北斗「……笑ってはいけないジュピターか……」

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55 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/25(木) 11:38:39.04 ID:uebxc/ejO
お、桜庭か?
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/25(木) 12:51:59.46 ID:80yCrXbQO
765勢やる気出しすぎだろ
何度俺たちを笑わせれば気がすむんだ
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/25(木) 15:14:21.85 ID:flIi00iAO






冬馬「……うた! 翔太! 翔太!!」

北斗「大丈夫!? 翔太!!」

翔太(……あれ……冬馬君と北斗君の声……?)

 ぼんやりとした意識の中で目を覚ます。
 霞んだ視界の中に微かに翔太は心配げな顔で自分を見下ろす冬馬と北斗の姿を捉えた。

翔太(……ん? なんだろう、なんだったっけ……えーっと……)

冬馬「翔太! 翔太! おい、返事しろ! 翔太!!」ペシペシ

翔太「……冬馬君……」

北斗「ああ、気が付いた……よかった……」ホッ

翔太「北斗君……」

 呼びかけられる声に徐々に景色がはっきり見えてくる。
 それと共に散漫だった思考もだんだん元に戻っていき、やがて完全に覚醒した瞬間、翔太は勢いよく跳ね起きた。

翔太「……!!」ガバッ!

翔太「って……うわっ……」グラッ…

冬馬「おい、無理に起き上がるなって!」ガシッ

北斗「まだ安静にしてないと……」

翔太「ご、ごめん……っていうか、え? なに? 何が起こってるの? あれ?」キョロキョロ

冬馬「だからっ!! お前風呂で溺れたんだよっ!! この馬鹿!! こっちの心臓止まるかと思っただろ!!」

北斗「本当にヒヤヒヤさせないでよ翔太……」

翔太「あ……そっか……」

 グラグラと揺れる頭を抱えながらやっと事実を思い出す。
 それと同時に翔太は自分の周りに冬馬と北斗以外の他の人間の気配があることにも気が付いた。

華村「やれやれ、随分と人騒がせなボウヤだねえ」

黒井「まったくだ……」

翔太「……え゛っ、翔真さんに黒ちゃんまで? どうして……」

道流(ふんどし)「…………」

信玄(ブーメランパンツ)「…………」

翔太「……こっちは見ない、こっちは見ない……」


冬馬「おい、本当に大丈夫か? どっか痛むとことかあるか?」

翔太「あ……うん。大丈夫だよ。まだ少し頭はズキズキするけど」

北斗「ならいいんだけど……」

翔太「でも、そっか。冬馬君と北斗君が溺れた僕を助けてくれたの? ありがとう」

冬馬「……」

北斗「……」

翔太「……?」
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/25(木) 15:24:01.71 ID:flIi00iAO

冬馬「いや……お前を助けてくれたのは華村さんだ」

北斗「うん……たまたま彼が一番翔太の近くにいたからね。真っ先に駆け寄って担ぎ上げてくれたんだよ」

翔太「……え?」

冬馬「……マジで感謝しろよお前」

北斗「……そうだぞ」

翔太「え、え……うん? 翔真さんありがとう……?」

翔真「ほんと感謝してちょうだいよ」

翔太「え、待って……でも……あれ?」

冬馬「……あー、あとだな。お前実はさっきまで息も止まっててだな……」

北斗「ああ。本当に危なかったんだぞ……」

翔太「……そ、そうなんだ。へえ……」

冬馬「だからだな。そのー……あれだ。えっと……やむを得ず人工呼吸をだな……?」

北斗「う、うん……人命救助のためには一刻を争う事態だったからね……」

翔太「…………え?」

翔太「人工、呼吸……?」

冬馬「……」

北斗「……」

翔太「……」


翔太「待って。待って待って待って待って待って待って」

冬馬「……仕方なかったんだ」

北斗「……緊急事態だったんだ」

翔太「いや、ちょっと待って。ほんとに待とう。ここは一旦時間を置こう。考えを整理する時間が欲しい」

冬馬「……そもそも泳ぐなっつったのに泳いだお前が悪いんだぞ?」

北斗「うん。翔太がちゃんと冬馬の忠告さえ聞いていれば……」

翔太「だから待って。待て。問題はそこじゃない。問題の本質はそこじゃないよね?
   一番は誰がそれをしたかってことだよね?」

冬馬「……」

北斗「……」

翔太「僕を助けてくれたのは翔真さん……ということは……まさか……僕に人工呼吸したのって……」

冬馬「……」

北斗「……」

翔真「ん? なあに、その顔。なんか文句でもある?」

翔太「そんな……じゃあ……」ガクガクガクガクッ…






桜庭「そう、僕だ」

翔太「最悪だよっ!!!!」

59 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/25(木) 18:29:48.35 ID:x3B+0bUfO
やっぱりな♂
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/25(木) 18:55:57.22 ID:9epA0G9f0
そろそろ天国の姉が泣くぞ桜庭
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/25(木) 19:38:42.27 ID:1WW0b9EzO
桜庭姉(演:神崎蘭子)
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/25(木) 20:20:44.94 ID:1AFqBoyoo
蘭子とアスランが会話したら物凄い漆黒のゲヘナが展開されて死ぬ
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/25(木) 22:18:13.05 ID:Bvl+o/FL0
医者だからね、ちかたないね
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/26(金) 09:33:13.67 ID:H5PtWCXB0
今回の場合正当かつ適切な処置だからね、仕方ないね
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/28(日) 22:45:42.98 ID:2tDT+GqAO

翔太「すべての可能性の中でもっとも最悪なパターンだよ!! なんで!? どうしてこうなったの!?」

翔太「この人だったらまだ翔真さんにされてた方がマシだったよ!!
   いや、翔真さんも大概嫌だよ!? っていうかここにいるメンツ全員嫌だよ!?」

翔太「ふんどしマッチョにブーメランパンツマッチョにオネエに中年にアホ毛に白鳥とかロクな選択肢ないよ!? ないけども!! ないけれども!!」

翔太「それでもその最後の一線だけは越えたくなかった!! それだけは避けたかった!!」

翔太「確かにさっきから視界の端に不吉なメガネがチラチラ映ってるような気はしてたよ!! してたけど!!
   でもきっと気のせいだって思ってた!! 思いたかった!! うわああああああっっ!!!!」

 デデーン 冬馬、北斗、アウトー

翔太「この状況で笑うとかほんとド畜生だなお前ら!!!!」

北斗「だ、だから口調崩れてるって翔太……っふ」

冬馬「い、命の恩人なんだからそこは素直に感謝しとけよ翔太……っく、ふふっ」

翔太「いっそそのまま死にたかったよ僕は!!」


 バチーンッ!

北斗「あぐぁっ!?」

 バチーンッ!

冬馬「はうあっ!!」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/28(日) 22:52:16.50 ID:2tDT+GqAO

翔太「なんで……なんでなの……そもそも英雄さんに捕まったはずなのになんでこの人がここにいるの……」

桜庭「君への愛さえあればそんな壁などいくらでも余裕でブチ壊してみせる」

翔太「僕が聞いてるのは脱獄した手段であって動機じゃないんですけど!?」

桜庭「ふん、それこそ元医者の頭脳を舐めないでもらおうか。
   この僕の手にかかれば日本警察程度の手ぬるい監視力まるで相手にならないということだ」クイッ

翔太「この高学歴の無駄遣いがッ!!」

冬馬「まーまー、そのくらいにしとけって。実際この人すっげえ全力で駆けつけて真剣に対処してくれたんだぞ?
   マジで桜庭さんいなかったら死んでたかもしれねえレベルにヤバかったんだからな?」

北斗「うん。ついさっきまで疑いかけてたけど流石に本当に医師免許持ってるだけのことはあると思ったよ。的確で素早い処置だった」

翔太「聞きたくない、そんな具体的な救助描写聞きたくないよ……」

翔真「……アンタねえ、いつまでもそんな幼稚な駄々こねてないでまずはお礼くらい言いなさいって。
   元はと言えば調子に乗って泳ぎ回った自分のせいでしょ?
   素直に人に頭を下げられない奴ってのは結局ずっと半人前だよ?」

黒井「それは言えているな。上を目指す者ならば例え屈辱であっても時には他人に頭を下げねばならん時もある。大人になれ翔太」

翔太「大元を辿れば僕は完全なる被害者だからね!? あと黒ちゃんにだけは言われたくない!!」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/28(日) 23:22:36.23 ID:2tDT+GqAO

冬馬「いいからとりあえず礼だけは言っとけって。命が儲かったんだから今日やられた分はそれで全部チャラだろ」

翔太「やだ!! 絶対やだ!! 僕、この人にだけは絶対お礼なんて言わない!! 言わないからね!!」プイッ

翔真「……頑固なボウヤだこと」

北斗「まあ翔太の言い分も分かるけど……」

桜庭「いや、そんなものはいらない。医者が人を助けるのはごく当然の行為であってそこに見返りを求めてはお終いだからな。
   むしろ感謝されるためにやったなどと思われる方がこちらとしては余程心外だ」

翔太「……えっ?」

桜庭「一人の尊い命が救われた。ただその事実さえあれば僕はそれで満足だ。……御手洗君、君が無事で本当に良かった」ポンッ

翔太「…………」

冬馬「……おお、やべえ。今のは本気でちょっとかっこよかったぞ」

北斗「そうだね。まあだったらなんで医者やめたんだっていうツッコミどころはあるけど」

翔真「やだ、いい男……アタシ狙っちゃおうかしら」キュンッ

黒井(……よしっ! これで私はターゲットから外れた!)グッ!

道流(ふんどし)「……」

信玄(ブーメランパンツ)「……」

桜庭「それに何度も言っているが今日の僕の君に対する言動はすべて企画上のキャラ作りに過ぎないからな。
   僕は男子中学生に欲情するような変態ではない。普通に女性が好きだ」

翔太「……全っ然信用出来ないけど」
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/28(日) 23:29:50.77 ID:1Zb0PkIj0
???「私の言動もすべて企画上のキャラ作りに過ぎないピヨ」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/29(月) 00:02:07.31 ID:JC/ueoNAO

桜庭「本当だ。何故なら僕の理想の女性像は姉だからな。
   性別にしろ属性にしろ君とはまったく似ても似つかない存在だろう?」

翔太「それはそれで気持ち悪いし……」

翔真「……チッ、なんだノンケか。つまんないわねェ。やっぱりアタシには社長さんの方が……」チラッ

黒井「!?」

桜庭「とにかく僕は弟キャラや妹キャラには興味はない。姉萌えタイプの人間だ。君と同じでな」

翔太「いや、確かに僕も姉さんとは仲良いけどこっちは別に恋愛対象として見てるわけじゃないから。一緒にしないでくれる?」

桜庭「大体、昨今の妹ばかりをもてはやす風潮はどこかおかしいと思わないか?
   そんなものより姉という成熟した年上の魅力と包容力を合わせ持った存在の方がずっと高尚だろう?
   あねどきっが打ち切られるようなこんな世の中間違っていると君もそう感じないか?」

翔太「いや別に……僕はどっちかっていうと初恋限定派だし……」

桜庭「御手洗君」

翔太「……なに」

桜庭「もう一度改めて言おう。君が無事で本当によかった。
   姉に続いて姉派同志である君まで失ってしまったら僕はさらに心底後悔していたところだ」

翔太「だから勝手に仲間意識持つのやめてくれないかなあ」

桜庭「君は今やんちゃな年頃だ、むやみにはしゃぎ回りたくなる気持ちも分かる。
   だが君がいなくなって本当に悲しむのは君の周りの家族やファン達の方なんだ」

翔太「……」

桜庭「あまり無茶をして周囲の人間に心配をかけるような真似だけはやめて欲しい。そこだけは肝に銘じておいてくれ」

翔太「……」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/29(月) 00:10:26.05 ID:JC/ueoNAO

翔太「………そうだね。うん。あの、薫さん。今日は僕、薫さんに酷いこといっぱい言っちゃってごめんなさい。
   まあ僕の方も散々酷いことはされたけど……それに関してはもうこの際水に流すよ」

桜庭「君の名字のように?」

翔太「ほんと黙ってて」

桜庭「……」

翔太「……」

桜庭「……」


翔太「その……た、助けてくれてありが……」

桜庭「御手洗君」

翔太「……」







桜庭「宣言通り君の唇のチェリー……ジャックさせてもらったぞ?」グッ!

翔太「」

冬馬「あ、死んだ」


71 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/29(月) 00:16:57.05 ID:LFESw6Tao
初めてせんせぇを見た時は今度こそネタキャラしない蒼だと思ったんだがなあ…
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/29(月) 00:29:25.70 ID:BMR7cKsh0
姉の命を奪った病を無くすため、トップアイドルを目指す元医者!の時点でネタだと思ったが...
千早・絵理・凛・泉・静香・北斗・薫の蒼の中でまだネタじゃないのは泉ぐらいじゃないか?
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/29(月) 01:22:49.04 ID:1NebLoXC0
エリーはセーフじゃないかな……?
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/29(月) 01:37:26.25 ID:mAIg3sWAO
桜庭先生はキャスティングも狙ってる感ある
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/29(月) 13:35:01.12 ID:v6SLXVnG0
このSSの影響で「桜庭=ショタ専ホモ姉萌え野郎」のイメージがついちゃった
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/30(火) 01:05:32.18 ID:nFEq81Y50
千早:72 痴早
絵理:
凛:凛わんわん 正妻(笑)
泉:
静香:うどん
北斗:ジュピター
薫:桜庭乱入!!

絵里・泉は思いつかないなキャラが薄いと言うのかもしれないけど...
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/30(火) 01:27:20.64 ID:hyu1wEZ4O
凛ちゃんは他にもクンカーだの蒼だのアホみたいに公式非公式問わずネタが多いな
ほくほくはなんでジュピター=ネタなんだよwwww
どっちかっていうとチャオ☆じゃないかな
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/30(火) 07:03:25.53 ID:AgvvoGna0
どうせ蒼はネタになる
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/02(金) 19:33:39.51 ID:VFMusgAAO






 ――315プロ事務所前

山村「さあ皆さん、とうとうぼくたちのホームに帰ってきましたよ!」

冬馬「はあ……ついにここまで戻ってこれたか。何もかも皆懐かしい……」

北斗「たかが風呂入るだけで長かったね……。
   あと帰り際、黒井社長が秘書さんに首輪とリード付けられて無理矢理引きずられていったような気もするけどあれは多分ただの幻覚だよね」

冬馬「ああ、幻覚だ。だから気にするな」

翔太「………………」

北斗「……それと翔太がさっきからもはや一言も発してないんだけど」

冬馬「……翔太、これでやっと晩メシ食えるから。頑張れ。な?」

翔太「………………」

80 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/02(金) 19:51:37.08 ID:VFMusgAAO


 ――事務所内

山村「皆さん今日は1日本当にお疲れ様でした。はい、それではこれがお待ちかねのみんなの夕食のお弁当ですよ! どうぞ!」コトッ

冬馬「……これは……」

翔太「……」

北斗「……」

 事務机の前に並んで座らされた3人の前に待ちに待った夕食が置かれる。
 ただし各人に用意されたその弁当箱は明らかにそれぞれのレベルに格差のあるものだった。

・冬馬の弁当……ごく一般的な1段の弁当箱

・翔太の弁当……3段重ねの豪華な重箱

・北斗の弁当……ごく一般的な2段の弁当箱

冬馬「……」

北斗「……」

翔太「……ねえ、これって……」

冬馬「……よかったな翔太! ほら、お前のやつが一番デカいぞ! 一番いっぱい入ってるぞ!」

北斗「う、うん。しかも黒塗りのお重に金の蒔絵なんて随分と渋いじゃないか! やったな翔太!」

翔太「でもこういうのってさ。大抵一番豪華っぽいやつがハズレのパターンだよね?」

冬馬「…………」

北斗「…………」

翔太「つまりそのお約束に則って考えると僕のが一番ハズ……」

北斗「い、いや! そうとも限らないさ! そう見せかけて実は普通に中身も豪華っていうフェイントをかけてきてるかもしれないし!」

冬馬「そ、そうそう! しかも3段もあるんだぜ! 他がダメでも1段くらいは絶対まともなのもあるって!
   もしハズレだったら俺のと交換してやるし!」

翔太「……」

北斗「……とりあえず中を見てみようよ翔太。具体的なことはそれから考えよう」

翔太「………分かった。じゃあ開けるよ?」パカッ

 警戒しつつも一番上の蓋を開ける。完全に諦めきった表情で恐る恐る中を覗き込んだ翔太は、しかし次の瞬間パッと顔を輝かせた。


翔太「わあ、チラシ寿司だ!!」
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/02(金) 19:57:57.99 ID:NHDyHEPVO
身構える
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/02(金) 20:12:22.99 ID:FlGecU3lO
問題は誰か作ったかだな…
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/02(金) 20:18:26.06 ID:VFMusgAAO

 予想に反して入っていたのは本当に豪華なメニューだった。
 ツヤツヤと輝く錦糸卵、色鮮やかなサヤエンドウとイクラ、レンコンにエビにきゅうりにマグロ。
 とにかく彩り豊かな海鮮や野菜が散りばめられた紛うことなき立派な献立である。

翔太「2段目はなんだろー!?」パカッ

翔太「……うわ、カニだ! カニ入ってる! なんだろこれ、タラバガニ? タラバガニかな? すごい! あ、ウニも!?」

翔太「あっ、しかも3段目はフルーツの盛り合わせだ! メロンまであるよ!
   わあい、僕メロン大好き!! どれもすっごく美味しそう!!」キラキラ

冬馬「……おお! よかったな翔太!」

北斗「本当によかったね翔太!」

翔太「うんっ!!」

 まさかの大逆転ホームラン。ついさっきまで底の底までダダ下がりだった翔太のテンションもここに来て爆上げである。
 念のため箸でそれらを触ってみるが、実は食品サンプルだったというようなオチもない。

翔太「うわあ……」ワクワク

冬馬「お前さっきから溺れかけたりして相当腹減ってるだろ。先に食べ始めてていいぞ」

翔太「……え、いいの?」

北斗「そうだね。せっかくの豪華な弁当なんだから」

翔太「わーい、やった! じゃあさっそくいっただきまー……」

山村「あ、待って下さい。その前にその料理を作って下さった方の映像がありますのでそちらを見てからにしましょう」

翔太「……はい?」ピタッ

山村「翔太くんは典型的なゆとりの見本みたいな人ですからね。
   毎日の食事の用意にかかる手間がいかに大変かなんてこと全然分かってないでしょう?」

翔太「……別にそんなことないけど」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/02(金) 20:33:58.93 ID:VFMusgAAO

山村「なら聞きますけど翔太くんはキャラ作りで履歴書の趣味の欄と座右の銘の欄にあざとく親孝行とか書いてますが、実際普段からお母さんのお手伝いとかしてるんですか?」

翔太「…………」

山村「ほらね」

翔太「いや……でも僕は仕事してるし……ちゃんとこの仕事で稼いだお金家に入れてるし……」

山村「そんな風に仕事だけしてればいいと思って家庭を省みないような男は仮に将来結婚したとしても間違いなく奥さんに愛想を尽かされますよ?」

翔太「なんか賢君って僕に対してだけやたらと塩対応じゃない?」

山村「というわけで食事を用意している様子を実際に収めたものがこちらにありますので、これを見て日頃の自分の行いを反省しましょう!」

翔太「だから聞いて……待って。いや、いやいやいや。だからちょっと待っ……」

 翔太の言葉など無視して山村はさっさとDVDを挿入するとリモコンで操作する。
 すぐにテレビ画面に映像が映し出され、にわかにアップで現れた人物はこの場にいる全員がよく見知った顔だった。



やよい『うっうー! ジュピターの皆さんこんにちはー! あっ違った、こんばんは!』

翔太「……やよいちゃん?」


 カメラに向かって彼女が勢い良く両手を振り上げるとチャームポイントであるツインテールが揺れる。
 765プロの元気印、高槻やよいの姿がそこにあった。


やよい『高槻やよいのお料理さしすせそ特別編! 今日は315プロさんの企画用に翔太くんのお弁当を作るということだそうです!』

冬馬「へえ……つまりこの弁当は高槻が作ってるのか」

北斗「やよいちゃんかあ。なるほど、だったらこんなに美味しそうなのも納得だね」

翔太「……」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/02(金) 20:47:18.17 ID:VFMusgAAO

やよい『はいっ、ではさっそく料理の方に取りかかっていきましょー! まず最初の材料はこちらのカニさんですよー!』

冬馬「本当によかったじゃねえか翔太。あいつだったらまずわさび大量に入れてきたりするような真似はしないだろ」

北斗「そうだね。彼女なら食べ物を粗末にするようなことは絶対しないはずだ」

翔太「……そ、そうかな。そうだよね。大丈夫だよね……?」

やよい『わあ〜、タ、タラバガニなんて私初めて見ました……はわっ、しかもまだ生きてます!』

カニ『……』ガサガサッ…

翔太「……」

冬馬「……」

北斗「……」

やよい『……すごいなあ。これってもやし何袋分くらいの値段なんだろう……えへへ、私たちの1ヶ月分の生活費くらいかな?』

翔太「……」

冬馬「……」

北斗「……」

やよい『それからこっちのメロンもあみあみ模様が入っててすっごくキレイですー!
    桐箱に入ってるメロンなんて現実に存在するんですね!』

翔太「……」

冬馬「……」

北斗「……」

やよい『なになに……へえ、産地直送……最高等級……厳選に厳選を重ねた幻の一品……へえ……。
    はっ! ご、ごめんなさい、つい見とれちゃってました! じゃあすぐに調理に入っていきますね!』ジュルッ

翔太「……」

冬馬「……」

北斗「……」

やよい『でもこんな高級な食材なんて使うの初めてだから緊張しちゃうかも。えっと、えっと、最初は……』

長介『……なあ、姉ちゃん』

やよい『よしっ、じゃあまずはカニさんをお鍋で茹でていきますよー! たっぷりのお湯を沸かしてお塩を……』

長介『姉ちゃんっ!!』

やよい『……ちょっと長介! 今お料理してるところでしょ! 邪魔しないの!』ヒソヒソ

長介『だってただでさえ家計ギリギリなのに他人のメシまで用意してる余裕なんて家には……!』ヒソヒソ

やよい『で、でももう材料費ももらっちゃってるし……』ヒソヒソ

翔太「……」

冬馬「……」

北斗「……」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/02(金) 20:53:17.16 ID:VFMusgAAO

長介『そんなもんこっそりくすねちまえよ! これだけあれば一体もやし何袋買えると思ってるんだよ!?』

やよい『こら、長介! なんてこと言うの! そんなことしていいわけないでしょ!?』

長介『だって姉ちゃん前に言ってたじゃんか! いつかあみあみのメロンが食べてみたいって!
   いっぱい働いて10年後、20年後でもいい……いつか本物のメロンを食べるのが姉ちゃんの夢なんだって……なのに……!』

やよい『長介……』

長介『なのに……っ!』ギリッ…

やよい『……長介。もういいから。ありがとうね。大丈夫、これからまたお姉ちゃんいっぱい働いてお金貯めるから』ギュッ

長介『……姉ちゃん……』

やよい『だから……だからいつかは本当に家族揃って全員で本物のあみあみメロンが食べられるよ。それまで待ってて? ね?』

長介『……姉ちゃんっ!!』

やよい『ぐすっ、ほら泣かないの……ふふっ。
    さーて、それじゃあいよいよ作っていきますよーっ! 楽しみにしてて下さいねーっ!』

翔太「……」

冬馬「……」

北斗「……」

山村「以上です」ピッ

翔太「……」

冬馬「……」

北斗「……」




翔太「いや、食べ辛いよッ!!!!」ダンッ!

 デデーン 冬馬、北斗、アウトー
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/02(金) 20:58:47.28 ID:VFMusgAAO

翔太「なにコレ!? 胸が痛い! 今すごく張り裂けそう! かつてないほどのとてつもない罪悪感で胸が押し潰されそうなんだけど!?」

冬馬「こ、これはひどい……」プルプルッ…

北斗「やばい、リアルに涙出てきた……」ジワッ…

翔太「……えっ、まさかこの状況で本当に食べろと!? 平然とこれを僕に食せと!?」

冬馬「そ、そうだな。せっかく高槻の奴が一生懸命作ってくれたんだ。ありがたく食えって……」

北斗「そ、そうだね。しっかり噛み締めて食べよう翔太……」

翔太「いや、無理でしょ!? 僕どんな鬼畜なの!?
   やよいちゃん家が貧相に20円のもやし食べてる時に自分だけこの豪華弁当平らげるとかとんだクズだよ!? クソ野郎だよ!?」


 バチーンッ!

冬馬「どわあああっ!?」

 バチーンッ!

北斗「ぬああああっ!?」


翔太「ムリムリムリムリムリ! 流石に無理! これは食べられない! 食べられないって!!」

冬馬「っふ……い、いいだろ別に。お前は元から大概鬼畜なんだから今さら畜生度が1上がったところで誤差の範囲内だ」

翔太「冬馬君はどんだけ僕のこと腹黒だと思ってるの!? こっちにだって人の心くらいはあるからね!?」

北斗「でもこれで残したりしたらそれこそ罰当たりだぞ。最後まで味わって完食することがせめてもの彼女達へのはなむけだ」

翔太「やよいちゃん達が飢え死にしたみたいな言い方やめてくれる!?」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/03(土) 02:19:45.50 ID:PkcWeR3DO
笑ってはいけないが終わった後に夕飯のお礼としてメロンを送る…これだ
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/03(土) 08:38:57.89 ID:xW/5QaZS0
仕込みや台本とかじゃなくガチっぽいのが、心に突き刺さるな…
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/03(土) 18:15:38.88 ID:bCnqDS0AO

冬馬「大丈夫だって。これもただの演出だろ?
   今はもう稼いでんだからあいつらだって実際はそこそこ良いもん食ってるだろ」

翔太「うう……はっ、そうだ交換! 冬馬君、僕のと交換してくれるって言ったよね!?」

冬馬「いやいやダメだろ。俺はハズレだったら交換するっつったんだぞ?
   お前はせっかく高槻が丹精込めて作ってくれた弁当をハズレ扱いする気か?」

翔太「ぐぬっ! 冬馬君のくせになんという詭弁を……!」

北斗「それに彼女の手作り弁当が食べられるなんてファンの人達からしたら垂涎ものだしね。レアだぞレア」

翔太「そんな無駄に恨み買うような真似したくない……なんなの……僕が何をしたっていうの……むしろやよいちゃんたちが何をしたっていうの……」

冬馬「まあとにかく食えよ。弁当そのものが大当たりなのは事実なんだからよ」

翔太「ぐ、ぐうう……ならせめて飲み物、飲み物はないの……?」

山村「あ、すいません忘れてました。はいどうぞ」コトッ

翔太「ああ、あるんだ。よかっ………待って、ラベルに思いっきりラバ茶って書いてあるんだけど」

 デデーン 冬馬、北斗、アウトー
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/03(土) 19:03:49.61 ID:bCnqDS0AO

翔太「……」

冬馬「ラバ茶……」

北斗「ラバ茶……」


 バチーンッ!

冬馬・北斗「がふぁっ!?」


翔太「……」クルッ

翔太「……“原材料名:桜庭(国産)”」ボソッ

冬馬「っ!」ピクッ!

北斗「っ!」ピクッ!

翔太「“桜庭農家で採れた天然の桜庭のみを100%使用した濃厚な味わいのお茶です。
   薫り高い薫の本格的な深い渋みとコクをご堪能いただけます”」

冬馬「……」

北斗「……」

翔太「“※稀に薫の成分が底に沈殿している場合がありますが品質には何ら問題はありません。よく振ってからお飲み下さい”」

冬馬「……」

北斗「……」

翔太「ふーん、なるほどね。そう来るんだ。へー。はっはーん」

冬馬「……」プルプル…

北斗「……」プルプル…

翔太「……」





翔太「……」カパッ ゴクゴクッ

冬馬・北斗「!?」


冬馬「………躊躇わずに飲んだ!?」

北斗「一体どうしてしまったんだ翔太!?」

翔太「……うぇっ、生臭っ!?」ビチャッ!

冬馬・北斗「オホォッwwwww」

 デデーン 冬馬、北斗、アウトー
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/03(土) 20:11:10.96 ID:bCnqDS0AO

翔太「なにこれ、臭っ! 生臭っ!
   なんか部屋干しした生乾きの洗濯物にカツオのタタキ合わせたみたいな味する! まずっ!」

冬馬「どんな味だよ……」

翔太「こっちが聞きたいよ!」

北斗「なぜそんなものを無警戒に飲んだりしたんだ……」

翔太「中身は普通のお茶ってパターンかと思って……」


 バチーンッ!

冬馬「ぐぬあっ!」

 バチーンッ!

北斗「ほげえっ!?」


翔太「おえ……ああもう口の中気持ち悪いし……」ウェップ

冬馬「……ちょっとそれ俺にも一口寄越せよ」

翔太「ええ? 飲むの? 別にいいけど……はい」

冬馬「おう……」ゴクッ


冬馬「……うぇっ、臭っ! 生臭っ!?
   なんだこれ、なんか部屋干しした生乾きの洗濯物にカツオのタタキ合わせたみたいな味する! まずっ!」ビチャッ!

北斗「だからどんな味だ……」

冬馬「こっちが聞きてえよ! マジでうちの翔太に一体何飲ませやがったあの野郎!?」

翔太「考えたくないからやめて……」

山村「あのー、いいから遊んでないで早く冬馬くん達もお弁当開けちゃってくれませんか?
   こっちもあなた達にばかり構ってられるほど暇じゃないんですけど」

冬馬「こ、こいつ……!」ビキッ

北斗「まあまあまあ……」

翔太「……確かにムカつくけど賢君の言うことももっともではあるよ。
   僕が言うのもなんだけどもういいから余計な寄り道してないでさっさと済ませちゃおう?」

冬馬「……それもそうか。じゃ、じゃあ開けるぞ? ほんとに開けるからな?」ソワソワ

北斗「いいから早くしろ」

冬馬「……行くぞ」パカッ
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/03(土) 21:18:44.31 ID:bCnqDS0AO

冬馬「……ああ……」

翔太「なんだった?」

冬馬「……カレーだ……」

翔太「……」

北斗「……」

冬馬「……」

 全員セーフ――

冬馬「………えっ?」


冬馬「えっ、えっ? これだけ? まさか俺の本気でこれだけか? 俺のくだりこれで終わり!?」

翔太「……なんか仕込みとかないの? 味は?」

冬馬「……」パクッ

冬馬「……ほんとに普通のカレーだ……」モグモグ…

北斗「……」

翔太「……」

冬馬「……あっ!」

北斗「なんだ?」

冬馬「カレーにカレイ入ってる」

翔太「うっわ……」

北斗「……」

冬馬「……え?」

翔太「……はーあ。これだから冬馬君は」チッ

北斗「お前……いい加減にしろよ」

冬馬「いやっ……えっ? 待て、これ俺が悪いのか!? 俺か!? えっ?」

翔太「まあ最初から冬馬君に期待するだけ無駄だったね。しょせん冬馬君なんてこんなもんでしょ」

北斗「カレーにカレイってお前……今日日幼稚園児でもそんな程度の低いダジャレ言わないぞ……」

冬馬「だからなんで俺が滑ったみたいになってんだよ!? おかしいだろ!?
   っつかこれ絶対考えたの天道さんだろ! ふざけんなよ!」

翔太「あーもういいから。冬馬君はもう黙って1人でそのカレー食べてなよ。
   ほら、よかったじゃん。冬馬君の大好きなカレーだよカレー」

北斗「よかったな。冬馬のカレーだぞ冬馬のカレー」

冬馬「だからカレーカレー連呼すんなよぉ!!」グスッ

翔太「よし、じゃああっちのなんか茶色い人のことなんか忘れてちゃっちゃとラスト行っちゃおう。北斗君のお弁当は何かな何かなー?」ワクワク

北斗「そうだね。俺ももうすっかり腹ペコだよ。さあ、俺の弁当はなんだろう?」パカッ

冬馬「無視すんなよぉ!!」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/03(土) 21:34:20.05 ID:d8xPH7B7o
桜庭茶…天道カレイときたら…
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/03(土) 21:53:53.12 ID:bCnqDS0AO

 涙目の冬馬を完璧にスルーして北斗は自分の弁当に手をかける。
 上下2段の弁当箱、まずはその一番上の蓋を開けた。

翔太「何が入ってた?」

北斗「えっと……ただのごはんが敷き詰められてる」

 そこにあったのは日の丸ですらない本当に何の変哲もない白ごはん。
 何かが混ぜ込んであるわけでも、ふりかけがかかっているわけでもない。
 ただただ一面真っ白の味気ない白メシである。

北斗「……」

翔太「あちゃー、残念。北斗君のもハズレだったみたいだね」

冬馬「うわっ、ざっまあ! ほれ見ろ、お前のだって俺のと大差ねえじゃねえか! ははははは、ざまあみろバーカ!」

 デデーン 冬馬アウトー

冬馬「……あっ!?」

翔太「冬馬君って本当愛すべき馬鹿だよね」

北斗「天然記念物に指定したいレベルだな」


 バチーンッ!

冬馬「ごがあっ!?」


北斗「……しかし実際問題、これだけなのはちょっとキツいな」

翔太「でもまだ2段目があるよ。オカズはそっちに入ってるんじゃない?」

北斗「うん、そうだな。とにかく開けてみよう」パカッ

冬馬「ふんっ、どうせそっちもただの白メシみたいなオチだろ! ざまあみやがれ、バーカバーカ!」

翔太「冬馬君うるさい」

 冬馬の小学生並みの捨て台詞を聞き流して北斗はさっさと2段目の蓋も開ける。
 翔太レベルとまではいかなくともここは真っ当な内容を期待したいところだったが……。
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/03(土) 22:12:55.44 ID:bCnqDS0AO

北斗「これは……水嶋君と神楽君と秋月君のブロマイド?」ヒョイッ

 中に入っていたのは食べ物ですらなく水嶋咲、神楽麗、そして秋月涼の写真だった。
 ちなみにいずれもカメラ目線にやや上目遣いで僅かに頬を染め微笑んでいるものばかりである。

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「え? え? なに? これは一体どういうこと?」

翔太「……えーっと」

冬馬「まあ……つまりアレだろ? 要はこれをオカズにしろってことだろ?」

北斗「オカズって……」

冬馬「オカズだ」

北斗「オカズ……」

翔太「……」

冬馬「……」

北斗「……」

木星「フフフッ……」

 デデーン 全員アウトー


翔太「あのさぁ……」

北斗「……本当にこれを俺にどうしろって言うんだ……」

冬馬「よかったな北斗。古今東西、豊富なオカズが選り取り見取りじゃねえか」ポンッ

北斗「だから俺には男の娘属性とかないから……」


 バチーンッ!

北斗「おぐぅっ!?」

 バチーンッ!

翔太「ほああっ!?」

 バチーンッ!

冬馬「ぶあああっ!?」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/03(土) 22:30:02.40 ID:bCnqDS0AO

北斗「ああ、痛い……」ジンジン…

冬馬「……まあでもこれでやっと落ち着いてメシが食えるな」

山村「そうですね。中身の確認も終わったことですし、それではみんなどうぞちゃんと席に付いてから遠慮なく食べて下さい」

翔太「あーもう食べたくない……」ガタンッ

冬馬「高槻のファンとお百姓さんに殺されるぞお前」ガタンッ

北斗「だからこのブロマイド……」ガタンッ





 バターンッ!!

765P「すみません!! 誰か俺のオカズを知りませんか!? ブロマイドなんですけど!!
     いつの間にか失くしてしまったんです!! 特に神楽君のやつがお気に入りで……!!」

 デデーン 全員アウトー


98 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/03(土) 22:37:12.72 ID:P1Y217Wd0
765が強すぎるwwww
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/03(土) 23:14:41.83 ID:mt+QMB99O
りっちゃん呼ばなきゃ
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/05(月) 10:55:14.31 ID:4DWH21Ui0
綺麗所揃ってる765に居るのに手出さないと思ったら、股間のpはホm男の娘専属だったか…
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/08(木) 18:50:06.13 ID:eS0HGRhAO

765P「……ん? あっ! 俺のオカズ! こんなところにあったのか!
      そうか、北斗が拾ってくれたんだな! ありがとう!!」

北斗「拾ってないですし俺はこれをオカズとは認識してません」

765P「それにしてもそうかあ、北斗も俺と同じ深い業を持つ男だったのかあ。ははっ、仲間だな!」

北斗「だから俺はそんなカルマ背負ってないですし今後背負う予定もないです」

765P「世間の荒波はこっちの世界に厳しいけどお互い負けずに頑張ろうな! 非実在青少年とかクソだよな!」

北斗「実在してるんだよなあ」

翔太「この人ほんとアウトでしょ」

冬馬「どんだけ雑食だよこいつ」


 バチーンッ!

北斗「どああっ!?」

 バチーンッ!

冬馬「ぐぅっ!?」

 バチーンッ!

翔太「ぴぃ!?」


765P「おいおい何言ってるんだ。俺ほどのグルメな男なんてそうそういないぞ?
     ちなみに俺の将来の夢はおちんちんランドと水龍敬ランドを同時に開園することだ」

冬馬「もう人間やめろよあんた」

765P「まあこの趣味がお前みたいな凡夫には到底理解の及ばない高尚な嗜好であることは認めるよ。
     だが俺は決して諦めない。いつか必、ず……ッ!?」ゾクッ

冬馬「……ッ!?」ゾクッ

 最後まで765Pが言い切らない内に言葉が途切れる。瞬間、冬馬達に鋭い悪寒が走った。
 まるで災いが降りかかる前兆かのようにザワザワと背筋が凍りつく感覚がその場を支配する。

冬馬「な……なんだ!? 一体何が起こってるんだ!?」キョロキョロ

翔太「なに? なんなの!? このとてつもなく巨大なプレッシャー……怖い……!」ブルッ…

北斗「なにか………来る!!」

 バッ、と全員が一斉に後ろを振り返る。
 キィィ…と扉が僅かに開き、どこまでも暗いその深淵の向こうから“なにか”は現れた。


律子「………………」

765P「………………」
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/08(木) 18:51:45.37 ID:eS0HGRhAO





律子「 見 ぃ つ け た ♪ 」

765P「Oh……」



103 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/08(木) 19:08:55.85 ID:eS0HGRhAO

律子「だらっしゃあああああああッッ!!!!」ズドドドッ!

 間髪入れず渾身のラリアットが765Pに向かって炸裂する。

765P「………ふんっ!!」バッ!

律子「なっ……!?」スカッ

冬馬「……今の一撃を避けた!?」

北斗「なんという反応速度の速さだ……!」

765P「ふっ、甘いな律子。既にお前の動きは見切った」

律子「そ、そんなはず……! なんで!?」

765P「そうだな。強いて言うなら先ほどの謝罪会見時……お前はあまりに俺に手の内を見せ過ぎたんだ」

律子「……」

765P「お前に執拗にサブミッションをかけられ続けている間、ただ俺が思考停止して悶えているだけだとでも思ったのか?」

律子「……」ギリッ…

765P「お前の技、スピード、癖、リーチの長さ……すべて把握した。悪いがもうそちらに勝ち目はない」

律子「……なぜ……何故そこまでしてあなたは働きたくないんですか? そんなに仕事が嫌なんですか?」

765P「いいや、それは違う。俺は本気で765のみんなを一流のトップアイドルにしたいと思っている。
     そのためなら例え過労死したって構わない。その気持ちに嘘はない」

律子「ならどうして……」

765P「俺はな。ただ無茶がしたいだけなんだよ」

律子「……」

765P「常に法とセクシャリティのギリギリの場所で無茶をし続けてこそ生の……いや、性の実感は得られる。
     ただ安穏と毎日与えられた仕事をこなし、世間の歯車になっているだけの人間では決して得られない最高の快感だ」

律子「……」

765P「俺はそんな社会的に生きるか死ぬかの戦いの中にしか自分を見つけられない大馬鹿野郎なのさ」

律子「……本当に……馬鹿ですねあなたは……」

765P「すまない。……さて」バサッ
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/08(木) 19:42:47.26 ID:eS0HGRhAO

 765Pは着ていたスーツの上着を脱ぎ捨てると胸元のネクタイを緩める。
 それから腰を落として構えを取るとクイクイとその指先で律子を挑発した。

765P「お前に恨みはないが俺の覇道を邪魔する者に容赦は出来ない。
     ここらでハッキリと白黒をつけようじゃないか。来い……律子」ザッ

律子「……いいでしょう。ならばこちらも礼を尽くし、全力をもってお相手させていただきます」ザッ

翔太「……」ゴクリ

北斗「この闘い……一体どちらに軍配が挙がるんだ……?」

冬馬「頼む……勝ってくれ秋月……!」




765P「……りぃぃぃぃつこぉぉぉぉおおお!!!!!!」

律子「プロデューサァァァああああああ!!!!!」




 踏み込みはほぼ同時。

 瞬きする間もなく鼻先まで肉薄し、固く握り締めた互いの拳が熱い火花を散らそうとしたまさにその瞬間―――しかし律子は寸前で身を引いた。

765P「……なにっ!? フェイントだと!?」

律子「ふふっ、甘いのはそちらの方でしたね!」キュッ!

 すんでのところで右足で踏みとどまった律子はそのまますかさず身を屈める。
 軸足を中心に腰にひねりを加え、思いきり腕を振り抜いたばかりでガラ空きな765Pのその脇腹へ一気に掌底を叩き込んだ。

律子「もらったぁーーー!!」ボッ!

765P「だからお前は甘いんだ律子ッ!!」スルッ

律子「!?」

 だが、765Pは崩れた体勢のまま倒れ込むように自らの身体を反転させそれを回避する。

765P「俺はッ! 絶対にッ! 諦めないッッ! 俺だけの楽園(エデン)を築き上げるその日まで……!」

律子「くっ!」

765P「心苦しいがお前には少しの間眠っていてもらおうか!
     俺にはこれからこの神楽君のブロマイドを使ってわぁい!する使命があるからな……!」

 思わぬ事態にバランスを崩し、ガクッと床に膝をついてしまった律子はその隙に765Pに死角である背後に回られてしまう。
 途端に形勢が逆転し、さらに容赦のない手刀がすぐさま彼女の細い首筋めがけて振り落とされた。

765P「ここまでだ律子ッ!」シュッ!
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/08(木) 20:36:03.25 ID:eS0HGRhAO

律子「……ナメんなぁぁああああっっ!!」ブンッ!

765P「どわあっ!?」ヨロッ

 しかし律子も負けてはいない。
 素早く床に手を付いてバネの要領で跪いた姿勢から下半身をねじって翻らせると765Pに勢いよく足払いをかけた。

律子「ふっ!」ゴロンッ

 そしてそれに気を取られて彼が僅かによろけた合間に前転で床を転がり再び間合いを取る。

律子「はあ……はあ……」

765P「……逃がしたか。やるな律子」

律子「そちらこそ……」


翔太「すごい……このお兄さん……闘いの中で確実に成長していってる……!」

冬馬「ああ……そして人間的には確実に退化していってるぞ……!」

北斗「男の娘に対する執念が一人の男をここまで変えるというのか……!!」


律子「……はあああああああっ!!」ダンッ!

765P「うおおおおおおおおっ!!」ダンッ!


 再度の激突。もはや2人のハイレベルな攻防は常人の目には何が行われているのかさえ判別がつかない。
 それでもどうやら次第に765Pの方が押してきているということだけは見て取れた。

765P「はははははっ! どうした律子!? さっきから防戦一方じゃないか!」バババババッ!

律子「このっ……ちょこまかと……!」ゼェハァ

765P「ほらほら、どうしたどうした? 来ないのか?
     見事俺を捕まえられたらご褒美にそのまま抱き締めてやるぞぉーう!? イヤホォーーーウ!!」カクカクカクッ

律子「ぐっ! なんて卑猥な動きを……!」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/08(木) 21:05:24.56 ID:eS0HGRhAO

 完全に調子に乗った765Pは両腕を頭の後ろで組み、ガニ股で腰を前後に振って律子に余裕を見せつける。

765P「本当にそっちからは来ない気か? ならこっちから行くぞ? いいのか? いいのか!?」カクカクカクカクッ!

律子「う、ううっ……!」タジッ…

 そのあまりに下品極まりない仕草にはさしもの律子も顔を赤らめ後ずさるしかない。

765P「はははははっ、765の鬼軍曹と呼ばれるお前も実際はおぼこいものだな!
     この程度で目を背けるなど初いものよのう! 可愛い奴め!」ザッザッザッ

律子「ぐ、ぐぬぬ……この変態がっ……!」

 戸惑いその場を動けずにいる律子の眼前に着々と変態が迫る。

765P「さあ、お遊びはここまでだ。俺は今から至高のディナータイムを……」ザッ!

律子「……あれ?」

 だがしかしその時、律子はふとあることに気が付いた。

律子「ねえ、プロデューサー殿。ところでなんかさっきから社会の窓開いてません?」

765P「え、マジで? どれどれ……」ヒョイッ

律子「えい」ゲシッ!

765P「ほあああああっ!?」キーン!

冬馬「!」

翔太「!」

北斗「!」

765P「……あがっ!? ごあっ、がああああああっっ!?」ゴロンゴロンゴロンッ



冬馬「こ……この女ッ! 油断させてからなんの躊躇も良心の呵責もなくいきなり金的しやがっただと……!?」

翔太「男同士の喧嘩では互いに言葉を交わさずとも暗黙の了解で不可侵が守られている禁断の領域をこんなにもあっさりと犯すなんて……!」

北斗「バトル漫画における不文律が今……破られた……!」

冬馬「えげつねえ、えげつねえよ……!!」
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/08(木) 21:10:42.65 ID:eS0HGRhAO

765P「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!? ふぉっ、ほああああああっっ!!??」ビッタンビッタン!

 いともたやすく行われたえげつないその行為に765Pはもはや己の敗北を悟る余裕もなくただただ地に這いつくばり悶絶するしかない。
 無様に呻き声をあげながらゴロゴロと床を転げ回る彼の耳元にカツカツと余命を告げるヒールの高い音が近付いた。

律子「……プロデューサー殿」カツカツカツ…

765P「り、つこ……お前……」プルプルプルッ







律子「―――さあ、本当のお仕置きタイムはここからですよ?」ニコッ

765P「……」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/08(木) 21:19:29.82 ID:eS0HGRhAO

 ―――その先に冬馬達が見たものについてはここでは詳しく描写しない。
 目を背けたくなるほどにあまりにも凄惨な光景だったからだ。

 ただひとつだけ確かに言えるのはそこにいたのはまさしく修羅であったということ。
 そしてその修羅と化した何者かによる特に意味のない暴力が765Pの全てを嬲り、いたぶり、蹂躙し尽くした後――

 唯一その場に残されたものは、もはや原型を留めないほどに惨たらしい肉の塊と化した何かであったということだけだ。



肉塊「……」チーン

律子「ふー。あースッキリした♪ ほんとお騒がせして悪かったわね、じゃあお邪魔しました〜。
   あ、そこにあるそれは適当に燃えないゴミの日にでも出しといちゃって下さい」スタスタスタ バタンッ

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」





冬馬「プロデューサー、人間やめたってよ」


109 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/08(木) 21:38:41.72 ID:jLjWyYy6O
d.D4C…
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/09(金) 03:42:56.20 ID:sKJWW5qDO
最後の冬馬のセリフほぼほぼ某SSのタイトルじゃねぇかwwwwwwwwwwww
クッソ懐かしいwwwwwwwwwwww
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/09(金) 11:04:31.37 ID:evl1D2o50
玉や竿潰して(生物として)終わらせず蹴るだけで済ませた辺り、律子優しいな
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/10(土) 18:58:38.35 ID:fqvMKScAO







山村「それでは皆さんこれで食事は済みましたね」

翔太「なんとか頑張って完食したよ……」ウプ

冬馬「えらいえらい」

北斗「ちょっとキツかったけど俺もなんとか……あ」ガラッ

冬馬「なんだ?」

北斗「今引き出し開けてみたらのりたま入ってた……」

 デデーン 冬馬アウトー

北斗「……今の笑うとこあったか?」

冬馬「い、今更気付いてんじゃねーよ!」


 バチーンッ!

冬馬「くぎゅっ!」

山村「ああ、そうそう。ぼくはこれからまたしばらく退席しますが
   引き出しの中にいろいろみんなの退屈しのぎになるようなものを用意しましたのでその間よろしければそれらで遊んでいて下さい」

冬馬「……うわ、これぜってぇしょうもねえもん入ってるパターンだよ」

山村「では失礼しますね」スタスタスタ バタンッ

翔太「賢君って普段はトロいくせになんでこんな時だけ行動が迅速なの?」

北斗「っていうかこれ……なんでもっと早く気付かなかったんだろう……」

翔太「シャンプーと牛乳間違えた時といい北斗君って意外と天然だよね」

冬馬「だよな」

北斗「ええ? そんなことないと思うけど」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/10(土) 19:06:42.30 ID:fqvMKScAO

翔太「だって前にまた出待ちの女の子たちに囲まれてたから北斗君ってどんだけモテるの?
   って聞いたら『ん? そうだね、150キロくらいまでなら持てるかな』って素で言ってたよ」

北斗「……」

冬馬「そういや俺もこの前北斗がやたら嬉しそうにニコニコしてたからなんか良いことでもあったのか?
   って聞いたら『実は最近家のベランダに毎朝スズメがエサ食べに来るようになったんだ!』ってすげぇいい笑顔で言ってたわ」

北斗「……」

翔太「よく風で道端転がってるレジ袋猫と間違えて追っかけてるしね」

冬馬「あるある」

北斗「……」

翔太「前に一緒にコンビニにアイス買いに行った時なんて店員さんに『温めお願いします、あと箸は3膳で』って言ってたよ」

冬馬「それもう天然っつーか痴呆入ってね?」

北斗「……」

翔太「次の瞬間、僕と店員さんの目が思いっきり合ったからね。以心伝心してたから。
   でも逆になんかそういうボケなのかなって思ってその場は何も言わずに黙ってたんだけど
   事務所帰ってきてすぐ『あっ!』って叫んだ後、膝から崩れ落ちてたよ」

北斗「……」

冬馬「この間なんて俺が読んでた7巻が見つからなくて『北斗の拳どこだ?』
   っつって探してたらこいつが妙に神妙な顔してるからなんだよって聞いたら
   『俺の出身は京都だけど……京都は県じゃなくて府だぞ?』って可哀想な子を見る目で言ってきたぞ」

翔太「本当に可哀想なのは北斗君の頭の方だよね」

北斗「……」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/10(土) 19:10:39.56 ID:fqvMKScAO

冬馬「京都出身のくせに全然関西臭出してこねえしな」

翔太「荘一郎さんのキャラを見習って欲しいよね」

北斗「……」

冬馬「でも想像してみ? こいつが“そやな”とか“おおきに”とか言ってるとこ」

翔太「……うわっ、気持ち悪っ!」

北斗「よし、俺のイメージを破壊する行為はそこまでだ」

冬馬「お前のイメージ(笑)」

翔太「北斗君のイメージ(笑)」

 デデーン 冬馬、翔太、アウトー

冬馬・翔太「!?」


翔太「ええええええ!?」

冬馬「今のもアウトかよぉおおお!!」

北斗「本当に可哀想な子なのはこれでどちらかハッキリしたね」

冬馬「…………」

翔太「…………」



 バチーンッ!

冬馬「ひょうっ!?」

 バチーンッ!

翔太「ひぎゃ!?」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/10(土) 20:08:10.74 ID:fqvMKScAO

冬馬「いててて……」

翔太「そろそろ僕は本気でこの事務所を訴えていい気がする……」

北斗「ところでどうする? 他の引き出し。開ける?」

冬馬「えー? っつーかさー、俺思うんだけどこういうのってさー。
   結局ハナから開けなきゃいいだけじゃねえ〜? 触らぬ神に祟りなしじゃねえ〜?」ガラッ

翔太「と言いつつ開けてる奴〜」ガラッ

北斗「その無駄な芸人根性が自らの首を絞めているんだぞ2人とも」

翔太「さあ、何が入ってるかな〜」ゴソゴソ

冬馬「……あ。なあ北斗、北斗」ヒソヒソ

北斗「ん? なに?」ヒソヒソ

冬馬「俺の引き出しオナホ入ってた」ヒソヒソ

北斗「グッ…!」

 デデーン 北斗アウトー

翔太「……? なんで今北斗君笑ったの?」

北斗「いや、なんでもない、なんでもないよ……」


 バチーンッ!

北斗「いっだ!?」

翔太「?? 変な北斗君」



北斗「ねえ、なんで今俺にだけ言ったの? なんで俺にだけ言ったの?」ヒソヒソ

冬馬「いやなんとなく……お?」ゴソゴソ

翔太「何か入ってた?」

冬馬「……ボタンだ」カタッ

北斗「ああ……」

翔太「来たね……」

冬馬「これって多分アレだよな? 押したら強制的にアウトになるやつだよな?」

翔太「そうだろうね」

北斗「そしてそれは冬馬の引き出しの中から出てきたね」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

冬馬「よし、これに関しては見なかったことに……」

翔太「えい」ポチッ

冬馬「こ、この野郎……!」

北斗「自分だけ助かろうなんて甘いぞ冬馬」

冬馬「クソが!!」

ボタン『……』

 シーン……

冬馬「……あれ?」
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/10(土) 20:48:58.07 ID:fqvMKScAO

冬馬「……何も鳴らねえ」ポチポチ

翔太「えー、またこの期待外れパターン? つまんなーい、ぶーぶー!」

北斗「お前は本当にしょうもないな」

冬馬「だからなんで俺が滑ったみたいになってんだよ。まあいい、何もないに越したことは……」

ボタン『ちっぱい』ボソッ

冬馬「よう如月」

 デデーン 北斗、翔太、アウトー



翔太「……なんなの!? その反応なんなの!?」

北斗「千早ちゃんだけなら耐えられたのに……!」


 バチーンッ!

翔太「んあー!」

 バチーンッ!

北斗「んあー!」


冬馬「なんかもういい加減慣れたわ」ポチッ

ボタン『ちっぱい』ボソッ

北斗「すごいね……」

翔太「……あ、ところで僕の引き出しからもなんか出てきたよ」ヒョイッ

冬馬「なんだ?」

翔太「んっと、またメモが入ってる。“指令”ってデカデカ書いてあるし」

冬馬「指令?」

翔太「えーとね、『ジュピターのメンバーに対する不満をぶっちゃけて下さい』だって」カサッ

冬馬「……」

北斗「……」

翔太「え? これほんとに言っちゃっていいの?」

北斗「……そうだね。そう書いてあるんなら」

冬馬「え、ちょっと待てよ。お前俺らになんか不満あんの?」

翔太「まあそりゃ考えてみればいくつかはあるよね」

冬馬「ええ?」

北斗「言われてみれば俺達って今までそういう話したことなかったね。
   これからも一緒に活動していく上でそういった改善点を話し合っておくのは確かに大事かもしれないな」

冬馬「なんか怖ぇんだけど……」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/10(土) 20:59:32.13 ID:fqvMKScAO

翔太「ほんとにいいの? じゃあ冬馬君から言うよ?」

冬馬「……お、おう。どっからでもかかってきやがれ」ドキドキ…

翔太「うーん、そうだな〜……冬馬君とカラオケ行くと勝手に90年代アニソン縛りとかブルーハーツ縛りとか決めてくることかな」

冬馬「……えっ?」

翔太「あと自分からブルーハーツ縛りって言い出したくせに結局途中からハイロウズとクロマニヨンズも入れてくる辺りもウザいよね」

冬馬「……」

翔太「アニソンにしてもこのアニメは監督の演出がどうこうとかメカのデザインがダサかっこよくてうんぬんとか
   いちいち無駄に長い解説入れてくるけどやたら早口で全然聞き取れないし。
   まあ最初から全部聞き流してるから関係ないけど」

冬馬「……」

翔太「そっちは気付いてないみたいだけど冬馬君がドヤ顔で熱唱してる時間は基本僕のスマホ弄りタイムだからね?」

冬馬「……」

翔太「冬馬君が自分に酔いまくりながらこのままどこか遠く連れてってくれないかとか歌ってる時に僕は常に心の中では一人で行けよって思ってるよ」

冬馬「……」

翔太「そもそも誰とも付き合ったことすらない冬馬君にどうか愛の意味を知ってくださいとか歌われてもこれっぽっちも心に響かないし」

冬馬「……」

翔太「千年メダルとかよく歌えるよね。あれプロポーズに見せかけた不倫の歌なんでしょ?
   そんな経験どっちもないじゃん冬馬君。歌詞の深さとか絶対理解してないでしょ」

冬馬「……」

翔太「まあ結局のところ何が言いたいかっていうと冬馬君とのカラオケは基本クソ面倒臭いよね」

冬馬「……」

翔太「ただ前に一度ジュースのお代わり取りに行った冬馬君が『隣の部屋のカップルがペッティングしてた……』
   ってリアルにヘコみながら戻ってきた時だけはちょっと面白かった」

冬馬「……」

翔太「大体そんな感じかな」

冬馬「……」

北斗「……」


冬馬「えぇ……」

北斗「クフッ…」

 デデーン 北斗アウトー
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/10(土) 21:18:16.30 ID:fqvMKScAO

冬馬「……なんで今笑ったんだ?」

北斗「いや……だって思ってたよりガチなやつだったから……」


 バチーンッ!

北斗「ばうあっ!」


翔太「とりあえずブルーハーツ縛りだけは本当にやめてくれない?」

冬馬「な、なんでだよ! いいだろ別に! 男ならブルーハーツ聴かなきゃダメなんだよ! ヒロト目指さなきゃダメなんだよ!」

翔太「えっ、冬馬君のどこらへんがヒロトなの?」

冬馬「……」

翔太「どこらへんがヒロトなの?」

冬馬「いや……実際どうとかじゃなくてあくまで目指す過程に意味があるから……。
   ドブネズミみたいに美しくなろうとすることが大切だから……」

翔太「そもそも僕はマーシー派だし……」

北斗「俺はハイロウズ時代が一番名曲多いと思うんだけど……」

冬馬「っつか俺ばっかボロクソ言いやがって! だったら北斗の方はどうなんだよ!?」

翔太「ん? そうだね、北斗君に関してはそもそも誘っても来ないってことだよね」

北斗「えっ」

翔太「基本いくら誘っても10回中7回はこの後デートだからって断ってくるよね?」

北斗「……」

翔太「まあでもそれ自体は別に北斗君の自由だからいいんだけど、その分いつも僕が冬馬君のお守りさせられてるんだよね」

北斗「……」

冬馬「……」

翔太「分かる? 僕の気持ち。北斗君が女の子とごはん食べたり映画見たりしてお楽しみの間、僕はひたすらこのアホ毛のドヤ顔熱唱聞かされてるんだよ?」

北斗「……」

冬馬「……」

翔太「平気で8時間耐久コースとか入れてくるよ? このスタミナ馬鹿は。
   僕が途中で寝落ちすると無理矢理叩き起こしてくるんだよ?」

北斗「……」

冬馬「……」
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/10(土) 21:27:16.28 ID:fqvMKScAO

翔太「他に友達いないの? ぼっちなの? 陰キャなの? 無駄に熱血なくせになんで変なところでコミュ障なの?」

北斗「……」

冬馬「……」

翔太「しかもそうやって打ち解けるまでがやたら長いくせに一旦懐に入ると途端にこんな風にウザくなるからね。
   そんなんだから冬馬君はいつまで経ってもコミュ障なんだよ」

北斗「……」

冬馬「……」

翔太「そんな感じ」

北斗「……」

冬馬「……」


冬馬「……いや、最終的に結局北斗じゃなくて俺批判じゃねえか!!」

 デデーン 北斗アウトー

冬馬「だから笑ってんじゃねえよ!!」

北斗「ご、ごめん……」


 バチーンッ!

北斗「でぇあっ!?」


翔太「だって北斗君は女の子関係以外は別段困るところとかないし……」

冬馬「ふざけんなよ、第一そっちだって恋の歌とか歌ってんじゃねえか!!
   お前はちゃんと意味分かってんのかよ!?」

翔太「いいんだよ、僕は『歌詞の意味は分かってないながらもなんか一生懸命歌ってるところがカワイイ』キャラで売ってるんだから」

冬馬「ずるい! そういうのずるい! 俺もそういうキャラになる! キャラ変する!」

翔太「無理」

北斗「ヒロトからさらに遠ざかるだけだぞ冬馬」

冬馬「ぐぅっ!」

北斗「……というか考えてみれば冬馬っていつもレッスンとフィギュアとカレーの話しかしないけど俺達以外にちゃんと友達いるのか? なんか心配になってきた」

冬馬「い、いるよ! 普通にいっぱいいるわ! こっちは仕事してるから学校の奴らとは時間合わねえだけだよ!!」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/10(土) 21:42:48.17 ID:fqvMKScAO

翔太「いやいや、だったらそれこそうちの事務所の人たち誘えばいいじゃん。
   仕事帰りとか時間合うでしょ? なんでいつも僕なの?」

冬馬「……」

翔太「恥ずかしくて誘えないんでしょ?」

冬馬「……いや……だってキツいだろ。四季とか俺の知らねえ曲ばっか歌いそうだし……。
   あまつさえラップとか入れてきたらどうすんだよ……」

翔太「いいじゃん、一緒にノってあげれば」

冬馬「だってちょうどウルトラソウッのタイミングで店員来たりしたらどうすんだよ……。
   あとうっかり間奏長い曲入れまって気まずい時間が流れたらどうすんだよ……」

翔太「いや意味分かんない。適当に雑談でもするか早送りすればいいだけじゃん。
   っていうか僕にはいつもそっちから勝手に話しかけてくるじゃん」

冬馬「うるせえよこの陽キャがッ!!
   お前みたいなリア充に俺らみたいな奴らの気持ちなんかどうせ一生分かんねえんだよ!!」

北斗「まあでも文句言いながらも毎回ちゃんと付き合ってあげてるあたり2人は本当に仲良いよね」

冬馬「あっ、そうだよ! お前なんだかんだで結局毎度付き合ってるんじゃねえか!
   はん、なんだよ素直じゃねえな! 実は俺のこと大好きか!!」

翔太「いや、冬馬君の奢りじゃないなら普通に断ってるよ」

冬馬「ちくしょう!!」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/16(金) 20:25:08.77 ID:fbDJqlsAO

北斗「まあまあ……ところで話変えるけど俺の引き出しからも出てきたよ。指令。『怖い話をして下さい』だって」ピラッ

冬馬「……えっ?」

翔太「へー、怖い話かあ。いいねいいね。今ちょうど夜だし」

冬馬「……」

北斗「していい?」

翔太「うん」

冬馬「えっ、いや、ちょ……」

北斗「まあ怖いっていうか不思議な話なんだけど」

冬馬「……待て。待て待て待て。それってただのお前の創作だろ? 創作だよな?」

北斗「いや、実際にあった話だよ。未だに俺もあれは一体なんだったんだろうって思ってるんだけど」

冬馬「…………」

翔太「ふーん、実体験なんだ。面白そう! どんな話?」

北斗「えーっとね、俺の妹がさ。小さい頃いわゆる視える子だったんだよね」

冬馬「……なんかそういうの胡散臭くねえ?」

北斗「いや、別にそんなことないよ。要するにイマジナリーフレンドってやつだからね」

翔太「? なにそれ?」

北斗「そのまんま想像上の友達だね。
   ほら、よくそういう幽霊とか座敷童とか妖精とかって純粋な幼い子供にだけ見えるなんて話は世界中にあるだろ?」

北斗「別にオカルトでも何でもなく普通によくあることなんだよ。
   子供っていうのは常識に縛られてなくて想像力が豊かだからね。大抵は大きくなるにつれて自然と忘れてくものだし。
   特に一人っ子や女の子に多いらしいよ」

翔太「ふーん」

冬馬「……なんだ、つまり自分の脳ミソが妄想で勝手に作り出した存在ってことかよ」ホッ

翔太「冬馬君も二次嫁でイマジナリーフレンド作れば?」

冬馬「お前は本当に俺のことを舐め腐ってるな」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/16(金) 21:03:08.39 ID:fbDJqlsAO

北斗「まあだから我が妹ながら感受性の豊かな子だなあとは思ってたんだけど」

冬馬「お前も大概シスコンだな」

北斗「うるさいよ。とにかく最初に始まったのは確か妹がまだ幼稚園の時だったかな。
   唐突に今2階から足音がしたとか廊下を走ってくぼんやりした影を見たとか言い出すようになってね」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「でも俺や両親には全然そんな音聞こえないんだよね。初めは家鳴りかネズミでもいるのかななんて呑気に考えてたんだけど。
   その内何もない場所に向かって本当に誰かと会話してるみたいに楽しそうに話しかけるようになったんだ」

冬馬「……ええ……?」

北斗「なんでもその子は妹と同じ年頃の腰まである長い髪のすごく痩せた女の子でね。
   すらっと背が高くていつも青白い顔をしてるんだって」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「あと左胸の鎖骨の下、ちょうど心臓の辺りに小さな痣があるとも言ってた」

冬馬「……いや、いやいやいや。待てよ。なんかおかしくねえ? なんだよ痣って……。
   ただの子供の妄想なのになんでそんなビジュアル設定が具体的なんだよ……」

翔太「その痣っていうのは怪我で付いたのかな?」

北斗「さあ、それについてはいくら理由を聞いても答えてくれないって言ってたから」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「まあでも家は両親も俺も家空けてることが多いし妹も寂しいのかなと思って。
   彼女の良い話し相手になってくれるのならそれはいいことだと思ったし、俺もその頃には妹からその子の話聞くの結構楽しみにしてたしね」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「それから最近は妹がその子にピアノを教えてあげてるとか
   父親が海外に演奏旅行に行った時にお土産で妹に買ってきてくれた人形を彼女もとても気に入ってるとかそういう話までするようになって」

冬馬「……」

翔太「……」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/16(金) 21:29:28.89 ID:K1oAj/wjO
まさかの怪談が始まった
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/16(金) 21:32:32.22 ID:fbDJqlsAO

北斗「確かに初めはぼんやりした影しか見えないって言ってたのが日が経つにつれて妹の話の中でどんどんその子の存在感がはっきりしてくるんだよね。
   こっちまでまるで現実に妹にそういう友達がいるんじゃないかって錯覚してくるくらいに」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「そんなことが続いたある日両親が揃って出かけることになってね、俺と妹は2人で家で留守番してたんだ。
   妹は自分の部屋でおとなしく遊んでたから俺も部屋で読書しててさ」

北斗「で、しばらくして飲み物取りに行こうと部屋を出たら廊下の突き当たりにある妹の部屋のドアが半開きになってたんだよ。
   そうそう、家には友達が遊びに来てる時は部屋のドアを少し開けておくっていうマナーがあったんだけど」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「でもその時は俺と妹だけで他には誰もいないはずだし。
   あれ、おかしいなと思って中を覗いてみたんだ。そしたら床におもちゃが大量に散らばってるのに妹はどこにもいないんだよね」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「いつも使ったおもちゃは自分でちゃんと片付ける奴だからどうしたんだろうとは思ったけど。
   まあでもたまにはそんなこともあるかと思って大して気にもせずに俺が代わりに片付けてたんだけどね」

北斗「その時、ふとリビングの方からピアノの音が聞こえてきたんだ。
   ……ちょうどその頃に妹がその子に教えてあげてるって言ってたエリーゼのためにが」

冬馬「…………」

翔太「…………」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/16(金) 22:13:46.91 ID:p8u8ufZDO
やべぇガチの怪談だ
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/16(金) 22:40:44.99 ID:fbDJqlsAO

北斗「でもやっぱりなんか少しおかしいんだよ。言ったらなんだけど妹のピアノにしては正直演奏がちょっと拙いんだ」

北斗「家は元々音楽一家だしね、妹も天才少女なんて言われるくらい才能のある子なんだ。
   だからわざと下手に弾いて遊んでるのかと思ったけど普段はそんなことするような奴でもないし」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「不思議に思いながらも片付け終わってドアもしっかり閉めて1階に降りたんだけど。
   リビングに入る直前にふっとその演奏が止んでね。見たらピアノの前には誰も座ってないんだ」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「その時にはああもうこれは妹にからかわれてるなと思って。どこかに隠れて俺を驚かそうとしてるんだろうとピンと来てね。
   俺も妹は可愛いからね、かくれんぼのつもりで探し始めたんだけど……何故か全然見つからないんだよね」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「ダイニングもトイレの中も風呂場も納戸も、妹が隠れられそうな場所はみんな探したけどどこにもいなくて」

北斗「その頃にはもしかしたら誘拐かと本気で焦り始めてさ、とりあえずもう一度2階に上がってみたんだ。
   そしたらいつの間にかまた妹の部屋のドアがほんの少しだけ開いてるんだよね」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「ああ、なんだここにいたと思ってホッとしてね。『見ーつけた』なんて言いながら入っていったら……」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「いないんだよね。誰も」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「ただね。さっき全部きっちり片付けたはずなのに……またおもちゃがひとつだけ箱から出されてぽつんと床に転がってるんだよ」

北斗「……その子が気に入ってるっていう父親からのお土産の人形だけが」

冬馬「……」ゾクッ

翔太「……」ゾクッ
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/16(金) 22:49:31.70 ID:V8Wqp2la0
w
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/16(金) 23:14:51.16 ID:fbDJqlsAO

北斗「おまけにその時、外からバタバタ音がして次の瞬間、両腕に花を抱えた妹が玄関に駆け込んできたんだ」

北斗「え? え? って混乱してお前今までどこにいたんだって咄嗟に問いただしたんだけど
   妹は部屋に飾る花を切りに庭に出てそのままずっと外で遊んでたって言うんだよ」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「流石にこれには俺もびっくりしてね。だって部屋のおもちゃは? ピアノは? って聞いたんだ」

北斗「でも妹は不思議そうに首を傾げるだけで、もう1時間以上前から外にいたし今日はまだおもちゃも出してなければピアノも弾いてないって」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「嘘を吐いてるようにも見えなかったし現に花束抱えてるしね。
   俺がただ絶句してたら妹は全然普通の顔して、その内ああって納得したように頷いてさ」

北斗「“じゃああの子が1人で遊んでたのね”って言うんだ」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「だからあの子って……って聞いたら」

北斗「“なに言ってるの兄さん。あの子よ。わたしがいつも話してるでしょ?”」







北斗「あの胸の『ちっぱい(ボソッ』女の子……」

 デデーン 翔太アウトー

129 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/16(金) 23:42:15.84 ID:fbDJqlsAO

翔太「……ちょっとぉ! 冬馬君!? 今一番いいとこだったでしょ!? なんで邪魔するの!?」

冬馬「……」

翔太「聞いてるの!? ねえ! いったぁー!?」

 バチーンッ!

冬馬「……」

北斗「……胸の辺りが『ちっぱい(ボソッ』女の『ちっぱい(ボソッ』……」

北斗「……」

翔太「……」

冬馬「……」

北斗「胸の『ちっぱい(ボソッ』」

翔太「……」

冬馬「……」ポチッ

ボタン『ちっぱ、ちちちっぱい、ちちっぱい、ちっちちっぱちっぱい、ちっぱい』

北斗「……」

翔太「……」

冬馬「……」ポチッ

ボタン『ちちちちっぱちっぱい、ちっちぱいぱい、ぱいぱーい』

翔太「……」プルプルプル…

冬馬「……」ポチポチポチッ

ボタン『ちっちちぱちっぱい、ぱぱいぱーい、ちっぱぱ、ちぱーい』

ボタン『ちっ、ちぱ、ちっぱい、ぱいぱ、ぱいぱぱーい』

ボタン『ちっぱ、ぱぱいぱーい』

翔太「……ゴフッ!」ブフォッ

 デデーン 翔太アウトー


翔太「……もぉぉおおおお!! 冬馬君!! いい加減にしてよ!!」

冬馬「……」プイッ

 バチーンッ!

翔太「あだぁー!?」


北斗「……今の話ってそんな怖いか?」

翔太「冬馬君どんだけビビりなの?」

冬馬「は? 何言ってんだよ、別に全然怖くねえし。ぜーんぜん怖くねえしぃ〜?」

翔太「ならなんで今ボタン連打したの?」

冬馬「ただの気まぐれだ」

翔太「ほんとは怖いんでしょ?」

冬馬「怖くない」

北斗「胸に痣『ちっぱい(ボソッ』」

翔太「……」

北斗「……」

冬馬「……」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/17(土) 00:44:25.58 ID:kPM55OWuO
そういえばボタンがあったなwwwwwwww
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/17(土) 01:52:30.80 ID:WYgkfVdj0
胸元に特徴があるって時点で千早ネタは絶対にぶっこんでくると思ってた。
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/17(土) 12:22:20.69 ID:3EiqSelw0
そのタイミングでそのボタンは卑怯だわ…(吹いたお茶掃除しつつ)
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/17(土) 16:14:23.68 ID:b+DIWli90
胸のちっぱい女の子…なるほだそこにいたのは千早だったんだな
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/21(水) 13:09:51.81 ID:MyGcYx8Wo
ベティルーシー思い出した
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/22(木) 14:26:02.07 ID:tI8s8Q2c0
「ちっぱい」なのになんで「ぱーい」って音が入るんだ
レア音として入れたとしたらどんだけ本気なんだこいつら
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/22(木) 17:12:05.47 ID:8oBZsC450
更新きたかと思った
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/28(水) 19:00:59.07 ID:TqcEPIOAO

北斗「胸『ちっぱい(ボソッ』」

翔太「……」

北斗「あの『ちっぱい(ボソッ』」

翔太「……」

北斗「女の『ちっぱい(ボソッ』」

翔太「……」

北斗「おっ『ぱい(ボソッ』」

翔太「っ……も、もうやめて……お願いだから……」フルフル…

北斗「お前……」

冬馬「……」

翔太「っていうかさー、それ肝心なのはその後だよ。結局それでどうなったの? その女の子ってなんだったの?」

冬馬「おい、聞くなよ!」

北斗「いや知らないけど。今適当に作った話だし」シレッ

冬馬「………やっぱり創作なんじゃねえか!!」

翔太「えー、なんだ。ただの作り話だったの? ガッカリだよ」

北斗「妹に一時期見えない友達がいたっていうのは事実だけどね。
   いくらなんでもピアノや人形がひとりでに動くとかそんなベタ過ぎる出来事は流石になかったよ」

翔太「なーんだ」

冬馬「……脅かしやがって」ドキドキ

翔太「やっぱビビってたんじゃん」

冬馬「ビビってない」

北斗「あ、でもそういえば俺の部屋に知らない女の子が座ってたことならあるけど」

冬馬「は?」

翔太「ん?」

冬馬「……どういうことだよ?」

翔太「ガチで幽霊見たってこと?」

北斗「違う違う、生身の」

冬馬・翔太「……??」

北斗「高校時代にね。誰ともそんな約束してないはずなのに学校から帰ってきたら母親に
   『さっき北斗さんのガールフレンドが遊びにいらしたから今あなたの部屋に上がってもらってるわよ』って言われて」

北斗「で、自分の部屋入ったらまったく知らない女の子が床に正座してた」

冬馬「」

翔太「」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/28(水) 19:26:18.69 ID:TqcEPIOAO

北斗「なんでも近くの女子校の子でたまたま通学路で俺のこと見かけたことがあるらしくてね。
   それ以来その子の脳内では俺と付き合ってることになってたみたい。
   それでこっそり俺の後尾けて家まで特定したんだって」

翔太「………うわああああああッッ!?」ゾワッ!

冬馬「……こっわ!! こっっっわ!?」ゾワッ!

翔太「ちょっ、えっ!? なに、つまり一度も喋ったこともない相手の家にしれっと彼女名乗って上がり込んでたってこと!?」

冬馬「怖い怖い怖い怖い! やべぇ、今マジで鳥肌立ってる!! 怖っ!?」ゾワワッ

翔太「なにその絵に描いたようなメンヘラ!? 現実にそんな人本当にいるの!?」

冬馬「っつーか待て、それほんとにどうしたんだよ!? ちゃんと警察突き出したんだろうな!?」

北斗「え? いや、普通にその後一年くらい付き合ってたけど……」

冬馬「はあああああっ!!??」

翔太「……この人頭おかしい……」

北斗「? 何言ってるんだ、俺のことストーカーして勝手に彼女名乗るくらい一途に思い詰めてくれるヤンデレエンジェルちゃんとか最高じゃないか」

冬馬「……」

翔太「……」


冬馬「どうしてこんなになるまで放っておいたんだ……」

翔太「なにこの人怖い……僕は今までずっとこんなヤバい人と一緒に仕事してきたの……?」

北斗「世界中のすべてのプリンセスを愛するために俺は生まれてきたからね。俺の辞書に女性に対する拒絶の文字はないよ」

冬馬「やべぇ、こいつ頭イってる……」

翔太「なんで最後の最後にそんなとんでもない特大の爆弾投下してきたの……?」
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/28(水) 20:59:32.66 ID:8osMY2tJo
更新来た!
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/28(水) 21:35:49.20 ID:hD6+iTzIO
ほくほく漢だ……!
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/29(木) 10:47:19.12 ID:gVEVCE0G0
その辺にいるジャバ・ザ・ハットみたいな女でも愛せる、それが北斗
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/29(木) 21:18:42.83 ID:G9ci/k6W0
北斗が別れを切り出すとは思えないし彼女側からかね...
彼女も最初は幸せだったが自分の行いがおかしいと気づき改心したのかね
いずれにしてもヤンデレを改心させるとは真の漢だ
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/16(日) 09:59:43.36 ID:woaYDmiq0
マダー?
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/21(金) 07:33:19.89 ID:fJuVQfR6O
わたしまーつーわ
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/23(日) 19:23:37.18 ID:dVCm9uzt0
しばらくはまーつーわ
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/04(金) 11:26:54.91 ID:T3x7QhfBO
千早の胸が73になる前には更新して欲しい…
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/25(金) 23:06:16.62 ID:9EX4Cxumo
はよしろ
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/01/08(日) 20:30:16.48 ID:mxpNPaMYo
年越したぞ
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/22(水) 03:24:39.22 ID:KDCcYlQ10
まだ待ってるゾ
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/23(木) 18:34:13.15 ID:Bm+RdSMP0
来ないのか...
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 23:54:34.29 ID:ELQ4BTl2o
待つよ
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 09:00:07.99 ID:/dMRofkRO
(´・ω・`) 舞ってる
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/26(日) 21:07:07.86 ID:EecJaj+B0
サイドMもアニメ化したし待ってる
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 11:40:05.09 ID:G7RLVpWc0
(´・ω・`)
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