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魔法使い「え、えろ魔道士です…」
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295 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 03:59:11.19 ID:X1nbjFrK0
『汝には我の最後の力の一部を与えよう』
魔法使い「!?」
魔法使い「はぅっ…!?あっ…あたま…が…」
勇者「どうしたっ!?」
魔法使い「や…だ…」
勇者「くそっ!何処かにないのか!何処か…少しでも休める場所があればっ!」
ファング「グルルル!」
勇者「なんだ?」
振り向くと後ろからは魔獣の群れがこちらに向かって迫ってきていた。
296 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 03:59:53.50 ID:X1nbjFrK0
勇者「ちっ!こんなときにっ!おい!」
魔法使い「は、はぃ」
勇者「走るぞ!落ちるなよ!」
群れから逃げるため全力で走る。
もちろんあてなどない。
適当にまければそれでいい。
一本道を走るだけではいずれ追いつかれると悟りデタラメだが木々を曲がり、ただまくことに専念した。
ファング「ギャルルルル!」
勇者「しつこいっ…」
だがどんなに走っても魔獣は追ってくる。
勇者(このままじゃ追いつかれるぞ!)
曲がる余裕もなくなり雑木林を抜け開けた場所へ出る。
297 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:00:32.35 ID:X1nbjFrK0
勇者「な…」
なんとそこは崖だった。
ファング「グルルル…」
やっと獲物を追い詰めたと言わんばかりに唾で地面を濡らす獣の集団が俺たちに迫る。
勇者(状況は絶望的だが…)
それと同時に俺たちには新たな希望も生まれていた。
崖の下には隠れ里なのか民家や畑などの人が生活している風景が見えた。
勇者(この場から直ぐにあの場所へ行く方法とこの場を切り抜ける方法は一致している)
勇者(幸いこの崖は低めだ。飛び降りた後の衝撃の痛みも回復魔法を使えばなんとかなるかもしれん)
298 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:01:06.02 ID:X1nbjFrK0
ひとまず魔法使いを背から下す。
魔法使い「んっ…はぁ、はぁ…勇者様…私も戦います」
勇者「その必要はない」
魔法使い「え?」
魔法使いを抱き、頭を手で抑えつける。
魔法使い「え?え?勇者様…?」
勇者「頭を引っ込めていろ」
ファング「グラァ!」
勇者「行くぞ!」
魔獣が飛びかかるのと同時に崖から飛び降りる た。
勇者「ぐぅっ!」
魔法使い「きゃあああああ!!!!」
落ちていく中魔法使いを庇いながら後頭部を打たないように横向きに身体を捻る。
5秒後、鈍い音を立てて俺たちは原っぱへ着地した。
299 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:01:36.99 ID:X1nbjFrK0
勇者「がはっ!」
魔法使い「んっ!」
魔法使い「ゆ、勇者様ぁ…大丈夫ですか?」
勇者「ああ…なんとかな…」
回復魔法を使いながら上の様子を伺う。
ファング「ギャルルル…」
勇者(流石にまだいるか…今にも飛び降りてきそうな勢いだ…キツイが早くこの場から移動しなければ…)
だがしばらくすると俺たちがもう一度立ち上がる前に群れは森の方へ消えて行った。
勇者「…なんだ?」
魔法使い「はぁ…とりあえず…はぁ…助かったみたいです…ね…」
勇者「おいっ!」
勇者「…ついに気を失ったか」
俺は気を失った魔法使いをもう一度背負い直し、里へと降りて行った。
300 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:02:10.50 ID:X1nbjFrK0
…………
ようやく里へたどり着いた俺は辺りを見回した。
そこは街以上に普通の人間と多彩な魔族や亜人種が住む場所のようだった。
勇者(魔王城に近いからか?)
勇者「やっと着いたな…宿は、無さそうだな…何処かに邪魔させてもらうしかないか」
301 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:02:51.82 ID:X1nbjFrK0
「うぬ?見ない顔じゃな…お主一体何処からこの隠れ里に…」
そこに立派な白い髭を蓄えた老人に話しかけられた。
勇者(兎の耳…。兎の亜人種か…)
勇者「俺は勇者だ。そこの崖から飛び降りてきた」
長老「なんと!?勇者様であったか!これは失礼…ワシはこの里の長老です」
長老「ですが勇者様となると…魔王を討伐するためにこの辺りを訪れたのでは?」
勇者「そうだが」
長老「困りましたね。実は今この里の周辺には特殊な結界がはられてまして…外からの魔獣やらを受け付けない代わりに一度入ってしまうとこの里から出られなくなってしまうのです…」
勇者「なんだと!?それは本当か!?どういうことだ!…くっ」
思わず声を荒げるとここまでの戦闘と回復魔法の連続詠唱に疲労した体が悲鳴をあげ、よろめいた。
302 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:03:22.62 ID:X1nbjFrK0
長老「とりあえずその怪我ではまともに立ってられますまい。とうぞこちらへ…」
勇者「あ、ああ…すまない…」
長老「ん…?その後ろの少女は…」
勇者「ああ。長老殿と同じ兎の亜人種の者だが…」
長老「…た、大変じゃ!早くこちらへ!」
突如長老は落ち着きを無くし、自宅だと思われる場所へ駆け込んで行った。
俺も後を追ってその民家の中へ入る。
勇者「邪魔する…」
そこで長老が同じく兎の亜人種である女性と男性と話していた。
303 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:04:03.14 ID:X1nbjFrK0
長老「あれは…確かじゃろう?」
「ま、間違いないわ…」
「…生きてたんだな!」
勇者「……何の話をしているのか分からんがとりあえず後ろのこいつをベッドに寝かせてやりたいのだが」
「勇者様!何処でその子を?」
「そうだよ!一体今まで何処にいたんだ」
勇者「こいつとは王都で出会った。もしや知り合いの者か?」
母「知り合いもなにも!私たちはその子の親です!」
勇者「何!?それは仰天した」
父「四年前に行方不明になってから何処に行ってしまったのやらと思っていたのですが…」
勇者(確かにこいつは四年前から記憶がないと言ってたが…一体何があったんだ?)
304 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:04:40.96 ID:X1nbjFrK0
母「私たちの知らない間にこんなに大きくなって…うぅっ…ぐすっ…嬉しいわ…」
勇者「そいつのことで聞きたいことも山々だが…先ずは何故この里から誰も出られないのかを聞きたい」
老人「結界を張っているのはここのすぐ近くの洞窟の中にいる竜神様なのですが、竜神様は四年前に魔王がここを攻めてきてからというもの外界からの悪しき魔族を寄せ付けないためかずっと結界を張り続けたままなのです…」
母「竜神様が結界を張った日、魔法使いは里の外に遊びに行ってたんです…そこからずっと帰って来なくて…」
父「探しに行こうにも里からは出られなかったんです。だから…もうどこかで魔獣にでも襲われたのかと…」
老人「昔は里の声を聞き入れ…里の民と仲良く談笑するような穏やかな竜神様だったのですが四年前から聞く耳を持たず、それどころか暴れまわる始末で…」
勇者「つまり…その竜神をなんとかすればいいんだな?」
老人「まぁ…そうなのですが…」
勇者「洞窟の場所を教えてくれ」
勇者「俺は…必ずや魔王を撃ちとらねばならん身なのだ…」
305 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:05:11.18 ID:X1nbjFrK0
第7章
怒りと怒りと衝突
306 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:05:42.50 ID:X1nbjFrK0
「…誰だ。オレに何の用だ」
洞窟の中へと入った俺は奥にいた真っ赤な鱗で全身を覆う竜と対峙していた。
勇者「貴様が竜神か。結界を解いて貰いたい。俺は勇者だ。魔王を撃つためにここを出る必要がある」
竜神「その必要はない。魔王はいずれオレの結界を破りまたここを攻めてくるに違いない。きたるそのとき、オレが魔王を叩き潰す!」
竜神「…勇者ということはお前は余所者のようだな。丁度オレと同じような魔力の気配を感じ取っていたところだ。余所者が迷い込んだのは察していたが…オレと同じ魔力の持ち主はお前ではないようだが…」
勇者(…あいつのことか?)
勇者「お前と同じ魔力とは…何のことだ?」
307 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:06:15.61 ID:X1nbjFrK0
竜神「憎き魔王の魔力よ!」
竜神はそう言い張ると一度洞窟の一部にヒビが入るほどの圧倒的な怒りの感情を含んだ咆哮を上げた。
勇者「ぐっ…!」
勇者(確かに一気に禍々しい魔力を感じた!こいつは残党か!?)
勇者(だがあいつも同じとはどういうことだ!?あいつも…残党ということか…?)
勇者(まさかっ!まさか本当にそんなことが!なら…俺はあいつも…)
『にゅふふ…スキンシップは…』
『た、い、せ…つ…にゃ…』
勇者(殺さなければならないのか?ねこと同じように…)
308 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:06:46.74 ID:X1nbjFrK0
勇者(…何故だろうな。最初はいつでも殺すつもりであいつを連れていたのに)
勇者(今は…)
『え、えろ魔道士です』
『ゆうしゃさまが死んで…わたしも殺されちゃうんじゃないかって…こわかったですよぉ…』
『勇者様ー!もし私が攫われたら助けに来てくださいよぉー!?』
『死んじゃいそうなくらい幸せ…です…』
『勇者様ぁ!嬉しいですぅ!嬉しすぎますよぉ!』
『えへへ。ちょっと着替えてみました。どうですか?似合いますか?』
『大好きですから』
勇者(何故こんなにも辛い)
309 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:07:19.08 ID:X1nbjFrK0
勇者(家族とねこに続き…またも魔王に奪われようとしている…魔王は俺からどこまで奪って行くつもりなんだ?)
勇者「許さんぞ…魔王…」
竜神「ほぅ…静寂ながらオレに勝るとも劣らない怒りの力を感じるぞ!」
勇者「竜神よ、俺はこの里から出るぞ」
竜神「いいだろう。その怒り!このオレにぶつけるがいい!その怒りがオレの怒りを超えたとき!結界の解除を認めてやろう!」
竜神「行くぞっ!!!!」
勇者「うおおおお!!!!」
310 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:08:12.25 ID:X1nbjFrK0
…………
『汝には我の最後の力の一部を与えよう』
ゃ……
『汝に与えるは力』
やだ……
『色欲を源とする』
こわぃ……
『力を昇華させよ』
こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい
311 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:08:47.51 ID:X1nbjFrK0
魔法使い「っんは!」
魔法使い「はぁ…はぁ…はぁ…」
魔法使い「ここ…は…?」
魔法使い(なんでだろう…とても懐かしい気分…)
母「魔法使い!目が覚めたのね!」
魔法使い「きゃっ!」
母「おかえりなさぃ…グスッ…本当に…本当に良かった…あなたが生きててくれて…」
魔法使い「え?え?えーっとぉ…す、すみません…どなた…ですか?」
父「え?」
母「へ?」
312 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:09:18.08 ID:X1nbjFrK0
魔法使い「す、すみません…私たち…どこかでお会いしましたか?」
母「なっ、何言ってるの!?」
父「母さんと父さんのことを忘れたのか!?」
母「そうよ!どこで会ったも何も!あなたは私たちの子で私たちは家族なのよ!?」
母「やっと…やっとまた会えたのに…そんなこと…言わないでよぉ…」
父「魔法使い。頼むからこれ以上母さんを悲しませないでくれ」
魔法使い(え?え?え?え?)
魔法使い(お父さん…?お母さん…?)
313 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:09:49.77 ID:X1nbjFrK0
…………
魔法使い「お父さーん!お母さーん!友達と遊んでくるね?」
父「気をつけてな」
母「暗くなる前に帰ってくるのよ?」
友達「今日は森の中を探検するんだぞー!」
魔法使い「楽しそうだね!」
…………
314 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:11:02.52 ID:X1nbjFrK0
魔法使い「うぅ…ぐっ…うぁっ…あっ…」
母「魔法使い!?大丈夫!?」
長老「やはり外にいる間に何かあったのじゃな…そのときのショックで記憶を無くしておるのかもしれん…」
母「そんな…」
315 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:11:43.51 ID:X1nbjFrK0
…………
友達の母「はぁ…はぁ…良かった…あなた達が無事で…今里が大変なの!魔王が攻めて来たかと思ったら今度は竜神様が急に暴れ出しちゃって…」
友達「え?竜神様が!?」
友達の母「ええ。だから早く逃げるのよ!さ、魔法使いちゃんも早く!急ぎましょう!」
友達「やべーぞやべーぞ!走れ走れ!」
魔法使い「まって!まってぇ!」
魔法使い「あっ…!」
魔法使い「あいたっ!うぅっ…まって!まってよぉ!」
魔法使い「うぇ…うえええええん…」
「そこの童女よ」
魔法使い「え?…だえ…?」
魔法使い「ひっ!」
魔法使い(こ、この女の人…なんだかものすごく…こわいっ…)
316 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:12:18.87 ID:X1nbjFrK0
「汝には我の最後の力の一部を与えよう」
「これで七つの全ての力を振り分けることができる…最後がこのような何の才も感じられぬ普通の子供になるのは不本意だが…まぁよい」
「明日には勇者が城へ攻めてくるのだ。我にはもう時間が残されていない。ゆえにもう力の器も選んでられん…」
魔法使い「あ…あ…」
「恐ることはない。力を受け入れよ」
魔法使い「いや…やだ…」
「汝に与えるは力、色欲を源とする」
「力を昇華させよ」
魔法使い「ひぃっ…ひぃぃ…」
「はぁ!!」
魔法使い「ああああ!!!!あ…が…やぁ…だぁ…」
魔法使い「ごわぃ…ごわ…ぃ…やだ…やだやだやだ…」
魔法使い「こ…わ…」
「……」
魔法使い「ヒュー…ヒュー…」
「ふむ。やはりこのような子供では駄目だったか?まるで魂だけが抜けたような…そんな顔をしているぞ」
「ここでそのままにしてもよいが…この様子では我と勇者との戦いが終わる前に死んでしまいそうだな。それでは意味がない…」
「ここらの魔獣は一度一時的に払っておくか」
「我の力の一部…汝に預けたぞ…ではな…」
317 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:12:50.35 ID:X1nbjFrK0
…………
魔導師「…かなりの魔力を感じる」
魔導師「あそこからか…?」
魔法使い「……」
魔導師「子供…?」
魔法使い「……」
魔導師「お前…どこから来たんだ?どこに住んでいる」
魔法使い「…?」
魔導師「名前は?」
魔法使い「魔法使い…」
魔導師「一人なのか?」
魔法使い「…こわい」
魔導師「そうか…そうだよな。一人は怖い。そして寂しいものだ」
魔導師(妙に強大な魔力を持っているからどの道ほおってはおけないが…私もどうかしているな…普通はこの子の親を一緒に探してやらねばならぬのに…今の私は…新たな温もりを探し求めているのか?)
魔導師「お前も一人なのか。私も一人になってしまったんだ。よかったら私に付いてこないか」
…………
318 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
:2016/09/21(水) 04:13:30.11 ID:X1nbjFrK0
魔法使い「あっ…あっ…あっ…」
魔法使い「うああああああああ!!!!」
母「魔法使い!?」
319 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:13:56.61 ID:X1nbjFrK0
…………
竜神「オレの炎で灰と化せ!」
竜神「ハァ!フンッ!ラァ!」
勇者「くっ!ふっ!はっ!」
竜神「ちょこまかと!」
勇者「疾風剣技!」
竜神「グォ!…やるな」
煉獄の満ちた洞窟の中、俺と竜神の攻防が続いていた。
竜神「まだまだァ!」
竜神の吐く炎を避けながら隙をついて懐中へ斬りこむ。
320 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:14:23.19 ID:X1nbjFrK0
勇者「ハァッ」
竜神「グルッ!」
勇者「そろそろ終わらせてもらうぞ!竜神!」
竜神「何!?」
勇者「疾風剣技!居合斬り!」
風に乗り一瞬の内に竜神の急所を切り裂く。
竜神「うがああああ!ぐっふっ…」
竜神の巨体が倒れる音が洞窟中に広がった。
321 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:14:57.81 ID:X1nbjFrK0
勇者「ハァ、ハァ…終わった…か…?」
勇者(早く戻らなければ…あいつが心配だ…)
勇者(だが…俺はやはりあいつを殺さないといけないのか?何か他に方法はないのか?くそっ!)
戻らなければと思いつつも戻れば魔法使いを殺さなければならない。
魔王に対する怒り、魔法使いを救えない悔しさや悲しみ、そして数々の死闘で積み重なってきたダメージで疲弊しきった俺はその場に座り込んでしまった。
倒れた竜神にもたれかかり、意識も遠のいてきたそのときだった。
322 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:15:24.26 ID:X1nbjFrK0
竜神「グッ…グググ…」
勇者「!?」
竜神が身体を起こして立ち上がった。
もたれていた俺はそのまま地面に倒れる。
竜神が俺を見下ろしているのが分かるが身体が言うことをきかず立ち上がることができない。
勇者(くっそぉ!立ち上がれ!動け!)
竜神が炎を吐くのかゆっくりと口を開く。
勇者(くっ…そっ…)
323 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:16:03.95 ID:X1nbjFrK0
竜神「礼を言うぞ…勇者…」
勇者「……?」
竜神の口から出たのは炎でも罵倒でも勝利宣言でも無かった。
勇者「どういう…ことだ?」
竜神「どうやら魔王を撃ち破る宿命を背負った女神の力を纏うお前に斬られたことによってオレの中の魔王の力が消え失せたようだ」
勇者「なんだと?」
竜神「普通の魔物や人間では先ほどのお前の一撃でこの世から去っていただろうが竜の鱗を纏ったオレはあの程度の攻撃では死には至らんぞ」
勇者「…だがもう俺に敵意はないんだな」
竜神「ああ、お前の怒りがオレの怒りを超えたからな」
勇者「そんなにも魔王を憎んでいたのになぜ魔王の力を身につけたんだ?」
324 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:16:39.95 ID:X1nbjFrK0
竜神「…オレはこの場所に里ができる何十年も何百年も前からずっとこの洞窟にいた。一人でな」
竜神「だがある日オレの前に一人の人間が現れた。そいつは不思議なやつだった。威嚇するオレに対して怯えるわけもなくだからと言って襲ってくることもなかった」
竜神「オレがそいつにお前は不思議な奴だと言ったら、そいつはなぜそう思うのかを聞いてきた。オレはずっと一人だったことをそいつに伝えた」
竜神「そうするとそいつは何故かここに人を集めると言い出した。やめろと言っても聞かなかった。なんでもオレを孤独から救うためだという…」
勇者「……」
竜神「里ができてからまた何年もの月日が流れそいつは死んだ。だがそいつは確かにオレをこの薄暗い洞窟の中の孤独から解放した…オレは誓った。死んだあいつへの恩を返すために、あいつが集めた民たちを守り続けようと」
竜神「そんな中魔王がここを攻めてきた。里の一部は焼かれ沢山の民が死んだ。オレは魔王に立ち向かったが力及ばす地に伏し敗北した」
竜神「民はオレが魔王に負けたのを見て絶望し、この里を捨てて逃げようとしたのだ」
竜神「逃げ行く民たちを見てオレはあまりの自分の力の無さに憤怒した。最初は自分に対する怒りだったのだ。だがそれは徐々にオレをまた孤独へと陥れようとする民たちへの怒りへと変わっていった」
竜神「オレはまだ闘れる、だからオレを置いて行くな…とな…」
竜神「そんな怒りを魔王につけこまれ魔王に力の一部を押し付けられたというわけだ。哀れな奴だな…オレは…」
325 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:17:11.94 ID:X1nbjFrK0
勇者「結界を解いてくれるか?」
竜神「ああ、魔王を撃つのはお前に任せた。頼んだぞ…勇者…」
勇者「任せろ…俺が必ず…この手で魔王を撃つ!」
竜神「だが今のお前では少し力不足とも感じられる。もっと女神の力を最大限に生かすことができるようになれば魔王を滅せるだろう。オレが修行に付き合ってやる」
勇者「本当か!」
竜神「ああ。…だが、今は向かうべき場所があるのだろう?」
勇者「そうだな。お前の言うことが本当なら…少しは仲間を助けられるかもしれない」
洞窟を出た俺は魔法使いの眠る場所へと戻った。
326 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:17:41.55 ID:X1nbjFrK0
勇者「…魔法使いは無事か」
母「はい。今は少し落ち着いて眠っています。一度目を覚ましましたが頭を抱えて苦しそうでした…」
勇者「やはりお前は、魔王の…」
魔法使いが眠るベッドの横にあった椅子に座る。
魔法使い「うっ、んんっ…うっ…あぁっ…」
勇者(内側から押し寄せてくる魔王の力を必死に押し返そうとしているんだな…ねこも…ずっとこんな感じだったのか?)
悪夢にうなされているような顔で眠る彼女の片手をそっと両手で握った。
327 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:18:10.65 ID:X1nbjFrK0
勇者(本気で斬らなければ完全なる魔王の力の消滅は難しいが…抑えることならできるかもしれん)
魔法使い「…んっ、はぁ、ゆ…しゃ…さま…」
勇者(お前だけは…俺が救ってみせるっ!)
勇者(女神よ!俺に力を貸してくれ!)
彼女の手を強く握りしめると俺の手から白い光が満ち溢れ、部屋中を照らし始めた。
328 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:18:38.59 ID:X1nbjFrK0
母「な、何!?」
父「何だ!?」
長老「これは…!?」
やがて光が収まり、目も慣れ、ゆっくりと目を開けた。
魔法使い「ん…すぅ…すぅ…」
勇者(顔色が穏やかになっている。それに、完全ではないが禍々しい魔力もあまり感じられない)
勇者「なんとか…なったのか…?」
肩からすっと力が抜けたかと思うと気がつけば俺は魔法使いを抱きしめていた。
329 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:19:13.88 ID:X1nbjFrK0
魔法使い「んぁ…あ…れ…?ゆうしゃ…さま?」
勇者「起きたか…この馬鹿魔道士…この俺にここまで心配させるとは…やはりお前はお荷物だな」
魔法使い「ふ、ふぇっ!?勇者様!?どうしたんですか!?い、いきなり…そんな…」
母「魔法使い!大丈夫なの!?」
魔法使い「あっ…お母さん…うん。私は大丈夫だよ…」
父「全部、思い出してくれたのか」
魔法使い「はい。全部思い出しちゃいました」
330 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:19:46.72 ID:X1nbjFrK0
魔法使い「すみません勇者様…聞いてください…」
勇者「……」
魔法使い「騙すつもりは無かったんです…私は、実は魔王から力の一部を受け取った残党の一人でした」
魔法使い「あはは…あ、いえ…笑い事じゃないんですけど…笑っちゃいますよね。だって本当にお荷物だったんですから」
勇者「……」
魔法使い「あ、でも勇者様が私を連れて行ってくださらなかったら、勇者様がこのことに気がついたときに王都まで戻って私を殺さないといけなかったので…その手間が省けたという意味では私を連れて行っていいこと…ありましたね!」
魔法使い「それだけでも良かったです。それだけで…うぅっ…わだしは…ぐすっ…まんぞくでずっ…」
魔法使い「どうか…ゆうじゃざまのてで…わだしを…ころしてください…もう覚悟はでぎでまずからっ!」
331 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:20:21.12 ID:X1nbjFrK0
母「魔法使い!?またあなたは…何を…」
魔法使い「おがあさんごめんなざい!でも…だめなんです!わだしが生きてたら…たとえ魔王を倒したとしても…また魔王が復活してしまうんでずっ!」
父「そ、そんな…」
長老「な、なんということじゃ…」
母「う、嘘よ!嘘よそんなの!」
魔法使い「嘘じゃないんです…ごめんなざい…嘘じゃ…ないんです…」
332 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:20:54.39 ID:X1nbjFrK0
勇者「お前にしては随分と諦めが早いな」
魔法使い「へ?」
勇者「あんなにも生への執着が強かったお前にしては随分と諦めが早いなと言っているんだ。震えて、泣きわめいて、土下座して…挙句の果てには…」
魔法使い「そ、その話はしないでくださいって…」
魔法使い「……」
魔法使い「私だって…死にたくないですよ…私は…ねこちゃんみたいに強くない…だから…本当は…死にたくない…もっと…もっど…ゆうじゃざまと…いっしょにいだいでずよぉ!」
勇者「なら、そうすればいい」
魔法使い「でも!それでは魔王が!!」
勇者「俺はお前がずっとお荷物だと思っていたし今も…邪魔だと感じることもある…」
魔法使い「…?」
333 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:21:39.84 ID:X1nbjFrK0
勇者「だが荷物を背負う期間が長すぎて感覚が麻痺してきた。今では背中に荷物がないと身体が軽すぎて落ち着かないくらいにな。今の俺には少し重荷があるくらいが丁度いい」
魔法使い「!!」
勇者「お前が生きている間ずっと魔王が復活し続けるというのなら俺が何度でも魔王を倒すだけだ」
334 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:22:11.31 ID:X1nbjFrK0
勇者「だから…ずっと俺と一緒にいろ。この旅が終わった後もだ…」
魔法使い「へ…?え…?」
335 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:23:02.92 ID:X1nbjFrK0
魔法使い「ひっぐ…うぅっ…ゆうしゃ…さまぁ…」
母「あ、ありがとうございます!勇者様!」
父「ははっ…参ったな…将来娘が欲しいと言う男が家に来れば一度は顔面を殴るつもりでいたのだが…これでは殴れないじゃないか…」
336 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/21(水) 04:23:29.71 ID:X1nbjFrK0
魔法使い「うぅ…だいしゅきです…あいじでいまず…」
勇者「ふっ…涙鼻水まみれでそう言われてもな…」
勇者「!」
魔法使い「ゆうしゃさま…?どうかされましたか?」
勇者「…いや、なんでもない」
そこで初めて気がついた。
俺を散々悩ませていた呪いは、完全に消えていた。
…いや、消えたというより。
馴染んだのかもしれない。
337 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/21(水) 12:45:45.71 ID:RJ/zncSxO
乙
338 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/21(水) 20:00:59.74 ID:Yd/ktKbio
乙
339 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/21(水) 21:21:18.63 ID:WzbaU+4vO
乙
340 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/28(水) 01:01:33.40 ID:rGT9FNAe0
乙!
341 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:28:52.08 ID:3erBllFj0
竜神との修行で俺は魔王を葬る女神の力を纏う剣技を習得した。
結界が解除された里を抜け、俺たちはついに魔王城の扉の前に立っていた。
勇者「とうとうここまで来たか」
魔法使い「長かった旅もここで終わりですね」
勇者「魔王…覚悟しろ。たとえ何度お前が復活しようと無駄だということをこの一度で思い知らせてやる」
魔王城の巨大な扉が重くゆっくりと開かれる。
今、最後の戦いが幕を開けようとしていた。
342 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:29:33.40 ID:3erBllFj0
第8章
伝説の魔法使い
343 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:30:07.56 ID:3erBllFj0
魔王城の一番奥の部屋にたどり着くのは容易だった。
当たり前といえば当たり前だ。
勇者「別に疑っていたわけではないが魔王軍全滅というのは本当だったんだな」
魔法使い「本当に誰もいませんでしたね…」
勇者「この部屋の奥に魔王がいるんだな。間違いない。桁外れな魔力を感じる」
魔法使い「は、はい」
勇者「…足が震えているぞ」
過去のトラウマのせいもあるのだろう。
勇者「お前の魔力と魔法の殆どは魔王のものと言っても過言ではない。どうせ奴にお前の魔法は通用しないだろう。お前はここで待っていても構わんぞ」
344 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:30:36.50 ID:3erBllFj0
魔法使い「い、いえ!私も最後まで一緒に戦いますよ!それに魔王に魔法が効かないなんてやってみないと分からないじゃないですか」
足も、声すら震えていたが彼女の眼差しだけは恐れの感じられない力強い光を宿していた。
勇者「…その根拠はどこからきている」
魔法使い「同性でも魅せることができる自信はねこちゃんのお墨付きです!」
勇者「そうか…なら行くぞ!」
部屋の入り口を蹴り飛ばし、俺たちは部屋の中へと突入した。
345 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:31:18.25 ID:3erBllFj0
魔王「…来たか。新たなる勇者よ」
勇者「ああ、貴様を葬りさるためにな」
魔王「そして…まさかお前が来るとはな」
魔法使い「わ、私はあなたの敵ですよ!魔王!」
魔王「我はお前を殺す気はないぞ。お前は魔王軍復活の礎となるのだ」
魔王「そこの現勇者を滅ぼしてからな!」
勇者「やってみろ。その言葉、そのままそっくり返してやろう」
魔王「ふむ。確かに我の力を借りた者共はそこの娘を残して全てどうにかしたようだが…」
魔王「分かってはいると思うが、そこの娘を生かしておる限り我の完全なる消滅はありえんぞ?」
勇者「なら何度でも貴様を斬るだけだ」
魔王「ふふふふふ…おもしろい。だが一度でも我をねじ伏せられるなら真となるか?ゆくぞ!」
346 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:31:49.19 ID:3erBllFj0
魔王が前に手を差し出すと手のひらに禍々しい魔力が集中する。
勇者「一撃で沈める!」
勇者「ゴッデス…」
魔王「遅い!デストロイファイア!」
勇者(早い!最上級の攻撃魔法をこれだけの短時間で詠唱できるとはっ…!)
横に転がり飛んでくる炎球をギリギリかわす。
勇者(一撃は無理だったか。やはり何発か打ち込み、動けなくなったところに止めを入れるしかないか)
勇者「疾風剣技!連斬!」
風の速度で間合いを詰め、魔王に斬りかかる。
347 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:32:23.28 ID:3erBllFj0
魔王「プロテクト」
魔王の手から光の壁が現れ最初の一撃を阻まれた。
勇者「まだだ!」
下から振り上げもう一撃。
魔王「……」
またも光の壁に阻まれる。
勇者「くそっ!」
魔王「甘いな」
次も、その次も阻まれる。
俺の刃は魔王にまで届かない。
魔法使い「勇者様!一度離れてください!」
勇者「!」
勇者「分かった」
魔王「む?」
魔法使いが魔法陣を構えているのを見て一度魔王のもとを離れた。
348 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:32:58.94 ID:3erBllFj0
勇者(頼んだぞ)
魔法使い「テンタツィオルネ!」
魔王「ほう。そこまで我の力を昇華させたか」
桃色の魔法陣から放たれた魔力の糸が一斉に魔王に向いて襲いかかる。
魔王「だが…」
魔法使い「えっ…!」
魔王は魔法陣から来る糸さえも光の壁で断ち切ってしまった。
349 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:33:37.42 ID:3erBllFj0
壁に遮られた糸は力なく消滅する。
魔法使い「そんな…」
勇者(だめかっ…)
魔王「忘れたわけではなかろう?その力はもともと我の物だということを。ただの我の一部複製品であるお前の魔法が力の主である我に効くわけがなかろう」
魔王「だが我と勇者との神聖な戦いに水を差されては面倒だ。…お前はそこで大人しくしていろ」
魔王「バインド」
魔法使い「きゃっ…」
魔王は光の壁を出したその手からそのまま黒い魔力でできた縄を出す。
それが魔法使いの身体と腕を拘束し、魔法使いはバランスを崩してその場に座り込む形となってしまった。
350 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:34:23.33 ID:3erBllFj0
勇者「魔法使い!ビスペ…」
魔王「デストロイファイア」
俺が魔法使いの拘束を解こうとするとそれをさせまいと魔王が攻撃魔法を俺に打つ。
勇者「くぅっ!」
またギリギリでかわせたがこれでは魔法使いに解呪の魔法を使えないどころか近づくことさえままならない。
魔法使い「んぅ…んー!…動け…ない…」
魔法使い「勇者様…すみません…」
勇者「いい。そこで俺が魔王を討ち滅ぼすのを見ていろ」
351 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:35:13.99 ID:3erBllFj0
魔王「今のままでは我の攻撃魔法をかわすだけで精一杯といったところだがな」
そう言いながら魔王はまだまだ燃え盛る火炎を飛ばし続けてくる。
勇者「俺は避けているばかりではないぞ!」
なんとか隙をついて魔王に斬りかかるもそれは光の壁の防御魔法に防がれ続ける。
魔王「そのやっとの攻撃は我に届いてないがな」
魔王「そろそろ終わらせるとしよう。フリーズ!」
魔王が氷結の魔法を唱えた。
勇者「くっ!」
勇者「…?」
俺は瞬時に身構えるもどこからも氷が飛んでくる気配はない。
だがその魔法はもうすでに俺のすぐ近くまで迫ってきていた。
勇者「!!」
足元に火傷しそうなほどの冷たさを感じる。
魔王「それでもう動けまい」
勇者「なんだと…!」
俺の足は床にぴったりとくっついたまま動こうとしない。
352 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:35:47.10 ID:3erBllFj0
魔法使い「勇者様!」
勇者「ビスペ…くっ…」
咄嗟に解呪しようとしたが魔王は既に俺の目の前まで来ており俺の顔の前に手のひらをかざしていつでも魔法がうてる体制に入ると鼻で笑った。
魔王「あっけない。実にあっけないな勇者。せめて後一人くらい我に力を与える者が残っていれば我も本調子で戦えていたのにと悔やんでいたが、お前には本調子で戦う必要すらなかったようだな」
魔王「やはり先代が強すぎただけか。安心を通り越してもはや拍子抜けだ」
勇者(…確かに魔王は自分より強いと思っていた前の勇者をも相打ちにまでもっていった。奴の本気はこの程度ではないということくらいは分かっていたが…くそっ!この段階のこいつにすら俺は及ばないのか!?)
魔王「終わりだ。勇者…」
魔法使い「勇者様ぁ!!!!」
353 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:36:19.72 ID:3erBllFj0
<彼を救ってください>
魔法使い(!)
354 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:37:05.79 ID:3erBllFj0
魔法使い(あなたは…誰…?)
<私は女神…あなたが彼を救ってくださるのなら…力をお貸ししましょう…どうか、世界を救ってください…>
355 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:37:59.18 ID:3erBllFj0
魔法使い(私は…勇者様を助けたい…)
魔法使い(力を貸してくださいっ!女神様!)
<感謝を。あとは…任せましたよ。魔法使い…>
<ビスペル>
356 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:38:40.31 ID:3erBllFj0
魔法使い「魔王!勇者様から離れてください!」
魔王「何だ!?」
勇者「魔法使い…?」
魔王「どうやって我の束縛魔法を…」
魔法使い「デレアスモス!」
魔王「また上級誘惑魔法か!何度やっても同じことだ!」
魔法使い「はああああああ!!!!」
魔王はまた壁を作り出し魔法使いの魔法を防ごうとするが魔法陣から放たれた糸は光の壁を貫通し、魔王の中に入り込んでいった。
魔王「な、なんだ…この聖なる魔力はっ!!!!」
魔王「我のものでは…ない」
魔王は何かに操られたかのようにじりじりと魔法使いに近づいて行く。
357 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:39:14.41 ID:3erBllFj0
勇者(何が…何が起こっているんだ…?)
勇者「逃げろ!」
魔法使い「駄目です!ここでやめたら意味がありません!」
魔王「な、ぜ…だ…なぜ…我は…こいつのところへ…」
魔法使いの目の前まで来た魔王は魔法使いの肩を両手で硬く掴んだ。
魔法使い「今です勇者様!」
勇者(状況は把握しきれていないが隙はできた!)
勇者「ビスペル!」
魔法で足元の氷を溶かし、魔王に斬りかかる。
勇者「魔王!覚悟!」
魔王「くぅぅ!舐めるなよ勇者ァ!」
まだ理性が残っているのか魔王は自分と魔法使いを覆う殻を作るように光の壁を展開し俺の剣を阻んだ。
358 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:39:48.40 ID:3erBllFj0
勇者「くっ!」
魔法使い「勇者様!それでは意味がありません!今こそ必殺の一撃を!」
勇者(そんなことは分かっている!だが…)
勇者「今あれを使えばお前もただではすまないんだぞ!」
魔法使い「大丈夫です!早く!」
魔王「グッ…ガガッ…オノレ…」
魔法使い「あぁっ…いだっ…ゆ、しゃ…さま…わだしのこの力も…あまり、長くはもぢまぜんっ!」
勇者(俺は…どうすれば…)
魔法使い「今しか、ないんですっ!」
魔王「グゥ…グッ…」
魔法使い「いぎっ…世界を…世界を救ってくだざいっ!」
勇者「……」
魔法使い「勇者様!」
359 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:40:23.17 ID:3erBllFj0
勇者「ああああああああああああ!!!!」
勇者「ゴッデスソード!!!!」
両手で力強く剣を振り下ろすと白い光の魔力が斬撃となって放たれた。
魔王「グガッ…?」
斬撃はシェルターと化した魔王の壁をいとも簡単に叩き割り、光が魔王と魔法使いを包んだ。
魔王「ぐ…あ…や、め…ろ…」
魔王「キエル…?コノ…ワレガ…?」
魔王「キエテイク…ヤメロ…」
魔王「ヤメロォォォ!!!」
360 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:41:02.25 ID:3erBllFj0
女神の魔力の光に飲まれ魔王は灰となって消えた。
光が完全に消えたそこには倒れた魔法使いの姿だけが残った。
361 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:41:33.88 ID:3erBllFj0
勇者「魔法使い!」
強大な魔力の放出によりボロボロになった剣を捨て、走って彼女に駆け寄る。
魔法使い「ゆ、しゃ…さま…えへへ…やりましたね…」
勇者「馬鹿!喋るな!」
回復魔法を使おうとするも最後の一撃の反動で魔力は底を尽きていた。
362 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:42:09.27 ID:3erBllFj0
魔法使い「ね?わたしが、いて、いいこと…ありました…ね…」
魔法使い「女神様が…わたしに、ちからをかしてくれたんです…」
勇者(あれは女神の魔力だったのか…)
勇者「だがその結果がこれだ!」
女神の力を込めた一撃を受けた彼女からは魔王の魔力は完全に感じられなくなっていた。
というより、彼女自身の魔力が殆ど消滅していた。
彼女は元々普通の少女で彼女の持つ魔力の殆どは魔王の魔力で構成されていたためだ。
そして幼いころから魔力を植え付けられていた彼女の身体は魔王の魔力があるのが当たり前となっておりそれが全て無くなった今、彼女は危険な状態にあった。
魔王の魔力と女神の魔力、二つの強大な魔力が無理矢理注がれた小さなの少女の器は限界を迎えようとしていた。
363 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:42:39.84 ID:3erBllFj0
魔法使い「わたしが死んじゃうより…ゆうしゃさまが死んでしまうのは…もっと嫌ですから…」
勇者「お前」
勇者「…この馬鹿魔道士が」
勇者「俺の背に乗れ、王都へ帰るぞ」
魔法使いを背負って、魔王城の廊下を歩く。
急がなければ。
364 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:43:13.02 ID:3erBllFj0
魔法使い「あ、わたし…この旅がおわったら…たくさんやりたいことあったんです…」
勇者「喋るな」
魔法使い「またあの大きな街へいきましょう…」
勇者「喋るな」
魔法使い「あの街のクレープ…とっても美味しかったんですよ?…ゆうしゃさまと一緒に食べたかったです」
勇者「もういい!喋るな!」
魔法使い「あとは…ゆうしゃさまに選んでもらった服を着て…」
勇者「そのアホみたいな夢物語にも後で幾らでも付き合ってやる!本当にお前がそれを望むならその願いも叶えてやる!」
魔法使い「……」
勇者「だから…頼むから…今は…黙って寝ていろ…寝ていてくれ…」
365 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:43:51.62 ID:3erBllFj0
魔法使い「今じゃないと駄目なんです」
勇者「うるさい!黙れ!」
魔法使い「えへへ…これでも今眠たいのを必死に我慢してるんですよ?今寝てしまったら…多分もう起きられないので…」
勇者「!」
その言葉を認めたくなくて、聞きたくなくて、抗えない運命を変えるために、俺は走り出した。
勇者「後で意地でも叩き起こしてやる。だから安心して寝ていろ!」
魔法使い「そんなに…走ったら…眠れませんよ…」
勇者「じゃあもうそのままでいい!寝るな!」
魔法使い「もぅ…どっち…なんですか…」
366 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:44:31.65 ID:3erBllFj0
魔法使い「…ゆうしゃさま。すみません。一度止まっていただけませんか?」
勇者「……」
彼女の言葉を無視して走り続ける。
魔法使い「お願いします…止まってください…」
無視して走る
魔法使い「お願いします…もう…止まってくださったら喋らないので…」
無視して…
魔法使い「テンプテーション」
367 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:45:22.10 ID:3erBllFj0
俺の意思とは関係なく俺の足が勝手に止まった。
勇者(やめてくれ…俺はこんなところで…止まるわけには…)
そう思いつつも俺は自分の本能に従ってか、魔法使いに従わされてか彼女を背から降ろし正面から抱きしめていた。
何故だ?俺にもうこいつの魔法は効かないはずなのに…。
魔法使い「やった…魔王の魔力が無くてもちゃんと使えた…お師匠様…お師匠様との修行は無駄じゃなかったんですね…」
勇者「おい…今すぐ魔法を解け…」
魔法使い「無理ですよ。回復魔法は使えないんです」
勇者「ふざけるなよ…クソ魔道士…」
魔法使い「違いますよ。わたしは…えろ魔道士です…」
魔法使い「ゆうしゃさま…」
魔法使いがこっちも向いたまま目をそっと閉じた。
これも魔法の力なのか俺は吸い込まれるように彼女に口づけした。
368 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:45:57.10 ID:3erBllFj0
顔を離すと魔法使いは少し微笑んでから言った。
魔法使い「ゆうしゃさま…あい、して…ま…」
魔法使い「す…」
369 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:46:33.27 ID:3erBllFj0
勇者「…!」
勇者「おい…」
さっきまでは見えない何かに縛り付けられているかのように彼女を抱きしめ続けていたが、もう俺は自分の意思で彼女を離すことができるようになっていた。
もちろん俺が解呪の魔法を使ったわけではない。
勇者「おい!」
勇者「起きろ!寝るな!おい!起きろ!起きろ!」
勇者「俺を…一人にしないでくれ…」
370 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:47:06.25 ID:3erBllFj0
心の中で自分で呟いた言葉を嘲笑った。
あれだけ孤独でいた自分、一人でも生きていけると思っていた自分からは想像もつかない言葉だったからだ。
彼女の最後の誘惑魔法が俺に効いてしまったのは…きっと、彼女の全てを俺が受け入れようとしなかったから。
彼女が消えてしまう運命を受け入れようとしなかったから。
371 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:47:54.84 ID:3erBllFj0
…………
魔導師「…こんなところにいたんですか」
世界の平和を祝う王宮のパレードの華やかな明かりに照らされた王都の隅で、ぼんやりと夜空を眺めていると魔導師殿に声をかけられた。
魔導師「主役の英雄が何故こんな日陰に…王様も探しておられましたよ」
勇者「…魔導師殿。すみませぬ」
俺は彼女に対して何度目か分からぬ謝罪の言葉と共に頭を下げた。
魔導師「私を見るたびに頭を下げるのはやめてください。貴方の話を聞く限りではそれがあの子の望んだ結末なのだと分かっていますので」
372 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:48:33.13 ID:3erBllFj0
勇者「……」
魔導師「もう私よりも悲しくないふりはやめてください。私には分かりますよ。あの子がいなくなったことに一番心を痛めているのは勇者殿なのでしょう?」
魔導師「一人は怖い。そして寂しいものです。そう感じるのは当たり前なのです」
勇者「……」
魔導師「あんなにも一人でも逞しく生きる貴方を変えたのはあの子の温もりです」
魔導師「どうかその心を忘れないでください。そしてできれば、一人でいる者に今度は貴方が手を差し伸べてあげてください。あの子からもらった温かさを他の誰かに広めてあげてください」
魔導師「私はこれから…魔王軍の手によって孤児になった子たちを集めて学び舎を開こうと思っています。私は今度はその子たちに魔法使いが私にくれたものを広げていきたいと思っています」
勇者「……」
魔導師「私は…勇者殿にはどうかそのような生き方をして欲しいと願っています」
魔導師殿はそれだけ告げると俺のもとを去っていった。
373 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:49:10.65 ID:3erBllFj0
勇者(俺に…そんなことができるのか?)
勇者(いや、やらねばならぬのだろうな。それがせめてものあいつやねこ、魔導師殿への償いとなるのなら…)
374 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:49:49.14 ID:3erBllFj0
…………
そこから五年の年月が経った。
「うわっ!」
勇者「甘いな弟子。そんなんではいつまで経っても疾風剣技は使いこなせんぞ」
弟子「師匠強すぎますよ〜。あ〜、俺剣技の才能ないのかな〜」
弟子「やっぱり魔法使い目指そうかな?今からでも遅くないですかね?」
375 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:50:42.97 ID:3erBllFj0
勇者「何を馬鹿なことを…大体魔法使いと言ってもいろいろあるだろう。一体目指すと言ってもどの魔法使いを目指すんだ?」
弟子「そりゃあもちろん!勇者様と一緒に旅を共にした伝説の魔法使い様ですよ!」
勇者「…ふっ。お前、その伝説の魔法使いが一体どんな魔法使いだったか知っているのか?」
弟子「そりゃあもう。あの魔導師先生みたいに巨大な炎やら雷撃やらをドッカーンでしょ?」
勇者「全く違うな」
弟子「あれ?じゃあ回復専門だったんですか?」
勇者「そうでもない」
勇者「やつには攻撃魔法の才能も回復魔法の才能もなかった。ましてや強化魔法や戦闘向きの状態異常魔法も使えない」
弟子「えぇ!?嘘でしょう!?」
勇者「ただやつはある非戦闘用の状態魔法だけはかなりの腕前と言えた。今までありとあらゆる魔法使いを見てきた俺だがそのようなものに特化した魔法使いを俺は未だにあいつ以外に知らん」
弟子「え?じゃあ全く新しい魔道を行く人だったってことですか?」
376 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:51:11.85 ID:3erBllFj0
勇者「ああ、やつは…」
勇者「クソ魔道士…」
弟子「え…?」
勇者「いや、馬鹿魔道士だったか?違うな、アホ魔道士か?」
弟子「し…師匠…?」
弟子(あの師匠が…泣いて、る…?)
勇者(おい、ねこ…できるなら教えてくれ。あいつは元気か?)
俺は何とかやってるぞ。
勇者「そうだそうだ。あいつは…」
377 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:51:56.69 ID:3erBllFj0
「えろ魔道士だ」
おわり
378 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga ]:2016/09/28(水) 16:52:54.21 ID:3erBllFj0
これにておしまいです。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
(-ω-)
379 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 16:55:08.72 ID:3erBllFj0
まさか一月以上もかかるとは思いませんでした。
当然途中はダレたし設定もガバガバでぐだりましたがなんとか完結までもっていけました。
途中レスをくださったみなさんのおかげです。
本当にありがとうございました。
380 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/09/28(水) 17:07:16.40 ID:3erBllFj0
ってかこの内容ならこの板でやる必要なかったなって
そういうの期待してた人はすみませんでした
381 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/28(水) 17:07:54.84 ID:F7dLVpwvO
おつ
382 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/28(水) 17:47:05.19 ID:5zZ4HI/UO
せっかく死亡フラグ回避したのに無駄に救いねえな。
胸糞
383 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/28(水) 19:15:11.87 ID:vOvC/+0YO
乙
愛の力で奇跡が起きても良かったのになぁ(泣)
384 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/28(水) 20:40:59.39 ID:T2Rff/aLo
乙
385 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/28(水) 23:30:28.15 ID:TFYmJDL4o
乙
386 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/29(木) 00:36:56.56 ID:aynumZyMo
>>382
ハッピーエンドにならなかったからムナクソって…
387 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage saga]:2016/09/29(木) 08:52:42.43 ID:NQvKlzuKO
胸糞やった好きだったのに
388 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/29(木) 09:13:14.30 ID:1rdMgY39O
一気読みしたけど良かった。乙
これで胸糞だったら、ごんぎつねとか読んだだけで発狂しそうだな
389 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/29(木) 12:49:11.07 ID:K1XkKMbiO
乙
胸糞というか雑で荒いのと勇者様が勇者とは思えないぐらい弱かったのが
390 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/29(木) 17:12:26.37 ID:+bOBNh4CO
乙、ご都合主義な感じじゃないから良いんだろ
胸糞言う奴は主人公=自分みたいに考えて女の子と結ばれてハッピーになりたいのか
391 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/29(木) 18:32:28.64 ID:kRlPSie4o
負のご都合主義って言葉知らないのかな
392 :
◆hs5MwVGbLE
[saga ]:2016/09/29(木) 18:45:51.07 ID:1E/FvlB00
>>1
ですが
7章で勇者が魔法使いの手を握ったとこで魔法使いが精神世界的なところて女神とチラッと出会う的な描写を入れるのを忘れていました
だから8章で「なんだこの超展開」みたいになってしまったので反省したいです
m(-ω-)m
ご都合展開っぽく感じられた方はすみません…
393 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/30(金) 07:16:35.85 ID:bV9nVDH2o
まあネコが居なくなった地点で魔導師もそうならんとしっくりこないよな
だいたいにして最後の女神だってご都合主義みたいなもんだし
394 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/09/30(金) 09:39:25.94 ID:o+VNEeM60
今回も良かったけど僕はウサギのほうが好きだった
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