別だ。だから心配ないはずだ」
57 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:46:59.21 ID:Tmcr022Ro

長門「ただ……あの二人も気付いているのだろうが、やはり男性からの視線は気になるな」

長門「好奇の目で見られているというか……お互いの体形が違うのを比較して揶揄するような、聊か面白く思えない話も私の耳に入って来ている」

長門「そういう意味では私や潮もそうなのだが、やはり気分のいいものではないな」

提督「やれやれ……やっぱりそうなるか」

長門「それから、ここだけの話……礼提督もやはり若いだけに周囲に軽んじられているところがある」

礼提督「……!」

長門「父親が憲兵隊長であるおかげで大っぴらにはされていないが……」

提督「そりゃあ、いい歳した海軍の人間は面白くねえだろな、軍隊の経験もない年下の人間が自分たち飛び越して上に就くんだぜ?」

提督「仮に実力があっても、やっかみはあって当然だろ。実績もなけりゃ見た目も普通、憲兵隊長の身内ってだけの小娘、舐められて当然だ」

礼提督「……っ!」

長門「提督のストレートな物言いも相変わらずだな。少しは言葉を選べ」

提督「へいへい。言い方変えたって事実は変わりゃしねえけどな」

潮「で、でも、提督も、そういう経験をしてますよね? 嫌じゃないですか?」

提督「俺はそういうのには慣れきってるからなぁ。この手の話で助言するにしても、せいぜい、聞き流せ、図太くなれ、くらいしか言えねえぞ?」

提督「それに、俺は礼提督みたいに海軍に入るために特段努力してきたわけじゃねえ。手前の食い扶持のために海軍に入ったようなもんだ」

提督「大学も出てねえし、俺がスカウトされた時期は学力は二の次にして艦娘とコミュニケーションがとれるかどうかが重視されてた」
58 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:47:44.43 ID:Tmcr022Ro

提督「つうか、はっきり言って妖精と話せるっつう特技だけで海軍に入れられたようなもんだぞ? 俺の素の能力なんて礼提督よりずーっと下だ」

金剛「テートクはいつも、そうやって自分を必要以上に卑下してマスよネ?」ギュー

長門「自分の能力を隠したがっているように見えるな。そんなに目立ちたくないのか」

五月雨「いつも面倒に巻き込まれるのを嫌がってますよね?」

X大佐「みんな君のことはよくわかってるみたいだね」フフッ

提督「なんでだよ、学力に関しちゃ事実だろ? なんでそんなに持ち上げられてんだ俺」

五月雨「私、提督がお勉強ができないとは思っていませんよ? だって私たちの話をちゃんと聞いて、解決策を導き出してくださってましたし」

提督「悪知恵が働くってだけだろ?」

潮「あ、あの、提督は、提督が思っているほど、その……ひどい人じゃありませんから!」

提督「潮も無理に俺のフォローなんか入れなくていいぞ?」

金剛「ダーカーラー、テートクはそういう Self-denial 発言を控えてくだサイ! テートクは悪い人じゃありまセン!」プンスカ

提督「いや悪いだろ。これまでの話も、もとは俺が甘やかしたのが原因で悪化してんじゃねえか」

提督「リハビリって名目で潮と長門がくっつくのを俺は咎めるどころか黙認してきたし、雲龍と龍驤の関係にも良かれと思って口を出さなかった」

提督「それが今になって艦隊運営の障害になってる。これは俺の甘やかしが原因だろ」

金剛「hmm... そうは言いますケドぉ……」
59 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:48:29.52 ID:Tmcr022Ro

X大佐「難しいところだね。あの島の鎮守府の場合、そもそも轟沈経験艦も運用できる環境だった」

X大佐「特定の艦娘に厳しく接することができない条件があったとも言えるなら、結果論だとしても、それは適切な措置であったとも判断できる」

提督「そういうもんか?」

X大佐「そもそも、艦娘の指揮については、各鎮守府がやりやすいように運営してくれれば良いというのが本営の指針だ」

X大佐「提督が艦娘と良い仲になるケースもよく見受けられて、それによって戦果が上がることも少なくない」

X大佐「勿論、逆に下がる場合もあるし、そういう空気を憂いた本営や上官からの指示や叱責で鎮守府が正常に機能しなくなったこともある」

X大佐「だから、余程の過ちを起こさない限りは黙認し、各鎮守府の司令官に一任するようにしている、というのが現状だね」

X大佐「代わりに、特別警察隊や憲兵隊が各々取り締まっているけれど、彼らはあくまで法が遵守されない場合や国民に被害が及ぶ場合の抑止力」

X大佐「基本、各鎮守府の司令官の方針に口出しはできない。司令官が法を犯さない限りは、海軍の活動を阻害してはいけない立場にある」

五月雨「憲兵隊長さん……礼提督のお父さんも、艦隊を動かす決定権は礼提督にある、って仰ってましたね」

五月雨「アドバイスはできるが、それが正しいかは礼提督が判断し、決定しなければならない。責任の所在を見誤ってはいけない、って」

X大佐「民間出身者も多いからこその規則なんだけど、曽大佐のような強硬派が出てきたりもする。本当に難しいところなんだ」

提督「……仕方ねえ、ってか」

X大佐「今の時代の『提督』が特殊なんだ。その特殊な地位に民間人に就いてもらって、運営を協力してもらっている鎮守府がとても多い」

X大佐「深海棲艦が出現したばかりの当時、彼らによってあらゆるシーレーンが封鎖され、排除するためにたくさんの自衛官が負傷し、犠牲になった」
60 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:49:14.43 ID:Tmcr022Ro

X大佐「それ以前から自衛官不足は課題だ。戦力という意味では、艦娘がその役割を担い、徐々にその練度も上がってきているが……」

X大佐「戦力が充実する一方で、それを統率する『提督』の数は全然足りていない。十二分に戦力を活用できていない……頭の痛い問題だよ」

提督「その辺になると、俺が口を出していい問題じゃねえかもしれねえが……」

提督「それでもとにかく金剛のところはなんとかしろ。望まない人間にいつまでも艦娘の命を背負わせてんじゃねえよ」

金剛「テートク……!」ヒシッ

X大佐「そうだね……そこは、なんとかしたいところだ」ウーン

提督「それから、金剛はそろそろ離れてくれ。長時間拘束されてんのはつらい」

金剛「うぐぅ…… I see ...」ションボリ

潮(金剛型拘束戦艦……)クスッ

長門「?」

提督「で? 長門と潮は戻って来るっつう話だが、いつ戻ってきて、今後どうなるんだ」

X大佐「ふたりには、今日にも島に戻ってもらうよ。礼提督の鎮守府の状況を確認しつつ、問題が発生しなければそのままでいてもらうつもりだ」

提督「急だな!?」

X大佐「不意打ちのタイミングで引き渡さないと、外野がいろいろうるさくてね……」

提督「妨害されかねない程度に面倒臭えってか。まあ、いいけどよ……」

X大佐「勿論、礼提督鎮守府の運営に支障が出た場合は戻ってもらうつもりだ。そういう意味では、お試し期間的な意味もあるね」
61 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:49:59.32 ID:Tmcr022Ro

提督「……発生した問題の内容によっては、長門たちを向かわせるより俺が行ったほうがいいかもしれねえか?」

五月雨「えっ!? 提督が来てくださるんですか!?」

提督「あんまり首突っ込みたくねえけど、五月雨や若葉が困ってるってんなら、俺が出るのもやぶさかじゃねえ」

長門「……あまり無茶はしてくれるなよ?」

提督「そこは礼提督んとこの人間どもの態度次第だ。せいぜい俺が暴れないことを祈っとけ」

五月雨「礼提督、明日から長門さん不在の分だけ、ちょっとでも艦娘のみんなに強く出ましょう! せめて若葉ちゃんみたいに!」

礼提督「ほえぇ!? よ、よくわからないけど……う、うん、が、頑張ってみる!」

長門「……不安だ」アタマオサエ

提督「礼提督の地力が見られるいい機会だと思えよ。いずれは一人前になってもらわなきゃ困るんだからな」

長門「そ、そうだな。やはり私は過保護が過ぎるか……」

X大佐「さて提督。君にはほかにも伝えたいことがあるんだけど」

提督「なんだ?」

X大佐「大将たちが、今の島の現状を一目見たいそうだ」

提督「うーわ来やがった。面倒臭え」

X大佐「おそらく再来週以降になると思うけど、現状確認ということで島に……」

提督「断る。お前らが現場主義なのは理解はするが、一度そういう前例許しちまうと、また次も次も、ってなるのが見えてる」
62 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:50:44.69 ID:Tmcr022Ro

提督「上陸に関しては例外は作りたくねえ。今後上陸できるのは、窓口になってもらってるあんたと与中将くらいに限定しておきたい」

X大佐「大将の上陸は望ましくないと?」

提督「先に条件として示した通り、上陸できる人間はうちの鎮守府に所属していた艦娘を連れている者だけにしたい。大将も例外にはしたくねえ」

提督「あんたに暁たちを頼んだのも、その縛りを作って守らせたい意図があったからだ。H大将はともかく、ほかの大将たちはそうじゃねえだろ」

提督「そのH大将も、俺たちに好意的ってわけでもねえからな。そういう意味では交渉役に適してはいるが、島への上陸の許可はなあ……」

祥鳳「それでは、私が向かうのではいかがでしょうか」

X大佐「祥鳳?」

祥鳳「最近はリモートでの会議も増えています。大将の皆さんには、沖合の船の中で待機していただいて」

祥鳳「私がカメラを持って、テレビ会議で島の中をリアルタイムでリポートする、という方法もとれるかと思います」

X大佐「……」

提督「……」

祥鳳「提督、いかがでしょう」

提督「……まあ、悪くねえかな?」

X大佐「!」

提督「俺が危惧しているのは、人間が入ってきて深海棲艦やメディウムがおとなしくしてくれるか、って点と」

提督「大勢押しかけた人間がこっちの指示も聞かず勝手に行動しないか、って点だ」
63 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:51:31.03 ID:Tmcr022Ro

提督「艦娘が一人代表として来て島の中をリポートするなら、こっちとしても御しやすいし、メディウムが危害を加える恐れも減る」

提督「深海棲艦たちがどう思うか、って課題は残るが、そこも俺が事前に話しておけば何とかなるか。必要があれば退避もさせられる」

祥鳳「それでは……!」

提督「祥鳳がカメラを持つって言ってたが、その役割は以前うちにいた青葉にやらせたほうがいいな。画面に映ってた方がX大佐も安心できるだろ」

X大佐「……!」

提督「それから、撮影時には暁か川内のどちらかを一緒に連れてきてくれ。一応は祥鳳のボディガード役だ」

提督「その二人のどちらか、もしくは両方と祥鳳を、青葉が撮影しつつ俺たちが案内する。それが一番いいと思うが、どうだ?」

X大佐「そうだね……うん、そのほうがいいな」

提督「よし。んじゃあ、青葉と暁たちには事前に一度島に入ってもらうか。島の中が新しくなってからの施設をちゃんと見たことがないはずだ」

提督「都合が合うなら、与中将のところに行った武蔵と那智も呼んで……せっかくだし、祥鳳も一緒に事前の説明会をした方がいいよな?」

長門「是非そうしてくれ。私も島が新しくなってから一度訪れているが、目新しく感じる部分も多い。初見では、どこを見ていいかわからなくなるはずだ」

提督「大将たちの説明はそのあとだな。あとは青葉の都合がわからねえ。与中将にも連絡して段取りしてくれ」

X大佐「了解だ。祥鳳、悪いけどこの件は君にお願いするよ」

祥鳳「はいっ!」

提督「そうなると、沖合にまた海軍の船が停泊するわけだな。護衛つけておかねえと……」
64 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:52:14.80 ID:Tmcr022Ro

X大佐「それから最後にもうひとつ」

提督「ん?」

X大佐「報道関係のメディアも君に取材を申し込みたいそうだ」

提督「……」ウヘェ

五月雨「提督、あからさまに顔に出すぎですよ?」メッ!

X大佐「勿論、嫌なら断るよ。ただ、彼らの書く記事が、あまり放っておいていいと思えなくてね……」ゴソゴソ パサ…

提督「ああ? 週刊誌か?」

週刊誌『特集! 日本政府が深海棲艦と急接近 裏で手を引いていたのは逮捕された野党議員の息子たち!?』

提督「……なんだこの見出し」イラッ

X大佐「この週刊誌には、君があの議員の息子であることや、離縁のため分籍したことも書いてある」

礼提督「えっ、議員さんの息子さんなんですか!?」

提督「あっちの都合で縁切り済みだけどな。つうかよりによって表紙に『息子たち』かよ。あれと一括りにすんじゃねえよ、くそが」

提督「そもそも奴とはもう親子でもなんでもねえってのによ……!」チッ

礼提督「うーん、でも、単純に戸籍の話で言うと、分籍したとしても親子関係自体は法律上変わらないですよ?」

提督「そうなのか? いっそ死亡届でも出しといたほうが、縁切るためには良かったか」

X大佐「それだと君の給料の振込先がなくなるよ。海軍は君をタダ働きさせたいわけじゃないし、そもそも君を死人扱いしたくない」

提督「生きてる人間死んだ扱いにして給料出さなかったら海軍の問題になるってか。まあ、それはいいとして……」
65 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:52:59.30 ID:Tmcr022Ro

提督「こいつを書いた連中が、俺から直で話を聞きたいとかほざいてんのか」

X大佐「そういうことだね。これについても断ってもいいし、やるにしても大将たちの調査日とは別途予定するよ」

提督「……まあ、来てもいいが……くだらねえこと訊いてくるようなら、命の保証はできねえぞ」

礼提督「ふえっ!?」ギョッ

金剛「テ、テートク!?」アセアセ

提督「俺たちは、信用できない人間は容赦なく排除する。それがたとえ善良な一般人と言われててもだ」

提督「こっちは深海棲艦引き連れているんだ。普通に無礼を働いて顔を潰されて、無事に帰れると思ってもらっちゃ困る」

X大佐「……わかった。先方には、君の言葉をそのまま伝えることにするよ?」

提督「ああ、ついでに、俺たちに関して根も葉もない作り話を流布するようなら容赦なく潰す、とも伝えてくれよ」

礼提督「!?」アングリ

X大佐「……本気かい?」

提督「あんまり舐めたこと書かれて黙っていられるほど俺も寛大じゃねえし、そもそも深海棲艦がおとなしくしてくれると思うか?」

X大佐「……」

提督「書かれた記事の中身によっては、深海棲艦たちが怒り出すかもしれねえし、俺だって不愉快に思うかもしれねえ」

提督「仮に深海棲艦たちが怒りに任せて襲撃を計画したとして、俺がそれを制止しないで見過ごすことだって、決してないとは言えねえぞ?」
66 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:53:44.30 ID:Tmcr022Ro

提督「ついでに言えば、メディウムたちの十八番(おはこ)は暗殺だ」

礼提督「あん……っ!?」

提督「怒り心頭のあいつらがまとめてそっちに向かったらどうなるか……考えるまでもねえだろ」

X大佐「……深海棲艦たちの機嫌を損ねないよう気をつけろ、と伝えた方が良さそうだね」フゥ…

礼提督「さ、五月雨さん……私、もしかして、とんでもない人と話してますか?」ガタガタ

五月雨「そんなに怯えなくても大丈夫ですよ! 礼提督は、提督に危害を加えてるわけじゃないんですから!」

提督「そういうことだ。あんたは俺たちに対して敵意がないこともわかってるし、こうやってまともに話し合えてる」

提督「話が通じてないわけじゃねえだろ? ちゃんと分かり合えてるなら怯えなくてもいいぜ、今の時点ではな」

礼提督「そ、そうですか……」ヒヤアセ

金剛「そうは仰いますケドー、テートクはもう少し言動に気を付けた方が良いと思いマスヨー?」

金剛「今も誰彼構わず脅しをかけてるみたいで、悪者になりたがるところが治ってないみたいデース」

提督「いいんだよそれで。俺たちが恐ろしい存在である方が、お前たちを守るのに都合がいい。現にそれで長門たちも横取りされなかったんだし」

提督「それに、俺たちのことを舐めくさった海賊もどきが、未だに出没しては島の海域に侵入してきてる」

提督「俺たちが弱い存在じゃないってことをちゃんとアピールしとかねえと、これからもそういう馬鹿を相手してやらなきゃならねえ」

提督「だからX大佐も、下手に人間が島に近寄らないために、わざわざ大げさに警告して、協力してくれてんだ。だよな?」

X大佐「そうだね」
67 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:54:29.43 ID:Tmcr022Ro

長門「礼提督、あなたは艦娘たちを大事にしてくれる人物であることがわかっている。提督に敵視される理由はないのだから、安心して欲しい」

礼提督「そ、そうですか……な、なら、安心、かな?」オドオド

提督「まあ、そんな風に怖がってくれててもいいんだけどな。普段からそうなら、俺が怖い奴だっつう信憑性が増すし」

提督「一部の連中にはちょっと馴れ馴れしくしすぎたからな……あんまり、どうでもいい他人とは関わりたくねえし、侮られたくもねえ」

潮「提督、人間嫌いですもんね……」

提督「まあそういうわけでだ、大将たちにしてもマスコミにしても、あまり慣れあいたくはねえんだ」

提督「特にマスコミは平気でこっちの立ち入ってもらいたくないところにズケズケ入って来るからな。心情的にも物理的にも」

潮「そういえば、昔テレビ局の人たちが島に来た時も、そうでしたね……」

礼提督「え、そんなことがあったんですか!?」

長門「ああ。島を訪ねてきたテレビスタッフが、勝手に鎮守府内を探索しようとしたり、夜中外に出歩いたり……」

X大佐「死亡事故も起きたんだよね? 喧嘩して海に落ちたって聞いているけど」

礼提督「ええ!? お、おおごとじゃないですか!?」

長門「彼らの勝手な行動のために、いろいろまずいことが起こっていたんだ。前例があるからこそ、提督は島に人間を入れたくないんだろうな」

五月雨「礼提督は島に入ってもいいですよね?」

提督「まあ、入る資格はあるけどよ。ただ、その必要はあるか?」

礼提督「うーん……あんまり、ないと思います。私が行って何ができるか……そもそも、何をしに行くのか、目的がありませんし」
68 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:55:16.09 ID:Tmcr022Ro

提督「だよな。礼提督は下手に俺たちに関わらずにいた方がいい。経験の浅い礼提督が、うちに出入りしてる場合でもねえしな」

X大佐「そうだね。礼提督は引き続き現状の任務を遂行して、艦隊の練度向上を最優先に努めて欲しい」

礼提督「は、はいっ! わかりました!」ビシッ

提督「ああ、それから、興味本位で俺たちのことを訊きに来る奴らもいると思うんだが、まともに取り合わなくていいからな?」

提督「しつこいようなら俺に連絡しな。俺のことを質問してきたら必ず報告する決めになってる、って脅してやってもいい」

五月雨「わかりました。そのようにさせていただきます」

金剛「ヘーイ、テートク? そろそろお話は終わりデスカー?」ニジリヨリ

長門「金剛はまだ抱き着き足りないのか」アタマカカエ

提督「ちょっとはこらえ性ってのがねえのかよ」アタマカカエ

 扉<コンコンコン!

択捉「失礼いたします! 礼提督、お話は終わりましたでしょうか!」ガチャ!

提督「うん? 誰だ、このちっこいの。こいつも艦娘か?」

礼提督「あ、私の鎮守府の海防艦娘です! 今日は秘書艦を務めてもらってるんですよ!」

提督「かいぼうかん……? お前、どっかで……」
69 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:55:59.48 ID:Tmcr022Ro

択捉「失礼ですが、私があなたにお会いするのはは初めてではないでしょうか? 申し遅れました、私、択捉と申します!」ビシッ

提督「択捉? ……ああ、あれか、思い出した。あの時のテレビ局の奴と一緒に写ってた艦娘だ」

択捉「てれびきょく?」クビカシゲ

提督「そういえば、あいつ今も艦娘に関わってるって言ってたな……」ウーン

提督「なあX大佐、以前、L少佐が翻訳の仕事をしてる男を連れてきたことがあったよな? そいつと連絡取れないか?」

X大佐「? 彼を呼ぶのかい?」

提督「そいつ、昔、テレビ局の人間と一緒に仕事したことがあって、あの島に来たことがあるんだよ」

提督「で、そいつがその時一緒に仕事してたテレビ局の人間と連絡取り合ってるみたいで、今も艦娘が絡む仕事によく呼ばれてるらしい」

提督「でだ。可能ならその二人を事前に呼び出して、俺のことをメディアの連中がどこまで知っているのか、先に聞き出しておきたいんだ」

X大佐「なるほど、メディアにも提督のことを知っている人間がいるんだね。L少佐に確認させるよ」

礼提督「ところで、択捉ちゃんのご用は何だったの?」

択捉「あ、はい! 礼提督、申し訳ありませんが、少しだけお時間いただけますか?」

提督「ん? なんだ、内緒話か」

択捉「はい! あ、いえ、内緒というわけでは……」

提督「まあいいや、急ぎなら早く伝えてやれ」
70 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:56:44.41 ID:Tmcr022Ro

択捉「は、はい、申し訳ございません。礼提督、ちょっとこちらにお願いします」

 (択捉に連れられて礼提督が部屋を出ていく)

提督「……俺が部屋を出れば良かったか?」

長門「そんなことはないだろう」

提督「けど、俺たちの用事はほぼ終わりだぞ? そのまま帰っても……ん? なんか揉めてるっぽいな?」

金剛「揉めている? 誰がデース?」

提督「いま出て行った二人だよ。なんかわちゃわちゃしてんぜ?」

金剛「???」クビカシゲ

X大佐「もしかして、二人の様子が見えるのかい?」

五月雨「私、話を聞きに行ってきます!」タッ

長門「提督、部屋の外なのに、何が起きているのかがわかるのか……?」

提督「……あ。そういえばそうだな」ハッ

潮「すごく自然に扉の向こうの様子を話してましたよね?」

提督「マジで人間離れしていってるなあ、俺」ウーン
71 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/05/31(日) 20:57:29.36 ID:Tmcr022Ro
ということで、今回はここまで。

>43-44
お待たせしててすみません。
しばらくは、最後の場面へ持っていくための足掛かりになると思います。
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/06/03(水) 17:10:37.60 ID:8YpJIS7U0
> 71
まだまだ楽しめるということですね!
更新待ってます!
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/06/03(水) 17:11:28.42 ID:8YpJIS7U0
> 71
まだまだ楽しめるということですね!
更新待ってます!
74 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:36:14.17 ID:XhwbKQBIo
それでは続きです。
75 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:37:00.20 ID:XhwbKQBIo

 * *

五月雨「ある鎮守府から、緊急で艦娘の捜索依頼が届いたそうです。ただ、それが内容がちょっと不明瞭でして」

提督「捜索依頼? 轟沈でもさせたのか」

択捉「いえ、その部分については明らかにしてもらってないんです。ただ単に、行方が分からないので探してほしい、とだけ」

X大佐「どこの鎮守府からの要請かな」

択捉「えーと……礼提督、詳細を申し上げてよろしいですか?」

礼提督「えっ? あ、そ、それは私が言うね? ええと、そのぉ……良提督鎮守府からです。駆逐艦の秋雲、って子が、行方不明だと……」

潮「良提督……」ビク

長門「行方不明、だと?」マユヒソメ

提督「ほーん」

X大佐「祥鳳、その艦娘の轟沈の記録がないか、確認とってもらえるかな?」

祥鳳「はい!」

提督「ああ待て待て。行方不明なんだろ? 轟沈した、とは言ってきてないわけだよな?」

礼提督「そ、そうですね。メールの文面にも、轟沈とは書いてありませんでした」

提督「で、択捉は俺たちから離れてこそこそ伝えてきたわけだが、内緒にしたい理由があるんじゃねえかと思ってる。どうだ?」

長門「良提督が何らかの失態を犯し、それを隠したがっているということか?」
76 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:38:00.02 ID:XhwbKQBIo

提督「つうか、さっきから礼提督の顔の引き攣り具合が面白えことになってんだよな。なんか嫌なことでも書いてあったか?」ニヤッ

礼提督「え、いや! そんなことは!」

五月雨「……あの、提督。礼提督は、良提督が苦手なんです」

礼提督「さ、五月雨さん!?」

五月雨「私も良提督には何度かお会いしてますが、すごく丁寧なのに、なんとなく見下した言い方をする方でして」

五月雨「なんていうんでしょう、ねちっこいっていうか、余計なプレッシャーをかけてくる、っていうか。私はあまりいい印象がない方です」

提督「だろうと思ったぜ。良提督の名前が出たときの長門や潮の反応見ても、あんまり評判いい奴じゃなさそうだったし」

長門「……よく見ているな、貴様は」

五月雨「それから今回の連絡を受けた後で択捉ちゃんが電話を受けたときも、くれぐれも上の人たちには報告するな、と言われたみたいで」

択捉「さ、五月雨さん!? そこまで言っていいんですか!?」

五月雨「択捉ちゃんも、礼提督の立場が悪くなるのを恐れて、今の話もしないつもりだったんでしょう?」

択捉「う……」

X大佐「それは、良提督が礼提督の立場を悪くできる、という認識でいいのかな?」

択捉「……はい。良提督に近しい提督の皆さんの間で、何度か礼提督を辱めるような物言いをされたことがありまして」

択捉「直接的な悪口ではないので、言い返すと『別に礼提督のことじゃないよ』とはぐらかされてしまうんです。それで反論もできなくて……!」
77 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:38:45.94 ID:XhwbKQBIo

択捉「礼提督は波風を立たせないようにと、私たちにも気にしないようにと仰っておられますが……!」

提督「へっ、典型的な陰湿系のいじめっ子じゃねえか。根腐れ起こしてやがるぜ」ククッ

X大佐「そのようだね」

提督「とりあえずだ、どんな文面で捜索依頼が来てんだ? 文書で来たんなら、俺にも見せてもらいてえな」

礼提督「よ、よろしいんでしょうか……一応、海軍の内部的な連絡なんですが」

X大佐「轟沈している恐れがあるなら、提督に相談したほうがいいと思うけどね。それでも不安だというのなら、僕が見て判断しようじゃないか」

礼提督「……で、では、恐縮ですが、よろしくお願いします」タブレットサシダシ

X大佐「うん。さて……」タブレットウケトリ

五月雨「あの、提督? もしその秋雲さんが轟沈していたとしたら、提督のところに流れ着いたりしてないでしょうか?」

提督「おう、轟沈じゃねえけど来てるぞ」

礼提督「え」

択捉「え」

五月雨「来てる!? ……って、そうなんですか!?」

金剛「Hmm... やっぱり、そうデシタカ……」アタマオサエ

X大佐「……相変わらずだね」
78 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:39:29.48 ID:XhwbKQBIo

潮「って、いうことは、もしかして……その秋雲さんの提督さんのことも、もう調べたりしてるんじゃないですか?」

長門「どうなんだ、提督」

提督「いや、そいつに関しちゃ俺は調べてねえ。つうか、与中将が調べてるかもしれねえな」

X大佐「は……? 与中将殿が知っているのか?」

提督「秋雲が流れ着いたのが、ちょうど中将が乗った輸送船が沈められたときでな。与中将もその場にいて、秋雲の話を直接聞いてんだ」

提督「で、与中将が秋雲の話は他言しない方が良さそうだって言ってくれてな。だからこの件に関しちゃ、俺がやったのは秋雲の保護だけだ」

提督「そういう事情で話題に出さなかったんだが……せっかくだ、今度大将たちを島に呼ぶときに、良提督も一緒に連れてきてもらうか?」

X大佐「……大将に良提督の処分をお願いしたい、ってことかい?」

提督「いや、奴がどんな言い訳するかを秋雲に聞かせたい。それで秋雲が戻る気になるならそれでいいって話だ」

提督「とはいえ、ここにいる面々の反応を見る限り、そうはならねえだろうけどよ」

X大佐「秋雲は島で保護してる、ってことでいいのかな?」

提督「ああ。今のところ、秋雲は良提督のいる鎮守府に戻る気はないようだ。そもそも秋雲が出奔した原因を作ったのも良提督だしな」

X大佐「では、何があったのか後で個人的に聞かせてもらうよ。提督、時間はあるかな?」

提督「俺が喋ってもいいが、できれば与中将から聞いてくれるか? 秋雲から事情を聞いて以降、こっちじゃ特に新しい話はないんだ」
79 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:40:14.55 ID:XhwbKQBIo

提督「良提督の処遇に関する話にもなるだろうし、そこは俺が口を出す領分でもねえ」

X大佐「……では、この件は与中将殿と情報共有しよう」

提督「そうしてくれ。一応、俺の私見だが……秋雲からの話を聞いた感じ、そいつは自分より下の人間を見下したがるタイプらしい」

提督「正直、見目若いあんたや与中将から叱責されて、まともに反省するかは疑わしい」

提督「そういう意味でも、上の誰かを呼んでおいたほうがいいかもしれねえな」

X大佐「なるほど。ありがとう、伝えておくよ」

提督「っつうわけで五月雨、そいつから来た捜索の件は何もしなくていいぞ。適当に時間潰してから見つかりませんでしたって返しとけ」

五月雨「はい、わかりました」

礼提督「い、いいんですか? 何もしなくて……」

X大佐「良提督の配下の艦娘が行方不明になったことについて、礼提督に落ち度はないんだ。君が委縮する必要はないよ」

提督「だな。ついでに、良提督の嫌がらせの証拠も集めて整理しとけ」

礼提督「そ、それこそいいんですか……?」

提督「いいに決まってんだろ、なにを奴隷根性出してんだ。我慢するのは美徳でもなんでもねえぞ。敵に遠慮なんかしてんじゃねえ」

長門「提督。さすがに『敵』はちょっと言いすぎだ」

提督「別にいいだろ、俺は俺のスタンスで好き勝手に物申してるだけだ。海軍として、人としての正しいことは、X大佐が言えばいい」

提督「俺みたいな『人でなし』が正しいことなんか言っても説得力ねえからよ」

X大佐「……よく言うよ」フフッ
80 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:40:58.68 ID:XhwbKQBIo

提督「さてと。話は一通り終わりだな? んじゃ五月雨、後のことは任せたぜ」

五月雨「はいっ! おまかせください!」ケイレイ

提督「X大佐もいろいろ任せて悪いが、まあ面倒みてくれや。金剛のことも、くれぐれも頼んだぜ」

X大佐「わかった。難しいが善処しよう」

金剛「うぅぅう〜……テートクゥゥ〜!」

提督「お前を無理矢理連れ帰っても、あっちの問題は解決しねえだろうし、中将夫人のこともある、お前自身も納得はできねえだろ?」

提督「俺も文句は言い続けるからよ」

 チュ

提督「おでこで悪いが、今はこれで勘弁してくれ」

金剛「」

提督「さて、戻るか。長門、潮、先行くぞ」スタスタ…

潮「は、はいっ!」

長門「あ、ああ……では、私たちはこれで失礼する」ケイレイ

礼提督「はいっ! これまでありがとうございました!」ケイレイ

択捉「ありがとうございました!」ケイレイ

X大佐「さてと、まずは日程調整だね。大将たちの予定を確保しないと……それから礼提督」

礼提督「は、はい!」
81 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:41:45.19 ID:XhwbKQBIo

X大佐「提督も言っていたけど、良提督が過去に何をしていたか、情報を集めてもらえるかな。僕と、そちらの鎮守府の憲兵隊とで共有したい」

礼提督「わ、わかりました! その……お手数おかけして申し訳ありません」

X大佐「こういうのも僕たちの仕事だよ。気にしなくていいんだ」

五月雨「提督も、困ってた私たちをたくさん助けてくださいましたから、きっといい方向に向かいますよ!」

礼提督「うん……!」コクッ

X大佐「……彼は、こういう問題とも、何度も付き合ってきたのかな」

五月雨「はい! ただ、やり方が容赦ないと言いますか、もうちょっと穏便にというか。ああいう態度じゃないと誤解も減るんですが……」

祥鳳「なんていうか、ツンデレな方なんでしょうか」

X大佐「ツンデレ……って言うのかな、彼は」

択捉「あ、あの、すみません! こちらの金剛さんはどうしたんでしょう、と言いますか……どうしましょう?」

金剛「///」カオマッカ

五月雨「金剛さん?」

金剛「は、初めて、テートクの方から、キスしてもらいまシタ……」ミミマデマッカ

五月雨「え?」

金剛「し、しばらく顔を洗えまセン……」カオヲオオッテユゲボシューー

全員「「……」」

礼提督「い、意外と、純情な方なんですね……?」
82 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:42:29.36 ID:XhwbKQBIo

 * *

長門「……」

潮「……」セキメン

提督「……どうかしたか?」

長門「いや、まさか貴様が金剛のおでこにキスをするなんて思わなかったからな」

潮「ど、どきどきしちゃいました……!」コクコク

提督「まあ、良くも悪くも、島の奴らに鍛えられてるんでな……金剛も随分長いこと外に出てる。頑張ってんだから、あのくらいはな」

潮「そ、そうなんですか……」セキメン

長門「私が知るかつての貴様なら絶対にしないと思っていたから、余計に驚いたぞ。鍛えられたとはいえ、どういう鍛えられ方をしたんだ?」

長門「この調子だと、島に戻ったらいろいろ様変わりしていそうだな」

提督「そこまでじゃねえよ。この前お前たちが戻ったときからは、たいして人員は変わってねえ」

提督「多少、人か増えたり……あとは、姿が変わってたりしてるって程度だな」

潮「それでイ級が人型になってたりしましたよね……普通に驚きますよ?」

提督「そうか?」

長門「提督は慣れてしまって感覚が麻痺しているな」
83 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:43:14.48 ID:XhwbKQBIo

 * 墓場島鎮守府 埠頭 *

明石「あ、おかえりなさい、提督。ちょうど遠征組が戻ってきましたよ」

提督「お、そうか」

長門「……」

潮「あ、あの、また、人型の深海棲艦が増えてませんか? 増えてますよね?」

提督「まあまあ、増えたかな」

吹雪型っぽい深海棲艦「ア、シレイカンダ!」

長良型っぽい深海棲艦「テートクー」フリフリ

朝潮型っぽい深海棲艦「オ仕事、終ワッタワヨー」

提督「おう、お疲れさん。後で報告書頼むぜ」

吹雪型っぽい深海棲艦「リョウカイデース!」

長門「あれは吹雪型か? どこか見覚えのある顔なんだが……吹雪型の誰でもないのだな」

明石「提督が言うには、深海棲艦の魂は混ぜこぜなんだそうです。似たような魂が集まって、結果としてあの子だと吹雪型に見えるみたいですね」

潮「それで……あんな風に姿が変わったのは、みんな提督と何かしらのお話をしたから、ってことですか?」

提督「まあな。島にいる深海棲艦とは、だいたい個人面談した」
84 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:43:59.23 ID:XhwbKQBIo

明石「それで姿の変わったのが、駆逐艦や軽巡洋艦の皆さんですね」

長門「ということは、殆どの駆逐艦たちが人型になったのか?」

提督「殆どと言うか、全員そうなったな。軽巡も、ヘ級は脚が生えたし、マスクしてたツ級とかも素顔出すようになったし……」

明石「雷巡や重巡以上の深海棲艦は、もともと人型だったこともあって外見的な変化は見られなかったんですが、個性が出てきてましたね」

提督「リ級やネ級あたりがそうだな。髪を伸ばし始めた奴もいるし、服を着始めた奴もいる」

提督「で、面談してていろいろ分かったんだが、この島にいる深海棲艦は大きく分けて2つのグループがあってな」

潮「グループ……ですか?」

提督「例えば、さっき見た3人はこの辺で轟沈した艦娘っぽいんだよな。それとは別に……」

??「アラ、提督。オツカレサマデス」

長門「! この深海棲艦はもしや……!」

明石「はい、フレッチャー級駆逐艦です。米艦隊の」

F級深海棲艦「ソチラノフタリハ……初メテ、オ会イシマスネ?」

提督「ああ。長門と潮だ、後で紹介する」

F級深海棲艦「カシコマリマシタ。デハ、ノチホド」ペコリ
85 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:44:44.44 ID:XhwbKQBIo

長門「泊地棲姫の配下の姫級に米軍艦が多いのは知っていたが、駆逐艦もそうだったということか」

提督「そういうこった。ただ、俺はまだ米軍艦の駆逐艦娘を見たことがねえから、そいつらに似てるかどうか自体わかってねえ」

提督「それから、あいつと似た顔が15人くらいいるんだよ。名前がわからねえんで便宜上番号で呼んでるけどよ」

潮「それって、艦だったころの名前とかがわからない、ってことです、よね?」

提督「ああ。全員が全員、よく覚えてないって言ってた。名前が名乗れるならそれで呼んでやりてえが、わからねえんじゃしょうがねえし」

提督「艦娘も同じ艦娘が複数人いるだろ? もとの艦が全員同じだったらどうしようかとも思ってる」

提督「ひとりだけ名前呼ぶのも変だし、そうなるとやっぱり番号呼びになっちまうんだよなあ」

長門「そういえば、最近発見された深海駆逐艦、駆逐ラ級も、個体差があるせいで、ギリシア文字を識別のために付与していたな」

提督「ラ級? また新しいやつが出てきたのか?」

長門「ああ。人型の駆逐艦なんだが、ラ級α、ラ級βというように呼ばれている」

提督「番号呼びと変わらねえ気がするが……新しい人型か。いまいちよろしくねえな」

長門「? どういう意味だ?」

提督「深海棲艦で人型の駆逐艦って、これまで発見されてたのが駆逐棲姫とか駆逐古姫とか、強い部類に入る深海棲艦が多かったろ?」
86 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:45:29.57 ID:XhwbKQBIo

提督「うちの深海の駆逐艦も人型になっていれば、警戒されていきなり攻撃されることが減るんじゃないかって考えてたんだよ」

提督「できる限り戦闘は避けたいっつうか被害を受けたくないから、擬態するって意味でも少しは効果があってほしいと思ってたんだ」

提督「それが、人型が珍しくもないとなると、うちの深海棲艦たちも初見で攻撃を受ける可能性が高くなりそうだな……」

明石「とはいえ、仮に警戒されても、例えば十分な戦力を持つ艦娘からは普通に攻撃されるかもしれないですよ」

明石「深海棲艦もいくつかの勢力に分かれて対立してるみたいですから、外海に出れば余所の深海棲艦から攻撃されることもあるでしょう」

明石「私は、提督のその考えは最初からあまりあてにならないと思ってますけど?」

長門「ふむ……海軍もあの組織の件で混乱はしているものの、全体の戦力そのものは上がっている。提督の望む効果は期待できないかもしれないな」

提督「そうか。ま、いいか……人型になってた方が、生活するうえでいろいろ都合がいいことに変わりはねえ」

提督「手足があれば飯も一緒に食えるし、服も選べる。陸も歩けるし、一緒に行動するにも便利だからな」

長門「そちらのほうが重要そうだな。ところで、さっきの深海棲艦、長良型……由良に似ていたが、軽巡か?」

明石「はい、軽巡ト級だった深海棲艦ですね」

長門「ト級……あの口がふたつついているあの軽巡か」

潮「み、みんな、人型になってるんですね……!」

明石「最近は、食堂がカフェとしても機能してるからね。賑わってるんじゃないかな?」
87 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:46:14.48 ID:XhwbKQBIo

 * 墓場島鎮守府 食堂内 *

長門「深海棲艦たちも来るようになったと聞いていたが、今日は人がいないな?」

泊地棲姫「営業時間外ダカラヨ。提督ガ、オ前タチヲ連レテクルト言ウカラ、休ミニシタンダ」

潮「そ、そうだったんですね……お休みの時にコーヒーまで出していただいて、すみません」ペコリ

泊地棲姫「気ニスルナ、私モ休ミタカッタトコロダ。ソウ思ウクライニハ、繁盛シテイル」

長門「そうか。充実しているようでなによりだな」

泊地棲姫「ソレカラ、提督。今後ハ、厨房ニ入ラナクテイイゾ?」

提督「ん? 邪魔だったか?」

泊地棲姫「ソウジャナイ。オ前ガイルト忙シクナルンダ」

泊地棲姫「普段ハソレホド寄リ付カナイ者デモ、オ前ガ厨房ニイルト、話ガ変ワッテクル」

提督「マジか」

明石「提督ってば、まーた何かやったんですか?」

提督「お前はいつも俺が何かやらかした前提で話を進めんじゃねえよ……つか、なんでそうなるんだよ」

泊地棲姫「コレハ私モ予想シテイナカッタコトダガ……」

泊地棲姫「実ハ、人型ノ姿ニナッテ、口カラ言葉ヲ発シタリ、陸上ヲ自由ニ歩キ回レルヨウニナレタコトヲ、ホボ全員ガ喜ンデイルノヨ」

泊地棲姫「ホカニモ、フォークトナイフヲ持ッテ、アタタカイ食事ヲ楽シムコトガ、デキルヨウニナッタリ、人型ノ生活を満喫シテイルヨウデネ」

長門「確かに、食べる楽しみが増えた、というのはなかなか大きいな」
88 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:46:59.33 ID:XhwbKQBIo

潮「深海棲艦って、ご飯を食べること自体、なかったんでしたっけ?」

提督「ほぼなかったらしいな。普段は海底資源から燃料補給しかなかったっつうし」

提督「あってもせいぜい生魚をそのまま食うとかで、それだとエネルギーの変換効率が悪いとか、そんな理由でやってこなかったはずだ」

明石「料理の概念もなかったらしいですから、食堂ができた当時も、ヲ級さんたちが興味深そうに厨房を覗き込んでいましたねえ」

泊地棲姫「ソンナ楽シミヲ与エテクレタ男ガ、ドンナ料理ヲ作ッテイルノカ、興味ヲ持ツノモ当然ダロウ?」

潮「提督って、お料理上手なんですか?」

明石「少なくとも下手ではないですよね? 以前、お蕎麦とかご馳走になりましたけど」

提督「ありゃ乾麺を茹でただけだぞ。一応は自炊してたから、簡単なものは作れるけどよ」

泊地棲姫「ソウ言ウ割リニハ、手際ガ良カッタゾ? 駆逐艦タチモ、興味深ソウニ厨房ヲ覗キ見シテイタダロウ」

提督「ん? そういう意味だったのか? 俺はてっきり腹減ってて待ちきれなかったのかと思ってたんだが」

明石「っかぁーー! 相っ変わらずですねえ、そういうところは! あーやだやだこの人はもう!」

潮「明石さん……」タラリ

泊地棲姫「自分ノ影響力ヲ自覚シテイナイ、トイウノハ、考エモノダナ」

泊地棲姫「私ハ心配ダゾ? オ前ノ部屋ニ行コウトスル深海棲艦ガ、コレ以上、増エタリシナイカ……私ヨリ、親密ニナッタリシナイカ、トナ?」ズイ

提督「……」
89 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:47:44.45 ID:XhwbKQBIo

長門「そうは言うが、この島の深海棲艦のほとんどは、泊地棲姫の配下だろう? お前を差し置いて提督に手を出したりするのか?」

泊地棲姫「アリ得ルゾ。軽巡棲姫ハ言ウニオヨバズ、戦艦ヤ重巡タチモ、ソレナリニ自我ガアル」

泊地棲姫「人ノ言葉ヲ発スルヨウニナッタ駆逐艦タチモ、人並ノ考エヲ持ツヨウニナッタ。私ニ向カッテ、我儘ヲ言ウヨウニモナッタ」

泊地棲姫「ソレコソ姫級ニナッタ奴ラハ、調子ニ乗ッテ提督トスキンシップスルクライニハ、生意気ニナッタゾ。ナァ?」チラリ

明石「艦娘たらしなだけじゃなく、深海棲艦たらしですもんねえ、提督って」

提督「たらしこんでるつもりはねえんだが……」アタマガリガリ

泊地棲姫「マズ、オ前ガ人間カドウカヲ別ニシテモ、深海棲艦ニ触レラレル男、トイウノガ珍シイ」

提督「ああ……そういや戦艦棲姫たちもそんなこと言ってたな」

泊地棲姫「ソレカラ、オ前ノ性格ヤ存在ガ、私タチニトッテ都合ガ良スギル。ブッキラボウデハアルモノノ、誰ニ対シテモ分ケ隔テナク接スルシ」

泊地棲姫「クチデハ面倒面倒ト言イナガラ、面倒見モ良イ。チカラモ弱クハナイシ、顔モ悪クナイ……」

潮「むしろ、いいほうですよね……」ボソッ

明石「んん?」ニチャァ…

潮「ひっ」

泊地棲姫「ソシテ、頼メバ押シ倒サレテクレルヨウナ、オ人好シダ」ペロリ

潮(舌なめずりしてる……)タラリ
90 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:48:29.55 ID:XhwbKQBIo

明石「ほらほら、言われてますよ提督? ちょっと頼めばなんでもお願いを聞いてくれる都合のいい男って見られてますよー?」

提督「なんでもじゃねえよ」

明石「えー? なんでもやってるじゃないですかー!」

長門「明石、あまり提督を困らせてやるな。提督は、深海棲艦たちがこの島で生活できるように心を砕いてくれているんだ」

長門「だからこそ、深海棲艦が私たちの生活に合わせてくれているようにも思える。メディウムたちもそうなんじゃないか?」

明石「わかってますよぅ。もう、長門さんったら堅苦しいですね〜、ちょっとしたお茶目ですよ、お茶目」

潮「ところで……そのメディウムのみんなの姿が見えないんですが」

提督「ああ、あいつらは今、あっちの世界の神殿の侵入者討伐に出向いてる」

長門「なんだ、メディウムたちがいた世界も大変な状況なのか?」

提督「いや、今は大したことはねえ。何日か前、そこそこ大規模な一団に神殿を取り囲まれてたんだが……」

提督「その中にいた敵方の中心人物を何人か潰したら、パニック起こしてとんぼ返りしていったからな」

提督「今は今で散発的に偵察が来てるっつうから、神殿に近づいた人間をとっ捕まえて連中が何を企んでるか聞き出せないか……」

提督「ニコたちと相談して、いろいろやってもらってるとこだ」

長門「我々が手伝えることはないのか?」

提督「今はないな。人間から身を潜める必要があるから、メディウムたちだけで行動したほうが良さそうだって判断してる」
91 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:49:16.40 ID:XhwbKQBIo

提督「敵陣にも大きな動きがないみたいだし、いまは深海棲艦や艦娘の手を借りるまでもねえ、って感じだな」

潮「長引きそうなんですか?」

提督「いいや、早いうちに戻れるんじゃねえかな。戦闘狂のコーネリアも腰抜けばかりだって嘆いてたくらいだし……ん?」

泊地棲姫「ドウシタ?」

提督「ニコがこっちに戻ってきたみたいだ」

ニコ「ただいま、魔神様」ニュッ

潮「うひゃああ!?」ドキーッ

長門「ど、どこから出てきた!? 提督の背後に急に表れたようだが……!」

明石「ニコさんって、提督の体を媒体にして、転移できるみたいなんですよ。どういう原理なのか、よくわかりませんけど」

ニコ「魔神様の魔力を辿れば、ぼくはどこにでも現れるんだよ」ドヤッ

提督「事情を知らない奴が見ると毎回驚かれて説明を求められて面倒臭いから、ほどほどにな」

ニコ「面倒臭いって……もう、しょうがないなあ」

泊地棲姫「ソレデ、ナニカ、アッタノカ?」

ニコ「神殿周辺の人間の掃討がほぼ完了したから、その話をしに来たんだ」

ニコ「この前、ぼくたちの神殿に攻め込んできた人間たちは、ぼくたちが逆にあいつらの住処に攻め込んでこないかを警戒していたみたいだね」
92 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:49:59.20 ID:XhwbKQBIo

泊地棲姫「報復ヲ恐レテイタ、トカ?」

ニコ「そうだね。魔神様が人間の親玉を撃退してくれたおかげだよ」

長門「ん? 提督も戦闘に参加したのか?」

提督「ああ。どんな連中なのか見ておきたくて、ちょっとだけ出張っていったんだ」

提督「そうしたら、あっちの人間は完全にこっちを敵視しててな。言葉は通じても話が通じねえ。なにもかも全否定で、取り付く島もなかったぜ」

潮「て、提督は、大丈夫だったんですか?」

ニコ「すごかったよ。魔神様がメディウムに命じて、次々と人間たちを狩っていったんだ。鮮やかだったなあ……」ウットリ

潮「い、いえ、活躍したかどうかって意味じゃなかったんですけど……」

提督「まあ、怪我はしなかったな。つうか、あっちの親玉を早々に始末できたもんで、まともに攻撃もらってねえや」

泊地棲姫「ナンダ、楽勝ダッタノカ?」

提督「結果的にだけどな」

ニコ「攻めてきた人間の中に教団の大司教がいて、そいつが『魔神を退ける加護を信者に授けている』って触れ込みだったんだけど……」

ニコ「そいつを魔神様があっさり殺しちゃってね。それを見た人間たちが慌てふためいて、あっという間に総崩れになったんだよ」

ニコ「一部の人間は、周りの人間を鼓舞して立ち向かわせようとしたんだけど、魔神様がそういう人間を優先的に狩り取ってくれたからね」

長門「なるほど、相手方は統率を取る者を真っ先に失ったのか」
93 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:50:44.29 ID:XhwbKQBIo

ニコ「教団は劣勢の状況を悟られないように、間断なく神殿に人間を送り込んで、ぼくたちを神殿から動けないようにした……」

ニコ「その攪乱のついでに、魔神様やメディウムの能力を調べるため、神殿の中のものを盗み出そうとしてたみたいだね」

潮「えええ!?」

ニコ「一応、理にはかなってるんだよ。罠そのものを持っていくようなら、その分だけこちらの防衛手段が減るわけだし……」

ニコ「罠に限らず、神殿の装飾にも魔力が宿っているから、それがなくなれば、その分だけぼくたちが使える魔力の総量や、魔力の回復量が減る」

ニコ「ただ、魔神様が目覚めた今は、魔力の大半をぼくと魔神様が分けて持っている状態だから、罠を運び出されて被る魔力の損失は微々たるもの」

ニコ「侵入者の能力も大したことはなかったし、不届き者は全員、持ち出そうとした罠の餌食にしてあげたよ」

長門「……」

提督「全員始末した、ってことに長門は気に入らないみたいだが、やらなきゃ俺たちが滅ぼされるからな。あっちの世界の人間には手加減なしだ」

長門「……わかっている。わかってはいるが……気に入らないな」

長門「その理屈で言えば、その教団は自分たちを守るために、誰かを神殿に向かわせた……捨て石にしたのと同じじゃないのか」

提督「仕方ねえよ、あいつらは現代人とは違う。神殿に向かってきたのも熱心な信者や金で雇われた傭兵だ、連中に都合よく使われてんだろうよ」

ニコ「そいつらを唆していた人間どもも、捕らえて始末してるから、安心して欲しいな」

長門「いや……それはそれで安心していい話じゃないんだが」タラリ
94 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:51:30.52 ID:XhwbKQBIo

潮「と、とりあえず、何かを盗まれたりしたわけじゃないんですね……?」

ニコ「そうだね。何も盗まれてないし、何も与えてない……あえて言うなら、ぼくたちの魔神様の恐ろしさを教えてあげた、ってところかな」フフッ

長門「それでおとなしくなってくれればいいんだが」

提督「まあ、当分の間は神殿が攻められることはなさそうだな」

泊地棲姫「コノ機ニ乗ジテ叩キ潰シニ行クノナラ、手ヲ貸ソウカ? 最近ハ、コノ島ニ入ッテクル不審船モ減ッテキタ」

泊地棲姫「今ナラ、ココヲ離レテモ、大勢ニ影響シナイダロウ。ソレニ、敵ノ都ハ、海ガ近イラシイナ?」

ニコ「うん、そうしたいのはやまやまなんだけど。ねえ魔神様?」

提督「申し出はありがたいが、おそらくその必要はなさそうだ。っつうか、当分は様子見しようと思ってる」

泊地棲姫「? 向コウノ世界ノ、制海権ヲ取ル気ハ、ナイノカ?」

ニコ「欲しくないわけじゃないよ。ただ、都はアルス教団が幅を利かせてるから抵抗は激しいだろうし」

ニコ「都を攻める前に、都と神殿の中間にある街を攻め落とす必要があるんだ」

泊地棲姫「大キイ街ナノカ?」

ニコ「それなりにね。海に通じる川沿いにある街で、ぼくたちの神殿の調査のために、都から派遣された戦士や傭兵が駐留してるんだ」

ニコ「怪我をした戦士の治療をする医者や魔導士も滞在してるせいで、攻め落とすのは難しいと思う」

ニコ「ただ、そこを落とせば、神殿へ攻めてくる人間の数は確実に減らせるし、海へ出るために川を下ることもできるようになる」
95 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:52:14.16 ID:XhwbKQBIo

ニコ「都を攻めるときも、その街をそのままにしておくと背後から挟み撃ちにあいそうだから、攻め落とさないわけにもいかないね」

泊地棲姫「……重要ソウナ街ダナ。攻メ落トシタトシテモ、人間ドモガ取リ返シニ来ルカ?」

ニコ「ぼくもそれが心配なんだ。同じ理由で、王都を攻めるのも慎重になった方がいいかも、って考えてるんだよ」

ニコ「都は大都市で、他国と通じる街道が多い。都を壊滅させても奪還を考える人間は多そうだし」

ニコ「交戦中に、他国の人間の大軍が押し寄せてくるかもしれない。だから最初にやるべきことは、王都を孤立させることなんだけど……」

ニコ「そうなると、広い街道を何本も封鎖しなくちゃいけなくて。結構、途方もない計画になりそうなんだよね」ウーン

提督「仮に深海棲艦や艦娘の手を借りるにしても、この鎮守府の防衛の話もあるから、向こうの世界に長期間滞在させたくねえしな」

長門「今の話だと、現状維持が一番都合がよさそうだ、ということか」

ニコ「うん。それに、中間の街があるおかげで、人間が神殿にどんなルートで攻めてくるかが特定しやすい、って利点もあるんだよね」

提督「だから、神殿に人間が近づこうとしない、近づけない絶対的な理由を作る、ってのが命題だな」

潮「……絶対的な理由……近づけないよう、物理的に塞ぐ、とかですか?」

提督「いや、メディウムも外出はするからな。出歩いても人間に遭遇しないように、人間たちが神殿に寄り付かない理由を作りたい」

明石「そんなの作れますかね? 法で縛っても、いくらでも屁理屈は通せますし、知ったこっちゃない、って人もいるでしょうに」

提督「まあな。そもそも人間てのは、どこの世界でも自分の都合のいいように、自然でも世界でも作り替えようとする傲慢な生き物だ」
96 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:52:59.31 ID:XhwbKQBIo

提督「神様だって例外じゃねえ。いっそ、あっちの人類全部滅ぼして、人の歴史そのものを作り直すくらいしないと駄目じゃねえかって思ってる」

泊地棲姫「本気デ、ソコマデスルノカ?」

提督「本当にどうしようもないときは、だな。前も言ったが、恐怖政治を敷けば、いずれ不満を持った人間が反乱を起こす」

提督「俺の前身である封印前の魔神が昔そういう政治を敷いたおかげで、向こうの世界では魔神は人間と相容れない存在として認識されちまってる」

提督「向こうの世界で俺たちが今後領土を広げようと考えるなら、俺たちの言うことを喜んで聞く人間だけ残して世界を滅ぼしリセットするか……」

提督「人間の中に俺たちの信奉者というか、味方を多く作って俺たちを守らせねえと、俺たち……魔神とメディウムの存続は難しいだろう」

ニコ「……人間の味方、か……」

泊地棲姫「案トシテハ、悪クナイナ。我々ヲ味方スル人間ガ現レレバ、敵対スル人間ノ動揺ヲ誘ッテ、ツケ入ル隙モ生マレルカモネ」

長門「その前に、まず、我々の話を聞いてくれるような人間がいればいいんだが」

提督「そういう人間を探すのも必要かもしれねえな」

ニコ「……」

明石「提督、ニコさんはあんまり乗り気じゃないみたいですよ?」

提督「わかってるよ。向こうの世界の人間は、艦娘から見ても嫌悪感を抱きそうな連中ばかりだ」
97 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:53:44.69 ID:XhwbKQBIo

提督「俺たちに対して敵意のない人間が見つかったら儲けもの、って気構えで行くしかねえ」

提督「幸いにして、いまは都の連中が怯えて引き籠ってる。色眼鏡のかかってない人間が神殿に近づく可能性があるのは、今くらいじゃねえか?」

明石「そんなに都合よく行きますかね?」

提督「あくまで希望的観測だ。向こうの世界で魔神を悪く思っていない人間自体ほぼいないだろうが、可能性があるなら機会を潰したくねえ」

泊地棲姫「可能性、アルカシラ? コチラノ世界トハ、歴史モ辿ッテキタ経緯モ違ウハズ……」

提督「とはいえ、ここまでうまく行ってんだ。万が一も大いにあり得るなら、藁でもなんでも掴まなきゃな」

提督「こっちの世界で人間との共存がうまくいきそうなのも、俺が海軍に表面上だけでも協力してきたからだし」

潮「表面上……そ、そんなことないと思いますよ?」タラリ

提督「まあとにかくだ。ニコやメディウムたちは人間と協力するなんて嫌だろうが、少しだけ我慢してくれ。お前たちを守るためにもな」

ニコ「……魔神様が、そう言うなら……」

泊地棲姫「我慢サセルノハ構ワナイガ、イツマデモ我慢シテクレルトハ、思ワナイホウガイイゾ?」

泊地棲姫「確カニ、我慢スレバ、現代ノ文明ノ恩恵ヲ享受デキルシ、戦イニ明ケ暮レ、身ヲ焦ガスコトモナイ」

泊地棲姫「ダガ、果タシテソレデ、人間ドモニ煮エ湯ヲ飲マサレテキタ、コノ娘ノ気ハスムノカ?」

ニコ「……」
98 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:54:29.28 ID:XhwbKQBIo

提督「そりゃあ簡単にはいかねえだろうな。だからこそ、こっちの世界も早いとこ条約結んで人間と疎遠になりたいんだが」

泊地棲姫「ソレダケジャナイ。私タチハ、提督ガ私タチニ、相応ノ見返リヲ、タノシミヲ与エテクレテイルカラコソ、従ッテイル」

提督「ん? 俺は、お前が俺たちに協力してくれてるから、俺がお前たちの安全を保証するって認識してんだけどな。順番が違わないか?」

泊地棲姫「ソウナノ?」クビカシゲ

提督「火山が噴火したときだって俺を助けるように指示出したって聞いてるし、島の復興だって率先してやってくれてたじゃねえか」

泊地棲姫「ソレハ……マア、ソウネ」

提督「ニコもニコで、あんなことがあった後でも俺に協力してくれてる。我慢させるようなことがないようにはしたいさ」

ニコ「……それなら」

提督「!」

ニコ「それなら、せめて、無理はしないで欲しいな。魔神様は、ぼくたちの希望なんだ。ぼくたちは、何百年もきみに会うことを夢見てきたんだ」

泊地棲姫「ナンダ? 提督ガ生キテイレバ、イイノカ?」

ニコ「……そ、そうだよ?」

泊地棲姫「ソレデイイナラ、多クハ言ワナイガ」

ニコ「な、なにが言いたいの?」

泊地棲姫「私ナラ、提督ニ、モット情熱的ナ夜戦ヲ要求シテイルゾ?」ニヤリ

ニコ「」
99 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:55:14.44 ID:XhwbKQBIo

長門「ん? 夜戦?」

潮「やせ……って、ええええ!?」カオマッカ

ニコ「……魔神様?」ハイライトオフ

提督「……」プイス

ニコ「駄目だよ魔神様、こっち見て?」

提督「なんだよ……俺は要求されたものを差し出してるだけの話で……」

ニコ「だからと言って自分をあまり安売りしないで欲しいんだけど? ねえ魔神様?」ゴゴゴゴ…

泊地棲姫「ソンナ説教ヲ垂レテナイデ、オマエモ提督ニ抱カレレバイイジャナイノ」

ニコ「なっ!? そ、それは、その……」モジモジ

潮「はわわわ……」

長門「そういうことか。まあ、その、なんだ……ほどほどにな?」ポ

提督「……まあ、そうだな……」

明石「ほーんと、罪づくりですよねえ、提督って」ニヤニヤ

長門「明らかに面白がってるな……」
100 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2026/06/28(日) 21:56:05.85 ID:XhwbKQBIo
というわけで、今回はここまで。
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