魔法使いに遭えなかった灰被り

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1 : ◆Q/Ox.g8wNA [sage saga]:2016/05/29(日) 04:26:47.96 ID:TSoDzUbO0
モバ○スSS??です。

胸糞展開注意。

直接性描写は無いですが、エグい表現あります。

書き溜め途中までなので、気長にお付き合いいただけると幸いです。
2 : ◆Q/Ox.g8wNA [sage saga]:2016/05/29(日) 04:27:40.83 ID:TSoDzUbO0

「○○ーっ、○○は居るか??」

デスクのはるか向こう側から、部長が俺の名前を呼ぶ声がした。

一介の平社員である俺が、直属の係長や課長なら兎も角、部長に直接声を掛けられる事はあまりない。

一体こいつ何をやったんだ、と同僚達の興味と憐みが綯い交ぜになった視線を背中に感じながら、部長の元まで歩いて行った。

重い足取り、気分は刑の執行を待つ被告人だ。

不思議だったのは部長ですら、一体こいつ何をやったんだ、と言う視線を俺に向けてきた事だ。
3 : ◆Q/Ox.g8wNA [sage saga]:2016/05/29(日) 04:28:15.12 ID:TSoDzUbO0
「○○・・・、本社の社長がお前を名指しでお呼びだ、何か心当たりは有るか??」


有る訳がない。 


自慢する訳ではないが、俺が務める会社は巨大グループの一角を占めるそこそこの大企業である。


その本社の社長となると、正に雲の上の人物。 

俺程度では聞いても全く価値の分からない勲章やら何やらを貰うほどの、
実感も何も沸かない程かけ離れた世界の住人だ。


当然、俺の30年ほど生きてきた人生の中で、関わり合いになったことなど一切無いと断言できる。


唯一心当たりがあるのは、小学生の頃、親とお年玉を半分渡すの渡さないので喧嘩した時に、

「お前は橋の下から拾ってきた子だ」

と言われた事があるので、それを満々信じるのなら社長が本当のパパかも知れないと言う事だけだ。
4 : ◆Q/Ox.g8wNA [sage saga]:2016/05/29(日) 04:28:50.95 ID:TSoDzUbO0

「全くないです」


困惑を隠しきれずに断言すると、部長は軽くため息をつき、

「まぁ、有るにしても無いにしても…、とりあえず先方はお前をご指名だ。くれぐれも失礼が無いようにな。
 場合によってはお前は勿論、私を始め何人のクビが飛ぶか解らん」

部長は、そう強烈な脅しを入れて俺の前に名刺を差し出した。


本社社長の名の入った名刺だ。

ただの名刺なのだが、何だかキラキラに輝いて眩しく見えるのは気のせいだろうか。


両手で受け取ると裏にはバーらしき店の名前と住所、そして日付と時間が書かれていた。

5 : ◆Q/Ox.g8wNA [sage saga]:2016/05/29(日) 04:29:23.48 ID:TSoDzUbO0
名刺に書かれていた日時、場所の指定通りに向かうと、六本木のとあるバーに辿り着いた。


中に入るとまずその雰囲気に圧倒された。


映画か何かでしか見た事が無い様な高級感溢れるバーで、カウンターですら何か近寄りがたいオーラを放っている。


壁に並ぶ酒は、大学時代に洋酒にハマって色々知識を仕入れた悪友が、
ウンチクたっぷりに披露してくれた知識の記憶の中でも、とびっきりのレベルの逸品が惜しげもなく並べてある。


俺程度の年収のサラリーマンが通ったら、三日で楽々破産出来そうだ。

6 : ◆Q/Ox.g8wNA [sage saga]:2016/05/29(日) 04:29:53.40 ID:TSoDzUbO0
居心地悪くカウンターの端に座り、礼儀正しく話しかけてきた初老のバーテンダーに社長の名刺を見せ要件を告げると、
バーテンダーはしばらくお待ちください、と慇懃に一礼して何かお作りしますか、と俺に尋ねてきた。


普段通っている飲み屋の注文の常識が全く通用しそうにないので、苦し紛れに、

「ウィスキー、お任せで」

と告げると、バーテンダーはかしこまりました、と一礼し、琥珀色の液体をグラスに注ぐと俺の前に運んできてくれた。

一口、口に運んだだけで何時も飲んでる安酒と格が違うのが分かる、芳醇な香りとコク。

値段は怖いので一切考えない事にした。
7 : ◆Q/Ox.g8wNA [sage saga]:2016/05/29(日) 04:30:25.22 ID:TSoDzUbO0
そんな全く酔えない酒盛りを重ねていると、後ろの方から待たせたね、と言う重々しい声が聞こえて来た。


振り向くと、そこには高級そうな仕立てのダブルのスーツに身を包んだ太めの老紳士が、
隣に眼鏡の素敵な知的な美女を連れて立っていた。


老紳士の方は一方的に知っている。 

俺程度のリーマンでも知っている政財界の超大物、我が社の本社社長様だ。


「急に呼び立てて、悪かったね。今日は、こちらの方が君に用が有ると聞いてね」


と、隣の眼鏡美女をスッとエスコートした。


高そうなスーツに身を包んだ眼鏡美女はニコッと微笑んで俺に一礼した。 

その一連の動作だけでも俺は目を奪われ、ドキドキしてしまった。

8 : ◆Q/Ox.g8wNA [sage saga]:2016/05/29(日) 04:31:03.87 ID:TSoDzUbO0
言い訳させて貰えるならば、彼女の笑顔が何故か俺にとても親しみやすい、どこか懐かしい人間に会えた様な、そんな笑顔に
見えた、と言うのはあまりにも節操がなさすぎるだろうか。


俺と言う人間がこんなにも美女に弱いというのは新鮮な驚きではある。


ドギマギしているその俺の心中を知ってか知らずか、社長は眼鏡美女の紹介を始めてくれた。


「キミも聞いたことあるだろう?? 今年のノーベル賞で最年少で科学賞を受賞した日本人の天才がいると…」


それならば聞いたことが有る。

一時はニュースや新聞はその話題で持ち切りだったのだ。


「はい、何でも全く別の世界を観測できる装置を作り、パラレルワールドの実証に成功したとか…、確か…」

「そう、そのプロジェクトの中心人物が、この博士だよ」と、改めて隣の眼鏡美女を紹介した。


眼鏡美女は改めて一礼すると、名を名乗り、手を差し伸べて来た。

慌てて手を握り返すと柔らかく暖かい。 考えてみれば仕事仕事で女性の手を握るなんて何年ぶりだろうか。

これほどの美女ともなると、生まれて初かも知れない。
9 : ◆Q/Ox.g8wNA [sage saga]:2016/05/29(日) 04:31:33.39 ID:TSoDzUbO0
それにしても驚いた。 


世紀の大発明と言われ、世界中にニュースを振りまき、今でも超一線の研究の第一人者が
こんなにも若くて、しかも美女だとは。

これほどの重要人物ならば、大企業のトップである我が本社社長が仲介するのはむしろ当然とも言える。


しかし、ただの平サラリーマンに過ぎない俺に博士を引き合わせる意味が、現時点でもまったく想像も付かない訳だが。



俺が尚も戸惑っていると、本社社長は眼鏡美女、いや、博士と二、三言葉を交わし、

「では、後はよろしく頼むよ」

と俺の肩をポンポンと叩き、そのままバーから去って行った。

優雅に深々と頭を下げる博士とは対照的に、訳も分からずペコペコと頭を下げる俺、
傍から見たらいかにも不釣り合いで滑稽だろう。
10 : ◆Q/Ox.g8wNA [sage saga]:2016/05/29(日) 04:32:17.72 ID:TSoDzUbO0
本社社長が完全に姿を消すと博士は俺に向き直り、

「久しぶり…ではないのね、はじめまして。…ふふっ、何時も思うけど何だか変な感じね」

と、いたずらっぽく微笑んだ。

その物言いに引っ掛かりを覚えたものの、その微笑みに出会ってから数分で既に何度目かの恋に落ちた俺は、

「え、ええ、はじめまして??ですよね?」

と、顔を赤らめ、間抜けに問い返した。


こんな美女に出会えた事など一切記憶にないので、はじめまして、に間違いはないのだが。


言うと、博士は、

「ええ、初めて会うわね、この世界では。」と言い、カウンターに座る様に俺を促した。

言われたとおりに座ると博士は椅子の上で足を組み替え、バーテンダーに慣れた感じで自分の飲物を頼みんだ。

「この世界、と言うと…」俺が聞くと、

博士は頷くと、運ばれて来たカクテルでまず喉を潤し、説明を始めた。
11 : ◆Q/Ox.g8wNA [sage saga]:2016/05/29(日) 04:33:13.20 ID:TSoDzUbO0

「まず、私は今、別の世界を観測出来る装置を研究しているの」

「はい…確か、限定的ながら成功して、パラレルワールドの観測に成功、ノーベル賞をお取りになったとか…」

「ええ、今は本当に近い、誤差に近い範囲のパラレルワールドしか観測できないけどね? 
いつかはもっと変化の激しい別の世界、例えば全く環境に気を使わなかった世界とか、
テロリストを野放しにした世界とかを観測して、色々な平和に向けた取り組みに
説得力を添える装置にしていきたいわね」と、博士は熱く語った。

「素晴らしい研究だと思います」

心の底からそう思った。あまりにもスケールが大きすぎて、いまいちピンとは来ないけれども。

博士はありがとう、と微笑むと、

「で、ココからが本題なんだけど…」

と声のトーンを一つ落として、申し訳なさそうに語り始めた。

「今は、更に変化の大きい別世界を観測するために色々な世界を観測してデーターを取ってる段階なんだけど…、
極めて現在の世界に近い世界で大変興味深い世界を観測したのよ…」

『興味深い世界??」

俺が問うと、博士は恥ずかしそうに、


「わっ、私が…アイドルをやってる世界…」

と声を振り絞って答えた。
12 : ◆Q/Ox.g8wNA [sage saga]:2016/05/29(日) 04:33:55.73 ID:TSoDzUbO0
「ア、アイドル…ですか。。」

「やっぱりおかしいわよね、私がアイドルなんて…」

博士は顔を真っ赤にして俯いてしまった。

「そんな事ないですよ!!博士は美人ですし!アイドルやってても絶対成功しますって!!」

俺が力強く告げると、博士は、キョトンとして、

「ふ、ふふっ、そう、よね。流石ね、やっぱりこの世界でもアイドルを見る目が有るわ。貴方」

と、嬉しそうに微笑んだ。

「アイドルを見る目…ですか??」俺が聞き返すと、

「そう、貴方、向こうの世界ではアイドルのプロデューサーなのよ、ふふっ、相当敏腕らしいわよ??
向こうの私も貴方に見出されてスカウトされたらしいの」

と、博士は楽しそうに語ると、軽くウィンクをした。

13 : ◆Q/Ox.g8wNA [sage saga]:2016/05/29(日) 04:34:24.71 ID:TSoDzUbO0

「俺が、アイドルのプロデューサー…何だか想像もつかないですが…」

「私だってそうよ、あんな近い世界に自分がアイドルになってる可能性があるなんて」

言うと博士はカクテルグラスを手に取り、心底不思議そうな顔つきをしながらグラスの中の液体を揺らした。

「でも、自分で言うのもなんだけど、その世界の私、アイドルで結構売れていたのよ?? 
まあ、その分忙しいのか肝心の研究はあまり進んでなかったみたいなんだけど…」

分かる気がする。さっきも言ったが、博士はこの美貌だ、アイドルとしても十分成功するだろう。

特別、別の世界の俺が有能な訳でもない気がするが、それが原因でこんな美人とバーで並んで会話出来る機会が出来た訳だし、
自分で自分を褒め称えてやりたい気分になった。

「それでもね、この世界で曲がりなりにも大成功と言われる成功をおさめた私なんかより、よっぽど素敵な顔をしていたの、
向こうの世界の私。
それで私…不思議に思ってね、最近ではその世界ばかり観測してたわ」

「あの世界の私が何でそんなに幸せそうなのか色々調べてみたの、純粋な興味でね」
14 : ◆Q/Ox.g8wNA [sage saga]:2016/05/29(日) 04:34:58.08 ID:TSoDzUbO0
確かに興味深い話だ。 

別の世界の自分が明らかに自分より幸せそうに暮らしている。 
違いが何か気になるのは人のサガと言うものだろう。

「分かるような気がします」

俺も見れると言うなら見てしまう気がしていたから、率直にそう答えた。

「でも…ココからが問題あってね…」

博士は、その美しい眉を微妙に歪め、何やら申し訳なさそうな表情になった。


何だろう、すげぇヤな予感がする。

15 : ◆Q/Ox.g8wNA [sage saga]:2016/05/29(日) 04:36:19.47 ID:TSoDzUbO0
「曲がりなりにも一つの世界を観測するのだから、自分一人だけの手じゃ足りなくなって来たの。
でも、別世界とは言え、自分の周りの行動をプロジェクトのスタッフに見られるのは流石に抵抗があって…」

確かに。

違う世界とは言え、自分の全てを見られる訳だ、確かに抵抗感は半端じゃないだろう。

博士が妙齢の美人と言う事もあり、希望者には事欠かないだろうが。

「でね、私思いついたの。向こうの世界のアイドルの時の同僚達の、こっちの世界で暮らしている人を探し出して、その人本人を観測して
貰えば大量のデーターが取れて研究が捗るんじゃないか、ってね。」

「なるほど…確かに」

別世界とはいえ本人ではあるし、プライバシーは守られそうだ。 

「でも何が問題なんですか??データーもとれそうだし、問題なさそうですが」

俺が問うと博士は、

「ええ、研究自体は順調に進んだわ。データーも目論見通り大量に取れたしね、でも・・・」


「でも??」
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