女鍛冶師「魔剣の製造依頼?」

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76 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/22(土) 20:14:35.12 ID:EpQl2Wg6o

    ギィンッ!

  ガッ!   ズバッ!

< ドゴッ!

オーク【ブギ、ィイッ……!】ヨロッ

老オーク【ブッグオオオッ!!】


『齢二百を越えるシルバーオークの武器は、手にしたダガーのみならず』

『オークとは違う、全身を覆う銀の体毛は衝撃を逃がし、丸太のような腕や脚から繰り出される打撃は岩をも抉る』

『まさに恐るべき、魔獣なのだ』


< ガッ! ドスッ!!

オーク【ブゴォッ……ォゴ、ァ……っ】グラッ

老オーク【死ねぃ!!】



エルフ娘「風の精霊よ!」

    ヒュオッ!


老オーク【!、チィッ】バッ

< ズパンッ!


エルフ娘「こっちよこの糞豚ぁ!」


老オーク【今のは侮辱だと分かるぞ小娘ぇ!】グブォオッ!!


77 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/22(土) 20:56:34.55 ID:EpQl2Wg6o

オーク【ブゴ……っ、駄目だ……逃げてくれぇ……っ】


エルフ娘「そんなこと、そんなことぉっ!!」


『出来るわけがない』

『エルフの娘はそうオークに言って、恐ろしいシルバーオークを引き付けた』

『その言葉にどれだけの意味と葛藤があったのか、オークにもエルフの娘にも分からない』

『ただ分かることは』


エルフ娘「精霊よ! 精霊よ! 精霊よ!!」

   ビュォオッ!!

< ズバババッ!!


老オーク【グブブァッ!!】ダッ!

< ガシィッ!!

エルフ娘「きゃあっ!!」


『都合良く立ち回れる事などある筈もない』


エルフ娘「ぁ……く、はぁ……ッ……!」ギリギリッ…

老オーク【死ね】

エルフ娘「〜〜っぃ…ゃ…し、の……精霊よ……!」


< ゴキッッ
エルフ娘「っ ──────────



78 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/22(土) 21:34:44.51 ID:EpQl2Wg6o

< ドサッ……!


オーク【………】

オーク【ッ】


『魔剣を握る手から血が流れ落ち、オークの視界が揺れる』

『シルバーオークの手が開くと同時に、崩れ落ちたエルフの娘は首を折られていたのが分かる』

『立ち上がる気配は、無い』


オーク【オオオオオオオオオオオオオオ!!!】


老オーク【(馬鹿めその大振りで射線が読めぬとでも……!)】




『魔剣「歪風」が何故に名をそう決めたのか、オークには知る由も無い』

『だがしかし、魔剣「無名」がリーチを求める事を求めたならば「歪風」は何を求めたのか』

『オークの手癖の悪さに、それは起因していた』




オーク【ヌゥゥッ!!】

   ブゥンッ!!




『彼は戦場で感情が高ぶった際、何度も剣を相手に投げつける事が多かった』

『何度も、何度も』

『力任せに剣を、何度も投擲していたのだ』


『他ならぬ、射程に特化していた当時の魔剣を………』


79 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/22(土) 22:20:54.92 ID:EpQl2Wg6o


───── ギュルンッ ─────


『オークの在り方は歪だった』

『しかしその在り方は直線的でもあり、単純だった』

『そこでオークの使い方を最大限に利用する為に遂げた形状変化こそ』


『オークの投擲力は尋常ではない速度を出す事から、「歪風」は剣の形状だけでなく柄や刀身に法則性のある溝を作った』


『その結果、味方や自身の安全を省みなければ強烈な破壊力を持った魔剣が生まれたのだ』



  ──── ドッッ ─────────


  ─────── ドドドドッッ ───────


  ──────────ドドドドドドドドォォッッ!!!



老オーク【なっ………



『不可視の斬撃が縦横無尽に辺りを破壊しながら突き進むその光景を』

『策を考えるより先に絶望した老オークは、どう見えていたのか』



『それは、切り裂いた魔剣にしか分からない』



< ズドォオオオッ!!


80 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/22(土) 22:59:17.39 ID:EpQl2Wg6o


< ズズン……!

< ゴォォオ……ッ


オーク【……ゴフッ……お腹が、切れてた……】ブシュッ…!

< ビチャッ……パタパタッ……

オーク【ヴゥ……えるふ…】ヨロッ…

オーク【エル…フぅ……ッ】ビチャビチャッ…



< ズリッ……ズリッ……

オーク【……!】


エルフ娘「ハァ……ハァ……」ズリッ…


オーク【エルフ娘……!】

エルフ娘「……こっち、きて……」

オーク「ブグゥ……ッ」ヨロッ

エルフ娘「…………もう、言葉……話せないの……?」

オーク「ブゴ……ヴッ、ゴフッ……」ビチャッ

エルフ娘「いいよ、無理して喋らなくて……」

オーク「……っ」ヨロヨロッ


< ドサッ

81 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/22(土) 23:34:05.63 ID:EpQl2Wg6o

< ゴォオオオッ・・・!


エルフ娘「……熱い……ね」

オーク「ゼェ……ゼェ……」

エルフ娘「オーク……」

エルフ娘「首、握り潰される時にね……癒しの精霊に治して貰ったんだけど……」

エルフ娘「治りきらなかったみたい、腰から下の感覚……無いの」

オーク「ゼェ……ゼェ……ッ」ビクッ

エルフ娘「逃げられないや……」

オーク「ッ……ブ、ゴ……」ビクッビクッ…


エルフ娘「……ね、お願い」

エルフ娘「苦しいのは嫌……殺して……」


オーク「……ッ……」ビクッ…ビクッ…

オーク「………ッ 」


エルフ娘「お願い……」

エルフ娘「………」


エルフ娘「ごめん……ね」


82 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/22(土) 23:38:52.87 ID:+7au6OnS0
何とか助からないものか...悲しい
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/22(土) 23:54:45.01 ID:EpQl2Wg6o

< ザクッ

オーク「ブ、ゴ……ッ」ヨロッ

< ビチャッ……ビチャッ……

< ズリッ…ズリッ……

オーク【(あぁ……)】


エルフ娘「……ありがとう」

エルフ娘「言ってること、分かってくれて……あは」…ニコッ


オーク【(綺……麗……だなぁ)】ゴブッ…

オーク「ブゴォ……ッ」グッ


エルフ娘「そのまま……お願い」


エルフ娘「……あのね」

エルフ娘「皆酷い目にあって、痛い思いもしたし、怖い思いをしたし……死ぬより辛い事を背負ったよ」

エルフ娘「その皆に代わって、勝手に代表するなら……やっぱりオークって種族は許せないよ」


エルフ娘「だから……私だけは、アンタを許してあげる……」


オーク「ブゴォッ……!」ビュッ


────────── ドスッ


84 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/22(土) 23:56:14.72 ID:xtUD/nePo
かなしいなあ
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/23(日) 00:05:10.95 ID:hmyKbC2v0
報われないなぁ
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/23(日) 00:06:53.98 ID:hVjzGm0so


『魔剣は見ていた』


『仲間とは違い、余り女を弄ぶ事が好きではなかった一人のオークを』


『いつも剣を見つめていた一人のオークを』


『戦場でいつも怯えながら人間に襲い掛かっていたオークを』


『それでも、自分なりの納得をして、手を血に染めていたオークを』


『命はいつだって綺麗だと剣に語りかけて、いつだって醜いと呟いていた』


『そのオークが涙を流している』


『魔剣は柄に大粒の涙を受けて』

『魔剣はその刃に、非業の死を遂げたエルフの娘の血を浴び続けて』


『命と、涙で』


『魔剣は炎に熱せられながらも、その身に受けた色を失う事はしなかった』




『炎が消え、オークもエルフの娘も消え、夜が明けた時』

『そこに残っていた魔剣は………』



87 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/23(日) 00:07:25.41 ID:hVjzGm0so








       【story..2】

       【魔剣三代目】

    【その名は……「深紅」……】







88 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/23(日) 00:24:19.26 ID:hVjzGm0so


【二年後……とある鍛冶屋】



熟練鍛冶師「ただいま戻りましたぜっ、と」

女鍛冶師「おやお帰り」

熟練鍛冶師「依頼されてたミスリルアーマー納品してきた」

熟練鍛冶師「ん……? なに読んでるんだ?」

女鍛冶師「号外というやつだよ、あのお騒がせなオーク共が騎士団に駆逐されたとね」

熟練鍛冶師「あれか、アンタの作った魔剣が初陣で持ち主は殺されるわ鹵獲されるわってなった」

女鍛冶師「そうだねぇ」


女鍛冶師「……君は、どう考える?」

熟練鍛冶師「あ?」

女鍛冶師「純粋無垢な赤子が、醜悪な山賊に育てられ、人を無惨に殺す快楽を教えられたとして」

女鍛冶師「それを、『悪』だと認識するかな」

熟練鍛冶師「………」

熟練鍛冶師「空っぽの状態からだったら、そうは思わないだろ」

熟練鍛冶師「良くも悪くも、それがそいつのスタートなんだから」

女鍛冶師「難しく答えようとして放棄したいい加減な返答だね」

熟練鍛冶師「うっせぇ」


女鍛冶師「だがこれで、あの魔剣はこの世界の闇を一つ覚えた」

女鍛冶師「理解したんだ、そして記憶した」

女鍛冶師「あれから十五年、大体……三代は魔剣は世代を交代している」

熟練鍛冶師「……世代を?」

89 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/23(日) 00:31:24.34 ID:hVjzGm0so

女鍛冶師「言ってなかったけどね、あの魔剣は成長と共に次世代の子を自らの中に宿すんだ」

女鍛冶師「経験した事を溜め込み、そして形を変えて産み落とす」

女鍛冶師「明確な意思はない」

女鍛冶師「だが……生まれた次世代の子には『先代』の記憶、記録がそのまま残されている」

女鍛冶師「それまでとは全くの別視点から魔剣を中心とした世界観測により、更に自身を強化し成長する」


女鍛冶師「あれから十五年経ったが、未だにあの魔剣を越える武器は作れてないよ」


熟練鍛冶師「……十五年前に言ったかどうかは忘れたけどよ」

女鍛冶師「うん?」

熟練鍛冶師「それってもう、武器じゃないんじゃないのか」

女鍛冶師「………」



女鍛冶師「いいや」

女鍛冶師「この世に武器でない存在は無いんだよ」

女鍛冶師「だからこの世には『死』があるんだからね」

90 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/23(日) 00:34:11.63 ID:hVjzGm0so








       【nextstory..3】

       【魔剣五代目】

    【その名は……「幻想剣・子守唄」……】







91 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/23(日) 00:35:26.97 ID:hVjzGm0so
次は短め
ここで切ります
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/23(日) 00:36:13.53 ID:6iWbgJJHo
おつおつたのしみだ
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/23(日) 01:04:58.65 ID:vfleCDHl0
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/23(日) 02:29:02.90 ID:+0kLOeom0
こんなss初めて見た、すげぇ
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/23(日) 05:25:36.04 ID:cneBy7RiO
あれオークそれから更に5年生きた見たいな描写あったような気がするけど
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/23(日) 05:27:37.40 ID:cneBy7RiO
>>75
この時から五年共に歩んでいくんじゃなくて剣を見つけて五年ってことなのかな?
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/23(日) 12:02:25.73 ID:hVjzGm0so
>>95>>96
それで合っています、描写不足で申し訳ない。

他作品に使用する予定のデータの一部を公開します



───── 再世紀1258年 ─────
「南の大国:オーク討伐隊が襲撃される」

※ 魔剣が主人公オークに拾われる
※ 約三ヶ月前に魔剣『無名』が女鍛冶師に造られた


・・ 【十二年の間に小さな集落や村を襲い勢力強化】 ・・

※ この間、魔剣『無名』と魔剣『歪風』がオークとそれぞれ五年間共にする

※ 語られなかったが魔剣二代目が『歪風』になったのは再世紀1264年である

※ 十年後の再世紀1268年の末には魔剣『深紅』が生まれている

(補足としてstory2終了時までは自身に名を付けておらず、エルフの娘の血を浴びて焼かれた事で『深紅』を名乗る事になる)


───── 再世紀1271年 ─────
「story2本編、魔剣『深紅』が完成するまで」

※ 魔剣が造られてから十三年後、三代目になって三年が経過。


───── 再世紀1273年 ─────
「nextstoryに続く前の女鍛冶師」

※ 再世紀1272年にオークとオーガの軍団を南の王が誇る騎士団がやっと潰し終える
(ここまでで>>26で語られた内容)


───── 再世紀1283年 ─────
「次回の物語が開始される」
「魔剣四代目が五代目を生む半年前からスタート」

(本編で語られないが魔剣四代目の名前は『不変剣・深紅』)
(性能に変化は無い代わりに、とある人物と会うまでは魔剣のイメージカラーが『血の色』となる)



これだけここに出しても分かりづらいかと思いますが補完の役に立てばいいなと

本日の午後前半でゲリラ投下開始予定

98 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/23(日) 16:36:20.54 ID:hVjzGm0so
< ガラガラガラガラッ

< ガタンッガタッ……!


男「もうじき王都に着く、そこでブツを売る」

男「お前らはこの冒険者プレートを身に付けとけ、後続の荷馬車にはダミーで火薬を積んである」

男「そっちに関しては後続の奴等に説明済みだ、お前らはお前らで上手くやれよ」


< 「任せろ」
< 「たまにゃ都市の娼館行きてぇなぁ」
< 「へへへ……」


商人「所で、都市には最近盗賊がいるそうだが大丈夫なのかね」

男「所詮は若いスラム上がりのコソドロ集団に過ぎない、敵ではないよ」

99 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/23(日) 18:21:07.90 ID:hVjzGm0so

【南の大国『サース』・王都】


憲兵「積み荷はなんだ」

商人「美術品が何点か、後は『西』からの輸入品ですな」

憲兵「ほう」

憲兵B「確認します」

商人「……」

憲兵「所で聞いたかい? 先日、西の大国で『魔女』が出たらしい」

商人「それはそれは恐ろしいですなぁ」

憲兵「伝説の『魔女』ってのも、中々可愛いらしい小娘だったそうだ」

商人「ほぉ」

憲兵「丁度、お前達の売った娘達と変わらない歳のな」

100 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/23(日) 18:37:50.15 ID:hVjzGm0so

< 「動くな! 『王の騎士団』であるッ!!」

< 「馬車の積み荷台、二重底になってるぞ!」


憲兵「……大人しくして貰えるな?」

商人「………」

商人「何故だ、私のやり方は常に騎士団や憲兵の目を欺いてきた筈だ」

憲兵「ほんの二年前に黒髪の娘が来てな、お前達が『西』で売ろうとしていた奴隷がオークに奪われた事があるだろう?」

商人「っ! 十年以上前の話だぞ……!!」

憲兵「だがそれで奴隷の密輸方法の一部が分かったわけだ」

憲兵「牢の中で聞かせてやるよ、その娘が体験した『人を助けるオーク』の話をな」


商人「ぐぅぅぅうッ……!!」


101 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/23(日) 20:16:08.73 ID:hVjzGm0so

【王都内部……『憲兵騎士団・兵舎』】


憲兵「こちらが今朝捕らえた闇商人達の積み荷です、騎士殿」

熟練騎士「うむ」

憲兵「恐らく奴隷が積まれていた馬車の積み荷、火薬等は目眩ましでしょうな」

憲兵「しかし美術品の積み荷、これは何処か正規のルートで売るつもりだったそうです」

熟練騎士「盗品の可能性は?」

憲兵「それはどうでしょうなぁ、どれも捌けば利益の出る有名な品が多い」

熟練騎士「……む、これは」


< シャキ・・・ンッ


憲兵「魔術師によると、低級の魔剣だそうで」

熟練騎士「低級? これが?」スッ

憲兵「素材は恐らくミスリルですが混ざりものらしいですな、微弱な魔力を感じる事から錆び防止程度かと」

熟練騎士「それにしては見事な……これほど深い赤の剣は見たことがない」

102 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/23(日) 20:21:58.84 ID:hVjzGm0so

熟練騎士「私が買いたい位だな、ははは」

憲兵「買い取りますか」

熟練騎士「む? 出来るのか?」

憲兵「押収品は通常、しかるべきルートで売却するか保管します」

憲兵「しかし最近、例の『怪盗』騒ぎのせいで規則に変更がありまして」

憲兵「返却予定の無い押収品はルートをバラバラにして売却する事になってるのです」

熟練騎士「なるほど、そこで私が買い取っても良いと」

憲兵「はい」

熟練騎士「ふぅむ、幾らだ」



憲兵「金貨二百相当だそうです」

熟練騎士(足元を見たな、この男)ヤルナァ…

103 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/23(日) 21:28:01.67 ID:hVjzGm0so

【熟練騎士邸】


妻「それで、この様な魔剣を買ってきたと」

熟練騎士「う、うむ……」

妻「どうするのですか、他にも何本も魔剣を屋敷に飾っているというのに」

熟練騎士「いや、そうだが……うむ」

妻「どうして駄目と言ってるのにやるんですか」

熟練騎士「どうしてと言われてもだな……」

妻「返してきてください」

熟練騎士「……出来ぬ」

熟練騎士「押収品から買ったのだ……」


妻「…………」ニッコリ


104 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/24(月) 01:34:43.67 ID:xUh9SpPE0
魔剣だらけの家か
面白いもっと書いてくれ
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/24(月) 02:26:35.27 ID:/oRQmksbo

#################



熟練騎士「はぁ、絞られてしまったよ」スタスタ…

娘「あははっ! パパかっこわるーい!」パタパタ

熟練騎士「言い訳も出来んな」

娘「それで、今度はどの剣を買ってきちゃったの?」

熟練騎士「見映えは良いのでお前の部屋に飾ることにしたんだ」

娘「うぇーっ、なんでー!」

熟練騎士「見映えは良いと言ったろう……?」


熟練騎士「私だ、取り付けは終わったか?」コンコンッ

< ガチャッ

侍女「終わりました、旦那様」

熟練騎士「夜にすまないな」

娘「侍女ありがとう!」

侍女「いえ」ニコッ

106 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/24(月) 02:46:34.08 ID:/oRQmksbo

娘「……わぁ、真っ赤だねぇパパ」

熟練騎士「綺麗だろう?」

娘「でもなんだか形が歪っていうか、あんまり好きじゃないかも」

熟練騎士「まだ剣に対する理解が足りてないな、娘よ」フッ

娘「パパみたいなのを病気って言うって、ママが言ってたよ」

熟練騎士「…………」

熟練騎士(たまには夫婦水入らずで息抜きさせてやるか……)




< キンッ




熟練騎士「ん?」

娘「どうしたの?」

熟練騎士「いや、廊下にある『囁きの剣』が鳴ったので気になった」

107 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/24(月) 03:19:11.64 ID:/oRQmksbo

< バサッ

娘「パパ!パパ! いつもの子守唄っ、歌って!」

熟練騎士「またあのお伽噺か? 仕方ないな」

熟練騎士「では聞かせてやろう」



################



< キンッ

< キンッ


< ボソボソボソ……


< ケラケラケラ


< ………………

< ………ネェ………

< ……キイテミヨウカ………




< ………オーク………………




108 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/25(火) 00:16:36.25 ID:r5r2SO7Ko

─────── 昔、南の国に一人の女がいた。


女は身分こそ貴族だったが質素な生活を好み、心優しい娘であった。

朝は早くから服を縫い、昼は町の人々の手伝いをし、夜は剣を携えて町を歩き回った。


< 「それって質素なのパパ?」

< 「いつもそれを聞いてくるな……質素なのだ」


女は、いつも人々の笑顔を見ていた。

何処か浮かない顔をしていたなら、それに歩み寄って話を聞き……

彼女は力になれることならばどんな事にも協力をして、助け合っていた。


そんなある日、娘が町へ買い物に出掛けた時の事だ。

彼女は侍女を雇っていなく、何日かに一度は買い出しに行っていたのだ。


109 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/25(火) 00:41:07.01 ID:r5r2SO7Ko

そこで、女は町の人が何か困った顔をしているのに気づいた。

一体どうしたのか、と訊ねた。


『中央山脈に棲む竜が町の近くに来ていて、故郷の村から戻って来ていた子供と妻が帰ってこれずにいるのです』


そう聞いた女は町の人を慰めると、きっと大丈夫だと言って帰って行った。

大丈夫という言葉に根拠はない彼女だったが、自信はあった。

自分で竜を退治するつもりだったからだ。


直ぐ様、女は家へ戻ると一本の魔剣を……

< 「すー……すー……」


熟練騎士「……ふ、寝たか」

娘「…すぅ……すー……」

熟練騎士「おやすみ」チュッ

110 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/25(火) 01:06:13.28 ID:r5r2SO7Ko

【翌日】


熟練騎士「では頼んだぞ」

侍女「はい、行ってらっしゃいませ」

妻「今日からは職務上の付き合いでも酒場で酒を飲んではいけませんからね?」

熟練騎士「う、うむ……分かっている」

妻「もう」

< チュッ

妻「気を付けて下さいね、女神の御加護がありますように」

熟練騎士「ああ」

111 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/25(火) 01:40:10.62 ID:r5r2SO7Ko

################


娘「はぁ、もう終わりでいい? 疲れてきたぁ」

侍女「そうですわね、そろそろ昼食の準備に入りますのでお勉強はここまでにしましょう」

娘「わーい!」

侍女「それでは失礼します」ペコリ

< ガチャッ

娘「どーしよっかなぁ」


娘(そういえば、パパが買ってきた剣ってやっぱり魔剣なんだよね)

娘(赤い刃の剣なんて初めてみたよ)

娘「……」スッ


< ピトッ……つつー……


娘(変な溝……どうやって造ったんだろ)

112 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/25(火) 11:33:48.58 ID:r5r2SO7Ko

【夕方】


娘「ん……」コックリ…コックリ…

娘「……すぅ……」


< スタスタ……

侍女「あら? お嬢様寝てしまいましたか」

侍女「ベッドに移しますね?」スッ

娘「んぅ……侍女……」

侍女「起こしてしまいましたね、まだお夕食の時間まで暇がありますので寝ていて良いですわよ」

娘「うん……」ギュッ

侍女「ふふ」

娘「ね……あれ聞かせてー」

侍女「旦那様がお作りになったお伽噺ですか?」

娘「ん」

侍女「ええ、喜んで」ニコッ

113 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/25(火) 11:42:43.28 ID:r5r2SO7Ko

─────── 昔、南の国に一人の女がいました。


女は身分こそ貴族だったが質素な生活を好み、心優しい娘でした。

朝は早くから服を縫い、昼は町の人々の手伝いをし、夜は剣を携えて町を歩き回ります。

女は、いつも人々の笑顔を見ていました。

何処か浮かない顔をしていたなら、それに歩み寄って話を聞いて

彼女は力になれることならばどんな事にも協力をして、助け合うことに喜びを感じていました。


そんなある日、女が町へ買い物に出掛けた時の事です。

何日かに一度買い出しに行っている彼女は市場へ向かいます。


そこで、女は町の人が何か困った顔をしているのに気づきました。

「どうかしましたの?」、とたずねました。


『中央山脈に棲む竜が町の近くに来ていて、故郷の村から戻って来ていた子供と妻が帰ってこれずにいるのです』

『ああ、どうか無事でいてくれると良いが……』


そう聞いた彼女は町の人に、きっと大丈夫だと言って一度戻りました。

大丈夫という言葉に根拠はない彼女でしたが、自信はありました。

私ならば竜を倒せる、と。


直ぐ様、彼女は家へ戻ると一本の魔剣を手に取りました。

とある女鍛冶師に譲り受けた、銀の剣でした。

114 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/26(水) 08:37:26.21 ID:Q0KgKcoco

銀の剣は邪悪な存在だけを斬る、聖なる刃を持っていました。

彼女は銀の剣を携えて、皮の鎧を身に付けると町の外へ出ていきました。



巨大な竜を見つけると女は恐れる事なく勇敢に立ち向かっていきます。

町の人を守るため、その家族を護るため、彼女は剣を振るいます。


しかし竜は傷を負っても瞬きをする間に治してしまいました。

女はそれでも諦めずに剣を振りましたが、巨大な竜には傷をつけることも出来ずにいました。

次第に彼女の身体に増えていく傷と疲れ。

そのうち、膝をついたのは女の方でした。

そして、竜が彼女にトドメを刺そうと鋭い爪を振り上げた時。


彼女が最後の力を振り絞って剣を薙ぎ払ったのと同時に、極光にも似た光の柱が竜を貫いたのです。

それは女の諦めない心と、人を思う優しさから生まれた勇気によって作られた光の刃でした。

竜は叫び声をあげるとそのまま逃げ出し、遂に女は竜に勝ったのでした。

町へ戻った彼女は町の人々に感謝され、その後一人の若い騎士と結ばれ幸せに暮らしました。

115 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/26(水) 08:41:39.76 ID:Q0KgKcoco


侍女「……めでたしめでたし、ですね」

娘「すぅ……すぅ……」

侍女「……」

侍女「ふふ」スッ


< スタスタ……

妻「あら、ここに居たのね侍女」

侍女「はい、彼女に少し『昔話』をしてあげていました」

妻「あの人が作ったお話ね、もう……恥ずかしいわ」

侍女「いえ……私は好きですよ、貴女様のお話」

妻「あなたまでそうやって……ふ、ありがとうね」

116 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/26(水) 10:26:06.13 ID:Q0KgKcoco

【数日後】


妻「今夜は戻らないのですか?」

熟練騎士「うむ、どうも『北』で何かあったらしくてな……我々『王の騎士団』が調査に向かうことになった」

妻「まあ!……何事も無ければ良いのですが」

熟練騎士「あぁ、伝説の『魔女』が現れないことを祈っている」

妻「気を付けて」チュッ

熟練騎士「すまない、娘を頼む」


117 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/26(水) 10:40:19.28 ID:Q0KgKcoco

侍女「兵舎に残っていた他の騎士様にお聞きしました、北の大国で大規模な天災があったそうです」

妻「天災……」

侍女「それが火事なのか、地揺れなのか、はっきりとしたことが伝わってないらしいですわ」

妻「そうなの、それなら『魔女』の心配はしなくて大丈夫そうね」

侍女「はい」


娘「ママー! お外の門に誰か来てるよー!」


妻「侍女」

侍女「はい、お客様でしょうか」

118 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/26(水) 10:47:05.62 ID:Q0KgKcoco

魔術師「お初に御目にかかります、熟練騎士殿の奥方殿」

魔術師「私は宮廷魔術師を王より任されております、魔術師と申します」

妻「夫に何か用があるのでしょうか?」

魔術師「いえ、実は王の命により参りました」

妻「王の……!」

魔術師「正式な書状もあります、どうかご自分でご確認を」スッ

< バサッ

妻「侍女」

侍女「はい、私も確認します」


119 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/26(水) 10:52:48.30 ID:Q0KgKcoco

妻「1週間ほど前、夫の買ったあの魔剣を調査……?」

魔術師「我等が王は全てを見通しておられる、恐らく何かあって私に調査を命じたのでしょうな」

妻「……ではご案内しますわ」

妻「侍女は娘を見ていて」

侍女「はい」


魔術師「………」

魔術師(噂に聞く『魔剣姫の屋敷』か、外に居ても感じられる魔力からして、どれほどの魔剣があるのやら)

魔術師(だが確かに、何処かから……異質な魔力の放ち方をしている物がある)

魔術師(まるで魔力を抑えているかのような……)

120 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/26(水) 11:56:13.66 ID:ZT1E0DLWO
超期待
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/26(水) 19:12:14.32 ID:Q0KgKcoco


< シャキ・・・ンッ

魔術師「……赤い刃の剣」


妻「夫の聞いた話では、低級の魔剣だと」

魔術師「私の同僚が見たと言っていたのはこれでしたか」

魔術師「そうですな……」

魔術師(見た所ではその通り、低級の魔剣)

魔術師(だがこの溝の彫り方は人の手では有り得ない……人ならざる者が製作したのか……)




魔術師(柄に刻まれた紋に見覚えが無ければ、そう判断していたな)


122 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/26(水) 19:25:37.98 ID:Q0KgKcoco

魔術師「…………低級の魔剣ですね」

妻「本当に?」

魔術師「ええ、ただこの魔剣の色は塗られた物ではなく、特殊な材質で変色させた訳でもない」

魔術師「魔剣が何らかの意思を持ってその色を吸収したと見るのが正しいですな」

妻「それは、呪いとは別ですか」

魔術師「悪しき気配は無かったので問題はないかと」

妻「それは……ああ、ほっとしましたわ私」

魔術師「無意味にご心配をお掛けしました、奥方殿」


魔術師「私はこれで王に報告はします故、どうか遠征中の熟練騎士殿が戻った際は宜しくお伝え下さい」

妻「分かりましたわ」

魔術師(さて……王に伝えねばな)

魔術師(魔剣の製作者は彼の有名な鍛冶師であったと)

123 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 09:43:38.97 ID:A6QNj0HPo


【数ヵ月後】


熟練騎士「そうか、王があの魔剣を……」

妻「でも問題は無かったみたい」

熟練騎士「良かった、これで私が買ったあの魔剣に問題があればどんな事を言われるか分かったものではない」

熟練騎士「ところで」

妻「はい?」

熟練騎士「さっき侍女から聞いたのだが、娘が……男の子とよく遊んでいるそうだな」

妻「ええ、町の商人の息子さんです」

熟練騎士「………」

妻「まだあの子もその子も五つなったばかりですよ、あなた」

熟練騎士「いや、まぁ、うむ……分かってはいるが、うむ……」

124 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 15:39:50.81 ID:A6QNj0HPo

< カチャッ

< スタスタ……


熟練騎士「……こんな小さな体でも、いずれは女として男と結ばれるのだな」

娘「すぅ……すぅ……」

熟練騎士「私は別に、商人の息子が相手でもいいのだが」

熟練騎士「……はぁ」

熟練騎士「何のために、あんな話を聞かせていたのだか……いやこれは私の我が儘だが、だが……なぁ」


熟練騎士「……」

熟練騎士「おやすみ」スッ


娘「パパぁ……?」ムクッ

熟練騎士「起こしたか」

娘「んー……しっし行く」

125 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 15:57:39.49 ID:A6QNj0HPo

##############


娘「ね、パパ」

熟練騎士「どうした」

娘「あれ、聞きたいの」

熟練騎士「もう夜も遅い、このまま寝なさい」

娘「んー……あのね、いつもあのお話聞いてから、次の日に男の子に聞かせてあげてるの」

娘「そうしたら、僕もそんな騎士になりたいって……喜んでたの」

熟練騎士「…………」

熟練騎士「そうか、それなら……今夜も聞かせてやろう」


熟練騎士「昔、南の国に一人の女がいた……」


126 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 16:08:46.68 ID:A6QNj0HPo


────────── 心優しい娘であった。
                ……いつも人々の笑顔を見ていた。 ─────

          ───── …力になれることならばどんな事にも協力をして… ─────

    …………竜が町の近くに来ていて…… ──────
 ────── 自分で竜を退治する……




……女は家へ戻ると一本の魔剣を手に取った。 ──────────







────── とある女鍛冶師に譲り受けた、銀の剣だった。 ──────

─────…… 女が最後の力を振り絞って剣を薙ぎ払ったのと同時に、極光にも似た光の柱が竜を貫いた …… ─────







127 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 17:25:15.66 ID:A6QNj0HPo


【更に数ヵ月後……北の大国『ノルド』、国境】



騎士団長「総員、抜刀! 『北』の国境を越えたトカゲ共を一匹たりとも逃がすんじゃない!!」

老騎士「団長、『北』から再び使者が!」

騎士団長「!」

老騎士「『我々、竜には手を出さず』……完全に奴等、竜の群れに関して知らぬ存ぜぬを通すおつもりですぞ!」

騎士団長「チッ……この竜の群れすら奴等が用意したと聞いても不思議ではなさそうだ」


蛇竜「キシャァァアアッ」ぞぞぞッ

騎士団長「破ァッ!」

< ズドォンッ!!


騎士団長「地を這う蛇竜は正面から切り伏せよ! 空を滑る翼竜は弓手が撃ち落とせ!」

< 「「応!!」」


128 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 17:32:50.02 ID:A6QNj0HPo

熟練騎士「ヌゥゥッ……!」ガギィンッ

蛇竜A「シュゥゥッ…! キシャァァッ」ギチギチッ…

熟練騎士「でぇえあああッ!!」


< ゴシャァッ

熟練騎士「っ……はぁ、はぁッ」

騎士「熟練騎士殿、ご無事ですか!」ガシャッ

熟練騎士「うむ……齢四十にもなると体力が落ちていかんな」

騎士「貴公は奥方に体力を奪われてそうですからな、ははっ」

熟練騎士「……」

騎士「まさか本当に……?」

熟練騎士「も、元々は活発な娘だったのでな、あの妻は」


熟練騎士「それより騎士よ、貴殿はどう思う?」

129 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 17:43:59.53 ID:A6QNj0HPo

騎士「この状況ですか」

熟練騎士「然り、数ヵ月前は幾つかの村が竜の群れの襲撃を受け、今は国境である『オクチデント草原』で無意味に火を放つ竜達」

熟練騎士「何故、この草原を焼き払う? そして私や他の騎士が見た事から考えるにコイツら……」

騎士「我々が到着したと同時に、進軍を開始した……ですか?」

熟練騎士「そうだ、これは『進軍』だ」


< キィィ ──────ンッ!


熟練騎士「!」
騎士「お任せを」バッ

翼竜「ギャァオオオオッ!!」

騎士「雷の精霊よッ」ビュッ!!

< パキッ

────────── バリバリッ ゴバァアアアアッッ


< ズゥンッ!

騎士「ふっ、と」スタッ

熟練騎士「見事だ」

130 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 17:54:16.03 ID:A6QNj0HPo

騎士「……なるほど、確かにこれは進軍と言うに間違いありません」

熟練騎士「そうだ」

熟練騎士「どの竜も大した敵ではないが、我々を突破せんと連携しているのが分かるのだ」

騎士「目的は我が国でしょうか」

熟練騎士「分からん、だがそれ以上に『北』の対応が腑に落ちぬ」

熟練騎士「民が竜による被害で命を失われている、なのに奴等はそれを無視している」

騎士「許せませんね」


< ゴゴォッ……ドォオンッッ!!


騎士「っ!?」

熟練騎士「団長の方向だ……一体何が!」

131 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 18:09:39.40 ID:A6QNj0HPo


騎士団長「……油断していた、か」ゴフッ

老騎士「団長……!」

騎士団長「爺、水晶で全騎士に通達しろ」


騎士団長「『魔女』に汚染された竜が現れたと……ッ」




黒翼竜「グルルル・・・」ズシッ


黒翼竜「バグルルルッ!!」ザッ




老騎士「ここは私めに!」

騎士団長「よせ、爺!」


────────── ザクッッ


132 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 20:21:13.75 ID:A6QNj0HPo

  バシャッ……ボタタッ


老騎士「ご……ぉッ」

騎士団長「爺ッ!! やはりこの翼竜、周囲に無色の魔剣を展開している!」

老騎士「団長ォ、撤退……をぉ……ッ」

騎士団長「喋るな!」


黒翼竜「ヴルルァァアアッ!!」


騎士団長「くっ、魔導騎士! 撤退だ!!」



##################



魔導騎士「!」

魔導騎士「こちら水晶班! 全騎士に告ぐ! 団長からの命令!」

魔導騎士「撤退だ! 詳細は不明、しかし会話から察するに『魔女』に汚染された竜が出現している!」

魔導騎士「繰り返す! 全騎士撤退、『魔女』に汚染された竜が出現した!」


133 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 20:28:11.14 ID:A6QNj0HPo

< 『撤退だ! 全騎士、撤退せよ!』


熟練騎士「汚染された竜だと?」

騎士「熟練騎士殿、確か『魔女』に汚染された生物は……!」

熟練騎士「凶暴化し人間を狙って攻撃するようになり、魔力を編んで生成した剣を使う」

熟練騎士「極めて危険な存在だ、それがまさか竜に起きるとは……」

騎士「とにかく撤退です、 水晶班のいる地点まで走りましょう!」

熟練騎士「ああ!」


< ドゴォォオッ!


熟練騎士「!」

騎士「あっちは……水晶班の待機している位置じゃ……」

熟練騎士「急ぐぞ!」


134 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 20:37:11.57 ID:A6QNj0HPo


< ゴォォォオ・・・!


騎士「くっ、何だこの炎はッ」

熟練騎士「誰かまだ居るのか!」

< 「こっちだ……っ」

熟練騎士「大丈夫か! 今瓦礫をどかす……!」



魔導騎士「う……ぐ……ッ、あの黒い翼竜……一直線にここへ来た……」ガララッ

熟練騎士「他の魔導騎士は?」

魔導騎士「最初の爆撃で殺られた……俺も、もう……」ドロッ…

熟練騎士「っ、直ぐに止血を!」

騎士「待ってください、体内に何か刺さっていませんか!? 癒しの精霊が治せないと言っています!」

熟練騎士「なに!?」


魔導騎士「……奴の、魔剣だ……ご丁寧に魔力を編んだ脆い刃を身体に散りばめて……っ」ゴポッ

魔導騎士「う、ぐ……ゴハッ…」

熟練騎士「しっかりしろ! 糞、何か……」


魔導騎士「……王に、報せるのだ……お前達が……」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 20:49:13.23 ID:A6QNj0HPo

騎士「僕達が……!?」

魔導騎士「頼む、王都に……奴が、辿り着く前に……」スッ

< キィィインッ

熟練騎士「……」

熟練騎士「貴公の最期は、必ずや王に!」

騎士「ぼ、僕もです……!」


魔導騎士「……ふ…たの……んだ………」

魔導騎士「女神キロクノの知を……ここに……!」


< フッ


魔導騎士「…………っ」ゾクッ

魔導騎士「死にたく……な……」


< 「……」ドサッ


136 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 20:56:18.64 ID:A6QNj0HPo


【王都】


< フッ

熟練騎士「騎士、城へ行くぞ!」バッ

騎士「はっ!」バッ


熟練騎士「我等が王ならば、汚染された竜だろうと一太刀で倒してくれる筈だ……ッ」

騎士「しかし敵は単騎ではありません、他の竜が到達する前に策を……」







< ォォォオオオオオッ……!!







騎士「 ──────── まさ……か 」


熟練騎士「ッ……速すぎる、何なのだあの黒い翼竜は!!」


137 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 21:11:53.29 ID:A6QNj0HPo

################


妻「……? 今、何か聞こえなかった?」

侍女「いえ……風の音かと思いましたが」

妻「そう、なら別に…


< 「きゃぁあっ! ママー!!」


妻「なにっ!? 娘の声……!」

侍女「私が見て参ります!」


138 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 21:21:11.05 ID:A6QNj0HPo

< アァハハハハハハハハハ・・・!


娘「わぁぁあ!!」

侍女「落ち着いて下さい、この声は何処から……」

娘「廊下の、緑の短い剣が……っ!」

侍女「囁きの魔剣が……?」バッ


< 「ハハハハハハハハッッ」

侍女「……これは一体」


妻「侍女! この声は誰なの!?」

侍女「ご安心下さい、囁きの魔剣が何故かこれほどの笑い声を……」

妻「囁きの!?」

妻「侍女、今すぐお城へ逃げるわよ!!」

139 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 21:31:29.47 ID:A6QNj0HPo

##################


黒翼竜「バグルルルッ、ヴルルァァアアッ!!」

< ドゴォォオッ!!



< 「ぎゃぁぁ……ッ」

< 「騎士団は、騎士団は何処へ……っ」

< 「うがぁあああ!! 誰か火を消してくれ!!」




熟練騎士「町が……ッ」ギリッ

騎士「熟練騎士殿、このままでは城下町が!」

熟練騎士(どうするも何も、町の人間を見殺しには出来ん……)

熟練騎士(通信魔術が使える者が近くにいない以上、最善策は……)

熟練騎士「騎士、貴公は城へ急げ」シャキッ


騎士「熟練騎士殿!?」

熟練騎士「私とて団長と共に戦ってきた騎士だ……王もここまで来れば直ぐに気づいてるかもしれん」

熟練騎士「行け! 私は奴と戦うッ」


140 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 21:39:57.53 ID:A6QNj0HPo

────────── ズガァンッッ!!


黒翼竜「ッ……!」ズキッ


熟練騎士(私は魔術が使えん)スタッ

熟練騎士(出来ることは長年愛用してきた『不壊の魔剣』を、鍛え上げた剣術で振るうのみ……!)ギシッ


    ボッ……!

黒翼竜「ヴルルァァアアッ!!」ギュルンッ


熟練騎士「ッ!」バッ

< ズバァァッ
          ブシュッ!!

熟練騎士(ブレスを吐くと見せかけ、魔剣の投擲……!)

熟練騎士(だが、浅い!)ザッ…!

熟練騎士「うおおおおおおおおお!!!」


141 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 21:45:37.35 ID:A6QNj0HPo

< ズンッッッ

黒翼竜「 ギィッ……─────────!!? 」

熟練騎士(竜は、己の力を過信している)

< グリッ……ズヂッ

黒翼竜「グルァア……ッ!!」

熟練騎士(狡猾さも、自身の見た目も、その膂力と能力の強さもまさに化け物……それを貴様は知っている)

熟練騎士「……『自分が正面から刺されるとは思わなかった』か、竜……!」


黒翼竜「ヴルルルルゥアアアッッ!!!」

< バギィンッ!!

熟練騎士「!?」


熟練騎士(馬鹿な、不壊の魔剣を破壊しただと……一体どうやって!?)


142 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 21:51:22.71 ID:A6QNj0HPo

< ドサッ!

熟練騎士「ぐっ……!」

黒翼竜「グルルル……ッ」バサァッ


< ブワァッ!


熟練騎士(逃げた…?…俺から離れようと……)

熟練騎士「それなりに効いたというわけか……ッ」

熟練騎士「だか、はぁ、はぁ……あの方向は……町の外に近い…………」





熟練騎士「……俺の、屋敷がある…………」



143 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/27(木) 22:04:50.37 ID:A6QNj0HPo



───── 『とある鍛冶師が打った剣を、偶然にも魔剣を集めていた騎士が買った』



侍女「…………」ガタガタ…ッ

『様々な魔剣が屋敷のあちこちに飾られ、静かに魔剣達が互いに知識を交わす』


妻「……侍女」

娘「ま、ママ……」

『とある鍛冶師の元を離れて、初めて魔剣はそこで自分以外の魔剣を知った』

『しかしどの魔剣も、誰を斬ったのかは語らなかった』

『そこで語られていたのは、小さな世界で起きている小さな幸せの物語だけだったのだ』

『幸せな家族の、何気無くも儚い……小さな幸せの世界』





妻「娘を連れて、逃げなさい!!」



黒翼竜「ヴルルルルゥアアアッッ!!! ヴグルァアアアッッ!!」




144 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/28(金) 06:25:53.19 ID:GTfi7E0K0
いいとこで切るなぁ
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/28(金) 13:32:14.35 ID:pM17Uz8Po

『屋敷の門扉の柱に付けられた魔剣は言った』

『魔剣姫の屋敷へようこそと歓迎した』


妻(あの黒い障気、『魔女』に汚染されたの? そもそもこの竜は何処から……!)


黒翼竜「ヴゥルァアッ!!」バサァッ


妻(あの翼の動きは囮、本命は無色の魔剣による不意討ち!)バッ


    ドカカカカッッ!!


妻(っく……避けきれなかった)ブシュッ

妻「昔はあんなに動けたのにね……っ」


『エントランスで絵画の隣に飾られた二本の魔剣が言った』

『この屋敷の主は熟練騎士であるが、殆どの魔剣はその妻に収集された物だと』

『食堂に飾られた十数本の魔剣達は口々に語った』

『この屋敷で働く侍女は、その昔に熟練騎士の妻に救われた家族の娘だと』


< ギュボォッッ!!


    ゴッッ ───────!!

 ドガッ >

妻「〜〜ッ……熱っ、ぁ……く……!」バサバサッ!

妻(今の私じゃ、魔力も能力も無い……逃げ切るのも難しい)

妻(侍女が娘を少しでも遠くへ連れて逃げてくれれば……)

    ドスッ

妻「……ッ


146 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/28(金) 14:04:27.48 ID:pM17Uz8Po

妻「ぁッ、ああぁぁ……っ!!」


『二階の熟練騎士夫妻の寝室、そこを守るように飾られた一本の錆びた魔剣は言った』

『お前の母に、私も造られたと』

『そしてその魔剣は疲れたように口を閉ざして』

『小さな、子供部屋の前の廊下に飾られた、変わった魔剣が代わりに語ってくれた』


妻「ぁぁあ……ッ!! はっ、ぅぐううう……」

妻(痛い、痛い……! 無色の魔剣……予備動作無しに、あぁ、足が……ッ)

妻(この竜今までとは……っ)

妻「抜け、なぃ……っ!」ギチギチッ…


< ズシンッ

< ズシンッ


黒翼竜「カハァァァア・・・」
    ガパァッ

妻「 ───────っ 」


『かつて、貴族の娘は一本の魔剣を手に黒い障気を漂わせる竜と戦った』

『都の騎士団が到着するまで数時間』

『魔剣が如何に優れていようと、傷が塞がってしまえば意味はなく』

『彼女にとって時間は敵となっていた』


『そして力尽き、絶体絶命の窮地に陥った彼女は手にしていた魔剣を握り締め』


『……自害しようとした』


147 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/28(金) 21:02:02.28 ID:pM17Uz8Po


────────── ビュォッ・・・!



『銀の魔剣はその時、一人の青年騎士が現れたと言った』

『しかし丸腰だったその青年は銀の魔剣を奪い取って、竜と対峙した』

『そして』



熟練騎士「うぉおおおおおおおおッ!!!」

   ドゴォッッ・・・!!

黒翼竜「ッヴグルォァッ!?」



『雄叫びを上げて、竜へ立ち向かったのだ』

『他でもない、娘を守るために』


妻「あなた……!」

熟練騎士「チィッ、籠手が一瞬で砕けた……どうなっているあの竜!」ザッ

熟練騎士「……その足の止血は出来るか?」

妻「ごめんなさい、魔剣が抜けないの……っ」

熟練騎士「……」ギリッ


148 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 08:46:48.29 ID:lOqvR7Tdo

『囁きの魔剣は語った』

『当時の銀の魔剣は、ある「引き金」を引く事でしか力を発揮できずにいた』


< ガランッ

妻「……?」


『それはとある鍛冶師が何気無く造った時に、特に理由も無しに組んだ術式だった』


妻(この剣の紋章は……!?)


『所有者の感情に合わせて消費魔力を上下させ、刃を砲身に見立てて放出口を固定』



< 「あなた!!」

熟練騎士「!」

妻「これを使って……!」バッ


   パシンッ


熟練騎士「これは……あの赤い魔剣?」

熟練騎士「いや……」

熟練騎士(確か刃の形状は歪だった筈だ、直剣になっていないか……まるで、あの時の?)



『所有者の魔力を限界まで吸出してでも敵を討つ為に、銀の魔剣は全力を振り絞る』

黒翼竜「ヴグルァアアアッッ!!」


─────── キィンッッ


『後は水の入った筒を振り下ろすように』

妻「その剣を信じて、竜を倒して!!」

熟練騎士「……ッ!」チャキッ


『剣を振り下ろす瞬間に術式が発動するのだ』

熟練騎士(無色の魔剣が生成される音、奴が不意を突かれて地に落ちていること)

熟練騎士(剣に対して絶対の防御を誇っているという自信、それがあの竜をここに縫い付けている……!)



熟練騎士「三十年前を思い出すなぁ! 妻よ!」

< ビュォンッ

熟練騎士「頼むぞ、魔剣 ───────!! 」



149 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 08:55:33.52 ID:lOqvR7Tdo


『とある鍛冶師が打った魔剣は聞いていた』


『数々の名だたる先達である剣のどれもが語る、たった二人の物語を』


『その二人の物語がまだ続いている証を』


『侍女が小さな子に聞かせた子守唄』


『熟練騎士の妻が小さな子に語った苦くも美しい過去の子守唄』


『熟練騎士が、未来に続く子に託したい幻想の一端』



『魔剣はその物語を同じように自身の子に語り聞かせた』



『そして』

『魔剣は産声を上げるように天高く名乗る』



『剣先から放たれた赤い光は黒き竜を飲み込み、柱となって空へ昇る』



『新たに語り継がれるであろう、魔剣』

『その名は』



150 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 08:56:29.79 ID:lOqvR7Tdo








       【nextstory..3】

       【魔剣五代目】

    【その名は……「幻想剣・子守唄」……】







151 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 08:57:13.61 ID:lOqvR7Tdo








       【story..3】

       【魔剣五代目】

    【その名は……「幻想剣・子守唄」……】







152 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 09:05:53.82 ID:lOqvR7Tdo

#############


魔術師「屋敷が全壊してますな、熟練騎士殿」

熟練騎士「はは……魔剣を何本か売って新しく建て直さねばな」

熟練騎士「それよりも、妻の容態は……」

魔術師「王の名にかけて必ずや足の傷すら残さず治して見せましょう」

熟練騎士「頼んだぞ……私は少し、眠る……」



< 「あー眠ると良いぞ、妾もそれが好ましい」



熟練騎士「!!」ガバッ

魔術師「熟練騎士殿、ご無理をなさいますな、貴公は魔力を限界まで搾り取られているのだ」

熟練騎士「し、しかし……!」


153 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 09:16:39.31 ID:lOqvR7Tdo


女王「ククク、妾は構わぬ」

女王「此度の竜討伐は見事であった、同時にあの『光の剣』も実に見事であったぞ?」


熟練騎士「有り難き幸せ……!」ザッ

女王「さて、先ほど魔剣を何本か売ると言っていたな? 貴公」

熟練騎士「はっ! 恐れながら、それほど金銭に余裕のある身ではないので……家族の為にも剣を手放すつもりでした」

女王「ではそこの赤き魔剣、妾が買い取ろう」

熟練騎士「!?」

女王「異があるなら聞こうぞ」

熟練騎士「いえ……!!」


女王「では決まりだ、その魔剣……」


154 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 09:17:52.66 ID:lOqvR7Tdo




────────── 「……妾の剣とする」





       【nextstory..4】

       【魔剣六代目】

    【その名は……「王ノ道化」……】







155 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 09:18:40.64 ID:lOqvR7Tdo
映画見てきます
FGOの実写

次も短め
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/29(土) 09:23:24.44 ID:M/fOeJhOo
おつおつ
157 :携帯から>>1 [saga]:2016/10/29(土) 12:24:42.59 ID:O1Qh7jTdO

補足【この世界における竜種とモンスター(魔獣)】


story3に登場した蛇竜と翼竜

蛇竜
※ 成体で約三十メートル超になる大理石に近い鱗を持った蛇。
当然、締め付けられるまでもなく一瞬で飲まれるし粉砕される。
(総重量250トン以上でビルみたいなのが音速で噛み付いてくる)

翼竜
※ 幼体は五十センチから成長し、僅か半年で成体として約二十メートルになる。
ファンタジーのドラゴンとは違い鋼の鱗を持った鷹の様な姿をしている。
通常はブレスと呼ばれる魔力を混ぜた吐息による爆撃で対象を『追い詰めてから』、手足を食い千切った後に丸呑みにする。

黒翼竜
※ ある『魔女』によって存在そのものを黒く汚染された翼竜。
何らかの能力付与により、触れた『武装の過去』を根本から消失させる事で破壊された様に崩壊させる鱗を持った。

ブレスは膨大な魔力を混ぜるのではなく、炎に転換している。
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/29(土) 12:40:37.90 ID:zwbgT881O
クラウン・クラウン
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/29(土) 19:37:52.54 ID:73qc9ziJ0

今回も素晴らしかった
先代の記憶・記録は剣の中に残ってるって言ってたけど武器としての能力は最新世代のものしか発動できないのかな?
あと屋敷を見る限り魔剣に知覚があるのはわりと普通のことなんだろうか
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 21:26:05.74 ID:lOqvR7Tdo
>>159
能力については本編で触れるので知覚について

魔剣五代目の視点では、どの魔剣も会話能力は無いですが、
寝言で今までの記憶を常に一から現在まで語り続けている。
という事になっています。
何より未だ女鍛冶師の魔剣に会話のキャッチボールが出来ないので

しかしそれは魔剣視点での話
実際に分析するなら『他の魔剣に刻まれた過去の記録を読み取っている』というのが、本来の魔剣の様子です
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 21:27:51.25 ID:lOqvR7Tdo

< ガキンッ


女王「楽にせよ、客人」

女王「……む、違うな! あははは! 客『剣』であったな!」

女王「そなたの製作者が何者か、大体は調べている」

女王「面白い人間が面白い存在を生み出したものよ」

女王「なぁ、竜殺しの魔剣」


< ……


162 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 21:31:09.53 ID:lOqvR7Tdo

女王「今日より妾の玉座の左に立つ事を許そう」

女王「臣下達は不思議な顔をするだろうがな」

< ……

女王「これから毎日、妾の隣に立つ事が許されるなどそうは無い」

女王「否、これが初めてなのだからな」

女王「ククク、あぁ楽しい」


< ……


163 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 21:40:23.76 ID:lOqvR7Tdo

################


女王「晩餐会から戻ったぞ」

< ……

女王「……」

女王「なるほど、これまでそういった食事の場に行ったことがないか」

女王「勿体無いものだ、食は万物に共通する概念であるが人間は特にそれを追求する」

女王「人間に限らず、一部の生命はそれに近いものを求めているものだ」

女王「命を彩り、飾り付ける」

女王「そして食すのだ」

女王「記憶しておけ、魔剣よ」クックッ


< ……


164 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 21:43:48.01 ID:lOqvR7Tdo

女王「そういえばそなたにはまだ名乗っていなかったな」

女王「妾はこの南の大国『サース』の王、ジークフリード三世である」


< ……キシッ


女王「…………フッ」

女王「はははは! やはりそうか、そなた……妾が女の姿として見えているか!」

女王「実に見事」

女王「如何にも妾は女である、生粋の美女であるぞ」クックッ


165 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 21:46:41.56 ID:lOqvR7Tdo

女王「妾に名は無い」

女王「生前……いや、かつては名が在ったが、王を名乗る存在となってからは名を持ってない」

女王「妾がこの世界に生まれた時から、妾は王であったが故な」

< ……

女王「だから妾の事は『いつか』好きに呼べ」

女王「歓迎してやろうぞ、ククク」

166 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 21:55:30.98 ID:lOqvR7Tdo

女王「『幻想剣・子守唄』か」

女王「良い名だ」

女王「その名に至るまでに何を経験したかは知らぬが、妾は良いと思うぞ」

女王「自身に名を付ける事は、在り方を決めるに等しい」

女王「どの程度の年月を経てそなたが変わるのかは分からぬが……それまでの在り方としては悪くない」


< ……

女王「最も、あの竜によって出た妾の騎士団での犠牲者は五十は越える」

女王「当面はそなたの力が必要になるような事態は起きない事を願う」

女王「起きたら妾が十秒で終わらせるがな」

167 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 22:03:06.17 ID:lOqvR7Tdo

################


女王「良い朝だな、幻想剣」スッ

< ガキンッ

女王「そなたの存在意義はあくまで剣である、なら所有者として使おう」チャキッ

女王「…………」

女王「ククク、面白い」

女王「剣の刀身に術式が幾つも組まれているな、そなたがこれまでに作り上げたか」

女王「では上には上がいると教えてやろう」ブンッ



─────── ビキィッ!!



< パキッ……ミシッ……

女王「妾の魔力を一割以下……一分だけ流し込んで振った結果、砕ける寸前だ」

女王「さぁ、当分は妾の隣で休んでいるがいい」

< ガキンッ

168 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 22:23:43.85 ID:lOqvR7Tdo

【数ヶ月後】


女王「……?」

女王「そなた、思ったより早く見映えを変える事が出来るのだな」

< ……

女王「許せ」

女王「『あの』人間が造った剣がどれ程の物か、壊すつもりで振った」

女王「考えを改めるとしよう」

169 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 23:16:44.76 ID:lOqvR7Tdo

< ガコォン……

< 「陛下……騎士団が一人、騎士団長参上致しました」


女王「騎士団長、そなたにこの魔剣を使用する事を命じる」

騎士団長「……はっ!」

女王「期間は半年だ」

女王「その頃までに飽きたなら返しても良いがな」

騎士団長「使わせて頂きます、王よ」スッ

騎士団長「……」

騎士団長(もしやこの魔剣が、例の竜殺しか……?)ガキンッ


女王「刃零れはすまい、存分に使え」


170 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/30(日) 20:39:10.69 ID:J/60kwISo
################


騎士団長「……ということがあってな、この剣ではないか? お前が竜を倒した魔剣とは」カチャッ

熟練騎士「如何にも、しかし王は何故その剣を……?」

騎士団長「やはり何かお考えあっての事だろうが、気になるだろう?」

騎士団長「そこで貴公に会いに来たのだ、例の竜殺しの一件……この魔剣でどうやればあの光の柱を出せたのか」

熟練騎士「!」

熟練騎士「……と、申しましてもな……」

騎士団長「なんだ勿体振って」

熟練騎士「特に何か方法や術式をもってやった訳ではないのです、無我夢中で剣を振っただけで」

171 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/30(日) 21:32:08.18 ID:J/60kwISo

################

【王城・亜空間訓練場】


騎士団長「無我夢中で、か」

騎士団長「……」

騎士団長(精神の集中、同時に呼吸を停止)スゥッ

騎士団長(酸素排出、意識をギリギリ保てる位置を……)


騎士団長「……」

騎士団長「……」スチャッッ

   シャキィッ


< ビュィンッ


騎士団長「……」

騎士団長「ふぅ……なるほど、王が俺に渡した意味も解る」

騎士団長「射程は恐らく対象に触れるまでならば何処までも届き」

騎士団長「その破壊力は今の手応えが確かならば……」

騎士団長(使い手に依存している、これは扱う者次第で恐るべき兵器になる)

172 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/30(日) 21:55:31.01 ID:J/60kwISo


< ヴヴヴヴ・・・


騎士団長「……副団長か」

女副団長「団長様ぁ、ご機嫌うるわしゅうございますぅ」

騎士団長「何用だ、今は訓練場内の空間法則を変えてある、危険だから出ろ」

女副団長「そんなつれなぁい、我が王からのメッセージをお伝えしにきたのにぃ」

騎士団長「……?」


女副団長「『五つ見つけられたら褒めてやる』、との事でございますわぁ」


騎士団長「五つ、か」

騎士団長(まだ何かあるのか、この魔剣)チャキッ…

173 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/30(日) 22:27:38.18 ID:J/60kwISo

【八日後】


女王「ほう? 見つけてきたか」

騎士団長「は、陛下の御言葉通り幾度と剣を振り、或いは岩を斬って研鑽して参りました」

女王「して、どうであった」クックッ

騎士団長「第一にこの魔剣は『錆びない』」


騎士団長「次にこの魔剣は『修復機能』を備え……」

騎士団長「『少女』だ」


女王「…………」

女王「予想外で興味深い、続けろ」

174 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/30(日) 23:30:12.99 ID:aW1EFVoz0
面白い、続けろ

いえ続けてください
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/31(月) 19:23:24.79 ID:YrHjgEwFo

騎士団長「刀身に掘られた溝のような紋様は、剣を投擲した場合の空気抵抗次第で『軌道を変える』」

騎士団長「何故この剣が投擲に適した物に造られたのかは解りませんがね」

騎士団長「そしてこの数日苦労したのが、例の竜殺しの光」

騎士団長「『赤き光刃』、これが現状確認できる中で最強の術式です」


女王「ククク……推定で、その魔剣のレベルはどの程度だと考えている?」


騎士団長「上級を越えて対魔獣級、かと」

女王「ハズレだ」

騎士団長「……上級でしたか」

女王「上級も怪しいわ、その様な扱いに困る剣など中級が似合いだろう?」

女王「だがその前に」スッ


女王「先に言った『少女』とは、どういう意味なのかを妾に聞かせて貰えると面白いのだが?」クックッ


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