【R-18】由比ヶ浜結衣はレベルが上がりやすい

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 00:02:11.81 ID:POkv/Uvq0
このスレは『やはり俺の青春ラブコメは間違っている』の二次創作スレッドです

・ヒッキーとガハマさんがイチャイチャエッチなことをするスレです

・初SSです

・独自解釈や妄想設定バリバリなので突っ込みは無用です

・R-18ですが何分初物なので夜食目的には向かないかもしれません

・初めてでイけると思ってんじゃねぇよこの童貞野郎ッ


以上了承出来る方のみ本編へお進み下さい。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1441033331
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 00:05:01.72 ID:POkv/Uvq0
めちゃり。

ぴちゃり。

ぬちゃり。

くぐもった水音が静かに響き渡る。

「はむ、はふん、ふむぅ……」

水音に紛れて押しとどめた吐息のように漏れ出す声が内から外から耳朶を侵す。

生々しい吐息の香りと唾液の交換が音の正体。

距離を零まで近づけんと押し付けられた唇と唇、絡まる舌と舌。それは親愛情愛を示す作法だが、数多あるそれ≠フ中で最も情欲に濡れた行為であることを経験と本能が知っている。

「んむ、んぅ……あふ、あん……」

押し付けるだけでなく擦りつけるように、擦りつけるだけでなく吸い付くように。

俺と彼女の心の距離が限りなく近くとも別々の身体に別たれているように、どれだけ欲し、どれだけ近づこうともその距離は零にならない。

激しくねちっこく繰り返されるキスは、その根源が真っ直ぐな欲求ながら決して100%望んだ通りには叶わないもどかしさの証明であるようだった。
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 00:08:47.97 ID:POkv/Uvq0
性愛は汚れたものだと大人は言う。

でもその欲望は、その心の本懐はひたすら純粋で真っ直ぐなものだ。けれどそこに孕むリスクやマイナスは純粋なものを綺麗なままにはしておかない。社会という集団がそれを許さない。

ああ、今胸を頭を満たす感情はこんなにも直裁なのに。

恥じる事など何も無いのだと、こんなにも雄々しく真っ直ぐそそり立っているのに。文字通り。

「んぅ……」

名残惜しむような吐息と共に唇は離され、糸引く唾液が未練たらしく先までの繋がりを示した。

かつてはキス一つ、抱擁一つでも胸中の感情を処理しきれず大粒の涙を零していた彼女は、幾多の体験を経て今や愛も欲も当然の物だと言わんばかりに受け入れ緩んだ表情で俺の目を真っ直ぐ見つめている。

そして、そんな彼女を見つめ返し湧き上がる俺の感情も至って当然のものだ。

可愛い。

美しい。

いやらしい。

汚したい。

汚したい。

未だ少女性を色濃く残す彼女の全てを、俺の欲望の色で余さず塗りつぶしたい。
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/01(火) 00:08:51.31 ID:4n36mD0uO
材木座「はふん、ふむぅ」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/01(火) 00:09:31.79 ID:ewUsidRfo
これは期待
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 00:12:07.59 ID:POkv/Uvq0
そんな俺の胸中を察したのか、彼女は

「ね……ヒッキー……」

掠れたように甘く囁いて、

「……いいよ」

一刻も早く昇り詰めんと張り詰める俺の逸物を手で淡く握り擦り上げた。

今宵既に一度彼女の中に侵入した俺自身は彼女の蜜に塗れており、手が上下する度にちゃにちゃと粘付いた音を立てる。

「あ……ぐ……」

音と同期して下半身に走る淡い電流が、足先を甘く痺れさせ、脊椎を伝って脳に伝わった快楽の情報は俺の意思と関係無く呻き声を上げさせる。

電流は熱を伴い、氷で出来た鎖の如き理性を確実に融かしている。

しかしこれは本気ではない。ただ掠めるように擦っただけで、絶頂させる気など毛頭無い牽制のような責め。

これは俺を煽るための一手だ。

俺の本能を縛る理性の鎖を俺自身に引き千切らせる為の合図だ。

未だ自身の獣性を好きに解き放てない弱い俺への、彼女なりの求めなのだ。
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 00:15:18.79 ID:POkv/Uvq0
そして、

「気持ち良くなって、いいよ」

出会った時と変わらないあどけなさはそのままに、彼女は妖しく微笑んだ。

少女と毒婦を両立させるその矛盾は、俺が彼女を喰らって良い理由へとすり替わって理性と本能を反転させた。

「ゆ、結衣ッ」

切羽詰まってどもった自身を恥じるヒマも無いと、彼女を押し倒し正常位の形で彼女の入り口に自身をあてがった。

「あ……!」

そこまで俺の行動が一瞬で、彼女が強引さに驚いたのも一瞬。

唐突さに驚いた彼女は、しかし一瞬でその瞳を期待で暗く輝かせ――

ぐちゅり

「んあッ!!」

躊躇無く体内に押し込まれた衝撃で、容易く身体の自由を放棄した。
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 00:18:27.97 ID:POkv/Uvq0
「あ、あぅ、んん、んあぅ、ああ あ、ふあッ」

ぐちゅぐちゅと湿った音を立てながら、俺の肉と彼女の穴が上下左右と接し擦られていく。

先の一回目は俺の方が快楽に耐えきれず彼女が達する前に絶頂を迎えてしまった故、今の行われている二戦目は彼女を絶頂させる為のリベンジだ。

既に一度……否、一度目の途中彼女の口内に吐き出したのを含めれば三度目のストロークであり、普段我慢弱く落ち着きのない俺の逸物もそれなりに保ってくれる筈だ。

……筈なのだが。

「はひっ、ひ、ひっきー! ひっき、あぅ、きもちいい、きもちいいよぉ!」

彼女が、俺の名前を呼んでいる。

俺の動きに合わせて、快楽で鳴いている。

俺に貫かれながら、俺の名前を啼いている。

既に一度目の挿入で大きく昂ぶっている彼女の心と身体は、既に異性と快楽を受け入れる為の雌の心身へと代わっていた。
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 00:22:27.29 ID:POkv/Uvq0
掠れた甘い声は俺の脳を迅速に融解させ、彼女の嬌声に合わせてうねって絡みつく彼女自身と相俟って抵抗しようもないほど俺自身が昂ぶる。

「ぐふ、んぅ……!」

俺の口からも耐えきれず荒い吐息が喘ぎ漏れる。

ヤバイ、もう、そんなに、保たない。

頭の奥底、そして逸物は「我慢する必要は無い」「我慢は身体に悪い」「出せば良くなる」そんな甘言を絶え間なく垂れ流す。

「ひっきぃ、んぉッ、ひっきぃのお、おちんちんが、ああ、あぃ、あつく、て、きもちいい……!」

意識してか天然か、熱に浮かされたような彼女の淫蕩な睦言は更に深度と濁りを増していく。

くちゅくちゅぐちゅぐちゅと、接合部から漏れる水音のスパンも細かく激しくなっていく。

既に俺の下半身の半分は、理性のコントロールから外れ独自に快楽を貪らんと動きを激しくしている。

出して良い、出せば良い。

それが一番俺に良い。

五月蠅い。そんなことは分かってる。

それでも俺が、俺だけが気持ちいいだけなら、そんなものは手前で握って擦るだけの自慰と何が違う。
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 00:25:29.23 ID:POkv/Uvq0
「あひ、はひ、ひ、ひぅ、ひっきぃ、あ、んむッ!」


押さえきれない衝動を無理矢理に縛り付け、彼女と唇を合わせ、閉じる前に無理矢理舌を口内へねじ込む。

驚いて固まったままの彼女の歯をなぞり、舌を強引に絡め取り、唾液を流し込んで混ぜ合って交じ合う。

せめて絶頂に向かってひた走ろうとする下半身の感覚を誤魔化し抑えんと言うせめてもの抵抗だが、効果は精々が意識を僅かに逸らす程度。

「んん、ん、んん、むは、むぅ……」

寧ろ、次第に自ら口中の交合を求めて行く彼女の動きが徐々に、確実に楔を解き放ちつつある。

じゅる、じゅるり、じゅるじゅる、唾液の混じり合う音。

ぐちゃ、ぐちゅり、ぐちゅぐちゅ、粘膜の擦れ合う音。

どちらも周囲に飛沫を飛ばして濡れに濡れ、肌同士の触れ合いにすら何かのフィルターを通してしまったような錯覚に陥り、胸中の焦燥ともどかしさが一層増す。

それを受けて悦楽に浸り刺激され尽くす逸物も、早く出せ早く出せ疾く出せと内側から本懐を溢れさせんとする。

もう本当に余裕が無い。
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 00:29:08.97 ID:POkv/Uvq0
「んちゅ、んむ……ふはッ、ひ、ひっきぃ!」

深い口づけを強引に引きはがした彼女の声。

「ひっきぃ!ひっきぃ!んひ、ひぃ!ひっきぃ!あたし、あたし、もう……!」

俺の名前を何度も呼び、それに合わせて細かく痙攣するように震える膣内……彼女も、もう幾ばく耐えられない。

「おれ、も……ぐ、ヤバイ……もう、出そう、だ……!」

最早加減する必要も無い、加減の仕方が分からない。

途切れなく響く交合の音は既に止まれなくなったことの証左。

互いに限界が近い。

ようやく出せる。

気持ち良くなれる。

今よりもっとずっと気持ち良くなれる。

待ちに待った瞬間への期待を同じくした俺の頭と下半身、そして苦しげで切なげに高まっていく彼女の顔はそんな根源的な欲望を俺と共有していることを理解させた。

しかし、

「い、いいよ、ひっきぃ!だして!あたしできもちよくなって!」

先に俺を受け止めることを彼女は主張し、

「ダ、ダメだ!さっきは俺だけだったから、今度はお前が先に!」

俺は彼女を先に上り詰めさせることを主張した。
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 00:32:37.83 ID:POkv/Uvq0
「やだ!やだぁ!ひっきぃだして!そしたら、あ、あたし、そのあとでいいからぁ!」

「おれも、イヤだ……結衣がさきに、イってくれよ……!」

すれ違い。

こんな時でも、目指す先が近くて明白で、もう動きなんて止められないのに、それでもズレる。

俺は彼女を気持ち良くしたい。

彼女は俺を気持ち良くしたい。

ただ相手を気遣ってというだけではなく、彼女は俺が果てるのを中で感じながら達するのが気を失いそうになるほど気持ちいいと言う。

俺も、彼女が達したのを肉の蠢動で感じながら果てると気が狂いそうになるほど気持ち良くなれる。

相手を気遣い悦んで欲しいのは同じで、でもその先には自分の喜悦があって、お互い目指す極致はそこにある。

偽善なのだろう。

醜い自己満足なのだろう。

だがそれで噛み合い絡み合って、ここまで俺達は続いてきた。

付き合う前から、それこそ出会った当初から変わらずすれ違い続けるのが俺達の在り方だった。

きっとこれからも、何より今この瞬間も。
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 00:35:57.87 ID:POkv/Uvq0
「あ、あ、あッ、や、やぁ! だめ、もうだめ、だめ、だめだよぅ……あたし、ほんとにもう! ひっきぃ、だからぁ!」

身体を侵す快楽も、心から溢れる情動も、もう止めどなく抑えきれないのだと彼女はその声で、汗で、涙で訴えかけてくる。

そんな彼女の最後の一手、左右に開いて俺の身体を受け入れていた両足で俺の腰を挟み込むように巻き付け、物理的に俺の退路を塞ぎ且つ俺自身を己の奥深くへ押し込み導いた。

「あぐぅ! うぅぅうう!」

「ちょ、おま……ぅあ!」

より内圧の強い深部へと導かれた俺自身に爆発的な衝撃が走り、それはより敏感な場所へ逸物を導いた彼女自身も同じだった。

自爆覚悟……否、そこまでの考えが彼女にあったかすら定かではない。ただ俺の為、自身の為、どちらも総取りにしようという安易で彼女らしい衝動がそうさせたのかもしれない。

そして、

「あ、ちょ、も、出」

この自爆は、彼女に功を奏した。

「で、でる」

もう制止も注意も出来ない、そんな間は存在しない。

一瞬下半身の筋力が全て弛緩し、直後張り詰めた全てがぶつり≠ニ切れ、ありったけの熱を彼女の中にぶちまけた。
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 00:39:31.50 ID:POkv/Uvq0
「あ、ああ、ああああ」

我ながら間の抜けた震える声と共に、逸物から全身へ絶頂の快楽が伝わっていく。

だがそれも僅かな間だった。

「!!!!」

俺の射精をそのまま直に感じ取った彼女は、

「うっ!」

ありったけの力を両腕と両足に込めて俺にしがみつきブルブルと震え始め、

「うぅ! ううぅ、うぅぅぅぅうぅうぅぅぅうううっ!」

呻くような嬌声と共に達した。

同時に、射精している俺の逸物を溶かし潰さんとばかりに彼女の膣が絡みうねった。

「んぐぁぁぁぁ……!」

射精している最中だというのに、まだ足りぬと搾られ出される。

三度目の途中で、四度目が始まったような錯覚。或いは本当にそうなったのかもしれない。

自慰、手淫、どれだけ濃厚な口淫ですらこうはならぬとばかりに長く続く射精。

「ひぅっ! あうっ、あぅぅぅぅぅぅぅっ!」

応じて彼女の中の痙攣も密度と濃度を増していく。

強い力で震えながらしがみつく彼女と間の抜けた弛緩と放出を続ける俺は、そのまま俺の肉棒と彼女の蜜壺の構図だった。

電流。

快楽。

身体中で迸り混じり合う物理的な信号と溢れ出る感情がない交ぜになって時間の感覚を引き延ばしていく。

実際は十数秒がいいところ、しかし数分にも数時間にも感じるような濃密な絶頂。

もう自意識すら彼女と混じり合って無くしてしまったのではと思い至り、そんな思考で以て俺はその絶頂が終了したことを悟り、同時に抗えない虚脱感に身を任せ、彼女の上にのしかかった。
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 00:43:09.04 ID:POkv/Uvq0
「は……はぁ……はぁぁぁ……」

長く抜くような俺の嘆息。

「ひっ……ひっ……ひん……」

しゃくり上げるように短く小さい彼女の吐息。

性感が高まるに合わせて存在を忘れていった汗が俺達の身体を濡らしている。

……あぁ、シャワー浴びなきゃ。

未だ行為の熱と甘く痺れの残る身体の感触を感じながら、それでも急速に正常な温度を取り戻しつつある思考が滑り濡れる身体の後始末の道筋を立て始める。

だが本懐を遂げ大人しくなりつつある本能もまた、行為の余韻と疲労からこのままの静止を訴える。

だから五月蠅いんだよお前ら、まだ終わりきってないんだから静かにしてろぃ。

「ひ……ひ……ひぅ……ぅぅ……」

彼女の息も落ち着きつつあるが、快感があまりに大きかったからか目の焦点が合わず、意識も朦朧混濁しているらしい。

未だ繋がったままの秘所は彼女の呼吸に合わせて緩やかに蠢き、それを感じ取る俺自身は性感よりも温もりを強く感じている。

彼女の体温はそのまま胸までせり上がって心を満たす。

快感を求める欲望も焦燥もなく、余韻が薄れると共に愛おしさが湧き上がる。

もう性衝動は無いが、それでもこの感情の証を立てたい。そう思えばこそ身体は自然と後戯に移った。
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 00:46:13.96 ID:POkv/Uvq0
「あ……」

彼女の身体を緩く抱き締め背中や足や髪を撫でつつ、唇は胸から首、頬まで口づけていく。

「はぁ……はふ……」

じゃれ合うよりもささやかな刺激を受け、彼女の息は整いその色は夢見るような甘さを含みつつあった。

「ね、ひっきぃ……?」

まだ少し呂律の怪しい発音で彼女が俺を呼ぶ。胸元を唇でなぞっていた俺は応じて顔を上げ、

「ん……」

間髪入れず、彼女の唇が俺の唇と合わさった。

さっきまでのように舌は使わず、ただ触れ合うだけの小さなキス。

たっぷり十秒の触れ合いの後に彼女は唇を離し、

「すき……」

そう囁いた。

心臓がくすぐられたように沸き立ち、落ち着かない。

恥ずかしく、嬉しい。

その返礼にと俺も万感の想いを込めて、

「俺も、愛してる」

そう呟いた。
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 00:49:33.81 ID:POkv/Uvq0




「『俺も、愛してる』」

「……」

「だって、えへ、えへへぇ……」

「…………」

行為から暫く、諸々の後始末を終え俺達は同じ布団の中でくっついている……全裸で。

季節的にはもう春だが三月の夜はまだ冬の面影が薄く残っている故、布団を被っても着衣はしようという俺のポイント高い気遣いの提案は却下された。

彼女……由比ヶ浜結衣は行為後の余韻をより長く感じていたいらしく、その為に直接肌の温もりを感じられるからと行為後の就寝に着衣は不要と幾度と断言している。

いやもう何度目か分からないくらいだから分かってるんだけどさ、でもやるだけやってその後風邪引くとかなんか馬鹿すぎて目も当てられないんですけど。

しかしこうと決めた女性の決意に男性の腐った部分の代表足る俺が対抗できるわけもなく、まぁ人肌が一番暖まるしな、という一応の言い訳で交渉は終了した。片方が一方的に譲歩しただけのやり取りを交渉と呼ぶかどうかは見て見ぬ振りをする。

今は行為と睡眠の僅かな間に存在する交流の時間、所謂ピロートークの最中である。

あるのだが。
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 00:52:44.26 ID:POkv/Uvq0
「お前なんなの? 俺の台詞コピって何したいの? 俺のこと辱めたいの?」

「えー、だって嬉しかったんだもん……愛してる、なんてさ、えへ」

……さっきからずっとこの調子である。

普段から悪いとは思っているが、結衣と付き合い始めて二年と経つ今でさえ、俺の童貞心丸出しのグラスハートは常日頃から睦言を避けるように自己主張している。

だって恥ずかしいんだもん、照れるんだもん。

以前の本物発言の後も相当に苦しみスーサイドな気分に陥ったものだが、彼女との行為の後、最中の熱に浮かされ歯も浮く台詞をリピートされてはこうして悶え苦しんでいる。

彼女からすれば貴重希少なデレた俺!みたいな感じで愛で回したいところなんだろうが、やっぱ恥ずかしいんだよこれをネタに強請りが成立しそうなくらいに。

そもそも週に何回ヤってんだってくらい(結衣限定の)ヤリチン状態の癖してなんで俺の心はまだ童貞を患ってんだよ。

チンコの皮剥けても心の皮は剥けないのと同じように、チンコが大人になっても俺自身が大人になるってことじゃないのか。大人の階段昇る、俺はまだシンデレラさ。
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 00:56:35.93 ID:POkv/Uvq0
「だからさ、もっと言ってよ……好きとか愛してるとか、いつでもどこでも、嬉しいから」

「あー、その、うん……大事なことは口にする度軽くなってくってスナフキンも言ってててだな」

「スナフキン? ムーミンの?」

「そうそうムーミンの。 彼の生き方は正にぼっちの理想、マスターオブボッチってなもんだから俺的には超リスペクトなの」

「スナフキンはぼっちとは違うんじゃ……」

「細けぇこたぁいいんだよ」

まぁ件の台詞は正直うろ覚えで、本当にスナフキンが言っていたかどうかも定かではないんだが。

とはいえ自由を標榜し、孤独を愛し、気ままな旅を続ける彼のライフスタイルは確かに俺にとって憧れであった。もう少しを欲を言えば旅でなくちゃんと家を持って引きこもっていたいが、スナフキンは持ち家否定派だったよな確か。

ともかく彼女も知っていそうなカリスマから言葉を引用すれば、普段の煙に巻く言い回しよりは誤魔化しの効果はあるだろうと踏んだ。

しかし彼女も食い下がる。

「……でも、あたしは大切なことは何度も口に出して、耳で聞いてたいな……そうしないと大事だってことを忘れちゃいそうだから」

「だよな、バカだもんなお前」

「うん、バカだから、あたし」

……場を砕こうと口に出した揶揄も、避けるどころか真っ向から受け入れる。

強くなった。なりすぎてちょっと怖い。
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 01:00:40.60 ID:POkv/Uvq0
「……大切なことは何度も聞いて、何度もやって、ずっとずっと忘れずにいたいんだ。 あたし、ヒッキーのこと好きだから」

「お、おう」

「だからね、もっともっと好きだって言って欲しい……そう言って貰えて、身体中でそれを感じられるから、もっともっとエッチもしたいよ……?」

何時の間にか背中に回された彼女の手にぎゅうと力が籠もる。

千葉県産柔らかメロンが俺の胸に押し付けらて形を変えるのが感触で分かる。

あー、あー、あー、拙い拙い。

これは落ちる、落とされる。マズイですよ!

恐ろしいのは、これが狙ったものではなく彼女が本心をぽろりと口にしただけの天然である可能性が濃厚ということ。

かつては素直に想いを伝えられず踏み込んでは避けられて、その末に自分の気持ちを無かったことにしようとした由比ヶ浜結衣。

そんな彼女だから、勝ち得た愛を失わない為に本能がそれを求め保持する最善手を打ち出し続け、それを実行し続けるのだろう。

何時からか棘が刺さったままの心臓が、ずきりと痛み、軋む。

半ば慢性化した幻痛に、未だ俺は慣れることができない。

きっと慣れてはいけないのだ。

「……いやでも、今日は流石にもう無理っぽいんだが」

「あ! いや違くて! 今すぐしたいってわけじゃなくて! また今度で、あ、明日にでも!」

「分かった、分かったから落ち着け、な?」

「う、うん……」

顔を真っ赤に伏せる彼女の様子があまりに可愛いらしく愛で回したい衝動に駆られるが、動けないし直視も出来ない。

何故って、多分……というか確実に俺の顔も燃え上がらんばかりに真っ赤になってるから。

これさっきのが一発で終えてたくらいなら彼女の言葉と感触でそのまま次戦に突入していただろう。言葉も態度も可愛らしいのに、醸し出す空気は吸うだけで酔っ払いそうなくらいに蠱惑的だった。

まだ肌を合わせて一年程度だというに、何時も間にここまでレベルが上がっていたのやら……。
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 01:04:21.37 ID:POkv/Uvq0
「……もう一年経つんだね」

あれ、心読まれた?

さとりなの?

お前そこで渇いてくの?

「ヒッキーがこの部屋で……一人暮らし始めて、もう一年だよ」

あ、そっちですか。

ちょっとほっとした。

「? どしたの、溜め息なんて吐いて」

「いやいや何でもないから気にすんな……思ったより早かったな、一年」

「そうだね……色々あった筈なのに、気付いたらみんな昔の出来事って感じになってるの」

「なんとなくだけど分かるな、お前が夏休みの自由研究に捕まえた蝶々の羽ばたきが発端になって総武高の治安崩壊が始まったのももう何年前かってくらい」

「大学の課題で自由研究とかそもそもなんで昆虫採集!? 総武も不良の学校になんてなってないよ!?」

「いやほらアレだよ、大学の懐の広さはお前の知的レベルにも合わせてちゃんとカリキュラムを組んでくれるって話」

「バカにすんなし! あたしだってヒッキーと同じ試験受けて合格したんだから! バカにしすぎだからぁ!」

「……裏口入学じゃなかったっけお前」

「大丈夫だって大小判押してくれたのヒッキーじゃん!」

「うるせぇな、もう深夜なんだから静かにしてろよ」

「煽ってるのヒッキーの方だからね!?」

……とまぁ、女性らしさとか色気を身に付けても変わらないところがあるのは安心出来るというか、溜め息の原因追求を煙に巻く為の誘導は見事なまでに嵌ってくれた。

このように、変わるものもあるし、変わらないものある。

どちらか一方に固執するでなく、どちらも受け入れ己の血肉にしていくこと。

それを教えてくれたのは、間違いなく目の前でぷくりと頬を膨らませる彼女だ。

思い出されるのは彼女と触れ合ったこの一年、俺達は一体どんな切っ掛けで今へ至ったのだったか――
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/01(火) 01:08:21.57 ID:POkv/Uvq0
プロローグこれにて了、そして今日の投下はここまでです。
次回から一年前の回想が始まります。
多分一週間以内には投下出来る筈なので、期待して下さる方はお楽しみに。
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/01(火) 01:10:37.91 ID:gdx1ixrSo
乙 やっぱ結衣ちゃんが一番ですわ 続き期待
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/01(火) 01:13:02.11 ID:ewUsidRfo
乙です!
期待します
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/01(火) 01:21:48.00 ID:xiix5PgAO
ええやん
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/01(火) 01:50:24.90 ID:irH8HGh9o
こういうのを待ってた
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/01(火) 01:51:48.59 ID:SdA8d4pAO
期待
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/01(火) 03:41:08.66 ID:8eGEiM7NO
乙です!
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/01(火) 07:32:27.65 ID:6mG1ji07O
神スレ
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/01(火) 08:23:48.49 ID:GEOrwPV0O
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/01(火) 12:51:46.81 ID:riRrcUzi0
やはりガハマさんこそ王道。期待
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/01(火) 23:28:40.16 ID:POkv/Uvq0
どうも>>1です
「潜在的需要は高いだろうに数の少ないガハマSSでエロやれば天下取れるぜ!薄い本はガハマ本が一番多いしなガハハハ!」
などとバカの欲望丸出しで書き始めたわけですが、それでも想像以上に反応が良くて寧ろ罪悪感に押しつぶされそうだぜヘヘ……
かと思えば別作者さんのガハマSSが同じタイミングで始まりあちらはこっちと比べものにならないクオリティで吃驚
『結衣「おかえり、ヒッキー」八幡「……いつまでヒッキーって呼ぶんだ」』は超面白いから皆読もう!

とまぁそれはさておき、上述の通り好感触がどうにも嬉しくて「一週間なんて待たせない、とっとと書いちゃうわ!」と
出来る限りの力を以て執筆してみるも流石に一日じゃ無理だなって……一日一沙希の人って凄いね本当
とりあえず八幡が一人でキモい独白やら回想やらする導入部だけ完成したんですが、こういうのって出来た端から投下してった方がいいんでしょうか
プロローグは全部完成してから投下しようと心に決めてたわけですが、こういうのってレスポンスが大事だと見る側としては感じるんですよねぇ

何かご意見ご要望あれば書き込んで下さいな、もしかしたら参考にするかも?
ともあれ宜しくお願いします
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/01(火) 23:35:13.30 ID:UpBg0+lAo
うぜえ
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/01(火) 23:36:48.09 ID:906IjMDao
とりあえず>>1のやりやすい方法でいいんじゃないか?
まとめて読むのがいい人もいれば短いスパンで少しずつ読むのがいい人もいるからさ

とりあえず自由にやっちゃってくれー
楽しみに待ってる!
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/01(火) 23:47:56.51 ID:5Ma03FH30
自分語り長いわwwww
まあ楽しみに待ってる
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/01(火) 23:50:27.13 ID:7DjTCb9LO
黒歴史になるので、自分語りは控えた方がいいですよ

エタらなければ、1が書きやすいようにしてもらって大丈夫です
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/02(水) 00:09:24.76 ID:aIZTHku8o
読者様は親切なんだよ
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/02(水) 01:04:30.18 ID:ypG/N1rVo
ピコーン

結衣「ヒッキー!またレベル上がったみたい!!」レベルタカーイ

こういう話かと
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/02(水) 01:08:35.46 ID:bQvbNWB30
なんともレベルが高いエロだった
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/02(水) 06:59:06.78 ID:fiF2q1j2O
SS本文の投下以外はいらないから
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/02(水) 15:22:10.63 ID:eJP3+8Sh0
自分語りとか寒いだけだからやめろ
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/02(水) 19:38:33.09 ID:g5M3cWNKo
どうも>>1です(笑)
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 03:08:12.72 ID:CNKyf2uO0
コピペになりそう
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 22:28:12.96 ID:PbcnGosb0
どうも>>1です。
まだ一話完成はしてませんが、調子に乗ってあれこれ書き加えてたら際限なく文量が増えてしまい一度の投下量が多くなり過ぎるもアレなので現時点でキリのいいところまで投下します。

あ、前半部分ってことでエッチなシーンはありません。
エッチなシーンはありません。大事な事なので二度以下略。
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 22:31:22.69 ID:PbcnGosb0
@由比ヶ浜結衣はまず触れるところから始める



「これで、よしッ……と」

安価な組み立て式の簡易本棚を組み終え一通りの家具は配置が終わった。

小物類は未だダンボールの中に収まったままだが、手強そうな物は大体仕留めた。他は追々必要に応じて出して行けばいい……という分かり易い怠惰フラグを立てる俺参上。

だって仕方無い、もう日が暮れかけてるもの。カラスが鳴いたら帰りましょうとお約束の時報が鳴り響いてるんですもの。

大きめの物は買わなかったとはいえそれでも結構な重量の荷物を運び続けて腕はパンパン足もダルダル。こういう時手伝ってくれる友達がいないからぼっちはつれーわーマジつれーわー。

……言わずとも手伝おうとしてくれた奴はいたが、いずれも細腕でそもそも手伝わせるのも憚られるような面子だった為、選択肢など最初から無いも同然だった。

正直進学後も実家に寄生する気満々だった為こういう苦しみを味わうつもりはなかったのだが、それでも苦境は一度乗り越えれば良い経験で、人生を彩る大切な教訓を残してくれる。

今回の場合は、そうだな……「もう二度と引っ越ししたくない」かな。

そんな益体もない思考は程々に、この後入り用になるテーブルとクッション、食器、今宵の寝床を用意して作業は終了だ。

そしたら一先ずマッ缶キメて、時間が来るまで仮眠でも取ろうか――
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 22:36:12.65 ID:PbcnGosb0
三月下旬、東京と千葉の県境に近いアパートで俺は一人暮らしを始めるところだ。

受験戦争は見事都内有名私大の席をゲットする大勝利に終わった。

俺自身多少通学に時間がかかっても実家暮らしの安心感を捨てる気は無かったのだが、普段よりも喜色の滲み出る態度で両親へ戦果報告をした際俺に対しての反応としては珍しく勝利の喜悦を共有しながらも「良い機会だからお前家出てけ」と開幕で顎尖端を打ち抜かれ俺は比企谷家のリ(ビ)ングに大の字で倒れたのだった。

その後なんとか8カウントで立ち上がった俺は、

・未だ不況を抜け出せぬ折、都内の一人暮らしを許容出来る経済的余裕は比企谷家にはあるまい
・そも一人きりの寂しさに耐えかねて家出をしたという前科を持つ小町を置いてはいけない

という伝家の宝刀ワン・ツーで立て直しを図ったのだが、それぞれ

・こういう時の為に放任気味になってでも二人で無理して稼いできて、その貯蓄がある
・ここで不良物件がいなくなれば結果的に負担も減って今よりずっと早出遅帰は抑えられる
・そもそも小町は生徒会入りしたお陰で帰りも程々に遅く以前のようなことにはならなかろう

という最もなカウンターを決められ同ラウンド二度目のダウンという瀬戸際に追い詰められ、件の小町が外野から

「一人暮らしなんて出来るときにやっとくべきだよお兄ちゃん! それに都内にタダで泊まれる別宅が出来るって思えば小町的に超々ポイント高い!」

と我欲を隠す気も無く興奮気味にラビットパンチを決めてきた為、俺は為す術なくKO負けを喫することになった。成功した者は皆すべからく努力しているけど俺はサクセス出来なかったよ会長……。

諦めて一人暮らしを受諾した俺の目の前でこれで何を憚ることなく小町とスキンシップを取れると某○る夫ばりに本音を隠せず喜んでいた親父に向けられた比企谷女性陣の凍てついた視線は今思い出しても胃がキリキリするぜ、潰瘍に鬱病不可避だろこれ……親父が。

まぁそんなこんなでさらば千葉よ!新たなる旅路!(バァーン)で第三部完ッ!して東京でダイヤモンドが砕けない第四部を開始するところなわけである。グレートですよこいつぁ。
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 22:39:38.42 ID:IUoYshERo
どうも>>1です。
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 22:39:43.00 ID:PbcnGosb0
「と、いうわけで! 改めて結衣さんとお兄ちゃんの合格、そしてお兄ちゃんの独り立ちを祝しまして! かーんぱーい☆」

「かんぱーい!」

「……乾杯」

「ンモーお兄ちゃんってば、今回比率的には主にお兄ちゃんの為の宴会なんだよ? もっともっとアゲてかないと! 結衣さんもいるんだから!」

「そうだよヒッキー! ひとり暮らしとかあたし超うらやましいもん! もっと嬉しそうにしようよ、テンション上げよ! ね!」

「んなこと言われてもなぁ」

比企谷八幡スレは基本sage進行でオナシャス。

設営完了から二時間後、僅かな仮眠で生気を蓄えた俺は部屋を訪れてきた小町と由比ヶ浜を迎え入れ、こうしてささやかな宴会に参加している。そのお題目は小町の言うとおりだ。

と言っても参加者は俺、小町、由比ヶ浜の三人という本当にささやかな内輪の飲み会(アルコール無し)の様相で、空回りだろうと何時ものノリを崩さない小町とそのテンションに付いていく由比ヶ浜、そして空気読む気全く無しの俺の組み合わせは開始時点から絶妙な空気を醸し出していた。良い空気とは言っていない。
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 22:43:17.67 ID:PbcnGosb0

「まぁお兄ちゃんは何時も通りのお兄ちゃんだから置いといて……ごめんなさい結衣さーん、本当は小町が料理作りたかったんですけど時間無いし、作るにしても不慣れなキッチンでの仕事になりそうだから今日は出来合いの惣菜ばっかりで」

「いいよいいよ、スーパーのお総菜も美味しいし、小町ちゃんにばかり作らせるのも悪いし……今日は小町ちゃんの進級祝いも兼ねてみんなでみんなのお祝いってことにしようよ!」

「うはー! 結衣さんやっぱり優しくて小町的に超ポイント高いですよー! これは何年後かには結衣『お義姉ちゃん』になってる可能性大かなー、なっててくれないかなー? ね、お兄ちゃん♪」

「お、おねえちゃん、て、えへ、えへへぇ……ヒ、ヒッキー、どうしよう?」

「……そこで俺に振るんじゃねぇよ」

女三人寄れば姦しい……とか温いこと言ってんじゃねぇぞ、この故事を作ったのは誰だぁ!二人で充分過ぎるくらい五月蠅いっつーの。

特に口やかましい面子とはいえ二人でこれなのだから本当に三人寄ったらどうなることやら。

去年見事に生徒会役員の座を射止めた小町曰く今日は一色も来たがったらしい。が、どうにも外せない用事があるらしく参加はお流れになったとか……正直助かった。それにあいつに住所とか知られるのは色んな意味でぞっとする。一年前の進級直後、もう奉仕部もないし俺も受験生だというのに生徒会活動の補助補佐雑用にと引っ張り回された日々を思い出し、あいつのことだから卒業生という実質部外者になった俺にも雑用を押し付けるために接触してくるのではないか……そんな悪い想像を巡らせる。
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 22:46:45.22 ID:PbcnGosb0

まぁ何事もなく受験を終えた身としてはこれらも良い思い出と言えなくもないし、色々と事情があったとはいえ結果的に生徒会長という重責を押し付けることになってしまった一色が、あの手この手で各行事をこなし生徒会長として成熟していく様を見るのは雛の巣立ちを見守る親鳥の気持ちというか、育て上げたモンスターが無双し始めるのを見つめる快感というか。

成長という概念に対して常に疑問符を貼り付けていた俺にとって、こうした一色の肯定的な変化は成長という現象を信用させるに値する力を、それこそ由比ヶ浜と同じくらいに持っていると今は思う。だから『良い思い出』なのだと。

そして思い出に裏付けされた感覚が、もっと深いところにあった感傷を呼び覚ます。

もしかしたら、一色ではなくこの場にいたかもしれない本当の三人目。

お互いに幻想を抱き合い、歪な共有でも同じ場所にすれ違いの希望を見出し合って、だからこそ離れた――離れざるを得なかった少女のことを、否応なしに思い出してしまう。

心臓が僅かに軋む。

刺さったままの棘が鼓動の震えで神経をかき乱す。

痛みじゃない、気持ちいいわけでもない。

それでも忘れ得ぬ、だからこそ忘れられない感覚。

俺の決断に涙を零しながら、それでも精一杯の笑顔で再会を誓い合った、誰より強いのに何より弱かったあの――
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 22:50:08.23 ID:PbcnGosb0

「……どしたのお兄ちゃん、難しい顔して」

「え、あ……わり、ちと考えごとをな」

「本当もうごみいちゃんなんだから……宴の席で嬉し泣き以外の渋面はNGだよ? ただでさえ顔面にハンデ背負ってるんだから、最低限愛想くらいよくしないとキャンパスライフって荒波は乗り越えられないよ?」

「お前が何で大学生活を語ってるんだよ女子高生……俺は大学でも悠々自適にボッチるんだからいいんだよ、つか顔面ハンデは流石に毒キツ過ぎて泣くぞ俺」

「思う存分泣けばいいと思うよ? そしたら結衣さんに慰めてもらえるし。 それに結衣さんと同じ大学に通えるのにあんまり変なこと言わないの。 ね、結衣さん?」

「…………」

「あれ、結衣さん?」

「え、あ! ごごごごごめん小町ちゃん! ちょ、ちょっと考えごとをしてて、あははー」

「んもーなんか微妙な空気……折角の宴会なんだから二人とももっとアゲよ! アゲましょう結衣さん! アゲアゲ!」

「か、唐翌揚げー!」

そうして二人は割り箸を握って惣菜の唐翌揚げに突き刺すと、立ち上がって疑似唐翌揚げ棒を掲げて邪神への祈りを捧げ始めた。ハーゴン倒したからシドーが来る!のか?

52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 22:54:17.51 ID:PbcnGosb0

あまりに阿呆丸出しな二人の様相に半ば呆れつつも、鬱々と沈み込むしかなかった思い出へのダイブから引き上げてくれたことには感謝の念を抱く。口に出せば思い出の内実へ話が及びかねないから、決して口には出さず、なるべく顔にも出さないよう努める。

そして、今はカラ元気でカラ揚げを掲げる(旨味ギャグ)由比ヶ浜。

恐らく彼女の思考もまた俺と同じところへと沈みかけていたのだろう。きっと俺の顔から、感情の匂いから俺の裡側を察し、互いに共有した傷を撫でてしまったのだ。

俺と彼女の傷は場所も深さも、きっと痛みの質も違う。

それでも同じ時間に同じ原因で以て刻まれた傷を持つ者同士、思うところも察するところもある……感受性が高く他人の傷や感情に敏感な由比ヶ浜であれば尚更だろう。

……俺は一体何をしているのだろう。

俺の選択は、決断は、彼女――由比ヶ浜結衣の涙を見たくなかった、その為のものだった筈だ。

彼女の笑顔を守る為のものだった筈だ。

なのに彼女は気が付けば暗い部分へ沈み込むような顔をして、その原因は俺の迂闊さに他ならない。傷付くところを見たくない、傷付けたくないとこんなにも願っているのに。

否、以前から……それこそ彼女との関係が始まった一番最初から、彼女を傷付けていたのは俺だ。俺だけが由比ヶ浜結衣の心を無神経に踏みにじっていたのだ。

53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 22:57:11.81 ID:PbcnGosb0

一年前、進級前の俺達に訪れた転機。

比企谷八幡と由比ヶ浜結衣は、大切な場所と引き替えに互いの想いを受け入れ合った。

しかしここ一年は受験もあって学生らしい交際は控え、ただ目的地に辿り着くために切磋琢磨し奮闘した。

それが受験勉強を言い訳に、変わってしまうかもしれない彼女との変わってしまった関係を直視することから逃げたということなのだと、俺は今もそれを否定出来ずにいる。彼女と寄り添うことを決めたこと自体が、ただ自分へのダメージを最小限に留めるための方便であった可能性も。

かつて居場所を共有していた二人の少女は、それぞれが持つべき物と目指すべき場所を抱えて前へ進んだ筈だ。

だのに俺だけは大事な約束と大切な感情の重さに足を取られ、ホームの廃墟、その出口から一歩も踏み出せずにいた。

54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 23:00:28.03 ID:PbcnGosb0

「それでですね、いろは会長が声かけただけでコロッと態度変えちゃうわけですよ! 男の人って単純ですよねー」

「はー、相変わらずなんだねいろはちゃん……」

宴もたけなわ、というか料理を食べ終え後は残ったジュースとお菓子を消費するだけという段になって幾分二人のトーンは落とされた。

そんな二人の会話を傍で聞いている俺は洗い物の真っ最中である。

普段なら小町が率先してこういう些事は消化するしそれに触発される形で由比ヶ浜も手伝いを主張するだろうが、未だに自罰的で鬱々とした思考の抜けきらない俺はただ何もせずにいることの方が億劫で、二人を抑え込んで強引に仕事を受け持った。

何にせよ仕事を肩代わりしてもらったこと自体は嬉しかったらしく俺の行動はポイント激高だったようだが、お約束の様に各種洗い物道具を買い忘れていたことでポイントは大幅に下落し増加前より下回る結果となった。ちなみに小町は道具一式惣菜と一緒に買ってくれていたらしくそれに助けられる形で今こうして仕事に没頭出来ている。やだ……八幡的に超ポイント高い……。

二人が口を付けているコップを除いて全ての食器の洗浄は終了し、学生の身分ではそろそろ……という時間だ。終電の危険は無いし二人の実家とそう極端に遠い場所ではないが、それでも歳頃の娘を男の一人暮らしの部屋(一日目)に何時までも置いておくもんじゃない。何より、同じく気持ちが沈み込むにせよ関係した相手と同席した状態よりはまだ一人の方がマシだ。またしてもぼっち最強が証明されてしまった、敗北が知りたい……勝ったこともないが。

55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 23:03:33.39 ID:PbcnGosb0

「……んじゃもう遅いしお開きにしようぜ、送ってくわ」

「えー、まだ結衣さんと……ってうわ、もうこんな時間? ちょっとはしゃぎすぎちゃったかなー」

「隣室から壁ドン(誤用)されなかったのが不思議なくらいのはしゃぎ振りだったぞお前ら、あんまり遅いと俺がどやされるんだからこの辺で切り上げとけ」

「そだね、じゃあ家捜しはまた今度にして帰りましょうか結衣さん」

「おい今何か不穏な単語が」

「気のせい気のせいベッド下とか本棚が二重になってるとかそんな分かり易い期待なんかしてないから……結衣さん?」

「え、あ……そだね、もう遅いもんね」

かくいう由比ヶ浜、チラリと俺を見て目が合うと真っ赤になって慌てて顔を逸らした。逸らした先には彼女が通学に使っていた見慣れたリュックがあり、チラチラそれと俺とを見比べている。

……これ、さっきの俺起因で態度がおかしくなってるの引き摺ってるってわけじゃないよね。何か期待されてるよね。かなりストレートなヤツを。

56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 23:07:27.51 ID:PbcnGosb0

「そうそう未成年はとっととゴーホームだ、東京は怖いとこだからな知らんけど」

彼女の期待に、俺は応えられない。少なくとも今は応えるわけにはいかない。

だからここは由比ヶ浜が踏み込んでこない内に先手を打つに限る。ここは諸々有耶無耶にさせてもらうしかない。

普段の人懐こさから押しの強いイメージがある由比ヶ浜だが、その実他人のテリトリー意識には敏感で決定的に踏み込むことを躊躇してしまう節があり、犬は犬でもご主人様の許しがなければ甘えたりおねだりも出来ないナイーブな犬なのだ何それ可愛い。だから主導権さえ渡さなければ流れはこちらでコントロール出来る筈だ。

筈だった。

だがこの場にいるのは俺と由比ヶ浜だけではない。

小悪魔が一匹、もじもじと顔を赤くする由比ヶ浜とそれを見て見ぬ振りする俺を見比べ、

「……ふふーん?」

などと可愛らしくも悪戯っぽい微笑みを浮かべてみせた。

57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 23:11:07.85 ID:PbcnGosb0

「あーそういえば結衣さん今日はお兄ちゃんとあんまりお話出来てないですよねー」

「あ、そ、そうだねー、ちょっと残念だけど」

あ、こいつの考えてること分かったわ。わざとらしく棒読みで話を振る俺の妹がこんなに小憎らしいわけがない……小憎らしくない?

「おい小町とっとと帰る支度を」

「お兄ちゃんはちょっと黙ってて」

アッハイ……じゃねぇ、今は拙いんだってマジで!

そんな俺の焦燥など知らぬとばかりに、寧ろ知ってて泥沼への野道を切り開いていくマイシスターである。煽りをやめてー小町をとめてー。

「紆余曲折を経て愛し合うようになった二人が碌に触れ合えないまま引き離されてしまうなんて小町耐えられない! 結衣さんもこのままお兄ちゃんと離ればなれなんて嫌ですよね? ね?」

「あ、愛し合うって……」

小町の言葉に首まで真っ赤にして口元を抑える由比ヶ浜さんマジ可愛い。マジ可愛い。大事な事は反復するのが流儀である。あと小町、流石に表現が大袈裟過ぎてわざとらしいんだよ減点だ減点。

「と、ゆーわけーで! お兄ちゃん、今晩は結衣さんを泊めてあげなよ!」

58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 23:14:08.38 ID:PbcnGosb0

「は?」

ハァ!?と別に吃驚したわけでなし、この展開は予想済みでありだからこそ避けたかったのだけども……だが実際耳にすると幾分軽くはなっても驚きは素直に口から漏れ出た。

そして俺以上に露骨に反応したのは由比ヶ浜だった。知ってた。

「えぇぇえぇ!? ここここ小町! ちゃん! ななななな、何言ってんのっ!」

「いやいや結衣さん小町には分かってますよ? 単に引っ越し記念パーティってだけじゃそういうリュックは必要ないですよねー……お泊まりグッズ入ってますよね? 最初から期待してましたよね?」

ニヤニヤ意地悪く笑う小町。やめろ、今その気遣いは俺に効く。やめろ。

「な、なんで分かるの小町ちゃん!?」

お前もそんな分かり易い反応するんじゃないちったぁ誤魔化せ。あと気付いた理由は小町ちゃんと言ってるから人の話は聞いときなさい。

「大好きな彼氏のお引っ越し、離ればなれってわけじゃないけど開いてしまう距離、それが寂しくて側にいたくて衝動的にお泊まりの準備して、でも口に出せなくて……いや可愛らし過ぎて小町もドッキドキですよ!」

「あぅ、あぅぅ……」

もうこれ以上は赤くなれないってくらいに赤くなってあうあう口から漏らす由比ヶ浜さんがしつこいようだがマジ可愛い。略してマジカワ。あんまり略せてない。

59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 23:17:12.88 ID:PbcnGosb0

しかし本当に可愛い。可愛すぎて理性とか決意とか土台からガタガタになってる、これ以上はダメだ耐えられない。ここは多少強引にでも、実力行使やむなしと押しきるしかない。

「おい小町、いい加減に」

「黙りなさい」

「はい……」

弱ッ、俺弱ッ!

いや普段の小町からは考えられないような凍てついた視線と声色なんですよ。小町……何時の間にそんな冷たい目が出来るようになったの……比企谷家は暗殺一家じゃないんで嬉しくもなんともないです。

そういやこれに近いの親父が喰らってたっけ。アレ、俺の扱い親父と同じになってる?俺ピンチ!

「とまぁそういうわけで愛し合う二人を邪魔するのも悪いから小町だけ先に帰るねー大丈夫小町はお兄ちゃんと生徒会のお陰で強く逞しく育ったから一人でも生きていけるよ心配しないでそれじゃー二人ともまた今度ー!」

「あ、オイ!」

と引き留める俺の言葉は擦りもせず、思わず赤光を幻視するくらいの早送りであっという間に支度を整えた小町は赤い残像を残して部屋から出て行った。界王拳かトランザムか、世代的には後者かな。あいつガンダム全く見てないけど。

60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 23:20:10.81 ID:PbcnGosb0

そんな小町の正しく暴走した諸動作に二人して呆気に取られること二十秒、それでも内心どうしたものかどう対処するかと思考を巡らせていると、横合いから視線を感じた。教室にいると四方八方から何時でも蔑視を錯覚する敏感ぼっち肌!というのは今回関係無い。

熱っぽい視線。もどかしく、嬉しく、恥ずかしい、そんな感情を向けられているという確信。

横合いをチラリと見れば、案の定由比ヶ浜は座り込んだまま俺の顔を見上げていた。顔は赤いまま呆けたように、それでも僅かに不安か期待で先を思い、患う乙女の表情で。

「ヒッキー」

甘い、響き。

「ッッ!?」

ぞくり

どくり

背筋、寧ろ脊椎の中身を直接撫でられるような直接的な寒気と電流。

心臓、仕掛けられた爆弾を起爆されたかのように跳ね上がる熱と鼓動。

普段彼女に対して感じている日だまりのような暖かさであるとか、さっきまでの女の子らしい可愛さとか、気付けば擦り込まれていた印象が紙切れのように感じられるほど、今の由比ヶ浜の姿は容易く俺の脳と心臓に焼き付き、無理矢理に居場所を確保した。

61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 23:23:58.58 ID:PbcnGosb0

心臓に突き刺さった棘が杭になってガタガタと震え出す。

上行大動脈か何かが傷付いたような錯覚、心臓から血液という血液が噴き出し流れ落ちていく幻覚。

拙い。マズい。まずい。

中学の時分、もう二度とそうあるまいと誓って封印した欲が、鍵付きの鎖を引き千切って自意識の水面へ浮かび上がろうとしている。

かつての俺ならば、こんな状況でも勘違いだ何だと屁理屈強弁捏ねくり回して誰の評価なぞ知ったことかと逃げ出すことも出来たろう。だが今はもう、何が大切な物で、誰が大事な人なのか、自分で自分を誤魔化すことが出来なくなってきている。

俺は弱くなった。二年前から続くあの日々は、弱くなければ乗り越えられなかった。

そんな弱くなった俺が、大事な人と一晩同じ部屋。

都合の良い未来の妄想と起こり得る悪い現実の想像、二つがかけられた秤がシーソーのように上がり下がりを繰り返している。本能の語る明るく幸福な未来の話は弱者にはあまりに魅力的で、本来ペシミストの俺が理性の語る悲観をまともに把握出来ずにいる。

62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 23:27:09.98 ID:PbcnGosb0

でも……ダメだ、それだけはダメなんだ。

悲劇の可能性がゼロにならない限り、俺はきっと踏み出してはいけない。無責任という荷物を、今の俺は背負いきれない。

今の俺がどれだけ間違っていて、どれだけ情けない醜態を晒していたとしても、これ以上は間違えられないし醜い姿を見られたくない。

彼女にだけは、由比ヶ浜結衣にだけは。

だから堪えろ、押さえつけろ。これは彼女の為であると同時に俺自身の為なんだ。

由比ヶ浜の存在によって解放された欲求を、由比ヶ浜の存在によって強固になった理性で抑え込む。

落ち着け、俺は冷静だ。クールだKOOL。

他者から向けられる親愛情愛が勘違いでないとしても、それを受けて行う俺自身の行動が勘違いでない保障など無い。事故っても恋愛保険なんてないんだからな、十対零の一方的過失で破産待ったなしだクソったれ。

考えつく限りの最悪の展開をあれやこれと脳髄に叩き込み欲の色に染まりかけた自意識を沈静させる。胸に手を当て、暴れ回る早鐘を大人しくさせる。

63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 23:30:13.79 ID:PbcnGosb0

落ち着け、何時も通りだ。簡単だ。

顔筋が硬直し、眉が寄って顰めた顔になっているのが自分でも分かる。

「……ヒッキー?」

彼女の声が、俺の表情に戸惑いを覚えて聞こえるのも。

心配するな。

あと少し、あと少し。

あと少しだから。

……………………。

…………。

……。

よし。

64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 23:33:39.83 ID:PbcnGosb0

「由比ヶ浜」

不意に何時もの顔に戻った……筈の俺を見て、声を聞いて彼女はびくりと反応した。

気にしないで手を差し出す。

「早く立てよ、送ってくから……今ならまだ小町とも合流できるだろ」

OK、何時も通り。鏡を見れば俺の目は何時もの様に活力を感じさせない死体のそれと同じになっているだろう。

彼女の手を握って立ち上がらせたら早いとこ小町と合流してあいつの罵詈雑言とか冷たい目を上手いことやり過ごして二人を家まで送ってダッシュでここまで帰ってきて何も考えないように布団を頭まで被って今日のことは眠って忘れよう。

座ったままの彼女が腕を上げるのを見て、予定通りと安心する。

65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 23:36:46.60 ID:PbcnGosb0

安心していたのに。

彼女は差し出された手をスルーして、指先で俺のシャツの袖を摘み、淡い力で引っ張った。

「え」

「ヒッキー」

彼女が俺の顔を見上げ、俺の目を見つめてきた。

さっきの表情から呆けた色が消えて瞳が潤み、濡れた表情になる。

心臓が、止まる。

そして、不意打ちで完全に無防備になった俺に打ち出されるトドメ。

濡れて、震える、掠れた声で、

「あたし、まだヒッキーと一緒にいたい……帰りたく、ない」

殺し文句

その字面の意味を、俺はこの時身を以て知った。

66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 23:40:59.72 ID:PbcnGosb0
前半はここまでです。
後半(エロ有り)は早ければ日付変更何時間後か、それが無理でも明日の昼か夜には投下出来ると思います。

しかし我が文ながら読みづらい、もちっとテンポとか改行とかSS用に意識した方がいいみたいですねー。
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/03(木) 23:45:52.24 ID:PbcnGosb0
あと単にコピペしただけの筈なのに変な文字が追加されてるところが。

唐翌翌翌揚げ×
唐翌揚げ○

です。
これもsagaで防げるヤツなんでしょか。
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