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魔法使い「え、えろ魔道士です…」
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202 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:31:55.35 ID:woDEtY5N0
魔法使い「勇者様ぁ!嬉しいですぅ!嬉しすぎますよぉ!」
魔法使いが半泣きで走っていきなり抱きついてきた。
勇者「おいっ!そうやってすぐくっつくな尻軽魔道士!鼻水とか涙とかいろいろ服につくだろ!」
魔法使い「だってぇ…そ、そうですよアレですよアレ!ねこちゃんも言ってた『仲間』どうしのスキンシップですよっ!勇者様!」
勇者(こいつっ!調子にのって仲間の部分を強調してっ…!)
勇者(まあ、いいか…無理に突き放そうとするのは何故だか呪いに響くしな)
勇者(それにこいつにくっつかれているのは)
『悪くない』と思うようになったのも、殺意と恐怖を切り捨て仲間だと意識するようになったからだろうか。
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:32:24.11 ID:woDEtY5N0
魔法使い「ほぇ?」
すぐそこにあった彼女の頭になんとなく手を乗せる。
魔法使い「はぅ…勇者様…?」
勇者「愛玩動物のような奴だなお前は」
魔法使い(勇者様のぺットなら…って何考えてるの私!!)
魔法使いは何を考えているのか顔を赤くしてぶんぶん顔を振った。
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:32:54.99 ID:woDEtY5N0
ねこ(嫌なときに目が覚めてしまったにゃす…)
ねこ(魔法使いちゃんいいにゃあ…)
ねこ(いいにゃあ…いいにゃあ…)
ねこ(魔法使いちゃんは…)
『汝は我に選ばれた…』
ねこ「っ!?」
ねこ(いきなり何にゃ?急に頭がっ!)
ねこ(さっきの記憶は…もしかしてあのときの…)
205 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:33:27.07 ID:woDEtY5N0
「ふむ。あれが噂の新生勇者か…こんなところで見つけるとは…俺は非常にツイているな」
「ふっふっふっ…前勇者には敗北し屈辱を味わったが…いずれは世界を征服するこの俺の力で…貴様こそは叩きのめしてやろうぞ。新生勇者…」
206 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:34:01.39 ID:woDEtY5N0
第5章
仲間の力
207 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:34:41.13 ID:woDEtY5N0
勇者「!!」
魔法使い「どうかしましたか?」
勇者「お前とは別に強大な魔力の持ち主の気配を感じる」
「勇者よ、俺と雌雄を決せよ」
夜の暗闇から現れたのは黒いマントを羽織り鋭い牙を光らせる長身の男だった。
魔法使い「ひっ!」
勇者「一目で只者ではないと分かったが唐突な奴だな。俺は勇者だ。一刻も早く魔王を倒さねばならぬ身、ただの喧嘩ならお断りだ」
勇者「貴様、何者だ」
吸血鬼「お前に全く関係ない者ではないぞ勇者よ。俺は魔王から力の一部を授かりし者の一人。吸血鬼だ」
208 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:35:08.61 ID:woDEtY5N0
魔法使い「残党ですか」
勇者「なるほどな。ならわざわざそっちから出てきてくれたのはありがたい。俺の剣で切り裂いてくれる!」
吸血鬼「そして俺はいつかは俺に力を授けた魔王すらも超える存在となる者だ」
勇者「魔王すらも超える存在だと?」
吸血鬼「ああそうだ。元々魔王は臆病な奴だ」
勇者「力の主に向かって随分と大口を叩くな」
209 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:36:33.44 ID:woDEtY5N0
吸血鬼「お前は魔王が何故力の一部を分散させたか知っているか?魔王は次々と魔王軍を殲滅させていく前勇者を恐れていた」
吸血鬼「部下からの敗戦報告を聞くうちに悟ったのだろうな。『今世の勇者には勝てない』と」
吸血鬼「だから軍が消滅してもいいように、己が敗北してもいいように予防線を張っておいたのだ。各地であらかじめ力を分け与えその者たちが力を使い昇華させていく度に封印された己のところにその力が行くようにな」
吸血鬼「確かに前勇者は強き者であった。俺も戦ったが敗北した。屈辱であった。しかしあの時俺は奴に殺す気で襲いかかったのだ」
吸血鬼「一方魔王は最初から諦めていた。これを臆病者と言わずになんと言おう!そんな臆病者に頂点に立つ資格などありはしない。俺はいつか魔王を超える!」
吸血鬼「前勇者亡き今それは容易となった。勇者よ、お前の旅路はここで終わりだ。俺がお前をここで下し、お前が果たせなかった魔王討伐を達成してやろう」
勇者「なるほどな。だがどうにもお前が頂点に立つ世界には平和が見えてこない。俺は頂点に立つために魔王を倒すのではない。平和のために魔王を倒すのだ。よって平和のためにお前を斬る!」
210 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:37:05.97 ID:woDEtY5N0
ねこ「うにゃー!すっごい強そうな奴がいるにゃー!」
勇者「ねこ、起きたか。奴は魔王の残党だ。やるぞ」
ねこ「了解にゃす!」
吸血鬼「何人でかかってこようと同じことだ。最後に頂点に立つのはこの俺一人なのだからな!」
211 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:38:10.06 ID:woDEtY5N0
吸血鬼は真正面から空中を走るようにこちらへ向かってきた。
ねこ「にゃー!」
吸血鬼「弱いな」
そしてねこが振るった拳を軽く手のひらで受け止める。
ねこ「ふにゃ!?」
ねこは一旦身を退こうとするも手がしっかりと掴まれていて動けていない。
吸血鬼「フンッ!」
隙ができた彼女の懐に吸血鬼の鉄拳が入る。
ねこ「んにゃっぁ…」
ねこは堪らずその場に腹を抱えてうずくまった。
212 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:38:53.22 ID:woDEtY5N0
魔法使い「ねこちゃん!」
勇者「ねこ!くそっ!うおおお!」
吸血鬼に向かって真っ向から剣を振るった。
真っ向からだが速さは今の俺の中の全力だ。
勇者(このスピード…貴様に反応できるか?)
吸血鬼(ほぅ?速さだけなら前勇者を軽々と超えているな…)
吸血鬼は反応こそできているようだったがかわすまでには至らない。
勇者(遅い!貰った!)
吸血鬼「だが…甘いな…」
勇者「何!?」
俺の一撃を吸血鬼は素手で受け止めた。
当然吸血鬼の手は刃が食い込み大量の血がふき出している。
吸血鬼「受けても大してダメージにならんのなら…受けても問題はないだろう?」
勇者「ぐぅ…」
そのまま剣に力を入れ続けるも剣は吸血鬼の手の中に止まったままだ。
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:40:02.50 ID:woDEtY5N0
吸血鬼「どうやらお前は速さと手数で勝負するタイプの剣士のようだが…」
吸血鬼「確かに雑魚相手ならそれでいいだろう。だが強者たる俺の生命にその刃は届かない」
勇者(剣を放せば一旦離れられるが武器を取られてはその後が続かない…どうする!?)
吸血鬼「そのまま剣を手放す気がないのなら歯をくいしばれ勇者…これがお前にはない圧倒的なパワーというものだ」
吸血鬼はねこと同じように俺に拳を振るう。
勇者「ぐはぁっ!」
まともに受け剣と共に俺の身体は宙に浮き、地面に叩きつけられた。
214 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:40:46.51 ID:woDEtY5N0
魔法使い「勇者様!」
吸血鬼「…ふん。たわいない」
吸血鬼「だが少々血を流しすぎたか。喉が渇いた」
吸血鬼「そこの女…なかなか美味そうな見た目をしているな」
魔法使い「ひぃっ!」
魔法使いを見て吸血鬼は舌舐めずりをする。
勇者「おい…!俺がなんとかする!魔法を使え!」
魔法使い「は、はい!」
なんとか足腰に力を入れて立ち上がる。
勇者(喉が渇いているということは若干ながらもダメージにはなっているということだ。連続で斬り続けることが出来ればまだ勝機はある。奴の理性を崩せば!)
215 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:41:38.43 ID:woDEtY5N0
魔法使い「テンタツィオルネ!」
吸血鬼「ぬぅっ!?」
勇者(効いたか?)
吸血鬼「ほーう…ハァ…ハァ…何をしたかは分からんが…女…お前の血がもっと欲しくなったぞ」
魔法使い「効いてない…?」
勇者(いや、効いてはいるが奴の魔法耐性がギリギリ上回っているといったところか)
吸血鬼「血をよこせ…」
勇者(隙はかなりできた!)
勇者「疾風剣技!」
圧倒的手数で次々と吸血鬼の身体に傷をつけていく。
吸血鬼「その程度の力では俺を消し去れんと言っているだろう!」
吸血鬼の拳もまた俺に襲いかかる。
勇者「ぐぅっ!」
鞘を盾がわりにそれを踏ん張り受けきる。
吸血鬼「ふっふっふ…どうしたどうした!このままでは先ほどと変わらんぞ!」
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:42:08.24 ID:woDEtY5N0
勇者「ねこ!」
ねこ「にゃすぅ!」
吸血鬼を背後からねこが殴りこむ。
吸血鬼「ぬぐぅ!?」
どうやら俺の剣撃よりもパワーがあるねこの拳の方が効いているようだ。
吸血鬼「雑魚に用はない!」
吸血鬼もよろめきながらも裏拳でねこを殴る。
ねこ「にゃんぅ…」
吸血鬼「血をよこせぇ!」
魔法使い「いやっ…!」
勇者「させるか!」
マントを大きく広げ魔法使いに飛びかかろうとする吸血鬼の懐に剣を刺しこむ。
217 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:42:54.95 ID:woDEtY5N0
吸血鬼「がっぐぅ…」
勇者(俺の攻撃はあまり効かないと言っていたとはいえ警戒心が薄すぎるな…じわじわと魔法が効いてきたか)
勇者「…貴様の傲慢さを見ているとついこの前までの俺を見ているようだ」
吸血鬼「何だ…と?」
勇者「俺は最初一人でも魔王を倒せると豪語し旅に出た。しかしそれは大きな慢心だった。道中では何度か命を落としかけその度に色んな人間に助けられている」
勇者「貴様は確かに強い。だが貴様は俺たちの力を甘く見すぎている。俺が今まで戦ってきた残党をなめていたようにな」
勇者「俺たちの力はこんなものではないっ!個々の力ではなく力を合わせればなっ!」
魔法使い「勇者様…」
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:43:25.16 ID:woDEtY5N0
ねこ(また、また魔法使いちゃんが勇者様に守ってもらってるにゃ…)
『汝は…』
ねこ「にゅっ〜!?!?!?」
ねこ(また…あのときの…)
ねこ(でも何だか不思議な感じにゃ…身体の奥底から力が湧いてくるような…)
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:44:18.66 ID:woDEtY5N0
吸血鬼「負けんぞ!俺は頂点に立つのだ!俺は!俺は!」
勇者(やはり冷静さを失いかけているっ!)
勇者「俺もここで死ぬわけにはいかん!平和へ導くためにな!」
吸血鬼「ぐぬぬぬぬぬ!」
勇者「はあああああ!」
剣でそのまま貫こうとする俺とそれを引き抜こうとする吸血鬼の睨み合い。
勇者「ぐっ…くっ…そっ…」
俺の押す力が限界を迎えようとしていたその時だった。
220 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:45:35.42 ID:woDEtY5N0
吸血鬼「ぐあっ!」
吸血鬼の身体がかなりの勢いで横へ吹き飛ばされた。
勇者「ねこ!助かったぞ」
勇者「ねこ?」
ねこ「……」
俺の目の前には強大な魔力を纏い無言で立つねこの姿がそこにあった。
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:46:11.90 ID:woDEtY5N0
魔法使い「すごい…」
勇者(身体強化系の魔法か?いつの間にそんな技を…)
吸血鬼「ぐっ…なんだこの力は…これがさっきまでの雑魚の真の力だというのか!?」
ねこ「にゃあああああああ!!!」
勇者(速いっ!)
目にも止まらぬ速さでまだ地面に転がる吸血鬼に接近し、蹴り上げる。
吸血鬼「がっ…はぁ…」
ねこ「んにゃあ!」
宙に浮いた吸血鬼の懐目掛けて鬼のような連撃を放つ。
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:46:41.15 ID:woDEtY5N0
ねこ「ふんにゃっ!」
吸血鬼「がぁ…」
ねこ「ふしゃー!」
吸血鬼「ごふっ!」
ねこ「ぐぅぅにゃあ!」
吸血鬼「ごっ…はっ…!」
冷静さを失いガードの緩くなった吸血鬼にそれら全てがまともに入る。
吸血鬼「血を…血を…」
満身創痍の吸血鬼はただただ自らの源を求める声を上げるだけとなっていた。
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:47:15.33 ID:woDEtY5N0
ねこ「んーにゃっ!」
ねこのとどめの一撃が吸血鬼の顎を鋭く叩く。
吸血鬼「ま…さ…か…これほど…とは…」
ついに力尽きた吸血鬼は地面に膝を着くとゆっくりと倒れた。
224 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:48:08.08 ID:woDEtY5N0
ねこ「はぁ…はぁ…あれ…?」
吸血鬼「」
ねこ(これ、にゃーがやったにゃす…?)
死闘の終焉、日は昇り出始めの太陽の光に包まれた吸血鬼は灰となって消えた。
魔法使い「すごいですよ!ねこちゃん!」
ねこ「はぁ、はぁ、勇者様…魔法使いちゃん…」
勇者「ねこ…お前いつの間にそんなに強く…俺も負けてられないな」
225 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/06(火) 05:48:48.09 ID:woDEtY5N0
ねこ(どうしよう…思い出せない…何も思い出せないにゃす…怖いにゃ…怖いにゃ…)
ねこ「にゃっ…にゃはははは…今回はにゃーのお手柄にゃすね〜」
魔法使い「そうですね!」
勇者「お前の魔法が効いていたのもあるがな」
魔法使い「勇者様?」
勇者「いつもは使えないが…今回はまぁ、クソ魔道士にしてはよくやったんじゃないのか?」
魔法使い「勇者様ぁ!ありがとうございますぅ!」
勇者「っ!だからそうすぐにくっつくのはやめろ!」
魔法使い「仲間どうしのスキンシップ…ですよね?ねこちゃん!」
ねこ「……」
魔法使い「ねこちゃん…?何かこわい顔してますよ?」
ねこ「にゃ?そ、そうにゃす!スキンシップは大切にゃす〜!にゃーも混ぜるにゃ!」
勇者「んなっ!ねこっ!お前までっ!」
魔法使い「なんかいいですね〜こういうの…仲間って感じがします!」
勇者「お前らな…」
勇者(しかし…)
偶にはこういうのも悪くない…か?
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/06(火) 09:19:00.05 ID:MIFwSawQO
ねこが魅せられた
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/06(火) 19:12:07.21 ID:eVK1JAeUo
ねこにもあめをあげてくだせぇ
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/06(火) 23:07:03.96 ID:T6zFNdQ30
乙
これは面白くなってきたな
229 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/07(水) 09:55:36.42 ID:dOAbEPoAo
乙です
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 01:54:07.83 ID:FheXZRzS0
ねこ「にゃああああああ!!!」
ファング「キャィィン…」
ねこ「はぁ、はぁ…終わったにゃす」
勇者「こっちも片付いた」
魔法使い「えっ!これねこちゃん一人でやったんですか!?」
ねこの周りには俺たちが倒した数の二倍以上の魔獣がくたばっていた。
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 01:54:39.74 ID:FheXZRzS0
ねこ「にゃははは…ここのところ絶好調にゃすね〜」
勇者「……」
吸血鬼との闘いから数日、確かに彼女自身の言う通りねこは絶好調だった。
勇者(だがどうも様子がおかしい)
最近の戦闘が終わったあとのねこの顔はまるで魔法使いの魔法に恐怖していた俺のような顔だった。
自らの力に怯えているような…
そんな感じだ。
232 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 01:55:32.80 ID:FheXZRzS0
勇者「ねこ」
ねこ「にゃ?」
勇者「頑張るはいいが無理はするなよ。最近のお前は肩に力が入りすぎている」
ねこ「そ、そうにゃすかね」
勇者「そうだな。不本意ではあるが次の街はいつもより少し長めに居座るとするか」
勇者「そこで羽目を外すといい」
魔法使い「いいんですか?」
勇者「…これも仲間のためだ」
魔法使い「えへへ。最近勇者様本当に丸くなられましたよね」
勇者「お前は最近調子に乗りすぎだ。近い、離れろ」
魔法使い「そうですかね?」
勇者「実は羽目を外させるのにはもう一つ理由があってな。近々お前を殺す予定だからな、お前が少しでもこの世に未練が残らないようにという配慮もある」
魔法使い「ひっ!?それだけはっ!離れます!離れますからぁ!…ってそれ本当ですか?」
勇者「ふっ、本気にしても構わんぞ」
魔法使い「なら冗談ということにしておきましょう!最近の勇者様はお優しい方ですから!」
勇者「なっ!腕を抱くな!歩きにくいだろう!」
魔法使い「えへへ〜」
魔法使い(…たとえそれが本気だとしても、未練を残さないために私はこうしてると思いますよ。勇者様…)
233 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 01:56:03.44 ID:FheXZRzS0
ねこ「にゅん…」
『汝は我に選ばれた』
ねこ「っ!」
『汝に与えるは力、嫉妬を源とする…』
ねこ「んぅ!はぁっ!はぁっ!」
勇者「ねこ!?大丈夫か!?」
ねこ「い、や…何でもないにゃす。ちょっとさっき魔獣に体当たりされたところが痛むだけにゃす」
勇者「回復魔法が足りなかったか。ヒール!」
ねこ「ありがとうございますにゃ」
ねこ(最近どんどん鮮明になっていってる気がするにゃ)
ねこ(あのときの記憶…)
234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 01:56:34.98 ID:FheXZRzS0
第6章
永遠のスキンシップ
235 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 01:57:05.12 ID:FheXZRzS0
無事街に到着した俺たちは宿を取った後別行動をすることにした。
魔法使い「わー!ねこちゃんのいた街よりももっと活気がありますね!すごいです!」
勇者「俺は道具の補充をしてくる。お前たちは各々自由にしていいぞ」
ねこ「はいにゃす」
魔法使い「はーい!」
勇者「また後でな」
俺は宿前で二人と別れ自分の用事を済ませるため道具屋へと向かった。
236 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 01:57:38.19 ID:FheXZRzS0
…………
魔法使い「どこから行きましょうか。えーっと…あのお洋服屋さん…あっちのケーキ屋さんもいいですねぇ〜…うーん。迷っちゃいますよ」
ねこ「魔法使いちゃん。にゃーはあっちの方を見に行くにゃ。また後でにゃす〜」
魔法使い「はい。また後で…」
魔法使い「とりあえずお洋服を見に行きましょう」
青年「おーい!」
青年「そこの変わった格好のお嬢ちゃん。俺らと一緒にお茶しねーか?」
魔法使い「え?」
237 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 01:58:09.92 ID:FheXZRzS0
青年2「あっ!お前だけ抜け駆けかよ。俺が先に見つけたのによ。な?俺と一緒に来ねーか?奢ってあげるよ」
魔法使い「ええっと…その…私は…」
ねこ「あんたらじゃスペックが足りないにゃす」
青年「なんだこの猫耳女…」
ねこ「にゃーは魔法使いちゃんのお友達にゃ!お友達に悪い虫はつけさせないにゃす!しっしっにゃ!ふしゅー!」
魔法使い「ねこちゃん!」
青年「ちぇっ…んだよ」
青年2「俺割とマジで好みだったんだけどな〜。行くか〜」
238 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 01:58:35.96 ID:FheXZRzS0
魔法使い「あ、ありがとうございました。ねこちゃん」
ねこ「相変わらずすごいにゃすね〜。一瞬でも一人にしたらすぐ男の人が寄ってくるにゃす」
ねこ「なんか心配だからにゃーは魔法使いちゃんについていくことにするにゃ」
魔法使い「えへへ…助かります。じゃああのお洋服屋さんに行きましょう!」
ねこ「分かったにゃす〜」
239 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 01:59:16.78 ID:FheXZRzS0
…………
魔法使い「わーこれいいな〜かわいいな〜」
ねこ「見るだけにゃすか?買わないにゃす?」
魔法使い「すぅっごく欲しいんですけど…どうせこの街を離れたらまたこの装備に戻さないといけないので…」
ねこ「別にいいんじゃにゃい?勇者様も暫くはここにいるって言ってたし、その装備は男の人を引き寄せやすいにゃ。少しでも誘惑の魔力を抑えるために普通の服を着ておいてもいいと思うにゃす」
魔法使い「でも…」
ねこ「もしかしたら…普段とは違う姿の魔法使いちゃんを見たら勇者様の対応もいつもとは変わるかもしれないにゃすよ?」ボソッ
魔法使い「へ?」
魔法使い「そう、ですかね…」
ねこ(この反応は…やっぱり魔法使いちゃん勇者様のこと好きなんにゃすね)
240 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 01:59:43.19 ID:FheXZRzS0
魔法使い「じゃっ、じゃあ折角ですからねこちゃんも何か買いましょう!あっちにねこちゃんに似合いそうな服があったんですよ!」
ねこ「にゃ、にゃーはいいにゃ。この格好の方が動きやすいし…」
魔法使い「い〜い〜か〜ら〜」
ねこ「にゃにゃにゃ!引っ張らにゃいでぇ!」
241 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:00:26.00 ID:FheXZRzS0
…………
魔法使い「わー!やっぱり似合ってます!その袖付きのキャミソール!」
ねこ「そ、そうにゃす?」
魔法使い「なんかいつもより『女の子』って感じがしますよ?多分勇者様も見たらびっくりすると思います!」
ねこ「じゃあ…これ…買っちゃおうかにゃ〜」
魔法使い「えーっと…じゃあ私は〜」
242 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:01:13.65 ID:FheXZRzS0
…………
ねこ「次はどこ行くにゃす?」
魔法使い「えーっと。さっきまではケーキ屋さんにしようかなーって思ってたんですけど、美味しそうなクレープ屋さんをみつけちゃったのでそっちにしましょう!」
ねこ「分かったにゃ」
街人「ねぇ、そこの君。俺と遊ばね?」
魔法使い「あっ、私たち…その…」
チャラ男「うぇーい!そこの冴えない男なんてほっといてさ〜俺と行こうぜ〜」
ねこ(普通の服に変えた筈なのに悪化してるにゃす…)
ねこ「逃げるにゃ!」
魔法使い「あわわっ!」
243 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:01:48.42 ID:FheXZRzS0
…………
ねこ「なんとか逃げ切れたにゃー」
魔法使い「クレープも買えましたね」
ねこ「装備とかあんまり関係なかったにゃすね」
魔法使い「あはは…困っちゃいますね〜」
ねこ「魔法使いちゃんは本当にすごいにゃ。羨ましいにゃす」
魔法使い「そんなことないですよ。ただただ沢山の男の人に好かれたって…私は…別に…」
ねこ「それでも羨ましいにゃすよ…だって…」
『ふっ…』
ねこ(魔法使いちゃんと話してるときの勇者様はあんなに楽しそうで…まるで別人みたいにゃ)
244 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:02:35.47 ID:FheXZRzS0
魔法使い「ねこちゃん?」
ねこ「魔法使いちゃんは…勇者様のこと好きなのにゃ?」
魔法使い「え!?えええ〜!?いきなり何を…え、えーっと…その…それは…」
ねこ「隠さなくてもいいにゃす。最初に会ったときからなんとなく知ってたにゃ」
魔法使い「はぅ…そうです…ね…」
245 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:03:12.75 ID:FheXZRzS0
ねこ「にゃーも勇者様のこと大好きにゃす」
魔法使い「ええ!?」
ねこ「にゃーを針鼠の攻撃からかばってくれたとき…本当にかっこいい人だにゃって思ったんだにゃ…」
ねこ「にゃーが昔魔王と会ったかもしれないっていうのは本当にゃ。そのとき何があったのかっていう真実を確かめたいのも本当にゃす。でもそれはこの旅についてきた理由の半分でしかなくて…もう半分は勇者様と一緒にいたかったっていうのが本音なのにゃ」
魔法使い「そうだったん、ですか…」
ねこ「にゃーから見れば勇者様は魔法使いちゃんと話しているときはすっごく楽しそうな顔をしているにゃ…それが羨ましくて…」
ねこ「あー!にゃーもモテモテになりたいのにゃ!」
魔法使い「ねこちゃん…」
ねこ「にゃんてね。実は自分より他の人の方がよく見えてしまうのはにゃーの昔からの悪い癖にゃ」
ねこ「ちょっといい思いをしてるように見える人を見ると、すぐあの人が羨ましいな、ずるいにゃーって思っちゃうのにゃ」
ねこ「だからこの話も気にしなくていいにゃ。ごめんにゃ。ほら、クレープ食べようにゃす」
ねこ「はむっ…んにゃあ〜。ほっぺがとろけそうにゃすぅ〜」
246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:03:39.31 ID:FheXZRzS0
魔法使い「私から見れば…」
ねこ「にゃ?」
魔法使い「ねこちゃんの方がいっぱい良いところあると思いますっ!」
ねこ「にゃす?」
魔法使い「私なんかよりも何倍も強くて、最近なんか勇者様よりも数の多い魔獣の相手をしてるし!」
魔法使い「とぉっても仲間思いで優しいし!私知ってるんですよ?私が森で寝ちゃってたとき一番最初に私を探しにきてくれたんですよね!」
ねこ「ん、まぁ、そうにゃけど…」
247 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:04:21.11 ID:FheXZRzS0
魔法使い「さっきだって男に人に絡まれて困ってた私を助けてくれたし…私からして見れば私なんかよりねこちゃんの方がずっと可愛いし素敵です!あの人たちは女の子を見るセンスがないと思いますっ!」
ねこ「にゃ、にゃあ?人の中身なんて初見で話しただけじゃ分からないからしょうがにゃいと思うにゃ」
魔法使い「それでもです!」
魔法使い「だから…もし自分よりも他の人の方がよく見えたときは私の言葉を思い出してください。ねこちゃんにはねこちゃんのいいところ…沢山あるんですから…」
ねこ「魔法使いちゃん…」
ねこ(ありがとうにゃ…)
魔法使い「あむっ。んん〜!クレープ本当に甘くておいしいですね!」
248 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:05:04.85 ID:FheXZRzS0
ねこ「魔法使いちゃん!んっ…ぺろっ…」
魔法使い「ふぇ!?な、なんでいきなりほっぺたなんか舐めて…」
ねこ「クリーム、ついてたにゃすよ」
魔法使い「あ、はい…ありがとうございました…」
ねこ「魔法使いちゃんはすごいにゃす。女の子すら虜にしちゃうんにゃすね」
魔法使い「どういう意味ですか?」
ねこ「にゃーね?魔法使いちゃんのことも…だーい好きにゃす!」
魔法使い「え…」
魔法使い「…えへへ。私もです」
249 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:05:43.44 ID:FheXZRzS0
魔法使い「あ!あれ勇者様じゃないですか?用事は終わったんですかね?次のお店は三人で一緒に回りましょう!」
ねこ「それいいにゃすね!」
魔法使い「勇者様ぁ〜!」
250 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:06:35.17 ID:FheXZRzS0
勇者「ん?なっ、どうしたその恰好は…」
魔法使い「えへへ。ちょっと着替えてみました。どうですか?似合いますか?」
勇者「ん…まぁ似合ってるんじゃないか?」
魔法使い「ありがとうございます!」
勇者「はん。装備を変えたときくらいまともな魔法が使えるようになれば言うことなしなんだがな」
ねこ(やっぱり、多分勇者様も魔法使いちゃんのこと…)
ねこ(でもそれでいいにゃ)
魔法使い「ねこちゃんもいつもとは違うんですよ?」
勇者「ん?ねこ?どこにいるんだ?」
魔法使い「あれ?さっきまでそこにいたんですけど…」
ねこ「じゃーん!」
勇者「いたぞ。…って別にいつものねこだが」
魔法使い「あれぇ!?またいつもの恰好に着替えちゃったんですかぁ!?」
ねこ「うーん。やっぱりにゃーはこっちの方がいいかにゃって」
魔法使い「ぶー。せっかく似合ってたのにぃ」
251 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:07:28.23 ID:FheXZRzS0
ねこ(例え勇者様の隣に寄り添って歩くことはできなくても…)
『ねこちゃんにはねこちゃんのいいところ…沢山あるんですから…』
ねこ(にゃーはにゃーのやり方で勇者様と一緒にいられればそれでいいにゃ)
ねこ(にゃーは勇者様が安心して背中を預けられる存在になればいいにゃ!)
勇者「女の子らしいねこだと?…いまいち想像できんな」
魔法使い「本当!本当なんですよ〜?」
ねこ(魔法使いちゃん…そのことに気づかせてくれてありがとうにゃ)
252 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:09:11.10 ID:FheXZRzS0
<本当にそれでいいのかにゃ?>
253 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:11:10.26 ID:FheXZRzS0
ねこ「うぐっ!?にゃっ…ん…」
ねこ(いいのにゃ!これで、これでいいのにゃ!)
その後はなんだかよく分からないまま俺は二人に連れまわされた。
…疲れた。
254 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:11:40.60 ID:FheXZRzS0
…………
魔法使い「今日は本当に楽しかったですね!」
ねこ「そうにゃすね」
魔法使い「ああ…魔王の残党とか、魔王討伐とか、もうそんなの全部そっちのけにして三人でずっとこんな日々が過ごせたらな…って思っちゃいましたよ」
魔法使い「えへへ…そんなのダメなんですけどね」
255 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:12:14.61 ID:FheXZRzS0
ねこ「全部終わったらそれも叶わない夢ではないのにゃ」
魔法使い「そうですね…そうですよね!」
魔法使い「全部終わったらまた三人でこの街を訪れましょう!今度は勇者様と一緒にクレープを食べましょう」
魔法使い「あ、あと…勇者様に選んでもらった服を着るとかも…いいかもしれませんね…」
ねこ「にゃはは。魔法使いちゃんは本当に勇者様が好きにゃすね」
魔法使い「何言ってるんですか。ねこちゃんの服も選んでもらうんですよ?」
ねこ「…まぁ、全部終わった後ならいいかもしれないにゃすね」
魔法使い「えへへ。楽しみになってきました!それでは、また明日。おやすみなさい」
ねこ「おやすみにゃす〜」
256 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:12:55.38 ID:FheXZRzS0
…………
魔法使い「ん、すぅ、すぅ…」
ねこ「んっ…んにゃぁぁ…んんんん…!」
ねこ「あぅっ…んはぁ…はぁ…」
『汝に与えるは力』
<このままでいいのにゃ?>
『嫉妬を源とする…』
<あの女さえいなければ…>
『力を昇華させよ』
<勇者様の隣には…にゃーが…>
『己が持った罪を貫け』
<消さないと…>
257 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:13:25.23 ID:FheXZRzS0
ねこ(違うにゃ!それは違うにゃす!)
ねこ(頭がっ!割れそうだにゃっ!!!)
ねこ「んにゃああああああああああ!!!!」
ねこ「はっ!はぁ…はぁ…魔法使いちゃんが起きちゃうにゃす」
魔法使い「んー…すぅ、すぅ…」
ねこ「良かった…まだ寝てるにゃす」
ねこ「…やっぱりにゃーはそうなのかにゃ?」
ねこ「にゃーは…」
魔王の…
258 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:14:08.02 ID:FheXZRzS0
五日ほど街で過ごした後俺たちは街を出発した。
ファング「ギャィン!」
ファング「ギャン!」
ねこ「はぁ…はぁ…」
勇者「暫く闘いから離れていたから少しくらい鈍ると思っていたが…ねこ、お前また強くなったか?」
魔法使い「一度に相手にできる魔獣に数が増えてます…」
259 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:14:40.11 ID:FheXZRzS0
ねこ「にゃはははは…こんなの朝飯前にゃす」
勇者「息抜きをしたつもりだったのだが…一体いつ修行してたんだ」
ねこ「にゃーにも分からないにゃす」
勇者「は?それは一体どういう…」
ねこ「と、とにかくここは片付いたからどんどん進むにゃす!」
勇者「あ!おい待て!」
勇者(どうしたんだ…)
260 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:15:09.95 ID:FheXZRzS0
…………
勇者「今日はここで野宿する」
魔法使い「あれ?確かにもう夕方ですけどまだ日も沈みきってないのに…珍しく足止めが早いですね」
ねこ「え!?なんでにゃす?もっと進むにゃ!」
ねこ(にゃーが生きてたら魔王がどんどん強くなっちゃうにゃす。だから少しでも早く魔王城に行って魔王を倒さないといけないのに…)
261 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:15:49.68 ID:FheXZRzS0
勇者「落ち着け。…なんか最近のお前は変だぞ」
ねこ「にゃ…」
勇者「前にも言ったが、一度肩の力も抜け。今の狂戦士のような闘い方を続けていると近いうちに身体を壊すぞ」
ねこ「でも…だってにゃーは!」
勇者「?」
ねこ「分かった…にゃす…」
ねこ(にゃーが魔王の残党って言ったら…もう二人と一緒にいられなくなるにゃ。それだけは絶対に嫌にゃす)
勇者「しっかり休め。…俺はお前が心配なんだ」
ねこ「勇者様…」
魔法使い「わっ、私だって心配してますよ!」
勇者「そういうわけだ。今日は早めに休んで明日の朝早く起きればそれでいい」
ねこ「にゅん…」
262 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:16:28.25 ID:FheXZRzS0
その日、保存食による晩飯を取った俺たちは日が沈みきるとすぐに寝た。
ねこ「にゃ…にゃ…」
ねこ「フッー!フッー!」
ねこ「にゅっ、にゅん…やぁ…」
ねこ(最近にゃーの中の魔王の魔力がどんどん強くなってるにゃ…このままじゃ本当に魔王がどんどん強くなっちゃうにゃ…なんとかして力の昇華を止めないとっ!)
263 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:17:10.84 ID:FheXZRzS0
<嫉妬の原因を無くせばいいのにゃ>
ねこ(それは…そうにゃんだけど…)
<あの女を消せばいいのにゃ>
ねこ(なっ!?やめっ!やめるにゃあ!)
<あの女を消せば>
264 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:17:48.23 ID:FheXZRzS0
ねこ(にゃ…?身体が…勝手に…魔法使いちゃんの方に)
魔法使い「ん〜…ゆーしゃさまぁ…いけません…むにゃ」
ねこ「にゃ、にゃ、にゃ」
ねこ(手が…魔法使いちゃんの首に…)
ねこ「ケス…ケス…ケス…」
ねこ「コロス…コロス…」
魔法使い「んにゅ…あれ…?ねこちゃん…?どうしたの…?」
ねこ(逃げ…て…)
ねこ「にゃあああああ!!!!」
265 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:18:23.04 ID:FheXZRzS0
勇者「んっ…なんだ…?」
266 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:19:23.96 ID:FheXZRzS0
魔法使い「んぐぁ…!?ね…ご…ちゃ…ん…??」
ねこ「にゃ…にゃ…」
魔法使い「ぐ…ぐる…じぃよぉ…やめ、で…やめで…よぉ…」
267 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:19:57.25 ID:FheXZRzS0
ねこ「にゃにゃにゃ」
勇者「ねこ!」
魔法使いの首を絞めているねこを発見し体当たりをした。
ひとまず魔法使いからねこを離す。
ねこ「にゅんっ!」
魔法使い「ゲホッ!ゲホッ!うっ…おぇぇ…」
勇者「どうしたんだねこ!返事をしろ!」
268 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:20:32.36 ID:FheXZRzS0
ねこ「…ユウシャサマ?」
勇者「っ!?」
勇者「お前…本当にねこなのか?」
鞘から剣を抜きねこに向けて構える。
魔法使い「!?ゆう、じゃざまっ!なにっ、やっでるんですがぁ!ごほっ…そこにいるのはねごちゃんなんでずよ!?」
勇者「分かっている!分かってはいるが…」
ねこ「フシュー!」
勇者(なんだこの尋常じゃない魔力…そして殺意は!?まるで…残党の連中みたいだ)
ねこ「フニャー!」
勇者(どうする!?どうすれば)
269 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:21:13.01 ID:FheXZRzS0
ねこ「やめ、るにゃ」
ねこ「にゃはは…もう…だめみたいにゃすね…」
勇者「!?」
殺意に満ちた狂人のような顔から一瞬、いつもの穏やかで頼りになる俺たちの仲間、そんな、俺の知っている彼女の…哀しそうな微笑みが見えた。
270 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:21:53.02 ID:FheXZRzS0
ねこ「ごめんにゃさい…」
ねこは俺に物凄い速度で接近する。
俺は反応できなかったわけではないが相手があのねこだったので剣を振ることができなかった。
ねこ「ちょっと借りるにゃす」
勇者「なっ!」
ねこは俺から剣を奪い取ると…
ねこ「にゃんっ!ぐっ…にゃ…ん…」
自らの腹にそれを突き刺した。
271 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:22:28.14 ID:FheXZRzS0
魔法使い「ねこちゃん!?」
ねこ「ハァ…ハァ…ハァ…」
勇者「お前…一体何をしているんだ?説明してくれ!頼むっ!」
ねこ腹から剣を引き抜き倒れるねこを受け止め支える。
俺には何もかも突然なことで訳がわからない。
なぜねこは魔法使いの首を絞めていたのか。
なぜねこは自らの腹に剣を刺したのか。
272 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:23:02.77 ID:FheXZRzS0
勇者「とりあえず回復魔法を使うぞ!話しはその後で聞かせてもらう!ヒー…んぐっ!」
何処にまだそんな力が残っているのか、ねこにかなりの力の手で口を抑えられた。
ねこ「ハァ…にゃーね…実は魔王の残党なんだにゃ…」
勇者「!?」
魔法使い「はぁ…はぁ…えっ…えぇ…!?ごほっ…」
273 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:23:37.26 ID:FheXZRzS0
ねこ「にゃー…は…ゴホッ…!ゆーしゃ、さまと…魔法使い…ちゃんの…ことが…だいす…き…だから…ゴホッ!ゴホッ!ずっと一緒に…いたい…のにゃ…」
ねこ「で、も…だめなの…にゃ…たぶ、ん。ここからさき…も、きっ、とにゃーは魔法使いちゃんのこと…を…殺そうとしてしまうにゃ」
ねこ「うけいれたくにゃい…けど…きっと、それもにゃーの心の一部なのにゃ…にゃーは…そういうやつ…だから…だからまおうに、選ばれちゃった、のにゃ」
ねこ「にゃーは…みんなとずっと一緒に…いたいから…ずっと一緒にいるために…体はここに置いていくことにするにゃ…にゃーが死んでも…心はずっと繋がってるから…にゃーを許して欲しいのにゃ…」
274 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:24:16.13 ID:FheXZRzS0
勇者(ふざけるなっ)
俺の口を塞ぐ手の力が緩んできた。
それを機に口から手を離せたがそれは同時にねこがもう危ない状態にあることを意味していた。
勇者「ふざけるなよねこぉ!ヒー…んむっ!?」
今度は手ではなく口で塞がれた。
ねこ「んっ…んちゅ…ちゅっ…」
鉄っぽい味が口の中いっぱいに広がる。
それはねこの…命の味…。
275 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:25:05.99 ID:FheXZRzS0
勇者「んはっ…ね、こ?」
ねこ「にゅふふ…スキンシップは…」
ねこ「た、い、せ…つ…にゃ…」
俺に抱きついていた腕はスルリと力なく落ちた。
276 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:25:34.52 ID:FheXZRzS0
勇者「ね…こ…嘘だろ?」
魔法使い「ごほっ…ねこ…ちゃん…?」
勇者「ヒール!ヒール!」
何度も回復魔法を使った。
使えなくなるまで使った。
俺の精神が擦り切れそうになるまで。
しかしもう、俺の腕の中で安らかに眠る彼女から生命の鼓動は感じられなくて…
277 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/08(木) 02:26:15.81 ID:FheXZRzS0
勇者「嘘だと…嘘だといってくれ…ねこ…」
魔法使い「そんな…そんな…うぅ…ねごちゃん…」
勇者「ねこ…ねこ…」
勇者「ねこおおおおおお!!!!!」
278 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/08(木) 08:03:23.58 ID:lnSafKZH0
ねこちゃん…
279 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage saga]:2016/09/08(木) 14:53:09.90 ID:0llLLTcHO
脱皮して新しい猫ちゃん本当はいるんでしょ…
亡くなったのは脱皮の脱け殻で魔力が少し残ってたから話せてましたみたいにさ
280 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/08(木) 15:28:10.55 ID:qKB9hPJuO
普通に戦力として惜しい
281 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/12(月) 11:58:47.32 ID:OVGww3LJ0
詰んでない?
282 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/20(火) 17:39:35.22 ID:nvhMUzJQ0
ほ
283 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 03:51:21.55 ID:X1nbjFrK0
魔法使い「ねごちゃん…うぅ…」
勇者「くそっ…くそっ…!」
ねこが悩んでいたのに気づいてやれなかった自分への怒りか、勝手に一人でいってしまったねこに対しての怒りか、はたまたねこを悩ませる原因を作った魔王に対してのの怒りか。
何に対しての怒りなのか分からないまま行き場のない怒りが拳の先に伝うのを感じてひたすら地を殴った。
284 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 03:52:10.96 ID:X1nbjFrK0
魔法使い「勇者様…」
魔法使い(あの勇者様が今までにないくらい取り乱してる…)
勇者「どうして…どうしてなんだねこ…俺は、どうすればよかったんだ。なんでそんな風になるまで俺に何も言ってくれなかったんだ…」
魔法使い(泣いてる場合じゃない)
魔法使い(私が、ねこちゃんの分まで勇者様を支えてあげないと)
魔法使い「勇者様」
勇者「!」
後ろから、ささやかな温もりがそっと俺を包んだ。
285 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 03:52:49.96 ID:X1nbjFrK0
魔法使い「本当に悲しいときは…泣いてもいいんですよ?」
勇者「っ!離れろ!別に俺は悲しいわけでは…」
魔法使い「肩…震えてますよ。こんなに近くにいるんだから分かっちゃいますよ」
勇者「何をっ!」
魔法使い「悲しくないわけないじゃないですか!わだしだって…ほんどは…うそだって思いたいでずよ!」
勇者「……」
魔法使い「これは何かの悪い夢で、また目が覚めたらいつものねこちゃんがいて、三人でまた魔王城を目指して歩いてって…思いたいでずよぉ!」
魔法使い「でも…これは夢じゃないんですよね。そう、とても悲しい現実なんですよね」
勇者「やめろっ!」
魔法使い「私たちはねこちゃんの思いも背負って…前に進まないといけないんです…」
勇者「そんなことは分かっている!馬鹿にするなよクソ魔道士!」
286 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 03:53:37.19 ID:X1nbjFrK0
魔法使い「でも今は辛いんですよね…分かります。だから辛さはここに置いて行きましょう。大丈夫です。ねこちゃんは心はずっと繋がったまんまだって言ってくれましたから…」
勇者「…どこに置けばいい」
魔法使い「私が全部受け止めてあげますよ。今だけじゃありません。これからもねこちゃんの分まで私が勇者様を支えますから」
勇者「ふっ…相変わらず笑わせる。攻撃魔法も使えないお前がか?」
魔法使い「はい。頑張ります」
魔法使い「勇者様最初に『お前を連れて行って俺に利はあるのか?』って私に聞きましたよね」
魔法使い「だから私が勇者様の隣にいて勇者様にとってプラスになることをいっぱい作りたいんです。…ありますって言っちゃいましたしね」
魔法使い「私は…勇者様のことが大好きですから…」
勇者「!!」
287 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 03:54:32.44 ID:X1nbjFrK0
勇者「…そう、か。ならここに全て置いて行くとしよう。前に進むために。ねこに胸を張れるように」
魔法使い「はい。どうぞ私の胸を借りて下さい」
勇者「いや…それはだな…」
魔法使い「やっぱり恥ずかしいですか?」
魔法使い「ふふっ。なら緊張を解いて差し上げましょう」
魔法使い「…テンプテーション」
勇者「!」
俺は魔法使いの方を向き彼女の胸に顔を埋めた。
勇者「これは魔法のせいだ」
魔法使い「はい」
勇者「これから起きる出来事は後で全て忘れろ。いいな」
魔法使い「はい」
勇者「本当だろうな?」
魔法使い「……」
勇者「まぁ…いい…くっ…うぅ…」
勇者「ねご…すま、なぃ…魔法使い…感謝する…」
勇者「うぅっ…」
魔法使い「……」
288 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 03:54:59.94 ID:X1nbjFrK0
魔法使い(ねこちゃん。ごめんなさい…今の私、すごくずるいですよね)
そんなことないにゃすよ
魔法使い「!」
魔法使い(あはは…私すっごく嫌な子だな…自分を正当化するために幻聴を聞くなんて…)
魔法使い「うっ…うぅ…うぇ…」
289 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 03:55:28.64 ID:X1nbjFrK0
ねこちゃん…ありがとう…
290 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 03:55:58.16 ID:X1nbjFrK0
数日後、本格的に近くなってきた魔王城を前にして俺たちは魔獣にすら手こずっていた。
勇者「ハァ、ハァ…やっと片付いたか」
魔法使い「はぁ、はぁ…ただのファングもすごく強くなってますね…」
勇者「ああ」
魔法使い「あっ」
勇者「!」
突然魔法使いがふらつき前に倒れこんだ。
291 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 03:56:48.64 ID:X1nbjFrK0
勇者「おいっ!大丈夫か!?しっかりしろ!」
魔法使い「はぁ…はぁ…はぁ…」
彼女の額に手を置くと人肌にしてはかなりの熱が伝わってくる。
勇者(ねこがいない分今まで以上に過酷な戦闘と連続の魔法詠唱に疲れたか。無理もない)
とりあえず回復魔法を使い、彼女の疲労回復を試みる
も
魔法使い「んっ…あぁっ…だ、めぇ…」
勇者(全く効果がないだと!?)
勇者(その上にいつものこいつよりさらに強大な魔力を感じる)
292 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 03:57:38.56 ID:X1nbjFrK0
勇者(これはあの時のねこから感じた魔力と同じ…まさか…いや、そんな馬鹿な…)
魔法使い「はぁ…勇者様…すみません…立てそうにないです…」
勇者(ここで休んで行きたいところだがその間にまた魔獣が来ては本末転倒だ。ここでは症状の回復が見込めない以上どこか宿のある場所を探すしかない…だかこの辺りに村は…地図を見る限りではなさそうだな)
勇者(…山小屋のようなものを探すしかないか)
勇者「ここは危険だ。移動するぞ」
魔法使い「は、はぃ…がんばります…」
勇者「背負ってやる。乗れ」
魔法使い「え…でも…」
勇者「さっき立てそうにないと言ったのはお前だろう。いいから乗れ」
魔法使い「は、はい。では失礼します」
魔法使いを背に再び歩き出す。
安息の場所を求めて。
293 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 03:58:08.37 ID:X1nbjFrK0
魔法使い「はぁ…はぁ…すみません…いっぱいいいこと作るって言ってたのに…早速迷惑かけちゃいましたね…」
魔法使い「えへへ…勇者様の背中、大きくて温かいです…」
勇者「黙っていろ。楽じゃないなら喋るな。寝ろ」
魔法使い「優しいんですね」
勇者「随分とよく喋るな。本当は大丈夫なんじゃないのか?」
魔法使い「いえ…なんだか少し…頭がふわふわしています…」
勇者(熱の症状のせいか?それともこのさらに強大になった魔力が何か関係しているのか?)
294 :
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[saga]:2016/09/21(水) 03:58:41.37 ID:X1nbjFrK0
魔法使い「勇者様…少し甘えてもいいですか?」
勇者「こんなときに何を言っている。こうして背負ってやっている時点で十分お前は俺に甘えているだろうが」
魔法使い「じゃあ、もっと甘えちゃいますね…ぎゅー…」
勇者「んなっ」
魔法使いが俺にしがみつく力を強めた。
当然彼女の上半身は前に寄せられ、俺の背とさらに密着する。
さっきまでは気にならなかった柔らかい感触も流石に気になってきた。
勇者「やめろっ!下ろすぞ!」
魔法使い「私知ってますよ。勇者様はお優しい方なのでそんなこと言っても下ろさないって…」
勇者(さっきまでの魔法使いと明らかに何かが違う!遠慮がちなこいつは何処に行ったんだ?こんなこいつは…師匠の村で寝ぼけてたとき以来だ)
魔法使い「ゆーしゃさまぁ…だいすきです…」
295 :
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[saga]:2016/09/21(水) 03:59:11.19 ID:X1nbjFrK0
『汝には我の最後の力の一部を与えよう』
魔法使い「!?」
魔法使い「はぅっ…!?あっ…あたま…が…」
勇者「どうしたっ!?」
魔法使い「や…だ…」
勇者「くそっ!何処かにないのか!何処か…少しでも休める場所があればっ!」
ファング「グルルル!」
勇者「なんだ?」
振り向くと後ろからは魔獣の群れがこちらに向かって迫ってきていた。
296 :
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[saga]:2016/09/21(水) 03:59:53.50 ID:X1nbjFrK0
勇者「ちっ!こんなときにっ!おい!」
魔法使い「は、はぃ」
勇者「走るぞ!落ちるなよ!」
群れから逃げるため全力で走る。
もちろんあてなどない。
適当にまければそれでいい。
一本道を走るだけではいずれ追いつかれると悟りデタラメだが木々を曲がり、ただまくことに専念した。
ファング「ギャルルルル!」
勇者「しつこいっ…」
だがどんなに走っても魔獣は追ってくる。
勇者(このままじゃ追いつかれるぞ!)
曲がる余裕もなくなり雑木林を抜け開けた場所へ出る。
297 :
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[saga]:2016/09/21(水) 04:00:32.35 ID:X1nbjFrK0
勇者「な…」
なんとそこは崖だった。
ファング「グルルル…」
やっと獲物を追い詰めたと言わんばかりに唾で地面を濡らす獣の集団が俺たちに迫る。
勇者(状況は絶望的だが…)
それと同時に俺たちには新たな希望も生まれていた。
崖の下には隠れ里なのか民家や畑などの人が生活している風景が見えた。
勇者(この場から直ぐにあの場所へ行く方法とこの場を切り抜ける方法は一致している)
勇者(幸いこの崖は低めだ。飛び降りた後の衝撃の痛みも回復魔法を使えばなんとかなるかもしれん)
298 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:01:06.02 ID:X1nbjFrK0
ひとまず魔法使いを背から下す。
魔法使い「んっ…はぁ、はぁ…勇者様…私も戦います」
勇者「その必要はない」
魔法使い「え?」
魔法使いを抱き、頭を手で抑えつける。
魔法使い「え?え?勇者様…?」
勇者「頭を引っ込めていろ」
ファング「グラァ!」
勇者「行くぞ!」
魔獣が飛びかかるのと同時に崖から飛び降りる た。
勇者「ぐぅっ!」
魔法使い「きゃあああああ!!!!」
落ちていく中魔法使いを庇いながら後頭部を打たないように横向きに身体を捻る。
5秒後、鈍い音を立てて俺たちは原っぱへ着地した。
299 :
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[saga]:2016/09/21(水) 04:01:36.99 ID:X1nbjFrK0
勇者「がはっ!」
魔法使い「んっ!」
魔法使い「ゆ、勇者様ぁ…大丈夫ですか?」
勇者「ああ…なんとかな…」
回復魔法を使いながら上の様子を伺う。
ファング「ギャルルル…」
勇者(流石にまだいるか…今にも飛び降りてきそうな勢いだ…キツイが早くこの場から移動しなければ…)
だがしばらくすると俺たちがもう一度立ち上がる前に群れは森の方へ消えて行った。
勇者「…なんだ?」
魔法使い「はぁ…とりあえず…はぁ…助かったみたいです…ね…」
勇者「おいっ!」
勇者「…ついに気を失ったか」
俺は気を失った魔法使いをもう一度背負い直し、里へと降りて行った。
300 :
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[saga]:2016/09/21(水) 04:02:10.50 ID:X1nbjFrK0
…………
ようやく里へたどり着いた俺は辺りを見回した。
そこは街以上に普通の人間と多彩な魔族や亜人種が住む場所のようだった。
勇者(魔王城に近いからか?)
勇者「やっと着いたな…宿は、無さそうだな…何処かに邪魔させてもらうしかないか」
301 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:02:51.82 ID:X1nbjFrK0
「うぬ?見ない顔じゃな…お主一体何処からこの隠れ里に…」
そこに立派な白い髭を蓄えた老人に話しかけられた。
勇者(兎の耳…。兎の亜人種か…)
勇者「俺は勇者だ。そこの崖から飛び降りてきた」
長老「なんと!?勇者様であったか!これは失礼…ワシはこの里の長老です」
長老「ですが勇者様となると…魔王を討伐するためにこの辺りを訪れたのでは?」
勇者「そうだが」
長老「困りましたね。実は今この里の周辺には特殊な結界がはられてまして…外からの魔獣やらを受け付けない代わりに一度入ってしまうとこの里から出られなくなってしまうのです…」
勇者「なんだと!?それは本当か!?どういうことだ!…くっ」
思わず声を荒げるとここまでの戦闘と回復魔法の連続詠唱に疲労した体が悲鳴をあげ、よろめいた。
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