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魔法使い「え、えろ魔道士です…」
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82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:21:45.39 ID:BrGA9n1y0
「誰が捕まるかい!」
「んにゃー!ぱんつ返せにゃー!」
「おっと!おっと!どいたどいたぁ!」
魔法使い「うわぁ!」
「あいてっ!」
男は鈍臭い魔法使いと激突した。
魔法使い「あぅぅ…」
「おっとすまねぇな嬢ちゃ…ん?」
魔法使い「いえ、大丈夫です…」
さっきまで風の様に街を駆け抜けていたバンダナの男が尻もちをついた魔法使いの前に立ち尽くした。
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:22:37.57 ID:BrGA9n1y0
勇者「?」
「ほ、惚れたぜ!」
魔法使い「ふぇ?」
「すっ、すすすすっげー可愛いなアンタ!惚れたぜ惚れたぜビビッと来たぜ!アンタ名前は!?」
勇者(何なんだこいつは…)
魔法使い「えっ、と、はい?魔法使い…ですけど…」
魔法使いも流石に自分が何を言われているのかイマイチ理解できていない様子だ。
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:23:11.59 ID:BrGA9n1y0
「はぁ、はぁ…追いついたにゃす。もう逃さないにゃす」
そこに肩を上げながら息をするタンクトップにショートパンツの猫耳娘がやって来た。
「おっと、オイラとオイラの運命の女の出会いを邪魔する野蛮な奴め…ここは仕方ない」
「魔法使いちゃん。オイラは手に入れると決めたモンはどんな手を使ってでも手に入れる主義なんだ!オイラはアンタが欲しくなった!また会おうぜ!」
そう言い残すと男は軽々と民家の壁を上がり、屋根の上を駆け抜けて行った。
「すっ、すごっ…ずるいにゃす!ずるいにゃすぅ〜!」
猫耳の娘はもう駄目と言わんばかりに地面に座り込んだ。
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:23:45.16 ID:BrGA9n1y0
「はぁ…にゃーのぱんちゅ…」
魔法使い「な、なんだったんでしょうか」
勇者「さあな。おいそこの女、あいつに何か取られたのか?」
「にゃーのぱんつ取られたにゃ…結構お気に入りの奴だったのに…」
勇者「下着泥棒か?しょうもない小悪党だな」
「お兄さんたちあいつのこと知らないにゃす?」
魔法使い「はい。私たちさっきこの街に訪れたばかりなので」
勇者「この辺じゃ有名な下着泥棒なのか?」
「下着だけじゃないにゃ。あいつは自分が欲しいものは何でも盗む最低の野郎にゃ。その欲ぶかさとあいつの持ってる武器からあいつは針鼠って呼ばれてるにゃ」
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:24:20.94 ID:BrGA9n1y0
勇者「なるほどな」
魔法使い「あの人を捕まえましょう勇者様!」
勇者「随分と燃えてるな」
魔法使い「それはそうですよ!女性の下着を盗むなんて許せません!」
「えぇ!?お兄さん勇者様にゃす!?」
勇者「ああそうだ」
「勇者様ぁ!にゃーからもお願いにゃ!あいつを捕まえて欲しいにゃ!」
勇者(流石に小物相手過ぎる気もするが…)
魔法使い「勿論協力してくれますよね!?」
勇者(鈍臭魔道士が異様にやる気だな。この流れでは断りにくい…)
勇者「ああ。まぁいいだろう」
ねこ「ありがとうにゃす!にゃーはねこにゃす!」
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:24:53.75 ID:BrGA9n1y0
第3章
針の数の欲望
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/08/24(水) 02:25:35.07 ID:4EEKnkijO
やれ...もっとだ...
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:26:18.28 ID:BrGA9n1y0
道具の補充などが終わった俺たちはねこの家に邪魔していた。
ねこ「協力してくれるお礼にゃ、ねこの家に泊まって行くにゃす」
勇者「感謝する。これで宿代を他の分に当てられる」
ねこ「勇者様が協力してくれるなら百人力にゃ!にゅふふふ…針鼠、次ににゃーの下着を取りに来たら命はないと思えにゃ」
勇者「あの男はいつもこんな白昼堂々と活動しているのか?」
ねこ「時間は関係ないにゃ、真夜中に被害を受けたっていう話もあとをたたないにゃ」
勇者「なるほどな。欲しいものを欲しいときに手に入れようというわけか。欲望に忠実な奴だ」
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:27:35.74 ID:BrGA9n1y0
勇者「そうなると狙っての撃退は難しくなるか?」
勇者「ふむ…」
『魔法使いちゃん。オイラは手に入れると決めたモンはどんな手を使ってでも手に入れる主義なんだ!オイラはアンタが欲しくなった!また会おうぜ!』
勇者「いや、そうでもなさそうだな」
ねこ「本当かにゃ!?」
勇者「おい鈍臭魔道士」
魔法使い「はい?」
勇者「今晩一晩中ねこの家の前で立っていろ」
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:28:26.87 ID:BrGA9n1y0
魔法使い「えぇ!?」
ねこ「いったいどういう作戦にゃ!?」
勇者「針鼠の次のターゲットは恐らくこいつ自身だ。こいつを餌にあの男を釣る」
魔法使い「そ、そんなぁ…無茶ですよ勇者様」
ねこ「そうにゃ、だってあいつは魔法使いちゃんが今何処にいるかすら知らないにゃ」
勇者「あいつはどんな手を使ってでも欲しいものは手に入れると語っていた。ここまで名を広げているんだ。たとえ標的が動いてたって関係なさそうだろ」
勇者「それにねこ、安心しろ。こいつ自身は魔法使いを語るにおこがましいお荷物だがこいつの持つ毒は本物だ」
魔法使い「おこがましいだなんて…うぅ、すみませんお師匠様…」
ねこ「毒…?」
勇者「この女は無意識の内に男を誘惑するというとんでもないメス兎だ」
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:29:15.34 ID:BrGA9n1y0
ねこ「それはすごいにゃすね…男の人にモテモテにゃすか?うらやましいにゃす!」
魔法使い「そんないいものではないですよぉ」
ねこ「じゃあ勇者様も魔法使いちゃんのことが好きにゃす?」
魔法使い「!!」
勇者「ふっ、馬鹿にするなよねこ。俺がもう既にこいつの毒に当てられてるならこいつの力を利用しようなどとは思うまい」
ねこ「それもそうにゃすか」
魔法使い「……」
勇者「何を肩を落としている。気に食わん作戦かもしれんがお前に拒否権はないぞ」
魔法使い「いえ、けしてそういうわけではないんですけど…」
勇者「?」
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:30:11.48 ID:BrGA9n1y0
ねこ「…いろいろ大変にゃすね」
勇者「何か言ったか?」
ねこ「いや、なんでもないにゃす」
勇者「そうか、ならこの作戦で…うっ!!」
頭に鋭い痛みがはしりよろめく。
魔法使い「勇者様!?」
ねこ「大丈夫にゃす!?」
勇者「…気にするな。とにかくこの作戦で行くぞ」
勇者(また唐突な頭痛…痛みの発生に何か条件があるのか?)
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:30:56.70 ID:BrGA9n1y0
そして夜が来た。
家の前に魔法使いを立たせて二回の窓から俺とねこで外の様子を伺う。
ねこ「本当にくるんにゃすかね?」
勇者「来ないならその程度のやつということだ」
魔法使い「勇者様ー!もし私が攫われたら助けに来てくださいよぉー!?」
勇者「うるさいぞ餌魔道士!こちらに向かって話を掛けるな!釣れなくなるだろう!」
魔法使い「うぅ…扱いが雑すぎますよぉ…」
ねこ(勇者様本当に魔法使いちゃんのことを女の子と思ってないにゃすね…仲間と思ってるかも怪しいにゃす)
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:31:34.86 ID:BrGA9n1y0
「そんなに釣りたきゃ釣られてやるぜ!」
姿は見えないが突如昼に聞いた声と同じ声が夜の街に木霊した。
魔法使い「ひっ!」
ねこ「本当に来たにゃす!」
勇者「真っ向勝負を挑むか。ただの小物というわけではないようだな」
「沼のヌシを無理やり釣ろうとは思わないことだな!」
針鼠「エサが減っていくだけだぜ!」
下にバンダナをした男の姿が見えた。
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:32:22.86 ID:BrGA9n1y0
勇者(間違いなく昼の男だ!)
魔法使い「きゃっ!んんー!!!」
男は魔法使いに近づいて自分のバンダナを取りそれで手際よく魔法使いの口を縛ると、抵抗する彼女を強引に抱えて走り出した。
針鼠「へっ!そこそこのおっぱいの割に思ったより軽いな。まぁ身長はガキだしこれなら逃げ切れそうだぜ」
魔法使い「んっー!んっー!」
勇者「逃がすか!」
俺は窓から飛び降りると針鼠の後に続く。
ねこ「にゃっ!?ちょっ、ちょっと待つにゃすぅ〜!」
遅れてねこも外に出てきた。
針鼠「いいねぇいいねぇ。愛の逃避行って感じでロマンチックだぜ!」
魔法使い「んんー!」
針鼠「悪いね魔法使いちゃん。落ち着いたら外してやるからよ。ホントは好きな女に酷いことする趣味はねーのさ。許してくれよっ!」
勇者(差が広がるわけでもないが全く縮む気配もない!人一人抱えた状態で俺とほぼ同じ速度で走っているというのか!?)
勇者(あいつも口が防がれているから魔法は使えそうにないな。どうする?)
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:33:00.94 ID:BrGA9n1y0
考えているうちに針鼠は大通りを外れ、小さな路地へ曲がった。
俺も急いで路地へ曲がる。
だがそこは行き止まりで壁しかなく、二人の姿は何処にも無かった。
勇者「なっ、なんだと!?クソッ何処へ消えた!」
とりあえず路地を出て辺りを探すことにした。
勇者「本当に何処にもいない…くそっ!見失ったか…」
ねこ「はぁ、はぁ。やっと追いついたにゃすよ」
勇者「ねこか。針鼠を見なかったか?」
ねこ「え?勇者様が追ってたんじゃなかったにゃす?」
勇者「あの辺りの路地に入ったあとに消えた。あそこには壁しか無かった。一体どうやって身を隠したんだ?」
ねこ「え?壁?」
勇者「そうだ」
ねこ「あの路地は反対側の大通りに繋がっていて壁なんか無いにゃすよ?」
勇者「なんだと?」
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:33:41.45 ID:BrGA9n1y0
…………
針鼠「へっへっへ…茶濁しにしかならないと思っていたが、思ったよりもオイラの幻覚魔法が効いてる効いてる。この辺じゃ見ない顔だったしあの分だとこの辺の道を知らなさそうだな。本当はここに壁なんかねーからな」
針鼠「なんで俺が選ばれたのかはよく分かんねーが魔王様に力を貰ってから絶好調だぜ!」
魔法使い「!!」
魔法使い「んー!んー!」
針鼠「あっ、悪りぃ。苦しかったよな。一旦落ち着いたから外してやるよ。よいしょっと」
魔法使い「ぷはぁっ!」
針鼠「さすがに人一人抱えて走り続けるのは堪えるな。ここらでちょっと休憩するか」
魔法使い「ゆ…ゆうしゃ…もがっ!」
針鼠「おっと。叫ぶのは無しにしてくれよ?叫んだらオイラの得物が黙っちゃいねーぜ?」
魔法使い「ひっ…針…」
針鼠「さっきも言ったろ?あんま魔法使いちゃんには手荒な真似したくねーんだ。勘弁してくれよ?」
魔法使い(うぅ…私に一人で戦えるだけの力があったら…)
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:34:22.31 ID:BrGA9n1y0
魔法使い「…あなたは、魔王の力の一部を受け取った残党なんですか?」
針鼠「んー?なんかよく知らねーがそうなのか?ある日いきなり魔王様を名乗る女がオイラの目の前に来てよぉ。力を与えてくれたんだ」
針鼠「オイラは魔王様にはすっげー感謝してるんだ。魔王様に合わなかったらあんなたいそうな幻覚魔法なんて使えなかったしな」
針鼠「もしこれからアンタと暮らすことが出来たならもっと感謝しなきゃな!」
魔法使い「えっ、私をどうするつもりなんですか?」
針鼠「そりゃあもうオイラのお嫁さんにしたいに決まってるじゃんよ。オイラ真剣にアンタに惚れてるんだ」
魔法使い「えぇ!?…そ、そんなの、困りますよ…」
針鼠「なんでだ?俺といたらアンタの欲しいもんもなんでも手に入れてやるぜ?これから魔法使いちゃんの欲しいもんもオイラの欲しいものになるんだ。それでもダメか?」
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:35:23.74 ID:BrGA9n1y0
魔法使い「だって…私は勇者様と一緒に魔王を倒さないと」
針鼠「さっき叫ぼうとしたので察したけどやっぱりあいつ新しい勇者だったのかい」
針鼠「そんなの最悪あいつ一人に任せときゃいいだろ。それともなんだ?あいつにとって魔法使いちゃんは欠かせない存在なのかい?まぁめちゃくちゃ可愛いしな」
魔法使い「そ、それは…ない、と思います…」
魔法使い(いつもお荷物か囮扱いですし)
針鼠「ふーん。じゃあさ…」
針鼠「魔法使いちゃんはあいつのこと好きなのかい?」
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:36:32.92 ID:BrGA9n1y0
魔法使い「ふぇっ!?しょっ、しょれはでしゅね…」
魔法使い「…よく分からないん、です…勇者様は私をとても雑に扱ってるのに…それでも勇者様はいつもかっこよくて、いつでも死んでもいいはずの私をいつも守ってくれて…偶に少しだけ優しくて…私を見る目がギラギラしてる他の男の人とは違くて」
針鼠「あーもう分かった分かったよ。話聞いてるだけで甘酸っぱ過ぎて唾が出ちまう」
針鼠「でも安心しな。これからはオイラの虜にしてやるからよ。オイラだけの女にしてやる。あんたを、ずっとオイラの隣に置いておきたいんだ」
魔法使い「あぅ…そんな恥ずかしいこと言わないでくださぃ」
勇者「それは困るな」
勇者「そいつには俺にかけた呪いを解く義務がある。それができなければ俺はそいつを殺す。俺がいつでも殺せるようにそいつには俺の隣にいてもらわなければな」
針鼠(やべっ…長居し過ぎたな。幻覚がばれたか?)
102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:37:26.96 ID:BrGA9n1y0
勇者「そこにいるんだろ?ビスペル!」
解呪の魔法を唱えると壁は透けて消え去りそこには魔法使いと針鼠がいた。
針鼠「また追いかけっこの時間かい」
魔法使い「ひゃっ!」
針鼠はまた魔法使いを抱え直すと反対側の大通りに向かって走りだした。
勇者「ねこっ!」
ねこ「んにゃっ!もう逃さないにゃ」
あらかじめもう一方の出入り口に配置しておいたねこを使って挟み討ちにする。
魔法使い「ねこちゃん!」
針鼠「あらら、桃色パンツの猫ちゃんかい。今夜は何色のはいてるの?」
ねこ「い、言うわけないにゃすよ!」
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:38:31.08 ID:BrGA9n1y0
勇者「悪いが今のお前は逃げ場もなく3対1の状況だ。大人しく負けを認めろ。お前が理性を保っていられる内にな」
針鼠「はいはい俺の負けだ。ここは一旦逃げてあとでまた魔法使いちゃんを迎えに行くとするよ」
針鼠は魔法使いを下ろした。
魔法使い「ゆーしゃさまぁ!」
魔法使いが親の迎えが来た子供のようにこちらへ走って抱きついてきた。
魔法使い「ゆーしゃさまぁ…」
勇者「暑い重い離れろガキ魔道士。まだ戦いは終わっていない。俺たちはあいつを逃すつもりはない」
勇者「仮に逃がしたところでまたお前を餌にするだけだがな」
針鼠「本当にクソみたいな男だな。アンタ」
針鼠は何故だかキレ気味に俺にそう言った。
勇者「盗っ人のお前に言われる筋合いはない」
針鼠「魔法使いちゃん。あんた悪い男に騙されてるだけだよ」
勇者「なんの話だ?俺がいつお前を騙した」
魔法使い「そっ、その話は…」
針鼠「じゃあまたな!」
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:39:19.78 ID:BrGA9n1y0
針鼠はねこの方へ走ると数本の針を投げた。
ねこ「にゃーなら通して貰えると思ったにゃすか?」
ねこは針をかわすとすれ違おうとする針鼠の腕を掴んでそのまま壁に叩きつけた。
ねこ「くらえにゃあ!!!」
針鼠「ぶへっ!」
叩きつけられた針鼠はどしゃりと倒れる。
針鼠「ぐほっ…」
魔法使い「強い…」
勇者「思ったよりやるじゃないか」
針鼠「ちっ、とんだ怪力娘だな」
針鼠は鼻血をぬぐいながらよろよろと大勢を立て直して血の混じった唾を地面に吐きつけた。
ねこ「にゃーはこれでも一端の武闘家なのにゃ!なめてると痛い目みるにゃすよ?」
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:40:15.20 ID:BrGA9n1y0
針鼠「いいぜやってやる。魔法使いちゃんにオイラはこいつらより強いってことを証明するいい機会だしな!」
針鼠は両手に何本もの針を持って構える。
勇者「やっと逃げられないことを悟ったか。だがさっきから言っているようにお前はもう終わりだ」
勇者「出番だぞクソ魔道士。更に進化した魔法で奴の理性を破壊してやれ」
魔法使い「は、はい…」
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:40:55.49 ID:BrGA9n1y0
針鼠「なんだい魔法使いちゃんがオイラに止めを刺してくれんのかい?」
魔法使い「……」
『魔法使いちゃん。あんた悪い男に騙されてるだけだよ』
魔法使い(それでも…私は…)
『じゃあお前のアホみたいな寝づらをじっくりと拝んでやるから安心して寝ろ』
『まさか泣き虫クソ魔道士に助けられることになるとはな…礼を言うぞ』
魔法使い(気がつけば勇者様の隣に居たくなってしまってたから…)
魔法使い「ごめんなさいっ!テンタツィオルネ!」
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:41:27.82 ID:BrGA9n1y0
夜の闇の中に桃色の巨大な魔法陣が展開される。
そこから放たれる魔法陣と同じ色をした無数の魔力の糸。
その一つ一つが対象の理性を粉々にする恐ろしき毒。
勇者(っ…)
魔法が放たれる様子を見た俺の身体はまた無意識の内に震えだしていた。
おそらく俺は心の奥底で魔法使いのことを酷く恐れている。
以前よりもさらに彼女に強く当たって見栄を張らなければ彼女とまともに会話もできない程に。
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:42:09.01 ID:BrGA9n1y0
針鼠「くぅっ!なんだなんだ!?」
糸は逃げようとする針鼠を追って絡みつき、やがて針鼠の身体中に吸い込まれていった。
針鼠「くっ…うぐぁ…なんなんだ…?」
ねこ「にゃ、にゃにが起こったのにゃ!?」
勇者(さぁ、その狂った眼差しをクソ魔道士に向けろ)
魔法使い(自分で使っといてなんですけどこれ本当にただじゃすみませんよぉ…)
針鼠「はぁ…はぁ…」
勇者(さぁ!)
109 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:42:50.04 ID:BrGA9n1y0
針鼠「ん?なんだ…?何ともないぞ?」
魔法使い「え!?」
勇者「なんだと!?」
ねこ「にゃ?」
勇者「そ、そんなはずは…奴の理性は完膚なきまで砕かれるはず…」
勇者「おい手抜き魔道士!攫われて奴に情が移ったか!?」
予想外の事態に平静を保てずに取り乱す。
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:43:34.22 ID:BrGA9n1y0
針鼠「ま、マジか!?オイラ嬉しいぜ!」
魔法使い「えぇ!?手なんか抜いてませんよぉ〜!」
勇者「くそっ、なぜこいつの誘惑魔法が」
勇者(奴の対魔法耐性が高いようには見えんが)
針鼠「はっ、何かと思えば誘惑魔法だと?そんな物が今のオイラに効くわけないだろうが!」
針鼠「今のオイラはもう既に心から魔法使いちゃんに惚れてるんだ!これ以上ないってくらいにな!」
勇者(奴の恋愛感情が魔法による魅了を遥かに超越しているということか!?一体奴の目に魔法使いはどう映っているんだ…)
ねこ「何かよく分からにゃいけどとりあえず普通に闘うしかないってことにゃすね!」
勇者「仕方あるまい。役立たず魔道士、もうお前は用済みだ。下がっていろ」
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:44:19.76 ID:BrGA9n1y0
魔法使い「え…そんな…」
針鼠「2対1になるのか?楽になるし魔法使いちゃんも傷つけずに済むしラッキーだぜ」
針鼠「来いよ!仕切り直しといこうぜ!」
勇者「うおおおお!」
ねこ「にゃー!!!」
俺とねこで二人同時に攻め立てる。
それに対して二方向同時に針を投げる針鼠。
針鼠「よっ!」
勇者「甘い!」
ねこ「何回投げても当たらないにゃす!」
俺は剣で針を叩き落としねこはかわしながら走る。
針鼠「やっぱ簡単にはやられてくれねぇか」
針鼠は跳躍し、隣の壁を蹴るとその勢いでまた目の前の壁を蹴りそれを繰り返してどんどん上へと上がっていく。
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:44:53.84 ID:BrGA9n1y0
勇者「とんでもない身体能力だな」
ねこ「ずるいにゃす!」
針鼠「これで建物の屋上まで行けたら上に逃げることもできたのにな…流石にこの高さはキツイな…」
針鼠「魔王様の力の一部!とくと味わいな!」
針鼠は上に上がるのをやめると宙を舞い、上から大量の針をばら撒いた。
勇者「奴も魔王の残党だったのか…!?」
ねこ「にゃにゃにゃ!危ないにゃすぅ!」
雨のように降り注ぐ針に俺たちはそれぞれかわすことに集中するしかない。
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:45:37.65 ID:BrGA9n1y0
ねこ「やっと落ち着いたにゃす。あいつは…いたにゃす!くらえにゃ!」
ねこは思いっきり力を入れた拳を振るった。
勇者「ぐあっ!」
…俺に。
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:46:18.49 ID:BrGA9n1y0
ねこ「あれ!?勇者様だったにゃ!」
勇者「ぐっ…はっ…ね、ねこ…どうしたんだ…」
ねこ「ご、ごめんにゃ!にゃーには針鼠に見えたんだにゃ!」
勇者(幻覚魔法か!やられた!)
針鼠「仲間割れなんかしてる暇あんのか?」
ねこ「にゃっ!?」
針鼠がねこの背後から彼女の首めがけて針を刺そうとしていた。
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:47:37.38 ID:BrGA9n1y0
勇者「ねこ!」
まだ痛む身体を無理やり立たせてねこに飛び込む。
ねこ「勇者様!」
勇者「ぐあああ!!」
ねこを抱き寄せ庇った俺の背に何本もの針が突き刺さる。
針鼠「ちっ、もうちょいで一人消せると思ったけど…やるな」
魔法使い「勇者様ぁ!」
勇者「くるな!今お前が攫われたら何もかも水の泡だ!」
こちらへ走って来ようとする魔法使いを怒鳴って止めた。
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:48:12.53 ID:BrGA9n1y0
魔法使い「うぅ…」
ねこ「そ、そんにゃ…にゃーを庇って…」
勇者「ねこ…これは俺たちが引き受けたお前からの依頼だが、奴はどうやら魔王の残党だ。本来ならば俺たちだけで解決しなければならない」
勇者「俺たちはお前を巻き込んで傷つける訳にはいかないんだ」
勇者(まだギリギリ闘れそうか…いや、闘らなくてはな)
身体を奮いたたせ立ち上がり針鼠に向けて剣を構える。
勇者「ねこ、俺たちがお前を守る」
ねこ「ゆうしゃ…さま…」
勇者「そこで見ていてくれ」
117 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:48:55.41 ID:BrGA9n1y0
魔法使い(私…何もできてないや…)
魔法使い(こんなんじゃ…勇者様の隣に居られない!)
針鼠「その傷でタイマンを挑むってか?真っ向から戦っても勝てそうだぜ。まずアンタから仕留めてやるよ勇者様!」
勇者「負けるつもりはない」
互いに向き合い同時に動き出す。
両手に二本の針を持って俺に刺そうとする針鼠、剣を振り上げ針鼠を斬ろうとする俺。
いち早く一撃を入れた方が勝つ。
そんな勝負だったのだが…
勇者(くそっ…)
残ってたダメージが響き足元がぐらつく。
118 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:49:29.39 ID:BrGA9n1y0
針鼠「もらったぁぁぁぁぁ!!!」
魔法使い「勇者様は殺させませんっ!」
針鼠(魔法使いちゃん!?)
勇者(クソ魔道士!?)
俺と針鼠の間に魔法使いが両手を広げて割って入った。
魔法使いに向かって針鼠の針が鋭く光る。
ねこ「あぶないにゃーーーー!!!!」
119 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:50:48.90 ID:BrGA9n1y0
針鼠「くっそぉ!」
針鼠がギリギリのところで手を止めた。
勇者「…すまんな」
その針鼠の一瞬の動揺を見逃すことなく針鼠を剣で貫いた。
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:51:32.51 ID:BrGA9n1y0
針鼠「がはっ…なん…で…」
魔法使い「…ごめんなさい。でもあなたのおかげで気づくことができました。私は…」
魔法使い(勇者様のことが…)
針鼠「はは…もう、いい。それだけ聞けりゃあ…十分、だ」
針鼠「このオイラでも…手に入れられないもんがあったなんて…な…」
針鼠はそう言い残すと息絶えた。
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:52:10.57 ID:BrGA9n1y0
勇者「……」
俺は普段から真剣な命のやり取りに正当なやり方もクソもないと思っているが、今回ばかりはあまりにも卑怯な勝ち方をしてしまったと針鼠に心の中でもう一度謝罪をした。
だが彼の亡骸を見るとなぜだろうか。
少し満足気に笑ってるようにも見えた。
俺の中の卑怯な心が少しでもこの闘いの結末を正当化するためにそう見せてるだけかもしれんが…。
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:53:14.92 ID:BrGA9n1y0
勇者「はぁ…またお前に…助けられたな…」
俺も限界を迎え地面に膝を着く。
魔法使い「勇者様ぁ!」
ねこ「勇者様!」
前に倒れこむ俺を魔法使いが胸に抱きかかえた。
勇者(普段は荷物と囮にしかならんような奴だが…なかなかどうして、いざとなったときは憎めん奴だ…)
何故か少しだけ頭痛が晴れたような気がした。
勇者(本当に、恐ろしい奴め…)
そこで意識が途絶えた。
123 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/08/24(水) 02:53:16.17 ID:iCEks8Iu0
支援
124 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:54:18.71 ID:BrGA9n1y0
…………
勇者「ここは…ねこの家か?」
魔法使い「勇者様!」
ベッドの上で目が覚めるといきなり魔法使いに抱きつかれた。
勇者「離れろ。傷口が開く」
勇者(っ!また頭痛か…やはり治ったわけではなかったか…)
魔法使い「だってぇ…」
ねこ「あっ!目が覚めたにゃす!?」
勇者「ねこが応急処置をしてくれたのか…助かった。あとは俺の回復魔法でなんとかなりそうだ。世話になった。明日には出発する」
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:54:48.65 ID:BrGA9n1y0
ねこ「また魔王とその残党って奴らを倒しにいくにゃ?」
勇者「ああ…魔王は四年前に各地で目撃されている。そのときに一部の素質ある奴らに力を分けて回ったそうだ。何が目的かは知らんが…」
勇者「針鼠もその一人だったということはここにも訪れたことがあるということだな」
ねこ「その話だけどにゃーもしかしたら四年前にその魔王に会ってるかもしれないにゃ」
魔法使い「えぇ!?」
勇者「それは本当か!?」
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:55:59.50 ID:BrGA9n1y0
ねこ「なんか寝ぼけててよく覚えてにゃいんだけどにゃーが寝てるときにいきなり窓から黒い人影が来て魔王って言ってたような気がするにゃす」
ねこ「そのときは変な夢を見たにゃって思ったんだけどもしかしたら夢じゃなかったかもしれないにゃす」
勇者「そのときは大丈夫だったのか?」
魔法使い「魔王に何もされなかったんですか!?」
ねこ「うーん。何かされたようにゃされなかったようにゃ…」
勇者「何もかもが曖昧だな」
ねこ「だからそれが知りたいからにゃーも旅に同行させて欲しいにゃす!」
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:56:49.74 ID:BrGA9n1y0
魔法使い「え!?」
勇者「なるほどそういうことならいいだろう。お前の実力は昨晩しっかりと目にしたしな」
勇者「ちょうど対魔法耐性の高い相手や俺たちの戦術が効かない相手に対してこれからどう戦おうか悩んでたところだ。俺自身が強くなることも大切だが仲間が増えるならもっと心強い」
ねこ「決まりにゃーね!これからよろしくにゃ!魔法使いちゃん!勇者様!」
何を思ったのかねこまで俺に抱きついてきた。
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 02:57:31.04 ID:BrGA9n1y0
勇者「…どうした」
ねこ「にゅふふふ。仲間の間のスキンシップは大切にゃす」
魔法使い「あぅ…」
魔法使い「私の必要性が…」
勇者「お前はさっさと呪いを解く方法を見つけろ」
魔法使い「はぃ…」
勇者(まぁ神父が方法を知らなかっただけで俺自身の力でなんとかする方法が見つかれば一番楽なのだが…こいつの無駄に高い魔力を超える程の対魔法耐性を今から身につけるのは難しい)
129 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/08/24(水) 03:02:00.77 ID:O+XgQlxq0
人外娘がライバルか…
魔法使いちゃんには頑張って欲しい
130 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 03:03:05.76 ID:BrGA9n1y0
勇者(針鼠はこいつに心から惚れこんだことによって誘惑を無効化したが…)
魔法使い「勇者様…?」
勇者(俺もそうしたらこの呪いが解けたりするのか?)
魔法使い「あの…しょ、しょんな…じっと見られたら…」
勇者(はっ、馬鹿馬鹿しい。…まさかな)
勇者「帽子が変な位置になってたから気になっただけだ」
魔法使いの目が隠れるくらい上から深く彼女に帽子をかぶせた。
魔法使い「あうっ、もっと変な位置にしてるじゃないですかぁ〜」
勇者「お前にはそれくらいが似合っている。ずっとそうしていてもいいぞ」
ねこ「あー!にゃー抜きのスキンシップはずるいにゃす!ずるいにゃすぅ!」
勇者「お前はさっきから何をいってるんだ」
131 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/24(水) 03:06:17.74 ID:BrGA9n1y0
なんかけっこう間でレスついてて嬉しいです
今回はここまで
(-ω-)
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/08/24(水) 03:08:16.75 ID:O+XgQlxq0
乙
次も期待してる
133 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/08/24(水) 03:13:05.01 ID:6AqyqpsKO
乙です
134 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/08/24(水) 03:44:53.48 ID:zXuMVege0
乙
135 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/08/24(水) 06:54:31.85 ID:6iJBcNSTo
乙!
136 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/08/24(水) 11:47:35.18 ID:rmiRgWKqO
一発ヤっちゃえば解呪されるんじゃないの(ゲス顔
137 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/08/24(水) 11:52:31.31 ID:AxO8axzu0
えろという割に魅了だけで特にエロい魔法使ってない件
138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/08/24(水) 12:43:06.63 ID:L32kPUneO
おつ
139 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/08/24(水) 16:27:26.96 ID:ge16O4e3o
ラストにすっごいの持ってきてくれるから
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/08/24(水) 18:26:13.11 ID:WldyIJMU0
その顔文字には見覚えがありすぎて困る
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/25(木) 19:06:26.12 ID:+17uPrZ30
頑張れ♡
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:36:48.65 ID:IWdDFovF0
俺たちはねこの家を出て次の村を目指す。
次の村は俺に剣術を教えてくれた師匠がいる場所でもあった。
勇者「ふっ!」
ねこ「とにゃー!!!」
ファング1「ギャインッ!」
ファング「クォン…」
ねこ「どーんなもんだにゃん!」
新しく仲間に加わったねこはとても頼りになっている。
雑魚との戦闘もより迅速に終わるようになった。
勇者(それに比例して…)
魔法使い「え、えへへ…お、お疲れ様です…」
勇者(奴の出番は殆どなくなったが…)
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:37:45.50 ID:IWdDFovF0
勇者「行くか」
ねこ「ゴーゴーにゃす!」
魔法使い「はぁ…」
魔法使い(もう本当に私に出来ることは魔法を解く方法は探すことだけなのかな)
魔法使い(でも勇者様にかけた魔法を解けば攻撃魔法を使えない私は勇者様と一緒にいられなくなってしまう…)
魔法使い「うぅ…」
勇者「のろのろ歩くな薄鈍魔道士。置いて行くぞ」
魔法使い「は、はい!」
奴自身も最近コンディションがあまりよくないのかため息ばかりだ。
勇者(こんな奴のどこをどう好きになれと?)
勇者(針鼠も所詮は他の男共同様に毒に当てられてただけか。奴には少々毒が馴染みすぎたと考えるのが妥当な気がしてきたな)
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:38:16.15 ID:IWdDFovF0
ねこ「ゆーっしゃさまっ!何か考え事にゃす?にゃーが相談にのるにゃすよ」
勇者「気にするな。何でもない」
ねこ「そーにゃす?にゃーはいつでも勇者様の味方にゃ!気が向いたらいつでも相談して欲しいにゃす」
勇者「それは助かる。礼を言うぞねこ」
ねこ「にゅふふ〜。どーいたしましてにゃす〜」
魔法使い(ねこちゃん、すごいな〜)
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:38:52.46 ID:IWdDFovF0
勇者「懐かしいな。何も変わっていない」
そこは、かつて俺が師匠と寝食を共にした村。
勇者「宿を取ったら少し師匠に挨拶をしに行っても構わんか?」
魔法使い「え?ここに勇者様のお師匠様がいるんですか?」
勇者「言ってなかったな。ここは俺が昔この身を置いて修行した場所だ」
ねこ「ぜんぜんいいにゃすよ。にゃーも勇者様のお師匠様見てみたいにゃす」
宿を取った俺たちは師匠のいる家へ向かった。
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:39:35.63 ID:IWdDFovF0
勇者「師匠!居ますか?俺です。勇者です!」
家の前で挨拶をするとゆっくりと扉が開き、中から師匠が出てきた。
師匠「おおっ!勇者じゃねーか!風の噂で聞いたぜ。お前女神様に選ばれたそうじゃねーか」
勇者「はい。今はこちらの二人と共に魔王城を目指して旅をしています」
魔法使い「は、はじめまして…」
ねこ「よろしくですにゃん」
俺の後ろで二人が軽くお辞儀をした。
師匠「おうおうおう。可愛い娘たちじゃねーか!」
魔法使い(勇者様がお堅い性格なのはお師匠様の影響もあるのかと思ってたんですけどまるで正反対の性格ですね…)
師匠「まぁそんなとこに立ってねーで中に入ってくれや。コーヒーいれてやるよ」
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:40:17.14 ID:IWdDFovF0
師匠の家ではこれまでの冒険、戦った敵のことなどを話した。
師匠は時には笑い、時には真剣に話を聞いてくれた。
勇者(…師匠なら馬鹿げた俺の相談にものってくれるだろうか)
勇者「ねこ」
ねこ「はいにゃ」
勇者「悪いがそいつと一緒に先に宿に戻ってくれ。俺はもう少し師匠と話していたい」
ねこ「りょーかいにゃ」
魔法使い「はい…」
ねこと魔法使いが部屋を出たのを見送ってから俺は師匠の方へ向き直った。
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:40:56.66 ID:IWdDFovF0
師匠「なんか悩み事か?そういう顔してんぜ?」
勇者「!」
勇者「相変わらずなんでもお見通しというわけですか」
師匠「いんや。どんな悩み事かまでは分かんねぇけどよ」
師匠はコーヒーカップを手に取りながらそう言った。
勇者「実はですね…その…」
勇者「どうやったら、まったく興味のない女のことを好きになれますか?」
師匠「ブファッ!ゴホッ!ゴホッ!」
師匠は口に含んでいたコーヒーを盛大に床に吹き出してしまった。
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:41:58.82 ID:IWdDFovF0
勇者「師匠!?す、すみませんなんでもありません!馬鹿げた質問でした。今のは忘れて下さい」
師匠「いやー、ハッハッハッ。まさか堅物のお前の口からそんな話が聞けるとはな」
師匠「気にすんな。俺はお前に剣術を教えたがだからって別に『剣術の師匠』ってわけじゃあねぇ。弟子の相談なら剣術だけじゃなくて今日の晩飯だろうが色恋沙汰だろうが聞いてやるよ。それが師ってもんだ」
勇者「師匠…」
俺はコーヒーを台拭きで拭きながらそう言う師匠の言葉を聞いて、改めて俺の師がこの人でよかったと思えた。
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:44:10.37 ID:IWdDFovF0
勇者(やはり師匠に相談してよかった…)
師匠「で?どっちなんだ?」
勇者「はい?」
師匠「あの猫耳の元気っ娘の方か?それとも魔法使い風の格好したえっちなうさ耳遊び人の嬢ちゃんの方か?」
勇者「…一応あいつは魔法使いなんですが」
勇者(いや戦闘に殆ど参加してないから遊び人でも間違ってないか)
師匠「そうなのか。変わった格好してるな。まぁ俺なら…どっちも捨てがたいが僅差で魔法使いちゃんの方だな。やっぱあの格好は反則だぜ。それにおっぱいもなかなか…」
その後3分ほど師匠から見た魔法使いの話を聞かされた。
勇者(師匠の好みの話になってるな…)
師匠「で?改めてお前はどっちのことで相談しようとしたんだ?」
勇者「その魔法使いの方ですが…」
師匠「だよなぁ!お前なら分かってくれると思ったぜ!さすが俺の弟子!」
俺の肩に豪快に笑いながら腕をかける師匠。
…重い。
勇者(…さっきのは訂正だな。やはりやめておけばよかった)
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:45:18.87 ID:IWdDFovF0
師匠「あれ?でもお前さっき『まったく興味のない女を』つってたよな」
勇者(とは言っても師匠も既に俺の話に乗りかかってしまっているし…ここから話を打ち切るのは無理そうだな)
そこから俺は本題に入り師匠に魔法使いが普通の魔法使いではないこと、俺に魔法をかけたこと、それが原因の不治の頭痛のこと、彼女に好意を持つことでその頭痛を治せるかもしれないことを語った。
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:46:19.42 ID:IWdDFovF0
師匠「話は大体理解した。だがお前は魔法使いちゃんにまったく興味がないというわけだな」
勇者「はい」
師匠「まぁ、なんだ…女の子を好きになるってのは努力するもんじゃねぇ。ちょっと意識して見れば勝手に好きになっていくもんだ」
師匠「特に可愛い女の子に対してはな。男ってのはそれくらい単純な生き物だ。あれくらい可愛い子だったら逆に一瞬でも全く好きにならない方が難しいだろ」
師匠「…お前、男の方が好きとかじゃないよな?」
勇者「そ、そんなことはないと思います!」
今まではただひたすら強くなること、そして今は魔王を倒すことに集中していたから女に興味が無かったというだけでさすがにそんなことはないと思う。ないと思いたい。
師匠「ならさ、なんかあるんだろ?彼女自身の容姿や性格に関係ないところに、彼女のことを好きになれない理由が」
勇者「!!」
それがあるとしたら、俺の魔法使いへの殺意と恐怖…か。
だが確かにその二つは彼女の持つ『力』に対しての感情だ。
師匠「その反応なら何か心当たりがあんだろ。そういうの一旦全て無しにして彼女を見てみろ。何か変わるかもしれんぞ」
勇者「努力…してみます」
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:47:07.83 ID:IWdDFovF0
師匠「あー、初々しくていいなぁオイ!」
勇者「なっ、こ、これは頭痛を無理やり治すために仕方なく試みてみることであって俺は別にあいつのことは…」
師匠「あーはいはい。分かってる分かってるって」
師匠「とまぁ冗談はここまでにしておいてと」
師匠はへらへらとした顔つきをやめ、急に真剣な眼差しとなった。
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:47:50.79 ID:IWdDFovF0
…………
魔法使い「はぁ…」
ねこ「なんか元気ないにゃすね。早く宿で休むといいにゃす」
魔法使い「いや大丈夫です。あっ、私少しそこの川で涼んできますから、ねこちゃんは先に宿に入っててください」
ねこ「分かったにゃす」
魔法使い「それではまた後で…」
ねこ「……」
ねこ「魔法使いちゃん!」
魔法使い「はい?」
ねこ「あまり思い詰めちゃだめにゃすよ?」
魔法使い「えへへ…ありがとうございます」
155 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:48:33.38 ID:IWdDFovF0
魔法使い「綺麗な川だなぁ…」
魔法使い(あっ、私の顔が映ってる…)
魔法使い(酒場のお姉さんも顔だけはいいって言ってくれてたけど…勇者様は私の顔どう思ってるのかな…)
魔法使い(やっぱり嫌いなのかなぁ。そんなんじゃみんながいいって言ってくれても意味ないよ…)
魔法使い(もしもう一度勇者様に魔法を使ったら、もっと私のこと女の子として見てくれるのかな…なんて)
魔法使い(そんなわけないよね。きっと殺されちゃう。やっぱり攻撃魔法を使えるようになる以外で私が勇者様の隣に居られる方法なんてないんだ)
魔法使い「ぼ、ぼむふぁいあ〜」
魔法使い「ぼむふぁいあ〜!!!!」
魔法使い「だめですね…はぁ…」
「すっごいため息。お姉ちゃん疲れてるの?」
魔法使い「え?」
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:49:12.34 ID:IWdDFovF0
「くまと一緒におやすみ、しよ?」
魔法使い(熊のパーカーの女の子?)
くま「くまねー、いいとこ知ってるの。みーんなそこでおやすみ中。お姉ちゃんもくまと一緒におやすみしよ?おやすみしたら、嫌なことぜーんぶ忘れて、幸せになれるよ」
魔法使い「えーっと…」
くま「だめ?お姉ちゃんくまと一緒ヤダ?」
魔法使い「そ、そんなことはないんだけど…」
くま「うっ…うぅ…」
魔法使い「え?あれ?な、泣かないで!」
魔法使い(どうしよう)
『あまり思い詰めちゃだめにゃすよ?』
魔法使い(そうだよね。ちょっと休憩しよっかな)
魔法使い「そ、それじゃあ私もその場所に連れて行ってくれるかな?」
くま「いいの!?やったー!!!」
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:49:53.25 ID:IWdDFovF0
…………
勇者「はい?」
師匠「今度は俺の方の相談に乗ってもらっていいか?」
勇者「はい。お力になれることがあれば」
師匠「実は二日くらい前から村の住民が行方不明になる事件が相次いでいるんだ」
師匠「なんでも森に入ったっきり帰って来ないという人が後を絶たない」
勇者「…魔王の残党の仕業ですか?」
師匠「かもしれん」
師匠「俺も森の入り口付近は探索したんだが特に変化は見られなかった。奥に何かありそうだと見ているが奥に行っている間に村の方で何も起こらないとも限らない。そこでお前には村の護衛を頼みたい」
勇者「はい。承知しました」
師匠「今日はとりあえず長旅の疲れをしっかりと癒せ。明日俺が森の奥へ向かっている間、頼んだぞ」
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:51:42.42 ID:IWdDFovF0
第4章
夢の中で臨むもの
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:53:38.53 ID:IWdDFovF0
ねこ(あれ?魔法使いちゃん遅いにゃすね。少し様子をみてこようかにゃ)
ねこ(確かこっちの川に…いないにゃす…)
ねこ(足跡?まだ新しいにゃす。これはもしかして魔法使いちゃんの足跡かにゃ?)
ねこ(追ってみるにゃす)
ねこ(にゃ…?なんかだか霧が深くなってきたにゃ…)
「お姉ちゃんも一緒におやすみする?」
ねこ「にゃっ!?誰にゃ!?どこにいるにゃす!?」
ねこ「ん…あ、れ…おかしいにゃ…なんだかだんだん眠たく…なっ、て…」
ねこ「にゅん…」
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:54:09.51 ID:IWdDFovF0
勇者(寝る前にあいつらに明日の予定について話しておかんとな)
二人のいる部屋の扉を叩く。
勇者「おい。まだ起きているか?明日の予定について話がある」
勇者「……」
10秒ほど待つも返事がない。
勇者「どっちも寝ているのか…?」
少し扉を開けてみて隙間から確認する。
勇者「いない?あいつら一体何処へ」
宿を出て外を見て回るも二人の姿はどこにも見当たらない。
161 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:54:48.57 ID:IWdDFovF0
勇者「すまん。猫耳の女とふざけた格好の魔法使いを見なかったか?」
村人「んー。知らないねぇ」
村人2「なんだなんだ?また神隠しか?」
村人「またかい。怖いねぇ…」
勇者「神隠し…?」
『実は二日くらい前から村の住民が行方不明になる事件が相次いでいるんだ』
『なんでも森に入ったっきり帰って来ないという人が後を絶たない』
勇者(まさか!!)
勇者「情報提供感謝する!」
162 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:55:30.65 ID:IWdDFovF0
勇者(二人とも森の中か!?)
急いで森の中へと入っていく。
しばらく走っていると妙に霧の濃いところ着いた。
勇者(周りがあまり見えないな…)
「お兄ちゃんもおやすみしよ?」
勇者「誰だ!?出てこい!」
「こわいよ。お兄ちゃんもおやすみしたら穏やかな気持ちになれるよ?」
勇者「うっ…な、なんだこれは…急に眠たくなって…催眠魔法か?」
勇者「ビスペル!」
睡魔を追い払うために解呪の魔法を唱えると俺の眠気が消え去ると同時に霧も全て消え失せた。
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:56:48.72 ID:IWdDFovF0
勇者(この霧全体が催眠魔法でできていたのか)
くま「なんで?なんでお兄ちゃんそんなことするの?」
霧が晴れるとそこには熊のパーカーを着た子供が立っていた。
そして周りには…
勇者(これは!?)
かなりの人数の人間が眠っていた。
恐らく行方不明となっていた村人たちだろう。
その中には魔法使いとねこもいる。
164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:57:31.00 ID:IWdDFovF0
勇者「ただの子供…ではなさそうだな」
くま「お兄ちゃんもみんなと一緒におやすみしようよ。幸せになれるよ?ほら、みんな幸せそうな顔してる…」
ねこ「んにゃ…」
魔法使い「ゆうしゃ…しゃま…むにゃ…」
勇者「おいねこ!居眠り魔道士!起きろ!」
しゃがんで地面に転がる魔法使いの頬を叩くも寝言を言うばかりで起きようとしない。
勇者「くそっ!ビスペル!」
試しに解呪を試みるも起きない。
かなりの魔力の催眠魔力がかかっている。
くま「無駄だよ。今はお姉ちゃんもきっとすっごい幸せな夢をみているよ」
勇者(くっ、これでは眠る前に対処しなければ効果が期待できそうにないな)
165 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:58:16.97 ID:IWdDFovF0
魔法使い「ゆうしゃさまぁ…」
眠っているはずの魔法使いに急に抱きつかれ押し倒された。
勇者(寝ぼけているのか?)
勇者「おいふざけるな寝ぼけ魔道士!離れろ!」
魔法使い「えへへ〜ゆーしゃさまぁ…ぎゅーってして…ぎゅーって…」
勇者「は…?」
くま「ほら、お姉ちゃん。幸せなそうでしょ?でももしかしたらお兄ちゃんが魔法かけちゃったせいで中途半端に起きてるのかもね」
166 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 04:58:45.61 ID:IWdDFovF0
魔法使い「えへへ…だいしゅき」
勇者「なっ!何を言ってるんだお前は!」
魔法使い「てんぷてーしょん」
勇者(誘惑魔法!?こいつっ…!)
魔法使いが使える誘惑魔法の中では最軽量のものだが彼女の魔力ならもう既に一度誘惑魔法をかけられている俺には十分すぎる。
勇者「ビ、ビスペ…んぐっ!?」
解呪しようとしたところで魔法使いの口によって俺の口は防がれた。
167 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 05:00:05.27 ID:IWdDFovF0
魔法使い「んっ…んちゅ…んぁ…ぷはっ」
柔肌をすりつけ俺の全身を撫でながら吸うように俺の唾液を舌で舐めとる。
勇者「ぷはっ…はぁ…はぁ…お前…こんなことをしてただで済むと思うなよ?」
振り絞る理性でなんとか抵抗する。
やはり誘惑に抗うことの代償なのか頭痛もかなりのものになっている。
だが逆にこの痛みが今の俺を踏みとどまらせてくれてるのかもしれない。
168 :
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[saga]:2016/08/28(日) 05:00:53.07 ID:IWdDFovF0
魔法使い「えへへ…ぷれじゃ…」
いつもなら脅せば泣いて謝る魔法使いだが泣くどころか微笑んでから何やら魔法を唱えた。
勇者(…なんだ?)
勇者「んっ!?」
またも唇を奪われる。
魔法使い「んちゅ、ちゅる…んっ」
勇者(なんだこれは…)
さっきとは段違いの快楽が襲いかかってくる。脳が…溶かされるようだ…。
勇者(もしかしてさっきのは快楽を上昇させる魔法なのか?)
169 :
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[saga]:2016/08/28(日) 05:01:50.83 ID:IWdDFovF0
くま「わわっ…お姉ちゃんダイタン…」
魔法使い「ぷはっ…しゅき…もっと…もっ…と…んっ…すぅ、すぅ…」
勇者「…寝たか。何が『寝相には自信がある』だ最悪だったぞ。くっ、ビスペル!」
勇者「はぁ、くそっ…はぁ…呪いがさらに酷くなりそうだ」
上に乗っかる魔法使いをどかして立ち上がる。
魔法使いがもう少し寝ぼけていたら俺の理性は完全に破壊されていたかもしれない。
考えただけでまた恐怖で身体が震える…
170 :
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[saga]:2016/08/28(日) 05:02:59.10 ID:IWdDFovF0
だが…
勇者(今こいつが見ているであろう夢はあの催眠使い曰くこいつにとっての幸せの夢)
勇者(なら、あれがこいつの心の底で望んで求めているものだとでも言うのか?)
『…だいしゅき』
勇者(あの戯言も本気なのか?)
くま「お兄ちゃんも分かったでしょ?みんなおやすみしてた方が幸せなんだよ」
勇者(いや、今はそんなことはどうでもいい。目の前の撃つべき敵に集中しろ)
くま「お兄ちゃんもさ、くまと一緒におやすみしようよ」
勇者「ふん、お断りだな。そのお前と一緒というのはどういう意味だ?一緒という割にはお前は寝てないようだが…寝ている連中から魂でも吸い取るのか?」
くま「…違うよ。ずっとくまとお友達になるだけ。永遠の幸せの中でくまと一つになるだけだよ」
勇者「図星だな。いい加減そんな似合わない少女の姿はやめて本性を現したらどうだ」
くま「…なんかお兄ちゃん嫌い。いいよ、おやすみしなくても魔王様の力でくまのお友達にしてあげる」
勇者(残党か…)
171 :
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[saga]:2016/08/28(日) 05:03:30.05 ID:IWdDFovF0
くまの周りに黒い影が現れて彼女を包んだ。
やがて黒い塊から出てきた彼女の姿は先ほどまでの少女のような可憐さなど微塵にも感じさせない大熊だった。
くま「グオオオオオオ!!!」
勇者(昔書物で読んだことがある。その大熊の魔獣は人の姿に化けて人間を眠らせ、その魂を喰らうという。一つの村に目をつけ、その村の住人がいなくなるまで魂を喰らい続け、また次の村を求めて徘徊する。まさか本当に存在したとはな)
勇者「来い!」
くま「グラァォ」
172 :
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[saga]:2016/08/28(日) 05:04:10.67 ID:IWdDFovF0
迫ってきたくまの大振りの爪攻撃を伏せてかわす。
俺の後ろにあった木に爪が当たり木の上部は一瞬にして木片となった。
勇者「ほう…一撃必殺というわけか。だがそんな攻撃は俺には当たらんぞ」
大振りで隙ができたくまの足元にすかさず一太刀入れる。
くま「グ、グルゥ…」
股の間をくぐり抜け後ろから背にもう一撃。
くま「グゥッ!」
勇者「遅い!」
とっさにこちらに向き直るくまの胸を斬りつける。
173 :
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[saga]:2016/08/28(日) 05:04:49.02 ID:IWdDFovF0
勇者「師匠直伝の疾風の剣技にて早々に葬ってやろう」
くま「グゥラアアアアアア!!!!」
勇者「なんだとっ!?くそっ!」
手応えはあったはずだがくまは怯むことなく俺を抱え込んだ。
くま「アアアアアアアアア!!!」
勇者「離せ!」
大きな野生の両腕は俺を軽々と持ち上げてがっちりと拘束し離そうとしない。
浮いた足でくまの腹部に蹴りを入れるも斬撃と違い全く効果がないようだ。
174 :
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[saga]:2016/08/28(日) 05:05:22.13 ID:IWdDFovF0
くま「ガルラァ!!!」
俺の背にメリメリと爪が食い込んでいくのが分かる。
勇者「ぐあああああああああ!!!」
勇者(まずいっ!このままでは!)
「それっ!」
くま「グシャアアアア!」
突然くまの片腕が吹き飛び拘束から解放され地に膝を着く。
勇者(!?)
師匠「勇者〜!生きてるかぁ〜?」
勇者「けほっ!けほっ!師匠!」
175 :
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[saga]:2016/08/28(日) 05:06:02.35 ID:IWdDFovF0
師匠「今日の夜に何かあってもいけねーから村の見回りをしてたんだ。ったらよ、お前が森に走っていくのを見たって人がいたもんで探しに来たんだ。間に合ったようで良かったぜ」
勇者「あ、ありがとうございます。不甲斐ない所を見せてしまいましたね…」
師匠「いいってことよ。まだ闘れるか?」
勇者「はいなんとか…」
回復魔法を使いながら立ち上がる。
くま「ガァルルルル…」
師匠「こうしてデカイヤツ相手に二人で囲むとなんだか昔を思い出すなぁ勇者!」
勇者「そうですね」
師匠「いっちょやったるか!ついてこいよ!」
師匠「ついてこられるならなっ!」
176 :
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[saga]:2016/08/28(日) 05:06:32.66 ID:IWdDFovF0
師匠が得意技である疾風の剣技で美しい連撃をみせる。
師匠「オラオラオラオラァ!」
くま「ギャィッ、ギャンッ!ギャーッス!」
片腕をもぎ取られガードもおぼつかずなす術なく斬りつけられ続ける大熊はただ悲鳴をあげるのみとなっていた。
177 :
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[saga]:2016/08/28(日) 05:07:05.02 ID:IWdDFovF0
師匠「ラァッ!」
疾風のラッシュが終わりぐらついたくまに向かって師匠が叫ぶ。
師匠「美味しいところはくれてやるっ!見せてみろ!今のテメーの疾風剣技を!」
剣を構えて集中する。
全体の風の流れを読み取り、それに乗る。
自らも風の一部となる!
勇者「疾風剣技…!はぁっ…!」
全力を込めた駿足の居合切りを放つ。
くま「グッ…グガァ…ゴ…」
あたり一面に赤黒い血を吹き出すと催眠の魔獣は地に沈んだ。
178 :
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[saga]:2016/08/28(日) 05:07:47.87 ID:IWdDFovF0
勇者「ハァ…ハァ…」
師匠「うーん。70点ってとこだな」
勇者「手厳しいですね…」
暫くすると眠っていた村人達が徐々に目を覚ましていった。
若者「あ、れ?俺何してたんだっけ」
農夫「ん、あれ?どこだここ」
師匠「立てますか?肩貸しますよ」
村の子供「師匠さん。ぼくおなか空いたー…」
師匠「そりゃそうだ坊主。帰ったら母ちゃんに美味いもん食わしてもらえ」
師匠「俺はみんなを送って先村に帰ってるから。協力してくれてありがとよ勇者!」
勇者「はい…」
179 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 05:08:28.90 ID:IWdDFovF0
勇者「はい…」
師匠や村人たちの後ろ姿を見送ったあとまだ寝ていたねこと魔法使いを起こすことにした。
勇者「ねこ!クソ魔道士!起きろ!」
勇者「…どっちも起きないな」
勇者「おいクソ魔道士。いつまで寝ているんだ」
魔法使いの身体を雑に揺すると気だるそうに目を覚ました。
魔法使い「あ、れ…?ゆうしゃさま?どうして私こんなところで…そうだ!くまちゃんに会ってそれで…」
勇者「あいつは残党の魔獣だった。もしや普通に騙されていたのではあるまいな」
魔法使い「えっ!?そうだったんですかぁ!?」
勇者「……」
呆れて溜息もでない。
180 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/28(日) 05:09:13.27 ID:IWdDFovF0
魔法使い「だ、だって…寝たら嫌なこと全部忘れられるってくまちゃんが…」
勇者「…夢に安寧を求めるほどお前は病んでいたのか?」
魔法使い「いえけしてそんなことは…なくは…なかったんですけど…」
勇者「そうか」
魔法使い「…気にしないで下さい。その、お荷物のちっぽけな悩みなので…」
視線を下に向けながら魔法使いは拗ねたように言った。
181 :
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[saga]:2016/08/28(日) 05:10:44.96 ID:IWdDFovF0
勇者(俺のせいでそうなってるとでも言いたそうな顔だな。俺はお前に悩まされてるというのに)
『そういうの一旦全て無しにして彼女を見てみろ。何か変わるかもしれんぞ』
『えへへ〜ゆーしゃさまぁ…ぎゅーってして…ぎゅーって…』
勇者「はぁ…」
勇者「別にどうでもいいことだがお前、寝相に自信があるとか言っていたが大嘘だったな」
魔法使い「えっ!?う、嘘…私寝ている間に勇者様に何かご迷惑をお掛けしましたか!?」
勇者「それはもう最悪だ。寝ぼけたお前に誘惑魔法をかけられた」
魔法使い「ひっ…ひぃ!?こ、殺さないで下さいお願いしますっ!ここは不可抗力ということでどうか…」
勇者「…だから、今から俺がやることは誘惑魔法のせいだ」
魔法使い「え?」
俺は試しに魔法使いを抱きしめてみた。
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