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1 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:32:19.43 ID:pn4oUHVy0
この街は眠らない。
新東京は日付が変わっても夜明けが来るまでビルは青く照らさせ道路は車のハイライトで光の筋が通っていた。
街が眠らなければ当然人も
吸血鬼も眠らなかった。
この街の中心部である新東京国立公園は
午後7時、青くライトアップされていた。
公園には新型電動車輪ブーツを履いて技を磨く者や超能力を使って曲芸をする者もいた。
2 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:33:00.70 ID:pn4oUHVy0
この時代においてモーターのついた靴も
身体を透明にするスーツも吸血鬼も
限度こそあるが不可能を可能にする力も不思議なことではなかった。
超能力や気功、魔法は人間の限界を超えることで可能となった。
今や炎を纏うことも怪力の持ち主になることも
努力次第では特段珍しいことではなくなった。
3 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:33:38.13 ID:pn4oUHVy0
すると公園にいた誰もが一人を除き、
慌てて何かを見て公園から出て行こうとした。
公園の東側の入り口から白いジャケットを着た男たち20名ほどが入ってきた。
先頭にいる男はジャケットを着ていなくて
代わりに白いTシャツに白いズボンを履いていて髪は黒く長く後ろで結っていた。
男は正に美男子というに値するような容姿で
女と言っても信じてしまいそうなほどだった。
それが彼の周りに人が集まるカリスマの要因でもあったに違いない。
4 :
◆BRVDE48Y6OxB
[sage]:2016/07/22(金) 21:34:04.56 ID:pn4oUHVy0
公園は広く見晴らしが良かった。
ベンチに座っている男を見つけるのは
他に人もいなかったし誰でも可能であった。
「こんにちは、ヤマト君」
その綺麗な顔に笑みを浮かばせながら
新聞紙を顔に広げて寝そべっている男に話しかけた。
しかし返答がない。
寝ているのだろう、新聞紙を支えているはずの手は力尽きてベンチの下に垂れていたからそうに違いなかった。
普通ならそこで肩をたたくなり、手をつねったり、はたまた腹に一撃を加えたりする。
しかしこの美男子、涼は違った。
5 :
◆BRVDE48Y6OxB
[sage]:2016/07/22(金) 21:34:31.88 ID:pn4oUHVy0
ヤマトと呼ばれる男の腹に手を置くと、
バチィッと鞭を打ったかのような電撃を男に浴びせた。
与えるとほぼ同時にヤマトの体は瞬時に反応し
声にならない悲鳴をあげた。
「誰だよバカ!」
新聞紙を手に力を込めて顔からどけて
男は声を荒げた。
ヤマトという男はツバ付きの帽子を被っていて、涼とは対称的に精悍な顔つきで身長も192センチと大柄でかつ筋骨隆々の熊のような男だった。
6 :
◆BRVDE48Y6OxB
[sage]:2016/07/22(金) 21:34:57.25 ID:pn4oUHVy0
ヤマトは涼の顔を見ると全てを察したように
冷静になった。
「なんだよ、お前かよ。
今日は何?」
イラついた素振りを見せながらベンチの上にあったに両足を地につけ片足をあぐらをかくように曲げた。
「はい、みんな一万円」
涼が右手を上に向けると涼以外の28人が
福沢諭吉の描かれた薄黄色い紙幣をレイの右手に置いた。
「それと、俺からの2万円、
しめて30万円でコイツの彼女を
ドラッグに沈めたヤツを
俺たちのところに連れてきて
欲しいんだっちゃ」
7 :
◆BRVDE48Y6OxB
[sage]:2016/07/22(金) 21:35:24.08 ID:pn4oUHVy0
左手を頭に斜め45度の角度で押し付けると
涼はヤマトに右手を差し出した。
「あのさぁ、そういうの消し屋に
頼んだほうがいいんじゃねえの?」
ヤマトは30枚の紙幣を受け取りながら
一枚一枚丁寧に数えながらいう。
8 :
◆BRVDE48Y6OxB
[sage]:2016/07/22(金) 21:35:51.29 ID:pn4oUHVy0
「ダメダメ、だって消し屋じゃ
殺しちゃうしさ、これは俺たちが
私刑にすんの」
「まぁいいけどよ、俺たちもう22だからさ、
先のこと考えろよ」
「いや俺たちはもう就職してるよ」
涼が知らなかったの?という顔をしている。
対するヤマトも嘘だろ?俺は知らなかったぞ
という顔をする。
9 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:36:24.16 ID:pn4oUHVy0
「つかさ、ヤマト君”IATA”辞めて
まだこんなことしてんの」
IATAとは
インターナショナルアンチテロリストアーミィの略で世界の秩序を乱そうとするテロリストを
人、吸血鬼関係なく殲滅する国際治安維持機関である。
ヤマトは1年前にそこを辞めた後この街のトラブルシューターとして日銭を稼いでいた。
10 :
◆BRVDE48Y6OxB
[sage]:2016/07/22(金) 21:36:50.28 ID:pn4oUHVy0
「うるせえ、俺の中では辞めることを決意した
日から何も変わっちゃねぇんだよ。
あんまごちゃごちゃ言ってっとやらねえぞ」
「はいはい。じゃ、絶対捕まえてきてよ。
じゃあね」
涼はバイビーとおどけたようにヤマトに告げて公園から立ち去った。
他の白服たちはヤマトに敬意を表するように
深く頭を下げて涼とともに消えた。
11 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:37:19.64 ID:pn4oUHVy0
この街のシマ・ヤマトの立ち位置はあらゆる場面での顔役であった。
軍に入る前からこの街の中心人物であった
彼は決して群れなかった。
それはこの街に帰ってきた後も変わらなかった。
12 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:38:01.89 ID:pn4oUHVy0
ヤマトにとっての強みというのは仲間がいないことである。勿論、時には協力する人や吸血鬼もいる。が、しかし常に徒党を組むということはしなかった。それは欠点のように思えるかもしれないが徒党を組まないということは敵を作らなくて済むということでもあるため強みの材料である。
逆に涼はホワイトクラウンという組織を持ち前のカリスマ性で作り上げ、この街の代名詞にまで発展させたが代わりにこの街の一部のヤクザや黒十字という組織と対立しているため頼る勢力は極めて限られてくる。
13 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:38:28.06 ID:pn4oUHVy0
ヤマトのその強みは幅広い人脈を形成した。
飲み屋に行けば報道記者のサラリーマンと、
クラブに行けば会話全てを耳に入れたバーテンダーと、暴力団事務所へ行けばかつての旧友がといった具合にあらゆる筋の、信頼できる情報源が彼の手の元にあった。
14 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:38:57.42 ID:pn4oUHVy0
銭湯「愛善」
薄いクリーム色に囲まれた浴場でヤマトと
指定暴力団、「赤木組」の若頭鮫島が
湯に浸かっていた。
「桐島の野郎にさ、依頼されたんだ」
湯に浸かってから3分の沈黙を破ったのはヤマトだった。
桐島とは涼の名字である。
15 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:39:24.78 ID:pn4oUHVy0
「へぇ、で?」
顔だけはヤマトの方を向く鮫島。
「いやさ、クスリ絡みなんだよ」
面倒くさそうな顔をヤマトは作る。
反してすました顔の鮫島。
16 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:39:50.87 ID:pn4oUHVy0
「ウチはクスリは人道に反するから
ダメって掟があるから違うと思うぜ」
湯を手ですくって顔をに流すと鮫島は応えた。
「そんなの知ってるよ、多分バイヤーは
フリーだろうな、それも国籍持ってない
不正入国者あたりかなぁ」
「なんだよ、目星ついてんのかよ」
「いや探りじゃなくて世間話、世間話」
17 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:40:33.61 ID:pn4oUHVy0
「クスリは儲かるけどさ、
呑まれたら終わりだから
ウチみたいな大所帯じゃ危険すぎるね」
鮫島がサウナを指差すと2人は湯から上がった。
18 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:41:00.03 ID:pn4oUHVy0
銭湯を後にするとヤマトは30万を渡された時に
紛れさせられたメモを頼りにクラブへと向かった。
メモには沈められた女の子の顔とバイヤーの特徴が書かれていた。
仮説ではフリーの不正入国者であるため頼りはこのメモだけである。
夜も更けて客のボルテージも最高潮に達した
ハコは熱気で溢れるようなサウナだった。
19 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:41:26.19 ID:pn4oUHVy0
人混みをかき分けヘトヘトでカウンターに着くとヤマトはビールとバーテンダーに注文する。
バーテンダーはビールをサーバーから注ぐと
何用で?と聞いてきた。
「この女の子、最近見なかった?」
「ああ、その女の子ね先週まで毎週来てたけど
どうしたの?大分飛んでるようだったけど」
20 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:41:53.11 ID:pn4oUHVy0
「まぁその通りなんだけどさ、
廃人になっちゃって。で、
バイヤー探してんだけどこの特徴に
見覚えある?」
メモを手を伸ばし渡すとバーテンダーの森崎は
顔をメモから遠くして頷いた。
「日本語が変な奴だったよ、ここの常連だな。
くる時間は不定期だけどほぼ毎日来てる。
今日はまだ見てないな」
ビンゴ!と心の中でガッツポーズをするヤマトだった。
21 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:42:20.17 ID:pn4oUHVy0
「そう、じゃちょっと待ってるよ」
あ、ついでにジャーキー。と注文するヤマト。
森崎はニコッと爽やかに笑った。
それから40分ほどしてからだろうか、
フードの男がヤマトの隣に座ってきた。
フードの男の顔は隠れてよく見えなかったが
怪しさは充分にあった。
22 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:42:46.66 ID:pn4oUHVy0
スッと試すようにヤマトは例の女の子の写真をカウンターの上に乗せるとフードの男がそれを一瞥してから5秒後、人混みをかき分けて店から飛び出した。
ヤマトはすかさず追おうとするが派手な音楽に気を取られた群衆に阻まれてうまく動けない。
その間に男は裏口から飛び出し、ビルとビルの合間をすり抜けていく。
「逃がすかよッ!」
ヤマトは腰のホルスターのボタンを取り外しながら追いかける。
23 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:43:13.65 ID:pn4oUHVy0
男は体を湯気のような透明のオーラで包み、並外れた跳躍力で仮設階段のパイプから窓の出っ張りへと次々に足場を見つけ上へ上へと登る。
(バカと煙は上に上るってか)
ヤマトはビルの壁に足を垂直につけてその足の力だけでビルを走っていく。
これもヤマトの闘気がなす技である。
バイヤーの男はビルからビルへと猿のように飛んでいく。
24 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:43:39.61 ID:pn4oUHVy0
ビルの屋上にヤマトは辿り着くと腰のホルスターから月光で銀色に光る拳銃を取り出して
2発男に向かって撃った。
2発の弾丸は男の脚に着弾し男の脚は砕け散る。男はバランス崩すとビルの谷底に身を落とした。
25 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:44:05.60 ID:pn4oUHVy0
ヤマトは男が落ちた場所に、
逃げられないように男の目の前に飛び降りると
バイヤーの男は片足だけで身体を起こし、
懐から金属音を響かせてバタフライナイフを
身につけた。
そのバタフライナイフの形状は変わっていて
刃の軸を中心に両刃が二つに分かれていて
軸は針のように尖っていた。
26 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:44:53.19 ID:pn4oUHVy0
男は野太い奇声をあげると残った片足に闘気を
集中させスペツナズナイフのようにヤマトの心臓を狙って飛び出した。
(形状からして毒を塗り込んであるな、
実力差を認めて形勢逆転を狙ったか)
男の直線移動の攻撃はいかに速くとも
身体能力が人と比べ格段に違う吸血鬼と
戦い続けていた百戦錬磨のヤマトにとって
避けることはは容易であった。
27 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:45:19.57 ID:pn4oUHVy0
男は右手に持ったナイフを左手に持ち替えて
避けたヤマトに斬りかかる。
それをヤマトは男の左手首を抑え、攻撃を阻止した。
男は力でヤマトには勝てずナイフはヤマトの肩の上で止まったままだった。
28 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:45:46.39 ID:pn4oUHVy0
男の顔に血管が浮き出るとヤマトは空いた手で
フックを放ち男の顔にヒットした。
男の鼻からは夥しいほどの血が流れる。
「ほらほら、もっと隙を隠さなきゃ、
結構手加減して能力使ってないけどさ、」
「死んじゃうぞ」
ヤマトは鼻を抑えている男にさらに2発ワンツーを撃ち込み、左足のハイキックで男の首を
斜め45度に向けさせると男はもう足に力が入らず内腿の鋭角は30度にも満たなかった。
29 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:46:12.44 ID:pn4oUHVy0
それでもまだナイフを持ったままだったので
ヤマトは鋭い一撃を男の鳩尾に撃ち放った。
男はすでに気絶していてナイフはコンクリートの地面にカラリと落とされ、体の後ろで手錠をはめられていた。
「ふぅ、あとは涼を呼び出すだけか」
ヤマトはぺらぺらの紙のような情報端末を手に取ると涼へとコールし、ここに来るよう伝えた。
するとビルの暗闇から浅黒で鼻筋の通った長身のスーツを着た男が現れた。
30 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/22(金) 21:47:11.24 ID:pn4oUHVy0
「いやぁ〜、シマ君はさすがだなぁ。
まだ2日もたってないよ」
パチパチと拍手しながら現れた目の下に
黒いクマが印象的なスーツの男は
身嗜みも綺麗なものだったし、
時計も革靴もスーツも皆上等なものだった。
「いつから俺のことを尾けていた?
安藤さん」
ヤマトは後ろを振り返らず鋭い語気で言い放った。
「君が国立公園で諭吉を
受け取ったところからかな」
31 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:47:38.70 ID:pn4oUHVy0
優等生のような落ち着いた声で応える。
「最初からじゃねえか」
「シマ君、日本にいるんだから
法律は守らないと、ダメだよね」
「なんだよ引っ張るってのかよ」
一触即発の場が出来つつあったところで
白いワゴンカーが通りに止まった。
ワゴンカーのドアがガラッと開くと
涼が飛び出して2人に走り寄ってきた。
「どうもー、これはこれは
特別捜査官の安藤さんじゃないですかー!」
32 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:48:05.98 ID:pn4oUHVy0
「こんにちは、桐島君。
この間僕のうちに送ってくれた苺大福、
びっくりするほど変な味がしたんだけど
何が入ってるの?」
「えっあれ食べちゃいました?
あれ1ヶ月消費期限切れてるか送ったんすけど
食べちゃいました?」
「ええっあれうちの子供食べちゃったよ!」
安藤が驚いているとレイはポケットから端末を取り出すと一枚の写真を安藤に見せた。
「そういえば家族といえばなんですけどぉ、
これだぁれ?」
33 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/22(金) 21:49:38.78 ID:pn4oUHVy0
写真はラブホテルに入る安藤と謎の女性である。安藤は既婚者で2人の娘がいた。
「そ、それは!」
口をパクパクさせていると涼は続けて言った。
「その倒れてるやつうちで
預かっていいですよね」
凄まじい早さで頭を地につけ、安藤は土下座した。
「どうか、どうか妻にだけはッ」
満面の笑みを涼は浮かべる。
「………どうぞ、何なりと」
権力が不良に屈した瞬間であった。
34 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/22(金) 21:50:44.89 ID:pn4oUHVy0
「おい、安藤、
……尾けんじゃねえよ」
とぼとぼ歩き出した安藤にヤマトは言った。
「それは君に対する信頼が回復したらの
話じゃないかな」
安藤は鋭い目つきで言った。
ヤマトは食えねえとつぶやき白のワゴンに涼と乗り込んだ。
新東京は眠らない、
人は絶えず起きていて、それはこの時代を的確に表しているようだった。
第1話「白夜」完
35 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/22(金) 21:51:10.27 ID:pn4oUHVy0
登場人物
シマ・ヤマト
身長192センチ110キロの巨漢、
常につば付き帽子をかぶり
上は黒いシャツで下は迷彩柄のズボン、
黒いブーツを履いている。
15から新東京国立自衛軍学校に通い、
18から2年間海軍に入隊し、
その1年間国際機関で活動していたが1年前に
新東京に帰ってきた。
桐島涼
新東京の代名詞と言っても過言ではない
暴走グループ「ホワイトクラウン」のヘッド。
容姿端麗で長い髪を後ろで結っている。
就職をしている模様。
能力は闘気を白い電撃に帰るというもの。
安藤
警視庁公安部の特別捜査官で42歳、
既婚者で2人の娘がいる。
尚、私生活がひどいものでよく涼に強請られている。
鮫島
赤木組の若頭、48歳。
6歳になる息子を誘拐された時、
助け出したヤマトとそれ以来銭湯に行く仲である。
森崎
情報通のバーテンダー、39歳。
36 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/22(金) 21:52:49.58 ID:pn4oUHVy0
大体の世界観、
現実の日本とは結構違う新東京。
銃の携帯は拳銃ならオーケー、
新政権樹立で治安維持が思うようにいかない様子。
特殊能力やSFに出てくるような道具も
結構存在する世界。
37 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/22(金) 21:53:30.46 ID:pn4oUHVy0
こんな感じで続けて行く
次回は少し構成を練るので遠くなるかもしれない
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/07/22(金) 23:59:35.65 ID:N/9+42GJo
期待
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/07/23(土) 06:25:29.26 ID:Jhbb5eMS0
期待
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/07/24(日) 16:52:01.63 ID:e8UBBr6Fo
レイって誰だろ?涼とは別人?
41 :
◆BRVDE48Y6OxB
[sage]:2016/07/24(日) 17:06:52.26 ID:DKb0aarT0
やべっ打ち間違えだレイ→涼で
42 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/26(火) 22:31:04.09 ID:PmFK26du0
明日投下しまーす
43 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/26(火) 22:33:54.91 ID:PmFK26du0
新東京、この街には華やかな表があり、
かつ闇よりも深く恐ろしい裏が存在する。
次回、第2話「化物」
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/07/26(火) 22:58:34.20 ID:imKmeICio
了解
待ってる
45 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/27(水) 21:46:55.19 ID:81ehqMkB0
いきまーす
46 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/27(水) 21:47:21.97 ID:81ehqMkB0
絶えず光が反射する街、新東京。
光があるところには影がある。
それはたとえ光そのものの近くにだって
より濃く存在する。
47 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/27(水) 21:47:48.70 ID:81ehqMkB0
第2話「化物」
「イッチ、ニッッイッ」
少年は斧を片手にナニカに振り下ろしていた。
48 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/27(水) 21:48:14.65 ID:81ehqMkB0
コンクリートに囲まれたその場所は人の目につきにくい。この街の影とはこのような場所のことを指していたりする。
五歩も歩けば光できらびやかな通りに出られるのに。影の住人はそのことに気づかないし、光にあたる住人もそれを見ようとしない。
見えないのではない、見ようとしないのだ。
無意識に行っているそれはまさに人間の性質を表していると言っていいだろう。
動物としての本能が、人としての倫理観が
それに触れ、聞き、見るのを危ないとし、
自己を危険から遠ざけようとするのであった。
49 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/27(水) 21:48:40.56 ID:81ehqMkB0
少年はその影そのものだった。
目の焦点は定まっていなくて、
辺りは赤黒く染まっている。
まるで水面に石を投げたときのように
少年が斧を振り下ろせば紅の飛沫がコンクリートの壁を灰色から赤に染めていく。
50 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/27(水) 21:49:07.60 ID:81ehqMkB0
「美しくない、非常にナンセンスだ」
少年は見上げた。
その発言の主は少年の前方にあるビルの屋上にいた。
主は声からして50代ほどの男だったがその姿は
月の逆光でよく見えない。
51 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/27(水) 21:49:33.02 ID:81ehqMkB0
「誰だよ、あんた」
少年に見られたことに気づいた男は屋上に立ったまま言った。
「ああ、すまない。普段なら人の行為に
口出すつもりはないのだが、
思わず独り言を言っていたようだ」
男の声は紳士のようでその声は芯のしっかりしたある美学を持ち合わせていることを感じさせた。
「どうぞ続けて」
52 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/27(水) 21:50:01.62 ID:81ehqMkB0
紳士が言うと少年は再び斧を振り上げた。
するとカランと斧をアスファルトの上に落とし、少年の体を黒と紫を混ぜたような色の湯気が覆った。
紳士は感じた、少年の明確な殺意を。
はっきりとした殺意は闘気を増幅させ、
人を人でなくすることを彼は経験上知っていたので少年が何か仕掛けてることを予想できた。
しかし、これ程の明確な殺意は普通の場面では
起こらない。
53 :
◆BRVDE48Y6OxB
[saga]:2016/07/27(水) 21:50:27.23 ID:81ehqMkB0
行為を見られたということが殺意につながったのかもしれない。それはある種の美学を持っているということである。
「君も美学を持ち合わせていたか、
いいね、それでこそ狂人だ!」
「殺さなきゃ、殺さなきゃ、殺さなきゃ」
54 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/27(水) 21:50:53.44 ID:81ehqMkB0
カシャカシャとカメラの切る音がした。
公安部特別捜査官の安藤は異常な死体現場に
いた。
「ひどいなあ、人としての尊厳を
踏みにじってるよ」
「身元はこれでもわかる?」
55 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/27(水) 21:51:20.34 ID:81ehqMkB0
安藤の隣にいた男、鑑識の錦はいった。
「どうでしょうね、ドナー提供か
何かをしていればDNA鑑定なりで
照合できるんですが。みたところ
能力持ちでもないようですし。
おそらくID持ちでもないでしょうね」
「そうかあ、この場所だもんねえ」
安藤はコンクリートに四方を囲まれた空を見上げた。
56 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/27(水) 21:51:47.87 ID:81ehqMkB0
本来なら死体が見つかることなく、
行方不明もしくは何も起こらないところだったが処理されていない死体を偶然犬の散歩をしていた老人が見つけて通報が入った。
「まぁ科捜研の結果待ちってところですね」
錦はカメラをケースに入れ、現場から撤退しようとする。
「僕の方からも知り合いに
かけあってみようかな」
「シマ君ですか?」
「うん、まぁ」
安藤は気恥ずかしそうに頭をかいた。
「あんまり彼を深入りさせないで下さいよ」
安藤は誤魔化すように笑った。
57 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/27(水) 21:52:14.00 ID:81ehqMkB0
新東京国立公園。
時刻は午後5時を回ったところ、
橙色と青が入り混じって心を動かされるような
空だった。
ヤマトはベンチで足を組み、
煙草を吸っている。
58 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/27(水) 21:52:44.52 ID:81ehqMkB0
「で、何用だ?」
ヤマトは隣で背を丸めて座っている安藤に言った。
「今日の朝方、唐亜通りの裏で
死体が発見された」
ヤマトは転がっていた空き缶に煙草を押し付ける。
59 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/27(水) 21:53:11.53 ID:81ehqMkB0
「穏やかじゃねえな、だけど別に
そんなおかしなことじゃねえだろ」
「確かに普通の死体だったらね、
けど今回は違う。
パーツごとに切り分けられてた」
「ほう、面白い性癖だなそりゃ」
60 :
◆BRVDE48Y6OxB
:2016/07/27(水) 21:53:38.45 ID:81ehqMkB0
「ま、そういうことだからさ。
裏のこと知ってたら
教えて欲しかったんだけど
知らないみたいだね」
「悪いな、安藤」
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