モバP「痛くなければ覚えませぬ」

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102 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/20(月) 21:45:26.56 ID:ISQHSrEc0
美優「…Pさん? 何を悩まれているんですか…?」

P「えぇとですね…もし初めてならかなり痛いと思うんですけど、それだとできるだけ準備をしておいてなるべく痛みが少ないようにした方が美優さんにとってだけでなく男にとってもいいのかなと。
 あまりの痛みに泣きまくられると流石に萎えちゃうかもしれませんからね。
 う〜んでも、襲うような男だったら気にしないか…?いやでも……」


状況が定まらず思考が空転する。
どちらでも良いといえば良いのであるが…。


美優「あの…もしPさんなら…どうしますか…?」

P「えっ? 俺ですか…? って、俺が襲うっていう前提がまず無いですが…」

美優「そっ、その前提は…一旦置いておいて…」

P「そういうことであれば、なるべく美優さんの痛みを減らすようにするに決まってますね」

美優「ぁ……♥」


美優「じゃ、じゃあ今回はその…なるべく痛くない方のケースでいいんじゃないでしょううか…?」

P「むむむ…。美優さんがそうおっしゃるなら、そうしましょうか…」

美優「はい…お願いしますね…Pさんならどうするか、教えてください…♥」


P「ん、では…。スカートとパンツを脱がされて、もう完全に一糸まとわぬ姿になってしまった美優さんですが、ついに股に手を触れられてしまいます。
 しかし、思ったほどの湿りは感じない。そこで美優さんがまだ経験がないということを聞き出して納得し、それならばと気持ちよくなれるように手伝ってやろうと男が言います」

美優「Pさん…優しい……」


P「…美優さん、勘違いしてはいけませんよ? 美優さんを気持ちよくしてやろう、なんていうのは優しさでもなんでもないですからね? 
 これは単にもう絶対に美優さんを手籠めにできるという確信からの余興であり、あなたをより乱れさせるための布石なんですから」

美優「は、はい…分かりました…」
103 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/20(月) 21:46:40.99 ID:ISQHSrEc0
P「そこで襲い始めてから頭に上りっぱなしだった血がいくらか冷め、ぐったりとした美優さんを改めてねっとりと視姦します。
 美優さんの美しい体…まだ味わっていない個所がたくさんあるじゃないか…」

P「髪、おでこ、鼻、頬、顎、耳、首、うなじ、鎖骨、肩、腕、手、腋、腹、太もも、膝、脛、脚指、足裏、ふくらはぎ、背中、尻…」

美優「………」ゴクリ


P「そのすべてにキスをして、舌を這わせ、噛みつき、美優さんの美しい体を汚していきます」

美優「ぁ……♥」


P「男に触れられるたびに嫌悪感がこみ上げてくるでしょうね。
 体中に塗りたくられた男の唾液はしばらくすると乾いてくれますが、そうなると臭いを放ち始めます。美優さんも自分の体から発しているとは信じたくないほどの悪臭です」

美優「P、さん……」ピクピク


P「男自身もその唾液の臭いに気付き…下ごしらえはもうここまでにしよう…。
 さあ、湿りはどうだろうか…?」

美優「はぁ、はぁ、んっ……」


P「嫌悪感と不快感しかなくても、あれだけ執拗にやらしく刺激されればこうなるのも無理はありません。
 だから仕方ないんですよ、美優さん? 襲われているのに、ここをこんなにグズグズにしてしまっても…」

美優「ぃゃぁ……これぇ…ほんとに…♥」
104 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/20(月) 21:48:36.53 ID:ISQHSrEc0
P「もうこれ以上湿らせる必要はない。
 そこで男は服を脱ぎ捨て、その象徴が美優さんの目の前に…それを美優さんの大事なトコロの入り口に当てがって…」

美優「ぁ、ぁぁ……」


P「美優さん? このまま入れちゃっていいんですか? 何か忘れていませんか?」

美優「ぇ…?」


美優「…ぁっ、ひ、にん…しないと…」

P「そうですねぇ。でも、聞いてくれると思いますか?」

美優「ぅ……で、でも…できちゃう……」

P「大丈夫、中には出しませんから。これで出来たなんて話は一度だって聞いたことがありません。
 美優さんは聞いたたことあります?無いですよね? 外で出せば良いだけなんです。
 だから、このままでも大丈夫ですよ?」

美優「そ、そうなんですか…? Pさんがそうおっしゃるなら……」


P「……」


P「……ぐじゅ、という音を立てて男のモノが美優さんの肉を掻き分けてめり込んでいきます。
 たっぷりと濡れいていたので抵抗はほどんどありません」

美優「ぅぁぁ…Pさんっ……♥」


P「それでも、少し入ったところに何か引っかかるところがありました。
 どうやらそれが初めての証拠らしい……男の腰に力が入りました」

美優「はぁ、はぁ……」



P「ぶちぶちぶち……」

美優「んぁぁぁっ!?」ビクンッ
105 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/20(月) 21:50:02.46 ID:ISQHSrEc0
P「その痛みがどれほどのものかなんて分かりません。個人差が激しいものでありますし。
 激痛を感じる人もいれば、大して痛みを感じない人もいるでしょう。
 もしかしたら軽い痛みの後すぐに気持ちよくなれるような人もいるかもしれませんね」

美優「ぁぁ…Pさん、のが……Pさん、Pさん、Pさん……♥」ブルブル


P「初めての刺激に震える美優さんに遠慮するような男ではありません。
 男自身を更に美優さんの中へ中へと押し込んでいきます。
 美優さんの奥でごつんという壁に当たるのを男が感じ取り…そこからはひたすら前後運動が始まります」


P「まだ痛みに耐えている美優さんなどお構いなしに、自分の快楽のためだけに腰を動かし続けます。
 ぱんぱんぱんぱん、と間抜けな音が美優さんと男の接合点から響きます。
 …美優さん、知ってますか? 本当に『ぱんぱん』って音がするんですよ? 
 いえ、たっぷり濡れていたらもっと酷い音だってしちゃいます」

美優「ゃぁ…そんな…っ、やらしぃ……♥」


P「尚も腰を振り続けます。腰をがっしりと掴んで奥に叩きつけるようにしたり、
 ふるふると震える胸を揉みしだきながらしたり、美優さんに覆いかぶさって抱きしめてキスしながらしたり…
 美優さんは痛みなのか快感なのか自分でもわからない大きな刺激に頭の中をぐちゃぐちゃにされて、抵抗らしい抵抗はもう…
 いえ抵抗するという考え自体もう浮かんできません」

美優「ぁぁだめ…Pさん…Pさぁ…んっ♥」
106 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/20(月) 21:51:22.73 ID:ISQHSrEc0
P「おや、男の腰の動きが止まりました。そして入ったまま棒を軸に美優さんの体を回転させ、うつ伏せにされてしまいます。
 でも腰は雌豹のようなカーブを描いて膝立ちの男の腰と繋がっています。
 いわゆるバックですね。…この体勢は、効きますよ?」

美優「んっ……」ゴクリ


P「向き合っていた時には擦れなかったところが擦れ、さらに深いところまで抉られて、しかもその勢いはこれまでよりもずっと強い。
 それも当然、さっきまでは動いていたのは男の腰だけでしたが、この体勢は男だけでなく美優さんの腰も前後に動かせるんですから。
 ほとんど二倍の勢いで腰と腰、それと、棒と壁がぶつかり合うことになるわけです」

美優「ぅ…そ……」


P「美優さんの大事なトコロの奥の一番大切なお部屋を男の一番汚い部分で乱暴に『どんどん』ってノックされちゃうんですよ? 
 …想像できます?」

美優「ふぁぁ……そ、んな…壊れちゃう……♥」


P「どずん、と。さっきまでとは全くレベルの違う衝撃が美優さんを貫きます。
 それは下腹部だけじゃなく、背骨と脳髄も一緒に貫かれたと錯覚するほど。初めての美優さんは一発でノックアウトでしょうね。
 体の自由はなくなり嵐が過ぎるのをじっと待つようにただ震えていることしかできません。
 それなのに男は美優さんの腰を掴んで自分の腰の動きとは正反対のタイミングで前後に動かして、与え得る最大の刺激を美優さんに与えてきます」


P「ばちゅん、ばちゅん、ばちゅん…」

美優「ひっ…ぐぅぅぁああん♥」
107 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/20(月) 21:52:49.30 ID:ISQHSrEc0
P「ふと、美優さんの顔を見てみれば…嗚呼、止め処なくあふれてくる涙と鼻水と唾液で汚れ表情筋も引き攣って、
 いつもの穏やかで綺麗な顔の面影はどこにもありませんでした。
 これを見てしまうと最早男にとって美優さんは不可侵だったアイドルでもなんでもなく、ただの『入れれば気持ちのいい肉のオモチャ』のように思えてきて…
 俺は必死に腰を振ってやってるのにお前はアンアン呻くだけかよ、と身勝手な思考をするかもしれません」スッ

美優「そっ、んな…ひど、いぃぃいいん……っ♥」


P「そういえば、肉がほぐれてきたからか締りも最初のキツさと比べると物足りなくなく感じる。
 『やっぱりそうだ、手を抜きやがって…、ほら、しっかり締めろ!』」

美優「そんな…どうやって……むり…ですぅ……」


P「…業を煮やした男が、手を振り上げ勢い良く振り下げた次の瞬間、大きな乾いた音が響きました」



P「ばちん!」

美優「ひぐっ!?」ビクン



P「…と、いう音は美優さんのお尻が叩かれた音です。手のあとがくっきりと残るくらい強く叩かれた痛みが、
 ぼやけていた美優さんの意識を一気に覚醒させ、それと同時に意思とは無関係にアソコが縮み上がるようにして男のモノをぎゅっと締め付けます」


P「ぎゅっとしたところにズボズボとされると鮮烈な刺激が美優さんの脳を溶かして…でもそれだとアソコの力が抜けてきて…また、ばちん!」

美優「ふっ、ぐぅうぅう……♥」ピクピク


P「抜き差ししては叩いて、叩いては抉って、押し付けながら叩いて…
 お尻の痛みさえもただのジンジンという感覚としか感じなくなるころには、美優さんの頭は完全に壊れて動物のような呻き声をあげているんじゃないですかね」

美優「も…やめ…てぇ……」ピクピク
108 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/20(月) 21:54:08.17 ID:ISQHSrEc0
P「バックも十分愉しんだし、そろそろか……と、男がまた美優さんを動かし、初めと同じ向き合う体勢になりました。
 美優さんのドロドロになった顔を見ながら男が下卑た笑みを浮かべ、腰を突き入れます。…ぐじゅっ!」

美優「あぁぁぁん゛♥」


P「『気持ちいいのか?美優?』男が訊ねてきます」

美優「……んっ」


P「『気持ちいいのかって訊いてんだろうが!』」

美優「ひっ…!? や、やめて……そんなこと、訊かないでください……」


P「『おら、気持ちいいって言え!ほら!言え!言え!』」


P「男は言葉に合わせて激しく腰を動かしてきます。これはおそらく美優さんが言うまで続きます。
 だから言えばこの激しい腰遣いもひょっとしたら収まるかも…」

美優「くっ…ぁ…………」

美優「ぅ…き、もち…いいです……」


P「『あぁん!? 何言ってっか聞こえねぇぞ!?』より一層激しくぶつかる腰…」

美優「きっ、きもちいいですっ! きもちいい、キモチイイ!」


P「男が満足げにニヤつきながら腰の動きを緩めました。……どうですか? 言葉にしてみたら何か変わりませんか?」

美優「…ぅそ……ぃや…これほんとに……っ」


P「男の腰の動きがまた早まっていきます。ぱちゅんぱちゅんぱちゅん…」

美優「ゃ…んはぁ♥ きもち…いいっ♥」


P「『どこが気持ちいいんだ!?おら、言ってみろ!』」

美優「んっ、あ、アソコがっ…気持ちいいですっ…♥」


P「『何が気持ちいいんだ!?』」

美優「P、さんのぉ…お、おひ…んひ…んぁっ♥」



P「……」
109 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/20(月) 21:55:43.83 ID:ISQHSrEc0
P「……美優さん、その男をよく見てください。ほら、よく見て…。ソイツ何か持っていませんか…?」


バックのくだりあたりからずっと取り出して美優さんに向けていた携帯を振って見せてみる。


美優「へ? ぇ? 何…それ…? 何してるんで……っ!?」


トロけて朱の差していた頬が一瞬で青くなる。


美優「ぅそ…さっきの撮られて……?」


P「美優さん…残念ながらこれでもう一生この男に脅され続けることになりましたよ?」

美優「ぃゃ…ぅそ…ぅそ…」ガタガタ


P「美優さんの裸、繋がっているところ、襲われて気持ちよがるヘンタイだって宣言しているところも、
 男のがキモチイイって白状しちゃったところも全部全部撮られちゃいました。
 このデータをチラつかされると、朝だろうが夜だろうが家だろうが外だろうが男に命令されればどこでも股を開かなくてはならなくなりましたよ?
 もうこうなると普通の幸せなんて絶対手に入りません。その後の人生はずっとその男に骨までしゃぶりつくされるだけのものです…」

美優「ゅ、ゆるして…ゆるしてください…ゆるしてください…っ」



P「こんなに良いオモチャ、手放すと思いますか?」

美優「おねがい…ゆるしてぇ……」




P「……だめでしょうね」

美優「ぅ…ふぐっ……ぅぅぅ〜〜〜」
110 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/20(月) 21:56:57.35 ID:ISQHSrEc0
P「最低な男にとっては美優さんの涙だって興奮材料でしかありません。より苛烈に美優さんの中を抉ってきます」

美優「ぃゃぁ…もうゆるして…んはぁっ♥ ゆるしてぇ…♥」


P「激しくぶつかり合う腰と腰…男の息遣いも激しいものになってきました。
 腰の動きはどこかぎこちなく、それでも力いっぱいに我武者羅に打ち付けてきます。
 男も呻き声を上げ始めました…男の絶頂が近いようです」

美優「んはぁっ…早く、抜いて……っ」


P「耳を貸さずより一層激しさを増す動き…。美優さん、抵抗できますか?」

美優「くっ…ら、らめぇ…力はいらな…ぃ…」


P「男は力の限り腰を動かし、肩で息をし、目は血走って……美優さんの腰をがっちりと掴んで奥の奥まで突き入れました。
 敏感であれば一瞬膨張するのを感じ取れるかもしれません。そして……」

美優「ぅそ…外で…出すって言ったの…にぃ…っ!?」





P「……出ました」

美優「ぃやぁああああ〜〜〜〜♥♥♥」ビクビクッ



P「奥で弾ける感覚が美優さんのお腹を汚していきます。美優さんの中にジクジクと広がっていく男の体温…。
 たっぷりと出し引き抜いた後、濁った液があふれ出してきたところを記念とばかりにまた動画に収められました」



美優「ゃ…もう…撮らないで……♥」ピクピク

111 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/20(月) 21:58:23.48 ID:ISQHSrEc0



P「と」



P「いう感じですね。男を勘違いさせるようなことをしちゃうとこんなことになりかねないんです。
 分かりましたか、美優さん?」



脳内でこれまでのおさらいをしているのだと思うが、ソファに仰向けになったまま、目を閉じて手を胸の前で組みフルフルと体を震わせている美優さんは、やはりとてもいじらしく可愛らしい。


美優「は、ぁい…♥ よくわかりました、Pさん…♥ たいへんなことになるんれすねぇ…♥」


P「では、ちょっと長くなってしまいましたが帰りましょうか? 立てますか?」

美優「ぁ…まっへ、いまPしゃんに、さわられたら……!」


寝そべる美優さんを起こしてあげようと手を取ってあげたのだが…。


美優「ふぁ、あっ、あっ、あっ……んあっ♥♥♥」ビクン

P「? 美優さん、もしかして風邪ですか? 今日は暖かくして寝てくださいね?」


P「ほら、車まで肩、お貸しますよ」

美優「うぁ、あぅ、あっ、だめっ…たれちゃう…たれちゃうぅ……っ♥♥♥」




プルプルと震え続ける美優さんを半ば背負うような形で事務所を後にした。

112 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/20(月) 21:59:22.38 ID:ISQHSrEc0
三船美優 編 終わり
113 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/20(月) 21:59:54.48 ID:ISQHSrEc0
次の話は明日投下予定です
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/20(月) 22:10:14.02 ID:mviMsHPAo
違う……こう……違うんだけど……素晴らしい
おつ
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/20(月) 22:14:37.04 ID:aWPJYBP2o
いいな……本当にイイ……楽しくエロいってやっぱ最高やな!
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/20(月) 22:24:32.89 ID:pl5KWcRNo
やってないのにこの臨場感

チンビン神
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/20(月) 22:25:33.85 ID:UhfCkA170
イランイランってすごい
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/20(月) 23:40:22.22 ID:9vZ4gNgso
言葉責めなんてチャチなもんじゃねえ…
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/20(月) 23:42:40.59 ID:FvAH93Oso
こんなドSの変態野郎を遣わしてくださいまして有難う御座います
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/21(火) 10:56:39.80 ID:0dsEiKbt0
Pの構成力も流石だが、美優さんの感受性豊かな妄想力半端ないな…
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/21(火) 20:18:23.56 ID:yPYJxKrMo
明日になったぞはよせい
122 : ◆ao.kz0hS/Q :2016/06/21(火) 21:56:39.33 ID:YYpuyXGO0
始めます
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/21(火) 21:57:56.81 ID:usG0hSfCo
待ってた
124 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 21:58:25.57 ID:YYpuyXGO0



きぃ


と遠慮がちな音を立てて事務所のドアが開かれた。


「P…いる…?」


猫一匹がちょうど通れそうなドアの隙間から問い掛けとともにひょっこりと顔を出したのは佐城雪美だった。


P「お、雪美か。お疲れ様。仕事の報告か?」


雪美「うん…」


トコトコと一直線に俺のデスクに駆け寄る雪美を見て、いつものように椅子を引いて俺と机の間にもう一人分のスペースを作った。


雪美「ん…」


雪美も慣れたもので、俺の膝の上に横に座り背中に腕を回して抱き着くまでの動きに無駄がない。


P「それで、仕事は上手くいったか?」

雪美「うん…だいじょうぶ…」
125 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:02:19.74 ID:YYpuyXGO0
P「よしよし、それは何よりだ。えぇと…今日の雪美の同伴者は誰だったっけか…」


雪美に限らず年少のアイドルについては一人で現場に行かせるということは勿論なく、
マネージャーも兼任している俺かもしくは共演する大人のアイドルが同伴しているのだが、それは誰だったか…。
その人からも雪美の様子を聞いておかないとな…。


P「あっ」


今思い出した。
もし仮に覚えていたのならば雪美を膝に乗せるようなことはしなかっただろう。

体中の汗腺が一気に開いていくのを感じる。


P「ゆ、雪美?すまんが膝から下りてくれないか…?」

雪美「まだ…だめ…。まだPに…撫でてもらってない…」

P「あああ、後で。後で撫でてやるからな? だから今は下りて? な?」

雪美「……」ギュッ


俺の切なるお願いは雪美に受け流されてしまったようで、俺の背中に回した彼女の腕の力がむしろ強くなってしまった。
こんなにも俺に懐いてくれているいたいけな少女を強引に引きはがすことなど無理だ…。
だが、こうしてこのままホンワカしていると…幼い少女とホンワカしているところをアノ人に見られると、その直後に全くホンワカできない状況に陥ってしまうのは確実。


P「雪美ぃ、頼むよ…。でないと…」





「でないと、どうなるのかな? Pくん?」



P「ひぃっ!?」
126 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:04:02.20 ID:YYpuyXGO0


手遅れだった…。

一体いつの間に忍び寄っていたのか?
すぐ背後から投げかけられたその声は、字面としては軽やかなのだろうがその実、問答無用の重い響きがあった。

視界に細腕が映ったと思った瞬間その腕が視界を塞ぎ…。



   ぎし……っ!!!


P「ぐぁっ!!?」


俺の顔面に絡みついた腕がウインチにつながったワイヤーロープのように頭蓋骨を締め上げ始める。
自分で意識するよりも咲に絡みついた腕に降伏のタップを繰り返していた。


P「さ!早苗さん!! まっ、てぇ!ぐぅぅぅぅ!!!」


タップ!
タップ!
タップ!してる!!
タップ!してるのに!!
片桐早苗のヘッドロックは一向に解かれる雰囲気はない!
骨が軋むような音が脳内に響いているのは錯覚だろうか?


早苗「こんなにぃ、ちっちゃな子をぉ、膝にのっけてぇ、何のつもりかなぁ〜♪」


  ぎしっ、ぎちっ、ぎちっ、みしっ


フレーズに合わせて腕の力に緩急がつけられる。
その度に俺の口からは言葉にならない呻き声が情けなく漏れ出た。


早苗「女の子とそんなに触れ合いたいならぁ〜、お姉さんが抱きしめてあげちゃう♪」ギュゥゥゥ

P「ぎぃいいいいっ!!!!?」


ウインチのモーターの回転数が更に上がる。
ふん♪ふん♪という早苗さんの掛け声とともに腕が絡みついている方とは逆側の頬辺りに若干の柔らかさを感じ…ない…感じない!
痛いだけだ!!

目を覆われて真っ暗なはずの視界に火花が走っている。
気付けばタップする手さえも動かせなくなっていた。


早苗「ん〜? もうギブアップ〜? 情けないなぁ〜♪」
127 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:07:07.62 ID:YYpuyXGO0
激痛が何故か消えた。
何故だ?
あ、放してくれたのか。

そういうことか。
そうだよな、当たり前だ。


P「うっ…、ぐ……っぅ…」


まだギシギシ鳴っている頭を振り目を開くと、心配そうにのぞき込む雪美の顔があった。


雪美「P…かわいそう…まだ痛い…?」

P「ぅ…いや、もう大丈夫だ。心配いらないよ」


まだ残る痛みを努めて無視して平静を装うが、どれだけ繕えているかははなはだ疑問だ。


雪美「…いたいのいたいの、あっ…」グイッ

早苗「ほぉ〜ら、雪美ちゃんもいつまで乗ってるの。そういうのダメっていつも言ってるでしょ?」

早苗さんが雪美を抱きかかえ俺の膝から下した。

早苗「Pくんもこんなちっちゃな子を膝に乗っけてニヤニヤしてんじゃないわよ! いい加減にしないとタイホするわよ〜」

P「はい…。申し訳…ありません…」


雪美はこう見えてかなり強情なところがあるから膝に乗せないとロクに話してくれないし、そもそもこんな小さな子に抱き着かれたところで何か邪な気持ちを持つわけない。
だがその辺りのことをいくら早苗さんに訴えたところで理解してもらえるとは思えないし、ひょっとしたら言い訳するなと更なる折檻が待ち構えているかもしれないので敢えては言わない。
だが…。


P「あの、早苗さん…。最近その…俺へのシメ方がキツくなってるような気がするんですが…?」


彼女からの折檻の痛みが日に日に増していっているのはおそらく気のせいではない。
以前は痛いながらもまだ早苗さんの豊満な胸の感触にドキドキする程度の余裕はあったのだが、最近は痛みの方が絶望的なまでに圧倒的だった。


早苗「え〜? そんなことないわよ〜? 仮にそうだとしても、そもそもPくんがちゃんとしてればあたしもそんなことやったりしないんだから♪」

P「うっ……だとしても、さっきのは流石に痛すぎます! 頭を潰されるかと思いましたよ…」

早苗「あはは、な〜に言ってんのよ♪ あんなので頭が潰れるわけないでしょ。頭蓋骨って結構丈夫なんだから♪ 
 それに、あたしは限界はちゃんとわかってるから。怪我させたことなんてこれまでもないでしょ?」

P「それは…そう、ですが…」


とはいえ頭蓋骨が粉砕する直前まで痛めつけられても困るが…。


早苗「んも〜細かい男はモテないぞ? ほらほら、こんなことより仕事の報告! この後、久しぶりに女子会すんのよ♪ 
 さっさと報告終わらせて行かなくちゃ」

P「あぁ、もう…お願いしますよ…ほんとに…」

早苗「はいは〜い♪」


P「…はい、では報告をお願いします」
128 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:08:12.33 ID:YYpuyXGO0

――――
―――
――



誰もいなくなった事務所で書類作りを続ける。
あの後、早苗さんに深酒しないよう注意してから見送り、雪美を駅まで送ってからはずっとPCに向かっている。
そして同僚も一人帰り二人帰り…自分しかいない事務所というのは昼間の騒がしさが嘘のように静まり返り、だからこそ書類仕事に関してはこの時間からが本番だ。

誰にも邪魔されずに企画案を入念に練ることがでk…


  がちゃ! ばたーーん!!!


P「!!??」ドキッ


突然ドアが激しく開かれる音が響き俺の心臓を縮み上がらせた。
なんだ!? 
強盗か!?
こんな事務所にたいした現金なんて置いてないぞ……!?


P「……」ゴクリ


デスク上に積み上げられた書類の陰から侵入者に気付かれないようにドアを見やると、姿を現したのは強盗にしては小柄で……というかあれは……。








早苗「あははははーーーー!!! Pーーーくーーーん!!! やってるーーー?!!」





夜の事務所の雰囲気にまったくそぐわない大声を出しながら入室してきたのは、一目見て酒に酔っていると分かる顔色の早苗さんだった。
129 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:09:28.05 ID:YYpuyXGO0
早苗「お! いた〜♪ んん〜? そんなとこで何してんの〜??」

P「い、いえ…ペンを落としたので拾っていただけです…」


強盗から隠れようと机の脇に膝をついていたのだが、誤魔化して立ち上がる。
ビックリして損した…。
というか、こんな時間の強盗なら静かに入ってくるか。ははは…。


P「飲み会はもう終わりですか? 早苗さんは明日オフなのできっと朝までコースだろうと思っていたんですが…」

早苗「もう〜聞いてよ〜。瑞樹ちゃんたちとそのつもりで飲んでたんだけど、急に医者との合コンに呼ばれたとか言って他のみんな引き連れて行っちゃったのよ〜。
 薄情だと思わない?」


アイドルが合コンて…。
いや、『瑞樹さんたち』といえばアノあたりの層の人たちか…。
となるとアイドルとはいえ彼女らの男女関係に外野が口を挟むのは野暮だろう。


P「そ、そうですか…。早苗さんは行かなくてよかったんですか?」

早苗「あたしが行くと人数合わなくなっちゃうらしくてね〜」

早苗「それに…『アンタは必要ないだろ』って……」チラッ

P「?」


P「いやまぁ、大人の方たちのソウイウコトについては会社としては干渉しない方針ですが、合コンに参加しないでいただけるならそれに越したことはありませんので…。
 それにしても事務所には何をしに来たんですか?」


早苗「……」



早苗「はぁ……」

P「?」
130 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:10:32.09 ID:YYpuyXGO0


早苗「Pくん、ウチまで送ってってくんない?」


あぁ…そういう…。


P「え? 終電はまだ先ですよね?」


もし早苗さんの家が俺の家と同じ方面にあるのなら終電の有無に関わらずまったく構わないのだが、生憎と正反対の位置関係にある。
以前、終電を逃してしまった彼女を送っていった時には結構な時間がかかったのを思い出した。
だから電車があるうちは自力で帰ってもらいたいのだが…。


早苗「いや〜あのね? お酒に酔って足元がフラフラしちゃってね〜? これじゃ帰れないわ。だから、おねが〜い♪」


さっきまで確かだった足取りをわざとらしくフラつかせながらそう言う彼女に、少なからず苛立ちを感じてしまう。
そのお酒だって自分が好きで飲んでいたのだろうに…。
だが、ここで無下に断ると後がこわい。
仕事前にへそを曲げられるのも嫌だし、早苗さんならば直接的な暴力に訴えてくる可能性もある。
つまり彼女にお願いされた時点で、はじめっから俺に拒否権はありはしないのだ。
はぁ…。


P「はい、わかりましたよ…。ただし、あと30分は待ってください。キリのいいところまでやっておきたいので」

早苗「やたっ♪ ありがとPくん♪ じゃ、あっちで待ってるからね〜〜♪」


ソファのある方へ向かう彼女の後ろ姿を見送ると、またため息を漏らしてしまった。
131 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:11:33.72 ID:YYpuyXGO0

――――
―――
――



急ピッチで書類を作成する。
早苗さんのことだ、30分といったら20分くらいで痺れを切らしてくるに決まっている。
そうなった彼女に付き合っていると余計時間がかかることは明らかなので、さっさと終わらせてしまおう。


P「……」カタカタカタカタカカタ

P「……」カタカタカタカタカカタ

P「……」カタカタ…スン…


微かなアルコールの香りが鼻をくすぐる。

ほら来た…。


早苗「どう〜? もう終わる? お姉さん待ってるの飽きちゃった〜♪」

P「……はい。ちょうど終わったところです…」


背後から声をかけてきた早苗さんに振り返りもせずそう答え、PCのシャットダウンボタンをクリックした。


P「ふぅ……」ノビーー

早苗「お疲れ様♪ 頑張ったキミにはお姉さんがハグのご褒美をあげよう♪」


気付けばすぐ後ろにまで近づいていた早苗さんの言葉に、早苗さんが言ったのでなければ純粋に嬉しかっただろう言葉に、数時間前の痛烈な記憶が思い起こされた。


P「!? ちょっと、まっ!??」


デジャヴ。
彼女の腕に視界を奪われその数瞬後に…。



   みしみしみしっ……!!!

P「ぎっ!?」
132 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:12:45.84 ID:YYpuyXGO0
振りほどく間もなくヘッドロックが開始されてしまった。
いつもに比べればまだそれほどでもない締め付けであるが、最早顔面にしっかりと食い込み、逃げるというよりかは許してもらうという選択肢の方が現実的である。


P「…っ!!!??」


まだ締める力がそれほどでもないのは確かだが…何故か、早苗さんの体に押し付けられている右側のこめかみが異常なほど鋭く痛み始めた。


P「いっぃぃいいいいいったぁあああ…っ!!!??」


非常事態を伝えようと出した声は自分が出すつもりだったものよりもずっと大きかった。
それにしても何なんだこの痛みは!?


早苗「なによ、大げさに痛がっちゃって。まだちっとも力入れてないわよ?」

P「な!! なにか! こめかみがぁっ!!」

早苗「…私に抱きしめられるのがそんなに嫌なの? なんでよ…」

P「お!ぐぅぅううう!? おねがいしま!! やめっ!!」

早苗「なによなによ! ……えいっ!!」


   ぎぎゅぅぅぅぅ!!!


P「〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!!!!」


あ、わかった。
コレ、ブローチだ。
今日女子会だからって普段よりおめかしした早苗さんの胸元についてたブローチだ。
その固い突起部分がおれのこめかみを押しているんだ。
さっき強まった締め付けで角がさらに俺の頭に食い込んで食い込んで食い込んでえええええええい
たいいたいだああああああいいいいいかどととおおおおほねねねえええがあああああこすれてええ
えええええええああああああああああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛やめろおおおお゛お゛お゛お゛お゛!!!!!」ジタバタッ


早苗「ひゃっ!?」
133 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:13:47.56 ID:YYpuyXGO0
無我夢中で顔面にへばりつく腕を振り払う。
何か叫び声のようなモノをあげていたかもしれないが必死すぎて何が何だかわからない。
目をパチクリさせている早苗さんと目が合った。


P「はぁ〜はぁ〜……くっ……!?」ズキッ


そうだ、こめかみ!
何か刺さってないか!?
もし何か頭に刺さっていたとしたらそもそもこんな思考自体浮かばないのだろうが、確かめるのが少しこわい…。
それほどまでにさっきの痛みは激しかった。


   ぬるっ


P「痛ぅ……っ」ズキズキッ


まだ痛む右のこめかみに恐る恐る触れてみると、流石に何かが刺さっているということはなかったが、ぬるりとした感触があった。


P「血……?」


指先が赤くなっている。
しかしそれは出血というほどのものではなく、どちらかというと滲み出るという方が近い。
別の指で二度三度触ってみると付着する血の量はみるみる少なくなった。
とりあえず一安心だろう…。


早苗「あっ…ブローチ……」


今頃気付いたらしい。
ため息が出そうになる。
怒りを通り越して呆れてきた…。
もう早く帰りたい。
ああ帰ろう。
帰って酒でもあおって忘れてしまおう。


早苗「ごっ………ごめんねぇ〜おねぇさん、ブローチしてるの忘れてた〜…。あはは…」

P「はぁ…」

早苗「ぁ…。まだ…痛む…?」

P「……もう、いいです……。早く帰りましょう」


まだ何か言いたそうな彼女を置いて鞄手に取り、事務所のドアに向かっていく。
134 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:15:00.35 ID:YYpuyXGO0
早苗「ちょ、ちょっと待ちなさいよ…」グイ


ドア近くの簡易的な応接スぺ―スの前で彼女に腕を掴まれ強引に彼女の方を向かせられた。


早苗「これは…皮一枚がめくれただけね…ほっ…」

早苗「ごめんごめん〜♪ あんまり痛がるからちょっと驚いちゃったじゃないの♪」


やめろ…。


早苗「こんなの全然大したことないじゃない♪ 血だってもう止まってるし」


やめてくれ…。


早苗「お詫びにおねぇさん直々に絆創膏貼ってあげよっか?」


せっかく一回りして忘れていた怒りが、彼女の自己中心的な能天気さに沸々と蘇ってきてしまう。


P「…要りません。さ、帰りましょう」


このつっけんどんな態度は自分でも大人げないとは思うが、今の俺にはこれが精一杯だ。


早苗「ま、待ちなさいって! あたしも謝ってるでしょ!?」

P「だからもういいですって。早く帰らせてください」


ったく、何がしたいんだこの人は…?
もういいって言ってるのに、蒸し返してどうすんだよ!?

構わずドアノブに手を掛けようとしたのだが…。


早苗「ふ、ふんだ…。ちょっと血……血が出たくらいでそんなに怒っちゃって…」


ほんとうにやめてくれ…。


早苗「それにあんなに大声だしちゃって…。な、情けないんだから……」


ああ…やめてくれやめてくれそれ以上言わないでくれ…。
それ以上言うなら俺だって流石に……。





早苗「これくらいでヘソ曲げちゃって…。う…器がちっちゃいんじゃないのっ?」
135 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:16:11.08 ID:YYpuyXGO0


  ぶちっ

という音が聞こえた。
それは比喩的な意味ではないし、かといって脳の血管が切れた音なんかじゃない。
その音は顎の筋肉から響いた。
歯を食いしばり緊張した顎の筋肉のひしめく音だったのだと思う。

ともあれ、その音をきっかけにしてか言い訳にしてか、俺はキレた。



早苗「ぇ? ちょ?」


くるりと振り返り、たじろいだ彼女の肩を押す。
もう一度押す、彼女は後退する。
そして…。


早苗「あっ!?」


  どさっ!


応接スペースのソファが背後にあると気付かずに後ろに下がろうとした彼女は座面に倒れこんだ。
そこですかさず上半身に馬乗りになってやった。


早苗「えっ!? ちょっと!?」ジタバタ


臨戦態勢の彼女ならばこんな不覚を取ることはなかっただろう。
しかし飲酒による判断力と身体能力の低下に加え、俺がこんな手段に出るということは全く想定していなかったのだと思う。
もしかしたら罪悪感に思考リソースが割かれていたのかも。

ともかく完全に虚を突くことができた結果がこれである。


早苗「うそっ!? なんで…っ!?」ジタバタ


だとしても、倒れこんだ先が道場の畳ならば素人の俺から逃れることなど容易だったろう。
だが倒れこんだのは合皮のソファ。
彼女の必死の動きはウレタンの弾力に吸収され、合皮素材の滑りの悪さは彼女の衣服に絡みつき筋力を効率的に疲弊させる。
しかも彼女の腹に体重をかけると座面ごと沈み込み、その拘束をより強固なものにすることができた。
136 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:17:50.77 ID:YYpuyXGO0
早苗「はぁ、はぁ、ふっ!…はぁ、はぁ!」ジタバタ


ブリッジして俺を跳ね除けようとするテクニックもここでは無意味だった。
場所が悪すぎるしウエイトの違いもある。
それにアルコールの所為もあるのだろうが目に見えて息切れしてきた。


早苗「やっ!? はなっ、して!」


抜けられないとなればまだ自由になる両腕で何か良からぬことを企てるだろう。
そう予想した俺は、あらかじめ彼女の両腕も体の下に収めることにした。
焦らず丁寧に一本ずつ。
手首を掴んでみれば、いつものあの乱暴はどこから来るのか不思議に思えるくらい細くて、力だってやっぱり男の俺からすれば大したことなくて、技が使えなければ所詮こんなものかと拍子抜けしてしまう。


早苗「くっ………なによ?」


抜け出すのは不可能と判断したらしい早苗さんは動くのをやめて俺を睨みつけた。


P「……」


なんだろう…。
俺だって何か考えがあってやったわけではない。
カッとなってやってしまっただけだ。
……たしかにこれからどうすればいいのだろう。
これではただ押し倒しただけだ。
だが…。


早苗「な、なんなのよ…っ!?」


語気荒く威嚇するような彼女であるが、よく見ると唇はかすかに震えているし、瞳にはいつもの余裕がない。
つまりこれは虚勢を張っているだけなんていうことは誰にだって分かる。
これは、一矢報いたといってもいいのではないだろうか…?
男としてはなんとも情けないが、彼女が武闘派の元婦警であることを考慮すれば上々といってもいいだろう。
そう思い至った頃には、こめかみの痛みが気にならなくなる程度に溜飲も下がっていた。
多少の冷静さを取り戻してみればなぜあんなにも頭に血が上ってしまったのか不思議で、自嘲の失笑さえこぼしてしまいそうだ。


P「フッ……」

早苗「なっ!?」


あらら、こぼしてしまった…。

それに呼応するように何故か早苗さんの顔が赤くなっていく。
ひょっとしたら、無様に組み敷かれた自分のことを笑われたと勘違いしているかもしれない。

まぁいい。
もうどいてあげよう。


と、思ったのだが…。
137 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:18:39.16 ID:YYpuyXGO0
早苗「な、にニヤついてるのよ…? まさか、これで勝ったつもりじゃないでしょうね…っ?」

P「は? 何を…?」


この期に及んで勝ちとか負けとか、何を言い出すんだこの人は?
いつ俺とあんたが勝負を始めたというんだろうか?


早苗「なんとか言いなさいよ!?」


本当に意味が分からない。
もしかしてこれが体育会系というやつなのだろうか?
それとも脳筋?

なんだろう、なんかこう……



P「……」


早苗「だっ、だから! 黙ってるんじゃないわよ!?」


なんかこの人を見てると本当に……


早苗「ほら! 来なさいよ!? まだ勝負はついてないんだから!」






イライラする……


138 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:19:28.53 ID:YYpuyXGO0


たぶんこれはずっと前から感じていたこと。
でも自分の担当アイドルに対して抱いちゃいけない黒い感情。
だからずっと気付かないふりをしてた感情。


ムカつく…。


減らず口がムカつく。
根性論なところがムカつく。
気に食わないことがあるとへそを曲げるところがムカつく。
譲歩しないところがムカつく。
無茶言ってくるところがムカつく。
平気で暴力ふるってくるところがムカつく。


まだどうでもいいことを喚いている。
こっちは必死でこの嫌な感情を押し殺そうとしているのに、ずっとギャーギャー喚いている。
ムカつく。
一体何がしたいの?
ほんとにやめてほしい。
もうやめて。
その口閉じて。
たのむよ。
たのむ…。

…。

でないと。
でないと…。
俺本当に…。

やめて。

やめて。

やめて、やめて、やめて、やめて。




やめて…









早苗「ほら!殴ってみなさいよ!?」


P「……」イラッ
139 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:20:01.28 ID:YYpuyXGO0







   ぱぁあん!!









「あっ!」
「えっ?」




140 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:21:55.55 ID:YYpuyXGO0
口からひょっこり出たような短い言葉は、どっちがどっちの口から出たのか分からない。
ただ確実なのは、ぶったのは俺でぶたれたのは早苗ということだ。

頬を打ち振りぬいたまま硬直した右手を見つめていた視線を正面に戻すと、早苗は左頬をぶたれ顔の向きが変わったまま硬直していた。
その顔もゆっくりと正面にもどり魂の抜けたような彼女と目を合わせた。
早苗の顔には驚愕が貼りついていたが、たぶん俺もそうだろう。


早苗「な……」


いくら煽られたとはいえ、女性に手を上げるなどという禁忌を犯してしまった自己嫌悪が沸き起こる
一秒前―――――もし仮にそこで早苗が言った言葉が、殴ってみろと煽った張本人の早苗の言葉が、
『やればできるじゃないの』だとか『痛い』だとかいう言葉であったならば、俺は本当に自己嫌悪に
苛まれ今日のことをすべて平謝りし明日からもこれまでと同じように彼女の尻に敷かれながら、
それも已む無しとそれなりに上手くやれていたのではと思うが、まあそうではなかった。



ぽかんとした早苗の表情がみるみるうちに憤怒の色を帯びていき…。


早苗「なんてことするのよ!!!!」

早苗「女に手を上げるなんてどういうつもりなの!!!!!」


烈火の勢いで数秒前の自分の言葉と矛盾することを平気で言い放った。
141 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:22:51.01 ID:YYpuyXGO0
事情はどうあれ、コンテクストはどうあれ、社会通念上は女に手を上げた俺に激怒するというこの女の反応は普通なのだろう。

しかし常識がどうとかで全ての道理が通るならこの世に犯罪など存在しない。
犯罪の背景にだってきっとやむにやまれぬ事情だってあるのだ。



……あるんだって痛感した。


やっちまった俺だって悪いよ?
でもこの女だって無茶苦茶じゃねぇか!


ここに至っての早苗の矛盾は俺の罪悪感を綺麗さっぱり吹き飛ばし…。






   ぱしーん!!


早苗「あぅっ!?」






俺の胸の内の色を真っ黒く染めてしまった。
142 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:24:01.13 ID:YYpuyXGO0
P「はぁ、はぁ、はぁ……」


一度ならず二度までも女性をぶってしまった。
もう『つい』だなんていう言葉は使えない。
ほんの一瞬のことだったのに超えてはいけない『境界』を遥かに超えてしまったような感覚がある。

引き返せない…。

いや…この女に対してはもう引き返したくもない。
こんな女には付き合っていられない。
もうどうにでもなってしまえ…。



早苗「だっ、から…なにす」


  ぱしん!

早苗「くっ!?」


P「はぁ……はぁ……」

早苗「いいかげんに…っ」


  ぺしん!

早苗「んぁっ!?」




  ぱちん! ぱちん! ぺしん
  ぱしっ ぱちんっ! ぱしん!

早苗「んっ!? はぁ!? ちょ!? やっ!?」




P「ふぅ……ふぅ……」
143 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:25:11.52 ID:YYpuyXGO0


   ぱんっ! ぱしん ぱちん!
   ぺし! ぴしっ! ぺちん!

早苗「ぁっ、ぃっ、ぅあっ、いやっ、まっ、まっ……」


P「……」




   ぱしんっ! ぱちん ぱしっ!

早苗「…、……、……」プルプル


P「……」




大人しくなるまで、左右代わりばんこにビンタを続けてやった。

初めの2回のビンタ以外はほとんど手首のスナップだけのヌルイものである。
響く音はどれもノロい。言うなれば不発のビンタと言ってもいい。
ゆえに、すでに20発ほどをお見舞いしているが早苗の頬にはうっすらと赤くなっている程度の変化しかない。



P「なぁ…あんた…ふざけてるのか…?」

早苗「な、なにがy」


   ぱしん!

早苗「あぅっ」


P「何がって、わからないのかよ?」


   ぱちん!

早苗「ぃやっ」


P「俺はもういいって言ってんのに、グダグダ抜かしやがって」


   ぱしん

早苗「う…っ」
144 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:26:39.29 ID:YYpuyXGO0

P「挙句の果てにマウント取られても負けてないとか言うわ…」


   ぱちん!

早苗「んくっ」


P「殴れって言ってほんとに殴られたら逆切れするわ…」


   ぺちん

早苗「んぁ!」


P「意味わかんねーんだ、よっ!」


   ぴしゃっ!

早苗「んきゅっ」


P「おら! 負けてねーならほら! 抵抗して見せろ!? あぁ!?」


   ぱん! ぱん! ぱしん ぱちん!

早苗「ふぁっ、ゃっ、やめっ、ぁあ…っ!」




早苗「ちょ、ちょっと…待って…落ち着いて…」


はぁ〜!?
落ち着いて、だぁ〜!?
な〜に上からモノ言ってんだこのアマ!?


P「待つかよ! おら! くらえ!」


   ぱちん ぱちんっ!

早苗「ぃっ!? あっ!?」


P「てめーは! 俺がやめてって言って! やめたことあんのかよ!?」


   ぱん! ぴちっ

早苗「ぁっ……」
145 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:28:07.49 ID:YYpuyXGO0

P「なにが、けがはさせない、だよ!?」


   ぱちん!

早苗「ぅ…っ」


P「頭から血でたんですけど!?」


   ぱちっ!

早苗「まっ!?」



P「はぁ、はぁ、はぁ………すぅ〜〜〜〜〜はぁ〜〜〜〜〜〜」


一度大きく深呼吸して、早苗の顔を観察する。


早苗「ぅ…く……」ビクビク


いくら緩いビンタといえども、もう何度ぶったかわからない早苗の頬はついに腫れてきてしまった。とはいえ、明日のオフ一日ですっきり治ってしまう程度だろう。

痛みはそれほどでもないくせにうっすらと涙を溜め始めているのは、精神的なダメージを食らっているということだろう。
ふん、いい気味だ…。
見てみろよ、目にいつもの力強さがねぇぞ。
ははは……手段はちょっとアレだったがあの早苗の心を折ってやった…。
その事実に腹の下の方からどす黒い熱が体中に広がっていく。

あぁ…最悪だ…。
なんでこんなに……。

最悪だ……。
とにかく最悪だ……。



P「さいあくだ……」

早苗「……?」ビクッ


最悪だ。
だが、まだ止められない。
本当に最悪だ…。
俺は……。


P「すぅ〜〜はぁ〜〜」



第二ラウンドだ。
146 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:31:09.73 ID:YYpuyXGO0
P「おい!」


  ぱん!

早苗「ひっ!?」


P「おい!こら!」


  ぱち! ぱちん!

早苗「いやぁっ、もういやぁ!」


P「いやじゃ、ねぇよ! おら! 聞いてるのか!?」


  ぱしっ! ぴちっ ぱすっ!

早苗「ぅ! はくっ!? き、聞いてる!」


P「んだよ、聞こえてるんだったらさっさと言えや!」


  ぱちんっ!

早苗「んあぅ!」


P「いっつもよ〜、死ぬほどヘッドロックかましやがってよ〜、なんなんだよ!?」

早苗「ぇえっ? は、なに? なにが」


  ぱぁん!

早苗「ぅっ!?」


P「わかんねぇのかよ!? 年少組の頭撫でただけでセクハラとか言って、暴力ふるいやがって! どういう物の見方したらそうなんだよ!?」


  ぴしゃん!

早苗「んぁっ!」


P「ことあるごとに暴力…。そんなに人に暴力ふるうのが好きか!? そんなに俺が痛がるのが面白いか!?」

早苗「ぇ…っ? ぃや!? ちがっ!」

P「あぁん!? 何が違うんだよ!? 俺がさっき頭抉られてるときもニヤつきながらやってたんだろうが!?」


  ぱちっ!

早苗「ぅぁっ……でっ、でも違うの……っ」


P「…ほんとに意味わかんねぇ…」



と、そこでようやく唐突にこの女の俺への暴力の理由の答えが分かった。
147 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:32:46.44 ID:YYpuyXGO0


…実を言うともうずっと前から気付いていたような気もする。
ただ俺がそれを認めたくなかっただけだ…。

しかしそう考えられればこの人の行動にも筋が通る…。


どうにかこうにかやっていけばいつかは認めてもらえるだろうって…そんな考えは甘かったんだな…。
そうやって先延ばしし続けた結果がこれじゃ…。
ははは、また最悪だよ…。





P「……そうか…嫌いなのか…そうか…ははは…そういうことだったのか……」

早苗「ぇ…な、なに…?」










P「……俺のことが嫌いなのか…」

早苗「…………ぇ?」







P「あぁ…そうだよな……俺みたいな使えないプロデューサーは嫌だから…だから早く辞めさせるために…ははは…そうか…ははは……」

早苗「え…嘘でしょ? じょ、冗談よね…?」

148 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:33:58.98 ID:YYpuyXGO0


図星を突かれてびっくりしました?
酷い顔してますよ…ははは、ケッサクだ……。
でもほんとは当てちゃ駄目だったんですよね…?
そこは…ごめんなさい…。
しかも俺はとんでもないピエロだったわけだ…。


P「ははは…ごめんなさい…早苗さん…あなたの意図に気付けなくて…ずるずると担当にしがみついて……」

早苗「や、やめて…冗談でもそんなこと言わないで……」


いつかは認めてもらうんだと必死にやってきたのはすべて無駄だったわけだ。
無駄どころかなかなか辞めない俺に業を煮やして折檻を強めていく始末。
ははは…おれの仕事ってなんだったんだろう……。

ついさっきまでの怒りが嘘のように消え、途轍もない脱力感が襲ってきた。
そうだよな…。
あんだけ痛めつけられてなんで気付けなかったんだろう…。
きっと面と向かって「あんた嫌い」だなんて言ったら角が立つから、ああやって担当変えてほしいっていうサインを必死に出してくれてたのに…。


早苗「うそ…そんな…嫌ぁ……あたしのやってきたことって…そんなふうに…?」ブルブル

P「ごめんなさい…ごめんなさい…もう明日からは大丈夫ですから…俺、もう消えますから……」


早苗「いや…嫌、嫌イヤっ!」


早苗「Pくん! お、お願いよ! あたしの話を聞いて!」


すべてがクリアになった今、何の話をしようというのだろうか?


早苗「あたしが…Pくんを嫌いだなんて…そんなの絶対ないよ!」

P「……いえ…もういいんですって……」



早苗「…きなの……」

P「…?」





早苗「……すきなの!!!」

P「…え?」




目に限界まで溜まった涙をついに零しながら彼女が発したのは思いもよらない言葉だった。
149 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:35:27.52 ID:YYpuyXGO0
早苗「あたしは…Pくんが好きなの! いつもPくんにちょっかい出してたのは意識してもらいたかったからなの…っ! 
 でもあたしガサツで短気で…いっつも空回りして……」

早苗「これまでたくさん痛いことしちゃったけど……ごめん…ごめんねぇ…っ」

早苗「Pくんにこれまでしてきたこと…もう許してもらえないかもしれないけど……。
 でも…でもお願いよぉ…私がキミのこと嫌いだなんて…そんな風にだけは思わないでぇ……ぅぅぅぅ……」



い…意味がわからない…。
この人は何を言っているんだ…。

は?

真逆…?

意味がわからない…。





P「は……な、んで…意味が分からない……」

早苗「不器用なのに頑張ってくれるPくんが好き! こんなあたしにも優しいPくんが好き!」

P「え…?」


早苗「あたしの無茶に付き合ってくれるPくんが好き! わがままを聞いてくれるPくんが好き!」


早苗「飲みすぎないように注意してくれるPくんが好き! いつも見守ってくれているPくんが好き!」


早苗「お願い…信じてぇ……Pくんが好きなのぉ……」


早苗「Pくんのことが…嫌いだなんて思われるのは耐えられないよぉ……ぐすっ、うぅ…っ」




早苗の慟哭のような告白に頭が真っ白になる。
目がかすむ…息が苦しい…喉が粘つく…。
150 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:37:20.97 ID:YYpuyXGO0



P「じ、自分に都合の良いことばっかりですね…。思い通りになる男ならだれでもいいんじゃないですか…?」


俺がひねり出した言葉は存外酷い。


早苗「ぁ……そ、そうよね…。でも、もういいの。もうわがまま言わない…無茶しない…暴力もふるわない…。
 そ、それにね? あたしみたいのと付き合ってだなんて…い、言わない…よ? め、めんどくさいこと、なんて…ないよ?」


早苗「でも…お願い…。あ、あたしを…Pくんの傍に置いて…? 傍にいさせてくれるだけでいいの……。
 あたしから…は、離れていかないで…。他のヤツらみたいに…み、み、見捨てないで…?」

P「ふ、ふざけるなよ……っ!そんなの…そんなの…っ!! それに…っ!」


ジンジンとうずいている両手と彼女の腫れた両頬を交互に見る。

もう、とっくに超えちゃいけないラインを越えてしまっている。



早苗「た、叩いたことは気にしなくていいよ…? あたし、これまでもっと酷いことしてきたもんね? 
 な…なんならもっと叩いていいよ?」



早苗「気の済むまで…いいよ…?」クイッ




唇はだけじゃなく肩まで震わせているくせに、ぶちやすいように顎を差し出しやがって…。
こんなの見え透いた強がりだ……。

こんなの…。




P「……」スッ

早苗「んっ……」ブルブル



彼女の頬に触れると…腫れた頬は明らかに熱を持っていて、これからもっと腫れてくることが簡単に予想できた。
151 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:39:18.82 ID:YYpuyXGO0





あぁ…俺はなんてことを……。


俺がもっとこの人のことをちゃんと見ていればこんなことには……。






早苗の上から下りそのまま床に膝と手を着く。
とてもじゃないがしばらく立てそうにない。





P「ごめんなさい…ごめんなさい…俺はなんて酷いことを…ごめんなさい…」




視界はぐちゃぐちゃ。
頭の中もぐちゃぐちゃ。




その頭が優しい何かに包まれる。



早苗「ん〜ん…。Pくんは何も悪くないよ…? 素直になれなかった馬鹿なあたしが悪いの…おねぇさんなのにほんとバカだよね……」




彼女の腕と胸がこんなに温かかったことを俺はこのとき初めて気付いた。
152 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:40:09.01 ID:YYpuyXGO0
片桐早苗 編 終わり
153 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:42:31.49 ID:YYpuyXGO0
書き溜めは以上になります
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/21(火) 22:45:38.42 ID:uJP448WTo
続きをどうぞ
155 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 22:55:35.37 ID:YYpuyXGO0
これからはその後のお話しに入ろうと思うのですが、誰からにしましょうか?
尚、完全にR18指定になる見込みです。


安価↓1

156 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/21(火) 22:57:20.58 ID:uJP448WTo
楓さん
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/21(火) 22:57:40.19 ID:leqtqPL5o
早苗
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/21(火) 22:58:20.09 ID:yPYJxKrMo
みゆさんがいい
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/21(火) 22:58:26.30 ID:uJP448WTo
ってその後ならそもそも楓さんいねーじゃん!早苗さんでいいよねうん
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/21(火) 23:02:12.42 ID:v5J/ZdRjo
早苗様
161 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/21(火) 23:02:45.65 ID:YYpuyXGO0
早苗さん把握です。

とは言ったものの、書き上がるまで一週間程度を目安にしてお待ちください。
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/21(火) 23:03:38.22 ID:uJP448WTo
おっつおっつ
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/21(火) 23:18:34.37 ID:leqtqPL5o
やったぜおっつおっつ
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/21(火) 23:46:35.45 ID:usG0hSfCo
誰からってことは全員分やるのか
やったぜ
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/22(水) 12:58:24.27 ID:8d6gykg60
照れ隠しも度が過ぎると只の暴力にしかならないのがよく分かる話だった
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/22(水) 22:08:12.51 ID:84UkJtTko
たまらんな
待ってる
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/22(水) 22:32:53.36 ID:eD4OWafpo
>>165
最近は暴力系ツンデレも減ったけど、それが一因だろうね。
特に某モップとか……
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/22(水) 22:40:22.05 ID:3ZMI5CDZo
基本的に男側が脳天気でそういうのをされてもしょうがないと思う状況だったり故意なのが前提なのに
暴力だけが残って女側がただの嫌な奴になっちゃったりしてるとええー…ってなるからね
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/22(水) 23:24:03.81 ID:TOZHR9Alo
暴力系ヒロインが流行ったのも過去の話か……
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/23(木) 11:17:00.42 ID:zAztadb30
理由があっての暴力なら納得もできるけど理不尽な暴力は不愉快
男が女を殴ったら問答無用で非難される
女なら男に何してもいいのかよと
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/24(金) 20:21:33.47 ID:06vyUgRco
ちんちん
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/25(土) 02:12:04.24 ID:LSCn4Xi2o
かいかい
173 : ◆ao.kz0hS/Q :2016/06/25(土) 22:37:19.72 ID:e6Hz8Gyk0
片桐早苗 後編

始めます
174 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 22:39:40.63 ID:e6Hz8Gyk0



あたしだってわかってんのよ?
自分がトップアイドルになれる器じゃないってのは。

公務員辞めてアイドルになるって親に話したら…あんなに怒ったとこ初めて見たわ…。それに友達からは苦笑いされるわ、署の連中には白い目で見られるわ…まぁ、当然の反応よね。

第一、アイドルなんて世界に飛び込むにしては歳が…ね?
いや、瑞樹ちゃんや礼子さんや志乃さんは良いの!大丈夫!全然アイドルよ!トップアイドル余裕よ!
…あくまであたし。あたしに限っての話。
あたしはニュースキャスターでもないし、お二人みたいにフェロモンムンムンでもないし、ただの婦警だったわけ。
それに警察官なんてカジノディーラーとかサーファーと比べたら地味なイメージでしょ? 地味なのよ…。
残念ながらモデル体型でもない。おっぱいには自信あるけど…92あるけど…。
ん? 心ちゃん…? ん〜〜〜あの子は…ぱ、パッションよ! あのアイドルにかけるパッション! パッションがあればなんでもできる!ってね。テヘ☆ 

と、まぁ例外は置いといて……あたしはどうしたってイロモノなのよ。

28歳のチビで巨乳で童顔の元婦警の酒飲み。
あ〜、自分で言ってて悲しくなるくらいイロモノね……。

もちろん分かってたわよ。
自分でも分かってたし、親にも、友達にも、同僚にも言われた。
じゃあなんでそれでもアイドルになったかっていうと……警察が…つまらなくなった…。
いや、警察の仕事自体は素晴らしいと今でも思ってるわよ?
つまんなくなったっていうのは、その…署内の空気っていうか、あたしを取り巻く空気っていうか…なんで結婚しないの?っていう空気が…。
わかるわよね!? うんうん。
まったく外野がうっさいのよ!
良い人がいればとっとと結婚して寿退社でもなんでもしてやるってーの!
署内にはそんなイイオトコはいなかったってーの!
セクハラよ! ったく、今思い出してもムシャクシャするわね…。
175 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 22:42:17.59 ID:e6Hz8Gyk0

……

とね…それだけじゃなくて…いや、それも少し関係あるんだけど…。
…ぶっちゃけるとね?
アイドルになって箔を付けたらイイオトコが寄って来るんじゃないかって期待してたの…。

…あたしはこんなおっぱいだし、たぶんアイドルの前にグラビアが付く方のアイドルになるんだろうなって思ってたんだ。
掃いて捨てるほどいるグラドルのうちの一人。

…でも、腐ってもアイドル。

一山いくらのグラドルでも素人にとっては高嶺の芸能人で…しがない公務員よりかはイイオトコをゲットできる可能性があるんじゃないかって。
そんな打算があったの……。
あははは…今から思うと酷すぎよね〜〜ホントどうかしてたわ…。


でね、テキトーにグラドルやってテキトーなところで男作って辞めちゃうか、なんて打算を腹に秘めながら…彼と出会ったの。


も〜びっくりしたわね!
開いた口が塞がらなかった!

開口一番、『トップアイドル目指して頑張りましょう』だなんて…。
アンタあたしの履歴書に目ぇ通した?っていきなりタメ口きいちゃったわ。
そしたら『読みました、そして実際にお会いしてイケると確信しました。片桐さん!トップアイドル目指しましょう』って、ものすごいキラキラした目で言うのよ…。
アンタ、結構若く見えるけど…そう確信できる根拠って何?って聞いたら『勘です!』って。
ほんと笑っちゃう…。
その後もこっちが恥ずかしくなるくらいずっとあたしの色んなところ褒めてくんの!もう褒め殺しよ!
もしそれを街角にいるナンパ男なんかが言ってきても真に受けたりしないんだけど、彼の真っすぐな目で、打算なんか感じない目で、懇切丁寧に褒められちゃうと、なんだかほんとうにそうなんじゃないかって気になってきちゃって…。
ええそうよ、あたしは乗せられやすいわよ…。


そんなわけで半分ノリで表面上はトップ目指してがんばろーってあたしのアイドル人生はスタートしたの。
でもやっぱり半分は、隙あらばイイオトコ捕まえてさっさと辞めてやるってね…あはは…。


グラビアの仕事はあるにはあったけど思ってたよりずっと少なくて…彼が相当気を使ってくれてたみたいなんだ
。露出は手っ取り早く人気を得るには良いけど、上手くやらないと『そういう色』がついちゃうからここぞという時しかやらせないってね。

レッスンしてライブしてガラガラで…でもその次は少し増えてて、その次はもっと増えてて…。
しかもCD出しちゃったり、深夜だけどTVにも出ちゃったりして。

あたしみたいなの売り出すためにアイツどれだけ頑張ったんだろ……。

しばらくたって気付いたの。
あれ?これアイドルじゃん?あたし普通にアイドルやってるじゃん?え、こんなに楽しくて良いの?アイドルめちゃくちゃ楽しい!

で…そんな風に思えるようになってた頃にはもう彼のことが好きになってた…。
収入はパッとしない。ルックスもまぁ…世間的には…普通なのに…。
顔を見ながらだとまともに喋れなくなるぐらい好きになっちゃってて……あたしの口から出てくるのはいつも冗談ばっかり…はぁ……。
自分としてはスキンシップで必死にアピールしてたつもりなのにそれは……はぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜あの頃のあたしをシメたい〜〜〜〜〜はぁぁぁ〜〜〜〜……。


ぅぅ………。





で…、彼とすごく揉めた日があって…………。
176 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 22:43:23.12 ID:e6Hz8Gyk0


翌日はオフでずっと冷…寝てたんだけど結局一日では…気分が戻らなくて…マスクして出勤したの。
そしたら彼ったらあたしを見るなりそれはもう辛そうな…親が死んだんじゃないかってくらいの表情になって…。
できることならキミが気にすることなんて何もないんだよって駆け寄って抱きしめてあげたかった。
でもその時はさすがにそこまではできなくて…気まずく目をそらすしかなかったの。
その日の彼はほんとに見ていられなかったなぁ…。
顔色は死人みたいだったし、体は震えてたし、喋り方が所々変で…年少組に敬語使ったりね。明らかにまともな精神状態じゃなかった。


だから彼がポカをやらかしたのはきっとその日。


ミスが発覚したのは一週間後だったけどね。
その日に返信すべきメールを読み飛ばして放置しちゃったみたいで、いい加減おかしく思った先方さんが連絡とってきてくれて分かったんだって。
一週間遅れたせいでウチの会社にとっては実入りの少ない仕事になったらしいの。
でもたまに誰かがやるミス。始末書かいて反省したらもう忘れていいレベル。あ、忘れちゃダメか。
ミスが発覚したときの彼の落ち込み様はヒドくてねぇ…。一週間たってだいぶマシになってきてたのが死人に逆戻り。
でもそのミスの原因を作ったのはそもそもあたしだったから…一人だけで辛そうにしてる彼をどうしても放っておけなかったんだ…。


何でもいい。
彼の辛い気持ちを少しでも和らげられるなら何でもいい。
何かをしてあげたい…。


気が付いたら息を切らして彼のマンションのインターホンを押してた。


無茶しないって言っておきながらこれも相当な無茶よね〜。でもその時のあたしはそんな風には考えられなかったなぁ〜。




え? 下心?






……あったに決まってるでしょ!


177 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 22:45:29.19 ID:e6Hz8Gyk0

―――――
―――
――


目の前に立ったPくんが怒りのこもった目であたしを見ている。
突然訪問したあたしを追い返そうとしたPくんをどうにか言いくるめて半ば強引に彼の部屋に入り込んだのだから当然か…。


Pくんの部屋は久しぶり。
でも、ずっと前にここで飲み会するために他の子たちと押しかけたときと変わらない殺風景な部屋だった。
どこに座ろうかと一瞬悩んでえいやとベッドに腰かけたんだけど、Pくんは立ったままあたしを『何しに来やがったんだ?』と責めるように睨んでいる。
好きな人に睨まれてるのは正直心が痛むけど、さっきまで事務所にいた時の意気消沈した顔を見ているよりかはずっとマシだった。


早苗「け、結構元気そうだね…?」

P「っ!?」

P「………」ションボリ

早苗「ごっ、ごめん!冗談よ冗談! そ、それより座ったら…?」


また辛そうな表情になった彼を立たせておけなくて、あたしの座るマットレスをポンポンと叩くと、彼は何も言わず座ってくれた。


早苗「…あのね……メール見落としたのってあたしのせいだよね…?」

P「え…?」

早苗「あたしがあの日マスクしていったから…Pくんはまた余計に罪悪感感じて…それで頭がいっぱいになっちゃって、
 たまたまその日に来たあのメールに気付けなかったんだよね?」

P「……」

早苗「だったらあたしのせいだよ…。ほとんど治ってたのにこれ見よがしにマスクなんてしちゃって…
 それでPくんがどう感じるかなんてまったく考えられてなかったあたしのせい…」

P「…たしかにあの日、早苗さんの頬を思ったよりも傷つけてしまったんだって気付いてしまって…冷静さを失っていたから見落としたんだと思います…。
 だけど、それはそもそも俺が早苗さんをぶったから…。
 だからやっぱり俺のせいなんです…っ!」


ほんとに真面目だなぁ…。


早苗「じゃあ、Pくんがあたしを叩きたくなるくらいに怒らせたあたしのせいよね? 
 これまで何度もヘッドロックしてきたあたしのせいよね?」

P「ぅ……。いや……原因なんて関係ない…。気付くべきことに気付けなかった…それが許せないんです…
 真面目なだけが取り柄だったのに…」
178 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 22:46:33.64 ID:e6Hz8Gyk0

早苗「はぁ? Pくんの良いところなんて他にもたくさんあるでしょ?」

P「ないですよ…」

早苗「あたし達のことを第一に考えてくれてる、優しい、礼儀正しい、仕事が丁寧、ソツがない、頑張り屋、体力がある…」

P「ぇ……」

早苗「あと…そだ!仕事相手のスタッフさんからだって評判良いよ? 『アイツは信頼できるヤツだー』って何度も聞いたことあるし」

P「ぁ…ぅ……」


早苗「それに…このあたしがす、す……好きに!なるくらいなんだから!自信持ちなさいよ!」


口をパクパクさせながら信じられないものを見たというような表情のPくんの目をじっと見つめる。
あ! そういえばアノ日以来Pくんの顔をちゃんと見たのは初めてだ…。
あぁ〜前に比べて頬コケてんじゃないの? しっかり食べてんのかしら?


P「あっ、あんたは…またそんなことを言って……っ」

早苗「もう始末書書いて反省もしたんでしょ? それにやっぱり原因はあたしなんだから、そんなに自分を責めないでよ…
 あたしのせいでPくんが辛そうにしてるだなんて…サイテーの気分よ…」

P「で、でも……」


あぁやっぱりPくんは筋金入りの真面目くんだわ…これはもう覚悟を決めたわ…。


早苗「それでも…」

早苗「それでもまだ自分を責めるっていうなら…あ、あたしだってPくんを慰めちゃうんだから!」

P「え…?どういう…?」


ベッドから立ち上がって、今度はあたしがPくんの前に立つ。
いつもの感じでやっちゃわないように気を付けながらゆっくりと両手を彼の後頭部に回して、そして彼の頭を優しく胸に抱きしめた。



も〜〜当たって砕けろよ!
179 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 22:47:33.36 ID:e6Hz8Gyk0

P「ちょ!? なにを!?」


Pくんが痛くならないように、でもすぐに振りほどかれてしまわないぐらいの力を腕に籠める。
似たようなことはこれまで幾度となくやってきたっていうのに、目的が別というだけで急に心臓が内側から胸を叩き始めた。


早苗「Pくんが辛い思いをしてるなら…あたしはそれを和らげてあげたい…」

早苗「…ねぇPくん? キミを慰めるためにあたしにできること…ないかな…?」

P「あ、あんた…。何言ってるのか分かってるのか…?」

早苗「大人だもん…わかってるよ…」

P「くっ……あんたって…本当にバカなんじゃないか…っ!?」


ズイブンな言い様だわね…。
でもこれまでみたいに思ってることを変にオブラートに包まれるよりかはずっと良い。
むしろ…なんていうか…Pくんの率直な気持ちを伝えてくれるだけですごく嬉しい…。
バカって言われて嬉しいなんて可笑し〜〜あははは〜〜ははは………。


早苗「うんそうだよ? あたし、バカだから…こんな風なやり方しか思いつかなくてごめんね…?」

早苗「あ、あたしなんか…Pくんの憂さ晴らしに…つ…使ってくれたらいいの。それでたとえ少しの間だけでもPくんの気持ちが晴れるならあたしは嬉しいの…」

P「そ、そんな……」


あ〜胸が痛いくらいにドキドキいってる。
これPくんにも伝わってるんじゃないかしら…?
あああああ〜恥ずかしい…!
折角、こんなことなんでもないっていう大人の雰囲気出すつもりだったのにぃ!
こんなにビビッてちゃPくんにめんどくさい女だって思われちゃうぅ…。


早苗「安心して…? か、彼女面なんてしない、から……。都合のいい女って…そう利用してもらえるだけで…ほ、ほんとに嬉しいんだから…」



P「くっ…いい加減に…っ!」グイッ


早苗「あっ」
180 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 22:49:17.39 ID:e6Hz8Gyk0


  どさっ


背中に腕を回したPくんに揺り動かされたと思ったらそのままベッドに引き倒されちゃった…。
またこの格好だね…。
でも前と違うのは、あたしに抵抗する気はまったくなくて…Pくんは怒ってるってよりは悲しそうな顔をしてるってことかな…。


P「はぁ、はぁ、はぁ……あ、あんたは…っ! 俺はあんなひどいことをあんたにしたのに! なんであんたは…っ! 俺が怖くないのか!?」

早苗「怖くないよ? だってPくんが好きだもん。好き。好き…っ。好きなPくんになら何されたっていいの…っ!」

P「くっ…またそんなことを…っ。くそ、くそぉ……っ、なんであんたは……」

P「もう知らないからな…っ!どうなっても知らないからな…っ!!」

早苗「いいよ…? 好きなだけ…好きなようにして…?」


P「はぁ、はぁ!はぁ!…っ」グイッ

早苗「あぁんっ」


Pくんがカーディガンとブラウスを一気にたくし上げようとしたけれど、ブラウスが胸に引っかかってしまった。
そしたらボタンを一個一個外していって…ほんと律儀…。
すぐにブラウスを完全に開かれちゃって…あぁ良かった、今日のブラは良い方のブラだったわね…。

三秒くらいブラを見つめたらPくんが背中とベッドの間に手を入れようとしたから、あそうか、と思って上体を少し上げてあげたらすぐに『ぷちっ』てホックを外されちゃった。


早苗「ぁ…見られちゃう…Pくんに見られちゃう…」ドキドキ


おっぱいに乗っかっただけの状態になったブラをPくんが上へずらしてしまうと、外気に触れた一瞬の解放感のあとで、猛烈な恥ずかしさが襲ってきた。


P「……ゴクリ」ジーーーー

早苗「ゃ…そんなにマジマジ見ないでぇ……」ドキドキ


いくら自慢のおっぱいといえど人に見られるのは恥ずかしい。それが好きな人になら尚更。

ちなみにあたしは今も結構鍛えてるからおっぱいにも張りがあって、仰向けになっても横にだらしなく広がるようながっかり巨乳なんかじゃない。
181 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 22:50:31.51 ID:e6Hz8Gyk0


P「うわ…ほんとにデカい…」スッ

Pくんの手がおっぱいに触れる。


  ふに ふに さわっ さわわっ

早苗「んっ……」


ついさっきまでは荒かったPくんの呼吸は気付けば落ち着いていて、それと同じく触り方も落ち着いていた。
撫でるようにさするようなくすぐるような触り方……。


早苗「ん…ふっ…も、もっと強くしてもいいんだよ…?」

P「……」


あたしの提案はPくんに届いたんだろうか?
提案? いや、お願い?
これまで寝た男どもはみんな好き勝手揉みまくるばかりで、こんなに優しく触られたことなんかなかった。
だからかな?さっきからPくんの指先からよくわからない感覚がピリピリきてる。


早苗「ふぁ…っ」ゾクッ


え?何これ…?おっぱいってこんなにピリピリするもんだったけ…?
胸の奥の大事なトコロをカリカリと引掻かれてるみたいで体を捩らずにはいられないんだけど!


早苗「お、お願い…っ。もっと強く…して…その触り方…だめ…っ」ゾクゾクッ

P「ぇ……いいんですか? じゃあ…」

ぐにぃっ もにぃぃ むにゅうっ

早苗「んぁぁぁ!!???」ビクン


知らない感覚に耐えられなくて……これまでされたことがあるのと同じように強くされれば知ってる感覚で安心できるかと思ってたんだけど…。


P「…あれ? すみません、痛かったですか?」

早苗「んくっ…! い、痛かったわけじゃないわ…」

P「ならいいんですが…。痛かったら言ってくださいね?」


  むにゅ もにゅにゅ ぐにゅぅ

早苗「ふぁぁっ、んんっふぅぅぁ…っ」ゾクゾク


なんで!? 
これまで揉まれたときはこんな感じしなかったよ!?
いつも胸を圧迫されるような感じか、ただ痛いかどっちかだったのに!
まるであたしの内側を直接ぐりぐり〜って掴んでるみたいなゾクゾクした感覚が渦巻いてる。

何これ?ほんとに知らない…!
182 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 22:52:34.28 ID:e6Hz8Gyk0


  もにゅぅぅぅ むにゅぅぅぅ

早苗「ふぁああっ…んっ、しっ、知らない…っ。こんなのっ知らない…っ!」ビクビク

P「あれ? もしかして早苗さんって…処女ですか?」


早苗「はぁぁ? んっ、あぅっ」


は? あたしが処女ですって!? この経験豊富なあたしが!?


早苗「そ…んなぁ…はぁんっ…わけないでしょ…!?」

P「だって、おっぱい触られるの初めてなんでしょ?」

早苗「はぁ!? 何回も触られたことある、んんはぁ、わよぉ!」

P「でもこんなの知らないって…」

早苗「わ、かんないのよ! いつもは痛いだけとかで…ふぁぁんっ」

P「おっぱいが気持ち良く感じたことないんですか…?」

早苗「ど、どういうこと…? んくっ…おっぱいなんて男が触りたいだけのもんでしょ…?」


P「あ〜〜〜……」


なによ、その顔は? まるで気の毒な人を見るようなその顔はなんなのよ?







P「早苗さんって愛撫も満足にできないようなろくでなしとしか男と付き合ったことないんですねぇ……」













早苗「……………………………は?」









P「それに意外とこっちの経験値も少ないみたいだし…」











早苗「は?…え?…………は?」
183 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 22:53:52.77 ID:e6Hz8Gyk0
ちょ、ちょっと待って! Pくん何言ってるの? 
すごく勘違いしてない? 
いや、ろくでなしは何人か…って結構いたけど…あたしが経験値少ないですって?
 は?


早苗「いや、いや、いやいやいやいや……。け、経験豊富だし。何人もの男と寝てきたし」

P「え、でもおっぱいで感じるの初めてなんですよね?」


  むにゅぅぅう

早苗「ぅぁんっ」ビクッ


P「こんなに感度良いのに感じたことないなんて、そりゃもうこれまでの男がヘタクソだったんですよ。おっぱいだって力任せに揉んでただけじゃないですか?」


  むにゅ むにゅぅぅ

早苗「ぅあ、ぅあっ」ビクビク


P「そんなヤツらと何回ヤったって経験値上がりませんよ? あ……一応聞いときますけど…イッたことってありますよね?」

早苗「はぇ……? イクのって男でしょ…?」


P「うわぁ……まじかぁ………」


ちょっとやめて!その憐れむような目やめてよ!





P「……可哀想」


早苗「な、なんですって!? あたしのどこが可哀想だっていはぁぁぁんっ!?」ビクッ


Pくんの手が激しさを増して動き始めた。
でもそれは力任せとかじゃなくてマッサージみたいな動きで…あたしの反応に合わせて変化して…あたしを効果的に弱らせるところを的確に突いてくる。
184 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 22:55:45.23 ID:e6Hz8Gyk0

  ぎゅぅ〜〜 にゅ! にゅぅう♪ もみゅ♪

早苗「ふぐっぅぅう! ぅああっ! くぁあぁっ」ブルブル


P「まぁいいや…やることは結局同じですから…」

早苗「うぁっ!? まっ、まって! なんかおかしいの! おっぱいが、おっぱいがぁ……っ!」


気付けばおっぱいの先っぽは見たこともないくらいにピンと立ってて…。
あぁ…Pくん、口を開けて…それどうするつもり? 
ねぇ? 嘘でしょ? 
今おっぱいがおかしなことになってるのに、その先っぽをか、噛まれちゃったら……っ!!!


P「んぁ〜ぁむっ」


  かみっ♪

早苗「うぁぁぁぁああっ!!!」ビクビクッ


P「ん? もうイっちゃいました? 感度良すぎでしょ…」


胸の先っぽの小さな豆みたいなのがなんで…なんでこんなに……っ!?


P「じゃあ、こっちも……ぁ〜」

早苗「ぅあ…まっへ…今やばい…」


  かぷっ♪ じゅずずずずっ♪ 

早苗「はぁぁぁああんんっ!!??」ビクビクッ


今度は噛むだけじゃなくて口に含まれて熱い舌で転がされて吸われて、また噛まれて、強く噛まれて…
それは全部これまでもされたことあったのに、そのときは痛いだけで嫌だったのに、今は痛いのさえも……っ!


早苗「ふぁぁ…うぁぁ…っっ」


あれ?あたし今どこ見てるんだろ?天井の隅見てる?なんで?そんなのよりあたしのおっぱいがどうなってるのか見なきゃ。
これ以上Pくんに好き勝手されたらなんだか大変なことになる気がするから……っ。


P「よし…こうして…両方一気に……」


Pくんが左右のおっぱいを寄せるようにして乳首同士をくっつけて、そこに狙いを定めてる。
あ、ダメだこれ。
片側ずつでアレなんだから両方一緒なんてこれ絶対ダメだ。


早苗「ぁ…だぇ…そぇ…だぇだよ……」ヒクヒク
185 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 22:57:22.26 ID:e6Hz8Gyk0


あ〜声が出ない。
でも、ほら見てPくん。あたし辛そうな顔してるでしょ?
それやるともっと辛くなるんだよ?だから、それやめよ?


P「気持ちよさそうな顔しやがって……ぁ〜〜むぐっ」

早苗「ら、らめ……っ」


  くにゅっ♪ くりゅっ♪ ずずずっ♪ れちゅっぅぅぅうぅ♪

早苗「ひぁぁぁあああああああんんんっ!!!???」ビクンッ


Pくんの口がの中が動き始めたと思ったら、背中にスタンガン押し当てられたみたいに勝手に胸が浮いて、視界がチカチカと明滅を繰り返してる。
胸の先っぽの小さなポッチを舐められただけなのに全身に電流流されたみたいになるのっておかしいでしょ!
は?これ一体何なの!?


P「早苗さん? それがイクっていうヤツですよ? 気持ち良いでしょ?」

早苗「ぅ…? これが…いく……?」


この頭が真っ白になるようなのが、イクってこと?
それに、さっきからピリピリしたりゾクゾクしたりジンジンしたりズクンズクンじたりアソコからどぷどぷしてるのが、キモチイイ…?
息切れして頭クラクラして体は震えて体の奥の芯を揺さぶられてるのに病みつきになりそうなこの感覚……これが……。

あ〜〜そうなんだぁ〜〜〜。
こりゃ初めてだわ……。
なんで、これもっと早くに知れなかったんだろな〜。
あたしすっごい損してたみたい。
さっきPくんが可哀想って言ったのその通りだわ…。


P「早苗さん…」

早苗「ぅぁぃ…な、に……?」ブルブル

P「おっぱい気持ちよかった?」

早苗「ぅ………」


これに正直に答えたら、これまでのあたしの経験値が全部まやかしだったことを認めることになる…だから…。


早苗「うん……おっぱいきもひよかったよぉ…♥」


…だって、気持ちよかったんだもん……っ!


P「ん…。素直でよろしい」スッ


Pくんの手があたしの頭を撫でる。
たったそれだけのことなのにフワフワとした感覚が大きくなって、胸ももっとあったかくなった。

186 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 22:58:33.14 ID:e6Hz8Gyk0



P「よい、しょっと…」グイッ

早苗「あっ」


ベッドの端に中途半端に押し倒されていたのを、ほとんど抱きかかえられるようにしてベッドの真ん中まで動かされてしまった。
Pくんがいつも使ってる枕を頭の下に敷いてもらうと、Pくんの匂いが鼻をくすぐってなんだか嬉しい。


P「ほんとにいいんですね?」


真剣な顔でPくんが曖昧に問いかけてくる。
何が?なんて言わない。
この後ナニするなんてわかり切ってるもの。


早苗「うん……いいよ…?」

P「……」ゴクッ


Pくんがスカートを脱がしにかかったので、ジッパーを下げ終えたところで腰を浮かせてあげると簡単にはぎ取られ、そのままストッキングも脱がされる。
これであたしはショーツ一枚…。
これもさっさと脱がしてくれたらいいのに、Pくんは舐めるような視線をショーツに注いでいる。


P「早苗さんって…可愛い下着履いてるんですね。ちょっと意外です…」スッ

早苗「ふぁ…っ」ピクッ


Pくんがあたしの鼠蹊部あたりをショーツの生地を指の背で撫でる。
いいでしょうが!ピンクのフリフリがついたのを履きたい時だってあるわよ!
そりゃあもっとスゴイのだって持ってるけどね…?

指の背がショーツの輪郭をなぞっていく。
それが進むたびにジクジクとした感覚があたしの真ん中に集中していって…今はそれがどういうことにつながるのか何となく分かってしまうので、少し怖い…。


P「腰、浮かせてもらえますか?」

早苗「……っ」ドキドキドキ


気付けはPくんはショーツを脱がそうとしていたのに、あたしは呆けてて、言われてようやく腰を上げる。


  ずるっ……にちゃぁぁぁあ♪

早苗「やぁ…っ!? うそっ!?」


P「あ…すっごい糸引いてる。ねぇほら早苗さん糸引いてますよ?」


Pくんがショーツと股の間に引かれた透明な糸を見せつけてくる。
こんな意地悪なことをされても何故か胸は高鳴りっぱなしなのが不思議でしかたない。


早苗「ゃっ…見ないでぇ……っ」ゾクゾク
187 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 22:59:58.85 ID:e6Hz8Gyk0

P「ん……、これはもうすごいことになってるな…」スッ


  ぐじゅっ♪

早苗「んあぅっ!?」ビクッ


Pくんの右手指があたしの大事なトコロを隠すようにぴったりとくっつけられると、聞いたことのないやらしい水音が響いた。
ロクに触られていないのになんでこんなに濡れてるのか全然意味が分かんない。


  にゅぷ♪  ぐぷっ♪ ぐじゅじゅぐ♪

早苗「んはぁああっ」ビクビクッ


ただ、アソコに乗っけた手を左右に動かしているだけなのに、暴力じみた快感が全身を痺れさせてくる。
ほんとになんなのよこれ〜〜やばいよぉぉ〜〜。


  ぬるんっ♪

早苗「ふわぁぁああっ!?」ビクンッ


撫でるだけかと思ったら指が中に滑り込んできて、それでまた背筋に電流が走った。
一体何本入れたのよ!?って見てみたら中指一本だけ。たったの一本で電流が走ったらしい…。


P「十分すぎるな……ちゅぷ…んぐ…」


そう言ったPくんは早々に指を抜き、あぁぁぁ…な、舐めるなぁぁぁっ!……自分のベルトに手をかけて、スラックスと下着を一気に脱ぎ捨てた。


早苗「ぁ……」ドキドキドキ


もしPくんのモノが中指よりも細かったら安心できたんだけど、やっぱりそうじゃなくて…。
いや、これまでの男にはそういうのもいたからひょっとしてと思ったんだけどね。
もっと大きいのを持ったヤツもいたけど、そのときには指を入れられても何も感じなかったし、ソレを入れられても圧迫感が辛いだけだった。
だ、だから…指一本で電流が走る今は…どうなっちゃうのかほんとに怖い……。
188 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 23:01:10.84 ID:e6Hz8Gyk0

P「…これまでで何番くらいの大きさ?」


なんてこと聞くのよ!?


早苗「そ、そうね…3番目くらいじゃないかな…?」


あたしも答えてんじゃないわよっ!


P「そっか、残念」


全く残念そうに見えないのはこれからあたしをひーひー言わせる自信があるからじゃないでしょうね…?
そう思うとなんだか嘗められた気がして黙っていられなくて…。


早苗「い、1番大きかったのはすごかったわよ…? お腹やぶけちゃうかと、思うくらいだったんだから…。
 でも、Pくんぐらいのなら…だ、大丈夫かな…」


つい強がりを言ってしまう。
あぁ〜あ…やめとけばよかったのに…。


P「へぇ……」


そして、いつのまにか取り出していたスキンを被せてその先っぽをあたしのアソコに当てがった。


  くちゅっ♪

早苗「ぅあっ……」ゾクッ


もうそれだけでさっきの強がりがどっかに行ってしまって…。


早苗「ぁ、あっ、あっ…で、でも…久しぶりだから…っ。や、優しくお願い…ね?」


はぁ、みっともな〜〜。
でもお姉さんの必死のお願い…聞いてくれるよね?





P「……」








P「だ〜〜めっ」グッ








  どちゅっっっ!!!!

早苗「う゛っ!!!!!??????」ビクンッ
189 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 23:02:24.84 ID:e6Hz8Gyk0


初め何が起こったかわからなかったの。
股を思いっきり蹴り上げられたような重い熱が腰辺りに溜まってて、さっきまで全部見えてたPくんのおちんちんがもう見えなくなってるのに気付いて、あぁあたし終わったなって思った。
これからコレを何度も何度も繰り返されるんだって。
あ、腰の熱がちょっとずつ上へ向かってる…。
脊髄を通ってあたしの脳を目指してる。
これが脳に到着したらそれがあたしの終わりの始まり。
だから止めなくちゃいけないんだけど、どうやってとめるのかわか

早苗「んはぁあああああああ゛あ゛っ!!!???」ビクンビクンッ



  ばちゅっ! ぱちゅん♪ ばちゅん♪

早苗「うぎゅぅぅぅっ!? ひああああああんん!?」ビクッビクッ


知らない知らない知らないよぉ!
こんなの知らない!
熱がどんどん大きくなって体中に広がって脳みそ溶かしてる!?
Pくんの腰が一回ぶち当たるたびにあたしの口から変な叫びが出てくる。
Pくんを止めないとあたしが終わっちゃうのにもう体の自由が利かないの!


早苗「らぁ!らめぇ!! おね!がひ!ゆる!しへぇぇえ!!!」ゾクゾクゾク

P「くっ…すっげ絡みついてくる…っ」


  ぼちゅっ♪ ぶちゅんばちゅ!! ぱすん♪

早苗「うぁあああああ゛ん゛!!!!」ビクビク


Pくんの手が、あたしの腰を掴んでた手が離れたと思、、、ったらっ、おっぱい掴んでっ、ぎゅ
うぅぅ〜〜ってつつつ掴んで、あたしのおっぱいはPくんが腰振るための取っ手じゃないのにぃ
ぃぃいい、もぎゅぅぅぅって掴んで、おっぱい変な形になるくらいこねこねされても胸の奥とア
ソコがきゅぅぅぅ〜〜〜ってなってPくんあたしのドロッドロの顔じーって見て楽しいの?あた
しのアソコでPくんも気持ちよくなってくれてたらうれちいけどどうかなぁ?おちんちんがずぼ
ってなるのといっしょに乳首きゅって、乳首きゅってされたら頭がもっともっとバカになちゃって……っ!


  ぱん!ぱん!ぱちゅん!! もにゅ〜〜〜♪ ぱちゅっ!!

早苗「ひぅぅぅっ! ひぃぃぃぃぅ! いいぃいいううううぅぅ!!!」ビクッビクッ
190 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 23:03:31.87 ID:e6Hz8Gyk0


うあああ…♥ なんていうんだっけこれ?
頭がバカになってフワフワして真っ白になるやつ♥ あ、真っ白って言ってもセーシじゃないからね? 
ちゅき♥ちゅき♥ 昨日までは男しかないと思ってたやつ♥ めちゃくちゃに気持ちいやつ♥ アレ来る♥ 
なんていったっけ? アレ来るよぉ♥ あ、そだ、アレだぁ〜♥ 来る♥来る♥来るっ♥


  ぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱん!!!!

早苗「イ゛っくぅぅぅぅうっ♥♥♥」ビクンッビクンッ


P「はぁ、はぁ! あっ気持ちよさそうにイキましたね? じゃあ、俺ももう…っ!」



  ぱんぱんぱんぱんぱんぱん!!!

早苗「ぁだめぇっ♥ 今だめだってぇぇぇっ♥ またイクのぉ♥ イクイクイ゛グっ♥♥♥」ビクンッ



  ……………どくんどくんどくっ!!!

早苗「ぅああ゛あ゛っびくびくしてる……っ♥」


P「〜〜〜〜っく……」ビクッ





………頭真っ白………。
脳の血管が何本か切れたんじゃないのコレ…。
あ、Pくんなぁにそのだらしない顔〜?
ぶっさいく〜。あはは〜。
でも、気持ちよさそう〜。












……バカなあたしでもPくんの役に立てたかなぁ…?
191 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 23:06:34.29 ID:e6Hz8Gyk0



早苗「はぁ、はぁ、はぁ……Pくん…元気でた…?」

P「っ……」


あぁ…折角気持ちよさそうだったのに思い出させるようなこと言っちゃたかな…。


早苗「ぁっ、ごめ」

P「ふっ……」

早苗「?」

P「ふふっ…ははは……はははっ!」

早苗「ぇ……?」

P「ははっ…いや、すみません…早苗さんが自分を経験豊富だと思い込んでたのがおかしくて…あははは! 
 もうどうでもよくなっちゃいましたよ。はははは!!」

早苗「は? 思い込んでたってどういうことよ!? あたしは本当に……」


と、いつもみたいに売り言葉に買い言葉で返そうと思ったんだけど、P、Pくんが笑ってて…っ、
ずっと辛そうな顔してたPくんが笑ってて…、もうあたしには見せてくれないんじゃないかってずっと不安だった笑顔を見せてくれて……!!!!


早苗「あ…あだしは……っ…ひぐっ…っぐぅ…ほ、ほんとに゛ぃ! けいげん!ううう゛っ!! ほうふ! うっう〜〜〜うぅぅぅぅ〜〜〜〜ぐすっ」

P「さ、早苗さん…っ!?」


あぁっ、やっと笑ってくれたPくんがギョッとしてる! 
なに泣いてんだあたし! バカか!? 
ほら笑顔笑顔!


早苗「ぅぅ……む゛り゛〜〜〜〜う゛あ゛〜〜〜〜〜ん゛っ!!! もうあだしっ!ひぐっ!!
 Pくんにわらっでぼらえないっておぼっててぇ〜〜〜ずっと…ずっとぉぉぉ!!!ふぐっ!!ごわかっだの゛ぉ゛ぉ〜〜〜〜」

P「早苗さん……」

早苗「よがっだよぉ〜〜〜P゛ぐんがぁ〜〜ずびっ…げんきでで〜〜〜よがっだよぉ〜〜〜
 わらってぐれで〜〜〜うれじいよぉ〜〜〜〜」


だめだ…嬉しすぎて気持ちが全然抑えらんない…。
涙だけならまだいいんだけどこれ鼻水めっちゃ垂れてるわ〜〜しまらないわ〜〜。


早苗「P〜ぐ〜ん゛…ひぐっ…めいわぐかぼしれないげどぉ〜あだじぃ〜Pぐんのことずぎでいでいいでずがぁ〜〜〜? 
 ずぎでいざぜでぐでるだけでい゛い゛の゛ぉ〜〜ぐすっ…あだじのいっぼうづうごうでい゛い゛の゛ぉ〜〜」



P「そ、そんなの……」






P「ダメに決まってるだろ!!!」







早苗「う゛っ………」ビクッ





早苗「あ゛〜゛〜゛〜゛〜゛ん゛!!!」

早苗「P゛ぐん゛に゛ぎょ゛ぜづざれ゛だぁ゛〜゛〜゛〜゛!!」

早苗「あだじも゛う゛む゛り゛〜゛〜゛〜゛じぬ゛〜゛〜゛〜゛〜゛っ!!!!!」
192 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 23:07:45.94 ID:e6Hz8Gyk0

P「は!? いや違う!! 一方通行なんてダメだからな!!! お、俺だって…早苗さんのこと……っ!!!」


早苗「え゛???」


P「あんたは! 卑怯だ! あんなに酷いことした俺をまだ好きとか言って!! それにこんな慰めてくれて!! こんなのオチないわけないだろう!!!」



早苗「あ゛え゛???」






P「俺だって早苗さんのことが好きなんだよ!!!!



早苗「え゛? あ゛? え!!!???」




P「言っとくけど、慰めてもらったからじゃないからな!? 早苗さんと初めて会った時からずっと好きだったんだからな!? 
 めちゃくちゃ可愛いし! サバサバしてて一緒にいて楽しいし、自由奔放なところに憧れてたんだよ!」



早苗「え゛? え? まじ…?」


P「でもプロデューサーだから気持ち抑えつけて、あんたに認めてもらえるようになるまでは絶対に出しちゃいけないって…
 そしたらあんなことしちゃって…俺の汚いところぶちまけて全部終わったって思ってたのに…なんであんたはまだ俺のことを好きって…っ!?」


早苗「そんなの……大好きなんだからしょうがないじゃないっ!」



P「っ! 大好きって…っ!? …言っとくけど俺の方が好きだからな!!」





早苗「え?」







早苗「は?」









早苗「はぁ!!!???」クワッ

193 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 23:09:42.04 ID:e6Hz8Gyk0


早苗「あたしの方が好きに決まってるでしょが!!! あたしPくんに殴られたのにまだ全然好きなぐらい好きなんですけど!? 
 ちょっと血が出たからってキレたのはどこの誰よ!?」

P「はぁ!? あれめっっっっちゃくちゃ痛いんだぞ!? しかもこれまで何百回ヘッドロック耐えてきたと思ってるんだよ!? 
 普通だったら三回目でバチコーンやられてるからな!? あんたが好きじゃないとこんなに我慢できなかったからな!? 
 ったく、ロクな恋愛してこなかったくせによく言うわ! どうせ一発か二発ヤったらフラれてたんだろうよっ!」

早苗「なっ!!!??? ぐっ……ぎぎぎぃいい゛い゛い゛……」

P「え〜!? まじぃ!? 図星ぃぃ!? そんなヤツのいう好きなんてほんとかどうだか! はははっ!!」

早苗「はぁ〜〜〜!? あんたのこと考えるだけで胸があったかくなって幸せな気持ちになるのが好きって以外になんなのよ!?」

P「はぁ〜〜〜!? そんなの俺だって一緒です〜。あんただけじゃありません〜」

早苗「あんたって言うのやめてください〜。あたしには早苗っていう名前があるんです〜」

P「おっ出た、早苗お得意の話題逸らし」

早苗「はぁ!? っていうか呼び捨てすんな! あたしは年上よ!?」

P「はん! お前なんか呼び捨てで十分だよ。早苗!早苗ぇぇ!!」

早苗「つーかアンタ!あたしに対してアタリ強くなってない!?」

P「決めたもんね! お前に対してはもう遠慮しないって!!!」

早苗「はぁ!? 望むところよ! あたしだってあんたにだけは全部ぶちまけてやるんだから!!」

P「いいよ! ぶちまけてみろよ! 俺はぜってぇ受け止めて見せるからな!?」

早苗「あ〜〜!! 言ったな!? 男に二言はないんだからね!!」



P「いい加減その減らず口……っ」

早苗「ぁ……」ドキッ
194 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 23:10:25.23 ID:e6Hz8Gyk0


訳の分からない言い合いに白熱してたらいつの間にかPくんの顔が目の前にあって、鼻先同士が触れ合うくらい近くにあって…つい目を瞑ってしまった。




早苗「んぐ♥…あむちゅぅ…れろぁんんぷじゅずうう…っ♥♥♥」ゾクゾクッ



記念すべき二人の初めてのキスなのにPくんは一気に舌をねじ込んできて、しかもあたしの口の中を自分のモノにしていくようなねっとり丹念でやらしいキス…。
舌同士を抱き合わせるとPくんのこれまでの気持ちが伝わってくるような気がして、熱い涙が頬を伝った。



P「んぐ…はぁ…はぁ…早苗さん…ごめん…ありがとう……。俺も早苗さんのことが好きなんだ……っ!」

早苗「ぃやっ早苗って呼び捨てにしてっ!」


P「早苗…好きだ…」

早苗「Pくぅん……あたしも好き♥ 好き♥ 好きぃ♥ 好きぃぃ〜〜〜〜♥」


P「俺絶対にもう早苗を泣かせないから…っ!」

早苗「うん!…うんっ!………ぐすっ」

P「あ、あぁ…言ってるそばから…」アタフタ

早苗「うぅぅ〜嬉し泣きはいいのぉ〜〜」





早苗「それより…もっとキスしてぇ〜〜♥♥♥」
195 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 23:11:42.32 ID:e6Hz8Gyk0







早苗「……ってキスしてたら、お腹が窮屈になってきてなんで?と思って見てみたらずっと入ったまんまだったのがまた大きくなってきてたの! 
 こっちはもう体中痺れてすぐイっちゃうから無理だって言ってるのに、彼ったら嬉しそうにまた動き始めて……
 あんときはホントに三途の川が見えたわ〜〜」






早苗「……って、みんな聞いてる!?」














礼子「へぇ………」ニヤニヤ

志乃「フフフ………」ニヤニヤ

瑞樹「ちょ……………/////」

留美「ゴクリ……………/////」

美優「アワワワ……………///////////////」

楓「」





瑞樹「早苗ちゃん…何があったのか洗いざらい喋りなさいとは言ったけど……そんなことまで克明に言わなくていいの!! 
 見てみなさいよ楓ちゃんなんか気を失って…」


美優「い、いえ…」ミャクハカリ

留美「この子、死んでるわ……」


瑞樹「楓ちゃん!?」

196 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 23:12:59.10 ID:e6Hz8Gyk0


礼子「それにしても夜のPに興味が湧いたわ…一度貸しなさいよ」

早苗「だっめぇ!! いくら礼子さんでもそれだけはダメーーーー!!!」ガバッ

志乃「早苗ちゃん…? 冗談よ? フフフ…」

早苗「え? あ……//////」

瑞樹「Pくんが絡むと冗談も通じなくなる、と……これはPくんにも突っ込むとおもしろ…げふん…彼からも事情聴取する必要がありそうね!」

早苗「え゛!? そ、それはダメ…ほんとにダメ…っ! 誰にも内緒にするって約束したのに、喋ったのバレたら…バレたら……」

瑞樹「バレたら…?」







早苗「すっごい折檻されちゃう……♥♥♥」ポッ









礼子志乃瑞樹留美美優「……」イラッ










礼子「瑞樹、呼び出して」

瑞樹「イエス!マム!」トルルルルルッ

早苗「あ〜〜!! ダメ〜〜〜〜〜っ!!!」

197 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/25(土) 23:14:30.02 ID:e6Hz8Gyk0
片桐早苗 後編  終わり
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/25(土) 23:34:22.99 ID:jaREFGuDO
乙、こうなると美優さんは何されたのか気になりますねえ
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/25(土) 23:43:07.89 ID:K3psHgOTo

美優編が気になる…
200 : ◆ao.kz0hS/Q [sage saga]:2016/06/26(日) 00:46:39.10 ID:iT2XN+OI0
期待もしくは予想を裏切るモノになってしまったのではと思っています…。
こんなのでもよければもうしばらくお付き合いいただきたく。

次は美優さんです。
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/26(日) 00:47:53.78 ID:3P7NgB/Xo
ふざけんなよ一言言わせろコラ









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